説明

液体ルーター

二つの出口マイクロ導管(マイクロ導管IおよびII)(それぞれ、4および5)の中に枝分かれする入口マイクロ導管(3)を備えて、液体を輸送するために回転軸(8a)のまわりに装置(7)を回転することにより創成される遠心力を使用している微小流体装置(7)のマイクロチャネル構造(6)の中に存在する液体ルーター(1)。ルーター(1)は、B)その中に、a)二つの出口開口部(出口IおよびII)(それぞれ、12および13)を備える下方部分(10)、ならびにb)入口マイクロ導管(3)が接続される入口開口部(14)を備える上方部分(11)があるマイクロキャビティー(9)、ならびにC)出口IおよびII(それぞれ12および13)ならびに回転軸(8a)に対して更に短いラジアル位置から更に大きいラジアル位置への伸長に接続されるマイクロ導管IおよびII(4および5)を備えることを特徴とする。マイクロ導管II(5)は、マイクロ導管I(4)に比較して減少された親水性(減少された見掛け湿潤性)を有する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つの出口マイクロ導管(マイクロ導管IおよびII)の中に枝分かれする入口マイクロ導管を備える液体ルーターに関する。ルーターは、液体を輸送するために遠心力を用いている微小流体装置のマイクロチャネル構造の中に存在する。
本明細書中で引用される全ての特許および特許出願は、全体的な出典明示により本明細書の一部とする。
【0002】
用語の微小流体は、反応物、緩衝液等を含むμl−範囲の一つもしくはそれ以上の液体容量(アリコート)が予め決められた加工法のプロトコルにしたがって微小流体装置のマイクロチャネル構造内で輸送されかつ加工されることを意味する。関係するプロトコルは、マイクロチャネル構造の異なる部分の中で起こるべき、分離、親和性反応、化学的なおよび/もしくは生物化学的な反応、検出等のような一つもしくはそれ以上の別個の工程を含み得る。
【0003】
マイクロチャネル構造の異なる部分がお互いに接続されることを示唆する表現は、文脈から他のように明白でない限り、液体を異なる部分の間に輸送する意図であることを元来意味する。
【0004】
微小流体装置のための典型的な加工法のプロトコルは、分析的な、合成的な、分取的な等の目的を有し、典型的には、生命科学領域もしくは有機の、分析の、無機の、物理の等の化学のような関連した領域内で使用される。生命科学領域は、生物学、医学(ヒトの、動物のおよび植物の医学)、診断学、生化学、分子生物学、生化学等のような自然科学を含む。
【0005】
用語“上方の/上級の”および“下方の”は、回転軸に対するラジアル位置を指す、即ち、上方の部分もしくは上級のレベルは、下方の部分もしくはレベルより回転軸に更に近い。上向きの/内向きの/上のは、回転軸に向かってを意味して、下向きの/外向きの/下のは、回転軸からを意味する。文脈から他のように明白でない限り、これらの定義が当てはまる。
【背景技術】
【0006】
背景技術
微小流体装置での一般的なゴールは、同一のマイクロチャネル構造内に可能な限り多くの加工法の工程のための流体機能を組み込むことである。組み込みは、それが、時間のかかる試料移動の操作ならびに、例えば、試料および試薬の損失の危険性を減少するので、有益である。組み込みは、主要な加工流れからの下流工程に負に影響を及ぼす成分を含有する液体を除外する必要に至り得る。典型的なそのような液体は、汚染物を含有し得る洗浄液、および分離加工を必要とする液体である。これを行う一つの方式は、マイクロチャネル構造の主要な加工流れ/流路からこの種類の液体を取り除くことである。これは、簡単でかつ信頼できる液体ルーターを必要とする。
【0007】
微小流体装置でのもう一つの一般的なゴールは、高度の平行性をもって与えられる加工法のプロトコルを実施すること、即ち、同一の装置の上に大多数の同様なマイクロチャネル構造を有すること、である。かくして、液体ルーティング機能は、マイクロチャネル構造の間で容易に再現されねばならない。
【0008】
二つの娘の/出口のマイクロ導管の中に枝分かれする入口マイクロ導管に基づいて、そしてルーティングが娘マイクロ導管の間の表面特性の相違に依存するルーティング機能は、遠心力をベースとする微小流体装置の文脈の中で以前に記述されている:
●一般的な説明は、WO 02074438(Gyros AB)の中に示されている。
●外向きに指向される入口マイクロ導管、場合により枝分かれのすぐ下流に疎水性化された区分を有する、外向きに指向される出口マイクロ導管、および内向きに指向される出口マイクロ導管を備えるルーターは、WO 0040750(Gyros AB)、WO 0147638(Gyros AB)、WO 0146465(Gyros AB)、WO 02074438(Gyros AB)、の中に記述されている。
●内部の表面特性の相違についての考察を何も持たない二つの外向きに指向される出口マイクロ導管は、WO 0147638(Gyros AB) の中に記述されている。
またWO 9958245(Gyros AB)を参照されたい。
【0009】
また、枝分かれした入口マイクロ導管は、枝分かれの一つが容積計量マイクロキャビティーの中に至って、他の枝分かれが廃液貯蔵槽もしくは廃液開口部に至るオーバフローマイクロ導管である、容積規定ユニットの中で使用されている。WO 02075775(Gyros AB)、WO 02075776(Gyros AB)、WO 02074438(Gyros AB)、WO 03018198(Gyros AB)を参照されたい。この種類のユニットは、液流が枝分かれの唯一つの中に特異的に入って、次いで、液体に作用する力を増加させることにより他の枝分かれに切り換えられる液体ルーティングには使用されていない。
【発明の開示】
【0010】
目的
今や、電力の必要性、装置上の可動部分等が無しに、制御されてかつ調節される様式で液体ルーターの出口マイクロ導管の間で自由に前後に切り替える可能性に関して改良のための一般的な必要があることが認識されている。かくして、主要目的は、回転速度の簡単な変更がどの特定の出口マイクロ導管の中に液体が指向されるであろうかを決定する、遠心力をベースとした微小流体装置のための、高信頼性のルーティング機能を提供することである。特定の速度で回転するための期間の長さが、特定の出口マイクロ導管に移動される液体の量を決定するべきである。副目的は、二つの出口マイクロ導管の間で一、二、三もしくはそれ以上の回数で、例えば、出口マイクロ導管の間で一、二、三もしくはそれ以上の回数で、前後に容易に切り替えることができる液体ルーターを提供することである。
【0011】
さらに、個別にルーターを備える二つ、三つもしくはそれ以上のマイクロチャネル構造を平行して操作できたように、二つの加工マイクロキャビティーの間の液体ルーターは頑健でかつ高信頼性でなければならない。
【0012】
図面
図1は、中心回転軸の周りを回転するように意図されている微小流体装置を示す。装置は、それぞれが本発明にしたがう液体ルーターを含有する6×9個のマイクロチャネル構造を備えている。
図2は、図1の中と同一の種類の拡大された単一のマイクロチャネル構造を示す。
図3は、図2のマイクロチャネル構造のルーターの拡大された変形体を示す。
図4は、本発明にしたがう液体ルーターの変形体を示す。
【0013】
図面に図示される微小流体装置は、12cmの直径、即ち従来のCD形式を有する。図1は実質的に1:1スケールにある。構造の深さは典型的には100μmである。
μmでの尺度が図2に示されている。
上向きの/内向きの方向は図2〜4において矢印(8)で指し示されている。
【0014】
本発明
本発明者等は、その入口マイクロ導管(3)の枝分かれ(2)における液体ルーター(1)の内部幾何学的形状および内部表面特性を適切に結合することにより、目的を達成することができることを認識した。
【0015】
本発明の第一の態様は、二つの出口マイクロ導管(マイクロ導管IおよびII)(それぞれ、4および5)の中に枝分かれする入口マイクロ導管(3)を備える液体ルーター(1)である。ルーター(1)は、液体を輸送するために回転軸(8a)の周りに装置を回転することにより創成される遠心力を使用している微小流体装置(7)のマイクロチャネル構造(6)の中に存在する。この態様の主な特色的特徴は、ルーター(1)が、
