説明

消音装置

【課題】通気抵抗を少なくしながらも消音効果を高めることができる消音装置を提供する。
【解決手段】本発明の消音装置1は、中空箱状に形成され吸気開口3と給気開口4とを有する本体2と、吸気開口3から本体2の内部に突出し給気開口4の近傍まで延びて設けられた中空筒状の吸気筒7と、給気開口4から本体2の外部に突出し換気孔21に挿着される中空筒状の給気筒13と、を備える。本体2の内部は、吸気開口3と給気開口4のみを介して外部と連通している。本体2の内壁面には吸音材5が設けられている。吸気筒7の外壁面と本体2の内壁面との間に、吸気筒7の他端側の開口と連通する空間部15が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外騒音が建物の換気孔から室内に入り込むのを防止するための消音装置に関する。
【背景技術】
【0002】
居住性能のひとつに遮音性能があり、壁、窓などの遮音性能の向上に加えて換気孔の遮音性の向上が求められており、換気孔における様々な消音装置の提案がなされているが、換気孔は通気を目的としたものであるから、所定の換気量を確保でき且つ高い消音性能が得られる消音装置が求められている。本出願人等は、このような事情に鑑み、建物の壁を貫通する換気孔の外壁面にフードを設け、内壁面にレジスターを設けた給気装置(換気装置)において、換気孔内に消音装置を設けた消音換気装置を提案した(下記特許文献1参照)。
【0003】
一方、給気装置におけるフードに消音性を持たせる手段が種々提案されている(下記特許文献2〜4参照)。この種の給気装置におけるフードは、換気孔に挿着される給気口となる筒体の端縁に枠状の平板を設け、この平板に楕円あるいは角型の覆い(フード本体)を設け、覆いの下部において開口する吸気口を設けることで、換気孔に給気するとともに、換気孔を雨風から守る構造となっている。
【0004】
特許文献2では、フードの内面に吸音材を設けた構成が採用されている。特許文献3では、通気路を吸音材で形成した構成が採用されている。特許文献4では、消音効果を高めるために、通気路を蛇行させ、通気路に沿って吸音材を配置する構成が採用されている。
【0005】
【特許文献1】特許第3664675号公報
【特許文献2】特開2004−150523号公報
【特許文献3】特開2006−171254号公報
【特許文献4】特開昭58−156136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献2の消音構造では、フードの下部に給気口から換気孔への挿着部である給気口に至る通気路に障害がないので通気抵抗が小さいという利点を有するが、その消音性能をフード内面の吸音材の吸音性能に依存しているため、高い消音効果を望めないという問題がある。
上記特許文献3の消音構造では、通気路の形状を工夫しているものの、消音性能をフード内面の吸音材の吸音性能に依存しているため、特許文献2の消音構造と同様に、高い消音効果を望めないという問題がある。
上記特許文献4の消音構造では、通気路が蛇行しているため消音効果を高めることはできるものの、通気路の蛇行によって通気抵抗が大きくなるという問題がある。
近年、建築基準法では、健康配慮の観点から住居などの建物においては室内の空気を1.5回/時間以上の割合で換気可能な構造を備えることが義務付けされており、通気抵抗が大きい場合、必要な換気量を得るために給気口あるいは吸気口を大きくしなければならず、結果としてフード自体の大型化を招くという問題がある。
【0007】
本発明は上述した問題に鑑みてなされたものであり、通気抵抗を少なくしながらも消音効果を高めることができる消音装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の消音装置は、以下の技術的手段を採用する。
