説明

消費電力削減装置、システム方法及びプログラム

【課題】ファシリティ設備の消費電力を効率的に削減することができる消費電力削減装置、消費電力削減方法および消費電力削減プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明による消費電力削減装置は、撮影手段が所定の場所を撮影した画像から人物の動線を示す動線情報を検出する動線検出手段1と、動線検出手段1が検出した動線情報に基づいて、ファシリティ設備を制御するファシリティ設備制御手段2とを備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備の消費電力を削減する消費電力削減装置、消費電力削減システム、消費電力削減方法及び消費電力削減プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、CO2削減の必要性が重要視されている中で、ビル等におけるオフィスにおいて、空調設備、照明等の消費電力量が問題視されている。一般的に、オフィスの照明は人手による制御や一斉消灯によって制御されることが多い。そのため、オフィスのあるエリアが無人になっていても、オフィス全体の照明が次の一斉消灯のタイミングまで点灯しており、電力を無駄に消費しているという傾向が見られる。
【0003】
この対策として、企業や個人のある特定エリア内の人物の在不在を検知する人感センサが用いられることがある。例えば、人感センサにより、人が検知された場合、そのエリアの照明を点灯するなどのファシリティ制御を実施する例がある。また、関連する技術として、例えば、特許文献1には、設備の消費電力の削減を図る設備制御装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−183322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、人感センサを用いて人を満遍なく検知するためには、人感センサ間の距離を狭くし、特定エリア内に多数の人感センサを設置する必要があり、コストが嵩むという課題がある。
【0006】
また、人の在不在の検知までしかできないため、例えば照明は、人を検知すると点灯し、その後検知しなくなると消灯するように制御され、人が動くたびに細かく制御されることとなる。そのため、却って消費電力を削減することができないという課題もある。
【0007】
特許文献1に記載された方法では、人感センサを用いることなく、ユーザの入室を確認すると、予め記憶している設備情報やユーザの個人情報に基づいて、設備を選定して制御している。しかし、この方法は、ユーザが歩行する通路を予測し、予測した通路に対応付けられた機器を、歩行者の安全確保等を目的として制御するものであるため、効率的に設備の消費電力を削減するものではない。
【0008】
そこで、本発明は、ファシリティ設備の消費電力を効率的に削減することができる消費電力削減装置、消費電力削減システム、消費電力削減方法及び消費電力削減プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による消費電力削減装置は、撮影手段が所定の場所を撮影した画像から人物の動線を示す動線情報を検出する動線検出手段と、動線検出手段が検出した動線情報に基づいて、ファシリティ設備を制御するファシリティ設備制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明による消費電力削減システムは、撮影手段と、消費電力削減装置と、ファシリティ設備制御装置とを備え、消費電力削減装置は、撮影手段が所定の場所を撮影した画像から人物の動線を示す動線情報を検出する動線検出手段を含み、ファシリティ設備制御装置は、動線検出手段が検出した動線情報に基づいて、ファシリティ設備を制御するファシリティ設備制御手段を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明による消費電力削減方法は、撮影手段が所定の場所を撮影した画像から人物の動線を示す動線情報を検出し、検出した動線情報に基づいて、ファシリティ設備を制御することを特徴とする。
【0012】
本発明による消費電力削減プログラムは、コンピュータに、撮影手段が所定の場所を撮影した画像から人物の動線を示す動線情報を検出する動線検出処理と、検出した動線情報に基づいて、ファシリティ設備を制御するファシリティ設備制御処理とを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ファシリティ設備の消費電力を効率的に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による消費電力削減システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】消費電力削減システムが実行する処理例を示すシーケンス図である。
