説明

消費電力計算装置

【課題】本発明は印刷装置の消費電力を計算する消費電力計算装置に関し、特に少ないメモリ容量で印刷装置の消費電力を計算でき、リザーブのメモリも必要なく、印刷速度の変更においても容易に対応できる消費電力計算装置を提供するものである。
【解決手段】モータを駆動することによって記録媒体を搬送し、該記録媒体に印刷データに従った印刷処理を行う印刷装置の消費電力計算装置であって、紙種によって異なる記録媒体の印刷搬送速度と電力値から、上記モータの回転数に対応する特定電力値を計算する第1の計算手段と、上記特定電力値とモータの回転数の積を計算してモータの積算電力を計算する第2の計算手段とを有し、上記モータの積算電力と、該モータの積算電力以外の積算電力を加算し、上記印刷装置の消費電力を計算することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷装置において、特に消費電力を計算する消費電力計算装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、地球環境の保持が世界的に叫ばれ、地球温暖化防止会議を中心として温室効果ガスの排出規制が実現化に向かっている。このような状況において、プリンタ装置や複写機等の印刷装置においても、消費電力の削減が要求されている。このため、印刷装置の消費電力の計算は不可欠であり、効率よく且つ大きなメモリを使用することなく消費電力の計算を行うことが求められている。
【0003】
従来の印刷装置における消費電力の計算は以下の計算式を用いて行われていた。すなわち、「ヒータの積算電力+モータの積算電力+その他の積算電力」の計算を行い、印刷装置の消費電力を計算していた。
ここで、ヒータの積算電力はヒータの定格電力と通電時間とヒータ係数の積で計算され、ヒータ係数はヒータの突入電流分を考慮して決定される。また、その他の積算電力は待機電力とスリープ電力と印刷電力であり、待機電力は待機時間との積によって計算され、スリープ電力はスリープ時間との積によって計算され、印刷電力は印刷時間との積によって計算されている。
【0004】
また、モータの積算電力は、用紙の搬送、定着、ベルト駆動、現像装置内の各種ローラ等を回転させるためのモータ電力であり、カラー印刷の場合、例えばシアン(C)、ブラック(K)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)の4色を使用する場合であれば、現像装置の駆動には4倍のモータ必要となる。また、モータの積算電力は使用する記録媒体(用紙)の紙種によって異なり、例えば普通紙、厚紙、OHP紙の場合、以下の印刷速度と電力値に基づいて計算される。

印刷モート゛ 印刷速度 カラー モノクロ
[mm/s] [W] [W]
普通紙 130 130 78
厚紙 100 100 60
OHP紙 50 50 30

このため、モータの積算電力は以下の計算式によって計算される。
「モータの積算電力=(普通紙のカラー電力値×普通紙のカラー印刷時間) +(厚紙のカラー電力値×厚紙のカラー印刷時間)+(OHP紙のカラー電力値×OHP紙のカラー印刷時間)+(普通紙のモノクロ電力値×普通紙のモノクロ印刷時間) +(厚紙のモノクロ電力値×厚紙のモノクロ印刷時間)+(OHP紙のモノクロ電力値×OHP紙のモノクロ印刷時間)」
【0005】
尚、積算電力に関する先行技術としては、特許文献1に電気式床暖房システムにおける簡易な消費電力表示装置の発明が開示され、特許文献2には計算した電力の累計を格納する使用電力累計テーブルを利用した画像形成装置の発明が開示され、特許文献3には省電力モードにおける電力削減を明確に計算する画像形成装置の発明が開示されている。
【特許文献1】特開2007−170708号公報
【特許文献2】特開2004−085985号公報
【特許文献3】特開2005−132045号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の消費電力の計算方法では以下の問題がある。
以下に示す表は、前述のヒータ電力、待機電力、印刷電力、スリープ電力、モータ積算電力を計算し、印刷装置全体の消費電力を求めるためのメモリ容量を説明するものである。


項目 単位 ヒ゛ット数 備考
ヒータ1ON時間 秒 22 500W 30万枚印刷と待機で1000時間
