説明

浸漬ゴム製品上のポリマー複合繊維コーティングおよび方法

本発明は、エラストマー製品を製造する、具体的には、産業用または家庭用手袋を製造する方法であって、カルボキシル化アクリロニトリルブタジエンエラストマー表面の層上に浸漬被覆するための不織繊維ポリマーコンパウンドを製造することを包含する方法を提供する。浸漬型を塩基材凝固剤中に浸漬後、エラストマー分散中に浸漬し、そして最後に、ポリマー複合繊維コーティング中に浸漬することにより、有用なエラストマー製品を製造する。本発明は、更に、第一層であって、天然または合成のポリマーを含む第一層;および該第一層に結合した第二層であって、ポリマー複合繊維コーティングを含む第二層を有するエラストマー製品を提供する。該ポリマー複合繊維コーティングは、少なくとも一つのエラストマーまたはエラストマーブレンド、繊維または繊維ブレンド、界面活性剤および超微粉ロウを包含する。該コーティングは、発泡していることがありうるし、改善された発汗処理性および非剥脱性を使用者に提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】
【0002】
本発明は、エラストマーまたはエラストマーブレンド、繊維または繊維ブレンド、界面活性剤および超微粉滑剤ロウを包含するポリマー複合繊維コーティングを有するエラストマー製品に関する。本発明は、更に、ゴム製品上に結合した不織布ポリマー複合コーティングの薄ライニングを製造する方法に関する。そのポリマー複合繊維コーティングは、発泡させることができる。薄ライニングまたは発泡ライニングは、家庭用または産業用の用途に用いられる手袋に応用することができる。
【背景技術】
【0003】
家庭用または産業用手袋を被覆する一般的な方法は、ポリマーラテックスの増粘した浸漬接着剤層であって、別のポリマーラテックスゲルの第一層上に結合した層上に、空気または静電放電を用いることによって天然綿繊維または合成繊維を吹込すること、またはフロック加工することによる。他の方法には、金属またはセラミックの浸漬型上に浸漬型形状の織布を載せ、そしてその織布層上にポリマーラテックスを浸漬することが含まれる。
【0004】
例えば、米国特許第3,098,755号は、ラテックスゴム支持体上の接着性ポリウレタンコーティングを製造する方法を請求の範囲に記載している。フロック層を、ポリウレタンコーティング上に付着後、機械的または静電的のような、いずれか適する方法によって硬化させる。そのフロックを、フロック繊維とポリマーとの混合、またはポリマーコーティング中への繊維の埋込みまたはそれらの完全侵入を免れるような方法で、コーティング上に衝突させる。したがって、それら繊維は、コーティング表面に垂直に配向することができるし、または異なった様式で配向することができるが、繊維は、コーティングの表面部分にだけ付いている。
【0005】
フロック加工技術の変法は、米国特許第1,102,342号に記載されているが、それは、ポリマー性材料の細長い結合剤粒子の製造のための非浸漬方法を包含する。その方法は、天然または合成繊維をポリマー性材料の分散中に加え、そのポリマー性材料の水性分散を凍結させ、そして凍結した分散を融解させて、ポリマー性材料の粒子を得ることによって行われる。次に、ポリマー性材料のそれら粒子は、吸引が適用された場合、多孔質表面に対して天然または合成繊維を一緒に結合する。多孔質表面は、紙製スクリーンであり、そして次に、成形された繊維ウェブを、プレスし且つ圧延する。
【0006】
米国特許第6,143,416号は、薄肉製品、すなわち、外科手術用手袋を成形する方法を開示している。その手袋は、粗面浸漬型を用いた浸漬被覆により、外面グリップを手袋に与えるように成形されたポリウレタンの第一エラストマー層を包含する。
【0007】
GB1091523号は、複合フロックコーテッドマットを製造する方法を開示している。その方法の工程は、柔軟ベースシートの表面を、硬化性の天然または合成ゴムラテックス接着剤で被覆し、その接着剤上にフロックを静電付着させ、接着剤を乾燥させ、そのフロックコーテッド区域を電熱真空成形型上に置き、そしてその区域が適所に入れられるように真空にし、ベースシートおよび接着剤を硬化させ、そして天然または合成の組成物を含む成形マットをフロックコーテッド区域に取付けることを包含する。
