説明

液体収容装置、及び、液体収容カートリッジ

【課題】簡素な構造にて、収容部内の液体を適切に攪拌し、かつ、収容部内の液体の状態を適切に検知することにある。
【解決手段】(a)消費される液体を収容する収容部と、(b)前記収容部内に設けられ、回転軸周りに回転する回転部材と、(c)前記回転部材に対して前記回転軸の軸方向に移動可能となるように前記回転部材に取り付けられ、前記液体よりも比重が小さい羽根部材であって、前記回転部材が一の方向に回転するときには、前記回転部材の回転に伴い前記軸方向に沿って上下方向において前記液体の液面よりも下方に向かって移動しながら前記液体を攪拌し、前記回転部材の前記一の方向の回転が停止したときには、前記液体の浮力によって前記液面に向かって浮上する羽根部材と、(d)前記羽根部材が前記上下方向において検知位置に位置するときに前記羽根部材を検知する検知部材と、(e)を備えることを特徴とする液体収容装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体収容装置、及び、液体収容カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
液体収容装置の一つとして、紙や布、フィルムなどの各種媒体にインク(液体)を吐出して、画像の印刷を行うインクジェットプリンタが知られている。このプリンタは、インクを吐出する吐出部と、この吐出部に補給されるインクを収容する収容部(例えば、インクカートリッジ)とを備えている。そして、インク吐出により吐出部内のインクの量が減ると、収容部から吐出部にインクが補給される。
【0003】
ここで、収容部内のインクが使用されない状態で時間が経過すると、収容部内のインクが沈降することがある。そして、インクが沈降すると、その後のインクの補給が効果的に行われない恐れがある。このため、プリンタの中には、収容部内のインクの沈降を抑制するために、インクの攪拌する攪拌部材を備えたものがある。
【0004】
また、収容部内のインクは、吐出部への補給に伴い消費されるため、収容部内のインクの残量が変化する。ここで、吐出部へのインクの補給を安定的に行うためには、インクの残量等を含めて収容部内のインクの状態を把握することが望ましい。このため、プリンタの中には、収容部内のインクの状態を検知する状態検知部材(例えば、センサーと、センサーに検知される被検知部材)を備えたものがある。
【特許文献1】特開2007−83548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、時代の要請として、装置の構造の簡素化が要求されている。このため、収容部内のインクの攪拌及びインク状態の検知も、簡素な構造を前提としての実現が要求されている。
【0006】
本発明は係る課題に鑑みてなされたものであり、目的とするところは、簡素な構造にて、収容部内の液体を適切に攪拌し、かつ、収容部内の液体の状態を適切に検知することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、主たる本発明は、
(a)消費される液体を収容する収容部と、
(b)前記収容部内に設けられ、回転軸周りに回転する回転部材と、
(c)前記回転部材に対して前記回転軸の軸方向に移動可能となるように前記回転部材に取り付けられ、前記液体よりも比重が小さい羽根部材であって、
前記回転部材が一の方向に回転するときには、前記回転部材の回転に伴い前記軸方向に沿って上下方向において前記液体の液面よりも下方に向かって移動しながら前記液体を攪拌し、
前記回転部材の前記一の方向の回転が停止したときには、前記液体の浮力によって前記液面に向かって浮上する羽根部材と、
(d)前記羽根部材が前記上下方向において検知位置に位置するときに前記羽根部材を検知する検知部材と、
(e)を備えることを特徴とする液体収容装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本明細書及び添付図面の記載により少なくとも次のことが明らかにされる。
【0009】
(a)消費される液体を収容する収容部と、
(b)前記収容部内に設けられ、回転軸周りに回転する回転部材と、
(c)前記回転部材に対して前記回転軸の軸方向に移動可能となるように前記回転部材に取り付けられ、前記液体よりも比重が小さい羽根部材であって、
前記回転部材が一の方向に回転するときには、前記回転部材の回転に伴い前記軸方向に沿って上下方向において前記液体の液面よりも下方に向かって移動しながら前記液体を攪拌し、
前記回転部材の前記一の方向の回転が停止したときには、前記液体の浮力によって前記液面に向かって浮上する羽根部材と、
(d)前記羽根部材が前記上下方向において検知位置に位置するときに前記羽根部材を検知する検知部材と、
(e)を備えることを特徴とする液体収容装置。このような液体収容装置によれば、簡素な構造にて、収容部内の液体を適切に攪拌し、かつ、収容部内の液体の状態を適切に検知することが可能となる。
【0010】
また、かかる液体収容装置であって、
前記回転部材が前記一の方向に回転を開始してから、前記羽根部材が前記検知部材によって検知されるまでの時間に基づいて、前記収容部内の前記液体の量を求める制御部、
を備えることが望ましい。かかる場合には、簡易な方法にて収容部内の液体の残量を検知できる。
【0011】
また、かかる液体収容装置であって、
前記回転部材が停止しており、かつ前記羽根部材が前記液面に位置する状態において、前記液面に位置する前記羽根部材が前記検知部材によって検知されたときに、前記収容部内の前記液体の量が所定量以下であると判断する制御部、
を備えることが望ましい。かかる場合には、簡易な構成にてインクエンド(後述)を検知できる。
【0012】
また、かかる液体収容装置であって、
前記回転部材の前記一の方向の回転中は、前記羽根部材による前記液体の攪拌が継続して行われることが望ましい。かかる場合には、収容部内の液体の沈降が効果的に抑制されることとなる。
【0013】
また、かかる液体収容装置であって、
前記液体は、紫外線硬化型インクであり、
前記羽根部材は、磁界を発生する磁石を有し、
前記検知部材は、前記磁石が前記検知部材に接近したときに前記磁石が発生した磁界を検知するホール素子を有し、前記ホール素子が前記磁界を検知したときに前記羽根部材が前記検知位置に位置することを検知することが望ましい。かかる場合には、液体が紫外線硬化型インクであっても、検知部材が羽根部材を適切に検知できる。
【0014】
また、かかる液体収容装置であって、
前記回転部材は、角シャフトであり、
前記羽根部材は、前記角シャフトが貫通する矩形状の穴部と、前記穴部の周囲に設けられ前記液体を攪拌する羽根と、を有し、
前記角シャフトが前記一の方向に回転するときには、前記角シャフトが前記穴部に接触した状態で回転することに伴い、前記羽根部材が前記液面よりも下方に向かって移動しながら前記液体を攪拌し、
前記角シャフトの前記一の方向の回転が停止したときには、前記角シャフトが前記穴部を貫通する状態で、前記羽根部材が前記浮力によって前記液面に向かって浮上することが望ましい。かかる場合には、簡素な構造にて、回転部材の回転中には羽根部材を液面よりも下方に向かって移動させることができ、かつ、回転部材の回転が停止したときには羽根部材を液面に向かって浮上させることができる。
【0015】
また、(A)液体吐出装置本体に対して着脱可能な液体収容カートリッジであって、
(a)前記液体吐出装置本体に設けられた吐出部に補給される液体を収容する収容部と、
(b)前記収容部内に設けられ、回転軸周りに回転する回転部材と、
(c)前記回転部材に対して前記回転軸の軸方向に移動可能となるように前記回転部材に取り付けられ、前記液体よりも比重が小さい羽根部材であって、
前記回転部材が一の方向に回転するときには、前記回転部材の回転に伴い前記軸方向に沿って上下方向において前記液体の液面よりも下方に向かって移動しながら前記液体を攪拌し、
前記回転部材の前記一の方向の回転が停止したときには、前記液体の浮力によって前記液面に向かって浮上する羽根部材と、
(d)前記羽根部材が前記上下方向において所定の検知位置に位置するときに前記羽根部材を検知する検知部材と、
