説明

消臭抗菌材料

【課題】 排泄物が排泄された直後から腐敗臭が発生するまでの長い時間にわたって、種々の悪臭に対する消臭抗菌効果が発現し得る消臭抗菌材料を提供すること。
【解決手段】 本発明の消臭抗菌材料は、抗菌性を有する金属を含むカンクリナイト様鉱物と、SiO2/Al23のモル比が30〜900であるゼオライトとを、1/99〜50/50の重量比で含有する。カンクリナイト様鉱物及びゼオライトは、高吸収性ポリマーに付着した状態になっているか、合成樹脂からなる繊維中に練り込まれた状態になっているか、繊維材料に付着した状態になっているか、又は造粒された粉粒体の状態になっていることが好ましい。更に粘度鉱物(但し前記ゼオライトは除く)が含まれていることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は消臭抗菌材料に関する。また本発明は該消臭抗菌材料を含む吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は先に、カンクリナイト様鉱物を含む消臭抗菌繊維製品を提案した(特許文献1参照)。カンクリナイト様鉱物は消臭能及び抗菌能を有する物質であり、これを繊維材料に付着させてなる消臭抗菌繊維製品は、消臭能及び抗菌能が極めて高くなる。従ってこの消臭抗菌繊維製品を例えば使い捨ておむつや生理用ナプキンなどの吸収性物品に含ませておくことで、排泄物に起因する悪臭の発生や雑菌の発生を効果的に防止することができる。特に、カンクリナイト様鉱物は、硫黄原子を含む腐敗臭原因物質の消臭効果に優れている。
【0003】
腐敗臭は、排泄物が排泄されてから一定時間を経過した後に発生するものである。一方、排泄物の排泄直後は、初期臭としてケトン類を主とする悪臭原因物質が発生する。しかしカンクリナイト様鉱物は、初期臭の主たる物質であるケトン類の消臭効果に関しては向上の余地がある。
【0004】
前記のカンクリナイト様鉱物とは別に、ゼオライトを消臭剤として使用することが種々提案されている。例えばシリカ多形体、及びSiO2/Al23のモル比が少なくとも35のゼオライトの混合物を吸着的除去用組成物として用い、これをおむつに含ませることが提案されている(特許文献2参照)。特許文献2ではこの組成物が、(イ)脂肪酸及びアルデヒド、(ロ)メルカプタン等の硫黄含有有機化合物、(ハ)脂肪族アミン等の窒素含有有機化合物などの消臭に効果があるとされている。しかし、ケトン類の消臭効果に関しての記述はない。
【0005】
また、SiO2/Al23のモル比が30以上の疎水性ゼオライトを消臭剤として配合した体液吸収性物品も提案されている(特許文献3参照)。特許文献3では、ゼオライトを疎水性にすることで、水分の存在する環境下においてもゼオライトの消臭性能が維持されるようにしている。しかし、ゼオライトを疎水性にすることで、ケトン類の消臭効果が向上することについては記載されていない。
【0006】
【特許文献1】特開2004−244789号公報
【特許文献2】特公平7−4503号公報
【特許文献3】特開2001−46423号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明の目的は、前述した従来技術の消臭剤に比較して性能が更に向上した消臭抗菌材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、抗菌性を有する金属を含むカンクリナイト様鉱物(以下、これを金属置換カンクリナイト様鉱物という)と、SiO2/Al23のモル比が30〜900であるゼオライトとを、1/99〜50/50の重量比で含有する消臭抗菌材料を提供することにより前記目的を達成したものである。
【0009】
また本発明は、前記の消臭抗菌材料を含む吸収性物品を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の消臭抗菌材料は、カンクリナイト様鉱物とゼオライトとの相乗作用によって、排泄物が排泄された直後から腐敗臭が発生するまでの長い時間にわたって、種々の悪臭に対する消臭抗菌効果が発現するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の消臭抗菌材料はゼオライトを含んでいる。本発明において用いられるゼオライトは、SiO2/Al23のモル比が30〜900、好ましくは100〜700、更に好ましくは200〜600のものである。以下、このゼオライトを、SiO2の割合が高いことからハイシリカゼオライトという。ゼオライト自体は親水性の材料であるのに対して、ハイシリカゼオライトは一般に疎水性であると言われている(例えば前記の特許文献3参照)。SiO2/Al23のモル比が30未満である親水性のゼオライトは、これを経血等の体液から発生する悪臭物質の消臭に用いた場合、経血中の水分を吸着してしまい、悪臭物質の消臭効果が不十分であるとされている。そこで従来は、SiO2/Al23のモル比を30以上に調整し、ゼオライトを疎水性にして水分の存在する環境下においても悪臭物質の消臭効果が発現するようにしていた。
【0012】
これに対して本発明者らは、ゼオライトの親水性/疎水性の観点からではなく、悪臭物質の種類に応じた消臭効果を発現させる観点からゼオライトのSiO2/Al23のモル比を検討したところ、意外にもSiO2/Al23のモル比が前記範囲となることで、悪臭物質の一種であるケトン類の消臭効果が極めて高くなることを知見した。ケトン類は人体から排泄される排泄物から発生する悪臭物質のうち排泄直後に発生する初期臭の主たる原因物質である。先に説明した金属置換カンクリナイト様鉱物は、排泄物が排泄されてから一定時間経過後に発生する腐敗臭に対する消臭効果は高いものの、初期臭であるケトン類の消臭効果は腐敗臭に比較すると低いレベルにとどまる。従って、初期臭であるケトン類の消臭効果が高いハイシリカゼオライトと金属置換カンクリナイト様鉱物とを組み合わせて使用することの相乗作用によって、排泄物が排泄された直後から腐敗臭が発生するまでの長い時間にわたって消臭抗菌効果が発現する。
【0013】
ハイシリカゼオライトの調製方法に特に制限はない。例えば天然ゼオライト又は合成ゼオライトを出発原料として用い、脱アルミニウム処理する方法が挙げられる。また、シリカ源、アルミナ源、アルカリ源及び有機鉱化剤を混合して結晶化を行う直接合成法を用いることもできる。
【0014】
脱アルミニウム処理して調製されたハイリシカゼオライトとしては、例えば脱アルミニウムモルデナイト、超安定化Y型ゼオライト、超安定化L型ゼオライト等が知られている。一方、直接合成法によって調製されたハイシリカゼオライトとしては、例えばZSM−11、ZSM−12、ZSM−21、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−35等が知られている。
【0015】
前記の何れの方法で調製された場合であっても、ハイシリカゼオライトの粒径は0.1〜5000μm、特に1〜1000μmであることが、散布法、混合法、抄紙法などによってハイシリカゼオライトを添加する工程において、その飛散などを防止し得る点や、均一に添加し得る点から好ましい。
