説明

消臭布製品

【課題】作業効率を低下させずにアルデヒド類、アルカリ系化合物等の各種悪臭にバランス良く消臭効果を有し、沈殿物を低減した消臭剤を用いて加工された布製品を提供すること。
【解決手段】(a)重量平均分子量が5,000〜1,000,000である、酸無水物単量体単位を含む重合体と、
(b)亜硫酸塩と、
(c)保水剤及び/又は(d)光触媒と、
(e)無機多孔質体及び/又は無機層状物と、
(f)水と、
を含有してなる(P)消臭剤、
(Q)フッ素系樹脂、並びに、(R)界面活性剤、からなる(S)消臭性組成物を布製品表面に塗布後、乾燥してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消臭布製品に関する。特に、広範囲な悪臭に対して消臭効果に優れた消臭布製品に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維用消臭剤で、かつ光触媒を使用するものが種々提案されている。例えば、特許文献1には、光触媒と吸水性多孔質無機物とをアクリルシリコン系バインダーを用いて繊維に担持した繊維布帛が開示されている。特許文献2には、表面繊維層に対して、ヒドラジン誘導体と光触媒とからなる消臭材が、シリコン系バインダー樹脂により塗布され、カーペット裏面には、活性炭とヒドラジン誘導体を混入したバッキング組成物を塗布したカーペットが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−194652号公報
【特許文献2】特開2005−198684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
布製品の消臭においては、消臭剤を浸漬、噴霧、コーティングのような被覆加工法で加工すると乾燥時間が増え、作業効率が低下する上、カーペットやマットなどではパイルの根元部分や基布にも消臭剤が固着し、塗布量に見合った消臭効果が出ない。また、消臭剤のみで繊維表面に固着させると、固着強度が低いので、消臭剤の脱落が多くなって消臭効果が維持できない場合があった。
【0005】
一般に、アルデヒド消臭のためには、アミン化合物や亜硫酸ナトリウムのようなアルカリ性化合物が用いられる。これに対して、アンモニア消臭やトリメチルアミン消臭のためには、酸性化合物が用いられる。そして、アルカリ性化合物と酸性化合物とを一液で混合すると、各々反応してしまう。このため、一液で、かつ広範囲の種類の悪臭にわたってバランスの良い消臭性能を有する消臭剤を得ることは困難であった。
【0006】
無機系消臭材を多量に使用すると布製品の風合いが低下し、量が少ないと消臭性能が不十分となるので、無機物の量は適正に保たれる必要がある。一方、吸水性多孔質無機物や活性炭は、水分散液中では沈殿しやすいので、沈殿による水分散液中の無機物量変動を少なくする必要がある。布製品に消臭剤を塗布する加工工程において、沈殿物が発生すると再攪拌が必要になる。再攪拌を行うと、再攪拌に起因する気泡の為、作業効率が低下する場合があった。また、無機系消臭剤を多量に使用すると布製品の風合いが低下し、逆に量が少ないと消臭性能が不十分となる。
【0007】
アルデヒド類やアルカリ系化合物等の広範囲のガスに一液で消臭効果のある消臭物質は現在のところ開発されていない。またホルムアルデヒドの消臭には、ヒドラジン誘導体のようにアミノ基を持った消臭剤が高い効果を得られる事が知られているが、アミノ基は染色した布製品の耐光堅牢度を低下させるため、変退色が著しく目立つ場合が多く見られ、使用が困難であった。
【0008】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、アルデヒド類、アルカリ系化合物等の各種悪臭にバランス良く消臭効果を有し、沈殿物を低減した消臭剤を用いて、作業効率を低下させずに加工された、耐光堅牢度の低下を抑制した布製品を提供する事を目的とする。
【0009】
また、本発明は、一液で、アルデヒド類、トリメチルアミン、アンモニア等の各種悪臭にバランスよく消臭効果を有し、沈殿物を低減した消臭剤を用いて消臭加工された消臭布製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明によれば、(a)重量平均分子量が5,000〜1,000,000である、酸無水物単量体単位を含む重合体と、(b)亜硫酸塩と、(c)保水剤及び/又は(d)光触媒と、(e)無機多孔質体及び/又は無機層状物と、(f)水と、を含有してなる(P)消臭剤、(Q)フッ素系樹脂、並びに、(R)界面活性剤、からなる(S)消臭性組成物を布製品表面に塗布後、乾燥してなる消臭布製品を提供できる。
