説明

液体吐出ヘッド及び画像形成装置

【課題】アクチュエータの長尺化、高密度化に伴い、圧電部材や配線部材の接続不良を検出するための構成が複雑になる。
【解決手段】複数の圧電素子柱12A、12C、12Cを有する圧電部材12と、圧電部材12の圧電素子柱12Aに給電するFPC15とを備え、圧電部材12は、駆動圧電素子柱12Aと非駆動圧電素子柱12Bとを有し、圧電部材12の外部電極23、25とFPC15の配線電極とが接続され、FPC15には測定用圧電素子柱12Cの外部電極23と接続する一対の測定用電極32C1、32C1が設けられ、一対の測定用電極32C1、32C1間の抵抗値を測定可能な端子を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特に振動板を有する液体吐出ヘッド及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。)に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、液体吐出記録方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を3次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0004】
従来の液体吐出ヘッドとしては、液室内の液体であるインクを加圧し圧力を発生するための圧力発生手段としての圧電体、特に圧電層と内部電極を交互に積層した積層型圧電素子を用いた圧電アクチュエータを備え、積層型圧電素子のd33またはd31方向の変位で液室に壁面を形成する弾性変形可能な振動板を変形させ、液室内容積、圧力を変化させて液滴を吐出させるいわゆる圧電型ヘッドが知られている。
【0005】
このような液体吐出ヘッドに使用される圧電アクチュエータとしては、積層型圧電部材に溝加工を施すことによって複数の駆動部(駆動圧電素子柱)と非駆動部(非駆動圧電素子柱)とを形成し、積層型圧電部材の内部電極を端面に引き出した外部電極(端面電極ともいう。)にFPC(フレキシブルプリントケーブル)などの配線部材の配線電極を接合し、各圧電素子柱に画像信号に応じた駆動信号を与えるようにしたものがある。
【0006】
例えば、特許文献1では、駆動部の並び方向両端の非駆動部に共通外部電極を設けることで、個別外部電極と共通外部電極を同一面に設け、FPC1個で駆動信号を与えることを可能としている。
【0007】
ところで、液体吐出ヘッドにおいては、高速化、高精度化が要求され、ヘッドの長尺化、高密度化、すなわち、圧電素子の長尺化、高密度化が図られている。圧電素子を長尺化すると、FPC(配線部材)も長尺化するため、FPCを接合する際の加熱によるFPCの伸長・収縮が大きくなり、圧電素子の外部電極(以下、「圧電素子電極」ともいう。)とFPCの配線電極(以下「FPC電極」ともいう。)の位置ずれが生じやすくなる。また、圧電素子を高密度化すると、圧電素子電極やFPC電極の幅が狭くなる。さらに、FPCのうねり,異物,圧電素子とFPCの電極間方向の傾きによる圧電素子電極とFPC電極の電極間距離のばらつきが大きくなる。
【0008】
このように、圧電素子の長尺化、高密度化を行うと、接続面積が小さくなるだけでなく、電極間距離のばらつきや接続箇所が増大するため、接続不良が生じやすいという問題がある。特に、圧電部材の駆動部の並び方向両端部では、圧電素子電極とFPC電極の位置ずれや圧電素子とFPCの電極間方向の傾きにより、接続不良が生じやすい。
【0009】
従来、圧電素子電極と配線電極との接続不良は、接続部の外観(目視)検査で行なっていたが、外観検査では、電極間を接続する電気接続部材(例えば、半田、導電性接着剤、異方性導電膜の接着剤等)が圧電素子電極又はFPC電極に濡れているか否かの確認しかできないという問題がある。
【0010】
そこで、圧電素子の静電容量検査によっては配線部材の検査端子が圧電アクチュエータの接合面から剥離しているか否かを判断するようにしたもの、あるいは、配線基板と圧電素子電極との抵抗値を測定するようにしたもの(特許文献1、2)、プローブ検査用電極を圧電素子電極とFPC電極の接続部近傍に設けて、接続抵抗を計測するもの(特許文献3、4)、特定の電極を電極間に突出した形状として、電極間距離を部分的に小さくし、電極の位置ずれによる短絡を抵抗等の電気特性で検出するもの(特許文献5)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第4240124号公報
【特許文献2】特許第4240125号公報
【特許文献3】特許第3389941号公報
【特許文献4】特開2001−179995号公報
【特許文献5】特開2008−141078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1、2の開示されているように、圧電素子の静電容量検査で接続不良を検査する構成にあっては、配線の抵抗や駆動用ICの外部抵抗が大きいために、オープン(電極間剥離や断線)不良や隣接電極間のショート(リーク,短絡)不良の検出しかできない。また、同文献1、2に開示されているように、配線基板の検査端子と圧電素子電極(共通電極)との抵抗値を測定する構成にあっては、共通電極と内部電極を通じて駆動用ICの外部抵抗を含む抵抗値を測定することになり、内部電極の断線でも接合部断線と誤判断したり、駆動用ICの外部抵抗(通常100Ω程度)の誤差レベルである数Ω程度の抵抗値上昇は検出することができない。このため、接続信頼性上問題となる、電極同士が電気接続部材を介して接触し、少しの外力で剥離するような接続抵抗が高い接続不良は検出できないという課題がある。
【0013】