(1)本発明は、建物の換気孔の外壁面側に設けられる消音装置であって、中空箱状に形成され、外気を取り入れる吸気開口と、取り入れた外気を前記換気孔に給気する給気開口とを有する本体と、前記吸気開口から前記本体の内部に突出し前記給気開口の近傍まで延びて設けられ一端が前記吸気開口に接続され他端で開口する中空筒状の吸気筒と、前記給気開口から前記本体の外部に突出し前記換気孔に挿着される中空筒状の給気筒と、を備え、前記本体の内部は、前記吸気開口と前記給気開口のみを介して外部と連通しており、前記本体の内壁面には吸音材が設けられており、前記吸気筒の外壁面と前記本体の内壁面との間に、前記吸気筒の他端側の開口と連通する空間部が形成されている。
【0009】
上記の構成によれば、吸気筒の径の絞りの効果により屋外からの騒音の周波数全域が減衰し、本体内部の空間部において音が拡散する効果により中周波数域が減衰し、本体内部に設けた吸音材により中高周波数域が減衰する。したがって、各部の消音効果により全ての領域での音の減衰効果を得ることができるので、高い消音効果を得ることができる。
また、従来の一般的な膨張型消音器では、小さな通路と大きな容積の空洞を単に接続した構造であるため(図9参照)、流れの急拡大急縮小(流れの断面積変化)による圧力損失が大きく、通気抵抗が大きいが、本発明では本体に吸気筒が内蔵され且つ吸気筒の他端が給気開口の近傍まで延びているので流れの急拡大急縮小による圧力損失がなく、通気抵抗を少なくすることができる。
したがって、本発明によれば、通気抵抗を少なくしながらも消音効果を高めることができる。また、通気抵抗が少ないので、吸気開口や本体を小さくすることができ、結果として装置全体のコンパクト化を図ることができる。
【0010】
(2)また、上記の消音装置において、前記吸気筒の通気路の断面積は前記給気筒の通気路の断面積よりも小さく、前記吸気筒と前記給気筒は、互いの軸線方向が交差するように配置されており、前記吸気筒は、その他端が前記給気開口に臨むように配置されるとともに、前記給気開口を部分的に実質的に塞ぐ位置に配置されており、前記給気開口のうち前記吸気筒からの外気の流出位置に対向する部分の面積が前記吸気筒の通気路の断面積以上となるように前記吸気筒の他端の位置が設定されている。
【0011】
このように、吸気筒の他端が給気開口に臨むように配置されているので、急拡大急縮小による圧力損失の発生をより効果的に抑えることができる。またそのような位置に吸気筒を配置するために吸気筒が給気開口を部分的に実質的に塞ぐ位置に配置された場合でも、給気開口のうち吸気筒からの外気の流出位置に対向する部分の面積が吸気筒の通気路の断面積以上となるように吸気筒の他端の位置が設定されているので、外気の流れを妨げることがなく、通気抵抗に与える影響は少ない。
【0012】
(3)また、上記の消音装置において、前記吸気筒は、その通気路を囲む吸音材を有する。
【0013】
このように吸気筒にも吸音材を設けることにより、吸気筒を通過する過程で高周波数域が減衰されるので、さらに高い消音効果が得られる。
【0014】
(4)また、上記の消音装置において、前記吸気筒自体が吸音材からなる。
【0015】
このように吸気筒自体を吸音材からなるものとすることにより、吸気筒の隔壁と吸音材を一体とすることができるので、構造を簡素化できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、通気抵抗を少なくしながらも消音効果を高めることができるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0018】
[第1実施形態]
図1に、本発明の第1実施形態にかかる消音装置1の外観を示す。図1において(A)は側面図であり、(B)は(A)の1B矢印方向から見た背面図である。
この消音装置1は、建物の換気孔の外壁面側に設けられるものであり、図1に示すように、中空箱状の本体2と、中空筒状の吸気筒7と、中空筒状の給気筒13とを備える。
【0019】
図2に、消音装置1を建物の壁20を貫通する換気孔21の外壁面側に設置した状態の縦断面図を示す。また、図3に、図2のIII−III断面図を示す。
