説明

液体の無害化処理装置

【課題】液体電解装置における液体の状態や成分による電気分解効率の相異を考慮して該液体電解装置からの処理液体への塩素含有物質を常時一定に保持可能とするとともに、塩素含有物質注入後の処理液体の性状によって塩素含有物質の注入率を制御可能とし、さらに処理済み液体の状態が無害化の規制値を満足しているか否かを常時モニタリング可能とした液体の無害化処理装置を提供する。
【解決手段】未処理の液体に電気分解処理を施すように構成された液体電解装置をそなえた液体の無害化処理装置において、前記液体電解装置に導入される電気分解前の液体状態を検出する電解前液体状態センサと、電解前の液体状態の検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように液体電解装置の電気分解電流を制御するコントローラとをそなえたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、未処理の海水中の微生物を除去して清浄な処理海水にしてバラスト水タンクに収容する時、又はバラスト水タンクに収容した未処理の海水を航海中に清浄な処理海水にする時、又はバラスト水タンクより未処理の海水を清浄な処理海水にして排水する時に行うバラスト水処理等に適用され、未処理の海水を含む液体に液体電気分解処理及びフィルター処理等の微生物分離処理を施して、該液体中の微生物を除去して清浄な処理液体に転換する海水等の液体の無害化処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タンカー等の船舶において、オイル等の積載物を搭載しない状態での航行時に、バラスト水タンクに収容する海水即ちバラスト水は、船舶の航行に伴う海洋生物等の移動による生態系破壊の一因となっているといわれており、未処理の海水中の微生物を除去して清浄な処理海水にするための無害化処理が国際的に必要と考えられている。
【0003】
かかる海水の無害化処理方法として、特許文献1(特許第2794537号公報)、特許文献2(特開2002−192161号公報)、特許文献3(特開2003−200156号公報)の技術が提供されている。
特許文献1の技術においては、バラスト水タンクを空または底部に水が残った状態にした後、該バラスト水タンク内に残存する沈澱物を昇温させ、有害プランクトンや細菌の死滅温度以上の温度に加熱し、所定時間保持している。
【0004】
特許文献2の技術においては、バラスト水タンク内のバラスト水中に高電圧パルスを印加し、有害微生物に直接高電圧パルスを印加しその内部で放電を起して、該有害微生物を殺滅又は殺菌し、あるいは電極間のアーク放電による衝撃波で間接的に該有害微生物を殺滅又は殺菌している。
特許文献3の技術においては、パイプ内流路の途中に、複数の細長いスリットを有するスリット板を横断面方向に取付け、未処理海水を該スリットを通過させることにより、前記未処理海水の微生物に損傷を与え殺滅又は殺菌するようにしている。
【0005】
【特許文献1】特許第2794537号公報
【特許文献2】特開2002−192161号公報
【特許文献3】特開2003−200156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術にあっては、バラスト水タンクを空または底部に水が残った状態とするため、局部的な応力集中により船体に損傷を与える危険性がある。また、バラスト水タンク底部全体に溜まった沈澱物を昇温させるように広範囲にバラスト水タンクを加熱するので、加熱作業に時間と手間が掛かり処理コストが高くなる。
また、特許文献2の技術にあっては、大掛かりな高電圧パルス印加設備を必要とするため、設備コスト及び運転コストが高くなる。
さらに、特許文献3の技術にあっては、未処理海水をスリットを通過させることにより、サイズの大きな微生物は殺滅又は殺菌可能であるが、サイズの小さな細菌類を殺滅又は殺菌するのは困難である。
【0007】
そこで、発明者らは、特願2004−135389号にて、かかる問題を解決する発明を提案した。
しかしながら、かかる発明においては、未処理の海水を含む液体中の微生物を、電気分解処理及びフィルター処理等の機械的な微生物分離処理を施し該微生物を除去してバラスト水タンク等の処理液タンクに収容する際に発生する、次のような解決すべき課題については言及していない。
【0008】
(1)液体から塩素含有物質を製造して未処理液体中に注入することにより該液体を無害化する塩素処理手段として、液体の全部または一部を貯留する貯留タンクとこの液体を電気分解して塩素含有物質を生成する電解槽とを備えて、前記液体を前記貯留タンクと電解槽との間の循環路を循環させる電解槽循環方式による電気分解処理を前記液体に施すように構成された液体電解装置よる塩素処理手段が多く用いられているが、かかる液体電解装置は液体の状態や成分によって電気分解効率が異なるため、該液体電解装置からの処理液体への塩素含有物質を常時一定に保持するのは困難を伴う。
(2)前記液体電解装置より塩素含有物質を製造して未処理液体中に注入する際において、該塩素含有物質を注入する処理液体の性状によって分解速度が異なっており、塩素含有物質注入後の処理液体の濃度を必要濃度に必要時間保持するには、処理液体の性状によって塩素含有物質の注入率を変化させる必要がある。
(3)また、前記液体電気分解処理及びフィルター処理を施した後の処理済み液体の状態が無害化の規制値を満足しているか否かを、常時モニタリングしておく必要がある。
【0009】
