説明

液体吐出ヘッド及び画像形成装置

【課題】吐出方向と吐出量の制御性を向上させ、キャピラリー波の長時間発振による粘性発熱を回避することができる液体吐出ヘッド及びこれを用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】ノズル穴(12)が形成された表面弾性波伝播体(16)と、表面弾性波伝播体(16)上のノズル穴(12)の周囲に配設され、表面弾性波(30)を発生させる表面弾性波発生手段(例えば、櫛形交差指状電極からなるインターデジタル変換器)と、ノズル穴(12)の中心部に配置されるとともに、該ノズル穴(12)の吐出面(22)から吐出方向に向かって突出する先細り状の錐面形状を有し、ノズル穴(12)の内側に液体の表面張力により錐面に従った湾曲液面(24)を形成しつつ、表面弾性波(30)によってノズル内の液体表面に励起されたキャピラリー波(32)を湾曲液面(24)に沿って伝播させ、錐面の頂点部(18B)から液体(34)を飛翔させるガイド部材(18)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体吐出ヘッド及び画像形成装置に係り、特に表面弾性波を利用して液面から微液滴を発生させる液体吐出ヘッド及びこれを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表面弾性波(Surface Acoustic Wave:SAW)をインク中に放出することでインクを吐出する方式のインクジェットヘッドが提案されている(特許文献1,2)。かかる従来型の表面弾性波ヘッドでは、固体表面に表面弾性波(SAW,レイリー波)を励起してこれを液体中に漏洩入射させた際、入射軸の法線に対してある角度(レイリー角)方向に放射される縦波によって3相界面近傍から微液滴群を弾き出すか、若しくはその縦波放射によって液体に表面張力波(キャピラリー波)を間接励起してこれを増幅し、ある振幅に達したところで波頭から粒子化するメカニズム(いわゆるキャピラリーミスト化)を用いて微液滴群を吐出させている。
【特許文献1】特開2000−62161号公報
【特許文献2】特開平9−267473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前者の場合(3相界面近傍から微液滴群を弾き出す場合)、吐出方向の制御が困難である上、粒子径がばらつくという問題がある。一方、後者の場合(キャピラリーミスト化による場合)は、液体表面のキャピラリー波をパラメータ共振させることによって増幅するメカニズムを使っているため、高粘度液適性がない。また、共振条件を満たすエネルギーを一定時間印加し続けると、振幅が増大して粒子化する以前に粘性発熱による相転移が生じてしまうという原理的制約がある。
【0004】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、吐出方向と吐出量の制御性を向上させ、また、キャピラリー波の長時間発振による粘性発熱を回避することができる液体吐出ヘッド及びこれを用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために本発明に係る液体吐出ヘッドは、表面弾性波が伝播する表面弾性波伝播体と、前記表面弾性波伝播体に形成されたノズル穴と、前記表面弾性波伝播体上の前記ノズル穴の周囲に配設され、前記表面弾性波伝播体を励振させて表面弾性波を発生させる表面弾性波発生手段と、前記ノズル穴に液体を供給する液体供給手段と、前記ノズル穴の中心部に配置されるとともに、該ノズル穴の吐出面から吐出方向に向かって突出する先細り状の錐面形状を有し、前記ノズル穴の内側に前記液体の表面張力により前記錐面に従った湾曲液面を形成しつつ、前記表面弾性波によってノズル内の液体表面に励起されたキャピラリー波を前記湾曲液面に沿って伝播させ、前記錐面の頂点部から液体を飛翔させるガイド部材と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、表面弾性波発生手段によって発生した表面弾性波(SAW)は表面弾性波伝播体上をノズル穴に向かって伝播し、ノズル穴の縁端面からノズル内の液体中に放射される。この漏洩SAWによってノズル内の液面にキャピラリー波(表面張力波)が励起され、該キャピラリー波はノズルの中心に向かって液面上を伝播する。本発明ではノズル中心にノズル穴から突出する状態の錐面形状を有したガイド部材が配置されているため、液体の表面張力によりノズル内にガイド部材の錐面形状に従って湾曲した液面(湾曲液面)が形成される。したがって、漏洩SAWによって間接励起されたキャピラリー波はこの湾曲液面上を伝播し、ガイド部材の頂点部に集束される。こうして、ガイド部材の頂点部に集中した液体が液面から分離して粒子化され、液滴として吐出される。
【0007】
このようにガイド部材の錐面に従って液体の表面張力により湾曲液面が形成されることにより、漏洩(リーキー)レイリー波による縦波放射角度(レイリー角)方向にキャピラリー波が伝播しやすくなる。また、ガイド部材の頂点部が固体(ガイド部材)、液体、気体(空気)の3層の境界(3重点)となるため(3層境界がガイド部材の先端で特異点化するため)、従来の構成(ガイド部材を具備しない構成)と比較して、吐出方向と吐出量の制御性が向上する。
【0008】
さらに、本発明によれば、従来のキャピラリー波の増幅による粒子化メカニズムを利用しないため、高粘度液の長時間発振による粘性へ積み得と、これによる相転移を回避することができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の液体吐出ヘッドの一態様であり、前記表面弾性波発生手段は、櫛形交差指状電極(IDT)であることを特徴とする。
