液体カートリッジ、これを着脱可能な液体吐出装置、及び、液体カートリッジの再生方法
【課題】再生効率を高める。
【解決手段】カートリッジは、筐体、筐体の内部に配置された、インクを収容するための収容部、バルブ、バルブを検知するセンサ、メモリ等の構成部品を有する。メモリは、少なくとも1つの構成部品についての消耗度合に関連する消耗度合関連情報(履歴)、消耗度合限度情報(限度)、使用期限等を記憶する。カートリッジ再生時は、メモリから情報を読み取り(S41)、読み取った情報に基づいて、使用期限に達しているか否か(S42)、履歴が限度を超えているか否か(S44)等を判断する。履歴が限度を超えている場合(S44:YES)、当該構成部品を交換し(S45)、メモリ内の各種情報を書き換える(S46)。
【解決手段】カートリッジは、筐体、筐体の内部に配置された、インクを収容するための収容部、バルブ、バルブを検知するセンサ、メモリ等の構成部品を有する。メモリは、少なくとも1つの構成部品についての消耗度合に関連する消耗度合関連情報(履歴)、消耗度合限度情報(限度)、使用期限等を記憶する。カートリッジ再生時は、メモリから情報を読み取り(S41)、読み取った情報に基づいて、使用期限に達しているか否か(S42)、履歴が限度を超えているか否か(S44)等を判断する。履歴が限度を超えている場合(S44:YES)、当該構成部品を交換し(S45)、メモリ内の各種情報を書き換える(S46)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク等の液体を収容する液体カートリッジ、これを着脱可能な液体吐出装置、及び、液体カートリッジの再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体カートリッジの再生方法に関する技術文献として、特許文献1が知られている。特許文献1によると、使用済みの液体カートリッジ(液体収納容器)を再生する場合、液体袋17の内部と連通する開口部20から供給口部材22を取り外し、開口部20から液体袋17内に液体を注入する。液体注入後、新しい供給口部材22を開口部20に取り付ける。これにより、再生が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−62282号公報(特に、要約)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、再生時に取り外された供給口部材22は、その消耗度合に関わらず、廃棄される。この場合、再生コストや環境負荷が増大し、再生効率が悪化してしまう。この問題は、再生の際に交換される全ての構成部品にあてはまる問題である。
【0005】
本発明の目的は、再生効率を高めることが可能な、液体カートリッジ、これを着脱可能な液体吐出装置、及び、液体カートリッジの再生方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1観点によると、液体を収容する液体カートリッジであって、前記液体カートリッジを構成する構成部品のうち、少なくとも1つの構成部品についての消耗度合に関連する消耗度合関連情報を記憶する記憶手段を備えたことを特徴とする、液体カートリッジが提供される。
【0007】
本発明の第2観点によると、第1観点による液体カートリッジを着脱可能であり、装着された前記液体カートリッジの前記液体収容室から前記排出路を介して供給される液体を吐出する吐出部を有する、液体吐出装置であって、前記記憶手段から前記消耗度合関連情報を読み取る第1読取手段と、前記第1読取手段によって読み取られた前記消耗度合関連情報に基づいて、前記消耗度合が限度を超えているか否かの判断を行う判断手段と、前記消耗度合が前記限度を超えている場合、報知を行う報知手段と、を備えたことを特徴とする、液体吐出装置が提供される。
【0008】
本発明の第3観点によると、第1観点による液体カートリッジのうち前記少なくとも1つの前記構成部品についての前記消耗度合が限度を超えたか否かを示す限度超え情報を前記記憶手段にさらに記憶した液体カートリッジを着脱可能であり、装着された前記液体カートリッジの前記液体収容室から前記排出路を介して供給される液体を吐出する吐出部を有する、液体吐出装置であって、前記記憶手段から前記限度超え情報を読み取る第2読取手段と、前記第2読取手段によって読み取られた前記限度超え情報に基づいて、報知を行う報知手段と、を備えたことを特徴とする、液体吐出装置が提供される。
【0009】
本発明の第4観点によると、第1観点による液体カートリッジの再生方法であって、前記記憶手段から前記消耗度合関連情報を読み取る読取工程と、前記読取工程において読み取られた前記消耗度合関連情報に基づいて、前記消耗度合が限度を超えているか否かを判断する判断工程と、前記判断工程において前記消耗度合が前記限度を超えていると判断された場合、前記少なくとも1つの構成部品を交換する交換工程と、を備えたことを特徴とする、液体カートリッジの再生方法が提供される。
【0010】
本発明の第5観点によると、第1観点による液体カートリッジの再生方法であって、前記少なくとも1つの構成部品を交換する交換工程と、前記消耗度合関連情報を書き換える書換工程と、を備えたことを特徴とする、液体カートリッジの再生方法が提供される。
【0011】
本発明の第6観点によると、第1観点による液体カートリッジのうち前記少なくとも1つの前記構成部品についての前記消耗度合が限度を超えたか否かを示す限度超え情報を前記記憶手段にさらに記憶した液体カートリッジの再生方法であって、前記少なくとも1つの構成部品を交換する交換工程と、前記限度超え情報を書き換える書換工程と、を備えたことを特徴とする、液体カートリッジの再生方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、液体カートリッジが、構成部品についての消耗度合に関連する消耗度合関連情報を記憶する記憶手段を備えたことにより、液体カートリッジの再生時に廃棄される構成部品を少なくすることができる。したがって、再生コストや環境負荷の増大を抑制し、再生効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の液体吐出装置の一実施形態に係るインクジェット式プリンタを示す外観斜視図である。
【図2】プリンタの内部を示す概略側面図である。
【図3】プリンタに着脱可能な、本発明の液体カートリッジの一実施形態に係るインクカートリッジを示す斜視図である。
【図4】カートリッジの内部を示す概略構成図である。
【図5】カートリッジの部分断面図であり、(a)は第1及び第2バルブが閉状態、(b)は第1及び第2バルブが開状態にあるときの図である。
【図6】カートリッジがプリンタに装着される過程を示す部分平面図である。
【図7】カートリッジ及びプリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【図8】カートリッジがプリンタに装着される際に、プリンタのコントローラが実行する制御内容を示すフロー図である。
【図9】記録制御中にプリンタのコントローラが実行する書換え・チェックルーチンを示すフロー図である。
【図10】記録制御中にプリンタのコントローラが実行するインクエンプティ時刻書込みルーチンを示すフロー図である。
【図11】カートリッジの再生方法を示すフロー図である。
【図12】本発明に係るカートリッジの再生方法の別の実施形態を示すフロー図である。
【図13】本発明の液体カートリッジの別の実施形態に係るインクカートリッジを示す、図5に対応する部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
先ず、図1を参照し、本発明の液体吐出装置の一実施形態に係るインクジェット式プリンタ1の全体構成について説明する。
【0016】
プリンタ1は、直方体形状の筐体1aを有する。筐体1aの天板上部には、排紙部31が設けられている。筐体1aの正面(図1の紙面左手前側の面)には、上から順に、3つの開口10d,10b,10cが形成されている。開口10bは給紙ユニット1b、開口10cはインクユニット1cをそれぞれ筐体1a内部に挿入するためのものである。開口10dには、下端の水平軸を支点として開閉可能な扉1dが嵌め込まれている。扉1dは、筐体1aの主走査方向(筐体1aの正面と直交する方向)に関して、搬送ユニット21(図2参照)と対向配置されている。
【0017】
次いで、図2を参照し、プリンタ1の内部構成について説明する。
【0018】
筐体1aの内部空間は、上から順に空間A,B,Cに区分できる。空間Aには、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックのインクをそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッド2、用紙Pを搬送する搬送ユニット21、及び、プリンタ1各部の動作を制御するコントローラ100が配置されている。空間B,Cにはそれぞれ、給紙ユニット1b及びインクユニット1cが配置される。プリンタ1の内部には、給紙ユニット1bから排紙部31に向けて、図2に示す太矢印に沿って、用紙Pが搬送される用紙搬送経路が形成されている。
【0019】
コントローラ100は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)に加え、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory:不揮発性RAMを含む)、I/F(Interface)等を有する。ROMには、CPUが実行するプログラム、各種固定データ(当該プリンタ1のID情報を含む。)等が記憶されている。RAMには、プログラム実行時に必要なデータ(画像データ等)が一時的に記憶される。コントローラ100は、I/Fを介して、カートリッジ40のメモリ141(図4参照)からのデータ受信、カートリッジ40のセンサ140とのデータ送受信、外部装置(プリンタ1に接続されたPC等)とのデータ送受信等を行う。
【0020】
給紙ユニット1bは、給紙トレイ23及び給紙ローラ25を有する。このうち、給紙トレイ23が、筐体1aに対して主走査方向に着脱可能となっている。給紙トレイ23は、上方に開口する箱であり、複数種類のサイズの用紙Pを収容可能である。給紙ローラ25は、コントローラ100による制御の下、給紙モータ125(図7参照)の駆動により回転し、給紙トレイ23の最も上方にある用紙Pを送り出す。給紙ローラ25によって送り出された用紙Pは、ガイド27a,27bによりガイドされ且つ送りローラ対26によって挟持されつつ搬送ユニット21へと送られる。
【0021】
搬送ユニット21は、2つのベルトローラ6,7、及び、両ローラ6,7間に架け渡されるように巻回されたエンドレスの搬送ベルト8を有する。ベルトローラ7は、駆動ローラであって、コントローラ100による制御の下、その軸に接続された搬送モータ127(図7参照)の駆動により回転し、図2中時計回りに回転する。ベルトローラ6は、従動ローラであって、ベルトローラ7の回転により搬送ベルト8が走行するのに伴って、図2中時計回りに回転する。
【0022】
搬送ベルト8のループ内には、4つのヘッド2と対向するように、直方体形状のプラテン19が配置されている。搬送ベルト8の上側ループは、搬送ベルト8の外周面8aが4つのヘッド2の下面(インクを吐出する吐出口が多数形成された吐出面)2aと所定距離離隔しつつ下面2aと平行に延在するよう、内周面側からプラテン19により支持されている。
【0023】
搬送ベルト8の外周面8aには、弱粘着性のシリコン層が形成されている。給紙ユニット1bから搬送ユニット21へと送られてきた用紙Pは、押さえローラ4によって搬送ベルト8の外周面8aに押え付けられた後、粘着力によって外周面8aに保持されつつ、黒塗り矢印に沿って副走査方向に搬送されていく。
【0024】
ここで、副走査方向とは、搬送ユニット21による用紙Pの搬送方向と平行な方向である。主走査方向とは、副走査方向に直交し且つ水平面に平行な方向である。
【0025】
用紙Pが4つのヘッド2の直ぐ下方を通過する際に、コントローラ100による制御の下、各ヘッド2が駆動し、各ヘッド2の下面2aから用紙Pの上面に向けて各色のインクが順に吐出されることで、用紙P上に所望のカラー画像が形成される。そして用紙Pは、剥離プレート5によって搬送ベルト8の外周面8aから剥離され、ガイド29a,29bによりガイドされ且つ二組の送りローラ対28によって挟持されつつ上方に搬送され、筐体1a上部に形成された開口130から排紙部31へと排出される。各送りローラ対28の一方のローラは、コントローラ100による制御の下、送りモータ128(図7参照)の駆動により回転する。
【0026】
ヘッド2は、主走査方向(図1の紙面に直交する方向)に長尺なライン式であり、略直方体の外形形状を有する。4つのヘッド2は、副走査方向に所定ピッチで並び、フレーム3を介して筐体1aに支持されている。各ヘッド2において、上面には、可撓性チューブが取り付けられるジョイントが設けられ、下面2aには、多数の吐出口が形成され、内部には、チューブ及びジョイントを介して対応するインクカートリッジ40から供給されたインクが吐出口に至るまでのインク流路が形成されている。
【0027】
インクユニット1cは、カートリッジトレイ35、及び、トレイ35内に並んで配置された4つのインクカートリッジ40を有する。図2中最も左方のカートリッジ40は、ブラックのインクを貯留しており、残り3つのカートリッジ40よりも、副走査方向のサイズ及びインク容量が大きい。残り3つのカートリッジ40は、それぞれマゼンタ、シアン、イエローのインクを貯留しており、副走査方向のサイズ及びインク容量が同じである。各カートリッジ40に貯留されたインクは、チューブ及びジョイントを介して、対応するヘッド2に供給される。
【0028】
トレイ35は、内部にカートリッジ40が配置された状態で、筐体1aに対して主走査方向に着脱可能である。したがって、プリンタ1のユーザは、トレイ35を筐体1aから取り出した状態で、トレイ35内の4つのカートリッジ40を選択的に交換することができる。
【0029】
次いで、図3〜図5を参照し、カートリッジ40の構成について説明する。なお、トレイ35内に配置される4つのカートリッジ40は、上述のようにブラックインクのカートリッジが他の色のカートリッジよりも副走査方向のサイズ及びインク容量が大きいことを除き、いずれも同じ構成である。
【0030】
カートリッジ40は、直方体形状の筐体41(図3及び図4参照)、筐体41の内部に配置されたリザーバ42(図4参照)、リザーバ42に収容されたインクを外部(ヘッド2)に排出するための排出路43a(図5参照)を画定する排出管43、排出路43aに設けられた第1バルブ50及び第2バルブ60(図5参照)、第2バルブ60を検知するセンサ140(図4及び図5参照)、メモリ141、並びに、接点142及び電力入力部147(図3及び図4参照)を有する。
【0031】
筐体41は、図4に示すように、内部に2つの部屋41a,41bが形成されるように区画されている。右方の部屋41aにリザーバ42、他方の部屋41bに排出管43がそれぞれ配置されている。
【0032】
リザーバ42は、内部にインクを収容するための袋状の部材であり、その開口部に筒状のジョイント42aが取り付けられている。リザーバ42は、ジョイント42aを介して排出路43aと連通している。
【0033】
排出管43は、互いに連結された管44及び蓋45を含む。
蓋45は、中央に円形の開口を有する円盤状の主部45a、及び、主部45aの開口周縁から主走査方向に突出した円筒状の突出部45bを含む。管44は、主走査方向に延在した円筒状の主部44a、及び、中央に円形の開口を有する円盤状のフランジ44bを含む。主部44aの一端にはジョイント42aが嵌合し、主部44aの他端にはフランジ44bを介して蓋45の主部45aが嵌合している。フランジ44bは、主部44aの他端の開口周縁から外側に延出している。フランジ44bの開口周縁には、Oリング43xを収容する環状の凹部が形成されている。フランジ44bは、当該凹部から外縁に亘って主部45aと接触し、さらにその外縁には全周に亘って主走査方向に延出する突起44b1が形成されている。主部45aは、フランジ44bと突起44b1とで形成される凹部内に嵌合し、フランジ44bとでOリング43xを弾性変形させつつ挟んでいる。突起44b1並びにフランジ44b及び主部45aの外縁は、全周に亘って、かしめ接合されている。Oリング43xは、ゴム等の弾性材料からなり、管44及び蓋45の接合部からのインク漏れを防止する。
これら管44及び蓋45の内部に、図5に示すように、排出路43aが形成されている。即ち、排出路43aは、管44内の空間と蓋45内の空間との連続した2つの空間からなる。
【0034】
第1バルブ50は、略円柱状の栓51を含む。栓51は、ゴム等の弾性材料からなり、図5に示すように、突出部45bの先端(主部45aとは反対側の端部)の開口(排出路43aの排出口)45xを塞ぐように圧縮状態で設けられている。栓51は、開口45x内に配置された部分と、開口45x外に配置された部分とを含む。
【0035】
突出部45bの先端及び栓51の外側にはキャップ46が設けられている。キャップ46が突出部45bの先端に嵌合した栓51を覆うことにより、栓51の突出部45bからの脱落が防止される。なお、キャップ46の中央には開口46aが形成されており、開口46aを介して栓51の先端面が露出している。
【0036】
第2バルブ60は、図5に示すように、管44内に配置されており、Oリング61、弁本体62、及びコイルバネ63を有する。
【0037】
弁本体62は、円柱状の第1部材65及び第2部材66、並びに、第1及び第2部材65,66よりも小さな直径であってこれら部材65,66を連結する棒状の連結部材67を有する。第1部材65における第2部材66とは反対側の面中央には、主走査方向に延在する棒状の押し部材70が設けられている。押し部材70は、後述するリブ44rの先端により画定される開口44pの直径よりも小さく且つ連結部材67と略同じ直径を有し、開口44p内に挿入されている。
【0038】
Oリング61は、ゴム等の弾性材料からからなり、管44の長手方向略中央において管44の内周面から内側に突出した環状リブ44rの裏面(栓51とは反対側の面)に固定されている。コイルバネ63は、基端がジョイント42aに固定されており、先端が弁本体62に接触し、弁本体62をOリング61に向けて常に付勢している。したがって、図5(a)に示すように第2バルブ60が排出路43aを閉じる閉状態のとき、第1部材65がOリング61と接触し、開口44pが封止されている。これにより、排出路43aにおける、管44の一端からOリング61までの空間と、Oリング61から栓51までの空間との連通が遮断され、排出路43aを介したリザーバ42と外部との連通が遮断されている。このときOリング61は、コイルバネ63の付勢力によって、弾性変形している。