(B)を備えることを特徴とする液体収容カートリッジ。このような液体収容カートリッジによれば、簡素な構造にて、収容部内の液体を適切に攪拌し、かつ、収容部内の液体の状態を適切に検知することが可能となる。
【0016】
また、(a)消費される液体を収容する収容部と、
(b)前記収容部内に設けられ、回転軸周りに回転する回転部材と、
(c)前記回転部材に対して前記回転軸の軸方向に移動可能となるように前記回転部材に取り付けられた羽根部材であって、
前記回転部材が一の方向に回転するときには、前記回転部材の回転に伴い前記軸方向に沿って上下方向のうちの第1方向に向かって回転移動し、
前記回転部材の前記一の方向の回転が停止したときには、前記上下方向のうちの、前記第1方向とは逆の方向である第2方向に移動する羽根部材と、
(d)前記羽根部材が前記上下方向において検知位置に位置するときに前記羽根部材を検知する検知部材と、
(e)を備えることを特徴とする液体収容装置。このような液体収容装置によれば、簡素な構造にて、収容部内の液体を適切に攪拌し、かつ、収容部内の液体の状態を適切に検知することが可能となる。
【0017】
また、かかる液体収容装置であって、
前記羽根部材の比重は、前記液体の比重よりも大きく、
前記第1方向は前記上下方向のうちの上方向であり、前記第2方向は前記上下方向のうちの下方向であり、
前記羽根部材を前記上方向へ移動させた後に前記下方向へ移動させる際に、前記下方向に移動中の前記羽根部材を前記検知部材に検知させることによって、前記収容部内の前記液体の量を求める制御部を備えることが望ましい。かかる場合には、羽根部材の比重が大きい場合でも、下方向に移動中の羽根部材を検知することにより、収容部内の液体の残量を適切に検知できる。
【0018】
また、かかる液体収容装置であって、
前記制御部は、
前記上方向へ移動した前記羽根部材が前記下方向への移動を開始してから、前記下方向へ移動中の前記羽根部材が前記検知部材によって検知されるまでの時間に基づいて、前記収容部内の前記液体の量を求めることが望ましい。かかる場合には、水位センサー等を設けなくても、簡易な方法にて収容部内の液体の残量を検知できる。
【0019】
また、かかる液体収容装置であって、
前記羽根部材を回転させるためのモータを備え、
前記回転部材が前記一の方向とは逆の方向である他の方向に回転するときには、前記羽根部材は、前記回転部材の回転に伴い前記第2方向に向かって回転移動し、
前記制御部は、
前記上方向へ移動した前記羽根部材が前記下方向への移動を開始してから、前記下方向へ移動中の前記羽根部材が前記検知部材によって検知されるまでの、前記モータの回転量に基づいて、前記収容部内の前記液体の量を求めることが望ましい。かかる場合には、水位センサー等を設けなくても、簡易な方法にて収容部内の液体の残量を検知できる。
【0020】
また、かかる液体収容装置であって、
前記回転部材を、前記一の方向への回転を開始してから所定時間経過後に停止させる際に、前記回転部材の回転中に前記検知部材が前記羽根部材を継続して検知するときには、前記収容部内の前記液体の量が所定量以下であると判断する制御部を備えることが望ましい。かかる場合には、水位センサー等を設けなくても、簡易な構成にてインクエンド(後述)を検知できる。
【0021】
また、かかる液体収容装置であって、
前記羽根部材は、前記回転部材が貫通する穴部を備える基部と、前記基部から放射状に延出した複数の羽根と、前記複数の羽根の先端部を連結する環状の連結部と、前記連結部の外周に複数設けられ前記検知部材によって検知される被検知部と、を有することが望ましい。かかる場合には、連結部によって羽根部材の耐久を高められ、かつ、効果的に液体を攪拌できる。
【0022】
また、(A)液体吐出装置本体に対して着脱可能な液体収容カートリッジであって、
(a)消費される液体を収容する収容部と、
(b)前記収容部内に設けられ、回転軸周りに回転する回転部材と、
(c)前記回転部材に対して前記回転軸の軸方向に移動可能となるように前記回転部材に取り付けられた羽根部材であって、
前記回転部材が一の方向に回転するときには、前記回転部材の回転に伴い前記軸方向に沿って上下方向のうちの第1方向に向かって回転移動し、
前記回転部材の前記一の方向の回転が停止したときには、前記上下方向のうちの、前記第1方向とは逆の方向である第2方向に移動する羽根部材と、
(d)前記羽根部材が前記上下方向において検知位置に位置するときに前記羽根部材を検知する検知部材と、
(B)を備えることを特徴とする液体収容カートリッジ。このような液体収容カートリッジによれば、簡素な構造にて、収容部内の液体を適切に攪拌し、かつ、収容部内の液体の状態を適切に検知することが可能となる。
【0023】
===インクジェットプリンタの概要===
液体収容装置の一例としてインクジェットプリンタ(以下、プリンタ1と呼ぶ)を例に挙げて、プリンタ1の構成例と印刷処理例について、説明する。
【0024】
<<<プリンタ1の構成>>>
図1は、プリンタ1の全体構成を示すブロック図である。図2は、プリンタ1の主要部の構成を示した図である。図3は、ドラムユニット30、ヘッドユニット40、及び紫外線照射ユニット50の断面構造を示した図である。図4Aは、ヘッドユニット40を示した斜視図である。図4Bは、図4Aの矢印Fで示す方向からヘッド42を見たときの、ヘッド42の正面図である。
【0025】
外部装置であるコンピュータ110から印刷データを受信したプリンタ1は、コントローラ10により、各ユニット(給排紙ユニット20、ドラムユニット30、吐出部の一例であるヘッドユニット40、紫外線照射ユニット50、インク補給ユニット60、)を制御し、用紙Sに画像を形成する(印刷処理)。また、プリンタ1内の状況を検出器群70が監視し、その検出結果に基づいて、コントローラ10は各ユニットを制御する。
【0026】
コントローラ10は、プリンタ1の制御を行うための制御ユニットである。インターフェース部11は、外部装置であるコンピュータ110とプリンタ1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU12は、プリンタ1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ13は、CPU12のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU12は、メモリ13に格納されているプログラムに従ったユニット制御回路14により各ユニットを制御する。タイマー15は、時間を計るためのものである。
【0027】
給排紙ユニット20は、図2に示すように、給紙部21と排紙部22から成る。給紙部21は、用紙Sを搬送する給紙ローラ(不図示)を有し、給紙部21内に積層された用紙Sを一枚ずつドラムユニット30へ給紙する。排紙部22は、用紙Sを搬送する排紙ローラ(不図示)を有し、ドラムユニット30上に支持され印字が完了した用紙Sを、排紙部22内に送り込む。
【0028】
ドラムユニット30は、給紙部21から給紙された用紙Sを保持する保持ドラム31を有する。この保持ドラム31の回転軸32は、一対のフレーム36に回転可能に支持されている。そして、保持ドラム31は、用紙Sを外周面33にて保持した状態で、図2に示す矢印Rの方向に回転する。
【0029】
ヘッドユニット40は、一対のガイド軸46、47に支持され、保持ドラム31の軸方向において往復移動可能なヘッドキャリッジ41を有する。ヘッドキャリッジ41には、用紙Sに液体であるインクを吐出するヘッド42が設けられている。ここで、本実施例においては、ヘッド42として、互いに色の異なるインクを吐出する5個のヘッド42a〜42e(図4B)が、保持ドラム31に保持された用紙Sに対向するように設けられている。また、各ヘッド42a〜42eは、複数のノズルが形成されたノズルプレート44a〜44eを有し、各ノズルからインクが吐出される。また、各ノズルには、インクが入った圧力室(不図示)と、圧力室の容量を変化させてインクを吐出させるための駆動素子(ピエゾ素子)が設けられている。
【0030】
