消火方法及び消火ヘッド
【課題】無駄な散水を防止すると共に、1つの消火ヘッドでも防護領域内の各部分に必要にして十分な散水が行えるようにする。
【解決手段】防護領域Dに散水する消火ヘッドSPであって:前記消火ヘッドは、防護領域境界部分D1に散水する遠投用デフレクタ12Aと、ヘッド直下部分D3に散水する近投用デフレクタ12Cと、前記防護領域境界部分と前記ヘッド直下部分の間D2に散水する中投用デフレク12Bと、を備えている。
【解決手段】防護領域Dに散水する消火ヘッドSPであって:前記消火ヘッドは、防護領域境界部分D1に散水する遠投用デフレクタ12Aと、ヘッド直下部分D3に散水する近投用デフレクタ12Cと、前記防護領域境界部分と前記ヘッド直下部分の間D2に散水する中投用デフレク12Bと、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、消火方法及び消火ヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
消火ヘッド、例えば、閉鎖型スプリンクラヘッドは、放水口を閉鎖する弁体と、該弁体を押さえる可溶合金と、前記放水口から噴出する消火水を分散せしめるデフレクタと、を備えている。このヘッドでは、火災の熱により可溶合金が溶融すると、弁体が放水口から離れて開弁し、放水口から吐き出される消火水はデフレクタにより分散されながら飛散する。
【0003】
このヘッドでは、例えば、該ヘッドを中心としてその半径約2〜3mの範囲内に満遍なく放水され、この範囲で発生した火災に有効に散水して消火する。ここでは、この有効散水範囲を「防護領域」と呼ぶことにする。防護領域内の散水密度は、該ヘッドの真下部分が防護領域境界部分より大きい。又、発熱速度と消火に必要な散水密度(Required Delivered Density 略して「RDD」という)との関係は、発熱速度(発熱総量)の大きさに比例してRDDが大きくなることが知られている(例えば、非特許文献1、参照)。
【0004】
【非特許文献1】「建築技術者の知っておきたい消火設備」(國川明輝著 理工図書)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
消火ヘッドは、火点からの距離によって動作する迄の時間が異なる。つまり、該ヘッドから離れた場所、例えば、防護領域境界部分、で火災が発生した場合には、該ヘッド直下部分で火災が発生した場合に比べ、動作するまでの時間が長くなるので、防護領域境界部分の散水密度を該ヘッド直下部分より大きくすることが要望される。
ところが、従来例では、前述のように、その設置場所から離れる程散水密度が小さくなるので、前記要望を満たすことができず、効果的な消火を行うことができないことがある。
【0006】
又、消火ヘッドは、通常複数のヘッドを正方形配置で天井に取り付け、隣接するヘッド同士の防護領域の境界部分は、二重、又は、四重に散水している。
しかし、この様にすると、防護領域境界部分で火災が発生した場合には、複数の消火ヘッドが火災を感知して作動するので、該防護領域境界部分に必要以上の散水がなされる。そのため、消火水が無駄になると共に、水損の問題も発生する。
【0007】
この発明は、上記事情に鑑み、無駄な散水を防止すると共に、1つの消火ヘッドでも防護領域内の各部分に必要にして十分な散水が行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、防護領域に散水する消火ヘッドであって:前記消火ヘッドは、前記防護領域内において該ヘッド直下部分より前記防護領域境界部分に多く散水をする遠方濃密散水手段を備えていることを特徴とする。
【0009】
前記遠方濃密散水手段は、少なくとも防護領域境界部分に散水する遠投用デフレクタと、ヘッド直下部分に散水する近投用デフレクタと、を備えた段状デフレクタ、又は、少なくとも防護領域境界部分に散水する遠投用大径孔と、該遠投用大径孔の下部に位置し、ヘッド直下部分に散水する近投用小径孔と備えた断面U字状デフレクタ、であることを特徴とする。
【0010】
前記遠方濃密散水手段は、少なくとも防護領域境界部分に散水する遠投用大径孔と、該遠投用大径孔の内側に設けられ、該ヘッド直下部分に散水する近投用小径孔とを備えた平板状デフレクタ、であることを特徴とする。
【0011】
消火ヘッドが、放水口と、該放水口を閉鎖する弁体と、該弁体を押さえる感熱部材と、を備えた閉鎖型スプリンクラヘッド、であることを特徴とする。
【0012】
この発明は、消火ヘッドを使用して防護領域に散水する消火方法であって:前記消火ヘッドの前記防護領域内における散水量は、該ヘッド直下部分より前記防護領域境界部分の方が多くなる様に散水され、前記散水量が、実験により得られた消火に必要な散水密度と散水半径との関係から決定されることを特徴とする。
【0013】
前記散水密度と散水半径との関係は、実験により得られた放水開始時の発熱速度と必要散水密度との関係と、ヘッド作動時の発熱速度と設置半径と、から求められることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
この発明は、消火ヘッドの防護領域内における散水量は、該ヘッド直下部分より前記防護領域境界部分の方が多くなる様に散水するので、防護領域内の各部分に必要にして十分な散水密度の散水を行うことができる。従って、無駄な散水がなくなるので、効率よく消火できるとともに、水損の発生も防止できる。
【0015】
つまり、スプリンクラヘッドSPのほぼ真下で火災が発生した時には、発生速度の小さい段階で放水を開始できる。この時には、火災の炎は近投領域D3にあるが、発熱速度が小さいので、少ない散水密度でも充分に消火可能である。これに対し、防護領域境界側D1で火災が発生したときは、スプリンクラヘッドSPが動作するまでには時間がかかり、動作時の発熱速度は大きくなる。しかし、遠投領域部D1の散水密度は大きくしてあるので、感知に時間がかかっても放水後は、すぐに火災を消火することができ、2以上のヘッドが動作することはほとんどない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本件発明者は、消火ヘッドからの距離(散水半径)と消火に必要な散水密度(RDD)との関係がわかれば、従来例の問題は解決できる、と考えた。そこで、前記両者の関係を知るため、次の実験を行った。
【0017】
消火実験:
図1に示す消火実験装置を用いて、クリブモデルに対し放水開始時の発熱速度とその消火に必要な散水密度(RDD)との関係を求めた。
【0018】
放水開始時の発熱速度とその消火に必要な散水密度(RDD)との関係は、図4に示すとおりの曲線になることがわかった。即ち、前記発熱速度w1、w2、w3(w1<w2<w3)に対応するRDDは、順次L1、L2、L3(L1<L2<L3)であり、両者は、ほぼ比例関係にある。従って、発熱速度wが大きいほど散水密度RDDも大きい。
【0019】
なお、図1において、Aはクリブ、Bは床面、Cは火点、Dは輻射計、Eは天井、F1、F2は熱電対、Rは部屋、SPは閉鎖型スプリンクラヘッド、をそれぞれ示す。
【0020】
