説明

浴室用窓接続枠

【課題】 左右枠を垂直配置し,上下枠を浴室側で拡開するように傾斜配置することによって上枠の水切り性と下枠の水捌け性を確保した浴室用の窓接続枠を提供する。
【解決手段】 コーナー枠4の各嵌合突片43を,外壁1側で垂直側面45,浴室壁面3側で傾斜側面46として片側傾斜の正面台形状に形成する一方,左右枠5aを,その上下端部を嵌合突片43の傾斜側面46と同じ角度の傾斜端部56として平面台形状とし,上下枠5bを平面矩形状として,コーナー枠4の嵌合突片43を左右枠5a,上下枠5bの嵌合溝53に嵌合して窓接続枠Aとして枠組みする。嵌合突片43の傾斜側面46が左右枠5aの傾斜を吸収して左右枠5aの傾斜に合せてコーナー枠4が傾斜配置される結果,これに設置する上下枠5bを拡開状に傾斜配置することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,外壁側サッシと浴室側開口間を接続するように用いる浴室用窓接続枠に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室のユニット化に伴い,建物に浴室を設置すると該建物の外壁面と浴室壁面とが離隔しこれら壁面間に空隙が形成されることになるため,浴室壁面に窓開口を形成するに際して建物壁面の窓サッシと浴室壁面の窓開口間に矩形筒状体とした窓接続枠を配置して上記壁面間の空隙を閉塞するものとされる。そしてこの窓接続枠は,例えば基枠に対してL字状をなすように嵌合突片を基枠長手方向に起立して多数配置した四隅のコーナー枠と,裏面に上記嵌合突片を受入れる嵌合溝を端部に開口するように多数配置した左右枠及び上下枠とを備えて上記嵌合突片を嵌合溝に嵌合して四隅のコーナー枠を介して左右枠及び上下枠を枠組みし,左右枠と上下枠間に例えばコーキング等の水密措置を施して水密性を確保するようにしたものとされている。
【0003】
【特許文献1】特開平9−96173号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合,嵌合突片を嵌合溝に嵌合して枠組みし水密措置を施すことによって水密性を確保するとともに矩形筒状体としての保形性を確保した浴室用窓接続枠を得ることができるが,一方で左右枠が垂直に,また上下枠が水平に配置されることによって,水平の上下枠には,例えば上枠にあっては水切り性が悪く,これに水滴が付着し易いとともに付着した水滴が下方に滴下し易く,また特に下枠にあっては水捌け性が悪く,上枠から滴下した水滴や浴室内で飛散した水滴がそのまま滞留し易いといった問題点が残されている。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされてなされたもので,その解決課題とするところは,嵌合突片を嵌合溝に嵌合する枠組み構造を維持し水密性と保形性を確保しつつ,可及的簡易な構造によって確実に上下枠又は下枠を傾斜配置することによってこれら上下枠又は下枠に残された水切性乃至水捌け性の問題点を解消し得るようにした浴室用窓接続枠を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に沿って本発明は,四隅のコーナー枠における左右枠の嵌合溝に嵌合する嵌合突片を,その基枠の起立端部において該嵌合溝と同幅とし,その側面を外壁側で垂直側面,浴室側で該嵌合突片を起立方向に横幅を縮小する傾斜側面とした片側傾斜形状とし,また左右枠の上下端又は下端を傾斜端部とすることによって,上記嵌合突片の傾斜側面が左右枠の傾斜を吸収して該左右枠の傾斜端部に対して該コーナー枠を傾斜配置自在とし,該傾斜配置したコーナー枠に対して上下枠又は下枠を設置することによって該上下枠又は下枠を左右枠の傾斜角度に応じて傾斜配置し得るようにしたものであって,即ち請求項1に記載の発明を,基枠に対してL字状をなすように嵌合突片を基枠長手方向に起立して多数配置した四隅のコーナー枠と,裏面に上記嵌合突片を受入れる嵌合溝を端部に開口するように多数配置した左右枠及び上下枠とを備えて上記嵌合突片を嵌合溝に嵌合して四隅のコーナー枠を介して左右枠及び上下枠を枠組みした外壁側サッシと浴室側開口間接続用の窓接続枠であって,上記コーナー枠の左右枠の嵌合溝に嵌合する嵌合突片を,その起立端部で該嵌合溝と同幅とするとともにその外壁側の側面を垂直側面とし,浴室側の側面を起立方向に横幅縮小の傾斜側面とした片側傾斜形状とする一方,上記左右枠の上下端又は下端を上記嵌合突片の傾斜側面における傾斜角度以下の角度による傾斜端部とした平面台形の形状とすることによってコーナー枠を左右枠の傾斜端部に平行に傾斜配置自在とし,該傾斜配置のコーナー枠に上下枠又は下枠を設置することによって左右枠を垂直配置し上下枠又はその下枠を浴室側に向けて傾斜配置してなることを特徴とする浴室用窓接続枠としたものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は,上記に加えて,コーナー枠の上記嵌合突片を片側傾斜形状とすることは,その嵌合突片が左右枠乃至上下枠の非傾斜端部に対して嵌合すること妨げないことから,基枠に対してL字状をなすように多数配置したL字状双方の嵌合突片を上記片側傾斜形状の同一形状とすることによって単一のコーナー枠を四隅に共通部材とするとともに該共通部材のコーナー枠を用いて上下枠又は下枠を傾斜配置自在とするように,これを,上記コーナー枠の左右枠及び上下枠の各嵌合溝に嵌合する双方の嵌合突片を上記片側傾斜形状の同一形状にしてその起立端部で左右枠と上下枠の嵌合溝と同幅とするとともにその外壁側の側面を垂直側面とし,浴室側の側面を起立方向に横幅縮小の傾斜側面としてなることを特徴とする請求項1に記載の浴室用窓接続枠としたものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は,同じく上記に加えて,上記起立突片の起立端部を傾斜端部に対する嵌合を損なわない程度に小幅に起立した正面矩形起立端部とすることによって嵌合突片の嵌合溝に対する嵌合強度を充分に確保して枠組み強度を確保し矩形筒状体としての保形性を向上してその剛性を確保し得るものとするように,これを,上記嵌合突片の嵌合溝と同幅の起立端部を,外壁側及び浴室側垂直にして起立方向に小幅に起立した正面矩形の起立端部としてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の浴室用窓接続枠としたものである。
【0009】
請求項4に記載の発明は,同じく上記に加えて,上記コーナー枠が気密材を一体に備えることによって浴室用窓接続枠の水密性を簡易且つ確実に確保し得るものとするように,これを,上記コーナー枠の基枠が,その長手方向全長に一体の水密材を備えて上記嵌合突片と嵌合溝の嵌合によって隣接する左右枠と横枠間の水密性を確保してなることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の浴室用窓接続枠としたものである。
【0010】
請求項5に記載の発明は,同じく上記に加えて,嵌合突片の嵌合溝に対する嵌合を蟻溝嵌合とすることによって,嵌合の揺動を解消して矩形筒状体としての剛性を更に向上するように,これを,上記嵌合突片と嵌合溝の嵌合を蟻溝嵌合としてなることを特徴とする請求項1,2,3又は4に記載の浴室用窓接続枠としたものである。
【0011】