【0010】
表面弾性波発生手段として、例えば、圧電材料からなる表面弾性波伝播体上に櫛歯状の電極(櫛形電極)を互い違いに噛み合わせるように交差させた状態で設ける態様がある。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の液体吐出ヘッドの一態様であり、前記液体供給手段は、前記表面弾性波伝搬体の前記表面弾性波が伝搬する面の反対側に設けられた液体溜めであることを特徴とする。
【0012】
かかる態様によれば、表面弾性波伝播体の裏面側(吐出面と反対側)に液体溜めが配置され、この液体溜めからノズルに液体が供給される。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3の何れか1項に記載の液体吐出ヘッドの一態様であり、前記表面弾性伝播体は、前記ノズル穴の周囲に複数の分極済みの圧電体カット基板をモザイク状に貼り合わせて構成されていることを特徴とする。
【0014】
例えば、表面弾性波の伝播速度に関して異方性の強い材料を用いる際に、伝播速度が良好な方向をノズル穴の中心に向かう方向に一致させて、ノズル穴の周囲に分極済みの圧電体カット基板をモザイク状に配置し、これらを貼り合わせて表面弾性伝播体を形成する。
【0015】
請求項5に係る発明は、請求項4記載の液体吐出ヘッドの一態様であり、前記圧電体カット基板には前記表面弾性波発生手段としての部分円弧状の櫛形交差指状電極(IDT)が形成されていることを特徴とする。
【0016】
かかる態様によれば、ノズル穴の周囲にモザイク状に組み合わされた複数の圧電体カット基板の櫛形交差指状電極(IDT)によって、ノズル穴の周囲に回転対称性のある電極配置を実現することができる。
【0017】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5の何れか1項に記載の液体吐出ヘッドの一態様であり、前記ガイド部材は、親水性の材質で構成されていることを特徴とする。
【0018】
ガイド部材の錐面に液を濡れ拡がらせ、ノズル穴から突出する形態の湾曲液面を形成する観点からガイド部材の表面は親水性を有するものであることが好ましい。
【0019】
請求項7に係る発明は、前記目的を達成する画像形成装置を提供する。すなわち、請求
項7に係る画像形成装置は、請求項1乃至6の何れか1項記載の液体吐出ヘッドを有し、前記ノズル穴の前記ガイド部材の頂点部から吐出した液滴によって記録媒体上に画像を形成することを特徴とする。
【0020】
入力された画像データに基づいて表面弾性波発生手段の駆動が制御され、ガイド部材の頂点部から液滴が吐出される。吐出された液滴は記録媒体に付着し、ドットが形成される。画像データに応じて液滴の吐出タイミングや吐出量を制御することにより、記録媒体上に所望の画像(ドット配置)を記録することができる。
【0021】
液体吐出ヘッドの構成例として、記録媒体の全幅に対応する長さにわたって複数のノズルを配列させたノズル列を有するフルライン型の吐出ヘッドを用いることができる。
【0022】
この場合、記録媒体の全幅に対応する長さに満たないノズル列を有する比較的短尺の吐出ヘッドモジュールを複数個組み合わせ、これらを繋ぎ合わせることで全体として被吐出媒体の全幅に対応する長さの吐出交点列を構成する態様がある。
【0023】
フルライン型の液体吐出ヘッドは、通常、記録媒体の相対的な送り方向(相対的搬送方向)と直交する方向に沿って配置されるが、搬送方向と直交する方向に対して、ある所定の角度を持たせた斜め方向に沿って液体吐出ヘッドを配置する態様もあり得る。
【0024】
「記録媒体」は、ノズルから吐出される液の付着を受ける媒体であり、画像形成装置においては、記録紙等の媒体や中間転写媒体がこれに相当する。すなわち、「記録媒体」は、印字媒体、被画像形成媒体、被記録媒体、受像媒体、被吐出媒体など呼ばれ得るものであり、連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フイルム、布、配線パターン等が形成されるプリント基板、中間転写媒体、その他材質や形状を問わず、様々な媒体を含む。
【0025】
記録媒体と液体吐出ヘッドを相対的に移動させる搬送手段は、停止した(固定された)ヘッドに対して記録媒体を搬送する態様、停止した記録媒体に対してヘッドを移動させる態様、或いは、ヘッドと記録媒体の両方を移動させる態様の何れをも含む。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ガイド部材の錐面形状に沿ってキャピラリー波を伝播させ、ガイド部材の錐面頂点部から液体を粒子化するため、吐出方向と吐出量の制御性が向上する。また、本発明の粒子化メカニズムによれば、従来の高粘度液の粘性発熱という問題や、これによる相転移という問題を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0028】
図1は本発明の実施形態に係る液体吐出ヘッドの構成を示す斜視図である。図示の液体吐出ヘッド10において、符号12はノズル穴、14はインクプール(「液溜め」に相当)、16は表面弾性波発生基板(「表面弾性波伝播体」に相当)、18はノズル内の液面の形状を規定するガイド部材である。同図では、1つのノズル穴12に対応した1チャンネル分の液滴吐出素子を描いているが、インクジェットヘッド(「印字ヘッド」、或いは「記録ヘッド」ともいう)などに適用される場合は、複数のチャンネルが1次元(列状)又は2次元(面状)に配列された構造となる。
