説明

消毒薬系および消毒方法

本発明は、消毒薬溶液を生成するために用いることができる消毒薬系および方法に対して作成するものである。系は第1の液体組成物および第2の液体組成物を含むことができる。第1の液体組成物は、0.0005重量ppmから100000重量ppmの遷移金属または合金およびアルコールを含み、第2の液体組成物は水およびペルオキシゲン化合物を含む。第1および第2の液体組成物は、組み合わさって生成物である消毒薬溶液が得られるように調合される。消毒薬溶液を用いて、様々な表面および液体組成物も消毒することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、様々な表面および溶液の消毒において消費者の使用に適する消毒薬の系および方法に対して作成するものである。この系は、使用に簡便、容易、かつ安全である。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
硬質表面の消毒薬などの消毒薬は、家庭用および専門の設定の両方において広く用いられている。一般に用いられている硬質表面クリーナーの一例は、Lysol(登録商標)消毒薬である。Lysol(登録商標)は多くの適用に有効であるが、Lysol(登録商標)は、市販されているグルタルアルデヒド水溶液ほど、細菌の内生胞子のレベルを低減するのに有効ではない。グルタルアルデヒド水溶液は消毒薬として広く用いられており、特に医薬および歯科の設定において1重量%および2重量%の溶液で一般に入手可能である。グルタルアルデヒド溶液は、高圧滅菌など他の滅菌方法によって損傷を受けやすい、より繊細な医薬/歯科の器具に典型的に用いられている。しかし、グルタルアルデヒドは、強力な刺激薬であり、呼吸器の感作物質でもある。実際、煙霧により個体が感作され、それにより呼吸器の問題、頭痛、嗜眠、皮膚の変色などがもたらされているという報告がある。グルタルアルデヒドの煙霧に関連するこれらの問題があるので、空気の質をしばしばモニターしなければならず、好適な空気の換気装置がなければならない。結果として、グルタルアルデヒド溶液は比較的有効な消毒薬であるが、さらにより有効な細菌死滅レベルを示すことができ、同時に消毒薬を用いる個体に対してより安全である組成物を提供するのが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(発明の要旨)
消毒薬溶液を簡便かつ容易に調製するための系を提供することが望ましいと認められている。これに従って、二液消毒薬系および方法を提供する。二液消毒薬系は、第1の液体組成物および第2の液体組成物を含む。第1の液体組成物は、0.0005重量ppmから100000重量ppmの遷移金属または合金およびアルコールを含むことができ、第2の液体組成物は、水およびペルオキシゲン化合物を含むことができる。第1および第2の液体組成物は、組み合わされて消毒薬溶液が得られるように調合することができる。
【0004】
別の一実施形態では、表面を消毒する方法は、消毒薬組成物を形成するために、第1の液体組成物と第2の液体組成物を混合することを含むことができる。第1の液体組成物は、0.0005重量ppmから100000重量ppmの遷移金属または合金およびアルコールを含むことができ、第2の液体組成物は、水およびペルオキシゲン化合物を含むことができる。この方法は、生成物である消毒薬を表面と接触させることにより、表面を消毒することをさらに含む。接触は、生成物である消毒薬が形成された後に起こってよく、または両方の部分が表面と接触した後に形成してもよい。
【0005】
別の実施形態では、表面において消毒し、残留による死滅をもたらす方法は、表面を、0.005重量ppmから50000重量ppmの遷移金属または合金、アルコール、ペルオキシゲン化合物、および水を含む消毒薬溶液と接触させることを含むことができる。次いで、乾燥後、消毒薬溶液の残留成分が表面上に残存し、表面と引き続き接触している細菌、ウイルス、または真菌の生物体の残留による死滅をもたらす。
【0006】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の、例示によって本発明の特徴を説明する、発明を実施するための最良の形態から明らかになる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
次に、実施形態を例示するために参照を設け、本明細書において特定の用語を用いて同一物を記載する。それでも、それによって本発明の範囲を限定しようとするものではないことが理解されよう。本明細書に例示する本発明の特徴の変更およびさらなる改変、ならびに本明細書に例示する本発明の原理のさらなる適用は、当業者および本開示の所有を有する者に生じ、本発明の範囲内とみなすべきである。本明細書で用いる述語は、特定の実施形態だけを記載する目的で用いることも理解されたい。用語は、そのように特定されなければ、限定的であることを意図するものではない。
【0008】
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、内容が他のものを明らかに指示しなければ、複数の対象物を含むことに留意すべきである。
【0009】
本発明の組成物に関して用いる場合の「食品グレード」の語は、一般に安全と認められているレベルを超えて消費されたときに、哺乳動物に対して有害または毒性であるとみなされる成分を実質的に含まない組成物を意味する。
【0010】
一般的に、殺菌剤、滅菌剤、および消毒薬は同じ目的に対して、すなわち細菌および/またはウイルスなどを死滅させるために用いられ、滅菌組成物は消毒薬に比べて大きい死滅レベルを示し、消毒薬は、ひいては殺菌剤よりも良好な死滅レベルを有する。これはつまり、ほとんどの適用は、殺菌剤または消毒薬レベルの細菌/ウイルスの低減を必要とするにすぎないが、他の適用は滅菌剤の使用の恩恵をかなり受けるということである。便宜上、本開示においては「消毒薬」の語を一般的に用い、文脈が他の方法で指示しなければ「消毒薬」は、殺菌剤、消毒薬、および滅菌剤を含む。
【0011】
「溶液」の語は、また、本明細書を通して、本発明の消毒薬組成物を記述するために用いられる。しかし、これら「溶液」は、コロイド状の遷移金属を含むことができるので、これら組成物は、分散液または懸濁液としても記載することができる。連続相は典型的には溶液であり、遷移金属はイオンおよび/またはコロイドの形態で存在することができるので、便宜上、これら組成物は、本明細書では典型的に「溶液」と呼ばれる。さらに、消毒薬溶液を「生成物である消毒薬溶液」と呼ぶことがある。これは、消毒薬溶液が、本明細書に記載する二液系の混合の生成物であることを明らかに規定するためである。これはつまり、「消毒薬溶液」および「生成物である消毒薬溶液」の語は、本明細書では交換可能に用いられ得るということである。
【0012】
本発明の消毒薬組成物に関して「実質的に含まない」の語を用いる場合、特定の化合物または組成物が完全に非存在である、または殆んど完全に非存在であることを意味する。例えば、組成物が実質的にアルデヒドを含まないと言う場合、組成物にアルデヒドがない、または組成物にわずかに痕跡量のアルデヒドがある、のいずれかである。
【0013】
「ペルオキシゲン」の語は、二原子酸素(O−O)結合を含むあらゆる化合物を意味する。二原子酸素結合、特に2価のO−O結合は、容易に切断でき、それによってそれを含む化合物が強力な酸化剤として作用するのを可能にしている。ペルオキシゲン化合物のクラスの非限定的な例には、過酸、過酸塩、および過酸化水素などの過酸化物が含まれる。
【0014】
「合金」の語に言及する場合、個々のコロイドまたは金属の粒子が、多数の金属の複合物の形態におけることができ、または合金は別々の粒子としての多数の金属の共分散も含むことができる。
【0015】
「アルコゾル(alcosol)」の語は、アルコールおよびコロイド状の金属(例えば、コロイド銀)の溶液を意味する、技術の語である。いくつかのアルコゾルは、アルコールおよびコロイド状の金属の他にいくらかの量の水を含むことがある。同様に、「ヒドロゾル」の語は、水およびコロイド状の金属(例えば、コロイド銀)の溶液を意味する技術の語である。
【0016】
本発明の系に言及する場合の「二液」の語は、2液だけを有する系に限定されない。例えば、系は濃縮物であってよく、したがって、実際には三液系、例えば、第1液が遷移金属およびアルコールを含み、第2液がペルオキシゲンおよび水を含み、第1液、第2液および/または生成物である消毒薬溶液を希釈するための希釈用の溶媒の第3液であってよい)。希釈用の溶媒の非限定的な例には、水、アルコール、またはそれらの組合せが含まれる。希釈用の溶媒がアルコールである場合は、系の第1「液」に存在するのと同じアルコールまたはアルコールの混合物と同じであることができるが同じである必要はない。したがって、「二液」は、本明細書では状況が他の方法で指示をしなければ、少なくとも2液を意味すると、とりわけ定義される。