A)a) 二つの出口開口部(出口IおよびII)(それぞれ、12および13)を備える下方部分(10)、ならびに
b) 入口マイクロ導管(3)が接続される入口開口部(14)を備える上方部分(11)、
を有するルーティングマイクロキャビティー(9)、ならびに
B) 回転軸(8a)に対して更に短いラジアル位置から更に大きいラジアル位置へのルーティングマイクロキャビティー(9)の伸長の出口IおよびII(それぞれ、12および13)に接続されるマイクロ導管IおよびII(4および5)
を備えることである。
【0016】
マイクロ導管II(5)および出口II(13)に関連する見掛け湿潤性(=親水性)は、マイクロ導管I(4)および出口I(12)に関連する見掛け湿潤性と比べ減少している。このことから、入口マイクロ導管(3)を介してルーティングマイクロキャビティー(9)を部分的に満たして出口I(12)および/もしくは出口II(13)と接触している液体は、吸上げにより、出口I(12)を通してマイクロ導管I(4)の中に漏れ出ると予測される。他の出口マイクロ導管II(5)を通して、全く無いかもしくは遥かに少ない吸上げが起こっている。好ましくは、出口II(13)の周りのおよび/もしくはマイクロ導管II(5)の内部表面の上の適切な疎水性の(非湿潤性な)パターン化により、見掛け湿潤性の減少を達成することができる。下を参照されたい。
【0017】
かくして、特定の出口マイクロ導管のもしくはマイクロキャビティーの出口の見掛け湿潤性/親水性は、水のような、水性液体が自己吸引および/もしくは毛管現象によりマイクロ導管/出口を通しては入る、通過するかもしくは漏れるかまたはそれを満たす能力を反映している。マイクロキャビティーからのマイクロ導管および出口は、高い見掛け湿潤性/親水性を有し得るが、マイクロ導管/出口の周りにもしくは内に正確に置かれた湿潤性の表面がある限りは、実質的に非湿潤性である液体接触表面とさらに関連している。二つのマイクロ導管(例えば出口マイクロ導管IおよびII)の見掛け湿潤性/親水性の格付けは、それらのどちらが水性液体により最も容易に満たされるかを決定することにより最も簡単に得られる。
【0018】
液体と接触するべき内部表面の主要部分は、典型的に、吸上げおよび毛管現象による液体の輸送を容易にするために湿潤性(親水性)である。かくして、これらの表面は、典型的には<90°、さらに好ましくは、≦60°もしくは≦40°≦30°≦25°である水接触角(純水、室温)を有する。これらの範囲内の湿潤性は、一つ、二つ、三つ、四つもしくはそれ以上の内部側面の上に存在し得る。一つもしくはそれ以上の内部側面が非湿潤性であるかもしくは不十分な湿潤性を有する場合には、これは、一つもしくはそれ以上の湿潤性な側面の湿潤性を増加させることにより補償され得る。疎水性の区域もしくは内部側面は、≧100°もしくは≧120°のように、典型的には≧90°である水接触角を有する。液体ルーターの適切な部分をパッチ化もしくはパターン化することを、典型的には、疎水性の区域を導入することに使用することができる。対応する開放構造が、製造の間に閉鎖される前に、パッチを印刷する、刻印する、噴霧する等により、これを行うことができる。
【0019】
入口開口部(14)および出口マイクロ導管(4および5)ならびにルーティングマイクロキャビティー(9)は、典型的には、例えば、三角形、長方形、四角形、台形等である、多角形の形で横断面区域を有する。典型的には、交差する側面壁により、例えば底部側面もしくは上部側面を交差する側面壁により規定される長手方向の内部末端(15a、b...)がある。
【0020】
入口マイクロ導管(3)および出口マイクロ導管(4および5)ならびにルーティングマイクロキャビティー(9)の適当な寸法は、微小流体装置の中のマイクロチャネル構造に既知であるのと同一な範囲内に見出され得る、即ち、少なくとも一つの横断面の寸法(幅および/もしくは深さ)、典型的には両方は、1〜1000μmまたは2〜700μmもしくは2〜500μmのように、0.5μm〜1000μmの範囲内で選択される。
【0021】
本発明は、この種類の液体ルーターについて回転速度を適切に対応させることにより、液体が入口開口部(14)から外にゆっくりと通過して、入口開口部(14)を出口II(13)と接続する内部表面(16)の上で下方に輸送されるであろうという発見に基づいている。出口II/マイクロ導管II(13/5)に関連する減少された見掛け湿潤性により、マイクロ導管II(5)を通って外に輸送される前に、液体は停止するであろう。液体が入口開口部(14)から外に連続して通過しているので、静止している小液滴が形成して、入口開口部(14)の下で連続して容積を増加するであろう。液滴が十分に大きいときには、それは、出口I(12)の上のルーティングマイクロキャビティー(9)の内壁の向かい合った表面(17)と接触するかおよび/もしくは出口IおよびII(12および13)の間の最上の区域(18)の周りに漏れ出るであろう。マイクロ導管I(4)の内部表面(19)の中に存在するかもしくはルーティングマイクロキャビティー(9)の向かい合った内部表面(17)の中に延長している湿潤性な区域に小液滴が到達すると直ぐに、吸上げがマイクロ導管I(4)の中にさらに下方に液体を迅速に輸送するであろう。この下向きの輸送は、微小流体装置(7)を回転することにより創成される遠心力により支持されているようである。回転/遠心力の僅かな増加は、同一の通路に沿って本質的な連続液流を与えるであろう。
【0022】
回転をさらに増加させることにより、入口開口部(14)の下に収集される小液滴に作用する外向きに指向される遠心力は、更に低い回転速度のために輪郭が描かれている通路に従う代わりに、マイクロ導管II(5)を通って小液滴が下向きに輸送されるようにさせるであろう。回転の適切な増加は、液体がマイクロ導管II(5)に関連する減少された見掛け湿潤性を克服することを容易にするであろう。
回転を減少することにより、液体はマイクロ導管I(4)を通って輸送されるのを再開するであろう。
【0023】
液体の特定なルーティングのために必要な回転速度は、ルーターマイクロキャビティーの幾何学的形状および横断面の寸法、ルーティングマイクロキャビティーに接続されるマイクロ導管の立体配置および横断面の寸法、液体の表面張力、回転軸からの距離、出口IIの回りおよびマイクロ導管II内の疎水性パターン化を含むマイクロ導管IおよびIIの間の見掛け湿潤性の相違、マイクロ導管I内の可能な親水性パターン化、親水性にパターン化されていない区域の湿潤性(例えば、ルーティングマイクロキャビティー、入口マイクロ導管および出口マイクロ導管内で)等のような、種々の要素に複雑な様式で依存するであろう。
【0024】
入口マイクロ導管
入口マイクロ導管(3)は、典型的に、好ましくは少なくとも部分的に入口開口部(14)より更に高いレベルにある、液体貯蔵槽(20)と流体連絡にある上流方向にある。
【0025】
入口マイクロ導管(3)の横断面の寸法および形状(長さ、曲率等)は、特別には重要でない。一定でまたは増加してもしくは減少しているか、または一定な、増加するおよび/もしくは減少するを交互にする、横断面の寸法(幅および深さ)ならびに/または横断面の区域を、入口マイクロ導管(3)が有し得る。入口開口部(14)に隣接する幅および深さならびに/もしくは横断面の区域の少なくとも一つは、ルーティングマイクロキャビティー(9)の横断面の寸法ならびに/または横断面の区域より更に小さくなければならない。
【0026】
入口マイクロ導管(3)の寸法および形状は、典型的に、入口マイクロ導管(3)の上流に置かれる液体貯蔵槽(20)の中で加工工程が行われるように適合するように選択される。もし加工工程が貯蔵槽(20)の中で固体相(21)を必要とするならば、デザインは、床を通過する液体の制御される流れを容易にするかおよび/もしくは液切れされることから床を防止しなければならない。これは図面に与えられたデザインで達成され得る、即ち、入口マイクロ導管(3)が顕著な圧力低下を引き起こして比較的狭くなければならず、そして少なくとも下方極端(23)において入口開口部(14)より更に低いレベルにあって、好ましくはまた、ルーティングマイクロキャビティー(9)の下方部分(10)の下である下向きの曲がり(22)を有しなければならない。また、典型的には、下向きの曲がり(22)および入口開口部(14)の間に上向きの曲がり(24)があって、この曲がりの上方極端(25)は、好ましくは入口開口部(14)の上にある。