【図3】エリア設定の一例を示す説明図である。
【図4】制御ルール作成手段が実行する処理の一例を示す流れ図である。
【図5】制御ルール作成手段が実行する処理の一例を示す流れ図である。
【図6】消費電力削減装置の最小の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明による消費電力削減システムの構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、消費電力削減システムは、撮影機器100と、情報処理装置200と、ファシリティ制御装置300とを含む。また、撮影機器100と情報処理装置200とは、LANやインターネット等の通信ネットワークを介して相互に接続されている。また、情報処理装置200とファシリティ制御装置300とは、LANやインターネット等の通信ネットワークを介して相互に接続されている。なお、本実施形態では、情報処理装置200とファシリティ制御装置300とを別の装置として説明するが、同じ装置によって実現されていてもよい。
【0016】
撮影機器100は、具体的には、カメラによって実現される。図1に示されるように、撮影機器100は、撮影手段110と送信手段120とを含む。
【0017】
撮影手段110は、所定の場所を撮影する機能を備えている。また、送信手段120は、撮影手段110が所定の場所を撮影した画像(例えば、動画や静止画)を外部に送信する機能を備えている。
【0018】
情報処理装置200は、具体的には、プログラムに従って動作するパーソナルコンピュータやサーバ装置等によって実現される。図1に示されるように、情報処理装置200は、通信手段210と、管理手段220と、位置検出手段230と、人数検出手段240と、滞留時間検出手段250と、制御ルール作成手段260とを含む。
【0019】
通信手段210は、具体的には、プログラムに従って動作する情報処理装置のネットワークインタフェース部によって実現される。通信手段210は、外部及び情報処理装置200の各手段との通信を制御する機能を備えている。
【0020】
管理手段220は、具体的には、プログラムに従って動作する情報処理装置のCPUによって実現される。管理手段220は、情報処理装置200の各手段を管理する機能を備えている。
【0021】
位置検出手段230は、具体的には、プログラムに従って動作する情報処理装置のCPUによって実現される。位置検出手段230は、画像中に含まれる人物の位置を検出し、検出した位置を示す位置情報を制御ルール作成手段260に出力する機能を備えている。
【0022】
人数検出手段240は、具体的には、プログラムに従って動作する情報処理装置のCPUによって実現される。人数検出手段240は、画像中に含まれる人物の人数を検出し、検出した人数を示す人数情報を制御ルール作成手段260に出力する機能を備えている。
【0023】
滞留時間検出手段250は、具体的には、プログラムに従って動作する情報処理装置のCPUによって実現される。滞留時間検出手段250は、画像中に含まれる人物の動線を検出し、検出した動線を示す動線情報を制御ルール作成手段260に出力する機能を備えている。なお、本実施形態において、動線とは、人物が移動した軌跡のことを意味する。
【0024】
また、滞留時間検出手段250は、画像中に含まれる人物が所定のエリアに滞留している時間を検出し、検出した時間を示す滞留時間情報を制御ルール作成手段260に出力する機能を備えている。例えば、滞留時間検出手段250は、検出した動線情報に基づいて、人物が所定のエリアに滞留している時間を検出する。
【0025】
なお、監視カメラ(本実施形態では、撮影手段110)で撮影した画像から移動体を検知し、移動体が人物かどうかの識別し、また人物の移動速度や特徴を利用して追跡する処理については、例えば、文献1(人物行動を把握する画像解析技術と適応例 NEC技報 Vol.63 No.3/2010)に記載された「人物行動を把握する画像解析技術」を適用することで実現することができる。本実施形態では、この画像解析技術を用いて、位置検出手段230は、人のいる位置を座標軸で取得する位置検出処理を実行する。また、人数検出手段240は、この画像解析技術を用いて、人の頭を検収し人数を検出する人数検出処理を実行する。また、滞留時間検出手段250は、この画像解析技術を用いて、人の動線から同一人物がある一定エリア内で動いている軌跡を追い、ある一定エリア内の滞留時間を検出する滞留時間検出処理を実行する。
【0026】
制御ルール作成手段260は、具体的には、プログラムに従って動作する情報処理装置のCPUによって実現される。制御ルール作成手段260は、位置情報や人数情報滞留時間情報に基づいて、空調設備や照明機器を制御するためのファシリティ制御データを生成する機能を備えている。
