説明

液体供給ノズル

【課題】レイアウトの自由度を高めることができるとともに、供給時の液体の飛散および供給後の後だれを防止することができる液体供給ノズルを提供する。
【解決手段】通路径D1の上流側飲料通路14を有する筒状の上流側ノズル部11と、この上流側ノズル部11の下流端から上流側ノズル部11に沿って延びるように設けられ、上流側飲料通路14よりも大きな通路径D2の下流側飲料通路15を有し、上流側および下流側飲料通路14、15を介して搬送された飲料Dを下流端から吐出する筒状の下流側ノズル部12と、上流側ノズル部11と、下流側ノズル部12との境界部分に、上流側および下流側飲料通路14、15と外部とを連通するように設けられ、上流側飲料通路14から下流側飲料通路15に飲料Dが流れるのに伴って、外部から下流側飲料通路15にエアを吸引するためのスリット13と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばカップ式自動販売機や飲料ディスペンサなど、液体を供給する装置に用いられ、飲料などの液体を吐出し、カップなどの容器に供給する液体供給ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、カップ式自動販売機では、販売時に、商品取出口のカップステージなどに載置した状態にセットされたカップに、コーヒーやジュースなどの飲料が注がれて、購入者に提供される。カップに注がれる飲料は、コーヒー抽出装置、ミキシングボウル、シロップタンクおよび給水タンクなどからそれぞれ延びる搬送パイプを介して、カップの付近まで搬送される。そして、この搬送された飲料は、各搬送パイプの先端部に接続された飲料供給ノズルから吐出され、カップに供給される。このような飲料供給ノズルとして、従来、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。
【0003】
この飲料供給ノズルは、長さ方向の全体にわたって内径が一定の円筒状に形成されており、その内部には、飲料通路が画成されている。また、飲料供給ノズルの先端部の下側には、いわゆる後だれによって吐出口から漏れた微量の飲料をカップの外側に案内する液体ガイドが設けられている。一般に、通路径が一定の飲料通路を有する飲料供給ノズルでは、吐出された飲料は、吐出口の径方向に拡散しやすく、吐出口から離れるほど、その拡散がより大きくなる(図4参照)。そのため、特許文献1の飲料供給ノズルは、飲料がカップの外に飛散しないよう、吐出口がカップの開口周縁部の直ぐ上に位置するように配置されている。
【0004】
このように、飲料供給ノズルが、カップに対して非常に近い位置に配置されることにより、吐出された飲料のカップ外への飛散を防止できるものの、飲料供給ノズルの配置可能な位置が限定されるため、飲料供給ノズルのレイアウトの自由度が低くなってしまう。また、飲料供給ノズルによるカップへの飲料の供給は、吐出された飲料をカップの内壁に当てるようにして行われる。しかし、この場合、カップの内壁に当たる飲料の衝撃が大きいと、内壁からの飲料の跳ね返りも大きくなり、それにより、飲料がカップの外に飛散することがある。さらに、上記の飲料供給ノズルでは、後だれによる飲料が、液体ガイドを介して、カップの外側に案内されるものの、その飲料でカップステージが汚れるという問題もある。
【0005】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、レイアウトの自由度を高めることができるとともに、供給時の液体の飛散および供給後の後だれを防止することができる液体供給ノズルを提供することを目的とする。
【0006】
【特許文献1】特開2007−141147号公報(図3)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、液体搬送通路の先端部に設けられ、液体搬送通路を介して搬送された液体を吐出し、容器に供給する液体供給ノズルであって、液体搬送通路が連なる所定の径の第1液体通路を有する筒状の第1ノズル部と、この第1ノズル部の下流端から第1ノズル部に沿って延びるように設けられ、第1液体通路よりも大きな所定の径の第2液体通路を有し、第1および第2液体通路を介して搬送された液体を下流端から吐出する筒状の第2ノズル部と、第1ノズル部と第2ノズル部との境界部分に、第1および第2液体通路と外部とを連通するように設けられ、第1液体通路から第2液体通路に液体が流れるのに伴って、外部から第2液体通路にエアを吸引するためのエア吸引口と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、第1および第2ノズル部はいずれも、筒状に形成されており、第1ノズル部が、液体搬送通路に連なる第1液体通路を有する一方、第2ノズル部が、第1ノズル部の下流端から第1ノズル部に沿って延びるように設けられ、第2液体通路を有している。