また、プローブ検査用電極を圧電素子電極とFPC電極の接続部近傍に設けて接続抵抗を計測する構成にあっては、プローブ検査用電極領域を確保するため、FPC等の配線部材のサイズが大きくなる。また、検査用電極を複数の接続部で共有することにより、検査用電極領域を小さくすることができるが、検査用電極を複数の接続部で共有するための配線を検査後に切断する必要があり、コストが高くなるという課題がある。
【0014】
さらに、特定の電極を電極間に突出した形状として、電極間距離を部分的に小さくし、電極の位置ずれによる短絡を抵抗等の電気特性で検出する構成にあっては、電極ピッチが小さくなると、過剰に短絡を検出することになるという課題がある。
【0015】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、圧電部材や配線部材の電極構造を複雑にすることなく、簡単な構成で接続不良を検出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するため、本発明に係る圧電アクチュエータは、
圧電層と内部電極が交互に積層された複数の圧電素子柱を有する圧電部材と、
前記圧電部材の圧電素子柱に給電する配線部材と、を備え、
前記圧電部材は、駆動圧電素子柱と非駆動圧電素子柱とを有し、
前記圧電部材の外部電極と前記配線部材の配線電極とが接続され、
前記配線部材には、少なくとも一つの非駆動圧電素子柱の外部電極と接続する一対の測定用電極が設けられ、
前記一対の測定用電極間の抵抗値を測定可能な端子を有する
構成とした。
【0017】
ここで、
前記圧電部材には両端部に共通外部電極が形成された非駆動圧電素子柱が設けられ、
前記配線部材の一対の測定用電極が接続される非駆動圧電素子柱は、前記駆動圧電素子柱と前記共通外部電極が形成された非駆動圧電素子柱との間に配置されている
構成とできる。
【0018】
また、
前記圧電部材には前記駆動圧電素子柱間に、前記配線部材の一対の測定用電極が接続される非駆動圧電素子柱が配置され、
前記圧電部材の外部電極は先端部側と基部側に分割され、
前記駆動圧電素子柱を挟む前記配線部材の一対の測定用電極が接続される2つの非駆動圧電素子柱の外部電極の内の前記基部側の電極部分と前記一対の測定用電極とが接続され、
前記2つの非駆動圧電素子柱の間の前記駆動圧電素子柱の外部電極の先端部側の電極部分と前記測定用電極とが連結されている
構成とできる。
【0019】
また、前記配線部材の測定用電極は前記圧電部材の基部側で分岐している構成とできる。
【0020】
本発明に係る液体吐出ヘッドは、本発明に係る圧電アクチュエータを備えているものである。
【0021】
本発明に係る画像形成装置は、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る圧電アクチュエータによれば、配線部材には少なくとも一つの非駆動圧電素子柱の外部電極と接続する一対の測定用電極が設けられ、一対の測定用電極間の抵抗値を測定可能な端子を有する構成としたので、圧電部材や配線部材の電極構造を複雑にすることなく、簡単な構成で接続不良を検出できるようになる。
【0023】
本発明に係る液体吐出ヘッドによれば、本発明に係る圧電アクチュエータを備えているので、信頼性が向上する。
【0024】
本発明に係る画像形成装置によれば、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、高い信頼性が得られ、高速で、高画質画像を形成することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る液体吐出ヘッドの一例を示す分解斜視説明図である。
【図2】同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)に沿う断面説明図である。
【図3】同ヘッドのノズル配列方向(液室短手方向)に沿う一例の断面説明図である。
【図4】同ヘッドのノズル配列方向(液室短手方向)に沿う他の例の断面説明図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る圧電アクチュエータの圧電部材の電極構成及び配線部材の配線構成の説明に供する正面説明図である。
【図6】図5のA−A線に沿う断面説明図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る圧電アクチュエータの圧電部材の電極構成及び配線部材の配線構成の説明に供する正面説明図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る圧電アクチュエータの圧電部材の電極構成及び配線部材の配線構成の説明に供する正面説明図である。
【図9】図8のB−B線に沿う断面説明図である。
【図10】本発明に係る画像形成装置の一例を示す全体構成図である。
【図11】同じく要部平面説明図である。
【図12】本発明に係る画像形成装置の他の例を示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明に係る液体吐出ヘッドの一例について図1ないし図4を参照して説明する。なお、図1は同ヘッドの分解斜視説明図、図2は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)に沿う断面説明図、図3及び図4は同ヘッドのノズル配列方向(液室短手方向)に沿う断面説明図、図4は1つの液室部分の拡大断面説明図である。
【0027】
この液体吐出ヘッドは、SUS基板で形成した流路板(流路基板、液室基板)1と、この流路板1の下面に接合した振動板を形成する振動板部材2と、流路板1の上面に接合したノズル板3とを有し、これらによって液滴(液体の滴)を吐出する複数のノズル4がそれぞれノズル連通路5を介して連通する個別流路としての複数の液室(加圧液室、圧力室、加圧室、流路などとも称される。)6、液室6にインクを供給する供給路を兼ねた流体抵抗部7、この流体抵抗部7を介して液室6と連通する連通部8を形成し、連通部8に振動板部材2に形成した供給口9を介して後述するフレーム部材17に形成した共通液室10からインクを供給する。