【0029】
表面弾性波発生基板16にはノズル穴12が形成されており、この表面弾性波発生基板16と、これに対向配置されるインクプール基板20との間の空間にインクプール14が
形成され、当該インクプール14にインク液が満たされる。
【0030】
ガイド部材18は、先端部18Aが円錐形状を有する柱状部材であり、その中心軸がノズル穴12の中心に一致した状態でインクプール基板20上に立設されている。ガイド部材18の先端部18Aは、ノズル穴12の吐出面(ノズル面)22よりもインク吐出方向(図の上方向)に突出した状態となっており、インク液の表面張力により、先端部18Aの円錐形状の傾斜面(先端に向かって断面積が次第に小さくなる先細り形状の円錐面)に沿って湾曲した液面24が形成される。
【0031】
このように、ノズル穴12より突出したガイド部材18の先端部18A形状に沿ったインク液面を形成するという観点から、ガイド部材18の材質としては親水性のもの(多孔性物質など)が好ましい。
【0032】
表面弾性波発生基板16は圧電材料で構成され、図2に示すように、ノズル穴12の周囲には、インターデジタル変換器(IDT:Interdigital Transducer)として機能する
円弧状の櫛形交差指状電極26が設けられている。基板材料としては、例えば、LiNbO、LiTaO、Li、ZnO、AlN等の圧電材料が用いられる。これらの圧電材料をパイレックスガラス(商標名)等の耐熱硬質ガラスやサファイア上に堆積したものも含む。
【0033】
本例の表面弾性波発生基板16は、ノズル穴12の周囲を4分割(90度の等角度分配で分割)した分極済みのカット基板16-1,16-2,16-3,16-4をモザイク状に貼り合わせた構成からなる。各カット基板16-1,16-2,16-3,16-4の表面に、それぞれ部分円弧(略1/4円弧)状の櫛形交差指状電極26が形成されている。
【0034】
櫛形交差指状電極26は、櫛形の第1電極26-1のパターンと第2電極26-2のパターンとを互い違いに噛み合わせるように配置した状態で設けられている。なお、基板上に上記の櫛形電極パターンを形成する方法は特に限定されず、デポジション法、エッチング法、イオン注入法、熱拡散法など公知の電極形成方法を用いることができる。また、基板表面に溝を形成しておき、この溝内に導電材を充填する(または付着させる)ことにより、電極パターンを形成してもよい。
【0035】
図2の例に示したように、分極済みのカット基板をモザイク状に貼り合わせる構成は、伝搬速度に関して異方性の強い材料を用いることができ、伝搬しやすい方向をノズル穴12の中心に向けるようにカット基板を組み合わせることができる点で有益である。
【0036】
なお、図2では、ノズル周囲が4分割された構成を例示したが、分割数は図示の例に限定されない。また、表面弾性波発生基板を圧電素子単板、或いは連続した圧電材料薄膜を用いて構成する態様も可能である。この場合、IDT形状に合わせて分極する必要がある。
【0037】
図2で示した櫛形交差指状電極26の第1電極26-1と第2電極26-2の間に、適宜の周波数及び電圧の電気信号(駆動信号)が印加されると、表面弾性波発生基板16の表面に表面弾性波(図1中の符号30)が励振される。
【0038】
励振された表面弾性波30は、表面弾性波発生基板16の表面上をノズル穴12の中心に向かって伝搬してノズル穴12の開口縁部に到達し、当該開口縁部に接しているインク液中に放射される。この漏洩SAWによってノズル穴12内の液面に表面張力波(キャピラリー波)32が生成される(図1参照)。こうして間接励起された円環状のキャピラリー波32は、ノズル穴12の中心に向かって伝搬(移動)し、ガイド部材18の先端部18Aの形状に従った湾曲液面24に沿って、ガイド部材18の頂点部18B(突端)に集束され、当該頂点部18Bから液滴34が分離(粒子化)して吐出される。なお、ガイド部材18の頂上近傍範囲にのみ撥水処理を施し、吐出液を粒子化し易くする態様も好ましい。
【0039】
図3は表面弾性波によってノズル内に励起される表面張力波の伝播の様子と吐出過程を示す図である。同図の(a)は吐出駆動前の定常状態を示す。図示のとおり、ガイド部材18は円錐形の先端部18Aの頂点とその近傍範囲のみ(図中点線で示した頂点近傍範囲36のみ)に撥水処理が施されている。円錐形の底面18Cの位置は、ノズル穴12の吐出面22よりもノズルの奥側(図において下方)に位置しており、当該ノズル穴12の内側にはインク液40の表面張力により、円錐面の形状を反映した湾曲液面24が形成される。
【0040】
図2で説明した櫛形交差指状電極26の電極対間に吐出駆動用のバースト信号が印加され、ノズル穴12の縁端からインク液40中に表面弾性波が放出されることにより、図3(b)に示すように、ノズル内の液面にキャピラリー波32が励起される。このキャピラリー波32はガイド部材18の円錐面に従い、ノズル穴12の中心に向かって湾曲液面上を伝播する(図3(c)〜(d))、やがて、ガイド部材18の頂点部18Bに集中しインクは、ガイド部材18の突端18Bから分離(粒子化)し、液滴となって飛翔する(図3(e)〜(g))。
【0041】
本実施形態に係る液滴吐出ヘッド10によれば、ガイド部材18の円錐形状に沿ってキャピラリー波32が伝播し、ガイド部材18の頂点部18Bから粒子化して液滴34が吐出されるため、吐出方向及び1滴(1粒子)当たりの体積(吐出量)の制御性が向上する。また、本発明による粒子化メカニズムによれば、従来の高粘度液の粘性発熱という問題や、これによる相転移という問題を回避することができる。
