説明

液体充填カプセル剤

【課題】服用に際してコンプライアンス上良好で、カプセルの軟化や割れ等の変形が起こりにくい等の優れた特性を有するカプセル剤の提供を課題とする。
【解決手段】下記成分(A)及び(B)を含有する液。
(A)ロキソプロフェン又はその塩、及びジフェンヒドラミン又はその塩から選ばれる1種以上
(B)グリセリン

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロキソプロフェン及び/又はジフェンヒドラミンを含有する液体、及び当該液体を充填したカプセル剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液体を充填することが可能となる硬カプセルが開発され(例えば、PEG(マクロゴール)を配合した日本薬局方ゼラチンカプセル(クオリカプス株式会社)、ポリビニルアルコール共重合体を基剤とするPONDAC(登録商標)カプセル(日新化成株式会社)、HPMC(ヒプロメロース)を基剤とするクオリーV(登録商標)(クオリカプス株式会社)、プルランを基剤とするNPcaps(登録商標)(カプスゲル・ジャパン株式会社)等)、これに液体を充填した硬カプセル剤が実用化されつつある。
【0003】
しかしながら、硬カプセルに液体を充填することが可能となったとはいえ、ありとあらゆる全ての液体を充填することが可能となったというわけではなく、カプセル剤皮の種類によっては、充填可能な液体(溶質(分散質)や溶媒(分散媒))が限られる。
例えば、HPMCを基剤とする上述のクオリーV(登録商標)には、マクロゴール400、グリセリン又はプロピレングリコールを充填できないとされている(非特許文献1)。
また、同様に、クオリーV(登録商標)への、水やエタノールの充填は、カプセル剤皮との相容性の点で非常に難しいことが報告されている(非特許文献2)。
【0004】
一方、ロキソプロフェンは、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAID)の一種であり、関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、歯痛、急性上気道炎、手術後・外傷後・抜歯後等の消炎・鎮痛・解熱に有効なものとして知られている(非特許文献3)。
【0005】
また、ロキソプロフェンは付着性が高いため、固形製剤化が極めて困難であることが知られている。そして、総吸水能が一定の範囲になるように添加物を配合することにより当該ロキソプロフェンの付着を抑制できることが知られているが(特許文献1)、さらに改善すべく当該技術の改良手段が種々開発されている(特許文献2〜8)。
また、ロキソプロフェンナトリウム水和物は、水又はメタノールに極めて溶けやすく、エタノール(95)に溶けやすく、ジエチルエーテルにほとんど溶けないことが知られている(非特許文献3)。
【0006】
ジフェンヒドラミンは、抗ヒスタミン剤の一種であり、蕁麻疹、皮膚疾患に伴うアレルギー性鼻炎、掻痒、急性鼻炎等に用いられており、また、近年では、睡眠改善薬としても用いられている。ジフェンヒドラミンを急性鼻炎等に用いる場合、1回あたりの服用量は10mgであるのに対し、睡眠改善薬として用いる場合は、1回あたりの服用量は50mgであり、睡眠改善薬としてジフェンヒドラミンを服用する場合、コンプライアンスの問題が生じやすかった。
この問題を解決するため、マクロゴールを配合したゼラチンカプセルに、マクロゴールと水の混液にジフェンヒドラミンを溶解させた充填液を充填した硬カプセル剤が提案されている(特許文献9)。
また、ジフェンヒドラミンは、無水酢酸、酢酸(100)、エタノール(95)、ジエチルエーテルと混和し(非特許文献4)、ジフェンヒドラミン塩酸塩は、メタノール又は酢酸(100)に極めて溶けやすく、水又はエタノール(95)に溶けやすく、無水酢酸にやや溶けにくく、ジエチルエーテルにはほとんど溶けないことが知られている(非特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公平7−74153号公報
【特許文献2】特開平9−169641号公報
【特許文献3】特開平9−255569号公報
【特許文献4】特開平10−279476号公報
【特許文献5】特開平11−21236号公報
【特許文献6】特開平11−255643号公報
【特許文献7】特開2000−16936号公報
【特許文献8】特開2000−178190号公報
【特許文献9】特開2009−73829号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】クオリカプス株式会社、クオリーV(HPMCカプセル)に関するQ&A、Q10 “A10”、[online]、クオリカプス株式会社、[平成21年7月8日検索]、インターネット<URL:http://www.qualicaps.co.jp/hpmc.htm#10>
【非特許文献2】クオリカプス株式会社、クオリーV(HPMCカプセル)に関するQ&A、Q10 “各種添加剤と相容性詳細はこちら”、[online]、クオリカプス株式会社、[平成21年7月8日検索]、インターネット<URL:http://www.qualicaps.co.jp/img/hpmc/TI02.SWF>