ヒータ2ON時間 秒 22 500W 30万枚印刷と待機で1000時間
待機時間 秒 28 5年保障
印刷時間 秒 22 1枚 13sで30万枚保障
スリープ時間 秒 28 5年保障
普通紙カラー印刷時間 秒 22 上記印刷時間と同じヒ゛ット数
厚紙カラー印刷時間 秒 22
OHPカラー印刷時間 秒 22
リザーブ 秒 22
リザーブ 秒 22
普通紙モノクロ印刷時間 秒 22
厚紙モノクロ印刷時間 秒 22
OHPモノクロ印刷時間 秒 22
リザーブ 秒 22
リザーブ 秒 22

例えば、ヒータ電力を求める場合、30万枚の印刷と、待機1000時間とすると、ヒータオン時間を記録するためには22ビットのメモリ容量を必要とし、例えば2台のヒータ1、2を使用すれば44ビットのメモリ容量が必要となる。また、待機電力、及びスリープ電力については、例えば5年間保障と考えて待機時間、及びスリープ時間の記録にそれぞれ28ビットのメモリ容量が必要となる。また、印刷電力の計算では、1枚13秒で印刷出力を行うものとして30万枚を保障すると、印刷時間の記録に28ビットのメモリ容量が必要となる。
【0007】
さらに、前述の普通紙、厚紙、OHP紙の3種類の紙種を使用する場合、カラー印刷とモノクロ印刷を含めて、印刷時間の記録に22×6ビットのメモリ容量が必要となり、極めて大きな容量のメモリが必要となる。
【0008】
また、上記表に示すリザーブは、新たな紙種の装着に備えて必要であるメモリを確保するものであり、例えば22×4ビット分のメモリ容量を確保する。したがって、従来では上記メモリ容量も必要となる。さらに、印刷速度を変更する場合にも、紙種によって電力値を変更しなければならない。
【0009】
そこで、本発明は少ないメモリ容量で印刷装置の消費電力を計算でき、リザーブ用のメモリ容量も必要なく、印刷速度の変更においても容易に対応できる消費電力計算装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は第1の発明によれば、モータを駆動することによって記録媒体を搬送し、該記録媒体に印刷データに従った印刷処理を行う印刷装置の消費電力計算装置において、紙種によって異なる記録媒体の印刷搬送速度と電力値から、前記モータの回転数に対応する特定電力値を計算する第1の計算手段と、前記特定電力値と前記モータの回転数の積を計算してモータの積算電力を計算する第2の計算手段とを有し、前記モータの積算電力と、該モータの積算電力以外の積算電力を加算し、前記印刷装置の消費電力を計算する消費電力計算装置を提供することによって達成できる。
【0011】
また、上記課題は第2の発明によれば、前記モータの積算電力以外の積算電力は、ヒータ電力、待機電力、及びスリープ電力である消費電力計算装置を提供することによって達成できる。
【0012】
また、上記課題は第3の発明によれば、前記特定電力値は、カラー印刷及びモノクロ印刷において、それぞれ設定されている消費電力計算装置を提供することによって達成できる。
【0013】
また、上記課題は第4の発明によれば、前記モータの積算電力の計算は、一定間隔、又は印刷処理の終了時に行う消費電力計算装置を提供することによって達成できる。
【0014】
さらに、上記課題は第5の発明によれば、モータを駆動することによって記録媒体を搬送し、該記録媒体に印刷データに従った印刷処理を行う印刷装置に使用するプログラムであって、紙種によって異なる記録媒体の印刷搬送速度と電力値から、前記モータの回転数に対応する特定電力値を計算する処理と、前記特定電力値と前記モータの回転数の積を計算してモータの積算電力を計算する処理と、前記モータの積算電力と、該モータの積算電力以外の積算電力を加算し、前記印刷装置の消費電力を計算する処理とを印刷装置を使用して実行させるプログラムを提供することによって達成できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、少ないメモリ容量で印刷装置の消費電力を計算でき、リザーブのメモリ容量も必要なく、印刷速度の変更においても容易に対応できる消費電力計算装置を提供することを目的とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における印刷装置(以下、プリンタ装置で示す)の内部構成を説明する断面図である。