【0028】
流路板1は、流路板1Aと連通板1Bとを接着して構成している。この流路板1は、SUS基板を、酸性エッチング液を用いてエッチング、あるいは打ち抜き(プレス)などの機械加工することで、連通路5、加圧液室6、流体抵抗部7などの開口をそれぞれ形成している。
【0029】
振動板部材2は、第1層2Aと第2層2Bとで形成されて、第1層2Aで薄肉部を形成し、第1層2A及び第2層2Bで厚肉部を形成している。そして、この振動板部材2は、各液室6に対応してその壁面を形成する第1層2Aで形成された各振動領域(ダイアフラム部)2aを有し、この振動領域2aの中に、面外側(液室6と反対面側)に第1層2A及び第2層2Bの厚肉部で形成された島状凸部2bが設けられ、この島状凸部2bに振動領域2aを変形させる駆動手段(アクチュエータ手段、圧力発生手段)としての電気機械変換素子を含む本発明に係る圧電アクチュエータ100を配置している。
【0030】
この圧電アクチュエータ100は、ベース部材13上に接着剤接合した複数(ここでは2つとする)の積層型圧電部材12を有し、圧電部材12にはハーフカットダイシングによって溝31を加工して1つの圧電部材12に対して所要数の圧電素子柱12A、12Bを所定の間隔で櫛歯状に形成している。なお、圧電部材12の圧電素子柱12A、12Bは、同じものであるが、駆動波形を与えて駆動させる圧電素子柱を駆動圧電素子柱12A、駆動波形を与えないで単なる支柱として使用する圧電素子柱を非駆動圧電素子柱12Bとして区別している。そして、駆動圧電素子柱12Aの上端面(接合面)を振動板部材2の島状凸部2bに接合している。また、非駆動圧電素子柱12Bの上端面は液室間隔壁6Aに対応する位置で振動板部材2に接合される。
【0031】
ここで、圧電部材12は、圧電材料層21と内部電極22A、22Bとを交互に積層したものであり、内部電極22A、22Bをそれぞれ端面、即ち圧電部材12の振動板部材2に略垂直な側面(積層方向に沿う面)に引き出して、この側面に形成された端面電極(外部電極)23、24に接続し、端面電極(外部電極)23、24間に電圧を印加することで積層方向の変位を生じる。
【0032】
また、圧電部材12には駆動圧電素子柱12Aに駆動信号を与えるための可撓性を有する給電部材(配線部材)としてのフレキシブル配線基板であるFPC15が接続されている。FPC15には、図示しないが駆動圧電素子柱12Aに駆動波形を与えるドライバIC(駆動回路)が搭載されている。
【0033】
なお、ここでは、上述したように、圧電部材12の圧電素子柱12A、12Bは、同じものであるが、駆動波形を与えて駆動させる圧電素子柱を駆動圧電素子柱12A、駆動波形を与えないで単なる支柱として使用する圧電素子柱を非駆動圧電素子柱12Bとして、図3に示すように、駆動用圧電素子柱12Aと支柱用圧電素子柱12Bとを交互に使用するバイピッチ構成としているが、図4に示すように、すべての圧電素子柱を駆動用圧電素子柱12Aとして使用するノーマルピッチ構成とすることもできる。
【0034】
ノズル板3は、ニッケル(Ni)の金属プレートから形成したもので、エレクトロフォーミング法(電鋳)で製造している。このノズル板3には各液室6に対応して直径10〜35μmのノズル4を形成し、流路板1に接着剤接合している。そして、このノズル板3の液滴吐出側面(吐出方向の表面:吐出面、又は液室6側と反対の面)には撥水層を設けている。
【0035】
さらに、これらの圧電素子12、ベース部材13及びFPC15などで構成されるアクチュエータ部の外周側には、エポキシ系樹脂或いはポリフェニレンサルファイトで射出成形により形成したフレーム部材17を接合している。そして、このフレーム部材17には前述した共通液室10を形成し、更に共通液室10に外部から記録液を供給するための供給口を形成し、この供給口19は更に図示しないサブタンクやインクカートリッジなどのインク供給源に接続される。
【0036】
このように構成した液体吐出ヘッドにおいては、例えば押し打ち方式で駆動する場合には、図示しない制御部から記録する画像に応じて駆動用圧電素子柱12Aに20〜50Vの駆動パルス電圧を選択的に印加することによって、パルス電圧が印加された圧電素子柱12Aが変位して振動板2の振動領域2aをノズル板3方向に変形させ、液室6の容積(体積)変化によって液室6内の液体を加圧することで、ノズル板3のノズル4から液滴が吐出される。そして、液滴の吐出に伴って液室6内の圧力が低下し、このときの液流れの慣性によって液室6内には若干の負圧が発生する。この状態の下において、圧電素子柱12Aへの電圧の印加をオフ状態にすることによって、振動板2が元の位置に戻って液室6が元の形状になるため、さらに負圧が発生する。このとき、共通液室10から液室6内に記録液が充填され、次の駆動パルスの印加に応じて液滴がノズル4から吐出される。
【0037】
なお、液体吐出ヘッドは、上記の押し打ち以外にも、引き打ち方式(振動板2を引いた状態から開放して復元力で加圧する方式)、引き−押し打ち方式(振動板2を中間位置で保持しておき、この位置から引いた後、押出す方式)などの方式で駆動することもできる。
【0038】
そこで、この液体吐出ヘッドにおける本発明の第1実施形態に係る圧電アクチュエータの詳細について図5及び図6をも参照して説明する。なお、図5(a)は圧電部材の電極構成、(b)は配線部材の配線構成、(c)は圧電部材と配線部材の接合状態の説明に供する正面説明図、図6は図5(c)のA−A線に沿う断面説明図である。
【0039】
この圧電アクチュエータ100は、前述したように圧電層21Aと内部電極22A、22Bが交互に積層された複数の圧電素子柱12A、12Bを有する圧電部材12と、圧電部材12の駆動圧電素子柱12Aに給電する配線部材としてのFPC15とを備えている。
