説明

消化管障害の治療のための1−[(4−[ベンゾイル(メチル)アミノ]−3−(フェニル)ブチル]アゼチジン誘導体1

本発明は、新規な式(I)(式中、R1、R2及びXは、明細書に記載の通りである)の化合物、並びにその塩及びエナンチオマーに関する。本発明はまた、前記化合物を含む医薬組成物、及び治療、例えば消化管障害の治療における前記化合物の使用にも関する。本発明はさらに、この化合物の調製方法に関する。この化合物は、ニューロキニン(NK)受容体アンタゴニストである。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、新規な式Iの化合物、上記化合物を含む医薬組成物、及び治療における上記化合物の使用に関する。本発明はさらに、式Iの化合物の調製方法に関する。
【0002】
[発明の背景]
タキキニンとしても知られているニューロキニンは、末梢及び中枢神経系に見出されるペプチド神経伝達物質の部類を含む。3種の主要なタキキニンは、サブスタンスP(SP)、ニューロキニンA(NKA)及びニューロキニンB(NKB)である。少なくとも3種の受容体タイプが、これら3種の主要なタキキニンについて知られている。アゴニストSP、NKA及びNKBを好むそれらの相対的選択性に基づいて、これら受容体は各々、ニューロキニン1(NK)、ニューロキニン2(NK)及びニューロキニン3(NK)受容体として分類される。
【0003】
例えば、呼吸器、心臓血管、神経、疼痛、腫瘍、炎症性及び/又は消化管障害の治療のための経口活性NK受容体アンタゴニストが必要である。このような治療の治療係数を高めるために、毒性がない又は最小であり、且つ上記NK受容体に選択的である化合物を得ることが望ましい。さらに、上記医薬が好ましい薬物動態及び代謝特性を有し、より低い肝臓酵素阻害特性などの改善された治療及び安全プロファイルを提供することが必要であると考えられる。
【0004】
特定の化合物は、ヒトの心臓の再分極に望ましくない作用をもたらす場合があることは周知であり、これは心電図(ECG)のQT間隔の延長として観察される。極端な場合、薬物が誘発するQT間隔のこの延長は、多形性心室頻拍(TdP;Vandenbergら、hERG K channels:friend and foe.Trends Pharmacol Sci 2001;22:240〜246)と称されるタイプの心不整脈に至り、最終的に心室細動及び突然死がもたらされる場合がある。この症候群の主要イベントは、これらの化合物による遅延整流性カリウム電流の速い成分(IKr)の阻害である。この化合物は、この電流を伝えるチャネルタンパク質の孔形成αサブユニットに結合する。孔形成αサブユニットは、ヒト遅延整流性カリウムイオンチャネル遺伝子(hERG)によってコードされる。IKrは心筋活動電位の再分極において重要な役割を果たしているので、それを阻害することによって再分極を遅延させ、これはQT間隔の延長として現れる。QT間隔延長それ自体は安全上懸念されないが、心臓血管への有害な作用の危険性を有し、少数のヒトにおいてTdP及び心室細動への悪化をもたらす可能性がある。
【0005】
特に、NK受容体アンタゴニストが、薬力学的及び薬物動態的特性の適切なバランスを有し、治療上有用であることが望ましい。NK受容体アンタゴニストは、十分で選択的な効力を有することに加えて、関連する薬物動態的性質に関してバランスがとれている必要がある。したがって、NKアンタゴニストが、a)異なるNK受容体における十分に高い親和性、b)薬物が、主に末梢部において標的とするNK受容体において作用することを可能にする薬物動態的性質(吸収、分布及び排出特性)(例えば、NK受容体アンタゴニストは、十分に高い代謝安定性を有する必要がある)、c)許容できる安全プロファイルを得るための、hERGがコードするカリウムチャネルなどの異なるイオンチャネルに対する十分に低い親和性、及びd)薬物間相互作用を防止するための低レベルの(CYP3A4などの)肝臓酵素阻害特性を有することが必要である。
【0006】
さらに、NK受容体アンタゴニストの有効性を高めるために、受容体において持続性のある競合的作用機序を有するNKアンタゴニストを有することが有益である。
【0007】
欧州特許第0625509号明細書、欧州特許第0630887号明細書、国際公開第95/05377号パンフレット、国際公開第95/12577号パンフレット、国際公開第95/15961号パンフレット、国際公開第96/24582号パンフレット、国際公開第00/02859号パンフレット、国際公開第00/20003号パンフレット、国際公開第00/20389号パンフレット、国際公開第00/25766号パンフレット、国際公開第00/34243号パンフレット、国際公開第02/51807号パンフレット及び国際公開第03/037889号パンフレットには、タキキニンアンタゴニストであるピペリジニルブチルアミド誘導体が開示されている。
【0008】
「4−Amino−2−(aryl)−butylbenzamides and Their Conformationally Constrained Analogues. Potent Antagonists of the Human Neurokinin−2(NK)Receptor」、Roderick MacKenzie,A.ら、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters(2003)、13、2211〜2215には、機能的NK受容体アンタゴニスト特性を有することが見出された化合物N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−(3−モルホリン−4−イルアゼチジン−1−イル)ブチル]−N−メチルベンズアミドが開示されている。
【0009】
国際公開第96/05193号パンフレット、国際公開第97/27185号パンフレット及び欧州特許第0962457号明細書には、タキキニンアンタゴニスト活性を有するアゼチジニルアルキルラクタム誘導体が開示されている。
【0010】
欧州特許第0790248号明細書には、タキキニンアンタゴニストであると述べられているアゼチジニルアルキルアザピペリドン及びアゼチジニルアルキルオキサピペリドンが開示されている。
【0011】
国際公開第99/01451号パンフレット及び国際公開第97/25322号パンフレットには、タキキニンアンタゴニストであると主張されているアゼチジニルアルキルピペリジン誘導体が開示されている。
【0012】
欧州特許第0791592号明細書には、タキキニンアンタゴニスト特性を有するアゼチジニルアルキルグルタルイミドが開示されている。
【0013】
国際公開第2004/110344(A2)号パンフレットには、NK1、2の二重アンタゴニスト及びその使用が開示されている。
【0014】
本発明の1つの目的は、治療に有用である新規なニューロキニンアンタゴニストを提供することであった。他の目的は、バランスのとれた薬物動態的及び薬力学的特性を有する新規な化合物を提供することであった。
【0015】
[発明の概要]
本発明は、一般式(I)の化合物、薬学的及び薬理学的に許容されるその塩、並びに、式Iの化合物のエナンチオマー及びその塩を提供する。
【化1】


