説明

液体収容具

【課題】片手で持って操作できる液体収容具を提供する。
【解決手段】エンジンオイル収容具107を、ボトル111と、ボトル111の口部109に固定したポンプユニット113と、から構成する。ポンプユニット113のポンプ装置119を、シリンダ141と、シリンダ141内をスライド移動するピストン143と、ピストン143から延びるピストンロッド145と、ピストンロッド145を操作する操作部と、から構成し、この操作部を引き金形のトリガ149とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や二輪自動車のエンジンオイルなどの液体を吸い上げて収容する液体収容具に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車や二輪自動車のエンジンオイルを、例えばエンジンオイルの交換のために、オイルゲージを差し込むオイルゲージ穴から吸い上げて収容する液体収容具としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この液体収容具は、ボトル内にシリンダを設け、このシリンダ内でピストンを上下動させることにより、吸引ホースから吸引口部を介してボトル内にエンジンオイルを吸い込み、回収して収容するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3030563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載された液体収容具は、シリンダ内でのピストンの下降動作によりボトル内を減圧し、ボトル(蓋体)に設けた吸引口部からボトル内にエンジンオイルを引き込む構成のものである。すなわち、シリンダのヘッド側空間を広げてボトル内の空気をシリンダ内に吸い込み、空気の吸い込みによるボトル内の圧力の低下によりエンジンオイルを吸い込むので、特にボトル内が空の場合には、ピストンの一度の下降によるボトル内の減圧率は小さい。したがって、エンジンオイルがボトル内に放出されるようになるまでに、ピストンを多数回作動させなくてはならないので、この液体収容具は使用感がよくないし、また、ボトルの構造が複雑となってしまう。
【0005】
そこで本発明は、良好な使用感を有する、あるいは、ボトルを簡単な形状に形成できる液体収容具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するための本発明の液体収容具は、液体を貯留して収容するためのボトルと、このボトルに設けられた又は取り付けられたポンプ装置(例えば手動ポンプ装置)と、このポンプ装置の作動によって液体を吸引するように設けられた吸引口部(例えば、吸引ホース接続口部)と、を備え、前記ポンプ装置は、シリンダと、このシリンダ内を往復動するように配置されたピストンと、前記シリンダから外側に突出するようにこのピストンに設けられた(例えば、このピストンから外側に延びる)ピストンロッドと、このピストンロッドの外端側に構成された(例えば、設けられた又は接続された)操作部と、を有している液体収容具であって、前記吸引口部は、吸引流路を介して前記シリンダのキャップ側空間に連なり、前記シリンダの前記キャップ側空間にはさらに、前記吸引口部により吸引された液体を、前記ピストンのキャップ側への移動によって前記ボトル内に放出するための放出口部が接続されていて、前記吸引口部又は前記吸引流路には、液体の外部への逆流を阻止する、または液体をボトル内に放出するときに液体の外部への逆流を阻止する吸引側逆止弁が設けられ、前記放出口部には、前記ボトル内の空気の吸い込みを阻止する、またはシリンダのキャップ側空間を広げるときにボトル内の空気の吸い込みを阻止する放出側逆止弁が設けられているものである。吸引側逆止弁は、外部からシリンダのキャップ側への流体の流入を許容する。放出側逆止弁は、ボトル内への液体、そして例えば空気の放出を許容する。吸引口部又は吸引ホース接続口部は、ボトル内の収容空間に開口するように設けられているのではなく、吸引流路を介してシリンダのキャップ側空間に連なるように設けられている。吸引流路の容積はボトルの容積よりも十分に小さくできるので、ピストンがシリンダ内をヘッド側に移動すると、吸引口部に大きな液体吸引力が作用するように構成することが可能となる。ボトルは、例えば、口部を有する単純な形状のものを用いることができる。操作部は押下部とすることができる。あるいは、操作部は揺動可能なトリガとすることができる。ボトル内は、例えば、収容した液体が容易に外部に漏れないような態様で大気と連通している。ボトル内に収容された液体は、例えばボトルの口部をあけて排出される。