【0040】
この実施形態では、圧電部材12の中央部に複数の駆動圧電素子柱12Aを配置し、両端部に共通外部電極用の幅広の非駆動圧電素子柱12Baを配置し、少なくとも複数の駆動圧電素子柱12Aの柱配列方向の外側であって、駆動圧電素子柱12Aと非駆動圧電素子柱12Baとの間に2つの測定用非駆動圧電素子柱12Cを配置している。
【0041】
ここで、駆動圧電素子柱12A、非駆動圧電素子柱12CにはFPC15と接合する側に個別外部電極23が形成されている。非駆動圧電素子12Cの個別外部電極12Cは動作時に駆動波形が印加されるものではないが、個別外部電極として説明する。非駆動圧電素子柱12BaにはFPC15と接合する側に共通外部電極23が形成されている。そして、駆動圧電素子柱12Aの共通外部電極24は、図示しないがスリット加工で分断されない内部電極などを通じて非駆動圧電素子柱12Baに形成された共通外部電極25に接続されている。
【0042】
なお、駆動圧電素子柱12Aと測定用非駆動圧電素子柱12Cの柱幅(電極幅)は、同一幅、同一ピッチで形成している。また、図5では圧電部材12の一端部側のみ図示しているが、他端部側も同様の構成としている。また、内部電極についても図示は省略している。
【0043】
配線部材としてのFPC15は、基材31に形成された配線(電極)32と、ソルダレジスト33と、図示しない駆動ICとを有し、ベース部材13にホットメルト接着剤16にて固定されている。
【0044】
このFPC15は、圧電部材12の個別外部電極23が形成された面側に接続されて、駆動圧電素子柱12Aの個別外部電極23に接続される個別電極配線32Aと、非駆動圧電素子柱12Baの共通外部電極25に接続される共通電極配線32Bと、測定用非駆動圧電素子柱12Cの個別外部電極23に接続される測定用配線32C(32C1、32C2、32C3)とを有している。
【0045】
ここで、個別電極配線32Aは図示しない駆動ICの接続端子まで形成されている。また、共通電極配線32Bは個別電極配線32Aより幅広に形成されている。
【0046】
測定用配線32Cは、2つの測定用非駆動圧電素子柱12C、12Cに接続される一対の測定用電極32C1と、1つの測定用配線32C1を分岐した分岐電極32C2と、非駆動圧電素子柱12C、12C間を連結する連結電極32C3により構成されている。分岐電極32C2は図示しない測定用端子に接続されている。
【0047】
このFPC15の各電極及び配線32(32A、32B、32C1、32C2、32C3)は、高導電性のCuを膜厚8μm厚みで形成している。より低抵抗とする場合には、12μm、18μm、35μm等の厚膜のものも用いることができる。また、ソルダレジスト33はFPC15の一部の領域15B(図6)に形成している。
【0048】
このFPC15の各電極及び配線32(これを「FPC電極」という。)と圧電部材12の各電極23、25(これを「圧電素子電極」という。)は、それぞれ半田41で接続されている。FPC電極と圧電素子電極を接続する方法としては、電極を位置合わせして圧電部材12とFPC15を重ね合わせ、ヒーターチップ(ブロック)でFPC15の電極部15A裏面の基材31を加圧しながらヒーターチップの温度をパルス的に上昇させ半田41を溶融硬化させることにより接合するヒーター接合法や、FPC15をガラス等のレーザーを透過する剛性部材で加圧した状態でレーザー光をFPC15の各電極配線32A、32Bや半田41に照射して半田41を溶融硬化させることにより接合するレーザー接合法等を用いることができる。
【0049】
なお、半田41は、FPC電極及びFPC15の基材31に比較して低い融点を有する金属材料であり、かつ導電性を有する材料から構成されたものであればよく、鉛(Pb)を含有しないものであることが好ましい。たとえば、半田41としてスズ(Sn)及びビスマス(Bi)を主成分とする半田を用いることができる。鉛が含有されていないことから、環境保護の観点において効果的であるとともに、スズ(Sn)及びビスマス(Bi)が主成分の半田41は非鉛の部材の中では非常に低い融点を有していることから、FPC15及び圧電部材12にダメージを与えることなくFPC電極と圧電素子電極とを容易に溶着することができる。
【0050】
また、ここでは、電気接続部材として半田41を用いたが、異方性導電膜や導電性接着剤等を用いることもできる。
【0051】
また、半田41を、印刷法やめっき法等により、予め圧電部材12の外部電極23、25、または、FPC15の電極配線32(電極部15A)に形成している。
【0052】
また、ここでは、配線部材として、FPCを用いたが、薄膜状であり互いに並列された複数の電極が設けられているものであればよく、例えば、TAB(Tape Automated Bonding)を用いることもできる。
【0053】
このように構成した圧電アクチュエータにおいて、圧電部材12とFPC15を接続した後、一対の測定用電極32C1間の抵抗値を図示しない測定端子を通じて測定する。
【0054】
ここでは、分岐電極32C2に電圧又は電流を印加して、電流又は電圧を計測する4端子計測を行ない、一方の測定用電極32C1の分岐部からもう一方の測定用電極32C1の分岐部までの配線抵抗と接続抵抗を含む抵抗値を計測した。これにより、良好接合部に対して少し高い抵抗(良好な接続抵抗+1Ω以下)を示す不良接合部を検出することができる。
【0055】
このように、この液体吐出ヘッドにおける圧電アクチュエータによれば、配線部材には少なくとも一つの非駆動圧電素子柱の外部電極と接続する一対の測定用電極が設けられ、一対の測定用電極間の抵抗値を測定可能な端子を有する構成としているので、圧電部材や配線部材の電極構造を複雑にすることなく、簡単な構成で接続不良を検出できるようになる。
