説明

液体収納容器、該容器を用いる液体供給システムおよび記録装置、並びに前記容器用回路基板

【課題】 インクタンクに不揮発性の記憶素子および発光部を設け、記憶素子に格納されている情報を記録装置本体に通信することによって、インク残量など各インクタンクの状態)に応じた処理を行うことができるとともに、インクタンクの状態を発光部により報知可能にした構成において、記憶素子の記憶内容が破壊されることなく、取り外し直前まで発光部の発光を可能としてユーザの作業性に資する。
【解決手段】 不揮発性記憶素子(103B)に加えて揮発性記憶素子(103D)を設け、ユーザがインクタンクの着脱を行い得る場合には、それに先立って不揮発性記憶素子が保持するインクタンク状態情報を揮発性記憶素子に転送しておき、インクタンクの着脱を行い得る場合では揮発性記憶素子のみにアクセスして、発光部(101)の点灯/消灯制御を行うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体収納容器、該容器を用いる液体供給システムおよび記録装置、並びに前記容器用回路基板に関し、詳しくは、インクジェット記録で用いられるインクタンクのインク残量など、液体収納容器の状態に関する報知をLEDなどの発光手段によって行う構成で用いられる液体収納容器、該容器を用いる液体供給システムおよび記録装置、並びに前記容器用回路基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の記録の高精細化および高画質化の要求に伴い、インクジェット記録ヘッドの性能は格段に向上している。すなわち、記録ヘッドの吐出口およびエネルギ発生素子をより多く設けることや、同時に駆動するエネルギ発生素子の数を増やすことによって、記録速度ひいては記録スループットの向上が図られている。
【0003】
このように高性能化した記録ヘッドにおいて、その寿命や交換時期を知るために、特許文献1には、インクジェット記録ヘッド1105にその記録ヘッド1105の個別の情報が記憶されているEEPROMなどの記憶素子が設けられた構成が開示されている。
【0004】
図28はその構成の説明図である。図示の構成では、EEPROM1018が設けられた記録ヘッド1105からの実質的な電気信号配線は1016(a)〜1016(c)のみであり、これらは記録ヘッド1105上のコネクタ1028からフレキシブルケーブル1206を経て、記録装置本体の制御回路部のCPU(Central Processing Unit)1300に接続されている。
【0005】
さらに、インクカートリッジにもインク残量情報等を記憶する記憶素子が搭載され、記録装置本体側に当該情報を提示可能としたものもある。
【0006】
図29および図30はその構成の2例の説明図である。図29の構成では、4色のインクに対応した複数のインクカートリッジ1001K、1001Y、1001Mおよび1001Cにもそれぞれ記憶素子1100A、1100B、1100Cおよび1100Dが搭載されている。これらの記憶素子に係る信号線も記憶素子1018の信号線とともに記録ヘッド1105上でまとめられ、それらの信号線1016の群が記録ヘッド1105上のコネクタ1028からフレキシブルケーブル1206を経て、記録装置本体の制御回路部のCPU1300に接続される。また、図30の構成では、様々な情報を記憶させ得る記憶素子1100A〜1100Dを、記録ヘッド1105を介さずに、直接記録装置本体の制御回路部のCPU1300に伝達し、それに基づいて好適な動作制御を行うことができる構成である。
【0007】
これらのように、記録ヘッドやインクカートリッジに配設される記録素子と記録装置本体との電気的接続には、記録装置の構成にあわせて多種多様なものが存在する。
【0008】
上述したような高品位記録を達成するために、近年ではインクの改良も進められている。すなわち、高い記録性能を達成するために、様々な特性を考慮して成分や組成比が非常に複雑かつ精緻に設定されたインクが用いられている。また、例えばインクの耐候性ないしは記録画像の堅牢性を向上させるために染料成分に代えて顔料成分を色材として含有させたり、高速化のために定着促進用の樹脂成分を添加したり、多色記録を行う場合にそれぞれの色のインク同士が化学反応することを想定した組成としたりするなど、改良されたインクが用いられるようになってきている。さらに、記録媒体の材質(インクジェット記録の専用紙、普通紙、樹脂シートあるいは布など)に応じて、また、求める視覚効果(光沢の有無や、金色および銀色の使用など)に応じて、インクの種類を変えることがある。
【0009】
このように、従来のインクとは成分や組成比が異なるインクを用いることによって、より一層の記録品位向上が図られている。このようなインクは、記録装置において同種のインクのみが使用される場合には記録装置は問題なく機能し、そのインクの性能を十分に引き出して高品位記録を行うことが可能である。しかし、同一の記録装置において異なる種類のインクが交互に使用されるような場合にあって、特に複数の吐出部を有する1つのインクジェット記録ヘッドに対し複数のインクカートリッジを装填可能とする構成では、1つの吐出部の内部で異なる種類のインクが混じり合い、インク同士が反応して凝集や固化を生じ、吐出部内のインク供給路や吐出口内方の液路、あるいは吐出口が形成された記録ヘッドの面(吐出口面)に固着することで記録動作を阻害するという不都合が生じる恐れがある。そのため、異なる種類のインクが記録装置内で混じり合うことがないように配慮する必要があり、ある種類のインクに対応した吐出部には異なる種類のインクを収容しているインクカートリッジが接続されることがないような構成にすることが強く望まれる。
【0010】
そのための第1の方法は、インクの種類毎に異なる形状のインクカートリッジを用い、異なる種類のインクを収容するインクカートリッジ同士の装着の互換性をなくすことである。しかしその場合には、インクカートリッジの製造コストが非常に上昇し、形状が異なるインクカートリッジの保管や管理が煩雑になるという欠点がある。
【0011】
これに対し、第2の方法として有効なものが、図29および図30に示したような、インクカートリッジ1001K〜1001Cにそれぞれ自らが収容しているインクの種類を示すデータを格納する記憶素子1100A〜1100Dを設けた構成である。例えば、特許文献2には、インクの種類を電圧値の相違によって認識できるように、インクカートリッジの記憶素子を記録装置本体の電気回路に接続させる構成が開示されている。また、特許文献3には、収容しているインクの種類や製造日時等を示すデータが格納されている記憶素子に、記録装置本体の制御ICが接続されてデータを読み書きする構成が開示されている。そして、インクカートリッジ側の情報に基づいて、ある種類のインクに対応した吐出部には異なる種類のインクを収容しているインクカートリッジが接続されたことを認識し、さらにこれをユーザに報知することで、上記不都合の発生を未然に防止することが可能となる。
【0012】
さらに、これらの特許文献2および特許文献3に開示されている構成のように、インクカートリッジ1K〜1Cにそれぞれ自らが収容しているインクの種類や残量、また使用有効期限等の情報を格納する一方、特許文献1に開示されている構成のように、記録ヘッド1105に設けられた記憶素子1018によって記録ヘッド1105の識別番号や総プリント枚数等の情報を格納する構成にすると、記録装置本体のCPU1300が記憶素子1018および1100A〜1100Dのそれぞれの情報を読み取ることで、インクカートリッジ1001A〜1001Dおよびその内部のインクの種類を知ることができるとともに、記録ヘッド1105やインクカートリッジ1001A〜1001Dの寿命および交換のタイミングを適切に決定することができる。また、インクに応じた最適な記録条件や、記録ヘッドのインク吐出性能を良好な状態にするための回復処理の条件を設定することによって、良好な記録を実行することも可能となる。
【0013】
さらに、記録ヘッド105やインクカートリッジ1001A〜1001Dの寿命および交換のタイミングを適切に報知する構成として、特許文献4のような構成も開示されている。この構成は、記録ヘッドとインクタンクとを一体化したカートリッジにLED形態の発光部を備え、カートリッジの記録通電回数を記憶した記憶素子の情報に応じてインク残量を報知することができるものである。
【0014】
【特許文献1】特開平7−076104号公報
【特許文献2】特開平6−155769号公報
【特許文献3】特開2000−301738号公報
【特許文献4】特開平4−275156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
特許文献4に開示されたような構成を用いる場合、ユーザが誤りなくインクタンク交換作業を行うためには、ユーザがインクタンクを交換する直前まで表示が行われることが望ましい。インクカートリッジが交換すべきものであることを発光により表示すれば、ユーザの交換作業の便に資するところが大きいからである。このような場合、ユーザはLEDが発光しているインクカートリッジを取り外すことになる。
【0016】
しかしながら、上記特許文献4には、表示器が設けられたインクタンクがプリンタ体に装着されている状態のみ開示されているが、インクタンクがプリンタ本体に着脱可能な構成であることに鑑みれば、特許文献1ないし特許文献3と同様な接続構成を採用し、装着状態において表示器ないしはメモリに対してプリンタ側から電源が供給されるものと考えられる。
【0017】
従って、表示が行われている状態で交換を行うことは、電源や通信回線が接続された状態で抜き差しを行う、所謂活線挿抜となる。メモリは通常、精密なプロセスを用いて製作されてなる半導体素子であり、管理された電源に基づいて動作を行うものである。そのため、メモリのアクセス中にインクタンクが記録装置本体から取り外され、いきなり通信回線が断たれると、メモリに記憶されている情報のみならず、記憶素子の種類やプロセスによってはメモリそのものが破壊される恐れがある。
【0018】
また、特許文献4に記載された発光素子を用い、各インクカートリッジのインク残量に合わせた報知を行う場合を考える。インク残量は、例えば記録装置の主制御部が記録制御とともにドット記録の回数をカウントし、インクの初期収容量に対応した数値からカウント値を減算してゆくことで知ることができる。この際、インク初期収容量に対して規定の割合以下となった場合、インク残量が少ないと判断しユーザに報知するが、同時にメモリにその情報を書き込んでいくことになる。このときに行われている処理は、メモリおよびLED等を含むインクカートリッジ上の回路基板に対しインク残量に応じたコマンドを送信することである。このコマンドには、メモリの読み出しおよび書き込み(メモリアクセス)によってインク残量等を更新するものや、その情報に合わせてLEDの駆動を行うことで表示を開始するものなどが含まれる。
【0019】
このような構成の場合、インクカートリッジの個数が多くなると、それに見合う分のメモリアクセスコマンドおよびLEDの駆動制御コマンドを回線上に送信することとなり、インクカートリッジの残量が様々である場合には、それらコマンドが頻繁に送信されることになる。このように、メモリアクセスを行う機会が多くなればなるほど、上記活線挿抜による電源遮断シーケンスの特性上、メモリ内容の破壊が生じる確率が高くなる。
【0020】
特にメモリにはインク残量のほか、収納するインクの色情報、そのインクカートリッジの固有番号や製造ロット番号などの製造情報等、重要な情報が格納される。この関係から、電源が供給されていない状態(インクカートリッジが記録装置に装着されていない状態)であっても記憶内容を保持できるよう、メモリは不揮発性記憶素子で構成されるのが一般的である。しかるにその記憶内容が破壊されてしまい、例えばインク残量情報等の随時更新されていく重要な情報が参照できなくなると、記録装置のインク残量検知機能が正常に機能しなくなり、記録途中でインク切れが生じ、ユーザが所望する高品位な記録物を提供できなくなる恐れがある。
【0021】
そこで、インク交換作業に先立ってユーザが行う操作、例えばユーザがプリンタ本体に設けられているカバー等を開けるなどした際に、安全に電源遮断を行うことが考えられるが、これでは表示器も消灯してしまうため、交換しようとするインクタンクが不明確となってしまい、表示器を設けた構成の利点が滅却されてしまうという問題がある。
【0022】
さらに、従来技術の別の問題としては、接続部の構成に由来するものがある。
【0023】
例えば、記憶素子1018を記録ヘッド1105に搭載することに加え、インクの種類を含む様々な情報を格納するべく記憶素子をインクカートリッジに搭載する場合には、すべての記憶素子を記録装置本体の制御回路部のCPU1300に電気的に接続して情報を通信しなければならない。従って、記憶素子の数が増えれば、その分それらの接続に要する信号線1016が増加するという問題がある。
【0024】
特に最近では、低廉な記録装置であっても多種多様なインクを用いることが考えられるため、記録ヘッドや複数のインクカートリッジのそれぞれに設けられた記憶素子を記録装置本体の制御回路部のCPU1300に接続するための接続部を常備していなければならない。一般的なカラー記録では、4色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のインクを用いるため、各色のインクをそれぞれ収容した4つのインクカートリッジ1001K、1001Y、1001Mおよび1001Cが記録装置本体に同時に装着される。従って、各インクカートリッジ1001K、1001Y、1001Mおよび1001Cに設けられた合計4つの記憶素子1100A〜1100Dのぞれぞれに対して信号線1016が必要であり、通常は1つの記憶素子に対して2本以上の信号線1016が設けられる。また、記録ヘッド1105にも記憶素子1018が設けられている場合には、各インクカートリッジの記憶素子に接続されるのとは別に、例えば3本の信号線1016を要する。
【0025】
