説明

液体タンクの接続ポート、液体タンクおよび液滴吐出装置

【課題】タンク本体の上部空間に接続した通気用チューブ(液柱パイプ)に、側壁内面に付着した液滴が流入するのを阻止することができる液体タンクの接続ポート、液体タンクおよび液滴吐出装置を提供すること。
【解決手段】通気用チューブ76(あるいは液柱パイプ73)を接続するために、サブタンク本体71の上部空間に面する側壁71aに設けられたサブタンク62の接続ポートであって、側壁71aの内面からサブタンク本体71の外側に向かって凹入形成された凹部115と、凹部115の奥壁面116からサブタンク本体71の内側に向かって突出形成され、軸心部に通気用チューブ76(あるいは液柱パイプ73)と上部空間とを連通する通気ポート流路118(あるいは連通ポート流路124)を形成した突出部117と、を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体タンクの上部空間に面する側壁に設けられ、接続管を接続するための液体タンクの接続ポート、液体タンクおよび液滴吐出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液体を貯留するタンク本体と、タンク本体の下部と上部とを連通するように接続され、タンク本体の液位を検出する液位センサが臨む液位検出管路(液柱パイプ)と、タンク本体の上部空間に接続され、タンク本体内を負圧制御するための負圧制御部に連なる制御エアー配管と、を有するタンクが知られている(特許文献1参照)。
液位検出管路は、タンク本体の上部空間とタンク本体に貯留した液体とを連通するように配管され、その両端部は、タンク本体の側壁に形成した上下の連通開口に接続されている。同様に、制御エアー配管は、上部空間が面する側壁に形成した連通開口に接続されている。
【特許文献1】特開2007−275795号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このようなタンクでは、タンク本体の上部空間が貯留した液体の飽和気体の雰囲気に保たれるため、圧力変動や温度変化等によりこの飽和気体が凝結してタンク本体の上部空間の内面に液滴(水滴)として付着することがある。付着した液滴によっては、その自重により側壁を伝って各連通開口に達し、ここから制御エアー配管や液位検出管路(液柱パイプ)に流入する。そして、流入した液滴により、液位センサに誤検出を生じさせるという問題や、逆流と誤検出され負圧制御が自動停止してしまうという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、タンク本体の上部空間に接続した接続管に、側壁内面に付着した液滴が流入するのを阻止することができる液体タンクの接続ポート、液体タンクおよび液滴吐出装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の液体タンクの接続ポートは、接続管を接続するために、タンク本体の上部空間に面する側壁に設けられた液体タンクの接続ポートであって、側壁の内面からタンク本体の外側に向かって凹入形成された凹部と、凹部の奥壁面からタンク本体の内側に向かって突出形成され、軸心部に接続管と上部空間とを連通するポート流路を形成した突出部と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、タンク本体の上部空間の側壁に付着した一部の凝結液滴が、自重により側壁を伝って凹部の上縁に達することがあっても、その液滴は、凹部の縁に沿って流れ落ちることになる。また、凹部内に生じた液滴に引かれて流下する液滴が、凹部の内面を伝って突出部に達することがあっても、その液滴は、突出部の周面を伝って流れ落ちることになる。このため、側壁を伝わって流下する液滴が、突出部に形成したポート流路のタンク側開口部に達することがない。したがって、直接、ポート流路を介して、接続管に液滴が流入することがなく、液滴の接続管への流入を有効に阻止することができる。
【0007】
また、上記の構成に加え、凹部は、円柱状に凹入形成され、突出部は、凹部と同心の山型に突出形成されていることが、好ましい。
【0008】
この構成によれば、凹部の上縁に達した凝結液滴が、凹部の上縁から滴下することなく、凹部の縁に沿って速やかに流下させることができる。また、突出部に達した液滴も、突出部の周面に沿って速やかに流下させることができる。
【0009】
また、突出部は、凹部の凹入空間に納まるように突出形成されていることが、好ましい。
【0010】