【0027】
上向きの曲がり(24)の極端(25)の下で、また場合により入口開口部(14)の下のレベルに、固体相(床)(21)が置かれる。固体相は、貯蔵槽(20)の少なくとも一部の内部表面かまたは多孔性プラグもしくは粒子の充填床の形にある多孔性床であり得る。クロマトグラフィーの床は多孔性床の例である。加工工程は、典型的には、固体相(21)(=親和性床)への親和性吸着、もしくは溶解された反応物および固体相に固定化される基/反応物の間の或る他の種類の不均一反応を意図する。狭いマイクロ導管および制御される流れを容易にするためのそれらの使用は、WO 02075312(Gyros AB)およびWO 03024598(Gyros AB)の中に詳細に考察されていて、また原理的には、たとえ特定の工程がそれ自身の好ましいデザインを有し得るとしても、上流貯蔵槽(20)の中で実施されるべき大抵の他の加工工程に使用され得る。
【0028】
入口マイクロ導管(3)の湿潤性は、良好な液体輸送のためには不可欠でない。しかしながら、好ましい場合には、一旦導管の末端の一つ、例えば、ルーティングマイクロキャビティー(9)の入口開口部(14)もしくは上流液体貯蔵槽(20)と流体連絡にある末端(26)を通って、純水が入ったならば、湿潤性は純水が毛管作用(“自己吸引”)により導管を満たすのに十分であるべきである。入口マイクロ導管(3)の内部表面の好ましい湿潤性は、典型的に、上で考察された範囲内に見出される。
【0029】
液体貯蔵槽(20)は特定の加工工程のために意図され得る、即ち、下で考察されるように加工マイクロ導管であるかまたは下流で液体ルーターの中に更なる輸送の前に、液体を収集するかおよび/もしくは攪拌するための貯蔵槽で単にあり得る。下を参照されたい。
【0030】
ルーティングマイクロキャビティー
ルーティングマイクロキャビティー(9)の寸法は、典型的に、液体ルーターについて上で一般的に示される範囲内で選択される。
【0031】
ルーティングマイクロキャビティーの横断面の寸法(幅および深さ)ならびに/もしくは横断面の区域は、これらの寸法の少なくとも一つがルーティングマイクロキャビティー(9)のフルレングスについてもしくはその一部について一定な、増加するおよび/または減少する場合には特異的な作用がおそらく達成され得るけれども、不可欠ではないと信じられている。
【0032】
マイクロ導管IおよびII(4、5)の間の内部表面区域(18)の最上部分は、ルーティングマイクロキャビティーの最下方点を規定する、即ち、この点/部分の下のルーター(9)の内部容積は出口マイクロ導管(4、5)に属する。この点/部分のレベルはまた、出口IおよびII(12、13)のラジアル位置を規定する。
【0033】
流れの方向および/もしくはラジアル方向に垂直なルーティングマイクロキャビティー(9)の最大の横断面区域は、典型的に、ルーティングマイクロキャビティーの入口開口部(14)の区域より、例えば、>5もしくは>10もしくは>25もしくは≧50もしくは≧100のように、ファクター>2だけ、更に大きい。大抵の場合には、このファクターは1000を超えていない。
【0034】
出口II(13)およびマイクロ導管II(5)の減少された見掛け湿潤性に関連する疎水性パターン化(27、27a、27b)の上方末端から、入口開口部(14)は分離されねばならない。対応する距離、即ち、
●入口開口部(14)および出口II(13)の間の、ならびに/もしくは
●入口開口部(14)ならびに疎水性パターン化(27)のならびに出口II(13)およびマイクロ導管IIの見掛け湿潤性に影響する他の局所的区域の上方末端の間の
ラジアル位置の相違(=ラジアル距離)は、≧50μmもしくは≧100μmもしくは≧150μmもしくは≧200μmもしくは≧300μm≧のように、典型的に≧25μmである。この距離は、大抵の実施態様では、≦1000μmもしくは≦600μmもしくは≦400μmのように、≦2000μmである。更に長い距離は、更に短い距離より更に高い液体の柱/液滴の形成を支持するので、特定の長さが有益である。これはひいては、マイクロ導管Iの中への代わりにマイクロ導管IIの中へ液体を押し込むことを更に容易にするであろう(更に少ない力、更に低い回転速度)。指し示されるように、これらの範囲はまた、マイクロ導管II(5)の見掛け湿潤性を減少する他の型の局所的区域に当てはまる。下を参照されたい。
【0035】
液体が出口I(12)を通って通過する傾向は、ルーティングマイクロキャビティー(9)の幅および/もしくは深さに依存するであろう。この故に、
a)入口開口部(14)および出口II(13)の間のラジアル位置の相違(=ラジアル距離)ならびにルーティングマイクロキャビティー(9)の最大横断面の寸法、ならびに/もしくは
b)入口開口部(14)およびマイクロ導管II(5)の減少された見掛け湿潤性の減少を引き起こす局所的区域(27)の上方末端の間のラジアル位置の相違(=ラジアル距離)
の間の比率は、≧1もしくは≧2のように、≧0.5であるべきであって、好ましくは、≧5もしくは≧10もしくは≧25もしくは≧50もしくは≧100である。
【0036】
入口開口部(14)に隣接している内部表面(16)の部分(16a)は、好ましくは湿潤性であり、そして、入口開口部に隣接していて、半径に向かって更に多く曲がっている他の内部表面部分(例えば17a)より意図する回転軸から外向きの/下向きのラジアル方向(8)に更に近接する方向を有している。湿潤性な表面部分(16a)および入口開口部(14)におけるラジアル方向の間の角度は、≦45°もしくは≦25°もしくは≦10°のように、典型的に≦90°であるかまたは外向きのラジアル方向(≦5°)と実質的に同一である。これらの数値は絶対値を表して、かくしてラジアル方向から正のおよび負の両方の角度を含んでいる。
【0037】
好ましい変形体では、ルーティングマイクロキャビティー(9)は、入口開口部(14)および出口I(12)の間のその内部表面(17)(入口開口部(14)に隣接している部分(17a)を含む内部表面(17))の上に非湿潤性なパッチもしくはパターン化(28)を備えている。パッチもしくはパターン化は、入口開口部から出口Iへの表面の上で望ましくない液体輸送を最適に妨げるために内部末端をカバーしなければならない。このパッチ/パターン化は、上方部分(11)の中に好ましく存在する。また、この局所的区域(28)は、下に考察されるように、幾何学的表面特性の変化を呈示することができた。
【0038】
また局所的な非湿潤性区域は、入口開口部(14)および出口II(13)(示されていない)の間の表面(16)の中に(下を参照)、ならびに出口Iおよび出口IIの間の内部表面(18)の上に配置され得る。また、入口開口部(14)および出口II(13)の間のそのような区域(示されていない)は、ルーティングマイクロキャビティー(9)内で、もしそれが存在しないときより更に高いレベルにおいて液体が停止するであろうことを意味するであろう。
【0039】
ルーティングマイクロキャビティー(9)の上方部分(11)は、好ましくは入口開口部(14)から出口I(12)へ伸びている内壁の表面(17)の中に通気開口部(29)を有する。通気開口部(29)は、典型的には、液体が入口開口部(14)を通っては入っているかおよび/または出口マイクロ導管IもしくはII(4、5)を通って出ているときに形成されるかもしれない過圧力(over pressure)または下圧力(sub pressure)を均一化するためにデザインされる。通気開口部(29)は、好ましくは、例えば、入口開口部(14)から出口マイクロ導管I(12)への液体の望ましくない初期漏洩を防ぐために使用される非湿潤性な区域と少なくとも部分的に一致する、非湿潤性な表面区域もしくはパッチ(28)により囲まれている。通気開口部(29)は、典型的には、環境大気に至る通気マイクロ導管(29a)に直接接続されている。この通気マイクロ導管(29a)は、典型的には、少なくとも通気開口部に隣接して非湿潤性な内部表面を有している。この通気開口部/マイクロ導管(29/29a)は、入口開口部/マイクロ導管(14、3)から物理的に離れている。