フリーバーン実験:
図2に示す実験装置を用いて、天井高さ2.8mの場合のクリブモデルに対し、火点からの距離に応じたスプリンクラヘッドの作動時の発熱速度を実験により求めた。
【0021】
ヘッド作動時の発熱速度(kw)と設置半径即ち、消火ヘッドと火点との距離(m)との関係は、図5に示すとおりのほぼ直線になることがわかった。即ち、前記発熱速度w1、w2、w3(w1<w2<w3)に対応する設置半径は、順次r1、r2、r3(r1<r2<r3)であり、両者は、ほぼ比例関係にある。従って、設置半径rが大きいほど発熱速度wが大きくなる。なお、図2において、図1と同一図面符号は、その名称も機能も同一である。
【0022】
次に、上記図4の直線と図5の直線は、共に発熱速度(w)に関するものであるので、この発熱速度wを媒介として散水半径(r)と消火に必要な散水密度RDDとの関係を求めたところ、図3に示す様なほぼ直線状になることがわかった(この線を「r―RDD直線」ということにする)。
即ち、前記r1、r2、r3(r1<r2<r3)に対応する散水密度(RDD)は、順次L1、L2、L3(L1<L2<L3)であり、両者は、ほぼ比例関係にある。従って、散水半径rが大きいほど散水密度Lも大きくなる。
【0023】
そこで、防護領域内に散水する場合には、散水半径rと散水密度RDDとの関係(r―RDD直線)から、次の散水方法が好ましいことが理解できる。
(1)r―RDD直線に沿って散水半径rが大きくなる、即ち、ヘッド真下部分より離される、のに対応して、散水密度RDDが漸次大きくなるように散水する、第1の散水方法。
(2)r−RDD直線の散水密度RDDを、ヘッド真下部分より離れる方向に2段階以上の散水密度に区分し、例えば、散水半径r1迄の散水密度はL1(小散水密度領域部)、散水半径r1から散水半径r2までの散水密度はL2(中散水密度部)、散水半径r2から散水半径r3までの散水密度はL3(大散水密度部)、に区分して散水する、第2の散水方法。
【0024】
本発明の目的は、前記第1及び第2の散水方法のいずれを採用しても達成できるが、散水ヘッドの製作等の関係上、第2の消火方法がより実用的である。
そこで、本件発明者は、この第2の方法を実現するための消火ヘッドを開発すべく研究実験を重ね、次の様な消火ヘッドを完成させた。本件発明は、上記知見に基づくものである。
【0025】
消火ヘッドは、その防護領域内において該ヘッド直下部分より前記防護領域境界部分に多くの散水をする遠方濃密散水手段を備えていること。
【0026】
遠方濃密散水手段として代表的なものとして次のものがあること。
(1)少なくとも防護領域境界部分に散水する遠投用デフレクタと、ヘッド直下部分に散水する近投用デフレクタと、を備えた段状デフレクタ、
(2)少なくとも防護領域境界部分に散水する遠投用大径孔と、該遠投用大径孔の下部に位置し、ヘッド直下部分に散水する近投用小径孔と、を備えた断面U字状デフレクタ、
【0027】
(3)少なくとも防護領域境界部分に散水する遠投用大径孔と、該遠投用大径孔の内側に設けられ、ヘッド直下部分に散水する近投用小径孔とを備えた板状デフレクタ、
(4)少なくとも防護領域境界部分に散水する遠投用ノズルと、ヘッド直下部分に散水する近投用ノズルとからなるノズル手段。
【実施例】
【0028】
この発明の第1実施例を図6〜図11により説明する。
閉鎖型スプリンクラヘッドSPは、放水口1を有する本体3と、該本体3に螺着されている円筒状のフレーム5と、感熱部材としての可溶合金8の溶融により作動するリンク機構9と、該フレーム5の下方に位置し、伸縮自在なガイドロッド10に支持されているデフレクタ12と、前記可溶合金8を収容するシリンダ14に固定されている感熱板16と、を備えている。
【0029】
リンク機構9は、天壁と側壁を有する、断面コ字状のバランサ18を備えている。このバランサ18の天壁には、弁体7の突起部を嵌着する凹部が設けられ、又、側壁の下端は、第2ピストン20に当接している。このピストン20の先端部は、シリンダ14内の第1ピストン22を押圧し、そしてこの第1ピストン22は、可溶合金8を押圧している。
【0030】
デフレクタ12は、防護領域境界部分に散水する遠投用デフレクタ12Aと、該遠投用デフレクタ12Aの下側に配設された中投用デフレクタ12Bと、該中投用デフレクタ12Bの下側に配設された、ヘッド直下部分に散水する近投用デフレクタ12CAと、から構成されている。これらのデフレクタ12A〜12Cの軸心は、放水口1の軸心C上に位置している。
【0031】
遠投用デフレクタ12Aは、円板状に形成され、図8に示されているように、その中央部には弁体7の係止穴24が設けられている。このデフレクタ12Aには、4個の大形散水孔26が円周方向に等間隔(中心角90°)をおいて配設されている。この大形散水孔26は、大円弧状部26aと、小円弧状部26bと、前記両円弧状部26a,26bを連結するテーパー部26cと、から構成されているが、この形状、大きさ等は必要に応じて適宜選択される。
【0032】
中投用デフレクタ12Bは、円板状に形成されているが、図9に示しているように、その径は、遠投用デフレクタ12Aのそれより小さく、例えば、3/5の大きさである。このデフレクタ12Bには、爪12bと4個の中形散水孔28とが設けられている。爪12bは、外周縁部に立設され、又、中形散水孔28は、円周方向に等間隔(中心角90°)に配設されている。この中形散水孔28は、中円弧状部28aと、小円弧状部28bと、前記両円弧状部28a,28bを連結するテーパー部28cと、から構成されている。
【0033】
この中形散水孔28の位置関係を遠投用デフレクタ12Aの大形散水孔26と比較して説明する。中形散水口28の中心は、隣り合う大形散水孔26間の中央部に対向するように配設されている。即ち、大形散水孔26と中形散水孔28は45°ずれて配設されている。中形散水孔28の開口面積は、大形散水孔26のそれより小さく、例えば、1/5の大きさであるが、その開口面積や形状等は必要に応じて適宜選択できる。
【0034】
近投用デフレクタ12Cは、円板状に形成されているが、図10に示されているように、その径は、中投用デフレクタ12Bのそれより小さく、例えば、1/2の大きさである。このデフレクタ12Cには、爪12cと、5個の小形散水孔30と、4個の超小形散水孔32と、が設けられている。
【0035】
爪12cは、外周縁部に立設され、小形散水孔30は、前記中形散水孔28の開口面積より小さい円弧状長孔であり、円周方向に等間隔をおいて配設されている。この小形散水孔30の中心は、中形散水口28の位置関係で比較すると、隣り合う中形散水孔28間の中央部にほぼ対向するように配設されている。小形散水孔30の開口面積は、中形散水孔28のそれより小さく、例えば、1/3の大きさであるが、その開口面積や形状等は必要に応じて適宜選択できる。
【0036】
超小形散水孔32は前記小形散水孔30の開口面積より小さい円弧状長孔であり、例えば、1/2の大きさであるが、その開口面積や形状等は必要に応じて適宜選択できる。この散水孔32は、小形散水孔30より軸心C側に位置し、円周方向に等間隔をおいて配設され、遠投用デフレクタ12Aの大形散水孔26と対向する位置に設けられている。なお、中投用デフレクタ12Bと近投用デフレクタ12cの中心には、貫通孔が設けられ、火災動作時には、この貫通孔からリンク機構9が排出されるようになっている。
