説明

液体吐出ヘッド用保護ケース

【課題】液体吐出ヘッドを収容する保護ケースであって、封止キャップは、収容された液体吐出ヘッドのノズルを封止するキャッピング位置からノズル面に当接しない退避位置への移動が許容された状態と、キャッピング位置から付勢力に抗してノズル面から離れる方向への移動が規制された状態との、いずれかの状態を選択的にとれるようにする。
【解決手段】保護ケース50のケース本体51は、キャッピング位置と退避位置との間を第一方向へ往復移動可能な封止キャップ53、封止キャップ53を付勢するバネ55、液体吐出ヘッド4の移動を規制する移動規制部、及び封止キャップ53の移動規制部材であるストッパ64を備えている。ストッパ64は、規制部64cがキャッピング位置と退避位置との間で封止キャップ53と第一方向に重複する第一位置と、規制部64cが封止キャップ53と第一方向に重複しない第二位置との間を往復移動可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドを収容するための液体吐出ヘッド用保護ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙等の記録媒体に液体を吐出して記録媒体に印刷するインクジェット式プリンタ装置を一例とする液体吐出装置が知られている。例えば、インクジェット式プリンタ装置では、インク(液体)を蓄えておくタンク部と、タンク部から供給されるインクを振動又は熱を利用して記録媒体に向けてノズルから吐出するヘッド部とを有する液体吐出ヘッドと、液体を貯えたインクカートリッジとを備え、液体吐出ヘッドのノズルからインクカートリッジより供給されたインクを吐出するように構成されている。
【0003】
上記のような液体吐出ヘッドは、メンテナンス時などの便宜を図って、一般に、液体吐出装置に対して着脱可能に設けられている。そして、液体吐出装置から取り外された液体吐出ヘッドは、ノズル面の保護や液体の変質防止のために専用の保護ケースに収容された状態で保管されたり持ち運ばれたりする。
【0004】
例えば、特許文献1に開示された保管箱(保護ケース)は、インクジェット記録装置のキャリッジに交換可能に搭載される記録ヘッド又はスキャナユニットを保管する保管箱であって、前記記録ヘッドのフェース面をキャッピングするキャップと、前記記録ヘッドが収納された場合、前記キャップが記録ヘッドの記録フェース面に当接するように記録ヘッドをキャップに対する接離方向に位置決めする第1の位置決め部材と、スキャナユニットが収納された場合には前記スキャナユニットの読取フェース面が前記キャップから離間するようにスキャナユニットをキャップに対する接離方向に位置決めする第2の位置決め部材とを具えている。特許文献1の図22に示されるように、記録ヘッドのフェース面をキャッピングするキャップは、保管箱キャップホルダに取り付けられ、保管箱キャップホルダと保管箱の底面との間には、キャップホルダが上方に付勢する保管箱キャップばねが介在されている。そして、保管箱と保管箱キャップホルダとの間に、第1の位置決め部材と第2の位置決め部材とが突起として形成されている。なお、上記に開示された保管箱は、一つで記録ヘッド又はスキャナユニットの保管を行うものであって、記録ヘッドを保管箱に収納した場合には、記録フェース面をキャップで覆い、スキャナユニットを保管箱に収納した場合には、スキャナの読取フェース面にキャップが当接しないように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−63092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された保管箱の構成を液体吐出ヘッド用の保護ケースに適用させると、液体吐出ヘッドを収容して固定できる保護ケースに、収容された液体吐出ヘッドのノズル面に対して進退移動可能に設けた封止キャップと、封止キャップをノズル面に向けて付勢するバネを備えたものとなる。この構成の保護ケースにおいて、作業者の手で液体吐出ヘッドを保護ケースに挿入するときに、液体吐出ヘッドのノズル面に設けられたノズルを封止キャップで確実に封止するために、封止キャップとノズル面とが接触した装着途中の状態で液体吐出ヘッドの姿勢を変化させることが想定される。このとき、封止キャップの一部が変形すると、封止キャップのシール性能が低下する。特に、封止キャップが付勢されている場合、封止キャップが傾いてその一部が変形しやすい状況が発生する。そこで、封止キャップは、保護ケースへ挿入するときには液体吐出ヘッドと干渉しない下段位置(退避位置)に退避させ、液体吐出ヘッドを挿入した後で液体吐出ヘッドのノズル面に当接する上段位置(キャッピング位置)まで移動させることが、望ましい。
【0007】
しかし、このように封止キャップを退避位置とキャッピング位置との間で移動できるように構成すると、液体吐出ヘッドのノズル面に対してバネで付勢されている封止キャップは、バネの伸縮により移動できる範囲が広くなる。例えば、保護ケースを落下させる等して保護ケースに大きな衝撃が加わり、封止キャップの慣性力がバネの付勢力に打ち勝ってバネが縮んでしまう事態が生じると、封止キャップは十分な付勢力を受けることができずに液体吐出ヘッドのノズル面から離れてしまい、封止キャップに捕集された液体が漏れ出たり、ノズル内の液体が変質したりするおそれがある。