【0007】
シリンダ内に、ピストンをシリンダのヘッド側に付勢するスプリングを配置しておけば、ピストンを引き戻すといった操作が不要となるので、ポンプ装置の取り扱いが簡単となる。
【0008】
吸引流路を、ピストンロッド及びピストンを貫通してキャップ側空間に開口するように形成すれば、液体収容具の小型化が可能となる。
【0009】
吸引側逆止弁を、吸引流路に設けられた支持部に支えられているボールと、ボールよりも吸引口部の側で吸引流路に形成されたバルブシートと、を有し、ピストンがキャップ側に移動し、キャップ側空間内の液体が加圧されたときに、ボールがバルブシートに押し付けられて吸引流路を遮断するように構成すれば、構造が簡単となる。ボールは、例えば、吸引流路よりも小径であり、吸引流路内を長さ方向又は上下方向に移動でき、また、例えば、ボールの外周を液体が通過できるようになっている。支持部は、吸引流路の、ピストンの側に配置された支持柱とすることができ、ボールを、この支持柱の、操作部の側の端部で支えることができる。支持柱には、例えば、この支持柱の、操作部の側の端から、支持柱の、ピストンの側の端まで延びる液体流路が形成される。
【0010】
吸引口部は操作部に設けられた吸引パイプとすることができる。例えば、この吸引パイプの先端部外周には吸引ホースが接続され、この吸引ホースの先端部が吸引対象の液体内に浸される。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明の液体収容具は、ポンプ装置を作動させると直ちに、あるいは短時間で液体をボトル内に放出するように構成できるので、使用感に優れたものとすることが可能であるし、あるいは、簡単な構造のボトルを用いて構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るエンジンオイル収容具の正面図である。
【図2】エンジンオイル収容具の断面図である。
【図3】支持柱を示す図である。
【図4】逆止筒を示す断面図である。
【図5】逆止筒を示す別の断面図である。
【図6】エンジンオイル収容具の使用状態を説明するための図であり、エンジンオイルを吸い込む前の押下状態を説明する図である。
【図7】エンジンオイル収容具の使用状態を説明するための図であり、エンジンオイルを吸い込んだ場合を説明する図である。
【図8】エンジンオイル収容具の使用状態を説明するための図であり、吸い込んだエンジンオイルを放出する場合を説明する図である。
【図9】エンジンオイル収容具の使用状態を説明するための図であり、一回のエンジンオイル放出動作の終了状態を説明する図である。
【図10】本発明に係る別のエンジンオイル収容具の正面図である。
【図11】別のエンジンオイル収容具の断面図である。
【図12】別のエンジンオイル収容具の使用状態を説明するための図であり、エンジンオイルを吸い込む前のトリガを引いた状態を説明する図である。
【図13】別のエンジンオイル収容具の使用状態を説明するための図であり、エンジンオイルを吸い込んだ場合を説明する図である。
【図14】別のエンジンオイル収容具の使用状態を説明するための図であり、吸い込んだエンジンオイルを放出する場合を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0014】
図1は本発明に係るエンジンオイル収容具の正面図、図2はエンジンオイル収容具の断面図である。
【0015】
エンジンオイル収容具1は、上端中央部に上方に突出する環状の口部3が一体的に形成された円筒状の薄肉のプラスチック製ボトル5と、口部3に差し込まれてこの口部3に固定された手動のポンプ装置7と、を備えていて、ボトル5は、例えば透明材質製であり、口部3の外周面には雄ネジが形成されている。ポンプ装置7は、シリンダ9と、このシリンダ9内にスライド移動可能に設けられたピストン11と、このピストン11から上方に延び、シリンダ9から突出するように設けられたピストンロッド13と、このピストンロッド13の上端に一体的に形成されたキャップ状の押下部15と、を備えていて、押下部15には、この押下部15から側方に突出するように、細い吸引パイプ(吸引口部)17が一体的に形成され、シリンダ9の下端(キャップ側端)には、放出筒(放出口部)19が接続されている。
【0016】