従って、本発明はかかる従来技術の課題に鑑み、液体電解装置における液体の状態や成分による電気分解効率の相異を考慮して該液体電解装置からの処理液体への塩素含有物質を常時一定に保持可能とするとともに、処理液体の性状や塩素含有物質注入後の塩素含有物質の濃度によって塩素含有物質の注入率を制御可能とし、さらに処理済み液体の状態が無害化の規制値を満足しているか否かを常時モニタリング可能とした液体の無害化処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、かかる目的を達成するため、未処理の液体中の微生物を除去して清浄な処理液体に転換する液体の無害化処理装置であって、前記液体の全部または一部を電解装置に導入し液体を電気分解することにより、該液体から塩素含有物質を生成し、この塩素含有物質を前記未処理の液体中に注入して前記微生物を殺滅又は殺菌する方式による無害化処理装置において、前記液体電解装置に導入される電気分解前の液体状態を検出する電解前液体状態センサと、該電解前液体状態センサからの電気分解前の液体状態の検出値が入力され、該電気分解前の液体状態の検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように液体電解装置の電気分解電流を制御するコントローラとをそなえたことを特徴とする(請求項1)。
【0011】
かかる発明において、具体的には次のように構成するのが好ましい。
(1)前記電解前液体状態センサは前記液体電解装置に導入される液体の温度を検出する液体温度センサからなり、前記コントローラは該液体温度センサからの液体温度の検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように液体電解装置の電気分解電流を制御するように構成される(請求項3)。
(2)前記電解前液体状態センサは前記液体電解装置に導入される液体の塩分濃度を検出する塩分濃度センサからなり、前記コントローラは該塩分濃度センサからの塩分濃度の検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように液体電解装置の電気分解電流を制御するように構成される(請求項4)。
【0012】
(3)前記電解前液体状態センサは前記液体電解装置に導入される液体の電気伝導度を検出する電気伝導度センサからなり、前記コントローラは該電気伝導度センサからの電気伝導度の検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように液体電解装置の電気分解電流を制御するように構成される(請求項5)。
【0013】
かかる発明によれば、具体的には液体電解装置に導入される液体の温度を検出する液体温度センサ(請求項3)、前記液体電解装置に導入される液体の塩分濃度を検出する塩分濃度センサ(請求項4)、前記液体電解装置に導入される液体の電気伝導度を検出する電気伝導度センサ(請求項5)、等の液体電解装置に導入される電気分解前の液体状態を検出する電解前液体状態センサを設け、コントローラによって前記電解前液体状態センサからの電解前の液体状態の検出値(液体温度の検出値、あるいは塩分濃度の検出値、あるいは電気伝導度の検出値)に対応する電気分解効率を算出し、電気分解効率に基づき、前記塩素含有物質の注入率が一定になるような液体電解装置の目標電気分解電流を算出して、該液体電解装置の電気分解電流を前記目標電気分解電流になるように制御するので、液体電解装置に導入される液体の温度、液体の塩分濃度、液体の電気伝導度等の、電気分解前の液体状態によって電気分解効率が異なっていても、これに影響されることなく、前記液体電解装置にて製造された塩素含有物質の処理液体への注入率を適正注入率に常時一定に保持することができ、該塩素含有物質の均一な注入がなされた処理液体が得られるとともに、液体の無害化処理作業を効率良く行うことができる。
【0014】
また本発明は、未処理の液体中の微生物を除去して清浄な処理液体に転換する液体の無害化処理装置であって、前記液体の全部または一部を電解装置に導入し液体を電気分解することにより、該液体から塩素含有物質を生成し、この塩素含有物質を前記未処理の液体中に注入して前記微生物を殺滅又は殺菌する方式による無害化処理装置において、前記液体の流量を検出する液体流量センサと、該液体流量センサからの液体流量の検出値が入力され、該液体流量の検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように液体電解装置の電気分解電流を制御するコントローラとをそなえたことを特徴とする(請求項13)。
【0015】
かかる発明によれば、電解装置に導入される電気分解前の液体の流量、あるいは電気分解により製造された塩素含有物質の処理液体への注入後における処理液体の流量を検出する液体流量センサを設け、コントローラによって前記液体流量センサからの前記液体の流量の検出値に対応する電気分解電流を算出しておき、前記液体流量に対して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように前記電気分解電流を制御するので、液体流量の変化があってもこれに追従して、電解装置からの塩素含有物質の注入後における処理液体の塩素濃度を常時一定に保持できる。
【0016】
また本発明は、未処理の液体中の微生物を除去して清浄な処理液体に転換する液体の無害化処理装置であって、前記液体の全部または一部を電解装置に導入し液体を電気分解することにより、該液体から塩素含有物質を生成し、この塩素含有物質を前記未処理の液体中に注入して前記微生物を殺滅又は殺菌する方式による無害化処理装置において、前記液体電解装置での電気分解処理後における液体状態を検出する電解処理後液体状態センサと、該電解処理後液体状態センサからの電気分解処理後の液体状態の検出値が入力され、該電気分解処理後の液体状態の検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように液体電解装置の電気分解電流を制御するコントローラとをそなえたことを特徴とする(請求項14)。
かかる発明において、好ましくは、前記電解処理後液体状態センサは前記液体電解装置での電気分解処理後における液体の残留塩素濃度を検出する残留塩素濃度センサからなり、前記コントローラは該残留塩素濃度センサからの残留塩素濃度検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように液体電解装置の電気分解電流を制御するように構成する(請求項16)。
【0017】
かかる発明において、具体的には次のように構成するのが好ましい。