【0027】
ファシリティ制御装置300は、具体的には、プログラムに従って動作するパーソナルコンピュータやサーバ装置等によって実現される。図1に示されるように、ファシリティ制御装置300は、外部及び内部の各機能との通信を行う機能である通信手段310と、空調制御手段320と、照明制御手段330とを含む。
【0028】
通信手段310は、具体的には、プログラムに従って動作する情報処理装置のネットワークインタフェース部によって実現される。通信手段310は、外部及びファシリティ制御装置300の各手段との通信を制御する機能を備えている。
【0029】
空調制御手段320は、プログラムに従って動作する情報処理装置のCPU及びネットワークインタフェース部によって実現される。空調制御手段320は、空調設備を制御する機能を備えている。
【0030】
照明制御手段330は、プログラムに従って動作する情報処理装置のCPU及びネットワークインタフェース部によって実現される。照明制御手段330は、照明機器を制御する機能を備えている。
【0031】
次に、消費電力削減システムの動作について説明する。図2は、消費電力削減システムが実行する処理例を示すシーケンス図である。なお、本実施形態では、企業等のオフィスビルの室内の天井に複数の撮影機器100が設置されているものとする。また、撮影機器100は、被写体をカラーで撮影可能なカメラによって実現されているものとする。
【0032】
まず、撮影機器100は、室内の撮影を行う。具体的には、撮影機器100の撮影手段110は、室内を撮影し、カラー画像データを送信手段120に出力する(ステップS1)。
【0033】
次いで、送信手段120は、カラー画像データを情報処理装置200の通信手段210に送信する(ステップS2)。
【0034】
次いで、通信手段210は、受信したカラー画像データを管理手段220に出力する(ステップS3)。
【0035】
次いで、管理手段220は、カラー画像データを、位置検出手段230と(ステップS4)、人数検出手段240と(ステップS5)、滞留時間検出手段250と(ステップS6)に出力する。例えば、管理手段220は、カラー画像データから特徴情報を抽出し、位置検出手段230、人数検出手段240及び滞留時間検出手段250に送信するようにしてもよい。なお、ステップS4からS6の処理については、上記の実行順に限らず、いずれの処理を先に実行してもよい。また、これらの処理を並列して実行するようにしてもよい。
【0036】
管理手段220からカラー画像データが出力されると、位置検出手段230は、カラー画像データから画像中に含まれる人物の位置を検出し、検出した位置を示す位置情報(a1)を制御ルール作成手段260に出力する(ステップS7)。
【0037】
また、人数検出手段240は、カラー画像データから画像中に含まれる人物の人数を検出し、検出した人数を示す人数情報(a2)を制御ルール作成手段260に出力する(ステップS8)。
【0038】
また、滞留時間検出手段250は、カラー画像データから画像中に含まれる人物の動線を示す動線情報を検出する。そして、滞留時間検出手段250は、動線情報から人物が所定のエリアに滞留している滞留時間を検出し、検出した滞留時間を示す滞留時間情報(a3)を制御ルール作成手段260に出力する(ステップS9)。なお、滞留時間検出手段250は、動線情報を制御ルール作成手段260に出力するようにしてもよい。この場合、滞留時間情報(a3)は、動線情報に含まれるものとする。
【0039】
なお、ステップS7からS9の処理については、上記の実行順に限らず、いずれの処理を先に実行してもよい。また、これらの処理を並列して実行するようにしてもよい。
【0040】
次いで、制御ルール作成手段260は、位置情報(a1)、人数情報(a2)及び滞留時間情報(a3)に基づいて、ファシリティ制御データ(a4)を作成し、通信手段210に出力する(ステップS10)。なお、制御ルール作成手段260が実行するファシリティ制御データの作成処理の詳細については後述する。
【0041】
次いで、通信手段210は、ファシリティ制御データ(a4)をファシリティ制御装置300の通信手段310に送信する(ステップS11)。
【0042】
次いで、通信手段310は、受信したファシリティ制御データ(a4)を、空調制御手段320(ステップS12)と、照明制御手段330(ステップS13)とに出力する。なお、ステップS12からS13の処理については、上記の実行順に限らず、いずれの処理を先に実行してもよい。また、これらの処理を並列して実行するようにしてもよい。
【0043】
その後、空調制御手段320は、ファシリティ制御データ(a4)に従って、空調設備を制御する。また、照明制御手段330は、ファシリティ制御データ(a4)に従って、照明機器を制御する。
