説明

液体吐出装置及びそのクリーニング方法

【課題】顔料インクと染料インクとを用いるインクジェットプリンタにおいて、顔料インクの拭き残しによるクリーニング性能の低下を防止する。
【解決手段】インクジェットプリンタは、記録ヘッドの吐出面を清掃するワイパブレード36と、このワイパブレード36を清掃するブレードクリーナ40とを有している。ブレードクリーナ40は、支持機構41に取り付けられている。支持機構41は、ワイパブレード36に接触させる第1位置と、吸収体に接触させる第2位置との間でブレードクリーナ40を移動させる。支持機構41は、ブレードクリーナ40が第2位置に移動する際に、カム65を支持軸55に接触させ、顔料インクの位置よりも染料インクの位置の方が高くなるようにブレードクリーナ40を傾ける。これにより、拭き取り面40a上で各インクが混ざり、顔料インクが溶解して吸収体に吸収されやすくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出手段の吐出面に付着した顔料インクと染料インクとを拭取部材で拭き取る液体吐出装置、及びそのクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出装置の1つとして、インクジェットプリンタが知られている。インクジェットプリンタは、インクを吐出する吐出口が設けられたインク吐出方式の記録ヘッドを備え、この記録ヘッドからインクを液滴として吐出し、これを記録媒体に付着させて画像を記録する。インクジェットプリンタには、インクを収納するインクカートリッジが着脱自在に取り付けられる。インクジェットプリンタは、このインクカートリッジから記録ヘッドにインクを供給する。記録ヘッドは、例えば、吐出口が形成されたノズルと、ピエゾ素子によって駆動される振動板とを備えている。記録ヘッドは、振動板の振動による圧力変化を利用して、インクカートリッジからインクをノズルに吸引し、吐出口から噴射する。
【0003】
このようなインクジェットプリンタでは、記録ヘッドの吐出口付近に、例えば、乾燥によって増粘したインクが付着したり、記録媒体からの紙粉やほこりなどの異物が付着したりすると、吐出口が詰まってインクが吐出されなくなったり、意図しない方向にインクが吐出されてしまうなどの吐出不良の要因となる。また、ノズルの内部に気泡が侵入すると、吐出口からのインクの吐出状態が不安定になってしまう。
【0004】
このため、多くのインクジェットプリンタには、記録待機時や保管時などの非記録時に記録ヘッドの吐出面にキャップを被せて吐出口付近でのインクの乾燥を防止するキャッピング機構や、キャップを被せた状態でキャップに接続された吸引ポンプを駆動することにより、ノズル内の増粘インクや気泡などをインクとともに吸引除去する吸引回復機構、及びゴムなどの弾性材料で成形されたワイパブレードを記録ヘッドの吐出面に摺動させることにより、吐出面に付着した不要なインクや紙粉などの汚れを拭き取るワイピング機構などが設けられており、必要に応じて記録ヘッドのクリーニングを行うようにしている。
【0005】
上記のようなワイピング機構において、拭き取った汚れをワイパブレードに付着させたままにしておくと、インクが固化し、ワイパブレードのクリーニング性能が低下する。これを防止するため、特許文献1に記載されたインクジェットプリンタでは、ワイパブレード上を摺動するワイパフォームでワイパブレードに付着した汚れを吸収除去するとともに、汚れを吸収したワイパフォームをクリーナで洗浄することにより、ワイパブレードのクリーニング性能を維持するようにしている。
【0006】
ところで、近年では、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のインクを吐出することによって、カラーの画像を記録するインクジェットプリンタも登場している。一般的に、ブラックのインクには、顔料インクが用いられる。一方、イエロー、マゼンタ、シアンのカラーのインクには、染料インクが用いられる。この際、顔料インクは、染料インクに比べて増粘したり固化したりするまでの時間が短く、ワイパフォームなどの吸収体に対する吸収性が悪いため、拭き残りが生じやすいという問題がある。拭き残ったインクがワイパブレードに固着すると、前述のようにクリーニング性能の低下を招く。また、ワイパブレードに固着したインクをワイパフォームなどで無理に擦り取ろうとすると、ワイパブレードやワイパフォームに傷を付けてしまう可能性もある。