【0040】
出口マイクロ導管
出口マイクロ導管(4、5)は、直線でもしくは曲線であり得る。それは、その長さに沿って一定であるかまたは下流方向に、例えば、ルーティングマイクロキャビティー(2)との接続部に隣接して、下流方向に狭くなっているかもしくは広くなっている横断面の区域および/または横断面の寸法を有し得る。これは、二つの出口マイクロ導管(4、5)の一つもしくは両方のいずれかに当てはまる。
【0041】
出口マイクロ導管(4、5)は、出口マイクロ導管を介して貯蔵槽に達する液体を保持するための貯蔵槽(下流貯蔵槽)(30)と下流方向に流体連絡にあり得る。貯蔵槽(30)は、廃液のために(廃液貯蔵槽)ありえるかもしくはルーティングマイクロキャビティー(9)により貯蔵槽(加工マイクロ導管)の中に送られる液体アリコートを加工するためにあり得る。下を参照されたい。出口マイクロ導管(4、5)の一つに接続される貯蔵槽は、環境大気に開放している廃液の放出口(31)と置き換えられ得る。
下流貯蔵槽(30)および廃液の放出開口部(31)は、もし存在すれば、典型的にはルーティングマイクロキャビティー(9)より更に低いレベルにある。
【0042】
出口マイクロ導管II(5)の見掛け湿潤性の低減は、周りの上流のおよび下流の内部表面に対して表面特性の変化を含む局所的区域(27)を導入することにより達成され得る。この変化は、幾何学的なおよび/もしくは化学的な表面特性に関し得る。この種類の局所的区域は、典型的に、出口マイクロ導管II(5)の内壁/表面の上におよび/もしくは、好ましくは、その上で入口開口部から下方に遠心力により輸送される液体が通過すべき部分の上で、出口II(13)に近接するルーティングマイクロキャビティーの下方部分(10)の内壁/表面(16)の上に配置される。液体のフロントが変化が開始する境界に達するときには、フロントは停止して、液滴の表面が、出口マイクロ導管I(4)の中に延長している湿潤性な区域(17、19)に達するまで、もしくは液滴の高さが局所的区域(27)により創成される流れの障壁を乗り越えるまで、増加している液滴が形成するであろう。回転速度を増加することにより、更に小さい高さがマイクロ導管II(5)の中への通過に必要である。上の考察を参照されたい。
【0043】
表面特性の変化は、幾何学的なおよび/もしくは化学的な表面特性の変化に関し得る。
典型的な幾何学的変化は、液体輸送の方向に実質的に垂直であるひだの形の急な変化である。
【0044】
化学的な表面特性の典型的な変化は、表面の減少した湿潤性(増加した疎水性もしくは減少した親水性)に、例えば、上で一般的に考察される範囲内の非湿潤性に、関する。
【0045】
ルーティングマイクロキャビティー(9)もしくは出口マイクロ導管II(5)内で、変化を含む局所的区域(27)は、典型的に、一つ、二つ、三つ、四つもしくはそれ以上の内部側壁(底および上端を含んで)の表面の中に存在する。局所的区域が二つ以上の内部側壁の上に存在する場合には、これらの側壁は、典型的に、向かい合っているかおよび/もしくは近接している。表面特性の変化を含む局所的区域はまた、好ましくは、局所的区域と同一なラジアルなおよび/もしくは角の位置において規定される内部末端を備える。
【0046】
変化を含む局所的区域(27)の下流方向での長さは、上流末端における最大の横断面の寸法に、≦25倍もしくは≦10倍もしくは≦5倍のように典型的に≦50倍であるかまたは実質的に同一である。これは、長さが、局所的区域の上流末端における最大の横断面寸法の、≦0.1倍もしくは≦0.01倍のように≦0.5倍であり得ることを除外しない。規則として、局所的区域の長さは、≧10μmもしくは≧50μm≧のように、典型的に≧5μmである。上限は、典型的に2000μmもしくは1000μmである。
【0047】
液体貯蔵槽
本発明の液体ルーターは、液体貯蔵槽(20)と流体連絡にある入口開口部(14)を介して上流方向にならびに一つ、二つもしくはそれ以上の液体貯蔵槽(30、32)と流体連絡にある出口マイクロ導管IおよびII(4、5)の一つもしくは両方を介して下流方向にある。これらの液体貯蔵槽および液体ルーターは、同一のマイクロチャネル構造(6)の部分である。
【0048】
出口マイクロ導管(4、5)の一つは、例えば、二つもしくはそれ以上のマイクロチャネル構造(6)にもしくは同一のマイクロチャネル構造(図2の31)の異なる部分からの廃液の放出口に共通であり得る廃液の放出開口部(31)と流体連絡にあり得る。
【0049】
この文脈における液体貯蔵槽は、本発明の液体ルーター(1)(それぞれ、上流貯蔵槽(20)および下流貯蔵槽(30、32))を通って輸送されるかもしくはされた液体アリコートを保持する能力があるマイクロキャビティーを意味する。液体貯蔵槽は、例えば、一つもしくはそれ以上の他の液体アリコートがマイクロチャネル構造内で加工される期間の間に、液体アリコートを保持するかもしくは収集するためにのみ使用され得る。これは、例えば貯蔵槽が廃液の貯蔵槽であること、を含む。しかしながら、典型的には、液体貯蔵槽は、関係するマイクロチャネル構造内で行われる加工プロトコルの中に含まれる一つもしくはそれ以上の工程にしたがって液体アリコートを加工するために使用される。液体貯蔵槽は、環境大気に開放し得る、例えば、実験の部で使用されるMALDI MS検出マイクロキャビティー(32)を参照されたい。
加工すること無しに液体を保持するためにのみ使用される貯蔵槽は、保管貯蔵槽もしくは保管マイクロキャビティーと呼ばれる。
【0050】
液体アリコートを加工するために使用される貯蔵槽は、加工マイクロキャビティーと呼ばれる。この文脈における加工するは、液体アリコートの混合、計量、希釈等、蒸発、溶解、分離、無機のおよび/もしくは有機の化学反応、触媒反応、生化学反応、細胞培養、細胞反応、検出、親和性反応等、を実施することを含んでいる。一つ、二つもしくはそれ以上の操作、例えば、希釈および化学反応、等のために、同一の貯蔵槽を使用し得る。
【0051】
液体貯蔵槽は、典型的には、貯蔵槽からの液体の流れを減少するかもしくは調節するためのその放出口に関連するバルブ機能を有する。このバルブ機能は、受動性バルブ、または典型的に幾何学的なおよび/もしくは化学的な表面特性(湿潤性/非湿潤性)の局所的変化に基づく或る他の種類の閉鎖しないバルブであり得る。例えば、WO 02074438(Gyros AB)およびWO 9807019(Gamera Biosciences)を参照されたい。多孔性の一体構造の床(プラグ)および充填床のような多孔性床(21、33)は、それらが貯蔵槽(20、30)からの液体の流れを減少するホールドダウン圧力を創成するという意味でバルブと考えられている。
【0052】
加工マイクロキャビティーの文脈における生化学反応には、生物学的相互作用に基づく親和性反応、酵素反応のような生体触媒反応、細胞反応、生物学的相互作用に基づきかつ少なくとも一つの生物学的に由来する親和性反応物を利用する親和性反応のような生体親和性反応が含まれる。
【0053】
加工マイクロキャビティーは、それが適応される反応の種類にちなんで、例えば、分離マイクロキャビティー、酵素マイクロキャビティー、生体親和性マイクロキャビティー、免疫吸着マイクロキャビティー、イオン交換マイクロキャビティー、混合マイクロキャビティー、蒸発マイクロキャビティー等、と命名され得る。適切であれば、単語のマイクロキャビティーは、単語のマイクロ反応器もしくは単に反応器としばしば取り替えられる。
【0054】
もしも不均一な反応が行われるべきであれば、加工マイクロキャビティーは、典型的には、例えば、内壁の表面の形でまたは多孔性床(21、33)、例えば粒子を充填した床もしくは多孔性プラグとして固体相を含有する。行われるべき加工法に依存して、固体相は、加工法/反応に関与するべき固定化試薬もしくは基(リガンドもしくは受容体)を露出し得る。例えば、電気泳動および/もしくはサイズ排除に単に基づく特定の分離加工法においては、固体相は、そのような基を欠如し得て、それぞれ、抗−対流的なもしくは篩の媒体として主として機能し得る。