また、ヘッドキャリッジ41には、インクを収容する収容室43が設けられている。この収容室43からは、ヘッド42に一定量のインクが供給される。なお、本実施例においては、インクとして、紫外線が照射されることによって硬化する紫外線硬化型インクが用いられている。ここで、紫外線硬化型インクは、ビヒクル、光重合開始剤及び顔料の混合物に、消泡剤、重合禁止剤等の補助剤を添加して調合される。なお、ビヒクルは、光重合硬化性を有するオリゴマー、モノマー等を、反応性希釈剤により粘度調整して調合される。
【0031】
紫外線照射ユニット50は、一対のガイド軸56、57に支持され、保持ドラム31の軸方向において往復移動可能な照射部キャリッジ51を有する。照射部キャリッジ51には、ヘッド42から吐出されて用紙Sに付着したインクに対して紫外線を照射する紫外線照射部52が設けられている。紫外線照射部52は、保持ドラム31の回転方向に沿って整列された複数のランプ53を有する。この複数のランプ53が用紙S上のインクに紫外線を照射することによって、インクが硬化する。
【0032】
インク補給ユニット60は、ヘッド42によるインクの吐出に起因してヘッドユニット40(具体的には、収容室43)内のインクの量が減った際に、収容室43にインクを補給するためのものである。このインク補給ユニット60の詳細な構成については、後述する。
【0033】
<<<印刷処理>>>
コントローラ10は、コンピュータ110から印刷命令及び印刷データを受信すると、印刷データに含まれる各種コマンドの内容を解析し、各ユニットを用いて、以下の印刷処理を行う。
まず、給紙部21が、用紙Sを保持ドラム31に向かって給紙する。保持ドラム31に給紙された用紙Sは、外周面33に巻き付けられることによって保持される。そして、保持された用紙Sは、保持ドラム31と共に回転する。回転する用紙Sに対して、各ヘッド42はインクを吐出して付着させる。用紙Sに付着したインクは、保持ドラム31の回転に伴い移動して、紫外線照射部52によって紫外線が照射される。これにより、用紙S上のインクが硬化して、用紙S上に画像が形成される。
そして、保持ドラム31が1回転する際に保持ドラム31の軸方向の一部領域において用紙Sに画像が印刷されると、ヘッドキャリッジ41はガイド軸46、47に沿って移動する(照射部キャリッジ51も、同様にガイド軸56、57に沿って移動する)。そして、軸方向において上記領域に隣接した領域に対して、上述した動作(ヘッド42によるインク吐出と、紫外線照射部52による紫外線の照射)が実行される。
このようにして、保持ドラム31の軸方向において全ての画像が印刷された用紙Sは、保持ドラム31から剥離されて、排紙部22に送り込まれる。これにより、印刷処理が終了する。
【0034】
===インク補給ユニット60の構成例===
図5は、インク補給ユニット60の構成を示した模式図である。図6は、角シャフト63に取り付けられたプロペラ部材64を示した模式図である。図7Aは、プロペラ部材64が液面に位置している状態を示した図である。図7Bは、角シャフト63の回転に伴い移動中のプロペラ部材64を示した図である。図7Cは、プロペラ部材64が検知位置に移動した状態を示した図である。図7Dは、インクエンド時のインクカートリッジ61を示した図である。
本実施形態のインク補給ユニット60は、インクの色毎に複数設けられている(すなわち、各補給ユニット60は、異なる色のインクを対応するヘッド42に補給する)が、各インク補給ユニット60の構成は同様である。このため、以下においては、イエローインクを補給するインク補給ユニット60を例に挙げて説明する。
【0035】
インク補給ユニット60は、図5に示すように、液体収容カートリッジの一例であるインクカートリッジ61と、供給路67と、供給ポンプ68と、空気吸入路69とを有する。インクカートリッジ61は、ヘッドユニット40の収容室43に補給されるインク(ここでは、イエローインク)を収容する。このインクカートリッジ61は、液体収容装置本体であるプリンタ本体に対して着脱可能な構成となっている。供給路67は、インクカートリッジ61と収容室43とを繋げており、インクカートリッジ61から収容室43へ供給されるインクを流すためのものである。供給ポンプ68は、供給路67に設けられたチューブポンプであり、インクカートリッジ61のインクを吸引して収容室43へ送り出す。空気吸入路69は、インクカートリッジ61内に空気を吸入するためのものである。
【0036】
次に、インクカートリッジ61の内部構成について説明する。インクカートリッジ61は、収容部の一例であるインク収容部62と、回転部材の一例である角シャフト63と、羽根部材の一例であるプロペラ部材64と、モータ65と、検知部材の一例であるセンサー66とを有する。
【0037】
インク収容部62は、ヘッドユニット43への補給するインクを収容する。インク収容部62内のインクの水位は、インクがヘッドユニット43に補給される(別言すれば、消費される)ことにより、下がる。そして、インクエンドになるまで、ヘッドユニット43へインクが補給される。ここで、インクエンドとは、図7Dに示すように、インク収容部62に収容されたインクの量が僅かな状態(インク収容部62のインクが枯渇した状態を含む)を意味する。
【0038】
角シャフト63は、インク収容部62内に設けられ、回転軸周りに回転する。この角シャフト63の回転軸方向の一端側は、モータ65に連結されており、モータ65は、角シャフト63を回転させる動力を発生する。
【0039】
プロペラ部材64は、角シャフト63に取り付けられており、角シャフト63の回転に連動して回転する。このプロペラ部材64は、図7Bに示すように、上下方向においてインクの液面よりも下方を回転しながら移動する際は、インクを攪拌する。このようにプロペラ部材64がインクを攪拌することによって、インク収容部62内のインクの沈降を抑制できる。
【0040】
また、プロペラ部材64は、図6に示すように、角シャフト63が貫通する矩形状の穴部である貫通穴64bと、インクを攪拌する複数(本実施例では、3枚)の羽根64cと、磁界を発生する磁石である永久磁石64dと、を有している。
【0041】
貫通穴64bは、基部64aの中央側に位置する。そして、プロペラ部材64が角シャフト63に対して回転軸方向に移動可能となるように、プロベラ部材64の貫通穴64bの部分と、角シャフト63との間には、若干の隙間が形成されている。羽根64cは、基部64aから延出しており、貫通穴64bの周囲に位置する。永久磁石64dは、各羽根64cの先端に設けられている。
【0042】
プロペラ部材64が角シャフト63の回転に連動して回転する際に、羽根64cに推進力が作用する。本実施例においては、角シャフト63は、インク収容部62内のインクの液面に対して所定の角度を有している。このため、角シャフト63が一の方向に回転(正回転)する際には、正回転中のプロペラ部材64は羽根64cに作用する推進力によって下方に移動し、角シャフト63が他の方向に回転(逆回転)する際には、逆回転中のプロペラ部材64は前記推進力によって上方に移動する構成となっている。
【0043】
また、プロペラ部材64の比重は、インクの比重よりも小さい。このため、プロペラ部材64は、停止しているときには、図7Aに示すように前記推進力を受けずにインクの浮力を受けてインクの液面に位置している。
【0044】
センサー66は、プロペラ部材64が上下方向において所定の検知位置(図7Cに示す位置)に位置するときにプロペラ部材64を検知する。具体的には、センサー66は、羽根64cがホール素子66aに接近したとき(具体的には、上下方向において羽根64cとホール素子66aが同じ位置になってとき)に、永久磁石64dが発生した磁界を検知するホール素子66aを有する。そして、ホール素子66aが磁界を検知したときにホール素子66aに電流が流れることによって、センサー66はプロペラ部材64が検知位置に位置することを検知する。なお、ホール素子66aは、インク収容部62の外側に設けられている。すなわち、ホール素子66aは、壁を隔てて検知位置に位置するプロペラ部材64と対向する。
【0045】
このセンサー66によって、本実施例においては、インク収容部62内のインクの残量検知及びインクエンド検知が行なわれている。これにより、インク収容部62内のインクの状態が、適切に把握されることとなる。
【0046】