【0011】
また、本発明の好ましい態様によれば、成分(a)の配合量が0.05〜5重量部、成分(b)の配合量が0.5〜15重量部、成分(c)の配合量が0.5〜5重量部、成分(d)の配合量が0.05〜5重量部、成分(e)の配合量が0.001〜5重量部、成分(f)の配合量が45〜98.349重量部、成分(Q)の配合量が0.5〜15重量部、成分(R)の配合量が0.05〜5重量部(ただし、成分(a)+成分(b)+成分(c)+成分(d)+成分(e)+成分(f)+成分(Q)+成分(R)=100重量部)である(S)消臭性組成物を布製品表面に塗布後、乾燥してなることが望ましい。
【0012】
また、本発明の好ましい態様によれば、(S)消臭性組成物を発泡した状態で布製品表面に塗布し、その後乾燥してなることが望ましい。
【0013】
また、本発明の好ましい態様によれば、(d)光触媒が(d1)酸化亜鉛であることが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、消臭剤の成分を適切に調整することでアルデヒド類やアンモニア等に対してバランスよく消臭性能が発揮できる。光触媒を多孔質体の細孔内に吸着させたり、光触媒の周りを無機多孔質体で覆った消臭剤を使用することで、布製品の繊維との接触を避けることができる。このため光触媒の性能を保ちつつ、布製品の繊維の損傷を防止できるので、耐光堅牢度の低下や、布製品繊維の劣化を防止できる。特に、本発明を効果的に適用できる布製品であるカーペットやマットのような敷物の場合は、歩行による繊維の劣化が光触媒によって促進されることを抑えることができる。
【0015】
また、発泡による塗布により布製品の表面に消臭性組成物を均一に固着させる事で、悪臭を最も効率よく捉えることができる繊維表面に消臭剤を多く存在させることが出来、悪臭を吸着し易くなるとともに、光も当たり易くなることから、光触媒効果も発現し易くなる。
【0016】
さらにまた、防汚剤(例えばフッ素樹脂)と同浴で消臭加工することで、布製品繊維への消臭剤の固着強度の耐久性を向上させることができる。また、防汚加工と消臭加工を同時に施す事で、作業効率を低下させずに加工することが可能となる。さらに、防汚加工及び消臭加工は、布製品表面のみの加工なので塗布に必要な水と乾燥に必要な熱量を節約できる。
【0017】
また、沈殿しやすい消臭剤の調製としては、沈殿しやすいものをあらかじめ混合してから塗布するのではなく、別の経路を通して発泡させる直前に混合させて塗布することにより、効率よく攪拌することができ、沈殿を抑えることができる。また、無機物の量を調整することで、消臭性能を維持しつつ、風合いの低下を抑えることができる。
【0018】
布製品は、一般に日光に当たる事が多く、耐光堅牢度が低いと変退色が非常に目立つ。そのため、布製品においては、耐光堅牢度が非常に重要な要素となっている。
また、カーペットやマットなどのように敷物としての布製品は、壁や天井などに用いられる布製品とは異なって、人の歩行や台車、キャスターなどとの付加の高い接触が多い為、特に高い消臭剤の固着強度の耐久性が求められる。敷物としての布製品は、悪臭ガスのほとんどが空気よりも重いので接触し易いので、消臭加工を施す事で大面積での消臭が可能になる。
本発明の消臭布製品は、耐光堅牢度を損ねることなく、消臭加工を施せる上、高い耐久性を付与できる為、布製品への加工に適している。中でも、カーペットやマットなどのように敷物としての布製品は、より高い消臭剤の固着強度の耐久性が要求されるので、最も効果的に適用することができる。
【0019】
加えて、発泡した状態で塗布することにより、消臭剤を表面に均一に固着させ、悪臭を最も効率よく捉えることができる繊維表面に消臭剤を多く存在させることが出来る。また、布製品の繊維表面は悪臭に晒されやすいだけでなく光も当たり易いため、光触媒効果も発現し易い。フッ素樹脂などの防汚剤と同浴で消臭加工することで、耐久性を向上させることができる。さらに、防汚加工と同時に消臭加工を施す事で、作業効率を低下させずに加工することが可能であり、防汚加工及び消臭加工が布製品の表面のみの加工なので塗布に必要な水や乾燥に必要な熱量を節約できる。
【0020】
さらに、本発明の消臭性組成物は、一液で、アルデヒド類、トリメチルアミン、アンモニア等の各種悪臭に対してバランス良く消臭効果を有し、沈殿物を低減した消臭剤及びこの消臭剤を用いて消臭加工された布製品を提供できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に係る消臭布製品は、(a)重量平均分子量が5,000〜1,000,000である、酸無水物単量体単位を含む重合体と、(b)亜硫酸塩と、(c)保水剤及び/又は(d)光触媒と、(e)無機多孔質体及び/又は無機層状物と、(f)水と、を含有してなる(P)消臭剤、(Q)フッ素系樹脂、並びに、(R)界面活性剤、からなる(S)消臭性組成物を布製品表面に塗布後、乾燥してなるものである。