【非特許文献3】第15改正日本薬局方解説書 株式会社廣川書店 第C−4790−4795頁
【非特許文献4】第15改正日本薬局方解説書 株式会社廣川書店 第C−1735頁
【非特許文献5】第15改正日本薬局方解説書 株式会社廣川書店 第C−1739頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
まず、非特許文献2、3及び5から、ロキソプロフェンナトリウム水和物やジフェンヒドラミン又はその塩の溶液(例えば、水溶液、エタノール溶液)を、HPMCを基剤とするカプセルに充填することは、カプセル剤皮との相容性の点で極めて困難であることが当然に予想される。
さらに、非特許文献1から、HPMCを基剤とするカプセルには充填できないとされるマクロゴール400、グリセリン又はプロピレングリコールと、ロキソプロフェンナトリウム水和物やジフェンヒドラミン又はその塩とを混合したものを、当該カプセルに充填することは、極めて困難であることが当然に予想される。
【0010】
ロキソプロフェンやジフェンヒドラミン又はその塩含有液体充填カプセル剤には、カプセルの軟化や割れ等の変形が起こりにくいことが必要である。また、服用に際し、コンプライアンスが良好であること、透明・澄明な液体充填カプセル剤であることが望ましい。
従って、本発明は、カプセル充填用として好ましい、ロキソプロフェンやジフェンヒドラミン又はその塩を含有する液、及び当該液を充填したカプセル剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を進めた結果、驚くべきことに、(1)ロキソプロフェン又はその塩がグリセリンに溶解し、澄明な液となること、(2)当該ロキソプロフェン又はその塩のグリセリン溶液を、HPMCを基剤とするカプセルに充填してもカプセル皮膜の軟化や割れが生じないこと、(3)ジフェンヒドラミン又はその塩がグリセリンに溶解し、無色透明な液となること、及び(4)当該ジフェンヒドラミン又はその塩のグリセリン溶液を、HPMCを基剤とするカプセルに充填してもカプセル皮膜の軟化や割れが生じないことを見出し、本発明を完成した。
【0012】
1)すなわち、本発明は、下記成分(A)及び(B)を含有する液を提供するものである。
(A)ロキソプロフェン又はその塩、及びジフェンヒドラミン又はその塩から選ばれる1種以上
(B)グリセリン
2)また、本発明は、実質的に、上記成分(A)及び(B)からなる液を提供するものである。
3)また、本発明は、上記1)又は2)の液をカプセルに充填したカプセル剤を提供するものである。
4)また、本発明は、カプセルの皮膜が、ヒプロメロースを含有するものである3)のカプセル剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ロキソプロフェン又はその塩、及びジフェンヒドラミン又はその塩から選ばれる1種以上のグリセリン溶液を、HPMCを基剤とするカプセルに充填しても、カプセル皮膜の軟化や割れが生じない。
従って、本発明によれば、ロキソプロフェン又はその塩、及びジフェンヒドラミン又はその塩から選ばれる1種以上がカプセル中において液状態で存在するため、ロキソプロフェン又はその塩、及びジフェンヒドラミン又はその塩から選ばれる1種以上の有する薬効の速やかな発現が期待できる。
さらに、本発明に係る液は透明・澄明であり、カプセルとして透明又は半透明なものを用いた場合、内容液を目視できることから、商品価値の高いロキソプロフェン又はその塩、及びジフェンヒドラミン又はその塩から選ばれる1種以上を含有するカプセル剤を提供することができる。また、カプセルの変形がなく、1回服用量としての常用量を1つのカプセルに充填することができるので、コンプライアンスが良好である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
成分(A)
本発明で用いられるロキソプロフェン又はその塩には、ロキソプロフェンのみならず、ロキソプロフェンの薬学上許容される塩、さらには水やアルコール等との溶媒和物が含まれる。これらは公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。本発明において、ロキソプロフェン又はその塩としては、ロキソプロフェンナトリウム水和物(化学名:Monosodium 2-[4-[(2-oxocyclopentyl)methyl]phenyl]propanoate dihydrate)が好ましい。
【0015】
本発明において、成分(A)がロキソプロフェン又はその塩である場合、液中又はカプセル剤中のロキソプロフェン又はその塩の含有量は、服用者の性別、年齢、症状等に応じて、適宜検討して決定すればよいが、1日あたり、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で10〜300mg服用できる量が好ましく、30〜240mg服用できる量がより好ましい。60〜180mg服用できる量がさらに好ましい。