【0056】
この場合、圧電部材には両端部に共通外部電極が形成された非駆動圧電素子柱が設けられ、配線部材の一対の測定用電極が接続される非駆動圧電素子柱は、駆動圧電素子柱と共通外部電極が形成された非駆動圧電素子柱との間に配置されている構成とすることで、圧電素子電極と配線電極の位置ずれや圧電素子と配線電極間方向の傾きにより、最も接続不良の生じやすい圧電部材の駆動圧電素子柱の並び方向両端部の接続抵抗を測定することができ、接続不良を簡単に検出することができる。
【0057】
また、測定用非駆動圧電素子柱の外部電極幅及びピッチと駆動圧電素子柱の外部電極幅及びピッチとを同一にしているので、圧電素子電極と配線電極の位置ずれが生じても、接続状態が駆動圧電素子柱と測定用非駆動圧電素子柱でほぼ同一となるため、測定用非駆動圧電素子柱部の接続抵抗が増大し接続不良が生じた場合は、駆動圧電素子柱でも接続不良が生じたと判定できる。この結果、過剰に短絡不良を検出することがなくなる。
【0058】
また、配線部材の測定用電極配線は圧電部材の基部側で分岐している構成とすることで、4端子法による抵抗計測ができるため、分岐部からプローブ検査用電極等の抵抗測定用電極までの配線抵抗を無視でき、測定用電極配線の接続部近傍にプローブ検査用電極等を設ける必要がなくなる。
【0059】
また、電気接続部材として半田を用いることで、異方性導電膜や導電性接着剤等に比べて、接続抵抗を低くできるだけでなく、抵抗値測定による接続不良が生じた場合には、再度、FPCを加圧しながら半田を溶融させることにより接合をやり直すことができる。
【0060】
そして、このような圧電アクチュエータを備える液体吐出ヘッドは、ヘッドの長尺化、高密度化に伴って圧電アクチュエータの接続不良が生じても、接続不良を容易に検出できるため、信頼性の高いヘッドを得ることができる。
【0061】
次に、本発明の第2実施形態に係る圧電アクチュエータついて図7を参照して説明する。なお、図7(a)は同実施形態における圧電部材の電極構成、(b)は同じく配線部材の配線構成、(c)は同じく圧電部材と配線部材の接合状態の説明に供する正面説明図である。
ここでは、前記第1実施形態におけるFPC15の一対の測定用電極32C1の一方と連結電極32C3とを一体的に形成している。
【0062】
また、前記第1実施形態に比べて、非駆動柱を減らすことができるとともに、圧電部材12の両端の外側の測定用電極32C1、32C1間の抵抗を測定することにより、両端の共通電極12Ba(他方は図示省略)間の抵抗を精度良く計測できる。
【0063】
次に、本発明の第3実施形態に係る圧電アクチュエータついて図8及び図9を参照して説明する。なお、図8(a)は同実施形態における圧電部材の電極構成、(b)は同じく配線部材の配線構成、(c)は同じく圧電部材と配線部材の接合状態の説明に供する正面説明図、図9は図8のB−B線に沿う断面説明図である。
ここでは、圧電部材12には駆動圧電素子柱12Aと測定用非駆動圧電素子柱12Cを交互に配列し、駆動圧電素子柱12Aの両端は測定用非駆動圧電素子柱12Cを配列し、さらに、圧電部材12の両端部の測定用非駆動圧電素子柱12Cの外側に、共通外部電極25が形成された非駆動圧電素子柱12Baを配列している。
【0064】
また、各圧電素子柱12A、12Ba、12CのFPC15との接合面の外部電極23、25は、圧電部材12の先端部側部分23aと基部側(ベース部材13に接合する側)部分23bに上下に分断(分割)された構成としている。外部電極23、25を上下に分断する方法としては、ダイサーにより溝加工する方法や、レーザーにより電極を除去する方法を用いることができる。
【0065】
FPC15の個別電極配線32Aは、駆動圧電素子柱12Aの外部電極23の基部側部分23bに接続されている。また、共通電極配線32Bは、非駆動圧電素子柱12Bの外部電極25全体に接続されている。
【0066】
FPC15の測定用電極配線32Cは、一対の測定用電極32C1、分岐電極32C2、圧電素子柱12C、12A、12Cを連結する連結電極32C3により構成している。
【0067】
一対の測定用電極32C1と連結電極32C3の電極部(下部)は、圧電素子柱12Cの外部電極23の基部側部分23bに接続されている。また、連結電極32C3の連結部分(圧電素子柱配列方向に沿う部分)は、圧電素子柱12A、12Cの外部電極23の先端部側部分23aに接続されている。この連結電極32C3は駆動圧電素子柱12Aの外部電極23の基部側部分23bとは電気的に接続されていない。
【0068】
このように構成したので、圧電部材12とFPC15を接続した後、一対の測定用電極32C1間の抵抗値を測定することができる。ここでは、まず、端の個別電極32Aの両側に配置した一対の測定用電極32C1、32C1間の抵抗値を4端子法で測定し、一方の測定用電極32C1の分岐部からもう一方の測定用電極32C1の分岐部までの配線抵抗と接続抵抗を含む抵抗を測定した。次いで、図で左から2番目の個別電極32Aの両側に配置した一対の測定用電極32C1間の抵抗,さらに、3番目の個別電極32Aの両側に配置した一対の測定用電極32C1間の抵抗と、順次、全ての個別電極32Aの両側に配置した一対の測定用電極32C1間の抵抗を測定した。
【0069】
このように、圧電部材には駆動圧電素子柱間に、配線部材の一対の測定用電極が接続される非駆動圧電素子柱が配置され、圧電部材の外部電極は先端部側と基部側に分割され、駆動圧電素子柱を挟む配線部材の一対の測定用電極が接続される2つの非駆動圧電素子柱の外部電極の内の基部側の電極部分と一対の測定用電極とが接続され、2つの非駆動圧電素子柱の間の駆動圧電素子柱の外部電極の先端部側の電極部分と測定用電極とが連結されている構成とすることで、全ての駆動圧電素子柱に隣接する非駆動圧電素子柱の接続抵抗を測定することができる。これにより、非駆動圧電素子柱の接続抵抗が増大し、接続不良が生じた場合は、非駆動圧電素子柱の間の駆動圧電素子柱で接続不良が生じたと判定できるようになる。