【0016】
次に、前記のハイシリカゼオライトと併用される、金属置換カンクリナイト様鉱物について説明する。金属置換カンクリナイト様鉱物は、カンクリナイト様鉱物中の金属元素が、抗菌性を有する金属元素で置換されたものである。
【0017】
カンクリナイト様鉱物は、アルミノシリケート系化合物に類似の構造を有するものである。本発明においてカンクリナイト様鉱物とは、JCPDS(ジョイント・コミッティ・ オン・パウダー・ディフラクション・スタンダーズ)No.20−379、20−743、25−776、25−1499、25−1500、30−1170、31−1272、34−176、35−479、35−653、38−513、38−514、38−515及び45−1373からなる群より選ばれる1種以上のX線回折パターンを有するものをいう。X線回折パターンにおいて、d=0.365±0.015nmに主たるピークを有するものが好ましい。
【0018】
金属置換カンクリナイト様鉱物は、広い消臭スペクトルをもち、種々の悪臭、例えばアンモニア、アミン、ピリジン等のアルカリ性臭、低級脂肪酸、メルカプタン等の酸性臭、その他エステル、ケトン、アルデヒド等の中性臭からなる悪臭に対して良好な消臭作用を有する。また、高い抗菌作用を示すことも判明した。特に人体から排泄される排泄物の腐敗臭に対して良好な消臭作用を有する。金属置換カンクリナイト様鉱物は、その使用量が少なくても高い消臭抗菌作用を示す。その上、金属置換カンクリナイト様鉱物の粒子は、テトラポッド状、金平糖状ないしウニ状の形状を有し、その形状に起因してパルプなどの繊維への付着性が極めて良い。
【0019】
金属置換カンクリナイト様鉱物としては、以下の組成式(1)で表されるものを用いることが好ましい。
sM(1)xy・tM(2)2O・Al23・uSiO2・vRmn・wH2O (1)
式中、M(1)は抗菌性を有する金属を表し、M(2)はNa、K及びHからなる群より選ばれる1種以上の元素を表し、RはNa、K、Ca及びMgからなる群より選ばれる1種以上の元素を表し、QはCO3、SO4、NO3、OH及びClからなる群より選ばれる1種以上の原子団を表し、sは0<s≦3、tは0≦t≦3(但し、s+t=0.5〜3である)、uは0.5≦u≦6、vは0<v≦2、wはw≧0、xは1≦x≦2、yは1≦y≦3、mは1≦m≦2、nは1≦n≦3を満たす。
【0020】
式(1)中、M(1)は、含硫黄系悪臭に対する消臭能の高さから好ましくはAg、Zn又はCuであることが好ましく、特にAgであることが好ましい。M(1)は一種類でもよく或いは二種類以上の組み合わせでもよい。M(1)が二種類以上の組み合わせである場合、sM(1)xyの項は、各元素に対応した項ごとに分けて記載される。たとえば、M(1)が、金属元素D及びD’からなる場合、sM(1)xyは、s1x1y1・s2x2y2(ただし、x1+x2=x、y1+y2=y、s1+s2=sである)と表される。その他の項についても同様である。
【0021】
M(2)は、高い消臭能の発現及び経済性の観点から、好ましくはNa及び/又はHである。Rは、M(2)と同様の観点から、好ましくはNa、Ca及びMgからなる群より選ばれる1種以上の金属元素であり、更に好ましくはNaである。Qは、粒子の形態制御の容易性の観点から、好ましくはCO3及び/又はNO3である。
【0022】
sは、高い消臭能の発現及び経済性の観点から、好ましくは0<s≦2、更に好ましくは0<s≦1である。tは、金属置換カンクリナイト様鉱物の水分散液(後述の1重量%水分散液)のpHを良好に保つ観点から、好ましくは0≦t≦2、更に好ましくは0≦t≦1である。s+tは、好ましくは0.5〜1.8、更に好ましくは0.6〜1.5である。uは、高い消臭能の発現の観点から、好ましくは0.5≦u≦5、更に好ましくは0.5≦u≦4である。vは、粒子形態制御の容易性の観点から、好ましくは0<v≦1.5、更に好ましくは0<v≦1である。wは金属置換カンクリナイト様鉱物に含まれる水の含有率(モル比)であり、金属置換カンクリナイト様鉱物の存在形態、たとえば、粉末状、スラリー状などの形態によって変化する。xとy、及びmとnは、それぞれ、M(1)とOとの組み合わせにより、及びRとQとの組み合わせに応じて任意に決まる。
【0023】
金属置換カンクリナイト様鉱物はその比表面積が、1m2/g以上70m2/g未満であることが好ましく、1〜65m2/gであることが更に好ましく、30〜65m2/gであることが一層好ましい。比表面積がこの範囲内であれば、抗菌性を有する金属を適度に固定又は担持させることができ、含硫黄系悪臭に対して優れた消臭能が発揮されるようになる。金属置換カンクリナイト様鉱物の比表面積は、例えば、後述するように、原料アルミノシリケート粒子(原料として用いられるアルミノシリケート粒子)を適度に酸処理することで、所定の範囲に調整することができる。比表面積は、フローソーブ2300型(島津製作所製)を使用して測定する。試料は0.1gとし、吸着ガスにN2/He=30/70(容積比)の混合ガスを用いる。
【0024】
金属置換カンクリナイト様鉱物は、含硫黄系悪臭の消臭能を高める観点から、その1重量%水分散液のpHが7以上であることが好ましく、8以上であることが更に好ましく、9以上であることが一層好ましい。金属置換カンクリナイト様鉱物の1重量%水分散液のpHは、後述する方法によって求められる。
【0025】
金属置換カンクリナイト様鉱物においては、M(1)成分が、含硫黄系悪臭を吸着することによって消臭能が発現する。従って、優れた消臭力を発現させる観点から、金属置換カンクリナイト様鉱物の表面近傍にM(1)成分が多く存在することが好ましい。M(1)成分の表面濃度は、ESCAにより測定した表面のM(1)成分原子とSi原子のモル比〔M(1)/Si〕やM(1)成分原子とAl原子のモル比〔M(1)/Al〕によって表すことができる。M(1)/Siは、好ましくは0.021以上、更に好ましくは0.040以上である。また、M(1)/Alは、好ましくは0.025以上、更に好ましくは0.040以上である。ESCAによる測定は、試料をプレス機により薄片状に成形し、島津製作所製ESCA−1000を用いて行うことができる。試料表面の元素を測定〔M(1)成分原子、Si、Al〕し、得られた元素のピーク面積から表面原子濃度比(モル比)を求める。
【0026】
金属置換カンクリナイト様鉱物はその平均粒子径が、0.1〜1000μm、特に0.4〜600μm、とりわけ1〜100μmmであることが、消臭速度が高くなる点及び粉末流動性が良好になる点から好ましい。平均粒子径は、例えばレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−920)を用い、相対屈折率1.16にて測定する。
【0027】
金属置換カンクリナイト様鉱物は非晶質であっても結晶質であってもよい。含硫黄系悪臭の消臭能向上の観点からは結晶質であることが好ましい。金属置換カンクリナイト様鉱物は、その製造条件に応じて針状結晶、板状結晶、柱状結晶等の集合体として得られる。また、それらの結晶が集合して球状、テトラボッド状、塊状の集合体等を形成していてもよく、それらの二次凝集体でもよい。