【0017】
濃度、寸法、量、および他の数値データは、本明細書では範囲の書式で示されることがある。このような範囲の書式は、単に便宜上および簡潔さのために用いられるものであり、範囲の限度として明確に列挙される数値だけを含むのではなく、各数値および部分範囲が明確に引用されるようにその範囲内に包含される個々の数値または部分範囲もすべて含むと柔軟に解釈すべきである。例えば、約1重量%から約20重量%の重量比の範囲は、1重量%および約20重量%の明確に列挙される限界だけを含むのではなく、2重量%、11重量%、14重量%などの個々の重量、および10重量%から20重量%、5重量%から15重量%などの部分範囲も含むと解釈すべきである。これに従って、二液消毒薬系は、第1の液体組成物および第2の液体組成物を含むことができる。第1の液体組成物は、0.0005重量ppmから100000重量ppmの遷移金属または合金およびアルコールを含むことができ、第2の液体組成物は水およびペルオキシゲン化合物を含むことができる。第1および第2の液体組成物は、組み合わさって生成物である消毒薬溶液が得られるように調合することができる。
【0018】
別の実施形態では、表面を消毒する方法は、生成物である消毒薬組成物を形成するために、第1の液体組成物と第2の液体組成物を混合することを含むことができる。第1の液体組成物は、0.0005重量ppmから100000重量ppmの遷移金属または合金およびアルコールを含むことができ、第2の液体組成物は水およびペルオキシゲン化合物を含むことができる。この方法は、生成物である消毒薬を表面と接触させることにより、表面を消毒することをさらに含む。接触は、生成物である消毒薬が形成された後に起こってよく、または両方の部分が表面と接触した後に形成してもよい。
【0019】
これらの実施形態では、各成分の濃度が、第1または第2の液体組成物、または生成物である消毒薬溶液における濃度の状況において記載され得ることに注目すべきである。量は典型的には系の他の部分によって希釈されるので、第1または第2の液体組成物における化合物の濃度は、第1または第2の液体組成物よりも生成物である消毒薬溶液における方が通常低い。これはつまり、二液系の他の部分における成分に依存して必ずしもそうであるとは限らない。
【0020】
本発明の実施形態では、アルコールは、第1の液体組成物において約0.005重量%から99.99重量%存在することができ、範囲の上端は80重量%または50重量%に改変することができ、範囲の下端は0.05重量%または0.01重量%に改変することができる。これはつまり、ある実施形態においては、アルコールは生成物である消毒薬溶液に0.001重量%から95重量%存在することができ、本発明の実施形態によれば、範囲の下端は0.05重量%または0.1重量%に改変することができ、範囲の上端は40重量%、30重量%、20重量%、または10重量%に改変することができることも注目されるということである。これら上限および下限のあらゆる組合せが本明細書に含まれる。
【0021】
第1の液体組成物に存在する遷移金属または合金に関しては、0.0005重量ppmから100000重量ppmの範囲を、範囲の上端を20000ppmまたは5000ppmに改変することができ、かつ/または範囲の下端を0.001ppm、0.01ppm、または1ppmに改変することができる。生成物である消毒薬溶液は、一方、0.001ppmから50000重量ppmの遷移金属またはその合金を含むことができる。この範囲は、例えば、範囲の上端を10000ppm、5000ppm、または1500ppmに、範囲の下端を0.1、1、または15ppmに改変することができる。これら上限および下限のあらゆる組合せが本明細書に含まれる。
【0022】
第2の液体組成物に関して、水およびペルオキシゲン化合物は様々な比率で存在することができる。例えば、ペルオキシゲンは、第2の液体組成物に0.001重量%から80重量%存在することができ、範囲の上端は30重量%または15重量%に改変することができ、範囲の下端は0.01重量%または0.05重量%に改変することができる。生成物である消毒薬溶液に関して、ペルオキシゲン含量は、例えば、0.01重量%から20重量%であることができ、範囲の上端は10重量%、5重量%、または2重量%に改変可能であり、範囲の下端は0.01重量%、0.2重量%、または0.3重量%に改変可能である。繰り返すが、これら上限および下限のあらゆる組合せが本明細書に含まれる。
【0023】
これらの範囲は例示にすぎず、当業者であれば、アルコールのタイプ(多価、食品グレード、混合物など)、ペルオキシゲンのタイプ(過酸化物、過酸、過酸化物/過酸の組合せなど)、および金属のタイプ(イオン、コロイド、合金など)などを考慮して、これらの範囲を特定の適用に対して改変することができる。
【0024】
系の2つの液体組成物が消毒薬溶液の所望の使用の直前まで分離したままである限り、系および方法を、当業者には知られているあらゆる様式で調合し、包装することができる。一実施形態では、系の2つの液体組成物は、ビン、広口ビン、袋、ディスペンサーなど、別々の容器に収めることができる。本発明の一態様では、消毒薬溶液が2つの液体組成物だけから作成され得るように、系を構成し、液体組成物を調合することができる。本発明の別の一態様では、系の2つの液体組成物を、水または他の希釈用の溶媒で所望の消毒薬の効力に希釈することができる消毒薬溶液の濃度を提供するように調合することができる。
【0025】
本発明の別の一実施形態では、系の2つの液体組成物を、単一の容器の別々のコンパートメントに配置することができる。例えば、系は、2つのコンパートメントの容器を含むことができ、各コンパートメントは、コンパートメントにおいて液体組成物を抽出するための別々の抽出チューブを有する。一態様では、容器は、2つの抽出チューブに接続されているスプレーノズルを含むことができる。2つの液体組成物は、スプレーノズル内の混合チャンバーに抽出チューブを引き上げられていてよく、次いでノズルから吐出され、表面上が消毒される。この実施形態では、消毒薬溶液は、混合チャンバー内で効果的に小バッチになされ、2つの液体組成物を組み合わせた直後に使用するために吐出される。
【0026】
系は簡便であり、使用および包装に容易であり、有効期間が長い。典型的には、ペルオキシゲン化合物を含む消毒薬組成物は他の薬剤と組み合わせた場合にかなり速やかに分解され、したがって、これらの有効期間は望ましくなく短くなる。本発明は、使用直前まで、ペルオキシゲン化合物を消毒薬溶液の残りの部分から分離して維持する系を提供する。このような系の配置により、消毒薬溶液の有効期間は効果的に長くなっている。これは、系の液体を、貯蔵、輸送、および保管寿命の終点が相当であり得る小売および大量販売の商売において販売しようとする場合に特に有用である。
【0027】
一実施形態では、消毒薬溶液、およびしたがって二液系の2つの液体組成物は、食品グレードまたは食品に安全である成分だけを含むことができる。例えば、必要とされるわけではないが、組成物は、多くの市販の表面清浄剤に一般に存在する消毒薬成分を実質的に含まなくてもよい。消毒薬溶液から省略することができる非食品グレードの成分の例には、それだけには限定されないが、グルタルアルデヒドなどのアルデヒド、塩素ベースの消毒薬、塩素および臭素ベースの消毒薬、ヨードフォアベースの消毒薬、フェノールベースの消毒薬、4級アンモニウムベースの消毒薬などが含まれる。
【0028】
本発明の液体組成物は、有機の共溶媒、界面活性剤、賦形剤、充填剤、着色剤、他の有効成分、他の部分に存在することがある成分などの他の成分も含むことができる。一実施形態では、第1の液体組成物は、アルコールの他に水を含むことができる。
【0029】