【0039】
センサ140は、発光部及び受光部を有し、物体の有無を非接触状態で検知することができる、反射型の光センサである。センサ140は、コントローラ100から接点142を介して入力された信号に基づく(即ち、当該信号が示す入力値(本実施形態の場合、電流値)に対応する)光量の光を発光部から出射し、受光部により受信された光の光量を示す信号を接点142を介してコントローラ100に出力する。
【0040】
センサ140は、図5(a)に示すように第2バルブ60が閉状態のとき、センサ140の発光部及び受光部の全領域が第2部材66に対向し、且つ、図5(b)に示すように第2バルブ60が排出路43aを開く開状態のとき、センサ140の略半分の領域が第2部材66に対向しない位置に、配置されている。第2部材66の周面は、光が反射可能な鏡面となっている。センサ140は、第2バルブ60が閉状態のとき、発光部から出射された光の略全てが、第2部材66の周面で反射され、受光部により受信されるため、高い電流値を示す信号をコントローラ100に出力する。センサ140は、第2バルブ60が開状態のとき、発光部から出射された光の略半分が、第2部材66の周面で反射され、受光部により受信されるため、低い電流値を示す信号をコントローラ100に出力する。即ち、センサからの出力値(センサ140から出力された信号が示す値(本実施形態の場合、電流値))は、第2バルブ60が閉状態のときの方が、第2バルブ60が開状態のときよりも、大きい。
【0041】
メモリ141は、EEPROM等からなり、表1に示すように、カートリッジの構成部品(第1バルブ50、第2バルブ60、リザーバ42、センサ140、及び、筐体41)についての、消耗度合に関連する消耗度合関連情報(表1に示す各項目の履歴)、消耗度合の限度を示す消耗度合限度情報(表1に示す各項目の限度)、消耗度合が限度を超えたか否かを示す限度超え情報(フラグ)、及び使用期限、さらに、プリンタ1のID情報を記憶する。
【0042】
【表1】
【0043】
表1において、「開閉回数」とは、各バルブ50,60が閉状態から開状態に切り換わった回数を意味する。カートリッジ40の製造が完了した時点において、各バルブ50,60は閉状態にある。
「インクとの接触時間」とは、カートリッジ40の製造の際にリザーバ42内にインクが注入された時点からの、各バルブ50,60のインクとの総接触時間を意味する。
「インク注入回数」とは、リザーバ42内にインクが注入された回数を意味する。
「通電時間」とは、プリンタ1からセンサ140に電力が供給された合計時間を意味する。
「再生回数」とは、当該筐体41を含むカートリッジ40の再生が行われた回数を意味する。
【0044】
表1に示すように、各バルブ50,60については「開閉回数」及び「インクとの接触時間」、リザーバ42については「インク注入回数」、センサ140については「通電時間」、筐体1aについては「再生回数」の、それぞれの履歴及び限度が、メモリ141に記憶されている。
【0045】
「開閉回数」の履歴は、カートリッジ40の製造時に製造装置のコントローラにより「0」と書き込まれ、その後、当該カートリッジ40のプリンタ1への装着過程でコントローラ100により書き換えられる(S10)。また、「開閉回数」の履歴は、カートリッジ40の再生時に、対応するバルブ50,60が交換された場合に、再生装置のコントローラによりリセットされる(「0」に書き換えられる)(S46)。さらに、第2バルブの「開閉回数」の履歴は、カートリッジ40の再生時に再生装置のコントローラにより書き換えられる(S48)。
「通電時間」の履歴は、カートリッジ40の製造時に製造装置のコントローラにより「0」と書き込まれ、その後、当該カートリッジ40のプリンタ1への装着中にコントローラ100により書き換えられる(S21)。また、「通電時間」の履歴は、カートリッジ40の再生時に、センサ140が交換された場合に、再生装置のコントローラによりリセットされる(S46)。
「インク注入回数」及び「再生回数」の履歴は、カートリッジ40の製造時に製造装置のコントローラにより「0」と書き込まれ、その後、カートリッジ40の再生時に再生装置のコントローラにより書き換えられる(S48)。また、これら各項目の履歴は、カートリッジ40の再生時に当該構成部品(「インク注入回数」についてはリザーバ42、「再生回数」については筐体41)が交換された場合に再生装置のコントローラによりリセットされる(S46)。
【0046】
メモリ141は、表1に示すように、第1バルブ50及び第2バルブ60の「インクとの接触時間」の履歴の演算要素として、「第1初期値」、「第2初期値」、「第2バルブ開時刻」、「インク注入時刻」、及び「インクエンプティ時刻」を記憶する。カートリッジ40のプリンタ1への装着過程(S6)や装着中(S22)にコントローラ100が、また、カートリッジ40の再生時(S44)に再生装置のコントローラが、それぞれ、上記の演算要素に基づいて、第1バルブ50及び第2バルブ60の「インクとの接触時間」の履歴を演算する。
具体的には、第1バルブ50の「インクとの接触時間」の履歴は、「第1初期値:x」と「第2バルブ開時刻から現時刻までの時間(ただし、「インクエンプティ時刻」の書き込みがある場合は、第2バルブ開時刻からインクエンプティ時刻までの時間):x’」との和(x+x’)、第2バルブ60の「インクとの接触時間」の履歴は、「第2初期値:y」と「インク注入時刻から現時刻までの時間(ただし、「インクエンプティ時刻」の書き込みがある場合は、インク注入時刻からインクエンプティ時刻までの時間):y’」との和(y+y’)として、それぞれ演算される。なお、「第2バルブ開時刻」の書き込みがない場合、上記時間x’を「0」とする。
【0047】
「第1初期値」及び「第2初期値」は、それぞれ第1バルブ50及び第2バルブ60に係るデータであり、カートリッジ40の製造時に製造装置のコントローラにより「0」と書き込まれ、その後、カートリッジ40の再生時に再生装置のコントローラにより書き換えられる(S48)。また、「第1初期値」及び「第2初期値」は、カートリッジ40の再生時に当該構成部品(「第1初期値」については第1バルブ50、「第2初期値」については第2バルブ60)が交換された場合に再生装置のコントローラによりリセットされる(S46)。
「第2バルブ開時刻」は、第2バルブ60が閉状態から開状態に切り換わった時刻を意味し、カートリッジ40のプリンタ1への装着過程でコントローラ100により書き込まれ(S10)、その後、カートリッジ40の再生時に再生装置のコントローラにより消去される(S48)。
「インク注入時刻」は、リザーバ42にインクが注入された時刻を意味し、カートリッジ40の製造時に製造装置のコントローラにより書き込まれ、その後、カートリッジ40の再生時に再生装置のコントローラにより書き換えられる(S48)。
「インクエンプティ時刻」は、リザーバ42内のインクが所定量(ゼロ又は若干量)以下となった時刻を意味し、カートリッジ40のプリンタ1への装着中にリザーバ42内のインクが所定量以下となった場合にコントローラ100により書き込まれ(S32)、その後、カートリッジ40の再生時に再生装置のコントローラにより消去される(S48)。
【0048】
表1に示す各項目の限度は、カートリッジ40の製造時に製造装置のコントローラにより書き込まれる。また、各項目の限度は、カートリッジ40の再生時に当該構成部品が交換された場合に(例えばS46で)再生装置のコントローラにより書き換えられてよい。
【0049】
表1において、「フラグ」は、各項目について、履歴が限度を超えている場合にON、履歴が限度以下の場合にOFF、と設定される。
「使用期限」は、各構成部品について設定されており、その期限までであれば正常に機能すると想定される、各構成部品の経時的劣化に基づく使用期限を意味する。
「プリンタのID情報」は、当該カートリッジ40が装着されたプリンタ1のID情報であり、ID情報はプリンタ1に個別に与えられている。
【0050】
「フラグ」は、全ての項目について、カートリッジ40の製造時に製造装置のコントローラによりOFFに設定され、その後、項目毎に、カートリッジ40のプリンタ1への装着中にコントローラ100により、履歴が限度を超えていると判断された場合に、ONに切り換えられる(S23)。また、カートリッジ40の再生時に構成部品が交換された場合、当該構成部品に対応する項目の「フラグ」は、再生装置のコントローラにより、OFFに設定される(S46)。
「使用期限」は、各構成部品について、カートリッジ40の製造時に製造装置のコントローラにより書き込まれる。また、カートリッジ40の再生時に構成部品が交換された場合、当該構成部品についての「使用期限」は、再生装置のコントローラにより書き換えられる(S46)。
「プリンタのID情報」は、カートリッジ40のプリンタ1への装着過程でコントローラ100により書き込まれ(S10)、また、カートリッジ40の再生時に第1バルブ50が交換された場合に再生装置のコントローラにより消去される(S46)。
【0051】
次いで、図5、図6、図7、及び図8を参照し、カートリッジ40がプリンタ1に装着される過程について説明する。図7では、電力供給線を太線で示し、信号線を細線で示している。
【0052】
カートリッジ40がプリンタ1に装着される前、第1及び第2バルブ50,60は図5(a)に示す閉状態に維持されている。また、この段階では、図7に示すような接点142及び接点152間の電気的接続並びに電力入力部147及び電力出力部157間の電気的接続は、未だなされていない。したがって、この段階において、カートリッジ40及びプリンタ1間での信号の送受信は不能であり、且つ、センサ140及びメモリ141には電力が供給されていない。
【0053】
カートリッジ装着の際は、プリンタ1のユーザが、トレイ35(図2参照)内にカートリッジ40を配置した状態で、トレイ35を主走査方向(図6(a)の白抜き矢印方向)に移動させて筐体1aの空間Cに挿入する。この際、先ず、図6(a)に示すように、カートリッジ40の接点142がプリンタ1の接点152と接触し、カートリッジ40とプリンタ1とが電気的に接続される。これにより、カートリッジ40及びプリンタ1間の信号の送受信が可能になる。接点152は、コントローラ100のI/Fとして機能するものであり、筐体1aの壁面に形成されている。
【0054】
また、接点142,152同士が接触するタイミングと略同じタイミングで、図6(a)に示すように、カートリッジ40の電力入力部147とプリンタ1の電力出力部157とが互いに接触して電気的に接続される。これにより、電源158から、電力出力部157及び電力入力部147を介して、センサ140及びメモリ141に電力が供給される(図7参照)。
電源158は、筐体1a内に設けられており、プリンタ1の各部に電力を供給する。電力出力部157は、電源158と電気的に接続し、筐体1aの壁面における各カートリッジ40の電力入力部147と対向する位置に設けられている(図6参照)。電力入力部147は、センサ140及びメモリ141と電気的に接続し、接点142の近傍において筐体41の外面に露出して設けられている。
【0055】
この段階において、カートリッジ40は中空針153から離隔しており、リザーバ42はヘッド2のインク流路と連通していない。中空針153は、筐体1aに対して主走査方向に移動可能な支持体154に固定され、ヘッド2のジョイントに取り付けられたチューブと連通している。中空針153及び接点152はカートリッジ40毎に設けられている。
【0056】
コントローラ100は、図8に示すように、カートリッジ40とプリンタ1との電気的接続を検知すると(S1:YES)、後に詳述する処理(S2〜S6等)を実行した後、移動機構155(図7参照)を制御して支持体154をこれに支持された中空針153と共に主走査方向(図6(b)の黒塗り矢印方向)に移動開始させる(S7)。さらにコントローラ100は、S7で中空針153の移動を開始させた後、センサ140からの出力値等に基づいて第2バルブ60が開状態に切り換わったか否かを判断する(S8)。
【0057】
S7での中空針153の移動開始に伴い、先ず、図5(b)に示すように、中空針153が、開口46aを介して栓51の略中心を主走査方向に貫通する。このときに、第1バルブ50が排出路43aを閉じる閉状態から、排出路43aを開く開状態に切り換わる。
第1バルブ50が開状態にあるとき、中空針153の先端に設けられた孔153bが排出路43a内に配置され、孔153bを介して、中空針153内の流路153aと排出路43aとが連通する。また、このとき栓51は、中空針153による貫通孔が形成されるが、当該貫通孔の周囲が弾性により中空針153の外周面に密着する。これにより、栓51の貫通孔と中空針153との間からのインク漏れが防止される。
【0058】
その後、中空針153の先端が、押し部材70の先端に当接する。そして中空針153の排出路43aへのさらなる進入により、押し部材70及び弁本体62が移動し、弁本体62の第1部材65がOリング61から離隔する。このときに、第2バルブ60が閉状態から開状態に切り換わる。
第2バルブ60が開状態にあるとき、排出路43aにおける、管44の一端からOリング61までの空間と、Oリング61から栓51までの空間とが連通し、排出路43aを介したリザーバ42と外部との連通が許可される。即ち、図5(b)に示すように第1及び第2バルブ50,60が共に開状態にあるとき、排出路43a、流路153a等を介して、リザーバ42とヘッド2のインク流路とが連通している。
【0059】
カートリッジ取外しの際は、プリンタ1のユーザが、トレイ35を筐体1aから取り出す。この際、4つのカートリッジ40は同時に、対応する支持体154、接点152、及び電力出力部157から離隔する。これにより、接点142及び接点152間の電気的接続並びに電力入力部147及び電力出力部157間の電気的接続が、共に解除され、カートリッジ40及びプリンタ1間の信号の送受信が不能となり、センサ140及びメモリ141に電力が供給されなくなる。また、このとき、中空針153が図5(b)の左方向に移動するのに伴い、コイルバネ63の付勢力によって弁本体62及び押し部材70が図5(b)の左方向に移動し、弁本体62の第1部材65がOリング61に接触する。これにより、第2バルブ60が開状態から閉状態に切り換わる。また、中空針153が栓51から抜かれたときに、栓51の貫通孔は、当該貫通孔の周囲部分の弾性により、インク漏れが防止される程度に、小さくなる。これにより、第1バルブ50が開状態から閉状態に切り換わる。
【0060】
次いで、図8を参照し、カートリッジ40がプリンタ1に装着される際の、コントローラ100によるプリンタ1各部の制御について、より詳細に説明する。
【0061】
コントローラ100は、上述のようにカートリッジ40とプリンタ1との電気的接続を検知した後(S1:YES)、カートリッジ40のメモリ141から情報(表1に示す種々の情報)を読み取る(S2)。
【0062】
その後、コントローラ100は、ROMから当該プリンタ1のID情報を取得すると共に、取得したID情報と一致しないID情報をS2で読み取ったか否かを判断する(S3)。
具体的には、コントローラ100は、S2で「プリンタのID情報」を読み取り且つ当該ID情報が当該プリンタ1のID情報と一致しない場合、ID情報が不一致である(S3:YES)と判断する。この場合、コントローラ100は、プリンタ1のディスプレイへの画像表示や音声出力等により、エラー報知を行い(S15)、プリンタ1の記録動作が禁止されるよう、プリンタ1の各部の動作を停止させる(S16)。
【0063】
一方、コントローラ100は、S2で「プリンタのID情報」を読み取らなかった場合(即ち、メモリ141に「プリンタのID情報」が書き込まれていない場合)、又は、S2で「プリンタのID情報」を読み取り且つ当該ID情報が当該プリンタ1のID情報と一致する場合、ID情報が不一致ではない(S3:NO)と判断する。この場合、コントローラ100は、プリンタ1に内蔵されたタイマから現時刻を取得し、現時刻とS2で読み取った使用期限とから、カートリッジ40の各構成部品が使用期限に達しているか否かを判断する(S4)。
【0064】
いずれかの構成部品が使用期限に達している場合(S4:YES)、コントローラ100は、エラー報知(S15)及び停止(S16)を行う。
全構成部品が使用期限に達していない場合(S4:NO)、コントローラ100は、S2で読み取った情報に基づき、表1に示す各項目の「フラグ」がONに設定されているか否かを判断する(S5)。
【0065】
いずれかの項目に関する「フラグ」がONに設定されている場合(S5:YES)、コントローラ100は、エラー報知(S15)及び停止(S16)を行う。
全項目に関する「フラグ」がOFFに設定されている場合(S5:NO)、コントローラ100は、S2で読み取った情報に基づき、表1に示す各項目について、履歴が限度を超えているか否かを判断する(S6)。
【0066】
S6で、コントローラ100は、「開閉回数」、「インク注入回数」、「通電時間」、及び「再生回数」については、S2で読み取った履歴と限度とを比較する。
S6で、コントローラ100は、「インクとの接触時間」については、S2で読み取った「インクとの接触時間」の履歴の演算要素(「第1初期値」等)に基づいて履歴を演算し、当該演算で求められた履歴とS2で読み取った限度とを比較する。演算方法は上述のとおりであるが、コントローラ100は、S2で「第2バルブ開時刻」及び「インクエンプティ時刻」を読み取らない(即ち、この段階ではメモリ141に「第2バルブ開時刻」及び「インクエンプティ時刻」が書き込まれていない)ため、上記の演算式における時間x’を「0」とし、第1バルブ50の「インクとの接触時間」の履歴を「第1初期値:x」、第2バルブ60の「インクとの接触時間」の履歴を「第2初期値:y」と「インク注入時刻から現時刻までの時間:y’」との和(y+y’)として、それぞれ演算する。
【0067】
いずれかの項目について、履歴が限度を超えている場合(S6:YES)、コントローラ100は、エラー報知(S15)及び停止(S16)を行う。
全項目について、履歴が限度以下の場合(S6:NO)、コントローラ100は、上述した処理S7,S8を行う。即ち、コントローラ100は、図6(b)に示す支持体154及びこれに支持された中空針153の、黒塗り矢印方向への移動を開始させる(S7)。その後、コントローラ100は、センサ140からの出力値等に基づいて第2バルブ60が開状態に切り換わったか否かを判断する(S8)。