(1)前記電解前液体状態センサは前記液体電解装置に導入される液体のCOD(化学的酸素要求量)を検出するCODセンサからなり、前記コントローラは該CODセンサからのCODの検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように液体電解装置の電気分解電流を制御するように構成される(請求項6)。
(2)前記電解前液体状態センサは前記液体電解装置に導入される液体のTOC(全有機炭素量)を検出するTOCセンサからなり、前記コントローラは該TOCセンサからのTOCの検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように液体電解装置の電気分解電流を制御するように構成される(請求項7)。
(3)前記電解処理後液体状態センサは前記液体電解装置での電気分解処理後における液体のpH濃度を検出するpH濃度センサからなり、前記コントローラは該pH濃度センサからのpH濃度検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように液体電解装置の電気分解電流を制御するように構成される(請求項8)。
【0018】
かかる発明によれば、具体的には液体電解装置での電気分解処理後における液体のCOD(化学的酸素要求量)を検出するCODセンサ(請求項6)、前記液体電解装置での電気分解処理後における液体のTOC(全有機炭素量)を検出するTOCセンサ(請求項7)、前記液体電解装置での電気分解処理後における液体のpH濃度を検出するpH濃度センサ(請求項8)、等の前記液体電解装置での電気分解処理後における液体状態を検出する電解処理後液体状態センサを設け、コントローラによって前記電解処理後液体状態センサからの電気分解処理後における液体状態の検出値(COD(化学的酸素要求量)の検出値、あるいはTOC(全有機炭素量)の検出値、あるいはpH濃度の検出値)に対応する塩素含有物質の注入率を算出し、該注入率が一定になるような液体電解装置の目標電気分解電流を算出して、該液体電解装置の電気分解電流を前記目標電気分解電流に制御するので、電気分解処理後における液体のCOD(化学的酸素要求量)、あるいはTOC(全有機炭素量)、あるいはpH濃度等の処理液体の性状によって分解速度が異なるような状態であっても、これに影響されることなく、前記液体電解装置にて製造された塩素含有物質の処理液体への注入率を適正注入率に常時一定に保持することができ、該塩素含有物質の均一な注入がなされた処理液体が得られるとともに、液体の無害化処理作業を効率良く行うことができる。なお、COD、TOCは無害化処理開始前に、手分析で数値を分析し、その数値を入力することもできる。
【0019】
また、前記発明を未処理の液体についても適用した発明は、未処理の液体中の微生物を除去して清浄な処理液体に転換する液体の無害化処理装置であって、前記液体中に液体状もしくは固体状の塩素含有物質を注入する液体の無害化処理装置において、前記未処理の液体状態を検出する液体状態センサと、該液体状態センサからの未処理の液体状態の検出値が入力され、該未処理の液体状態の検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように前記塩素含有物質の注入量を制御するコントローラとをそなえたことを特徴とする(請求項2)。
【0020】
かかる発明において、具体的には次のように構成するのが好ましい。
(1)前記液体状態センサは前記未処理の液体の温度を検出する液体温度センサからなり、前記コントローラは該液体温度センサからの液体温度の検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように液体電解装置の電気分解電流を制御するように構成される(請求項9)。
(2)前記液体状態センサは前記未処理の液体のCOD(化学的酸素要求量)を検出するCODセンサからなり、前記コントローラは該CODセンサからのCODの検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように液体電解装置の電気分解電流を制御するように構成される(請求項10)。
【0021】
(3)前記液体状態センサは前記未処理の液体のTOC量(全有機炭素量)を検出するTOCセンサからなり、前記コントローラは該TOCセンサからのTOCの検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように液体電解装置の電気分解電流を制御するように構成される(請求項11)。
(4)前記液体状態センサは前記未処理の液体のpHを検出するpHセンサからなり、前記コントローラは該pHセンサからのpHの検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように液体電解装置の電気分解電流を制御するように構成される(請求項12)。
【0022】
また本発明は、未処理の液体中の微生物を除去して清浄な処理液体に転換する液体の無害化処理装置であって、前記液体中に液体状もしくは固体状の塩素含有物質を注入する液体の無害化処理装置において、前記処理後の液体状態を検出する液体状態センサと、該液体状態センサからの前記処理後の液体状態の検出値が入力され、該処理後の液体状態の検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように前記塩素含有物質の注入量を制御するコントローラとをそなえたことを特徴とする(請求項15)。
かかる発明において、好ましくは、前記塩素含有物質注入処理後の液体状態センサは前記処理装置での塩素含有物質注入処理後における液体の残留塩素濃度を検出する残留塩素濃度センサからなり、前記コントローラは該残留塩素濃度センサからの残留塩素濃度検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように塩素含有物質注入装置の該物質の注入量を制御するように構成される(請求項17)。
【0023】