【0055】
典型的な親和性リガンドは親和性カウンターパートを有して、
a) 正の、負のもしくはゼロの正味電荷を持つ正のおよび/または負の電荷を含む荷電基、ならびに
b) 疎水性基、ならびに
c) 生体親和性基、
で例示される。
【0056】
生体親和性基には、抗体、抗原、ハプテン、炭水化物、レクチン、核酸、ホルモン、脂質、酵素反応物、ビオチン、ストレプトアビジン等に由来する基および親和性カウンターパートを有する他の種類の受容体もしくはリガンドが含まれる。酵素基は、補因子、補酵素、基質、補基質等のような、酵素を含んでいる。ホルモンは、ペプチドホルモン、ステロイドホルモン、植物ホルモン等を含んでいる。生体親和性基はまた、本質的に合成的であるが生体分子に対する親和性を有する基を含んでいる。生体親和性基ならびに/またはその親和性カウンターパートは、典型的に、ステロイド構造、脂質構造、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチドもしくはアミノ酸構造を含むペプチド構造、炭水化物構造、ならびにオリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチドおよびヌクレオチド構造を含む核酸構造の中で選択される、少なくとも一つの構造を呈示するということになる。
加工マイクロキャビティーは、単独でもしくは組合せのいずれかで、上述の加工機能および/もしくは化学的/生化学的構造のいずれかを備え得る。
【0057】
好ましい変形体において、液体ルーター(1)は、
(a) 入口マイクロ導管(3)と下流流体連絡にある第一の加工マイクロキャビティー(20)であって、ここで、マイクロキャビティーは、一つもしくはそれ以上の成分を含有する液体アリコートを、それぞれが、
(i) 一つ、二つもしくはそれ以上の当該一つもしくはそれ以上の成分の残存する量、および/または
(ii) 加工の間に形成される一つもしくはそれ以上の生成物の成分
を含有する、一つもしくはそれ以上の液体アリコートに加工するために使用され、
(b) 当該一つもしくはそれ以上の他の液体アリコートの少なくとも一つを加工するための出口マイクロ導管(4、5)の一つと上流流体連絡にある第二の加工マイクロキャビティー(30、32)、
を備えるマイクロチャネル構造(6)の部分である。
【0058】
マイクロチャネル構造内で加工されるべき液体
本液体ルーター(1)を備えるマイクロチャネル構造(6)内で与えられた加工プロトコルにしたがって加工されるべき液体アリコートの少なくとも一つ、好ましくは全部、は、>5mNm、好ましくは、>20mNmのように、>10mNm、の表面張力を有する。典型的な液体は水性であって、単独でまたは一つもしくはそれ以上の有機溶媒との組合せで水と混和性である有機溶媒を含み得るかまたは含み得ない。
【0059】
使用される液体アリコートもしくは試薬の少なくとも一つは、典型的には、例えば、上で示される構造の一つもしくはそれ以上を含むことかまたは細胞もしくは組織のホモジネート、細胞上澄み液、全血、血漿、血清もしくは血液細胞、唾、尿、脳脊髄液、涙液、吐き出し液、糞、リンパ液、嘔吐液、腸液、胃液等のような生物学的液体または生物学的物質に由来することにより、生物学的起源を有する。
【0060】
また、試薬、反応物等を欠く液体アリコートを使用し得る。これらの液体は、典型的に、希釈液、洗浄液、脱吸着液等として使用される。この種類の液体は、緩衝系、洗剤、水に混和性の有機溶媒等からなる群より選択される、少なくとも一つのメンバーを含有し得る。
【0061】
装置内で加工される液体容積/アリコートは、典型的には、nlの範囲、即ち≦5000μlに、好ましくは、≦1000nlもしくは≦500nlもしくは≦100nlもしくは≦50nlのように、nlの範囲、即ち5000nlにあって、それは、ひいてはplの範囲、即ち≦1000plのように、≦5000plを含んでいる。
【0062】
一般的な微小流体装置およびマイクロチャネル構造
本発明の第二の態様は、本発明の第一の態様について規定されるように、液体ルーター(1)を含有する一つもしくはそれ以上のマイクロチャネル構造(6)を備えることを特徴とする微小流体装置(7)である。
用語の微小流体装置(7)は、序言の部の中で規定されている。
【0063】
本革新的な液体ルーター内で二つもしくはそれ以上の構造サブユニットの間に液体を駆動するために回転軸(8a)の周りを回転するように、革新的な微小流体装置(7)を対応する。また、遠心力を使用して、マイクロチャネル構造の他の機能性ユニットの間に液流を駆動することができるように装置をデザインし得る。これは、装置を適切なスピナーの中に置くときには、それぞれのマイクロチャネル構造の少なくとも上流部分が、同一のマイクロチャネル構造の下流部分より回転軸に更に近接するべきであることを意味する。これは特に、ルーティングマイクロキャビティーの、それぞれ、上方のおよび下方の部分のような、本発明の液体ルーターの上流ならびに下流部分に当てはまる。
【0064】
微小流体装置は、典型的に、それぞれディスク平面と実質的に平行なマイクロチャネル構造を有するディスク形である。革新的な微小流体装置のこの変形体は、典型的には、ディスク平面に直交するかもしくは平行である対称軸(C、n=2、3、4、5,6.......∞)を有する。
【0065】
回転軸は、装置を交差し得るかもしくはし得ない。特定の好ましい変形体では、回転軸はディスク平面に直交して、それについてnは典型的に∞(円形装置)である対称軸と合致する。これを図1〜5に図示する。回転軸が装置を交差すること無しにディスク平面に平行である変形体は、WO 2004050247(全体的な出典明示により本明細書の一部とする)に示されている。
【0066】
本発明の微小流体装置は、典型的には、≧10もしくは≧50もしくは≧100のように、一つ、二つもしくはそれ以上のマイクロチャネル構造を備えて、それぞれは本発明にしたがう液体ルーターを有している。それぞれのマイクロチャネル構造は、典型的な場合には構造が一つもしくはそれ以上の環状のリングにあることを意味する上で考察されるように、配置される。
【0067】
それぞれのマイクロチャネル構造(6)は、入口孔(35)を持つ入口配置(34)、ルーター(1)の入口マイクロ導管(3)を介して本発明の液体ルーター(1)に接続される上で考察される型の下流液体貯蔵槽(20)を備えている。一つもしくはそれ以上の出口マイクロ導管(4、5)には、革新的な液体ルーター(1)の文脈において記述されるように少なくとも一つの下流液体貯蔵槽(30、32)が直接的にもしくは間接的に接続される。一つもしくはそれ以上の出口マイクロ導管(4、5)には、廃液貯蔵槽もしくは廃液の放出口(31)の形でのいずれかで廃液配置(36)が接続される。本発明にしたがうかもしくは或る他の種類の液体ルーターの一つもしくはそれ以上を出口マイクロ導管(4、5)および下流貯蔵槽(30、32)もしくは廃液の放出口(31)の間に挿入し得ることが想定され得る。この後者の変形体では、出口マイクロ導管は、第一の液体ルーターに下流のさらに別の液体ルーターの入口マイクロ導管に接続される。この方式で、上流の液体ルーターの出口マイクロ導管は、二つもしくはそれ以上の液体貯蔵槽(示されていない)と流体連絡にあり得る。
マイクロチャネル構造の寸法(広さおよび/もしくは深さ)は、液体ルーターの文脈において上で考察されている。
【0068】
マイクロチャネル構造内の液体の輸送を、遠心力以外の力、例えば、他の慣性力、界面動電力、毛管力、静水力等、により駆動し得る。ポンプ上げ機構および/もしくは種々の種類のポンプを使用し得る。典型的には、遠心力および/もしくは毛管力が、本発明の液体ルーターにおいて、また少なくとも入口配置において利用される。
【0069】