【0068】
第2バルブ60が開状態に切り換わると(S8:YES)、コントローラ100は、「第2バルブ開時刻」(S2で「プリンタのID情報」を読み取らなかった場合、さらに「プリンタのID情報」)の書き込み、及び、「開閉回数」の履歴の書き換えを行う(S10)。
具体的には、コントローラ100は、この時点の時刻を「第2バルブ開時刻」としてメモリ141に書き込みむと共に、メモリ141内の各バルブ50,60の「開閉回数」の履歴を、S2で読み取った「開閉回数:n」に1プラスした数値(n+1)に、書き換える。さらにコントローラ100は、S2で「プリンタのID情報」を読み取らなかった場合(即ち、メモリ141に「プリンタのID情報」が書き込まれていない場合)、メモリ141に当該プリンタ1のID情報を書き込む(ただし、S2で「プリンタのID情報」を読み取った場合、当該処理は省略される)。
【0069】
なお、第2バルブ60が開状態に切り換わらないまま所定時間が経過した場合(S9:YES)、コントローラ100は、エラー報知(S15)及び停止(S16)を行う。この場合、カートリッジ40のセンサ140やバルブ50,60或いはプリンタ1の中空針153や移動機構155に不具合があると推定される。
【0070】
S10の後、コントローラ100は、記録制御(S11)を行い、このルーチンを終了する。
記録制御(S11)において、コントローラ100は、外部装置からの記録指令の受信に伴う処理(給紙モータ125、搬送モータ127、及び送りモータ128(図7参照)並びにヘッド2の駆動制御等)を行う。
【0071】
プリンタ1に複数のカートリッジ40が同時に装着されたとき、コントローラ100は、カートリッジ40毎に、図8に示す一連の処理を略同時に行う。
【0072】
次いで、図9及び図10を参照し、記録制御(S11)中にコントローラ100が実行するルーチンについて説明する。即ち、コントローラ100は、記録制御(S11)を行う間、図9に示す書換え・チェックルーチン、及び、図10に示すインクエンプティ時刻書込ルーチンを実行する。
【0073】
図9の書換え・チェックルーチンにおいて、コントローラ100は、先ず、「通電時間」の履歴を書き換える(S21)。
具体的には、コントローラ100は、当該ルーチンにおいて最初のS21の場合、メモリ141内の「通電時間」の履歴を、S2で読み取った「通電時間:m」と「カートリッジ40とプリンタ1との電気的接続を検知した(S1:YES)時点から現時点までの時間:α」との和(m+α)に、書き換える。
コントローラ100は、当該ルーチンにおいて2回目以降のS21の場合、メモリ141内の「通電時間」の履歴を、前回のS21での「通電時間:(m+α)」に「前回S21を行った時点から現時点までの時間:β」をプラスした合計時間(m+α+β)に、書き換える。
【0074】
S21の後、コントローラ100は、S10で書き換えた各バルブ50,60の「開閉回数」の履歴、演算要素(「第1初期値」等)に基づいて求められる各バルブ50,60の「インクとの接触時間」の履歴、及び、S21で書き換えた「通電時間」の履歴が、それぞれS2で読み取った限度を超えているか否かを判断する(S22)。
各バルブ50,60の「インクとの接触時間」の履歴の演算方法は、S6の場合と異なる。即ち、S10でメモリ141に「第2バルブ開時刻」が書き込まれたことから、コントローラ100は、上記時間x’を「0」とせず、第1バルブ50の「インクとの接触時間」の履歴を「第1初期値:x」と「第2バルブ開時刻から現時刻までの時間:x’」との和(x+x’)、第2バルブ60の「インクとの接触時間」の履歴を「第2初期値:y」と「インク注入時刻から現時刻までの時間:y’」との和(y+y’)として、それぞれ演算する。
【0075】
S22で対象とされたいずれかの項目について、履歴が限度を超えている場合(S22:YES)、コントローラ100は、メモリ141内の当該項目の「フラグ」をONに切り換え(S23)、その後エラー報知(S15)及び停止(S16)を行う。
S22で対象とされた全項目について、履歴が限度以下の場合(S22:NO)、コントローラ100は、S22の時点から所定時間が経過した後(S24:YES)、S21に処理を戻す。即ち、記録制御(S11)中、所定時間毎に、S21,S22の処理が繰り返される。
【0076】
図10のインクエンプティ時刻書込ルーチンにおいて、コントローラ100は、先ず、リザーバ42内のインク量を検知するセンサ等からの信号に基づいて、インク量が所定量以下であるか否かを判断する(S31)。
【0077】
コントローラ100は、インク量が所定量以下である場合(S31:YES)、この時点の時刻を「インクエンプティ時刻」としてメモリ141に書き込み(S32)、エラー報知(S15)及び停止(S16)を行う。
記録制御(S11)中、S31の処理が繰り返される。リザーバ42内のインク量が所定量以下にならない場合、インクエンプティ時刻の書き込み(S32)は行われない。
【0078】
次いで、図11を参照し、カートリッジ40の再生方法について説明する。
なお、再生方法に係る各工程は、再生装置、及び、作業者のいずれが行ってもよい。本実施形態では、全工程が再生装置により行われる。再生装置は、注入器、部品交換ユニット、コントローラ、ディスプレイ等を有する。
【0079】
先ず、再生装置は、コントローラにより、再生工程に付されたカートリッジ40のメモリ141から情報(表1に示す種々の情報)を読み取る(S41)。そしてコントローラは、現時刻とS41で読み取った使用期限とから、カートリッジ40の各構成部品が使用期限に達しているか否かを判断する(S42)。
【0080】
いずれかの構成部品が使用期限に達している場合(S42:YES)、再生装置は、部品交換ユニットを駆動し、当該構成部品を交換する(S45)。
第1バルブ50を交換する場合は、第1バルブ50のみではなく、第1バルブ50、キャップ46、及び蓋45を含む第1バルブユニットを、管44から取り外して交換し、新たな第1バルブユニットを管44に取り付けてよい。またこのとき、第1バルブユニットを管44から取り外した後、栓51(又は、栓51及びキャップ46)のみを交換した新たな第1バルブユニット(蓋45は交換せずにそのまま使用したもの)を、管44に取り付けてよい。
【0081】
全構成部品が使用期限に達していない場合(S42:NO)、コントローラは、S41で読み取った情報に基づき、表1に示す各項目の「フラグ」がONに設定されているか否かを判断する(S43)。
【0082】
いずれかの項目に関する「フラグ」がONに設定されている場合(S43:YES)、再生装置は、当該構成部品の交換を行う(S45)。
全項目に関する「フラグ」がOFFに設定されている場合(S43:NO)、コントローラは、S41で読み取った情報に基づき、表1に示す各項目について、履歴が限度を超えているか否かを判断する(S44)。
【0083】
S44で、コントローラは、「開閉回数」、「インク注入回数」、「通電時間」、及び「再生回数」については、S41で読み取った履歴と限度とを比較する。
S44で、コントローラは、「インクとの接触時間」については、S41で読み取った「インクとの接触時間」の履歴の演算要素(「第1初期値」等)に基づいて履歴を演算し、当該演算で求められた履歴とS41で読み取った限度とを比較する。演算方法は、S6の場合と異なる。即ち、S41で「第2バルブ開時刻」を読み取ることから、コントローラは、上記時間x’を「0」とせず、第1バルブ50の「インクとの接触時間」の履歴は「第1初期値:x」と「第2バルブ開時刻から現時刻までの時間(ただし、S41で「インクエンプティ時刻」を読み取った場合は、第2バルブ開時刻からインクエンプティ時刻までの時間):x’との和(x+x’)、第2バルブ60の「インクとの接触時間」の履歴は「第2初期値:y」と「インク注入時刻から現時刻までの時間(ただし、S41で「インクエンプティ時刻」を読み取った場合は、インク注入時刻からインクエンプティ時刻までの時間):y’」との和(y+y’)として、それぞれ演算する。
【0084】
いずれかの項目について、履歴が限度を超えている場合(S44:YES)、再生装置は、当該構成部品の交換を行う(S45)。
全項目について、履歴が限度以下の場合(S44:NO)、再生装置は、注入器により、リザーバ42内にインクを注入する(S47)。
【0085】
S47は、例えば、第1バルブ50及びキャップ46が設けられた蓋45を管44から取り外した状態で、注入器の押圧棒を主部44aの他端の開口(フランジ44bが形成された部分)から主部44a内に挿入して弁本体62をコイルバネ63の付勢力に抗して押圧することで、第2バルブ60を閉状態から開状態に切り換え、第2バルブ60を開状態に維持しつつ行われる。注入が完了し、押圧棒を主部44aの他端から引き抜くと、第2バルブ60は、コイルバネ63の付勢力によって、開状態から閉状態に切り換わる。その後、再生装置は、注入前に取り外された、第1バルブ50及びキャップ46が設けられた蓋45を、再び管44に取り付ける。
【0086】
S47の後、コントローラは、以下のようなメモリ141内の情報の書き換えや消去を行う(S48)。これにより、再生品としてのカートリッジ40が完成する。
【0087】
S48では、「インク注入時刻」を、S47を行った時刻に書き換え、「第1初期値」及び「第2初期値」をそれぞれ、S44で演算した第1バルブ50及び第2バルブ60の「インクとの接触時間」の履歴に書き換える。「インク注入回数」、「再生回数」、及び、第2バルブ60の「開閉回数」の履歴を、S41で読み取った値に1プラスした値に書き換える(第2バルブ60の「開閉回数」の履歴については、S47で第2バルブ60が閉状態から開状態に切り換わったため)。「第2バルブ開時刻」及び「インクエンプティ時刻」を消去する。
【0088】
また、S45で構成部品が交換された後、コントローラは、メモリ141内の、当該構成部品についての「使用期限」、対応する項目の履歴等を書き換えると共に、対応する項目の「フラグ」をOFFに設定する(S46)。
対応する項目の履歴等の書き換えについては、以下のとおりである。即ち、センサ140が交換された場合、「通電時間」の履歴をリセットする。リザーバ42が交換された場合、「インク注入回数」の履歴をリセットする。筐体41が交換された場合、「再生回数」の履歴をリセットする。第1バルブ50が交換された場合、「第1初期値」及び第1バルブ50の「開閉回数」の履歴をリセットすると共に、「プリンタのID情報」を消去する。第2バルブ60が交換された場合、「第2初期値」及び第2バルブ60の「開閉回数」の履歴をリセットする。
【0089】
S46の後、コントローラは、S41に処理を戻す。
【0090】
上記再生方法により再生されたカートリッジ40がプリンタ1に装着されると、プリンタ1のコントローラ100は、カートリッジ40が新品か再生後かに関わらず、図8に示す制御を行う。
【0091】
以上に述べたように、本実施形態のカートリッジ40は、構成部品についての消耗度合に関連する消耗度合関連情報(表1に示す各項目の履歴)を記憶するメモリ141を含む。これにより、カートリッジ40の再生時に廃棄される構成部品を少なくすることができる。したがって、再生コストや環境負荷の増大を抑制し、再生効率を高めることができる。
【0092】
メモリ141は、消耗度合関連情報(表1に示す各項目の履歴)に加え、消耗度合限度情報(表1に示す各項目の限度)をさらに記憶する。この場合、プリンタ1のメモリ(ROM又はRAM)に消耗度合限度情報を記憶させておく必要がないことから、プリンタ1のメモリにおける記憶領域の減少を回避することができる。
【0093】
メモリ141は、消耗度合関連情報(表1に示す各項目の履歴)に加え、限度超え情報(表1に示す各項目の「フラグ」)をさらに記憶する。この場合、「フラグ」を参照するだけで(S5及びS43)、履歴が限度を超えているか否かを判断することができる。そのため、プリンタ1によるエラー報知(S15)や再生時の部品交換(S45)をより迅速に行うことができる。
【0094】
バルブ50,60は、開閉動作を行うこと、インクと接触する時間が比較的長いこと等から、消耗し易く、また消耗した場合にリザーバ42からのインク漏れやインク蒸発を誘引し得る。そこで本実施形態では、バルブ50,60の消耗度合関連情報(「開閉回数」や「インクとの接触時間」の履歴)をメモリ141に記憶させている。これにより、バルブ50,60の消耗によるインク漏れ等をより確実に防止することができる。
【0095】
バルブ50,60は「開閉回数」の増加に応じて消耗度合が上昇すること、「開閉回数」はセンサ140によって比較的正確に検知可能であること等から、バルブ50,60の「開閉回数」は消耗度合関連情報として適している。したがって本実施形態によれば、プリンタ1や再生装置による各バルブ50,60の消耗度合の判断の信頼性を向上させることができる。
【0096】
弾性部材である栓51が消耗すると、インク漏れ等の問題が顕著になる。そこで本実施形態では、栓51を含む第1バルブ50についての消耗度合関連情報(表1に示す、第1バルブ50の「開閉回数」や「インクとの接触時間」の履歴)をメモリ141に記憶させている。これにより、栓51の消耗によるインク漏れ等をより確実に防止することができる。
【0097】
プリンタ1毎に、栓51に形成される中空針153による貫通孔の位置や大きさが異なり得る。貫通孔の位置や大きさが異なると、栓51に形成される貫通孔の数が増えたり、貫通孔のサイズが大きくなったりすることで、貫通孔を介したインク漏れ等が生じ易くなる。そこで本実施形態では、消耗度合関連情報として、「カートリッジ40が装着されたプリンタ1の台数」(本実施形態ではプリンタ1のID情報がこれに相当する。)をメモリ141に記憶させている。これにより、既に装着されたプリンタ1とは別のプリンタ1にカートリッジ40が装着される場合に生じ得る、上記のようなインク漏れ等を防止することができる。
なお、本発明において、「液体カートリッジが装着された液体吐出装置の台数」は、同一の液体吐出装置にカートリッジを何回装着しても「1」であり、異なる液体吐出装置にカートリッジを装着した場合に複数になる。
【0098】
さらに本実施形態では、「カートリッジ40が装着されたプリンタ1の台数」に関する消耗度合関連情報として、プリンタ1のID情報をメモリ141に記憶させている。プリンタ1のID情報は、プリンタ1に個別に与えられており、同一のプリンタ1であるか異なるプリンタ1であるかを明確に差別化可能であり、消耗度合関連情報として適している。
【0099】
弾性部材である栓51やOリング61は、インクとの接触時間の増大に伴って消耗度合が大きくなる傾向にある。そこで本実施形態では、消耗度合関連情報として、各バルブ50,60の「インクとの接触時間」をメモリ141に記憶させている。これにより、プリンタ1や再生装置による各バルブ50,60の消耗度合の判断の信頼性を向上させることができる。
【0100】
2つのバルブ(第1及び第2バルブ50,60)を設けたことで、仮に一方のバルブに故障が生じた場合でも、他方のバルブによって排出路43aの連通及び遮断を切り換えることができる。したがって、排出路43aを介したインク漏れ等をより確実に防止することができる。
さらに本実施形態では、これらバルブ50,60の両方の「インクとの接触時間」をメモリ141に記憶させている。これにより、プリンタ1や再生装置による両バルブ50,60の消耗度合の判断の信頼性を向上させることができ、ひいては、排出路43aを介したインク漏れ等をより一層確実に防止することができる。
【0101】
「第2バルブ開時刻」や「インク注入時刻」は、各部の動作に基づき比較的正確に検知可能であること等から、消耗度合関連情報として適している。したがって本実施形態によれば、プリンタ1や再生装置による消耗度合の判断の信頼性を向上させることができる。
【0102】
本実施形態のプリンタ1は、消耗度合関連情報(表1に示す各項目の履歴)や限度超え情報(表1に示す各項目の「フラグ」のON)をメモリ141に書き込む(S10,S21,S23)。つまり、カートリッジ40のプリンタ1への装着中(即ち、カートリッジ40使用中)に、消耗度合関連情報や限度超え情報が書き換えられる。したがって、プリンタ1や再生装置による消耗度合の判断の信頼性を向上させることができる。
【0103】
本実施形態の再生方法によれば、部品交換(S45)を行った場合、消耗度合関連情報(表1に示す各項目の履歴)を書き換える(S46)。これにより、プリンタ1や再生装置による消耗度合の判断の信頼性を向上させることができる。
【0104】
続いて、図12を参照し、本発明に係るカートリッジの再生方法の別の実施形態について説明する。
【0105】
当該別の実施形態に係る再生方法では、上述の実施形態における読取工程(S41)及び判断工程(S42〜S44)が省略されており、先ず、カートリッジ40の再生を行う作業者が、視認により各構成部品の消耗度合を確認し、交換すべき部品があるか否かを判断する(S51)。ここでは、消耗度合が所定の許容範囲よりも大きい場合、交換すべきと判断する。交換すべき部品がない場合(S51:NO)、処理をS54に進める。
【0106】
交換すべき部品がある場合(S51:YES)、S45と同様、当該構成部品を再生装置の部品交換ユニットにより交換する(S52)。その後、S46と同様、再生装置のコントローラが、メモリ141内の、当該構成部品についての「使用期限」、対応する項目の履歴等を書き換えると共に、対応する項目の「フラグ」をOFFに設定する(S53)。
【0107】
S53の後、S47と同様、再生装置が注入器によりリザーバ42内にインクを注入する(S54)。そして、S48と同様、再生装置のコントローラが、メモリ141内の情報の書き換えや消去を行う(S55)。これにより、再生品としてのカートリッジ40が完成する。
【0108】
当該別の実施形態の再生方法によると、部品交換(S52)を行った場合、消耗度合関連情報(表1に示す各項目の履歴)や限度超え情報(「フラグ」)の書き換え(S53,S55)を行う。これにより、当該再生完了後さらに再生されるときに、廃棄される構成部品を少なくすることができる。したがって、上述の実施形態と同様、再生コストや環境負荷の増大を抑制し、再生効率を高めることができる。
【0109】
続いて、図13を参照し、本発明の液体カートリッジの別の実施形態に係るインクカートリッジ540について説明する。
当該別の実施形態に係るカートリッジ540は、排出管543、第1バルブ550、及び第2バルブ560の構成が、カートリッジ40と異なり、それ以外はカートリッジ40と同じ構成である。