【0022】
次に、成分(a)の「酸無水物単量体単位を含む重合体」として、好適には「酸無水物単量体単位」と「他の単量体単位」とを含む共重合体を用いることができる。例えば、共重合体として、無水マレイン酸とスチレンとの共重合体、無水マレイン酸とメチルビニルエーテルとの共重合体等を挙げることができる。
【0023】
酸無水物単量体単位を含む重合体の好適な例における、「酸無水物単量体単位」と「他の単量体単位」との量比については、「酸無水物単量体単位」:「他の単量体単位」がモル比で1:3〜1:1、重量比で1:3〜2:1が望ましい。共重合体の例としては、上述したように無水マレイン酸とスチレンとの共重合体、無水マレイン酸とメチルビニルエーテルとの共重合体が挙げられる。酸無水物単量体単位を含む重合体の重量平均分子量は5,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜800,000のものが使用できる。
【0024】
また、成分(b)の亜硫酸塩としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸マグネシウムなどが挙げられる。
【0025】
成分(b):亜硫酸塩は、水和した状態とする事により消臭性能が向上する。このため、成分(b)に(c)保水剤を混合することにより、消臭性能を向上させる事ができる。
【0026】
また、成分(c)の保水剤として、グリセリン、トレハロース、ヒアルロン酸、セルロース類、寒天、高吸水性樹脂など保水性を示す化合物を使用できる。
【0027】
本発明における成分(d)である光触媒と成分(c)の保水剤は、一方のみ、又は、両者を併用して用いる。成分(d)である光触媒とは、例えば、紫外線や可視光などの光によって励起され、強い酸化力によって有機物を酸化分解するものである。この作用によって消臭機能を発揮する。光触媒としては、特に限定されないが、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。その中でも、好ましくは酸化チタン、酸化亜鉛であり、さらに好ましくは酸化亜鉛である。またこれらは、不純物ドープや格子欠陥導入などにより可視光応答型光触媒化処理したものであっても良い。
【0028】
また、成分(d)の光触媒として酸化亜鉛を用いた場合、特異的に蛍光灯下で光触媒性能を示す。このような光触媒を加えて、蛍光灯からの光を照射することで、室内環境でも効率良く悪臭を除去できることができる。
【0029】
また、成分(d)である光触媒は反応性が高いため、そのまま基材である繊維に接触させると繊維が劣化し、あるいは分解する可能性がある。そこで、成分(e)である無機多孔質体及び/又は無機層状物を加えることで、光触媒を多孔質体の細孔内に吸着させたり、光触媒の周りを無機多孔質体で覆うことができる。これにより、布製品の繊維との接触を避けられるとともに、光触媒の性能を保ちつつ、布製品の繊維の損傷を防止できる。
【0030】
成分(e)の無機多孔質体、無機層状物として、ハイドロタルサイト、ゼオライト、活性炭、シリカゲル、アルミナ、リン酸ジルコニウム、珪藻土、粘土などが使用できる。なお、無機多孔質体、無機層状物は、水に溶けない成分である。
【0031】
成分(Q)のフッ素系樹脂としては、例えば、旭硝子株式会社のアサヒガードAG-850(商品名)を用いることができる。
【0032】
また、防汚剤と同浴で消臭加工することで、防汚剤である(Q)フッ素系樹脂によって布製品の耐久性を向上させることができる。さらに、防汚加工と消臭加工を同時に施す事で、作業効率を低下させずに加工することが可能となるとともに、表面のみの加工ですむため塗布に必要な水、乾燥に必要な熱量を節約できる。
【0033】
成分(R)の界面活性剤としては、例えば、日華化学株式会社のビクセンF−320(商品名)を用いることができる。
【0034】
本発明における(P)消臭剤の好ましい組合せは、成分(a):酸無水物単量体単位を含む重合体と、成分(b):亜硫酸塩と、成分(c):保水剤と、成分(d):光触媒と、成分(e):無機多孔質体及び/又は無機層状物と、成分(f):水とを含有することが望ましい。
【0035】
また、本発明における(S)消臭性組成物は、(P)消臭剤と、成分(Q):フッ素樹脂及び成分(R):界面活性剤を全て含有するものが好ましい。