また本発明は、未処理の液体中の微生物を除去して清浄な処理液体に転換する液体の無害化処理装置であって、前記液体をフィルターを通すことにより該液体中の比較的大きな微生物を除去するフィルター処理装置と、前記液体の全部または一部を電解装置に導入し液体を電気分解することにより、該液体から塩素含有物質を生成し、この塩素含有物質を前記未処理の液体中に注入して前記微生物を殺滅又は殺菌する方式による無害化処理装置において、前記フィルター処理装置及び電解装置による処理後の処理液体に色素を作用させ、該色素の作用後における液体の状態を光学的手段により一定の色に染まった細胞数を検出する処理液モニタリング装置をそなえたことを特徴とする(請求項18)。
かかる発明において、好ましくは、前記色素はニュートラルレッドからなる(請求項19)。
【0024】
かかる発明によれば、処理液モニタリング装置において、前記フィルター処理装置及び液体電解装置による処理後の処理液体に、好ましくはニュートラルレッドからなる色素を作用させ、該色素の作用後における液体の状態を光学的手段により一定の色に染まった細胞数を検出するという、きわめて簡単で少ない作業工数で以って、前記液体電気分解処理及びフィルター処理を施した後の処理済み液体の状態が無害化の規制値を満足しているか否かを、常時モニタリングすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、液体電解装置に導入される液体の温度、液体の塩分濃度、液体の電気伝導度等の、電解前の液体状態によって電気分解効率が異なっていても、これに影響されることなく、前記液体電解装置にて製造された塩素含有物質の処理液体への注入率を適正注入率に常時一定に保持することができ、該塩素含有物質の均一な注入がなされた処理液体が得られるとともに、液体の無害化処理作業を効率良く行うことができる。
【0026】
また本発明によれば、液体流量に対して塩素含有物質の注入率が一定になるように電気分解電流を制御することにより、液体電解装置からの塩素含有物質の注入後における処理液体の塩素濃度を常時一定に保持できる。
【0027】
また本発明によれば、処理液体の性状によって分解速度が異なるような状態であっても、これに影響されることなく、液体電解装置にて製造された塩素含有物質の処理液体への注入率を適正注入率に常時一定に保持することができ、該塩素含有物質の均一な注入がなされた処理液体が得られるとともに、液体の無害化処理作業を効率良く行うことができる。
【0028】
また本発明によれば、処理済み液体に、ニュートラルレッド等の色素を作用させ、該色素の作用後における液体の状態を光学的手段により一定の色に染まった細胞数を検出するという、きわめて簡単で少ない作業工数で以って、前記液体電気分解処理及びフィルター処理を施した後の処理済み液体の状態が無害化の規制値を満足しているか否かを、常時モニタリングすることができる。
【0029】
また本発明によれば、未処理液体や無害化処理後の液体についても、液体状態を検出して、該液体状態の検出値に対応して塩素含有物質の注入率を制御できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0031】
図1は本発明の第1〜第4実施例に係る船舶用バラスト水の無害化処理装置の制御装置の系統図である。
図1において、1は未処理海水を濾過してごみ等の異物を捕獲するスクリーン、2は海水を処理ライン6に搬送するポンプ、5は処理海水が収容されるバラスト水タンクである。20は前記処理ライン6に設置されたフィルター処理装置、21は該フィルター処理装置20の逆洗ライン、22は該逆洗ライン21を開閉する開閉弁である。
かかるバラスト水の無害化処理装置において、前記スクリーン1でごみ等の異物が捕獲された後の未処理海水は前記フィルター20に導入され、該フィルター処理装置20を通すことにより海水中の比較的大きな微生物を除去する。
【0032】
4は海水電解装置で、次のように構成されている。
43は貯留タンク、44はポンプ、41は電解槽、42は該電解槽41用の電源装置であり、塩素処理用の海水を抽出ライン7を介して前記貯留タンク43内に導入している。そして、前記貯留タンク43からポンプ44、電解槽41を通って貯留タンク43に戻る循環路47を形成し、貯留タンク43内の海水をポンプ44により該循環路47を循環させ、電解槽41において該海水から塩素含有物質である次亜塩素酸を生成し、該循環路47の途中で、該次亜塩素酸を注入ライン8を介して前記処理ライン6に注入し、この処理海水を前記バラスト水タンク5に収容している。
【0033】
13は前記液体電解装置4に導入される海水温度である前記貯留タンク43内の海水温度を検出する取水温度センサ、14は前記貯留タンク43内の塩分濃度を検出する塩分濃度センサ、15は前記貯留タンク43内の電気伝導度を検出する電気伝導度センサである。
また、16は無害化処理済み海水が収容されている前記バラスト水タンク5内における海水のCOD(化学的酸素要求量)を検出するCODセンサ、17は前記バラスト水タンク5内における海水のTOC量(全有機炭素量)を検出するTOCセンサ、18は前記バラスト水タンク5内における海水のpH濃度を検出するpH濃度センサである。
10は前記処理ライン6における前記フィルター装置20出口の海水流量を検出するフィルター処理水流量計、11は前記海水電解装置4からの注入ライン8の海水流量を検出する塩素含有物質流量計、12は処理ライン6における前記海水電解装置4からの注入ライン合流部下流部位における海水流量を検出する処理水流量計である。
【0034】
100は後述する演算、制御を行なうコントローラで、前記取水温度センサ13からの取水温度の検出値、前記塩分濃度センサ14からの塩分濃度の検出値、前記電気伝導度センサ15からの電気伝導度の検出値、及びCODセンサ16からのCOD(化学的酸素要求量)の検出値、前記TOCセンサ17からのTOC量(全有機炭素量)の検出値、前記pH濃度センサ13からの海水のpH濃度の検出値、及び前記フィルター処理水流量計10からのフィルター装置20出口の海水流量の検出値、前記塩素含有物質流量計11からの注入ライン8の海水流量の検出値、前記処理水流量計12からの注入ライン8合流部下流部位における海水流量の検出値は、前記コントローラ100に入力される。