以下、上述の実施形態のカートリッジ40と異なる点について説明し、上述の実施形態と同じ構成要素については同じ参照番号を付す等して説明を省略する。
【0110】
排出管543は、主走査方向に延在し且互いに連結された2つの管544,545を含む。管544は、一端にジョイント42a、他端に管545の一端がそれぞれ嵌合している。これら管544,545の内部に、排出路543aが形成されている。即ち、排出路543aは、管544内の空間と管545内の空間との連続した2つの空間からなる。
【0111】
管544の他端には、環状フランジ547及び環状突起548が一体的に形成されている。フランジ547は、管544の他端の外周に亘って延在する円盤状の部材である。フランジ547の裏面(図13の右方の面)から、環状突起548が突出している。環状突起548の外周にはOリング548aが配置されている。Oリング548aによって、筐体41の内面と環状突起548との隙間がシールされている。
【0112】
第1バルブ550は、管545内に配置されており、栓551、球体552、及びコイルバネ553を有する。
【0113】
栓551は、上述の栓51と同様、ゴム等の弾性材料からなり、管545の他端の開口を塞ぐように圧縮状態で設けられている。栓551は、その中央において主走査方向に貫通したスリット551a、管545の他端に嵌合した環状突起551b、及び、球体552と対向する面における環状突起551bに囲まれた部分に形成された湾曲部551cを有する。湾曲部551cは球体552の外周面に沿った形状を有する。環状突起551bは、内径が球体552の直径より若干小さく、図13(a)に示すように第1バルブ550が閉状態のとき、球体552が突起551bを弾性変形させつつ湾曲部551cに密着するようになっている。このとき、スリット551aが球体552により封止されることにより、排出路543aと外部との連通が遮断されている。コイルバネ553は、基端が管545の一端に形成された段差部545aに固定されており、先端が球体552に接触し、球体552を栓551に向けて常に付勢している。
【0114】
管545の他端及び栓551の外側にはキャップ46が設けられている。キャップ46が管545の他端に嵌合した栓551を覆うことにより、栓551の管545からの脱落が防止される。なお、キャップ46の中央には開口46aが形成されており、開口46aを介して栓551におけるスリット551aの開口を含む部分が露出している。
【0115】
第2バルブ560は、管544内に配置されており、弁座561、弁本体62、及びコイルバネ63を有する。
【0116】
弁座561は、ゴム等の弾性材料からからなり、そのフランジ561aが、管544の主走査方向中央近傍の内周面から管中心に向けて突出した環状突起544aと管545の段差部545aとの間に挟まれるように、配置されている。弁座561の中央には、主走査方向に沿った貫通孔561bが形成されている。
【0117】
押し部材70は、孔561bの直径よりも小さく、孔561b内に挿入されている。コイルバネ63は、弁本体62を弁座561に向けて常に付勢している。したがって、図13(a)に示すように第2バルブ560が閉状態のとき、第1部材65が弁座561と接触し、貫通孔561bが封止されている。これにより、排出路543aにおける管544内の空間と管545内の空間との連通が遮断され、排出路543aを介したリザーバ42と外部との連通が遮断されている。このとき弁座561における第1部材65と接触する部分は、コイルバネ63の付勢力によって、弾性変形している。
【0118】
カートリッジ540がプリンタ1に装着される前、第1及び第2バルブ550,560は図13(a)に示す閉状態に維持されている。中空針153の移動開始に伴い、先ず、図13(b)に示すように、中空針153が、開口46aを貫通してスリット551aに挿入される。ここで、中空針153の直径はスリット551aの直径よりも大きく、中空針153がスリット551aに挿入されているとき、栓551はスリット551aの内周面が中空針153の外周面に密着するように弾性変形する。これにより、スリット551aと中空針153との間からのインク漏れが防止される。
【0119】
そして中空針153の先端が球体552と当接しつつ球体552を移動させ、球体552が栓551から離隔される。このときに第1バルブ550が閉状態から開状態に切り換わる。このとき、中空針153の先端に設けられた孔153bが管545内の空間に配置され、孔153bを介して、中空針153内の流路153aと管545内の空間とが連通する。
【0120】
さらに球体552は、栓551から離隔した後、押し部材70の先端に当接する。そして中空針153の排出路543aへのさらなる進入により、押し部材70及び弁本体62が移動し、弁本体62の第1部材65が弁座561から離隔する。このときに第2バルブ560が閉状態から開状態に切り換わる。このとき、排出路543aにおける管544内の空間と管545内の空間とが連通し、排出路543aを介したリザーバ42と外部との連通が許可される。即ち、図13(b)に示すように第1及び第2バルブ550,560が共に開状態のとき、排出路543a、流路153a等を介して、リザーバ42とヘッド2のインク流路とが連通している。
【0121】
カートリッジ取外しの際は、中空針153が図13(b)の左方向に移動するのに伴い、球体552がコイルバネ553の付勢力によって中空針153の先端に当接しつつ栓551に近づく方向に移動する。そして球体552と栓551とが接触するときに、第1バルブ550が開状態から閉状態に切り換わる。一方、第2バルブ560においては、コイルバネ63の付勢力によって弁本体62及び押し部材70が図13(b)の左方向に移動し、弁本体62の第1部材65が弁座561に接触する。これにより、第2バルブ560が開状態から閉状態に切り換わり、リザーバ42からのインク漏れが防止される。
【0122】
なお、カートリッジ540の再生時に、S45で第1バルブ550を交換する場合は、第1バルブ550のみではなく、第1バルブ550、キャップ46、及び管545を含む第1バルブユニットを、管544から取り外して交換し、新たな第1バルブユニットを管544に取り付けてよい。またこのとき、第1バルブユニットを管544から取り外した後、栓551(又は、栓551及びキャップ46)のみを交換した新たな第1バルブユニット(球体552、コイルバネ553、管545等は交換せずにそのまま使用したもの)を、管544に取り付けてよい。
【0123】
当該別の実施形態のカートリッジ540も、メモリ141を含むことで、上述の実施形態に係るカートリッジ40と同様の効果が得られる。
【0124】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0125】
カートリッジの記憶手段は、少なくとも1つの構成部品についての消耗度合関連情報を記憶する限りは、消耗度合限度情報、限度超え情報、使用期限、ID情報等を記憶しなくてもよい。例えば、消耗度合限度情報は、液体吐出装置や再生装置の記憶手段が記憶してよい。
【0126】
カートリッジの記憶手段は、消耗度合関連情報として、上述した履歴のような消耗度合の増大に伴って増加するデータではなく、消耗度合の増大に伴って減少するデータを記憶してもよい。例えば、新品のときに所定の限度を示す正の数値が消耗度合関連情報として記憶され、その後、消耗度合の増大に伴って数値が減算され、当該数値がゼロとなったときにエラー報知(S15)や部品交換(S45)を行ってよい。この場合、消耗度合限度情報は不要である(即ち、カートリッジ、液体吐出装置、再生装置等の記憶手段に、消耗度合限度情報を記憶させる必要がない)。
【0127】
カートリッジの記憶手段は、1つの構成部品(例えばバルブ)の消耗度合関連情報のみを記憶してもよいし、上述した構成部品以外の構成部品(例えば排出管43;543等)の消耗度合関連情報を記憶してもよい。
【0128】
カートリッジの構造は、様々に変更可能である。即ち、リザーバ42、筐体41、排出管43;543、バルブ50;550,60;560、センサ140等の構成(形状、位置等)を適宜変更したり、新たな構成部品を追加したり、一部の構成部品を省略したりしてよい。
カートリッジに含まれるバルブの数は、1又は3以上であってよい。管44;544の外部に配置され且つ管44;544の径方向に移動可能であって、当該移動によって管44;544を外側から押圧し変形させることで、管44;544内部の空間を収縮又は閉塞させるバルブを設けてもよい。
センサは、上述の実施形態のような反射型の光センサに限定されず、その他様々なタイプ(例えば、透過型の光センサ、磁気センサ、物体に接触するか否かで物体の有無を検知するメカスイッチ型のセンサ等)を適用可能である。
【0129】
消耗度合関連情報は、構成部品の構成・機能等に応じて適宜に変更可能である。
【0130】
バルブの液体との接触時間(「インクとの接触時間」の履歴)についての演算方法や演算要素は、上述したものに限定されず、適宜変更可能である。
例えば、上述の実施形態における第1バルブ50の「インクとの接触時間」の履歴の演算方法は、インクエンプティ時刻以降(その後、カートリッジの再生が行われ、再びカートリッジがプリンタに装着されるときに第2バルブ60が閉状態から開状態に切り換わるまで)、第1バルブ50にインクが接触しない(第1及び第2バルブ50,60間にインクが存在しない)ことを前提として、インクエンプティ時刻の書き込みがある場合はインクエンプティ時刻から現時刻までの時間を省略している。しかし、インクエンプティ時刻以降(その後、カートリッジの再生が行われ、再びカートリッジがプリンタに装着されるときに第2バルブ60が閉状態から開状態に切り換わるまで)、第1バルブ50にインクが接触する(第1及び第2バルブ50,60間にインクが存在する)ことを前提として、インクエンプティ時刻から現時刻までの時間を省略せずに、第1バルブ50の「インクとの接触時間」の履歴の演算を行ってよい。
【0131】
液体カートリッジが収容する液体は、インクに限定されず、例えば、画質を向上させるために記録前の記録媒体に塗布される画質向上液、搬送ベルトを洗浄するための洗浄液等であってもよい。
【0132】
液体吐出装置は、カートリッジの記憶手段に各種情報の書込みを行わなくてもよい(即ち、消耗度合関連情報を書き込む第1書込手段や限度超え情報を書き込む第2書込手段を含まなくてもよい)。
【0133】
中空針153の排出路への進入は、上述の実施形態のように液体吐出装置のコントローラによる制御によってもよいし、液体吐出装置のユーザの手動によってもよい。後者の場合、液体吐出装置は移動機構155(図7参照)を含まず、ユーザが液体吐出装置にカートリッジを装着すると、接点142及び接点152並びに電力入力部147及び電力出力部157が電気的に接続されるのと略同時に、中空針153が排出路に進入してよい。
【0134】
カートリッジと液体吐出装置との間で信号の送受信が可能となるタイミングや、液体吐出装置からカートリッジへの電力供給が可能となるタイミングは、上述したものに限定されず、任意に変更可能である。また、カートリッジ及び液体吐出装置における接点、電力入力部、電力出力部等の位置も、任意に変更可能である。
【0135】
本発明に係る液体吐出装置のヘッドは、ライン式に限定されず、シリアル式でもよい。
【0136】
本発明に係る液体吐出装置に含まれるヘッドの数は4に限定されず、1以上であればよい。
【0137】
本発明に係る液体吐出装置は、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機等であってもよい。
【0138】
カートリッジの再生における工程(例えば、部品交換(S45)、インク注入(S7)等)を作業者が行ってもよい。この場合、再生装置はディスプレイを有することが望ましい。
また、液体収容部への液体注入のタイミングは、特に限定されない。例えば、液体注入後、液体収容部以外の構成部品の交換を行ってもよい。
また、消耗度合関連情報や限度超え情報を書き換える書換工程を行うタイミングは、交換工程の後でも前でもよい。(例えば図11のS46やS48を、S45の前に行ってもよい。)
【符号の説明】
【0139】
1 インクジェット式プリンタ(液体吐出装置)
2 ヘッド(外部,吐出部)
40;540 インクカートリッジ(液体カートリッジ)
41 筐体(構成部品)
42 リザーバ(構成部品,液体収容部)
43 排出管(構成部品,排出部)
50;550 第1バルブ(構成部品,バルブ)
51;551 栓(弾性部材)
60;560 第2バルブ(構成部品,バルブ)
61 Oリング(弾性部材)
561 弁座(弾性部材)
100 コントローラ(第1読取手段,判断手段,報知手段,第1書込手段,第2読取手段,第2書込手段)
140 センサ(構成部品)
141 メモリ(記憶手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク等の液体を収容する液体カートリッジ、これを着脱可能な液体吐出装置、及び、液体カートリッジの再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体カートリッジの再生方法に関する技術文献として、特許文献1が知られている。特許文献1によると、使用済みの液体カートリッジ(液体収納容器)を再生する場合、液体袋17の内部と連通する開口部20から供給口部材22を取り外し、開口部20から液体袋17内に液体を注入する。液体注入後、新しい供給口部材22を開口部20に取り付ける。これにより、再生が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−62282号公報(特に、要約)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、再生時に取り外された供給口部材22は、その消耗度合に関わらず、廃棄される。この場合、再生コストや環境負荷が増大し、再生効率が悪化してしまう。この問題は、再生の際に交換される全ての構成部品にあてはまる問題である。
【0005】
本発明の目的は、再生効率を高めることが可能な、液体カートリッジ、これを着脱可能な液体吐出装置、及び、液体カートリッジの再生方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1観点によると、液体を収容する液体カートリッジであって、前記液体カートリッジを構成する構成部品のうち、少なくとも1つの構成部品についての消耗度合に関連する消耗度合関連情報を記憶する記憶手段を備えたことを特徴とする、液体カートリッジが提供される。
【0007】
本発明の第2観点によると、第1観点による液体カートリッジを着脱可能であり、装着された前記液体カートリッジの前記液体収容室から前記排出路を介して供給される液体を吐出する吐出部を有する、液体吐出装置であって、前記記憶手段から前記消耗度合関連情報を読み取る第1読取手段と、前記第1読取手段によって読み取られた前記消耗度合関連情報に基づいて、前記消耗度合が限度を超えているか否かの判断を行う判断手段と、前記消耗度合が前記限度を超えている場合、報知を行う報知手段と、を備えたことを特徴とする、液体吐出装置が提供される。
【0008】
本発明の第3観点によると、第1観点による液体カートリッジのうち前記少なくとも1つの前記構成部品についての前記消耗度合が限度を超えたか否かを示す限度超え情報を前記記憶手段にさらに記憶した液体カートリッジを着脱可能であり、装着された前記液体カートリッジの前記液体収容室から前記排出路を介して供給される液体を吐出する吐出部を有する、液体吐出装置であって、前記記憶手段から前記限度超え情報を読み取る第2読取手段と、前記第2読取手段によって読み取られた前記限度超え情報に基づいて、報知を行う報知手段と、を備えたことを特徴とする、液体吐出装置が提供される。
【0009】
本発明の第4観点によると、第1観点による液体カートリッジの再生方法であって、前記記憶手段から前記消耗度合関連情報を読み取る読取工程と、前記読取工程において読み取られた前記消耗度合関連情報に基づいて、前記消耗度合が限度を超えているか否かを判断する判断工程と、前記判断工程において前記消耗度合が前記限度を超えていると判断された場合、前記少なくとも1つの構成部品を交換する交換工程と、を備えたことを特徴とする、液体カートリッジの再生方法が提供される。
【0010】
本発明の第5観点によると、第1観点による液体カートリッジの再生方法であって、前記少なくとも1つの構成部品を交換する交換工程と、前記消耗度合関連情報を書き換える書換工程と、を備えたことを特徴とする、液体カートリッジの再生方法が提供される。
【0011】
本発明の第6観点によると、第1観点による液体カートリッジのうち前記少なくとも1つの前記構成部品についての前記消耗度合が限度を超えたか否かを示す限度超え情報を前記記憶手段にさらに記憶した液体カートリッジの再生方法であって、前記少なくとも1つの構成部品を交換する交換工程と、前記限度超え情報を書き換える書換工程と、を備えたことを特徴とする、液体カートリッジの再生方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、液体カートリッジが、構成部品についての消耗度合に関連する消耗度合関連情報を記憶する記憶手段を備えたことにより、液体カートリッジの再生時に廃棄される構成部品を少なくすることができる。したがって、再生コストや環境負荷の増大を抑制し、再生効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の液体吐出装置の一実施形態に係るインクジェット式プリンタを示す外観斜視図である。
【図2】プリンタの内部を示す概略側面図である。
【図3】プリンタに着脱可能な、本発明の液体カートリッジの一実施形態に係るインクカートリッジを示す斜視図である。
【図4】カートリッジの内部を示す概略構成図である。
【図5】カートリッジの部分断面図であり、(a)は第1及び第2バルブが閉状態、(b)は第1及び第2バルブが開状態にあるときの図である。
【図6】カートリッジがプリンタに装着される過程を示す部分平面図である。
【図7】カートリッジ及びプリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【図8】カートリッジがプリンタに装着される際に、プリンタのコントローラが実行する制御内容を示すフロー図である。
【図9】記録制御中にプリンタのコントローラが実行する書換え・チェックルーチンを示すフロー図である。
【図10】記録制御中にプリンタのコントローラが実行するインクエンプティ時刻書込みルーチンを示すフロー図である。