微小流体装置は、プラスチック材料、ガラス、シリコン等のような異なる材料から作成され得る。ポリシリコンはプラスチック材料に含まれる。製造の観点から、プラスチック材料は、この種類の材料は通常安価であって、例えば複製により、大量生産を容易に行うことができるので、多数倍で好まれる。複製技法の典型的な例は、型押し、成形(射出成形を含む)等である。例えば、WO 9116966(Pharmacia Biotech AB, Ohman & Ekstrom)を参照されたい。複製加工法は、典型的には、中間生成物として開放マイクロチャネル構造をもたらして、それが、引き続いて、例えば、WO 0154810(Gyros AB, Derand et al)に提示される手順にしたがいもしくはその中に引用されている出版物に記述される方法により、蓋または上部基板によりカバーされる。適切な親水性の/疎水性のバランスは、WO 0056808(Gyros AB, Larsson et al)およびWO 0147637(Gyros AB, Derand et al)の中に要約されている原理にしたがって好ましくは得られる。適当な湿潤性の範囲は、本液体ルーターについて本明細書中で考察されるのと同一の範囲内で見出される。液体ルーターの非湿潤性な内部表面に加えて、非湿潤性な表面がまた、マイクロチャネルの他の部分の中に、例えば、閉じていない且つ/もしくは受動性のバルブ機能の中にならびに抗−吸上げ手段の中に存在し得る。
実験の部をまた参照されたい。
本発明の液体ルーターを備えるマイクロチャネル構造は、本発明の第三の態様である。
【0070】
方法の態様
本発明の第四の態様は、回転軸(8)の周りを回転することにより装置の液体ルーター(1)を通して遠心力により、液体を駆動できるようにデザインされる微小流体装置(7)のマイクロチャネル構造(6)内で入口マイクロ導管(3)の二つの枝分かれ(出口マイクロ導管IおよびII)(それぞれ、4および5)の間に液体を分割する方法である。方法は、
(i) 本発明の第一の態様に規定されるように、液体ルーター(1)の入口マイクロ導管(3) と下流方向に流体連絡にある、液体用の入口孔(35)を備える、少なくとも一つのマイクロチャネル構造(6)を備える微小流体装置(7)を提供すること、
(ii) 入口マイクロ導管(3)の中に液体を提供すること、
(iii) 入口開口部(14)からおよびルーティングマイクロキャビティー(9)の内部表面(16)上で下向きに、大きくなる小液滴がルーティングマイクロキャビティー(9)の中におよび/もしくは出口マイクロ導管II(13)の中に形成されるような様式で更なる下向きの輸送を妨げる局所的区域(27)に表面液流を確立する速度(速度1)で回転軸(8a)の周りに装置を回転することであって、
●速度1aが、液体が出口マイクロ導管I(4)を通って通過するだけにさせる、即ち大きくなる小液滴の自由な表面が、a)出口マイクロ導管I(5)内に、もしくはb)ルーティングマイクロキャビティー(9)内にある、湿潤性内部表面(17、19)に達し、そして出口マイクロ導管I(4)の中に伸びる、ならびに
●速度1bが、液体が出口マイクロ導管II(5)を通って通過するだけにさせる、即ち小液滴は局所的区域(27)を超えて出口マイクロ導管II(5)へ下って通過するであろう、
速度1aおよび速度1bの中で速度1が選択されること、
(iv) もし速度1aが工程(iii)で選択され、それにより液流を出口マイクロ導管I(4)から出口マイクロ導管II(5)に切り替えたならば、速度1bを変更すること、もしくはもし速度1bが工程(iii)で選択され、それにより液流を出口マイクロ導管II(5)から出口マイクロ導管I(4)に切り替えたならば、速度1aを変更すること、
の工程を含むことを特徴としている。
【0071】
≧1.10もしくは≧1.25もしくは≧1.5もしくは≧2もしくは≧2.5もしくは≧3.5もしくは≧5もしくは≧10のように、典型的にファクター>1だけ、速度1bが>速度1aである。
典型的な場合には、液体貯蔵槽(20)は、ルーター(1)の入口孔(35)および入口導管(3)の間に存在する。
【0072】
速度1の有用な値についての実際の範囲は、入口マイクロ導管の横断面寸法および長さ、ルーティングマイクロキャビティーおよび出口マイクロ導管の幾何学的形状、ルーターの異なる部分の内部における表面の湿潤性、液体ルーターの内部でのおよび/もしくは周りでの立体配置、ルーターのラジアル位置(=回転軸からのラジアル距離)等を含む数多くの因子に依存する。図面で与えられる型の円形の装置についての速度1(速度1aおよび1bを含んで)のための典型的な値は、2000〜5000rpmのように、1000〜5000rpmの範囲に見出される。
【0073】
液体ルーター(1)の上流にある貯蔵槽(20)および下流にあるもう一つの貯蔵槽(30、32)で典型的な、上で考察される加工工程の一つ、二つもしくはそれ以上で液体のルーティングを実施するために、方法が有用である。それについて革新的なルーティングを使用することができる典型的な加工工程は、液体を親和性吸着剤に吸着して引き続いて脱吸着液の使用により親和性吸着剤から成分を脱吸着することにより液体から成分を分離することを含む分離工程である。もしも液体ルーターが親和性リガンドを露出する固体相(21)を備える上流貯蔵槽(20)に連結され、そして脱吸着される成分を収集するために使用される下流マイクロキャビティーが出口マイクロ導管の一つに連結されているならば、液体ルーティングの本方法をこの種類の分離に応用することができる。固体相は、この明細書の中で何処でも考察される型を持ち得る。
【0074】
a)出口マイクロ導管II(5)が下流マイクロキャビティー(30)に連結される、b)試料液体(吸着されるべき成分を含む)および洗浄液が貯蔵槽(20)の入口(35)を介して導入される、ならびにc)装置が回転速度1aで回転されることを推定すると、液体は出口マイクロ導管I(4)を通って液体ルーターを離れるであろうが、一方では成分は貯蔵槽(20)の中の固体相(21)の上に保持される。同一の入口(35)を通って脱吸着液の引き続く導入および回転速度1bでの回転は、下流マイクロキャビティー(30)の中に成分と一緒に脱吸着液を置くであろう。もしも脱吸着される成分が更に加工される筈であるならば、下流マイクロキャビティーをそのような更なる加工を許容するようにデザインし得てそして/もしくはさらに別のマイクロキャビティーを第一の下流マイクロキャビティーの下流にある構造の中に含み得る。更なる加工は、固体相への成分の吸着に引き続く固体相の上の反応および創成される生成物の検出マイクロキャビティーへの放出を含み得る。実験の部および図面に図示される変形体を比較されたい。成分は、特性化されるべきアナライトであり得る。
【実施例】
【0075】
実験の部
WO 02975775(Gyros AB)およびGY 02775312(Gyros AB)の中に要約されているのと同一な原理にしたがって、図1〜3に示されるようにマイクロチャネル構造(6)を持つ微小流体装置(7)を製造した。カバーされていない形でマイクロチャネル構造を備える下方の基板を、上でおよびWO 0056808(Gyros AB)の中に示される手順に要約されるようにO−プラズマで親水性化した。開放構造をWO 0154810(Gyros AB)に要約されているように蓋を熱積層化することによりカバーした。蓋で構造をカバーする前に、出口マイクロ導管II(5)の減少された見掛け湿潤性を、出口II(13)に隣接する出口マイクロ導管II(5)のそれぞれの内部側壁の上に非湿潤性なパッチ(27)を付けることにより導入した。これらの区域の一つは、出口I(12)および出口II(13)の間の表面(18)をカバーした。また、通気機能(28、40)、バルブ機能(37、38)、および抗−吸上げ機能(39)として、非湿潤性なパッチを導入した。また、液体の望ましくない広がりを制御するために、入口孔(35、44)および放出口(44)において蓋の上部に、非湿潤性なパッチ(41、42、43)を導入した。蓋の下方側面は疎水性であって、マイクロチャネル構造の上部の内部表面は非湿潤性であったことを示唆する。
【0076】