第1の液体組成物で用いることができるアルコールの例には、それだけには限定されないが、炭素1から24個を有する脂肪族アルコールおよび他の含炭素アルコール(C〜C24アルコール)が含まれる。「C〜C24アルコール」は、この定義内で、分枝脂肪族アルコール、脂環式アルコール、芳香族アルコール、不飽和アルコール、ならびに置換されている脂肪族、脂環式、芳香族、および不飽和のアルコールなどを含めて、他の含炭素アルコールも用いることができるので、直鎖飽和脂肪族アルコールだけを必ずしも意味するものではないことに注目すべきである。一実施形態では、脂肪族アルコールは、それらが入手可能であり、低沸点であることから、メタノール、エタノール、プロパノールおよびイソプロパノール、ブタノール、ならびにペンタノールを含めた、CからCアルコールであることができる。これはつまり、多価アルコールは、また、本発明の消毒薬溶液の消毒薬および滅菌剤の効力を増強するのに有効に用いることができ、ある程度の付加の安定性をもたらすことができるということである。本発明で用いることができる多価アルコールの例には、それだけには限定されないが、エチレングリコール(エタン−1,2−ジオール)グリセリン(すなわちグリセロール、プロパン−1,2,3−トリオール)、およびプロパン−1,2−ジオールが含まれる。それだけには限定されないが、フェノールおよび置換されているフェノール、エルシルアルコール、リシノリルアルコール、アラキジルアルコール、カプリルアルコール、カプリックアルコール、ベヘニルアルコール、ラウリルアルコール(1−ドデカノール)、ミリスチルアルコール(1−テトラデカノール)、セチル(すなわちパルミチル)アルコール(1−ヘキサデカノール)、ステアリルアルコール(1−オクタデカノール)、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール(シス−9−オクタデセン−1−オール)、パルミトレイルアルコール、リノレイルアルコール(9Z,12Z−オクタデカジエン−1−オール)、エライジルアルコール(9E−オクタデセン−1−オール)、エライドリノレイルアルコール(9E,12E−オクタデカジエン−1−オール)、リノレニルアルコール(9Z,12Z,15Z−オクタデカトリエン−1−オール)、エライドリノレニルアルコール(9E,12E,15E−オクタデカトリエン−1−オール)、それらの組合せなどを含めた他の非脂肪族アルコールも用いることができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、実用を考慮するとメタノール、エタノール、ならびに変性アルコール(エタノール、および少量のメタノール、および任意選択で微量のベンゼン、ケトン、酢酸塩などの混合物)が、その入手可能性および費用により用いるのが好ましいことがしばしばある。いくつかの実施形態ではグリセロールも好ましいことがある。食品グレードの組成物を提供するのが望ましい場合は、この要件を満たすアルコールを選択することができる。用いるアルコールの量を考慮すると、当業者であれば上記に記載した範囲内に留まることができ、または特定の適用のために、使用のために選択されたアルコールが多価であるか、アルコールが食品グレードであるか、アルコールの混合物であるかなどのことがらを考慮してこれらの範囲を改変することができる。
【0031】
第1の液体組成物に、および最終的に消毒薬溶液に存在する遷移金属に関しては、金属はイオンの形態(例えば、解離した金属塩、元素金属からの金属イオンなど)および/またはコロイドの形態であることができる。詳しい一実施形態では、遷移金属はサブミクロンの形態(すなわち、1μm未満の金属コロイド粒子の分散物)であることができる。しかし、より大型のコロイド状の遷移金属粒子も、ある適用において用いることができる。使用に望ましい典型的な遷移金属には、VI族からXI族の遷移金属が含まれ、より好ましくはX族からXI族の遷移金属が含まれ得る。VI族からXI族の金属の少なくとも1つの金属を含む合金も用いることができる。以下の実施例で示すように、いくつかの合金は、本発明の消毒薬の効力を増強または増大することができる。これら金属のあらゆるものは、典型的にはペルオキシゲンの存在下で対応する陽イオンに酸化されることが認められる。しかし、コロイド金属では、典型的には、表面は通常このような酸化をより受けやすい。さらに、コロイド金属をコロイド溶液に分散する場合、懸濁溶液にも存在するイオンまたは塩の形態のある量の金属がしばしば存在する。例えば、コロイド銀は、溶液中に、あるパーセント値の銀塩またはイオン性の銀を含むことがあり、例えば、10重量%から90重量%の金属含量は全金属含量に対してイオン性であることができる。これはつまり、本発明の実施形態に従って使用するのに好ましいある種の金属は、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、パラジウム、白金、銅、金、銀、マンガン、亜鉛、これらの合金、およびこれらの混合物であるということである。銀が最も好ましいことが多いが、金属の選択は、ある程度、適用、望ましい、または必要とされる死滅のレベル、標的とされる病原体のタイプ、清浄にする基質などに依存することができる。
【0032】
これらの実施形態のあらゆるものは、合金の使用の恩恵もしばしば受けることができることも注目される。例えば、合金における金属のある組合せは、特定の病原体に対する許容できる死滅レベルを提供することがあり、溶液の安定性、清浄にすべき基質などの二次的考察にいっそう関連する利点も提供する。本発明で用いるための遷移金属の合金の好ましい例には、それだけには限定されないが、銅−銀合金、銀−マグネシウム合金、鉄−銅合金、クロム−銀合金、金−銀合金、マグネシウム−銀合金などが含まれる。
【0033】
第1の液体組成物で用いることができる例示のコロイド銀には、CS PlusおよびCS Ultraの商品名のもとにSolutions IE社が販売しているものが含まれる。銀の供給源として用いることができる他のコロイド銀製品には、ASAP、Sovereign Silver、Silver Maxなどが含まれる。一実施形態では、本発明で用いられるコロイド粒子は、0.001μmから1.0μmの範囲の粒子径を有することができる。別の一実施形態では、コロイドの遷移金属粒子は0.030μmから0.5μmの範囲のサイズを有することができる。なお別の一実施形態では、平均粒子径は0.35μmから0.45μmまでである。イオンの形態で用いる場合は、好ましい銀塩には、それだけには限定されないが、硝酸銀、酢酸銀、クエン酸銀、酸化銀、および/または炭酸銀が含まれる。本発明の製剤で用いるのに機能的である多くのコロイド銀溶液またはイオン性の銀の溶液を用いることができるが、一実施形態では、他の成分と混合される、コロイド状および/またはイオン性の銀のための懸濁媒体として、RO水を用いるのが望ましいことがある。より詳しい一態様では、RO水を蒸留することもでき、18〜20MΩの水を得ることができるが、これは必須ではない。
【0034】
第2の液体組成物、および最終的に消毒薬溶液のペルオキシゲン成分は、単一の化合物でもよく、または多数のペルオキシゲン化合物の組合せでもよく、またはペルオキシゲン形成性の化合物でもよい。一実施形態では、ペルオキシゲンは、本発明の実施形態による消毒薬の目的に機能的である、あらゆる脂肪族または芳香族の過酸(すなわちペルオキシ酸)であってよい。あらゆる機能的なペルオキシ酸を用いることができるが、炭素1から7個を含むペルオキシ酸が、用いるのに最も実用的である。これらペルオキシ酸には、それだけには限定されないが、ペルオキシギ酸、ペルオキシ酢酸、ペルオキシシュウ酸、ペルオキシプロパン酸、過乳酸(perlactic acid)、ペルオキシブタン酸、ペルオキシペンタン酸、ペルオキシヘキサン酸、ペルオキシアジピン酸、ペルオキシクエン酸、および/またはペルオキシ安息香酸が含まれ得る。本発明で用いるペルオキシ酸は、当技術分野では知られているあらゆる方法を用いて調製することができる。ペルオキシ酸を酸と過酸化水素とから調製する場合、得られる混合物は、ペルオキシ酸と調製された形態である対応する酸との両方を含む。例えば、ペルオキシ酢酸を利用する実施形態では、以下のように、反応が酸、過酸化水素と、過酸および水との間で平衡であるので、関連の酸(酢酸)の存在が混合物に安定性をもたらす。
【0035】
【化1】

上記に列挙した過酸の塩などの過酸塩も、消毒薬溶液のペルオキシゲン成分として含まれ得る。このような塩の非限定的な例には、過マンガン酸塩、過ホウ酸塩、過塩素酸塩、過酢酸塩、過炭酸塩、過硫酸塩などが含まれる。塩は、単独で用いてもよく、または相互に、もしくは本発明のペルオキシゲン成分を形成するための他のペルオキシゲン化合物と組み合わせて用いてもよい。
【0036】
別の一実施形態では、本発明のペルオキシゲン成分は過酸化物の化合物を含むことができる。本発明の実施形態に従って用いるのに過酸化水素が望ましい過酸化物であるとみなされているが、金属過酸化物および過酸化水素化物などの他の過酸化物も用いることができる。用いることができる金属過酸化物には、それだけには限定されないが、過酸化ナトリウム、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウム、および/または過酸化ストロンチウムが含まれる。他の塩(例えば、過炭酸ナトリウム)は、水和の水とそっくりにそれと会合している過酸化水素を有し、これらは、それによってin situで過酸化水素を生成する、過酸化水素の供給源であるとみなすこともできる。上記に述べたように、過酸化物は単独で、または本発明のペルオキシゲン成分を形成するための他のペルオキシゲン化合物と組み合わせて用いることもできる。一実施形態では、ペルオキシゲンは過酸および過酸化物である。
【0037】