【図11】カートリッジの再生方法を示すフロー図である。
【図12】本発明に係るカートリッジの再生方法の別の実施形態を示すフロー図である。
【図13】本発明の液体カートリッジの別の実施形態に係るインクカートリッジを示す、図5に対応する部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
先ず、図1を参照し、本発明の液体吐出装置の一実施形態に係るインクジェット式プリンタ1の全体構成について説明する。
【0016】
プリンタ1は、直方体形状の筐体1aを有する。筐体1aの天板上部には、排紙部31が設けられている。筐体1aの正面(図1の紙面左手前側の面)には、上から順に、3つの開口10d,10b,10cが形成されている。開口10bは給紙ユニット1b、開口10cはインクユニット1cをそれぞれ筐体1a内部に挿入するためのものである。開口10dには、下端の水平軸を支点として開閉可能な扉1dが嵌め込まれている。扉1dは、筐体1aの主走査方向(筐体1aの正面と直交する方向)に関して、搬送ユニット21(図2参照)と対向配置されている。
【0017】
次いで、図2を参照し、プリンタ1の内部構成について説明する。
【0018】
筐体1aの内部空間は、上から順に空間A,B,Cに区分できる。空間Aには、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックのインクをそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッド2、用紙Pを搬送する搬送ユニット21、及び、プリンタ1各部の動作を制御するコントローラ100が配置されている。空間B,Cにはそれぞれ、給紙ユニット1b及びインクユニット1cが配置される。プリンタ1の内部には、給紙ユニット1bから排紙部31に向けて、図2に示す太矢印に沿って、用紙Pが搬送される用紙搬送経路が形成されている。
【0019】
コントローラ100は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)に加え、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory:不揮発性RAMを含む)、I/F(Interface)等を有する。ROMには、CPUが実行するプログラム、各種固定データ(当該プリンタ1のID情報を含む。)等が記憶されている。RAMには、プログラム実行時に必要なデータ(画像データ等)が一時的に記憶される。コントローラ100は、I/Fを介して、カートリッジ40のメモリ141(図4参照)からのデータ受信、カートリッジ40のセンサ140とのデータ送受信、外部装置(プリンタ1に接続されたPC等)とのデータ送受信等を行う。
【0020】
給紙ユニット1bは、給紙トレイ23及び給紙ローラ25を有する。このうち、給紙トレイ23が、筐体1aに対して主走査方向に着脱可能となっている。給紙トレイ23は、上方に開口する箱であり、複数種類のサイズの用紙Pを収容可能である。給紙ローラ25は、コントローラ100による制御の下、給紙モータ125(図7参照)の駆動により回転し、給紙トレイ23の最も上方にある用紙Pを送り出す。給紙ローラ25によって送り出された用紙Pは、ガイド27a,27bによりガイドされ且つ送りローラ対26によって挟持されつつ搬送ユニット21へと送られる。
【0021】
搬送ユニット21は、2つのベルトローラ6,7、及び、両ローラ6,7間に架け渡されるように巻回されたエンドレスの搬送ベルト8を有する。ベルトローラ7は、駆動ローラであって、コントローラ100による制御の下、その軸に接続された搬送モータ127(図7参照)の駆動により回転し、図2中時計回りに回転する。ベルトローラ6は、従動ローラであって、ベルトローラ7の回転により搬送ベルト8が走行するのに伴って、図2中時計回りに回転する。
【0022】
搬送ベルト8のループ内には、4つのヘッド2と対向するように、直方体形状のプラテン19が配置されている。搬送ベルト8の上側ループは、搬送ベルト8の外周面8aが4つのヘッド2の下面(インクを吐出する吐出口が多数形成された吐出面)2aと所定距離離隔しつつ下面2aと平行に延在するよう、内周面側からプラテン19により支持されている。
【0023】
搬送ベルト8の外周面8aには、弱粘着性のシリコン層が形成されている。給紙ユニット1bから搬送ユニット21へと送られてきた用紙Pは、押さえローラ4によって搬送ベルト8の外周面8aに押え付けられた後、粘着力によって外周面8aに保持されつつ、黒塗り矢印に沿って副走査方向に搬送されていく。
【0024】
ここで、副走査方向とは、搬送ユニット21による用紙Pの搬送方向と平行な方向である。主走査方向とは、副走査方向に直交し且つ水平面に平行な方向である。
【0025】
用紙Pが4つのヘッド2の直ぐ下方を通過する際に、コントローラ100による制御の下、各ヘッド2が駆動し、各ヘッド2の下面2aから用紙Pの上面に向けて各色のインクが順に吐出されることで、用紙P上に所望のカラー画像が形成される。そして用紙Pは、剥離プレート5によって搬送ベルト8の外周面8aから剥離され、ガイド29a,29bによりガイドされ且つ二組の送りローラ対28によって挟持されつつ上方に搬送され、筐体1a上部に形成された開口130から排紙部31へと排出される。各送りローラ対28の一方のローラは、コントローラ100による制御の下、送りモータ128(図7参照)の駆動により回転する。
【0026】
ヘッド2は、主走査方向(図1の紙面に直交する方向)に長尺なライン式であり、略直方体の外形形状を有する。4つのヘッド2は、副走査方向に所定ピッチで並び、フレーム3を介して筐体1aに支持されている。各ヘッド2において、上面には、可撓性チューブが取り付けられるジョイントが設けられ、下面2aには、多数の吐出口が形成され、内部には、チューブ及びジョイントを介して対応するインクカートリッジ40から供給されたインクが吐出口に至るまでのインク流路が形成されている。
【0027】
インクユニット1cは、カートリッジトレイ35、及び、トレイ35内に並んで配置された4つのインクカートリッジ40を有する。図2中最も左方のカートリッジ40は、ブラックのインクを貯留しており、残り3つのカートリッジ40よりも、副走査方向のサイズ及びインク容量が大きい。残り3つのカートリッジ40は、それぞれマゼンタ、シアン、イエローのインクを貯留しており、副走査方向のサイズ及びインク容量が同じである。各カートリッジ40に貯留されたインクは、チューブ及びジョイントを介して、対応するヘッド2に供給される。
【0028】
トレイ35は、内部にカートリッジ40が配置された状態で、筐体1aに対して主走査方向に着脱可能である。したがって、プリンタ1のユーザは、トレイ35を筐体1aから取り出した状態で、トレイ35内の4つのカートリッジ40を選択的に交換することができる。
【0029】
次いで、図3〜図5を参照し、カートリッジ40の構成について説明する。なお、トレイ35内に配置される4つのカートリッジ40は、上述のようにブラックインクのカートリッジが他の色のカートリッジよりも副走査方向のサイズ及びインク容量が大きいことを除き、いずれも同じ構成である。
【0030】
カートリッジ40は、直方体形状の筐体41(図3及び図4参照)、筐体41の内部に配置されたリザーバ42(図4参照)、リザーバ42に収容されたインクを外部(ヘッド2)に排出するための排出路43a(図5参照)を画定する排出管43、排出路43aに設けられた第1バルブ50及び第2バルブ60(図5参照)、第2バルブ60を検知するセンサ140(図4及び図5参照)、メモリ141、並びに、接点142及び電力入力部147(図3及び図4参照)を有する。
【0031】
筐体41は、図4に示すように、内部に2つの部屋41a,41bが形成されるように区画されている。右方の部屋41aにリザーバ42、他方の部屋41bに排出管43がそれぞれ配置されている。
【0032】
リザーバ42は、内部にインクを収容するための袋状の部材であり、その開口部に筒状のジョイント42aが取り付けられている。リザーバ42は、ジョイント42aを介して排出路43aと連通している。
【0033】
排出管43は、互いに連結された管44及び蓋45を含む。
蓋45は、中央に円形の開口を有する円盤状の主部45a、及び、主部45aの開口周縁から主走査方向に突出した円筒状の突出部45bを含む。管44は、主走査方向に延在した円筒状の主部44a、及び、中央に円形の開口を有する円盤状のフランジ44bを含む。主部44aの一端にはジョイント42aが嵌合し、主部44aの他端にはフランジ44bを介して蓋45の主部45aが嵌合している。フランジ44bは、主部44aの他端の開口周縁から外側に延出している。フランジ44bの開口周縁には、Oリング43xを収容する環状の凹部が形成されている。フランジ44bは、当該凹部から外縁に亘って主部45aと接触し、さらにその外縁には全周に亘って主走査方向に延出する突起44b1が形成されている。主部45aは、フランジ44bと突起44b1とで形成される凹部内に嵌合し、フランジ44bとでOリング43xを弾性変形させつつ挟んでいる。突起44b1並びにフランジ44b及び主部45aの外縁は、全周に亘って、かしめ接合されている。Oリング43xは、ゴム等の弾性材料からなり、管44及び蓋45の接合部からのインク漏れを防止する。
これら管44及び蓋45の内部に、図5に示すように、排出路43aが形成されている。即ち、排出路43aは、管44内の空間と蓋45内の空間との連続した2つの空間からなる。
【0034】
第1バルブ50は、略円柱状の栓51を含む。栓51は、ゴム等の弾性材料からなり、図5に示すように、突出部45bの先端(主部45aとは反対側の端部)の開口(排出路43aの排出口)45xを塞ぐように圧縮状態で設けられている。栓51は、開口45x内に配置された部分と、開口45x外に配置された部分とを含む。
【0035】
突出部45bの先端及び栓51の外側にはキャップ46が設けられている。キャップ46が突出部45bの先端に嵌合した栓51を覆うことにより、栓51の突出部45bからの脱落が防止される。なお、キャップ46の中央には開口46aが形成されており、開口46aを介して栓51の先端面が露出している。
【0036】
第2バルブ60は、図5に示すように、管44内に配置されており、Oリング61、弁本体62、及びコイルバネ63を有する。
【0037】
弁本体62は、円柱状の第1部材65及び第2部材66、並びに、第1及び第2部材65,66よりも小さな直径であってこれら部材65,66を連結する棒状の連結部材67を有する。第1部材65における第2部材66とは反対側の面中央には、主走査方向に延在する棒状の押し部材70が設けられている。押し部材70は、後述するリブ44rの先端により画定される開口44pの直径よりも小さく且つ連結部材67と略同じ直径を有し、開口44p内に挿入されている。
【0038】
Oリング61は、ゴム等の弾性材料からからなり、管44の長手方向略中央において管44の内周面から内側に突出した環状リブ44rの裏面(栓51とは反対側の面)に固定されている。コイルバネ63は、基端がジョイント42aに固定されており、先端が弁本体62に接触し、弁本体62をOリング61に向けて常に付勢している。したがって、図5(a)に示すように第2バルブ60が排出路43aを閉じる閉状態のとき、第1部材65がOリング61と接触し、開口44pが封止されている。これにより、排出路43aにおける、管44の一端からOリング61までの空間と、Oリング61から栓51までの空間との連通が遮断され、排出路43aを介したリザーバ42と外部との連通が遮断されている。このときOリング61は、コイルバネ63の付勢力によって、弾性変形している。
【0039】
センサ140は、発光部及び受光部を有し、物体の有無を非接触状態で検知することができる、反射型の光センサである。センサ140は、コントローラ100から接点142を介して入力された信号に基づく(即ち、当該信号が示す入力値(本実施形態の場合、電流値)に対応する)光量の光を発光部から出射し、受光部により受信された光の光量を示す信号を接点142を介してコントローラ100に出力する。
【0040】
センサ140は、図5(a)に示すように第2バルブ60が閉状態のとき、センサ140の発光部及び受光部の全領域が第2部材66に対向し、且つ、図5(b)に示すように第2バルブ60が排出路43aを開く開状態のとき、センサ140の略半分の領域が第2部材66に対向しない位置に、配置されている。第2部材66の周面は、光が反射可能な鏡面となっている。センサ140は、第2バルブ60が閉状態のとき、発光部から出射された光の略全てが、第2部材66の周面で反射され、受光部により受信されるため、高い電流値を示す信号をコントローラ100に出力する。センサ140は、第2バルブ60が開状態のとき、発光部から出射された光の略半分が、第2部材66の周面で反射され、受光部により受信されるため、低い電流値を示す信号をコントローラ100に出力する。即ち、センサからの出力値(センサ140から出力された信号が示す値(本実施形態の場合、電流値))は、第2バルブ60が閉状態のときの方が、第2バルブ60が開状態のときよりも、大きい。
【0041】
メモリ141は、EEPROM等からなり、表1に示すように、カートリッジの構成部品(第1バルブ50、第2バルブ60、リザーバ42、センサ140、及び、筐体41)についての、消耗度合に関連する消耗度合関連情報(表1に示す各項目の履歴)、消耗度合の限度を示す消耗度合限度情報(表1に示す各項目の限度)、消耗度合が限度を超えたか否かを示す限度超え情報(フラグ)、及び使用期限、さらに、プリンタ1のID情報を記憶する。
【0042】
【表1】
【0043】
表1において、「開閉回数」とは、各バルブ50,60が閉状態から開状態に切り換わった回数を意味する。カートリッジ40の製造が完了した時点において、各バルブ50,60は閉状態にある。
「インクとの接触時間」とは、カートリッジ40の製造の際にリザーバ42内にインクが注入された時点からの、各バルブ50,60のインクとの総接触時間を意味する。
「インク注入回数」とは、リザーバ42内にインクが注入された回数を意味する。
「通電時間」とは、プリンタ1からセンサ140に電力が供給された合計時間を意味する。
「再生回数」とは、当該筐体41を含むカートリッジ40の再生が行われた回数を意味する。
【0044】
表1に示すように、各バルブ50,60については「開閉回数」及び「インクとの接触時間」、リザーバ42については「インク注入回数」、センサ140については「通電時間」、筐体1aについては「再生回数」の、それぞれの履歴及び限度が、メモリ141に記憶されている。
【0045】
「開閉回数」の履歴は、カートリッジ40の製造時に製造装置のコントローラにより「0」と書き込まれ、その後、当該カートリッジ40のプリンタ1への装着過程でコントローラ100により書き換えられる(S10)。また、「開閉回数」の履歴は、カートリッジ40の再生時に、対応するバルブ50,60が交換された場合に、再生装置のコントローラによりリセットされる(「0」に書き換えられる)(S46)。さらに、第2バルブの「開閉回数」の履歴は、カートリッジ40の再生時に再生装置のコントローラにより書き換えられる(S48)。
「通電時間」の履歴は、カートリッジ40の製造時に製造装置のコントローラにより「0」と書き込まれ、その後、当該カートリッジ40のプリンタ1への装着中にコントローラ100により書き換えられる(S21)。また、「通電時間」の履歴は、カートリッジ40の再生時に、センサ140が交換された場合に、再生装置のコントローラによりリセットされる(S46)。
「インク注入回数」及び「再生回数」の履歴は、カートリッジ40の製造時に製造装置のコントローラにより「0」と書き込まれ、その後、カートリッジ40の再生時に再生装置のコントローラにより書き換えられる(S48)。また、これら各項目の履歴は、カートリッジ40の再生時に当該構成部品(「インク注入回数」についてはリザーバ42、「再生回数」については筐体41)が交換された場合に再生装置のコントローラによりリセットされる(S46)。
【0046】
メモリ141は、表1に示すように、第1バルブ50及び第2バルブ60の「インクとの接触時間」の履歴の演算要素として、「第1初期値」、「第2初期値」、「第2バルブ開時刻」、「インク注入時刻」、及び「インクエンプティ時刻」を記憶する。カートリッジ40のプリンタ1への装着過程(S6)や装着中(S22)にコントローラ100が、また、カートリッジ40の再生時(S44)に再生装置のコントローラが、それぞれ、上記の演算要素に基づいて、第1バルブ50及び第2バルブ60の「インクとの接触時間」の履歴を演算する。
具体的には、第1バルブ50の「インクとの接触時間」の履歴は、「第1初期値:x」と「第2バルブ開時刻から現時刻までの時間(ただし、「インクエンプティ時刻」の書き込みがある場合は、第2バルブ開時刻からインクエンプティ時刻までの時間):x’」との和(x+x’)、第2バルブ60の「インクとの接触時間」の履歴は、「第2初期値:y」と「インク注入時刻から現時刻までの時間(ただし、「インクエンプティ時刻」の書き込みがある場合は、インク注入時刻からインクエンプティ時刻までの時間):y’」との和(y+y’)として、それぞれ演算される。なお、「第2バルブ開時刻」の書き込みがない場合、上記時間x’を「0」とする。
【0047】
「第1初期値」及び「第2初期値」は、それぞれ第1バルブ50及び第2バルブ60に係るデータであり、カートリッジ40の製造時に製造装置のコントローラにより「0」と書き込まれ、その後、カートリッジ40の再生時に再生装置のコントローラにより書き換えられる(S48)。また、「第1初期値」及び「第2初期値」は、カートリッジ40の再生時に当該構成部品(「第1初期値」については第1バルブ50、「第2初期値」については第2バルブ60)が交換された場合に再生装置のコントローラによりリセットされる(S46)。
「第2バルブ開時刻」は、第2バルブ60が閉状態から開状態に切り換わった時刻を意味し、カートリッジ40のプリンタ1への装着過程でコントローラ100により書き込まれ(S10)、その後、カートリッジ40の再生時に再生装置のコントローラにより消去される(S48)。
「インク注入時刻」は、リザーバ42にインクが注入された時刻を意味し、カートリッジ40の製造時に製造装置のコントローラにより書き込まれ、その後、カートリッジ40の再生時に再生装置のコントローラにより書き換えられる(S48)。
「インクエンプティ時刻」は、リザーバ42内のインクが所定量(ゼロ又は若干量)以下となった時刻を意味し、カートリッジ40のプリンタ1への装着中にリザーバ42内のインクが所定量以下となった場合にコントローラ100により書き込まれ(S32)、その後、カートリッジ40の再生時に再生装置のコントローラにより消去される(S48)。