【0008】
そこで、本発明では、液体吐出ヘッドを収容する保護ケースであって、封止キャップは、収容された液体吐出ヘッドのノズルを封止するキャッピング位置からノズル面に当接しない退避位置への移動が許容された状態と、キャッピング位置から付勢力に抗してノズル面から離れる方向への移動が規制された状態との、いずれかを選択的にとることができるものを、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る液体吐出ヘッド用保護ケースは、そのノズル面に開口する複数のノズルから液体を吐出するように構成された液体吐出ヘッドを収容するための液体吐出ヘッド用保護ケースであって、前記液体吐出ヘッドを挿入するための開口を有するケース本体と、前記ケース本体に装着されて前記ケース本体の前記開口を閉塞する蓋体とを備え、前記ケース本体は、前記ケース本体に収容された前記液体吐出ヘッドの前記ノズルを封止するキャッピング位置と、前記ノズルを封止しない退避位置との間を第一方向に往復移動可能である封止キャップと、前記封止キャップを前記退避位置から前記キャッピング位置へ向かう方向へ付勢する付勢部材と、前記封止キャップを前記退避位置で保持する位置保持機構と、前記封止キャップの前記ノズル面と反対側に接触して前記封止キャップの前記キャッピング位置から前記退避位置への移動を規制する機能部を有し、その機能部が前記封止キャップの前記キャッピング位置と前記退避位置との間において前記封止キャップと前記第一方向に重複する第一位置と、前記封止キャップと前記第一方向に重複しない第二位置との間を前記第一方向と略直交する方向に往復移動できるように構成されている移動規制部材とを、備えているものである。
【0010】
上記構成によれば、移動規制部材を第一位置と第二位置とに適宜移動させることによって、封止キャップは、収容された液体吐出ヘッドのノズルを封止するキャッピング位置から付勢力に抗してノズル面から離れる方向への移動が移動規制部材により規制された状態と、キャッピング位置からノズル面に当接しない退避位置への移動が許容された状態との、いずれかの状態を選択的にとることができる。そして、液体吐出ヘッドをケース本体に挿入するときには、移動規制部材を第二位置とし、封止キャップを退避位置とすれば、液体吐出ヘッドのノズル面を封止キャップと干渉させることがなく、挿入作業を行うことができる。また、液体吐出ヘッドが収容された保護ケースにおいて、移動規制部材を第一位置として、封止キャップをキャッピング位置から付勢力に抗してノズル面から離れる方向への移動が規制された状態とすれば、例え保護ケースが強い衝撃を受けても、封止キャップにより液体吐出ヘッドのノズル面が封止されている状態が維持されるので、捕集された液体が封止キャップから漏れ出たり、ノズル内の液体が変質したりすることを、防止できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、液体吐出ヘッド用保護ケースにおいて、封止キャップは、収容された液体吐出ヘッドのノズルを封止するキャッピング位置から付勢力に抗してノズル面から離れる方向への移動が移動規制部材により規制された状態と、キャッピング位置からノズル面に当接しない退避位置への移動が許容された状態との、いずれかの状態を選択的にとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係る液体吐出装置たるインクジェット式プリンタの要部を示す模式的平面図である。
【図2】ヘッドユニットを分解して示す分解斜視図である。
【図3】ヘッドユニットの底面を示す図である。
【図4】レール上のヘッドユニットの状態を示す図であり、(a)は印刷時のレールとヘッドユニットとの側面図、(b)はメンテナンス時のレールとヘッドユニットとの側面図である。
【図5】保護ケースとこれに収容されたヘッドユニットとを分解して示す分解斜視図である。
【図6】蓋体の底面図である。
【図7】蓋体の下方からの斜視図である。
【図8】ケース本体の平面図である。
【図9】ケース本体の分解斜視図である。
【図10】ストッパが第二位置にあるときのケース本体を第三方向に切断した断面の概略図である。
【図11】ケース本体を第二方向に切断した断面の概略図である。
【図12】ストッパが第一位置にあるときのケース本体を第三方向に切断した断面の概略図である。
【図13】ケース本体へのヘッドユニットの挿入手順を説明する図であり、(a)はケース本体にヘッドユニットを挿入した後の図、(b)はヘッドユニットを第二方向へスライドさせた後の図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0014】
[プリンタ1]