本発明の消毒薬溶液を、系を用いて形成した後は、あらゆる数々の接触方法を用いてあらゆる数々の物体を消毒するのに用いることができる。例えば、消毒薬溶液を、装置などの物体用の液体分散水槽として、または移動性の低い物体に適用するためのスプレーとして用いることができる。消毒薬溶液を、局所の包帯またはうがい薬として用いることもできる。換言すれば、当業者には知られているあらゆる適用方法を、本発明の実施形態に従って利用することができる。消毒薬溶液に対する他の可能な適用または使用方法には、制限なく、液体の分散物をスプレーまたは他の適用方法を必要としないで簡単に適用するために織地または織地様材料に適用するワイプとしての使用、局所の包帯としての使用、うがい薬としての使用などが含まれる。換言すると、当業者には知られているあらゆる適用方法を本発明の実施形態に従って利用することができる。
【0038】
さらに、本発明の消毒薬溶液は、一般に消毒薬と記載されているが、滅菌剤または殺菌剤としてのその使用を含む多くの可能な適用が存在することが認められている。例えば、制限なく、本発明の消毒薬溶液を、細菌、胞子、ウイルス、寄生生物、真菌、およびカビを死滅させるために用いることができる。記載するように、本組成物を、ヒトおよび他の哺乳動物に対する全面的な安全に関連してこれらのタイプの生物体すべてに対して用いることができる。
【0039】
本発明の消毒薬溶液の別の特徴は、これらには残留による死滅の性質があるということである。残留による死滅の性質は、新規に導入された生物体の増殖を防止し、または死滅させる消毒薬溶液の能力を意味する。例えば、本発明の系によって作成された消毒薬溶液を表面に適用する場合、これらは存在する細菌、ウイルス、および/または真菌を死滅させるように働く。消毒薬溶液の残留による死滅の特徴により、溶液は、消毒薬溶液における溶媒が蒸発した後でも、表面に接触することがあるあらゆる新規に導入された病原体を引き続き死滅させることが可能である。本発明の消毒薬溶液は、消毒薬溶液が機械的に除去(例えば、洗浄、掻き取りなど)されない限り、長時間、接触している表面に対して残留による死滅の特徴をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、残留による死滅は15日またはそれを超えて続くことができる。コロイド状の金属が存在するいくつかの場合では、コロイド金属は表面上に永久に残存することができ、長時間、抗細菌および/または抗ウイルスの利点をもたらす。あるいは、15日より長い時間表面上に残留による死滅の特徴を維持するのが望ましい場合には、消毒薬溶液の追加の適用を行うことができる。この方法で、消毒薬溶液は、病原体に対する予防として用いることもできる。消毒薬溶液の残留による死滅の性質は、溶液の調製の様式に関係なく存在することに注目すべきである。換言すれば、本発明の二液消毒薬系を用いて調製された消毒薬溶液、および同じ個々の成分各々の直接の混合を用いて調製された消毒薬溶液は、両方とも、残留による死滅の性質を有する。あらゆる特定の理論によって拘泥するものではないが、金属含量は分解または蒸発せずに元素の形態で表面上に残存することができるので、金属含量がこの残留による死滅に寄与すると考えられている。
【0040】
消毒薬溶液は、例えばしばしば食品グレードの組成物だけを含み、非常に安全であるように調合することができるので、これら組成物を表面消毒薬としてのその使用を超えて十分に拡張した領域において用いることができる。このような製品の範疇には、ヒトおよび動物両方に対して局所および内部両方に適用する両方の製品が含まれる。例えば、消毒薬溶液を、防腐薬、火傷処置、おむつかぶれ製品、および様々なスキンケア製品に用いることができる。あるいは、消毒薬溶液を、うがい薬、練り歯磨き、および歯科鋳型材料で使用される様々な他の消毒溶液など、口の中で用いることができる。歯科鋳型は、歯科産業において重大な疾患を広めることが知られているので、歯科鋳型でのこのような使用は、患者の口から完成した鋳型を扱う仕事をする実験室従業員への病原体の伝播を防止または低減することができる。やはりさらなる使用の範疇には、抗生の、および抗ウイルスの目的の適用が含まれる。消毒薬溶液を、口および喉に適用するためのトローチ剤またはガム中に調合することができ、経口、筋肉内、静脈内などで投与することもできる。達成することができる死滅のレベルのために、食品グレードの成分のみと調合する場合でも、広範囲の病原体およびいくつかのウイルスを内部的に死滅させることができる。あらゆる特定の可能性によって拘泥されるものではないが、これらの組成物は、HIV、SARS、ウエストナイル、トリインフルエンザ、およびその他など様々なウイルスを死滅させるのに有用であり得る。
【実施例】
【0041】
以下の実施例は、現在最もよく知られている本発明の実施形態を説明するものである。しかしながら、以下のものは例示にすぎず、または本発明の原理の適用を説明するものにすぎないことを理解されたい。当業者であれば、数々の改変および代替の組成物、方法、ならびにシステムを、本発明の精神および範囲から逸脱することなしに考案することができる。添付の特許請求の範囲は、このような改変および取り決めを網羅しようとするものである。したがって、本発明は、上記に詳しく記載してあるが、以下の実施例は、本発明の最も実用的かつ好ましい実施形態であると現在みなされているものに関連してさらなる詳細を提供するものである。
【0042】
(実施例1)
二液系を用いた消毒薬溶液の調製
二液消毒薬系を提供する。系の第1の液体組成物は、20重量部のグリセロール、29.97重量部の水、および0.03重量部のコロイド銀(600ppm)の溶液を含む。第2の液体組成物は、1.3重量部の過酢酸および48.7重量部の水を含む。2つの成分を、消毒薬の使用が望まれる直前まで別々に保持する。消毒薬溶液は、重量比約1:1(第1:第2)の2つの成分を混合することによって作成して、過酢酸約1.3重量%および銀約300ppmを有する組成物を生成する。この実施形態では、系をさらに安定化するために、3重量%未満の過酸化水素を加えることができる。この消毒薬溶液を効果的に用いて、様々な表面を殺菌および滅菌することができる。
【0043】
(実施例2)
二液系を用いた消毒薬溶液の調製
二液消毒薬系を提供する。系の第1の液体組成物は、約10重量部のグリセロール、および約81重量部の銀ヒドロゾル(コロイド銀300ppm)の溶液を含む。系の第2の液体組成物は、過酢酸15重量%の水における水溶液を含む。2つの成分を、消毒薬の使用が望まれる直前まで別々に保持する。2つの成分を重量比91:9(第1:第2)で組み合わせ、過酢酸1.3重量%を有する溶液をもたらす。この消毒薬溶液を効果的に用いて、様々な表面を殺菌および滅菌することができる。生成物である消毒薬組成物全体をベースにした場合、300重量ppm未満のコロイド銀が存在することが注目される。この消毒薬溶液を効果的に用いて、様々な表面を殺菌および滅菌することができる。
【0044】
(実施例3)
二液系を用いた消毒薬溶液の調製
二液消毒薬系を提供する。系の液体組成物は、約10重量部のグリセロール、および約87重量部の銀ヒドロゾル(コロイド銀800ppm)の溶液を含む。系の第2の液体組成物は、過酢酸15重量%の水溶液である。2つの成分を、消毒薬の使用が望まれる直前まで別々に保持する。2つの成分を重量比約97:3(第1:第2)で混合し、過酢酸約0.4重量%を有する組成物をもたらすことによって消毒薬溶液を作成する。生成物である消毒薬組成物全体をベースにした場合、300重量ppm未満のコロイド銀が存在することが注目される。この消毒薬溶液を効果的に用いて、様々な表面を殺菌および滅菌することができる。
【0045】
(実施例4)
二液系を用いた濃縮消毒薬溶液の調製
二液消毒薬系を提供する。系の第1の液体組成物は、銀アルコゾル(アルコール/銀3800ppm)の溶液である。系の第2の液体組成物は、過酢酸15重量%の水溶液である。2つの成分を、消毒薬の使用が望まれる直前まで別々に保持し、重量比17:13(第1:第2)で混合する。生成物である消毒薬溶液を、水を用いてさらに希釈してもよい。例えば、生成物である消毒薬溶液0.6リットルを、水2.4リットルと混合して、PAA1.3重量%を有する消毒薬溶液3リットルを生成する。この消毒薬溶液を効果的に用いて、様々な表面を殺菌および滅菌することができる。
【0046】
(実施例5)
二液系を用いた消毒薬溶液の調製
二液消毒薬系を提供する。第1の液体組成物は、9重量部のエタノール、40.9重量部の水、および0.1重量部の銀(2000重量ppm)を含む。第2の液体組成物は、1.3重量部のペルオキシプロパン酸および48.7重量部の水を含む。2つの成分を、消毒薬の使用が望まれる直前まで別々に保持する。2つの成分を重量比約1:1(第1:第2)で混合して、ペルオキシプロパン酸約1.3重量%および銀約1000重量ppmを有する組成物を生成することによって消毒薬溶液を作成する。この実施形態では、系をさらに安定化させるために3重量%未満の過酸化水素を加えることができる。この消毒薬溶液を効果的に用いて、様々な表面を殺菌および滅菌することができる。
【0047】
(実施例6)
二液系を用いた消毒薬溶液の調製