本体2は、中空箱状に形成され、外気を取り入れる吸気開口3と、取り入れた外気を換気孔21に給気する給気開口4とを有している。本体2の内部は、吸気開口3と給気開口4のみを介して外部と連通している。
本実施形態において、吸気開口3は本体2の底面において本体2の幅方向(図3の左右方向)中央部に形成されている。給気開口4は本体2の背面において本体2の幅方向中央部に形成されている。
【0020】
また、本体2の内壁面には吸音材5が設けられている。吸音材5としては、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム、ポリエステルフォーム等の多孔質材やグラスウール等を使用することができる。本実施形態では、吸音材5は本体2の内壁面のほぼ全体に設けられているが、要求される消音性能に応じて、その範囲及び厚さは適宜設定される。
上記のように本体2が構成されているので、屋外から吸気筒7を経由して本体2内に到達した音は、吸音材5の作用により中高周波数域が減衰される。
【0021】
図2及び図3に示すように、吸気筒7は、吸気開口3から本体2の内部に突出し給気開口4の近傍まで延びて設けられおり、一端が吸気開口3に接続され他端で開口する中空筒状の部材である。吸気筒7の中空部分は吸気開口3から取り入れた外気を通す通気路11となる。以下、吸気筒7に関し、吸気開口3に接続された一端を入口と呼ぶ場合があり、本体2の内部で開口した他端を出口と呼ぶ場合がある。
本実施形態では、吸気筒7は吸気開口3から鉛直に上方に延びる円筒形であり、その出口は水平面で切断された形状となっている。
【0022】
吸気筒7は、その通気路11を囲んで吸音材10が設けられている。具体的には、吸気筒7は、筒状隔壁9と、筒状隔壁9に設けられた吸音材10とからなる。図2及び3に示す吸気筒7は、筒状隔壁9の内周面に吸音材10を設けた構成であるが、筒状隔壁9に複数の開口を設け、その外周面に吸音材10を設けた構成としてもよい。この吸音材10としては、本体2に設けた吸音材5と同様に、ウレタンフォーム等の多孔質材やグラスウール等を使用することができる。
上記のように吸気筒7が構成されているので、屋外からの音は、吸気筒7を通る際に吸音材10によって高周波数域が減衰される。
【0023】
図3に示すように、吸気筒7の外壁面と本体2の内壁面との間には、吸気筒7の他端側の開口と連通する空間部15が形成されている。この空間部15は、吸音材5によって埋め尽くされておらず、屋外から吸気筒7を経由してこの空間部15まで到達した音は、拡散することにより減衰する。この結果、この空間部15にて中周波数域が減衰する。空間部15の容積は、減衰させたい周波数域に応じて設定される。
【0024】
給気筒13は、給気開口4から本体2の外部に突出し換気孔21に挿着される中空筒状の部材である。給気筒13の中空部分には、給気開口4から流入した外気を通す通気路14となる。本実施形態において、換気孔21には中空筒状のスリーブ部材22が嵌合しており、吸気筒7はこのスリーブ部材22を介して換気孔21に挿着されている。
また、本実施形態において給気筒13は給気開口4から水平方向に延びる円筒形である。したがって、吸気筒7と給気筒13は、互いの軸線方向が直交するように配置されている。吸気筒7の通気路の断面積は給気筒13の通気路の断面積よりも小さい。
【0025】
吸気開口3には、虫などの小動物の侵入を防止するガラリ又はメッシュの侵入防止部材16が設けられている。
吸気筒7の入口及び給気筒13の入口に、ベルマウス形状(ラッパ形状)に形成した入口部7a,13aが設けられている。このような流線形の入口部7a,13aにより、通気抵抗を低減して通気性を向上させることができる。なお、消音性への影響はない。
【0026】
上記のように構成された消音装置1によれば、吸気筒7の径の絞りの効果により屋外からの騒音の周波数全域が減衰し、吸気筒7の吸音材10の効果により高周波数域が減衰し、本体2内部の空間部15において音が拡散する効果により中周波数域が減衰し、本体2内部に設けた吸音材5により中高周波数域が減衰する。したがって、各部の消音効果により全ての領域での音の減衰効果を得ることができるので、高い消音効果を得ることができる。