【0035】
30は前記フィルター処理装置20及び海水電解装置4による処理後の処理海水に色素を作用させ、該色素の作用後における海水の状態を、光学的手段により一定の色に染まった細胞数を検出する処理液モニタリング装置であり、詳細は後述する。
次に、かかる船舶用バラスト水の無害化処理装置の制御装置の動作を説明する。
【実施例1】
【0036】
図2は本発明の第1実施例に係る船舶用バラスト水の無害化処理装置の制御ブロック図である。
図2において、前記取水温度センサ13からの取水温度の検出値は前記コントローラ100の電解効率算出部101に入力される。102は取水温度/電解効率設定部で、図6(A)のように、前記取水温度と海水電解装置4における電気分解効率との関係が設定されている。
前記電解効率算出部101においては、前記取水温度/電解効率設定部102から前記取水温度の検出値に対応する電気分解効率を算出して分解電流値算出部103に入力する。該分解電流値算出部103においては、前記電気分解効率の算出値に基づき、前記海水電解装置4の電源装置42の電気分解電流を制御することにより海水電解量を制御して、該海水電解装置4での電気分解により製造される塩素含有物質の注入ライン8を通しての海水中への注入率を常時一定にせしめる。
【実施例2】
【0037】
図3は本発明の第2実施例に係る船舶用バラスト水の無害化処理装置の制御ブロック図である。
図3において、前記塩分濃度センサ14からの塩分濃度の検出値、及び前記電気伝導度センサ15からの電気伝導度の検出値は前記コントローラ100の電解効率算出部101に入力される。104は塩分濃度/電解効率設定部、105は電気伝導度/電解効率設定部で、図6(B)のように、前記塩分濃度あるいは電気伝導度と海水電解装置4における電気分解効率との関係が設定されている。
前記電解効率算出部101においては、前記塩分濃度/電解効率設定部104、あるいは前記電気伝導度/電解効率設定部105から前記塩分濃度検出値あるいは電気伝導度検出値に対応する電気分解効率を算出して分解電流値算出部103に入力する。
該分解電流値算出部103においては、前記電気分解効率の算出値に基づき前記海水電解装置4の電気分解電流を制御することにより海水電解量を制御して、該海水電解装置4での電気分解により製造される塩素含有物質の注入ライン8を通しての海水中への注入率を常時一定にせしめる。
【0038】
かかる第1〜2実施例によれば、海水電解装置4に導入される海水の温度を検出する取水温度センサ13、前記海水電解装置4に導入される海水の塩分濃度を検出する塩分濃度センサ14、前記海水電解装置4に導入される海水の電気伝導度を検出する電気伝導度センサ15等の海水電解装置4に導入される電気分解前の海水状態を検出するセンサを設け、コントローラ100によって前記取水温度センサ13、塩分濃度センサ14、及び電気伝導度センサ15からの電気分解前の海水状態の検出値(つまり取水温度の検出値、あるいは塩分濃度の検出値、あるいは電気伝導度の検出値)に対応する電気分解効率を算出し、該電気分解効率に基づき、前記塩素含有物質の注入率が一定になるような海水電解装置4の目標電気分解電流を算出して、該海水電解装置4の電気分解電流を前記目標電気分解電流になるように制御するので、海水電解装置4に導入される海水の温度、海水の塩分濃度、海水の電気伝導度等の、電気分解前の海水状態によって電気分解効率が異なっていても、これに影響されることなく、前記海水電解装置4にて製造された塩素含有物質の処理海水への注入率を適正注入率に常時一定に保持することができ、該塩素含有物質の均一な注入がなされた処理海水が得られるとともに、海水の無害化処理作業を効率良く行うことができる。
【実施例3】
【0039】
図4は本発明の第3実施例を示す図2対応図である。
図4において、前記フィルター処理水流量計10からのフィルター装置20出口の海水流量の検出値、前記塩素含有物質流量計11からの注入ライン8の海水流量の検出値、前記処理水流量計12からの注入ライン8合流部下流部位における海水流量の検出値は、前記コントローラ100の分解電流値算出部101に入力される。
104は処理水流量/分解電流値設定部で、図6(C)のように、処理水(処理液体)流量と分解電流値との関係が、処理水(処理液体)流量の増加に従い分解電流値が比例的に増加するように設定されている。
前記分解電流値算出部101においては、処理水の流量(前記処理水流量計12からの検出流量、またはフィルター処理水流量計10からの流量と塩素含有物質流量計11からの流量との和)に対応する電気分解電流(分解電流値)を、前記処理水流量/分解電流値設定部104から算出し、該海水電解装置4での電気分解により製造される塩素含有物質の注入ライン8を通しての海水中への前記処理水の流量に対する注入率が一定になるように前記海水電解装置4の電気分解電流を制御する。
【0040】
かかる第3実施例によれば、海水電解装置4に導入される電気分解前の海水の流量、あるいは電気分解により製造された塩素含有物質の処理海水への注入後における処理海水の流量を検出する流量計10,11,12を設け、コントローラ100によって前記流量計10,11,12からの前記海水の流量の検出値に対応する分解電流値を算出しておき、前記海水流量に対して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように前記電気分解電流を制御するので、海水流量の変化があってもこれに追従して、海水電解装置4からの塩素含有物質の注入後における処理海水の塩素濃度を常時一定に保持できる。
【実施例4】
【0041】
図5は本発明の第4実施例を示す図2対応図である。
図5において、前記CODセンサ16からのCOD(化学的酸素要求量)の検出値、前記TOCセンサ17からのTOC量(全有機炭素量)の検出値、前記pH濃度センサ13からの海水のpH濃度の検出値は前記コントローラ100の分解電流値算出部103に入力される。
【0042】