二液消毒薬系を提供する。第1の液体組成物は、20重量部の変性アルコール、29.45重量部の水、および0.05重量部の銀と銅との合金(1000ppm)を含む。第2の液体組成物は、3重量部の過クエン酸および47重量部の水を含む。2つの成分を、消毒薬の使用が望まれる直前まで別々に保持する。2つの成分を重量比約1:1(第1:第2)で混合して、過クエン酸約3重量%および銀約500ppmを有する組成物を生成することによって消毒薬溶液を作成する。この実施形態では、系をさらに安定化させるために3重量%未満の過酸化水素を加えることができる。この消毒薬溶液を効果的に用いて、様々な表面を殺菌および滅菌することができる。
【0048】
(実施例7)
生成物である消毒薬溶液を用いたウシ型結核菌(Mycobacterium bovis)の死滅時間試験
実施例1に従って調製することができる、生成物である消毒薬溶液を用いた場合の、殺結核菌活性を測定するために試験を行った。試験は、CRA Environmental Wipe Methodを用いて、硬質表面に対して行った。この方法は、Christensen, R.P.、R.A. Robison、D.F. Robinson、B.J. Ploeger、R.W. Leavitt、およびH.L. bodily、Antimicrobial Activity of Environmental Surface Disinfecants in the Absence and Presence of Bioburden.、Journal of the American Dental Association、119巻、493〜505頁、1989年に完全に記載されている。
【0049】
具体的には、ウシ型結核菌(ATCC#35743)を含む試験懸濁液を、改変Proskauer−Beck培地で増殖させた標準化した培養物の懸濁液を凍結したものから調製した。懸濁液を解凍し、氷上で、テフロン(登録商標)加工したガラス製の組織粉砕機において、等体積のリン酸緩衝ゼラチン溶液と混合した。懸濁液を2分間ホモジナイズし、次いでTween80を0.1%含む生理食塩水(PSS)で1:4希釈した。懸濁液をボルテックスにかけ、試験表面に接種するのに用いるまで氷上に保持した。
【0050】
中和剤混合液は、50mlフラスコ中、Tween80 1.0%、レシチン1.0%、および濃縮カタラーゼ溶液50μl(Sigma、C100、42300単位/mg)を含むトリプトソイブロスから構成されていた。
【0051】
用いたCRA environmental Wipe Methodを以下に詳しく記載する。8×12インチ(20.32×30.48cm)片のラミネート加工したプラスチック製カウンターの覆いを、シリコーン接着剤で、ポリプロピレン製歯科トレイ(サイズB、Zirc Dental)に固定した。蓋およびトレイを、過酸化水素ガスプラズマ滅菌機によって滅菌した。試験生物懸濁液2mlを、滅菌2×2インチ(5.08×5.08cm)の綿を充填したガーゼスポンジで表面に適用した。表面を、バイオセーフティーキャビネット中、層流下で20〜30分乾燥させた。次いで、消毒薬(または水)3.5mlを滅菌ガーゼスポンジに適用し、これを用いて接種した試験表面を、重ね塗りで(左から右へ20回、その後上から下へ20回)約150gの圧力を用いて10秒間拭った。3分後、中和剤50mlでトレイを溢れさせ、ポリプロピレン製滅菌ブラシで1分間こすって生物体を除去および懸濁した。液体を回収し、生理食塩水(PSS)で1:10に段階希釈した。選択した希釈チューブにおける生存生物体の数を、メンブランろ過によってアッセイした。1mlのアリコートを2枚ずつプレーティングした。メンブランを滅菌PSS約100mlで洗浄し、Mycobacteria 7H11寒天プレートに移した。プレートを37℃で約3週間インキュベートした。それぞれの上のコロニー数を計数し、対数値での減少および死滅のパーセント値を算出した。
【0052】
コントロールとして、1タイターの試験懸濁液を、選択したPSS中1:10希釈の試験懸濁液のメンブランろ過アッセイを行うことによって算出した。中和剤9mlおよび消毒薬1mlの混合液に、1750CFUを含むタイターの1:10希釈100μlを接種することによって、中和剤のコントロールを行った。これにより、チューブに175CFU/mlがもたらされ、これを20分間静置した後希釈し、1ml試料2本ずつを用いてメンブランろ過によってチューブをアッセイした。
【0053】
結果は以下の通りである。
【0054】
【表1】

タイターの結果は、ウシ型結核菌の最初の濃度は、調製した懸濁液1mlあたり1.75×107CFUであったことを示していた。試験表面の接種およびその後の乾燥により、水コントロールによって示された誘発を生成した。試験表面上に生存する桿菌の最初の濃度(S)は2.63×10であった。これらの手順からの結果により、対数値での減少(LR)および死滅のパーセント値(PK)の、式を用いた算出が可能になった:1)LR=−Log(S/S)、式中S=消毒薬への曝露期間後の生存生物体の濃度、およびS=時間ゼロの生存生物体の最初の濃度。これらの値を以下表20に示す。
【0055】
【表2】

中和コントロールのデータは、各試験溶液が十分に中和されていたことを示していた。観察された計数は、タイターのデータから予測されたものと類似していた。
【0056】
(実施例8)
生成物である消毒薬溶液の殺胞子活性の死滅時間試験
実施例1に従って調製することができる生成物である銀含有消毒薬の抗微生物活性を測定するために試験を行った。試験生物体である枯草菌(Bacillus subtilis)からの細菌の内生胞子に対して試験を行った。これは、枯草菌の内生胞子の懸濁液を用いた標準の死滅時間の懸濁試験を行うことによって遂行された。一般的には、胞子は通常の細菌よりも死滅させるのがずっと困難である。
【0057】
枯草菌(ATCC#19659)からの内生胞子を含む試験懸濁液を、Leighton−Doi培地中37℃で3日間増殖させた培養液から調製した。懸濁液を65℃で30分間放置して増殖型の生物体を死滅させ、次いで遠心分離して胞子をペレットにした。胞子を滅菌HPLC水に再懸濁し、4℃で一夜静置した。この洗浄/静置のプロセスを、全部で3回繰り返した。最終の胞子懸濁液を、位相差顕微鏡を用いて純度に関して試験し、使用まで4℃で貯蔵した。
【0058】
9mlチューブに、Tween80 12.7重量%、Tamol 6.0重量%、レシチン1.7重量%、ペプトン1重量%、およびシスチン1.0重量%、ならびにTris(pH7.85)500mMからなる中和剤溶液も調製し、これにカタラーゼ溶液(Sigma、C100、42300単位/mg)100μlを使用直前に加えた。
【0059】
「死滅時間」手順は以下の通りであった:9.9mlアリコートの消毒薬を、ポリプロピレン製50ml滅菌遠心分離チューブに配置した。チューブを20℃水浴で平衡にした。時間ゼロに、消毒薬のチューブに、胞子懸濁液100μlを接種した。30秒の接触時間の後、胞子/消毒薬懸濁液1mlを中和剤9.1mlに移した。チューブを十分に混和した。2分後、中和した懸濁液を、生理食塩水(PSS)で、生理食塩水中1:10の段階希釈をした。選択した希釈チューブにおける生存胞子の数を、メンブランろ過によってアッセイした。1mlのアリコートを2枚ずつプレーティングした。メンブランを約100mlの滅菌PSSで洗浄し、コロンビア寒天プレートに移した。プレートを37℃で20時間インキュベートした。各フィルター上のコロニー数を計数し、対数値での減少および死滅のパーセント値を算出した。
【0060】
コントロールとして、1タイターの試験懸濁液を、選択したPSS中1:10希釈の試験懸濁液に対してメンブランろ過アッセイを行うことによって算出した。中和剤9.1mlおよび消毒薬1mlの混合液に、タイターの1:1×10希釈100μlを接種することによって、中和剤のコントロールを行った。これによりチューブに約130CFU/mlがもたらされ、これを20分間静置した後希釈し、1ml試料2本ずつを用いてメンブランろ過によってアッセイした。
【0061】
結果は以下の通りである。
【0062】
【表3】

タイターの結果は、生存可能な枯草菌胞子濃度は、もとの懸濁液1mlあたり胞子1.11×1010個であることを示していた。消毒薬9.9mlにこの懸濁液100μlを接種すると、アッセイチューブ1mlあたり1.11×10個の胞子の最初の濃度をもたらした。これらの手順からの結果により、対数値での減少(LR)および死滅のパーセント値(PK)の、式を用いた算出が可能になった:1)LR=−Log(S/S)、式中S=特定の接触時間後の生存生物体の濃度、およびS=時間ゼロの生存生物体の最初の濃度;ならびに2)PK=(1−(S/S))×100。これらの値を以下の表24に示す。
【0063】
【表4】