【0042】
〔吐出体積の考察〕
ここで、上記構成による液体吐出ヘッド10から吐出される液滴の体積について概算する。図4に示すトーラスにおいて、断面の半径をr,中心線の半径をRとするとき、断面積A=πr、中心線の円周L=2πRであるから、トーラスの体積Vは
V=A×L=2π
である。いま、ノズル径をD≒2(R+r)とし、漏洩SAWによって生成されるキャピラリー波の波長λをλ≒4rとし、その振幅がr程度であると仮定する。SAWの半波入力によって表面張力による孤立波が発生したとして、吐出時の体積VはV/2程度と考えられるから、
=(1/64)πλ(2D−λ)
となる。例えば、D=20[μm]、λ=10[μm]の場合、V≒0.46[pl]と算出される。
【0043】
〔吐出速度の考察〕
キャピラリー波の伝搬速度で吐出すると仮定すれば、吐出速度は
=√(2πγ/(ρλ))で与えられる。ただし、γは表面張力、ρは密度、λはキャピラリー波の波長である。例えば、吐出液体として「水」を用い、γ=70[mN/m]、ρ=1000[kg/m3]、λ=10 [μm]であるとすれば、吐出速度はU≒6.63[m/s]と計算される。
【0044】
この場合の吐出体積に対して、間隙長1.5 [mm]への着弾に要する初速はおよそ5.36 [m/s]であるから、着弾条件を満たしている。なお、外乱によるドリフト等を低減するためには、液滴の飛翔空間に電界を印加し、帯電インク滴を電界によって加速するなど、飛翔アシストを付加する態様が好ましい。
【0045】
〔画像形成装置の構成例〕
次に、上述した液体吐出ヘッド10をプリントヘッドに適用した画像形成装置の例について説明する。
【0046】
図5は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示すインクジェット記録装置の全体構成図である。同図に示すように、このインクジェット記録装置110は、黒(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各色のインクに対応して設けられた複数の記録ヘッド(以下、単に「ヘッド」という)112K,112C,112M,112Yを有する印字部112と、各ヘッド112K,112C,112M,112Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部114と、記録媒体たる記録紙116を供給する給紙部118と、記録紙116のカールを除去するデカール処理部120と、前記印字部112のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙116の平面性を保持しながら記録紙116を搬送するメディア搬送部122と、印字部112による印字結果を読み取る印字検出部124と、記録済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部126とを備えている。
【0047】
インク貯蔵/装填部114は、各ヘッド112K,112C,112M,112Yに対応する色のインクを貯蔵するインクタンクを有し、各タンクは所要の管路を介してヘッド112K,112C,112M,112Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部114は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
【0048】
図5では、給紙部118の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
【0049】
複数種類の記録媒体(メディア)を利用可能な構成にした場合、メディアの種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される記録媒体の種類(メディア種)を自動的に判別し、メディア種に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
【0050】
給紙部118から送り出される記録紙116はマガジンに装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部120においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム130で記録紙116に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
【0051】
ロール紙を使用する装置構成の場合、図5のように、裁断用のカッター(第1のカッター)128が設けられており、該カッター128によってロール紙は所望のサイズにカットされる。なお、カット紙を使用する場合には、カッター128は不要である。
【0052】
デカール処理後、カットされた記録紙116は、搬送用ローラ対131によってニップ搬送され、プラテン132上へと送られる。プラテン132の後段(印字部112の下流側)にも搬送用ローラ対133が配置されており、前段の搬送用ローラ対131と後段の搬送用ローラ対133とが連動して記録紙116を所定の速度で搬送する。
【0053】
プラテン132は記録紙116の平面性を保ちつつ記録紙116を保持(支持)する部材(記録媒体の保持手段)として機能するとともに、飛翔アシスト用の電界を形成するための背面電極として機能する部材である。図5におけるプラテン132は記録紙116の幅よりも広い幅寸法を有し、少なくとも印字部112のノズル面及び印字検出部124のセンサ面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