【0008】
産業用または家庭用手袋の着用者が、過度の発汗浸透を経験することは一般的である。したがって、産業用または家庭用手袋は、一層長時間着用する場合、あまり快適ではない。現在市販されているフロック加工されていない手袋およびフロックライニング付き手袋は、これらの範疇に入る。フロックライニング付き手袋は、フロック加工されていない手袋よりも良い表面快適さを与えるが、このタイプの手袋による発汗吸収および蒸発はなお、比較的不十分である。更に、フロック被覆面積は、時々、慣用的なフロックライニングにおいて首尾一貫していない。
【0009】
したがって、繊維ポリマーで被覆された表面であって、蒸発によって冷却される、水分がこの表面から蒸発する時に水分を吸収し且つ保持することができる、そして着用者を乾燥状態にしつつ着用者を冷却するものを有することが望まれる。したがって、使用者への改善された発汗処理に関して快適さを増すために、家庭用または産業用の用途に用いられる種類の手袋を製造する方法が要求されている。
【発明の開示】
【0010】
一つの態様において、ポリマー複合繊維コーティングは、硬化前に、塩凝固剤を下塗りしたまたはエラストマー性の天然または合成ポリマーゲル化済み表面上に、浸漬法によって適用される。そのポリマー層を、そして更には、ポリマー性繊維複合コーティングを硬化させ且つ乾燥させた後、そのコーティングをポリマー層に結合させる。
【0011】
本発明の別の態様において、カルボキシル化アクリロニトリルブタジエンエラストマー表面の層上に浸漬被覆するための不織繊維ポリマーコンパウンド混合物を製造する方法を提供する。手形の浸漬型を、最初に、塩基材凝固剤中に浸漬する。次に、凝固剤被覆済み浸漬型を、エラストマー分散中に浸漬し、そして最後に、繊維ポリマー複合コーティング中に浸漬する。この方法は、産業用または家庭用手袋などのエラストマー製品を製造する場合に特に有用である。その方法は、手形の予熱された浸漬型を、凝固剤塩溶液中に浸漬し;凝固剤を乾燥させ;エラストマー分散中に浸漬し;ゲル化済みエラストマーを乾燥させ;ポリウレタンなどのポリマー溶液の界面活性剤で安定化された複合分散であり、超微粉高密度ポリエチレンと組み合わせた綿およびレーヨンなどの繊維材料と混合されている、ポリマー複合繊維コーティングの新規なコンパウンド中に浸漬し;エラストマー層のゲル化による残留凝固剤塩または複合コーティングの前に下塗りする追加の塩凝固剤の適用で繊維ゲル化済み構造を成形し;そしてポリマー複合繊維コーティングおよびエラストマー層を乾燥させ且つ硬化させる工程を包含することができる。
【0012】
別の態様において、第一層であって、天然または合成のポリマーを含む第一層;およびその第一層に結合した第二層であって、ポリマー複合繊維コーティングを含む第二層を有するエラストマー製品を提供する。そのポリマー複合繊維コーティングは、少なくとも一つのエラストマーまたはエラストマーブレンド、繊維または繊維ブレンド、界面活性剤および超微粉ロウを包含する。
【0013】
発明の詳細な説明
本発明の一つの側面において、食品加工のような、繊維剥脱および製品混入が許容し得ない用途における使用に適する、剥脱のないまたは毛羽立ちのないコーティングを提供する。ヒト皮膚に接して着用される製品の発汗処理も、重要な因子である。このような性質は、市場において重要である。別の側面において、改善された発汗処理性および剥脱のない繊維ライニングを有する手袋などのエラストマー製品を提供する。
【0014】
一つの態様において、浸漬エラストマー製品を製造する方法であって、加熱された手形の浸漬型を塩凝固剤中に浸漬し、凝固剤を乾燥させ、そしてその浸漬型を合成または天然ラテックス分散中に浸漬する工程を包含する方法を提供する。次に、合成または天然エラストマーのゲル化済み層を、凝固剤塩下塗剤中に浸漬した後、下塗剤を乾燥後、繊維ポリマー複合材料溶液または繊維ポリマー複合材料発泡分散の浴中に浸漬する。或いは、繊維ポリマー薄膜の薄層または繊維発泡層が必要とされる場合、ゲル化済みエラストマー層を、下塗剤浸漬を全く伴うことなく、繊維複合材料溶液または繊維複合材料発泡分散中に直接的に浸漬することができる。手袋上のポリマー複合繊維コーティングラミネートまたはポリマー複合繊維発泡ラミネートは、長時間用いられる場合、使用者に十分な快適さを与えるであろう。一組のSEM写真(図1〜2)は、ポリマー複合繊維コーティングを示している。もう一組のSEM写真(図3〜4)は、ポリマー複合繊維発泡コーティングラミネートの構成を示している。
