説明

液体収納容器、および該容器を備える液体供給システム

【課題】LEDなどの発光部が発する光を用いてインクタンクの状態に関する表示を行う構成において、信号線を削減しながらもインクタンクの搭載位置を特定した表示を可能とし、またインクタンクには低電力を供給するのみで足りるようにする。
【解決手段】記録装置本体側のアンテナと通信するインクタンク側アンテナを介して無線にて入力される信号と、インクタンクのメモリに保持された個体情報とに基づいて、装置側発光部からの光を透過または遮断可能な液晶素子を制御し、光出射による表示制御を行う。これにより、搭載される複数のインクタンクが共通の制御信号を受け取ったとしても、個体情報に合致するインクタンクのみが光出射の制御を行うことができる。また、LEDなどの発光部を装置本体側に設け、その発光部からの光を透過/遮断可能な液晶素子をインクタンクに配置したことで、インクタンクには低電力を供給すれば足りるものとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体収納容器、該容器を備える液体供給システム、前記容器の製造方法、前記容器用回路基板、前記容器を用いる記録装置および液体収納カートリッジに関するものである。詳しくは、本発明は、インクジェット記録で用いられるインクタンクの搭載位置やインク残量など、液体収納容器の状態に関する報知を光を用いて行う技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラの普及に伴って、パーソナルコンピュータ(PC)を介さずにデジタルカメラと記録装置としてのプリンタとを直接接続して印刷する用途が増えつつある。さらにデジタルカメラに着脱可能に用いられる情報記憶媒体であるカードタイプの情報記憶媒体を直接プリンタに装着してデータ転送を行い、印刷を行う形態も増えつつある。一般的にプリンタのインクタンク内のインク残量はPCを介してモニタ上で確認する手法が知られているが、PCを介さずに記録を行う場合においても、PCを介することなくインクタンク内のインク残量を把握したいという要望が高まっていた。つまりユーザが、インクタンク内のインク残量が少ないことが分かれば、例えば、記録を始める前に予め新しいインクタンクに交換し記録の途中でインク量不足のために記録が実質的にできなくなる事態を未然に防止できる。
【0003】
従来、このようなインクタンクの状態をユーザに報知する構成として、LEDなどの発光部を用いたものが知られている。特許文献1には、記録ヘッドと一体のインクタンクに2つのLEDが設けられ、これらが2段階のインク残量に応じてそれぞれ点灯することが記載されている。また、特許文献2にも同様に、インク残量に応じて点灯するランプをインクタンクに設けることが記載されている。同文献では、記録装置で用いる4つのインクタンクそれぞれに上記のランプを設けることも開示されている。
【0004】
一方、さらなる高画質化の要求から従来の4色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)インクに、濃度の薄い淡色マゼンタ、淡色シアンといったインクが使われるようになってきている。さらにはレッド、ブルーインクといったいわゆる特色インクの使用も提案されてきている。このような場合、インクジェットプリンタに対しては7〜8個といったインクタンクを個別に搭載することになる。その際に、間違った装着位置へのインクタンクの搭載を防止する機構が必要となってくる。特許文献3には、インクタンクがキャリッジに搭載される際の、キャリッジの搭載部とインクタンク相互の係合の形状をインクタンクごとに異ならせ、これにより、インクタンクが誤った位置に装着されることを防止している構成が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平4−275156号公報
【特許文献2】特開2002−301829号公報
【特許文献3】特開2001−253087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献2に記載のようにインクタンクにランプが設けられている場合でも、インク残量が少ないと認識しているインクタンクを本体側制御部が特定するには、その認識に基づくランプの点灯等の為に信号を送るべきインクタンクを特定しなければならない。例えばインクタンクが間違った位置に装着された場合は、インクが無くなっていないインクタンクについてインク残量なしと間違って表示する可能性がある。従って、ランプ等表示器の発光制御では、搭載されるインクタンクの搭載位置を特定することが必要となる。
【0007】
インクタンクの搭載位置を特定する構成としては、上述したように、搭載部とインクタンクが係合する相互の形状を搭載位置ごとに異ならせるものがある。しかしながら、この場合は特に、インクの色ないし種類ごとに異なる形状のインクタンクを製造する必要があり、製造効率やコストの点で不利となる。
【0008】
他の構成として、インクタンク側の電気接点とキャリッジ等の搭載位置における本体側の電気接点とが接続して形成される回路の信号線を、搭載位置毎に個別のものとする構成を採用することが考えられる。例えば、インクタンクの色情報をそのインクタンクから読み出してランプの点灯などを制御するための信号線を、インクタンク搭載位置毎に個別のものとするのである。これにより、読み出した色情報が搭載位置に適合していなければ、インクタンクが誤った位置に搭載されていることを知ることができる。
【0009】
しかしながら、このような信号線をインクタンクもしくは搭載位置ごとに個別なものとする構成は、記録装置に配設される信号線の数を増すものである。特に、上述したように最近のインクジェットプリンタなどでは、用いるインクの種類を多くすることにより画質の向上を図るのが一つの傾向としてある。このようなプリンタでは、特に信号線の数が増すことはコストを増すなどの要因となる。一方で、配線数を削減するためにはバス接続といった所謂共通の信号線の構成が有効であるが、単にバス接続のような共通の信号線を用いる構成では、インクタンクもしくはその搭載位置を特定することができないことは明らかである。
【0010】
また、信号配線数を著しく低減もしくはこれを無くすためには、RFIDなどによる無線通信方式を採用することが有効である。しかし単にこれを採用しただけでは、インクタンクもしくはその搭載位置を特定することができないという問題を依然として解決することはできない。
【0011】
本発明はこのような問題を解消するためになされたものである。その目的とするところは、LEDなどの発光部が発する光を用いて液体収納容器の状態に関する表示を行う構成において、信号線を削減しながらも液体収納容器の搭載位置を特定した表示を可能とすることにある。
【0012】
また、本発明の他の目的は、液体収納容器には低電力を供給するのみで、光を用いた表示を可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そのために、本発明は、複数の液体収納容器が搭載可能であって、該液体収納容器に備えられる通信部と情報の通信が可能な装置側通信部と、発光部と、前記液体収納容器からの光を受光する受光部とを有する記録装置に対して着脱可能な液体収納容器において、
前記装置側通信部と情報の通信が可能な通信部と、
少なくとも液体収納容器の個体情報を保持可能な情報保持部と、
前記装置が有する前記発光部からの光を透過または遮断可能な透光/遮光部を有し、当該透過した光を出射するための表示手段と、
前記通信部から入力される個体情報に係る信号と、前記情報保持部の保持する個体情報とに応じて前記透光/遮光部を制御することで前記表示手段の光出射を制御する制御部と、
を具えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、記録装置の本体側の通信部と通信する液体収納容器の通信部を介して入力される信号と、その液体収納容器の個体情報とに基づいて、装置側発光部からの光を透過または遮断可能な透光/遮光部を制御し、表示手段からの光出射を制御する。そのため、搭載される複数の液体収納容器が共通の制御信号を受け取ったとしても、個体情報に合致する液体収納容器のみがその表示手段からの光出射の制御を行うことができる。これにより、発光部が発する光を用いて液体収納容器の状態に関する表示を行う構成において、信号線を削減しながらも液体収納容器の搭載位置を特定した表示が可能となる。
【0015】
また、本発明では、LEDなどの発光部をインクタンク側に設けるのではなく、プリンタ本体側に設け、その発光部からの光を透過/遮断する透光/遮光部をオン/オフ制御することで表示制御が行われるようにした。ここで透光/遮光部として液晶素子を含むものとすることで、記録装置側から液体収納容器側に大電力を供給したり、比較的大型の電源回路を液体収納容器側に配設したりする必要がなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を詳細に説明する。
1.機械的構成
1.1 インクタンク(図1〜図3)
図1(a)、(b)および(c)は、それぞれ、本発明の第1の実施形態に係る液体収納容器であるインクタンクの側面図、正面図および底面図である。なお、本説明において、インクタンクの正面とは、ユーザに向き合うことでその操作(着脱操作等)およびユーザへの情報提供を可能とする面を言う。
【0017】
本実施形態のインクタンク1は正面側の下部に支持された支持部材3を有している。支持部材3はインクタンク1の外装と一体に、樹脂により形成されており、後述するタンクホルダへの装着操作等を行う際に被支持部を中心に変位可能な構成である。インクタンク1の背面側および正面側には、タンクホルダ側の係止部にそれぞれ係合可能な第1係合部5および第2係合部6(本例では支持部材3に一体化されている)が設けられ、これらの係合によってインクタンク1のタンクホルダへの装着状態が確保される。この装着時の動作については図7(a)〜(c)について後述する。
【0018】
インクタンク1の底面には、タンクホルダへの装着時に、後述する記録ヘッドのインク導入口と結合してインク供給を行うためのインク供給口7が設けられている。この底面と正面とが交わる部分にあって、支持部材3の支持部分の底面側には、本実施形態の主要部をなす基体が設けられている。本実施形態では基体は板状であり、以下では基板100として説明する。
【0019】
基板100が取り付けられているインクタンク1の底面と正面とが交わる部分から上方に向かって、導光部材121がインクタンク1と一体に立設されている。この導光部材121は、後述するキャリッジ上に配設された発光部からの光を受け、これを上方に導いてその先端にある光出射部122から光を出射する。
【0020】
図2はインクタンク1の側断面図である。インクタンク1の内部は、支持部材3および基板100が設けられる正面側に位置するインク収納室11と、背面側に位置してインク供給口7に連通する負圧発生部材収納室12とに分割されており、両者は連通口13を介して接続されている。インク収納室11にはインクがそのまま貯留される一方、負圧発生部材収納室12には、インクを含浸保持するスポンジや繊維集合体等のインク吸収体15(以下、便宜的に多孔質部材と示す)が設けられている。この多孔質部材15は、記録ヘッドのインク吐出用のノズル部に形成されるメニスカスの保持力と平衡してインク吐出部からのインク漏れを防止するに十分で、かつ記録ヘッドのインク吐出動作が可能な範囲にある適切な負圧を発生するためのものである。