【0027】
図4に、本発明の消音装置1と従来例について、その消音性能を比較したグラフを示す。消音装置1の音性能周波数測定域は100Hz〜5kHzであり、JIS A4706、A1416において規定されている。ここで、「透過損失」は、建物の壁や窓などの材料の遮音性能(消音性能)を表す指標であり、透過損失が高いほど消音性能が高いことを示す。
図4から、本発明の消音装置1は従来例と比較してほぼ全ての周波数域において透過損失が高く、優れた消音効果を発揮することが分かる。
また、JIS A4716の遮音等級では、従来例はT1レベルであるのに対し、本発明の消音装置1はT3〜T4レベルである。したがって、規格上も、本発明の消音装置1は、従来例と比較して格段に消音性能が高い。
【0028】
また、従来の一般的な膨張型消音器は、図9に示すように、小さな通路と大きな容積の空洞を単に接続した構造であるため、流れの急拡大急縮小(流れの断面積変化)によって流れの乱れが生じる。この結果、圧力損失が大きくなる、すなわち通気抵抗が大きくなる。
これに対し、本発明の消音装置1では、吸気筒7の出口を給気開口4の近傍に位置させているので、流れの急拡大急縮小による圧力損失がなく、通気抵抗を少なくすることができる。
したがって、本発明の消音装置1によれば、通気抵抗を少なくしながらも消音効果を高めることができる。また、通気抵抗が少ないので、吸気開口3や本体2を小さくすることができ、結果として装置全体のコンパクト化を図ることができる。
【0029】
上記の吸気筒7は、通気抵抗に与える影響をより少なくするために、以下のように配置するのが好ましい。
図2及び図3に示すように、吸気筒7の出口は、給気開口4にできるだけ近く配置するのが好ましい。具体的には、吸気筒7の出口を給気開口4に臨む位置に設定するとともに、吸気筒7の通気路11の出口のうち最も給気開口4に近い部位と、給気開口4との距離(図中aで示す距離)をできるだけ短くするのが好ましい。例えば距離aは、40mm以内であるのが好ましく、20mm以内であるのがより好ましい。
このように、吸気筒7の出口が給気開口4に近接した位置に配置されているので、急拡大急縮小による圧力損失の発生をより効果的に抑えることができる。
【0030】
また、図3に示すように、給気開口4のうち吸気筒7からの外気の流出位置に対向する部分の面積A2が吸気筒7の通気路11の断面積A1以上となるように、吸気筒7の出口の位置を設定するのが好ましい。ここで、「給気開口4のうち吸気筒7からの外気の流出位置に対向する部分の面積」は、図3に示した本実施形態の場合、吸気筒7の出口の高さにある水平な面により給気開口4を仮想的に切った場合の上側の部分の面積A2である。
また、図3に示すように、吸気筒7の内径dが例えば60mm程度の場合、給気開口4の前方を遮る吸気筒7の長さLは、給気開口4の直径dに対して、0<L≦2d/3の関係を満たすように設定するのが好ましい。
吸気筒7が給気開口4に近接した位置に配置された場合、図2に示すように、吸気筒7によって給気開口4が部分的に実質的に塞がれた状態となるが、上記のように吸気筒7の出口の位置を設定することにより、給気開口4において、吸気筒7からの外気を受入れるのに十分な開口面積を確保することができる。したがって、外気の流れを妨げることがなく、通気抵抗への影響を少なくすることができる。
【0031】
図5に、吸気筒7の長さ、透過損失及び通気抵抗の関係を示す。図5に示すように、透過損失は吸気筒7の長さに伴って増大する。一方、通気抵抗は、吸気筒7の長さの増加に伴って小さくなるが、ある長さを超えると逆に大きくなる。上記の消音装置1では、吸気筒7の長さを通気抵抗の少ないαに設定しているが、透過損失を優先させたい場合は吸気筒7の長さをαよりも長くする等、要求される通気性、消音性能に応じて設定することができる。
【0032】
[第2実施形態]