同図に示すプリンタ装置1は、電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラーのプリンタ装置であり、4つの画像形成部2、中間転写ベルトユニット3、給紙部4、及び両面印刷用搬送ユニット5で構成されている。
【0017】
上記画像形成部2は、同図の右から左へ4個の画像形成ユニット6(6M、6C、6Y、6K)を多段式に並設した構成から成る。上記4個の画像形成ユニット6のうち上流側(図の右側)の3個の画像形成ユニット6M、6C、及び6Yは、それぞれ減法混色の三原色であるマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の色トナーによるカラー画像を形成し、画像形成ユニット6Kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。
【0018】
上記の各画像形成ユニット6は、トナー容器に収納されたトナーの色を除き全て同じ構成である。したがって、以下ブラック(K)用の画像形成ユニット6Kを例にしてその構成を説明する。
【0019】
画像形成ユニット6は、最下部に感光体ドラム7を備えている。この感光体ドラム7は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成され、周面近傍を取り巻いて、クリーナ8、帯電ローラ9、光ヘッド11、及び現像器12の現像ローラ13が配置されている。
【0020】
現像器12は、上部のトナー容器に、同図にはM、C、Y、Kで示すようにマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)のいずれかのトナーを収容し、中間部には下部へのトナー補給機構を備え、下部には側面開口部に上述した現像ローラ13を備え、内部にトナー撹拌部材、現像ローラ13にトナーを供給するトナー供給ローラ、現像ローラ13上のトナー層を一定の層厚に規制するドクターブレード等を備えている。
【0021】
中間転写ベルトユニット3は、本体装置のほぼ中央で図の左右のほぼ端から端まで扁平なループ状になって延在する無端状の転写ベルト14、この転写ベルト14を掛け渡されて転写ベルト14を図の反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ15、及び従動ローラ16を備えている。
【0022】
尚、上記転写ベルト14には、トナー像が直接ベルト面に転写(一次転写)され、そのトナー像を更に用紙に転写(二次転写)すべく用紙への転写位置まで搬送するので、ここではユニット全体を中間転写ベルトユニットとして示している。
【0023】
この中間転写ベルトユニット3は、上記扁平なループ状の転写ベルト14のループ内にベルト位置制御機構17を備えている。ベルト位置制御機構17は、転写ベルト14を介して感光体ドラム7の下部周面に押圧する導電性発泡スポンジから成る一次転写ローラ18を備えている。
【0024】
ベルト位置制御機構17は、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びイエロー(Y)の3個の画像形成ユニット6M、6C、及び6Yに対応する3個の一次転写ローラ18を鉤型の支持軸を中心に同一周期で回転移動させ、ブラック(K)の画像形成ユニット6Kに対応する1個の一次転写ローラ18を上記3個の一次転写ローラ18の周期と異なる回転移動周期で回転移動させて転写ベルト14を感光体ドラム7から離接させ、フルカラーモード(4個全部の一次転写ローラ18が転写ベルト14に当接)、モノクロモード(画像形成ユニット6Kに対応する一次転写ローラ18のみが転写ベルト14に当接)、及び全非転写モード(4個全部の一次転写ローラ18が転写ベルト14から離れる)に切換える。
【0025】
上記中間転写ベルトユニット3には、上面部のベルト移動方向最上流側の画像形成ユニット6Mの更に上流側に、ベルトクリーナユニットが配置され、下面部のほぼ全面に沿い付けるように平らで薄型の廃トナー回収容器19が着脱自在に配置されている。
給紙部4は、上下3段に配置された3個の給紙カセット21a〜21cを備え、3個の給紙カセット21a〜21cの給紙口(図の右方)近傍には、それぞれ用紙取出ローラ22、給送ローラ23、捌きローラ24、待機搬送ローラ対25が配置されている。待機搬送ローラ対25の用紙搬送方向(図の鉛直上方向)には、転写ベルト14を介して従動ローラ16に圧接する二次転写ローラ26が配設されて、用紙への二次転写部を形成している。