この構成によれば、凹部の上縁に達した液滴が、そのまま滴下することがあっても、突出部の上に落ちることがなく、ポート流路の開口部に液滴が付着するのを有効に防止することができる。
【0011】
この場合、タンク本体は密閉タンクであり、接続管は、大気に連通する通気管であることが、好ましい。
【0012】
この構成によれば、通気管内の液滴の流入を阻止することができるため、タンク本体に対する液体の流入・流出に影響を与えることがない。
【0013】
また、通気管は、タンク本体の近傍に位置してリング状にループさせたループ配管部を有し、ループ配管部の下部には、通気管に流入した液滴を検出する液滴検出センサが設けられていることが、好ましい。
【0014】
この構成によれば、仮に、液滴が通気管内に流入した場合であっても、ループ配管部の下部に液滴が貯留されるため、液滴の流入を容易に検出することができる。
【0015】
同様に、接続管は、タンク本体の液位検出用の液面センサが臨む液柱パイプであることが、好ましい。
【0016】
この構成によれは、タンク本体の側壁を伝って凹部の上縁に達した液滴が、液柱パイプの上端から流入することがないため、流入した液滴による液面センサの誤検出を防止することができる。
【0017】
本発明の液体タンクは、上記に記載の液体タンクの接続ポートと、タンク本体と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、タンク本体の上部空間に接続した接続管に、側壁内面に付着した液滴が流入するのを阻止することができるタンクを提供することができる。
【0019】
本発明の液滴吐出装置は、ワークに対し、インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドを相対的に移動させながら、機能液滴吐出ヘッドから機能液滴を吐出させて描画を行う描画手段と、流出ポートを介して機能液滴吐出ヘッドに接続され、機能液滴吐出ヘッドに機能液を供給する上記のいずれかに記載の液体タンクと、を備えたことを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、液体タンクの上部空間に生ずる液滴の影響を排除することができるため、機能液滴吐出ヘッドへの機能液の供給を安定に行うことができ、機能液滴吐出ヘッドによる描画を安定且つ良好に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付の図面を参照して、本発明の接続ポートを備えた液体タンクを有する液滴吐出装置について説明する。この液滴吐出装置は、フラットパネルディスプレイの製造ラインに組み込まれており、例えば、特殊なインクや発光性の樹脂液である機能液を導入した機能液滴吐出ヘッドを用い、液晶表示装置のカラーフィルタや有機EL装置の各画素となる発光素子等を形成するものである。
【0022】
図1ないし図3に示すように、液滴吐出装置1は、石定盤に支持されたX軸支持ベース21上に配設され、主走査方向となるX軸方向に延在してワークWをX軸方向に移動させるX軸テーブル2と、複数本の支柱11を介してX軸テーブル2を跨ぐように架け渡された1対のY軸支持ベース31上に配設され、副走査方向となるY軸方向に延在するY軸テーブル3と、Y軸テーブル3に移動自在に吊設され、複数(12個)の機能液滴吐出ヘッド13が搭載された13個のキャリッジユニット4と、から構成されている。さらに、液滴吐出装置1は、これらの装置を、温度および湿度が管理された雰囲気内に収容するチャンバ5と、チャンバ5を貫通して、機能液滴吐出ヘッド13に機能液を供給する機能液供給ユニット6と、を備えており、チャンバ5の側壁の一部には、機能液を貯留するメインタンク61等を収納するタンクキャビネット14が設けられている。液滴吐出装置1は、X軸テーブル2およびY軸テーブル3の駆動と同期して機能液滴吐出ヘッド13を吐出駆動させることにより、機能液供給ユニット6から供給された6色の機能液滴を吐出させ、ワークWに所定の描画パターンが描画される。
【0023】
また、液滴吐出装置1は、フラッシングユニット15、吸引ユニット16、ワイピングユニット17、吐出性能検査ユニット18から成るメンテナンス装置7を備えており、これらユニットを機能液滴吐出ヘッド13の保守に供して、機能液滴吐出ヘッド13の機能維持・機能回復を図るようになっている。本実施形態の液滴吐出装置1では、X軸テーブル2とY軸テーブル3とが交わる部分にキャリッジユニット4を臨ませてワークWの描画を行い、Y軸テーブル3とメンテナンス装置7(吸引ユニット16、ワイピングユニット17)が交わる部分にキャリッジユニット4を臨ませて、機能液滴吐出ヘッド13の機能維持・機能回復を行う。
【0024】