【0044】
次に、ファシリティ制御データの作成処理について、図3〜5を参照して説明する。まず、位置情報と滞在時間情報とに基づいて処理を実行する例について説明する。
【0045】
ここでは、予め消費電力の削減対象のオフィスにおいてエリアを設定しているものとする。図3にエリア設定の一例を示す。例えば、図3に示されるように、各机をエリア1と、オフィスのフロアをエリア2と、オフィスのフロア外をエリア3と設定する。なお、本実施形態では、図3に示すように、各机をエリア1と設定するため、エリア1は複数設定される。これらのエリアを示すエリア情報は、例えば、予めシステム管理者によって情報処理装置200の記憶部に登録される。
【0046】
また、オフィス内に自席がある人物は、自席の識別番号を記憶しているRFIDタグを携帯しているものとする。このようなRFIDタグを携帯することによって、各人物の自席の場所を判定できるようにする。なお、オフィス内にはRFIDリーダが設置され、RFIDタグが記憶している識別番号を読み取ることができるものとする。
【0047】
図4は、制御ルール作成手段が実行する処理の一例を示す流れ図である。図2に示されるステップS7と同様に、位置検出手段230は、カラー画像データから画像中に含まれる人物の位置を検出し、検出した位置を示す位置情報(a1)を制御ルール作成手段260に出力する(図4のステップS21)。
【0048】
なお、ステップS21において、RFIDリーダがその人物が携帯しているRFIDタグを読み取っていた場合には、位置検出手段230は、位置情報(a1)とRFIDリーダがRFIDタグから読み取った識別情報とを対応付けて制御ルール作成手段260に出力する。位置検出手段230は、例えば、RFIDタグを読み取ったRFIDリーダの設置位置と検出した人物の位置とを比較し、所定の範囲内であれば、読み取ったRFIDタグと検出した人物が携帯しているRFIDタグとが同一であると判断する。
【0049】
次いで、制御ルール作成手段260は、位置検出手段230から位置情報(a1)を受信すると、位置情報(a1)に基づいて、人物の位置が予め定めたエリア1,2,3のいずれのエリアに属するか判定する(ステップS22)。
【0050】
ステップS22において、人物の位置がエリア1のいずれかに属すると判定した場合について説明する(ステップS23)。
【0051】
この場合、制御ルール作成手段260は、位置情報に対応付けられたRFIDタグから読み取られた識別番号と、予め記憶しているエリア1に設置された机の識別番号とが一致し、かつそのエリアでの滞留時間が所定期間を越えているか否かを滞留時間情報(a3)に基づいて判定する。
【0052】
そして、識別番号が一致し、滞留時間が所定期間を超えていると判定した場合には、制御ルール作成手段260は、対象の人物が自席に着席しているものと判定し、該当するエリア1周辺の空調設備、照明機器をONと制御する(すなわち、稼働させる)ためのファシリティ制御データ(a4)を生成する(ステップS24)。なお、どの空調設備と照明機器とをONと制御するかについては、例えば、予め机(すなわち、エリア1)ごとに空調設備、照明機器を対応付けて記憶しておき、ファシリティ制御データ生成時に参照して決定する。
【0053】
また、制御ルール作成手段260が、対象の人物の位置情報(または動線情報)に基づいて、対象の人物がそれまで滞留していた自席(すなわち、エリア1)から、エリア1以外のエリア2に移動していると判定した場合について説明する(ステップS25)。ここでは、対象の人物が滞留していたエリア1の空調設備、照明機器をONと制御している状態であるものとする。
【0054】
この場合、制御ルール作成手段260は、滞留時間情報(a3)に基づいて、対象の人物が移動先のエリア2内に滞留している滞留時間を特定し、特定した滞留時間が所定期間より短いと判定した場合には、エリア1の空調設備、照明機器を制御するためのファシリティ制御データを生成しない。一方、特定した滞留時間が所定期間より長いと判定した場合には、制御ルール作成手段260は、エリア1の空調設備、照明機器の制御をOFFにする(すなわち、稼働を停止させる)ためのファシリティ制御データ(a4)を生成する(ステップS26)。
【0055】
また、制御ルール作成手段260が、対象の人物の位置情報(または動線情報)に基づいて、対象の人物がエリア2からエリア3に移動していると判定した場合について説明する(ステップS27)。ここでは、対象の人物がエリア1からエリア2へ移動し、さらにエリア3に移動しているものとする。
【0056】
この場合、制御ルール作成手段260は、滞留時間情報(a3)に基づいて、対象の人物が所定期間以上エリア2に戻ってきていないと判定した場合には、自席(すなわち、エリア1)の空調設備、照明機器をOFFにするためのファシリティ制御データ(a4)を生成する(ステップS27)。