この第2液体通路の径が、第1液体通路のそれよりも大きく、また、エア吸引口が、第1ノズル部と第2ノズル部との境界部分に設けられている。液体搬送通路を介して液体が搬送されると、その液体は、第1および第2液体通路を順に流れ、第2液体通路の下流端(以下「吐出口」という)から吐出されて、容器に供給される。この場合、液体が第1液体通路から第2液体通路に流れるのに伴い、エア吸引口を介して、外部から第2液体通路にエアが吸引される。これは、次の理由による。
【0009】
すなわち、通路いっぱいに第1液体通路を流れ、この通路から流出した液体は、第1液体通路の径とほぼ同じ径を保持しながら、第2液体通路に流入する。この場合、第2液体通路の径が第1液体通路のそれよりも大きいため、第2液体通路の壁面と流入した液体との間に、隙間が生じる。この隙間に存在するエア、および液体はいずれも、粘性を有するため、液体が第2液体通路を流れると、上記エアが、液体との間に生じる摩擦によって下流側に引きずられ、その結果、上記隙間に負圧が生じる。この負圧により、外部のエアが、エア吸引口を介して、第2液体通路に吸引される。
【0010】
以上のようにして、エア吸引口からエアが第2液体通路に吸引されると、この通路に流入した液体は、そのエアによって周囲から押さえられながら、第2液体通路を流れる。そして、この液体は、エアで周囲から押さえられた状態のまま、吐出口から吐出され、その結果、従来に比べて、径方向の拡散が大幅に低減されるとともに、吐出する距離がより長くなる。そのため、液体供給ノズルを、容器からより離した位置に配置した場合でも、液体を、容器の外に飛散させることなく、安定して供給することができ、したがって、従来に比べて、液体供給ノズルのレイアウトの自由度を高めることができる。
【0011】
また、上述したように、液体が第2液体通路を流れると、吸引されたエアが液体との界面から液体側に入り込むことで、液体に微細な気泡が生じる。そして、このような気泡を有する液体が、容器の内壁に当たって容器に供給される場合、気泡がいわばクッションとして機能し、それにより、内壁からの液体の跳ね返りが抑制される。したがって、液体の供給時における容器外への液体の飛散を防止することができる。
【0012】
さらに、液体の供給中、液体搬送通路の上流側が、例えばバルブなどで閉鎖されることによって、液体の供給が終了した場合、液体搬送通路および第1液体通路の液体は、第1液体通路の下流端のみがエア吸引口を介して大気側に開放されているために、そのまま各通路にとどまる。一方、第2液体通路の液体は、第2液体通路の上下流端がそれぞれ、エア吸引口および吐出口を介して、常時、大気側に開放されているために、液体の流れによる慣性により、吐出口から吐出され、第2液体通路にほとんど残留しない。以上のような状態において、液体供給ノズルの周囲の温度が、液体搬送通路および第1液体通路に残留した液体の温度よりも高い場合には、その液体の温度が上昇し、それに伴い、液体の体積が増大する。それにより、第1液体通路の下流端から微量の液体が漏れることがある。この漏れた液体は、第2液体通路に入り込み、液体自体の粘性などにより、通路の壁面に付着することによって、第2液体通路にとどまる。このように、第1液体通路から漏れた液体は、第2液体通路に保持されることで、吐出口から漏れることがなく、したがって、液体供給後の後だれを防止することができる。
【0013】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の液体供給ノズルにおいて、エア吸引口は、境界部分の全周にわたって設けられていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、エア吸引口を介して、上記境界部分の全周からエアが吸引されるので、その吸引されたエアにより、第2液体通路を流れる液体が、周囲全体からバランス良く押さえられる。これにより、吐出された液体の径方向への拡散を、より確実に低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による液体供給ノズルを適用した飲料供給ノズルを示している。この飲料供給ノズル1は、多種類の飲料を販売可能なカップ式自動販売機において、商品取出口のカップステージ2の上方の所定位置に配置され、カップステージ2上にセットされたカップC(容器)に、飲料Dを供給するものである。なお、カップCは、図示しないカップ供給装置により、販売時に、カップステージ2の上方から供給され、カップステージ2に載置した状態にセットされる。