請求項6に記載の発明は,同じく上記に加えて,コーナー枠を介して枠組みした左右枠及び横枠を該コーナー枠に簡易且つ確実にネジ固定することによって,矩形筒状体として剛性を更に高度化し得るものとするように,これを,上記コーナー枠の基枠が,その嵌合突片間にネジ透孔を,上記左右枠及び横枠がその嵌合溝間にタッピングホール乃至タッピング溝を備え,上記ネジ透孔を介したタッピングネジをタッピングホール乃至タッピング溝に螺入するネジ固定を追加的に行ってなることを特徴とする請求項1,2,3,4又は5に記載の浴室用窓接続枠としたものである。
【0012】
本発明はこれらをそれぞれ発明の要旨として上記課題解決の手段としたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は以上のとおりに構成したから,請求項1に記載の発明は,四隅のコーナー枠における嵌合突片をその基枠の起立端部において左右枠及び上下枠の嵌合溝と同幅とし,その側面を外壁側で垂直,浴室側で傾斜し該嵌合突片を起立方向に横幅を縮小する片側傾斜形状として,嵌合突片を左右枠及び上下枠の端部が傾斜又は非傾斜の双方に嵌合自在とするとともにコーナー枠を端部の角度に応じて平行配置自在とし,このとき左右枠の上下端又は下端を傾斜した傾斜端部とすることにより該傾斜端部のコーナー枠を傾斜配置し,該傾斜配置したコーナー枠を用いて上下枠又は下枠を枠組みすることによって該上下枠を浴室側で拡開するように傾斜し又は下枠を浴室側で下向きに傾斜するように配置自在とし,これによって嵌合突片を嵌合溝に嵌合する枠組み構造を維持し水密性と矩形筒状体としての保形性を確保しつつ,嵌合突片と左右枠に傾斜措置を施す簡易な構造によって上下枠又は下枠を傾斜配置し得るようにした浴室用窓接続枠を提供することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は,上記に加えて,上記起立突片の起立端部を傾斜端部に対する嵌合を損なわないように小幅に起立した正面矩形起立端部とすることによって嵌合突片の嵌合溝に対する嵌合強度を充分に確保して矩形筒状体としての保形性を向上し枠組み強度とこれによる剛性を確保したものとすることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は,同じく上記に加えて,コーナー枠に気密材を一体に備えることによって浴室用窓接続枠の水密性を簡易且つ確実に確保したものとすることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は,同じく上記に加えて,嵌合突片の嵌合溝に対する嵌合を蟻溝嵌合とすることによって,嵌合の揺動を解消して矩形筒状体としての剛性を更に向上したものとすることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は,同じく上記に加えて,コーナー枠を介して枠組みした左右枠及び横枠を該コーナー枠に簡易且つ確実にネジ固定することによって,矩形筒状体として剛性を更に高度化したものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば,Aは外壁側サッシと浴室側開口間を接続する浴室用窓接続枠であって,該窓接続枠Aは,基枠41に対してL字状をなすように嵌合突片43を基枠41長手方向に起立して多数配置した四隅のコーナー枠4と,裏面に上記嵌合突片43を受入れる嵌合溝53を端部に開口するように多数配置した左右枠5a及び上下枠5bとを備えて上記嵌合突片43を嵌合溝53に嵌合して四隅のコーナー枠4を介して左右枠5a及び上下枠5bを枠組みした,矩形筒状体をなすものとしてあり,このとき上記コーナー枠4の左右枠5aの嵌合溝53に嵌合する嵌合突片43を,その起立端部で該嵌合溝53と同幅とするとともにその外壁側の側面を垂直側面45とし,浴室側の側面を起立方向に横幅縮小の傾斜側面46とした片側傾斜形状とする一方,上記左右枠5aの上下