この結果、図29に示すようにすべての信号線を記録ヘッド1105を介してCPU1300に接続する場合であっても、また図29に示すように記録ヘッド1105の記憶素子18および各インクカートリッジ1001K、1001Y、1001Mおよび1001Cの記憶素子1100A〜1100DをそれぞれCPU1300に直接接続する場合であっても、記憶素子の総数の2倍以上の数の信号線1016が必要となる。
【0026】
加えて、特許文献4に記載されたようにインクカートリッジに報知手段を備え、これを用いてインク残量を報知する構成の場合、報知手段のオン/オフを行うための配線も必要となる。この配線はグランド線を考慮しなくてもインクカートリッジ一個につき少なくとも一つは必要となる。すなわち、カラー記録を行うためにインクカートリッジが4色分以上用いる場合は4本以上の信号線が必要となり、記録装置本体との接続数はさらに増えてしまうのである。
【0027】
本発明は、以上のような問題を解消するためになされたものであり、その目的とするところは、プリンタに着脱可能なカートリッジ形態のインクタンクに不揮発性記憶素子および発光部などの報知部を設け、記憶素子に格納されている情報を記録装置本体に通信することによって、各インクタンクの状態(例えばインク残量)に応じた処理を行うことができるとともに、その状態を発光部により報知可能にした構成において、不揮発性記憶素子の内容ないしはそれ自身が破壊されるなどの不都合を生じることなく、取り外し直前まで発光部の発光を可能としてユーザの作業性に資することにある。
【0028】
本発明の他の目的は、活線挿抜による不揮発性記憶素子の記憶内容ないし記憶素子自体の破壊を防止し、またそのメモリアクセス回数を低減することで、信頼性の高い高品位の記録を長く行うことができるようにすることにある。
【0029】
本発明のさらに他の目的は、複数のインクタンクが用いられる場合における、記録装置本体側との接続を行う信号線の数の増加を抑制することにある。
【0030】
本発明の別の目的は、交換された直後からインクタンクの状態を明示できるようにすることにある。
【0031】
本発明のさらなる目的は、不揮発性記憶素子の記憶内容が消失しても、これを修復できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0032】
そのために、本発明は、少なくとも1つの液体収納容器が搭載可能であって、該液体収納容器に備えられる接点と電気的に結合可能な装置側接点と、搭載される液体収納容器それぞれの前記接点と結合する前記装置側接点に対して共通に電気的接続する配線を有した電気回路とを有する記録装置に対して着脱可能な液体収納容器において、
前記装置側接点と電気的に接続可能な前記接点と、
液体収納容器に関する情報を保持可能な不揮発性情報保持部と、
前記情報の少なくとも一部を保持可能な揮発性情報保持部と、
報知部と、
該報知部を駆動する駆動部と、
前記記録装置からの前記個体情報を含むコマンドの受信に応じて、前記不揮発性情報保持部へのアクセス、前記揮発性情報保持部へのアクセス、または前記液体収納容器の状態を報知するための前記駆動部による前記報知部の駆動の制御が可能な制御部と、
を具えたことを特徴とする。
【0033】
また、前記情報は前記液体収納容器の状態(液体の残量など)を示すための状態情報を含み、該情報が少なくとも前記揮発性情報記憶部に保持されるものとすることができる。
【0034】
ここで、前記不揮発性情報記憶部にアクセスを行わず、前記揮発性情報記憶部に保持される前記状態情報に基づいて前記報知部の駆動の制御を行うモードを有するものとすることができる。
【0035】
そして、本発明記録装置の一形態は、上記液体収納容器を搭載可能で、
前記モードへの設定が行われるコードを含むコマンドを送信する手段と、
当該送信後に前記揮発性情報記憶部へのアクセスを指示するコードを含むコマンドを送信する手段と、
当該アクセスに応じて前記揮発性情報記憶部から取得された前記状態情報に基づき、前記報知部の駆動の制御を行うためのコードを含むコマンドを送信する手段と、
を具えたことを特徴とする。
【0036】
また、上記液体収納容器は第1および第2の前記不揮発性情報記憶部を有するものとすることができ、前記電源の供給があったときに、前記状態情報を前記記録装置が取得するためのコードの入力に応じて前記第1の不揮発性情報記憶部が保持する前記状態情報を前記揮発性情報記憶部に転送し、その後の前記コードの入力に対して前記揮発性情報記憶部に保持された前記状態情報に基づいて前記報知部の駆動の制御を行うことができる。
【0037】
そして、本発明記録装置の他の形態は、かかる液体収納容器を搭載可能な記録装置であって、前記状態情報を取得するためのコードを含むコマンドを送信する手段を具えたことを特徴とする。
【0038】
さらに、上記液体収納容器は、前記第1および第2の不揮発性情報記憶部のそれぞれに前記情報が保持され、それらの情報を所定のタイミングで比較し、不一致の場合には前記第2の不揮発性情報記憶部に保持された情報に基づいて前記第1の不揮発性情報記憶部の情報を書き換え可能であるものとすることができる。
【0039】
そして、本発明記録装置のさらに他の形態は、かかる液体収納容器を搭載可能な記録装置であって、
前記前記第1および第2の不揮発性情報記憶部に所定のタイミングでアクセスし、それぞれに保持された前記情報を比較する手段と、
不一致の場合には前記第2の不揮発性情報記憶部に保持された情報に基づいて前記第1の不揮発性情報記憶部の情報を書き換えを行わせる手段と、
を具えたことを特徴とする。
【0040】
また、本発明は、少なくとも1つの液体収納容器が搭載可能であって、該液体収納容器に備えられる接点と電気的に結合可能な装置側接点と、搭載される液体収納容器それぞれの前記接点と結合する前記装置側接点に対して共通に電気的接続する配線を有した電気回路とを有する記録装置に対して着脱可能な液体収納容器に備えられる回路基板において、
前記装置側接点と電気的に接続可能な前記接点と、
液体収納容器に関する情報を保持可能な不揮発性情報保持部と、
前記情報の少なくとも一部を保持可能な揮発性情報保持部と、
報知部を駆動する駆動部と、
前記記録装置からの前記個体情報を含むコマンドの受信に応じて、前記不揮発性情報保持部へのアクセス、前記揮発性情報保持部へのアクセス、または前記液体収納容器の状態を報知するための前記駆動部による前記報知部の駆動の制御が可能な制御部と、
を具えたことを特徴とする。
【0041】
さらに、本発明は、少なくとも1つの液体収納容器が搭載可能であって、該液体収納容器に備えられる接点と電気的に結合可能な装置側接点と、搭載される液体収納容器それぞれの前記接点と結合する前記装置側接点に対して共通に電気的接続する配線を有した電気回路とを有する記録装置と、前記記録装置のキャリッジに対して着脱可能な液体収納容器と、を備える液体供給システムにおいて、
前記液体収納容器は、
前記装置側接点と電気的に接続可能な前記接点と、
液体収納容器に関する情報を保持可能な不揮発性情報保持部と、
前記情報の少なくとも一部を保持可能な揮発性情報保持部と、
報知部と、
該報知部を駆動する駆動部と、
前記記録装置からの前記個体情報を含むコマンドの受信に応じて、前記不揮発性情報保持部へのアクセス、前記揮発性情報保持部へのアクセス、または前記液体収納容器の状態を報知するための前記駆動部による前記報知部の駆動の制御が可能な制御部と、
を具えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、活線挿抜が行われ得る状態では不揮発性の情報保持部(記憶素子)を用いずに揮発性の情報保持部にアクセスしながら、報知部としての例えば発光部の点灯/消灯制御命令を実行することができ、これにより交換されるインクタンクの発光部を点滅させることでユーザに対し明示する一方、活線挿抜による不揮発性情報保持部の記憶内容ないしはそれ自身の破壊を防止できる。また、の素子に対するクロックを停止してアクセスを禁止することで記憶素子内に記憶されている情報ないしは記憶素子そのものを保護することができる。また、不揮発性情報保持部へのアクセス回数を減らすことができ、これにより、その寿命を延ばして信頼性の高い高品位の記録を長く行うことができるようになる。
【0043】
また、インクタンクを特定するための記録装置からの個体情報を含むコマンドの受信に応じて、記憶素子(情報保持部)へのアクセスまたは報知部の駆動の制御を行うようにしたことにより、複数のインクタンクが用いられる場合でも記録装置本体側との接続を行う信号線の数が増加するのを抑制でき、またインクタンク個数の増加があった場合にも柔軟に対応できるようになる。
【0044】
さらに、上記他の形態に係る記録装置およびこれを用いる液体収納容器によれば、装着直後からインクタンクの状態を明示できるようになる。
【0045】
また、上記他の形態に係る記録装置およびこれを用いる液体収納容器によれば、一部の不揮発性情報保持部の記憶内容が消失しても、これを修復できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、図面を参照しつつ、次の流れに沿って本発明の実施形態を詳細に説明する。
1.本発明を適用可能な機械的構成の例
1.1 インクタンク
1.2 インクタンク取り付け部
1.3 記録装置
2.本発明を適用可能な制御系の構成例
2.1 全体構成
2.2 接続部の構成
2.3 制御部の構成
2.4 制御部の動作
2.5 制御手順
3.第2の実施形態
4.その他
【0047】
1.本発明を適用可能な機械的構成の例
まず、本発明を適用可能なカートリッジおよびこれを用いるインクジェット記録装置の機械的構成の一例について説明する。
【0048】
1.1 インクタンク(図1〜図5)
図1(a)、(b)および(c)は、それぞれ、本発明液体収納容器の一実施形態に係るインクタンクの側面図、正面図および底面図、図2はその側断面図である。なお、本説明において、インクタンクの正面とは、ユーザに向き合うことでその操作(着脱操作等)およびユーザへの情報提供(後述するLEDの発光)を可能とする面を言う。
【0049】
図1において、本実施形態のインクタンク1は正面側の下部に支持された支持部材3を有している。支持部材3はインクタンク1の外装と一体に、樹脂により形成されており、後述するタンクホルダへの装着操作等を行う際に被支持部を中心に変位可能な構成である。インクタンク1の背面側および正面側には、タンクホルダ側の係止部にそれぞれ係合可能な第1係合部5および第2係合部6(本例では支持部材3に一体化されている)が設けられ、これらの係合によってインクタンク1のタンクホルダへの装着状態が確保される。この装着時の動作については図7により後述する。
【0050】
インクタンク1の底面には、タンクホルダへの装着時に、後述する記録ヘッドのインク導入口と結合してインク供給を行うためのインク供給口7が設けられている。この底面と正面とが交わる部分にあって、支持部材3の支持部分の底面側には、本実施形態の主要部をなす基体が設けられている。基体の形状としてはチップ形状でも板状であっても良いが、以下では基板100として説明する。
【0051】
図2はインクタンク1の側断面図である。インクタンク1の内部は、支持部材3および基板100が設けられる正面側に位置するインク収納室11と、背面側に位置してインク供給口7に連通する負圧発生部材収納室12とに分割されており、両者は連通口13を介して接続されている。インク収納室11にはインクがそのまま貯留される一方、負圧発生部材収納室12には、インクを含浸保持するスポンジや繊維集合体等のインク吸収体15(以下、便宜的に多孔質部材と示す)が設けられている。この多孔質部材15は、記録ヘッドのインク吐出用のノズル部に形成されるメニスカスの保持力と平衡してインク吐出部からのインク漏れを防止するに十分で、かつ記録ヘッドのインク吐出動作が可能な範囲にある適切な負圧を発生するためのものである。
【0052】
負圧発生部材収納室12の上面には、記録ヘッドへのインク供給に伴って増大する負圧を緩和し、これを好ましい所定範囲に維持すべく外気を導入するための大気連通部12Aが設けられている。
【0053】
また、図2のインクタンク1は、後述の基板が配設されたインクタンク1の本体を用意してから、内部にインクを注入することで製造することができる。その方法を実施するためのインクの注入口は、例えばインク収納室11の上面に形成しておくことができる。そして、インク注入後に、注入口を封止部材11Aによって封止することができる。
【0054】
インクタンク1の使用が開始され、インクが消費されはじめた以降、例えば収納するインク残量が実質的になくなってから、封止部材11Aを取り外し、またはこれを破壊することで注入口を再形成し、注射器等を用いてインクを注入してから、必要に応じ封止部材11Aまたはその代替部材で注入口を封止することも可能である。あるいは、そのような当初形成されていた注入口を利用する代わりに、例えばインク収納室11の上面の別の部位に開口を形成し、この開口を通してインクを注入してから、必要に応じてこれを封止することも可能である。
【0055】
さらに、インク供給口7に対しては、製造されたインクタンク1の物流時や保管時等におけるインク漏出を防止するための封止部材7Aが着脱可能である。この封止部材7Aはキャップやテープ状の部材など、所定の封止性能が発揮され、かつ記録ヘッドへインクタンクの取り付けを行う際に取り外し可能なものであればいかなる形態でもよい。また、使用開始後において記録ヘッドからインクタンクを取り外した場合に、封止部材7Aまたはその代替部材でインク供給口7の封止を行うようにすることもできる。
【0056】
なお、インクタンク1の内部構成は、このような多孔質部材の収納室とインクをそのまま貯留する収納室とに分かれた形態に限られない。例えば、多孔質部材がインクタンク内部空間の実質的に全体に充填されるものでもよい。また、負圧発生手段として多孔質部材を用いるのではなく、容積を拡張する方向に張力を発生するゴム等の弾性材料で形成した袋状部材内にインクをそのまま充填し、この袋状部材が発生する張力によって内部のインクに負圧を作用するようにしたものでもよい。さらには、インク収容空間の少なくとも一部を可撓性部材で構成し、その空間内にインクだけを収容するとともに、可撓性部材にばね力を作用させることで負圧を発生させるようにしたものでもよい。これらの場合も上述と同様のインク注入を行うことでインクタンクを製造することが可能である。また、これらの場合、記録ヘッドへのインク供給に伴って増大するインク収容空間内の負圧を緩和し、これを好ましい所定範囲に維持すべくインク収容空間内に外気を導入するための大気連通部が設けられるが、その大気連通部位を利用してインク注入を行うようにすることもできる。