ここで、インクの残量は、以下のように判断できる。インク収容部62内の、上下方向においてセンサー66の位置よりも下方にあるインクの量は、予め知ることができる。また、上下方向において液面からセンサー66の位置までの間のインクの量は、液面に位置するプロペラ部材64がセンサー66に検知されるまでの回転時間によって求められる(詳細は、後述する)。これら2つの量を足した値を、インク収容部62内のインクの残量と判断できる。
【0047】
また、インクエンドは、以下のように判断できる。本実施例におけるセンサー66の位置は、上下方向においてインク供給路67の端部に対応する位置である。そして、液面がセンサー66の位置にあるときには、インク供給路67にインクが流れないため、インク収容部62内のインクの量が変動しない。このため、液面がセンサー66に位置するときには、インクエンドに相当するものと判断できる。
【0048】
===攪拌モード、残量検知モード、及びインクエンド検知モードについて===
インク収容部62内のインクが使用されない状態で時間が経つと、インクが沈降することがある。このため、インクの沈降を抑制するために、インクを適切に攪拌する必要がある。また、ヘッドユニット40にインクが補給されることによって、インク収容部62内のインクの残量が変化する。ここで、ヘッドユニット40へのインクの補給を安定的に行うためには、インクの残量を含めてインクの状態を適切に把握することが必要である。これらの要求に応えるために、プリンタ1は、予め用意された3つのモードに応じた動作を実行する。
上述した3つのモードは、インク収容部62内のインクを攪拌する攪拌モードと、インク収容部62内のインクの残量を検知する残量検知モードと、インクエンドを検知するエンド検知モードとがある。以下においては、攪拌モード、残量検知モード、エンド検知モードの順に、各モードについて説明する。
【0049】
<<<攪拌モード>>>
図8は、攪拌モードを説明するためのフローチャートである。
攪拌モードとは、液面に位置するプロペラ部材64を、上下方向において下方に移動させながら、インクを攪拌するモードである。
攪拌モードが実行されるときのプリンタ1の各種動作は、主として、コントローラ10により実現される(残量検知モード及びエンド検知モードの実行時も、同様である)。特に、本実施の形態においては、メモリ13に格納されたプログラムをCPU12が処理することにより実現される。そして、このプログラムは、以下に説明する各種の動作を行うためのコードから構成されている。
【0050】
攪拌モードは、所定の攪拌タイミングになったときに実行される。本実施例における攪拌タイミングは、例えば、プリンタ1の電源がONになったタイミング、又は、前回のインク攪拌が終了してから所定時間経過したタイミングである。なお、攪拌タイミングのときには、プロペラ部材64は、図7Aに示すようにインクの液面に位置している。
【0051】
まず、コントローラ10は、攪拌タイミングになったときに、例えばプリンタ1の電源がONになったときに(ステップS2:Yes)、モータ65に角シャフト63を一の方向に回転(正回転)させる(ステップS4)。角シャフト63の正回転に連動して、角シャフト63に取り付けられたプロペラ部材64も、角シャフト63が貫通穴64bを貫通した状態で正回転する。
【0052】
ここで、プロペラ部材64の正回転中に、羽根64cによって推進力が発生する。この推進力は、正回転中のプロペラ部材64に対して上下方向の下方に向かって作用する。このため、正回転中のプロペラ部材64は、推進力によって図7Bに示すように上下方向の下方に向かって移動する。そして、移動中のプロペラ部材64によって、液面より下方のインクが攪拌される。このように、攪拌モード開始時に液面に位置するプロペラ部材64は、角シャフト63の正回転に伴い回転軸方向に沿って上下方向においてインクの液面よりも下方に向かって移動(回動)しながら、インクを攪拌する。
【0053】
次に、コントローラ10は、プロペラ部材64の移動中に図7Cに示すようにセンサー66がプロペラ部材64を検知した(すなわち、センサー66が検知位置に位置するプロペラ部材64を検知した)ときには(ステップS6:Yes)、正回転中の角シャフト63を停止させる(ステップS8)。これにより、プロペラ部材64の正回転も停止する(別言すれば、プロペラ部材64が検知位置に移動するまで、プロペラ部材64が正回転する)。
【0054】
ところで、角シャフト63の正回転が停止したときには、上述した推進力が作用しなくなる。そして、前述したようにプロペラ部材64の比重はインクの比重よりも小さいために、検知位置に位置するプロペラ部材64は、インクの浮力によって液面に向かって移動する(すなわち、浮上する)。この結果、角シャフト63の回転の停止から一定時間経過した後には、プロペラ部材64は、図7Aに示すように液面に位置することとなる。
【0055】
その後も、攪拌タイミング(インクの攪拌が終了してから所定時間経過したとき)になる度に、上述した動作(ステップS2〜S8)が実行されて、インク収容部62内のインクが攪拌される。
【0056】
上述した攪拌モードの場合には、角シャフト63の正回転中は、プロペラ部材64によるインクの攪拌が継続して行われるため、インク収容部62内のインクの沈降が効果的に抑制されることとなる。
【0057】
なお、上記においては、正回転中の角シャフト63を停止させるタイミングは、センサー66がプロペラ部材64を検知したときであることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、角シャフト63が所定時間だけ回転したら、角シャフト63を停止させることとしてもよい。
【0058】
また、角シャフト63の正回転の停止後は、プロペラ部材64はインクの浮力によって液面まで移動することとしたが、これに限定されるものではない。例えば、角シャフト63の正回転の停止後に、角シャフト63を逆回転させてプロペラ部材64を液面に移動させることとしてもよい。これにより、プロペラ部材64が検知位置から液面に移動するまでに、このプロペラ部材64によってインクが攪拌される。
【0059】
<<<残量検知モード>>>
図9は、残量検知モードを説明するためのフローチャートである。
残量検知モードとは、液面に位置するプロペラ部材64を上下方向において下方に移動させて、当該プロペラ部材64をセンサー66に検知させることにより、インク収容部62内のインク残量を検知するモードである。
【0060】
残量検知モードも、攪拌モードと同様に、所定の残量検知タイミングになったときに実行される。本実施例における残量検知モードは、例えば、プリンタ1の電源がONになったタイミング、又は、前回のインク残量の検知が終了してから所定時間経過したタイミングである。なお、残量検知タイミングのときには、プロペラ部材64は、図7Aに示すようにインクの液面に位置している。
【0061】
まず、コントローラ10は、残量検知タイミングになったときに、例えばプリンタ1の電源がONになったときに(ステップS22:Yes)、モータ65に角シャフト63を正回転させる(ステップS24)。角シャフト63の正回転に連動して、プロペラ部材64も正回転する。そして、正回転中のプロペラ部材64は、前述した推進力によって図7Bに示すように上下方向の下方に向かって移動する。なお、プロペラ部材64の移動(回動)中に、インクの攪拌も行われる。
【0062】
次に、コントローラ10は、プロペラ部材64の移動中に図7Cに示すようにセンサー66がプロペラ部材64を検知した(すなわち、センサー66が検知位置に位置するプロペラ部材64を検知した)ときには(ステップS26:Yes)、正回転中の角シャフト63を停止させる(ステップS28)。これにより、プロペラ部材64の正回転も停止する。なお、角シャフト63の回転の停止から一定時間経過した後には、プロペラ部材64は、インクの浮力によって浮上して液面に位置することとなる(図7A)。
【0063】
次に、コントローラ10は、タイマー15(図1)によって、ステップS24における正回転開始からステップS28における正回転停止迄の角シャフト63の回転時間(別言すれば、液面に位置するプロペラ部材64が検知位置に移動する迄のプロペラ部材64の回転時間)、を取得する(ステップS30)。そして、コントローラ10は、取得した回転時間に基づいて、インク収容部62内のインク残量を求める(ステップS32)。