【0015】
上の方法の別の態様は、ゲル化済みエラストマー層を天然または合成ラテックスフォーム浴中に浸漬し、それを乾燥させ、そして凝固剤塩で下塗り後、繊維複合材料溶液中に浸漬することによって行うことができる。そのフォーム層は、例えば、手袋の場合、長い使用時間中に特別なクッションのある快適さを与えるであろう。
【0016】
或いは、別の態様において、繊維材料および天然または合成ポリマーの複合材料混合物は、適する発泡剤またはフォーム界面活性剤で発泡させて、手袋表面上の連続気泡繊維フォーム構成ラミネートを生じることもできる。有用なポリマーには、天然ゴムラテックス、合成ポリイソプレンラテックス、スチレンブタジエンラテックス、カルボキシル化または非カルボキシル化アクリロニトリルブタジエンラテックス、ポリクロロプレンラテックス、ポリアクリル系ラテックス、ブチルラテックス、ポリウレタンラテックス等が含まれる。
【0017】
本発明の手袋態様における一つの有用な側面は、長期使用時間中に手袋使用者が発汗した際の発汗吸収およびその乾燥を調節する能力である。例えば、手袋態様は、例えば、綿、レーヨン、高密度ポリエチレンおよびエラストマー、好ましくは、ポリウレタンのポリマー複合繊維ライニング組合せを包含することができるので、増加した快適度を使用者に与えることができる。
【0018】
天然または合成ポリマーは、本発明のエラストマー製品の最初の基層中に用いることができる。それらポリマーには、天然ゴム、合成ポリイソプレン、スチレンブタジエン、カルボキシル化または非カルボキシル化アクリロニトリルブタジエン、ポリクロロプレン、ポリアクリル系、ブチルゴムまたはポリウレタン等のようなエラストマーが含まれるが、これに制限されるわけではない。ポリウレタン類は、ポリエーテルまたはポリエステル基材でありうる。硬化するとポリマーを与える市販のエラストマーラテックスを用いることができる。有用な市販のエラストマーラテックスには、NEOREZ R−987、PERBUNAN X1171等が含まれる。
【0019】
本発明のポリマー繊維複合材料のいろいろな態様において用いられる繊維材料は、羊毛、綿、ジュート、レーヨン、ポリアミド、ポリエステルまたはアクリル系などの天然または合成材料でありうる。その繊維材料は、好ましくは、約1.0〜約2.0のデニールおよび約0.1mm〜約2.0mmの長さを有するべきである。本発明の繊維は、例えば、コットンフロックまたはレーヨンフロックの形でありうる。
【0020】
本発明のポリマー繊維複合材料のいろいろな態様において用いられるエラストマーは、アクリロニトリルブタジエン、ポリクロロプレン、ポリアクリル系、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ブチルゴム、ポリウレタン、スチレンブタジエン等から製造することができる。ポリウレタン類は、ポリエーテルまたはポリエステル基材でありうる。好ましくは、その材料は、ポリウレタンまたは合成ヒドロゲルのような高透湿性を有するものであるべきである。本発明のエラストマーは、自己架橋性でありうる、すなわち、それ自体で架橋することができる、または架橋性硬化剤で処理することができる。硬化するとエラストマーを与える市販のエラストマーラテックスを用いることができる。有用な市販のエラストマーラテックスには、NEOREZ R−987、PERBUNAN X1171等が含まれる。
【0021】
本発明の態様において、エラストマー性ポリマーおよびエラストマーは、同じでありうるしまたは異なることがありうる。ポリマーおよびエラストマーを含むエラストマー層は、硬化時に互いに結合することができるということが重要である。
【0022】