【0070】
つまり、FPCのうねり、異物等により、圧電部材とFPCの電極間距離が局所的に大きくなり、接続部が高抵抗になる接続不良を検出できる。
【0071】
また、各圧電素子柱の外部電極が上下(先端部側と基部側)に分割され、駆動圧電素子柱を挟む配線部材の一対の測定用電極が接続される2つの非駆動圧電素子柱の外部電極の内の基部側の電極部分と一対の測定用電極とが接続され、2つの非駆動圧電素子柱の間の駆動圧電素子柱の外部電極の先端部側の電極部分と測定用電極とが連結されていることで、圧電部材の外部電極や内部電極をパターニングすることなく、抵抗測定を行なうことができて、低コストで容易に接続不良を検出することができるようになる。
【0072】
なお、本発明に係る液体吐出ヘッドは、ヘッドにインクを供給するカートリッジを一体化した構成のヘッド一体型カートリッジ又はカートリッジ一体型のヘッドとして構成することもできる。
【0073】
なお、上記各実施形態の液体吐出ヘッドにインクを供給するタンクを一体にしたインクカートリッジを構成することもできる。
【0074】
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドを備える本発明に係る画像形成装置の一例について図10及び図11を参照して説明する。なお、図10は同装置の機構部の全体構成を説明する概略構成図、図11は同機構部の要部平面説明図である。
この画像形成装置はシリアル型画像形成装置であり、左右の側板221A、221Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド231、232でキャリッジ233を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0075】
このキャリッジ233には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための本発明に係る液体吐出ヘッドユニットからなる記録ヘッド234を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0076】
記録ヘッド234は、それぞれ2つのノズル列を有する液体吐出ヘッド234a、234bを1つのベース部材に取り付けて構成したもので、一方のヘッド234aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、他方のヘッド234bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。なお、ここでは2ヘッド構成で4色の液滴を吐出する構成としているが、各色毎の液体吐出ヘッドを備えることもできる。
【0077】
また、キャリッジ233には、記録ヘッド234のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのサブタンク235a、235b(区別しないときは「サブタンク235」という。)を搭載している。このサブタンク235には各色の供給チューブ236を介して、供給ユニット224によって各色のインクカートリッジ210から各色のインクが補充供給される。
【0078】
一方、給紙トレイ202の用紙積載部(圧板)241上に積載した用紙242を給紙するための給紙部として、用紙積載部241から用紙242を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)243及び給紙コロ243に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド244を備え、この分離パッド244は給紙コロ243側に付勢されている。
【0079】
そして、この給紙部から給紙された用紙242を記録ヘッド234の下方側に送り込むために、用紙242を案内するガイド部材245と、カウンタローラ246と、搬送ガイド部材247と、先端加圧コロ249を有する押さえ部材248とを備えるとともに、給送された用紙242を静電吸着して記録ヘッド234に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト251を備えている。
【0080】
この搬送ベルト251は、無端状ベルトであり、搬送ローラ252とテンションローラ253との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト251の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ256を備えている。この帯電ローラ256は、搬送ベルト251の表層に接触し、搬送ベルト251の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト251は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ252が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
【0081】
さらに、記録ヘッド234で記録された用紙242を排紙するための排紙部として、搬送ベルト251から用紙242を分離するための分離爪261と、排紙ローラ262及び排紙コロ263とを備え、排紙ローラ262の下方に排紙トレイ203を備えている。
【0082】
また、装置本体の背面部には両面ユニット271が着脱自在に装着されている。この両面ユニット271は搬送ベルト251の逆方向回転で戻される用紙242を取り込んで反転させて再度カウンタローラ246と搬送ベルト251との間に給紙する。また、この両面ユニット271の上面は手差しトレイ272としている。
【0083】