107はCOD/分解電流値設定部で、前記COD(化学的酸素要求量)に対応する電気分解電流の適正値、つまり前記CODに対して前記塩素含有物質の海水中への注入率が一定になるような電気分解電流の目標値が設定されている。
108はTOC/分解電流値設定部で、前記TOC量(全有機炭素量)に対応する電気分解電流の適正値、つまり前記TOC量に対して前記塩素含有物質の海水中への注入率が一定になるような電気分解電流の目標値が設定されている。
109はpH濃度/分解電流値設定部で、前記pH濃度に対応する電気分解電流の適正値、つまり前記pH濃度に対して前記塩素含有物質の海水中への注入率が一定になるような電気分解電流の目標値が設定されている。
【0043】
そして、前記分解電流値算出部103においては、前記COD/分解電流値設定部107、あるいは前記TOC/分解電流値設定部108、あるいは前記pH濃度/分解電流値設定部109から、前記COD(化学的酸素要求量)の検出値、前記TOC量(全有機炭素量)の検出値、前記海水のpH濃度の検出値に対応する電気分解電流を算出し、これらの電気分解電流で前記電源装置42を作動せしめる。
これにより、前記電源装置42は塩素含有物質の海水中への注入率が常時一定になるように作動する。
【0044】
かかる第4実施例によれば、海水電解装置4での電気分解処理後における海水のCOD(化学的酸素要求量)を検出するCODセンサ16、海水電解装置4での電気分解処理後における海水のTOC量(全有機炭素量)を検出するTOCセンサ17、前記海水電解装置4での電気分解処理後における海水のpH濃度を検出するpH濃度センサ18を設け、コントローラ100によって、前記電解処理後前記センサ16,17,18からの電気分解処理後におけるCOD(化学的酸素要求量)の検出値、あるいはTOC量(全有機炭素量)の検出値、あるいはpH濃度の検出値に対応する塩素含有物質の注入率を算出し、該注入率が一定になるような海水電解装置4の目標電気分解電流を算出して、該海水電解装置4の電気分解電流を前記目標電気分解電流に制御するので、電気分解処理後における液体のCOD(化学的酸素要求量)、あるいはTOC量(全有機炭素量)、あるいはpH濃度等の処理海水の性状によって、分解速度が異なるような状態であっても、これに影響されることなく、前記海水電解装置4にて製造された塩素含有物質の処理海水への注入率を適正注入率に常時一定に保持することができ、該塩素含有物質の均一な注入がなされた処理海水が得られるとともに、海水の無害化処理作業を効率良く行うことができる。
【実施例5】
【0045】
図1において、前記処理水モニタリング装置30は、次のように作動する。
前記フィルター処理装置20及び海水電解装置4による処理後の処理海水の一部を抽出し、この抽出海水に好ましくはニュートラルレッドからなる色素を作用させる。かかる色素の作用により、プランクトン生細胞(微生物が生きている細胞)は赤く染まり、プランクトン死細胞(微生物が死んでいる細胞)は染まらないことを、本件発明者らは発見した。
前記色素を作用させた後の抽出海水は、次のような光学的方法で赤く染まった細胞を検出する。
(1)顕微鏡による目視観察。
(2)赤色のみ透過する光学フィルターを取付けたCCDカメラを顕微鏡に取付け、該CCDカメラによる画像を、パターンマッチング等の画像処理法によって細胞数を計測する。
以上のような、抽出海水へのニュートラルレッドからなる色素の作用を連続的あるいは定期的に行なうことにより、バラスト水タンク5に収容される処理海水の状態をモニタリングすることができる。
【0046】
かかる第5実施例によれば、処理液モニタリング装置30において、前記フィルター処理装置20及び海水電解装置4による処理後の処理海水に、ニュートラルレッドからなる色素(該ニュートラルレッドと同様な特性を有する色素であればよい)を作用させ、該色素の作用後における海水の状態を光学的手段により一定の色(赤色)に染まった細胞数を検出するという、きわめて簡単で少ない作業工数で以って、前記海水電気分解処理及びフィルター処理を施した後の処理済み海水の状態が無害化の規制値を満足しているか否かを、常時モニタリングすることができる。
【実施例6】
【0047】
この第6実施例においては、図2に示される第1実施例,及び図5に示される第4実施例を未処理の液体について適用している。
即ち、この第6実施例においては、未処理の液体状態を検出する液体状態センサを設け、前記コントローラ100を、液体状態センサからの未処理の液体状態の検出値が入力され、該未処理の液体状態の検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように前記塩素含有物質の注入量を制御するように構成している。
【0048】
そして、この第6実施例においては、前記液体状態センサ及びコントローラ100における制御態様を次のように構成している。
(1)前記液体状態センサは前記未処理の液体の温度を検出する液体温度センサ図2の取水温度センサ13に相当)からなり、前記コントローラ100は該液体温度センサからの液体温度の検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように海水電解装置4の電気分解電流を制御する。
(2)前記液体状態センサは前記未処理の液体のCOD(化学的酸素要求量)を検出するCODセンサ(図5のCODセンサ16に相当)からなり、前記コントローラ100は該CODセンサからのCODの検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように海水電解装置4の電気分解電流を制御する)。
【0049】
(3)前記液体状態センサは前記未処理の液体のTOC量(全有機炭素量)を検出するTOCセンサ(図5のTOCセンサ17に相当)からなり、前記コントローラ100は該TOCセンサ17からのTOCの検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように海水電解装置4の電気分解電流を制御する。