【0016】
飲料供給ノズル1は、プラスチックの成型品で構成されており、ほぼ円筒状に形成されたノズル本体3と、このノズル本体3から下方に延び、飲料供給ノズル1自体を自動販売機内に取り付けるための取付けアーム4とを備えている。
【0017】
なお、図示しないが、自動販売機内には、コーヒーを抽出するコーヒー抽出装置、抽出されたコーヒーと砂糖やクリームを混合するミキシングボウル、各種ジュースの原料であるシロップを種類ごとに収納する複数のシロップタンク、水や湯を貯留する給水タンクなどが設置されており、これらからそれぞれ延び、飲料を搬送する飲料搬送パイプが、上記の飲料供給ノズル1を含む複数の飲料供給ノズルに接続されている。図1に示す飲料供給ノズル1は、例えば、給水タンクから延びるゴム製の飲料搬送パイプ5(液体搬送通路)の先端部に接続されており、カップC内でジュースを調理するために、そのカップCに希釈水を供給するものである。また、詳細な説明は省略するが、飲料搬送パイプ5の上流側には、常時閉鎖し、飲料の供給時に開放されるバルブが設けられている。
【0018】
図2に示すように、ノズル本体3は、上記飲料搬送パイプ5に接続された上流側ノズル部11(第1ノズル部)と、この上流側ノズル部11の下流側(図2の左側)に設けられた下流側ノズル部12(第2ノズル部)とを有し、両ノズル部11、12の境界部分にスリット13(エア吸引口)が設けられている。
【0019】
上流側ノズル部11は、所定長さL1(例えば27mm)を有する円筒状に形成されており、前半部(図2の左半部)が長さ方向にわたって一定の外径を有する一方、後半部(図2の右半部)が、前半部よりも小さい外径を有している。また、上流側ノズル部11は、長さ方向にわたって一定の所定内径D1(例えば3.5mm)を有しており、これにより、上流側ノズル部11内には、前記飲料搬送パイプ5を介して搬送された飲料が流れる上流側飲料通路14(第1液体通路)が画成されている。
【0020】
なお、上流側ノズル部11の後端部には、ノズル本体3を飲料搬送パイプ5に接続するための接続部11aが設けられている。この接続部11aは、前端の外径が直前の部分よりも大きく、全体として後方に向かってテーパ状に形成されている。これにより、ノズル本体3は、接続部11aが飲料搬送パイプ5に挿入されかつ抜け止め状態で、しっかりと取り付けられている。
【0021】
一方、下流側ノズル部12は、上流側ノズル部11の下流端から上流側ノズル部11に沿って延びるように設けられ、上流側ノズル部11よりも短い所定長さL2(例えば8mm)を有する円筒状に形成されている。この下流側ノズル部12は、外径が上流側ノズル部11のそれと同じである一方、長さ方向にわたって一定でかつ上流側ノズル部11の内径D1よりも若干大きな所定内径D2(例えば4.5mm)を有している。これにより、下流側ノズル部12内には、上流側ノズル部11の上流側飲料通路14から流出した飲料が流れる下流側飲料通路15(第2液体通路)が画成されている。この下流側飲料通路15は、吐出口15aを下流端に有し、上流側飲料通路14と同心状に位置するとともに、上述したように、通路径D2が上流側飲料通路14の通路径D1よりも若干大きく設定されている。
【0022】
また、スリット13は、ノズル本体3の長さ方向に、所定の幅S(例えば1mm)を有し、ノズル本体3の全周にわたって設けられている。そして、このスリット13を介して、上流側飲料通路14および下流側飲料通路15が外部に連通している。
【0023】
図1に示すように、取付けアーム4は、下端部に前後方向に延びるレール部4aを有しており、このレール部4aが自動販売機内のノズル取付部材6に着脱自在に取り付けられている。これにより、飲料供給ノズル1は、カップステージ2にセットされたカップCから比較的離れた位置において、ノズル本体3が所定角度(例えば45度)で前下がりに傾斜するとともに、吐出口15aがカップCの内壁の所定位置に向くように配置されている。なお、メンテナンス時には、取付アーム4のレール部4aをノズル取付部材6から取り外すとともに、接続部11aを飲料搬送パイプ5から取り外し、飲料供給ノズル1を丸洗いすることなどにより、飲料供給ノズル1を容易にかつきれいに洗浄することができる。
【0024】