【0028】
針状の形態とは、太さが500nm以下で、長さが太さに対してアスペクト比で2.0以上のものをいう。板状の形態とは、厚さが300nm以下で、板径が厚さに対してアスペクト比で2.0以上のものをいう。柱状の形態とは、太さが50nm以上で、長さが太さに対してアスペクト比で1.0以上2.0未満のものをいう。
【0029】
金属置換カンクリナイト様鉱物は、例えば、無水物の組成が、aM2O・Al23・bSiO2・cRmn(式中、MはNa及び/又はKを表し、RはNa、K、Ca及びMgからなる群より選ばれる1種以上の元素を表し、QはCO3、SO4、NO3、OH及びClからなる群より選ばれる1種以上の原子団を表し、aは0.5≦a≦3、bは0.5≦b≦6、cは0<c≦2、mは1≦m≦2、nは1≦n≦3を満たす)である原料アルミノシリケートを、該原料アルミノシリケート100g当たり0〜300meq(0〜300meq/100g)の酸を用いて酸処理する工程、並びに抗菌性を有するイオンでイオン交換する工程に付して得られたものであることが好ましい。
【0030】
前記式中、Mは好ましくはNaである。MがNa及びKからなる場合、aM2Oは、a'Na2O・a"K2O(但し、a'+a"=aである)で表わされる。その他の項についても同様である。Rは好ましくはNa、Ca及びMgからなる群より選ばれる1種以上の元素であり、更に好ましくはNaである。Qは好ましくはCO3及び/又はNO3である。aは、好ましくは0.5≦a≦2.5であり、更に好ましくは0.5≦a≦2である。bは、好ましくは0.5≦b≦5であり、更に好ましくは0.5≦b≦4である。cは、好ましくは0<C≦1.5であり、更に好ましくは0<c≦1である。mとnは、RとQとの組み合わせに応じて任意に決まる。
【0031】
原料アルミノシリケートの比表面積は、金属置換カンクリナイト様鉱物と同程度であることが好ましい。その平均粒子径も、金属置換カンクリナイト様鉱物と同程度であることが好ましい。更にその形態は、特に限定されるものではないが、例えば金属置換カンクリナイト様鉱物と同様な前記形態であることが好ましい。
【0032】
原料アルミノシリケートを製造する方法には特に限定はない。例えばアルミナ原料とシリカ原料とをCO32-、SO42-、NO3-、Cl-等の存在下、アルカリ溶液中で反応させる方法等が挙げられる。アルミナ原料としては、例えば酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム等が挙げられる。特にアルミン酸ナトリウムが好適である。シリカ原料としては、例えばケイ砂、ケイ石、水ガラス、ケイ酸ナトリウム、シリカゾル等が挙げられる。特に水ガラスが好適である。或いは、アルミナ原料及びシリカ原料の両者の原料となるものとして、例えばカオリン、モンモリロナイト、ベントナイト、マイカ、タルク等の粘土鉱物及びムライト等のアルミノケイ酸塩鉱物を用いてもよい。CO32-の原料としては、例えば炭酸ガス、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムカリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。特に炭酸ナトリウムが好適である。SO42-の原料としては、例えば硫酸、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウムカリウム等が挙げられる。特に硫酸や硫酸ナトリウムが好適である。NO3-の原料としては、例えば硝酸、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等が挙げられる。特に硝酸や硝酸ナトリウムが好適である。Cl-の原料としては、例えば塩酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム等が挙げられる。特に塩酸や塩化ナトリウムが好適である。アルカリ溶液のアルカリとしては、例えば酸化ナトリウム、酸化カリウム等の酸化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムカリウム等の炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素塩等が使用できる。所望により、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト等の炭酸塩;炭酸水素カルシウム、炭酸水素マグネシウム等の炭酸水素塩等を使用してもよい。
【0033】
原料アルミノシリケートは、前記の各種化合物を所定の割合で配合し混合して反応させることにより得ることができる。配合の割合については、得られる所望の原料アルミノシリケートの組成に応じて適宜決定される。好適には、原料アルミノシリケートの原料となる成分の仕込み割合としては、各成分の構成元素に基づいて当該成分をM2O、Al23、SiO2、Rmnで表示した場合、モル比として、M2O/SiO2は好ましくは0.01〜100、更に好ましくは0.05〜80であり、Al23/SiO2は好ましくは0.01〜10、更に好ましくは0.05〜8であり、Rmn/SiO2は好ましくは0.01〜100、更に好ましくは0.05〜80であり、H2O/M2Oは好ましくは0.01〜100、更に好ましくは0.05〜80である。
【0034】
原料アルミノシリケートを製造する際の反応温度は、原料アルミノシリケートの結晶性を高め、形態を安定させる観点並びに反応容器への化学的及び耐圧的負荷を低減させる観点から、好ましくは15〜300℃、更に好ましくは60〜150℃、一層好ましくは80〜130℃である。反応時間は、結晶化反応を完全に行わせる観点から、2時間以上48時間以下が好ましい。以上により、通常、水分散液(スラリー)として原料アルミノシリケートが得られる。該水分散液の固形分濃度は、0.1〜50重量%であることが好ましい。
【0035】
次いで、得られた原料アルミノシリケートを、該原料アルミノシリケート100g当たり0〜300meq(0〜300 meq/100g)の酸を用いて酸処理する。酸処理は、原料アルミノシリケートにM(1)成分をイオン交換によって固定又は担持させる際のスラリーのpH調整のために行う。その際、M(1)成分のイオン交換性の発現の観点から、スラリーのpHをpH7以下に調整することが好ましい。酸処理は、比表面積の調整のためにも行われる。酸処理量は消臭能の向上の観点から、6〜300meq/100gが好ましく、5〜250meq/100gが更に好ましく、20〜140meq/100gが一層好ましい。なお、0meq/100gの酸を用いて酸処理する場合とは、酸処理を行わない場合を意味する。例えば原料アミノシリケートが1m2/g以上70m2/g未満の比表面積を有するものである場合には原料アミノシリケートを酸処理に付さなくてもよい。酸処理には、塩酸、硫酸、硝酸などの強酸を用いることが好ましく、塩酸や硝酸を用いることが特に好ましい。酸処理は、前記酸を含む水溶液を原料アルミノシリケートに対し徐々に或いは一度に添加して、酸と原料アルミノシリケートとを接触させることにより行う。添加速度は原料アルミノシリケート100gに対して、好ましくは0.01〜100ml/分、更に好ましくは0.1〜10ml/分である。酸処理の際には、原料アルミノシリケートをスラリー状とすることが好ましい。スラリーの固形分濃度は、反応混合物の流動性を確保し且つ酸処理の偏りを防止して処理効率を向上させる観点から、好ましくは1〜50重量%である。酸処理時の温度は、比表面積の向上並びに反応容器への化学的及び圧力的負荷の軽減の観点から、好ましくは60〜150℃、更に好ましくは80〜120℃である。酸処理は適宜撹拌しながら行ってもよい。酸処理の時間は、酸と原料アルミノシリケートを接触させてから好ましくは0.01〜100時間、更に好ましくは0.1〜10時間である。酸処理後は、反応混合物を、例えば60〜150℃で0.1〜10時間程度適宜熟成させることが好ましい。