したがって、ロキソプロフェン又はその塩のグリセリン液の濃度は、上述のような服用量となるように、充填するカプセルの容量やカプセルの服用個数に応じて適宜設定すればよいが、充填液たるロキソプロフェン又はその塩のグリセリン液におけるグリセリンの含有量は、溶解性、安定性等の観点から、液中20〜95質量%が好ましく、40〜93質量%がより好ましく、45〜90質量%が特に好ましい。
【0016】
本発明で用いられるジフェンヒドラミン又はその塩には、ジフェンヒドラミンのみならず、ジフェンヒドラミンの薬学上許容される塩、さらには水やアルコール等との溶媒和物が含まれる。これらは公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。
ジフェンヒドラミンの塩としては、例えば、塩酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、サリチル酸塩、ジフェニルジスルホン酸塩、酒石酸塩、タンニン酸塩、ラウリル硫酸塩、硫酸塩、マレイン酸塩等の酸付加塩が挙げられるが、本発明においては、塩酸塩が好ましい。
本発明において、成分(A)がジフェンヒドラミン又はその塩である場合、液中又はカプセル剤中のジフェンヒドラミン又はその塩の含有量は、服用者の性別、年齢、症状等に応じて、適宜検討して決定すればよいが、睡眠改善薬として1回50mg服用する場合のコンプライアンス向上の点から、1カプセル中に20〜75mg含有するように調整することが好ましく、50mg又は25mg含有するように調整することがより好ましい。充填液たるジフェンヒドラミン又はその塩のグリセリン液におけるジフェンヒドラミン又はその塩の含有量は、液中3〜50質量%が好ましく、5〜25質量%が特に好ましい。
本発明において、グリセリン液における成分(A)の含有量は、液中3〜95質量%が好ましく、5〜93質量%がより好ましい。
【0017】
成分(B)
本発明で用いられるグリセリンは、化学名が1,2,3−プロパントリオールであって、第15改正日本薬局方解説書に記載の「グリセリン」及び「濃グリセリン」を好ましいものとして挙げられる。本発明に係る液としては、本発明の効果を損なわない範囲内で、水を添加してグリセリンと混和させたものも用いることができる。ここで、水と混和したグリセリンとしては、例えば、2〜17質量%の水分を含むものが挙げられる。
また、上記液におけるグリセリンの含有量は、液中50〜87質量%が好ましい。
【0018】
また、本発明に係る液としては、透明な液、澄明な液が好ましい。
【0019】
本発明に係る液には、さらにpH調節剤、色素、界面活性剤等の添加物を本発明の効果を損なわない範囲内で含有させてもよい。
pH調節剤としては、例えば、アジピン酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸、塩酸、クエン酸、グルタミン酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸等の酸が挙げられる。ロキソプロフェン又はその塩に関しては、液中のロキソプロフェン又はその塩の安定性を考慮すると、酸性領域に調整することが可能なpH調節剤が好ましい。
また、色素としては、例えば、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色40号、食用赤色102号、食用赤色106号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用青色1号、食用青色2号、カラメル等が挙げられる。
【0020】
界面活性剤としては、例えば、モノヘキサン酸グリセリン、モノオクタン酸グリセリン、モノデカン酸グリセリン、モノラウリン酸グリセリン、ジオクタン酸グリセリン、ジデカン酸グリセリン、デカン酸オクタン酸グリセリン、モノミリスチン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリン等のグリセリン脂肪酸エステル;モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル;ラウロマクロゴール等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ステアリン酸ポリオキシル40、ステアリン酸ポリオキシル45、ステアリン酸ポリオキシル55等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル;、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート61、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ポリソルベート81、ポリソルベート85等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0021】
これらのpH調節剤、色素、界面活性剤等の他の添加物の含有量は、少ない方が好ましく、充填液中に0〜5質量%が好ましく、実質的に含有しないのがより好ましい。