(式中、
R1及びR2は、各々独立に、水素、メチル、エチルから選択され、又はR1及びR2は、アミド窒素と一緒になって4員、5員又は6員環を形成し、前記環は任意選択で酸素原子を含有し、
Xは、ブロモ又はクロロである)
【0016】
一実施形態では、R1及びR2は、アミド窒素と一緒になってモルホリン環を形成する。
【0017】
一実施形態では、R1及びR2は、アミド窒素と一緒になってアゼチジン環を形成する。
【0018】
一実施形態では、R1及びR2は、アミド窒素と一緒になってピロリジン環を形成する。
【0019】
一実施形態では、R1及びR2は、アミド窒素と一緒になってイソオキサゾリジン環を形成する。
【0020】
一実施形態では、R1及びR2は、アミド窒素と一緒になってオキサゾリジン環を形成する。
【0021】
本発明は、上記定義のような式Iの化合物、並びにその塩に関する。医薬組成物中に使用するための塩は、薬学的に許容される塩であろうが、他の塩は式Iの化合物の作製に有用な場合がある。
【0022】
本発明の化合物は、様々な無機酸及び有機酸と共に塩を形成することができ、このような塩もまた本発明の範囲内である。このような酸付加塩の例には、酢酸塩、アジピン酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、2−ヒドロキシエチルスルホン酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パルモ酸塩、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、キナ酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、スルファミン酸塩、スルファニル酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩(p−トルエンスルホン酸塩)、及びウンデカン酸塩が挙げられる。
【0023】
薬学的に許容される塩は、従来の方法で対応する酸から調製することができる。薬学的に許容されない塩は、中間体として有用である場合があり、これも本発明の他の態様である。
【0024】
酸付加塩は、高分子スルホン酸塩などの高分子塩の形態でもよい。
【0025】
塩は、その中で塩が難溶性である溶媒若しくは媒体中で又は水などの溶媒中(真空中で除去する)で、生成物の遊離塩基の形態と、1当量以上の適切な酸とを反応させることによって、或いは凍結乾燥によって、或いは適切なイオン交換樹脂上で既存の塩の陰イオンを他の陰イオンと交換することによるなどの従来の手段によって形成することができる。
【0026】
式Iの化合物は、1つのキラル中心を有し、本発明はすべての光学異性体及びエナンチオマーを包含することを理解すべきである。式(I)による化合物は、単一の立体異性体、即ち単一のエナンチオマー(R−エナンチオマー又はS−エナンチオマー)の形態の場合がある。式(I)による化合物はまた、ラセミ混合物、即ちエナンチオマーの等モル混合物の形態の場合がある。
【0027】
化合物は、配座異性体の混合物として存在することができる。本発明の化合物は、配座異性体の混合物及び個々の配座異性体の両方を含む。
【0028】
[製剤]
本発明の一態様では、呼吸器、心臓血管、神経、疼痛、腫瘍、炎症性及び/又は消化管障害の予防及び/又は治療において使用するための、単一のエナンチオマー、ラセミ体としての式Iの化合物、又は遊離塩基としてのこれらの混合物、又は薬学的に許容されるその塩を含む製剤を提供する。
【0029】
本発明の医薬組成物は、治療することが望ましい疾患状態について標準的方法、例えば、経口、局所、非経口、口腔、経鼻、膣又は直腸投与によって、或いは吸入又は吹送によって投与することができる。これらの目的のために、本発明の化合物は、当技術分野において公知の手段によって、例えば、錠剤、ペレット剤、カプセル剤、水溶液剤又は油性溶液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏、ゲル剤、スプレー式点鼻薬、坐薬、吸入のための微粉化した散剤又はエアロゾル又はネブライザー、及び(静脈内、筋内又は注入を含めた)非経口使用のための無菌の水溶液剤若しくは油性溶液剤又は懸濁剤、或いは無菌の乳剤の形態に製剤することができる。
【0030】
本発明の化合物に加えて、本発明の医薬組成物はまた、本明細書において示される1種又は複数の疾患状態の治療において価値のある1種若しくは複数の薬物を含有すること、又は(同時若しくは順次に)一緒に投与することができる。
【0031】
本発明の医薬組成物は通常、0.01〜25mg/kg体重の式Iの化合物の1日用量でヒトに投与される。或いは、0.1〜5mg/kg体重の式Iの化合物の1日用量で投与される。この1日用量は、必要に応じて分割用量で与えてもよく、投与する化合物の正確な量及び投与経路は、治療を受ける患者の体重、年齢及び性別、並びに当技術分野において公知の方式によって治療を受ける特定の疾患状態に依存する。
【0032】
典型的には、単位剤形は、約1mg〜500mgの本発明の化合物を含むであろう。例えば、経口投与用の錠剤又はカプセル剤は好都合には、250mgまで(典型的には、5〜100mg)の式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含有することができる。他の例では、吸入による投与のために、式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩は、単回用量又は2〜4回の1日用量に分割して、5〜100mgの範囲の1日投与量で投与することができる。さらなる例では、静脈内又は筋内の注射又は注入による投与のために、10%w/wまで(典型的には5%w/w)の式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含有する滅菌溶液又は懸濁剤を使用することができる。
【0033】
[医療用途及び製薬学的用途]
本発明は、NK受容体で作用するタキキニン拮抗作用が有益である疾患状態を治療又は予防する方法を提供し、これは、有効量の式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を対象に投与するステップを含む。本発明はまた、NK受容体で作用するタキキニン拮抗作用が有益である疾患状態において使用するための医薬の調製における式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩の使用も提供する。
【0034】
式(I)の化合物或いは薬学的に許容されるその塩又は溶媒和物は、呼吸器、心臓血管、神経、疼痛、腫瘍及び/又は消化管障害の予防又は治療において使用するための医薬の製造に使用することができる。
【0035】
このような障害の例は、喘息、アレルギー性鼻炎、肺疾患、咳、風邪、炎症、慢性閉塞性肺疾患、気道反応性、じんま疹、高血圧、慢性関節リウマチ、浮腫、血管新生、疼痛、片頭痛、緊張性頭痛、精神病、うつ病、不安、アルツハイマー病、統合失調症、ハンチントン舞踏病、膀胱運動亢進、尿失禁、摂食障害、躁うつ病、物質依存症、運動障害、認識力障害、肥満症、ストレス障害、排尿障害、躁病、軽躁病及び攻撃性、双極性障害、癌、癌腫、線維筋痛、非心臓性胸痛、胃腸運動亢進、胃喘息、クローン病、胃内容排出障害、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)、嘔吐、胃喘息、胃運動性障害、胃食道逆流症(GERD)又は機能性消化不良である。
【0036】
[調製方法]
他の態様では、本発明は、式(I)の化合物又はその塩を調製するための方法を提供し、この方法は、
a)式(II)の化合物を式(III)の化合物と反応させるステップ
【化2】


(式中、R1、R2及びXは、本明細書の上記に定義されている通りであり、反応条件は、式(II)の化合物の還元的アルキル化によって、式(II)の化合物のアゼチジン基の窒素原子と、式(III)の化合物のアルデヒド基の炭素原子との間のN−C結合が形成されるような条件である。)、
b)式(II)の化合物を式(IV)の化合物と反応させるステップ
【化3】


(式中、Xは、本明細書の上記に定義されている通りであり、Lは、式(II)の化合物のアルキル化によって、式(II)の化合物のアゼチジン基の窒素原子と、式(IV)の化合物のL基に隣接した炭素原子との間のN−C結合が形成されるような基である。)、
c)式(V)の化合物を式(VI)の化合物と反応させるステップ
【化4】


(式中、R1、R2及びXは、本明細書の上記に定義されている通りであり、L’は脱離基である。)、
又は、薬学的に許容される塩を任意選択で形成するステップとを含む。
【0037】
式(II)及び(III)の化合物は、還元的アルキル化条件下で反応する。反応は典型的には、極端ではない温度、例えば0〜10℃で、実質的に不活性な溶媒、例えばジクロロメタン中で行われる。典型的な還元剤には、シアノホウ水素化ナトリウムなどのホウ化水素が挙げられる。
【0038】
式(II)及び(IV)の化合物は、アルキル化条件下で反応する。典型的には式(IV)の化合物において、Lはハロゲン又はアルキルスルホニルオキシなどの脱離基である。反応は典型的には、温度を上げた状態、例えば30〜130℃で、実質的に不活性な溶媒、例えばDMF中で行われる。
【0039】
式(II)の化合物は、従来の方法で、例えば、式(VII)の化合物を、式(VIII)の化合物と反応させることによって、次いで例えば接触水素化反応により保護基(−CH(Ph))を除去することによって調製することができる。
【化5】


【化6】


(式中、R1及びR2は、本明細書の上記に定義されている通りであり、L”は、式(VII)の化合物のアルキル化によって、式(VII)の化合物のピペリジン基の窒素原子と、式(VII)の化合物のL”基に隣接した炭素原子との間のN−C結合が形成されるような基である。)
【0040】
式(III)の化合物は、例えば、従来のアシル化条件下で、式(IX)の化合物を式(VI)の化合物と反応させることによって調製することができる。
【化7】


(式中、R1は、本明細書の上記に定義されている通りである。)
【0041】
式(IV)の化合物は、例えば、従来のアシル化条件下で、式(VI)の化合物を式(X)の化合物と反応させることによって調製することができる。
【化8】


(式中、Lは、本明細書の上記に定義されている通りである。)
【0042】
式(V)及び(VI)の化合物は、従来のアシル化条件下で反応させることができ、ここで、
【化9】


は、酸又は活性化酸誘導体である。このような活性化酸誘導体は、文献において周知である。それらは、酸からin situで形成することができ、又はそれらを調製し、単離し、その後反応させることができる。典型的には、L’はクロロであり、したがって酸塩化物を形成する。典型的には、アシル化反応は、ジクロロメタンなどの実質的に不活性な溶媒中で、非求核塩基、例えばN,N−ジイソプロピルエチルアミンの存在下で極端ではない温度で行われる。
【0043】
式(VII)及び(VIII)の化合物は公知であり、又は従来の方法で調製することができる。
【実施例】
【0044】
本発明の化合物は、ほとんどの場合、配座異性体の存在によって非常に複雑なNMRスペクトルを示すことを強調すべきである。これは、アミド及び/又はアリール結合を中心とした遅い回転の結果であると考えられている。化合物のNMRデータの説明において下記の略語を使用する。s−単重線;d−2重線;t−3重線;qt−4重線;qn−5重線;m−多重線;b−広範;cm−幅の広いピークを含む場合もある複雑な多重線。
【0045】
下記の実施例は、本発明を説明するが、限定するものではない。
【0046】
下記の略語を実験において使用する。DIPEA(N,N−ジイソプロピルエチルアミン)、TBTU(N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウムテトラフルオロボラート)、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、THF(テトラヒドロフラン)及びRT(室温)。
【0047】
実施例1
N−[(2S)−4−{3−[4{アゼチジン−1−イルカルボニル)ピペリジン−1−イル]アゼチジン−1−イル}2−(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−ブロモ−N−メチル−5−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
【化10】