【0037】
次に本実施例の作動について説明する。
火災が発生し、消火ヘッドSPの可溶合金8が溶融すると、リンク機構9が分解し弁体7が放水口1から離れて開弁するとともに、デフレクタ12A,12B、12Cがガイドロッド10に案内されながら、落下し図7に示す様に、3段状態となる。この時、弁体7はアームガイド11に案内されながら落下し、遠投用デフレクタ12aの係止穴24に係止する。
この際、伸縮自在なガイドロッド10は、元の長さのほぼ3倍の長さになる。このガイドロッド10は、太ガイドロッド10aと、太ガイドロッド10a内に挿入される中ガイドロッド10bと、中ガイドロッド10b内に挿入される細ガイドロッド10cとから構成されて、各ガイドロッド10a〜10cに下端には、デフレクタ12A〜12Cに係止するストッパが設けられている。そして、ヘッド作動時にデフレクタ12A〜12cが水圧を受けると、太ガイドロッド10a内から順次中ガイドロッド10b、細ガイドロッド10cが伸びるように構成されている。
【0038】
放水口1から放出された消火水wは、弁体7に衝突して大形デフレクタ12A上に落下し、分散されながら外周縁から飛散しw1、防護領域境界部分即ち、遠投領域部D1に散布される(図11参照)。この領域部D1の散水密度RDDは、他の領域部D2、D3のそれよりも大きく、例えば、3.5〜4.5L/min/m2である。
【0039】
前記デフレクタ12A上に落下した消火水wの一部は、大形散水孔26から中投用デフレクタ12B上に落下する。この時、大形散水孔26と中形散水孔28との位置がずれているので、大形散水孔26から落下した消火水wが直接中形散水孔28内に落下することはない。
【0040】
中投用デフレクタ12B上に落下した消火水w1は、爪12bにより飛散方向を規制されながら外周縁部から飛散しw2、中投領域部D2に散布される。この中投領域部D2は、遠投領域部D1より散水密度RDDは小さく、例えば、2.7〜3.3/min/m2である。
【0041】
前記デフレクタ12B上に落下した消火水w1の一部は、中形散水孔28から近投用デフレクタ12C上に落下する。この時、中形散水孔28と小形散水孔30との位置がずれているので、中形散水孔28から落下した消火水w1が直接小形散水孔30内に落下することはない。
【0042】
近投用デフレクタ12C上に落下した消火水w2は、爪12cにより飛散方向を規制されながら外周縁部から飛散しw3、ヘッド直下部分を含む、近投領域部D3に散布される。
【0043】
前記デフレクタ12C上に落下した消火水w2の一部は、小形散水孔30及び超小形散水孔32からヘッド直下部分の近投領域部D3に落下する。この近投領域部D3は、他の領域部D1、D2より散水密度RDDが小さく、例えば、1.5〜2.5L/min/m2である。
【0044】
この様に散水ヘッドSPの防護領域D内における散水密度RDDは、スプリンクラヘッドSP直下部分が、防護領域境界部分より小さいので、発熱速度に沿った散水が行われる。そのため、消火水の無駄使いを省くことができると共に、過剰放水による水損の発生を防止することができる。
つまり、スプリンクラヘッドSPのほぼ真下で火災が発生した時には、発生速度の小さい段階で放水を開始できる。この時には、火災の炎は近投領域D3にあるが、発熱速度が小さいので、少ない散水密度でも充分に消火可能である。これに対し、防護領域境界側D1で火災が発生したときは、スプリンクラヘッドSPが動作するまでには時間がかかり、動作時の発熱速度は大きくなる。しかし、遠投領域部D1の散水密度は大きくしてあるので、感知に時間がかかっても放水後は、すぐに火災を消火することができ、2以上のヘッドが動作することはほとんどない。
【0045】
この発明の第2実施例を図12、図13により説明する。
この実施例の消火ヘッドは、フレーム自身に散水口を設け、火災時にその散水口から消火水を散水する様にしたマルチ形スプリンクラヘッドMSPである。
マルチ形スプリンクラヘッドMSPは、放水口41を有する本体43と、放水口41を開閉する弁体42と、該本体43に螺着されているフレーム45と、可溶合金48の溶融により分解するリンク機構49と、該可溶合金48を収容するシリンダ50に固定されている感熱板54と、を備えている。なお、本実施例においては、フレーム45により断面U字状デフレクタを構成している。
【0046】
リンク機構49は、弁体42に当接するバランサ53と、該バランサ53に当接する左右一対のアーム55と、該アーム55の上端面に係合するフレームの係止部56と、該アーム55の下端部を係止せしめるアーム支持板57と、シリンダ50に収容され、該アーム55により押圧される第2ピストン59と、第2ピストン59により押圧される第1ピストン61と、から構成されている。
【0047】
フレーム45は、円筒状に形成され、その内部には、係止部56が突設され、該係止部56の上部には、防護領域境界部分に散水する遠投用大径孔64が設けられ、その下部には中投用中径孔66とヘッド真下部分に散水する近投用小径孔68が設けられている。前記孔の開口面積は、遠投用大径孔64が最も大きく,近投用小径孔68が最も小さい。これらの孔の形状、個数、開口面積等は、必要に応じて適宜選択され、例えば、遠投用大径孔64からの散水量が近投用小径孔68からの散水量よりも多くなるように設計されている。
【0048】
次に本実施例の作動について説明する。
火災が発生し、消火ヘッドMSPの可溶合金48が溶融すると、リンク機構49が分解して弁体42が放水口41から離れて開弁するとともに、図13に示すように、弁体42はアームガイド40に案内されながらフレーム45の底部に当接する。
【0049】
放水口41から放出された消火水wは、弁体42の頭部42aに衝突して遠投用大径孔64から飛散しw1、図示しない防護領域の境界部分即ち、遠投領域部に散布される。この遠投領域部の散水密度RDDは、他の領域部よりも大きく、例えば、3.5〜4,5L/min/m2 である。
【0050】
前記消火水wの一部は、弁体42のフランジ部42bに衝突し、その一部は中投用中径孔66から飛散しw2、防護領域の中投領域部に散布され、又、他は近投用小径孔68から飛散しw3、防護領域のヘッド直下部分、即ち、近投用領域部に散布される。この領域部の散水密度RDDは、例えば、中投用領域部2.7〜3.3/min/m2、近投用領域部1.5〜2.5/min/m2である。
【0051】
この発明の第3実施例を図14、図15により説明する。
閉鎖型スプリンクラヘッドGSPは、放水口71を有する本体73と、該本体73に連続し、受台75が螺合されている支持フレーム77と、放水口71を閉鎖する弁体79と、一端が弁体79の挿入部に挿着され、他端が前記受台75に圧接する感熱部材としてのグラスバルブ80と、支持フレーム77の下端に固定されている平板状のデフレクタ82と、を備えている。
【0052】