すなわち、本発明に係る液は、実質的に、ロキソプロフェン又はその塩、並びに/若しくはジフェンヒドラミン又はその塩、及びグリセリンからなるが好ましい。
【0022】
本発明のカプセルに用いられる、カプセル皮膜の基剤としては、例えば、ゼラチン、ヒプロメロース(HPMCと略すこともある)、プルラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール共重合体(好ましくは、ポリビニルアルコールとメチルメタクリレートとアクリル酸又はその塩の共重合体)、マクロゴール等が挙げられる。これらは1種だけでも、複数の混合物としてもよい。本発明においては、HPMCが特に好ましい。
HPMCは、セルロースのメチル及びヒドロキシプロピルの混合エーテルを意味し、公知の方法で製造することができ、また、市販品(例えば、信越化学工業(株)製、ダウ・ケミカル日本(株)製、松本油脂製薬(株)製等)をも用いることができる。
本発明において、HPMCにおけるメトキシ基とヒドロキシプロポキシ基の置換度は、特に限定されるものではなく、セルロースをエーテル化する際に置換度を予め設定することにより、所望の置換度のものを得ることができる。本発明においては、メトキシ基を10〜50%含むものが好ましく、16.5〜30%含むものが更に好ましい。また、ヒドロキシプロポキシ基を2〜35%含むものが好ましく、4〜32%含むものが更に好ましい。特に好ましいものは、メトキシ基を16.5〜30%含み、ヒドロキシプロポキシ基を4〜32%含むHPMCである。その中でも、ヒプロメロース1828、ヒプロメロース2208、ヒプロメロース2906及びヒプロメロース2910といった置換度タイプのものが好ましい。
【0023】
カプセル皮膜には、基剤の他に、アラビアガム、アルギン酸、カラギーナン、寒天、キサンタンガム、グァーガム、グルコマンナン、ジェランガム、タマリンドガム、ファーセレラン、ペクチン、ローカストビーンガム等のゲル化剤を含有させてもよく、また必要に応じて、塩化アンモニウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸カリウム等のゲル化助剤を含有させることができる。
【0024】
また、本発明に用いられるカプセル皮膜には、例えば、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色40号、食用赤色102号、食用赤色106号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用青色1号、食用青色2号、カラメル等の色素、酸化チタン等の顔料、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、防腐剤、芳香剤、崩壊剤、グリセリン等の可塑剤、マンニトールやソルビトール等の糖アルコール等を、本発明の効果を損なわない範囲内で含有させてもよい。
【0025】
本発明のカプセル皮膜としては、HPMCを含有する皮膜が好ましく、ゲル化剤及び/又はゲル化助剤を含有せしめたHPMCを含有する皮膜がより好ましい。このうち、ゲル化剤としてのカラギーナン、ゲル化助剤としての塩化カリウム及びHPMCを含有する皮膜が好ましい。
【0026】
上述の好ましいHPMCを含有する皮膜において、ゲル化剤を含有する場合には、カプセル皮膜中に、ゲル化剤を0.35〜1質量%含有するのが好ましい。ゲル化助剤を含有する場合には、カプセル皮膜中に、ゲル化助剤を0.35〜0.5質量%含有するのが好ましい。
【0027】
本発明のカプセル剤には、硬カプセル剤及び軟カプセル剤のいずれもが含まれるが、速やかな薬効発現の点から、硬カプセル剤が好ましい。
【0028】
また、本発明に用いられるカプセル皮膜の色は、特に限定されるものではないが、カプセル剤の商品性の点から、充填された内溶液を目視可能な透明又は半透明が好ましい。
本発明においては、カプセル剤の色を暖色系とすることで、ロキソプロフェン又はその塩を解熱鎮痛剤やかぜ薬の有効成分として用いる場合、あたたかさ、落ち着き、安定感・安心感のイメージをもたらし、リラックスして症状の緩和等につなげることができ、好ましい。同様に、ジフェンヒドラミン又はその塩を睡眠改善薬として用いる場合も、カプセル剤の色を暖色系とすることで、あたたかさ、落ち着き、安定感・安心感のイメージをもたらし、リラックスして心地よく睡眠に導くことにつなげることができ、好ましい。
暖色系のカプセル剤を製するには、内容液が目視可能となるように、剤皮を透明又は半透明とした上で、内容液を暖色系に色素等で着色するか、または、充填された内溶液を目視可能な程度に、透明又は半透明の剤皮を暖色系に着色する等で達成できる。
【0029】
本発明のカプセル剤は、カプセル剤皮として、HPMCを用いる場合、例えば、特開平3−179325号公報や特開2000−136126号公報記載の方法に従って製することができる。