【0057】
インク収納室11の底部には、インクタンク1の装置への装着時において装置側に設けられたインク残量検出用センサ(後述)と対向可能な部位に、被検出部17が設けられている。本実施形態において、インク残量検出用センサは発光部および受光部を用いる光センサである。また、被検出部17は、透明もしくは半透明な材質からなり、かつインク非収納時には適切に発光部からの光を反射させて受光部(後述)に戻すことができるように形状,角度等が定められた斜面部を有したプリズム状のものである。
【0058】
図3〜図5を用い、本実施形態の主要部である基板100の構成および機能について説明する。ここで、図3(a)および(b)は本発明の第1の実施形態に係るインクタンクに配置される基板の機能の概略を説明するための模式的側面図、図4(a)および(b)は、それぞれ、図3の主要部の拡大図およびそのIVb方向断面の矢視図、図5(a)および(b)は、それぞれ、第1の実施形態に係るインクタンクに取り付けられる制御基板100の一例を示す側面図および正面図である。
【0059】
記録ヘッド105’を備えた記録ヘッドユニット105に一体化されているホルダ150の第1係止部155および第2係止部156に対し、インクタンク1の第1係合部5および第2係合部6がそれぞれ係合することで、インクタンク1がホルダ150に装着され、固定される。またこのとき、ホルダ150に設けられた接点(以下コネクタと称す)152と、インクタンクに設けられた基板100の外側に向かって位置する面に設けられた接点としての電極パッド102(図5(b))とが接触し、電気的接続が可能となる。
【0060】
インクタンク1の内側に向かって位置する基板100の面には、LEDなど可視光を発生する第1発光部101と、この発光部の制御等を行う制御ユニット103とが設けられており、コネクタ152よりパッド102を介して供給される電気信号により、制御ユニット103は第1発光部101の発光の制御を行う。なお、図5(a)は、制御ユニット103を基板100に実装した後に、保護用の封止剤でこれを被覆した状態を示している。また、インクタンクが収納しているインクの色やインク残量などの情報を記憶させておくメモリ素子を搭載する場合にも、これを同じ位置に実装して封止剤で被覆することができる。
【0061】
ここで、上述したように、インクタンク1の底面および正面をなす両面が交わる部分にあって、支持部材3の支持部分の下方には、本実施形態の主要部をなす基板100が配設されている。この配設部位において、インクタンク1には両面をつなぐ斜面が形成されている。従って、第1発光部101が発光すると、その一部は斜面に沿ってインクタンク1の正面側から外に向か向かう方向に投光される。
【0062】
上述の配置構成とした基板100を用いることで、記録装置(ひいてはこれが接続されるコンピュータなどのホスト装置)だけでなく、ユーザに対しても、第1発光部101を兼用してインクタンク1に係る所定の情報を直接提示することが可能となる。すなわち、図3(a)に示すように、ホルダ150を搭載するキャリッジの走査範囲の端部にあって図の右上方向に投光される光を受容する位置に受光部を配置し、その部位にキャリッジが位置したときに第1発光部101の発光を制御することで、記録装置側は受光部の受光内容からインクタンク1に係る所定の情報を認識することが可能となる。また、例えば走査範囲の中央にキャリッジを位置させて第1発光部101の発光を制御することで、図3(b)に示すように、ユーザはその発光状態を目視することによりインクタンク1に係る所定の情報を認識することが可能となる。
【0063】
インクタンク(液体収容容器)1の所定の情報とは、インクタンク1の装着状態の良否(すなわち装着が完全であるか否か)、装着位置の適否(インク色に対応して予め定められているホルダ上の装着位置に正しく装着されているか否か)、さらにはインク残量の有無(十分なインク量が残っているか否か)などであり、発光の有無や発光の状態(点滅など)によりそれらの情報の提示が可能となるのである。発光の制御およびそれに伴う情報提示の態様については、制御系の構成の説明の項において詳述する。
【0064】
上記基板100ないし第1発光部101の配置および動作に好ましい構成としては、図4(a)および(b)に示すものが挙げられる。すなわち、第1発光部101および制御ユニット103が設けられている基板100の面に対向するインクタンク1の部分には、第1発光部101により発光された光が、インクタンク搭載位置を検出する位置検出手段の構成要素である第1受光部210や、ユーザの視界に円滑に到達するようにする目的で、少なくとも光軸(矢印)に沿って空間1Aを形成しておくことが望ましい。また、同じ目的のために、支持部材3の配設位置および形状を適切に定めることで、光軸が遮断されないようにする。さらに、ホルダ150には光軸を確保するための穴(もしくは光透過性の部分)150Hが設けられている。
【0065】
なお、当該方向に向かう光量が大となるよう、適切に姿勢を定めて第1発光部101を配置してもよい。あるいは、レンズ等を光路に介挿して指向性を向上することもできる。また、本例の場合、その発光部自体が表示部となるが、表示機能を分離し、インクタンク正面の所定部位(例えば支持部材3、ないしは特にユーザが操作する部分である操作部3M)、あるいはタンクホルダ150正面の所定部位に、光を出射する部分を設け、その部分に向けて導光を行う部材を基板、インクタンクあるいはタンクホルダに設けてもよい。さらに、第1受光部210は図3(a)および後述の図10に示す位置に限られず、他の部位に設けられていてもよく、この場合には、ユーザの目視に供するための方向のほか、第1受光部の配設位置にも向かう方向に投光ないし導光が行われるようにすればよい。加えて、第1発光部101が発する光をインク残量検出用センサの受光部にも導くようにすることも可能であり、この場合は第1発光部101がインク残量検出用センサの発光部に兼用されることになる。
【0066】
1.2 インクタンク取り付け部(図6〜図8)
図6は第1の実施形態に係るインクタンクが着脱可能に構成された記録ヘッドユニットの一例を示す斜視図、図7(a)〜(c)はインクタンクを記録ヘッドユニットに装着する際の動作を説明するための図である。
【0067】
記録ヘッドユニット105は、概して、複数(図では4個)のインクタンクを着脱可能に保持するホルダ150と、底面側に配置される記録ヘッド105’(図6では不図示)とからなっている。そしてインクタンクをホルダ150に装着することで、ホルダ底部に位置する記録ヘッド側のインク導入口107とインクタンク側のインク供給口7とが結合し、両者間のインク連通路が形成される。
【0068】
記録ヘッド105’としては、ノズルを構成する液路内に電気熱変換素子を設け、これに記録信号となる電気パルスを与えることによりインクに熱エネルギを付与し、そのときのインクの相変化により生じる発泡(沸騰)時の圧力をインクの吐出に利用するものを用いることができる。そして、後述するキャリッジ203に設けられた信号伝達用の電気接点部(不図示)と記録ヘッドユニット105側の電気接点部157とのコンタクトが行われ、配線部158を介して記録ヘッド105’の電気熱変換素子駆動回路への記録信号の伝達が行われる。また、電気接点部157からはコネクタ152に至る配線部159も延設されている。
【0069】
インクタンク1を記録ヘッドユニット105に装着する場合には、ホルダ150の上方でインクタンク1を取り扱い(図7(a))、インクタンク背面側に設けられた突起状の第1係合部5を、ホルダ背面側に設けられた貫通孔状の第1係止部155に挿通した状態でホルダ底面上に載置する(図7(b))。この状態でインクタンク1の正面側上端を矢印Pに示すように押下すると、インクタンク1は第1係合部5および第1係止部155の係合部分を回動支点として矢印R方向に回動し、インクタンク正面側が下方に変位してゆく。この過程で、インクタンク正面側の支持部材3に設けられた第2係合部5の側面がホルダ正面側に設けられた第2係止部156に押されながら、支持部材3も矢印Q方向に変位してゆく。
【0070】
そして第2係合部5の上面が第2係止部156の下方に至ると、支持部材3は自身の弾性力によってQ’方向に変位し、第2係合部5が第2係止部156によって係止される。この状態(図7(c))では、第2係止部155が支持部材3を介してインクタンク1を水平方向に弾性的に付勢し、インクタンク1の背面がホルダ150の背面に当接する。また、インクタンク1上方への変位は、第1係合部5が係合した第1係止部155および第2係合部6が係合した第2係止部156によって抑制される。これがインクタンク1の装着完了状態であり、このときインク供給口7およびインク導入口107、またパッド102およびコネクタ152が接合した状態となる。
【0071】
「てこ」の作動にたとえると、図7(b)に示すような装着動作の過程では、第1係合部5および第1係止部155の係合部分が支点、インクタンク1の正面側が力点となる。インク供給口7およびインク導入口107の結合部分は作用点となって、これは力点と支点との間、好ましくは支点近くに位置する。従って、インク供給口7はインクタンク1の回動に伴って大きな力でインク導入口107に押し付けられる。両者の結合部分には通常、インク連通性の確保やインク漏洩の防止を目的としてフィルタ,吸収体,パッキンなど比較的可撓性に富む弾性部材が配設されている。
【0072】
従って、本例のような構成配置および装着動作を採用し、比較的大なる力をもってそれら部材を弾性変形させた状態とすることは、それらの配設目的に照らして好ましいことである。また、装着動作が完了すると、第1係合部5が係合した第1係止部155および第2係合部6が係合した第2係止部156によってインクタンク1の浮き上がりが阻止され、従ってそれら弾性部材の復元が抑制されるので、それらの部材は適切に弾性変形した状態に保持される。
【0073】
一方、接点としてのパッド102およびコネクタ152は金属など比較的剛性の高い導電部材であり、これらの間には良好な電気接続性が確保されるべきである。一方、過大な力をもってそれらを当接させることは、損傷防止や耐久性の観点から好ましくない。本例ではまず、支点から極力離れた部位、すなわちインクタンクの正面近傍にそれらを配置することで、当接力を好ましく小とする。
【0074】
このためには、インクタンク底面上、正面直近の部位に基板のパッドを配置することが考えられる。これとは逆に、インクタンク正面に基板のパッドを配置することも考えられる。しかしいずれの場合でも、第1受光部210およびユーザの目に適切に投光するための第1発光部101の基板上の配置に制約が生じる。また、インクタンク底面上、正面直近の部位に基板を配置する場合、インクタンク1の装着完了直前の状態においてパッド102およびコネクタ152は正対しつつ接近し、そのまま接合することになる。両者の表面の状態によらず良好な電気的接続が行われるようにするためには、大きな装着力を及ぼさなければならず、この結果パッドおよびコネクタに過剰な力が作用する恐れがある。また、万一、インク供給口7およびインク導入口107の結合部分からの漏洩が生じた場合、漏洩インクがインクタンク底面を伝ってパッドおよびコネクタの接続部分まで至る恐れもある。インクタンク正面に基板を配置する場合には、インクタンクの装置本体からの離脱が困難になる可能性がある。
【0075】
これに対し、本例では、インクタンク1の底面および正面をなす両面が交わる部分にあって、両面をつなぐ斜面に基板100を配置している。ここで、装着完了直前においてパッド102がコネクタ152に当接した状態での、この当接部分のみでの力の釣り合いを考えると、鉛直方向下方に作用する装着力に釣り合ってコネクタ152がパッド102に及ぼす反力(鉛直方向上向きの力)は、コネクタ152およびパッド102間の実際の当接圧(斜面に垂直な方向の力)の分力となる。従って、ユーザが装着完了位置に向けてインクタンクを押下するとき、基板およびコネクタ間の電気的接続を行わせるためのインクタンク装着力の増加分も少なく、ユーザの操作性を著しく低下させることもない。
【0076】
また、装着完了位置(第1係合部5と第1係止部155、および第2係合部6と第2係止部156が係合する位置)に向けてインクタンク1を押圧すると、その押圧力によって基板100の平面に平行な方向の分力(パッド102にコネクタ152上を摺動させる力)も生じる。よって、両者間での良好な電気接続性も確保された装着完了状態を得ることができる。また、この状態では電気的接続部分がインクタンク底面から高い部位に位置するので、漏洩インクが伝わってくる恐れも極めて少ない。さらに、第1受光部210およびユーザの目への第1発光部101の光軸も確保できることになる。
【0077】
すなわち、本例のような電気的接続部分の構成配置は、第1投光部101を第1受光部およびユーザの目への投光に兼用する際の投光経路の確保にとって好ましいだけでなく、インクタンク装着力の大きさ、電気的接触状態の確保、および漏洩インクからの保護など、種々の点を勘案した適切なものと言い得るのである。
【0078】
本発明の第1実施形態または変形例に係るインクタンクの取り付け部分の構成は、図6に示したものに限られない。
【0079】
図8を用いてこれを説明する。同図(a)はインクタンクからインクの供給を受けて記録動作を実行する記録ヘッドユニットの他の構成例及びこれを組み込むキャリッジの斜視図、(b)は両者を結合した状態を示す斜視図である。
【0080】