端又は下端を上記嵌合突片43の傾斜側面46における傾斜角度以下の角度による傾斜端部56とした平面台形の形状とすることによってコーナー枠4を左右枠5aの傾斜端部56に平行に傾斜配置自在とし,該傾斜配置のコーナー枠4に上下枠又は下枠,本例にあっては上下枠5bを設置することによって左右枠5aを垂直配置し上下枠又はその下枠,本例にあっては上記上下枠5bを浴室側に向けて傾斜配置したものとしてあり,本例にあって上記コーナー枠4の左右枠5a及び上下枠5bの各嵌合溝53に嵌合する双方の嵌合突片43を上記片側傾斜形状の同一形状にしてその起立端部で左右枠5aと上下枠5bの嵌合溝53と同幅とするとともにその外壁側の側面を垂直側面とし,浴室側の側面を起立方向に横幅縮小の傾斜側面46としたものとし,また本例にあって上記嵌合突片43は,その嵌合溝53と同幅の起立端部を,外壁側及び浴室側を垂直にして起立方向に小幅に起立した正面矩形の起立端部44とし,上記嵌合突片43と嵌合溝53の嵌合を蟻溝嵌合としたものとしてある。
【0019】
窓接続枠Aは,外壁1設置の,例えば引違い等のサッシ開口,即ちサッシ枠2の室内側開口に応じた高さと幅とを有し,該外壁1設置のサッシ枠2と浴室壁面3間の空隙を閉塞する奥行幅,例えば20cm程度の奥行幅を有する横長の矩形筒状にして,例えば合成樹脂製やアルミ製,本例にあっては合成樹脂製のものとしてあり,このとき本例の窓接続枠Aは,その外周に浴室壁面3の開口縁を覆う額縁7を備えたものとしてある。
【0020】
コーナー枠4は上記サッシ枠2と浴室壁面3間の空隙を閉塞する奥行幅に等しい長さを有し,断面矩形中実にしてバー状の基枠41と,該基枠41の隣接する2面に該基枠41を挟んで断面L字状をなすようにそれぞれ交差方向に突出するように長手方向に各中間溝を介して同一ピッチで起立配置した左右枠5a及び上下枠5b連結用の嵌合突片43とを備えて,例えば射出成型によって一体成型した成型部品としてあり,このとき本例にあって該コーナー枠4の基枠41は,これが,その長手方向全長に一体の水密材47を備えたものとし,また上記基枠41には,その嵌合突片43間の中間溝位置に縦方向及び横方向のネジ透孔42を透設して配置したものとしてある。
【0021】
嵌合突片43は,その基枠41からの起立端部を左右枠5a及び上下枠5bの嵌合溝53と同幅とし,外壁側の垂直側面45,浴室側の傾斜側面46による片側傾斜形状にして正面台形状をなすように基枠41に交差起立した厚肉舌片状のものとしてあり,このとき本例にあって該嵌合突片43の嵌合溝53と同幅の起立端部は,これを,上記のように外壁側及び浴室側を垂直にして起立方向に小幅に起立した正面矩形の起立端部44とし,また上記嵌合溝53との嵌合を蟻溝嵌合とするように該起立端部44を含めてその両側面を背面において対向方向に向けて縮小するように傾斜した蟻溝用の傾斜面をなすようにしてある。
【0022】
本例にあって嵌合突片43は,例えば横幅を2cm程度,基枠41からの突出幅を3cm程度,厚さを3mm程度としてあり,このとき上記3cm程度の突出幅のうち,その1〜2割の高さ,例えば5mm程度の高さを上記外壁側及び浴室側の双方を垂直とするように小幅に起立し,高さ5mm程度,横幅を嵌合溝53に合せた2cm程度とする上記正面矩形の起立端部44を形成したものとしてある。
【0023】
該嵌合突片,本例にあっては上記左右枠5aと上下枠5bの各嵌合溝53に嵌合するように基枠41にL字状に配置した嵌合突片43は,その全てを上記正面矩形の起立端部44を備えて外壁側を垂直側面45,浴室側を傾斜側面46としてあり,このとき該嵌合突片43の上記浴室側の傾斜側面46は,該起立端部44を残した嵌合突片43の突出方向全長,即ち基枠41からの突出高さの8〜9割程度に亘って同一角度をなすように直線乃至湾曲状に傾斜した側面としてあり,本例にあって該傾斜側面46は,これを上記上下枠又は下枠,本例にあっては上下枠5aの傾斜角度に合せた微傾斜側面とし,例えば上記2cm程度とした起立端部44の横幅を起立方向先端において,例えば18乃至19mm程度とするように1〜2mm程度縮小する2度程度とした,微傾斜の傾斜側面としてある。