【0064】
ここで、角シャフト63の回転時間とインク残量との関係については、予め実験等で測定されており、前記関係についての情報が、例えばメモリ13に格納されている。このため、コントローラ10は、取得した前記回転時間と、メモリ13に格納された前記情報とを比較することによって、インク収容部62内のインク残量を求める(検知する)ことができる。
その後も、残量検知タイミング(インクの残量検知が終了してから所定時間経過したとき)になる度に、上述した動作(ステップS22〜S32)が実行されて、インク収容部62内のインク残量が検知される。
【0065】
上述した残量検知モードの場合には、コントローラ10が、角シャフト63が正回転を開始してから、検知位置へ移動したプロペラ部材64がセンサー66によって検知されるまでの時間に基づいて、インク収容部62内のインクの量を求めるため、簡易な方法にてインク残量を検知できる。
【0066】
なお、攪拌モードのステップS4〜S8と、残量検知モードのステップS24〜S28とは同様であるので、2つのモードを同時に実行することとしてもよい。かかる場合には、2つのモードを別々に実行する場合に比べて、制御時間を短くできる。
【0067】
<<<インクエンド検知モード>>>
図10は、インクエンド検知モードを説明するためのフローチャートである。
インクエンド検知モードとは、液面に位置するプロペラ部材64がセンサー66によって検知された(すなわち、インクの液面が検知された)ときに、インク収容部62内のインクの状態がインクエンドであると判断するモードである。
【0068】
本実施例に係るインクエンド検知モードは、前述した攪拌モード及び残量検知モードが実行されていないときに、実行される。具体的には、角シャフト63が所定時間停止しているときに(ステップS42:Yes)、インクエンド検知モードが実行される。これは、角シャフト63が所定時間以上停止していれば、インクの浮力が作用されるプロペラ部材64が、確実に液面に位置すると判断できるからである。このため、本モードが実行されているときには、液面に位置するプロペラ部材64を検知すれば、インクの液面の位置が分かることとなる。
【0069】
コントローラ10は、液面に位置するプロペラ部材64がセンサー66によって検知された(すなわち、プロペラ部材64が検知位置に位置する)ときには(ステップS44:Yes)、インクエンドであると判断する(ステップS46)。すなわち、コントローラ10は、図7Dに示すようにインク収容部62内のインクの残量がほとんど無く、ヘッドユニット40に補給できるインクがほとんど無いと判断する。
インクエンドであると判断したコントローラ10は、動作中のプリンタ1を強制停止させる(ステップS48)。これにより、インクが枯渇した状態で、ヘッド42からのインク吐出が行われることを防止できる。
【0070】
一方、コントローラ10は、液面に位置するプロペラ部材64がセンサー66によって検知されない(すなわち、プロペラ部材64が、上下方向において検知位置よりも上方に位置する)ときには(ステップS44:No)、インクエンドでないと判断する(ステップS50)。すなわち、コントローラ10は、インク収容部62内にはヘッドユニット40に補給できるインクが収容されていると判断する。
かかる場合には、その後もインクエンドの検知が継続される。すなわち、インクエンドが検知される迄、ステップS42、S44の動作を繰り返し実行されることとなる。
【0071】
上述したインクエンド検知モードの場合には、コントローラ10が、角シャフト63が停止しており、かつプロペラ部材64が液面に位置する状態において、液面に位置するプロペラ部材64がセンサー66によって検知されたときに、インク収容部62内のインクの残量が所定量以下であると判断するため、簡易な方法にてインクエンドを検知できる。
【0072】
===本実施の形態に係るプリンタ1の有効性===
上述したように、本実施の形態に係るプリンタ1(液体収容装置)は、(a)消費されるインク(液体)を収容するインク収容部62(収容部)と、(b)インク収容部62内に設けられ、回転軸周りに回転する角シャフト63(回転部材)と、(c)角シャフト63に対して回転軸方向に移動可能となるように角シャフト63に取り付けられ、インクよりも比重が小さいプロペラ部材64(羽根部材)であって、角シャフト63が正回転(一の方向に回転)するときには、角シャフト63の回転に伴い回転軸方向に沿って上下方向においてインクの液面よりも下方に向かって移動しながらインクを攪拌し、角シャフト63の正回転が停止したときには、インクの浮力によって液面に向かって浮上するプロペラ部材64と、(d)プロペラ部材64が上下方向において検知位置に位置するときにプロペラ部材64を検知するセンサー66(検知部材)と、を有する。これにより、簡素な構造にて、インク収容部62内のインクを適切に攪拌し、かつ、インク収容部62内のインクの状態を適切に検知することができる。
【0073】
すなわち、角シャフト63の正回転に伴い上下方向において液面より下方に移動(回動)するプロペラ部材64は、その移動中に回転しながら、液面よりも下方のインクをほぼ満遍なく攪拌する。このため、簡素な構造であっても、インク収容部62内のインクが適切に攪拌されることとなる。
また、プロペラ部材64の比重はインクの比重よりも小さいため、角シャフト63が回転していないときには、インクの浮力によって液面に位置することとなる。このため、液面に位置するプロペラ部材64を検知することで液面の位置を検知できる。また、角シャフト63の正回転に伴い移動するプロペラ部材64を検知することによって、インクの残量を検知できる。従って、簡素な構造であっても、インク収容部62内のインクの状態を適切に検知できる。
【0074】
さらに、インクは紫外線硬化型インクであり、プロペラ部材64は、磁界を発生する永久磁石64d(磁石)を有することとした。そして、センサー66は、永久磁石64dがセンサー66に接近したときに永久磁石64dが発生した磁界を検知するホール素子66aを有し、ホール素子66aが前記磁界を検知したときにプロペラ部材64が検知位置に位置することを検知する(図7C等参照)こととした。かかる場合には、以下に説明するように、インクが紫外線硬化型インクであっても、センサー66がプロペラ部材64を適切に検知できる。
すなわち、インク収容部62内のインクが紫外線硬化型インク(光が透過し難いインク)である場合には、例えば光センサーによるプロペラ部材64の検知が困難となる。これに対して、ホール素子66aと永久磁石64dの構成の場合(本実施形態の場合)には、紫外線硬化型インクであっても、永久磁石64dが発生する磁界を検知したホール素子66aに電流が流れるので、センサー66がプロペラ部材64を適切に検知できる。
【0075】
さらに、プロペラ部材64は、図6に示すように、角シャフト63が貫通する矩形状の貫通穴64b(穴部)と、貫通穴64bの周囲に設けられインクを攪拌する羽根64cと、を有することとした。そして、プロペラ部材64は、角シャフト63が正回転するときには、角シャフト63が貫通穴64bに接触した状態で回転することに伴い、プロペラ部材64が液面よりも下方に向かって移動しながらインクを攪拌し(図7B参照)、角シャフト63の正回転が停止したときには、角シャフト63が貫通穴64bを貫通する状態で、プロペラ部材64がインクの浮力によって液面に向かって浮上することとした。
かかる場合には、簡素な構造にて、角シャフト63の正回転中にはプロペラ部材64を上下方向において液面よりも下方に向かって移動(回動)させることができ、かつ、角シャフト63の正回転が停止したときにはプロペラ部材64を液面に向かって浮上させることができる。
【0076】
===第2実施形態===
上述した実施形態(以下、第1実施形態と呼ぶ)とは異なる、第2実施形態に係るインク補給ユニット60の構成について説明する。併せて、前述した3つのモード(攪拌モード、残量検知モード、及びインクエンド検知モード)についても、説明する。