シリンダ9は、上端部に外向きフランジ21が設けられている大径の上側部23、及び小径の下側部25から一体的に形成されたシリンダ本体27と、上側部23の上端に被せられたキャップ状のヘッド29と、を有し、ヘッド29の天井部31中央には、ピストンロッド13が上下動可能に貫通する貫通孔33が形成されている。シリンダ9の上側部23の下側は若干小径に形成されていて、上側部23の内面の下側にはストッパ35が形成されている。ヘッド29は、ほぼ円盤状の天井部31の外周端から下方に延びる環状部37と、天井部31の貫通孔33の周囲から下方に延びるストッパ筒39と、を有して一体的に形成されていて、環状部37の内周面には雌ネジが形成され、貫通孔33とストッパ筒39の内周面とは同一の円筒内面を形成している。ストッパ筒39は、シリンダ9の上側部23内に挿入された状態となっている。
【0017】
ポンプ装置7は、外向きフランジ21がボトル5の口部3の上端に載るように、シリンダ本体27を口部3に差し込み、ヘッド29の環状部37を口部3の外周にネジ付けることにより、ボトル5に取り付けられている。
【0018】
上端に押下部15が一体的に形成された、貫通孔33及びストッパ筒39を貫通して延びるピストンロッド13は、中空状に形成され、このピストンロッド13の下端部外周には、環状のピストン11が取り付けられ、固定されている。ピストンロッド13の底部41には連通孔43が形成されていて、ピストンロッド13の内部は、シリンダ9のキャップ側空間45に開口している。また、押下部15に一体的に形成されている吸引パイプ17の基部は、ピストンロッド13の上端に一体的に接続され、吸引パイプ17の内部流路47はピストンロッド13の内部と連通していて、ピストンロッド13の内部空間は吸引流路49を形成している。
【0019】
シリンダ9の上側部23内には、上側部23の底部51とピストンロッド13の底壁41あるいはピストン11の下端面との間で、圧縮コイルスプリング53が配置されていて、ピストンロッド13及びピストン11は常に上方に付勢されている。
【0020】
ピストンロッド13内には、下側部(放出口部19側の部分)に支持柱55が嵌め付けられ、この支持柱55の上端57にはボール59が載っていて、ピストンロッド13内の、ボール59よりも上方(押下部15側)には、下端部61がバルブシートとして形成されているシート筒63が嵌め付けられている。支持柱55は、上端から下端まで延びる4つの大きな液体流路65が形成されるように、断面十字状又は断面十文字状に構成されていて、上端57中央にボール載置部を有している(図3参照)。
【0021】
放出筒19は、天井部67に通過孔69が形成されている、中空円柱状の収容部71と、この収容部71の底部に形成されたノズル73と、収容部71内に配置された逆止筒75と、を備えていて、シリンダ9の下側部25の下端開口に天井部67が固定されることにより、放出筒19は、シリンダ9のキャップ側空間45に接続された状態でシリンダ9に取り付けられている。
【0022】
逆止筒75は、ゴム等の弾性材製であり、図4及び図5に示すように、上側に厚肉の取付個所77を有する筒状部79と、この筒状部79の下端に一体的に形成された底壁(放出側逆止弁)81とから構成されていて、底壁81の外面側には、外周縁部83及び底壁81の中心で交わる十字状の境界縁部85により区画された4つの加圧凹部87が形成され、底壁81の内面側には、この加圧凹部87に対応して、4つの加圧凸部89が形成されている。逆止筒75の底壁81には、十字状の境界縁部85の一方の直線状縁部(第1縁部)91に、内外に貫通するようにスリット93が形成されていて、このスリット93は、底壁81の外面側に相対的に大きな流体圧が作用すると、強く合わさって閉じ、底壁81の内面側に相対的に大きな流体圧が作用すると開いて、内面側から外面側への流体の通過を許容するように形成されている。すなわち、それぞれの加圧凹部87は、第1縁部91から上側(内面側)に向かって第1縁部91と離れるように傾斜する第1傾斜面95と、他方の縁部(十字状の境界縁部85の他方の直線状縁部、第2縁部)97から上側(内面側)に向かって第2縁部97と離れるように傾斜する第2傾斜面99と、外周側の垂直な面101と、から構成されていて、底壁81の外面側に大きな流体圧が作用すると、両側の第1傾斜面95に作用する圧力によって、スリット93には、合わさる方向に力が加わることとなる。また、それぞれの加圧凸部89は、第1縁部91位置から上側に向かって第1縁部91と離れるように傾斜する第1傾斜面103と、第2縁部97位置から上側に向かって第2縁部97と離れるように傾斜する第2傾斜面105と、を有していて、底壁81の内面側に大きな流体圧が作用すると、両側の第1傾斜面103に作用する圧力によって、スリット93には、開く方向に力が加わることとなる。したがって、シリンダ9内の圧力がボトル5内の圧力よりも相対的に低くなっても、スリット93は開かずに、ボトル5内とシリンダ9内の連通は遮断されている。また、シリンダ9内の圧力がボトル5内の圧力よりも相対的に高くなると、スリット93は開き、ボトル5内とシリンダ9内は連通する。