まず、本発明に係る液体吐出ヘッド用保護ケース(以下単に、「保護ケース」という)に収容される液体吐出ヘッド4が搭載された液体吐出装置について、液体吐出装置の一例であるインクジェット式カラープリンタ装置(以下、「プリンタ」と称する)に適用した場合を例にとり、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1に示すように、プリンタ1は、走査方向(図1中、左右方向)に往復移動可能なように本体フレーム2に設けられたキャリッジ5と、キャリッジ5に搭載された液体吐出ヘッド4とを備えている。本体フレーム2内には、プラテン8が設けられており、このプラテン8上において、図示しない送りローラ等により記録媒体が前方(図1中、手前方向)へ搬送される。
【0016】
図2にも示すように、液体吐出ヘッド4は、一方(図2の紙面下方)の面に複数のノズルが開口しているノズル面32を有するヘッド部3と、ヘッド部3の他方(図2の紙面上方)に配置されたタンク部6とを、備えている。ヘッド部3は、インクの種類(例えば、シアン,マゼンタ,イエロー,ブラック)に対応するインク流路及び液体を吐出する複数のノズルが形成された流路ユニット31と、流路ユニット31のノズル面32と反対側に配置されて、フレキシブル配線基板35によりプリンタ1の制御回路と電気的に接続される圧電アクチュエータ34とを、備えている。上記構成のヘッド部3は、圧電アクチュエータ34に制御回路から駆動電圧が印加されることによって、流路ユニット31内に導かれたインクを複数のノズルから微小な液滴として選択的に吐出するように構成されている。
【0017】
また、タンク部6は、ヘッド部3内の対応するインク流路と連通するインク貯溜室(図示略)を有し、各インク貯溜室に開口した供給口61a〜61dを有している。この供給口61a〜61dに一端が接続されたチューブ91を介してインクカートリッジ9内のインクは対応するタンク部6のインク貯溜室へ供給される。なお、保護ケース50に収容される液体吐出ヘッド4には、各供給口61a〜61dを封止するための供給口封止部材14が取り付けられる(図5、参照)。この供給口封止部材14は、各供給口61a〜61dのそれぞれに嵌入して封止する複数の凸部を有している。
【0018】
上記構成のヘッド部3は、ノズル面32が下方を向くようにキャリッジ5内の所定位置に配設され、このヘッド部3の上にタンク部6が配設される。ここで、圧電アクチュエータ34に取り付けられたフレキシブル配線基板35はタンク部6より上方へ持ち出されており、ノズル面32はキャリッジ5の下面に現れている。このようにキャリッジ5と、キャリッジ5に搭載された液体吐出ヘッド4とを併せて「ヘッドユニット10」と呼ぶこととする。
【0019】
ヘッドユニット10は、本体フレーム2(本体筐体)に設けられた走査機構7によって、同じく本体フレーム2に設けられた一対のガイドレール21,22に乗って、走査方向に往復移動する。図3及び図4(a)に示すように、ヘッドユニット10がガイドレール21,22上を摺動するときのガイドレール21,22上面への接触部分として、キャリッジ5の下面にはガイドレール21上を滑る単数又は複数の第一のスライダ25と、ガイドレール22上を滑る単数又は複数の第二のスライダ24,24がそれぞれ設けられている。また、図3及び図4(b)に示すように、ヘッドユニット10がガイドレール21,22に乗っているときのガイドレール21,22下面への接触部分として、キャリッジ5の下面には、後述するメンテナンス時にキャリッジ5を所定位置に位置決めするための位置決め部5a,5a,5b,5bが形成されている。
【0020】
走査機構7は、走査方向一端側に設けられてモータ(図示略)により正逆回転駆動される駆動プーリ71、走査方向他端側に設けられた従動プーリ72、及びこれらのプーリ71,72に巻回された無端状ベルト73等から構成されており、この無端状ベルト73にキャリッジ5が固定されている。係る構成により、駆動プーリ71が正逆回転駆動されて無端状ベルト73が移動すると、ヘッドユニット10は無端状ベルト73に伴って走査方向に移動する。
【0021】
上記構成により、ヘッドユニット10は、プラテン8と対向する範囲でガイドレール21,22に沿って走査方向に往復移動しながら、搬送される記録媒体に対して液体吐出ヘッド4のノズルから各色のインクをそれぞれ吐出して、記録媒体に所望の画像を印刷することができる。一方で、画像を印刷していないときやメンテナンス時には、ヘッドユニット10は、プラテン8に対して走査方向一方側(図1中、右側)のメンテナンス位置に退避する。このメンテナンス位置に退避している液体吐出ヘッド4の下方には、メンテナンス機構40が設けられている。
【0022】
メンテナンス機構40は、液体吐出ヘッド4のノズル孔から強制的にインクと共にエアなどを外部に排出するパージ動作を実行するためのパージ装置41と、ノズル面32に付着しているインクを拭き取るためのワイパー42とを備えている。図4(b)に示すように、パージ装置41は、メンテナンス位置にある液体吐出ヘッド4の下方に配置されたキャップ43と、キャップ43をノズル面32に当接しているキャッピング位置(上方位置)とノズル面32から離れている退避位置(下方位置)との間で移動させる移動機構44と、キャップ43に設けられた排出孔に接続チューブ45を介して接続された負圧吸引ポンプ46と、この負圧吸引ポンプ46に接続されて吸引された排インクを回収する排インクタンク47とを備えている。