この例に係る記録ヘッドユニット405は、インクタンク全体を固定保持する上例のようなホルダ150と異なり、図8(a)に示すように、インクタンク正面側に対応したホルダ部分、およびここに配設されていた第2係止部およびコネクタなどを有していない。その他は上例とほぼ同様であり、底面上にはインク供給口7に接続されるインク導入口107を、また背面側には第1係止部155を、さらにその裏面には信号伝達用の電気接点部(不図示)を有している。
【0081】
一方、シャフト417に沿って移動可能なキャリッジ415には、図8(b)に示すように、記録ヘッドユニット405を装着・固定するためのレバー419及び記録ヘッド側電気接点部と接続されている電気接点部418のほか、インクタンク正面側の構成に対応したホルダ部分が設けられている。すなわち、第2係止部156、コネクタ152およびコネクタへの配線部159はキャリッジ側に配設されている。
【0082】
かかる構成にあって、図8(b)に示すように記録ヘッドユニット405をキャリッジ415に装着した状態とすればインクタンクの取り付け部分の全体が構成される。つまり図7と同様の装着動作を経て、インク供給口7およびインク導入口107の接合並びにパッド102およびコネクタ152の接続が行われて装着動作が完了する。
【0083】
1.3 記録装置(図9、図10)
図9は、以上説明したインクタンクを装着して記録を行うインクジェットプリンタ200の外観を示す図であり、図10は、図9に示す本体カバー201を開放した状態を示す斜視図である。
【0084】
図9に示すように、本実施形態のプリンタ200は、記録ヘッドおよびインクタンクを搭載したキャリッジが走査のための移動をして記録を行う機構などプリンタの主要部分が、本体カバー201およびその他のケース部分によって覆われているプリンタ本体と、その前後にそれぞれ設けられる排紙トレイ203と、自動給紙装置(ASF)202とを備えたものである。また、本体カバーを閉じた状態および開いた状態の両方で本プリンタの状態を表示するための表示器、電源スイッチおよびリセットスイッチを備えた操作部213が設けられている。
【0085】
本体カバー201を開放した状態では、図10に示すように、ユーザは、記録ヘッドユニット105およびインクタンク1K、1Y、1M、1C(以下では、これらのインクタンクを同一の符号「1」で示す場合もある)を搭載したキャリッジ205が移動する範囲およびその周辺を見ることができる。実際は、本体カバー201を開けると、キャリッジ205が自動的に同図に示すほぼ中央の位置(以下、「タンク交換位置」ともいう)へ移動するシーケンスが実行され、ユーザは、このタンク交換位置でそれぞれのインクタンクの交換操作などを行うことができる。
【0086】
本実施形態のプリンタは、記録ヘッドユニット105に各色のインクに対応したチップ形態の記録ヘッド(不図示)が設けられ、これら各色の記録ヘッドがキャリッジ205の移動によって用紙などの記録媒体に対して走査を行い、この走査の間に記録媒体にインクを吐出して記録を行うものである。すなわち、キャリッジ205は、その移動方向に延在するガイド軸207と摺動可能に係合するとともに、キャリッジモータおよびその駆動力伝達機構によって、上述の移動をすることができる。そして、K、Y、M、Cのインクに対応したそれぞれの記録ヘッドでは、フレキシブルケーブル206を介して本体側の制御回路から送られる吐出データに基づいてインク吐出が行われる。また、紙送りローラや排紙ローラなどの紙送り機構が設けられ、自動給紙装置202から給紙された記録媒体(不図示)を排紙トレイ203まで搬送することができる。また、キャリッジ205には、インクタンクホルダを一体に備えた記録ヘッドユニット105が着脱自在に装着され、一方、この記録ヘッドユニット105に対してそれぞれのインクタンク1がカートリッジの形態にて着脱自在に装着される。すなわち、キャリッジ205に記録ヘッドユニット105を装着し、さらに記録ヘッドユニット105にインクタンク1を装着することが可能であり、本実施形態ではインクタンク1は記録ヘッドユニット105を介してキャリッジ205に着脱可能である。また、記録ヘッドユニット105にインクタンク1を装着することで、本発明液体供給システムの一実施形態が構成される。
【0087】
記録動作では、記録ヘッドが上記の移動によって走査しその間にそれぞれの記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出して記録ヘッドにおける吐出口に対応した幅の領域に記録を行うとともに、この走査と次の走査の間に、上記紙送り機構によって上記幅に応じた所定量の紙送りを行うことにより、記録媒体に対して順次記録を行ってゆく。また、上記のキャリッジ移動による記録ヘッドの移動範囲の端部には、各記録ヘッドについてその吐出口が配設された面を覆うキャップなどの吐出回復ユニットが設けられている。これにより、記録ヘッドは所定の時間間隔で回復ユニットが設けられた位置へ移動して、予備吐出などの回復処理を行う。
【0088】
各インクタンク1のタンクホルダ部を備えた記録ヘッドユニット105には、前述したように、各インクタンクに対応してコネクタが設けられており、それぞれのコネクタは装着されるインクタンク1に設けられている基板のパッドと接触する。これにより、それぞれのLED101について、図17〜図23にて後述されるシーケンスに従った点灯ないし点滅の制御が可能となる。
【0089】
具体的には、上記のタンク交換位置では、それぞれのインクタンク1についてインク残量が少なくなったとき、その該当するインクタンク1のLED101を点灯もしくは点滅させる。また、キャリッジの移動範囲において、上述の回復ユニットが設けられた位置と反対側の端部付近には、受光素子を有した第1受光部210が設けられている。これにより、キャリッジ205の移動に伴ってそれぞれのインクタンク1のLED101がこの受光部210を通過する際にLED101を発光させ、その光を受光したときのキャリッジ205の位置に基づいてキャリッジ205におけるそれぞれのインクタンク1の位置を検出することができる。さらに、LEDの点灯などの制御の他の例として、上記タンク交換位置で、インクタンク1が正しく装着されたときにそのタンクのLED101を点灯させる制御を行う。これらの制御は、記録ヘッドのインク吐出などの制御と同様、フレキシブルケーブル206を介して本体側の制御回路からそれぞれのインクタンクに対して制御データ(制御信号)が送られることによって実行される。
【0090】
2. 制御系の構成
2.1 全体構成(図11)
図11は、上述したインクジェットプリンタの制御系の構成例を示すブロック図であり、プリンタ本体におけるPCB(プリント配線基板)形態の制御回路とそれによって制御される、インクタンクの第1発光部(以下、LEDとも言う)の発光などに関する構成を主に示している。
【0091】
図11において、制御回路300は本プリンタに関するデータ処理および動作制御を実行する。具体的には、CPU301は、ROM303に格納されているプログラムに従い、図17〜図20および図24にて後述される処理などを実行する。また、RAM302は、CPU301による処理実行の際に、ワークエリアとして用いられる。
【0092】
図11において模式的に示されるように、キャリッジ205に搭載された記録ヘッドユニット105は、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各インクを吐出するための複数の吐出口が形成されたそれぞれの記録ヘッド105K、105Y、105M、105Cを備えている。そして、記録ヘッドユニット105のホルダには、これらの記録ヘッドに対応してインクタンク1K、1Y、1M、1Cが着脱自在に搭載される。なお、インクの色ないしインクタンクの個数はこれらに限られず、また同系色であっても濃度の異なるインクが用いられるものでもよいことは勿論である。
【0093】
それぞれのインクタンク1には、前述したように、LED101、その表示制御回路、および、接触端子であるパッドなどが設けられた基板100が取り付けられている。そして、インクタンク1が記録ヘッドユニット105に正しく装着されたとき、上記基板100上のパッドが記録ヘッドユニット105においてインクタンク1にそれぞれ対応して設けられたコネクタと接触する。また、キャリッジ205に設けられたコネクタ(不図示)と本体側の制御回路300とはフレキシブルケーブル206を介して信号接続する。さらに、キャリッジ205に記録ヘッドユニット105が装着されることにより、キャリッジ205の上記コネクタと記録ヘッドユニット105の上記コネクタとが信号接続する。以上の接続構成により、本体側の制御回路300とそれぞれのインクタンク1との間で信号の授受を行うことが可能となる。これにより、制御回路300は、図17〜図23にて後述されるシーケンスに従った点灯ないし点滅の制御を行うことができる。
【0094】
記録ヘッド105K、105Y、105M、105Cにおけるそれぞれのインク吐出の制御についても、同様に、フレキシブルケーブル206、キャリッジ205のコネクタ、および記録ヘッドユニットのコネクタを介してそれぞれの記録ヘッドに設けられた駆動回路などが、本体側の制御回路300と信号接続し、これにより、制御回路300はそれぞれの記録ヘッドにおけるインク吐出などを制御することができる。
【0095】
キャリッジ205の移動範囲の一方の端部近傍に設けられる第1受光部210は、インクタンク1のLED101からの発光を受けて、それに応じた信号を制御回路300へ出力する。制御回路300は、後述のように、この信号に基づき、それぞれのインクタンク1のキャリッジ205における位置を判断することができる。また、キャリッジ205の移動経路に沿ってエンコーダスケール209が設けられるともに、キャリッジ205にはエンコーダセンサ211が設けられる。このセンサの検出信号はフレキシブルケーブル206を介して制御回路300に入力し、これにより、キャリッジ205の移動位置を知ることができる。この位置情報は、各記録ヘッド吐出制御に用いられるとともに、図17などにて後述される、インクタンク位置を検出する光照合処理において用いられる。さらに、キャリッジ205の移動範囲における所定の位置の近傍に設けられる第2発光/受光部214は、発光素子と受光素子とを有し、キャリッジ205に搭載されるそれぞれのインクタンク1のインク残量に係る信号を制御回路300に出力する。そして、制御回路300は、この信号に基づき、インク残量を検出することができる。
【0096】
2.2 接続部の構成(図12)
図12は、フレキシブルケーブル206における、インクタンク1との信号接続のための信号配線の構成を、各インクタンクの基板100との関係で示す図である。
【0097】
図12に示すように、インクタンク1に対する信号配線は、4本の信号線からなり、また、4つのインクタンク1に共通の信号配線(所謂バス接続)である。すなわち、それぞれのインクタンク1に対する信号配線は、インクタンクにおける第1発光部(LED101の発光およびその駆動制御などを行う制御ユニット103の動作などの電力供給にかかる電源信号線「VDD」およびアース信号線「GND」と、後述されるように、制御回路300から、LED101の点灯、点滅などの処理に関する制御信号(制御データ)などを送るための信号線「DATA」およびそのクロック信号線「CLK」の4本の信号線から構成される。本実施形態においては4本の信号線による説明を行うが、本発明はこれに限定されるものでなく例えばアース信号を別構成で達成することにより「GND」線を省略することも可能である。また「CLK」と「DATA」の信号線を共有して一本で構成することも可能である。
【0098】
一方、各インクタンク1K、1Y、1M、1Cの基板100には、これら4本の信号線の信号によって動作する制御ユニット103およびそれによって動作が制御される発光部であるLED101が設けられている。以上はインクタンクに対して接続端子を最も少なくする構成のひとつであり、図15および図16について説明する駆動タイミングチャートにて、LED101の制御、インクタンク情報の取得および/または更新を行うことができるものである。
【0099】
2.3 制御部の構成(図13(a)、図13(b)、図14)
図13(a)は本発明を適用可能な制御部などが設けられた基板の一実施形態の詳細を示す回路図である。本実施形態においては、カートリッジをインクタンク、記録剤をインク、発光部を発光ダイオード(LED)として説明する。同図に示すように、インクタンク上の基板100A〜100D内にある制御部103は、不揮発性の記憶素子を用いて構成された不揮発性メモリ103B(すなわち不揮発性情報保持部)と、不揮発性記憶素子領域の記憶内容の少なくとも一部を保持することが可能な揮発性メモリ103D(すなわち揮発性情報保持部)と、LEDドライバ103C(すなわち駆動部)と、メモリ103B、メモリ103DおよびLEDドライバ103Cを制御する入出力制御回路103A(すなわち制御部)と、を実装した半導体基板120を有して構成される。
【0100】
入出力制御回路103Aは、本体側の制御回路300からフレキシブルケーブル206を介して送られてくる制御データに応じて、報知動作を行うためのLEDドライバ103Cを介したLED101の表示駆動や、不揮発性メモリ103Bに対するデータの書き込みおよび読み出しを制御する。なお、図13(a)はブロック図であるため本体側の制御回路300とインクタンク側の基板100Aとの信号接続を簡略化して描いている。しかし実際には、本体側の制御信号コネクタ110からフレキシブルケーブル206を介して送られてくる制御データは、直接インクタンク上の基板100A〜100Dに伝達されるのではなく、キャリッジ203に設けられた信号伝達用の電気接点部および記録ヘッドユニット105側の電気接点部157等を介して伝達される。また、図13(a)においては、上記「DATA」および「CLK」に係る信号線を符号206Aでまとめて示している。
【0101】
不揮発性メモリ103Bは、本実施形態ではEEPROMの形態のものであり、インク残量、収納するインクの色情報の他、そのインクタンクの固有番号や製造ロット番号などの製造情報等を記憶することができる。なお、情報記憶部としての不揮発性メモリ103Bはその他の不揮発性メモリ、例えばフラッシュメモリや強誘電性RAMなどその他の不揮発性記憶素子を用いて構成することも可能である。