【0048】
表1に示す各項目の限度は、カートリッジ40の製造時に製造装置のコントローラにより書き込まれる。また、各項目の限度は、カートリッジ40の再生時に当該構成部品が交換された場合に(例えばS46で)再生装置のコントローラにより書き換えられてよい。
【0049】
表1において、「フラグ」は、各項目について、履歴が限度を超えている場合にON、履歴が限度以下の場合にOFF、と設定される。
「使用期限」は、各構成部品について設定されており、その期限までであれば正常に機能すると想定される、各構成部品の経時的劣化に基づく使用期限を意味する。
「プリンタのID情報」は、当該カートリッジ40が装着されたプリンタ1のID情報であり、ID情報はプリンタ1に個別に与えられている。
【0050】
「フラグ」は、全ての項目について、カートリッジ40の製造時に製造装置のコントローラによりOFFに設定され、その後、項目毎に、カートリッジ40のプリンタ1への装着中にコントローラ100により、履歴が限度を超えていると判断された場合に、ONに切り換えられる(S23)。また、カートリッジ40の再生時に構成部品が交換された場合、当該構成部品に対応する項目の「フラグ」は、再生装置のコントローラにより、OFFに設定される(S46)。
「使用期限」は、各構成部品について、カートリッジ40の製造時に製造装置のコントローラにより書き込まれる。また、カートリッジ40の再生時に構成部品が交換された場合、当該構成部品についての「使用期限」は、再生装置のコントローラにより書き換えられる(S46)。
「プリンタのID情報」は、カートリッジ40のプリンタ1への装着過程でコントローラ100により書き込まれ(S10)、また、カートリッジ40の再生時に第1バルブ50が交換された場合に再生装置のコントローラにより消去される(S46)。
【0051】
次いで、図5、図6、図7、及び図8を参照し、カートリッジ40がプリンタ1に装着される過程について説明する。図7では、電力供給線を太線で示し、信号線を細線で示している。
【0052】
カートリッジ40がプリンタ1に装着される前、第1及び第2バルブ50,60は図5(a)に示す閉状態に維持されている。また、この段階では、図7に示すような接点142及び接点152間の電気的接続並びに電力入力部147及び電力出力部157間の電気的接続は、未だなされていない。したがって、この段階において、カートリッジ40及びプリンタ1間での信号の送受信は不能であり、且つ、センサ140及びメモリ141には電力が供給されていない。
【0053】
カートリッジ装着の際は、プリンタ1のユーザが、トレイ35(図2参照)内にカートリッジ40を配置した状態で、トレイ35を主走査方向(図6(a)の白抜き矢印方向)に移動させて筐体1aの空間Cに挿入する。この際、先ず、図6(a)に示すように、カートリッジ40の接点142がプリンタ1の接点152と接触し、カートリッジ40とプリンタ1とが電気的に接続される。これにより、カートリッジ40及びプリンタ1間の信号の送受信が可能になる。接点152は、コントローラ100のI/Fとして機能するものであり、筐体1aの壁面に形成されている。
【0054】
また、接点142,152同士が接触するタイミングと略同じタイミングで、図6(a)に示すように、カートリッジ40の電力入力部147とプリンタ1の電力出力部157とが互いに接触して電気的に接続される。これにより、電源158から、電力出力部157及び電力入力部147を介して、センサ140及びメモリ141に電力が供給される(図7参照)。
電源158は、筐体1a内に設けられており、プリンタ1の各部に電力を供給する。電力出力部157は、電源158と電気的に接続し、筐体1aの壁面における各カートリッジ40の電力入力部147と対向する位置に設けられている(図6参照)。電力入力部147は、センサ140及びメモリ141と電気的に接続し、接点142の近傍において筐体41の外面に露出して設けられている。
【0055】
この段階において、カートリッジ40は中空針153から離隔しており、リザーバ42はヘッド2のインク流路と連通していない。中空針153は、筐体1aに対して主走査方向に移動可能な支持体154に固定され、ヘッド2のジョイントに取り付けられたチューブと連通している。中空針153及び接点152はカートリッジ40毎に設けられている。
【0056】
コントローラ100は、図8に示すように、カートリッジ40とプリンタ1との電気的接続を検知すると(S1:YES)、後に詳述する処理(S2〜S6等)を実行した後、移動機構155(図7参照)を制御して支持体154をこれに支持された中空針153と共に主走査方向(図6(b)の黒塗り矢印方向)に移動開始させる(S7)。さらにコントローラ100は、S7で中空針153の移動を開始させた後、センサ140からの出力値等に基づいて第2バルブ60が開状態に切り換わったか否かを判断する(S8)。
【0057】
S7での中空針153の移動開始に伴い、先ず、図5(b)に示すように、中空針153が、開口46aを介して栓51の略中心を主走査方向に貫通する。このときに、第1バルブ50が排出路43aを閉じる閉状態から、排出路43aを開く開状態に切り換わる。
第1バルブ50が開状態にあるとき、中空針153の先端に設けられた孔153bが排出路43a内に配置され、孔153bを介して、中空針153内の流路153aと排出路43aとが連通する。また、このとき栓51は、中空針153による貫通孔が形成されるが、当該貫通孔の周囲が弾性により中空針153の外周面に密着する。これにより、栓51の貫通孔と中空針153との間からのインク漏れが防止される。
【0058】
その後、中空針153の先端が、押し部材70の先端に当接する。そして中空針153の排出路43aへのさらなる進入により、押し部材70及び弁本体62が移動し、弁本体62の第1部材65がOリング61から離隔する。このときに、第2バルブ60が閉状態から開状態に切り換わる。
第2バルブ60が開状態にあるとき、排出路43aにおける、管44の一端からOリング61までの空間と、Oリング61から栓51までの空間とが連通し、排出路43aを介したリザーバ42と外部との連通が許可される。即ち、図5(b)に示すように第1及び第2バルブ50,60が共に開状態にあるとき、排出路43a、流路153a等を介して、リザーバ42とヘッド2のインク流路とが連通している。
【0059】
カートリッジ取外しの際は、プリンタ1のユーザが、トレイ35を筐体1aから取り出す。この際、4つのカートリッジ40は同時に、対応する支持体154、接点152、及び電力出力部157から離隔する。これにより、接点142及び接点152間の電気的接続並びに電力入力部147及び電力出力部157間の電気的接続が、共に解除され、カートリッジ40及びプリンタ1間の信号の送受信が不能となり、センサ140及びメモリ141に電力が供給されなくなる。また、このとき、中空針153が図5(b)の左方向に移動するのに伴い、コイルバネ63の付勢力によって弁本体62及び押し部材70が図5(b)の左方向に移動し、弁本体62の第1部材65がOリング61に接触する。これにより、第2バルブ60が開状態から閉状態に切り換わる。また、中空針153が栓51から抜かれたときに、栓51の貫通孔は、当該貫通孔の周囲部分の弾性により、インク漏れが防止される程度に、小さくなる。これにより、第1バルブ50が開状態から閉状態に切り換わる。
【0060】
次いで、図8を参照し、カートリッジ40がプリンタ1に装着される際の、コントローラ100によるプリンタ1各部の制御について、より詳細に説明する。
【0061】
コントローラ100は、上述のようにカートリッジ40とプリンタ1との電気的接続を検知した後(S1:YES)、カートリッジ40のメモリ141から情報(表1に示す種々の情報)を読み取る(S2)。
【0062】
その後、コントローラ100は、ROMから当該プリンタ1のID情報を取得すると共に、取得したID情報と一致しないID情報をS2で読み取ったか否かを判断する(S3)。
具体的には、コントローラ100は、S2で「プリンタのID情報」を読み取り且つ当該ID情報が当該プリンタ1のID情報と一致しない場合、ID情報が不一致である(S3:YES)と判断する。この場合、コントローラ100は、プリンタ1のディスプレイへの画像表示や音声出力等により、エラー報知を行い(S15)、プリンタ1の記録動作が禁止されるよう、プリンタ1の各部の動作を停止させる(S16)。
【0063】
一方、コントローラ100は、S2で「プリンタのID情報」を読み取らなかった場合(即ち、メモリ141に「プリンタのID情報」が書き込まれていない場合)、又は、S2で「プリンタのID情報」を読み取り且つ当該ID情報が当該プリンタ1のID情報と一致する場合、ID情報が不一致ではない(S3:NO)と判断する。この場合、コントローラ100は、プリンタ1に内蔵されたタイマから現時刻を取得し、現時刻とS2で読み取った使用期限とから、カートリッジ40の各構成部品が使用期限に達しているか否かを判断する(S4)。
【0064】
いずれかの構成部品が使用期限に達している場合(S4:YES)、コントローラ100は、エラー報知(S15)及び停止(S16)を行う。
全構成部品が使用期限に達していない場合(S4:NO)、コントローラ100は、S2で読み取った情報に基づき、表1に示す各項目の「フラグ」がONに設定されているか否かを判断する(S5)。
【0065】
いずれかの項目に関する「フラグ」がONに設定されている場合(S5:YES)、コントローラ100は、エラー報知(S15)及び停止(S16)を行う。
全項目に関する「フラグ」がOFFに設定されている場合(S5:NO)、コントローラ100は、S2で読み取った情報に基づき、表1に示す各項目について、履歴が限度を超えているか否かを判断する(S6)。
【0066】
S6で、コントローラ100は、「開閉回数」、「インク注入回数」、「通電時間」、及び「再生回数」については、S2で読み取った履歴と限度とを比較する。
S6で、コントローラ100は、「インクとの接触時間」については、S2で読み取った「インクとの接触時間」の履歴の演算要素(「第1初期値」等)に基づいて履歴を演算し、当該演算で求められた履歴とS2で読み取った限度とを比較する。演算方法は上述のとおりであるが、コントローラ100は、S2で「第2バルブ開時刻」及び「インクエンプティ時刻」を読み取らない(即ち、この段階ではメモリ141に「第2バルブ開時刻」及び「インクエンプティ時刻」が書き込まれていない)ため、上記の演算式における時間x’を「0」とし、第1バルブ50の「インクとの接触時間」の履歴を「第1初期値:x」、第2バルブ60の「インクとの接触時間」の履歴を「第2初期値:y」と「インク注入時刻から現時刻までの時間:y’」との和(y+y’)として、それぞれ演算する。
【0067】
いずれかの項目について、履歴が限度を超えている場合(S6:YES)、コントローラ100は、エラー報知(S15)及び停止(S16)を行う。
全項目について、履歴が限度以下の場合(S6:NO)、コントローラ100は、上述した処理S7,S8を行う。即ち、コントローラ100は、図6(b)に示す支持体154及びこれに支持された中空針153の、黒塗り矢印方向への移動を開始させる(S7)。その後、コントローラ100は、センサ140からの出力値等に基づいて第2バルブ60が開状態に切り換わったか否かを判断する(S8)。
【0068】
第2バルブ60が開状態に切り換わると(S8:YES)、コントローラ100は、「第2バルブ開時刻」(S2で「プリンタのID情報」を読み取らなかった場合、さらに「プリンタのID情報」)の書き込み、及び、「開閉回数」の履歴の書き換えを行う(S10)。
具体的には、コントローラ100は、この時点の時刻を「第2バルブ開時刻」としてメモリ141に書き込みむと共に、メモリ141内の各バルブ50,60の「開閉回数」の履歴を、S2で読み取った「開閉回数:n」に1プラスした数値(n+1)に、書き換える。さらにコントローラ100は、S2で「プリンタのID情報」を読み取らなかった場合(即ち、メモリ141に「プリンタのID情報」が書き込まれていない場合)、メモリ141に当該プリンタ1のID情報を書き込む(ただし、S2で「プリンタのID情報」を読み取った場合、当該処理は省略される)。
【0069】
なお、第2バルブ60が開状態に切り換わらないまま所定時間が経過した場合(S9:YES)、コントローラ100は、エラー報知(S15)及び停止(S16)を行う。この場合、カートリッジ40のセンサ140やバルブ50,60或いはプリンタ1の中空針153や移動機構155に不具合があると推定される。
【0070】
S10の後、コントローラ100は、記録制御(S11)を行い、このルーチンを終了する。
記録制御(S11)において、コントローラ100は、外部装置からの記録指令の受信に伴う処理(給紙モータ125、搬送モータ127、及び送りモータ128(図7参照)並びにヘッド2の駆動制御等)を行う。
【0071】
プリンタ1に複数のカートリッジ40が同時に装着されたとき、コントローラ100は、カートリッジ40毎に、図8に示す一連の処理を略同時に行う。
【0072】
次いで、図9及び図10を参照し、記録制御(S11)中にコントローラ100が実行するルーチンについて説明する。即ち、コントローラ100は、記録制御(S11)を行う間、図9に示す書換え・チェックルーチン、及び、図10に示すインクエンプティ時刻書込ルーチンを実行する。
【0073】
図9の書換え・チェックルーチンにおいて、コントローラ100は、先ず、「通電時間」の履歴を書き換える(S21)。
具体的には、コントローラ100は、当該ルーチンにおいて最初のS21の場合、メモリ141内の「通電時間」の履歴を、S2で読み取った「通電時間:m」と「カートリッジ40とプリンタ1との電気的接続を検知した(S1:YES)時点から現時点までの時間:α」との和(m+α)に、書き換える。
コントローラ100は、当該ルーチンにおいて2回目以降のS21の場合、メモリ141内の「通電時間」の履歴を、前回のS21での「通電時間:(m+α)」に「前回S21を行った時点から現時点までの時間:β」をプラスした合計時間(m+α+β)に、書き換える。
【0074】
S21の後、コントローラ100は、S10で書き換えた各バルブ50,60の「開閉回数」の履歴、演算要素(「第1初期値」等)に基づいて求められる各バルブ50,60の「インクとの接触時間」の履歴、及び、S21で書き換えた「通電時間」の履歴が、それぞれS2で読み取った限度を超えているか否かを判断する(S22)。
各バルブ50,60の「インクとの接触時間」の履歴の演算方法は、S6の場合と異なる。即ち、S10でメモリ141に「第2バルブ開時刻」が書き込まれたことから、コントローラ100は、上記時間x’を「0」とせず、第1バルブ50の「インクとの接触時間」の履歴を「第1初期値:x」と「第2バルブ開時刻から現時刻までの時間:x’」との和(x+x’)、第2バルブ60の「インクとの接触時間」の履歴を「第2初期値:y」と「インク注入時刻から現時刻までの時間:y’」との和(y+y’)として、それぞれ演算する。
【0075】
S22で対象とされたいずれかの項目について、履歴が限度を超えている場合(S22:YES)、コントローラ100は、メモリ141内の当該項目の「フラグ」をONに切り換え(S23)、その後エラー報知(S15)及び停止(S16)を行う。
S22で対象とされた全項目について、履歴が限度以下の場合(S22:NO)、コントローラ100は、S22の時点から所定時間が経過した後(S24:YES)、S21に処理を戻す。即ち、記録制御(S11)中、所定時間毎に、S21,S22の処理が繰り返される。
【0076】
図10のインクエンプティ時刻書込ルーチンにおいて、コントローラ100は、先ず、リザーバ42内のインク量を検知するセンサ等からの信号に基づいて、インク量が所定量以下であるか否かを判断する(S31)。
【0077】
コントローラ100は、インク量が所定量以下である場合(S31:YES)、この時点の時刻を「インクエンプティ時刻」としてメモリ141に書き込み(S32)、エラー報知(S15)及び停止(S16)を行う。
記録制御(S11)中、S31の処理が繰り返される。リザーバ42内のインク量が所定量以下にならない場合、インクエンプティ時刻の書き込み(S32)は行われない。
【0078】
次いで、図11を参照し、カートリッジ40の再生方法について説明する。
なお、再生方法に係る各工程は、再生装置、及び、作業者のいずれが行ってもよい。本実施形態では、全工程が再生装置により行われる。再生装置は、注入器、部品交換ユニット、コントローラ、ディスプレイ等を有する。
【0079】
先ず、再生装置は、コントローラにより、再生工程に付されたカートリッジ40のメモリ141から情報(表1に示す種々の情報)を読み取る(S41)。そしてコントローラは、現時刻とS41で読み取った使用期限とから、カートリッジ40の各構成部品が使用期限に達しているか否かを判断する(S42)。
【0080】
いずれかの構成部品が使用期限に達している場合(S42:YES)、再生装置は、部品交換ユニットを駆動し、当該構成部品を交換する(S45)。
第1バルブ50を交換する場合は、第1バルブ50のみではなく、第1バルブ50、キャップ46、及び蓋45を含む第1バルブユニットを、管44から取り外して交換し、新たな第1バルブユニットを管44に取り付けてよい。またこのとき、第1バルブユニットを管44から取り外した後、栓51(又は、栓51及びキャップ46)のみを交換した新たな第1バルブユニット(蓋45は交換せずにそのまま使用したもの)を、管44に取り付けてよい。
【0081】
全構成部品が使用期限に達していない場合(S42:NO)、コントローラは、S41で読み取った情報に基づき、表1に示す各項目の「フラグ」がONに設定されているか否かを判断する(S43)。
【0082】
いずれかの項目に関する「フラグ」がONに設定されている場合(S43:YES)、再生装置は、当該構成部品の交換を行う(S45)。
全項目に関する「フラグ」がOFFに設定されている場合(S43:NO)、コントローラは、S41で読み取った情報に基づき、表1に示す各項目について、履歴が限度を超えているか否かを判断する(S44)。
【0083】
S44で、コントローラは、「開閉回数」、「インク注入回数」、「通電時間」、及び「再生回数」については、S41で読み取った履歴と限度とを比較する。