【0024】
基枠41に一体に備えた水密材47は,これを,例えばコーナー枠4の成型時にインサート成型によって一体に成型して該基枠41の嵌合突片43間の基枠41エッジ部分からL字状配置の嵌合突片43間に向けて突出配置してあり,本例にあって該水密材47は,例えばエラストマー等による軟質にして基枠からY字状に突出し,その先端枝分れ一対の軟質舌片が枠組み状態の左右枠5a及び上下枠5bに密着して水密性を確保するように配置してある。
【0025】
基枠41のネジ透孔42は,基枠41を貫通して縦方向及び横方向に透設してあり,このとき該ネジ透孔42は基枠41の中間溝位置において十字状に交差するように配置することも可能であるが,本例にあっては基枠41の中間溝位置に縦方向と横方向のネジ透孔42を交互に配置するように各中間溝位置毎に縦方向と横方向一方のネジ透孔42を透設したものとしてある。
【0026】
このように形成したコーナー枠4は,これを窓接続枠Aの四隅に共通部材のコーナー枠として共用することによって上記左右枠5a及び上下枠5bを矩形筒状に枠組みするものとしてある。
【0027】
一方,左右枠5a及び上下枠5bは,上記サッシ枠2と浴室壁面3間の空隙を閉塞する奥行幅に等しく,上記コーナー枠4の長さと同長の奥行幅を有するとともに上記コーナー枠4の嵌合突片43の位置,形状及び数に合せて,左右枠5aにあって上下端部,上下枠にあって左右端部のコーナー枠4側の端部にそれぞれ開口し,下面を開放するように凹陥状に配置するとともに,それぞれ外壁1と浴室壁面3間の奥行方向に向けて中間突条51を介して同一ピッチに配置した裏面の嵌合溝53を備えたものとしてあり,上記額縁7を設置した本例にあっては,その浴室側端部に外側に張出突設し且つ張出方向両端に額縁7嵌合用の嵌合部を備えたフランジ54を備えることにより断面L字状をなして,例えば押出成形によって一体に成形したL字板状の成形部品によるものとしてあり,このとき本例の左右枠5a及び上下枠5bは,上記嵌合溝53間の中間突条51にそれぞれタッピングホール乃至タッピング溝,本例にあってはタッピング溝52を備えたものとしてある。
【0028】
左右枠5a及び上下枠5bの嵌合溝53は,上記嵌合突片43を密に被嵌するように該嵌合突片43の寸法に応じてその横幅を2cm程度,深さを3mm程度とし,また上記嵌合を蟻溝嵌合とするように該嵌合溝53を,その両側面を肉厚方向底面に向けて拡開するように傾斜した蟻溝用の傾斜面を有して該嵌合溝53を上記2cm程度の最大横幅の蟻溝形状に形成してあり,該嵌合溝53は上記押出成形によって,フランジ54を除く左右枠5a及び上下枠5bの裏面全長に亘って同一断面形状をなして配置するようにこれを形成してある。
【0029】
このとき嵌合溝53を有する左右枠5aと上下枠5bは,これを左右枠5a及び上下枠5bの4面に共通部材のL字状部材として用い,左右枠5aにあってその上下端部を傾斜切断することによって,これを外壁1側で短寸化して縮小し,浴室壁面3側で長寸化して拡大するように上下を傾斜端部56とした,端部傾斜の平面台形状とする一方,上下枠5bにあってその左右端部を直交切断して平面四隅を直角とした平面矩形の形状としてあり,押出成形による上記共通のL字状部材を加工時の切断角度を違えて左右枠及び上下枠としてある。
【0030】