【0102】
そのような不揮発性メモリ103Bに格納される色情報は、インクタンクの出荷時または製造時に、インクの色に対応して、不揮発性メモリ103Bの所定のアドレスに書き込まれる。この色情報は、図15および図16にて後述されるように、インクタンクの識別情報として用いられ、インクタンクを特定して不揮発性メモリ103Bに対するデータの書き込みや不揮発性メモリ103Bからデータの読み出しを行い、また、そのインクタンクのLED101の点灯、消灯を制御することが可能となる。
【0103】
不揮発性メモリ103Bに書き込まれ、また、読み出されるデータにはそのほか、例えば、インク残量のデータがある。本実施形態のインクタンクには、前述したようにその底部にプリズム形状の被検出部17が設けられ、インクの残量が少なくなったときはこの被検出部17を介して光学的にその旨を検出することができる。本実施形態では、これに加え、制御回路300は、吐出データに基づいて記録ヘッドごとの吐出数をカウントし、それに基づいてインクタンクごとのインク残量を計算する。そして、この残量情報をそれぞれ対応するインクタンクの不揮発性メモリ103Bに書き込み、また、読み出す処理を行う。これにより、不揮発性メモリ103Bはその時点のインク残量の情報を保持することができ、この情報は、例えば、上記プリズム形状の被検出部17を用いたインク残量検出と併用したより精度の高い残量検出に用いられたり、装着されたインクタンクが新しいものか、あるいは一度用いられて再装着されたものであるかなどを判断するために用いられたりする。
【0104】
LEDドライバ103Cは、入出力制御回路103Aから出力される信号がオンのときLED101に電源電圧を印加するよう動作し、これにより、LED101を発光させる。従って、入出力制御回路103Aから出力される信号がオンの状態にあるとき、LED101は点灯状態を維持し、上記信号がオフの状態にあるとき、LED101は消灯状態を維持する。
【0105】
113は半導体基板120のLEDドライバ103CにLED101のカソード側を接続するための端子である。114はLED101に通電する電流を決定する制限抵抗器であり、LEDドライバ103CとLED101のカソードとの間に介挿されている。
【0106】
なお、この制限抵抗器114は、図示のようにインクタンク上の基板100A〜100Dに実装されるものでもよいし、半導体基板120内に作り込まれたものでもよい。
【0107】
また、半導体基板120のLEDドライバ103CにLED101のアノード側を接続する一方、半導体基板120のグランドラインにLED101のカソード側を接続する構成を採用することもできる。しかしLED101に対して電源電圧を印加する構成において、図13(a)に示すように電源がインクタンクの基板100内部に設けられたVDD電源パターンから供給されるようにすることには、次のような利点がある。すなわち、制御ユニット103を構成する各素子は半導体基板120上にまとめて作りこまれることが一般的であるが、図13(a)ではLED101に接続される半導体基板120上の接続端子が単一の接続端子113のみとしいる。接続端子数がひとつ少なくなっただけでも、半導体基板120の占有面積に大きく影響するので、半導体基板120のコストダウンにつながるものである。
【0108】
図13(b)はメモリ103Bおよび103Dとそれらの周辺の回路構成を示す。111aは入出力制御回路103Aのデータ端子であり、記録装置およびインクタンク間の通信回線上にあるデータバスに接続される。111bは入出力制御回路103Aのクロック端子であり、記録装置から送られてくるデータ転送クロックを受容する。入出力制御回路103Aはこれらの2種の信号を使用し、LED101を駆動させるコマンドやメモリアクセスを行うコマンドを送る。
【0109】
本例において、揮発性メモリ103Dは論理回路を組み合わせて構成したレジスタの形態であり、その容量は必要なデータを一時的に保持するために十分なビット数であればよい。例えば、インクタンクの識別情報であれば、記録装置のキャリッジに装着される最大数に見合ったものとすればよい。すなわち記録装置が用いるインク色数ないしインクタンク数が4つであれば、2ビットでよい。また、必要なデータとしてはインク残量がある。前記インクカートリッジの識別情報はLED101を駆動制御する際にそのインクタンクを選択するのに必要であり、そしてそのインク残量情報に合わせた交換のタイミングを報知するためにインク残量情報が必要である。インク残量情報は、例えば「インク残量が十分にある場合」、「インク残量が少ない場合」および「インク残量が実質的に無い場合」の3種類に応じた報知を行うものとすれば、これも2ビットあれば十分である。その情報に合わせた制御コマンドを本体側の制御回路300から送信すればよい。
【0110】
本実施形態の特徴は、ユーザがインクタンクを交換し得る状態では不揮発性メモリ103Bにはアクセスせず、その内容の必要なものを一時保存させた揮発性メモリ103Dに対してのみアクセスを許容することで、不揮発性メモリ103Bの記憶内容ないしはそれ自身の破壊を防止することにある。
【0111】
揮発性メモリ103Dの記憶領域(レジスタ)に一時的に情報を保持させる態様については、例えば本体側の制御回路300から入出力制御回路103Aに適宜(例えば記録装置のカバーオープン時)、所要の情報を移動させるためのコマンドを送信し、これをトリガとして行うことができる。あるいは、図示のように装置電源オンに応動するパワーオンリセット回路(POR)103Eのタイミングを使用し、これに合わせて入出力制御回路103Aが不揮発性領域から揮発性領域へと所要の情報を移動させるトリガを発生するようにすることもできる。この例については、第2の実施形態にて詳述する。
【0112】
ここで、上記一時的に保持するべき情報を不揮発性メモリ103Bのの特定アドレスにまとめておけば、このアドレスに対するデータバスを上記トリガ信号に合わせて揮発性メモリ103Dに一括してラッチすることができ、効率的である。そしてそれ以降は、インクタンクが取り外されるまでの期間(電源が供給されている期間)、揮発性メモリ103Dの保持情報を参照することができる。
【0113】
図14は、不揮発性メモリ103Bの特定アドレスXを参照して揮発性メモリ103Dへ情報をラッチする過程を示したものである。例として不揮発性メモリ103Bのメモリマップにおいて、アドレスXに“0x01”というデータがある場合を想定する。この下位4ビットに上記インクタンク識別情報およびインク残量情報を割り当てるものとした場合、最下位から第4ビット目および第3ビット目の「0x」がカートリッジ識別情報、最下位2ビットの「01」がインク残量情報となる。上述のように「インク残量が十分にある場合」、「インク残量が少ない場合」および「インク残量が実質的に無い場合」が情報として存在し、それぞれ、「11」、「10」および「01」で表すものとすれば、図14の場合のインク残量情報は「インク残量が実質的に無い場合」ということになる。
【0114】
このインク残量情報は、印刷制御回数にあわせて本体制御回路300がインクの消費量を演算し、不揮発性メモリ103Bに更新保存する。そしてその情報を例えば記録装置のカバーオープンのタイミングで揮発性メモリ103Dへ移動させる。この動作によって、インクタンクを直接着脱できる状態になったときに揮発性メモリ103Dは最新のインク残量情報に更新されている。従って、インクタンクを着脱可能な状態においても、最新のインク残量に合わせた報知を行うことができるのである。また、この状態では全く不揮発性メモリ103Bにアクセスしないので、不揮発性領域の情報を活線挿抜等により誤って破壊することを防止できるものである。
【0115】
2.4 制御部の動作(図15、図16)
図15は、上述した不揮発性メモリ103Bに対するデータの書き込みおよび読み出しの動作をそれぞれ説明するためのタイミングチャートであり、図16は、LED101の点灯および消灯の動作をそれぞれ説明するタイミングチャートである。
【0116】
図15に示すように、不揮発性メモリ103Bへの書き込みでは、本体側の制御回路300からインクタンク1の制御部103における入出力制御回路103Aに対し、信号線DATA(図12)を介して「開始コード+色情報」、「制御コード」、「アドレスコード」、「データコード」の各データ信号が、クロック信号CLKに同期してこの順で送られてくる。
【0117】
「開始コード+色情報」は、その「開始コード」信号によって、一連のデータ信号の始まりを意味し、また、「色情報」信号によってこの一連のデータ信号の対象となっているインクタンクを特定する。これらは不揮発性メモリ103Bまたは揮発性メモリ103Dに対するアクセスを行う場合にも、またLED101の点灯/消灯制御を行う場合にも、共通して付加されるものである。また、クロック信号CLKは、メモリアクセスを行う場合にも、後述するLED101の点滅周期を定める場合にも使用される基準クロックとするため、常に出力されている。
【0118】
「色情報」は、同図に示すように、インクの色「K」、「C」、「M」、「Y」に対応したコードを有しており、入出力制御回路103Aは、このコードが示す色情報と不揮発性メモリ103Bに格納されている自身の色情報とを比較し、一致しているときにのみ、それ以降のデータ信号を取り込む処理を行い、一致しないときは、それ以降のデータ信号の取り込みを停止または無視する処理を行う。本実施形態においては、この「色情報」が「記録装置からの固体情報」に相当する。これにより、図12に示した共通の信号線「DATA」を介して、本体側からデータ信号をそれぞれのインクタンクに共通に送っても、それに上述の色情報を含めることによってインクタンクを特定することができ、書き込み、読み出し、LEDの点灯、消灯など、その後のデータ信号に基づく処理を、その特定したインクタンクに関してのみ行うことが可能となる。この結果、4つのインクタンクに対して共通の(1本の)データ信号線を介して送信されるデータによってデータの書き込みなどのほか、LEDの点灯、消灯の制御を行うことができ、これらの制御に要する信号線の数を少なくすることが可能となる。なお、このような共通の(1本の)データ信号線を用いる構成は、インクタンクの数に限定されずに同じものとすることができることは、以上の説明からも明らかである。
【0119】
そして、不揮発性メモリ103Bに対する書き込み動作では、「色情報」に続く制御コードである「WRITE」コードによって書き込み動作が指示され、次のアドレスコードによって書き込み先である不揮発性メモリ103Bのアドレスが指示され、最後のデータコードによって表される内容のデータが、アドレスコード終了後の最初のクロック(図15では13クロック目)の立ち上がりに同期して、当該アドレスに書き込まれる。
【0120】
不揮発性メモリ103Bに対する読み出しでは、上記の書き込みの場合とデータ信号の構成は同じであり、また、「開始コード+色情報」のコードは、上記の書き込みの場合と同様、総てのインクタンクの入出力制御回路103Aによって取り込まれ、それ以降のデータ信号は「色情報」が一致したインクタンクの入出力制御回路103Aだけが取り込む。異なる点は、アドレスコードによってアドレスを指定した後、アドレスコード終了後の最初のクロック(図15では13クロック目)の立ち上がりに同期して、データの読み出しないしは出力が行われる。
【0121】
さらに、本実施形態においては、メモリアクセスに係る「制御コード」としてさらに「CTRL_1」と「CTRL_2」とが用意されている。
【0122】
そして「CTRL_1」コードを付加したコマンドにより、その後の「アドレスコード」がなくとも、任意のタイミングで不揮発性メモリ103Bの情報の一部を揮発性メモリ103Dへ移動させるものとすることができる。搭載されている全インクタンクについてこの動作を行わせるために、各インクタンクを順次指定して行くようにしてもよいし、各インクタンクの制御部103ないし入出力制御部103Aにおいて「色情報」に続き「CTRL_1」コードの存在が解析されたときには、「色情報」が自らを指定するものであると否とに拘らず行われるようにしてもよい。いずれにしても、記録装置のカバーオープンのタイミングで「CTRL_1」コードを発行すると、上述のようにインクタンクを直接着脱できる状態になったときには揮発性メモリ103Dが最新の情報に更新されていることになる。
【0123】
このように更新された揮発性メモリ103Dの情報を読み込むために、上記「開始コード+色情報」に「CTRL_2」コードを付加する。このコードにより、任意のインクタンクの最新の情報を取得できる。不揮発性メモリ103Bから情報を読み出す「READ」コードと異なる点はアドレス指定が不要となる点だけであり、情報は「データコード」のタイミングで出力される。本体側の制御回路300は、次にそのインクタンクに対してLED101の駆動制御を行う際、最新情報に合わせた表示を行うことができる。
【0124】
以上のように、複数のインクタンクのデータ信号端子が、このような共通の(1本の)データ信号線に接続されていても、読み出したデータが他の入力信号とぶつからないように入出力制御回路103Aが調停を行っているのである。
【0125】
なお、メモリアクセス用の「制御コード」が表す内容は上記の例に限られないことはもちろんであり、例えば、ベリファイコマンドや連続読み出しコマンドなどに関する制御コードを加えて用いることもできる。
【0126】
次に、LED101の点灯または消灯では、図16に示すように、上記と同様、先ず、「開始コード+色情報」のデータ信号が、本体側から信号線DATAを介して入出力制御回路103Aに送られてくる。上述したように、「色情報」によってインクタンクが特定され、その後に送られてくる「制御コード」に基づいて指定されたLED101の点灯/消灯制御は特定されたインクタンクのみで行われる。点灯/消灯に係る「制御コード」は、図15に示したように、「ON」または「OFF」のコードがあり、「ON」によってLED101の点灯が行われ、「OFF」によって消灯が行われる。すなわち、制御コードが「ON」のとき、入出力制御回路103Aは、図13(a)にて前述したように、LEDドライバ103Cに対してオン信号を出力し、それ以降もその出力状態を維持する。逆に、制御コードが「OFF」のとき、入出力制御回路103Aは、LEDドライバ103Cに対してオフ信号を出力し、それ以降もその出力状態を維持する。なお、LED101の点灯または消灯の実際のタイミングは、図16に示す各データ信号について、制御コード終了後の最初のクロック(図15では8クロック目)以降に行われる。