すなわち、先ず、HPMC及びゲル化剤、所望によりゲル化助剤等を含むカプセル基剤溶液を調製する。これにカプセル成型用ピンを浸漬し、次いで当該成型用ピンをカプセル基剤溶液から引き上げて、ピンに付着したカプセル基剤溶液をゲル化させることにより、カプセルを成型する。これに本発明の液を充填することで、本発明のカプセル剤(硬カプセル剤)を製することができる。さらに、常法に従って、バンド方式や熱着方式等によりカプセルにシールを施すこともできる。当該シールを施すことは、カプセルからの充填液の液漏れ、充填液に由来するにおいの防臭や充填液の安定性に寄与する。
【0030】
また、本発明のカプセル剤に用いられるカプセルは、上記常法に従って成型し、製造することもできるが、市販の硬カプセルを用いることもできる。市販品としては、例えば、HPMCを基剤とするクオリーV(登録商標)(クオリカプス株式会社)、PEG(マクロゴール)を配合した日本薬局方ゼラチンカプセル(クオリカプス株式会社)、ポリビニルアルコール共重合体を基剤とするPONDAC(登録商標)カプセル(日新化成株式会社)、プルランを基剤とするNPcaps(登録商標)(カプスゲル・ジャパン株式会社)等が挙げられる。本発明においては、HPMCを基剤とするクオリーV(登録商標)(クオリカプス株式会社)が好ましい。
【0031】
これら市販の硬カプセルを用いて、本発明の液を充填することで、本発明のカプセル剤を製することができ、さらに、常法にしたがって、バンド方式や熱着方式等によりカプセルにシールを施すこともできる。当該シールを施すことは、カプセルからの充填液の液漏れ、充填液に由来するにおいの防臭や充填液の安定性に寄与する。
【0032】
また、ロータリー・ダイ法や滴下法等の公知の方法と本発明の液を用いることにより、本発明のカプセル剤(軟カプセル剤)をも製することができる。
【0033】
本発明のカプセル剤の包装形態は特に限定されるものではなく、例えば、ビンやPTP包装等の通常のカプセル剤の包装形態で包装することができる。
【0034】
また、本発明のカプセル剤は、前記成分(A)を含有するため、かぜ薬、解熱鎮痛薬、睡眠改善薬等として有用である。
【実施例】
【0035】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0036】
実施例1:硬カプセル剤
ロキソプロフェンナトリウム水和物68.1g及びグリセリン68.1gを混合し、ロキソプロフェンナトリウム水和物のグリセリン液を調製し、充填液とした。この充填液136.2mgを、透明なサイズ5号のHPMCを基剤とする硬カプセル(商品名:クオリーV(登録商標);クオリカプス株式会社製)に充填し、ロキソプロフェンナトリウム水和物を68.1mg(ロキソプロフェンナトリウム無水物として60mg)含有する硬カプセル剤を製造した。
得られた硬カプセル剤は、透明なカプセル中に透明な液が充填されたものであった。
【0037】
実施例2:硬カプセル剤
ロキソプロフェンナトリウム水和物68.1g及びグリセリン197gを混合し、ロキソプロフェンナトリウム水和物のグリセリン液を調製し、充填液とした。この充填液265.1mgを、透明なサイズ3号のHPMCを基剤とする硬カプセル(商品名:クオリーV(登録商標);クオリカプス株式会社製)に充填し、ロキソプロフェンナトリウム水和物を68.1mg(ロキソプロフェンナトリウム無水物として60mg)含有する硬カプセル剤を製造した。
得られた硬カプセル剤は、透明なカプセル中に透明な液が充填されたものであった。
【0038】
比較例1:硬カプセル剤
ロキソプロフェンナトリウム水和物68.1g及び197gのマクロゴール400を混合した。この結果、ロキソプロフェンナトリウム水和物がマクロゴール400に溶解せず、懸濁液となった。この懸濁液を充填液として、実施例2と同様にして硬カプセル剤を製造した。
得られた硬カプセル剤は、透明なカプセル中に懸濁液が充填されたものであった。
【0039】
比較例2:硬カプセル剤
グリセリンをプロピレングリコールに換える以外は実施例2と同様にして、硬カプセル剤を製造した。
得られた硬カプセル剤は、透明なカプセル中に透明な液が充填されたものであった。
【0040】
試験例1:硬カプセル剤の評価
実施例1、2及び比較例1、2の硬カプセル剤について変形の評価を行った。評価は充填後、カプセル同士が重ならないようにトレイに広げ、40℃で、2週間、1ヵ月、2ヵ月及び6ヶ月保存後の変形(割れ、ひび、軟化等)の有無を、目視にて検査することにより行った。結果を表1に示した。
【0041】
【表1】

【0042】
表1から明らかなように、比較例1及び2の硬カプセル剤には、40℃2週間保存後、カプセルの変形(割れ、充填液の漏出)が観察された。なお、これ以降の観察は評価に値しないため、行わなかった。
すなわち、マクロゴール400やプロピレングリコールを、HPMCを基剤とするカプセルに充填することは好ましくないことが確認され、非特許文献1の記載と一致した。
【0043】
一方、実施例1及び2の硬カプセル剤には、40℃6ヵ月保存後においても、変形が観察されなかった。
すなわち、グリセリンを、HPMCを基剤とするカプセルに充填することはできないと考えられていたにも拘わらず(非特許文献1参照)、驚くべきことに、ロキソプロフェンナトリウム水和物のグリセリン液を、HPMCを基剤とするカプセルに充填しても、変形が生じないことが判明した。
【0044】