左右枠5aにおける傾斜端部56の傾斜角度は,これを上記上下枠又は下枠,本例にあっては上下枠5bを傾斜するに際してその傾斜角度に合せた傾斜角度として設定するようにしてあり,本例にあって該傾斜端部56の傾斜角度は,これを上記と同様に2度程度の角度としてある。
【0031】
このように形成したコーナー枠4,左右枠5a及び上下枠5bを用いた窓接続枠Aの形成は,四隅のコーナー枠4を介して,該コーナー枠4の基枠41に対してL字状に起立配置した各嵌合突片43を左右枠5a及び上下枠5bの各嵌合溝53に嵌合するとともに更に起立端部44を該嵌合溝53に圧入することによってこれら左右枠5a及び上下枠5bを枠組みし,本例にあっては基枠41のネジ透孔42からその長手方向交互に左右枠5a及び上下枠5bの上記タッピング溝52に対してタッピングネジ48を螺入して該コーナー枠4と左右枠5a及び上下枠5bをネジ固定し,また左右枠5a及び上下枠5bの上記フランジ54に,その嵌合凹部55に幅方向両端の嵌合突部71をスナップイン的に嵌着することによって,例えば端部を留切りした断面コ字状の額縁7を囲繞状に設置するようにしてこれを行えばよく,これによって左右枠5aが垂直面をなし,上下枠5bが,上枠において浴室側を上向きに,下枠において浴室側を下向きにそれぞれ2度程度の傾斜角度に微傾斜し,更に水密材47が左右枠5aと上下枠5bに密接して四隅の水密性を奥行方向全長に確保した矩形筒状の窓接続枠Aを得ることができる。
【0032】
このとき嵌合突片43の両側面が蟻溝嵌合一方の傾斜面をなし,嵌合溝53が,その両側面を同じく蟻溝嵌合他方の傾斜面をなすように断面形状を蟻溝形状としたことによって,上記嵌合突片43の嵌合溝53に対する嵌合を蟻溝嵌合とすることができ,嵌合突片43の嵌合溝53に対する嵌合を強固且つ確実にして矩形筒状体としての捩れや歪みを解消して剛性を向上することができ,またコーナー枠4の基枠41にネジ透孔42を備え,左右枠5a及び上下枠5bの中間突条51にタッピング溝52を備えた本例にあっては,基枠41から左右枠5a及び上下枠5bに対して基枠41長手方向交互にタッピングネジ48を螺入することによって該コーナー枠4と左右枠5a及び上下枠5bがネジ固定されて,窓接続枠Aとしての枠組み強度を高度化し,その矩形筒状体として高度な剛性を備えたものとすることができ,更にコーナー枠4の基枠41に,上記エラストマー等の水密材47を備えた本例にあっては,該枠組みによってその軟質舌片が左右枠5a及び上下枠5bの縁部に密着載置するように対接し,コーキングを施すことなく高度な水密性を確保することができる。また本例の窓接続枠Aは,上記コーナー枠4を四隅に共通部材とする一方,左右枠5aと上下枠5bを,その加工時の切断角度を変えるも,断面L字状にして同一の押出成形の成形部材を共通に使用するものとしたことによって,接続窓枠Aの基本的部材を2種類とし,該2種類の部材によって上記上下枠又は下枠が微傾斜した窓接続枠Aを形成することができ,部材数の減少によるコスト低下を図ることができるメリットがある。因みに額縁7を付するときもこれを断面コ字状としたことによって該額縁7も長さを変化するも同一の,例えば押出成形による成形部材を共通に使用することができる。
【0033】
このとき上記嵌合突片43を嵌合溝53に嵌合することによって左右枠5aを垂直に,上下枠5bを微傾斜状態に枠組みし得るのは,コーナー枠4における嵌合突片43の側面が外壁側で垂直,浴室側で傾斜,特に微傾斜した状態で基枠41に突出配置される一方,左右枠5aの上下端部が微傾斜端部をなすために,コーナー枠4を左右枠5aの傾斜端部56に設置すると,コーナー枠4の嵌合突片43における傾斜側面46が該左右枠5aの傾斜端部56における傾斜を吸収し,該傾斜端部56に対して直交するように対接して,コーナー枠4が傾斜端部56に沿って傾斜配置される結果,該傾斜配置したコーナー枠4に対して設置された上下枠5bがその傾斜角度に応じて,本例にあっては2度の角度をなして微傾斜状態に枠組みされることになるからである。