さらに、キャリッジ233の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド234のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構281を配置している。この維持回復機構281には、記録ヘッド234の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)282a、282b(区別しないときは「キャップ282」という。)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード283と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け284などを備えている。
【0084】
また、キャリッジ233の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け288を配置し、この空吐出受け288には記録ヘッド234のノズル列方向に沿った開口部289などを備えている。
【0085】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ202から用紙242が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙242はガイド245で案内され、搬送ベルト251とカウンタローラ246との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド237で案内されて先端加圧コロ249で搬送ベルト251に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0086】
このとき、帯電ローラ256に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト251が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト251上に用紙242が給送されると、用紙242が搬送ベルト251に吸着され、搬送ベルト251の周回移動によって用紙242が副走査方向に搬送される。
【0087】
そこで、キャリッジ233を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド234を駆動することにより、停止している用紙242にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙242を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙242の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙242を排紙トレイ203に排紙する。
【0088】
このように、この画像形成装置では本発明に係る液体吐出ヘッドを記録ヘッドとして備えているので、ヘッドの長尺化、高密度化を図っても信頼性の高い安定した滴吐出を行なうことができて、高速で、高画質画像を形成することができる。
【0089】
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドを備える本発明に係る画像形成装置の他の例について図12を参照して説明する。なお、図12は同装置の機構部全体の概略構成図である。
この画像形成装置は、ライン型画像形成装置であり、装置本体401の内部に画像形成部402等を有し、装置本体401の下方側に多数枚の記録媒体(用紙)403を積載可能な給紙トレイ404を備え、この給紙トレイ404から給紙される用紙403を取り込み、搬送機構405によって用紙403を搬送しながら画像形成部402によって所要の画像を記録した後、装置本体401の側方に装着された排紙トレイ406に用紙403を排紙する。
【0090】
また、装置本体401に対して着脱可能な両面ユニット407を備え、両面印刷を行うときには、一面(表面)印刷終了後、搬送機構405によって用紙403を逆方向に搬送しながら両面ユニット407内に取り込み、反転させて他面(裏面)を印刷可能面として再度搬送機構405に送り込み、他面(裏面)印刷終了後排紙トレイ406に用紙403を排紙する。
【0091】
ここで、画像形成部402は、例えばブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色の液滴を吐出する、フルライン型の4個の本発明に係る液体吐出ヘッドで構成した記録ヘッド411k、411c、411m、411y(色を区別しないときには「記録ヘッド411」という。)を備え、各記録ヘッド411は液滴を吐出するノズルを形成したノズル面を下方に向けてヘッドホルダ413に装着している。
【0092】
また、各記録ヘッド411に対応してヘッドの性能を維持回復するための維持回復機構412k、412c、412m、412y(色を区別しないときには「維持回復機構412」という。)を備え、パージ処理、ワイピング処理などのヘッドの性能維持動作時には、記録ヘッド411と維持回復機構412とを相対的に移動させて、記録ヘッド411のノズル面に維持回復機構412を構成するキャッピング部材などを対向させる。
【0093】
なお、ここでは、記録ヘッド411は、用紙搬送方向上流側から、ブランク、シアン、マゼンタ、イエローの順に各色の液滴を吐出する配置としているが、配置及び色数はこれに限るものではない。また、ライン型ヘッドとしては、各色の液滴を吐出する複数のノズル列を所定間隔で設けた1又は複数のヘッドを用いることもできるし、ヘッドとこのヘッドに記録液を供給する記録液カートリッジを一体とすることも別体とすることもできる。
【0094】