3−ブロモ−N−[(2S)−2−(4−フルオロフェニル)−4−オキソブチル]−N−メチル−5−(トリフルオロメチル)ベンズアミド(方法1を参照されたい;0.16g、0.36mmol)及び1−アゼチジン−3−イル−4−(アゼチジン−1−イルカルボニル)ピペリジン(方法2を参照されたい;0.10g、0.47mmol)を、少量の乾燥メタノール(0.2mL)と共に塩化メチレン(10mL)に溶解した。このようにして得た溶液に、DIPEA(0.14g、1.08mmol)及びトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(0.15g、0.72mmol)を加えた。混合物を、窒素下でRTにて4時間攪拌した。混合物を塩化メチレンで希釈し、飽和水性NaHCOで2度、次いでブラインで洗浄した。有機相を相分離器で濾過し、溶媒を蒸発によって除去した。生成物を、シリカゲル(メタノール−塩化メチレン、10:1)上でクロマトグラフィーによって精製した。0.14g(59%)の表題化合物を白色の泡として得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 1.4〜1.8(cm,6H)、2.1(m,1H)2.2(qn,2H)、2.3〜2.4(cm,2H)、2.5〜3.5(cm,14H)、3.6(d,1H)、3.9(t,2H)、4.1(t,2H)、6.8〜7.4(cm,6H)、7.7(s,1H);LCMS:m/z 654(M+1)
【0048】
実施例2
1−{1−[(3S)−4−[[3−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)ベンゾイル](メチル)アミノ]−3−(4−フルオロフェニル)ブチル]アゼチジン−3−イル}N,N−ジメチルピペリジン−4−カルボキサミドジホルマート
【化11】


3−ブロモ−N−[(2S)−2−(4−フルオロフェニル)−4−オキソブチル]−N−メチル−5−(トリフルオロメチル)ベンズアミド(方法1を参照されたい;0.178g、0.40mmol)、1−アゼチジン−3−イル−N,N−ジメチルピペリジン−4−カルボキサミド(方法3を参照されたい;0.084g、0.40mmol)、酢酸(0.3mL)、(ポリスチリルメチル)トリメチルアンモニウムシアノボロヒドリド(0.098g、0.52mmol)及びメタノールの混合物を、RTで6時間攪拌した。樹脂を濾過し、メタノールで洗浄した。濾液の溶媒を蒸発によって除去し、生成物を、アセトニトリル及びギ酸アンモニウム/ギ酸水溶液(0.1MのNHCOH、0.1MのHCOH、pH4)を溶離液として使用して逆相クロマトグラフィー(C8)によって精製した。0.23g(77%)の表題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDOD):δ 1.6〜2.0(cm,6H)、2.6〜4.2(cm,24H)、7.0〜8.0(cm,6H)、8.4(s,1H);LCMS:m/z 642(M+1)
【0049】
実施例3
1−{1−[(3S)−4−[[3−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)ベンゾイル](メチル)アミノ]−3−(4−フルオロフェニル)ブチル]アゼチジン−3−イル}ピペリジン−4−カルボキサミド
【化12】


3−ブロモ−N−[(2S)−2−(4−フルオロフェニル)−4−オキソブチル]−N−メチル−5−(トリフルオロメチル)ベンズアミド(方法1を参照されたい;1.00g、2.24mmol)及び1−アゼチジン−3−イルピペリジン−4−カルボキサミド(方法4を参照されたい;0.49g、2.69mmol)及びトリエチルアミン(1.24mL、9.0mmol)を、メタノール(5mL)と共に塩化メチレン(30mL)に溶解した。このようにして得た溶液に、シアノホウ水素化ナトリウム(0.21g、3.36mmol)を加え、混合物をRTで20分間攪拌した。溶媒を蒸発によって除去し、残渣を、塩化メチレン及び飽和水性NaHCOに分配した。有機相を相分離器で濾過し、溶媒を蒸発によって除去した。生成物を、シリカゲル(アンモニア飽和メタノール/塩化メチレン、1〜20%メタノール)上でクロマトグラフィーによって精製した。0.24g(17%)の表題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 1.4〜3.8(cm,23H)、5.7(b,1H)、5.8(b,1H)、6.8〜7.4(cm,6H)、7.7(s,1H);LCMS:m/z 614(M+1)
【0050】
実施例3a
存在する固形に関するさらなる情報を得るため、懸濁結晶化を異なる溶媒中で室温にて行った。約2週間後に、固形をXRPDで検査した。メタノール、エタノール、i−プロパノール、アセトン及びクロロホルム中で懸濁させた試料は、XRPDにおいて非常に類似したパターンを示し、それは最初の試料のパターンと異なる。結晶化度は、新しい形態については著しく良好である。エチルメチルケトンに懸濁させた材料は、完全に特有のパターンを示す。i−プロパノールに懸濁させた試料で行った高温ステージXRPDは、X線粉末パターンが120℃超で変化することを示す。この新しいパターンもまた、最初の試料のパターンと異なる。
【0051】
1−{1−[(3S)−4−[[3−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)ベンゾイル](メチル)アミノ]−3−(4−フルオロフェニル)ブチル]アゼチジン−3−イル}ピペリジン−4−カルボキサミドのマレイン酸塩
1−{1−[(3S)−4−[[3−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)ベンゾイル](メチル)アミノ]−3−(4−フルオロフェニル)ブチル]アゼチジン−3−イル}ピペリジン−4−カルボキサミド(2.0g、3.26mmol)を、熱いアセトン(20mL)に溶解した。マレイン酸(0.74g、6.4mmol)を、熱いメタノール(4mL)に溶解し、次いでこの溶液を最初の溶液に加えた。合わせた溶液を室温で一晩放置したが、有用な沈殿物は単離できなかった。混合物を、メタノールで希釈し、溶媒を蒸発によって除去した。残渣をトルエン(17mL)と2−プロパノール(50mL)との混合物に加えた。メタノール(20mL)を加え、混合物を澄明な溶液が得られるまで加熱した。溶液を室温に冷却し、次いで冷凍庫内で一晩保存した。白色の沈殿物が濾過によって単離され、次いで減圧下で48時間乾燥した。2.4gの表題化合物を白色粉末として得た。生成物のH NMR分析によって、試料が、1−{1−[(3S)−4−[[3−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)ベンゾイル](メチル)アミノ]−3−(4−フルオロフェニル)ブチル]アゼチジン−3−イル}ピペリジン−4−カルボキサミド1モル当たり約1.5〜2molのマレイン酸からなることを示す。H NMR(500MHz,DO):δ 1.2(d,1.6H)、1.8〜2.2(cm,5.8H)、2.6〜2.7(m,1H)、2.7(s,1H)、2.8〜3.2(cm,5.1H)、3.2〜3.3(m,1H)、3.3〜3.5(cm,2.3H)、3.5〜3.8(m,1.4H)、3.9〜4.1(m,0.6H)、4.2〜4.7(cm,4.6H)、6.3(s,2.9H)、6.9〜7.3(m,4.2H)、7.4(m,1H)、8.0(s,0.6H)。
【0052】
1−{1−[(3S)−4−[[3−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)ベンゾイル](メチル)アミノ]−3−(4−フルオロフェニル)ブチル]アゼチジン−3−イル}ピペリジン−4−カルボキサミドのマレイン酸塩を、実質的に下記のd値を有する主要ピークを示すX線粉末回折パターンを提供することにおいて特徴付ける(d値:結晶格子における連続した平行のhkl面の間の間隔)。
【0053】
【表1】

【0054】
Bragg式及び強度から計算したd値によって同定されるピークは、1−{1−[(3S)−4−[[3−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)ベンゾイル](メチル)アミノ]−3−(4−フルオロフェニル)ブチル]アゼチジン−3−イル)ピペリジン−4−カルボキサミドマレアートのディフラクトグラムから得た。相対強度は信頼性がより少なく、数値の代わりに下記の定義を使用する。
【0055】
【表2】

【0056】
最初の形態はまた、水、n−ヘプタン、アセトニトリル、イソオクタン、THF及びメチルイソブチルケトン中で室温にて懸濁させた後に得られた。
【0057】
スラリー化後の1−{1−[(3S)−4−[[3−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)ベンゾイル](メチル)アミノ]−3−(4−フルオロフェニル)ブチル]アゼチジン−3−イル}ピペリジン−4−カルボキサミドのマレイン酸塩の形態
メタノール、エタノール、i−プロパノール、アセトン及びクロロホルム中で懸濁させた試料は、XRPDにおいて最初の試料とは異なる非常に類似したパターンを示す。この形態を、実質的に下記のd値を有する主要ピークを示すX線粉末回折パターンを提供することにおいて特徴付ける(d値:結晶格子における連続した平行のhkl面の間の間隔)。
【0058】
【表3】