このデフレクタ82は、円板状に形成され、その外周側には6個の防護領域境界部分に散水する遠投用大径孔84が設けられている。この孔84は、円周方向に等間隔に配設された円弧状長孔であるが、その形状、開口面積、個数等は必要に応じて適宜選択される。
【0053】
遠投用大径孔84の内側には、6個の中投用中径孔86が設けられている。この孔86は、円周方向に等間隔に配設された円弧状長孔であり、遠投用大径孔84より開口面積は小さく形成されている。この孔86の中心は、隣り合う遠投用大径孔84間の中央部を向いている。中投用中径孔86の形状、開口面積、個数等は必要に応じて適宜選択される。
【0054】
中投用中径孔86の内側には、6個のヘッド直下部分に散水する近投用小径孔88が設けられている。この孔88は、円周方向に等間隔に配設された円弧状長孔であり、中投用中径孔86より開口面積は小さく形成されている。この孔88の中心は、隣り合う中投用中径孔86間の中央部を向いている。小投用小径孔88の形状、開口面積、個数等は必要に応じて適宜選択される。
【0055】
次に本実施例の作動について説明する。
火災が発生し、消火ヘッドGSPのグラスバルブ80が破裂すると、弁体79が落下して開弁するとともに、消火水wがデフレクタ82に衝突する。この消火水wはデフレクタ82の外周縁から飛散しw1、図示しない防護領域境界部分即ち、遠投領域部に散布される。この領域部の散水密度RDDは、他の領域部のそれよりも大きい。
【0056】
前記消火水wの一部は、遠投用大径孔84、中投用中径孔86,近投用小径孔88を通って飛散する。遠投用大径孔84を通る消火水w1は図示しない防護領域の遠投領域部に、中投用中径孔86を通る消火水w2は中投領域部に,又、近投用小径孔88を通る消火水w3は近投領域部に、それぞれ散水される。前記領域部の散水密度RDDは、例えば、遠投用散水領域部3.5〜4.5L/min/m2、中投領域部2.7〜3.3L/min/m2、近投領域部1.5〜2.5L/min/m2、である。ここでは、デフレクタ82の孔84〜88の開口面積を外周側ほど大きくすることで遠方領域部に放水量を多くしている。
【0057】
この発明の第4実施例を図16により説明する。
この消火ヘッドCSPは防護領域境界部分に散水する遠投用ノズル90と、ヘッド直下分部に散水する近投用ノズル92と、を備えた開放型スプリンクラヘッドであり、感熱部93を具備する取付具96を介して図示しない消火配管に連結される。
【0058】
取付具96は、一端に配管連結口98を有し、他端に感熱部93の取付口103を有し、該両端間にヘッド連結口105を形成した筒状の本体106と,該他端側に挿着され、弁体102の移動を規制するガイド104と,該本体106内に設けられ、前記両連結口98,105間を遮断する弁体102と,該感熱部の取付口103に設けられ、前記弁体102を常時閉弁状態に支持し、火災発生時には感熱により開弁せしめるグラスバルブ108と,を備えている。
【0059】
なお、図16において110は弁体102に固定された弁棒、112はボール、114a,114bはグラスバルブ108の支持部材、をそれぞれ示す。
【0060】
この実施例の作動について説明する。
火災が発生し、取付具96のグラスバルブ108が破裂すると、弁体102が摺動して開弁するとともに、消火水wはヘッド連結口105を通って遠投用ノズル90及び近投用ノズル92に流れ込む。
【0061】
そのため、遠投用ノズル90に流れ込んだ消火水w1は、図示しない防護領域の遠投領域部に散布され、近投用ノズル92に流れ込んだ消火水w2は、防護領域の近投領域部に散水される。この消火ヘッドでは、防護領域を2つの区分、即ち、防護領域境界部分側の遠投領域部と、ヘッド直下側の近投領域部と、に区分して散水するが、その散水密度RDDは、例えば、遠投領域部は3.3〜4.5L/min/m2、近投領域部は1.5〜2.7L/min/m2である。
以上説明したように、本実施形態の各実施例の散水ヘッドは、実験により得られた消火に必要な散水密度と散水半径との関係(r−RDD直線)から散水量が決定される。
本実施例では、近投よりの遠投の散水量を増やすことが重要であり、デフレクタの個数は少なくとも2つあればよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】消火実験の実験装置を示す縦断面図である。
【図2】フリーバーン実験の実験装置を示す縦断面図である。
【図3】火点の散水密度と散水半径との関係を示すグラフである。
【図4】火点の散水密度と放水開始時の発熱速度との関係を示すグラフである。
【図5】設置半径と作動時の発熱速度との関係を示すグラフである。
【図6】本発明の第1実施例を示す縦断面図である。
【図7】開弁時の状態を示す縦断面図である。
【図8】遠投用デフレクタの平面図である。
【図9】中投用デフレクタの平面図である。
【図10】近投用デフレクタの平面図である。
【図11】防護領域を示す平面図である。
【図12】本発明の第2実施例を示す縦断面図である。
【図13】開弁時の状態を示す縦断面図である。
【図14】本発明の第3実施例を示す縦断面図である。
【図15】デフレクタの平面図である。
【図16】本発明の第4実施例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 放水口
3 本体
5 フレーム
7 弁体
8 可溶合金
9 リンク機構
10 ガイドロッド
12 デフレクタ
26 大形散水孔
28 中形散水孔
30 小形散水孔
32 超小形散水孔
【技術分野】
【0001】
この発明は、消火方法及び消火ヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
消火ヘッド、例えば、閉鎖型スプリンクラヘッドは、放水口を閉鎖する弁体と、該弁体を押さえる可溶合金と、前記放水口から噴出する消火水を分散せしめるデフレクタと、を備えている。このヘッドでは、火災の熱により可溶合金が溶融すると、弁体が放水口から離れて開弁し、放水口から吐き出される消火水はデフレクタにより分散されながら飛散する。
【0003】
このヘッドでは、例えば、該ヘッドを中心としてその半径約2〜3mの範囲内に満遍なく放水され、この範囲で発生した火災に有効に散水して消火する。ここでは、この有効散水範囲を「防護領域」と呼ぶことにする。防護領域内の散水密度は、該ヘッドの真下部分が防護領域境界部分より大きい。又、発熱速度と消火に必要な散水密度(Required Delivered Density 略して「RDD」という)との関係は、発熱速度(発熱総量)の大きさに比例してRDDが大きくなることが知られている(例えば、非特許文献1、参照)。
【0004】
【非特許文献1】「建築技術者の知っておきたい消火設備」(國川明輝著 理工図書)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
消火ヘッドは、火点からの距離によって動作する迄の時間が異なる。つまり、該ヘッドから離れた場所、例えば、防護領域境界部分、で火災が発生した場合には、該ヘッド直下部分で火災が発生した場合に比べ、動作するまでの時間が長くなるので、防護領域境界部分の散水密度を該ヘッド直下部分より大きくすることが要望される。