【0077】
<<<インク補給ユニット60の構成>>>
図11A〜図11Fは、第2実施形態におけるインク補給ユニット60を示した模式図ある。図12は、第2実施形態に係るプロペラ部材64を示した斜視図である。なお、図11A〜図11Fでは、プロペラ部材64を簡略化して示している。
【0078】
第2実施形態に係るプロペラ部材64の構成は、第1実施形態とは異なる。一方で、プロペラ部材64以外の他の構成は、2つの実施形態とも同様である。このため、以下においては、プロペラ部材64の構成について主に説明し、プロペラ部材64以外の他の構成については説明を省く。
【0079】
プロペラ部材64は、角シャフト63に取り付けられており、図11A〜図11Fに示すように角シャフト63の回転に連動して上下方向に回転移動する。そして、プロペラ部材64は、図12に示すように、基部64aと、複数の羽根64cと、連結部64eと、永久磁石64dと、を有している。
【0080】
基部64aの中央側には、角シャフト63が貫通する貫通穴64bが形成されている。複数の羽根64c(12枚の羽根64c)は、それぞれ基部64aから放射状に延出している。なお、羽根64cの数は、第1実施形態よりも多い。連結部64eは、環状の形状を成しており、複数の羽根64cの先端部を連結している。これにより、プロペラ部材64の剛性が高くなる。永久磁石64dは、連結部64eの外周に等間隔で複数(12個)設けられており、センサー66によって検知される被検知部である。なお、プロペラ部材64のうちの永久磁石64dは、磁性体であり、他の部分(基部64a等)は非磁性体である。
【0081】
ところで、第1実施形態においては、プロペラ部材64の比重がインクの比重よりも小さいこととしたが、第2実施形態においては、プロペラ部材64の比重は、インクの比重よりも大きい。このため、プロペラ部材64は、角シャフト63が回転していない時には、図11Aに示すようにインク収容部62の底面に位置する。
【0082】
ここで、プロペラ部材64の材質は、ポリカーボネート(比重:1.2)、ポリ塩化ビニル(比重:1.2〜1.5)等の樹脂、またはアルミニウム(比重:2.7)等の金属である。そして、プロペラ部材64は、前記樹脂を真空成形したり、前記金属を切削加工することにより、製造されている。
【0083】
また、インク(液体)の溶媒としては水が用いられており、インクの約80%が水であり、残りの約20%がインク固形分(顔料等)である(第1実施形態も同様である)。すなわち、インクの比重は水が支配的となる。このため、プロペラ部材64として上記の材質を用いることによって、プロペラ部材64の比重はインクの比重よりも大きくなる。
【0084】
なお、第1実施形態に係るプロペラ部材64の材質は、ポリエチレン(比重:0.91〜0.96)、無延伸ポリプロピレン(比重:0.88〜0.90)等の樹脂である。このため、第1実施形態に係るプロペラ部材64の比重は、水が支配的なインクの比重よりも小さい。
【0085】
<<<攪拌モード、残量検知モード、及びインクエンド検知モードについて>>>
第2実施形態においても、前述した3つのモード(攪拌モード、残量検知モード、インクエンド検知モード)が実行される。以下、各モードについて説明する。
【0086】
<攪拌モード>
図13は、攪拌モードを説明するためのフローチャートである。なお、攪拌モードを開始するときには、インクよりも比重が大きいプロペラ部材64は、図11Aに示すようにインク収容部62の底面に位置している。
【0087】
まず、コントローラ10は、前述した攪拌タイミングになったときに(ステップS102:Yes)、モータ65に角シャフト63を逆回転させる(ステップS104)。これに伴い、プロペラ部材64は、前述した推進力によって図11Bに示すように上方向に向かって移動(回転移動)する。そして、プロペア部材64は、回転移動中にインク収容部62内のインクを攪拌する。
【0088】
次に、コントローラ10は、角シャフト63の逆回転時間が一定時間T1よりも長いかどうかを判断する(ステップS106)。ここで、一定時間T1は、予め実験等によって求められた値であり、インク収容部62の底面に位置するプロペラ部材64が、角シャフト63の回転に伴い、インクの液面まで確実に達するまでの所要時間(推定時間)である。
そして、逆回転時間が一定時間T1よりも長い場合には(ステップS106:Yes)、コントローラ10は、プロペラ部材64が図11Cに示すように液面に位置しているものと判断して、角シャフト63の逆回転を停止させる(ステップS108)。これにより、インクの攪拌が終了する。
【0089】
前述したように、プロペラ部材64の比重はインクの比重よりも大きい。このため、角シャフト63の回転が停止したときには、プロペラ部材64は、図11Dに示すように下方向に向かって移動する。そして、下方に移動するプロペラ部材64は、その後、インク収容部62の底面に位置することとなる(図11A参照)。
【0090】
なお、上記においては、プロペラ部材64が液面に移動した後は角シャフト62の逆回転を停止させることとしたが、これに限定されない。例えば、プロペラ部材64が液面に位置した後に、角シャフト62を正回転させることとしても良い。かかる場合には、角シャフト62の正回転に伴い、プロペラ部材64が、下方向に向かって回転移動しながら、インクを攪拌する。これにより、インク収容部62内のインクの攪拌が、促進されることとなる。
【0091】
<残量検知モード>
図14は、残量検知モードを説明するためのフローチャートである。なお、残量検知モードを開始するときには、プロペラ部材64は、図11Aに示すようにインク収容部62の底面に位置している。
【0092】
まず、コントローラ10は、前述した残量検知タイミングになったときに(ステップS122:Yes)、角シャフト63を逆回転させる(ステップS124)。これに伴い、プロペラ部材64は、前述した推進力によって図11Bに示すように上方向に向かって移動(回転移動)する。
【0093】
次に、コントローラ10は、角シャフト63の逆回転時間が一定時間T1よりも長くなった場合には(ステップS126:Yes)、コントローラ10は、プロペラ部材64が図11Cに示すように液面に位置しているものと判断して、角シャフト63の逆回転を停止させる(ステップS128)。そして、コントローラ10は、角シャフト63の回転を停止したタイミングから、タイマー15(図1)によって時間をカウントする(ステップS130)。
【0094】
前述したように、プロペラ部材64の比重はインクの比重よりも大きい。このため、角シャフト63の回転が停止すると、プロペラ部材64は、図11Dに示すように下方向に向かって移動する。そして、下方に移動するプロペラ部材64は、その後、図11Eに示す検知位置になったときにセンサー66によって検知される(ステップS132:Yes)。
【0095】
そして、コントローラ10は、タイマー15によって、液面へ移動したプロペラ部材64が上下方向の下方向への移動を開始してから(別言すれば、角シャフト63の逆回転が停止したタイミングから)、前記下方向へ移動中のプロペラ部材64がセンサー66によって検知されるまでの時間(以下、下降時間と呼ぶ)を取得する(ステップS134)。
【0096】
次に、コントローラ10は、取得した下降時間に基づいて、インク収容部62内のインクの残量を求める(ステップS136)。具体的には、メモリ13(図1)等には前記下降時間とインク残量の関係(当該関係は、予め実験等で求められている)を示す情報が格納されており、コントローラ10は、取得した下降時間と前記情報とを照らし合わせて、インクの残量を求める。
【0097】
このように、第2実施形態においては、コントローラ10は、プロペラ部材64を前記上方向へ移動させた後に前記下方向へ移動させる際に、前記下方向に移動中のプロペラ部材64をセンサー66に検知させることによって、インク収容部62内のインクの残量を求める。これにより、水位センサーを設けなくても、インクの残量を適切に検知できる。
【0098】