【0059】
Bragg式及び強度から計算したd値によって同定されるピークは、1−{1−[(3S)−4−[[3−ブロモ−5−(トリフルオロメチルメチル)ベンゾイル](メチル)アミノ]−3−(4−フルオロフェニル)ブチル]アゼチジン−3−イル}ピペリジン−4−カルボキサミドマレアートの得られた形態のディフラクトグラムから得た。相対強度は信頼性がより少なく、数値の代わりに下記の定義を使用する。
【0060】
【表4】

【0061】
高温ステージXRPD後の1−{1−[(3S)−4−[[3−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)ベンゾイル](メチル)アミノ]−3−(4−フルオロフェニル)ブチル]アゼチジン−3−イル)ピペリジン−4−カルボキサミドマレアートの形態
i−プロパノール中で懸濁させた試料で行ったXRPDは、X線粉末パターンが120℃超で変化することを示す。新しいパターンもまた、最初の試料のパターンとは異なる。
【0062】
この形態を、実質的に下記のd値を有する主要ピークを示すX線粉末回折パターンを提供することにおいて特徴付ける(d値:結晶格子における連続した平行のhkl面の間の間隔)。
【0063】
【表5】

【0064】
Bragg式及び強度から計算したd値によって同定されるピークは、高温ステージXRPD後の1−{1−[(3S)−4−[[3−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)ベンゾイル](メチル)アミノ]−3−(4−フルオロフェニル)ブチル]アゼチジン−3−イル}ピペリジン−4−カルボキサミドマレアートの得られた形態のディフラクトグラムから得た。相対強度は信頼性がより少なく、数値の代わりに下記の定義を使用する。
【0065】
【表6】

【0066】
メチルエチルケトン中での懸濁後の1−{1−[(3S)−4−[[3−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)ベンゾイル](メチル)アミノ]−3−(4−フルオロフェニル)ブチル]アゼチジン−3−イル}ピペリジン−4−カルボキサミドマレアートの形態
1−{1−[(3S)−4−[[3−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)ベンゾイル](メチル)アミノ]−3−(4−フルオロフェニル)ブチル]アゼチジン−3−イル}ピペリジン−4−カルボキサミドのさらなる形態を、メチルエチルケトン中での懸濁後に得た。この形態を、実質的に下記のd値を有する主要ピークを示すX線粉末回折パターンを提供することにおいて特徴付ける(d値:結晶格子における連続した平行のhkl面の間の間隔)。
【0067】
【表7】

【0068】
Bragg式及び強度から計算したd値によって同定されるピークは、メチルエチルケトン中での懸濁後の1−{1−[(3S)−4−[[3−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)ベンゾイル](メチル)アミノ]−3−(4−フルオロフェニル)ブチル]アゼチジン−3−イル]ピペリジン−4−カルボキサミドマレアートの得られた形態のディフラクトグラムから得た。相対強度は信頼性がより少なく、数値の代わりに下記の定義を使用する。
【0069】
【表8】

【0070】
X線粉末回折法(XRPD)
VÅNTEC−1位置敏感検出器(PSD)を備えたBragg−Brentano型の形態のD8Advance回折計(Bruxer AXS GmbH、Karlsruhe、Germany)でXRPD実験を行った。ニッケルフィルターを通したCu Kα線を使用した。試料約10mgを、ゼロバックグラウンドホルダー(シリコン結晶)上に置いた。1〜50°2θの範囲で、0.017°のステップサイズ及び0.5秒のステップ時間の連続走査モードを使用してデータを収集した。3.47°幅の検出窓に対応する可変(V20)発散スリット及び12mmの検出スリットを適用した。
【0071】
高温ステージXRPDを、Ansyco温度調節器に接続した付随するMRIチャンバー(Bruxer AXS GmbH、Karlsruhe、Germany)を伴う同様の設定を使用して上記の機器で行った。
【0072】
実施例4
3−ブロモ−N−((2S)−2−(4−フルオロフェニル)−4−{3−[4(モルホリン−4−イルカルボニル)ピペリジン−1−イル]アゼチジン−1−イル}ブチル)−N−メチル−5−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
【化13】


3−ブロモ−N−[(2S)−2−(4−フルオロフェニル)−4−オキソブチル]−N−メチル−5−(トリフルオロメチル)ベンズアミド(方法1を参照されたい;0.14g、0.31mmol)及び4−[(1−アゼチジン−3−イルピペリジン−4−イル)カルボニル]モルホリン(方法5を参照されたい;0.11g、0.42mmol)を、乾燥メタノール(0.2mL)と共に塩化メチレン(10mL)に溶解した。このようにして得た溶液に、DIPEA(0.12g、0.94mmol)及びトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(0.13g、0.63mmol)を加えた。混合物を窒素下で4時間RTにて攪拌した。混合物を塩化メチレンで希釈し、飽和水性NaHCOで2度、次いでブラインで洗浄した。有機相を相分離器で濾過し、溶媒を蒸発によって除去した。生成物を、シリカゲル(メタノール−塩化メチレン、10:1)上でクロマトグラフィーによって精製した。0.11g(53%)の表題化合物を白色の泡として得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 1.4〜3.8(cm,32H)、6.8〜7.4(cm,6H)、7.7(s,1H);LCMS:m/z 684(M+1)
【0073】
[出発物質の調製]
上記の実施例のための出発物質は、市販であるか、又は標準的方法によって公知の材料から容易に調製される。例えば、下記の反応は、出発物質のいくつかの例示であるが、限定するものではない。
【0074】
方法1
3−ブロモ−N−[(2S)2−(4−フルオロフェニル)−4−オキソブチル]−N−メチル−5−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
【化14】

【0075】
(a)3−ブロモ−N−[(2S)−2−(4−フルオロフェニル)ペント−4−エン−1−イル]−N−メチル−5−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
[(2S)−2−(4−フルオロフェニル)ペント−4−エン−1−イル]メチルアミン(Bioorg.Med.Chem.Lett;2001;265〜270を参照されたい;0.54g、2.8mmol)及び3−ブロモ−5−トリフルオロメチル安息香酸(0.81g、3.0mmol)のDMF(7mL)溶液に、TBTU(0.96g、3.0mmol)及びDIPEA(1.41g、10.9mmol)を加えた。反応混合物を、窒素下で一晩RTにて攪拌し、次いで酢酸エチル及びNaHCO水溶液に分配した。水相を酢酸エチルで2度抽出した。合わせた有機溶液を水で2度洗浄し、次いで相分離カラムで乾燥した。溶媒を蒸発によって除去し、生成物を、シリカゲル(酢酸エチル−ヘプタン、10%〜17%)上でクロマトグラフィーによって精製した。0.86g(68%)の3−ブロモ−N−[(2S)−2−(4−フルオロフェニル)ペント−4−エン−1−イル]−N−メチル−5−(トリフルオロメチル)ベンズアミドを得た。H NMR(500MHz,CDCl):2.1〜3.8(cm,8H)、4.9〜5.1(m,2H)、5.5〜5.8(m,1H)、6.8〜7.4(cm,6H)、7.8(s,1H)。LCMS:m/z 445(M+1)
【0076】
(b)3−ブロモ−N−[(2S)−2−(4−フルオロフェニル)−4−オキソブチル]−N−メチル−5−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
3−ブロモ−N−[(2S)−2−(4−フルオロフェニル)ペント−4−エン−1−イル]−N−メチル−5−(トリフルオロメチル)ベンズアミド(0.86g、1.9mmol)のアセトン(45mL)溶液に、OsO(t−ブチルアルコール中2.5%、0.49ml、0.039mmol)及び4−メチルモルヒネ−4−オキシド(0.41g、3.5mmol)を加えた。溶液を窒素下でRTにて一晩攪拌し、次いでNaHSOの水溶液(39%、45mL)を加えた。混合物を2時間攪拌し、水で希釈し、次いで塩化メチレンで2度抽出した。合わせた有機溶液を相分離カラムによって分離し、溶媒を蒸発によって除去した。残渣(1.08g)をTHF(18mL)及び水(4.5mL)に溶解し、このようにして得た溶液に、NaIO(0.73g、3.4mmol)を加えた。混合物を窒素下で一晩RTにて攪拌した。混合物を塩化メチレン及び水に分配した。水相を塩化メチレンで抽出し、次いで合わせた有機溶液をブラインで洗浄し、相分離カラムで分離した。溶媒を蒸発によって除去した。0.78g(90%)の表題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDCl):2.4〜4.4(cm,8H)、6.2〜8.2(cm,7H)、9.8(s,1H);LCMS:m/z 447(M+1)
【0077】
方法2
1−アゼチジン−3−イル−4−(アゼチジン−1−イルカルボニル)ピペリジン
【化15】