【0023】
図6乃至図9はエンジンオイル収容具1の使用状態を説明するための図である。
【0024】
エンジンオイル収容具1は、吸引パイプ17に吸引ホース104を接続し、この吸引ホース104の先端部を、例えば自動車又は二輪自動車のオイルゲージ穴に差し込んで使用する。図2に示す状態(ピストン11がストッパ筒39に当接して上死点位置にある状態)から押下部15を押し下げると、圧縮コイルスプリング53のバネ力に抗してピストンロッド13及びピストン11が下方に移動し、キャップ側空間45が狭められ、キャップ側空間45内の空気は、例えば、連通孔43からピストンロッド13内に流れ込むとともに、逆止筒75の底壁81のスリット93を押し広げてボトル5内に流れ込む。ここで、ボトル5内は、開放孔106及び例えばストッパ筒39とピストンロッド13との間の隙間を介して大気と連通しているので、大気圧に保持される。押下部15は、ピストン11がストッパ35に当接して下死点に位置するまで押し下げることができる。
【0025】
図6に示す状態で、押下部15から押下力を解除すると、圧縮コイルスプリング53の弾性復帰力によりピストンロッド13及びピストン11は上方に移動し、キャップ側空間45が広げられる。逆止筒75の底壁81に形成されたスリット93は、キャップ側空間45内の圧力が低下すると、きつく閉じるように形成されているので、キャップ側空間45内及び逆止筒75内は減圧される。そうすると、吸引ホース104から吸引パイプ17を通り、ボール59の外側及び支持柱55の液体流路65を通過して、キャップ側空間45内及び逆止筒75内に至るまでエンジンオイルWが移送され充満する(図7)。ここで、押下部15を押し下げると、キャップ側空間45内及び逆止筒75内が加圧される。そうすると、キャップ側空間45からピストンロッド13の吸引流路49内に流れ込むエンジンオイルWによってボール59が押し上げられる(例えばボール59はエンジンオイルWからの浮力で上側に動きやすくなっている)。押し上げられたボール59は、シート筒63の下端部(バルブシート)61に当接し、シート筒63の下端開口を閉塞する(図8参照)。シート筒63の下端開口の閉塞により閉じ込められたエンジンオイルWは、逆止筒75の底壁81のスリット93を押し広げてボトル5内に流れ込む。なお、キャップ側空間45内及び逆止筒75内にエンジンオイルWを充満させるには、例えば、ピストンロッド13を数回連続して上下動させる必要がある。そして、ピストンロッド13を下死点まで押し下げ(図9参照)、さらにピストンロッド13を連続して上下動させて必要な量のエンジンオイルWを吸い上げて収容する。収容したエンジンオイルWは、例えば、ボトル5からポンプ装置7を取り外してから排出される。
【0026】
図10は本発明に係る別のエンジンオイル収容具107の正面図、図11は別のエンジンオイル収容具107の断面図である。
【0027】
別のエンジンオイル収容具107は、上端中央部に上方に突出する環状の口部109が一体的に形成された円筒状の薄肉のプラスチック製ボトル111と、口部109に取り付けられて固定された手動のポンプユニット113と、を備えていて、ボトル111は、例えば透明材質製であり、口部109の外周面には雄ネジが形成されている。
【0028】
ポンプユニット113は、ボトル111の口部109に取り付けられた取付部115と、取付部115に設けられて支えられた本体部117と、この本体部117に構成されたポンプ装置119と、本体部117に設けられた吸引ホース接続口部(吸引口部)121と、取付部115に設けられた放出筒19と、を備え、取付部115は、本体部117の下端に一体的に形成された環状部123と、この環状部123内に嵌め付けられた、下端に外向フランジ125を有する流路形成部材127と、上端に内向フランジ129を有し、この内向フランジ129が、流路形成部材127の外向フランジ125と環状部123との間に位置するように、流路形成部材127に回転可能に取り付けられた固定用環状体131と、を有していて、固定用環状体131の内周面には雌ネジが形成されている。取付部115は、流路形成部材127の外向フランジ125を、ボトル111の口部109上に載せ、固定用環状体131を口部109の外周にネジ付けて、流路形成部材127の外向フランジ125を押さえることにより、口部109に取り付けられて固定されている。流路形成部材127の下面中央からは取付筒状部133が一体的に突出し、この流路形成部材127には、流路形成部材127の上端面から取付筒状部133の下端面まで貫通する放出流路135が形成されている。そして、この取付筒状部133の下端には、エンジンオイル収容具1に用いられたものと同一の放出筒19の天井部67が固定されて取り付けられていて、放出筒19は、ボトル111内の上側に位置している。なお、流路形成部材127には、開放孔137が形成され、この開放孔137は本体部117を通って、ボトル111内を大気と連通させている。また、符号139は、この開放孔137を覆うための通気性クッション材である。