(4)前記液体状態センサは前記未処理の液体のpHを検出するpHセンサ(図5のpHセンサ18に相当)からなり、前記コントローラ100は該pHセンサからのpHの検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように海水電解装置4の電気分解電流を制御する。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明によれば、液体電解装置における液体の状態や成分による電気分解効率の相異を考慮して該液体電解装置からの処理液体への塩素含有物質を常時一定に保持可能とするとともに、塩素含有物質注入後の処理液体の性状によって塩素含有物質の注入率を制御可能とし、さらに処理済み液体の状態が無害化の規制値を満足しているか否かを常時モニタリング可能とした液体の無害化処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1〜第4実施例に係る船舶用バラスト水の無害化処理装置の制御装置の系統図である。
【図2】本発明の第1実施例に係る船舶用バラスト水の無害化処理装置の制御ブロック図である。
【図3】本発明の第2実施例を示す図2対応図である。
【図4】本発明の第3実施例を示す図2対応図である。
【図5】本発明の第4実施例を示す図2対応図である。
【図6】前記第1〜第4実施例における液体電解装置の特性線図である。
【符号の説明】
【0052】
1 スクリーン
2 ポンプ
4 海水電解装置
5 バラスト水タンク
6 処理ライン
10 フィルター処理水流量計
11 塩素含有物質流量計
12 処理水流量計
13 取水温度センサ
14 塩分濃度センサ
15 電気伝導度センサ
16 CODセンサ
17 TOCセンサ
18 pH濃度センサ
20 フィルター処理装置
30 処理液モニタリング装置
41 電解槽
42 電源装置
43 貯留タンク
100 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
未処理の液体中の微生物を除去して清浄な処理液体に転換する液体の無害化処理装置であって、前記液体の全部または一部を電解装置に導入し液体を電気分解することにより、該液体から塩素含有物質を生成し、この塩素含有物質を前記未処理の液体中に注入して前記微生物を殺滅又は殺菌する方式による無害化処理装置において、前記液体電解装置に導入される電気分解前の液体状態を検出する電解前液体状態センサと、該電解前液体状態センサからの電気分解前の液体状態の検出値が入力され、該電気分解前の液体状態の検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように液体電解装置の電気分解電流を制御するコントローラとをそなえたことを特徴とする液体の無害化処理装置。
【請求項2】
未処理の液体中の微生物を除去して清浄な処理液体に転換する液体の無害化処理装置であって、前記液体中に液体状もしくは固体状の塩素含有物質を注入する液体の無害化処理装置において、前記未処理の液体状態を検出する液体状態センサと、該液体状態センサからの未処理の液体状態の検出値が入力され、該未処理の液体状態の検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように前記塩素含有物質の注入量を制御するコントローラとをそなえたことを特徴とする液体の無害化処理装置。
【請求項3】
前記電解前液体状態センサは前記液体電解装置に導入される液体の温度を検出する液体温度センサからなり、前記コントローラは該液体温度センサからの液体温度の検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように液体電解装置の電気分解電流を制御するように構成されたことを特徴とする請求項1記載の液体の無害化処理装置。
【請求項4】
前記電解前液体状態センサは前記液体電解装置に導入される液体の塩分濃度を検出する塩分濃度センサからなり、前記コントローラは該塩分濃度センサからの塩分濃度の検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように液体電解装置の電気分解電流を制御するように構成されたことを特徴とする請求項1記載の液体の無害化処理装置。
【請求項5】
前記電解前液体状態センサは前記液体電解装置に導入される液体の電気伝導度を検出する電気伝導度センサからなり、前記コントローラは該電気伝導度センサからの電気伝導度の検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように液体電解装置の電気分解電流を制御するように構成されたことを特徴とする請求項1記載の液体の無害化処理装置。
【請求項6】
前記電解前液体状態センサは前記液体電解装置に導入される液体のCOD(化学的酸素要求量)を検出するCODセンサからなり、前記コントローラは該CODセンサからのCODの検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように液体電解装置の電気分解電流を制御するように構成されたことを特徴とする請求項1記載の液体の無害化処理装置。
【請求項7】
前記電解前液体状態センサは前記液体電解装置に導入される液体のTOC量(全有機炭素量)を検出するTOCセンサからなり、前記コントローラは該TOCセンサからのTOCの検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように液体電解装置の電気分解電流を制御するように構成されたことを特徴とする請求項1記載の液体の無害化処理装置。
【請求項8】
前記電解前液体状態センサは前記液体電解装置に導入される液体のpHを検出するpHセンサからなり、前記コントローラは該pHセンサからのpHの検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように液体電解装置の電気分解電流を制御するように構成されたことを特徴とする請求項1記載の液体の無害化処理装置。
【請求項9】