【0127】
同図に示す例では、最初、同図の最左端のデータ信号にあるように、ブラックKのインクタンクが特定されて、インクKのタンクのLED101が点灯されている。次に、2番目のデータ信号の「色情報」はマゼンタインクMを指定するものであり、「制御コード」は点灯を指示するものであるから、インクKのタンクのLED101が点灯したまま、インクMのタンクのLED101も点灯する。そして、3番目のデータ信号は、インクKのタンクについて、「制御コード」が消灯を指示するものであるから、インクKのタンクについてのみそのLED101が消灯する。
【0128】
LEDの点滅制御は、上記の説明からも分かるように、本体側の制御回路300が、点灯と消灯の「制御コード」をそれぞれ含むデータ信号をそのインクタンクを特定して送ることによって可能となる。その場合に、その信号を送る周期を定めることによって、点滅の周期を制御することができる。前述したように、昨今のプリンタは用いるインク色数が増える傾向にある。しかし、ユーザに対しては、インクタンクの多寡によらず、すなわち比較的少ない数のインクタンク(例えば2色分)を用いるプリンタであっても、比較的多い数のインクタンク(例えば4色分)を用いるプリンタであっても、同様の表示を提供すること(例えば同じ間隔の点滅を行うこと)が混乱を招かず望ましい。このように、インクタンクの数が増えるなどすることで、1本の信号線で一度に制御すべき制御部103が増えた場合でも、同じ間隔の点滅を実現するためには、点滅の周期すなわち点灯/消灯を規定するタイミングを短くすることが強く望ましい。
【0129】
本実施形態では、上述から明らかなように、不揮発性メモリ103Bに対するアクセスコマンドのフォーマットとLEDの点灯/消灯制御に用いられるコマンドのフォーマットとをそれぞれ個別に用意し、点灯/消灯制御に用いられるコマンドでは、不揮発性メモリ103Bに対する制御コードにのみ必要な「アドレスコード」および「データコード」を省略することで、LEDの点灯/消灯制御に用いられるコマンド長を短くしている。このことにより、点灯/消灯制御に用いられるコマンドを短周期で供給でき、従ってインクタンクの数が多くても短周期で点滅を行わせることが可能となる。
【0130】
2.5 制御手順(図17〜図24)
図17は、以上説明した本実施形態の構成に基づくインクタンクの着脱に関する制御手順を示すフローチャートであり、特に、本体側の制御回路300による各インクタンク1K、1Y、1M、1CのLED101の点灯、消灯の制御を示すものである。
【0131】
図17に示す処理は、ユーザが本実施形態のプリンタの本体カバー201(図9,図10参照)を開いたとき、所定のセンサによってこれを検知して起動される処理である。本処理が起動されると、先ず、ステップS101で、インクタンク1の装着状態の良否(すなわち装着が完全であるか否か)の判定を伴うインクタンク着脱処理を実行する(図18〜図21(a)について詳述)。この処理は、新たにインクタンクを装着する場合や、後述する記録処理手順(図24)の過程でインクなしが表示されたときにインクタンク交換を行う場合などに行われる。また、必ずしもインクタンク着脱を伴う場合だけでなく、ユーザが何らかの目的で本体カバー201を開いたときにも行うことができる。
【0132】
このインクタンク装着処理を終了すると、ステップS102で、着脱処理が正常終了したか否かを判断する。異常終了であると判断したときは、ステップS108で、ユーザが本体カバー201を開けるのを待ち、カバー201が開けられたことによってステップS101の処理が起動され、再び着脱処理を繰り返す。一方、ステップS102で、着脱処理が正常に終了したと判断したときは、ステップS103およびステップS104でカバー201が閉じられたことを確認する。
【0133】
この確認後、ステップS105の光照合処理に移行する。この光照合処理は、以上の手順にて正常に装着されたインクタンクが、それぞれ正しい位置に装着されているか否かを判断することを目的とする処理である(図21(b)〜図23について詳述)。そしてこの光照合処理の後、ステップS106でこの処理が正常終了したか否かを判断する。光照合が正常終了したと判断したときは、ステップS107で、操作部213の表示器を例えばグリーンに点灯して、本処理を終了する。一方、正常の終了でないと判断したときは、ステップS109で操作部213の表示器を例えばオレンジで点滅するとともに、ステップS110で、ステップS105で特定した、本来の正しい位置に装着されていないインクタンクのLED101を、例えば点滅あるいは点灯する。これにより、ステップS108で、ユーザが本体カバー201を開けたとき、本来の正しい位置に装着されていないインクタンクを知ることができ、正しい位置への再装着を促すことができる。
【0134】
ここで、以上の手順におけるインク着脱処理の詳細を説明する。
【0135】
図18は、インクタンク着脱処理の詳細例を示すフローチャートである。同図に示すように、着脱処理では、先ず、着脱準備処理(ステップS201)として、搭載されているそれぞれのインクタンクについて状態情報(インクタンクの個体情報)をプリンタ本体のCPU301が取得する。そしてその後、ステップS202でインクタンクの状態表示処理を行う。
【0136】
図19はこれらの着脱準備処理および状態表示処理の詳細を示し、まずステップS201−1では本体側の制御回路300が上記「CTRL_1」を含むコマンドを送信する。これに応じ、入出力制御部103Aは所要の状態情報を不揮発性メモリ103Bから揮発性メモリ103Dへ移動させる。次いで、「CTRL_2」を含むコマンドを送信することで、当該移動させた情報を入出力制御部103Aが揮発性メモリ103Dから読み出し、制御回路300に送信する。これにより本体側の制御回路300は所要の状態情報を各インクタンクの揮発性メモリ103Dから取得することができる。取得される状態情報としてはそのときのインク残量などであり、これらがそのインクタンクの固有番号とともに揮発性メモリ103Dから読み出される。これらの「CTRL_1」を含むコマンドおよび「CTRL_2」を含むコマンドの受信によって、インクタンク制御基板に実装された不揮発性メモリ103Bに対するアクセスは行われないモードとなる。
【0137】
次に、キャリッジ205をタンク交換位置(すなわちユーザが着脱操作を行うことが可能となる位置)に移動させる(ステップS501)。そして、上記取得した各インクタンクのインク残量に応じ、相当する色情報を先頭に付けてLED101の駆動制御コードを含むコマンドを送信し、対応した駆動を行わせる(ステップS503〜S509)。このLED101の点灯/消灯を制御するコードを含むコマンド(図15、図16)の受信に伴う表示を行う際にも、不揮発性メモリ103Bに対するアクセスは行われない。
【0138】
このLED101の駆動の態様としては、インク残量が充分であるインクタンクについては、上記揮発性メモリ103Dに保持されたインク残量情報「11」に応じLED101の点灯はせず(ステップS505)、インク残量が少ないインクタンクについては同じくインク残量情報「10」に応じLED101を所定の第1周期で点滅させ(ステップS507)、残インク量が実質的に無いインクタンクについては同じくインク残量情報「01」に応じLED101を上記第1周期とは異なる第2周期点滅させる(ステップS509)ものとすることができる。
【0139】
しかしLED駆動の態様はこれに限られず、例えばインク残量が十分ある場合には点灯させてもよく、適宜定め得るのは勿論である。また、新たに装着されたインクタンクに対してはLEDが点灯だけするような制御を行うことも可能である。すなわち、新たに装着されたインクタンクはそれまで電源が供給されていないためにインク残量情報は「00」となっているので、他のインク残量情報の場合とは異なる表示制御(点灯のみ)を行うことが可能である。さらに、インクタンクの状態として上記3段階のインク残量に応じた制御を行うもののほか、例えばインク残量が実質的にあるか否かの2段階の制御を行うようにしてもよいし、さらに細かく分けて4段階以上の制御を行うようにしてもよい。いずれにしても、インク残量の複数段階に応じて異なる周期の点滅を行うようにすることが有効である。
【0140】
さて、点滅状態を視認したユーザは任意のタイミングでインクタンクの取り外しを行い得る。すると、インクタンクの基板120に実装された制御部103の電源が突然落とされる。この際、揮発性メモリ103Dが保持した情報は消失するが、しかし不揮発性メモリ103Bへのアクセスは行われていないので、不揮発性メモリ103B内に記憶されている情報は保護することができる。また、揮発性メモリ103Dを参照しながらLED101の点灯/消灯制御を行うことで、インクタンク交換位置にあってはユーザは最新のインク残量を知ることができ、さらに新たに装着されたインクタンクの装着の良否も視認できるようになる。
【0141】
そして、ユーザがインクタンクの交換操作を行い、本体カバー201を閉じると(ステップS511)、図18の処理に復帰し、キャリッジを第1受光部210との対向位置であるインクタンク装着確認位置に移動させ(ステップS203)、インクタンク装着確認制御(ステップS204)を行う。
【0142】
図20は、この装着確認制御の詳細を示すフローチャートである。先ず、ステップS301で、キャリッジ205に搭載されるインクタンクの数を示すパラメータNを設定するとともに、このインクタンクの数に応じてLEDの発光を確認するためのフラグF(k)を初期化する。本実施形態では、Nとして、K、C、M、Yのインクタンクの数で「4」が設定される。これに従い、F(k):k=1〜4、の4つのフラグが用意され、これらが総て初期化されてその内容が「0」とされる。
【0143】
次に、ステップS302で上記フラグのインクタンクの装着判定順序に関る変数Aを「1」に設定し、ステップS303で、A番目(はじめは1番目)のインクタンクについて装着確認制御を行う。この制御は、ユーザがインクタンクを記録ヘッドユニット105のホルダ150に正しい位置に正しく装着することにより、前述したホルダ150のコンタクト152とインクタンクのコンタクト102とが接触し、これにより、本体側の制御回路300が、前述したように、インクタンクの個体情報である色情報によってインクタンクを特定しつつ、その特定したタンクのメモリアレイ103Bに格納されている色情報を順次読み出す動作である。また、上記特定するための色情報は、それまでに既に読み出されているものについては、用いないことは勿論である。さらに、本制御では、この読み出した色情報が、本処理が起動された後、それまでに読み出された色情報と異なるものか否かの判断も行う。
【0144】
そして、ステップS304では、色情報を読み出すことができ、かつその色情報がそれまでに読み出されたものと異なるとき、その色情報のインクタンクがA番目のインクタンクとして装着されたと判断する。それ以外の場合は、A番目のインクタンクが装着されていないと判断する。尚、ここで説明するA番目というのは単にインクタンクの判定を行う順番を説明するものであり、インクタンクの装着位置を示す順番ではない。A番目のインクタンクが装着されていると判断したときは、ステップS305で、そのフラグF(A)、すなわち、用意された4つのフラグF(k)、k=1〜4のうち、k=Aに該当するフラグ(A)の内容を「1」とし、図16にて上述したようにして、該当する色情報のインクタンク1のLED101を点灯する。A番目のインクタンクが装着されていないと判断したときは、ステップS311で、そのフラグF(A)の内容を「0」とする。また、装着が不完全でホルダ150のコンタクト152とインクタンクのコンタクト102とが接触していないときは、フラグF(A)の内容は「0」のままである。
【0145】
次に、ステップS306で、変数Aを1インクリメントし、ステップS307で、この変数AがステップS301で設定したN(本実施形態のプリンタの場合はN=4)より大きいか否かを判断する。ここで、変数AがN以下であると判断したときは、ステップS303以降の処理を繰り返す。また、変数AがNより大きいと判断したときは、4つのフラグF(k)、k=1〜4、の総てについてその内容が「1」か否か、すなわち、総てのインクタンクについて、LED101の点灯がされたか否かを判断する。いずれかのインクタンクのLED101が点灯していないと判断したときは、ステップS312で異常状態のステータスを図18の処理ルーチンへ返して本処理を終了する。
【0146】
総てのインクタンクのLEDが点灯されたと判断したときは、ステップS310で正常終了動作を行い、本処理を終了し、処理は図18に示す処理ルーチンに戻る。図21(a)は、総てのインクタンクについて正しく装着され、それぞれのLEDが点灯した状態を示す図である。
【0147】
再び図18を参照すると、ステップS203のインクタンク装着確認制御を上記のように実行した後、ステップS204で、その制御が正常終了したか否か、すなわち、正常にインクタンクが装着されたか否かを判断する。装着が正常と判断したときは、ステップS205で操作部213の表示器(図9、図10)を、例えばグリーンに点灯し、ステップS206で正常終了して図17に示した処理ルーチンに戻る。また、装着が異常と判断したときは、ステップS207で操作部213の表示器を、例えば、オレンジで点滅し、ステップS208で異常終了して図17に示す処理ルーチンに戻る。記録装置を制御するホストPCが接続されている場合は、同時にPCモニタを通して装着異常表示を行うこともできる。
【0148】