【0054】
記録紙116の搬送経路において、印字部112の上流側には、加熱ファン140が設けられている。加熱ファン140は、印字前の記録紙116に加熱空気を吹き付け、記録紙116を加熱する。印字直前に記録紙116を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
【0055】
印字部112の各ヘッド112K,112C,112M,112Yは、当該インクジェット記録装置110が対象とする記録紙116の最大紙幅に対応する長さを有し、そのノズル面には最大サイズの記録紙の少なくとも一辺を超える長さ(描画可能範囲の全幅)にわたりインク吐出用のノズルが複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている(図6参照)。
【0056】
ヘッド112K,112C,112M,112Yは、記録紙116の送り方向に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色順に配置され、それぞれのヘッド112K,112C,112M,112Yが記録紙116の搬送方向と略直交する方向に沿って延在するように固定設置される。
【0057】
メディア搬送部122により記録紙116を搬送しつつ各ヘッド112K,112C,112M,112Yからそれぞれ異色のインクを吐出することにより記録紙116上にカラー画像を形成し得る。
【0058】
このように、紙幅の全域をカバーするノズル列を有するフルライン型のヘッド112K,112C,112M,112Yを色別に設ける構成によれば、紙送り方向(副走査方向)について記録紙116と印字部112を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(すなわち1回の副走査で)、記録紙116の全面に画像を記録することができる。これにより、記録ヘッドが紙搬送方向と直交する方向に往復動作するシャトル(シリアル)型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
【0059】
本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組合せについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するヘッドを追加する構成も可能である。また、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
【0060】
図5に示した印字検出部124は、印字部112の打滴結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ又はエリアセンサ)を含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりや着弾位置ずれなどの吐出不良をチェックする手段として機能する。各色のヘッド112K,112C,112M,112Yにより印字されたテストパターン又は実技画像が印字検出部124により読み取られ、各ヘッドの吐出判定が行われる。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定などで構成される。
【0061】
印字検出部124の後段には後乾燥部142が設けられている。後乾燥部142は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。
【0062】
後乾燥部142の後段には、加熱・加圧部144が設けられている。加熱・加圧部14
4は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ145で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
【0063】
こうして生成されたプリント物は排紙部126から排出される。このインクジェット記録装置110では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部126A、126Bへと送るために排紙経路を切り換える不図示の選別手段が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)148によってテスト印字の部分を切り離す。また、図5には示さないが、本画像の排出部126Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられる。
【0064】
図7はヘッドの吐出面の平面図である。図5で説明した色別の各ヘッド112K,112C,112M,112Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号150によってヘッドを示すものとする。
【0065】
記録紙116上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド150におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド150は、図7に示したように、インクの吐出口であるノズル穴12をマトリクス状に(2次元的に)配列させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向:主走査方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