中和コントロールのデータは、中和剤はこの消毒薬を十分に中和することができたことを示していた。観察された計数値は予想されたものより一貫して高かった。実施例1の試験の消毒薬溶液は、速やかかつ強力な殺胞子活性を有していた。具体的には、実施例1の消毒薬溶液は、30秒以内に7logを上回る減少を達成することができた。コントロールとして、他の有効成分を何も含まない(すなわち、アルコールまたは銀含有量のない)同じ濃度の過酢酸を用いて同じ培養物を試験した。実施例1の組成物は、幾桁も上回る死滅レベルを示した。
【0064】
(実施例9)
2.4%アルカリ性グルタルアルデヒド消毒薬を用いた殺胞子活性の死滅時間試験
比較の目的で、試験生物である枯草菌からの細菌の内生胞子に対する、2.4%アルカリ性グルタルアルデヒド消毒薬の抗微生物活性を測定するために試験を行った。グルタルアルデヒド消毒薬溶液は、その他の方法では死滅させるのが困難であることがある細菌および他の病原体を死滅させるのに病院で用いられている、一般的な消毒薬である。この試験は、枯草菌の内生胞子の懸濁液を用いて標準の死滅時間懸濁試験を行うことによって実行した。15分の接触時間を評価した。
【0065】
枯草菌(ATCC#19659)からの内生胞子を含む試験懸濁液を栄養寒天上で増殖させた培養物から調製し、これにさらなる胞子形成の増強物質を加えた。平板を滅菌水で回収し、繰り返し遠心分離し、水に再懸濁することによって内生胞子を精製した。最終の洗浄は、成長性の細菌をすべて確実に死滅させるために、70重量%のエタノールで30分間行った。凝集を防ぐためにTween80 0.1重量%を含む水に胞子を再懸濁し、使用まで4℃で貯蔵した。
【0066】
新たに作成したろ過滅菌した5.28重量%の亜硫酸水素ナトリウム溶液1mlからなる中和剤を調製した。
【0067】
「死滅時間」の手順は以下の通りであった:9.9mlアリコートの消毒薬を、滅菌ガラス製培養チューブ中に配置した。チューブを20℃水浴で平衡にした。時間ゼロに、2.4重量%アルカリ性グルタルアルデヒド(新たに活性化したCIDEXPLUS、3.4%、ロット番号2002247TP−滅菌水で2.4重量%に希釈)9mlの消毒薬のチューブに、試験生物体懸濁液100μlを接種した。15分後、胞子/消毒薬懸濁液1mlを中和剤9mlに移した。チューブを十分に混和した。2分後、中和した懸濁液を、生理食塩水(PSS)で段階希釈(1:1×10、1:1×10、1:1×10など)した。選択した希釈のチューブにおける生存胞子の数を、メンブランろ過によってアッセイした。1mlのアリコートを2枚ずつプレーティングした。メンブランを滅菌PSS約100mlで洗浄し、コロンビア寒天プレートに移した。プレートを37℃で20時間インキュベートした。各フィルター上のコロニー数を計数し、対数値での減少および死滅のパーセント値を算出した。
【0068】
コントロールとして、1タイターの試験懸濁液を、選択したPSS中1:10希釈の試験懸濁液に対してメンブランろ過アッセイを行うことによって算出した。
【0069】
中和剤1mlおよび消毒薬1mlの混合液に、タイターの1:1×10希釈100μlを接種することによって、中和剤のコントロールを行った。これにより、チューブに約450CFU/mlがもたらされ、これを20分間静置した後希釈し、1ml試料2本ずつを用いてメンブランろ過によってアッセイした。
【0070】
結果は以下の通りである。
【0071】
【表5】

滅菌のコントロールは、グルタルアルデヒド、亜硫酸水素ナトリウム、水、PSS、およびコロンビア寒天では増殖ゼロであったことを示していた。タイターの結果は、生存可能な枯草菌胞子濃度はもとの懸濁液1mlあたり胞子9.45×10個であることを示していた。消毒薬9.9mlにこの懸濁液100μlを接種すると、アッセイチューブにおいて1mlあたり9.45×10個の胞子の最初の濃度をもたらした。これらの手順からの結果により、対数値での減少(LR)および死滅のパーセント値(PK)の、式を用いた算出が可能になった:1)LR=−Log(S/S)、式中S=1時間後の生存生物体の濃度、およびS=時間ゼロの生存生物体の最初の濃度;ならびに2)PK=(1−(S/S))×100。これらの値を以下の表26に示す。
【0072】
【表6】

中和コントロールのデータは、中和剤はこの消毒薬を十分に中和することができたことを示していた。観察された計数値は予想したものより高かった。試験した2.4重量%アルカリ性グルタルアルデヒド溶液は比較的ゆっくりとした殺胞子活性を有し、15分で0.48logの低減しか生成せず、これは本発明の実施形態に従って調製した上記の例示の組成物のあらゆるものが生成したものよりも著しく低かった。
【0073】
(実施例10)
Lysol(登録商標)スプレーを用いたウシ型結核菌の死滅時間試験
比較の目的で、CRA Environmental Wipe Methodを用いて、硬質表面に対するLysol(登録商標)スプレー消毒薬(Lysol Spray、春の滝の香り、Lot#B4194−NJ2 1413−A3)の殺結核菌活性を測定するために試験を行った。この方法は、Christensen, R.P.、R.A. Robison、D.F. Robinson、B.J. Ploeger、R.W. Leavitt、およびH.L. bodily、Antimicrobial Activity of Environmental Surface Disinfectants in the Absence and Presence of Bioburden.、Journal of the American Dental Association、119巻、493〜505頁、1989年に十分に記載されている。
【0074】
具体的には、ウシ型結核菌(ATCC#35743)を含む試験懸濁液を、改変Proskauer−Beck培地で増殖させた標準化した培養物の懸濁液を凍結したものから調製した。懸濁液を解凍し、氷上で、テフロン(登録商標)加工したガラス製の組織粉砕機において、等体積のリン酸緩衝ゼラチン溶液と混合した。懸濁液を2分間ホモジナイズし、次いでTween80を0.1%含む生理食塩水(PSS)で1:4に希釈した。懸濁液をボルテックスにかけ、試験表面を接種するのに用いるまで氷上に保持した。
【0075】
中和剤混合液は、50mlフラスコ中、Tween80 1.0%、レシチン1.0%、および濃縮カタラーゼ溶液50μl(Sigma、C100、42300単位/mg)を含むトリプトソイブロスから構成されていた。
【0076】
用いたCRA environmental Wipe Methodを以下に詳しく記載する。8×12インチ(20.32×30.48cm)片のラミネート加工したプラスチック製カウンターの覆いを、シリコーン接着剤で、ポリプロピレン製歯科トレイ(サイズB、Zirc Dental)に固定した。蓋およびトレイを、過酸化水素ガスプラズマ滅菌機によって滅菌した。試験生物懸濁液2mlを、滅菌2×2インチ(5.08×5.08cm)の綿を充填したガーゼスポンジで表面に適用した。表面を、バイオセーフティーキャビネット中、層流下で20〜30分乾燥させた。次いで、消毒薬(または水)3.5mlを滅菌ガーゼスポンジに適用し、これを用いて接種した試験表面を、重ね塗りで(左から右へ20回、その後上から下へ20回)約150gの圧力を用いて10秒間拭った。3分後、中和剤50mlでトレイを溢れさせ、ポリプロピレン製滅菌ブラシで1分間こすって生物体を除去および懸濁した。液体を回収し、生理食塩水(PSS)で1:10に段階希釈した。選択した希釈のチューブにおける生存生物体の数を、メンブランろ過によってアッセイした。1mlのアリコートを2枚ずつプレーティングした。メンブレンを、約100mlの滅菌PSSで洗浄し、Mycobacteria7H11寒天プレートに移した。プレートを、約3週間、37℃でインキュベートした。各々の上のコロニー数を計数し、対数値での減少および死滅のパーセント値を算出した。
【0077】
コントロールとして、試験懸濁液のタイターを、選択したPSS中1:10希釈の試験懸濁液のメンブランろ過アッセイを行うことによって算出した。中和剤9mlおよび消毒薬1mlの混合液に、1750CFUを含むタイターの1:10希釈100μlを接種することによって、中和剤コントロールを行った。これにより、チューブ中175CFU/mlがもたらされ、これを20分間静置した後希釈し、1ml試料を2本ずつ用いてメンブランろ過によってチューブをアッセイした。
【0078】
結果は以下の通りである。
【0079】
【表7】

タイターの結果は、ウシ型結核菌の最初の濃度は、調製した懸濁液1mlあたり1.75×107CFUであったことを示していた。試験表面の接種およびその後の乾燥により、水コントロールによって示された誘発を生成した。試験表面上の生存する桿菌の最初の濃度(S)は2.63×10であった。これらの手順からの結果により、対数値での減少(LR)および死滅のパーセント値(PK)を、式を用いて算出できた:1)LR=−Log(S/S)、式中S=消毒薬への曝露期間後の生存生物体の濃度、およびS=時間ゼロの生存生物体の最初の濃度。これらの値を以下の表18に示す。
【0080】