【0036】
この組合せのとき、成分(a)の配合量は、成分(a)、成分(b)、成分(c)、成分(d)、成分(e)、成分(f)、成分(Q)、及び成分(R)との合計量100重量部に対して、好ましくは0.05〜5重量部、より好ましくは0.5〜4重量部であることが望ましい。これらの範囲を超えて酸無水物単量体単位を含む重合体の割合が過大になると粘度が上がり、消臭剤を均一に塗布することが困難になってしまう。
【0037】
また、成分(b)の配合量は、成分(a)、成分(b)、成分(c)、成分(d)、成分(e)、成分(f)、成分(Q)、及び成分(R)との合計量100重量部に対して、好ましくは0.5〜15重量部、より好ましくは1〜12重量部であることが望ましい。亜硫酸塩の割合が過多であると、アルデヒド消臭の性能が劣ってしまう。また、亜硫酸塩の割合が過少であると、アミンの消臭の性能が劣るおそれがある。
【0038】
また、成分(c)の配合量は、成分(a)、成分(b)、成分(c)、成分(d)、成分(e)、成分(f)、成分(Q)、及び成分(R)との合計量100重量部に対して、好ましくは0.5〜5重量部、より好ましくは0.7〜3重量部であることが望ましい。
【0039】
また、成分(d)の配合量は、成分(a)、成分(b)、成分(c)、成分(d)、成分(e)、成分(f)、成分(Q)、及び成分(R)との合計量100重量部に対して、好ましくは0.05〜5重量部、より好ましくは0.5〜3重量部であることが望ましい。
【0040】
また、成分(e)の配合量は、成分(a)、成分(b)、成分(c)、成分(d)、成分(e)、成分(f)、成分(Q)、及び成分(R)との合計量100重量部に対して、好ましくは0.001〜5重量部、より好ましくは0.005〜1重量部であることが望ましい。成分(e)の割合が過多になると沈殿の発生が増え、作業効率が低下する。
【0041】
また、成分(f)の配合量は、成分(a)、成分(b)、成分(c)、成分(d)、成分(e)及び成分(f)との合計量100重量部に対して、好ましくは45〜98.349重量部、より好ましくは65〜96.245重量部であることが望ましい。
【0042】
また、成分(Q)の配合量は、成分(a)、成分(b)、成分(c)、成分(d)、成分(e)、成分(f)、成分(Q)、及び成分(R)との合計量100重量部に対して、好ましくは0.5〜15重量部、より好ましくは1〜10重量部であることが望ましい。フッ素系樹脂の量が少ないと、撥水性・撥油性能が不足して防汚性能が低下するばかりでなく、消臭剤を繊維上に保持することが出来ず、消臭性能も低下する。
【0043】
さらに、成分(R)の配合量は、成分(a)、成分(b)、成分(c)、成分(d)、成分(e)、成分(f)、成分(Q)、及び成分(R)との合計量100重量部に対して、好ましくは0.05〜5重量部、より好ましくは0.05〜2重量部であることが望ましい。
【0044】
本発明によれば、布製品の表面に、上述の成分(P)の消臭剤、成分(Q)のフッ素系樹脂、及び成分(R)の界面活性剤からなる、成分(S)の消臭性組成物を塗布後、乾燥してなる布製品を提供できる。
【0045】
布製品としては、例えば、敷物、カーテン、壁紙、ソファー地、テーブルクロス、などを挙げることができる。特に敷物としての製品としては、タイルカーペット、ロールカーペット、平織カーペット、ニードルパンチカーペット、自動車用ラインマット、ダストコントロールマット、ラグ、マット、人工芝を挙げることができる。このような敷物としての布製品は、歩行による繊維の劣化が光触媒によって促進される場合があので、本発明を効果的に適用することができる。
【0046】
成分(S)の消臭性組成物は、発泡した状態で布製品表面に塗布し、その後乾燥することが好ましい。発泡方法は特に制限されないが、消臭性組成物を含む水分散液に空気を吹き込んで発泡させる方法が好ましい。この際にはCannon B(日本キャノン社製)などの装置が好適に使用できる。また、泡塗布方法も特に制限されないが、発泡させた消臭性組成物水分散液の液面に繊維表面を接触させる方法が望ましい。このような塗布方法により表面に均一に固着させることができ、これにより、悪臭を最も効率よく捉えることができる布製品の繊維表面に消臭剤を多く存在させることが出来、悪臭を吸着し易くなる。また、布製品の表面は、光も当たり易く、光触媒効果も発現し易い。
【0047】
また、本発明の消臭布製品では、布製品にバインダーなしで、光触媒と複数の悪臭除去用消臭剤を担持できる。そして、アルデヒド類消臭に通常使用されるアミン化合物を使用せず、ほぼ完全に水溶性消臭剤成分としている。