【0066】
図7に示したノズル配列に対応して表面弾性波発生基板16上には、図8に示すように、各ノズル穴12に対応する櫛形交差指状電極26が配置される。各ノズル穴12の周囲に配置される櫛形交差指状電極26の配線形態については、図8中に明示していないが、各ノズル穴12に対応する櫛形交差指電極26の一方の電極(例えば、第1電極26-1)は、共通のグランド(GND)線に接続され、他方の電極(第2電極26-2) は、ノズル位置に対応したデータ信号の信号線(データライン)に接続されている。
【0067】
本発明の実施に際してノズルの配置構造は図7に示した例に限定されない。例えば、記録紙116の送り方向と略直交する方向に記録紙116の全幅に対応する長さにわたるノズル列を備えるフルライン型ヘッドの形態として、図7に例示した構成(1つの長尺ヘッドで必要なノズル列を構成する態様)に代えて、図9に示すように、複数のノズル穴12が2次元に配列された短尺のヘッドブロック150’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録紙116の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。
【0068】
〔制御系の説明〕
図10は、インクジェット記録装置110のシステム構成例を示すブロック図である。図10に示したように、インクジェット記録装置110は、通信インターフェース170、システムコントローラ172、画像メモリ174、ROM175、モータドライバ176、ヒータドライバ178、プリント制御部180、画像バッファメモリ182、電源制御部183、ヘッドドライバ184、飛翔アシストのための加速用電源185等を備えている。
【0069】
通信インターフェース170は、ホストコンピュータ186から送られてくる画像データを受信するインターフェース部(画像入力手段)である。通信インターフェース170にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
【0070】
ホストコンピュータ186から送出された画像データは通信インターフェース170を介してインクジェット記録装置110に取り込まれ、一旦画像メモリ174に記憶される。画像メモリ174は、通信インターフェース170を介して入力された画像を格納する記憶手段であり、システムコントローラ172を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ174は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
【0071】
システムコントローラ172は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置110の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。すなわち、システムコントローラ172は、通信インターフェース170、画像メモリ174、モータドライバ176、ヒータドライバ178等の各部を制御し、ホストコンピュータ186との間の通信制御、画像メモリ174及びROM175の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ188やヒータ189を制御する制御信号を生成する。搬送系のモータ188とは、例えば、図5で説明した搬送用ローラ対131、133の駆動ローラに動力を与えるモータである。また、図10のヒータ189とは、例えば、図5で説明した加熱ドラム130、加熱ファン140或いは後乾燥部142などに用いられる加熱手段である。
【0072】
ROM175には、システムコントローラ172のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。ROM175は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。画像メモリ174は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
【0073】
モータドライバ176は、システムコントローラ172からの指示に従って搬送系のモータ188を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ178は、システムコントローラ172からの指示に従ってヒータ189を駆動するドライバである。
【0074】
プリント制御部180は、入力画像に基づいて各色インクのドットデータを生成する信号処理手段として機能する。すなわち、プリント制御部180は、システムコントローラ172の制御に従い、画像メモリ174内の画像データからインク打滴制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行い、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッドドライバ184に供給する制御部である。
【0075】
プリント制御部180には画像バッファメモリ182が備えられており、プリント制御部180における画像処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ182に一時的に格納される。なお、図10において画像バッファメモリ182はプリント制御部180に付随する態様で示されているが、画像メモリ174と兼用することも可能である。また、プリント制御部180とシステムコントローラ172とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