【0029】
ポンプ装置119は、キャップ側に向かって斜め上方に延びるシリンダ141と、このシリンダ141内にスライド移動可能に設けられたピストン143と、このピストン143から斜め下方に延び、シリンダ141から突出するように設けられたピストンロッド145と、本体部117のブラケット部147に回転可能に支えられ、ピストンロッド145の下端と接続されたトリガ149と、を備えている。シリンダ141は、下側(ヘッド側)が、本体部117から突出するように形成されているシリンダ筒状部148の内面で形成され、上側(キャップ側)が本体部117に形成されているシリンダ孔150で形成されている。シリンダ141内には、底部151とピストン143との間で、圧縮コイルスプリング153が配置されていて、ピストンロッド145及びピストン143は常に斜め下方に付勢されている。
【0030】
ピストンロッド145の下向き端面には係合溝155が形成され、ピストンロッド145の上端面にキャップ状のピストン143が取り付けられて固定されている。
【0031】
ブラケット部147に回転可能に取り付けられているトリガ149には係合片157が形成されていて、この係合片157の先端は、ピストンロッド145の下向き端面の係合溝155に嵌まり込んで係合している。
【0032】
本体部117に一体的に形成されている吸引ホース接続口部121内にはボール159が配置され、このボール159は、圧縮コイルスプリング161によって、常に吸引ホース接続口部121の先端開口163を閉塞する方向に付勢されて、吸引側逆止弁が構成されている。また、本体部117には、吸引ホース接続口部121とシリンダ141の上側空間又はキャップ側空間165とを接続する吸引流路167が形成されている。さらに、本体部117には、シリンダ141の上側空間又はキャップ側空間165と放出流路135とを接続する連絡流路169が形成されている。
【0033】
図12乃至図14は別のエンジンオイル収容具107の使用状態を説明するための図である。
【0034】
エンジンオイル収容具107は、吸引ホース接続口部121に吸引ホース171を接続し、この吸引ホース171の先端部を、例えば自動車又は二輪自動車のオイルゲージ穴に差し込んで使用する。図11に示す状態(トリガ149が本体部117のシリンダ筒状部148に当接してそれ以上時計回り方向に回転できない状態)からトリガ149を握り、トリガ149を反時計回り方向に回転させると、ピストンロッド145の下向き端面が、係合溝155に嵌まり込んでいる係合片157に押され、圧縮コイルスプリング153のバネ力に抗してピストンロッド145及びピストン143が斜め上方に移動し、キャップ側空間165が狭められる。そうすると、キャップ側空間165内の空気は、逆止筒75の底壁81のスリット93を押し広げてボトル111内に流入する。ボトル111内は、開放孔137を介して大気と連通しているので、大気圧に維持される。吸引ホース接続口部121側では、ボール159が吸引ホース接続口部121の先端開口163に当接し、この先端開口163を閉塞している。なお、ピストン143は、トリガ149がブラケット部147の天井部(図示せず、吸引流路167とほぼ一致する高さに形成されている)に当接するまで反時計回り方向に回転できる(図12参照)。
【0035】