【0048】
また、成分(a)、成分(b)、成分(c)、成分(d)及び成分(e)の量を調整することで、アルデヒド類やアンモニア等に対してバランスよく消臭性能が発揮できる。更に(d)光触媒として(d1)酸化亜鉛を加える事でメチルメルカプタンや硫化水素等の他の悪臭にも広範囲に性能を発揮する消臭剤を繊維表面上に固着させた消臭布製品を提供できる。また消臭剤と光触媒を併用する事で吸着のみならず、分解性能を有し、消臭効果を持続させる事が可能である。
【0049】
また、本発明の消臭布製品に塗布する(P)消臭剤においては、沈殿物を低減できる。このため、布製品に消臭剤を含有させる加工工程において、沈殿物の発生が少ない。この結果、再攪拌等が不要となる。従って、作業効率を向上できる。
【0050】
本発明の消臭布製品に塗布する(P)消臭剤としては、例えば、好適には、無水マレイン酸−メチルビニルエーテル共重合体0.1重量部(重量平均分子量(Mw)が5,000〜1,000,000のものを好適に使用できる)と、亜硫酸ナトリウム0.15重量部と、酸化亜鉛0.12重量部と、その他の成分として、例えば、ハイドロタルサイト、グリセリンとを含有するように調製する。この結果、アルデヒド類とアンモニアとに対して、バランス良く消臭性能を発揮できる。さらに、光触媒として酸化亜鉛を加えることで、後述するように、メチルメルカプタンや硫化水素等の他の悪臭にも広範囲に性能を発揮する消臭布製品を得ることができた。
【0051】
また、本発明の消臭布製品に係る消臭剤は、水溶性で、かつバインダーを使用しなくても繊維に固着し易い性質を有している。
【実施例】
【0052】
次に、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0053】
まず、実施例に係る消臭剤sa1が含有する消臭成分SA〜SEについて説明する。
【0054】
(消臭成分SA)
重量平均分子量6,000のスチレンと無水マレイン酸との共重合体(SMA1000)15重量部を70℃に加温した水85重量部に攪拌しながら投入して、消臭成分SAを調製した。
【0055】
(消臭成分SB)
亜硫酸ナトリウム(和光純薬社製)15重量部を水85重量部に溶かして、消臭成分SBを調製した。
【0056】
(消臭成分SC)
グリセリンを0.9重量部(固形成分)用いて、消臭成分SCを調製した。
【0057】
(光触媒LSQ)
また、超微粒子酸化亜鉛(和光純薬社製)40重量部を、分散剤(商品名ウルトラキサンタンV−7T)1重量部を加えた水に投入して、全量が100重量部となるようにホモジナイザーで強攪拌しながら、光触媒分散液を調製した。光触媒LSQは酸化亜鉛分散液である。
【0058】
(消臭成分SD)
ハイドロタルサイトを0.08重量部(固形成分)用いて、消臭成分SDを調製した。
【0059】
(フッ素系樹脂SQ)
アサヒガードAG-850を水溶液のまま10.0重量部用いて、フッ素樹脂SQを調製した。
【0060】
(界面活性剤SR)
ビクセンF−320を水溶液のまま1.0重量部用いて、界面活性剤SRを調製した。
【0061】
上述の消臭成分SA、消臭成分SB、消臭成分SC、光触媒LSQ、消臭成分SD、水、フッ素系樹脂SQ、及び界面活性剤SRを以下の表1に掲げる配合量(重量部)により混合し、実施例に係る消臭剤sa1、及び比較例に係る消臭剤sb1〜sb2を調製した。
【0062】
【表1】

【0063】
(消臭性能評価)
次に、各種悪臭ガスの消臭性能を評価するために、以下の手順で試料を作成した。試料として、実施例1に係る消臭布製品のほか、比較例1、比較例2に係る消臭布製品を作成した。
【0064】
[実施例1]
実施例1に係る消臭布製品は、未加工布製品基材としてポリエステル不織布上にナイロン繊維からなるパイル糸を目付600g/mとなるようにタフティングしたものを用いた。さらに、この未加工布製品基材に表面加工としてフッ素樹脂を0.75%o.w.fを塗布した。バッキング層としてはPVC(ポリ塩化ビニル)を使用してタイルカーペットを得た。消臭剤としては、表1に示す消臭剤sa1を用いた。
【0065】
[比較例1]
比較例1に係る消臭布製品は、未加工布製品基材としてポリエステル不織布上にナイロン繊維からなるパイル糸を目付650g/mとなるようにタフティングしたものを用いた。さらに、この未加工布製品基材に表面加工としてフッ素樹脂を0.75%o.w.f塗布した。バッキング層としてはPVCを使用してタイルカーペットを得た。消臭剤としては、表1に示す消臭剤sb1を用いた。
【0066】
[比較例2]