【0076】
電源制御部183は、加速用電源185のON/OFF並びに出力電圧値を制御する制御回路を含んで構成される。電源制御部183は、プリント制御部180からの指令に従って加速用電源185の出力を制御する。
【0077】
画像入力から印字出力までの処理の流れを概説すると、印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース170を介して外部から入力され、画像メモリ174に蓄えられる。この段階では、例えば、RGBの画像データが画像メモリ174に記憶される。
【0078】
インクジェット記録装置110では、インク(色材) による微細なドットの打滴密度やドットサイズを変えることによって、人の目に疑似的な連続階調の画像を形成するため、入力されたデジタル画像の階調(画像の濃淡)をできるだけ忠実に再現するようなドットパターンに変換する必要がある。そのため、画像メモリ174に蓄えられた元画像(RGB)のデータは、システムコントローラ172を介してプリント制御部180に送られ、該プリント制御部180においてディザ法や誤差拡散法などを用いたハーフトーン化処理によってインク色ごとのドットデータに変換される。
【0079】
すなわち、プリント制御部180は、入力されたRGB画像データをK,C,M,Yの4色のドットデータに変換する処理を行う。こうして、プリント制御部180で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ182に蓄えられる。
【0080】
ヘッドドライバ184は、プリント制御部180から与えられるインク用のドットデータ(すなわち、画像バッファメモリ182に記憶されたインク用のドットデータ)に基づき、ヘッド150の各ノズル穴12に対応するIDT26を駆動するための駆動信号を出力する。つまり、プリント制御部180とヘッドドライバ184の組合せが吐出駆動制御手段として機能している。なお、ヘッドドライバ184にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
【0081】
ヘッドドライバ184から出力された駆動信号がヘッド150に加えられ、該当するノズル穴12にキャピラリー波が励起されることで、図3で説明したとおり、ノズル穴12からインク滴が吐出される。記録紙116の搬送速度に同期してヘッド150からのインク吐出を制御することにより、記録紙116上に画像が形成される。
【0082】
上記のように、プリント制御部180における所要の信号処理を経て生成されたドットデータに基づき、ヘッド150からの液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
【0083】
印字検出部124は、図5で説明したように、イメージセンサを含むブロックであり、記録紙116に印字された画像を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(吐出の有無、打滴のばらつき、光学濃度など)を検出し、その検出結果をプリント制御部180に提供する。なお、この印字検出部124に代えて、又はこれと組み合わせて他の吐出検出手段(吐出異常検出手段に相当)を設けてもよい。
【0084】
プリント制御部180は、必要に応じて印字検出部124或いは図示しない他の吐出検出手段から得られる情報に基づいて、ヘッド150に対する各種補正(吐出量の補正や吐出位置の修正等)を行うとともに、必要に応じて予備吐出(「パージ」、「空吐出」、「唾吐き」などと呼ばれる場合もある。)やノズル吸引、ワイピング等のクリーニング動作(ノズル回復動作)を実施する制御を行う。
【0085】
また、本例のインクジェット記録装置110は、使用される記録媒体の種類(メディア種)に関する情報を取得するメディア種情報取得部190と、使用されるインクの種類に関する情報(インク種の情報)を取得するインク種情報取得部192と、を備えており、これら各部から得られた情報はシステムコントローラ172に送られる。
【0086】
メディア種情報取得部190は、記録媒体の種類(紙種)やサイズを検出する手段である。例えば、図5で説明した給紙部118のマガジンに付されたバーコード等の情報を読み込む手段、用紙搬送路中の適当な場所に配置されたセンサ(用紙幅検出センサ、用紙の厚みを検出するセンサ、用紙の反射率を検出するセンサなど)が用いられ、これらの適宜の組合せも可能である。また、これら自動検出の手段に代えて、若しくはこれと併用して、所定のユーザインターフェースからの入力によって紙種やサイズ等の情報を指定する構成も可能である。
【0087】
インク種の情報を取得する手段としては、例えば、インクタンクのカートリッジの形状(インク種を識別可能な特定の形状)、或いはカートリッジに組み込まれたバーコードやICチップなどからインクの物性情報を読み取る手段を用いることができる。その他、ユーザインターフェースを利用してオペレータが必要な情報を入力してもよい。
【0088】
システムコントローラ172及びプリント制御部180は、メディア種情報取得部190及びインク種情報取得部192から得られる情報に基づいて、記録媒体とインクの種類の組合せを特定し、ROM175内の情報を活用することで、該当する記録媒体とインクの組合せに適した吐出制御を行う。
【0089】