【0021】
負圧発生部材収納室12の上面には、記録ヘッドへのインク供給に伴って増大する負圧を緩和し、これを好ましい所定範囲に維持すべく外気を導入するための大気連通部12Aが設けられている。
【0022】
また、図2のインクタンク1は、後述の基板が配設されたインクタンク1の本体を用意してから、内部にインクを注入することで製造することができる。その方法を実施するためのインクの注入口は、例えばインク収納室11の上面に形成しておくことができる。そして、インク注入後に、注入口を封止部材11Aによって封止することができる。
【0023】
インクタンク1の使用が開始され、インクが消費され始めた以降、例えば収納するインク残量が実質的に無くなってから、封止部材11Aを取り外し、または破壊することで注入口を再形成することができる。そして注射器等を用いてインクを注入してから、必要に応じ封止部材11Aまたはその代替部材で注入口を封止することが可能である。あるいは、そのような当初形成されていた注入口を利用する代わりに、例えばインク収納室11の上面の別の部位に開口を形成し、この開口を通してインクを注入してから、必要に応じてこれを封止することも可能である。例えば収納するインク残量が実質的になくなったインクタンクに対しそれらのようにしてインクを注入することも、本発明に係るインクタンク製造方法の実施に含まれる。
【0024】
さらに、インク供給口7に対しては、製造されたインクタンク1の物流時や保管時等におけるインク漏出を防止するための封止部材7Aが着脱可能である。この封止部材7Aはキャップやテープ状の部材など、所定の封止性能が発揮され、かつ記録ヘッドへインクタンクの取り付けを行う際に取り外し可能なものであればいかなる形態でもよい。また、使用開始後において記録ヘッドからインクタンクを取り外した場合に、封止部材7Aまたはその代替部材でインク供給口7の封止を行うようにすることもできる。
【0025】
なお、インクタンク1の内部構成は、このような多孔質部材の収納室とインクをそのまま貯留する収納室とに分かれた形態に限られない。例えば、多孔質部材がインクタンク内部空間の実質的に全体に充填されるものでもよい。また、負圧発生手段として多孔質部材を用いるのではなく、容積を拡張する方向に張力を発生するゴム等の弾性材料で形成した袋状部材内にインクをそのまま充填し、この袋状部材が発生する張力によって内部のインクに負圧を作用するようにしたものでもよい。さらには、インク収容空間の少なくとも一部を可撓性部材で構成し、その空間内にインクだけを収容するとともに、可撓性部材にばね力を作用させることで負圧を発生させるようにしたものでもよい。これらの場合も上述と同様のインク注入を行うことでインクタンクを製造することが可能である。また、これらの場合、記録ヘッドへのインク供給に伴って増大するインク収容空間内の負圧を緩和し、これを好ましい所定範囲に維持すべくインク収容空間内に外気を導入するための大気連通部が設けられる。その大気連通部位を利用してインク注入を行うようにすることもできる。
【0026】
インク収納室11の底部には、インクタンク1の装置への装着時において装置側に設けられたインク残量検出用センサ(後述)と対向可能な部位に、被検出部17が設けられている。本実施形態において、インク残量検出用センサは発光部および受光部を有する光センサである。また、被検出部17は、透明もしくは半透明な材質からなり、かつインク非収納時には適切に発光部からの光を反射させて受光部(後述)に戻すことができるように形状,角度等が定められた斜面部を有したプリズム状のものである。
【0027】
図3〜図5を用い、本実施形態のインクタンクのより詳細な構成および機能について説明する。ここで、図3(a)および(b)は、本実施形態に係るインクタンクに配置される基板の機能の概略を説明するために、それぞれ、インクタンクをホルダに取り付けた状態で示す模式的側面図および主要部の拡大図である。図4(a)、(b)および(c)は、それぞれ、本実施形態に係るインクタンクに取り付けられる制御基板100の一例を示す正面図、側面図および裏面図である。図5は図3(a)と同様の模式的側面図であるが、これらの図はインクタンクが異なる位置にある状態で示している。
【0028】
記録ヘッド105’を備えた記録ヘッドユニット105に一体化されているホルダ150の第1係止部155および第2係止部156に対し、インクタンク1の第1係合部5および第2係合部6がそれぞれ係合する。これによりインクタンク1がホルダ150に装着され、固定される。またこのとき、ホルダ150に設けられたアンテナ基板152と、インクタンクに設けられた基板100の外側に向かって位置する面に配線パターンにより設けられたループ状のアンテナ102(図4(a))とが近接して対向し、無線通信が可能となる。
【0029】
インクタンク1の内側に向かって位置する基板100の面には、光を透過/遮断する透光/遮光部である液晶素子101と、この液晶素子を制御する制御素子103とが設けられている。そして、アンテナ基板152より放射されてインクタンク側アンテナ102で受信した電気信号に基づいて、制御素子103は液晶素子101のオン/オフの制御を行い、光を透過/遮断する状態とする。
【0030】
アンテナ基板152上には、複数のインクタンクのアンテナ102に対して共通に設けられたアンテナ220と、複数のインクタンクの液晶素子101に対してそれぞれ設けられた発光部であるLED221とが配設されている。LED221は、インクタンク1が正しく装着された状態(図3(b))において、基板100の液晶素子101に相対する位置に配されている。基板100のLED221に相対する位置には開口部104が設けられている。そのため、LED221からの光は液晶素子101に直接照射され、液晶素子101が光を透過する状態となっているときには、LED221からの光は液晶素子101を透過して導光部材121の下端部に入射する。このため、光は導光部121内を導かれて光出射部122に到達し、ここから外部に光が出射されることで、表示機能が実現される。すなわち、本実施形態においては、LED221からの光を透過/遮断する透光/遮光部である液晶素子101と、当該透過光を導き、光出射部122から出射させる導光部材121とによって表示手段が構成される。
【0031】
インクタンク1の外側に向く基板100の面(正面)には、図4(a)に示すように、ループ状の配線パターンにより形成されたアンテナ102が配設されている。インクタンク1の内側に向く面(裏面)には、図4(c)に示すように、アンテナ102と接続された制御素子103と、これに接続されて制御される1ビットの液晶素子101とが設けられている。また、基板100の液晶素子101の裏面側の部位には開口部104が開けられ、LED221からの光を液晶素子101に受容するようになっている。液晶素子101には接続端子101aおよび101bが設けられ、基板100上の配線パターン106と導電性の接着部材(不図示)などによって電気的に接続される。液晶素子101は本実施形態では基板裏面に配設されているが、基板正面側に配設されてもよい。
【0032】
かかる配置とした基板100を用いることで、記録装置(ひいてはこれが接続されるコンピュータなどのホスト装置)だけでなく、ユーザに対しても、液晶素子101を兼用してインクタンク1に係る所定の情報を直接提示することが可能となる。すなわち、図5に示すように、ホルダ150を搭載するキャリッジの走査範囲の端部にあって図の右上方向に投光される光を受容する位置に受光部を配置し、その部位にキャリッジが位置したときに液晶素子101を制御する。これにより記録装置側は受光部の受光内容からインクタンク1に係る所定の情報を認識することが可能となる。また、例えば走査範囲の中央にキャリッジを位置させて液晶素子101を制御することで、図3(a)に示すように、ユーザはその発光状態を目視することによりインクタンク1に係る所定の情報を認識することが可能となる。
【0033】
インクタンク1の所定の情報とは、インクタンク1の装着状態の良否(装着が完全であるか否か)、装着位置の適否、更にはインク残量の有無などであり、光出射部122からの光の出射の有無や出射の状態(点滅など)によりそれらの情報の提示が可能となる。光出射すなわち液晶素子101の制御およびそれに伴う情報提示の態様については、制御系の構成の説明の項において詳述する。
【0034】
1.2 インクタンク取り付け部(図6〜図8)
図6は第1の実施形態に係るインクタンクが着脱可能に構成された記録ヘッドユニットの一例を示す斜視図、図7(a)〜(c)はインクタンクを記録ヘッドユニットに装着する際の動作を説明するための図である。
【0035】
記録ヘッドユニット105は、概して、複数(図では4個)のインクタンクを着脱可能に保持するホルダ150と、底面側に配置される記録ヘッド105’(図6では不図示)とからなっている。そしてインクタンクをホルダ150に装着することで、ホルダ底部に位置する記録ヘッド側のインク導入口107とインクタンク側のインク供給口7とが結合し、両者間のインク連通路が形成される。
【0036】
記録ヘッド105’としては、ノズルを構成する液路内に電気熱変換素子を設けたものを用いることができる。これは、電気熱変換素子に記録信号となる電気パルスを与えることでインクに熱エネルギを付与し、インクの相変化により生じる発泡の圧力をインクの吐出に利用するものである。そして、後述するキャリッジ203に設けられた信号伝達用の電気接点部(不図示)と記録ヘッドユニット105側の電気接点部157とのコンタクトが行われ、配線部158を介して記録ヘッド105’の電気熱変換素子駆動回路への記録信号の伝達が行われる。また、電気接点部157からはアンテナ基板152に至る配線部159も延設されている。
【0037】
インクタンク1を記録ヘッドユニット105に装着する場合には、ホルダ150の上方でインクタンク1を取り扱う(図7(a))。そして、インクタンク背面側に設けられた突起状の第1係合部5を、ホルダ背面側に設けられた貫通孔状の第1係止部155に挿通した状態でホルダ底面上に載置する(図7(b))。この状態でインクタンク1の正面側上端を矢印Pに示すように押下すると、インクタンク1は第1係合部5および第1係止部155の係合部分を回動支点として矢印R方向に回動し、インクタンク正面側が下方に変位してゆく。この過程で、インクタンク正面側の支持部材3に設けられた第2係合部5の側面がホルダ正面側に設けられた第2係止部156に押されながら、支持部材3も矢印Q方向に変位してゆく。
【0038】
そして第2係合部5の上面が第2係止部156の下方に至ると、支持部材3は自身の弾性力によってQ’方向に変位し、第2係合部5が第2係止部156によって係止される。この状態(図7(c))では、第2係止部155が支持部材3を介してインクタンク1を水平方向に弾性的に付勢し、インクタンク1の背面がホルダ150の背面に当接する。また、インクタンク1上方への変位は、第1係合部5が係合した第1係止部155および第2係合部6が係合した第2係止部156によって抑制される。これがインクタンク1の装着完了状態であり、このときインク供給口7およびインク導入口107が結合する。またインクタンク側基板100上のアンテナ102と、アンテナ基板152上の本体側アンテナ220とが近接して対向した状態となる。