【0026】
また、上記3個の給紙カセット21a〜21cには、それぞれ異なる記録媒体が収納され、例えば給紙カセット21aには普通紙が収納され、また21bには厚紙が収納され、21cにはOHP紙が収納されている。そして、後述する制御に従って、指定された給紙カセット21a〜21cから対応する用紙が搬出される。
【0027】
上記二次転写部の下流(図では上方)側にはベルト式熱定着装置27が配置されて、ベルト式熱定着装置27の更に下流側には、定着後の用紙をベルト式熱定着装置27から搬出する搬出ローラ対28、及びその搬出される用紙を装置上面に形成されている排紙トレイ29に排紙する排紙ローラ対31が配設されている。また、ベルト式熱定着装置27には2本のヒータ41、42が配設され、後述するヒータ電力の計算が行なわれる。
【0028】
両面印刷用搬送ユニット5は、上記搬出ローラ対28と排紙ローラ対31との中間部の搬送路から図の右横方向に分岐した開始返送路32a、それから下方に曲がる中間返送路32b、更に上記とは反対の左横方向に曲がって最終的に返送用紙を反転させる終端返送路32c、及びこれらの返送路の途中に配置された4組の返送ローラ対33a、33b、33c、33dを備えている。尚、上記終端返送路32cの出口は、給紙部4の下方の給紙カセット21に対応する待機搬送ローラ対25への搬送路に連絡している。
【0029】
また、本例において中間転写ベルトユニット3の上面部には、クリーニング部35、取り込みローラ36が配置されている。クリーニング部35は、転写ベルト14の上面に当接して廃トナーを擦り取って除去し、取り込みローラ36はクリーニング部35が除去した廃トナーを引き継いで、不図示のベルトクリーナユニットの一時貯留部に溜め込み、その溜め込まれた廃トナーを搬送スクリューにより落下筒内を上部まで搬送し、落下筒を介して廃トナー回収容器19に回収している。
【0030】
また、上記のクリーニング部35を適度の圧力で転写ベルト14に圧接させるために、中間転写ベルトユニット3側には、下方から転写ベルト14をクリーニング部35に向けて押圧する押圧ローラ37が設けられている。また、上記各種ローラは不図示のモータによって駆動し、該モータの回転数が計測される。
また、上記モータの回転数や、ヒータ41、42の駆動時間、後述する装置の待機時間、スリープ時間等のデータは、印刷装置1の制御部40のEEPROM40aに記録される。
【0031】
次に、本例で使用する特定電力値の計算について、図2を用いて説明する。
モータの駆動電力は用紙の搬送速度にほぼ比例し、例えば用紙を1m搬送するための積算電力は、以下のようになる。
先ず、普通紙のカラー印刷の場合、図2に示すようにモータ電力は130Wであり、モータが1時間回転すると130Hhの積算電力となる。また、1時間に用紙が進む距離は130mm/s×3600s=468000mm(468m)となる。したがって、1mの積算電力(特定電力値)は130Wh÷468000mm×1000mm≒0.278Wh/mとなる。
【0032】
また、厚紙のカラー印刷の場合、図2に示すようにモータ電力は100Wであり、モータが1時間回転すると100Wh/mの積算電力となる。また、上記と同様、1時間に用紙が進む距離は100mm/s×3600s=360000mm(360m)となる。したがって、1mの積算電力は100Wh÷360000mm×1000mm≒0.278Wh/mとなり、厚紙の場合も普通紙と同じ特定電力値となる。さらに、OHP紙の場合も同様であり、特定電力値は約0.278Wh/mとなる。
【0033】
一方、普通紙のモノクロ印刷の場合にも同様の計算を行うと、特定電力値は0.167Wh/mとなり、カラー印刷の場合と同様、厚紙場合、及びOHP紙の場合も同じ値となる。
したがって、本例ではモータの積算電力を計算する際、カラー印刷の場合には0.278Wh/mの特定電力値を使用し、モノクロ印刷の場合には0.167Wh/mの特定電力値を使用し、これらのデータを前述のEEPROM40aに記憶する。
【0034】
次に、本例の処理動作を説明する。