また、ロキソプロフェンナトリウム水和物は、水又はメタノールに極めて溶けやすく、エタノール(95)に溶けやすく、ジエチルエーテルにほとんど溶けないことが知られている(非特許文献3)が、上記試験例1の結果から、ロキソプロフェンナトリウム水和物とグリセリンを混合すると透明な液となることが判明した。
すなわち、実施例1及び2の硬カプセル剤は、透明カプセル中に透明液体を含有させた硬カプセル剤とすることができる。
【0045】
さらに、実施例1及び2の硬カプセル剤は、1つのカプセル中に68.1mgのロキソプロフェンナトリウム水和物を含有する。
従って、実施例1及び2の硬カプセル剤は、カプセル中のロキソプロフェンナトリウム水和物の含有量を1回服用量としての常用量である68.1mg(ロキソプロフェンナトリウム無水物として60mg)とすることができるため、コンプライアンス上極めて好ましいものであることが判明した。
以上、試験例1の結果から、実施例1及び2の硬カプセル剤は、商品価値の極めて高い製剤であることが判明した。
【0046】
試験例2:硬カプセル剤の安定性評価
実施例2の硬カプセル剤について、40℃6ヶ月保存後における硬カプセル剤中のロキソプロフェンナトリウム水和物の含量安定性をHPLC法により評価した。また、第15改正日本薬局方の崩壊試験法に従って、崩壊度(分)を評価した。それぞれの結果を表2に示した。
【0047】
【表2】

【0048】
表2から明らかなように、40℃6ヶ月保存後であっても、含量の低下はほとんど認められなかった。また、崩壊度についても、変化はなかった。
この結果、実施例2の硬カプセル剤は、含量安定性が高く、40℃6ヶ月保存しても崩壊度が変化しないことが判明した。
以上、試験例1及び2の結果から、実施例2の硬カプセル剤は、商品価値の極めて高い製剤であることが判明した。
【0049】
実施例3:硬カプセル剤
ロキソプロフェンナトリウム水和物68.1g及びグリセリン197gを混合し、さらにカラメルを300ppm濃度になるように添加し、ロキソプロフェンナトリウム水和物のグリセリン液を調製して、充填液とした。この充填液265.1mgを、透明なサイズ3号のHPMCを基剤とする硬カプセル(商品名:クオリーV(登録商標);クオリカプス株式会社製)に充填し、ロキソプロフェンナトリウム水和物を68.1mg(ロキソプロフェンナトリウム無水物として60mg)含有する硬カプセル剤を製造した。
得られた硬カプセル剤は、透明なカプセル中に琥珀色澄明な液が充填されたものであった。
【0050】
実施例4:硬カプセル剤
カラメルを食用黄色5号に換える以外は実施例3と同様にして硬カプセル剤を製造した。
得られた硬カプセル剤は、透明なカプセル中に橙色澄明な液が充填されたものであった。
【0051】
試験例3:硬カプセル剤の評価
実施例3及び4の硬カプセル剤について、変形及び充填液の変色の評価を行った。評価は充填後、カプセル同士が重ならないようにトレイに広げ、40℃2週間、40℃1ヵ月、40℃2ヵ月及び50℃1ヵ月保存後の変形(割れ、ひび、軟化等)の有無及び充填液の変色の有無を、目視で検査することにより行った。結果を表3に示した。
【0052】
【表3】

【0053】
表3から明らかなように、実施例3及び4の硬カプセル剤には、40℃2ヵ月後及び50℃1ヵ月後においても、変形が観察されなかった。
また、実施例3及び4の硬カプセル剤は、40℃2ヵ月後及び50℃1ヵ月後においても、変色が観察されなかった。
この結果から、実施例3及び4の硬カプセル剤は、かぜ薬や解熱鎮痛薬の服用者を症状の緩和に導き得る、リラックスをイメージすることができる暖色系(琥珀色澄明、橙色澄明)の色を維持できることがわかった。
【0054】
また、実施例3及び4の硬カプセル剤は、カプセル中のロキソプロフェンナトリウム水和物の含有量を1回服用量としての常用量である68.1mg(ロキソプロフェンナトリウム無水物として60mg)とすることができるため、コンプライアンス上極めて好ましいものであることが判明した。
以上、試験例3の結果から、実施例3及び4の硬カプセル剤は、商品価値の極めて高い製剤であることが判明した。
【0055】
参考例1:充填液
ロキソプロフェンナトリウム水和物は、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAID)の一種であるが、ジクロフェナクナトリウムも同様にNSAIDの一種である。
ジクロフェナクナトリウムとグリセリンを含む液剤を2号HPMCカプセルに充填したカプセル剤が知られている(特開平10−152431号公報 実施例11参照)。
そこで、この充填液に関して追試を行った。
【0056】
まず、ジクロフェナクナトリウム5質量部とグリセリン95質量部を混合したところ、ジクロフェナクナトリウムは、グリセリンに溶解せず、白色のジクロフェナクナトリウムがグリセリン中に分散する懸濁液となった。
さらに、この懸濁液を加熱しても、ジクロフェナクナトリウムがグリセリンに溶解することはなく、懸濁液のままであった。
【0057】
一般に、懸濁液は懸濁状態を長期間維持することは出来ないとされており、この懸濁液をカプセルに充填しても、懸濁状態を維持することはできず、長期保存後にジクロフェナクナトリウムがカプセル内で沈降してしまうことが明らかである。