【0039】
「てこ」の作動にたとえると、図7(b)に示すような装着動作の過程では、第1係合部5および第1係止部155の係合部分が支点、インクタンク1の正面側が力点となる。インク供給口7およびインク導入口107の結合部分は作用点となって、これは力点と支点との間、好ましくは支点近くに位置する。従って、インク供給口7はインクタンク1の回動に伴って大きな力でインク導入口107に押し付けられる。両者の結合部分には通常、インク連通性の確保やインク漏洩の防止を目的としてフィルタ,吸収体,パッキンなど比較的可撓性に富む弾性部材が配設されている。
【0040】
従って、本例のような構成配置および装着動作を採用し、比較的大なる力をもってそれら部材を弾性変形させた状態とすることは、それらの配設目的に照らして好ましいことである。また、装着動作が完了すると、第1係合部5が係合した第1係止部155および第2係合部6が係合した第2係止部156によってインクタンク1の浮き上がりが阻止される。従ってそれら弾性部材の復元が抑制されるので、それらの部材は適切に弾性変形した状態に保持される。
【0041】
本発明の第1実施形態または変形例に係るインクタンクの取り付け部分の構成は、図6に示したものに限られない。
【0042】
図8を用いてこれを説明する。同図(a)はインクタンクからインクの供給を受けて記録動作を実行する記録ヘッドユニットの他の構成例及びこれを組み込むキャリッジの斜視図、(b)は両者を結合した状態を示す斜視図である。
【0043】
この例に係る記録ヘッドユニット405は、インクタンク全体を固定保持する上例のようなホルダ150と異なり、インクタンク正面側に対応したホルダ部分、およびここに配設されていた第2係止部およびアンテナ基板等を有していない(図8(a))。その他は上例とほぼ同様であり、底面上にはインク供給口7に接続されるインク導入口107を、また背面側には第1係止部155を、さらにその裏面には信号伝達用の電気接点部(不図示)を有している。
【0044】
一方、シャフト417に沿って移動可能なキャリッジ415には、図8(b)に示すように、記録ヘッドユニット405を装着・固定するためのレバー419および記録ヘッド側電気接点部と接続されている電気接点部418が設けられている。このほか、インクタンク正面側の構成に対応したホルダ部分も設けられている。すなわち、第2係止部156、アンテナ基板152およびコネクタへの配線部159はキャリッジ側に配設されている。
【0045】
かかる構成にあって、図8(b)に示すように記録ヘッドユニット405をキャリッジ415に装着した状態とすればインクタンクの取り付け部分の全体が構成される。つまり図7と同様の装着動作を経て、インク供給口7およびインク導入口107の接合並びにアンテナ102および本体側アンテナ基板152の近接対向状態が得られて装着動作が完了する。
【0046】
1.3 記録装置(図9、図10)
図9は、以上説明したインクタンクを装着して記録を行うインクジェット記録装置(以下、プリンタと言う)200の外観を示す図であり、図10は、図9に示す本体カバー201を開放した状態を示す斜視図である。
【0047】
図9に示すように、本実施形態のプリンタ200は、記録ヘッドおよびインクタンクを搭載したキャリッジが走査のための移動をして記録を行う機構など、プリンタの主要部分をなすプリンタ本体を備えている。プリンタ本体は、本体カバー201およびその他のケース部分によって覆われている。また本実施形態のプリンタ200は、プリンタ本体の前後に、排紙トレイ203と自動給紙装置202とを備えたものである。また、本体カバーを閉じた状態および開いた状態の両方で本プリンタの状態を表示するための表示器、電源スイッチおよびリセットスイッチを備えた操作部213が設けられている。
【0048】
本体カバー201を開放した状態では、図10に示すように、ユーザは、記録ヘッドユニット105およびインクタンク1K、1Y、1M、1Cを搭載したキャリッジ205が移動する範囲およびその周辺を見ることができる。以下では、これらのインクタンク1K、1Y、1M、1Cを同一の符号「1」で示す場合もある。実際は、本体カバー201を開けると、キャリッジ205が自動的に同図に示すほぼ中央の位置(以下、「タンク交換位置」ともいう)へ移動するシーケンスが実行され、ユーザは、このタンク交換位置でそれぞれのインクタンクの交換操作などを行うことができる。
【0049】
本実施形態のプリンタは、記録ヘッドユニット105に各色のインクに対応したチップ形態の記録ヘッド(不図示)が設けられ、これら各色の記録ヘッドがキャリッジ205の移動によって用紙などの記録媒体に対して走査を行う。そして、この走査の間に記録媒体にインクを吐出して記録を行うものである。すなわち、キャリッジ205は、その移動方向に延在するガイド軸207と摺動可能に係合するとともに、キャリッジモータおよびその駆動力伝達機構によって、上述の移動をすることができる。そして、K、Y、M、Cのインクに対応したそれぞれの記録ヘッドでは、フレキシブルケーブル206を介して本体側の制御回路から送られる吐出データに基づいてインク吐出が行われる。また、紙送りローラや排紙ローラなどの紙送り機構が設けられ、自動給紙装置202から給紙された記録媒体(不図示)を排紙トレイ203まで搬送することができる。また、キャリッジ205には、インクタンクホルダを一体に備えた記録ヘッドユニット105が着脱自在に装着され、一方、この記録ヘッドユニット105に対してそれぞれのインクタンク1がカートリッジの形態にて着脱自在に装着される。すなわち、キャリッジ205に記録ヘッドユニット105を装着し、さらに記録ヘッドユニット105にインクタンク1を装着することが可能であり、本実施形態ではインクタンク1は記録ヘッドユニット105を介してキャリッジ205に着脱可能である。また、記録ヘッドユニット105にインクタンク1を装着することで、本発明の液体供給システムの一実施形態が構成される。
【0050】
記録動作では、記録ヘッドが上記の移動によって走査しその間にそれぞれの記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出して記録ヘッドにおける吐出口に対応した幅の領域に記録を行う。そして、この走査と次の走査の間に、上記紙送り機構によって上記幅に応じた所定量の紙送りを行うことにより、記録媒体に対して順次記録を行ってゆく。また、上記のキャリッジ移動による記録ヘッドの移動範囲の端部には、各記録ヘッドについてその吐出口が配設された面を覆うキャップなどの吐出回復ユニットが設けられている。これにより、記録ヘッドは所定の時間間隔で回復ユニットが設けられた位置へ移動して、予備吐出などの回復処理を行う。
【0051】
各インクタンク1のタンクホルダ部を備えた記録ヘッドユニット105には、前述したように、アンテナ基板152が設けられており、その基板上のアンテナ220は、装着されるインクタンク1に設けられている基板100のアンテナ102と近接する。これにより、それぞれの液晶素子101について、図19〜図21にて後述されるシーケンスに従った光の透過/遮断の制御が可能となり、光出射部122の光出射状態の継続(以下、点灯という)ないし断続(以下、点滅という)を行うことができる。
【0052】
具体的には、上記のタンク交換位置では、それぞれのインクタンク1についてインク残量が少なくなったとき、該当するインクタンク1の液晶素子101を制御してLED221からの光を透過または遮断させることで、光出射部122を点灯または点滅させる。また、上述したように、本実施形態では、キャリッジの移動範囲において、上述の回復ユニットが設けられた位置と反対側の端部付近には、受光素子を有した第1受光部210が設けられている。これにより、まずキャリッジ205の移動に伴ってそれぞれのインクタンク1の液晶素子101がこの第1受光部210を通過する際に、液晶素子101を透過状態にする。すると、光出射部122から光が出射するので、その光を第1受光部210が受光したときのキャリッジ205の位置に基づいて、キャリッジ205におけるそれぞれのインクタンク1の位置を検出することができる。さらに、液晶素子制御の他の例としては、上記タンク交換位置で、インクタンク1が正しく装着されたときにそのタンクの液晶素子101を透過状態、すなわち光出射部122を点灯状態にする制御を挙げることができる。これらの制御は、記録ヘッドのインク吐出などの制御と同様、フレキシブルケーブル206を介して本体側の制御回路から無線通信によって、それぞれのインクタンクに対して制御データ(制御信号)が送られることによって実行される。
【0053】
2. 制御系の構成
2.1 全体構成(図11)
図11は、上述したインクジェットプリンタの制御系の構成例を示すブロック図である。この図では、プリンタ本体におけるPCB(プリント配線基板)形態の制御回路とそれによって制御される、インクタンクの液晶素子の制御などに関する構成を主に示している。
【0054】
図11において、制御回路300は本プリンタに関するデータ処理および動作制御を実行する。具体的には、CPU301は、ROM303に格納されているプログラムに従い、図19〜図21にて後述される処理などを実行する。また、RAM302は、CPU301による処理実行の際に、ワークエリアとして用いられる。
【0055】
図11に模式的に示されるように、キャリッジ205に搭載された記録ヘッドユニット105は、記録ヘッド105K、105Y、105M、105Cを備えている。記録ヘッド105K、105Y、105M、105Cは、それぞれ、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各インクを吐出するための複数の吐出口が形成されている。そして、記録ヘッドユニット105のホルダには、これらの記録ヘッドに対応してインクタンク1K、1Y、1M、1Cが着脱自在に搭載される。
【0056】
それぞれのインクタンク1には、前述したように、液晶素子101、制御回路103およびアンテナ102などが設けられた基板100が取り付けられている。そして、インクタンク1が記録ヘッドユニット105に正しく装着されたとき、基板100上のアンテナ102は、記録ヘッドユニット105において各インクタンク1に対向して共通に設けられたアンテナ基板152と近接する。また、キャリッジ205に設けられたコネクタ(不図示)と本体側の制御回路300とはフレキシブルケーブル206を介して信号接続する。さらに、キャリッジ205に記録ヘッドユニット105が装着されることにより、キャリッジ205の上記コネクタと記録ヘッドユニット105の上記コネクタとが信号接続する。以上の接続、通信構成により、本体側の制御回路300とそれぞれのインクタンク1との間で信号の授受を行うことが可能となる。これにより、制御回路300は、図19〜図21にて後述されるシーケンスに従った点灯ないし点滅の制御を行うことができる。
【0057】