【0057】
制御ルール作成手段260は、以上の判定処理と生成処理を、カラー画像データから検出した全ての位置情報に対して行う。また、空調制御手段320及び照明制御手段330は、生成したファシリティ制御データ(a4)に従って、空調設備及び照明機器のON、OFFを制御する。
【0058】
以上のように、位置情報と滞在時間情報とに基づいて処理を実行する。なお、RFIDタグを用いて検出した人物の席を識別する例について説明したが、RFIDタグによる識別を行わずに、人物を認識した場合に上記の制御を行うことも可能である。そのため、オフィスの常駐者以外の人物にも対応可能である。また、本実施形態では、人の動線や着席状態を判定し、判定結果に基づいてファシリティ制御データを生成する。そのため、人物の行動履歴情報に基づいて行先と動線とを予測して機器の制御を行う特許文献1に記載された技術とは異なる。
【0059】
次に、位置情報と人数情報とに基づいて処理を実行する例について図5を参照して説明する。ここでは、オフィスのフロアをいくつかのエリアに分割し、その一つをエリア4と設定しているものする。また、エリア4に通常在席する人数から、中間人数を設定し、比較基準人数(α)として定義しているものとする。比較基準人数(α)を示す情報は、例えば、予めシステム管理者によって情報処理装置の記憶部に登録される。
【0060】
まず、図2に示されるステップS8と同様に、人数検出手段240は、カラー画像データから画像中に含まれる人物のうち、エリア4に位置する人物の人数を検出し、検出した人数を示す人数情報(a2)を制御ルール作成手段260に出力する(図4のステップS31)。
【0061】
すると、制御ルール作成手段260は、人数情報(a2)に基づいて、検出した人数と比較基準人数(α)とを比較する(ステップS32)。
【0062】
そして、検出した人数が比較基準人数(α)より多いと判定した場合には(ステップS33)、制御ルール作成手段260は、エリア4に対応付けられた空調設備の運転強度を強と制御するファシリティ制御データを生成する(ステップS34)。
【0063】
また、検出した人数が比較基準人数(α)より少ないと判定した場合には(ステップS35)、制御ルール作成手段260は、エリア4に対応付けられた空調設備の運転強度を弱と制御する(すなわち、通常状態よりも稼働させない)ファシリティ制御データを生成する(ステップS36)。なお、この場合には、運転強度を弱と制御するファシリティ制御データに限らず、例えば、空調設備を間欠運転(空調設備の電源のON/OFFを所定期間ごとに繰り返す)させるファシリティ制御データを生成するようにしてもよい。
【0064】
また、検出した人数が比較基準人数(α)と等しいと判定した場合には(ステップS37)、制御ルール作成手段260は、エリア4に対応付けられた空調設備の運転強度を並と制御する(すなわち、通常状態で稼働させる)ファシリティ制御データを生成する(ステップS38)。
【0065】
以上のように、位置情報と人数情報とに基づいて処理を実行する。また、上記の例に限らず、例えば、フロア内の人数が少なくなると、残っている人の着席場所をある特定のエリアに偏らせることによって、消費電力削減システムに他のエリアの空調設備や照明機器を停止させるというような変動的な制御を行わせることも可能である。また、制御するファシリティ設備は、空調設備や照明機器に限らず、例えば、冷暖房設備等であってもよい。
【0066】
以上に説明したように、本実施形態では、監視カメラ(例えば、撮影機器100)が撮影した画像データを人物動線取得アルゴリズム(例えば、人物行動を把握する画像解析技術を適用する)により分析し、人物の位置や人数、動線、所定のエリアでの滞留時間を示す情報を取得する。そして、取得したこれらの情報に基づいて、対象のエリア内の人の動きを把握し、人の動きに即したファシリティ制御を行う。例として、あるエリアにいる人数を把握し、人数に即したファシリティ制御を実施することが可能となる。また、人の動線から特徴(例えば、エリア1からエリア2に移動したこと等)を抽出し、動線に即したファシリティ制御内容を判断し、実行することが可能となる。
【0067】
このように、本実施形態では、人物があるエリアで検出されたことに基づいて直ちにファシリティ設備を稼働させるのではなく、動線情報に基づいて人物の動きを追跡し、人物が最終的にあるエリアに定着したことを検出してファシリティ設備を稼働させる。そのため、単に人物を検出してファシリティ設備を制御する場合よりも消費電力を効率的に削減することができる。すなわち、本実施形態では、予め登録された人であるか否かに関わらず、対象のエリア内にいる人の状態に即して設備の制御を実行することにより、ファシリティ設備の消費電力を効率的に削減することができる。
【0068】