図2および図3に示すように、X軸テーブル2は、ワークWを吸着セットすると共にθ軸方向に補正可能な機構を有するセットテーブル22と、セットテーブル22をX軸方向にスライド自在に支持するX軸第1スライダ23と、上記のフラッシングユニット15および吐出性能検査ユニット18をX軸方向にスライド自在に支持するX軸第2スライダ24と、X軸方向に延在し、X軸第1スライダ23およびX軸第2スライダ24をX軸方向に移動させる左右一対のX軸リニアモータ(図示省略)と、を備えている。
【0025】
Y軸テーブル3は、13個のキャリッジユニット4をそれぞれ吊設した13個のブリッジプレート32と、13個のブリッジプレート32を両持ちで支持する13組のY軸スライダ(図示省略)と、一対のY軸支持ベース31上に設置され、ブリッジプレート32をY軸方向に移動させる一対のY軸リニアモータ(図示省略)と、を備えている。また、Y軸テーブル3は、各キャリッジユニット4を介して描画時に機能液滴吐出ヘッド13を副走査するほか、機能液滴吐出ヘッド13を吸引ユニット16およびワイピングユニット17に臨ませる。この場合、各キャリッジユニット4を独立させて個別に移動させることも可能であるし、13個のキャリッジユニット4を一体として移動させることも可能である。なお、請求項に言う描画手段とは、X軸テーブル2、Y軸テーブル3およびキャリッジユニット4(機能液滴吐出ヘッド13およびヘッドユニット42)から構成されている。
【0026】
各キャリッジユニット4は、R・G・B・C・M・Yの6色、各2個(計12個)の機能液滴吐出ヘッド13と、12個の機能液滴吐出ヘッド13を6個ずつ2群に分けて支持するヘッドプレート41と、から成るヘッドユニット42を備えている(図4参照)。また、各キャリッジユニット4は、ヘッドユニット42をθ補正(θ回転)可能に支持するθ回転機構43と、θ回転機構43を介して、ヘッドユニット42をブリッジプレート32に支持させる吊設部材44と、を備えている。加えて、各キャリッジユニット4は、その上部にサブタンク(液体タンク)62が配設されており(実際には、ブリッジプレート32上に配設)、このサブタンク62から自然水頭を利用し、かつ圧力調整弁85を介して各機能液滴吐出ヘッド13に機能液が供給されるようになっている。なお、本実施形態においては、キャリッジユニット4の個数および各キャリッジユニット4に搭載される機能液滴吐出ヘッド13の個数は任意である。
【0027】
次に、図1、図5および図6を参照して機能液供給ユニット6について説明する。機能液供給ユニット6は、R・G・B・C・M・Yの6色に対応した6組の機能液供給装置60を備えている。また、機能液供給ユニット6は、後述するメインタンク61およびサブタンク62等に制御用の圧縮窒素ガスを供給する窒素ガス供給設備65と、各種開閉弁の制御用の圧縮エアーを供給する圧縮エアー供給設備66と、各部からガス排気を行うためのガス排気設備67と、を備えている。6組の機能液供給装置60は、それぞれR・G・B・C・M・Yの6色に対応した機能液滴吐出ヘッド13に接続されており、これにより、各色の機能液滴吐出ヘッド13には対応する色の機能液が供給される。
【0028】
各機能液供給装置60は、機能液の供給源を構成する2つのメインタンク61,61を有するメインタンクユニット70と、各キャリッジユニット4に対応して設けた13個のサブタンク62と、メインタンクユニット70と各サブタンク62を接続する上流側機能液流路63と、各サブタンク62と各機能液滴吐出ヘッド13とを接続する13組の下流側機能液流路64と、を備えている。各メインタンク61内の機能液は、これに接続して窒素ガス供給設備65からの圧縮窒素ガスにより加圧され、上流側機能液流路63を介して13個のサブタンク62に選択的に供給される。また同時に、各サブタンク62は、ガス排気設備67を介して大気開放され、必要量の機能液を受容する。そして、各サブタンク62の機能液は、これに連なる機能液滴吐出ヘッド13の駆動により、所定の水頭圧を維持しながら、下流側機能液流路64を介して機能液滴吐出ヘッド13に供給される。
【0029】
上流側機能液流路63は、上流端がメインタンクユニット70に接続されており、13分岐流路81を介して、下流端が後述するサブタンク62にそれぞれ接続されている。また、上流側機能液流路63には、上流側から、機能液中の気泡を除去する気泡除去ユニット82と、上流側の上流側機能液流路63内に混入した気泡を除去するエアー抜きユニット83と、が介設されている。メインタンクユニット70から供給された機能液は、13分岐流路81により13個に分流して各サブタンク62に供給される。
【0030】