【0058】
参考例2:充填液
ロキソプロフェンナトリウム水和物とグリセリンを含む薬剤を、ゼラチン、濃グリセリン及び精製水からなる軟カプセルに配合した軟カプセル剤が知られている(特開2001−31565号公報 処方例12参照)。
そこで、この充填液に関して追試を行った。
【0059】
すなわち、1カプセル中に、ロキソプロフェンナトリウム水和物68.1mg、大豆油138.0mg、ポリエチレングリコール56.5mg、グリセリン脂肪酸エステル25.0mg及びグリセリン12.5mgとなるように、各試料を混合した。
この結果、ロキソプロフェンナトリウム水和物は、溶解せずに懸濁液となった(なお、処方12に近似する処方である処方5は分散体である旨、段落番号0022に記載がある。)。
【0060】
上記より、この懸濁液を充填しても、懸濁状態を維持することはできず、長期保存後にロキソプロフェンナトリウム水和物がカプセル内で沈降してしまうことが明らかである。
【0061】
実施例5:硬カプセル剤
ジフェンヒドラミン塩酸塩50g及びグリセリン215gを混合し、ジフェンヒドラミン塩酸塩のグリセリン液を調製し、充填液とした。この充填液265mgを、透明なサイズ3号のHPMCを基剤とする硬カプセル(商品名:クオリーV(登録商標);クオリカプス株式会社製)に充填し、ジフェンヒドラミン塩酸塩を50mg含有する硬カプセル剤を製造した。
得られた硬カプセル剤は、透明なカプセル中に透明な液が充填されたものであった。
【0062】
比較例3:硬カプセル剤
ジフェンヒドラミン塩酸塩50g及びプロピレングリコール215gを混合し、ジフェンヒドラミン塩酸塩のプロピレングリコール液を調製し、充填液とした。この充填液265mgを、透明なサイズ3号のHPMCを基剤とする硬カプセル(商品名:クオリーV(登録商標);クオリカプス株式会社製)に充填し、ジフェンヒドラミン塩酸塩を50mg含有する硬カプセル剤を製造した。
得られた硬カプセル剤は、透明なカプセル中に透明な液が充填されたものであった。
【0063】
試験例4:硬カプセル剤の評価
実施例5及び比較例3の硬カプセル剤について変形の評価を行った。評価は充填後、カプセル同士が重ならないようにトレイに広げ、50℃1日、50℃1ヶ月、40℃2ヵ月及び40℃3ヵ月保存後の変形(割れ、ひび、軟化等)の有無及び充填液の変色の有無を、目視で検査することにより行った。結果を表4に示した。
【0064】
【表4】

【0065】
表4から明らかなように、比較例3の硬カプセル剤には、50℃1日保存後、カプセルの変形(割れ、充填液の漏出)が観察された。なお、保存2日目以降の観察は評価に値しないため、行わなかった。
この結果から、プロピレングリコールを、HPMCを基剤とするカプセルに充填することは好ましくないことが確認され、非特許文献1の記載と一致した。
【0066】
一方、実施例5の硬カプセル剤には、50℃1ヵ月、40℃3ヵ月保存後においても、変形及び変色が観察されなかった。
すなわち、グリセリンを、HPMCを基剤とするカプセルに充填することはできないと考えられていたにも拘わらず(非特許文献1参照)、驚くべきことに、ジフェンヒドラミン塩酸塩のグリセリン液を、HPMCを基剤とするカプセルに充填しても、変形が生じないことが判明した。
更に、ジフェンヒドラミン塩酸塩は、メタノール又は酢酸(100)に極めて溶けやすく、水又はエタノール(95)に溶けやすく、無水酢酸にやや溶けにくく、ジエチルエーテルにはほとんど溶けないことが知られている(非特許文献5)が、上記試験例4の結果から、ジフェンヒドラミン塩酸塩とグリセリンを混合すると透明な液となることが判明した。
すなわち、実施例5の硬カプセル剤は、透明カプセル中に透明液体を含有させた硬カプセル剤とすることができる。
【0067】
また、実施例5の硬カプセル剤は、1つのカプセル中にジフェンヒドラミン塩酸塩50mgを含有する。
従って、実施例5の硬カプセル剤は、カプセル中のジフェンヒドラミン塩酸塩の含有量を睡眠改善薬1回服用量としての常用量である50mgとすることができるため、コンプライアンス上極めて好ましいものであることが判明した。
以上より、実施例5の商品価値の極めて高い製剤となることが判明した。
【0068】
実施例6:硬カプセル剤
ジフェンヒドラミン塩酸塩100.0g及びグリセリン430gを混合し、さらにカラメルを300ppm濃度になるように添加し、ジフェンヒドラミン塩酸塩のグリセリン液を調製して、充填液とした。この充填液265mgを、透明なサイズ3号のHPMCを基剤とする硬カプセル(商品名:クオリーV(登録商標);クオリカプス株式会社製)に充填し、ジフェンヒドラミン塩酸塩を50.0mg含有する硬カプセル剤を製造した。
得られた硬カプセル剤は、透明なカプセル中に琥珀色澄明な液が充填されたものであり、流動性を視認できる外観を有していた。
【0069】
実施例7:硬カプセル剤
カラメルを食用黄色5号に換える以外は実施例6と同様にして硬カプセル剤を製造した。
得られた硬カプセル剤は、透明なカプセル中に橙色澄明な液が充填されたものであり、流動性を視認できる外観を有していた。