【0023】
図4(a)に示すように、印刷時のキャリッジ5は、ガイドレール21,22上面を第一接触部であるスライダ24,25で接触しつつ摺動する。一方、図4(b)に示すように、メンテナンス位置にあるキャリッジ5は、キャッピング位置にあるキャップ43により押し上げられることによって、ガイドレール21,22からスライダ24,25が離れ、ガイドレール21,22の下面と第二接触部である位置決め部5a,5bで当接している。このように、メンテナンス位置にあるキャリッジ5が、位置決め部5a,5bによってキャップ43からの圧を受け得る位置に固定された状態で、液体吐出ヘッド4に対してパージ動作が行われる。
【0024】
[保護ケース]
続いて、保護ケース50について説明する。図5は保護ケースとこれに収容されたヘッドユニットとを分解して示す分解斜視図である。図5に示すように、保護ケース50は、液体吐出ヘッド4とキャリッジ5とから成るヘッドユニット10を収容するためのケースであり、液体吐出ヘッド4のノズルから液体(インク)が漏れたり、ノズル内の液体が乾燥して変質したりすることを防ぐものである。保護ケース50は、上面にヘッドユニット10を挿入するための開口を有するケース本体51と、ケース本体51に装着されてこのケース本体の開口を閉塞する蓋体52とを備えている。以下では、特にことわりがなければ、ケース本体51に対し蓋体52が装着される方向を上方として、その逆を下方とし、この上下方向を「第一方向」として説明する。また、この第一方向と略直交し且つヘッドユニット10のプリンタ1での走査方向に対応する方向を「第二方向」とし、第一方向及び第二方向と略直交する方向を「第三方向」とする。
【0025】
図6は蓋体の底面図、図7は蓋体の下方からの斜視図である。図5〜7に示すように、蓋体52には、ケース本体51の側面に形成された係止突起519,,519と係止してケース本体51に蓋体52を固定する係止爪522,,522が側面に形成されている。さらに、蓋体52には、ケース本体51に収容されたヘッドユニット10の第二方向への移動を規制する第二方向移動規制部521,521と、ストッパ64を動作させるストッパ作動部523,523とが、いずれも内天井から垂下するように形成されている。蓋体52に設けられたこれらの部位の機能については後述する。
【0026】
図8はケース本体の平面図、図9はケース本体の分解斜視図、図10はストッパが第二位置にあるときのケース本体を第三方向に切断した断面の概略図である。図5,8〜10に示すように、ケース本体51は、ヘッドユニット10の外形形状に応じた内形形状を有するポリオキシメチレン樹脂の成形体である。このケース本体51は、内底面に、略中央の第一底面510と、この第一底面510を挟んで両側にそれよりも高段の第二底面511及び第三底面512とを有しており、第三底面512、第一底面510、第二底面511の順に第三方向に並んでいる。ヘッドユニット10は、前述の通りタンク部6の供給口61a〜61dに供給口封止部材14が取り付けられ、液体吐出ヘッド4のノズル面32を下方に向けてケース本体51に収容される。
【0027】
ケース本体51の第二底面511には、スライダ受け514a,514aが形成されており、同じく第三底面512には、スライダ受け514bが形成されている。これらのスライダ受け514a,514a,514bは、ケース本体51に収容されたヘッドユニット10のキャリッジ5の下面に設けられたスライダ24,24,25が、その上部に当接するように配置されている。また、これらのスライダ受け514a,514a,514bは、その上をスライダ24,24,25が第二方向へ摺動できるように、第二方向に伸びるレール形状を有している。
【0028】
ケース本体51の第一底面510には、位置決め部受け517,517が形成されており、同じく第三底面512には、位置決め部受け513,513が形成されている。これらの位置決め部受け517,517,513,513は、いずれも爪形状を有し、キャリッジ5に設けられた位置決め部5a,5a,5b,5bが、爪の下面に接触して引っかかるように構成されている。そして、これらの位置決め部受け517,517,513,513は、ヘッドユニット10がスライダ受け514a,514b上をスライダ24,25で接触しながら第二方向へケース本体51の内側に当接するまで移動した後の状態で、初めてヘッドユニット10に対して作用できる位置に配置されている。前述のスライダ受け514a,514bと、この位置決め部受け513,517とは、収容されたヘッドユニット10に作用してその第一方向の移動を規制する第一方向移動規制部として機能する。
【0029】
そして、ケース本体51の第三底面512には、第三方向移動規制部516,516が設けられている。この第三方向移動規制部516は、ケース本体51の第三底面512から起立するように形成された板バネ状体であって、キャリッジ5の第三方向の一端がケース本体51の内側に当接した状態で、その他端が当接する位置に設けられている。
【0030】
(封止キャップ)