記録ヘッド105K、105Y、105M、105Cにおけるそれぞれのインク吐出の制御についても同様に行われる。すなわち、フレキシブルケーブル206、キャリッジ205のコネクタ、および記録ヘッドユニットのコネクタを介してそれぞれの記録ヘッドに設けられた駆動回路などが、本体側の制御回路300と信号接続される。これにより、制御回路300はそれぞれの記録ヘッドにおけるインク吐出などを制御することができる。
【0058】
キャリッジ205の移動範囲の一方の端部近傍に設けられる第1受光部210は、インクタンク1の液晶素子101の透過状態への設定により光出射部122から出射される光を受けて、それに応じた信号を制御回路300へ出力する。制御回路300は、後述のように、この信号に基づき、それぞれのインクタンク1のキャリッジ205における位置を判断することができる。また、キャリッジ205の移動経路に沿ってエンコーダスケール209が設けられるともに、キャリッジ205にはエンコーダセンサ211が設けられる。このセンサの検出信号はフレキシブルケーブル206を介して制御回路300に入力し、これにより、キャリッジ205の移動位置を知ることができる。この位置情報は、各記録ヘッド吐出制御に用いられるとともに、図19などにて後述される、インクタンク位置を検出する光照合処理において用いられる。さらに、キャリッジ205の移動範囲における所定の位置の近傍、すなわちインクタンクのプリズム状被検出部17に対向する部位に設けられる第2発光/受光部214は、発光素子と受光素子とを有する。受光素子は、キャリッジ205に搭載されるそれぞれのインクタンク1のインク残量に係る信号を制御回路300に出力する。そして、制御回路300は、この信号に基づき、インク残量を検出することができる。
【0059】
2.2 表示制御(図12〜図18)
図12は、インクタンク1と無線通信を行うための信号配線の構成を、各インクタンクの基板100との関係で示す図である。
【0060】
図12に示すように、キャリッジ205上には制御回路208が搭載されており、制御回路208に対する本体側制御回路300からの信号配線は、例えば以下の5種の信号を伝達するための信号線206を備えている。すなわち、
1)電力供給にかかる電源信号「VDD」、
2)アース信号「GND」、
3)光出射部122の点灯や点滅を行わせるための液晶素子101のオン/オフなどの処理に関する制御信号(制御データ)などを制御回路300から送るための信号「DATA」、
4)そのクロック信号「CLK」、および
5)本体側発光部となるLED221の駆動信号「LED」
である。本実施形態においては、これら5種の信号に関する説明を行うが、本発明はこれに限定されるものでなく、その他必要に応じて、適宜の制御信号ないし信号線を設けることも可能である。
【0061】
制御回路208は、主に「DATA」および「CLK」信号を無線通信するための高周波変調/復調回路から成り、配線159を介してアンテナ基板152上のループ状のアンテナ220と接続されている。アンテナ220からは、例えば短波帯の電磁波を放射し、インクタンク側のアンテナ102と通信する。なお、制御回路208は本実施形態ではキャリッジ205上に配置されているが、アンテナ基板152上に配置されていてもよい。
【0062】
一方、各インクタンク1の基板100には、本体と無線通信するためのアンテナ102と、受信した高周波信号の処理、または高周波信号を送信するための処理を行う制御部103、および、受信した信号によって動作する液晶素子101が設けられている。
【0063】
図13はこれら制御部などが設けられた基板の詳細を示すブロック図である。同図に示すように、制御部103は、高周波変調/復調回路103A、電源回路103B、入出力制御回路(I/O CTRL)103C、メモリーアレイ103DおよびLCDドライバ103Eを有して構成される。
【0064】
高周波変調/復調回路103Aは本体側のアンテナ220から受信した高周波信号を復調し、「DATA」および「CLK」信号を得る機能を有する。高周波変調/復調回路103Aはまた、メモリーアレイ103Dからの情報を本体側に送信するために、信号を高周波に変調し、アンテナ102から電磁波を発生させる機能を有する。電源回路103Bは入出力制御回路(I/O CTRL)103C、メモリーアレイ103D、LCDドライバ103E、および液晶素子101に電力を供給するために、入力した電磁波から電源を生成する。
【0065】
入出力制御回路103Cは、復調された制御データに応じて、液晶素子101の表示駆動やメモリーアレイ103Dに対するデータの書き込みおよび読み出しを制御する。メモリーアレイ103Dは、本実施形態ではEEPROMの形態のものであり、インク残量、収納するインクの色情報のほか、そのインクタンクの固有番号や製造ロット番号などの製造情報等のインクタンク個体情報を記憶することができる。なお、色情報はインクタンクの出荷時または製造時に、その収納しているインクの色に対応して、メモリーアレイ103Dの所定のアドレスに書き込まれる。例えばこの色情報は、図14および図15にて後述されるように、インクタンクの識別情報(個体情報)として用いられる。これにより、インクタンクを特定してメモリーアレイ103Dに対するデータの書き込みやメモリーアレイ103Dからデータの読み出しを行い、また、そのインクタンクの液晶素子101の表示制御することが可能となる。
【0066】
メモリーアレイ103Dに書き込まれ、また、読み出されるデータには、例えば、インク残量のデータがある。本実施形態のインクタンクには、前述したようにその底部にプリズムが設けられ、インクの残量が少なくなったときはこのプリズムを介して光学的にその旨を検出することができる。本実施形態では、これに加え、制御回路300は、吐出データに基づいて記録ヘッドごとの吐出数をカウントし、それに基づいてインクタンクごとのインク残量を計算する。そして、この残量情報をそれぞれ対応するインクタンクのメモリーアレイ103Dに書き込み、また、読み出す処理を行う。これにより、メモリーアレイ103Dはその時点のインク残量の情報を保持することができる。この情報は、例えば、上記プリズムを用いたインク残量検出と併用したより精度の高い残量検出に用いられたり、装着されたインクタンクが新しいものか、または一度用いられて再装着されたものであるかなどを判断するために用いられたりする。
【0067】
LCDドライバ103Eは、入出力制御回路103Cから出力される信号がオンのとき液晶素子101に駆動電圧を印加するよう動作し、これにより液晶素子101をオン状態とさせる。従って、入出力制御回路103Cから出力される信号がオン状態にあるとき、液晶素子101はオン(透光)状態となり、本体アンテナ基板152上のLED221からの光を透過して導光部材121に導くので、光出射部122が点灯しているように見える。一方、上記信号がオフ状態にあるとき、液晶素子101はオフ(遮光)状態となり、本体アンテナ基板152上のLED221からの光が遮断されるので、導光部材121上の光出射部122が消灯しているように見えることになる。
【0068】
なお、このように本実施形態では液晶素子101としてノーマリ・ブラックのもの、すなわち通電時に透光状態となるものを使用している。しかしノーマリ・ホワイトのもの、すなわち通電時に遮光状態となるものを使用することもでき、この場合には駆動信号のオン/オフすなわち論理を逆にすればよい。
【0069】
図14は、上述したメモリーアレイ103Dに対するデータの書き込みおよび読み出しの動作をそれぞれ説明するためのタイミングチャートであり、図15は、液晶素子101のオンおよびオフの動作をそれぞれ説明するタイミングチャートである。
【0070】
図14に示すように、メモリーアレイ103Dへの書込み時には、本体側の制御回路300からアンテナ220および102を介し、入出力制御回路103Cに対して次の各データ信号が送られてくる。すなわち、「開始コード+色情報」、「制御コード」、「アドレスコード」、「データコード」などの各データ信号であり、これらはこの順序で送られてくる。「開始コード+色情報」は、その「開始コード」信号によって、一連のデータ信号の始まりを意味し、また、「色情報」信号によってこの一連のデータ信号の対象となっているインクタンクを特定する。なお、ここでのインクの「色」とはY、M、C等のインク色だけでなく濃度の異なるインクをも含むものである。
【0071】
「色情報」は、同図に示すように、インクの色「K」、「C」、「M」、「Y」に対応したコードを有している。入出力制御回路103Cは、このコードが示す色情報とメモリーアレイ103Dに格納されている自身の色情報とを比較する。そして一致しているときにのみ、それ以降のデータ信号を取り込む処理を行う。また、一致しないときは、それ以降のデータ信号の取り込みを無視する処理を行う。これにより、共通の信号「DATA」を、本体側からアンテナを介してそれぞれのインクタンクに共通に送っても、それに上述の色情報を含めることによってインクタンクを特定することができる。従って、書き込み、読み出し、液晶素子のオン/オフなど、その後のデータ信号に基づく処理を、その特定したインクタンクに関してのみ行うことが可能となる。この結果、4つのインクタンクに対して共通のデータ信号を介して送信されるデータによって、データの書き込みなどのほか、液晶素子のオン/オフの制御を行うことができ、これらの制御に要する信号の数を少なくすることが可能となる。
【0072】
本実施形態の「制御コード」は、図14に示すように、後述する液晶素子のオン/オフ制御に用いられる「ON」、「OFF」のコードと、メモリーアレイに対する読み出しおよび書き込みを示すそれぞれ「READ」および「WRITE」のコードを有している。書き込み動作では、「WRITE」のコードがインクタンクを特定する上記「色情報」のコードの後に続くことになる。次の「アドレスコード」は、書き込み先であるメモリーアレイのアドレスを示し、最後の「データコード」は書き込む内容を表している。
【0073】
なお、「制御コード」が表す内容は上記の例に限られないことはもちろんであり、例えば、ベリファイコマンド、連続読み出しコマンドなどに関する制御コードを加えて用いることもできる。
【0074】
読み出し動作では、上記の書き込みの場合とデータ信号の構成は同じである。また、「開始コード+色情報」のコードは、上記の書き込みの場合と同様、総てのインクタンクの入出力制御回路103Cによって取込まれ、それ以降のデータ信号は「色情報」が一致したインクタンクの入出力制御回路103Cだけが取込む。
【0075】
液晶素子101をオンまたはオフとするときには、図15に示すように、上記と同様、先ず「開始コード+色情報」のデータ信号が、本体側からアンテナを介して入出力制御回路103Cに送られてくる。上述したように、「色情報」によってインクタンクが特定され、その後に送られてくる「制御コード」に基づく液晶素子101のオン、オフは特定されたインクタンクのみで行われる。オン、オフにかかる「制御コード」は、上述したように、「ON」または「OFF」のコードがあり、「ON」によって液晶素子101がオン(透光)状態とされ、「OFF」によってオフ(遮光)状態とされる。すなわち、制御コードが「ON」のとき、図13について説明したように、入出力制御回路103CはLCDドライバ103Eに対してオン信号を出力し、それ以降もその出力状態を維持する。逆に、制御コードが「OFF」のとき、入出力制御回路103CはLCDドライバ103Eに対してオフ信号を出力し、それ以降もその出力状態を維持する。