ところで、上記のおいては、プロペラ部材64の下降時間に基づいてインク残量を検知することとしたが、これに限定されない。例えば、コントローラ10は、上下方向の上方向へ移動したプロペラ部材64が下方向への移動を開始してから、下方向へ移動中のプロペラ部材64がセンサー66によって検知されるまでの、モータ65の回転量に基づいて、インク収容部62内のインクの量を求めることとしても良い。なお、モータ65の回転量は、モータ65に取り付けたエンコーダ(不図示)によって求めることができる。また、モータ65の回転量とインク残量の関係を示す情報は、メモリ13に格納されている。
【0099】
<インクエンド検知モード>
図15は、インクエンド検知モードを説明するためのフローチャートである。
インクエンド検知モードは、角シャフト63が所定時間(この所定時間は、プロペラ部材64が確実にインク収容部62に底面に位置している想定できる時間である)停止しているときに(ステップS142:Yes)、実行される。
【0100】
まず、コントローラ10は、角シャフト63を逆回転させる(ステップS144)。これに伴い、プロペラ部材64は、前述した推進力によって液面に向かって移動(回転移動)する。そして、移動したプロペラ部材64は、液面よりも上方には移動せずに、液面上に位置する。
【0101】
ここで、インク残量がインクエンドである(図11Fに示すようにインク収容部62内のインクの量が僅かであり、かつ、そのインクの水位がセンサー66とほぼ同じ高さである)場合には、プロペラ部材64が回転移動直後にセンサー66によって検知される。なお、インクが枯渇している場合のプロペラ部材64も、センサー66によって検知される。
【0102】
ところで、角シャフト63の逆回転は一定時間T1だけ実行される(別言すれば、一定時間T1経過後に、角シャフト63の逆回転が停止する)。そして、インク残量が図11Fのような場合には、一定時間T1の間、プロペラ部材64がセンサー65によって継続して検知される。このように、プロペラ部材64が継続して検知されると(ステップ146:Yes)、コントローラ10は、インクエンドであると判断する。すると、コントローラ10は、動作中のプリンタ1を強制停止させる(ステップS150)。
【0103】
このように、第2実施形態においては、コントローラ10は、角シャフト63を、逆回転を開始してから一定時間T1経過後に停止させる際に、角シャフト63の回転中にセンサー66がプロペラ部材64を継続して検知するときには、インク収容部62内のインクの量が所定量以下である(インクエンドである)と判断する。これにより、水位センサーを設けなくても、インクエンドを適切に検知できる。
【0104】
なお、第2実施形態においては、第1実施形態とは異なり、一の方向に回転とは逆回転を意味し、他の方向に回転とは正回転を意味する。また、上方方向のうちの上方向が第1方向に相当し、下方向が第2方向に相当する。
【0105】
<<<有効性について>>>
第2実施形態においては、プロペラ部材64は、角シャフト63が逆回転する(一の方向に回転する)ときには、角シャフト63の回転に伴い軸方向に沿って上下方向うちの上方向(第1方向)に向かって回転移動する。一方、角シャフト63の逆回転が停止したときには、プロペラ部材64は上下方向のうちの下方向(第2方向)に移動する。そして、センサー66は、このように移動するプロペラ部材64が上下方向において検知位置に位置するときにプロペラ部材64を検知する。これにより、第1実施形態と同様に、簡素な構造にて、インク収容部62内のインクを適切に攪拌し、かつ、インク収容部62内のインクの状態を適切に検知することができる。
すなわち、角シャフト63の逆回転に伴い、プロペラ部材64が上方向に向かって回転移動する場合には、プロペラ部材64が、回転移動中にインクを攪拌できる。また、角シャフト63の逆回転が停止した後に下方向に移動するプロペラ部材64を、センサー66が検知する場合には、例えばプロペラ部材64の下降時間を求めることによって、インク収容部62内のインクの状態(インクの残量等)を検知できる。
【0106】
===その他の実施の形態===
一実施形態としてのプリンタ等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0107】
前述の実施形態では、プリンタが説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の液体吐出装置に、本実施形態と同様の技術を適用しても良い。
【0108】
また、上記の実施形態においては、回転部材は角シャフト63であることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、回転部材は中実の軸(軸の断面形状が円状である)であり、前記軸にキーを設け、かつ、プロペラ部材64にキー溝を設けることとしてもよい。これにより、前記軸のキーがプロブラ部材64のキー溝に接触した状態で、軸の回転に伴いプロペラ部材64が回転する。そして、プロペラ部材が、回転部材の回転中は上下方向において回動し、回転部材が停止したときには液面に向かって浮上することとなる。
【0109】
また、上記の実施形態においては、回転する保持ドラム31に巻き付けられて保持された用紙Sにインクを吐出することとしたが、これに限定されるものではない。例えば、固定された支持部材(いわゆるプラテン)に支持された用紙Sにインクを吐出することとしてもよい。
【0110】
また、インクの吐出方式としてピエゾ素子を利用するものに限られず、例えばサーマルプリンタなどにも適用できる。また、上記の実施形態においては、インクは紫外線硬化型インクであることとしたが、これに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】プリンタ1の全体構成を示すブロック図である。
【図2】プリンタ1の主要部の構成を示した図である。
【図3】ドラムユニット30、ヘッドユニット40、及び紫外線照射ユニット50の断面構造を示した図である。
【図4】図4Aは、ヘッドユニット40を示した斜視図である。図4Bは、図4Aの矢印Fで示す方向からヘッド42を見たときの、ヘッド42の正面図である。
【図5】インク補給ユニット60の構成を示した模式図である。
【図6】角シャフト63に取り付けられたプロペラ部材64を示した模式図である。
【図7】図7Aは、プロペラ部材64が液面に位置している状態を示した図である。図7Bは、角シャフト63の回転に伴い移動中のプロペラ部材64を示した図である。図7Cは、プロペラ部材64が検知位置に移動した状態を示した図である。図7Dは、インクエンド時のインクカートリッジ61を示した図ある。
【図8】攪拌モードを説明するためのフローチャートである。
【図9】残量検知モードを説明するためのフローチャートである。
【図10】インクエンド検知モードを説明するためのフローチャートである。
【図11】図11A〜図11Fは、第2実施形態におけるインク補給ユニット60を示した模式図ある。
【図12】第2実施形態に係るプロペラ部材64を示した斜視図である。
【図13】攪拌モードを説明するためのフローチャートである。
【図14】残量検知モードを説明するためのフローチャートである。
【図15】インクエンド検知モードを説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0112】
1 プリンタ、10 コントローラ、11 インターフェース、12 CPU、
13 メモリ、14 ユニット制御回路、15 タイマー、
20 給排紙ユニット、21 給紙部、22 排紙部、
30 ドラムユニット、31 保持ドラム、32 回転軸、33 外周面、
40 ヘッドユニット、41 ヘッドキャリッジ、42 ヘッド、
44a〜44e ノズルプレート、43 収容室、46 ガイド軸、47 ガイド軸、
50 紫外線照射ユニット、51 照射部キャリッジ、52 紫外線照射部、
53 ランプ、56 ガイド軸、57 ガイド軸、
60 インク補給ユニット、61 インクカートリッジ、62 インク収容部、
63 角シャフト、64 プロペラ部材、64a 基部、64b 貫通穴、
64c 羽根、64d 永久磁石、65 モータ、66 センサー、
66a ホール素子、67 供給路、68 供給ポンプ、69 空気吸入路、
70 検出器群、