【0078】
(a)tert−ブチル4−(アゼチジン−1−イルカルボニル)ピペリジン−1−カルボキシレート
1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−4−カルボン酸(0.40g、1.75mmol)を乾燥DMF(5mL)に溶解し、溶液にDIPEA(1.22mL、7.0mmol)、TBTU(0.67g、2.1mmol)及びアゼチジン(0.12g、2.1mmol)を加えた。反応混合物をRTにて12時間攪拌した。混合物を塩化メチレンで希釈し、次いでHClの水溶液(2M)で、次いでNaHCO3(飽和)の水溶液で洗浄した。相を相分離カラムによって分離し、溶媒を蒸発によって除去した。0.50g(100%)のtert−ブチル4−(アゼチジン−1−イルカルボニル)ピペリジン−1−カルボキシレートを粗製固体として得た。H NMR(500MHz,CDCl):1.4〜1.5(s,9H)、1.6〜1.9(m,5H)、2.2〜2.4(m,3H)、2.6〜2.8(m,2H)、3.9〜4.2(m,5H)。
【0079】
(b)4−(アゼチジン−1−イルカルボニル)ピペリジン
tert−ブチル4−(アゼチジン−1−イルカルボニル)ピペリジン−1−カルボキシレート(0.50g、1.86mmol)を、塩化メチレン(10mL)に溶解し、溶液にトリフルオロ酢酸(2.12g、18.6mmol)を加えた。混合物をRTにて一晩攪拌し、次いで溶媒を蒸発によって除去した。残渣を少量のメタノール及びTHFに溶解し、次いで溶液を、陽イオン交換収着剤(Isolute(登録商標)SCX−2;10g)に入れた。カラムをTHFで洗浄し、次いで生成物をアンモニア飽和メタノールで溶出した。溶媒を蒸発によって除去した。0.32g(100%)の4−(アゼチジン−1−イルカルボニル)ピペリジンを得た。H NMR(500MHz,CDCl):1.4〜4.5(m,4H)、2.0〜2.2(m,3H)、2.4〜2.5(m,2H)、2.9〜3.0(d,2H)、3.7〜3.8(t,2H)、3.9(s,1H)、4.0(t,2H)。
【0080】
(c)4−(アゼチジン−1−イルカルボニル)−1−[1−(ジフェニルメチル)アゼチジン−3−イル]ピペリジン
4−(アゼチジン−1−イルカルボニル)ピペリジン(0.34g、2.0mmol)及び1−(ジフェニルメチル)アゼチジン−3−オン(Bioorg.Med.Chem.Lett;13;2003;2191〜2194を参照されたい、0.37g、1.6mmol)、メタノール(5mL)及び酢酸(0.1mL)の混合物に、(ポリスチリルメチル)トリメチルアンモニウムシアノボロヒドリド(4.1mmol/g、0.61g)を加えた。反応混合物を、マイクロ波シングルノード加熱を使用して120℃で10分間加熱し、次いで相分離器で濾過した。溶媒を蒸発によって除去し、生成物を、シリカゲル(メタノール−塩化メチレン、5:95)上でクロマトグラフィーによって精製した。0.42g(70%)の4−(アゼチジン−1−イルカルボニル)−1−[1−(ジフェニルメチル)アゼチジン−3−イル]ピペリジンを無色の泡として得た。H NMR(500MHz,CDCl):1.6〜1.7(m,2H)、1.7〜1.8(m,4H)、2.0〜2.1(m,1H)、2.2(qn,2H)、2.7〜2.8(m,2H)、2.8〜3.0(m,3H)、3.4(t,2H)、4.0(t,2H)、4.1(t,2H)、4.4(s,1H)、7.1〜7.2(t,2H)、7.2〜7.3(t,4H)、7.4(d,4H);LCMS:m/z 390(M+1)
【0081】
(d)1−アゼチジン−3−イル−4−(アゼチジン−1−イルカルボニル)ピペリジン
4−(アゼチジン−1−イルカルボニル)−1−[1−(ジフェニルメチル)アゼチジン−3−イル]ピペリジン(0.42g、1.1mmol)をエタノールに溶解し、このようにして得た溶液に、水酸化パラジウムオンカーボン(0.15g)及びギ酸アンモニウム(0.28g、4.4mmol)を加えた。反応混合物を、マイクロ波シングルノード加熱を使用して120℃で4分間加熱した。触媒を相分離器で濾過し、濾過ケーキをエタノールで洗浄した。溶媒を蒸発によって除去し、残渣をメタノール(1mL)及びTHF(10mL)に溶解した。溶液を、陽イオン交換収着剤(Isolute(登録商標)SCX−2;10g)に入れた。カラムをTHFで洗浄し、次いで生成物をアンモニア飽和メタノールで溶出した。溶媒を蒸発によって除去し、0.25gの表題化合物を無色の油として得た。H NMR(500MHz,CDOD):2.0〜2.2(m,4H)、2.3〜2.4(m,2H)、2.6〜2.8(m,3H)、3.2〜3.3(d,2H)、3.8(qn,1H)、4.3(t,2H)、4.4(m,2H)、4.5(m,2H)、4.6(t,2H);LCMS:m/z 224(M+1)
【0082】
方法3
1−アゼチジン−3−イル−N,N−ジメチルピペリジン−4−カルボキサミド
【化16】

【0083】
(a)1−1−(ジフェニルメチル)アゼチジン−3−イル]ピペリジン−4−カルボン酸
ピペリジン−4−カルボン酸(0.13g、1.0mmol)及び1−(ジフェニルメチル)アゼチジン−3−オン(Bioorg.Med.Chem.Lett.;13;2003;2191〜2194を参照されたい、0.24g、1.0mmol)、メタノール(3mL)及び酢酸(0.3mL)の混合物に、(ポリスチリルメチル)トリメチルアンモニウムシアノボロヒドリド(4.1mmol/g、0.25g)を加えた。反応混合物を、マイクロ波シングルノード加熱を使用して120℃で5分間加熱した。メタノールを加え、次いで樹脂を濾過した。溶媒を蒸発によって除去した。0.35g(100%)の1−[1−(ジフェニルメチル)アゼチジン−3−イル]ピペリジン−4−カルボン酸を得た。H NMR(500MHz,CDCl):1.6〜1.8(m,2H)、1.9〜2.0(m,4H)、2.3〜2.4(m,1H)、2.7〜2.8(m,2H)、2.9〜3.0(m,3H)、3.4(t,2H)、4.4(s,1H)、7.2(t,2H)、7.2〜7.3(t,4H)、7.4(d,4H);LCMS:m/z 351(M+1)
【0084】
(b)1−[1−(ジフェニルメチル)アゼチジン−3−イル]−N,N−ジメチルピペリジン−4−カルボキサミド
1−[1−(ジフェニルメチル)アゼチジン−3−イル]ピペリジン−4−カルボン酸(0.35g、0.9mmol)を、DMF(8mL)に溶解し、溶液に、TBTU(0.39g、1.2mmol)、DIPEA(0.21mL、1.2mmol)及びジメチルアミンの溶液(3.0mL、THF中2M、6mmol)を加えた。混合物をRTにて14時間攪拌した。NaHCOの水溶液を加え、混合物を塩化メチレンで3度抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥した。溶媒を蒸発によって除去し、生成物を、アセトニトリル及び酢酸アンモニウム水溶液(0.1M)を溶離液として使用することによって逆相クロマトグラフィー(C8)によって精製した。0.20g(59%)の1−[1−(ジフェニルメチル)アゼチジン−3−イル]−N,N−ジメチルピペリジン−4−カルボキサミドを得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 1.6〜2.0(cm,6H)、2.4〜2.5(m,1H)、2.8(m,2H)、2.9〜3.0(m,5H)、3.1(s,3H)、3.4(t,2H)、4.4(s,1H)、7.2(t,2H)、7.3(t,4H)、7.4(d,4H);LCMS:m/z 378(M+1)
【0085】
(c)1−アゼチジン−3−イル−N,N−ジメチルピペリジン−4−カルボキサミド
水酸化パラジウムオンカーボン(0.10g)を、マイクロ波合成用の5mLバイアル中に入れた。1−[1−(ジフェニルメチル)アゼチジン−3−イル]−N,N−ジメチルピペリジン−4−カルボキサミド(0.20g、0.53mmol)を、メタノール(3mL)に溶解し、酢酸(0.3mL)を加えた。混合物を水素下(1.6バール)、RTにて4日間攪拌した。混合物をCelite(登録商標)プラグで濾過した。溶媒を蒸発によって除去し、0.11g(53%)の表題化合物を得た。
【0086】
方法4
1−アゼチジン−3−イルピペリジン−4−カルボキサミド
【化17】