高密度ポリエチレン(「HDPE」)、ポリプロピレン、カルナバ、炭化水素またはポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)などの超微粉滑剤ロウは、特に、コーティングが発泡している場合、着用(donning)の容易さのために、ある程度の平滑性および減摩性を複合ライニングに与える。超微粉ロウは、本発明で用いられる水性フロック分散中の流動性を改善することができる。本発明のポリマー繊維複合材料のいろいろな態様において有用なロウは、天然または合成由来でありうる。合成ロウには、ポリマーワックスおよびコポリマーワックス、例えば、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、改変ポリエチレンワックス、高密度ポリエチレンワックス、酸化高密度ポリエチレンワックス、改変高密度ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリアミドワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス等が含まれる。有用な天然ロウには、例えば、カルナバロウ、微結晶性ロウ、パラフィンロウ等が含まれる。一つの有用な超微粉HDPEワックスは、Honeywell International, Specialty Wax and Additives, USA より入手可能なACUMIST D9である。
【0023】
非イオン性アセチレン系ジオールおよびエトキシル化アセチレン系ジオールなどの界面活性剤は、本発明のポリマー繊維複合材料のいろいろな態様において有用である。一つの有用な界面活性剤は、Air Products and Chemicals Inc., USA より入手可能なSURFYNOL465である。
【0024】
発泡剤および泡起剤は、本発明のポリマー繊維複合材料のいろいろな態様において有用である。有用な市販の発泡剤には、Pilot Chemical Company, USA より入手可能なCALSOFT L60および Bayer AG, Germany 製のEMUL VIN Wが含まれる。
【0025】
増粘剤、加硫剤または硬化剤などの添加剤は、本発明のポリマー繊維複合材料のいろいろな態様において用いることができる。例えば、トリエタノールアミンは、本発明の界面活性剤と一緒に用いることができる。一つの有用な増粘剤は、Rohm and Haas (UK) Ltd., United Kingdom より入手可能なACRYSOL G111である。PEG3350は、ICI Australia Operations Pty Ltd. より入手可能である。CELLOSIZEは、Union Carbide (Europe) S.A., Belgium より入手可能である。COMPOSITE A345は、Aquaspersion Ltd., United Kingdom より入手可能である。SCRIPSET550は、Monsanto Chemical Co., USA より入手可能である。WEBNIX FREESIL Nは、Crusader Chemical Co., USA より入手可能である。NIPACIDE TKは、Nipa Laboratories Ltd., Wales, United Kingdom より入手可能である。本発明の実施において、二酸化チタンおよび着色剤分散系などの顔料を用いることができ、TEGO4710は、Goldschmidt AG, Germany より入手可能である。一つの有用な加硫剤は、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(「ZDEC」)である。他の有用な市販添加剤には、アンモニア、ラウリル硫酸ナトリウム、ジベンジルスルホン酸ナトリウム、および安定化剤として用いることができる水酸化カリウム溶液が含まれる。
【0026】
ここで、ある種の態様を、次の実施例に更に記載する。百分率は、実施例中に水が記載されている場合の水溶液の全量に基づく、ある与えられた成分の乾燥重量である。
【実施例】
【0027】
実施例1
コットンフロックを、高速SILVERSONミキサーNo.L4R型を用いて水溶液中に分散させた。次のコットンフロック分散を調製した。
【0028】
【表1】