【0070】
試験例5:硬カプセル剤の評価
実施例6及び7の硬カプセル剤について、変形及び充填液の変色の評価を行った。評価は充填後、カプセル同士が重ならないようにトレイに広げ、40℃2週間、40℃1ヵ月、40℃2ヵ月及び50℃1ヵ月保存後の変形(割れ、ひび、軟化等)の有無及び充填液の変色の有無を、目視で検査することにより行った。結果を表5に示した。
【0071】
【表5】

【0072】
表5から明らかなように、実施例6及び7の硬カプセル剤には、40℃2ヵ月後及び50℃1ヵ月後においても、変形が観察されなかった。
また、実施例6及び7の硬カプセル剤は、40℃2ヵ月後及び50℃1ヵ月後においても、変色が観察されなかった。
【0073】
この結果から、実施例6及び7の硬カプセル剤は、睡眠改善薬の服用者を心地よく睡眠に導き得る、リラックスをイメージすることができる暖色系(琥珀色澄明、橙色澄明)の色を維持できることがわかった。
【0074】
また、実施例6及び7の硬カプセル剤は、カプセル中のジフェンヒドラミン塩酸塩の含有量を睡眠改善薬の1回服用量としての常用量である50mgとすることができるため、コンプライアンス上極めて好ましいことが判明した。
以上、試験例5の結果から、実施例6及び7の硬カプセル剤は、商品価値の極めて高い製剤であることが判明した。
【0075】
試験例6:硬カプセル剤の安定性評価
実施例5の硬カプセル剤について、40℃6ヶ月保存後における硬カプセル剤中のジフェンヒドラミン塩酸塩の含量安定性をHPLC法により評価した。結果を表6に示した。
【0076】
【表6】

【0077】
表6から明らかなように、40℃6ヶ月保存後であっても、含量の低下はほとんど認められなかった。
この結果、実施例5の硬カプセル剤は、含量安定性が高いことが判明した。
以上、試験例6の結果から、実施例5の硬カプセル剤は、商品価値の極めて高い製剤であることが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明によれば、ロキソプロフェン又はその塩、及びジフェンヒドラミン又はその塩から選ばれる1種以上を含有する透明・澄明な液を充填したカプセル剤を提供することができ、カプセルとして透明又は半透明なものを用いた場合、内容液を目視できることから、商品価値の極めて高いロキソプロフェン又はその塩、及びジフェンヒドラミン又はその塩から選ばれる1種以上を含有するカプセル剤を提供することができる。また、カプセルの変形がなく、含量安定性等にも優れ、さらに1回服用量としての常用量を1つのカプセルに充填することができるので、服用者のコンプライアンスが良好である。したがって、本発明のカプセル剤は、かぜ薬や解熱鎮痛薬、睡眠改善薬等として優れたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)及び(B)を含有する液。
(A)ロキソプロフェン又はその塩、及びジフェンヒドラミン又はその塩から選ばれる1種以上
(B)グリセリン
【請求項2】
実質的に、下記成分(A)及び(B)からなる液。
(A)ロキソプロフェン又はその塩、及びジフェンヒドラミン又はその塩から選ばれる1種以上
(B)グリセリン
【請求項3】
成分(A)が、ロキソプロフェンナトリウム水和物又はジフェンヒドラミン塩酸塩である請求項1又は2記載の液。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか1項記載の液を、カプセルに充填したカプセル剤。
【請求項5】
カプセルの皮膜が、ヒプロメロースを含有するものである請求項4項記載のカプセル剤。
【請求項6】
カプセルの皮膜が、ヒプロメロース、ゲル化剤及びゲル化助剤を含有するものである請求項4又は5記載のカプセル剤。
【請求項7】
カプセルの皮膜が、ヒプロメロース、カラギーナン及び塩化カリウムを含有するものである請求項4〜6いずれか1項記載のカプセル剤。
【請求項8】
成分(A)がロキソプロフェン又はその塩であり、当該ロキソプロフェン又はその塩を、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で、10〜300mgを1日量として含有する請求項4〜7いずれか1項記載のカプセル剤。
【請求項9】
成分(A)がジフェンヒドラミン又はその塩であり、当該ジフェンヒドラミン又はその塩を、1カプセル中に25mg又は50mg含有する請求項4〜7いずれか1項記載のカプセル剤。
【請求項10】
カプセルの皮膜が透明又は半透明である請求項4〜9いずれか1項記載のカプセル剤。
【請求項11】
かぜ薬用又は解熱鎮痛薬用である請求項8又は10記載のカプセル剤。
【請求項12】
睡眠改善薬用である請求項9又は10記載のカプセル剤。

【公開番号】特開2011−68636(P2011−68636A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171768(P2010−171768)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000163006)興和株式会社 (618)
【Fターム(参考)】