給紙トレイ404の用紙403は、給紙コロ(半月コロ)421と図示しない分離パッドによって1枚ずつ分離され装置本体401内に給紙され、搬送ガイド部材423のガイド面423aに沿ってレジストローラ425と搬送ベルト433との間に送り込まれ、所定のタイミングでガイド部材426を介して搬送機構405の搬送ベルト433に送り込まれる。
【0095】
また、搬送ガイド部材423には両面ユニット407から送り出される用紙403を案内するガイド面423bも形成されている。更に、両面印刷時に搬送機構405から戻される用紙403を両面ユニット407に案内するガイド部材427も配置している。
【0096】
搬送機構405は、駆動ローラである搬送ローラ431と従動ローラ432との間に掛け渡した無端状の搬送ベルト433と、この搬送ベルト433を帯電させるための帯電ローラ434と、画像形成部402に対向する部分で搬送ベルト433の平面性を維持するプラテン部材435と、搬送ベルト433から送り出す用紙403を搬送ローラ431側に押し付ける押さえコロ436と、その他図示しないが、搬送ベルト433に付着した記録液(インク)を除去するためのクリーニング手段である多孔質体などからなるクリーニングローラなどを有している。
【0097】
この搬送機構405の下流側には、画像が記録された用紙403を排紙トレイ406に送り出すための排紙ローラ438及び拍車439を備えている。
【0098】
このように構成した画像形成装置において、搬送ベルト433は矢示方向に周回移動し、高電位の印加電圧が印加される帯電ローラ434と接触することで帯電され、この高電位に帯電した搬送ベルト433上に用紙403が給送されると、用紙403は搬送ベルト433に静電的に吸着される。このようにして、搬送ベルト433に強力に吸着した用紙403は反りや凹凸が校正され、高度に平らな面が形成される。
【0099】
そして、搬送ベルト433を周回させて用紙403を移動させ、記録ヘッド411から液滴を吐出することで、用紙403上に所要の画像が形成され、画像が記録された用紙403は排紙ローラ438によって排紙トレイ406に排紙される。
【0100】
このように、この画像形成装置においては本発明に係る液体吐出ヘッドからなる記録ヘッドを備えているので、ヘッドの長尺化、高密度化を図っても信頼性の高い安定した滴吐出を行なうことができて、高速で、高画質画像を形成することができる。
【0101】
なお、上記実施形態では本発明をプリンタ構成の画像形成装置に適用した例で説明したが、これに限るものではなく、例えば、プリンタ/ファックス/コピア複合機などの画像形成装置に適用することができる。また、狭義のインク以外の液体や定着処理液などを用いる画像形成装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0102】
1 流路板(流路基板)
2 振動板部材
3 ノズル板
4 ノズル
6 液室
10 共通液室
12 圧電部材
12A 駆動圧電素子柱
12B 非駆動圧電素子柱
12C 測定用非駆動圧電素子柱
13 ベース部材
15 FPC(配線部材)
15A 電極部
23 個別外部電極
24 共通外部電極
25 共通外部電極
31 基材
32A 個別電極配線
32B 共通電極配線
32C 測定用配線
32C1 測定用電極
32C2 分岐電極
32C3 連結電極
100 圧電アクチュエータ
233 キャリッジ
234 記録ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電層と内部電極が交互に積層された複数の圧電素子柱を有する圧電部材と、
前記圧電部材の圧電素子柱に給電する配線部材と、を備え、
前記圧電部材は、駆動圧電素子柱と非駆動圧電素子柱とを有し、
前記圧電部材の外部電極と前記配線部材の配線電極とが接続され、
前記配線部材には、少なくとも一つの非駆動圧電素子柱の外部電極と接続する一対の測定用電極が設けられ、
前記一対の測定用電極間の抵抗値を測定可能な端子を有する
ことを特徴とする圧電アクチュエータ。
【請求項2】
前記圧電部材には両端部に共通外部電極が形成された非駆動圧電素子柱が設けられ、
前記配線部材の一対の測定用電極が接続される非駆動圧電素子柱は、前記駆動圧電素子柱と前記共通外部電極が形成された非駆動圧電素子柱との間に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項3】
前記圧電部材には前記駆動圧電素子柱間に、前記配線部材の一対の測定用電極が接続される非駆動圧電素子柱が配置され、
前記圧電部材の外部電極は先端部側と基部側に分割され、
前記駆動圧電素子柱を挟む前記配線部材の一対の測定用電極が接続される2つの非駆動圧電素子柱の外部電極の内の前記基部側の電極部分と前記一対の測定用電極とが接続され、
前記2つの非駆動圧電素子柱の間の前記駆動圧電素子柱の外部電極の先端部側の電極部分と前記測定用電極とが連結されている
ことを特徴とする請求項1に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項4】
前記配線部材の測定用電極は前記圧電部材の基部側で分岐していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の圧電アクチュエータを備えていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項6】
請求項5に記載の液体吐出ヘッドを備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−56919(P2011−56919A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212522(P2009−212522)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】