【0076】
図15に示す例では、同図の最左端のデータ信号にあるように、最初にブラックインクKのインクタンクが特定されて、その液晶素子101がオンとされている。次に、2番目のデータ信号の「色情報」はマゼンタインクMを指定するものであり、「制御コード」はオンを指示するものである。従って、ブラックインクKのインクタンクの液晶素子101はオン状態を維持したまま、インクMのタンクの液晶素子101もオン状態となる。そして、3番目のデータ信号は、ブラックインクKのタンクについて「制御コード」がオフを指示するものであるから、インクKのタンクについてのみその液晶素子101がオフ状態となる。
【0077】
液晶素子101のオン/オフ制御は、上記の説明から明らかなように、本体側の制御回路300が、オンまたはオフの「制御コード」をそれぞれ含むデータ信号を、そのインクタンクを特定して送ることによって可能となる。その場合に、その信号を送る周期を定めることによって、液晶素子101の透光/遮光すなわち光出射部122の点滅の周期を制御することができる。
【0078】
図16〜図18を参照し、本実施形態に係る本体側発光部の構成および発光タイミングと、インクタンク側液晶素子のオン/オフタイミングによって点灯、消灯および発光色を制御する方法とについて説明する。図16(a)〜(c)はいずれも、4個のインクタンク1を搭載するキャリッジ205に配置されるアンテナ基板152に、4個のインクタンクに対応して4個の発光部が設けられている構成を示しているが、それぞれ、異なるLEDが使用されている。
【0079】
図16(a)はそれぞれの発光部に1個の緑色LED221を使用した場合のアンテナ基板152の構成を示す図、図17(a)および(b)はそのLED221とインクタンク1の液晶素子101の駆動タイミング図である。アンテナ基板152上には、上述のように、本体側のアンテナ220がループ状の配線パターンにより形成されている。本例では、図3(b)に示したようにインクタンク1上の液晶素子101に相対する位置に緑色光を発するLED221が配置されることになる。
【0080】
図17(a)では、まず本体の緑色LEDを発光させ、その後に液晶素子101をオフ状態からオン状態としている。すると、液晶素子101の透過光によって、光出射部122は緑に点灯しているように見えることになる。また、液晶素子101をオフ状態とすると、光出射部122が消灯しているように見える。また、図17(b)では、LEDを発光させたまま液晶素子101のオン/オフを細かく繰り返している。これにより、光出射部122は緑の点滅をしているように見えることになる。
【0081】
図16(b)は、各発光部として緑色および赤色の2色発光のLED222を使用した例である。図18(a)では、LED222は緑色と赤色との発光を交互に繰り返している。そして、液晶素子101を緑色LEDのオン期間に合わせてオン状態とすることにより、液晶素子101の透過光によって、光出射部122は緑に点灯しているように見えることになる。このとき、緑色と赤色との繰り返し発光の周期を充分短く(例えば20ms以下)とすると、目視上は点滅ではなく、連続して点灯しているように見える。図18(b)は液晶素子101を赤色LEDのオン期間に合わせてオン状態とする場合であり、光出射部122は緑に点灯しているように見えることになる。図18(c)は液晶素子101をオン状態とし続ける場合を示している。この場合は、液晶素子101を透過する光は緑色と赤色との繰り返しとなるが、周期が充分短ければ、光出射部122はこれら2色の合成色である橙色に発光して見えることになる。この例のように、2色のLEDを搭載すれば、各単色と合成色との3色の発光をさせることができ、表示によって与える情報の数を増し、あるいは情報の識別性を向上することが可能となる。
【0082】
図16(c)は、4個のインクタンク1に対応して、発光色の異なる4個のLED221a〜221dを使用した例を示す。この例によれば、インクタンク1の色毎に異なった、例えばインク色に対応した発光をさせることができ、インクタンクの識別性をより向上することが可能となる。
【0083】
2.3 制御手順(図19〜図25)
図19は、以上説明した本実施形態の構成に基づくインクタンクの着脱に関する制御手順を示すフローチャートであり、特に、本体側の制御回路300による各インクタンク1の液晶素子101をオン/オフするための制御を示すものである。
【0084】
図19に示す処理は、ユーザが本実施形態のプリンタの本体カバー201を開いたとき、所定のセンサによってこれを検知して起動される処理である。本処理が起動されると、先ず、ステップS101で、インクタンク着脱処理を実行する。
【0085】
図20は、このインクタンク着脱処理の詳細を示すフローチャートである。同図に示すように、着脱処理では、先ず、ステップS201で、キャリッジ205を移動するとともにそのとき搭載されているそれぞれのインクタンクについて状態情報(インクタンクの個体情報)を取得する。取得される状態情報としてはそのときのインク残量などであり、これらがそのインクタンクの固有番号とともに、メモリーアレイ103Dから読み出される。そして、ステップS202で、キャリッジ205が図8にて説明したインクタンク交換位置に到達したか否かを判断する。
【0086】
キャリッジ205がインクタンク交換位置に到達したと判断すると、ステップS203でインクタンク装着確認制御を行う。
【0087】
図21は、この装着確認制御の詳細を示すフローチャートである。先ず、ステップS301で、キャリッジ205に搭載されるインクタンクの数を示すパラメータNを設定するとともに、このインクタンクの数に応じて発光部122の発光を確認するためのフラグF(k)を初期化する。本実施形態では、Nとして、K、C、M、Yのインクタンクの数で4が設定される。これに従い、F(1)、k=1〜4、の4つのフラグが用意され、これらが総て初期化されてその内容が“0”とされる。
【0088】
次に、ステップS302で上記フラグのインクタンクの装着判定順序に関る変数Aを1に設定し、ステップS303で、A番目のインクタンクについて装着確認制御を行う。この制御はユーザがインクタンクを正しい位置に装着することで、本体とインクタンクとが通信し、制御回路300が、色情報によってインクタンクを特定し、当該特定したタンクのメモリーアレイ103Dから色情報を順次読出す動作である。また、上記特定するための色情報は、それまでに既に読み出されているものについては、用いないことは勿論である。さらに、本制御では、この読み出した色情報が、本処理が起動された後、それまでに読み出された色情報と異なるものか否かの判断も行う。
【0089】
そして、ステップS304では、読み出した色情報がそれまでに読み出されたものと異なるとき、その色情報のインクタンクがA番目のインクタンクとして装着されたと判断する。それ以外の場合は、A番目のインクタンクが装着されていないと判断する。尚、ここで説明するA番目というのは単にインクタンクの判定を行う順番を説明するものであり、インクタンクの装着位置を示す順番ではない。A番目のインクタンクの装着を判断した時は、S305で、そのフラグF(A)、すなわち、4つのフラグF(k)、k=1〜4のうち、k=Aに該当するフラグ(A)の内容を“1”とする。これにより、該当する色情報のインクタンク1の発光部122を点灯する。装着されていないと判断したときは、ステップS311で、そのフラグF(A)の内容を“0”とする。
【0090】
次に、ステップS306で、変数Aを1インクリメントし、ステップS307で、この変数AがステップS301で設定したN(本実施形態のプリンタの場合はN=4)より大きいか否かを判断する。ここで、変数AがN以下であると判断したときは、ステップS303以降の処理を繰り返す。また、変数AがNより大きいと判断したときは、4つのインクタンク総てについて装着確認制御が終了したとして、ステップS308で、本体カバー201が開放された状態か否かを、上記のセンサの出力に基づいて判断する。すなわち、本体カバーが閉じた状態であるときは、ユーザが、例えば、インクタンクのいくつかを未装着あるいは装着が不完全なままカバーを閉じた可能性があるとして、ステップS312で異常状態のステータスを図20の処理ルーチンへ返して本処理を終了する。
【0091】
ステップS308で、本体カバー201が開いた状態であると判断したときは、4つのフラグF(k)、k=1〜4、の総てについてその内容が“1”か否か、すなわち、総てのインクタンクについて、光出射部122の点灯がされたか否かを判断する。いずれかのインクタンクの光出射部122が点灯していないと判断したときは、ステップS302以降の処理を繰り返す。すなわち、ユーザが、光出射部122が点灯していないインクタンクについて、装着し、または装着動作をやり直し、そのインクタンクの光出射部122が点灯するまで、上記の処理を繰り返す。
【0092】
総てのインクタンクの光出射部122が点灯したと判断したときは、ステップS310で正常終了動作を行い、本処理を終了し、処理は図20に示す処理ルーチンに戻る。図22(a)は、総てのインクタンクについて正しく装着され、それぞれの光出射部122が点灯した状態を示す図である。
【0093】
再び図20を参照するに、ステップS203のインクタンク装着確認制御を上記のように実行した後、ステップS204で、その制御が正常終了したか否か、すなわち、正常にインクタンクが装着されたか否かを判断する。装着が正常と判断したときは、ステップS205で操作部213の表示器(図9、図10)を、例えばグリーンに点灯し、ステップS206で正常終了して図19に示す処理ルーチンに戻る。また、装着が異常と判断したときは、ステップS207で操作部213の表示器を、例えばオレンジで点滅し、ステップS208で異常終了して図19に示す処理ルーチンに戻る。プリンタを制御するホストPCが接続されている場合は、同時にPCモニタを通して装着異常表示を行うこともできる。
【0094】
図19において、ステップS101のインクタンク着脱処理を終了すると、ステップS102で、上記着脱処理が正常終了したか否かを判断する。異常終了であると判断したときは、ステップS108で、ユーザが本体カバー201を開けるのを待ち、カバー201が開けられたことによってステップS101の処理が起動され、図20にて説明した処理を繰り返す。
【0095】
ステップS102で、着脱処理が正常に終了したと判断したときは、ステップS103で、ユーザが本体カバー201を閉じるのを待ち、ステップS104でカバー201が閉じられたか否かを判断する。ここで、本体カバーが閉じられたと判断したときは、ステップS105の光照合処理に移行する。この際、図22(b)に示すように、本体カバー201が閉じられたことを検出すると、キャリッジ205は光照合のための位置へ移動するとともに、点灯しているそれぞれのインクタンクの光出射部122を消灯するよう、液晶素子を制御する。
【0096】