【表8】

中和コントロールのデータは、各試験溶液が十分に中和されていたことを示していた。観察された計数値はタイターのデータから予想されたものと類似していた。
【0081】
(実施例11)
合金を用いた死滅率の増強
ある種の合金が枯草菌の細菌の死滅率を増強する有効性を実証するために、過酸化水素0.5重量%、エタノール8重量%を含み、水分の残りがコロイド銀300ppmを含む組成物を調製した。水溶液がマンガンと銀合金の混合物を含んでいたこと(銀約300ppmおよびマンガン約7ppm)以外は同一である組成物を用いて、類似の組成物を調製した。死滅試験を行い、コロイド銀組成物を用いて30秒後、枯草菌の0.13logの低減、すなわち死滅率25.6%がもたらされた。コロイド銀−マンガン合金組成物を用いて死滅試験をやはり行い、30秒後、0.24logの低減、すなわち死滅42.6%がもたらされた。
【0082】
(実施例12)
消毒薬溶液の残存の死滅の性質
実施例1の消毒薬溶液を記載どおりに調製する。溶液を、細菌のコロニーを含むペトリ皿に適用する。細菌のコロニーを死滅させる。消毒薬溶液が見かけ上消失したように見えるまで、すなわち溶媒が蒸発した後まで、消毒薬溶液をペトリ皿に残存させる。追加の消毒薬溶液を加えないで、新規の活性の細菌のコロニーをペトリ皿上に移す。24時間内に、移植したコロニーは同様に死滅する。
【0083】
(実施例13)
消毒薬溶液の残存の死滅の性質
実施例12と同じであるが、消毒薬溶液を二液系を用いて作成しないで、成分を直接混合したものを用いることが異なる。
【0084】
本発明を、ある種の好ましい実施形態を参照に記載してきたが、当業者であれば、様々な改変、変更、省略を理解し、本発明の精神から逸脱することなしに代替を行うことができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲によってのみ制限されることが企図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の液体組成物および第2の液体組成物を含む二液消毒薬系であって、該第1の液体組成物は0.0005重量ppmから100000重量ppmの遷移金属または合金およびアルコールを含み、該第2の液体組成物は水およびペルオキシゲン化合物を含み、該第1および第2の液体組成物は組み合わされて消毒薬溶液が得られるように調合される、二液消毒薬系。
【請求項2】
前記第1の液体組成物が水を含む、請求項1に記載の系。
【請求項3】
前記アルコールが、前記第1の液体組成物中に約0.005重量%から99.99重量%存在する、請求項1に記載の系。
【請求項4】
前記アルコールが、前記第1の液体組成物中に0.05重量%から80重量%存在する、請求項1に記載の系。
【請求項5】
前記アルコールが、前記第1の液体組成物中に0.1重量%から50重量%存在する、請求項1に記載の系。
【請求項6】
前記アルコールがC〜C24アルコールである、請求項1に記載の系。
【請求項7】
前記C〜C24アルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項6に記載の系。
【請求項8】
前記C〜C24アルコールが多価アルコールである、請求項6に記載の系。
【請求項9】
前記多価アルコールがグリセロールである、請求項8に記載の系。
【請求項10】
前記多価アルコールがアルコール基を2個含む、請求項8に記載の系。
【請求項11】
前記多価アルコールがアルコール基を3個含む、請求項8に記載の系。
【請求項12】
前記遷移金属またはその合金がVI族からXI族の遷移金属またはその合金である、請求項1に記載の系。
【請求項13】
前記遷移金属またはその合金がX族からXI族の遷移金属またはその合金である、請求項1に記載の系。
【請求項14】
前記遷移金属またはその合金が、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、パラジウム、白金、銅、金、銀、マンガン、亜鉛、それらの合金、およびそれらの混合からなる群から選択される、請求項1に記載の系。
【請求項15】
前記遷移金属またはその合金がコロイド状の遷移金属またはその合金である、請求項1に記載の系。
【請求項16】
前記コロイド状の遷移金属またはその合金がコロイド銀である、請求項15に記載の系。
【請求項17】
前記コロイド状の遷移金属またはその合金が0.001μmから1.0μmの平均粒子径を有する、請求項15に記載の系。
【請求項18】
前記コロイド状の遷移金属またはその合金が0.030μmから0.5μmの平均粒子径を有する、請求項15に記載の系。
【請求項19】
前記遷移金属またはその合金がイオン性の遷移金属である、請求項1に記載の系。
【請求項20】
前記遷移金属またはその合金が、前記第1の液体組成物中に0.01重量ppmから20000重量ppm存在する、請求項1に記載の系。
【請求項21】
前記遷移金属またはその合金が、前記第1の液体組成物中に1重量ppmから5000重量ppm存在する、請求項1に記載の系。
【請求項22】
前記遷移金属またはその合金が、前記得られた消毒薬溶液中に15重量ppmから1500重量ppm存在する、請求項1に記載の系。
【請求項23】
前記ペルオキシゲンが過酸を含む、請求項1に記載の系。
【請求項24】
前記過酸が脂肪族の過酸である、請求項23に記載の系。
【請求項25】
前記過酸が芳香族の過酸である、請求項23に記載の系。
【請求項26】
前記過酸が、ペルオキシギ酸、ペルオキシ酢酸、ペルオキシシュウ酸、ペルオキシプロパン酸、過乳酸、ペルオキシブタン酸、ペルオキシペンタン酸、ペルオキシヘキサン酸、ペルオキシアジピン酸、ペルオキシクエン酸、ペルオキシ安息香酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項23に記載の系。
【請求項27】
前記ペルオキシゲンが、前記第2の液体組成物中に0.001重量%から80.0重量%存在する、請求項1に記載の系。
【請求項28】
前記ペルオキシゲンが、前記第2の液体組成物中に0.01重量%から30.0重量%存在する、請求項1に記載の系。
【請求項29】
前記ペルオキシゲンが、前記第2の液体組成物中に0.05重量%から15重量%存在する、請求項1に記載の系。
【請求項30】
前記ペルオキシゲンが、前記得られた消毒薬溶液中に0.01重量%から10重量%存在する、請求項1に記載の系。
【請求項31】
前記ペルオキシゲンが、前記得られた消毒薬溶液中に0.2重量%から5重量%存在する、請求項1に記載の系。
【請求項32】
前記ペルオキシゲンが、前記得られた消毒薬溶液中に0.3重量%から2重量%存在する、請求項1に記載の系。
【請求項33】
前記ペルオキシゲンが過酸化物である、請求項1に記載の系。
【請求項34】
前記過酸化物が過酸化水素である、請求項33に記載の系。
【請求項35】
前記過酸化物が金属過酸化物である、請求項33に記載の系。
【請求項36】
前記金属過酸化物が、過酸化ナトリウム、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウム、および過酸化ストロンチウム、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項35に記載の系。
【請求項37】
前記過酸化物が過酸化水素化物である、請求項33に記載の系。
【請求項38】
前記ペルオキシゲンが過酸および過酸化物を含む、請求項1に記載の系。
【請求項39】
前記消毒薬溶液が、アルデヒド、塩素含有組成物および臭素含有組成物、ヨードフォア含有組成物、フェノール含有組成物、および4級アンモニウム含有組成物を実質的に含まない、請求項1に記載の系。
【請求項40】
前記消毒薬溶液を、水を用いて所望の濃度に希釈することができる、請求項1に記載の系。
【請求項41】
前記第1の溶液がアルコゾルを含む、請求項1に記載の系。
【請求項42】
前記第1の液体組成物および前記第2の液体組成物が濃縮された形態であり、該組成物が、使用に備えて該第1の液体組成物、該第2の液体組成物、および前記得られた液体溶液の少なくとも1つに添加されるさらなる水を収容するように調合されている、請求項1に記載の系。
【請求項43】
使用に備えて前記第1の液体組成物にさらなる水が添加される、請求項42に記載の系。
【請求項44】
使用に備えて前記第2の液体組成物にさらなる水が添加される、請求項42に記載の系。
【請求項45】
使用に備えて前記得られた消毒薬溶液にさらなる水が添加される、請求項42に記載の系。
【請求項46】
消毒薬溶液を形成するために、第1の液体組成物と第2の液体組成物を混合するステップであって、該第1の液体組成物は0.0005重量ppmから100000重量ppmの遷移金属または合金およびアルコールを含み、該第2の液体組成物は水およびペルオキシゲン化合物を含む、ステップと、
得られた消毒薬溶液を表面と接触させることにより、該表面を消毒するステップと