ここで、図5および図6を参照して、サブタンク(液体タンク)62およびサブタンク62廻りの構造について詳細に説明する。サブタンク62は、上部に気体空間(上部空間)を有すると共に機能液を貯留するサブタンク本体(タンク本体)71と、サブタンク本体71に落し蓋様に浮かした蓋体フロート72と、サブタンク本体71の側方に配設された透明な液柱パイプ(接続管)73と、液柱パイプ73に臨み、貯留された機能液の液位を検出する液位検出機構(液面センサ)74と、サブタンク本体71の側方下部に配設された液圧センサ75と、を備えている。
【0031】
サブタンク本体71は、ステンレス等の金属材料で、薄型直方体形状に形成されている。サブタンク本体71の上部空間に面する一方の側壁71aには、通気用接続ポート(接続ポート)101を介して、通気用チューブ(通気管)76が接続されている。また、他方の側壁71aには、上部空間に面する上部および貯留する機能液に面する下部に、液柱用上接続ポート(接続ポート)103を介して液柱パイプ73の上端部が、また液柱用下接続ポートを介して液柱パイプ73の下端部が接続されている。一方、サブタンク本体71の底壁71bには、上流側機能液流路63に接続した機能液の流入経路77および下流側機能液流路64に接続した流出経路78が、それぞれ形成されており、流出ポートを介して機能液滴吐出ヘッド13に接続されている。なお、通気用チューブ(通気管)は、請求項にいう接続管である。
【0032】
通気用チューブ76は、サブタンク本体71の近傍に位置してリング状にループ(一巻き)させたループ配管部104と、ループ配管部104に連なり2分岐継手87を介して、窒素ガス供給設備65および大気と連通したガス排気設備67と接続した2本の主通気チューブ106と、から構成されている。また、ループ配管部104の下部にはループ配管部104に流入した機能液を検出する液滴検出センサ107が設けられており、液滴検出センサ107は、通気用チューブ76に誤って機能液が流入した場合に、これを検出する。
【0033】
また、主通気チューブ106のガス排気設備67側にはチューブ開閉弁88、主通気チューブ106の窒素ガス供給設備65側にはガス圧導入弁89がそれぞれ介設されている。メインタンク61からの機能液補給の際には、チューブ開閉弁88を開弁すると共にガス圧導入弁89を閉弁して、ガス排気設備67により、サブタンク本体71を大気開放し、機能液滴吐出ヘッド13への機能液供給の際には、ガス圧導入弁89を開弁すると共にチューブ開閉弁88を閉弁して、窒素ガス供給設備65により、サブタンク本体71を加圧制御するようになっている。
【0034】
液位検出機構74は、液柱パイプ73に外側から臨んでおり、上限となる機能液のオーバーフロー液位を検出するオーバーフローセンサ74aと、下限となる機能液の下限液位を検出する下限センサ74bと、上限・下限の中間位置に配設され、補給時の機能液の液位を検出する液位センサ74cと、を備えている。オーバーフローセンサ74aは、サブタンク62のオーバーフローを防止すべく設けられており、オーバーフローセンサ74aがオーバーフロー液位を検出した場合には、メインタンク61からの送液を停止させる。一方、下限センサ74bは、サブタンク62が空になるのを防止すべく設けられており、下限センサ74bが下限液位を検出した場合には、現時点のワークWの描画が終了したところで液滴吐出装置1を停止させる。
【0035】
液位センサ74cは、機能液滴吐出ヘッド13の理想の水頭値を考慮した液位(基準液位)を検出するものであり、液位センサ74cにより機能液の液位が検出されると、制御部(図示省略)との協働により、満液もしくは減液と判断される。すなわち、液位センサ74cより上に液位がある状態から、吐出動作により機能液が減り、液位センサ74cにより基準液位が検出されると減液と判断される。また、液位センサ74cより下に液位がある状態から、補給動作により機能液が増え、液位センサ74cにより基準液位が検出された後、一定時間経過すると満液と判断される。
【0036】
ここで、図6を参照して、通気用接続ポート101および液柱用上接続ポート103について詳細に説明する。上述のように、機能液の補給と供給の際、サブタンク62内は、減圧と加圧を繰り返すことになり、内壁に機能液が付着することがある。そこで、本実施形態では、特に上部空間が面する側壁71aの内面に付着した機能液の液滴(凝結液滴)が、通気用チューブ76および液柱パイプ73に流入しないように、通気用接続ポート101および液柱用上接続ポート103を、特殊な構造に構成している。
【0037】