比較例2に係る消臭布製品は、未加工布製品基材としてポリエステル不織布上にナイロン繊維からなるパイル糸を目付600g/mとなるようにフティングしたものを用いた。さらに、この未加工布製品基材に表面加工としてフッ素樹脂を0.75%o.w.f塗布した。バッキング層としてはPVCを使用してタイルカーペットを得た。消臭剤としては、表1に示す消臭剤sb2を用いた。
〔比較例3〕
比較例3に係る消臭布製品は、基材としてポリエステル不織布上にナイロン繊維からなるパイル糸を目付600g/mとなるようにフティングしたものを用いた。さらに、この未加工布製品基材に表面加工としてフッ素樹脂を0.75%o.w.f塗布した。バッキング層としてはPVCを使用してタイルカーペットを得た。消臭剤としては、南姜エフニカ株式会社製エフニカK−50(商品名)を用いた。エフニカK−50には、アミノ基を持った消臭成分としてエチレンジアミン4酢酸が含まれる。
【0067】
(1)ホルムアルデヒド消臭性能
各種悪臭ガスのうち、ホルムアルデヒドの消臭性能を評価する方法について説明する。
上述の実施例1、比較例1、及び比較例2について、試験片(10cm×20cm角)を内容量3リットルの袋内に入れ、袋内に20ppmを目標にホルムアルデヒドを注入したところ初期濃度が16.7ppmになった。この試料について、0.5時間後のホルムアルデヒドガスの残存濃度を測定し、この測定値から各試験片がホルムアルデヒドを吸着除去した総量を算出し、これよりホルムアルデヒドガスの消臭率(%)を計算した。
【0068】
(2)アセトアルデヒド消臭性能
次に、アセトアルデヒドの消臭性能を評価する方法について説明する。
上述の実施例1、比較例1、及び比較例2について、試験片(20cm角)を内容量3リットルの袋内に入れ、袋内に20ppmを目標にアセトアルデヒドを注入したところ初期濃度が19.7ppmになった。この試料について、蛍光灯(6000Lx)照射下で22時間後の残存濃度を測定し、この測定値から各試験片がホルムアルデヒドを吸着除去した総量を算出し、これよりアセトアルデヒドガスの消臭率(%)を計算した。
【0069】
(3)アンモニア消臭性能
次に、アンモニアの消臭性能を評価する方法について説明する。
上述の実施例1、比較例1、及び比較例2について、試験片(10cm×20cm角)を内容量3リットルの袋内に入れ、袋内に200ppmを目標にアンモニアを注入したところ初期濃度が200ppmになった。この試料について、4時間後の残存濃度を測定し、この測定値から各試験片がアンモニアを吸着除去した総量を算出し、これよりアンモニアガスの消臭率(%)を計算した。
【0070】
(4)トリメチルアミン消臭性能
つづいて、トリメチルアミンの消臭性能を評価する方法について説明する。
上述の実施例1、比較例1、及び比較例2について、試験片(20cm角)を内容量3リットルの袋内に入れ、袋内に40ppmを目標にトリメチルアミンを注入したところ初期濃度が37ppmになった。この試料について、4時間後の残存濃度を測定し、この測定値から各試験片がトリメチルアミンを吸着除去した総量を算出し、これよりトリメチルアミンの消臭率(%)を計算した。
【0071】
(5)硫化水素消臭性能
次に、硫化水素の消臭性能を評価する方法について説明する。
上述の実施例1、比較例1、及び比較例2について、試験片(10cm×20cm角)を内容量3リットルの袋内に入れ、袋内に20ppmを目標に硫化水素を注入したところ初期濃度が21ppmになった。この試料について、4時間後の残存濃度を測定し、この測定値から各試験片が硫化水素を吸着除去した総量を算出し、これより硫化水素ガスの消臭率(%)を計算した。
【0072】
(6)メチルメルカプタン消臭性能
次に、メチルメルカプタンの消臭性能を評価する方法について説明する。
上述の実施例1、比較例1、及び比較例2について、試験片(20cm角)を内容量3リットルの袋内に入れ、袋内に20ppmを目標にメチルメルカプタンを注入したところ初期濃度が18.7ppmになった。この試料について、蛍光灯(6000Lx)照射下で22時間後の残存濃度を測定し、この測定値から各試験片がメチルメルカプタンを吸着除去した総量を算出し、これよりメチルメルカプタンガスの消臭率(%)を計算した。
【0073】
(7)酢酸消臭性能
次に、酢酸の消臭性能を評価する方法について説明する。
上述の実施例1、比較例1、及び比較例2について、試験片(10cm角)を内容量3リットルの袋内に入れ、袋内に40ppmを目標に酢酸を注入したところ初期濃度が42ppmになった。この試料について、0.5時間後の残存濃度を測定し、この測定値から各試験片が酢酸を吸着除去した総量を算出し、これより酢酸ガスの消臭率(%)を計算した。