【0036】
酸処理後の原料アルミノシリケートを、抗菌性を有する金属のイオンでイオン交換する。或いは、所望の比表面積を有する原料アルミノシリケートを酸処理することなく、そのままイオン交換してもよい。イオン交換は、例えば酸処理後の原料アルミノシリケートを水に懸濁し、そこに前記金属を含有する化合物(以下、金属含有化合物という)若しくは該化合物の水溶液を加えるか、又は金属含有化合物の水溶液中に原料アルミノシリケートを浸漬することにより実施することができる。なお、上述の通り、原料アルミノシリケートを酸処理した後にイオン交換しなければならないわけではなく、例えば酸処理時に金属含有化合物を共存させておけば、原料アルミノシリケートの酸処理とイオン交換とを同時に行うことができる。金属含有化合物としては、所望の金属を含む水溶性金属含有化合物であれば特に限定されず、例えば所望の金属を含む硝酸塩、硫酸塩、塩化物などを用いることができる。イオン交換は、通常、原料アルミノシリケートを水に懸濁し、撹拌下に行われる。イオン交換の効率を向上させる観点から、原料アルミノシリケートの水懸濁液の固形分濃度は好ましくは1〜50重量%である。イオン交換を行う際の温度は特に限定されるものではない。好ましくは20〜120℃、更に好ましくは80〜110℃である。イオン交換の時間は、原料アルミノシリケートと金属含有化合物とを接触させてから、好ましくは0.01〜2時間、更に好ましくは0.02〜1時間である。イオン交換を行う際の、原料アルミノシリケートと金属含有化合物との量比は、原料アルミノシリケート100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部、更に好ましくは0.2〜10重量部、一層好ましくは0.5〜5重量部である。イオン交換後は、反応混合物を、例えば60〜150℃にて0.1〜10時間程度適宜熟成させることが好ましい。
【0037】
金属含有化合物中の金属成分は、上述のようなイオン交換によってカンクリナイト様鉱物に固定又は担持されることが最も好ましい。しかし、イオン交換に代えて又はイオン交換に加えて、含浸法や沈殿法によって金属含有化合物中の金属成分を、カンクリナイト様鉱物に固定又は担持させてもよい。金属置換カンクリナイト様鉱物の製造工程において、(イ)原料アルミノシリケートを得た後、(ロ)酸処理の後、(ハ)イオン交換の後のそれぞれの時点で、原料アルミノシリケートを、不純物等を除くことを目的として適宜洗浄してもよい。特に、原料アルミノシリケートの製造工程の最終段階、例えば、原料アルミノシリケートを得た後およびイオン交換の後に洗浄することが好ましい。洗浄は、例えば原料アルミノシリケートの水懸濁液を濾過、水洗することにより行うことができる。濾過に使用する濾過器は特に限定されないが、たとえば、ヌツチェタイプ、フィルタープレスタイプ等が使用できる。
【0038】
本発明においては、以上説明した金属置換カンクリナイト様鉱物に代えて、以下の組成式(2)で表されるカンクリナイト様鉱物においてMの一部が抗菌性を有する金属で置換されたもの(以下、第2の金属置換カンクリナイト様鉱物という)を用いることもできる。
s12O・Al23・u1SiO2・v1m1n1・w12O (2)
式中、MはNa、K及びHからなる群より選ばれる一種以上の元素を表し、RはNa、K、Ca及びMgからなる群より選択される一種以上の元素を表し、QはCO3、SO4、NO3、OH及びClからなる群より選択される一種以上の原子団を表す。s1は0<s1≦1、u1は1≦u1≦50、v1は0<v1≦2、w1はw1≧0、m1は1≦m1≦2、n1は1≦n1≦2を満たす。
【0039】
以下、第2の金属置換カンクリナイト様鉱物について説明するが、該鉱物に関し特に説明しない点については、先に説明した金属置換カンクリナイト様鉱物に関する説明が適宜適用される。第2の金属置換カンクリナイト様鉱物は、組成式(2)で表されるカンクリナイト様鉱物においてMの一部が抗菌性を有する金属で置換されたものに相当する。組成式(2)で表されるカンクリナイト様鉱物における抗菌性を有する金属の置換量は、所望の消臭能及び抗菌能の発現並びに経済性の観点から、0.1〜30重量%、特に0.1〜10重量%であることが好ましい。これらの金属の量は、蛍光X線測定法によって測定できる。
【0040】
第2の金属置換カンクリナイト様鉱物は、それに含まれているアルミニウムが酸によって溶出してその一部がアモルファス状態となっていることが好ましい。アルミニウムが溶出することで、第2の金属置換カンクリナイト様鉱物に多数の微細孔が形成され、消臭能が一層高まる。酸によるアルミニウムの溶出については更に後述する。
【0041】
第2の金属置換カンクリナイト様鉱物は、その比表面積が70〜800m2/g、特に80〜600m2/g、とりわけ100〜500m2/gであることが、適度な消臭速度及び広い消臭スペクトルを発現する観点から好ましい。
【0042】
第2の金属置換カンクリナイト様鉱物は、その酸量が、アルカリ性悪臭ガスの消臭能を向上させる観点から、20meq/100g以上、特に100meq/100g以上、とりわけ170meq/100g以上であることが好ましい。「酸量」とは、第2の金属置換カンクリナイト様鉱物の酸点の総量をいう。酸量は、試料0.5gを0.01mol/lのNaOH水溶液100ml中で1時間撹拌後、得られた試料懸濁液を遠心分離し(10000rpm×5分)、上澄み25mlを分取し、分取液を0.01mol/lのHNO3で滴定し消費されたNaOH量を求め、得られたNaOH量を元に算出する。
【0043】
第2の金属置換カンクリナイト様鉱物は、その平均粒子径が好ましくは1〜500μm、更に好ましくは1〜300μm、一層好ましくは1〜100μmである。かかる範囲内であれば、適度な消臭速度が得られ、また取り扱い性も良好となる。
【0044】
組成式(2)で表されるカンクリナイト様鉱物においては、Mは、高い消臭能の発現および経済性の観点から、好ましくはNa及び/又はHである。MがNa及びHからなる場合、s12Oは、s'lNa2O・s'22O(式中s'l+s'2=s1である)で表わされる。Rは、Mと同様の観点から、好ましくはNaである。Qは、粒子の形態制御の容易性の観点から、好ましくはCO3又はNO3である。