【0034】
本例にあって上記上下枠5bの傾斜角度はこれを2度程度としたが,該上下枠又は下枠の傾斜は,一般に水平に対して1〜5度の微傾斜角度とするのがよく,1度を下回ると上下枠又は下枠の傾斜が小さく,上枠にあっては水切り性が損なわれて,これに水滴が付着して滴下する傾向が生じ,下枠にあっては水捌け性が損なわれて,上枠から滴下した水滴や浴室内で飛散した水滴がそのまま滞留する傾向が生じる。また5度を上回ると傾斜が大きく,上枠にあって特段の問題はないが,下枠にあってはものを載置し難くなる傾向が生じる一方,上記額縁7を設けた場合にはその取付ベースをなす上下枠5bのフランジ54が傾斜して浴室壁面3に対接するため,額縁7の浴室側への突出幅が大きくなる傾向を生じる。水切り性,水捌け性を良好に確保し,ものの安定した載置を可能とし,また額縁7を設けた場合にその突出幅の拡大を避けるためには,3±1度の微傾斜角度とすることが好ましい。従って上下枠又は下枠5bの傾斜角度を定める左右枠5aの傾斜端部56はこの微傾斜角度によるものとするのがよく,またコーナー枠4の嵌合突片43における傾斜側面46の角度は,該左右枠5aの傾斜端部56の角度を吸収すればよいから,該左右枠5aの傾斜端部56の角度と同一又はそれ以上の任意角度とすることが可能であるが,上記のように同一角度又は傾斜端部角度吸収可能な略同一の角度とすれば足り,殊更に角度を大きくするには及ばない。
【0035】
図中11は,外壁1のサッシ枠2取付用のまぐさ,12は同じく窓台,13は断熱材,31は浴室壁面3の開口を画するとともに,本例にあって窓接続枠Aを該開口に設置するに際して左右枠5aと上下枠5bのフランジ54からのネジ固定を行う固定対象としての取付枠,6はコーナー枠4によって枠組みした左右枠5aと上下枠5b間の長手方向端部を塞ぎ,上記額縁7の隅部における固定ベースとなるように各コーナー枠4の浴室側に,例えばネジ止めし,額縁7の長手方向端部の長手方向端部をスナップイン的に嵌合する上記嵌合凹部55を形成するとともに上記コーナー枠4の共通部品化を妨げないように別部材の後付用とした端部キャップである。
【0036】
図示した例は以上のとおりとしたが,コーナー枠の基枠にL字状に配置した嵌合突片を,L字状一方の左右枠用とL字状他方の上下枠用に区分し,前者を上記正面片側傾斜の形状とし,後者を正面矩形の形状としたものとし,同様に端部キャップを別部材としてコーナー枠の共通部品化を図ること,上下枠のうち下枠だけを傾斜配置し上枠を水平配置するように構成すること,この場合必要に応じて上枠と左右枠上端の枠組み用のコーナー枠として,コーナー枠の基枠にL字状に配置した嵌合突片を共に正面矩形の形状とした他のコーナー枠を使用すること,上記共通部品のコーナー枠に代えて,端部キャップをコーナー枠に一体に設置し,左右勝手に応じた2種類のコーナー枠を使用すること,嵌合溝に対する嵌合突片を蟻溝嵌合に代えて,嵌合溝を断面コ字状の溝として形成し,嵌合突片を該嵌合溝に合せた側面形状とすることによって,また嵌合突片と嵌合溝の一方に突条を,他方に溝条を配置することによってこれらによる嵌合によって枠組みをなし得るようにすること等を含めて,本発明の実施に当って,コーナー枠,その基枠,嵌合突片,左右枠,上下枠,その嵌合溝,嵌合突片片側傾斜側面及び左右枠上下端部の傾斜角度,必要に応じて用いる水密材,ネジ固定等の各具体的形状,構造,材質,これらの関係,これらに対する付加等は,上記発明の要旨に反しない限り様々な形態のものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】窓接続枠の設置状態を示す縦断面図である。
【図2】窓接続枠の斜視図である。