S44で、コントローラは、「インクとの接触時間」については、S41で読み取った「インクとの接触時間」の履歴の演算要素(「第1初期値」等)に基づいて履歴を演算し、当該演算で求められた履歴とS41で読み取った限度とを比較する。演算方法は、S6の場合と異なる。即ち、S41で「第2バルブ開時刻」を読み取ることから、コントローラは、上記時間x’を「0」とせず、第1バルブ50の「インクとの接触時間」の履歴は「第1初期値:x」と「第2バルブ開時刻から現時刻までの時間(ただし、S41で「インクエンプティ時刻」を読み取った場合は、第2バルブ開時刻からインクエンプティ時刻までの時間):x’との和(x+x’)、第2バルブ60の「インクとの接触時間」の履歴は「第2初期値:y」と「インク注入時刻から現時刻までの時間(ただし、S41で「インクエンプティ時刻」を読み取った場合は、インク注入時刻からインクエンプティ時刻までの時間):y’」との和(y+y’)として、それぞれ演算する。
【0084】
いずれかの項目について、履歴が限度を超えている場合(S44:YES)、再生装置は、当該構成部品の交換を行う(S45)。
全項目について、履歴が限度以下の場合(S44:NO)、再生装置は、注入器により、リザーバ42内にインクを注入する(S47)。
【0085】
S47は、例えば、第1バルブ50及びキャップ46が設けられた蓋45を管44から取り外した状態で、注入器の押圧棒を主部44aの他端の開口(フランジ44bが形成された部分)から主部44a内に挿入して弁本体62をコイルバネ63の付勢力に抗して押圧することで、第2バルブ60を閉状態から開状態に切り換え、第2バルブ60を開状態に維持しつつ行われる。注入が完了し、押圧棒を主部44aの他端から引き抜くと、第2バルブ60は、コイルバネ63の付勢力によって、開状態から閉状態に切り換わる。その後、再生装置は、注入前に取り外された、第1バルブ50及びキャップ46が設けられた蓋45を、再び管44に取り付ける。
【0086】
S47の後、コントローラは、以下のようなメモリ141内の情報の書き換えや消去を行う(S48)。これにより、再生品としてのカートリッジ40が完成する。
【0087】
S48では、「インク注入時刻」を、S47を行った時刻に書き換え、「第1初期値」及び「第2初期値」をそれぞれ、S44で演算した第1バルブ50及び第2バルブ60の「インクとの接触時間」の履歴に書き換える。「インク注入回数」、「再生回数」、及び、第2バルブ60の「開閉回数」の履歴を、S41で読み取った値に1プラスした値に書き換える(第2バルブ60の「開閉回数」の履歴については、S47で第2バルブ60が閉状態から開状態に切り換わったため)。「第2バルブ開時刻」及び「インクエンプティ時刻」を消去する。
【0088】
また、S45で構成部品が交換された後、コントローラは、メモリ141内の、当該構成部品についての「使用期限」、対応する項目の履歴等を書き換えると共に、対応する項目の「フラグ」をOFFに設定する(S46)。
対応する項目の履歴等の書き換えについては、以下のとおりである。即ち、センサ140が交換された場合、「通電時間」の履歴をリセットする。リザーバ42が交換された場合、「インク注入回数」の履歴をリセットする。筐体41が交換された場合、「再生回数」の履歴をリセットする。第1バルブ50が交換された場合、「第1初期値」及び第1バルブ50の「開閉回数」の履歴をリセットすると共に、「プリンタのID情報」を消去する。第2バルブ60が交換された場合、「第2初期値」及び第2バルブ60の「開閉回数」の履歴をリセットする。
【0089】
S46の後、コントローラは、S41に処理を戻す。
【0090】
上記再生方法により再生されたカートリッジ40がプリンタ1に装着されると、プリンタ1のコントローラ100は、カートリッジ40が新品か再生後かに関わらず、図8に示す制御を行う。
【0091】
以上に述べたように、本実施形態のカートリッジ40は、構成部品についての消耗度合に関連する消耗度合関連情報(表1に示す各項目の履歴)を記憶するメモリ141を含む。これにより、カートリッジ40の再生時に廃棄される構成部品を少なくすることができる。したがって、再生コストや環境負荷の増大を抑制し、再生効率を高めることができる。
【0092】
メモリ141は、消耗度合関連情報(表1に示す各項目の履歴)に加え、消耗度合限度情報(表1に示す各項目の限度)をさらに記憶する。この場合、プリンタ1のメモリ(ROM又はRAM)に消耗度合限度情報を記憶させておく必要がないことから、プリンタ1のメモリにおける記憶領域の減少を回避することができる。
【0093】
メモリ141は、消耗度合関連情報(表1に示す各項目の履歴)に加え、限度超え情報(表1に示す各項目の「フラグ」)をさらに記憶する。この場合、「フラグ」を参照するだけで(S5及びS43)、履歴が限度を超えているか否かを判断することができる。そのため、プリンタ1によるエラー報知(S15)や再生時の部品交換(S45)をより迅速に行うことができる。
【0094】
バルブ50,60は、開閉動作を行うこと、インクと接触する時間が比較的長いこと等から、消耗し易く、また消耗した場合にリザーバ42からのインク漏れやインク蒸発を誘引し得る。そこで本実施形態では、バルブ50,60の消耗度合関連情報(「開閉回数」や「インクとの接触時間」の履歴)をメモリ141に記憶させている。これにより、バルブ50,60の消耗によるインク漏れ等をより確実に防止することができる。
【0095】
バルブ50,60は「開閉回数」の増加に応じて消耗度合が上昇すること、「開閉回数」はセンサ140によって比較的正確に検知可能であること等から、バルブ50,60の「開閉回数」は消耗度合関連情報として適している。したがって本実施形態によれば、プリンタ1や再生装置による各バルブ50,60の消耗度合の判断の信頼性を向上させることができる。
【0096】
弾性部材である栓51が消耗すると、インク漏れ等の問題が顕著になる。そこで本実施形態では、栓51を含む第1バルブ50についての消耗度合関連情報(表1に示す、第1バルブ50の「開閉回数」や「インクとの接触時間」の履歴)をメモリ141に記憶させている。これにより、栓51の消耗によるインク漏れ等をより確実に防止することができる。
【0097】
プリンタ1毎に、栓51に形成される中空針153による貫通孔の位置や大きさが異なり得る。貫通孔の位置や大きさが異なると、栓51に形成される貫通孔の数が増えたり、貫通孔のサイズが大きくなったりすることで、貫通孔を介したインク漏れ等が生じ易くなる。そこで本実施形態では、消耗度合関連情報として、「カートリッジ40が装着されたプリンタ1の台数」(本実施形態ではプリンタ1のID情報がこれに相当する。)をメモリ141に記憶させている。これにより、既に装着されたプリンタ1とは別のプリンタ1にカートリッジ40が装着される場合に生じ得る、上記のようなインク漏れ等を防止することができる。
なお、本発明において、「液体カートリッジが装着された液体吐出装置の台数」は、同一の液体吐出装置にカートリッジを何回装着しても「1」であり、異なる液体吐出装置にカートリッジを装着した場合に複数になる。
【0098】
さらに本実施形態では、「カートリッジ40が装着されたプリンタ1の台数」に関する消耗度合関連情報として、プリンタ1のID情報をメモリ141に記憶させている。プリンタ1のID情報は、プリンタ1に個別に与えられており、同一のプリンタ1であるか異なるプリンタ1であるかを明確に差別化可能であり、消耗度合関連情報として適している。
【0099】
弾性部材である栓51やOリング61は、インクとの接触時間の増大に伴って消耗度合が大きくなる傾向にある。そこで本実施形態では、消耗度合関連情報として、各バルブ50,60の「インクとの接触時間」をメモリ141に記憶させている。これにより、プリンタ1や再生装置による各バルブ50,60の消耗度合の判断の信頼性を向上させることができる。
【0100】
2つのバルブ(第1及び第2バルブ50,60)を設けたことで、仮に一方のバルブに故障が生じた場合でも、他方のバルブによって排出路43aの連通及び遮断を切り換えることができる。したがって、排出路43aを介したインク漏れ等をより確実に防止することができる。
さらに本実施形態では、これらバルブ50,60の両方の「インクとの接触時間」をメモリ141に記憶させている。これにより、プリンタ1や再生装置による両バルブ50,60の消耗度合の判断の信頼性を向上させることができ、ひいては、排出路43aを介したインク漏れ等をより一層確実に防止することができる。
【0101】
「第2バルブ開時刻」や「インク注入時刻」は、各部の動作に基づき比較的正確に検知可能であること等から、消耗度合関連情報として適している。したがって本実施形態によれば、プリンタ1や再生装置による消耗度合の判断の信頼性を向上させることができる。
【0102】
本実施形態のプリンタ1は、消耗度合関連情報(表1に示す各項目の履歴)や限度超え情報(表1に示す各項目の「フラグ」のON)をメモリ141に書き込む(S10,S21,S23)。つまり、カートリッジ40のプリンタ1への装着中(即ち、カートリッジ40使用中)に、消耗度合関連情報や限度超え情報が書き換えられる。したがって、プリンタ1や再生装置による消耗度合の判断の信頼性を向上させることができる。
【0103】
本実施形態の再生方法によれば、部品交換(S45)を行った場合、消耗度合関連情報(表1に示す各項目の履歴)を書き換える(S46)。これにより、プリンタ1や再生装置による消耗度合の判断の信頼性を向上させることができる。
【0104】
続いて、図12を参照し、本発明に係るカートリッジの再生方法の別の実施形態について説明する。
【0105】
当該別の実施形態に係る再生方法では、上述の実施形態における読取工程(S41)及び判断工程(S42〜S44)が省略されており、先ず、カートリッジ40の再生を行う作業者が、視認により各構成部品の消耗度合を確認し、交換すべき部品があるか否かを判断する(S51)。ここでは、消耗度合が所定の許容範囲よりも大きい場合、交換すべきと判断する。交換すべき部品がない場合(S51:NO)、処理をS54に進める。
【0106】
交換すべき部品がある場合(S51:YES)、S45と同様、当該構成部品を再生装置の部品交換ユニットにより交換する(S52)。その後、S46と同様、再生装置のコントローラが、メモリ141内の、当該構成部品についての「使用期限」、対応する項目の履歴等を書き換えると共に、対応する項目の「フラグ」をOFFに設定する(S53)。
【0107】
S53の後、S47と同様、再生装置が注入器によりリザーバ42内にインクを注入する(S54)。そして、S48と同様、再生装置のコントローラが、メモリ141内の情報の書き換えや消去を行う(S55)。これにより、再生品としてのカートリッジ40が完成する。
【0108】
当該別の実施形態の再生方法によると、部品交換(S52)を行った場合、消耗度合関連情報(表1に示す各項目の履歴)や限度超え情報(「フラグ」)の書き換え(S53,S55)を行う。これにより、当該再生完了後さらに再生されるときに、廃棄される構成部品を少なくすることができる。したがって、上述の実施形態と同様、再生コストや環境負荷の増大を抑制し、再生効率を高めることができる。
【0109】
続いて、図13を参照し、本発明の液体カートリッジの別の実施形態に係るインクカートリッジ540について説明する。
当該別の実施形態に係るカートリッジ540は、排出管543、第1バルブ550、及び第2バルブ560の構成が、カートリッジ40と異なり、それ以外はカートリッジ40と同じ構成である。
以下、上述の実施形態のカートリッジ40と異なる点について説明し、上述の実施形態と同じ構成要素については同じ参照番号を付す等して説明を省略する。
【0110】
排出管543は、主走査方向に延在し且互いに連結された2つの管544,545を含む。管544は、一端にジョイント42a、他端に管545の一端がそれぞれ嵌合している。これら管544,545の内部に、排出路543aが形成されている。即ち、排出路543aは、管544内の空間と管545内の空間との連続した2つの空間からなる。
【0111】
管544の他端には、環状フランジ547及び環状突起548が一体的に形成されている。フランジ547は、管544の他端の外周に亘って延在する円盤状の部材である。フランジ547の裏面(図13の右方の面)から、環状突起548が突出している。環状突起548の外周にはOリング548aが配置されている。Oリング548aによって、筐体41の内面と環状突起548との隙間がシールされている。
【0112】
第1バルブ550は、管545内に配置されており、栓551、球体552、及びコイルバネ553を有する。
【0113】
栓551は、上述の栓51と同様、ゴム等の弾性材料からなり、管545の他端の開口を塞ぐように圧縮状態で設けられている。栓551は、その中央において主走査方向に貫通したスリット551a、管545の他端に嵌合した環状突起551b、及び、球体552と対向する面における環状突起551bに囲まれた部分に形成された湾曲部551cを有する。湾曲部551cは球体552の外周面に沿った形状を有する。環状突起551bは、内径が球体552の直径より若干小さく、図13(a)に示すように第1バルブ550が閉状態のとき、球体552が突起551bを弾性変形させつつ湾曲部551cに密着するようになっている。このとき、スリット551aが球体552により封止されることにより、排出路543aと外部との連通が遮断されている。コイルバネ553は、基端が管545の一端に形成された段差部545aに固定されており、先端が球体552に接触し、球体552を栓551に向けて常に付勢している。
【0114】
管545の他端及び栓551の外側にはキャップ46が設けられている。キャップ46が管545の他端に嵌合した栓551を覆うことにより、栓551の管545からの脱落が防止される。なお、キャップ46の中央には開口46aが形成されており、開口46aを介して栓551におけるスリット551aの開口を含む部分が露出している。
【0115】
第2バルブ560は、管544内に配置されており、弁座561、弁本体62、及びコイルバネ63を有する。
【0116】
弁座561は、ゴム等の弾性材料からからなり、そのフランジ561aが、管544の主走査方向中央近傍の内周面から管中心に向けて突出した環状突起544aと管545の段差部545aとの間に挟まれるように、配置されている。弁座561の中央には、主走査方向に沿った貫通孔561bが形成されている。
【0117】
押し部材70は、孔561bの直径よりも小さく、孔561b内に挿入されている。コイルバネ63は、弁本体62を弁座561に向けて常に付勢している。したがって、図13(a)に示すように第2バルブ560が閉状態のとき、第1部材65が弁座561と接触し、貫通孔561bが封止されている。これにより、排出路543aにおける管544内の空間と管545内の空間との連通が遮断され、排出路543aを介したリザーバ42と外部との連通が遮断されている。このとき弁座561における第1部材65と接触する部分は、コイルバネ63の付勢力によって、弾性変形している。
【0118】
カートリッジ540がプリンタ1に装着される前、第1及び第2バルブ550,560は図13(a)に示す閉状態に維持されている。中空針153の移動開始に伴い、先ず、図13(b)に示すように、中空針153が、開口46aを貫通してスリット551aに挿入される。ここで、中空針153の直径はスリット551aの直径よりも大きく、中空針153がスリット551aに挿入されているとき、栓551はスリット551aの内周面が中空針153の外周面に密着するように弾性変形する。これにより、スリット551aと中空針153との間からのインク漏れが防止される。
【0119】
そして中空針153の先端が球体552と当接しつつ球体552を移動させ、球体552が栓551から離隔される。このときに第1バルブ550が閉状態から開状態に切り換わる。このとき、中空針153の先端に設けられた孔153bが管545内の空間に配置され、孔153bを介して、中空針153内の流路153aと管545内の空間とが連通する。
【0120】
さらに球体552は、栓551から離隔した後、押し部材70の先端に当接する。そして中空針153の排出路543aへのさらなる進入により、押し部材70及び弁本体62が移動し、弁本体62の第1部材65が弁座561から離隔する。このときに第2バルブ560が閉状態から開状態に切り換わる。このとき、排出路543aにおける管544内の空間と管545内の空間とが連通し、排出路543aを介したリザーバ42と外部との連通が許可される。即ち、図13(b)に示すように第1及び第2バルブ550,560が共に開状態のとき、排出路543a、流路153a等を介して、リザーバ42とヘッド2のインク流路とが連通している。
【0121】
カートリッジ取外しの際は、中空針153が図13(b)の左方向に移動するのに伴い、球体552がコイルバネ553の付勢力によって中空針153の先端に当接しつつ栓551に近づく方向に移動する。そして球体552と栓551とが接触するときに、第1バルブ550が開状態から閉状態に切り換わる。一方、第2バルブ560においては、コイルバネ63の付勢力によって弁本体62及び押し部材70が図13(b)の左方向に移動し、弁本体62の第1部材65が弁座561に接触する。これにより、第2バルブ560が開状態から閉状態に切り換わり、リザーバ42からのインク漏れが防止される。
【0122】
なお、カートリッジ540の再生時に、S45で第1バルブ550を交換する場合は、第1バルブ550のみではなく、第1バルブ550、キャップ46、及び管545を含む第1バルブユニットを、管544から取り外して交換し、新たな第1バルブユニットを管544に取り付けてよい。またこのとき、第1バルブユニットを管544から取り外した後、栓551(又は、栓551及びキャップ46)のみを交換した新たな第1バルブユニット(球体552、コイルバネ553、管545等は交換せずにそのまま使用したもの)を、管544に取り付けてよい。
【0123】
当該別の実施形態のカートリッジ540も、メモリ141を含むことで、上述の実施形態に係るカートリッジ40と同様の効果が得られる。
【0124】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0125】
カートリッジの記憶手段は、少なくとも1つの構成部品についての消耗度合関連情報を記憶する限りは、消耗度合限度情報、限度超え情報、使用期限、ID情報等を記憶しなくてもよい。例えば、消耗度合限度情報は、液体吐出装置や再生装置の記憶手段が記憶してよい。
【0126】