【0045】
s1は、アルカリ性悪臭ガスの消臭能を向上させる観点から、好ましくは0<s1≦0.5であり、より好ましくは0<s1≦0.25である。u1は、酸性悪臭ガスの消臭能を向上させる観点から、好ましくは1≦u1≦40であり、より好ましくは1≦u1≦30である。v1は、高い消臭能の発現の観点から、好ましくは0<v1≦1、より好ましくは0<v1≦0.6、さらに好ましくは0<v1≦0.3である。w1は、前駆体に含まれる水の含有率(モル比)であり、前駆体の存在形態、例えば粉末状、スラリー状などの形態によって変化する。m1とn1はRとQの組み合わせに応じて任意に決まる。
【0046】
第2の金属置換カンクリナイト様鉱物は、例えば原料アルミノシリケートを酸処理してカンクリナイト様鉱物を形成し、得られたカンクリナイト様鉱物を水に懸濁させ、そこに抗菌性を有する金属の水溶性塩の水溶液を加えてイオン交換することで好適に製造される。別法として、原料アルミノシリケートの酸処理時に、抗菌性を有する金属の水溶性塩を共存させてイオン交換することでも好適に製造される。
【0047】
第2の金属置換カンクリナイト様鉱物に用いられる原料アルミノシリケートは、以下の組成式(3)で表される。
a12O・Al23・b1SiO2・c1m1n1・zH2O (3)
式中、M、R、Q、m1及びn1は組成式(2)における定義と同様であり、a1は0.1≦a1≦3、b1は0.2≦b1≦6、c1は0<c1≦2、zはz≧0を満たす。原料アルミノシリケート粒子を製造する方法に特に限定はなく、例えばアルミナ原料とシリカ原料をCO32-、SO42-、NO3-、Cl-等の存在下、アルカリ溶液中で反応させる方法等が挙げられる。
【0048】
原料アルミノシリケートを酸処理してカンクリナイト様鉱物を得るに際して用いられる酸としては、塩酸、硫酸、硝酸などの強酸を用いることが好ましい。特に、塩酸、硝酸を用いることが好ましい。原料アルミノシリケートを酸処理することで、原料アルミノシリケートの空孔中に存在するM2O及びRm1n1が溶出するのみならず、骨格を形成するAlも一部溶出する。これによって、比表面積、細孔容積及び酸点が増加し、また先に述べた通り、最終的に得られる第2の金属置換カンクリナイト様鉱物がアモルファス状態となる。酸処理の程度は、最終的に得られる第2の金属置換カンクリナイト様鉱物が所望の性質を有するよう適宜調節すればよい。酸処理は、前記酸を含む水溶液を原料アルミノシリケートに対して徐々に、或いは一度に添加して、酸と原料アルミノシリケートとを接触させることにより行う。添加速度は原料アルミノシリケート100gに対して、好ましくは0.01〜100ml/分、更に好ましくは0.1〜10ml/分である。
【0049】
原料アルミノシリケートの酸処理によって得られたカンクリナイト様鉱物は、60〜150℃にて0.1〜10時間程度熟成させることが好ましい。次いで、スラリーを濾過し水洗して余分なイオン成分を取り除く。引き続き、濾別されたカンクリナイト様鉱物を水に懸濁させ、所定温度に加熱した状態下、抗菌性を有する金属の水溶性塩の水溶液を加え所定時間熟成させる。これにより、目的とする第2の金属置換カンクリナイト様鉱物が得られる。
【0050】
本発明で用いられる金属置換カンクリナイト様鉱物及びハイシリカゼオライトは何れも白色の物質である。従って、本発明の抗菌消臭材料は、黒色系の消臭物質として代表的なものである活性炭に対して一部の人が感じることがある不潔感ないし嫌悪感を与えるものではない。従って本発明の抗菌消臭材料を、例えば使い捨ておむつや生理用ナプキンなどの吸収性物品に含ませて、経血、尿、便等から発生する悪臭の消臭に用いることは非常に有利である。
【0051】
本発明の抗菌消臭材料においては、金属置換カンクリナイト様鉱物とハイシリカゼオライトとを、前者/後者の重量比で表して1/99〜50/50、好ましくは3/97〜50/50、更に好ましくは5/95〜40/60の範囲で用いる。これによって、排泄の直後に発生する初期臭、及びその後に発生する腐敗臭の療法を効果的に消臭することが可能になる。
【0052】
本発明の消臭抗菌材料は種々の状態で用いることができる。例えば(a)高吸収性ポリマーに付着した状態、(b)合成樹脂からなる繊維中に練り込まれた状態、(c)繊維材料に付着した状態、(d)造粒された粉粒体の状態などが挙げられる。(c)の繊維材料は、セルロース系繊維が好ましい。例えば、本発明の消臭抗菌材料がシート状又はその破断片状である場合には、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、吸収性パッドなどの吸収性物品の構成材料、壁紙、シーツ、押入シート、箪笥シート、下駄箱シート、マット、靴インソール、マスク、フィルター類、ラッピング食品の中敷シートなどとして有用である。また、本発明の消臭抗菌材料が、ビーズ状、ペレット状等の粉粒状である場合には、例えば猫砂等のペット用消臭剤として有用である。本発明の消臭抗菌材料が、立体成形物状である場合には、例えば箱型に箱型に成形し抗菌消臭収納ケース等として有用である。
【0053】
特に本発明の消臭抗菌材料は、金属置換カンクリナイト様鉱物及びハイシリカゼオライト及びセルロース系繊維等の繊維材料を含み、湿式抄造法を始めとする各種製造方法で製造された繊維製品の形態であることが好ましい。この繊維製品は、具体的な製造方法に応じて種々の形態をとり得る。例えばシート状若しくはその破断片状、粒状又は立体成形物状等の形態をとり得る。シート状である場合、これを破断片状に小さく切り刻んで使用することもできる。粒状の形態は、金属置換カンクリナイト様鉱物及びハイシリカゼオライトを含む繊維材料の高濃度スラリーを押出機からストランド状に押し出し、所定の大きさに切断することで得ることができる。シート状の消臭抗菌材料は、例えば吸収性物品の構成材料として、吸収体そのもの又は吸収体の構成材料として用いられるか、あるいは吸収体に隣接して用いられる。粒状や破断片状の消臭抗菌材料は、例えば吸収体の構成材料として用いられる。立体成形物状の形態である場合には、例えばボトル状、カップ状、トレー状等の種々の容器形状となすことができる。そのような立体成形物を製造するためにはパルプモールド法を用いることが好適である。パルプモールド法の詳細は、例えば本出願人の先の出願に係るWO99/42661に記載されている。
【0054】
本発明の消臭抗菌材料がシート状の形態である場合、シートは単層のシートの形態でもよく、或いは複数のシートが積層されてなる積層シートの形態であってもよい。単層のシートの形態である場合、該シートは、金属置換カンクリナイト様鉱物及びハイシリカゼオライト及びセルロース系繊維等の繊維材料を含むスラリーを原料とした湿式抄造法によって製造される。積層シートの形態である場合、該シートの一例としては図1に示される形態のシートが挙げられる。図1に示す消臭抗菌材料1は、同サイズの長方形形状の2枚のパルプシート、即ち第1のパルプシート2及び第2のパルプシート3間に、これらのパルプシート2,3よりも幅方向の長さが短い長方形形状の内層シート4を介在させてなる積層シートである。内層シート4は、金属置換カンクリナイト様鉱物及びハイシリカゼオライト及び繊維材料を含むシートであり、このシートは先に述べた単層のシートと同様のものである。内層シート4は、2枚のパルプシート2,3間に幅方向中央部で挟持されている。内層シート4とパルプシート2,3とは、抄き合わせによって積層されている。