次に、飲料供給ノズル1による飲料の供給について説明する。図3は、飲料供給中におけるノズル本体3の下流側の内部を拡大して示しており、白抜き矢印が飲料Dの流れる方向を示している。飲料の供給時に、飲料搬送パイプ5を介して搬送された飲料Dは、上流側ノズル部11に流入し、その内部の上流側飲料通路14いっぱいに流れる。この上流側飲料通路14の下流端から流出した飲料Dは、上流側飲料通路14の通路径D1とほぼ同じ径を保持しながら、下流側ノズル部12に流入し、その内部の下流側飲料通路15を流れる。そして、その下流端の吐出口15aから吐出された飲料Dは、カップCの内壁の所定位置に当たりながら、カップCに供給される。
【0025】
この場合、飲料Dが、上流側飲料通路14から下流側飲料通路15に流れるのに伴い、前述した理由により、外部のエアが、スリット13を介して、下流側飲料通路15に吸引される。すなわち、下流側飲料通路15の内壁と、それに流入した飲料Dとの間の隙間に生じた負圧により、下流側飲料通路15にエアが吸引される。そして、図3の矢印で示すように、吸引されたエアにより、下流側飲料通路15を流れる飲料Dは、周囲全体からバランス良く押さえられ、その状態のまま、すなわち径方向にほとんど拡散することなく、吸引されたエアとともに吐出口15aから吐出される。
【0026】
これに対し、例えば図4に示すように、本実施形態の上流側飲料通路14と同様の飲料通路14’のみを有するノズル本体3’では、本実施形態と異なり、飲料Dが周囲からエアで押さえられることがないため、吐出口15’から吐出する飲料Dが、径方向に拡散しやすい。したがって、本実施形態の飲料供給ノズル1では、飲料Dを、その周囲全体からエアで押さえながら吐出させるので、飲料Dの拡散が大幅に低減されるとともに、吐出する距離がより長くなる。なお、詳細な説明は省略するが、この飲料供給ノズル1による飲料Dの吐出距離は、上記の飲料通路14’のみを有する飲料供給ノズルに比べて、約1.5倍になることが確認された。
【0027】
また、飲料供給ノズル1では、仮に、上流側飲料通路14から流出した飲料が径方向に偏り、飲料の一部が径方向に広がるような状態で下流側飲料通路15に流入した場合でも、スリット13から流入するエアが、上記のような飲料の広がりを解消するように作用する。これは、径方向に広がった飲料と下流側飲料通路15との隙間が小さくなると、その個所に、より大きな負圧が生じることで、より多くのエアが集中的に吸引され、そのエアによって、飲料の広がりが抑制されるためである。
【0028】
次に、図5および図6を参照して、飲料の供給後における後だれの発生および防止について説明する。なお、以下の説明では、本実施形態のノズル本体3を示す図5と、上述した飲料通路14’のみを有するノズル本体3’を示す図6を対比しながら説明するものとする。
【0029】
飲料の供給中、飲料搬送パイプ5の上流側が、バルブで閉鎖されることによって、飲料の供給が終了した場合、図5(a)に示すように、飲料搬送パイプ5および上流側飲料通路14の飲料Dは、通路にそのままとどまる。これは、上流側飲料通路14の下流端のみがスリット13を介して大気側に開放されているからである。また、この場合、下流側飲料通路15の飲料は、供給時の飲料の流れによる慣性により、吐出口15aから吐出され、下流側飲料通路15にほとんど残留しない。一方、図6(a)に示すように、飲料通路14’を有するノズル本体3’では、上記と同様の理由により、飲料Dが飲料通路14’にとどまる。
【0030】
以上のような状態において、飲料供給ノズル1の周囲の温度が、残留した飲料Dの温度よりも高い場合、その飲料Dは、温度が上昇し、それに伴い、図5(b)および図6(b)に示すように、飲料Dの体積が増大する。それにより、上流側飲料通路14および飲料通路14’の下流端から、微量の飲料が漏れることがある。この場合、図6(c)に示すように、ノズル本体3’では、飲料通路14’の下流端の吐出口15a’から、微量の飲料D’が流れ落ち、後だれが発生する。その結果、後だれによる飲料D’によって、カップステージ2が汚れてしまう。
【0031】
これに対し、本実施形態では、図5(c)に示すように、上流側飲料通路14から流れ落ちた微量の飲料D’は、下流側飲料通路15に入り込み、飲料D’自体の粘性などにより、下流側飲料通路15の壁面に付着することによって、その通路15にとどまる。このように、上流側飲料通路14から流れ落ちた飲料D’は、下流側飲料通路15に保持されることで、吐出口15aから漏れることがなく、したがって、飲料供給後の後だれを防止することができる。
【0032】