図3は本例の処理を説明する主となるフローチャートである。先ず、印刷装置1の初期化を行い、前述のEEPROM40aから消費電力の計算に必要なデータを読み出す(ステップ(以下、Sで示す)1)。この時読み出すデータは、上記特定電力値のデータや、図4に示すヒータ41、42のオン時間、待機時間、印刷時間、スリープ時間の各データである。尚、これらの時間は後述する処理によって、順次EEPROM40aに更新されるデータであり、これらのデータに基づいて電力計算を行う(S2)。
【0035】
図5に示すフローチャートは、具体的な消費電力の計算処理を示し、ヒータ積算電力、モータ積算電力、待機電力、印刷電力、スリープ電力の和を計算する。具体的には、図5に示す処理(S3)を実行する。
先ず、ヒータ41のヒータ電力として、500W×ヒータ41のオン時間×係数1÷3600を計算する。この場合、係数1はヒータ41をオンした際の突入電流を考慮した値であり、3600の割り算は1時間に換算するためである。また、同様に、ヒータ42のヒータ電力についても、500W×ヒータ42のオン時間×係数2÷3600の計算を行なう。この場合も、係数2はヒータ42をオンした際の突入電流を考慮した値であり、3600の割り算は1時間に換算するためである。尚、ヒータ41、及び42のオン時間の計測処理については、後述する。
【0036】
次に、モータの積算電力を計算する。モータの積算電力は、前述の特定電力値にカラー印刷の際の用紙の移動距離を掛け算し、特定電力値にモノクロ印刷の際の用紙の移動距離を掛け算し、それぞれを加算して計算する。具体的には、((0.278×カラー印刷の際のモータの回転数+0.167×モノクロ印刷の際のモータの回転数)÷10)の計算処理を行って求める。尚、10の割り算はEEPROM40aには100mm単位の移動距離が記録されるため、1m単位に換算するものである。
【0037】
本例によれば、1m当りの積算電力は印刷モードが変わってもカラー印刷の場合、前述の特定電力値0.278Wh/mを使用して計算でき、モノクロ印刷の場合特定電力値0.167Wh/mを使用して計算でき、(カラー電力×カラー印刷距離+モノクロ電力×モノクロ距離)を計算することによって算出することができる。すなわち、従来の印刷時間を測定して積算電力を算出する方法では、単位時間当たりの電力は印刷速度と比例して電力が変わるので、どの印刷速度で印刷した時間かを記憶する必要があったが、本例では、印刷距離から積算電力を算出することができ、簡単な計算によってモータの積算電力を計算することができる。
【0038】
次に、待機電力を計算する。この待機電力の計算は、待機電力×待機時間によって算出することができる。また、印刷電力も印刷電力×印刷時間によって算出することができ、更にスリープ電力もスリープ電力×スリープ時間によって算出することができる。
【0039】
次に、前述の図3に示す処理に戻り、印刷データがあるか判断する(S4)。ここで、印刷データが入力していなければ印刷データの入力を待ち(S4がNO)、印刷データが入力すると(S4がYES)、画像作成が完了したか判断する(S5)。そして、画像作成処理が完了していなければ、画像作成の完了を待ち(S5がNO)、画像作成が完了すれば(S5がYES)、指定された印刷モードの印刷処理を開始する(S6)。
【0040】
例えば、普通紙印刷であれば、普通紙を給紙部4の給紙カセット21aから搬出し、前述の搬送路を介して画像形成部2に搬送し、印刷データに従った印刷処理を行う。また、厚紙印刷の場合には、給紙部4の給紙カセット21bから搬出し、前述の搬送路を介して画像形成部2に搬送し、印刷データに従った印刷処理を行う。さらに、OHP紙の場合には、給紙部4の給紙カセット21cから搬出し、前述の搬送路を介して画像形成部2に搬送し、印刷データに従った印刷処理を行う。
【0041】
この間、図6に示すフローチャートに従って、カラー印刷であれば(ステップ(以下、STで示す)1がYES)、100mm分の印刷処理が進む毎に(ST2)、モータの回転数に対応させてカラーの印字距離を+1する(ST3)。また、モノクロ印刷であれば(ST1がNO、ST4)、100mm分の印刷処理が進む毎に(ST5)、モータの回転数に対応させてモノクロの印字距離を+1する(ST6)。そして、上記計数値はEEPROM40aに順次記録される。
【0042】