【0087】
(a)1[1−(ジフェニルメチル)アゼチジン−3−イル]ピペリジン−4−カルボキサミド
ピペリジン−4−カルボキサミド(1.05g、8.2mmol)、1−(ジフェニルメチル)アゼチジン−3−オン(Bioorg.Med.Chem.Lett.;13;2003;2191〜2194を参照されたい、1.94g、8.2mmol)、メタノール(30mL)及び酢酸(3mL)の混合物に、(ポリスチリルメチル)トリメチルアンモニウムシアノボロヒドリド(4.1mmol/g、1.9g)を加えた。反応混合物を、マイクロ波シングルノード加熱を使用して120℃で5分間加熱した。樹脂を濾過し、溶媒を蒸発によって除去した。2.85g(99%)の1−[1−(ジフェニルメチル)アゼチジン−3−イル]ピペリジン−4カルボキサミドを得た。H NMR(500MHz,CDCl):1.6〜1.9(m,6H)、2.1〜2.2(m,1H)、2.7〜2.8(d,2H)、2.9〜3.0(m,3H)、3.4(t,2H)、4.4(s,1H)、5.7〜5.8(b,1H)、6.2(b,1H)、7.2(t,2H)、7.2〜7.3(t,4H)、7.4(d,4H);LCMS:m/z 350(M+1)
【0088】
(b)1−アゼチジン−3−イルピペリジン−4−カルボキサミドジヒドロクロリド
1−[1−(ジフェニルメチル)アゼチジン−3−イル]ピペリジン−4−カルボキサミド(1.4g、4.1mmol)、ギ酸アンモニウム(0.77g、12mmol)及びエタノール(15mL)を、マイクロ波合成用の25mLバイアルに充填した。水酸化パラジウムオンカーボン(0.55g)を加え、反応混合物を、マイクロ波シングルノード加熱を使用して120℃で2分間加熱した。出発物質を依然として含有している混合物を濾過し、濾液に、酢酸及びエタノールの混合物(1:10)と共に水酸化パラジウムオンカーボンの他の部分を加えた。反応混合物を水素下(5バール)、RTにて4時間攪拌し、次いでCelite(登録商標)プラグで濾過した。溶媒を蒸発によって除去し、残渣をトルエン及び希釈した塩酸に分配した。水相を凍結乾燥し、次いで粘着性の残渣をトルエンと共に蒸発させて、水に再溶解し、次いで冷凍乾燥した。1.35g(65%)の表題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDOD):δ 1.6〜2.0(cm,6H)、2.2〜2.3(m,1H)、2.8(m,2H)、3.4(m,1H)、3.9〜4.1(m,4H)。
【0089】
方法5
4−[(1−アゼチジン−3−イルピペリジン−4−イル)カルボニル]モルホリン
【化18】