【0074】
(8)イソ吉草酸消臭性能
次に、イソ吉草酸の消臭性能を評価する方法について説明する。
上述の実施例1、比較例1、及び比較例2について、試験片(10cm角)を内容量3リットルの袋内に入れ、袋内に40ppmを目標にイソ吉草酸を注入したところ初期濃度が38ppmになった。この試料について、2時間後の残存濃度を測定し、この測定値から各試験片がイソ吉草酸を吸着除去した総量を算出し、これよりイソ吉草酸ガスの消臭率(%)を計算した。
【0075】
上記各悪臭ガスについての消臭性能評価試験の結果を表2に示す。表2から分かるように、実施例1に係る消臭布製品は、いずれの悪臭ガスについても、比較例1及び比較例2に比して、高い消臭性能を発揮している。
ここで、消臭率(%)は次式(1)によりを算出した。
{([G]−[G])/[G]}×100 ・・・(1)
ただし、
[G]:初期の悪臭ガス濃度(初期濃度)
[G]:所定時間後の悪臭ガスの残存濃度
消臭率は、初期濃度に対する悪臭の減少率を示している。消臭率(単位:%)の数値が大きいほど消臭効果が大きいことを意味している。
【0076】
また、布製品は表面積が大きい為、未加工の布製品でも物理吸着が起こり、見かけ上消臭効果がある。比較例1と実施例1を比較すると同規格にもかかわらず、消臭能力に差があり、消臭加工の効果が現れている。また、比較例2よりも効果は大きく、実施例1に係る消臭加工布製品は各種の悪臭に対してバランスよく消臭性能を発揮する事が分かる。
【0077】
【表2】

【0078】
(堅牢度評価)
つづいて、堅牢度評価について説明する。
ホルムアルデヒドの消臭にはアミノ基を持った消臭剤が高い効果を得られることが知られている。しかしながら、アミノ基は、染色を施した布製品の耐光堅牢度を低下させるので布製品には使用が困難であった。また、消臭物質の中で光触媒は多くのガスに有効であるが、カーペットのパイルなどの繊維やフッ素樹脂を分解し、損傷させる場合があった。
【0079】
そこで、実施例1、比較例1、及び比較例3に係る消臭布製品を用い、下記の内容の試験を行い、消臭剤、光触媒が布製品に与える影響を調べた。
【0080】
(1)耐光堅牢度
JIS L 0842のカーボンアーク灯光に対する染色堅牢度試験方法に準じて試験を行った。すなわち、フェードメーター(63°C)にて所定時間照射後、ブルースケールにて変退色の程度を比較判定した。
【0081】
(2)摩擦堅牢度
JIS L 0849II法に準じて試験を行った。具体的には、摩擦子の先端に綿の白い布をつけ、試験機上に固定した布製品10cm間上を一定の荷重をかけて往復100回摩擦し、綿に移行した色の付着の程度を汚染用グレースケールと比較判定した。また、乾燥試験では、綿の白い布を乾燥した状態で擦り、湿潤試験では、綿の白い布に同重量の水を含ませた状態で擦った。
【0082】
(3)洗濯堅牢度
洗濯に対する染色堅牢度試験法JIS L 0844に準じて試験を行った。内径55mm程度、容積550mL程度の円筒状容器の中に白布(ナイロン、綿)を縫い付けた布製品と50°C・100ccの石鹸水とステンレス硬球を入れ、蓋をして密閉した上で回転運動を30分間加え、ナイロン(下表でNYと表示した。)、綿への色の移行と布製品の変退色具合を比較判定した。
【0083】
表3に堅牢度評価試験の結果を示す。表3から分かるように、比較例23の耐光堅牢度が著しく低下しているのに対して、実施例1は未加工である比較例1と差は無く、光触媒効果による劣化は見られない。さらに、耐光堅牢度以外の堅牢度も低下しておらず、消臭剤による影響は少ないと考えられる。
以上のことから光触媒は直接パイル部分に触れていないことがわかる。
【0084】
【表3】

【0085】
本実施形態に係る消臭布製品によれば、以下の効果を奏する。
(1)消臭剤を配合したことにより、悪臭をバランスよく消臭可能となる。
アルデヒド類やアルカリ系化合物等の広範囲のガスに一液で消臭効果のある消臭物質は現在のところ開発されていない。またホルムアルデヒドの消臭にはアミノ基を持った消臭剤が高い効果を得られる事が知られているが、アミノ基が布製品の耐光堅牢度を低下させ、布製品には使用が困難であった。
これに対して、本実施形態に係る消臭布製品のように消臭剤を調整することでアルデヒド類やアンモニア等に対してバランスよく消臭性能が発揮できる。
【0086】
(2)光触媒が直接母材(基材)に触れないので母材破壊が無い。
消臭物質の中で光触媒は多くのガスに有効であるが、布製品の繊維やフッ素樹脂まで分解し、損傷させる恐れがある。