【0055】
消臭抗菌材料1の側部1a,1bには、その長さ方向全体に亘って内層シート4が介在されておらず、当該側部は2枚のパルプシート2,3が積層されてなる2層構造部分となっている。側部1a,1bにおけるパルプシート2,3同士がそれぞれ接合されることにより、消臭抗菌材料1の両側端部が封止されて、側端部からの金属置換カンクリナイト様鉱物及びハイシリカゼオライトの脱落が防止される。側部1a,1bの幅は、好ましくは0.1〜20cm、更に好ましくは1〜6cmであることが、金属置換カンクリナイト様鉱物及びハイシリカゼオライトの脱落防止、並びに金属置換カンクリナイト様鉱物及びハイシリカゼオライトの機能を十分に発現させる点から好ましい。
【0056】
金属置換カンクリナイト様鉱物を、セルロース系繊維を始めとする繊維材料に付着させる場合、特に湿式抄造法において金属置換カンクリナイト様鉱物を内添させて繊維材料に付着させる場合には、金属置換カンクリナイト様鉱物が本来有する消臭抗菌作用が低下してしまうことが、本発明者らの検討によって判明した。この理由は明らかでないが、金属置換カンクリナイト様鉱物を繊維材料に付着させる場合に添加される各種添加剤(例えば湿潤紙力剤等)の影響によるものと考えられる。金属置換カンクリナイト様鉱物の消臭抗菌作用の低下防止を図るため、本発明者らが種々検討したところ、金属置換カンクリナイト様鉱物を粘土鉱物と併用することにより、金属置換カンクリナイト様鉱物を繊維材料に付着させても、その消臭抗菌作用の低下を防止し得ることが判明した。
【0057】
粘土鉱物の量は、該粘土鉱物の種類にもよるが、セルロース系繊維を始めとする繊維材料に対して1〜30重量%、特に1〜10重量%であることが、金属置換カンクリナイト様鉱物の消臭抗菌作用の低下防止の点から好ましい。粘土鉱物としては、例えばカンクリナイト様鉱物以外のケイ酸塩であるゼオライト(但しハイシリカゼオライトは除く)、セピオライト、ベントナイト等を用いることができる。特に金属置換カンクリナイト様鉱物の消臭抗菌作用の低下防止効果が高い点から、ゼオライト(但しハイシリカゼオライトは除く)を用いることが好ましい。ゼオライトには種々のものが知られているが、特にZSM−5型のものを用いることが好ましい。
【0058】
粘土鉱物の使用量は、金属置換カンクリナイト様鉱物の付着量とも関係している。具体的には、粘土鉱物の量は、金属置換カンクリナイト様鉱物の量に対して100〜800重量%、特に200〜600重量%であることが、金属置換カンクリナイト様鉱物の消臭抗菌作用の低下防止の点から好ましい。
【0059】
一方、本発明の消臭抗菌材料における金属置換カンクリナイト様鉱物及びハイシリカゼオライトの繊維材料への付着量は、該繊維製品の具体的な用途に応じ広い範囲で調整することができる。例えば、繊維材料に対してそれぞれ0.01〜20重量%、特に0.2〜10重量%とすることができる。
【0060】
前記の繊維材料は、セルロース系繊維の一種である針葉樹晒しクラフトパルプ(以下、NBKPという)及び/又は広葉樹晒しクラフトパルプ(以下、LBKPという)を含んでいることが好ましい。特に両者の組み合わせを用いることで、本発明の消臭抗菌材料に適度な紙力強度を付与して、柔らかさを付与することができる。NBKP/LBKPの重量比は、95/5〜50/50とすることが好ましく、95/5〜60/40とすることが更に好ましい。
【0061】
本発明の消臭抗菌材料を湿式抄造で製造する場合、該抄造を首尾良く行う観点から、NBKP及びLBKPのブレンドパルプの叩解状態をコントロールして、該ブレンドパルプのカナダ標準ろ水度(JIS P8121、以下、CSFともいう)を、400〜600ml、特に450〜600mlとすることが好ましい。
【0062】
本発明の消臭抗菌材料における繊維材料は、NBKP及びLBKPのみから構成されていてもよく、或いはこれらに加えてレーヨンが含まれていてもよい。熱可塑性樹脂からなる熱融着性繊維を少量併用することもできる。
【0063】
更に本発明の消臭抗菌材料には、湿潤紙力剤を添加することが好ましい。これによって該消臭抗菌材料に高い湿潤強度を付与することができる。該消臭抗菌材料の湿潤強度を高めることは、該消臭抗菌材料を例えば使い捨ておむつ等の吸収性物品の構成材料として用いる場合に、尿等によって該消臭抗菌材料が濡れても破断しづらくなるという観点から有利である。また湿潤強度が高くなることは乾燥状態での強度も高くなることを意味している。従って、本発明の消臭抗菌材料を加工機に組み込んで製品を製造する場合にトラブルが一層発生しづらくなる。湿潤紙力剤としては例えばポリアミドアミン・エピクロルヒドリン樹脂等を用いることができる。湿潤紙力剤は、繊維材料に対して0.01〜5重量%、特に0.1〜2.0重量%配合されることが、十分な湿潤強度を得る観点から好ましい。
【0064】
金属置換カンクリナイト様鉱物、ハイシリカゼオライト及び粘土鉱物を含む繊維材料のシート(つまり前述した単層のシート及び内層シート)は、繊維材料、金属置換カンクリナイト様鉱物、ハイシリカゼオライト及び粘土鉱物を含むスラリーを原料とした湿式抄造法によって製造される。繊維材料への金属置換カンクリナイト様鉱物及びハイシリカゼオライトの付着量を高める観点から、スラリー中に凝集剤を添加することが好ましい。凝集剤としては例えばポリアクリルアミドや、アクリル(メタクリル)系共重合体(分子量500万〜5000万)が好適に用いられる。特にポリアクリルアミドや、アクリル(メタクリル)系共重合体(分子量1000万〜3000万)が好ましい。本発明の消臭抗菌材料において、凝集剤は、繊維材料に対して0.01〜0.04重量%、特に0.01〜0.035重量%配合されることが、金属置換カンクリナイト様鉱物及びハイシリカゼオライトの付着量を十分に高め、また本発明の消臭抗菌材料の強度を高める点から好ましい。
【0065】
スラリー中における金属置換カンクリナイト様鉱物及びハイシリカゼオライトの量はそれぞれ、繊維材料に対して0.1〜10重量%、特に0.5〜5.0重量%であることが好ましい。粘土鉱物の量は繊維材料に対して0.1〜30重量%、特に0.1〜10重量%が好ましい。凝集剤は、金属置換カンクリナイト様鉱物、ハイシリカゼオライト及び粘土鉱物の繊維材料への付着量を高める観点から添加されることが好ましく、生産性の面から凝集剤の量は、繊維材料に対して0.001〜1.0重量%、特に0.001〜0.04重量%であることが好ましい。湿潤紙力剤の量は、繊維材料に対して0.1〜5重量%、特に0.1〜2.0重量%であることが好ましい。スラリー中における繊維材料の濃度は0.5〜5.0重量%、特に1.0〜3.0重量%であることが好ましい。
【0066】