図11はケース本体を第二方向に切断した断面の概略図である。図8〜11に示すように、ケース本体51の第一底面510は、ケース本体51に収容されたヘッドユニット10のノズル面32と対向する部分であり、この第一底面510のノズル面32と対向する位置には、封止キャップ53が設けられている。この封止キャップ53は、ノズル面32の保護や液体の変質防止のためにノズル面32を封止することを目的として合成ゴムで構成され、少なくともノズル面32を覆う大きさに形成されている。封止キャップ53は、略矩形板状体であって、その上面に液体吐出ヘッド4のノズル面32に開口しているノズルを包囲するような枠形状のリップ(突条)が形成されている。そして、封止キャップ53のリップの上端面がノズル面32に密着したときに、封止キャップ53内に封止された内部空間が形成されるようになっている。
【0031】
封止キャップ53は、ケース本体51内に可動に設けられたキャップホルダ54に固定されており、これらの封止キャップ53とキャップホルダ54とは一体的なキャップユニット56を構成している。封止キャップ53は、その上面が保護ケース50に収容された液体吐出ヘッド4のノズル面32に接触してノズルを封止する上段のキャッピング位置と、その上面がノズル面32から離れてノズルを封止しない下段の退避位置との間を、キャップユニット56として第一方向に移動することができる。
【0032】
キャップホルダ54は、第三方向から見て略U字状の弾性変形可能な枠部54bと、枠部54bのU字の内底部分に形成されて封止キャップ53を保持するキャップ保持部54aと、枠部54bのU字の両端外側部分に形成された係止部54c,54cとを、一体的に備えている。キャップ保持部54aは、封止キャップ53をそのリップを上方へ突出させた状態に嵌め込むことのできる箱形状を有し、このキャップ保持部54aの底面とケース本体51の第一底面510との間には、キャップユニット56を退避位置からキャッピング位置へ向かう方向へ付勢する付勢手段であるバネ55,,,55が介装されている。さらに、ケース本体51には、キャップ保持部54aの四隅において、キャップユニット56を左右に振れずに第一方向へ移動させるために、キャップ保持部54aの第一方向への移動を案内するガイド柱518,,,518が形成されている。なお、バネ55は、封止キャップ53をノズル面32へ圧接させるために、キャップユニット56を十分に付勢でき、且つ、その付勢によりノズル面32が過度に圧を受けてクリープ変形しない程度のバネ係数のものが採用される。
【0033】
また、キャップホルダ54の係止部54cは、ケース本体51の内壁に設けられた被係止部515に係止するものであり、係止部54cと被係止部515とが係止することによって、封止キャップ53が退避位置に保持される。このキャップホルダ54の係止部54cと、ケース本体51の内壁に設けられた被係止部515とは、封止キャップ53を退避位置で保持する位置保持機構を構成している。そして、このように封止キャップ53が退避位置に保持されている状態から、キャップホルダ54の枠部54bのU字の両端部を内側へ撓ませるように弾性変形させて係止部54cと被係止部515との係止を解除すると、キャップユニット56はバネ55の付勢によりキャッピング位置へ上昇する。逆に、キャップユニット56がキャッピング位置にあるときに、キャップホルダ54の枠部54bのU字の両端部を内側へ撓ませるように弾性変形させながら、キャップユニット56をバネ55の付勢力に抗して押し下げ、係止部54cがケース本体51の被係止部515よりも下がったところで弾性変形を回復させると、係止部54cと被係止部515とが係止し、キャップユニット56を退避位置に保持させることができる。
【0034】
(ストッパ)
図12はストッパが第一位置にあるときのケース本体を第三方向に切断した断面の概略図である。図8〜10及び12に示すように、ケース本体51の第一底面510には、ストッパ64が着脱可能に設けられている。このストッパ64は、封止キャップ53の移動規制部材であって、封止キャップ53を固定したキャップホルダ54のキャップ保持部54aのノズル面32と反対側に接触して、封止キャップ53のキャッピング位置から退避位置への移動を規制する機能部(規制部64c)を有している。このストッパ64は、規制部64cが封止キャップ53のキャッピング位置と退避位置との間において封止キャップ53と第一方向に重複する「第一位置」と、規制部64cを含め全体が封止キャップ53と第一方向に重複しない「第二位置」との間を、第一方向と略直交する方向(第三方向)に往復移動できるように構成されている。つまり、ストッパ64を第一位置と第二位置とに適宜移動させることによって、封止キャップ53は、キャッピング位置から付勢力に抗してノズル面32から離れる方向への移動が規制された状態と、キャッピング位置から退避位置への移動が許容された状態との、いずれかの状態を選択的にとることができる。
【0035】
ストッパ64は、作動面64aと、ケース当接面64bと、規制部64cと、スライダ部64dと、キャップ当接面64eと、液溜室64fとを、一体的に備えている。以下、ストッパ64に備えられたこれらの機能部について詳細に説明する。
【0036】