これに対して、光触媒を多孔質体の細孔内に吸着させたり、光触媒の周りを無機多孔質体で覆った消臭剤を使用することで、布製品の繊維との接触を避けられる。このため光触媒の性能を保ちつつ、布製品の繊維の損傷を防止できるので、堅牢度の低下や、繊維の劣化を防止できる。
【0087】
(3)消臭加工を防汚加工と同浴にて発泡した状態で塗布することにより、布製品の表面に消臭剤を効率よく塗布することができる。
消臭剤を浸漬、噴霧、コーティングのような被覆加工法で加工すると乾燥時間が増え、作業効率が低下する上、カーペットやマットなどではパイルの根元部分や基布にも消臭剤が固着し、塗布量に見合った消臭効果が出ない。また、消臭剤のみで繊維表面に固着させると、固着強度が低いので、消臭剤の脱落が多くなって消臭効果が維持できない場合があった。
これに対して発泡した状態で塗布することにより表面に均一に固着させる事で、悪臭を最も効率よく捉えることができる繊維表面に消臭剤を多く存在させることが出来、悪臭を吸着し易くなる。また光も当たり易く、光触媒効果も発現し易い。フッ素樹脂などの防汚剤と同浴で加工することで、布製品の繊維への消臭剤の固着強度の耐久性を向上させることができる。防汚剤加工と同時に消臭加工を施す事で、作業効率を低下させずに加工が可能であり、表面のみの加工なので塗布に必要な水と乾燥に必要な熱量を節約できる。
【0088】
(4)沈殿防止について
無機系消臭材を多量に使用すると布製品の風合いが低下し、量が少ないと消臭性能が不十分となるので、無機物の量は適正に保たれる必要がある。吸水性多孔質無機物や活性炭は、水分散液中では沈殿しやすいので、沈殿による水分散液中の無機物量変動を少なくする必要がある。このため、布製品に消臭剤を塗布する加工工程において、沈殿物が発生すると再攪拌が必要になる。再攪拌を行うと、再攪拌に起因する気泡の為、作業効率が低下する場合があった。
これに対して、沈殿しやすい消臭剤の量を調整沈殿しやすい物をあらかじめ混合するのではなく、別の経路を通して発泡させる直前に混合させることにより、再攪拌を不要として、最攪拌による気泡の発生と沈殿を抑えることができた。
このような工程とすることによって、水分散液中の無機物の量を適正に調整することが可能となり、消臭性能を維持しつつ、風合いが低下しない布製品を得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0089】
以上のように、本発明に係る消臭布製品は、アルデヒド類、アルカリ系化合物等の各種悪臭に一液でバランス良く消臭効果を有し、かつ、沈殿物を低減した消臭剤を用いて、作業効率を低下することなく加工され、特に耐光堅牢度と消臭剤固着強度の耐久性を要する場合に有用である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)重量平均分子量が5,000〜1,000,000である、酸無水物単量体単位を含む重合体と、
(b)亜硫酸塩と、
(c)保水剤及び/又は(d)光触媒と、
(e)無機多孔質体及び/又は無機層状物と、
(f)水と、
を含有してなる(P)消臭剤、
(Q)フッ素系樹脂、並びに、(R)界面活性剤、からなる(S)消臭性組成物を布製品表面に塗布後、乾燥してなることを特徴とする消臭布製品。
【請求項2】
成分(a)の配合量が0.05〜5重量部であり、
成分(b)の配合量が0.5〜15重量部であり、
成分(c)の配合量が0.5〜5重量部であり、
成分(d)の配合量が0.05〜5重量部であり、
成分(e)の配合量が0.001〜5重量部であり、
成分(f)の配合量が45〜98.349重量部であり、
成分(Q)の配合量が0.5〜15重量部であり、
成分(R)の配合量が0.05〜5重量部(ただし、成分(a)+成分(b)+成分(c)+成分(d)+成分(e)+成分(f)+成分(Q)+成分(R)=100重量部)である(S)消臭性組成物を前記布製品表面に塗布後、乾燥してなる請求項1に記載の消臭布製品。
【請求項3】
成分(S)消臭性組成物を発泡した状態で前記布製品表面に塗布し、その後乾燥してなる請求項1または請求項2に記載の消臭布製品。
【請求項4】
成分(d)光触媒が(d1)酸化亜鉛である請求項1に記載の消臭布製品。

【公開番号】特開2009−209498(P2009−209498A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−56174(P2008−56174)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(000222495)東リ株式会社 (94)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【Fターム(参考)】