光照合処理は、正常に装着されたインクタンクそれぞれが正しい位置に装着されているか否かを判断する処理である。本実施形態では、インクタンクの装着位置について、例えば、インクタンクと装着位置の形状を他のインクのインクタンクが装着できないような形状とし、それぞれの色のインクタンクに対応して装着位置を定めるような構成を採用していない。このことから、それぞれの色のインクタンクについて本来の位置でないところに誤って装着される可能性がある。このため、光照合処理を行い、誤って装着されている場合は、ユーザにその旨を知らせるものである。これにより、特に、インクタンクの形状を色ごとに異ならせることなく、インクタンクの製造の効率化や低コスト化を図ることができる。
【0097】
図23(a)〜(d)および図24(a)〜(d)は、この光照合処理を説明する図である。
【0098】
図23(a)に示すように、先ず、第1受光部210に対して、図中左側から右側へキャリッジ205の移動を開始する。そして、最初に、インクタンク1Yが装着されるべき位置のインクタンクが第1受光部210に対向する位置で、インクタンク1Yの光出射部122を点灯させる処理を行う。この処理は、実際は、図15(a)にて説明したように、点灯させてから所定時間後に消灯させることまでを含む。このことは、本照合処理を通じて同様である。インクタンクが本来の正しい位置に装着されているとき、第1受光部210は光出射部122が出射した光を受光することができ、制御回路300は、その装着位置にはインクタンク1Yが正しく装着されていると判断する。
【0099】
キャリッジ205を移動しつつ、同様にして、図23(b)に示すように、マゼンタインクのインクタンク1Mが装着されるべき位置のインクタンクが第1受光部210に対向する位置で、インクタンク1Mの発光部122を発光させる。同図に示す例は、インクタンク1Mが正しい位置に装着されていて第1受光部210はその発光を受光することを示している。順次、図23(b)〜(d)に示すように、判断する装着位置を変えながら発光を行う。これらの図は、正しい位置に装着されている例を示している。
【0100】
これに対し、図24(b)に示すように、インクタンク1Mが装着されるべき位置にシアインクタンク1Cが誤って装着されているときを考える。この場合は、第1受光部210に対向しているインクタンク1Cの光出射部122からは光が出射されない。その代り、別の位置に搭載されているインクタンク1Mの光出射部122が点灯する。この結果、このタイミングでは、第1受光部210は受光できないことから、制御回路300は、その装着位置にはインクタンク1M以外のインクタンクが装着されていると判断する。これに対応して、図24(c)に示すように、インクタンク1Cが装着されるべき位置にインクタンク1Mが誤って装着されており、第1受光部210に対向しているインクタンク1Mの光出射部122は点灯しない。その代わり、別の位置に搭載されているインクタンク1Cの光出射部122が点灯する。
【0101】
以上説明した光照合処理を行うことにより、制御回路300は本来の位置に装着されていないインクタンクを特定することができる。また、装着されるべき位置に正しいインクタンクが装着されていない場合、その装着位置において、他の3色のインクタンクを順に発光させる制御を行うことで、その装着位置に誤って何色のインクタンクが装着されたかを特定することもできる。
【0102】
図19において、上述したステップS105の光照合処理の後、ステップS106でこの処理が正常終了したか否かを判断する。光照合が正常終了したと判断したときは、ステップS107で、操作部213の表示器を例えばグリーンに点灯して、本処理を終了する。一方、正常の終了でないと判断した時は、ステップS109で操作部213の表示器を例えばオレンジで点滅する。これとともに、ステップS110で、ステップS105にて特定した、本来の正しい位置に装着されていないインクタンクの光出射部122が点滅または点灯するよう制御を行う。これにより、ステップS108で、ユーザが本体カバー201を開けたとき、本来の正しい位置に装着されていないインクタンクを知ることができ、正しい位置への再装着を促すことができる。
【0103】
図25は、本実施形態にかかる記録処理を示すフローチャートである。本処理では、先ず、ステップS401で、インク残量確認処理を行う。この処理は、これから記録しようとしているジョブについて、記録データからその記録量を求め、この量とそれぞれのインクタンクの残量とを比較して、上記ジョブの記録に十分な量があるか否かを確認する処理である。なお、この処理では、上記のインク残量は、制御回路300でそのときの残量としてカウントして求めたものを用いることができる。
【0104】
ステップS402では、上記の確認処理に基づいて記録に必要なインク量があるか否かを判断する。十分なインク量があるときは、ステップS403で記録動作を行い、ステップS404で操作部213の表示器をグリーンに点灯して正常終了を行う。一方、ステップS402で十分なインク量がないと判断したときは、ステップS405で、操作部213の表示器をオレンジに点滅するとともに、ステップS406で、インク残量が少ないインクタンク1の発光部122を点滅または点灯させて、異常終了する。プリンタを制御するホストPCが接続されている場合は、同時にPCモニタを通してインク残量表示を行うこともできる。
【0105】
3.第1実施形態の効果
以上の構成によれば、プリンタの本体側のアンテナ220と通信するインクタンクのアンテナ102を介して入力される信号と、そのインクタンクの個体情報とに基づいて液晶素子101のオン/オフないしは光出射部122の表示状態が制御される。そのため、搭載される複数のインクタンクが共通の本体アンテナによる無線通信によって同じ制御信号を受け取っても、個体情報に合致するインクタンクのみにおいて、その液晶素子101のオン/オフないしは光出射部122の表示状態の制御を行うことができる。すなわち、インクタンクを特定した表示制御が可能となる。
【0106】
このようなインクタンクを特定した表示制御が可能な構成では、例えば、キャリッジに搭載された複数のインクタンクについて、その移動に伴い所定の位置で順次その表示制御を行うことができる。それとともに、所定の位置でのインクタンクの光出射部122からの光の出射を検出するようにしたことにより、光の出射が検出されないインクタンクは誤った位置に搭載されていることを認識できる。これにより、例えば、ユーザに対してインクタンクを正しい位置に再装着することを促す処理をすることができ、結果として、インクタンクごとにその搭載位置を特定することができる。
【0107】
また、本実施形態では、LEDなどの発光部をインクタンク側に設けるのではなく、プリンタ本体側に設け、その発光部からの光を透過/遮断する透光/遮光部としての液晶素子をオン/オフ制御することで表示制御が行われるようにした。液晶素子はLEDなどの発光部に比べて低電力で駆動可能であるので、プリンタ本体側から大電力の供給を受けたり、比較的大型の電源回路をインクタンク側に配設したりする必要がない。上述したような無線通信によって入力した電磁波から生成した電源によっても、十分に駆動できるので有利である。
【0108】
さらに、本実施形態は、LEDを点灯させた状態で液晶素子をオン/オフすることで点滅表示を行うことも可能であるので、LEDのオン/オフ周期など駆動頻度を小とでき、発生ノイズを低減させることができる。またLEDの駆動制御の簡素化が可能となる。
【0109】
4.他の実施形態
以上述べた構成は例示であって、液晶素子101を利用して表示を行うことでプリンタおよびユーザに対しインクタンク1に係る所定の情報を提示することが可能であれば、適宜の変形を行うことができる。以下、本発明の他の実施形態および変形例について説明する。なお、以下の説明および図面において、上記実施形態と同様に構成できる、もしくは同様の機能を有する各部については、同一の符号にて参照される。また、「正面」と言う用語についても、上記実施形態と同様、ユーザに向き合うことでその操作(着脱操作等)およびユーザへの情報提供を可能とする面として定義される。
【0110】
4.1 第2の実施形態(図26〜図30)
図26(a)、(b)および(c)は、それぞれ、第2の実施形態に係るインクタンク1を示す側面図、正面図および上面図である。本実施形態のインクタンクも上記第1の実施形態に係るインクタンクとほぼ同様の構成を有している。しかし本実施形態においては、板状の基体である基板100がインクタンク1の上面に設けられている。
【0111】
図27および図28を用い、本実施形態の主要部である基板100の構成および機能について説明する。ここで、図27は本発明の第2の実施形態に係るインクタンクに配置される基板の機能の概略を説明するための模式的側面図である。図28(a)および(b)は、それぞれ、第2の実施形態に係るインクタンクに取り付けられる制御基板100の一例を示す上面図および裏面図である。
【0112】
インクタンク1の底面と正面とが交わる部分にあって、支持部材3の支持部分の底面側には、導光部材121の受光部123が位置する。受光部123はホルダ150に設けられたLED基板153上のLED221と対向しており、LED221の発光に伴い、光は受光部123に受容され、導光部材121を通ってその上部にある光出射部122に案内され、そこから出射する。ここで、光出射部122は基板100上の液晶素子101と対向している。また、後述する本体側に設けられたアンテナ基板224と、インクタンクに設けられた基板100の外側に向かって位置する面に配線パターンにより形成されたループ状のアンテナ102(図28(a))とが相対し、無線通信が可能となる。
【0113】
インクタンク1の内側に向かって位置する基板100の裏面には、透光/遮光機能を有する液晶素子101と、この液晶素子を制御する制御素子103とが設けられている。なお、図27の構成においては、液晶素子101は基板100の裏面に配設されているが、上面側に配設されていてもよい。
【0114】
アンテナ基板224よりインクタンク側アンテナ102を介して供給される電気信号により、制御素子103は液晶素子101のオン/オフの制御を行う。LED221の発光に伴って、光は光出射部122に導かれるが、そこから出射される光は液晶素子101のオン/オフに従って透過/遮断される。すなわち、液晶素子101のオン/オフ制御を行うことにより、インクタンク1に係る所定の情報をユーザおよびプリンタに直接表示することが可能となる。すなわち、本実施形態においては、LED221からの光を導き、光出射部122から出射させる導光部材121と、当該出射光を透過/遮断する透光/遮光部である液晶素子101とによって表示手段が構成される。
【0115】
このように、本実施形態においても、上記第1実施形態と同様の制御を行うことで、ほぼ同様の効果を得ることができる。また、本実施形態では、インクタンク1の上面に基板100を配設しているので、アンテナ102の面積を大きくでき、より好適な状態で本体アンテナ220と無線通信を行うことが可能となる。
【0116】