図6に本発明の第2実施形態にかかる消音装置1を示す。図6において、(A)は分解斜視図であり、(B)は完成図である。
図6において、本体2は、中空箱状で下部の全体が開口した上部ケーシング2aと、上部ケーシング2aの下部開口を閉じる底板2bとからなる。上部ケーシング2aの背面には給気開口4が形成され、給気開口4に給気筒13が接続されている。底板2bには吸気開口3が形成され、吸気開口3には侵入防止部材16が取り付けられている。
【0033】
本体2の内部には、本体2の内壁面に設けられる吸音材5と、吸気開口3に接続される吸気筒7が配置されている。吸音材5は、本体2の上部内壁面に配置される上部5a、本体2の側部内壁面に配置される側部5b及び本体2の底部内壁面(底板2b)に配置される底部5cからなる。
吸気筒7は、それ自体が吸音材からなる。この吸音材としては、例えばウレタンフォーム等の多孔質材を使用することが好ましい。
本実施形態では、側部5bの下端と底部5cの外側端が連結し、吸気筒7の下端とその両側の底部5cのそれぞれの内側端とが連結しており、これにより、吸気筒7、底部5c及び側部5bが一体となっている。
【0034】
図6(B)に示すように、組み立てた状態では、上記の第1実施形態と同様に、吸気筒7の外壁面と本体2の内壁面との間に空間部15が形成される。
なお、各部材に関し、上述した点以外の構成及び特徴点については、上述した第1実施形態と同様である。
本実施形態では、吸気筒7、底部5c及び側部5bが一体となっている構成であるが、上部5aと側部5bを一体とし、吸気筒7と底部5cを一体とする構成としてもよい。
【0035】
本実施形態によれば、吸気筒7自体を吸音材からなるものとすることにより、吸気筒7の隔壁と吸音材を一体とすることができるので、構造を簡素化できる。
【0036】
[他の構成例1]
図7(A)〜(D)に、本発明の消音装置1の他の構成例1を示す。(A)〜(D)は、それぞれ消音装置1の背面図である。(A)〜(D)では、いずれも、吸気筒7の出口を給気開口4の近傍に位置させている。
(A)では、本体2の幅方向(図の左右方向)に間隔をおいて2つの吸気筒7,7が配置されている。(B)では、吸気筒7及び給気開口4が共に本体2の幅方向の中心から同じ方向にずれた位置に配置されている。(C)では、吸気筒7と給気開口4が本体2の幅方向の中心から互いに反対方向にずれた位置に配置されている。
【0037】
(A)〜(C)のように、吸気筒7及び給気開口4の位置をずらすことにより、空間部15(図3参照)の体積バランスを変化させ音の減衰効果を上げることができる。また、所望の消音性能を得るために吸気筒7の通気路の面積を小さくせざるを得ない場合、(A)のように、吸気筒7を複数設けることにより、必要な通気量を確保することができる。
【0038】
(D)では、吸気筒7及び給気開口4が共に本体2の幅方向の同じ位置に配置されているが、吸気筒7が給気開口4の前方を遮っていない。このように、要求される消音性能及び通気性能を満たす限りにおいて、吸気筒7を給気開口4の前方を遮らない長さとしてもよい。
【0039】
なお、(A)及び(C)のように、吸気筒7と給気開口4の位置が本体2の幅方向に互いにずれて配置される場合、通気抵抗を低く抑えるために、吸気筒7の通気路11(図3参照)の出口のうち最も給気開口4に近い部位と、給気開口4のうち最も吸気筒7に近い部位との距離(図中bで示す距離)をできるだけ短くするのが好ましい。例えば距離bは、40mm以内であるのが好ましく、20mm以内であるのがより好ましい。
【0040】
[他の構成例2]
図8(A)及び(B)に、本発明の消音装置1の他の構成例2を示す。(A)及び(B)では、それぞれ、左上が背面図、右が側面図、下が底面図である。
図8に示す構成例では、吸気筒7の断面形状が、(A)では本体2の幅方向に長い楕円であり、(B)では本体2の幅方向に長い長方形である。
上記のように断面形状が楕円又は長方形の吸気筒7とすることにより、本体2の奥行寸法(図2の左右方向の寸法)が小さいために、吸気筒7の奥行方向の寸法を小さくせざるを得ない場合でも、断面積を大きくし通気抵抗の低減を図ることができる。