図6(b)に示すように、通気用接続ポート101は、ポート本体111とチューブ接続部112とで断面「T」字状に、且つステンレス等で一体に形成されている。また、通気用接続ポート101は、ポート本体111の前端で、サブタンク本体71の側壁71aに形成した通気開口113の開口縁部に溶着されている。一方、チューブ接続部112には内周面に雌ねじ(管用テーパねじ)が形成され、通気用チューブ76が接続された通気コネクタ114がねじ接合されている(図6(b)参照)。
【0038】
通気用接続ポート101のポート本体111は、サブタンク本体71の側壁71aの内面からサブタンク本体71の外側に向かって凹入形成された凹部115と、同軸上において凹部115の奥壁面116からサブタンク本体71の内側に向かって突出形成された突出部117と、突出部117の軸心に形成した通気ポート流路(ポート流路)118と、で構成されている。そして、通気ポート流路118は、サブタンク本体71の上部空間とチューブ接続部112とを連通している。
【0039】
凹部115は、通気開口113と同径の有底略円柱状に形成されており、通気開口113を介してサブタンク本体71の上部空間に連通している。また、突出部117は、凹部115の奥壁面116からサブタンク本体71の側壁71aに向かって突出形成されており、全体として山型に形成されている。側壁71aの外面に溶着した凹部115の前端面と、通気ポート流路118が開口する突出部117の前端面とは、面一に配設されており、突出部117は、通気開口113と凹部115とにより構成された凹入空間に納まるように、言い換えれば、上部空間に突出しないように形成されている。また、凹部115と突出部117との境界部分、すなわち凹部115の奥壁面116に相当する環状部分は、断面半円形に形成されている。これにより、凹入空間に、凝結液滴の付着が極力生じないようにしている。
【0040】
次に、図6(c)を参照して、液柱用上接続ポート103について説明する。なお、上記した通気用接続ポート101と異なる部分を中心に説明する。液柱用上接続ポート103は、通気用接続ポート101と同様に、ポート本体111とパイプ接続部121とで断面「T」字状に、且つステンレス等で一体に形成されている。また、液柱用上接続ポート103は、ポート本体111の前端で、サブタンク本体71の側壁71aに形成した連通開口122の開口縁部に溶着されている。一方、パイプ接続部121には外周面に雄ねじ(管用テーパねじ)が形成され、液柱パイプ73の上端部が接続された断面L字状の液柱コネクタ123がねじ接合されている(図6(c)参照)。
【0041】
そして、液柱用上接続ポート103のポート本体111は、サブタンク本体71の側壁71aの内面からサブタンク本体71の外側に向かって凹入形成された凹部115と、同軸上において凹部115の奥壁面116からサブタンク本体71の内側に向かって突出形成された突出部117と、突出部117の軸心に形成した連通ポート流路(ポート流路)124と、で構成されている。そして、連通ポート流路124は、サブタンク本体71の上部空間とパイプ接続部121とを連通している。
【0042】
次に、通気用接続ポート101および液柱用上接続ポート103の機能を、通気用接続ポート101を例に説明する。サブタンク62を介して機能液滴吐出ヘッド13に機能液を送液すると、その機能液が経時的に周囲温度やサブタンク62の内部圧力等の影響を受け、蒸発・凝結してサブタンク本体71の内壁に付着し液滴(凝結液滴)を形成する。一部の液滴は、壁面を伝って、凹部115の縁に達する。凹部115の縁に達した一部の液滴は、凹部115の縁に沿って流れ落ちる。また、一部の液滴が、凹部115の内面に伝った場合であっても、凹部115が円柱状に形成されているため、上端から滴下することなく、速やかに内面を流れ落ちる。すなわち、突出部117に形成した通気ポート流路118のタンク側開口に液滴が達することがない。
【0043】
また、突出部117は、凹部115の凹入空間に納まるように突出形成されているため、凹部115の縁から落下した場合に、突出部117の上に落下することがないため、通気ポート流路118の開口に、液滴が流入するのをさらに阻止することができる。また、凹部115内に液滴が生じ、凹部115の縁に達した液滴が、生じた液滴に引かれて、凹部115の内面を伝って、突出部117に達することがあっても、突出部117が山型に形成されているため、液滴は、その周面を伝って流れ落ち、通気ポート流路118に流入することがない。よって、サブタンク62が大気開放する際に、上部空間の気体が通気用チューブ76に向って流れる場合であっても、凝結液滴が通気用チューブ76に流入するのを防止することができる。同様に、凝結液滴は、液柱パイプ73にも流入しないため、上記の液位検出機構74の誤作動を有効に防止することができる。