110 コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)消費される液体を収容する収容部と、
(b)前記収容部内に設けられ、回転軸周りに回転する回転部材と、
(c)前記回転部材に対して前記回転軸の軸方向に移動可能となるように前記回転部材に取り付けられ、前記液体よりも比重が小さい羽根部材であって、
前記回転部材が一の方向に回転するときには、前記回転部材の回転に伴い前記軸方向に沿って上下方向において前記液体の液面よりも下方に向かって移動しながら前記液体を攪拌し、
前記回転部材の前記一の方向の回転が停止したときには、前記液体の浮力によって前記液面に向かって浮上する羽根部材と、
(d)前記羽根部材が前記上下方向において検知位置に位置するときに前記羽根部材を検知する検知部材と、
(e)を備えることを特徴とする液体収容装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体収容装置であって、
前記回転部材が前記一の方向に回転を開始してから、前記羽根部材が前記検知部材によって検知されるまでの時間に基づいて、前記収容部内の前記液体の量を求める制御部、
を備えることを特徴とする液体収容装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の液体収容装置であって、
前記回転部材が停止しており、かつ前記羽根部材が前記液面に位置する状態において、前記液面に位置する前記羽根部材が前記検知部材によって検知されたときに、前記収容部内の前記液体の量が所定量以下であると判断する制御部、
を備えることを特徴とする液体収容装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の液体収容装置であって、
前記回転部材の前記一の方向の回転中は、前記羽根部材による前記液体の攪拌が継続して行われることを特徴とする液体収容装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の液体収容装置であって、
前記液体は、紫外線硬化型インクであり、
前記羽根部材は、磁界を発生する磁石を有し、
前記検知部材は、前記磁石が前記検知部材に接近したときに前記磁石が発生した磁界を検知するホール素子を有し、前記ホール素子が前記磁界を検知したときに前記羽根部材が前記検知位置に位置することを検知することを特徴とする液体収容装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の液体収容装置であって、
前記回転部材は、角シャフトであり、
前記羽根部材は、前記角シャフトが貫通する矩形状の穴部と、前記穴部の周囲に設けられ前記液体を攪拌する羽根と、を有し、
前記角シャフトが前記一の方向に回転するときには、前記角シャフトが前記穴部に接触した状態で回転することに伴い、前記羽根部材が前記液面よりも下方に向かって移動しながら前記液体を攪拌し、
前記角シャフトの前記一の方向の回転が停止したときには、前記角シャフトが前記穴部を貫通する状態で、前記羽根部材が前記浮力によって前記液面に向かって浮上することを特徴とする液体収容装置。
【請求項7】
(A)液体吐出装置本体に対して着脱可能な液体収容カートリッジであって、
(a)前記液体吐出装置本体に設けられた吐出部に補給される液体を収容する収容部と、
(b)前記収容部内に設けられ、回転軸周りに回転する回転部材と、
(c)前記回転部材に対して前記回転軸の軸方向に移動可能となるように前記回転部材に取り付けられ、前記液体よりも比重が小さい羽根部材であって、
前記回転部材が一の方向に回転するときには、前記回転部材の回転に伴い前記軸方向に沿って上下方向において前記液体の液面よりも下方に向かって移動しながら前記液体を攪拌し、
前記回転部材の前記一の方向の回転が停止したときには、前記液体の浮力によって前記液面に向かって浮上する羽根部材と、
(d)前記羽根部材が前記上下方向において検知位置に位置するときに前記羽根部材を検知する検知部材と、
(B)を備えることを特徴とする液体収容カートリッジ。
【請求項8】
(a)消費される液体を収容する収容部と、
(b)前記収容部内に設けられ、回転軸周りに回転する回転部材と、
(c)前記回転部材に対して前記回転軸の軸方向に移動可能となるように前記回転部材に取り付けられた羽根部材であって、
前記回転部材が一の方向に回転するときには、前記回転部材の回転に伴い前記軸方向に沿って上下方向のうちの第1方向に向かって回転移動し、
前記回転部材の前記一の方向の回転が停止したときには、前記上下方向のうちの、前記第1方向とは逆の方向である第2方向に移動する羽根部材と、
(d)前記羽根部材が前記上下方向において検知位置に位置するときに前記羽根部材を検知する検知部材と、
(e)を備えることを特徴とする液体収容装置。
【請求項9】
請求項8に記載の液体収容装置であって、
前記羽根部材の比重は、前記液体の比重よりも大きく、
前記第1方向は前記上下方向のうちの上方向であり、前記第2方向は前記上下方向のうちの下方向であり、
前記羽根部材を前記上方向へ移動させた後に前記下方向へ移動させる際に、前記下方向に移動中の前記羽根部材を前記検知部材に検知させることによって、前記収容部内の前記液体の量を求める制御部を備えることを特徴とする液体収容装置。
【請求項10】
請求項9に記載の液体収容装置であって、
前記制御部は、
前記上方向へ移動した前記羽根部材が前記下方向への移動を開始してから、前記下方向へ移動中の前記羽根部材が前記検知部材によって検知されるまでの時間に基づいて、前記収容部内の前記液体の量を求めることを特徴とする液体収容装置。
【請求項11】
請求項9に記載の液体収容装置であって、
前記羽根部材を回転させるためのモータを備え、
前記回転部材が前記一の方向とは逆の方向である他の方向に回転するときには、前記羽根部材は、前記回転部材の回転に伴い前記第2方向に向かって回転移動し、
前記制御部は、
前記上方向へ移動した前記羽根部材が前記下方向への移動を開始してから、前記下方向へ移動中の前記羽根部材が前記検知部材によって検知されるまでの、前記モータの回転量に基づいて、前記収容部内の前記液体の量を求めることを特徴とする液体収容装置。
【請求項12】
請求項8〜請求項11のいずれかに記載の液体収容装置であって、
前記回転部材を、前記一の方向への回転を開始してから所定時間経過後に停止させる際に、前記回転部材の回転中に前記検知部材が前記羽根部材を継続して検知するときには、前記収容部内の前記液体の量が所定量以下であると判断する制御部を備えることを特徴とする液体収容装置。
【請求項13】
請求項8〜請求項12のいずれかに記載の液体収容装置であって、
前記羽根部材は、前記回転部材が貫通する穴部を備える基部と、前記基部から放射状に延出した複数の羽根と、前記複数の羽根の先端部を連結する環状の連結部と、前記連結部の外周に複数設けられ前記検知部材によって検知される被検知部と、を有することを特徴とする液体収容装置。
【請求項14】
(A)液体吐出装置本体に対して着脱可能な液体収容カートリッジであって、
(a)消費される液体を収容する収容部と、
(b)前記収容部内に設けられ、回転軸周りに回転する回転部材と、
(c)前記回転部材に対して前記回転軸の軸方向に移動可能となるように前記回転部材に取り付けられた羽根部材であって、
前記回転部材が一の方向に回転するときには、前記回転部材の回転に伴い前記軸方向に沿って上下方向のうちの第1方向に向かって回転移動し、
前記回転部材の前記一の方向の回転が停止したときには、前記上下方向のうちの、前記第1方向とは逆の方向である第2方向に移動する羽根部材と、
(d)前記羽根部材が前記上下方向において検知位置に位置するときに前記羽根部材を検知する検知部材と、
(B)を備えることを特徴とする液体収容カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−202565(P2009−202565A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−159632(P2008−159632)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】