ところが、従来例では、前述のように、その設置場所から離れる程散水密度が小さくなるので、前記要望を満たすことができず、効果的な消火を行うことができないことがある。
【0006】
又、消火ヘッドは、通常複数のヘッドを正方形配置で天井に取り付け、隣接するヘッド同士の防護領域の境界部分は、二重、又は、四重に散水している。
しかし、この様にすると、防護領域境界部分で火災が発生した場合には、複数の消火ヘッドが火災を感知して作動するので、該防護領域境界部分に必要以上の散水がなされる。そのため、消火水が無駄になると共に、水損の問題も発生する。
【0007】
この発明は、上記事情に鑑み、無駄な散水を防止すると共に、1つの消火ヘッドでも防護領域内の各部分に必要にして十分な散水が行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、防護領域に散水する消火ヘッドであって:前記消火ヘッドは、前記防護領域内において該ヘッド直下部分より前記防護領域境界部分に多く散水をする遠方濃密散水手段を備えていることを特徴とする。
【0009】
前記遠方濃密散水手段は、少なくとも防護領域境界部分に散水する遠投用デフレクタと、ヘッド直下部分に散水する近投用デフレクタと、を備えた段状デフレクタ、又は、少なくとも防護領域境界部分に散水する遠投用大径孔と、該遠投用大径孔の下部に位置し、ヘッド直下部分に散水する近投用小径孔と備えた断面U字状デフレクタ、であることを特徴とする。
【0010】
前記遠方濃密散水手段は、少なくとも防護領域境界部分に散水する遠投用大径孔と、該遠投用大径孔の内側に設けられ、該ヘッド直下部分に散水する近投用小径孔とを備えた平板状デフレクタ、であることを特徴とする。
【0011】
消火ヘッドが、放水口と、該放水口を閉鎖する弁体と、該弁体を押さえる感熱部材と、を備えた閉鎖型スプリンクラヘッド、であることを特徴とする。
【0012】
この発明は、消火ヘッドを使用して防護領域に散水する消火方法であって:前記消火ヘッドの前記防護領域内における散水量は、該ヘッド直下部分より前記防護領域境界部分の方が多くなる様に散水され、前記散水量が、実験により得られた消火に必要な散水密度と散水半径との関係から決定されることを特徴とする。
【0013】
前記散水密度と散水半径との関係は、実験により得られた放水開始時の発熱速度と必要散水密度との関係と、ヘッド作動時の発熱速度と設置半径と、から求められることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
この発明は、消火ヘッドの防護領域内における散水量は、該ヘッド直下部分より前記防護領域境界部分の方が多くなる様に散水するので、防護領域内の各部分に必要にして十分な散水密度の散水を行うことができる。従って、無駄な散水がなくなるので、効率よく消火できるとともに、水損の発生も防止できる。
【0015】
つまり、スプリンクラヘッドSPのほぼ真下で火災が発生した時には、発生速度の小さい段階で放水を開始できる。この時には、火災の炎は近投領域D3にあるが、発熱速度が小さいので、少ない散水密度でも充分に消火可能である。これに対し、防護領域境界側D1で火災が発生したときは、スプリンクラヘッドSPが動作するまでには時間がかかり、動作時の発熱速度は大きくなる。しかし、遠投領域部D1の散水密度は大きくしてあるので、感知に時間がかかっても放水後は、すぐに火災を消火することができ、2以上のヘッドが動作することはほとんどない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本件発明者は、消火ヘッドからの距離(散水半径)と消火に必要な散水密度(RDD)との関係がわかれば、従来例の問題は解決できる、と考えた。そこで、前記両者の関係を知るため、次の実験を行った。
【0017】
消火実験:
図1に示す消火実験装置を用いて、クリブモデルに対し放水開始時の発熱速度とその消火に必要な散水密度(RDD)との関係を求めた。
【0018】
放水開始時の発熱速度とその消火に必要な散水密度(RDD)との関係は、図4に示すとおりの曲線になることがわかった。即ち、前記発熱速度w1、w2、w3(w1<w2<w3)に対応するRDDは、順次L1、L2、L3(L1<L2<L3)であり、両者は、ほぼ比例関係にある。従って、発熱速度wが大きいほど散水密度RDDも大きい。
【0019】
なお、図1において、Aはクリブ、Bは床面、Cは火点、Dは輻射計、Eは天井、F1、F2は熱電対、Rは部屋、SPは閉鎖型スプリンクラヘッド、をそれぞれ示す。
【0020】
フリーバーン実験:
図2に示す実験装置を用いて、天井高さ2.8mの場合のクリブモデルに対し、火点からの距離に応じたスプリンクラヘッドの作動時の発熱速度を実験により求めた。
【0021】
ヘッド作動時の発熱速度(kw)と設置半径即ち、消火ヘッドと火点との距離(m)との関係は、図5に示すとおりのほぼ直線になることがわかった。即ち、前記発熱速度w1、w2、w3(w1<w2<w3)に対応する設置半径は、順次r1、r2、r3(r1<r2<r3)であり、両者は、ほぼ比例関係にある。従って、設置半径rが大きいほど発熱速度wが大きくなる。なお、図2において、図1と同一図面符号は、その名称も機能も同一である。
【0022】
次に、上記図4の直線と図5の直線は、共に発熱速度(w)に関するものであるので、この発熱速度wを媒介として散水半径(r)と消火に必要な散水密度RDDとの関係を求めたところ、図3に示す様なほぼ直線状になることがわかった(この線を「r―RDD直線」ということにする)。
即ち、前記r1、r2、r3(r1<r2<r3)に対応する散水密度(RDD)は、順次L1、L2、L3(L1<L2<L3)であり、両者は、ほぼ比例関係にある。従って、散水半径rが大きいほど散水密度Lも大きくなる。
【0023】
そこで、防護領域内に散水する場合には、散水半径rと散水密度RDDとの関係(r―RDD直線)から、次の散水方法が好ましいことが理解できる。
(1)r―RDD直線に沿って散水半径rが大きくなる、即ち、ヘッド真下部分より離される、のに対応して、散水密度RDDが漸次大きくなるように散水する、第1の散水方法。
(2)r−RDD直線の散水密度RDDを、ヘッド真下部分より離れる方向に2段階以上の散水密度に区分し、例えば、散水半径r1迄の散水密度はL1(小散水密度領域部)、散水半径r1から散水半径r2までの散水密度はL2(中散水密度部)、散水半径r2から散水半径r3までの散水密度はL3(大散水密度部)、に区分して散水する、第2の散水方法。
【0024】
本発明の目的は、前記第1及び第2の散水方法のいずれを採用しても達成できるが、散水ヘッドの製作等の関係上、第2の消火方法がより実用的である。
そこで、本件発明者は、この第2の方法を実現するための消火ヘッドを開発すべく研究実験を重ね、次の様な消火ヘッドを完成させた。本件発明は、上記知見に基づくものである。
【0025】
消火ヘッドは、その防護領域内において該ヘッド直下部分より前記防護領域境界部分に多くの散水をする遠方濃密散水手段を備えていること。
【0026】
遠方濃密散水手段として代表的なものとして次のものがあること。