図29は本実施形態に係るプリンタを、その本体カバー201を開放した状態で示す斜視図である。また、図30は本実施例のインクジェットプリンタ本体の制御系の構成例を示すブロック図である。本実施形態では、アンテナ102の大面積化が可能であることから無線通信の距離を比較的大きくすることができる。このため、インクジェットプリンタ本体内において、本体側のアンテナ220の配設位置の自由度が向上するものとなる。図29ではキャリッジのホームポジション付近のキャリッジ上方に設置した例を示しているが、走査方向上、ホームポジションとは反対側の部位に配置することも可能である。また、第1実施形態のように、キャリッジ上にアンテナ220を設置してもよい。
【0117】
4.2 第3の実施形態(図31〜図33)
上記第1および第2の実施形態では、制御信号等の通信をインクタンク側および装置本体側に設けたアンテナ形態の通信部により無線通信により行うものとしたが、コネクタ等の通信部により接触式通信を行うものでもよい。
図31(a)、(b)および(c)は、それぞれ、その第3の実施形態に係る液体収納容器であるインクタンクの側面図、正面図および底面図である。
【0118】
インクタンク1の底面と正面とが交わる部分にあって、支持部材3の支持部分の底面側には、本実施形態の主要部をなす基板100が設けられている。
【0119】
図32および図33を参照して、本実施形態の主要部である基板100の構成および機能について説明する。ここで、図32(a)および(b)は、それぞれ、本実施形態に係るインクタンクに配置される基板の機能の概略を説明するための模式的側面図および主要部の拡大図である。また、図33(a)、(b)および(c)は、それぞれ、本実施形態に係るインクタンクに取り付けられる基板100の一例を示す正面図、側面図および裏面図である。
【0120】
記録ヘッドユニット105に一体化されているホルダ150の第1係止部155および第2係止部156に対し、インクタンク1の第1係合部5および第2係合部6がそれぞれ係合することで、インクタンク1がホルダ150に装着、固定される。またこのとき、ホルダ150に設けられたコネクタ基板154上のコネクタ223と、インクタンクに設けられた基板100の外側に向かって位置する面に設けられたコンタクトパッド108とが接触し、通信が可能となる。
【0121】
インクタンク1の内側に向かって位置する基板100の面には、光を透過/遮断する液晶素子101と、この液晶素子を制御する制御素子103とが設けられている。制御素子103は、本体側コネクタ223よりインクタンク側コンタクトパッド108を介して供給される電気信号により、液晶素子101のオン/オフ制御を行う。
【0122】
コネクタ基板154上にはコネクタ223とLED221が配設されており、インクタンク1が正しく装着された状態(図32(b))においてLED221は基板100の液晶素子101に相対する位置に配されている。基板100のLED221に相対する位置には開口部104が設けられている。LED221からの光は、開口部104を通して液晶素子101に直接照射される。このとき、液晶素子101が透光状態であれば、LED221からの光は導光部材121に入射し、先端の光出射部122に到達し、ここから出射されることで、所要の表示が行われる。
【0123】
インクタンク1の外側に向く基板100の面(正面)には、図33(a)に示すように、コンタクトパッド108が配設されている。インクタンク1の内側に向く面(裏面)には、図33(c)に示すように、コンタクトパッド108と接続された制御素子103と、これに接続されて制御される1ビットの液晶素子101が設けられている。また、基板100の液晶素子101の裏面側の部位には開口部104が開けられ、LED221からの光を液晶素子101に受容するようになっている。液晶素子101には接続端子101aおよび101bが設けられ、基板100上の配線パターン106と導電性の接着部材(不図示)などによって電気的に接続される。液晶素子101は本実施形態では基板裏面に配設されているが、基板正面側に配設されてもよい。
【0124】
本実施形態においては、インクタンク1とプリンタ本体との間では接触式の通信が行われる。コネクタ223は、図12ついて説明したような制御信号などを制御回路300から送るための信号「DATA」、そのクロック信号「CLK」および所要の電力供給のための信号を伝送する共通の信号線に接続され、インクタンクはバス接続されるものとなる。そしてそれ以外は、上記第1実施形態と同様の構成を有している。
【0125】
従って、上記第1実施形態と同様の制御を行うことで、ほぼ同様の効果を得ることができる。すなわち、発光部が発する光を用いて液体収納容器の状態に関する表示を行う構成において、信号線を削減しながらもインクタンクの搭載位置を特定した表示が可能となる。また、LEDなどの発光部をプリンタ本体側に設ける一方、その発光部からの光を透過/遮断する透光/遮光部としての液晶素子をインクタンクに配置したことで、インクタンクには低電力を供給すれば足りるものとなる。
【0126】
4.3 その他
以上の各実施形態においては、各インクタンクに対応して発光部(LED)を設けた構成としたが、本発明は、複数のインクタンクのそれぞれの液晶素子を適宜オン/オフ駆動することで、表示手段を点灯、点滅させるなどの表示制御を行うことが可能である。従って、複数のインクタンクのそれぞれの表示手段の構成要素(第1および第3実施形態では液晶素子、第2実施形態では導光部材121の受光部123)に適切に光を照射可能であれば、各インクタンク毎に発光部を設けなくてもよい。すなわち、インクタンク装着時において液晶素子や導光部材受光部に正対する位置にLEDが設けられていなくても、例えば光ファイバなどの光導波路を利用し、適切に照射を行うことができれば、透光/遮光を行いことで表示制御が可能である。これによれば、LEDの個数の削減、消費電力の低減、LEDの配置の自由度の向上などが可能となる。
【0127】
また、透光/遮光部には適宜のものを用いることが可能であるが、機械的な変位を要さずにその機能を実現できること、および、低電力で駆動できるものであることから、上述した各実施形態のように液晶素子を用いることが好ましい。
【0128】
さらに、上述した各実施形態では、光を出射部に導く導光部材を設けた構成とした。しかしながら、出射光をユーザが目視可能な位置ないしはプリンタ本体が受光可能な位置で表示を行うことが可能な構成であれば、上述したような導光部材の配設は必須ではない。
【0129】
加えて、上述した各実施形態では、記録ヘッド部を一体にした記録ヘッドカートリッジの形態のインクタンクホルダについて構成について説明したが、インクタンクホルダはそのような構成に限られない。すなわち、インクタンクが装着されたときにインク連通状態を得て記録ヘッドに向けインクを供給可能な構成であれば、インクタンクホルダは記録ヘッドとは別体の構成であってもよい。
【0130】
さらに加えて、インクタンクないしホルダの個数やインクの収納形態、およびインクタンクが取り付けられる記録ヘッドユニットないしはインクジェットプリンタの構成は上述のものに限られない。さらに、用いられるインクの色調についても、単色であっても複数色であってもよい。さらには、色材としてもインクのほか、記録媒体上での定着性や発色性あるいは耐久性などを向上するための処理液を収納するインクタンクであってもよい。
【0131】
また、上例では液体収納容器であるインクタンクと記録ヘッドとが別体である実施形態について説明したが、両者を一体とした形態である記録ヘッドユニット(液体収納カートリッジ)にも本発明の思想を適用可能であることは勿論である。
【0132】
図34はその構成例を示す斜視図であり、ここではインクタンク501および記録ヘッド605’を一体に構成してなる2本の記録ヘッドユニット(液体収納カートリッジ)が示されている。図において、一方はブラックインク用、他方はイエロー、マゼンタおよびシアンインク用のカートリッジである。これらの液体収納カートリッジにそれぞれ、例えば上記第1実施形態と同様の基板100と、光出射部122に一点鎖線で示すように光を導く導光部材(不図示)とを設けることができる。また、このような構成に対応して、上記第1実施形態と同様のアンテナ基板152を、液体収納カートリッジの装着部分に設ければよい。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】(a)、(b)および(c)は、それぞれ、本発明の第1の実施形態に係るインクタンクの側面図、正面図および底面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るインクタンクの側断面図である。
【図3】(a)および(b)は、本発明の第1の実施形態に係るインクタンクに配置される基板の機能の概略を説明するために、それぞれ、インクタンクをホルダに取り付けた状態で示す模式的側面図および主要部の拡大図である。
【図4】(a)、(b)および(c)は、それぞれ、本発明の第1の実施形態に係るインクタンクに取り付けられる制御基板の一例を示す正面図、側面図および裏面図である。
【図5】図3(a)と同様の模式的側面図であるが、インクタンクが異なる位置にある状態で示す図である。(a)、(b)および(c)は、それぞれ、第1の実施形態に係るインクタンクに取り付けられる制御基板100の一例を示す正面図、側面図および裏面図である。
【図6】第1の実施形態に係るインクタンクが取り付けられるホルダを有する記録ヘッドユニットの一例を示す斜視図である。
【図7】(a)〜(c)は、第1の実施形態に係るインクタンクを図6に示すホルダに着脱する際の動作を説明するための模式的側面図である。
【図8】(a)および(b)は、第1の実施形態に係るインクタンク取り付け部分の構成の他の例を示す斜視図である。
【図9】上記第1の実施形態のインクタンクを装着して記録を行うインクジェットプリンタの外観を示す図である。
【図10】図9に示す本体カバーを取り外して示す斜視図である。
【図11】上記インクジェットプリンタの制御構成を示すブロック図である。
【図12】上記インクジェットプリンタのフレキシブルケーブルにおける、インクタンクとの信号接続のための信号配線の構成を、各インクタンクの基板との関係で示す図である。
【図13】制御部などが設けられたインクタンクの基板の詳細を示すブロック図である。
【図14】インクタンクの基板に設けられるメモリーアレイに対するデータの書き込みおよび読み出しの動作をそれぞれ説明するためのタイミングチャートである。
【図15】インクタンクの基板に設けられる液晶素子のオン/オフ動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図16】(a)、(b)および(c)は、本発明に係る本体側発光部の構成の3例を示す本体側アンテナ基板の模式的平面図である。
【図17】(a)および(b)は、図16(a)の構成に対応した本体側発光部とインクタンク側液晶素子の駆動タイミングを示すタイミングチャートである。
【図18】(a)〜(c)は、図16(b)の構成に対応した本体側発光部とインクタンク側液晶素子の駆動タイミングを示すタイミングチャートである。
【図19】本発明の第1実施形態に係るインクタンクの着脱に関する制御手順を示すフローチャートである。
【図20】図19におけるインクタンク着脱処理の詳細を示すフローチャートである。
【図21】図20における装着確認制御の詳細を示すフローチャートである。