作動面64aは、蓋体52に設けられたストッパ作動部523,523が当接するように形成された斜面である。なお、斜面は作動面64aではなく、ストッパ作動部523に設けることもできる。ケース本体51に蓋体52を装着するときに、作動面64aにストッパ作動部523の作用面523aが当接し、ストッパ作動部523がケース本体51の底面側へ移動するにしたがって、ストッパ64は第二位置から第一位置まで押し動かされる。さらに、作動面64aには、規制突起64iが設けられている。この規制突起64iは、ストッパ作動部523の規制面523bと当接して、ストッパ作動部523がそれ以上にケース本体51の底面側へ移動することを規制するものである。なお、蓋体52のストッパ作動部523は、ストッパ64が第一位置へ移動して、その規制面523bとストッパ64の規制突起64iが当接するまで、ストッパ64の作動面64aと干渉し続けて、ケース本体51に蓋体52が完全に閉まらない(ケース本体51の係止突起519と蓋体52の係止爪522とが係合しない)ように構成されている。
【0037】
ケース当接面64bは、ストッパ64が第一位置にあるときに、ケース本体51に設けられたストッパ規制面525と当接できるように設けられている。ストッパ64のケース当接面64bが、ケース本体51のストッパ規制面525と当接することで、ストッパ64の第二位置から第一位置へ向かう第三方向への移動が規制される。
【0038】
規制部64cは、ストッパ64のキャップユニット56側の部分に設けられている。規制部64cは、ストッパ64が第一位置にあるときに、封止キャップ53と第一方向に重複し、且つ、キャッピング位置にある封止キャップ53を保持したキャップホルダ54のキャップ保持部54aのノズル面32と反対側に接触して、封止キャップ53のキャッピング位置から退避位置への移動を規制することができる。なお、規制部64cは、ストッパ64が第二位置にあるときに、封止キャップ53と第一方向に重複せず、第一方向へ往復移動する封止キャップ53に干渉しない。
【0039】
スライダ部64dは、ストッパ64のケース本体51の底面との接触部位に設けられて、ケース本体51の第一底面510に形成された第三方向へ延びるレール520に案内されるように形成されている。このストッパ64のスライダ部64dが、レール520に案内されることによって、ストッパ64は、第一位置と第二位置との間を第三方向へ往復移動することができる。
【0040】
キャップ当接面64eは、ストッパ64の最もキャップユニット56側に設けられており、キャップユニット56が退避位置にあるときにのみ、キャップユニット56に当接できるように設けられている。そして、キャップユニット56が退避位置にあるときには、キャップ当接面64eとキャップユニット56とが当接することによって、ストッパ64の第二位置から第一位置への第三方向への移動が規制される。一方、キャップユニット56がキャッピング位置にあるときには、ストッパ64が第二位置から第一位置へ第三方向に移動しても、キャップ当接面64eはケース本体51の第一底面510とキャップユニット56との間に入り込んで、ストッパ64の第三方向への移動は規制されない。
【0041】
液溜室64fは、ストッパ64の或面において、幾度も折り返して蛇行するような形に掘られた溝と、この溝を覆うように前記或面に貼付されたフィルムとで形成された空間である。液溜室64fには、封止キャップ53に設けられた排出孔53a,53aと、連通路を形成する可撓性チューブ58で連結された供給口64g,64gが設けられている。可撓性チューブ58は、ストッパ64が第一位置と第二位置との間を往復移動しても十分に追従できる程度の長さを備えている。さらに、液溜室64fには、液溜室64fを大気に開放する大気開放口64hが設けられている。かかる構成により、封止キャップ53内の封止された内部空間にある液体吐出ヘッド4のノズルは、封止キャップ53内の封止された内部空間、可撓性チューブ58内の連通路、供給口64g、液溜室64f、及び大気開放口64hを通じて、大気開放される。よって、封止キャップ53で封止された空間は、大気開放されているので、温度環境の変化や封止キャップ53の変形などによって異常に高圧となることが防止され、液体吐出ヘッド4のメニスカスの破壊が防止されることとなる。また、封止キャップ53で封止されたノズルから吐出された液体は、液溜室64fに捕集される。なお、この液溜室64fに、液体の吸収体を充填させることもでき、これによれば、吸収体に吸収された液体の存在により、封止キャップ53内の封止された内部空間の湿度が適度に高く保たれ、ノズル内の液体の乾燥をより一層防止することができる。
【0042】
上述のように、ストッパ64が、液溜室64fとしての機能を併せ持つことによれば、ケース本体51内の空間を有効に利用することができる。また、ケース本体51内に液溜室64fが設けられることによれば、封止キャップ53の排出孔53aと液溜室64fとの接続を形成することが容易となる。
【0043】
(ヘッドユニットの保護ケースへの収容手順)
ここで、上記構成の保護ケース50にヘッドユニット10を収容する手順を説明する。図13はケース本体へのヘッドユニットの挿入手順を説明する図であり、(a)はケース本体にヘッドユニットを挿入した後の図、(b)はヘッドユニットを第二方向へスライドさせた後の図である。