【0029】
コットンフロックは、篩分けした後、水および界面活性剤の混合物中に加えて、添加前にフロックの凝集がないことを確実にした。安定且つ均一な分散を達成した。
実施例2
コットンフロックを、実施例1と同様の水溶液中に分散させた。再度、安定且つ均一な分散を達成した。
【0030】
【表2】

【0031】
実施例3
コットンフロックを、実施例1と同様の水溶液中に分散させた。
【0032】
【表3】

【0033】
篩分け済みフロックの約50%の量が既に分散した後に、追加のフロック添加は、分散中のフロックを膨潤させ、そしてフロックの凝集および脱安定化を引き起こした。
実施例4
コットンフロックを、実施例1と同様の水溶液中に分散させた。
【0034】
【表4】

【0035】
フロックの凝集および脱安定化は、実施例3と同様に認められた。
実施例5
コットンフロックを、実施例2と同様の水溶液中に分散させた。超微粉高密度ポリエチレンワックスを加えた後、コットンフロックを加えた。
【0036】
【表5】

【0037】
安定な分散が得られ、普通の撹拌で凝集の徴候がなかった。
実施例6
コットンフロックを、実施例5と同様の水溶液中に分散させた。
【0038】
【表6】

【0039】
篩分け済みフロックを全て、普通の撹拌で混合して均一に分散させたが、凝集はなかった。安定なフロック分散が得られた。
実施例7
塩基材凝固剤を、次の順序で成分を水に加えることによって調製した。
【0040】
【表7】

【0041】
凝固剤混合物を、気泡が破壊されるまで撹拌した。
実施例8
次のカルボキシル化アクリロニトリルブタジエンラテックスを調製した。
【0042】
【表8】

【0043】
実施例9
セラミック製のテキスチャー加工(textured)手袋浸漬型を、60〜70℃に加熱後、40〜50℃に加熱された実施例7と同様の凝固剤浴中に浸漬した。浸漬型上の塩付着物を乾燥させた後、その浸漬型を、実施例8と同様のカルボキシル化アクリロニトリルブタジエンラテックス中に浸漬した。次に、浸漬型を、オーブン中に90℃で60秒間入れて、ラテックスゲルを完全に乾燥させた。次に、その浸漬型を、次の複合材料分散中に浸漬した。そのポリマー複合材料分散は、粘性に見えるし、フロックで飽和している。そのフロック分散を、ポリウレタンラテックスおよび少量の実施例8のアクリロニトリルブタジエンラテックスコンパウンドを撹拌しながら加えたことを除いて、実施例6と同様に調製した。
【0044】
【表9】

【0045】
均一コーティングを、エラストマーゲル上で達成し、80〜90℃で12秒間乾燥させた後、それを、熱水で40〜50℃において4分間浸出した。次に、手袋を120℃で40分間硬化させた。完成手袋を、後浸出後に湿潤剥離した。
【0046】
実施例10
フロック分散を実施例5にしたがって調製し、そして複合材料分散を下のように調製したことを除いて、実施例9の手順を繰り返した。
【0047】
【表10】

【0048】
1時間着用後の手袋は、依然として快適且つ乾燥していると感じる。
実施例11
実施例9の手順を、次の複合材料分散を用いて繰り返した。
【0049】
【表11】

【0050】
1時間着用後の手袋は、実施例10のものより乾燥していると感じる。
実施例12
実施例9の手順を、次の複合材料分散を用いて繰り返した。
【0051】
【表12】

【0052】
適用されたコーティングは、繊維状で且つ平滑であった。
実施例13
実施例9の手順を、次の複合材料分散を用いて繰り返した。
【0053】
【表13】

【0054】
適用されたコーティングは、繊維状で且つ平滑であった。
実施例14
実施例9の手順を、次の複合材料分散を用いて繰り返した。複合材料分散配合物を増粘させて、浸漬の際の付着量を増加させた。増粘剤は、他の成分が全て、既に分散した後に加えた。増粘した複合材料分散の粘度(Brookfield LVT型,スピンドル#1@60rpm)は、70cpsであった。
【0055】
【表14】

【0056】
手袋は、1時間着用した場合、実施例11のものより快適である。
実施例15
実施例14の手順を、次の複合材料分散を用いて繰り返した。
【0057】
【表15】

【0058】
この手袋は、1時間着用するのに快適であり、使用者の手は、この時間後に依然として乾燥していると感じる。しかしながら、被覆ラミネートは、実施例14のものよりあまり繊維状ではない。
【0059】
実施例16
エラストマーゲル層を、下のような標準的な典型的フォーム配合物中に浸漬後、ゲルの短時間の乾燥を40℃で5分間行ったことを除いて、実施例9の手順を繰り返した。次に、この工程の後、5%硝酸カルシウム凝固剤下塗浸漬、乾燥工程、そして最後に、実施例14および実施例15と同様の吻合材料分散中への浸漬を行った。
【0060】
【表16】

【0061】
上のラテックスを、水(142.5g)で稀釈し、機械的に泡立てて、元の容量より30%大きくし、そして浸漬に有効な粘度に調整した。手袋上の繊維被覆発泡ライニングは、着用するのに容易で且つきわめて快適であるので、より良い発汗吸収性のための連続気泡構造を有すると考えられた。
【0062】
実施例17
次の複合材料分散を調製した。
【0063】
【表17】