また、特許文献1の段落0054には、「照明選定部40は、移動体の位置と移動方向により、ユーザが歩行する通路を特定することができ、その通路を動線52とみなして照明14aを選定する」と記載されている。なお、特許文献1の段落0045には、本実施形態とは異なり、動線はユーザが移動可能な通路のことを意味し、オフィスレイアウトにより予め複数設定されていると記載されている。
【0069】
本実施形態と特許文献1に記載された方法(以下、単に先行技術という)との差異について説明すると、本実施形態では、人物が移動した軌跡を示す動線に基づいて、ファシリティ設備の制御を行う。これに対して、先行技術では、ユーザの位置と移動方向とに基づいて、予め設定されたユーザが移動可能な通路である動線から、ユーザが歩行する動線(通路)を推定し、推定した動線に基づいてファシリティ設備の制御を行う。
【0070】
しかし、先行技術を適用しても、ユーザの行動履歴情報を含む個人情報がない場合には、移動体(ユーザ)の位置と移動方向とに基づいて、ユーザが歩行する通路を正確に特定することは困難であると思われる。例えば、広いフロアにおいてユーザが目的の位置に移動する場合には、現在の位置から直進して移動するのではなく、障害物を避けるために、途中で移動方向を変えて移動することがあるからである。すなわち、現在の位置と移動方向とだけでは正確な目的の位置を推定することができず、目的の位置が推定できなければ、ユーザが歩行する通路も特定することができない。
【0071】
よって、先行技術を適用した場合には、不確実な予測に基づく余計な制御が行われ、却って消費電力を削減することができなくなることが考えられる。これに対して、本実施形態では、ユーザの行動結果に基づいて設備の制御を行うため、不確実な予測に基づく余計な制御を行うことがない。そのため、本実施形態では、ファシリティ設備の消費電力をより効率的に削減することができる。
【0072】
次に、本発明による消費電力削減装置の最小構成について説明する。図6は、消費電力削減装置の最小の構成例を示すブロック図である。図6に示すように、消費電力削減装置は、最小の構成要素として、動線検出手段1と、ファシリティ設備制御手段2とを含む。
【0073】
図6に示す最小構成の消費電力削減装置では、動線検出手段1は、撮影手段が所定の場所を撮影した画像から人物の動線を示す動線情報を検出する。すると、ファシリティ設備制御手段2は、動線検出手段が検出した動線情報に基づいて、ファシリティ設備を制御する。
【0074】
従って、最小構成の消費電力削減装置によれば、ファシリティ設備の消費電力を効率的に削減することができる。
【0075】
なお、本実施形態では、以下の(1)〜(6)に示すような消費電力削減装置の特徴的構成が示されている。
【0076】
(1)消費電力削減装置は、撮影手段(例えば、撮影機器100によって実現される)が所定の場所を撮影した画像から人物の動線を示す動線情報を検出する動線検出手段(例えば、滞留時間検出手段250によって実現される)と、動線検出手段が検出した動線情報に基づいて、ファシリティ設備(例えば、空調設備や照明機器)を制御するファシリティ設備制御手段(例えば、制御ルール作成手段260と空調制御手段320または照明制御手段330とによって実現される)とを備えたことを特徴とする。
【0077】
(2)消費電力削減装置において、画像から人物の位置を示す位置情報を検出する位置検出手段(例えば、位置検出手段230によって実現される)と、動線検出手段が検出した動線情報から人物が所定のエリアに滞留している時間を示す滞留時間情報を検出する滞留時間検出手段(例えば、滞留時間検出手段250によって実現される)とを備え、ファシリティ設備制御手段は、位置検出手段が検出した位置情報と滞留時間検出手段が検出した検出時間情報とに基づいてファシリティ設備を制御するように構成されていてもよい。
【0078】
(3)消費電力削減装置において、ファシリティ設備制御手段は、位置検出手段が検出した位置情報に基づいて人物が前記エリアに位置していると判断し、かつ滞留時間検出手段が検出した滞留時間情報に基づいて前記人物が前記エリアに滞留している時間が所定期間を経過していると判断した場合に、前記エリアに対応付けられたファシリティ設備を稼働させるように制御するように構成されていてもよい。
【0079】
(4)消費電力削減装置において、ファシリティ設備制御手段は、動線情報に基づいて、人物が予め定められた第1のエリアから第2のエリアに移動したと判断し、かつ滞留時間情報に基づいて、前記人物が前記第2のエリアに滞留している時間が所定期間を経過していると判断した場合に、前記第1のエリアに対応付けられたファシリティ設備の消費電力を削減する(例えば、稼働を停止させる)ように制御するように構成されていてもよい。
【0080】