湿式抄造によって得られたシート(つまり前述した単層のシート及び内層シート)における金属置換カンクリナイト様鉱物及びハイシリカゼオライトの付着率はそれぞれ25%以上、特に凝集剤の選択によっては50%以上という高い値とすることができる。具体的な用途にもよるが、該シートはその坪量が10〜100g/m2、特に13〜70g/m2であることが好ましい。
【0067】
本発明の消臭抗菌材料がシート状である場合、該シートを吸収性物品の構成材料として用いるときには、該シートを、例えば表面シートと吸収体との間、該吸収体内、又は該吸収体と裏面シートとの間に配することができる。或いは、該シートで、パルプや高吸収性ポリマー等の吸収性素材を被覆して吸収体となし、該吸収体を吸収性物品に用いることができる。表面シートは、吸収性物品の使用時に使用者の肌に対向する側に配されるものであり、一般に液透過性である。吸収体は、表面シートと裏面シートとの間に配されるものであり、一般に液保持性である。裏面シートは、吸収体を挟んで、表面シートと反対の側、つまり使用者の肌から遠い側に配されるものであり、一般に撥水性ないし液不透過性である。
【0068】
図2には、本発明の消臭抗菌材料を吸収性物品に適用した一例として、吸収性物品の吸収体を、シート状の消臭抗菌材料で被覆した状態が示されている。吸収体10は、高吸収性ポリマーの粒子とパルプ繊維とから構成されている。吸収体10は、消臭抗菌材料1の一側部1aと他側部1bとが重ね合わされるようにして、消臭抗菌材料1に被覆されている。この状態下、吸収体10は、図示しない表面シートと裏面シートとに挟持され、吸収性物品が形成される。従って、本形態においては、消臭抗菌材料1は、吸収性物品における表面シートと吸収体との間、及び裏面シートと吸収体との間に配されることになる。この場合、吸収性物品における何れかの部位に、悪臭の代表的な物質である硫化水素やメルカプタン類などの硫黄化合物の吸着物質を含ませておくと、金属置換カンクリナイト様鉱物中の金属と硫黄化合物とが結合することに起因する金属の抗菌性の低下が効果的に防止されるので、抗菌性の持続性という点で好ましい。また金属置換カンクリナイト様鉱物の消臭力も向上する。硫黄化合物の吸着物質としては酸化亜鉛が代表的なものとして挙げられる。硫黄化合物の吸着物質は、例えば消臭抗菌材料に付着させておくことができる他、吸収体中に含有させておくこともできる。図2の消臭抗菌材料1は、内層シート4のみの単層シートであってもよい。
【実施例】
【0069】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。以下の例中、特に断らない限り「%」は、「重量%」を意味する。
【0070】
〔実施例1〕
水酸化ナトリウム94gをイオン交換水1000mlに溶解し、さらに硝酸(61%)130gと、アルミン酸ナトリウム溶液(Na2O=19・8%、Al23=25.9%、H2O=54.3%)124gを混合した溶液に、水ガラス(Na2O=9.8%、SiO2=29.6%、H2O=60.6%)127gを1分間かけて投入し、100℃で8時間反応させた。反応後、生成したアルミノシリケート粒子を濾過洗浄し、105℃で12時間乾燥して原料アルミノシリケート粒子の粉末を得た。得られた原料アルミノシリケート粒子は針状結晶が集合した多孔質な球形形態を有していた。粉末X線回折装置〔(株)リガク製、RINT2500〕を用いてX線回折を行った結果、その回折パターンはJCPDS No.38−513に相当していた。得られた原料アルミノシリケート粒子はウニ形の粒子形態をしており、組成はNa2O・Al23・2SiO2・0.4NaNO3・0.7H2Oであった。比表面積は40m2/gであった。
【0071】
得られた原料アルミノシリケート粒子100gを、イオン交換水900mlに懸濁させ100℃に保持した。撹拌下、61%硝酸を、1ml/分の速度で所定量滴下して酸処理を行った。次いで、硝酸銀3.94gをイオン交換水30gに溶解した硝酸銀水溶液を投入し、100℃で1時間保持してイオン交換を行った。その後、濾過、水洗し、105℃で12時間乾燥し、白色のAg置換カンクリナイト様鉱物を得た。得られたAg置換カンクリナイト様鉱物はウニ型の粒子形態をしており、組成は0.05Ag2O・0.9Na2O・Al23・2SiO2・0.4NaNO3・0.7H2Oであった。比表面積は44.7m2/gで、平均粒子径は8.3μmであった。また1%水分散液のpHは10.04であった。表面のAgの濃度は、Ag/Si=0.075、Ag/Al=0.070であった。
【0072】
得られたAg置換カンクリナイト様鉱物をイオン交換水に懸濁させた。また、ハイリシカゼオライトとして、東ソー製のHSZ−690HOA(商品名、SiO2/Al23のモル比=240)を用い、これもイオン交換水に懸濁させた。更にNBKP及びLBKPのブレンドパルプ、粘土鉱物(水澤化学製のゼオライトであるシルトンB)、湿潤紙力剤(カイメンWS547 日本PMC社製)、ポリアクリルアミド系高分子凝集剤(アコフロックA95 三井化学アクアポリマー社製)を添加混合しスラリーを得た。ブレンドパルプは叩解によってそのCSFが550mlに調整されたものを用いた。
【0073】
スラリー中におけるブレンドパルプの濃度は2%、Ag置換カンクリナイト様鉱物の濃度はブレンドパルプに対して1%、ハイシリカゼオライトの濃度はブレンドパルプに対して5%、粘土鉱物の濃度はブレンドパルプに対して5%、湿潤紙力剤の濃度はブレンドパルプに対して0.5%、高分子凝集剤の濃度はブレンドパルプに対して0.05%であった。
【0074】
このスラリーを原料として丸網抄紙機を用いて湿式抄造を行い、消臭抗菌紙を得た。坪量は20g/m2であった。消臭抗菌紙における各成分の割合は表1に示す通りであった。
【0075】
得られた消臭抗菌紙の一方の面に、表面シートとして液透過性で坪量20g/m2の不織布を接合した。また、他方の面に、坪量350g/m2のパルプと坪量120g/m2の高吸収性ポリマーの粒子からなる吸収体を配置した。吸収体の裏面に坪量15g/m2の液不透過性の裏面シートを重ね合わせ、吸収体の周囲で表面シートが接合された消臭抗菌紙および裏面シートを接合した。これによって長さ400mm幅150mmの吸収性パットを得た。なお、前記の不織布、パルプ、高吸収性ポリマー、液不透過性シートとしては、花王(株)製のリリーフ(登録商標)尿取りパット(商品名)で用いられている材料と同様のものを用いた。
【0076】
〔実施例2及び3並びに比較例1ないし3〕
スラリーの配合を変える以外は実施例1と同様にして、表1に示す組成の消臭抗菌紙、及び吸収性パッドを得た。
【0077】
〔評価〕
得られた消臭抗菌紙に含まれるAg置換カンクリナイト様鉱物の付着率を以下の方法で測定した。また得られた吸収性パッドについて、硫化水素及び4−ヘプタノンの消臭率、並びに抗菌能を、以下の方法で測定、評価した。これらの結果を表1に示す。4−ヘプタノンは、人体から排泄される排泄物の初期臭の代表的な原因物質である。
【0078】
〔Ag置換カンクリナイト様鉱物の付着率〕