前記液体状態センサは前記未処理の液体の温度を検出する液体温度センサからなり、前記コントローラは該液体温度センサからの液体温度の検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように液体電解装置の電気分解電流を制御するように構成されたことを特徴とする請求項2記載の液体の無害化処理装置。
【請求項10】
前記液体状態センサは前記未処理の液体のCOD(化学的酸素要求量)を検出するCODセンサからなり、前記コントローラは該CODセンサからのCODの検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように液体電解装置の電気分解電流を制御するように構成されたことを特徴とする請求項2記載の液体の無害化処理装置。
【請求項11】
前記液体状態センサは前記未処理の液体のTOC量(全有機炭素量)を検出するTOCセンサからなり、前記コントローラは該TOCセンサからのTOCの検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように液体電解装置の電気分解電流を制御するように構成されたことを特徴とする請求項2記載の液体の無害化処理装置。
【請求項12】
前記液体状態センサは前記未処理の液体のpHを検出するpHセンサからなり、前記コントローラは該pHセンサからのpHの検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように液体電解装置の電気分解電流を制御するように構成されたことを特徴とする請求項2記載の液体の無害化処理装置。
【請求項13】
未処理の液体中の微生物を除去して清浄な処理液体に転換する液体の無害化処理装置であって、前記液体の全部または一部を電解装置に導入し液体を電気分解することにより、該液体から塩素含有物質を生成し、この塩素含有物質を前記未処理の液体中に注入して前記微生物を殺滅又は殺菌する方式による無害化処理装置において、前記液体の流量を検出する液体流量センサと、該液体流量センサからの液体流量の検出値が入力され、該液体流量の検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように液体電解装置の電気分解電流を制御するコントローラとをそなえたことを特徴とする液体の無害化処理装置。
【請求項14】
未処理の液体中の微生物を除去して清浄な処理液体に転換する液体の無害化処理装置であって、前記液体の全部または一部を電解装置に導入し液体を電気分解することにより、該液体から塩素含有物質を生成し、この塩素含有物質を前記未処理の液体中に注入して前記微生物を殺滅又は殺菌する方式による無害化処理装置において、前記液体電解装置での電気分解処理後における液体状態を検出する電解処理後液体状態センサと、該電解処理後液体状態センサからの電気分解処理後の液体状態の検出値が入力され、該電気分解処理後の液体状態の検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように液体電解装置の電気分解電流を制御するコントローラとをそなえたことを特徴とする液体の無害化処理装置。
【請求項15】
未処理の液体中の微生物を除去して清浄な処理液体に転換する液体の無害化処理装置であって、前記液体中に液体状もしくは固体状の塩素含有物質を注入する液体の無害化処理装置において、前記処理後の液体状態を検出する液体状態センサと、該液体状態センサからの前記処理後の液体状態の検出値が入力され、該処理後の液体状態の検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように前記塩素含有物質の注入量を制御するコントローラとをそなえたことを特徴とする液体の無害化処理装置。
【請求項16】
前記電解処理後液体状態センサは前記液体電解装置での電気分解処理後における液体の残留塩素濃度を検出する残留塩素濃度センサからなり、前記コントローラは該残留塩素濃度センサからの残留塩素濃度検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように液体電解装置の電気分解電流を制御するように構成されたことを特徴とする請求項14記載の液体の無害化処理装置。
【請求項17】
前記塩素含有物質注入処理後の液体状態センサは前記処理装置での塩素含有物質注入処理後における液体の残留塩素濃度を検出する残留塩素濃度センサからなり、前記コントローラは該残留塩素濃度センサからの残留塩素濃度検出値に対応して前記塩素含有物質の注入率が一定になるように塩素含有物質注入装置の該物質の注入量を制御するように構成されたことを特徴とする請求項15記載の液体の無害化処理装置。
【請求項18】
未処理の液体中の微生物を除去して清浄な処理液体に転換する液体の無害化処理装置であって、前記液体をフィルターを通すことにより該液体中の比較的大きな微生物を除去するフィルター処理装置と、前記液体の全部または一部を電解装置に導入し液体を電気分解することにより、該液体から塩素含有物質を生成し、この塩素含有物質を前記未処理の液体中に注入して前記微生物を殺滅又は殺菌する方式による無害化処理装置において、前記フィルター処理装置及び電解装置による処理後の処理液体に色素を作用させ、該色素の作用後における液体の状態を光学的手段により一定の色に染まった細胞数を検出する処理液モニタリング装置をそなえたことを特徴とする液体の無害化処理装置。
【請求項19】
前記色素はニュートラルレッドからなることを特徴とする請求項17記載の液体の無害化処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−229576(P2007−229576A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−52368(P2006−52368)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(591118041)財団法人シップ・アンド・オーシャン財団 (21)
【出願人】(501370370)三菱重工環境エンジニアリング株式会社 (175)
【Fターム(参考)】