図12に示す状態で、トリガ149から把持力を解除すると、圧縮コイルスプリング153の弾性復帰力によりピストン143及びピストンロッド145は斜め下方に移動し、キャップ側空間165が広げられる。吸引ホース接続口部121側では、ボール159が、圧縮コイルスプリング161のバネ力に抗して吸引ホース接続口部121の先端開口163を開放するように移動する。逆止筒75の底壁81のスリット93は、キャップ側空間165の圧力が低下するときつく閉じるように形成されているので、スリット93は閉じたままである。そうすると、吸引ホース171から吸引ホース接続口部121を通り、吸引流路167を通過して、キャップ側空間165、連絡流路169、放出流路135及び逆止筒75内に至るまでエンジンオイルWが移送され充満する(図13参照)。ここで、トリガ149を握り、トリガ149を引いて反時計回り方向に回転させると、圧縮コイルスプリング153のバネ力に抗してピストンロッド145及びピストン143が斜め上方に移動し、キャップ側空間165が狭められ、逆止筒75の底壁81のスリット93を押し広げてエンジンオイルWがボトル111内に流入する(図14参照)。吸引ホース接続口部121側では、ボール159が吸引ホース接続口部121の先端開口163を閉塞している。なお、エンジンオイルWをキャップ側空間165、連絡流路169、放出流路135及び逆止筒75内に至るまで充満させるには、例えば、ピストンロッド145を数回連続して上下動させる必要がある。収容したエンジンオイルWは、例えば、ボトル111からポンプユニット113を取り外してから排出される。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の液体収容具は、例えば自動車や二輪自動車のエンジンオイルなどのオイル類を抜き取るのに利用できる。
【符号の説明】
【0037】
1、107 エンジンオイル収容具(液体収容具)
5、111 ボトル
7、119 ポンプ装置
9、141 シリンダ
11、143 ピストン
13、145 ピストンロッド
15 押下部(操作部)
17 吸引パイプ(吸引口部)
75 放出筒(放出部)
45、165 キャップ側空間
49、167 吸引流路
59 ボール(吸引側逆止弁)
63 シート筒(吸引側逆止弁)
81 底壁(放出側逆止弁)
121 ホース接続部(吸引口部)
149 トリガ(操作部)
159 ボール(吸引側逆止弁)
161 圧縮コイルスプリング(吸引側逆止弁)
W エンジンオイル(液体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留して収容するためのボトルと、このボトルに設けられた又は取り付けられたポンプ装置と、このポンプ装置の作動によって液体を吸引するように設けられた吸引口部と、を備え、前記ポンプ装置は、シリンダと、このシリンダ内を往復動するように配置されたピストンと、前記シリンダのヘッド側から外側に突出するようにこのピストンに設けられたピストンロッドと、このピストンロッドの外端側に構成された操作部と、を有している液体収容具であって、
前記吸引口部は、吸引流路を介して、前記ヘッド側と反対側の前記シリンダのキャップ側空間に連なり、前記シリンダの前記キャップ側空間にはさらに、前記吸引口部により吸引された液体を、前記ヘッド側と反対側の前記キャップ側への前記ピストンの移動によって前記ボトル内に放出するための放出口部が接続され、
前記吸引口部又は前記吸引流路には、液体の外部への逆流を阻止する吸引側逆止弁が設けられ、前記放出口部には、前記ボトル内の空気の吸い込みを阻止する放出側逆止弁が設けられていて、
前記操作部は揺動可能な引き金形のトリガであり、このトリガを握って回転させることにより、前記ピストンロッドが押され、前記ピストンが前記キャップ側に移動するように構成されている、ことを特徴とする液体収容具。
【請求項2】
前記トリガには係合片が形成され、この係合片の先端は、前記ピストンロッドの端面の係合溝に嵌り込んで係合していて、
前記トリガを握って回転させると、この係合片で前記ピストンロッドが押される、ことを特徴とする請求項1記載の液体収容具。
【請求項3】
前記シリンダ内には、前記ピストンを前記シリンダの前記ヘッド側に付勢するスプリングが配置されている、ことを特徴とする請求項1又は2記載の液体収容具。
【請求項4】
前記放出口部は前記ボトル内に配置されている、ことを特徴とする請求項1、2又は3記載の液体収容具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−224395(P2012−224395A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185355(P2011−185355)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【分割の表示】特願2011−93295(P2011−93295)の分割
【原出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【特許番号】特許第4843117号(P4843117)
【特許公報発行日】平成23年12月21日(2011.12.21)
【出願人】(511098666)
【Fターム(参考)】