【0041】
その他、上記の第1実施形態において、吸気筒7の吸音材10を設けなくても、消音装置1の他の部分の消音作用によって十分な消音性能が得られる場合は、吸気筒7の吸音材10を省略してもよい。
また、上記の各実施形態及び各構成例では、軸線方向が鉛直となる向きに吸気筒7が配置されていたが、軸線方向が水平方向又は水平方向に対して傾斜する向きに吸気筒7が配置されてもよい。
【0042】
上記において、本発明の実施形態について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる消音装置の外観図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる消音装置の縦断面図である。
【図3】図2のIII−III断面図である。
【図4】本発明の消音装置と従来例について、その消音性能を比較したグラフである。
【図5】本発明の消音装置における吸気筒の長さ、透過損失及び通気抵抗の関係を示す。
【図6】本発明の第2実施形態にかかる消音装置の分解斜視図及び完成図である。
【図7】本発明の消音装置の他の構成例1を示す図である。
【図8】本発明の消音装置の他の構成例2を示す図である。
【図9】従来の一般的な膨張型消音器の模式図である。
【符号の説明】
【0044】
1 消音装置
2 本体
2a 上部ケーシング
2b 底板
3 吸気開口
4 給気開口
5 吸音材
5a 上部
5b 側部
5c 底部
7 吸気筒
7a 入口部
9 筒状隔壁
10 吸音材
11 通気路
13 給気筒
13a 入口部
14 通気路
15 空間部
16 侵入防止部材
20 壁
21 換気孔
22 スリーブ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の換気孔の外壁面側に設けられる消音装置であって、
中空箱状に形成され、外気を取り入れる吸気開口と、取り入れた外気を前記換気孔に給気する給気開口とを有する本体と、
前記吸気開口から前記本体の内部に突出し前記給気開口の近傍まで延びて設けられ一端が前記吸気開口に接続され他端で開口する中空筒状の吸気筒と、
前記給気開口から前記本体の外部に突出し前記換気孔に挿着される中空筒状の給気筒と、を備え、
前記本体の内部は、前記吸気開口と前記給気開口のみを介して外部と連通しており、
前記本体の内壁面には吸音材が設けられており、
前記吸気筒の外壁面と前記本体の内壁面との間に、前記吸気筒の他端側の開口と連通する空間部が形成されている、ことを特徴とする消音装置。
【請求項2】
前記吸気筒の通気路の断面積は前記給気筒の通気路の断面積よりも小さく、
前記吸気筒と前記給気筒は、互いの軸線方向が交差するように配置されており、
前記吸気筒は、その他端が前記給気開口に臨むように配置されるとともに、前記給気開口を部分的に実質的に塞ぐ位置に配置されており、
前記給気開口のうち前記吸気筒からの外気の流出位置に対向する部分の面積が前記吸気筒の通気路の断面積以上となるように前記吸気筒の他端の位置が設定されている請求項1記載の消音装置。
【請求項3】
前記吸気筒は、その通気路を囲む吸音材を有する請求項1又は2記載の消音装置。
【請求項4】
前記吸気筒自体が吸音材からなる請求項1又は2記載の消音装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−164231(P2008−164231A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−354796(P2006−354796)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000150615)株式会社長谷工コーポレーション (94)
【出願人】(000151209)株式会社マーレ フィルターシステムズ (159)
【出願人】(596126591)株式会社建友 (5)
【Fターム(参考)】