【図3】図1における窓接続枠の右下部分の分解斜視図である。
【図4】コーナー枠の正面図である。
【図5】コーナー枠の縦断面図である。
【図6】コーナー枠の部分拡大正面図である。
【図7】左右枠(横枠)の横断面図(縦断面図)である。
【符号の説明】
【0038】
A 窓接続枠
1 外壁
2 サッシ
3 浴室壁面
4 コーナー枠
41 基枠
42 ネジ透孔
43 嵌合突片
44 起立端部
45 垂直側面
46 傾斜側面
47 水密材
48 タッピングネジ
5a 左右枠
5b 上下枠
51 中間突条
52 タッピング溝
53 嵌合溝
56 傾斜端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基枠に対してL字状をなすように嵌合突片を基枠長手方向に起立して多数配置した四隅のコーナー枠と,裏面に上記嵌合突片を受入れる嵌合溝を端部に開口するように多数配置した左右枠及び上下枠とを備えて上記嵌合突片を嵌合溝に嵌合して四隅のコーナー枠を介して左右枠及び上下枠を枠組みした外壁側サッシと浴室側開口間接続用の窓接続枠であって,上記コーナー枠の左右枠の嵌合溝に嵌合する嵌合突片を,その起立端部で該嵌合溝と同幅とするとともにその外壁側の側面を垂直側面とし,浴室側の側面を起立方向に横幅縮小の傾斜側面とした片側傾斜形状とする一方,上記左右枠の上下端又は下端を上記嵌合突片の傾斜側面における傾斜角度以下の角度による傾斜端部とした平面台形の形状とすることによってコーナー枠を左右枠の傾斜端部に平行に傾斜配置自在とし,該傾斜配置のコーナー枠に上下枠又は下枠を設置することによって左右枠を垂直配置し上下枠又はその下枠を浴室側に向けて傾斜配置してなることを特徴とする浴室用窓接続枠。
【請求項2】
上記コーナー枠の左右枠及び上下枠の各嵌合溝に嵌合する双方の嵌合突片を上記片側傾斜形状の同一形状にしてその起立端部で左右枠と上下枠の嵌合溝と同幅とするとともにその外壁側の側面を垂直側面とし,浴室側の側面を起立方向に横幅縮小の傾斜側面としてなることを特徴とする請求項1に記載の浴室用窓接続枠。
【請求項3】
上記嵌合突片の嵌合溝と同幅の起立端部を,外壁側及び浴室側を垂直にして起立方向に小幅に起立した正面矩形の起立端部として残存してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の浴室用窓接続枠。
【請求項4】
上記コーナー枠の基枠が,その長手方向全長に一体の水密材を備えて上記嵌合突片と嵌合溝の嵌合によって隣接する左右枠と横枠間の水密性を確保自在としてなることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の浴室用窓接続枠。
【請求項5】
上記嵌合突片と嵌合溝の嵌合を蟻溝嵌合としてなることを特徴とする請求項1,2,3又は4に記載の浴室用窓接続枠。
【請求項6】
上記コーナー枠の基枠が,その嵌合突片間にネジ透孔を,上記左右枠及び横枠がその嵌合溝間にタッピングホール乃至タッピング溝を備え,上記ネジ透孔を介したタッピングネジをタッピングホール乃至タッピング溝に螺入するネジ固定を追加的に行ってなることを特徴とする請求項1,2,3,4又は5に記載の浴室用窓接続枠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−348569(P2006−348569A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−175372(P2005−175372)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【出願人】(597073368)藤沢電工株式会社 (6)
【Fターム(参考)】