【図22】(a)は、上記インクタンクの着脱に関する制御における、総てのインクタンクについて正しく装着され、それぞれの光出射部が点灯した状態を示す図である。(b)は、上記点灯の後、本体カバーが閉じられたことにより、キャリッジが光照合のための位置へ移動することを説明する図である。
【図23】(a)〜(d)は、この光照合処理を説明する図である。
【図24】(a)〜(d)は、同様に、光照合処理を説明する図である。
【図25】第1実施形態にかかる記録処理を示すフローチャートである。
【図26】(a)、(b)および(c)は、それぞれ、本発明の第2の実施形態に係るインクタンクの側面図、正面図および上面図である。
【図27】第2の実施形態に係るインクタンクに配置される基板の機能の概略を説明するための模式的側面図である。
【図28】(a)および(b)は、それぞれ、第2の実施形態に係るインクタンクに取り付けられる制御基板を示す上面図および裏面図である。
【図29】第2の実施形態に係るインクタンクが搭載されるインクジェットプリンタの本体カバーを取り外して示す斜視図である。
【図30】第2の実施形態に係るインクタンクが搭載されるインクジェットプリンタの制御構成を示すブロック図である。
【図31】(a)、(b)および(c)は、それぞれ、本発明の第3の実施形態に係るインクタンクの側面図、正面図および底面図である。
【図32】(a)および(b)は、それぞれ、第3の実施形態に係るインクタンクに配置される基板の機能の概略を説明するための模式的側面図および主要部の拡大図である。
【図33】(a)、(b)および(c)は、それぞれ、第3の実施形態に係るインクタンクに取り付けられる制御基板を示す上面図、側面図および裏面図である。
【図34】本発明のさらに他の実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0134】
1、1K、1C、1M、1Y インクタンク
7 インク供給口
100 基板
101 液晶素子(LCD)
102、220 アンテナ
103 制御素子(制御部)
103A 高周波変調/復調回路
103B 電源回路
103C 入出力制御回路
103D メモリーアレイ
103E LCDドライバ
104 開口部
105 記録ヘッドユニット
105’、105K、105C、105M、105Y 記録ヘッド
108 コンタクトパッド
121 導光部材
122 光出射部
150 ホルダ
152 アンテナ基板
154 コネクタ基板
157 電気接点部
158、159 配線部
201 本体カバー
205 キャリッジ
208 高周波変調/復調回路
210 第1受光部
221、221a〜221d、222 LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の液体収納容器が搭載可能であって、該液体収納容器に備えられる通信部と情報の通信が可能な装置側通信部と、発光部と、前記液体収納容器からの光を受光する受光部とを有する記録装置に対して着脱可能な液体収納容器において、
前記装置側通信部と情報の通信が可能な通信部と、
少なくとも液体収納容器の個体情報を保持可能な情報保持部と、
前記装置が有する前記発光部からの光を透過または遮断可能な透光/遮光部を有し、当該透過した光を出射するための表示手段と、
前記通信部から入力される個体情報に係る信号と、前記情報保持部の保持する個体情報とに応じて前記透光/遮光部を制御することで前記表示手段の光出射を制御する制御部と、
を具えたことを特徴とする液体収納容器。
【請求項2】
複数の液体収納容器が互いに異なる位置に搭載可能であって、該液体収納容器に備えられる通信部と情報の通信が可能な装置側通信部と、発光部と、前記液体収納容器からの光を受光することによって前記液体収納容器の搭載位置を検出する液体収納容器位置検出手段と、を有する記録装置に対して着脱可能な液体収納容器において、
前記装置側通信部と情報の通信が可能な通信部と、
少なくとも液体収納容器の個体情報を保持可能な情報保持部と、
前記装置が有する前記発光部からの光を透過または遮断可能な透光/遮光部を有し、当該透過した光を出射するための表示手段と、
前記通信部から入力される前記個体情報に係る信号と、前記情報保持部の保持する個体情報とが一致した場合に前記透光/遮光部を制御することで前記表示手段からの光出射を行わせる制御部と、
を具えたことを特徴とする液体収納容器。
【請求項3】
前記透光/遮光部は液晶素子を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体収納容器。
【請求項4】
前記通信部および前記装置側通信部はアンテナを有し、該アンテナを介した無線通信が可能であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の液体収納容器。
【請求項5】
前記通信部および前記装置側通信部は互いに電気的に結合可能な接点を有し、該接点の結合により前記通信が可能であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の液体収納容器。
【請求項6】
前記装置が有する前記発光部は複数色の発光が可能であり、当該複数色の発光のタイミングに合わせて前記制御部が前記透光/遮光部の透光状態と遮光状態とのタイミングを制御することにより、前記表示手段から複数色の光出射を行うようにしたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の液体収納容器。
【請求項7】
複数の液体収納容器が互いに異なる位置に搭載可能であって、該液体収納容器に備えられる通信部と情報の通信が可能な装置側通信部と、発光部と、前記液体収納容器からの光を受光することによって前記液体収納容器の搭載位置を検出する液体収納容器位置検出手段と、を有する記録装置と、該記録装置のキャリッジに対して着脱可能な液体収納容器と、を備える液体供給システムにおいて、
前記装置側通信部と情報の通信が可能な通信部と、
少なくとも液体収納容器の個体情報を保持可能な情報保持部と、
前記装置が有する前記発光部からの光を透過または遮断可能な透光/遮光部を有し、当該透過した光を出射するための表示手段と、
前記通信部から入力される前記個体情報に係る信号と、前記情報保持部の保持する個体情報とが一致した場合に前記透光/遮光部を制御することで前記表示手段からの光出射を行わせる制御部と、
を具えたことを特徴とする液体供給システム。
【請求項8】
複数の液体収納容器が互いに異なる位置に搭載可能であって、該液体収納容器に備えられる通信部と情報の通信が可能な装置側通信部と、発光部と、前記液体収納容器からの光を受光することによって前記液体収納容器の搭載位置を検出する液体収納容器位置検出手段と、を有する記録装置に対して着脱可能な液体収納容器の製造方法において、
前記装置側通信部と情報の通信が可能な通信部と、
少なくとも液体収納容器の個体情報を保持可能な情報保持部と、
前記装置が有する前記発光部からの光を透過または遮断可能な透光/遮光部を有し、当該透過した光を出射するための表示手段と、
前記通信部から入力される前記個体情報に係る信号と、前記情報保持部の保持する個体情報とが一致した場合に前記透光/遮光部を制御することで前記表示手段からの光出射を行わせる制御部と、
を有する基板を具えた液体収納容器を用意する工程と、
該液体収納容器にインクを注入する工程と、
を具えたことを特徴とする液体収納容器の製造方法。
【請求項9】
複数の液体収納容器が互いに異なる位置に搭載可能であって、該液体収納容器に備えられる通信部と情報の通信が可能な装置側通信部と、発光部と、前記液体収納容器からの光を受光することによって前記液体収納容器の搭載位置を検出する液体収納容器位置検出手段と、を有する記録装置に対して着脱可能な液体収納容器に備えられる回路基板において、
前記装置側通信部と情報の通信が可能な通信部と、
少なくとも液体収納容器の個体情報を保持可能な情報保持部と、
前記装置が有する前記発光部からの光を透過または遮断可能な透光/遮光部を有し、当該透過した光を出射するための表示手段と、
前記通信部から入力される前記個体情報に係る信号と、前記情報保持部の保持する個体情報とが一致した場合に前記透光/遮光部を制御することで前記表示手段からの光出射を行わせる制御部と、
を有することを特徴とする回路基板。
【請求項10】
前記表示手段の前記透光/遮光部が配置されていることを特徴とする請求項9に記載の回路基板。
【請求項11】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の液体収納容器を搭載可能な記録装置であって、前記装置側通信部と、前記発光部と、前記受光部とを有することを特徴とする記録装置。
【請求項12】
前記液体収納容器を搭載可能なキャリッジを有し、該キャリッジは前記出射される光を前記受光部が受光可能な位置に移動可能であることを特徴とする請求項11に記載の記録装置。
【請求項13】
複数の液体収納カートリッジが互いに異なる位置に搭載可能であって、該液体収納カートリッジに備えられる通信部と情報の通信が可能な装置側通信部と、発光部と、前記液体収納カートリッジからの光を受光することによって前記液体収納カートリッジの搭載位置を検出する液体収納カートリッジ位置検出手段と、を有する記録装置に対して着脱可能な液体収納カートリッジにおいて、
液体を吐出することで記録を行う記録ヘッドと、
前記装置側通信部と情報の通信が可能な通信部と、
少なくとも液体収納カートリッジの個体情報を保持可能な情報保持部と、
前記装置が有する前記発光部からの光を透過または遮断可能な透光/遮光部を有し、当該透過した光を出射するための表示手段と、
前記通信部から入力される前記個体情報に係る信号と、前記情報保持部の保持する個体情報とが一致した場合に前記透光/遮光部を制御することで前記表示手段からの光出射を行わせる制御部と、
を具えたことを特徴とする液体収納カートリッジ。
【請求項14】
複数の液体収納容器が互いに異なる位置に搭載可能であって、該液体収納容器に備えられる通信部と情報の通信が可能な装置側通信部と、発光部と、前記液体収納容器からの光を受光することによって前記液体収納容器の搭載位置を検出する液体収納容器位置検出手段と、を有する記録装置に対して着脱可能な液体収納容器において、
収納容器内に収納されるインクと、
前記装置側通信部と情報の通信が可能な通信部と、
収納されるインクに関する情報を保持する情報保持部と、
前記装置が有する前記発光部からの光を透過または遮断可能な透光/遮光部を有し、当該透過した光を出射するための表示手段と、
前記通信部から入力される前記個体情報に係る信号と、前記情報保持部の保持する個体情報とが一致した場合に前記透光/遮光部を制御することで前記表示手段からの光出射を行わせる制御部と、
を具えたことを特徴とする液体収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2007−307820(P2007−307820A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−140086(P2006−140086)
【出願日】平成18年5月19日(2006.5.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】