なお、装着のやり直しを行うために本体カバー201が開放され、インクタンク着脱処理が行われる場合には、正しく装着されているインクタンクのLEDについて点滅制御を行うことにより、ユーザに対して、未装着あるいは装着が完全でない(ホルダ150のコンタクト152とインクタンク1のコンタクト102と接触がなされてない)インクタンクがあることに注意を喚起するようにしてもよい。
【0149】
次に、図17の手順における光照合処理(ステップS105)の詳細例を説明する。
【0150】
光照合処理は、正常に装着されたインクタンクそれぞれが正しい位置に装着されているか否かを判断する処理である。本実施形態では、インクタンクの装着位置について、例えば、インクタンクと装着位置の形状を他のインクのインクタンクが装着できないような形状とし、それぞれの色のインクタンクに対応して装着位置を定めるような構成をとらないことから、それぞれの色のインクタンクについて本来の位置でないところに誤って装着される可能性がある。このため、本光照合処理を行い、誤って装着されている場合は、ユーザにその旨を知らせるものである。これにより、特に、インクタンクの形状を色ごとに異ならせることなく、インクタンクの製造の効率化や低コスト化を図ることができる。
【0151】
光照合処理では、本体カバー201が閉じられていることを確認した上で(図17のステップS103、S104)、図21(b)に示すように、まずキャリッジ205を光照合のための位置へ移動するとともに、点灯されているそれぞれのインクタンクのLED101を消灯する。
【0152】
図22(a)〜(d)および図23(a)〜(d)は、それ以降の光照合処理を説明する図である。
【0153】
図22(a)に示すように、先ず、第1受光部210に対して、図中左側から右側へ移動キャリッジ205を開始する。そして、最初に、イエローインクのインクタンク1Yが装着されるべき位置のインクタンクが第1受光部210に対向する位置で、インクタンク1YのLED101を発光させる(図16にて説明したように、実際は点灯し所定時間後消灯すること、以下、本照合処理では同様)。インクタンク本来の正しい位置に装着されているとき、第1受光部210はLED101の発光を受光することができ、制御回路300は、その装着位置にはインクタンク1Yが正しく装着されていると判断する。
【0154】
キャリッジ205を移動しつつ、同様にして、図22(b)に示すように、マゼンタインクのインクタンク1Mが装着されるべき位置のインクタンクが第1受光部210に対向する位置で、インクタンク1MのLED101を発光させる。同図に示す例は、インクタンク1Mが正しい位置に装着されていて第1受光部210はその発光を受光することを示している。順次、図22(b)〜(d)に示すように、判断する装着位置を変えながら発光を行って行く。これらの図は、正しい位置に装着されている例を示している。
【0155】
これに対し、図23(b)に示すように、マゼンタインクのインクタンク1Mが装着されるべき位置にシアンインクのインクタンク1Cが誤って装着されているときは、第1受光部210に対向しているインクタンク1CのLED101は発光せず、別の位置に搭載されているインクタンク1MのLED101が発光する。この結果、このタイミングでは、第1受光部210は受光できないことから、制御回路300は、その装着位置にはインクタンク1M以外のインクタンクが装着されていると判断する。これに対応して、図23(c)に示すように、シアンインクのインクタンク1Cが装着されるべき位置にマゼンタインクのインクタンク1Mが誤って装着されており、第1受光部210に対向しているインクタンク1MのLED101は発光せず、別の位置に搭載されているインクタンク1CのLED101が発光する。
【0156】
以上説明した光照合処理を行うことにより、制御回路300は本来の位置に装着されていないインクタンクを特定することができる。また、装着されるべき位置に正しいインクタンクが装着されていなかった場合には、その装着位置において、他の3色のインクタンクを順に発光させる制御を行うことによって、その装着位置に誤って何色のインクタンクが装着されてしまったかを特定することもできる。そして、以上のような光照合処理の後は、上述した図17のステップS106以降の処理を行う。
【0157】
以上のようにして、正常かつ正規の位置にインクタンクが装着されたプリンタを用いて、ユーザは所望の記録を実行させることが可能となる。
【0158】
図24は、本実施形態に係る記録処理を示すフローチャートである。本処理では、先ず、ステップS401で、インク残量確認処理を行う。この処理は、これから記録しようとしているジョブについて、記録データからその記録量を求め、この量とそれぞれのインクタンクの残量とを比較して、上記ジョブの記録に十分な量があるか否かを確認する処理である。なお、この処理では、上記のインク残量は、制御回路300でそのときの残量としてカウントして求めたものを用いることができる。
【0159】
ステップS402では、上記の確認処理に基づいて記録に必要なインク量があるか否かを判断する。十分なインク量があるときは、ステップS403で記録動作を行い、ステップS404で操作部213の表示器をグリーンに点灯して正常終了を行う。一方、ステップS402で十分なインク量がないと判断したときは、ステップS405で、操作部213の表示器をオレンジに点滅し、異常終了する。これに伴って、ユーザが本体カバー201を開放することで、図17に示した処理を起動することができる。
【0160】
以上のような構成によれば、記録装置自身もしくは記録装置を制御するホストコンピュータの表示機能がなくとも、あるいはこれをあえて用いなくても、インクタンク自体が具備する表示機能により、ユーザがインクタンクに係る情報を確認できる。そして上述のように、本実施形態の構成はカートリッジの寿命および交換のタイミングを報知するだけでなく、カートリッジの装着が確実に行われたかどうかなどの様々な情報を、発光部を活用してユーザに報知することができる。このように、発光部の活用方法は多岐にわたるものであり、その活用の可能性は非常に広範なものである。
【0161】
3.第2の実施形態(図25〜図27)
以上の実施形態により、活線挿抜による記憶素子の記憶内容ないし記憶素子自体の破壊を有効に防止することができる。また、アクセス回数に制限のある不揮発性メモリが用いられる場合にも、メモリアクセスを抑制することができるので、不揮発性メモリの寿命を伸ばし、長期にわたって信頼性のある情報を利用できるようになる。
【0162】
次に述べる実施形態では、第1実施形態の基本的構成による利点を活かしつつ、不揮発性メモリに対するアクセス回数をさらに抑えるようにする。また本例は、インクタンク装着時に直ちにそのインク残量を読み出し、それに応じた表示を行うことができるようにするとともに、不揮発性メモリに保持しているインク残量のデータ等が破壊された場合にも、そのデータを修復できるようにしたものである。
【0163】
図25は、不揮発性メモリおよび揮発性メモリと、入出力制御回路の特にメモリアクセスを制御する部分との第2の実施形態を模式的に示した図であり、上例と同様に機能する部分には対応箇所に同一符号を付してある。
【0164】
図25において、103A1は入出力制御回路103Aにおける入出力回路であり、本体側制御回路300から入力されるクロック(CLK)に同期してデータ(DATA)の送受信を行う。103A2はメモリアクセス制御部であり、本体制御部300より受信したコマンドを解釈し、不揮発性メモリ103Bおよび揮発性メモリ103Dへのアクセスの制御を行う。パワーオンリセット(POR)回路103Eは、本体側から信号線VDDを通して供給される電源の投入時に1回だけ、制御部を初期化するためのパルス信号を発生させる。不揮発性メモリ103Bは、本実施形態では第1および第2のアドレス領域103B1および103B2を有し、それぞれに同じ所要の情報(色情報とインク残量を示すデータ)が保持される。なお、これらのアドレス領域は1つのメモリチップの記憶領域を分けて構成することができるが、別のメモリチップの記憶領域にそれぞれ構成されるものでもよい。
【0165】
ここで、本実施形態では、メモリアクセスに係る「制御コード」として、図15に示したものと同様の動作を規定する「READ」および「WRITE」コードのほか、インク残量読み出しを指示する「INK」コードを用いるものとする。
【0166】
図26はタンク側制御部103によるインク残量読み出し命令に対する処理手順の一例を示したフローチャートである。この手順は、各インクタンク毎の制御部による処理として、インク残量に応じた表示制御(図19のステップS503〜S509と同様の制御)に伴うものとして位置づけることができる。しかし本例では着脱準備処理としての上記「CTRL_1」および「CTRL_2」は使用せず、「INK」コードを含むコマンドによって動作を規定する。
【0167】
図26において、インクタンクがホルダ150に装着された場合には、プリンタ本体より信号線VDDを介して電源が供給されので、POR回路103により制御部103はリセットされ、初期状態となる。
【0168】
インクタンク交換位置では、インク残量に基づく表示を行うために、各インクタンクには、プリンタ本体制御回路300より各インクタンク別の「INK」コードを含むコマンドが定期的に送信されてくる。ステップS402では自身の色情報に関わらず、「INK」コードが含まれていることが解析されれば、ステップS603にて不揮発性メモリ103Bの第1アドレス領域103B1から色情報とインク残量のデータを読み出し、レジスタである揮発性メモリ103Dに格納する。次に、ステップS604にて揮発性メモリ103Dに格納された色情報と、「INK」コードを含むコマンドに付されていた「色情報」とが一致したと判定された場合は、ステップS605にて揮発性メモリ103Dに格納されたインク残量データを入出力回路102より本体側に送信する。
【0169】
以後の本体側制御回路300からのコマンドに対しては、まずステップS606にて自らの揮発性メモリ103Dの色情報と比較を行い、一致した場合のみ、ステップS607にて制御コードの判定を行い、「INK」コードがあれば、ステップS608にて揮発性メモリ103Dのインク残量データを本体側に送信する。
【0170】
本体側制御回路300は、LED101の点灯/消灯(点滅を含む)を行うための制御コードを含むコマンドを送信し、これに応じた表示を見てユーザはインクタンク交換作業を行い得るが、その前提となるインク残量の認識については揮発性メモリ103Dから得たデータに基づく。従ってインクタンク交換作業を行い得る状態では、不揮発性メモリ103Bに対してアクセスが行われる確率はきわめて低く、従ってユーザがインクタンクを取り外しても不揮発性メモリ103Bの記憶内容ないしはメモリ自身の破壊が生じる恐れがほとんどない。また、本例の場合、不揮発性メモリ103Bへのアクセスは電源が供給された直後の1回だけ行われるので、不揮発性メモリへのアクセス回数を格段に低減できる。
【0171】
さらに、本例の場合、インクタンクが装着され、電源が供給された初期段階で不揮発性メモリ103Bの第1アドレス領域の所要データ(インク残量データ)がレジスタである揮発性メモリ103Dに格納されるので、単にインクタンクが装着されたことを示す表示だけでなく、例えば元からあったインクタンクが一旦取り外されて再装着されたような場合にも、揮発性メモリ103Dのインク残量データに基づいた表示を直ちに行うことが可能となる。
【0172】
図27は、インク残量の読み出しないしはそれに基づく表示が行われた後に本体制御回路300が実施するメモリ制御手順の一例を示すフローチャートである。本手順は、図18におけるステップS202の後の処理として介挿可能なものである。
【0173】
まず、ステップS701にて本体カバー201の開閉状態をチェックし、インクタンクが不意にはずされることがないように閉じられた状態であれば、ステップS702にて、「READ」コードを含むコマンドを用いて不揮発性メモリ103Bの第1アドレス領域103B1と第2アドレス領域103B2とに格納されている色情報およびインク残量データを読み出す。次に、ステップS703にて双方の色情報データを比較し、不一致であれば第1アドレス領域103B1のデータが破壊されていると判断し、ステップS704にて、第2アドレス領域103B2に基づき第1のアドレス領域103B1のデータ(色情報およびインク残量データ)を修復する。
【0174】
本手順は、上記ステップS603におけるデータ転送中すなわち第1アドレス領域103B1のアクセス中に、万一インクタンクが不意にはずされたような場合や、例えばメモリチップサイズを小型化できる所謂破壊読み出しタイプのメモリを使用した場合において、第1アドレス領域103B1のデータが抹消された場合にも、データの修復が可能となる。そしてこのように第1アドレス領域103B1のデータを修復しておくことにより、一旦取り外されたインクが再装着された場合や、あるいは装置電源オン時に、レジスタである揮発性メモリ103Dに正しいインク残量データを格納することが可能となる。
【0175】
なお、別サイクルでカバークローズ時に適宜、インク残量の演算または検出を行い、例えば「WRITE」コードおよび第2アドレス領域103B2のアドレスデータを含むコマンドを送信することで、インク残量データの更新が第2アドレス領域103B2に対して行われるようにすることができる。
【0176】
4.その他
以上の諸例ではインクタンクの状態の報知を行う手段としての発光部をLEDとしたが、その他のランプを用いてもよい。また、単に発光を行うものだけでなく、所要の情報を文字や図形などによって提示する液晶表示素子などの表示部が用いられてもよい。さらに、それらのように光を発するもののほか、変位、変形または変色することで報知を行うものでもよい。さらに加えて、視覚により報知を行うもののほか、ビープ音その他の音声で報知を行うものとすることもできる。すなわち、報知は視覚的なものに限られず、聴覚その他の人間の感覚を刺激することによって行われるものであればよく、それに適した適宜の報知部を用い得るのである。しかしいずれにしても、複数搭載されるインクタンクのそれぞれをユーザが特定でき、かつそれが取りうる複数の状態のそれぞれをユーザが特定できる報知を行い得るものであることが好ましい。