一方、ヒータ電力の計算に使用するヒータ時間については、図7に示すフローチャートに従って、先ず温度制御があるか判断し(ステップ(以下、STPで示す)1)、温度制御がない場合(STP1がNO)、ヒータ41をオフし、不図示のヒータ監視タイマをストップする(STP2)。一方、温度制御がある場合(STP1がYES)、予め設定された温度以上であるか判断する(STP3)。そして、設定された温度以上ではなく(STP3がNO)、かつヒータ監視タイマが停止中であれば、ヒータ監視タイマをスタートし(STP4、STP5)、ヒータ監視タイマが動作中であれば、ヒータ監視タイマが1秒経過するのを待ち(STP6)、ヒータ時間を+1する(STP7)。
【0043】
また、ヒータ42についても同様であり、図8に示すフローチャートに従って、先ずヒータ42に対する温度制御があるか判断し(ステップ(以下、Wで示す)1)、温度制御がない場合(W1がNO)、ヒータ42をオフし、不図示のヒータ監視タイマをストップする(W2)。一方、温度制御がある場合(W1がYES)、予め設定された温度以上であるか判断し(W3)、設定された温度以上ではなく(W3がNO)、かつヒータ監視タイマが停止中であれば、ヒータ監視タイマをスタートし(W4、W5)、ヒータ監視タイマが動作中であれば、ヒータ監視タイマが1秒経過するのを待ち(W6)、ヒータ時間を+1する(W7)。
【0044】
このようにして計数されるヒータ監視タイマのカウント値はEEPROM40aに順次記録され、前述のヒータの積算電力の計算に使用される。
また、待機時間の計数についても、図9に示すフローチャートに従って、先ず待機状態であるか判断し(ステップ(以下、Uで示す)1)、待機状態ではない場合(U1がNO)、不図示の待機監視タイマをストップする(U2)。一方、待機状態である場合(U1がYES)、待機監視タイマが停止中であるか判断し(U3)、待機監視タイマが停止中であれば、待機監視タイマをスタートし(U4)、待機監視タイマが動作中であれば、待機監視タイマが1秒経過するのを待ち(U5)、待機時間を+1する(U6)。
【0045】
このようにして計数される待機監視タイマのカウント値はEEPROM40aに順次記録され、前述の待機電力の計算に使用される。
また、印字時間の計数についても、図10に示すフローチャートに従って、先ず印字状態であるか判断し(ステップ(以下、Vで示す)1)、印字状態ではない場合(V1がNO)、不図示の印字監視タイマをストップする(V2)。一方、印字状態である場合(V1がYES)、印字監視タイマが停止中であるか判断し(V3)、印字監視タイマが停止中であれば、印字監視タイマをスタートし(V4)、印字監視タイマが動作中であれば、印字監視タイマが1秒経過するのを待ち(V5)、印字時間を+1する(V6)。
【0046】
このようにして計数される印字監視タイマのカウント値はEEPROM40aに順次記録され、前述の印刷電力の計算に使用される。
【0047】
さらに、スリープ時間の計数についても、図11に示すフローチャートに従って、先ずスリープ状態があるか判断し(ステップ(以下、Xで示す)1)、スリープ状態ではない場合(X1がNO)、不図示のスリープ監視タイマをストップする(X2)。一方、スリープ状態である場合(X1がYES)、スリープ監視タイマが停止中であるか判断し(X3)、スリープ監視タイマが停止中であれば、スリープ監視タイマをスタートし(X4)、スリープ監視タイマが動作中であれば、スリープ監視タイマが1秒経過するのを待ち(X5)、スリープ時間を+1する(X6)。
【0048】
このようにして計数されるスリープ監視タイマのカウント値はEEPROM40aに順次記録され、前述のスリープ電力の計算に使用される。
【0049】
次に、前述の図3に示すフローチャートの処理に戻り、印刷処理が終了すると(S7がYES)、再度電力計算を行う(S8)。この場合、上記図6〜図11において説明したカラー印刷やモノクロ印刷の印刷距離、ヒータ時間や、待機時間、印字時間、スリープ時間のデータがEEPROM40aに更新され、記憶されており、新たなデータに基づいて消費電力の計算が行われる。また、この時EEPROM40aに記憶されたデータはメモリ容量も少ないものである。
【0050】
以上のように本実施形態によれば、従来よりEEPROM40aに記憶すべきデータの量が減り、従来必要であったモータの積算電力を計算するための22×6ビット分のメモリ容量を、22×2ビット分のメモリ容量に減らすことができる。また、従来必要であったリザーブ用のメモリ容量を不要とすることができる。
【0051】