ストレプトアビジンで被膜されたビーズ(ポリスチレン−ジビニルベンゼンビーズ、PCT/SE2004/000440を参照)の懸濁液の規定容積を、上流貯蔵槽(20)に接続される入口孔(35)を通して導入した。装置の外側での計量、マイクロチャネル構造(6)の中で下流への懸濁液の分配および輸送の後で、液体ルーター(1)の入口マイクロ導管(3)に接続される上流貯蔵槽(20)の下方部分の中に、充填されたnl−床(21)が形成された。逆相(RPC)ビーズの懸濁液を下方の入口孔(44)の中に導入して、容積計量マイクロキャビティー(45)の中で計量して、下流貯蔵槽(30)の中に回転によりさらに下流に輸送した。上流方向で出口マイクロ導管II(5)に接続される下流貯蔵槽(30)の下方部分の中に、逆相(RPC)nl−床(33)が形成された。RPCカラムの下流に、検出マイクロキャビティー(MALDI検出マイクロキャビティー)の形で開放貯蔵槽(32)があった。WO 02975775(Gyros AB)を参照されたい。
【0077】
上方の入口孔(35)の中に装填されて、ストレプトアビジンカラムを通して回転により通過されるビオチン化された抗−HSA抗体(ヒト血清アルブミン)の過剰な溶液で、ストレプトアビジンで被膜されたビーズ/カラムを感作した。液体が出口マイクロ導管I(4)を通って指向されたように、回転速度を選択した(1500rpm、速度1a)。
【0078】
1%のオバルブミンおよび更に低量のHSAを含有する高タンパク質含量溶液からHSAの選択的捕獲を、溶液のアリコートを上方の入口孔(35)に装填して、装置を回転させることにより感作カラム(21)を通してアリコートを通過させることにより実施した。それぞれのマイクロチャネル構造(6)について、捕獲後に溶液が出口マイクロ導管I(4)を通って指向されたように、回転速度を選択した(1500rpm、速度1a)。上方の入口孔(35)の中に装填されたリン酸塩緩衝の食塩水溶液(15mMのリン酸塩、1.5MのNaCl)を用いて捕獲されたHSAを洗浄して、引き続いて回転した。再び、液体が出口マイクロ導管I(5)の中に指向するように、回転速度を選択した(1500rpm、速度1a)。pH1.5での10mMのグリシン−HCl緩衝液(Biacore, Sweden)を用いて、親和性捕獲カラム(21)からの溶離を実施した。溶離液がRPCカラム(33)、即ち、出口マイクロ導管II(5)の中に指向されたように、回転速度を選択した(2500rpm、速度1b)。HSAはRPCカラム(33)に吸着されるようになった。次に、50%アセトニトリル(ACN)を含有する50mMのambic緩衝液pH7.8の中に配列決定等級のトリプシン(Promega Technologies, Madison, WI, USA)の50μg/mlを含有する溶液を下方の入口孔(44)を経由して構造の中に導入して、捕獲されたHSAの効率的な消化を許容するべき回転(回転速度300rpm)により遅い速度でRPCカラム(33)を超えて通過した。MALDIマトリックス(50%ACN/水中のHCCAの1mg/ml)を含有する溶液を用いてRPCカラム(33)から、消化されたペプチドを溶離した。小さいMALDI MS標的区域(MALDI MS検出マイクロキャビティー)(32)の中で結晶化を実施して、適切な質量スペクトルを記録した。WO 02075775(Gyros AB)を比較されたい。
微小流体装置(7)の一つもしくはそれ以上のサブグループの全てのマイクロチャネル構造(6)の上で平行して、このプロトコルを行った。
【0079】
Alexa 647蛍光体(Molecular Probes, Palo Alto, CA, USA)で標識されたHSAの溶液を、マイクロチャネル構造(6)の性能に従うために上流貯蔵槽(20)の入口孔(35)を介して導入した。標識化されたHSAを、それが感作化床(21)の上流部分の中にある筈であるので、収集した。脱吸着緩衝液(低pH)での溶離(回転速度1b)の後で、床(21)の中に検出可能な蛍光は何も残らなかった。上流床(21)の溶離の後で、下流のRPCカラムからの蛍光シグナルを測定した。結果は、HSAがこの後者の床(33)の上に捕獲されたことを示した。
記録された質量スペクトルのペプチド質量のデータベース検索は、オバルブミンから合計7個の同定HSAペプチドおよび5個のペプチドを与えた。
【0080】
本発明の特定の革新的な態様は、付記の請求項の中にさらに詳細に規定されている。本発明およびその利点は詳細に記述されているけれども、種々の変化、置換および変更は、付記の請求項により規定されるように本発明の精神および範囲から逸脱すること無しに本明細書中で為され得ることが、理解されねばならない。さらに、本出願の範囲は、明細書中で記載される加工法、機械、製造、物質の組成、手段、方法および工程の特定の実施態様に限定されると意図されていない。当業者が本発明の開示から容易に認識するであろうように、本明細書中で記述されている相当する実施態様と実質的に同一の機能を実施するかもしくは実質的に同一の結果を達成する、現存するかもしくは後で開発される、加工法、機械、製造、物質の組成、手段、方法または工程は、本発明にしたがって利用され得る。従って、付記の請求項はそれらの範囲内にそのような加工法、機械、製造、物質の組成、手段、方法もしくは工程を含むと意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】図1は、中心回転軸の周りを回転するように意図されている微小流体装置を示す。装置は、それぞれが本発明にしたがう液体ルーターを含有する6×9個のマイクロチャネル構造を備えている。
【図2】図2は、図1の中と同一の種類の拡大された単一のマイクロチャネル構造を示す。
【図3】図3は、図2のマイクロチャネル構造のルーターの拡大された変形体を示す。
【図4】図4は、本発明にしたがう液体ルーターの変形体を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの出口マイクロ導管(マイクロ導管IおよびII(それぞれ4および5))の中に枝分かれする入口マイクロ導管(3)を備えて、液体を輸送するために回転軸(8a)の周りに装置(7)を回転することにより創成される遠心力を使用する微小流体装置(7)のマイクロチャネル構造(6)の中に存在する液体ルーター(1)であって、
A) その中に
a) 二つの出口開口部(出口IおよびII、それぞれ12および13)を備える下方部分(10)、ならびに
b) 入口マイクロ導管(3)が接続される入口開口部(14)を備える上方部分(11)、
があるマイクロキャビティー(9)、
ならびに
B) 出口IおよびII(それぞれ12、13)に接続され、回転軸(8a)に対して更に短いラジアル位置から更に大きいラジアル位置へ伸長するマイクロ導管IおよびII(それぞれ、4および5)、
(ここで、マイクロ導管II(5)は、マイクロ導管I(4)に比較して減少された親水性を有する)
を備えることを特徴とする、液体ルーター(1)。
【請求項2】
請求項1に記載のルーター(1)であって、入口開口部(14)および出口I(12)の間の内部表面(17)の上に非湿潤性なパッチ(28)を備え、該パッチ(28)は入口開口部(14)から出口I(12)への当該表面(17)の上で液体輸送を妨げる能力があることを特徴とする、ルーター(1)。
【請求項3】
請求項1〜2のいずれか1項に記載のルーター(1)であって、出口I(12)より更に短いラジアル位置において通気開口部(29)を備え、該通気開口部(29)は、液体が出口I(12)を通ってマイクロキャビティー(9)を通り過ぎるときに、上方部分(11)の中で下圧力の発生の影響を打ち消す能力があることを特徴とする、ルーター(1)。
【請求項4】
非湿潤性なパッチ(28)が通気開口部(29)を取り囲むことを特徴とする、請求項2〜3のいずれか1項に記載のルーター(1)。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のルーター(1)であって、当該減少された湿潤性がa)出口II(13)の近くのマイクロキャビティー(9)および/もしくはb)マイクロ導管II(5)の中の周囲の区域の内壁の表面における疎水性パターン化(27)によるものであることを特徴とする、ルーター(1)。
【請求項6】
二つ、三つ、四つもしくはそれ以上の内部側壁、好ましくは向かい合っているかおよび/もしくは近接している側壁の表面が、周囲の区域内で非湿潤性であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のルーター(1)。
【請求項7】