【0177】
また、以上の諸例では記録ヘッド部を一体にした記録ヘッドカートリッジの形態のインクタンクホルダについて構成について説明したが、インクタンクホルダはそのような構成に限られない。すなわち、インクタンクが装着されたときにインク連通状態を得て記録ヘッドに向けインクを供給可能な構成であれば、インクタンクホルダは記録ヘッドとは別体の構成であってもよい。
【0178】
また、インクタンクないしホルダの個数やインクの収納形態、およびインクタンクが取り付けられる記録ヘッドユニットないしはインクジェット記録装置の構成は上述のものに限られない。さらに、用いられるインクの色調についても、単色であっても複数色であってもよい。さらには、色材としてもインクのほか、記録媒体上での定着性や発色性あるいは耐久性などを向上するための処理液を収納するインクタンクであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0179】
【図1】(a)、(b)および(c)は、それぞれ、本発明を適用可能なインクタンクの側面図、正面図および底面図である。
【図2】本発明を適用可能なインクタンクの側断面図である。
【図3】(a)および(b)は本発明を適用可能なインクタンクに配設される基板の機能の概略を説明するための模式的側面図である。
【図4】(a)および(b)は、それぞれ、図3の主要部の拡大図およびそのIVb方向矢視図である。
【図5】(a)および(b)は、それぞれ、本発明を適用可能なインクタンクに取り付けられる制御基板の一例を示す側面図および正面図である。
【図6】本発明を適用可能なインクタンクが取り付けられるホルダを有する記録ヘッドユニットの一例を示す斜視図である。
【図7】(a)〜(c)は、本発明を適用可能なインクタンクを図14に示すホルダに着脱する際の動作を説明するための模式的側面図である。
【図8】(a)および(b)は、本発明を適用可能なインクタンク取り付け部分の構成の他の例を示す斜視図である。
【図9】本発明を適用可能なインクタンクを装着して記録を行うインクジェットプリンタの外観を示す図である。
【図10】図9に示す本体カバー201を取り外して示す斜視図である。
【図11】上記インクジェットプリンタの制御構成を示すブロック図である。
【図12】上記インクジェットプリンタのフレキシブルケーブルにおける、インクタンクとの信号接続のための信号配線の構成を、各インクタンクの基板との関係で示す図である。
【図13】(a)は制御部などが設けられた上記基板の詳細を示す回路図、(b)は(a)における不揮発性メモリおよび揮発性メモリと、入出力制御回路の特にメモリアクセスを制御する部分とを模式的に示した図である。
【図14】図13(b)の不揮発性メモリの特定アドレスを参照して、その特定アドレスに記憶された所要の情報を揮発性メモリへラッチする過程を説明するための図である。
【図15】上記基板の不揮発性メモリに対するデータの書き込みおよび読み出しの動作をそれぞれ説明するためのタイミングチャートである。
【図16】LED101の点灯および消灯の動作をそれぞれ説明するタイミングチャートである。
【図17】本発明の一実施形態に係るインクタンクの着脱に関する制御手順を示すフローチャートである。
【図18】図17におけるインクタンク着脱処理の詳細を示すフローチャートである。
【図19】図18におけるインクタンクの着脱準備処理および状態表示制御の詳細例を示すフローチャートである。
【図20】図18における装着確認制御の詳細例を示すフローチャートである。
【図21】(a)は、上記インクタンクの着脱に関する制御における、総てのインクタンクについて正しく装着され、それぞれのLEDが点灯した状態を示す図であり、(b)は、上記点灯の後、本体カバーが閉じられたことにより、キャリッジが光照合のための位置へ移動することを説明する図である。
【図22】(a)〜(d)は、この光照合処理を説明する図である。
【図23】(a)〜(d)は、同様に、光照合処理を説明する図である。
【図24】上記実施形態にかかる記録処理を示すフローチャートである。
【図25】不揮発性メモリおよび揮発性メモリと、入出力制御回路の特にメモリアクセスを制御する部分との第2の実施形態を模式的に示した図である。
【図26】本発明の第2実施形態に係るインクタンク制御部が実施する制御手順の一例を示すフローチャートである。
【図27】本発明の第2実施形態に係る本体側制御回路が実施する制御手順の一例を示すフローチャートである。
【図28】従来の記録ヘッド、インクタンクおよび記録装置の接続態様の一例を概略的に示す模式図である。
【図29】従来の記録ヘッド、インクタンクおよび記録装置の接続態様の他の例を概略的に示す模式図である。
【図30】従来の記録ヘッド、インクタンクおよび記録装置の接続態様のさらに他の例を概略的に示す模式図である。
【符号の説明】
【0180】
1、1K、1C、1M、1Y インクタンク
3 支持部材
3M 支持部材操作部
5 第1係合部
6 第2係合部
7 インク供給口
100 基板
101 発光部(LED)
102、152 パッド(コンタクト端子)
103 制御ユニット
103A 入出力制御回路(制御部)
103B 不揮発性メモリ(不揮発性情報保持部)
103B1 不揮発性メモリの第1アドレス領域
103B2 不揮発性メモリの第2アドレス領域
103C LEDドライバ(駆動部)
103D 揮発性メモリ(揮発性情報保持部)
103E パワーオンリセット(POR)回路
105 記録ヘッドユニット
105’、105K、105C、105M、105Y 記録ヘッド
107 インク導入口
150 ホルダ
152 コネクタ
155 第1係止部
156 第2係止部
157 電気接点部
158、159 配線部
201 本体カバー
206 フレキシブルケーブル
209 エンコーダスケール
210 第1受光部
211 エンコーダセンサ
213 操作部
214 第2発光/受光部
301 CPU
302 RAM
303 ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの液体収納容器が搭載可能であって、該液体収納容器に備えられる接点と電気的に結合可能な装置側接点と、搭載される液体収納容器それぞれの前記接点と結合する前記装置側接点に対して共通に電気的接続する配線を有した電気回路とを有する記録装置に対して着脱可能な液体収納容器において、
前記装置側接点と電気的に接続可能な前記接点と、
液体収納容器に関する情報を保持可能な不揮発性情報保持部と、
前記情報の少なくとも一部を保持可能な揮発性情報保持部と、
報知部と、
該報知部を駆動する駆動部と、
前記記録装置からの前記個体情報を含むコマンドの受信に応じて、前記不揮発性情報保持部へのアクセス、前記揮発性情報保持部へのアクセス、または前記液体収納容器の状態を報知するための前記駆動部による前記報知部の駆動の制御が可能な制御部と、
を具えたことを特徴とする液体収納容器。
【請求項2】
前記不揮発性情報保持部、前記揮発性情報保持部、前記報知部、前記駆動部および前記制御部が同一の回路基板上に配されていることを特徴とする請求項1に記載の液体収納容器。
【請求項3】
前記報知部が発光部であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体収納容器。
【請求項4】
前記液体収納容器にはインクが収納されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の液体収納容器。
【請求項5】
前記情報は前記液体収納容器の状態を示すための状態情報を含み、該情報が少なくとも前記揮発性情報記憶部に保持されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の液体収納容器。
【請求項6】
前記状態情報は、前記液体収納容器が収納している液体の残量であることを特徴とする請求項5に記載の液体収納容器。
【請求項7】
前記記録装置は複数の液体収納容器を搭載可能であり、前記揮発性情報保持部に保持される情報はさらに自身の液体収納容器に係る個体情報が含まれることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の液体収納容器。
【請求項8】
前記不揮発性情報記憶部にアクセスを行わず、前記揮発性情報記憶部に保持される前記状態情報に基づいて前記報知部の駆動の制御を行うモードを有することを特徴とする請求項4ないし請求項7のいずれかに記載の液体収納容器。
【請求項9】
前記モードに先立って前記不揮発性情報記憶部の少なくとも前記状態情報が前記揮発性情報記憶部に転送されることを特徴とする請求項8に記載の液体収納容器。
【請求項10】
前記制御部は、前記記録装置から入力される、前記不揮発性情報保持部または前記揮発性情報保持部にアクセスするためのコマンドを受信することで、前記状態情報を取得および/または更新することを特徴とする請求項4ないし請求項9のいずれかに記載の液体収納容器。
【請求項11】
第1および第2の前記不揮発性情報記憶部を有することを特徴とする請求項4ないし請求項7のいずれかに記載の液体収納容器。
【請求項12】
前記液体収納容器に電源供給があったときに前記状態情報を前記記録装置が取得するためのコードの入力に応じて前記第1の不揮発性情報記憶部が保持する前記状態情報を前記揮発性情報記憶部に転送し、その後の前記コードの入力に対して前記揮発性情報記憶部に保持された前記状態情報に基づいて前記報知部の駆動の制御を行うことを特徴とする請求項11に記載の液体収納容器。
【請求項13】
前記第1および第2の不揮発性情報記憶部のそれぞれに前記情報が保持され、それらの情報を所定のタイミングで比較し、不一致の場合には前記第2の不揮発性情報記憶部に保持された情報に基づいて前記第1の不揮発性情報記憶部の情報を書き換え可能であることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の液体収納容器。
【請求項14】
少なくとも1つの液体収納容器が搭載可能であって、該液体収納容器に備えられる接点と電気的に結合可能な装置側接点と、搭載される液体収納容器それぞれの前記接点と結合する前記装置側接点に対して共通に電気的接続する配線を有した電気回路とを有する記録装置に対して着脱可能な液体収納容器に備えられる回路基板において、
前記装置側接点と電気的に接続可能な前記接点と、
液体収納容器に関する情報を保持可能な不揮発性情報保持部と、
前記情報の少なくとも一部を保持可能な揮発性情報保持部と、
報知部を駆動する駆動部と、
前記記録装置からの前記個体情報を含むコマンドの受信に応じて、前記不揮発性情報保持部へのアクセス、前記揮発性情報保持部へのアクセス、または前記液体収納容器の状態を報知するための前記駆動部による前記報知部の駆動の制御が可能な制御部と、
を具えたことを特徴とする液体収納容器用回路基板。
【請求項15】
前記報知部が一体に配されていることを特徴とする請求項14に記載の液体収納容器用回路基板。
【請求項16】
少なくとも1つの液体収納容器が搭載可能であって、該液体収納容器に備えられる接点と電気的に結合可能な装置側接点と、搭載される液体収納容器それぞれの前記接点と結合する前記装置側接点に対して共通に電気的接続する配線を有した電気回路とを有する記録装置と、前記記録装置のキャリッジに対して着脱可能な液体収納容器と、を備える液体供給システムにおいて、
前記液体収納容器は、
前記装置側接点と電気的に接続可能な前記接点と、
液体収納容器に関する情報を保持可能な不揮発性情報保持部と、
前記情報の少なくとも一部を保持可能な揮発性情報保持部と、
報知部と、
該報知部を駆動する駆動部と、
前記記録装置からの前記個体情報を含むコマンドの受信に応じて、前記不揮発性情報保持部へのアクセス、前記揮発性情報保持部へのアクセス、または前記液体収納容器の状態を報知するための前記駆動部による前記報知部の駆動の制御が可能な制御部と、
を具えたことを特徴とする液体供給システム。
【請求項17】
請求項8ないし請求項10のいずれかに記載の液体収納容器を搭載可能な記録装置であって、
前記モードへの設定が行われるコードを含むコマンドを送信する手段と、
当該送信後に前記揮発性情報記憶部へのアクセスを指示するコードを含むコマンドを送信する手段と、
当該アクセスに応じて前記揮発性情報記憶部から取得された前記状態情報に基づき、前記報知部の駆動の制御を行うためのコードを含むコマンドを送信する手段と、
を具えたことを特徴とする記録装置。
【請求項18】
請求項8ないし請求項10のいずれかに記載の液体収納容器を搭載可能な記録装置であって、
前記モードへの設定が行われるコードを含むコマンドを送信する手段と、
当該送信後に前記揮発性情報記憶部へのアクセスを指示するコードを含むコマンドを送信する手段と、
当該アクセスに応じて前記揮発性情報記憶部から取得された前記状態情報に基づき、前記報知部の駆動の制御を行うためのコードを含むコマンドを送信する手段と、
を具えたことを特徴とする記録装置。
【請求項19】
請求項12に記載の液体収納容器を搭載可能な記録装置であって、
前記状態情報を取得するためのコードを含むコマンドを送信する手段を具えたことを特徴とする記録装置。
【請求項20】
請求項13に記載の液体収納容器を搭載可能な記録装置であって、
前記前記第1および第2の不揮発性情報記憶部に所定のタイミングでアクセスし、それぞれに保持された前記情報を比較する手段と、
不一致の場合には前記第2の不揮発性情報記憶部に保持された情報に基づいて前記第1の不揮発性情報記憶部の情報を書き換えを行わせる手段と、
を具えたことを特徴とする記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2006−181719(P2006−181719A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−374487(P2004−374487)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】