(1)少なくとも防護領域境界部分に散水する遠投用デフレクタと、ヘッド直下部分に散水する近投用デフレクタと、を備えた段状デフレクタ、
(2)少なくとも防護領域境界部分に散水する遠投用大径孔と、該遠投用大径孔の下部に位置し、ヘッド直下部分に散水する近投用小径孔と、を備えた断面U字状デフレクタ、
【0027】
(3)少なくとも防護領域境界部分に散水する遠投用大径孔と、該遠投用大径孔の内側に設けられ、ヘッド直下部分に散水する近投用小径孔とを備えた板状デフレクタ、
(4)少なくとも防護領域境界部分に散水する遠投用ノズルと、ヘッド直下部分に散水する近投用ノズルとからなるノズル手段。
【実施例】
【0028】
この発明の第1実施例を図6〜図11により説明する。
閉鎖型スプリンクラヘッドSPは、放水口1を有する本体3と、該本体3に螺着されている円筒状のフレーム5と、感熱部材としての可溶合金8の溶融により作動するリンク機構9と、該フレーム5の下方に位置し、伸縮自在なガイドロッド10に支持されているデフレクタ12と、前記可溶合金8を収容するシリンダ14に固定されている感熱板16と、を備えている。
【0029】
リンク機構9は、天壁と側壁を有する、断面コ字状のバランサ18を備えている。このバランサ18の天壁には、弁体7の突起部を嵌着する凹部が設けられ、又、側壁の下端は、第2ピストン20に当接している。このピストン20の先端部は、シリンダ14内の第1ピストン22を押圧し、そしてこの第1ピストン22は、可溶合金8を押圧している。
【0030】
デフレクタ12は、防護領域境界部分に散水する遠投用デフレクタ12Aと、該遠投用デフレクタ12Aの下側に配設された中投用デフレクタ12Bと、該中投用デフレクタ12Bの下側に配設された、ヘッド直下部分に散水する近投用デフレクタ12CAと、から構成されている。これらのデフレクタ12A〜12Cの軸心は、放水口1の軸心C上に位置している。
【0031】
遠投用デフレクタ12Aは、円板状に形成され、図8に示されているように、その中央部には弁体7の係止穴24が設けられている。このデフレクタ12Aには、4個の大形散水孔26が円周方向に等間隔(中心角90°)をおいて配設されている。この大形散水孔26は、大円弧状部26aと、小円弧状部26bと、前記両円弧状部26a,26bを連結するテーパー部26cと、から構成されているが、この形状、大きさ等は必要に応じて適宜選択される。
【0032】
中投用デフレクタ12Bは、円板状に形成されているが、図9に示しているように、その径は、遠投用デフレクタ12Aのそれより小さく、例えば、3/5の大きさである。このデフレクタ12Bには、爪12bと4個の中形散水孔28とが設けられている。爪12bは、外周縁部に立設され、又、中形散水孔28は、円周方向に等間隔(中心角90°)に配設されている。この中形散水孔28は、中円弧状部28aと、小円弧状部28bと、前記両円弧状部28a,28bを連結するテーパー部28cと、から構成されている。
【0033】
この中形散水孔28の位置関係を遠投用デフレクタ12Aの大形散水孔26と比較して説明する。中形散水口28の中心は、隣り合う大形散水孔26間の中央部に対向するように配設されている。即ち、大形散水孔26と中形散水孔28は45°ずれて配設されている。中形散水孔28の開口面積は、大形散水孔26のそれより小さく、例えば、1/5の大きさであるが、その開口面積や形状等は必要に応じて適宜選択できる。
【0034】
近投用デフレクタ12Cは、円板状に形成されているが、図10に示されているように、その径は、中投用デフレクタ12Bのそれより小さく、例えば、1/2の大きさである。このデフレクタ12Cには、爪12cと、5個の小形散水孔30と、4個の超小形散水孔32と、が設けられている。
【0035】
爪12cは、外周縁部に立設され、小形散水孔30は、前記中形散水孔28の開口面積より小さい円弧状長孔であり、円周方向に等間隔をおいて配設されている。この小形散水孔30の中心は、中形散水口28の位置関係で比較すると、隣り合う中形散水孔28間の中央部にほぼ対向するように配設されている。小形散水孔30の開口面積は、中形散水孔28のそれより小さく、例えば、1/3の大きさであるが、その開口面積や形状等は必要に応じて適宜選択できる。
【0036】
超小形散水孔32は前記小形散水孔30の開口面積より小さい円弧状長孔であり、例えば、1/2の大きさであるが、その開口面積や形状等は必要に応じて適宜選択できる。この散水孔32は、小形散水孔30より軸心C側に位置し、円周方向に等間隔をおいて配設され、遠投用デフレクタ12Aの大形散水孔26と対向する位置に設けられている。なお、中投用デフレクタ12Bと近投用デフレクタ12cの中心には、貫通孔が設けられ、火災動作時には、この貫通孔からリンク機構9が排出されるようになっている。
【0037】
次に本実施例の作動について説明する。
火災が発生し、消火ヘッドSPの可溶合金8が溶融すると、リンク機構9が分解し弁体7が放水口1から離れて開弁するとともに、デフレクタ12A,12B、12Cがガイドロッド10に案内されながら、落下し図7に示す様に、3段状態となる。この時、弁体7はアームガイド11に案内されながら落下し、遠投用デフレクタ12aの係止穴24に係止する。
この際、伸縮自在なガイドロッド10は、元の長さのほぼ3倍の長さになる。このガイドロッド10は、太ガイドロッド10aと、太ガイドロッド10a内に挿入される中ガイドロッド10bと、中ガイドロッド10b内に挿入される細ガイドロッド10cとから構成されて、各ガイドロッド10a〜10cに下端には、デフレクタ12A〜12Cに係止するストッパが設けられている。そして、ヘッド作動時にデフレクタ12A〜12cが水圧を受けると、太ガイドロッド10a内から順次中ガイドロッド10b、細ガイドロッド10cが伸びるように構成されている。
【0038】
放水口1から放出された消火水wは、弁体7に衝突して大形デフレクタ12A上に落下し、分散されながら外周縁から飛散しw1、防護領域境界部分即ち、遠投領域部D1に散布される(図11参照)。この領域部D1の散水密度RDDは、他の領域部D2、D3のそれよりも大きく、例えば、3.5〜4.5L/min/m2である。
【0039】
前記デフレクタ12A上に落下した消火水wの一部は、大形散水孔26から中投用デフレクタ12B上に落下する。この時、大形散水孔26と中形散水孔28との位置がずれているので、大形散水孔26から落下した消火水wが直接中形散水孔28内に落下することはない。
【0040】
中投用デフレクタ12B上に落下した消火水w1は、爪12bにより飛散方向を規制されながら外周縁部から飛散しw2、中投領域部D2に散布される。この中投領域部D2は、遠投領域部D1より散水密度RDDは小さく、例えば、2.7〜3.3/min/m2である。
【0041】
前記デフレクタ12B上に落下した消火水w1の一部は、中形散水孔28から近投用デフレクタ12C上に落下する。この時、中形散水孔28と小形散水孔30との位置がずれているので、中形散水孔28から落下した消火水w1が直接小形散水孔30内に落下することはない。
【0042】