【0007】
これを解決するため、特許文献2には、顔料インク用のワイピング機構と染料インク用のワイピング機構とを設け、顔料インク用のワイピング機構で染料インクの吐出面をワイピングし、顔料インク用のワイパブレードに染料インクを付着させることにより、顔料インク用のワイパブレードに固着した顔料インクを染料インクで溶解させることが記載されている。このように顔料インクを溶解させれば、吸収体に対する吸収性が向上するので、拭き残しによるクリーニング性能の低下を抑えることができる。
【特許文献1】特開平9−234878号公報
【特許文献2】特開2002−103646号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2のように顔料インク用のワイピング機構で染料インクの吐出面をワイピングすると、染料インクの吐出面に顔料インクが付着し、不要な混色が生じてしまう恐れがある。また、特許文献2の構成では、染料インクの吐出面と染料インク用の吸引回復機構とが対面した状態から、染料インクの吐出面と顔料インク用のワイピング機構とが対面した状態に記録ヘッドを移動させなければならず、クリーニングに時間が掛かってしまうという問題もある。
【0009】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、顔料インクと染料インクとを用いるインクジェットプリンタなどの液体吐出装置において、顔料インクと染料インクとの不要な混色と、クリーニングの長時間化とを招くことなく、顔料インクの拭き残しによるクリーニング性能の低下を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の液体吐出装置は、顔料インクを吐出する顔料インク吐出部と染料インクを吐出する染料インク吐出部とが設けられた吐出面を有する液体吐出手段と、前記吐出面に付着した前記各インクを拭き取る第1拭取部材と、前記第1拭取部材と接触することによって前記第1拭取部材に付着した前記各インクを拭き取る拭き取り面を有する第2拭取部材と、前記拭き取り面に付着した前記染料インクを前記拭き取り面上を伝わせて前記顔料インク側に移動させることにより、前記拭き取り面上で前記各インクを混ぜ合わせるインク混合手段とを設けたことを特徴とする。
【0011】
なお、前記インク混合手段は、前記顔料インクの位置よりも前記染料インクの位置の方が高くなるように前記第2拭取部材を傾けることによって前記染料インクを前記顔料インク側に移動させることが好ましい。
【0012】
また、前記拭き取り面に接触することによって前記拭き取り面に付着した前記各インクを回収する回収手段と、前記第1拭取部材に前記拭き取り面を接触させるための第1位置と、前記回収手段に前記拭き取り面を接触させるための第2位置との間で前記第2拭取部材を移動させるインク回収用移動手段とを設け、前記インク混合手段は、前記インク回収用移動手段が前記第1位置から前記第2位置に前記第2拭取部材を移動させる間に、前記第2拭取部材を傾けることが好ましい。
【0013】
さらに、前記第2拭取部材は、略長方形の薄板状に形成されるとともに、短辺側の両端面から突出するように形成された支持軸を有し、前記インク混合手段は、前記支持軸と略平行な回転軸と、前記回転軸に回動自在に取り付けられるとともに、前記支持軸と係合する長穴を有し、この長穴と前記支持軸との係合によって前記第2拭取部材を前記回転軸に取り付ける一対のアームと、前記第2拭取部材を前記回転軸側に引き付けるように付勢する付勢手段と、前記回転軸に取り付けられ、前記回転軸を軸に回転して前記第2拭取部材が前記第1位置から前記第2位置に移動する際に前記第2拭取部材と接触し、前記付勢手段の付勢に抗して前記長穴に沿うように移動させることで前記第2拭取部材を傾けるカムとからなることが好ましい。
【0014】
なお、前記第1拭取部材を平行移動させることによって前記吐出面の拭き取りを前記第1拭取部材に行わせる吐出面清掃用移動手段を有し、前記インク回収用移動手段は、前記吐出面清掃用移動手段の駆動力を前記第2拭取部材に伝えることによって、前記第1位置と前記第2位置との間で前記第2拭取部材を移動させることが好ましい。
【0015】