上記の実施形態では、ページワイドのラインヘッドについて説明したが、本発明の適用はラインヘッド方式のプリンタに限定されず、シャトル(シリアル)スキャン方式によるマルチパス走査や短尺ヘッドによるオーバーラップ走査を行うプリンタにも適用可能である。
【0090】
〔変形例〕
上述した実施形態では、円形ノズル内に円錐形のガイド部材を設ける態様について説明したが、本発明の実施に際しては、かかる態様に限定されない。例えば、図11に示すように、四角形のノズル穴212の中心に四角錐形のガイド216を設ける態様も可能である。この場合、ノズル穴212の4辺に対応して、それぞれ櫛形電極226-1,226-2からなるIDT226が設けられる。
【0091】
なお、ノズル穴の形状及びその中心に配置されるガイド部材の錐体形状は、中心軸に対してなるべく異方性の少ない形状であることが好ましく、対称性を考慮すると、一般に円以外では正n角形のノズル穴に対して(nは3以上の整数)、正n角錐形のガイド部材を設け、ノズル穴の各辺に対応してそれぞれIDTを配設する態様が好ましい。
【0092】
上述した本発明の実施形態では、記録紙116上にインク液滴を吐出させて記録紙116上のカラー画像を形成するインクジェット記録装置110を示したが、本発明の適用範囲はインクジェット記録装置に限定されず、ヘッドに設けられたノズル穴から水、薬液、処理液、その他の液類を吐出させる液体吐出装置に広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施形態に係る液体吐出ヘッドの構成を示す斜視図
【図2】表面弾性波発生基板上に形成されるインターデジタル変換器(IDT)の例を示す平面図
【図3】表面弾性波によってノズル内に励起される表面張力波の伝播の様子と吐出過程を示す図
【図4】吐出体積を概算するために用いたトーラスの図
【図5】本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示すインクジェット記録装置の全体構成図
【図6】図5に示したインクジェット記録装置の印字部周辺の要部平面図
【図7】ヘッドの吐出面の平面図
【図8】表面弾性波発生基板上に形成されるインターデジタル変換器(IDT)の例を示す平面図
【図9】フルライン形ヘッドの他の構成例を示す平面図
【図10】本例のインクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図
【図11】本発明の他の実施形態を示す要部斜視図
【符号の説明】
【0094】
10…液体吐出ヘッド、12…ノズル穴、14…インクプール、16…表面弾性波発生基板、16-1,16-2,16-3,16-4…カット基板、18…ガイド部材、18B…頂点部、20…インクプール基板、22…吐出面、24…湾曲液面、26…櫛形交差指状電極、30…表面弾性波、32…キャピラリー波、34…液滴、110…インクジェット記録装置、112…印字部、112K,112C,112M,112Y,150…ヘッド、116…記録紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面弾性波が伝播する表面弾性波伝播体と、
前記表面弾性波伝播体に形成されたノズル穴と、
前記表面弾性波伝播体上の前記ノズル穴の周囲に配設され、前記表面弾性波伝播体を励振させて表面弾性波を発生させる表面弾性波発生手段と、
前記ノズル穴に液体を供給する液体供給手段と、
前記ノズル穴の中心部に配置されるとともに、該ノズル穴の吐出面から吐出方向に向かって突出する先細り状の錐面形状を有し、前記ノズル穴の内側に前記液体の表面張力により前記錐面に従った湾曲液面を形成しつつ、前記表面弾性波によってノズル内の液体表面に励起されたキャピラリー波を前記湾曲液面に沿って伝播させ、前記錐面の頂点部から液体を飛翔させるガイド部材と、
を備えたことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記表面弾性波発生手段は、櫛形交差指状電極(IDT)であることを特徴とする請求項1記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記液体供給手段は、前記表面弾性波伝搬体の前記表面弾性波が伝搬する面の反対側に設けられた液体溜めであることを特徴とする請求項1又は2記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記表面弾性伝播体は、前記ノズル穴の周囲に複数の分極済みの圧電体カット基板をモザイク状に貼り合わせて構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記圧電体カット基板には前記表面弾性波発生手段としての部分円弧状の櫛形交差指状電極(IDT)が形成されていることを特徴とする請求項4記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記ガイド部材は、親水性の材質で構成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項記載の液体吐出ヘッドを有し、前記ノズル穴の前記ガイド部材の頂点部から吐出した液滴によって記録媒体上に画像を形成することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−12917(P2008−12917A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−150653(P2007−150653)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】