さらに、本実施形態によれば、印刷速度の変更においても、新たにメモリ領域を確保する必要がなく、容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施形態のプリンタ装置の構成図である。
【図2】本実施形態で使用する特定電力値を説明する図である。
【図3】本実施形態の処理を説明するフローチャートである。
【図4】ヒータ時間等の各時間を説明する図である。
【図5】消費電力を計算するフローチャートである。
【図6】カラー印刷処理、又はモノクロ印刷処理の移動距離を計数するフローチャートである。
【図7】ヒータの駆動時間を計数するフローチャートである。
【図8】他のヒータの駆動時間を計数するフローチャートである。
【図9】待機時間を計数するフローチャートである。
【図10】印字時間を計数するフローチャートである。
【図11】スリープ時間を計数するフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
1・・・プリンタ
2・・・画像形成部
3・・・中間転写ベルトユニット
4・・・給紙部
5・・・両面印刷用搬送ユニット
6、6M、6C、6Y、6K・・画像形成ユニット
7・・・感光体ドラム
8・・・クリーナ
9・・・帯電ローラ
10・・光ヘッド
11・・帯電器
12・・現像器
13・・現像ローラ
14・・転写ベルト
15・・駆動ローラ
16・・従動ローラ
17・・ベルト位置制御機構
18・・一次転写ローラ
19・・廃トナー回収容器
21・・給紙カセット
22・・用紙取出ローラ
23・・給送ローラ
24・・捌きローラ
25・・待機搬送ローラ対
26・・二次転写ローラ
27・・ベルト式熱定着装置
28・・搬出ローラ対
29・・排紙トレイ
31・・排紙ローラ対
32a・・開始返送路
32b・・中間返送路
32c・・終端返送路
33a、33b、33c、33d・・返送路
35・・クリーニング部
36・・取り込みローラ
37・・押圧ローラ
40・・制御部
40a・・EEPROM
41、42・・ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを駆動することによって記録媒体を搬送し、該記録媒体に印刷データに従った印刷処理を行う印刷装置の消費電力計算装置において、
紙種によって異なる記録媒体の印刷搬送速度と電力値から、前記モータの回転数に対応する特定電力値を計算する第1の計算手段と、
前記特定電力値と前記モータの回転数の積を計算してモータの積算電力を計算する第2の計算手段とを有し、
前記モータの積算電力と、該モータの積算電力以外の積算電力を加算し、前記印刷装置の消費電力を計算することを特徴とする消費電力計算装置。
【請求項2】
前記モータの積算電力以外の積算電力は、ヒータ電力、待機電力、及びスリープ電力であることを特徴とする請求項1に記載の消費電力計算装置。
【請求項3】
前記特定電力値は、カラー印刷及びモノクロ印刷において、それぞれ設定されていることを特徴とする請求項1、又は2に記載の消費電力計算装置。
【請求項4】
前記モータの積算電力の計算は、一定間隔、又は印刷処理の終了時に行うことを特徴とする請求項1に記載の消費電力計算装置。
【請求項5】
モータを駆動することによって記録媒体を搬送し、該記録媒体に印刷データに従った印刷処理を行う印刷装置に使用するプログラムであって、
紙種によって異なる記録媒体の印刷搬送速度と電力値から、前記モータの回転数に対応する特定電力値を計算する処理と、
前記特定電力値と前記モータの回転数の積を計算してモータの積算電力を計算する処理と、
前記モータの積算電力と、該モータの積算電力以外の積算電力を加算し、前記印刷装置の消費電力を計算する処理と、
を印刷装置を使用して実行させることを特徴とするプログラム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図1】
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【公開番号】特開2010−149451(P2010−149451A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332082(P2008−332082)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】