を含む、表面を消毒する方法。
【請求項47】
前記混合ステップが、さらなる水を、使用に備えて前記第1の液体組成物、前記第2の液体組成物、および前記得られた溶液の少なくとも1つに添加することをさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
使用に備えて前記第1の液体組成物にさらなる水が添加される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
使用に備えて前記第2の液体組成物にさらなる水が添加される、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
使用に備えて前記得られた消毒薬溶液にさらなる水が添加される、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記第1の液体組成物が水を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項52】
前記アルコールが、第1の液体組成物中に約0.005重量%から99.99重量%存在する、請求項46に記載の方法。
【請求項53】
前記アルコールが、第1の液体組成物中に0.1重量%から50重量%存在する、請求項46に記載の方法。
【請求項54】
前記アルコールがC〜C24アルコールである、請求項46に記載の方法。
【請求項55】
前記C〜C24アルコールが多価アルコールである、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記多価アルコールがグリセロールである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記遷移金属またはその合金が、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、パラジウム、白金、銅、金、銀、マンガン、亜鉛、それらの合金、およびそれらの混合からなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項58】
前記遷移金属またはその合金がコロイド状の遷移金属またはその合金である、請求項46に記載の方法。
【請求項59】
前記コロイド状の遷移金属またはその合金がコロイド銀である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記コロイド状の遷移金属またはその合金が0.030μmから0.5μmの平均粒子径を有する、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記遷移金属またはその合金がイオン性の遷移金属である、請求項46に記載の方法。
【請求項62】
前記遷移金属またはその合金が、前記第1の液体組成物中に0.01重量ppmから20000重量ppm存在する、請求項46に記載の方法。
【請求項63】
前記遷移金属またはその合金が、前記得られた消毒薬溶液中に15重量ppmから1500重量ppm存在する、請求項46に記載の方法。
【請求項64】
前記ペルオキシゲンが過酸を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項65】
前記過酸が、ペルオキシギ酸、ペルオキシ酢酸、ペルオキシシュウ酸、ペルオキシプロパン酸、過乳酸、ペルオキシブタン酸、ペルオキシペンタン酸、ペルオキシヘキサン酸、ペルオキシアジピン酸、ペルオキシクエン酸、ペルオキシ安息香酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記ペルオキシゲンが、前記第2の液体組成物中に0.01重量%から30.0重量%存在する、請求項46に記載の方法。
【請求項67】
前記ペルオキシゲンが、前記得られた消毒薬溶液中に0.1重量%から10重量%存在する、請求項46に記載の方法。
【請求項68】
前記ペルオキシゲンが、前記得られた消毒薬溶液中に0.2重量%から5重量%存在する、請求項46に記載の方法。
【請求項69】
前記ペルオキシゲンが過酸化物である、請求項46に記載の方法。
【請求項70】
前記ペルオキシゲンが過酸および過酸化物を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項71】
前記消毒薬溶液が、アルデヒド、塩素含有組成物および臭素含有組成物、ヨードフォア含有組成物、フェノール含有組成物、および4級アンモニウム含有組成物を実質的に含まない、請求項46に記載の方法。
【請求項72】
前記第1の溶液がアルコゾルを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項73】
前記接触ステップが、前記得られた消毒薬溶液が形成された後に起こる、請求項46に記載の方法。
【請求項74】
前記接触ステップが、前記得られた消毒薬溶液が前記表面と接触している間に形成されるように、前記第1の溶液および前記第2の溶液が該表面と接触することによって起こる、請求項46に記載の方法。
【請求項75】
表面において消毒し、残留による死滅をもたらす方法であって、
該表面を、0.0005重量ppmから50000重量ppmの遷移金属または合金、アルコール、ペルオキシゲン化合物、および水を含む消毒薬溶液と接触させるステップ
を含み、
乾燥後、該消毒薬溶液の残留成分が表面上に残り、該表面と引き続き接触している細菌、ウイルス、または真菌の生物体の、残留による死滅を引き起こす、方法。
【請求項76】
前記アルコールが、前記消毒薬溶液中に約0.005重量%から99.99重量%存在する、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記アルコールが、前記消毒薬溶液中に0.1重量%から50重量%存在する、請求項75に記載の方法。
【請求項78】
前記アルコールがC〜C24アルコールである、請求項75に記載の方法。
【請求項79】
前記アルコールが多価アルコールである、請求項75に記載の方法。
【請求項80】
前記遷移金属またはその合金が、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、パラジウム、白金、銅、金、銀、マンガン、亜鉛、それらの合金、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項75に記載の方法。
【請求項81】
前記遷移金属またはその合金がコロイド状の遷移金属またはその合金である、請求項75に記載の方法。
【請求項82】
前記コロイド状の遷移金属またはその合金が0.030μmから0.5μmの平均粒子径を有する、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記遷移金属またはその合金がイオン性の遷移金属である、請求項75に記載の方法。
【請求項84】
前記遷移金属またはその合金が、前記消毒薬溶液中に15重量ppmから1500重量ppm存在する、請求項75に記載の方法。
【請求項85】
前記ペルオキシゲンが、ペルオキシギ酸、ペルオキシ酢酸、ペルオキシシュウ酸、ペルオキシプロパン酸、過乳酸、ペルオキシブタン酸、ペルオキシペンタン酸、ペルオキシヘキサン酸、ペルオキシアジピン酸、ペルオキシクエン酸、ペルオキシ安息香酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される過酸を含む、請求項75に記載の方法。
【請求項86】
前記ペルオキシゲンが、前記消毒薬溶液中に0.1重量%から10重量%存在する、請求項75に記載の方法。
【請求項87】
前記ペルオキシゲンが過酸化物である、請求項75に記載の方法。
【請求項88】
前記消毒薬溶液が、アルデヒド、塩素含有組成物および臭素含有組成物、ヨードフォア含有組成物、フェノール含有組成物、および4級アンモニウム含有組成物を実質的に含まない、請求項75に記載の方法。
【請求項89】
二液系を用いて前記消毒薬溶液を調製する、請求項75に記載の方法。
【請求項90】
個々の成分を直接混合することによって前記消毒薬溶液を調製する、請求項75に記載の方法。

【公表番号】特表2010−502609(P2010−502609A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526639(P2009−526639)
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【国際出願番号】PCT/US2007/018603
【国際公開番号】WO2008/027264
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(509052872)ソリューションズ バイオメッド, エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】