出口I(12)および出口II(13)の間のマイクロキャビティーの内部表面(18)が非湿潤性であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のルーター(1)。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のルーター(1)であって、
a) 入口開口部(14)およびマイクロキャビティー(9)の最大横断面の寸法(幅もしくは深さ)についてのラジアル位置の相違、ならびに/または
b) 入口開口部(14)および出口II(13)ならびにマイクロキャビティー(9)の最大横断面の寸法(幅もしくは深さ)についてのラジアル位置の相違、ならびに/または
c) 入口開口部(14)ならびに出口II(13)のおよびマイクロ導管II(5)の親水性に関連する疎水性パターン化(27)の上方末端のラジアル位置の相違
の間の比率が、≧1もしくは≧2もしくは≧5もしくは≧10もしくは≧25もしくは≧50もしくは≧100のように、≧0.5であることを特徴とする、ルーター(1)。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のルーター(1)であって、入口開口部(14)および
a) 出口II(13)もしくは
b) 出口II(13)およびマイクロ導管II(5)の親水性に関連する疎水性パターン化()の上方末端
の間のラジアル位置の相違が、≧50μmもしくは≧100μmもしくは≧150μmもしくは≧200μmもしくは≧300μm≧のように、≧25μmで、そして≦600μmもしくは≦400μmのように、≦1000μmであることを特徴とする、ルーター(1)。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のルーター(1)であって、マイクロキャビティー(9)の中の流れの方向に垂直な最大の横断面区域が入口開口部(14)の区域より、例えば、>5もしくは>10もしくは>25もしくは≧50もしくは≧100のように、ファクター>2だけ、更に大きいことを特徴とする、ルーター(1)。
【請求項11】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のルーター(1)であって、当該マイクロチャネル構造(6)が、
(a) 一つもしくはそれ以上の成分を含有する液体アリコートを、それぞれが、
(i) 一つ、二つもしくはそれ以上の当該一つもしくはそれ以上の成分の残存する量、および/または
(ii) 加工の間に形成される一つもしくはそれ以上の生成物の成分
を含有する、一つもしくはそれ以上の他の液体アリコートに加工するための、入口開口部(14)と下流流体連絡にある第一の加工マイクロキャビティー(20)、ならびに
(b) 当該一つもしくはそれ以上の他の液体アリコートの少なくとも一つを加工するための出口マイクロ導管(4、5)の一つと上流流体連絡にある第二の加工マイクロキャビティー(30、32)
を備えることを特徴とする、ルーター(1)。
【請求項12】
請求項11に記載のルーター(1)であって、当該第一および第二の加工マイクロキャビティー(20、30、32)が、
(a) 分離マイクロキャビティー(例えば、多孔性床の形での固体相もしくはサイズ排除固体相のような、加工マイクロキャビティーの表面のような分離媒体としての固体相、および例えば、疎水性基、荷電基、両性基、親水性基等を含む一つもしくはそれ以上の親和性基を呈示する固体相)、
(b) 親和性反応器(即ち、均一なおよび/もしくは不均一な酵素反応、抗体、それらの抗体に活性なフラグメント、類似体等ならびに抗原、抗原フラグメント、ハプテン等のような対応する親和性カウンターパートの間の反応を含む受容体およびリガンドの間の均一なおよび/もしくは不均一な親和性反応のような均一なまたは不均一な親和性反応を実施するためのマイクロキャビティー)、
(c) 環境大気に開放しもしくは閉鎖し得る検出マイクロキャビティー、ならびに
(d) その中で異なる種類の加工法の組合せを行うことができて、加工法の種類は、例えば、分離、親和性反応、および検出から選択されるマイクロキャビティー、
から選択されることを特徴とする、ルーター(1)。
【請求項13】
二つもしくはそれ以上の当該マイクロチャネル構造(6)が微小流体装置(7)の中に存在することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載のルーター(1)。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載のルーター(1)であって、微小流体装置(7)が、ディスク平面と実質的に平面であるそれぞれのマイクロチャネル構造(6)および好ましくはディスク平面に直交するかもしくは平行である回転軸(8a)を有するディスク形であることを特徴とする、ルーター(1)。
【請求項15】
微小流体装置(7)がディスク平面に直交する対称軸(C、n=2、3、4、5,6....... ∞)(8a)を有するディスク形であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載のルーター(1)。
【請求項16】
対称軸および回転軸(8a)が合致する、好ましくは微小流体装置(7)が円形であることを特徴とする、請求項15に記載のルーター(1)。
【請求項17】
回転軸(8a)のまわりに装置(7)を回転することにより液体ルーターを通して遠心力により液体を駆動できるようにデザインされた微小流体装置(7)のマイクロチャネル構造(6)内で、入口マイクロ導管(3)の二つの枝分かれ(出口マイクロ導管IおよびII)(4、5)の間に液体を分割する方法であって、
(i) 請求項1〜16に規定されるように、液体ルーター(1)の入口マイクロ導管(3)と下流流体連絡にある液体用の入口孔(35)を備える、少なくとも一つのマイクロチャネル構造(6)を備える微小流体装置(7)を提供すること、
(ii) 入口マイクロ導管(3)の中に液体を提供すること、
(iii) 入口開口部(14)からおよびルーティングマイクロキャビティー(9)の内部表面(16a、16)上で、下向きに、大きくなる小液滴がルーティングマイクロキャビティー(9)の中におよび/もしくは出口マイクロ導管II(15)の中に形成されるように、下向きの輸送を妨げる局所的区域(27)に、表面液流を確立する速度(速度1)で、装置(6)を回転することであって、
A) 速度1aが、液体が出口マイクロ導管I(12)を通って通過するだけにさせる、即ち大きくなる小液滴の自由な表面が、a)出口マイクロ導管I(4)内に、もしくはb)ルーティングマイクロキャビティー(9)内にある湿潤性な内部表面(19、17)に達し、そして出口マイクロ導管I(4)の中に伸びる、ならびに
B) 速度1bが、液体が出口マイクロ導管II(12)を通って通過するだけにさせる、即ち小液滴が局所的区域(27)を超えて出口マイクロ導管IIへ下って通過するであろう、
速度1aおよび速度1bの中で速度1が選択されること、ならびに
(iv) もし速度1aが工程(iii)で選択され、それにより液体の輸送を出口マイクロ導管I(4)から出口マイクロ導管II(5)に切り替えたならば、速度1bを変更すること、またはもし速度1bが工程(iii)で選択され、それにより液体の輸送を出口マイクロ導管II(5)から出口マイクロ導管I(4)に切り替えたならば、速度1aを変更すること、
の工程を含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−507708(P2007−507708A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532237(P2006−532237)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【国際出願番号】PCT/SE2004/001424
【国際公開番号】WO2005/032999
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(505358004)ユィロス・パテント・アクチボラグ (22)
【氏名又は名称原語表記】Gyros Patent AB
【Fターム(参考)】