カートリッジの記憶手段は、消耗度合関連情報として、上述した履歴のような消耗度合の増大に伴って増加するデータではなく、消耗度合の増大に伴って減少するデータを記憶してもよい。例えば、新品のときに所定の限度を示す正の数値が消耗度合関連情報として記憶され、その後、消耗度合の増大に伴って数値が減算され、当該数値がゼロとなったときにエラー報知(S15)や部品交換(S45)を行ってよい。この場合、消耗度合限度情報は不要である(即ち、カートリッジ、液体吐出装置、再生装置等の記憶手段に、消耗度合限度情報を記憶させる必要がない)。
【0127】
カートリッジの記憶手段は、1つの構成部品(例えばバルブ)の消耗度合関連情報のみを記憶してもよいし、上述した構成部品以外の構成部品(例えば排出管43;543等)の消耗度合関連情報を記憶してもよい。
【0128】
カートリッジの構造は、様々に変更可能である。即ち、リザーバ42、筐体41、排出管43;543、バルブ50;550,60;560、センサ140等の構成(形状、位置等)を適宜変更したり、新たな構成部品を追加したり、一部の構成部品を省略したりしてよい。
カートリッジに含まれるバルブの数は、1又は3以上であってよい。管44;544の外部に配置され且つ管44;544の径方向に移動可能であって、当該移動によって管44;544を外側から押圧し変形させることで、管44;544内部の空間を収縮又は閉塞させるバルブを設けてもよい。
センサは、上述の実施形態のような反射型の光センサに限定されず、その他様々なタイプ(例えば、透過型の光センサ、磁気センサ、物体に接触するか否かで物体の有無を検知するメカスイッチ型のセンサ等)を適用可能である。
【0129】
消耗度合関連情報は、構成部品の構成・機能等に応じて適宜に変更可能である。
【0130】
バルブの液体との接触時間(「インクとの接触時間」の履歴)についての演算方法や演算要素は、上述したものに限定されず、適宜変更可能である。
例えば、上述の実施形態における第1バルブ50の「インクとの接触時間」の履歴の演算方法は、インクエンプティ時刻以降(その後、カートリッジの再生が行われ、再びカートリッジがプリンタに装着されるときに第2バルブ60が閉状態から開状態に切り換わるまで)、第1バルブ50にインクが接触しない(第1及び第2バルブ50,60間にインクが存在しない)ことを前提として、インクエンプティ時刻の書き込みがある場合はインクエンプティ時刻から現時刻までの時間を省略している。しかし、インクエンプティ時刻以降(その後、カートリッジの再生が行われ、再びカートリッジがプリンタに装着されるときに第2バルブ60が閉状態から開状態に切り換わるまで)、第1バルブ50にインクが接触する(第1及び第2バルブ50,60間にインクが存在する)ことを前提として、インクエンプティ時刻から現時刻までの時間を省略せずに、第1バルブ50の「インクとの接触時間」の履歴の演算を行ってよい。
【0131】
液体カートリッジが収容する液体は、インクに限定されず、例えば、画質を向上させるために記録前の記録媒体に塗布される画質向上液、搬送ベルトを洗浄するための洗浄液等であってもよい。
【0132】
液体吐出装置は、カートリッジの記憶手段に各種情報の書込みを行わなくてもよい(即ち、消耗度合関連情報を書き込む第1書込手段や限度超え情報を書き込む第2書込手段を含まなくてもよい)。
【0133】
中空針153の排出路への進入は、上述の実施形態のように液体吐出装置のコントローラによる制御によってもよいし、液体吐出装置のユーザの手動によってもよい。後者の場合、液体吐出装置は移動機構155(図7参照)を含まず、ユーザが液体吐出装置にカートリッジを装着すると、接点142及び接点152並びに電力入力部147及び電力出力部157が電気的に接続されるのと略同時に、中空針153が排出路に進入してよい。
【0134】
カートリッジと液体吐出装置との間で信号の送受信が可能となるタイミングや、液体吐出装置からカートリッジへの電力供給が可能となるタイミングは、上述したものに限定されず、任意に変更可能である。また、カートリッジ及び液体吐出装置における接点、電力入力部、電力出力部等の位置も、任意に変更可能である。
【0135】
本発明に係る液体吐出装置のヘッドは、ライン式に限定されず、シリアル式でもよい。
【0136】
本発明に係る液体吐出装置に含まれるヘッドの数は4に限定されず、1以上であればよい。
【0137】
本発明に係る液体吐出装置は、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機等であってもよい。
【0138】
カートリッジの再生における工程(例えば、部品交換(S45)、インク注入(S7)等)を作業者が行ってもよい。この場合、再生装置はディスプレイを有することが望ましい。
また、液体収容部への液体注入のタイミングは、特に限定されない。例えば、液体注入後、液体収容部以外の構成部品の交換を行ってもよい。
また、消耗度合関連情報や限度超え情報を書き換える書換工程を行うタイミングは、交換工程の後でも前でもよい。(例えば図11のS46やS48を、S45の前に行ってもよい。)
【符号の説明】
【0139】
1 インクジェット式プリンタ(液体吐出装置)
2 ヘッド(外部,吐出部)
40;540 インクカートリッジ(液体カートリッジ)
41 筐体(構成部品)
42 リザーバ(構成部品,液体収容部)
43 排出管(構成部品,排出部)
50;550 第1バルブ(構成部品,バルブ)
51;551 栓(弾性部材)
60;560 第2バルブ(構成部品,バルブ)
61 Oリング(弾性部材)
561 弁座(弾性部材)
100 コントローラ(第1読取手段,判断手段,報知手段,第1書込手段,第2読取手段,第2書込手段)
140 センサ(構成部品)
141 メモリ(記憶手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する液体カートリッジであって、
前記液体カートリッジを構成する構成部品のうち、少なくとも1つの構成部品についての消耗度合に関連する消耗度合関連情報を記憶する記憶手段を備えたことを特徴とする、液体カートリッジ。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記少なくとも1つの構成部品についての前記消耗度合の限度を示す消耗度合限度情報をさらに記憶することを特徴とする、請求項1に記載の液体カートリッジ。
【請求項3】
前記記憶手段は、前記少なくとも1つの前記構成部品についての前記消耗度合が限度を超えたか否かを示す限度超え情報をさらに記憶することを特徴とする、請求項1又は2に記載の液体カートリッジ。
【請求項4】
前記構成部品は、
前記液体を収容する液体収容室を画定する液体収容部と、
前記液体収容室と連通し且つ前記液体収容室に収容された液体を外部に排出するための排出路を画定する排出部と、
前記排出路に設けられ、前記排出路を開く開状態と前記排出路を閉じる閉状態とを選択的に取り得るバルブと、を含み、
前記少なくとも1つの構成部品が前記バルブを含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体カートリッジ。
【請求項5】
前記消耗度合関連情報は、前記バルブが前記閉状態から前記開状態に切り換わった回数を含むことを特徴とする、請求項4に記載の液体カートリッジ。
【請求項6】
前記バルブは、前記排出路の排出口を塞ぐように圧縮状態で設けられた弾性を有する弾性部材を含むことを特徴とする、請求項4又は5に記載の液体カートリッジ。
【請求項7】
前記消耗度合関連情報は、前記液体カートリッジが装着された、前記液体カートリッジを着脱可能であり且つ前記液体収容室から前記排出路を介して供給される液体を吐出する吐出部を有する、液体吐出装置の台数を含むことを特徴とする、請求項6に記載の液体カートリッジ。
【請求項8】
前記台数に関する前記消耗度合関連情報は、前記液体吐出装置に個別に与えられたID情報であることを特徴とする、請求項7に記載の液体カートリッジ。
【請求項9】
前記バルブは、弾性を有する弾性部材を含み、
前記消耗度合関連情報は、前記バルブの前記液体との接触時間を含むことを特徴とする、請求項4〜8のいずれか一項に記載の液体カートリッジ。
【請求項10】
前記バルブは、
前記排出路の排出口に設けられ、前記排出路を開く開状態と前記排出路を閉じる閉状態とを選択的に取り得る、弾性を有する弾性部材を含む第1バルブと、
前記排出路における前記第1バルブよりも前記液体収容室に近接した位置に設けられ、前記排出路を開く開状態と前記排出路を閉じる閉状態とを選択的に取り得る、弾性を有する弾性部材を含む第2バルブと、を含み、
前記少なくとも1つの構成部品が前記第1バルブ及び前記第2バルブを含み、
前記消耗度合関連情報は、前記第1バルブの前記液体との接触時間及び前記第2バルブの前記液体との接触時間を含むことを特徴とする、請求項9に記載の液体カートリッジ。
【請求項11】
前記第1バルブの前記液体との接触時間に関連する情報は、前記第2バルブが前記閉状態から前記開状態に切り換わった時刻を示す第2バルブ開時刻を含むことを特徴とする、請求項10に記載の液体カートリッジ。
【請求項12】
前記第2バルブの前記液体との接触時間に関連する情報は、前記液体収容室に前記液体を注入した時刻を示す液体注入時刻を含むことを特徴とする、請求項10又は11に記載の液体カートリッジ。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の液体カートリッジを着脱可能であり、
装着された前記液体カートリッジの前記液体収容室から前記排出路を介して供給される液体を吐出する吐出部を有する、液体吐出装置であって、
前記記憶手段から前記消耗度合関連情報を読み取る第1読取手段と、
前記第1読取手段によって読み取られた前記消耗度合関連情報に基づいて、前記消耗度合が限度を超えているか否かの判断を行う判断手段と、
前記消耗度合が前記限度を超えている場合、報知を行う報知手段と、
を備えたことを特徴とする、液体吐出装置。
【請求項14】
前記記憶手段に、前記消耗度合関連情報を書き込む第1書込手段を備えたことを特徴とする、請求項13に記載の液体吐出装置。
【請求項15】
請求項3に記載の液体カートリッジを着脱可能であり、
装着された前記液体カートリッジの前記液体収容室から前記排出路を介して供給される液体を吐出する吐出部を有する、液体吐出装置であって、
前記記憶手段から前記限度超え情報を読み取る第2読取手段と、
前記第2読取手段によって読み取られた前記限度超え情報に基づいて、報知を行う報知手段と、
を備えたことを特徴とする、液体吐出装置。
【請求項16】
前記記憶手段に、前記限度超え情報を書き込む第2書込手段を備えたことを特徴とする、請求項15に記載の液体吐出装置。
【請求項17】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の液体カートリッジの再生方法であって、
前記記憶手段から前記消耗度合関連情報を読み取る読取工程と、
前記読取工程において読み取られた前記消耗度合関連情報に基づいて、前記消耗度合が限度を超えているか否かを判断する判断工程と、
前記判断工程において前記消耗度合が前記限度を超えていると判断された場合、前記少なくとも1つの構成部品を交換する交換工程と、
を備えたことを特徴とする、液体カートリッジの再生方法。
【請求項18】
前記消耗度合関連情報を書き換える書換工程をさらに備えたことを特徴とする、請求項17に記載の液体カートリッジの再生方法。
【請求項19】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の液体カートリッジの再生方法であって、
前記少なくとも1つの構成部品を交換する交換工程と、
前記消耗度合関連情報を書き換える書換工程と、
を備えたことを特徴とする、液体カートリッジの再生方法。
【請求項20】
請求項3に記載の液体カートリッジの再生方法であって、
前記少なくとも1つの構成部品を交換する交換工程と、
前記限度超え情報を書き換える書換工程と、
を備えたことを特徴とする、液体カートリッジの再生方法。
【請求項1】
液体を収容する液体カートリッジであって、
前記液体カートリッジを構成する構成部品のうち、少なくとも1つの構成部品についての消耗度合に関連する消耗度合関連情報を記憶する記憶手段を備えたことを特徴とする、液体カートリッジ。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記少なくとも1つの構成部品についての前記消耗度合の限度を示す消耗度合限度情報をさらに記憶することを特徴とする、請求項1に記載の液体カートリッジ。
【請求項3】
前記記憶手段は、前記少なくとも1つの前記構成部品についての前記消耗度合が限度を超えたか否かを示す限度超え情報をさらに記憶することを特徴とする、請求項1又は2に記載の液体カートリッジ。
【請求項4】
前記構成部品は、
前記液体を収容する液体収容室を画定する液体収容部と、
前記液体収容室と連通し且つ前記液体収容室に収容された液体を外部に排出するための排出路を画定する排出部と、
前記排出路に設けられ、前記排出路を開く開状態と前記排出路を閉じる閉状態とを選択的に取り得るバルブと、を含み、
前記少なくとも1つの構成部品が前記バルブを含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体カートリッジ。
【請求項5】
前記消耗度合関連情報は、前記バルブが前記閉状態から前記開状態に切り換わった回数を含むことを特徴とする、請求項4に記載の液体カートリッジ。
【請求項6】
前記バルブは、前記排出路の排出口を塞ぐように圧縮状態で設けられた弾性を有する弾性部材を含むことを特徴とする、請求項4又は5に記載の液体カートリッジ。
【請求項7】
前記消耗度合関連情報は、前記液体カートリッジが装着された、前記液体カートリッジを着脱可能であり且つ前記液体収容室から前記排出路を介して供給される液体を吐出する吐出部を有する、液体吐出装置の台数を含むことを特徴とする、請求項6に記載の液体カートリッジ。
【請求項8】
前記台数に関する前記消耗度合関連情報は、前記液体吐出装置に個別に与えられたID情報であることを特徴とする、請求項7に記載の液体カートリッジ。
【請求項9】
前記バルブは、弾性を有する弾性部材を含み、
前記消耗度合関連情報は、前記バルブの前記液体との接触時間を含むことを特徴とする、請求項4〜8のいずれか一項に記載の液体カートリッジ。
【請求項10】
前記バルブは、
前記排出路の排出口に設けられ、前記排出路を開く開状態と前記排出路を閉じる閉状態とを選択的に取り得る、弾性を有する弾性部材を含む第1バルブと、
前記排出路における前記第1バルブよりも前記液体収容室に近接した位置に設けられ、前記排出路を開く開状態と前記排出路を閉じる閉状態とを選択的に取り得る、弾性を有する弾性部材を含む第2バルブと、を含み、
前記少なくとも1つの構成部品が前記第1バルブ及び前記第2バルブを含み、
前記消耗度合関連情報は、前記第1バルブの前記液体との接触時間及び前記第2バルブの前記液体との接触時間を含むことを特徴とする、請求項9に記載の液体カートリッジ。
【請求項11】
前記第1バルブの前記液体との接触時間に関連する情報は、前記第2バルブが前記閉状態から前記開状態に切り換わった時刻を示す第2バルブ開時刻を含むことを特徴とする、請求項10に記載の液体カートリッジ。
【請求項12】
前記第2バルブの前記液体との接触時間に関連する情報は、前記液体収容室に前記液体を注入した時刻を示す液体注入時刻を含むことを特徴とする、請求項10又は11に記載の液体カートリッジ。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の液体カートリッジを着脱可能であり、
装着された前記液体カートリッジの前記液体収容室から前記排出路を介して供給される液体を吐出する吐出部を有する、液体吐出装置であって、
前記記憶手段から前記消耗度合関連情報を読み取る第1読取手段と、
前記第1読取手段によって読み取られた前記消耗度合関連情報に基づいて、前記消耗度合が限度を超えているか否かの判断を行う判断手段と、
前記消耗度合が前記限度を超えている場合、報知を行う報知手段と、
を備えたことを特徴とする、液体吐出装置。
【請求項14】
前記記憶手段に、前記消耗度合関連情報を書き込む第1書込手段を備えたことを特徴とする、請求項13に記載の液体吐出装置。
【請求項15】
請求項3に記載の液体カートリッジを着脱可能であり、
装着された前記液体カートリッジの前記液体収容室から前記排出路を介して供給される液体を吐出する吐出部を有する、液体吐出装置であって、
前記記憶手段から前記限度超え情報を読み取る第2読取手段と、
前記第2読取手段によって読み取られた前記限度超え情報に基づいて、報知を行う報知手段と、
を備えたことを特徴とする、液体吐出装置。
【請求項16】
前記記憶手段に、前記限度超え情報を書き込む第2書込手段を備えたことを特徴とする、請求項15に記載の液体吐出装置。
【請求項17】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の液体カートリッジの再生方法であって、
前記記憶手段から前記消耗度合関連情報を読み取る読取工程と、
前記読取工程において読み取られた前記消耗度合関連情報に基づいて、前記消耗度合が限度を超えているか否かを判断する判断工程と、
前記判断工程において前記消耗度合が前記限度を超えていると判断された場合、前記少なくとも1つの構成部品を交換する交換工程と、
を備えたことを特徴とする、液体カートリッジの再生方法。
【請求項18】
前記消耗度合関連情報を書き換える書換工程をさらに備えたことを特徴とする、請求項17に記載の液体カートリッジの再生方法。
【請求項19】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の液体カートリッジの再生方法であって、
前記少なくとも1つの構成部品を交換する交換工程と、
前記消耗度合関連情報を書き換える書換工程と、
を備えたことを特徴とする、液体カートリッジの再生方法。
【請求項20】
請求項3に記載の液体カートリッジの再生方法であって、
前記少なくとも1つの構成部品を交換する交換工程と、
前記限度超え情報を書き換える書換工程と、
を備えたことを特徴とする、液体カートリッジの再生方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−51269(P2012−51269A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196339(P2010−196339)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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