【0044】
なお、凹部115および突出部117は、略円柱状に形成されていなくてもよく、単なる円柱状に形成されていてもよく、多角柱状に形成されていてもよい。また、本実施形態では、通気用接続ポート101および液柱用上接続ポート103をサブタンク本体71とは別体に形成したが、例えば、凹部115および突出部117を、プレス成形により側壁71aと一体に形成するようにしてもよい。さらに、液柱用下接続ポートを、液柱用上接続ポート103と同一のもので構成してもよい。さらにまた、本実施形態では、通気ポート流路118および連通ポート流路124は、重力方向に対して垂直(水平)に形成されているが、重力方向に対して傾斜させて(サブタンク本体71の上部空間側が斜め下方に向くように)形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態に係る液滴吐出装置の斜視図である。
【図2】液滴吐出装置の平面図である。
【図3】液滴吐出装置の側面図である。
【図4】ヘッドユニットの平面模式図である。
【図5】機能液供給装置の配管系統図である。
【図6】サブタンク廻りの断面図模式図である。
【符号の説明】
【0046】
2…X軸テーブル 3…Y軸テーブル 4…キャリッジユニット 13…機能液滴吐出ヘッド 42…ヘッドユニット 62…サブタンク 71…サブタンク本体 73…液柱パイプ 74c…液位センサ 76…通気用チューブ 101…通気用接続ポート 103…液柱用上接続ポート 104…ループ配管部 107…液滴検出センサ 115…凹部 116…奥壁面 117…突出部 118…通気ポート流路 124…連通ポート流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続管を接続するために、タンク本体の上部空間に面する側壁に設けられた液体タンクの接続ポートであって、
前記側壁の内面から前記タンク本体の外側に向かって凹入形成された凹部と、
前記凹部の奥壁面から前記タンク本体の内側に向かって突出形成され、軸心部に前記接続管と前記上部空間とを連通するポート流路を形成した突出部と、を備えたことを特徴とする液体タンクの接続ポート。
【請求項2】
前記凹部は、円柱状に凹入形成され、
前記突出部は、前記凹部と同心の山型に突出形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体タンクの接続ポート。
【請求項3】
前記突出部は、前記凹部の凹入空間に納まるように突出形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液体タンクの接続ポート。
【請求項4】
前記タンク本体は密閉タンクであり、
前記接続管は、大気に連通する通気管であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の液体タンクの接続ポート。
【請求項5】
前記通気管は、前記タンク本体の近傍に位置してリング状にループさせたループ配管部を有し、
前記ループ配管部の下部には、前記通気管に流入した液滴を検出する液滴検出センサが設けられていることを特徴とする請求項4に記載の液体タンクの接続ポート。
【請求項6】
前記接続管は、前記タンク本体の液位検出用の液面センサが臨む液柱パイプであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の液体タンクの接続ポート。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の液体タンクの接続ポートと、
前記タンク本体と、を備えたことを特徴とする液体タンク。
【請求項8】
ワークに対し、インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドを相対的に移動させながら、前記機能液滴吐出ヘッドから機能液滴を吐出させて描画を行う描画手段と、
流出ポートを介して前記機能液滴吐出ヘッドに接続され、前記機能液滴吐出ヘッドに機能液を供給する請求項7に記載の液体タンクと、を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−13173(P2010−13173A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−176734(P2008−176734)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】