【0044】
まず、ストッパ64が第二位置(図10)にあり、封止キャップ53が位置保持機構により退避位置に保持されていることを確認して、ヘッドユニット10をケース本体51の上面から挿入する。このとき、図13(a)に示すように、ヘッドユニット10は、キャリッジ5のスライダ24,24,25でスライダ受け514a,514a,514bと当接して支持され、第三方向の一方側でケース本体51の内壁と当接し、第三方向の他方側で第三方向移動規制部516,516と当接している。ここで、ヘッドユニット10は、第三方向移動規制部516によって、ケース本体51に対して第三方向へ相対的不動に固定されている。
【0045】
次に、図12(b)に示すように、キャリッジ5のスライダ24,24,25をスライダ受け514a,514a,514b上で滑らせて、ヘッドユニット10を第二方向の一方側へケース本体51の内壁に当接するまで移動させると、位置決め部受け513,513,517,517の爪の下方にキャリッジ5の位置決め部5a,5a,5b,5bが入り込む。このとき、ヘッドユニット10は、スライダ24,25がスライダ受け514a,514bの上面に当接することによって第一方向のうち一方(下方)への移動が規制され、位置決め部受け513,517の爪の下面に位置決め部5a,5bが当接することによって第一方向のうち他方(上方)への移動が規制されている。即ち、ヘッドユニット10は、第一方向における退避位置からキャッピング位置に向かう方向、及び、キャッピング位置から退避位置に向かう方向の双方向の移動が規制されて、ケース本体51に対して第一方向へ相対的不動に固定されている。
【0046】
続いて、キャップホルダ54を操作して係止部54cと被係止部515との係止を解除する。すると、封止キャップ53はバネ55の付勢によりそのリップがヘッドユニット10のノズル面32と接触するキャッピング位置まで上昇する。このとき、封止キャップ53のリップはノズル面32に圧接されて、ノズル面32に開口しているノズルを封止している。
【0047】
そして、ケース本体51の上面の開口を閉塞するように蓋体52をケース本体51の底面側へ向けて移動させると、その過程で蓋体52の第二方向移動規制部521,521がヘッドユニット10の第二方向一方端に当接して、ヘッドユニット10はケース本体51の内壁と第二方向移動規制部521とに挟まれる。これにより、ヘッドユニット10は、第二方向への移動が規制されて、保護ケース50に対して第二方向へ相対的不動に固定される。
【0048】
さらに、蓋体52がケース本体51の底面側へ向けて移動する過程で、蓋体52のストッパ作動部523が、ストッパ64の作動面64aに当接して、ストッパ64を第二位置(図10)から第一位置(図12)まで第三方向へ移動させる。第一位置にあるストッパ64の規制部64cにより、キャッピング位置にある封止キャップ53(キャップユニット56)は、ノズル面から離れる方向への移動が規制された状態となる。最後に、ケース本体51の係止突起519と蓋体52の係止爪522とが係止して、ヘッドユニット10が収容されたケース本体51に蓋体52が固定される。
【0049】
上述のように、保護ケース50に収容されたヘッドユニット10は、第一方向移動規制部により第一方向への移動が規制され、ケース本体51の内壁と第二方向移動規制部521により第二方向への移動が規制され、ケース本体51の内壁と第三方向移動規制部516により第三方向への移動が規制されている。つまり、ヘッドユニット10はケース本体51に対して相対的に固定されている。従って、ヘッドユニット10が収容された保護ケース50が落下するなどして強い衝撃を受けても、ヘッドユニット10は保護ケース50に対して相対的に固定されて動かない。
【0050】
一方、保護ケース50が強い衝撃を受けるとキャップユニット56の慣性力がキャップユニット56を付勢しているバネ55の付勢力に打ち勝って、バネ55が伸縮しようとする。しかし、封止キャップ53(キャップユニット56)のノズル面32から離れる方向には、第一位置にあるストッパ64の規制部64cが存在するので、封止キャップ53は移動が規制される。このように、ヘッドユニット10(液体吐出ヘッド4)が収容された保護ケース50において、ストッパ64を第一位置として、封止キャップ53をキャッピング位置から付勢力に抗してノズル面から離れる方向への移動が規制された状態とすれば、例え保護ケース50が強い衝撃を受けても、封止キャップ53により液体吐出ヘッド4のノズル面が封止されている状態が維持されるので、捕集された液体が封止キャップ53から漏れ出たり、ノズル内の液体が変質したりすることを、防止できる。
【0051】
また、ヘッドユニット10をケース本体51に挿入するときには、ストッパ64を第二位置とし、封止キャップ53を退避位置とすれば、液体吐出ヘッドのノズル面を封止キャップと干渉させることがなく、ノズル面を汚すことのない安定した挿入作業を行うことができる。
【0052】