【0064】
上のラテックス複合材料分散配合物を、水で、35%の全固形分へと稀釈し、ケーキ用ミキサーで泡立てて、元の容量より約20%大きくし、そして浸漬のために1500〜2000cpsの範囲内の粘度に調整した。次に、エラストマーゲル層を、発泡複合材料混合物中に浸漬したことを除いて、実施例9の手順を繰り返した。第一エラストマーゲル層を発泡複合材料配合物中に浸漬した時に、均一フォームゲルが成形し、そのフォームを、室温で部分乾燥させた。フォーム被覆エラストマーゲルを、40〜50℃に加熱された温水中で浸出し、同時に、複合発泡ゲルの表面上のフォームバブルの薄層を洗浄除去するまたは除去する十分な撹拌を与えるために水流速度を維持した。連続気泡構造マトリックスを間に差し込まれた均一繊維構造は、浸漬型を浸出水から取り出した時に成形し、そして120℃で40分間硬化させると、微細多孔性フォーム複合ラミネートが手袋上に成形した。その手袋は、着用するのに快適であり、しかも手袋を1時間着用後も、依然として使用者の手を乾燥した状態にする。
【0065】
記載の発明は、いろいろな方法で変更することができる。したがって、ここで、このような変更を、請求の範囲に記載の発明の理論からの逸脱と考えなくてよいということは当業者に明らかなはずである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1は、本発明の一つの態様におけるエラストマー層に結合したポリマー複合繊維コーティングの斜視図の走査型電子顕微鏡写真である。
【図2】図2は、図1のエラストマー層に結合したポリマー複合繊維コーティングの側面図の走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】図3は、本発明の別の態様におけるエラストマー層に結合した発泡ポリマー複合繊維コーティングの側面図の走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】図4は、図3の態様の別の走査型電子顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラストマー製品であって、
第一層であって、天然または合成のポリマーを含む該第一層;および
該第一層に結合した第二層であって、ポリマー複合繊維コーティングを含む該第二層
を含み、該ポリマー複合繊維コーティングが、
少なくとも一つのエラストマーまたはエラストマーブレンド、
繊維または繊維ブレンド、
界面活性剤および
超微粉ロウ
を含むエラストマー製品。
【請求項2】
超微粉ロウが、合成ロウ、天然ロウおよびそれらの混合物から成る群より選択される、請求項1に記載のエラストマー製品。
【請求項3】
超微粉ロウが、カルナバロウ、微結晶性ロウ、パラフィンロウ、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、改変ポリエチレンワックス、高密度ポリエチレンワックス、酸化高密度ポリエチレンワックス、改変高密度ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリアミドワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックスおよびそれらの混合物から成る群より選択される、請求項1に記載のエラストマー製品。
【請求項4】
超微粉ロウが、高密度ポリエチレンワックスである、請求項1に記載のエラストマー製品。
【請求項5】
少なくとも一つのエラストマーまたはエラストマーブレンドが、天然ゴム、合成ポリイソプレン、スチレンブタジエン、カルボキシル化アクリロニトリルブタジエン、非カルボキシル化アクリロニトリルブタジエン、ポリクロロプレン、ポリウレタン、ポリエステル基材ポリウレタン、ポリエーテル基材ポリウレタン、ポリアクリル系、ブチルラテックスおよびそれらの混合物から成る群より選択される、請求項1に記載のエラストマー製品。
【請求項6】
繊維または繊維ブレンドが、合成繊維、天然繊維およびそれらの混合物から成る群より選択される、請求項1に記載のエラストマー製品。
【請求項7】
繊維または繊維ブレンドが、綿繊維、羊毛繊維、ジュート繊維、レーヨン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル系繊維およびそれらの混合物から成る群より選択される、請求項1に記載のエラストマー製品。
【請求項8】
繊維または繊維ブレンドが、約1.0〜約2.0のデニールおよび約0.1mm〜約2mmの長さを有する、請求項1に記載のエラストマー製品。
【請求項9】
超微粉ロウが、約3ミクロン〜約12ミクロンの粒度を有する、請求項1に記載のエラストマー製品。
【請求項10】
界面活性剤が、非イオン性である、請求項1に記載のエラストマー製品。
【請求項11】
界面活性剤が、エトキシル化アセチレン系ジオールである、請求項1に記載のエラストマー製品。
【請求項12】
ポリマー複合繊維コーティングが、トリエタノールアミンを更に含む、請求項11に記載のエラストマー製品。
【請求項13】
エラストマーが、自己架橋性である、請求項1に記載のエラストマー製品。
【請求項14】