近投用デフレクタ12C上に落下した消火水w2は、爪12cにより飛散方向を規制されながら外周縁部から飛散しw3、ヘッド直下部分を含む、近投領域部D3に散布される。
【0043】
前記デフレクタ12C上に落下した消火水w2の一部は、小形散水孔30及び超小形散水孔32からヘッド直下部分の近投領域部D3に落下する。この近投領域部D3は、他の領域部D1、D2より散水密度RDDが小さく、例えば、1.5〜2.5L/min/m2である。
【0044】
この様に散水ヘッドSPの防護領域D内における散水密度RDDは、スプリンクラヘッドSP直下部分が、防護領域境界部分より小さいので、発熱速度に沿った散水が行われる。そのため、消火水の無駄使いを省くことができると共に、過剰放水による水損の発生を防止することができる。
つまり、スプリンクラヘッドSPのほぼ真下で火災が発生した時には、発生速度の小さい段階で放水を開始できる。この時には、火災の炎は近投領域D3にあるが、発熱速度が小さいので、少ない散水密度でも充分に消火可能である。これに対し、防護領域境界側D1で火災が発生したときは、スプリンクラヘッドSPが動作するまでには時間がかかり、動作時の発熱速度は大きくなる。しかし、遠投領域部D1の散水密度は大きくしてあるので、感知に時間がかかっても放水後は、すぐに火災を消火することができ、2以上のヘッドが動作することはほとんどない。
【0045】
この発明の第2実施例を図12、図13により説明する。
この実施例の消火ヘッドは、フレーム自身に散水口を設け、火災時にその散水口から消火水を散水する様にしたマルチ形スプリンクラヘッドMSPである。
マルチ形スプリンクラヘッドMSPは、放水口41を有する本体43と、放水口41を開閉する弁体42と、該本体43に螺着されているフレーム45と、可溶合金48の溶融により分解するリンク機構49と、該可溶合金48を収容するシリンダ50に固定されている感熱板54と、を備えている。なお、本実施例においては、フレーム45により断面U字状デフレクタを構成している。
【0046】
リンク機構49は、弁体42に当接するバランサ53と、該バランサ53に当接する左右一対のアーム55と、該アーム55の上端面に係合するフレームの係止部56と、該アーム55の下端部を係止せしめるアーム支持板57と、シリンダ50に収容され、該アーム55により押圧される第2ピストン59と、第2ピストン59により押圧される第1ピストン61と、から構成されている。
【0047】
フレーム45は、円筒状に形成され、その内部には、係止部56が突設され、該係止部56の上部には、防護領域境界部分に散水する遠投用大径孔64が設けられ、その下部には中投用中径孔66とヘッド真下部分に散水する近投用小径孔68が設けられている。前記孔の開口面積は、遠投用大径孔64が最も大きく,近投用小径孔68が最も小さい。これらの孔の形状、個数、開口面積等は、必要に応じて適宜選択され、例えば、遠投用大径孔64からの散水量が近投用小径孔68からの散水量よりも多くなるように設計されている。
【0048】
次に本実施例の作動について説明する。
火災が発生し、消火ヘッドMSPの可溶合金48が溶融すると、リンク機構49が分解して弁体42が放水口41から離れて開弁するとともに、図13に示すように、弁体42はアームガイド40に案内されながらフレーム45の底部に当接する。
【0049】
放水口41から放出された消火水wは、弁体42の頭部42aに衝突して遠投用大径孔64から飛散しw1、図示しない防護領域の境界部分即ち、遠投領域部に散布される。この遠投領域部の散水密度RDDは、他の領域部よりも大きく、例えば、3.5〜4,5L/min/m2 である。
【0050】
前記消火水wの一部は、弁体42のフランジ部42bに衝突し、その一部は中投用中径孔66から飛散しw2、防護領域の中投領域部に散布され、又、他は近投用小径孔68から飛散しw3、防護領域のヘッド直下部分、即ち、近投用領域部に散布される。この領域部の散水密度RDDは、例えば、中投用領域部2.7〜3.3/min/m2、近投用領域部1.5〜2.5/min/m2である。
【0051】
この発明の第3実施例を図14、図15により説明する。
閉鎖型スプリンクラヘッドGSPは、放水口71を有する本体73と、該本体73に連続し、受台75が螺合されている支持フレーム77と、放水口71を閉鎖する弁体79と、一端が弁体79の挿入部に挿着され、他端が前記受台75に圧接する感熱部材としてのグラスバルブ80と、支持フレーム77の下端に固定されている平板状のデフレクタ82と、を備えている。
【0052】
このデフレクタ82は、円板状に形成され、その外周側には6個の防護領域境界部分に散水する遠投用大径孔84が設けられている。この孔84は、円周方向に等間隔に配設された円弧状長孔であるが、その形状、開口面積、個数等は必要に応じて適宜選択される。
【0053】
遠投用大径孔84の内側には、6個の中投用中径孔86が設けられている。この孔86は、円周方向に等間隔に配設された円弧状長孔であり、遠投用大径孔84より開口面積は小さく形成されている。この孔86の中心は、隣り合う遠投用大径孔84間の中央部を向いている。中投用中径孔86の形状、開口面積、個数等は必要に応じて適宜選択される。
【0054】
中投用中径孔86の内側には、6個のヘッド直下部分に散水する近投用小径孔88が設けられている。この孔88は、円周方向に等間隔に配設された円弧状長孔であり、中投用中径孔86より開口面積は小さく形成されている。この孔88の中心は、隣り合う中投用中径孔86間の中央部を向いている。小投用小径孔88の形状、開口面積、個数等は必要に応じて適宜選択される。
【0055】
次に本実施例の作動について説明する。
火災が発生し、消火ヘッドGSPのグラスバルブ80が破裂すると、弁体79が落下して開弁するとともに、消火水wがデフレクタ82に衝突する。この消火水wはデフレクタ82の外周縁から飛散しw1、図示しない防護領域境界部分即ち、遠投領域部に散布される。この領域部の散水密度RDDは、他の領域部のそれよりも大きい。
【0056】
前記消火水wの一部は、遠投用大径孔84、中投用中径孔86,近投用小径孔88を通って飛散する。遠投用大径孔84を通る消火水w1は図示しない防護領域の遠投領域部に、中投用中径孔86を通る消火水w2は中投領域部に,又、近投用小径孔88を通る消火水w3は近投領域部に、それぞれ散水される。前記領域部の散水密度RDDは、例えば、遠投用散水領域部3.5〜4.5L/min/m2、中投領域部2.7〜3.3L/min/m2、近投領域部1.5〜2.5L/min/m2、である。ここでは、デフレクタ82の孔84〜88の開口面積を外周側ほど大きくすることで遠方領域部に放水量を多くしている。
【0057】
この発明の第4実施例を図16により説明する。
この消火ヘッドCSPは防護領域境界部分に散水する遠投用ノズル90と、ヘッド直下分部に散水する近投用ノズル92と、を備えた開放型スプリンクラヘッドであり、感熱部93を具備する取付具96を介して図示しない消火配管に連結される。
【0058】