さらに、ヘッドユニット10をケース本体51に挿入したあとで、ケース本体51に蓋体52を装着するときに、封止キャップ53が退避位置にあれば、ストッパ64のキャップ当接面64eがキャップユニット56に当接するので、ストッパ64は第二位置から第一位置へ移動することができない。ストッパ64が第一位置になければ、ケース本体51のストッパ作動部523とストッパ64の作動面64aとが干渉して、或位置からは蓋体52をケース本体51の底面側へ移動させることができなくなり、蓋体52を完全に閉めることができない。このように、ストッパ64は、封止キャップ53がキャッピング位置にないこと、つまり、ノズルが封止されていないことを、作業者に対して警報する機能も併せ持っている。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係る液体吐出ヘッド用保護ケースは、ノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドを収容することができ、液体吐出ヘッドを収容した保護ケースが大きな衝撃を受けてもノズル面が封止キャップに密着している状態を維持でき、これによって収容された液体吐出ヘッドのノズルからの液漏れ及びノズル内の液体の乾燥を抑制することができる優れた効果を有し、液体吐出ヘッド等の液滴を吐出する装置を収容するものに適用すると有益である。
【符号の説明】
【0054】
3 ヘッド部
4 液体吐出ヘッド
5 キャリッジ
5a,5b 位置決め部
6 タンク部
10 ヘッドユニット
50 保護ケース
51 ケース本体
513,517 位置決め部受け
514a,514b スライダ受け
516 第三方向移動規制部
52 蓋体
521 第二方向移動規制部
523 ストッパ作動部(移動規制部材作動部)
53 封止キャップ
54 キャップホルダ
55 バネ
56 キャップユニット
64 ストッパ(移動規制部材)
64a 作動面
64b ケース当接面
64c 規制部
64d スライダ部
64e キャップ当接面
64f 液溜室
64g 供給口
64h 大気開放口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
そのノズル面に開口する複数のノズルから液体を吐出するように構成された液体吐出ヘッドを収容するための液体吐出ヘッド用保護ケースであって、
前記液体吐出ヘッドを挿入するための開口を有するケース本体と、前記ケース本体に装着されて前記ケース本体の前記開口を閉塞する蓋体とを備え、
前記ケース本体は、
前記ケース本体に収容された前記液体吐出ヘッドの前記ノズルを封止するキャッピング位置と、前記ノズルを封止しない退避位置との間を第一方向に往復移動可能である封止キャップと、
前記封止キャップを前記退避位置から前記キャッピング位置へ向かう方向へ付勢する付勢部材と、
前記封止キャップを前記退避位置で保持する位置保持機構と、
前記封止キャップの前記ノズル面と反対側に接触して前記封止キャップの前記キャッピング位置から前記退避位置への移動を規制する機能部を有し、その機能部が前記封止キャップの前記キャッピング位置と前記退避位置との間において前記封止キャップと前記第一方向に重複する第一位置と、前記封止キャップと前記第一方向に重複しない第二位置との間を前記第一方向と略直交する方向に往復移動できるように構成されている移動規制部材とを、
備えていることを特徴とする液体吐出ヘッド用保護ケース。
【請求項2】
前記移動規制部材は、液溜室と、前記液溜室に連通された供給口と、前記液溜室を大気に開放する大気開放口とを有し、
前記封止キャップは、捕集した液体を排出する排出口を有し、
前記移動規制部材の前記供給口は前記封止キャップの前記排出口と連通路で接続されている、
請求項1に記載の液体吐出ヘッド用保護ケース。
【請求項3】
前記蓋体は、前記移動規制部材に当接する移動規制部材作動部を備え、
前記移動規制部材は、前記移動規制部材作動部が当接する作動面を有し、
前記移動規制部材作動部は、前記蓋体を前記ケース本体に装着する動作に伴って前記作動面に当接し、前記移動規制部材を前記第二位置から前記第一位置まで押し動かすように構成されている、
請求項1又は請求項2に記載の液体吐出ヘッド用保護ケース。
【請求項4】
前記移動規制部材作動部は、前記移動規制部材が前記第一位置へ移動するまで、前記蓋体が閉まらないように前記移動規制部材と干渉するように構成され、
前記移動規制部材は、前記退避位置の前記封止キャップに当接して、前記第二位置から前記第一位置への移動が規制されるように構成されている、
請求項3に記載の液体吐出ヘッド用保護ケース。
【請求項5】
前記移動規制部材は、前記退避位置の前記封止キャップに当接して、前記第二位置から前記第一位置への移動が規制されるように構成されている、
請求項1に記載の液体と出ヘッド用保護ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−73254(P2011−73254A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226499(P2009−226499)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】