【0090】
(a)4−({1−[1−(ジフェニルメチル)アゼチジン−3−イル]ピペリジン−4−イル)カルボニル)モルホリン
4−(ピペリジン−4−イルカルボニル)モルホリン(0.30g、1.26mmol)及び1−(ジフェニルメチル)アゼチジン−3−オン(Bioorg.Med.Chem.Lett.;13;2003;2191〜2194を参照されたい、0.30g、1.5mmol)を、メタノール(5mL)及び酢酸(0.1mL)の混合物に溶解した。(ポリスチリルメチル)トリメチルアンモニウムシアノボロヒドリド(4.1mmol/g、0.38g)を加え、反応混合物を、マイクロ波シングルノード加熱を使用して120℃で10分間加熱した。混合物を相分離器で濾過し、樹脂をメタノールで洗浄した。溶媒を蒸発によって除去し、残渣を塩化メチレンに溶解した。溶液をNaHCOの飽和溶液で2度洗浄した。有機相を相分離器で濾過し、溶媒を蒸発によって除去した。生成物を、シリカゲル(メタノール/塩化メチレン、5%メタノール)上でクロマトグラフィーによって精製した。0.44g(83%)の4−({1−[1−(ジフェニルメチル)アゼチジン−3−イル]ピペリジン−4−イル}カルボニル)モルホリンを無色の油として得た。H NMR(500MHz,CDCl):1.6〜1.7(m,2H)、1.7〜1.9(m,4H)、2.2(m,1H)、2.7〜2.8(m,2H)、2.8〜3.0(m,4H)、3.3〜3.5(m,3H)、3.5〜3.7(m,6H)、4.4(s,1H)、7.1〜72(t,2H)、7.2〜7.3(t,4H)、7.4(d,4H);LCMS:m/z 420(M+1)
【0091】
(b)4−[(1−アゼチジン−3−イルピペリジン−4−イル)カルボニル]モルホリン
4−({1−[1−ジフェニルメチル)アゼチジン−3−イル]ピペリジン−4−イル}カルボニル)モルホリン(0.44g、1.0mmol)を、エタノールに溶解し、このようにして得た溶液に、水酸化パラジウムオンカーボン(0.15g)及びギ酸アンモニウム(0.27g、4.2mmol)を加えた。反応混合物を、マイクロ波シングルノード加熱を使用して120℃で2分間加熱した。触媒を相分離器によって濾過し、濾過ケーキをエタノールで洗浄した。溶媒を蒸発によって除去し、残渣をメタノール(1mL)及びTHF(10mL)に溶解した。溶液を、陽イオン交換収着剤(Isolute(登録商標)SCX−2;10g)に入れた。カラムをTHFで洗浄し、次いで生成物をアンモニア飽和メタノールで溶出した。回収した画分の溶媒を蒸発によって除去し、0.11gの表題化合物を無色の油として得た。H NMR(500MHz,CDOD):1.7〜1.8(m,4H)、1.9〜2.0(m,2H)、2.6〜2.9(m,4H)、3.3〜3.4(m,1H)、3.5〜3.7(m,8H)、3.8〜4.0(m,3H);LCMS:m/z 254(M+1)
【0092】
[薬理学]
(FLIPR及び結合アッセイに使用する細胞のトランスフェクション及び培養)
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)K1細胞(ATCCから得た)を、ヒトNK受容体(pRc/CMV中のhNKR cDNA、Invitrogen)又はヒトNK受容体(pcDNA3.1/Hygro(+)/IRES/CD8中のhNKR、AstraZeneca EST−Bio UK、Alderley Parkで修飾されたInvitrogenベクター)で安定的にトランスフェクトした。細胞をカチオン性脂質試薬LIPOFECTAMINE(登録商標)(Invitrogen)を用いてトランスフェクトし、hNKRをトランスフェクトされた細胞については1mg/1mlのジェネテシン(G418、Invitrogen)で、hNKRをトランスフェクトされた細胞については500μg/mlのハイグロマイシン(Invitrogen)で選別を行った。蛍光活性化細胞選別機(FACS)を用いて単細胞クローンを回収し、FLIPRアッセイ(下記を参照されたい)において機能性を試験し、培養液中で増殖し、将来使用するため凍結保存した。ヒトNK受容体を安定的にトランスフェクトされたCHO細胞は、AstraZeneca R&D、Wilmington USAから得る。(肺組織からのRNA−PCRから得た)ヒトNK受容体cDNAを、pRcCMV(Invitrogen)にサブクローニングした。リン酸カルシウム及び1mg/mlのG418による選択によってトランスフェクションを行った。
【0093】
hNKR、hNKR及びhNKRを安定的にトランスフェクトされたCHO細胞を、加湿したインキュベーター中でGlutamax I、10%ウシ胎児血清(FBS)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(PEST)を含有するNut Mix F12(HAM)(hNKR及びhNKR発現細胞のために200μg/mlジェネテシン、並びにhNKR発現細胞のために500μg/mlハイグロマイシンを添加)中で5%CO下培養した。T175フラスコ中で細胞を増殖させ、20〜25継代まで70〜80%コンフルエントに常法に従い継代した。
【0094】
(ヒトNK/NK/NK受容体活性化を阻害する選択された試験化合物の活性の評価(FLIPRアッセイ))
NK/NK/NK受容体介在性の細胞内Ca2+増加として測定されるNK/NK/NK受容体活性化を阻害する本発明の化合物の活性を、下記の手順によって評価した。
【0095】
ヒトNK、NK又はNK受容体を安定的にトランスフェクトされたCHO細胞を、ブラックウォール/クリアボトム96ウェルプレート(Costar3904)中に3.5×10細胞/ウェルで播き、37℃のCOインキュベーター中で通常の増殖培地中で約24時間増殖させた。
【0096】
FLIPRアッセイの前に、各96ウェルプレートの細胞に、37℃のCOインキュベーター中暗くした状態で1時間、Glutamax I、22mMのHEPES、2.5mMのプロベニシド(Sigma P−8761)及び0.04%プルロニックF−127(Sigma P−2443)を有するNut Mix F12(HAM)からなる充填培地中で、Ca2+感受性色素Fluo−3(TEFLABS0116)4μMを充填した。次いで、マルチチャネルピペットを使用して、アッセイ緩衝液(20mMのHEPES、2.5mMのプロベニシド及び0.1%BSAを含有するHanks平衡塩類溶液(HBSS))中で細胞を3度洗浄し、最後の洗浄の終わりに150μlとした。アッセイ緩衝液中の試験化合物の段階希釈(最終的DMSO濃度は1%未満に保つ)を、FLIPR(蛍光イメージングプレートリーダー)によって各試験ウェルに自動的にピペットで移し、2分間のプレインキュベーション期間にFLIPR CCDカメラによって蛍光強度を記録した(励起488nm及び蛍光530nm)。次いで、サブスタンスP(NK特異的)、NKA(NK特異的)、又はPro−7−NKB(NK特異的)アゴニスト溶液(おおよそEC60濃度と同等の最終濃度)50μ1を、FLIPRによってアッセイ緩衝液(試験化合物又はビヒクルを含有する)200μlをすでに含有する各ウェルに加え、蛍光をさらに2分間連続してモニターした。アゴニスト添加の後にピーク相対蛍光として反応を測定し、各化合物について10時点での濃度反応曲線からIC50を計算した。次いで、IC50を、下記の式によってpK値に変換した。
Kb=IC50/1+(アッセイ中で使用するアゴニストのEC60濃度/EC50アゴニスト)
pK=−log K
【0097】
(ヒトNK/NK/NK受容体について化合物の解離定数(Ki)の決定(結合アッセイ))
膜は、下記の方法によってヒトNK、NK又はNK受容体を安定的にトランスフェクトされたCHO細胞から調製した。
【0098】
細胞をAccutase(登録商標)溶液で剥離させ、5%FBSを含有するPBS中で遠心分離によって収集し、PBSで2度洗浄し、Tris−HCl50mM、KCl300mM、EDTA−N10mM(pH7.4)(4℃)中に1×10細胞/mlの濃度まで再懸濁させた。細胞懸濁液をUltraTurraxでホモジナイズした(30秒、12,000rpm)。ホモジネートを、38,000×gで遠心分離し(4℃)、ペレットをTris−HCl50mM(pH7.4)中で再懸濁した。1度ホモジナイズを繰り返し、ホモジネートを氷上で45分間インキュベートした。ホモジネートを再び上記のように遠心分離し、Tris−HCl50mM(pH7.4)中で再懸濁させた。この遠心分離ステップを全部で3度繰り返した。最後の遠心分離ステップの後に、ペレットをTris−HCl50mM中で再懸濁させ、Dual Potterでホモジナイズし、均一溶液となるまで10ストロークし、一定分量をタンパク質決定のために取り出した。膜を分注し、使用するまで−80℃で冷凍した。
【0099】
放射性リガンド結合アッセイを、96ウェルのマイクロタイタープレート(非結合表面プレート、Corning3600)中で、インキュベーション緩衝液(0.1%BSA、40mg/Lバシトラシン、EDTA完全非含有プロテアーゼ阻害剤カクテル錠剤20丸剤/L(Roche)及び3mMのMnCl)を含有する50mMのトリス緩衝液(pH7.4、RT))中で室温にて行う(200μl/ウェルの最終的なアッセイ容量)。逓増する量の試験化合物を加えることによって競合的結合曲線を作製した。試験化合物を溶解し、DMSOに連続希釈した(アッセイ中に最終的DMSO濃度1.5%)。非特異的結合を測定するために非標識ZD6021(非選択的NK−アンタゴニスト、10μMの最終濃度)50μlを加えた。全結合については、インキュベーション緩衝液中の1.5%DMSO(最終濃度)50μlを使用した。hNKrについての結合実験において、[H−Sar,Met(O)−サブスタンスP](4nMの最終濃度)を使用した。hNKrについては[H−SR48968](3nMの最終濃度)、及びhNKrについての結合実験では[H−SR142801](3nMの最終濃度)であった。放射性リガンド50μl、DMSOで希釈した試験化合物3μl、及びインキュベーション緩衝液47μlを、インキュベーション緩衝液100μl中で細胞膜5〜10μgと混合し、マイクロプレートシェーカーで室温にて30分間インキュベートした。
【0100】
次いで、膜を急速濾過によってFiltermat B(Wallac)上に回収し、Micro96Harvester(Skatron Instruments、Norway)を使用して0.1%BSA及び0.3%ポリエチレンイミン(Sigma P−3143)中に予浸した。ハーベスターによって氷冷の洗浄緩衝液(50mMのTris−HCl、pH7.4、4℃、3mMのMnClを含有)でフィルターを洗浄し、50℃で30〜60分間乾燥した。Meltilexシンチレーターシートを、Microsealer(Wallac、Finland)を使用してフィルター上で融解し、フィルターをβ−液体シンチレーションカウンター(1450Microbeta、Wallac、Finland)中で計数した。
【0101】
Cheng−Prusoff式(BioChem.Pharmacol.22:3099〜3108、1973)を使用して非標識リガンドのK値を計算した。式中、Lは、使用した放射性リガンドの濃度であり、Kは、飽和結合によって決定される受容体についての放射性リガンドの親和性である。
Excel Fitを使用して、データを4パラメータの式に当てはめた。
=IC50/(1+(L/K))
【0102】
(結果)
一般に、試験を行った本発明の化合物は、NK受容体においてpKについて7〜8の範囲の統計的に有意なアンタゴニスト活性を示した。NK受容体では、pKについてのその範囲は7〜9であった。一般に、NK受容体でのアンタゴニスト活性は、pKについて7〜9であった。
【0103】
一般に、試験を行った本発明の化合物は、低レベルで統計的に有意なCYP3A4阻害を示した。Bapiroら;Drug Metab.Dispos.29、30〜35(2001)によって試験したIC50値は、一般に10μM超であった。
【0104】
(hERGに対する活性)
hERGがコードするカリウムチャネルに対する式Iによる化合物の活性は、Kiss Lら、Assay Drug Dev Technol.1(2003)、127〜35:「High throughput ion−channel pharmacology:planar−array−based voltage clamp」によって決定することができる。
【0105】
一般に、試験を行った本発明の化合物は、低レベルで統計的に有意なhERG活性を示した。上記のように試験したIC50値は、一般に8μM超であった。
【0106】
(代謝安定性)
式Iによる化合物の代謝安定性を、下記で説明するように決定することができる。
【0107】
生体内変化率は、親化合物の代謝物形成又は消失率として測定することができる。実験計画は、低濃度の基質(通常1.0μM)の肝ミクロソーム(通常0.5mg/ml)とのインキュベーション、及び様々な時点(通常0分、5分、10分、15分、20分、30分、40分)での一定分量の取り出しを伴う。試験化合物を通常DMSOに溶解する。インキュベーション混合物中のDMSO濃度は、通常0.1%以下であり、これはより多い溶媒は、いくつかのCYP450の活性を大幅に減少させる場合があるためである。インキュベーションは、100mMのリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)中で37℃にて行う。アセトニトリル又はメタノールを使用して反応を停止する。親化合物をHPLC−MSによって分析する。計算した半減期t1/2から、固有クリアランス(Clint)を、ミクロソームタンパク質濃度及び肝臓の重量を考慮することによって推定する。
【0108】
一般に、本発明の化合物は、in vitroの代謝安定性を高いレベルで有した。上記のように試験した固有クリアランス値は、25μl/分/mgタンパク質より一般に低かった。
【0109】
下記の表は、本発明の化合物の特性を例示する。
【0110】
【表9】