以上詳述したように、本実施形態の飲料供給ノズル1によれば、飲料の供給時に下流側飲料通路15を流れる飲料Dを、その周囲全体からエアで押さえながら吐出させるので、従来に比べて、飲料Dの径方向の拡散が大幅に低減されるとともに、吐出する距離が長くなる。そのため、飲料供給ノズル1を、カップCからより離した位置に配置した場合でも、飲料Dを、カップCの外に飛散させることがなく、安定して供給することができ、したがって、従来に比べて、飲料供給ノズル1のレイアウトの自由度を高めることができる。
【0033】
また、飲料Dが下流側飲料通路15を流れると、吸引されたエアが飲料Dとの界面から飲料D側に入り込むことで、飲料Dに微細な気泡が生じる。前述したように、カップCへの飲料の供給は、飲料DをカップCの内壁に当てながら行われるものの、その際に、飲料Dの気泡がいわばクッションとして機能する。それにより、カップCの内壁からの飲料Dの跳ね返りを抑制でき、したがって、飲料の供給時におけるカップC外への飲料の飛散を防止することができる。
【0034】
なお、本発明は、説明した上記実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、本発明の液体供給ノズルを、カップ式自動販売機に用いられる飲料供給ノズル1に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、液体を容器に供給する種々の装置に用いることができる。また、飲料供給ノズル1は、希釈水以外の飲料、例えばコーヒーやシロップなどの飲料を供給するものとしても、もちろん用いることができる。
【0035】
さらに、実施形態では、スリット13をノズル本体3の全周にわたって設けたが、スリットの構成はこれに限定されるものではなく、ノズル本体3の上流側ノズル部11と下流側ノズル部12との境界部分に、その周方向に沿って、複数のスリットを設けるようにしてもよい。また、実施形態で示した飲料供給ノズル1の細部の構成などは、あくまで例示であり、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態による飲料供給ノズルを示す斜視図である。
【図2】飲料供給ノズルのノズル本体を中心に示す図であり、(a)は側面図、(b)は側断面図である。
【図3】飲料供給ノズルによる飲料の供給を説明するための説明図である。
【図4】飲料の供給を図3と対比して説明するための説明図である。
【図5】飲料の供給後における後だれの発生および防止を説明するための図である。
【図6】後だれの発生を図5と対比して説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0037】
1 飲料供給ノズル(液体供給ノズル)
3 ノズル本体
5 飲料搬送パイプ(液体搬送通路)
11 上流側ノズル部(第1ノズル部)
12 下流側ノズル部(第2ノズル部)
13 スリット(エア吸引口)
14 上流側飲料通路(第1液体通路)
15 下流側飲料通路(第2液体通路)
15a 吐出口
C カップ(容器)
L1 上流側ノズル部の長さ、上流側飲料通路の長さ
L2 下流側ノズル部の長さ、下流側飲料通路の長さ
D1 上流側ノズル部の内径、上流側飲料通路の通路径
D2 下流側ノズル部の内径、下流側飲料通路の通路径
S スリットの幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体搬送通路の先端部に設けられ、当該液体搬送通路を介して搬送された液体を吐出し、容器に供給する液体供給ノズルであって、
前記液体搬送通路が連なる所定の径の第1液体通路を有する筒状の第1ノズル部と、
この第1ノズル部の下流端から当該第1ノズル部に沿って延びるように設けられ、前記第1液体通路よりも大きな所定の径の第2液体通路を有し、前記第1および第2液体通路を介して搬送された液体を下流端から吐出する筒状の第2ノズル部と、
前記第1ノズル部と前記第2ノズル部との境界部分に、前記第1および第2液体通路と外部とを連通するように設けられ、前記第1液体通路から前記第2液体通路に液体が流れるのに伴って、外部から前記第2液体通路にエアを吸引するためのエア吸引口と、
を備えていることを特徴とする液体供給ノズル。
【請求項2】
前記エア吸引口は、前記境界部分の全周にわたって設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体供給ノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−104514(P2009−104514A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−277400(P2007−277400)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】