ポリマー複合繊維コーティングが、硬化剤を更に含む、請求項1に記載のエラストマー製品。
【請求項15】
ポリマー複合繊維コーティングが、発泡剤を更に含む、請求項1に記載のエラストマー製品。
【請求項16】
ポリマー複合繊維コーティングが、発泡コーティングである、請求項1に記載のエラストマー製品。
【請求項17】
エラストマーが、硬化する前のポリマー複合繊維コーティングの全重量に基づいて約2%〜約85%の量で存在する、請求項1に記載のエラストマー製品。
【請求項18】
繊維が、硬化する前のポリマー複合繊維コーティングの全重量に基づいて約1%〜約12.5%の量で存在する、請求項1に記載のエラストマー製品。
【請求項19】
超微粉ロウが、硬化する前のポリマー複合繊維コーティングの全重量に基づいて約0.5%〜約2%の量で存在する、請求項1に記載のエラストマー製品。
【請求項20】
エラストマー製品であって、
第一層であって、天然または合成のポリマーを含む該第一層;および
第二層であって、
硬化する前の該第二層の全重量に基づいて約2%〜約85%の量のエラストマー、
硬化する前の該第二層の全重量に基づいて約2%〜約15%の量の繊維材料、および
硬化する前の該第二層の全重量に基づいて約0.5%〜約2%の量の超微粉ロウ
を含む該第二層
を含むエラストマー製品。
【請求項21】
第二層が発泡している、請求項20に記載のエラストマー製品。
【請求項22】
製品が手袋である、請求項1に記載のエラストマー製品。
【請求項23】
エラストマー製品であって、
第一層であって、天然または合成のポリマーを含む該第一層;
第二層であって、発泡した天然または合成のポリマーを含む該第二層;および
該第二層に結合した第三層であって、ポリマー複合繊維コーティングを含む該第三層
を含むエラストマー製品。
【請求項24】
ポリマー複合繊維コーティングが、少なくとも一つのエラストマーまたはエラストマーブレンド、繊維または繊維ブレンド、界面活性剤および超微粉ロウを含む、請求項23に記載のエラストマー製品。
【請求項25】
ポリマー複合繊維コーティングが発泡している、請求項24に記載のエラストマー製品。
【請求項26】
浸漬エラストマー製品を製造する方法であって、
(i)浸漬型を凝固剤塩浴中に浸漬被覆し;
(ii)該浸漬型を第一エラストマー中に浸漬被覆することにより、第一層を成形し;
(iii)該第一層を乾燥させ;
(iv)該浸漬型をポリマー複合繊維コーティング分散中に浸漬被覆することにより、該第一層の上に第二層を成形し;
(v)該第二層を乾燥させ;
(vi)該成形された層を浸出し;
(vii)該成形された層を加熱して、該第一エラストマーおよび該ポリマー複合繊維コーティングを硬化させ、そして該第一層を該第二層に結合させ;
(viii)該硬化した製品を後浸出し;そして
(ix)該硬化した製品を該浸漬型から湿潤剥離する
という工程を含む方法。
【請求項27】
ポリマー複合繊維コーティング分散が発泡している、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
工程(iv)の前に、第一層を凝固剤塩浴中に浸漬被覆する、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
工程(iv)の前に、第一層を第二発泡エラストマー中に浸漬被覆後、凝固剤塩浴中に浸漬被覆する、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
ポリマー複合繊維コーティング分散が発泡している、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
工程(vii)を、120℃〜160℃で行う、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
凝固剤塩が、硝酸カルシウムおよび塩化カルシウムから成る群より選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
(x)硬化した製品のオフライン塩素化
を更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
請求項26に記載の方法によって製造されるエラストマー製品。
【請求項35】
請求項26に記載の方法によって製造される手袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−514575(P2007−514575A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545308(P2006−545308)
【出願日】平成16年4月6日(2004.4.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/010499
【国際公開番号】WO2005/068186
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(598165943)アンセル・ヘルスケア・プロダクツ・エルエルシー (15)
【氏名又は名称原語表記】Ansell Healthcare Products LLC
【Fターム(参考)】