(5)消費電力削減装置において、画像から所定のエリアに位置する人物の数を示す人数情報を検出する人数検出手段(例えば、人数検出手段240)を備え、ファシリティ設備制御手段は、人数検出手段が検出した人数情報に基づいてファシリティ設備を制御するように構成されていてもよい。
【0081】
(6)消費電力削減装置において、ファシリティ設備制御手段は、人数情報に基づいて所定のエリア(例えば、図3に示されるエリア4)に位置する人物の数と予め定められた所定の閾値(例えば、比較基準人数(α))とを比較し、比較結果に基づいてエリアに対応付けられたファシリティ設備を制御するように構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、オフィス等の消費電力を削減する用途に適用可能である。
【符号の説明】
【0083】
1 動線検出手段
2 ファシリティ設備制御手段
100 撮影機器
110 撮影手段
120 送信手段
200 情報処理装置
210 通信手段
220 管理手段
230 位置検出手段
240 人数検出手段
250 滞留時間検出手段
260 制御ルール作成手段
300 ファシリティ制御装置
310 通信手段
320 空調制御手段
330 照明制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影手段が所定の場所を撮影した画像から人物の動線を示す動線情報を検出する動線検出手段と、
前記動線検出手段が検出した前記動線情報に基づいて、ファシリティ設備を制御するファシリティ設備制御手段とを
備えたことを特徴とする消費電力削減装置。
【請求項2】
画像から人物の位置を示す位置情報を検出する位置検出手段と、
動線検出手段が検出した動線情報から前記人物が所定のエリアに滞留している時間を示す滞留時間情報を検出する滞留時間検出手段とを備え、
ファシリティ設備制御手段は、前記位置検出手段が検出した前記位置情報と前記滞留時間検出手段が検出した検出時間情報とに基づいてファシリティ設備を制御する
請求項1記載の消費電力削減装置。
【請求項3】
ファシリティ設備制御手段は、位置検出手段が検出した位置情報に基づいて人物が前記エリアに位置していると判断し、かつ滞留時間検出手段が検出した滞留時間情報に基づいて前記人物が前記エリアに滞留している時間が所定期間を経過していると判断した場合に、前記エリアに対応付けられたファシリティ設備を稼働させるように制御する
請求項2記載の消費電力削減装置。
【請求項4】
ファシリティ設備制御手段は、動線情報に基づいて、人物が予め定められた第1のエリアから第2のエリアに移動したと判断し、かつ滞留時間情報に基づいて、前記人物が前記第2のエリアに滞留している時間が所定期間を経過していると判断した場合に、前記第1のエリアに対応付けられたファシリティ設備の消費電力を削減するように制御する
請求項2又は請求項3記載の消費電力削減装置。
【請求項5】
画像から所定のエリアに位置する人物の数を示す人数情報を検出する人数検出手段を備え、
ファシリティ設備制御手段は、前記人数検出手段が検出した前記人数情報に基づいてファシリティ設備を制御する
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の消費電力削減装置。
【請求項6】
ファシリティ設備制御手段は、人数情報に基づいて所定のエリアに位置する人物の数と予め定められた所定の閾値とを比較し、比較結果に基づいて前記エリアに対応付けられたファシリティ設備を制御する
請求項5記載の消費電力削減装置。
【請求項7】
撮影手段と、
消費電力削減装置と、
ファシリティ設備制御装置とを備え、
前記消費電力削減装置は、
前記撮影手段が所定の場所を撮影した画像から人物の動線を示す動線情報を検出する動線検出手段を含み、
前記ファシリティ設備制御装置は、
前記動線検出手段が検出した前記動線情報に基づいて、ファシリティ設備を制御するファシリティ設備制御手段を含む
ことを特徴とする消費電力削減システム。
【請求項8】
撮影手段が所定の場所を撮影した画像から人物の動線を示す動線情報を検出し、
検出した前記動線情報に基づいて、ファシリティ設備を制御する
ことを特徴とする消費電力削減方法。
【請求項9】
コンピュータに、
撮影手段が所定の場所を撮影した画像から人物の動線を示す動線情報を検出する動線検出処理と、
検出した前記動線情報に基づいて、ファシリティ設備を制御するファシリティ設備制御処理とを
実行させるための消費電力削減プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−182655(P2012−182655A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44233(P2011−44233)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】