スラリー中でのAg置換カンクリナイト様鉱物の量と、消臭抗菌紙に含まれるAg置換カンクリナイト様鉱物の量から、Ag置換カンクリナイト様鉱物の付着率を求めた。尚、消臭抗菌紙に含まれるAg置換カンクリナイト様鉱物の量は、消臭抗菌紙を湿式分解した後、ICP発光分析装置でAgの量を測定し、その測定量から求めた。
【0079】
〔硫化水素の消臭率〕
容量500mlのスリ栓付三角フラスコに、100×100mmの大きさに調整した吸収性パッドを入れ、そこに3.8ppm(初期濃度)になるように濃度調整した硫化水素ガスを注入した。10分経過後の三角フラスコ内の硫化水素濃度をガス検知管(ガステック株式会社製、硫化水素用4LT)によって測定し、(初期値−測定値)/初期値×100を消臭率とした。
【0080】
〔4−ヘプタノンの消臭率〕
容量500mlのスリ栓付三角フラスコに、100×100mmの大きさに調整した吸収性パッドを入れ、そこに130ppm(初期濃度)になるように濃度調整した4−ヘプタノンを注入した。30分経過後の三角フラスコ内の4−ヘプタノン濃度をガス検知管(ガステック株式会社製、メタクリル酸メチル用149)によって測定し、(初期値−測定値)/初期値×100を消臭率とした。
【0081】
〔抗菌能〕
大腸菌を混合した人工尿を吸収性パッドに注入し、30℃の環境で24時間保存した。この吸収性パッドを、その飽和吸収量よりも過剰量の生理食塩水中に浸漬し攪拌した。生理食塩水をろ過し、ろ液中の菌数を測定した。測定された菌数について、比較例1をベースとして以下の基準で抗菌効果を評価した。−:ベースよりも菌の増殖が抑制されている。+:ベースよりも菌が増殖するか同数である。
【0082】
【表1】

【0083】
表1に示す結果から明らかなように、各実施例(本発明品)の消臭抗菌紙は、腐敗臭の代表的な原因物質である硫化水素、及び初期臭の代表的な原因物質である4−ヘプタノンの双方に対して高い消臭効果を発揮することが判る。これに対して比較例1及び2では、硫化水素及び4−ヘプタノンの何れに対しても消臭効果が低いことが判る。比較例3では4−ヘプタノンに対する消臭効果は高いものの、硫化水素に対する消臭効果が低いことが判る。
【0084】
〔実施例4及び5並びに比較例4〕
ハイシリカゼオライトとして、SiO2/Al23のモル比が30(実施例4)、100(実施例5)、5(比較例4)のものを用いた。これ以外は実施例1と同様にして消臭抗菌紙を得た。得られた消臭抗菌紙について、先に行った4−ヘプタノンの消臭率の測定を行った。その結果を図3に示す。なお図3には実施例1の結果も併せて記載されている。更に参考データとして活性炭を用いた場合の測定結果も記載されている。
【0085】
図3に示す結果から明らかなように、ハイシリカゼオライトとして、SiO2/Al23のモル比が30〜240のものを用いることで、SiO2/Al23のモル比が5のものを用いる場合に比較して、4−ヘプタノンに対する消臭効果が極めて高くなることが判る。特にSiO2/Al23のモル比が240のものは、活性炭とほぼ同等の消臭効果を示すことが判る。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の消臭抗菌繊維製品の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す消臭抗菌繊維製品で吸収体を被覆した状態を示す斜視図である。
【図3】ハイシリカゼオライトにおけるSiO2/Al23のモル比と、4−ヘプタノンの消臭率との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0087】
1 消臭抗菌繊維製品
2,3 パルプシート
4 内層シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗菌性を有する金属を含むカンクリナイト様鉱物と、SiO2/Al23のモル比が30〜900であるゼオライトとを、1/99〜50/50の重量比で含有する消臭抗菌材料。
【請求項2】
前記カンクリナイト様鉱物及び前記ゼオライトが、高吸収性ポリマーに付着した状態になっているか、合成樹脂からなる繊維中に練り込まれた状態になっているか、繊維材料に付着した状態になっているか、又は造粒された粉粒体の状態になっている請求項1記載の消臭抗菌材料。
【請求項3】
前記カンクリナイト様鉱物、前記ゼオライト及び前記繊維材料を含む、シート状若しくはその破断片状、粒状又は立体成形物状の形態をしている請求項2記載の消臭抗菌材料。
【請求項4】
湿式抄造法によって製造されたものである請求項3記載の消臭抗菌材料。
【請求項5】
更に粘土鉱物(但し前記ゼオライトは除く)が含まれている請求項3又は4記載の消臭抗菌材料。
【請求項6】
前記繊維材料が、針葉樹晒しクラフトパルプ及び広葉樹晒しクラフトパルプを含み、
前記繊維材料に対して前記カンクリナイト様鉱物が0.01〜20重量%、前記ゼオライトが0.01〜20重量%、前記粘土鉱物が1〜30重量%含まれる請求項5記載の消臭抗菌材料。
【請求項7】
前記カンクリナイト様鉱物、前記ゼオライト、前記粘土鉱物及び繊維材料を含むシートの形態をしている請求項5記載の消臭抗菌材料。
【請求項8】
前記シートの各面にパルプシートが積層された積層シートの形態をしており、該積層シートは少なくともその一側部の全体に亘って前記シートが介在していない請求項7記載の消臭抗菌材料。
【請求項9】
前記カンクリナイト様鉱物が以下の組成式(1)で表される請求項1ないし8の何れかに記載の消臭抗菌材料。
sM(1)xy・tM(2)2O・Al23・uSiO2・vRmn・wH2O (1)
(式中、M(1)は抗菌性を有する金属を表し、M(2)はNa、K及びHからなる群より選ばれる1種以上の元素を表し、RはNa、K、Ca及びMgからなる群より選ばれる1種以上の元素を表し、QはCO3、SO4、NO3、OH及びClからなる群より選ばれる1種以上の原子団を表し、sは0<s≦3、tは0≦t≦3(但し、s+t=0.5〜3である)、uは0.5≦u≦6、vは0<v≦2、wはw≧0、xは1≦x≦2、yは1≦y≦3、mは1≦m≦2、nは1≦n≦3を満たす。)
【請求項10】
前記粘土鉱物が、ゼオライト、セピオライト又はベントナイトである請求項5ないし9の何れかに記載の消臭抗菌材料。
【請求項11】
請求項1ないし10の何れかに記載の消臭抗菌材料を含む吸収性物品。
【請求項12】
液透過性の表面シートと液保持性の吸収体との間、該吸収体内、若しくは該吸収体と液不透過性の裏面シートとの間に、シート状の形態をしている請求項3記載の消臭抗菌材料を配してなるか、又は
シート状の形態をしている請求項3記載の消臭抗菌材料で吸収性素材が被覆された吸収体を備えてなる吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−44401(P2007−44401A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−234223(P2005−234223)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】