取付具96は、一端に配管連結口98を有し、他端に感熱部93の取付口103を有し、該両端間にヘッド連結口105を形成した筒状の本体106と,該他端側に挿着され、弁体102の移動を規制するガイド104と,該本体106内に設けられ、前記両連結口98,105間を遮断する弁体102と,該感熱部の取付口103に設けられ、前記弁体102を常時閉弁状態に支持し、火災発生時には感熱により開弁せしめるグラスバルブ108と,を備えている。
【0059】
なお、図16において110は弁体102に固定された弁棒、112はボール、114a,114bはグラスバルブ108の支持部材、をそれぞれ示す。
【0060】
この実施例の作動について説明する。
火災が発生し、取付具96のグラスバルブ108が破裂すると、弁体102が摺動して開弁するとともに、消火水wはヘッド連結口105を通って遠投用ノズル90及び近投用ノズル92に流れ込む。
【0061】
そのため、遠投用ノズル90に流れ込んだ消火水w1は、図示しない防護領域の遠投領域部に散布され、近投用ノズル92に流れ込んだ消火水w2は、防護領域の近投領域部に散水される。この消火ヘッドでは、防護領域を2つの区分、即ち、防護領域境界部分側の遠投領域部と、ヘッド直下側の近投領域部と、に区分して散水するが、その散水密度RDDは、例えば、遠投領域部は3.3〜4.5L/min/m2、近投領域部は1.5〜2.7L/min/m2である。
以上説明したように、本実施形態の各実施例の散水ヘッドは、実験により得られた消火に必要な散水密度と散水半径との関係(r−RDD直線)から散水量が決定される。
本実施例では、近投よりの遠投の散水量を増やすことが重要であり、デフレクタの個数は少なくとも2つあればよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】消火実験の実験装置を示す縦断面図である。
【図2】フリーバーン実験の実験装置を示す縦断面図である。
【図3】火点の散水密度と散水半径との関係を示すグラフである。
【図4】火点の散水密度と放水開始時の発熱速度との関係を示すグラフである。
【図5】設置半径と作動時の発熱速度との関係を示すグラフである。
【図6】本発明の第1実施例を示す縦断面図である。
【図7】開弁時の状態を示す縦断面図である。
【図8】遠投用デフレクタの平面図である。
【図9】中投用デフレクタの平面図である。
【図10】近投用デフレクタの平面図である。
【図11】防護領域を示す平面図である。
【図12】本発明の第2実施例を示す縦断面図である。
【図13】開弁時の状態を示す縦断面図である。
【図14】本発明の第3実施例を示す縦断面図である。
【図15】デフレクタの平面図である。
【図16】本発明の第4実施例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 放水口
3 本体
5 フレーム
7 弁体
8 可溶合金
9 リンク機構
10 ガイドロッド
12 デフレクタ
26 大形散水孔
28 中形散水孔
30 小形散水孔
32 超小形散水孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防護領域に散水する消火ヘッドであって:
前記消火ヘッドは、前記防護領域内において該ヘッド直下部分より前記防護領域境界部分に多く散水をする遠方濃密散水手段を備えていることを特徴とする消火ヘッド。
【請求項2】
前記遠方濃密散水手段は、少なくとも、防護領域境界部分に散水する遠投用デフレクタと、ヘッド直下部分に散水する近投用デフレクタと、を備えた段状デフレクタ、であることを特徴とする請求項1記載の消火ヘッド。
【請求項3】
前記遠方濃密散水手段は、少なくとも、防護領域境界部分に散水する遠投用大径孔と、該遠投用大径孔の下部に位置し、該ヘッド直下部分に散水する近投用小径孔とを備えた断面U字状デフレクタ、であることを特徴とする請求項1記載の消火ヘッド。
【請求項4】
前記遠方濃密散水手段は、少なくとも、防護領域境界部分に散水する遠投用大径孔と、該遠投用大径孔の内側に設けられ、該ヘッド直下部分に散水する近投用小径孔とを備えた平板状デフレクタ、であることを特徴とする請求項1記載の消火ヘッド。
【請求項5】
消火ヘッドが、放水口と、該放水口を閉鎖する弁体と、該弁体を押さえる感熱部材と、を備えた閉鎖型スプリンクラヘッドであることを特徴とする請求項1、2、3、又は、4記載の消火ヘッド。
【請求項6】
消火ヘッドを使用して防護領域に散水する消火方法であって:
前記消火ヘッドの前記防護領域内における散水量は、該ヘッド直下部分より前記防護領域境界部分の方が多くなる様に散水され、前記散水量が、実験により得られた消火に必要な散水密度と散水半径との関係から決定されることを特徴とする消火方法。
【請求項7】
前記散水密度と散水半径との関係は、実験により得られた放水開始時の発熱速度と必要散水密度との関係と、ヘッド作動時の発熱速度と設置半径と、から求められることを特徴とする請求項6記載の消火方法。
【請求項1】
防護領域に散水する消火ヘッドであって:
前記消火ヘッドは、前記防護領域内において該ヘッド直下部分より前記防護領域境界部分に多く散水をする遠方濃密散水手段を備えていることを特徴とする消火ヘッド。
【請求項2】
前記遠方濃密散水手段は、少なくとも、防護領域境界部分に散水する遠投用デフレクタと、ヘッド直下部分に散水する近投用デフレクタと、を備えた段状デフレクタ、であることを特徴とする請求項1記載の消火ヘッド。
【請求項3】
前記遠方濃密散水手段は、少なくとも、防護領域境界部分に散水する遠投用大径孔と、該遠投用大径孔の下部に位置し、該ヘッド直下部分に散水する近投用小径孔とを備えた断面U字状デフレクタ、であることを特徴とする請求項1記載の消火ヘッド。
【請求項4】
前記遠方濃密散水手段は、少なくとも、防護領域境界部分に散水する遠投用大径孔と、該遠投用大径孔の内側に設けられ、該ヘッド直下部分に散水する近投用小径孔とを備えた平板状デフレクタ、であることを特徴とする請求項1記載の消火ヘッド。
【請求項5】
消火ヘッドが、放水口と、該放水口を閉鎖する弁体と、該弁体を押さえる感熱部材と、を備えた閉鎖型スプリンクラヘッドであることを特徴とする請求項1、2、3、又は、4記載の消火ヘッド。
【請求項6】
消火ヘッドを使用して防護領域に散水する消火方法であって:
前記消火ヘッドの前記防護領域内における散水量は、該ヘッド直下部分より前記防護領域境界部分の方が多くなる様に散水され、前記散水量が、実験により得られた消火に必要な散水密度と散水半径との関係から決定されることを特徴とする消火方法。
【請求項7】
前記散水密度と散水半径との関係は、実験により得られた放水開始時の発熱速度と必要散水密度との関係と、ヘッド作動時の発熱速度と設置半径と、から求められることを特徴とする請求項6記載の消火方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−263217(P2006−263217A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−86668(P2005−86668)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】
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