【0111】
[生物学的評価]
(スナネズミの足のタップ(NK特異的試験モデル))
雄スナネズミ(60〜80g)をCharles River、Germanyから購入する。到着後、温度及び湿度を制御した収容室内に10匹の群で収容し、飼料及び水は自由に与える。動物を実験前に少なくとも7日間収容条件に順応させる。各動物は一度のみ使用し、実験後直ちに心臓穿刺又は致死量のペントバルビタールナトリウムによって安楽死させる。
【0112】
スナネズミをイソフルランで麻酔する。可能性があるCNS透過性NK1受容体アンタゴニストを、腹腔内、静脈内又は皮下に投与する。化合物を、アゴニストによる刺激の(典型的には30〜120分)前に様々な時点で投与する。
【0113】
イソフルオランを使用してスナネズミを軽く麻酔し、ブレグマ上の皮膚を少し切開する。10pmolのASMSP、選択的NK1受容体アゴニストを、4mmの針を有するハミルトンシリンジを使用して脳室内投与する(5μlの量)。傷を閉じ、動物を小さいプラスチックケージに入れ、目覚めさせておく。ケージを1本の水を満たしたプラスチックチューブ上に置き、圧力トランスデューサーを介してコンピュータに接続する。後足のタップ数を記録する。
【0114】
(色素涙モデル(NK1特異的試験モデル))
いわゆる色素涙モデルを使用して、スナネズミにおいてin vivoで末梢のNK1受容体でのアンタゴニスト活性を評価することができる(Bristow LJ、Young L.Chromodacryorrhea and repetitive hind paw tapping:models of peripheral and central tachykinin NK1 receptor activation in gerbils.Eur J Pharmacol 1994;253:245〜252)。簡単に言えば、麻酔されたスナネズミへのNK1受容体アゴニストの全身(静脈内)投与は、ハーダー腺からのポルフィリン分泌による目からの赤/茶色の涙の豊富な分泌をもたらす。NK1受容体アンタゴニストは、NK1−アゴニストが引き起こす色素涙を遮断する。
【0115】
(糞便ペレット排出(NK2特異的試験モデル))
例えばThe Journal of pharmacology and Experimental Therapeutics(2001)、559〜564頁に記載されているように、式Iの化合物のin vivo活性(NK2)を、スナネズミを使用してNK2受容体アゴニストが誘発する糞便ペレット排出を測定することによって決定することができる。
【0116】
(結腸直腸膨張モデル)
ラット及びマウスにおいて従前記載した通り、わずかに修正してスナネズミで結腸直腸膨張(CRD)を行う(Tammpere A、Brusberg M、Axenborg J、Hirsch I、Larsson H、Lindstrom E.Evaluation of pseudo−affective responses to noxious colorectal distension in rats by manometric recordings.Pain 2005;116:220〜226;Arvidsson S、Larsson M、Larsson H、Lindstrom E、Martinez V.Assessment of visceral pain−related pseudo−affective responses to colorectal distension in mice by intracolonic manometric recordings.J Pain 2006;7:108〜118)。簡単に言えば、実験前にスナネズミをBollmannケージに3日連続で1日30〜60分間慣らし、拘束ストレスによるモーションアーチファクトを減少させた。軽いイソフルラン麻酔(Forene(登録商標)、Abbott Scandinavia AB、Solna、Sweden)の間に、接続カテーテルを有する2cmポリエチレンバルーン(自家製)を、バルーンの底から2cmを肛門へ遠位結腸に挿入する。カテーテルをテープで尾に固定する。バルーンを圧力トランスデューサー(P−602、CFM−k33、100mmHg、Bronkhorst HI−TEC、Veenendal、The Netherlands)に接続する。スナネズミをBollmannケージ内で実験の開始前少なくとも15分間鎮静状態から回復させる。
【0117】
カスタマイズされたバロスタット(AstraZeneca、Molndal、Sweden)を使用して、空気圧膨張及びバルーン圧力制御を管理する。標準的コンピュータ上で作動するカスタマイズされたコンピュータソフトウェア(PharmLab on−line4.0)を使用し、バロスタットを制御し、データ収集を行う。使用する膨張パラダイムは、5分間隔で30秒パルス幅の12回の繰り返される80mmHgの一過性膨張からなる。化合物又はそれらの各々のビヒクルを、CRDパラダイムの前に腹腔内(i.p.)注射として投与する。各々のスナネズミは、実験の間に少なくとも2日を開けて異なる時点でビヒクル及び化合物の両方を与えられる。したがって、各スナネズミは、それ自身のビヒクル対照の役割を果たす。
【0118】
アナログ入力チャネルを、個々の抽出率でサンプリングし、シグナルにデジタルフィルタリングを行う。バルーン圧力シグナルを、50試料/sでサンプリングする。1Hzの高域フィルターを使用して、収縮によってもたらされる圧力変化とバロスタットによって生じる徐々に変動する圧力とを区別する。圧力発生装置及び圧力トランスデューサーの間の空気流の抵抗は、動物の腹部収縮によって引き起こされる圧力変動をさらに増大する。カスタマイズされたコンピュータソフトウェア(PharmLab on−line4.0)を使用して、高域フィルター処理したバルーン圧力シグナルの大きさを定量化する。高域フィルター処理したバルーン圧力シグナルの平均整流値(ARV)を、パルス前(即ち、ベースライン反応)及びパルス中に30秒間計算する。高域フィルター処理したバルーン圧力シグナルの大きさを計算する場合、各パルスの最初及び最後の秒を、これらが膨張及び収縮の間にバロスタットによって生じたアーチファクトシグナルを反映し、動物によって生じたものではないために除外する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、薬学的及び薬理学的に許容されるその塩、並びに、式(I)の化合物のエナンチオマー及びその塩。
【化1】


(式中、
R1及びR2は、各々独立に、水素、メチル基又はエチル基を示し、R1及びR2はアミド窒素と一緒になって4員、5員若しくは6員環を形成しても良く、前記環は酸素原子を任意選択で含有しても良い。
Xは、ブロモ又はクロロである。)
【請求項2】
R1が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1がメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R1がエチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R2が水素である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
R2がメチルである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
R2がエチルである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
R1及びR2が、アミド窒素と一緒になってモルホリン環を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
R1及びR2が、アミド窒素と一緒になってアゼチジン環を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
R1及びR2が、アミド窒素と一緒になってピロリジン環を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
R1及びR2が、アミド窒素と一緒になってイソオキサゾリジン環を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
R1及びR2が、アミド窒素と一緒になってオキサゾリジン環を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
(S)−エナンチオマーである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
1−{1−[(3S)−4−[[3−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)ベンゾイル}(メチル)アミノ)−3−(4−フルオロフェニル)ブチル]アゼチジン−3−イル}ピペリジン−4−カルボキサミドマレアートである、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
実質的に下記のd値で主要ピークを示すX線粉末回折パターンを提供することを特徴とする、請求項14に記載の化合物。
【表1】

【請求項16】
イソプロパノール溶媒和物である、請求項14に記載の化合物。
【請求項17】
実質的に下記のd値で主要ピークを示すX線粉末回折パターンを提供することを特徴とする、請求項16に記載の化合物。
【表2】

【請求項18】
実質的に下記のd値で主要ピークを示すX線粉末回折パターンを提供することを特徴とする、請求項14に記載の化合物。
【表3】

【請求項19】
メチルエチルケトン溶媒和物である、請求項14に記載の化合物。
【請求項20】
実質的に下記のd値で主要ピークを示すX線粉末回折パターンを提供することを特徴とする、請求項19に記載の化合物。
【表4】

【請求項21】
N−[(2S)−4−{3−[4−(アゼチジン−1−イルカルボニル)ピペリジン−1−イル]アゼチジン−1−イル}−2−(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−ブロモ−N−メチル−5−(トリフルオロメチル)ベンズアミド;
1−{1−[(3S)−4−[[3−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)ベンゾイル](メチル)アミノ]−3−(4−フルオロフェニル)ブチル]アゼチジン−3−イル}−N,N−ジメチルピペリジン−4−カルボキサミド;
1−{1−[(3S)−4−[[3−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)ベンゾイル](メチル)アミノ]−3−(4−フルオロフェニル)ブチル]アゼチジン−3−イル}ピペリジン−4−カルボキサミド;及び
3−ブロモ−N−((2S)−2−(4−フルオロフェニル)−4−{3−[4−(モルホリン−4−イルカルボニル)ピペリジン−1−イル]アゼチジン−1−イル}ブチル)−N−メチル−5−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
治療に使用するための、請求項1〜21のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項23】
機能性消化管障害の治療用医薬の製造のための、請求項1〜21のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項24】
IBSの治療用医薬の製造のための、請求項1〜21のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項25】
機能性消化不良の治療用医薬の製造のための、請求項1〜21のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項26】
活性成分として請求項1〜21のいずれか一項に記載の化合物と、薬学的に許容される担体又は希釈剤とを含む製剤。
【請求項27】
1−アゼチジン−3−イル−4−(アゼチジン−1−イルカルボニル)ピペリジン;
tert−ブチル4−(アゼチジン−1−イルカルボニル)ピペリジン−1−カルボキシレート;
4−(アゼチジン−1−イルカルボニル)ピペリジン;
4−(アゼチジン−1−イルカルボニル)−1−[1−(ジフェニルメチル)アゼチジン−3−イル]ピペリジン;
1−アゼチジン−3−イル−4−(アゼチジン−1−イルカルボニル)ピペリジン;
1−アゼチジン−3−イル−N,N−ジメチルピペリジン−4−カルボキサミド;
1−[1−(ジフェニルメチル)アゼチジン−3−イル]ピペリジン−4−カルボン酸;
1−[1−(ジフェニルメチル)アゼチジン−3−イル]−N,N−ジメチルピペリジン−4−カルボキサミド;
1−アゼチジン−3−イル−N,N−ジメチルピペリジン−4−カルボキサミド;
1−アゼチジン−3−イルピペリジン−4−カルボキサミド;
1−[1−(ジフェニルメチル)アゼチジン−3−イル]ピペリジン−4−カルボキサミド;
1−アゼチジン−3−イルピペリジン−4−カルボキサミドジヒドロクロリド;
4−[(1−アゼチジン−3−イルピペリジン−4−イル)カルボニル]モルホリン;
4−({1−[1−(ジフェニルメチル)アゼチジン−3−イル]ピペリジン−4−イル}カルボニル)モルホリン;及び
4−[(1−アゼチジン−3−イルピペリジン−4−イル)カルボニル]モルホリン
から選択される化合物。


【公表番号】特表2009−537516(P2009−537516A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510922(P2009−510922)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【国際出願番号】PCT/SE2007/000482
【国際公開番号】WO2007/136324
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(508338887)アルビレオ アーベー (2)
【Fターム(参考)】