また、前記各吐出部の配列方向と前記第1拭取部材の拭き取り方向とが略直交していることが好ましい。
【0016】
さらに、本発明の液体吐出装置は、顔料インクを吐出する顔料インク吐出部と染料インクを吐出する染料インク吐出部とが設けられた吐出面を有する液体吐出手段と、前記吐出面に付着した前記各インクを拭き取る第1拭取部材と、前記第1拭取部材と接触することによって前記第1拭取部材に付着した前記各インクを拭き取る拭き取り面を有し、拭き取った前記顔料インクの位置よりも拭き取った前記染料インクの位置の方が高くなるように傾いて前記拭き取り面の下端部が形成され、前記下端部を伝わせて前記染料インクを前記顔料インク側に移動させることにより、前記拭き取り面上で前記各インクを混ぜ合わせる第2拭取部材とを設ける構成でもよい。
【0017】
なお、本発明のクリーニング方法は、顔料インクを吐出する顔料インク吐出部と染料インクを吐出する染料インク吐出部とが設けられた吐出面を有する液体吐出手段と、前記吐出面に付着した前記各インクを拭き取る第1拭取部材と、前記第1拭取部材と接触することによって前記第1拭取部材に付着した前記各インクを拭き取る拭き取り面を有する第2拭取部材と、前記拭き取り面に接触することによって前記拭き取り面に付着した前記各インクを回収する回収手段とを備えた液体吐出装置において、前記吐出面に付着した前記各インクを前記第1拭取部材で拭き取るステップと、前記第1拭取部材に付着した前記各インクを前記第2拭取部材で拭き取るステップと、前記拭き取り面に付着した前記染料インクを前記拭き取り面上を伝わせて前記顔料インク側に移動させることにより、前記拭き取り面上で前記各インクを混ぜ合わせるステップと、混ざり合った前記各インクを前記回収手段で回収するステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、第2拭取部材の拭き取り面に付着した染料インクを拭き取り面上を伝わせて顔料インク側に移動させることにより、拭き取り面上で各インクを混ぜ合わせるインク混合手段を設けた。これにより、染料インクによって顔料インクが溶解し、吸収体などに吸収されやすくなるので、顔料インクの拭き残しによるクリーニング性能の低下を防止することができる。また、顔料インク吐出部と染料インク吐出部とに異なるインクが付着することもないので、クリーニングによって不要な混色を招くこともない。さらには、顔料インクを溶解させるために記録ヘッドなどを移動させる必要もないので、クリーニングの長時間化を招くことなくもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、インクジェットプリンタ(液体吐出装置)2の構成を概略的に示す説明図である。インクジェットプリンタ2は、用紙10にインクを吐出して付着させることにより画像を記録する記録ヘッド(液体吐出手段)12が設けられた記録部4と、記録ヘッド12の吐出面12a(図2参照)のクリーニングを行うヘッドクリーニング部6と、インクジェットプリンタ2の各部を統括的に制御するコントローラ8とからなる。
【0020】
記録部4は、記録ヘッド12が取り付けられたキャリッジ13と、一対のガイド棒14、15と、ヘッド移動機構16とを有している。また、記録部4は、図中Yで示す副走査方向に用紙10を送る搬送ローラ(図示は省略)を有している。各ガイド棒14、15は、図中Xで示す用紙10の幅方向(以下、主走査方向と称す)と略平行に配置されている。ヘッド移動機構16は、一対のプーリ17と、各プーリ17に巻き掛けられた無端ベルト18と、一方のプーリ17を回転駆動するモータ19とで構成されている。モータ19は、コントローラ8に接続されており、コントローラ8からの駆動信号に応じてプーリ17を回転駆動する。
【0021】
キャリッジ13は、各ガイド棒14、15にスライド自在に取り付けられている。また、キャリッジ13は、無端ベルト18に接続されている。ヘッド移動機構16は、モータ19によってプーリ17を回転させるとともに、このプーリ17に従動させて無端ベルト18を回転させることにより、キャリッジ13を主走査方向に移動させる。
【0022】
記録部4は、コントローラ8の制御の下、キャリッジ13とともに記録ヘッド12を主走査方向に往復動させながら、画像をライン記録する。コントローラ8は、記録ヘッド12が主走査方向に1往復動する毎に搬送ローラを駆動し、記録ヘッド12の記録幅分だけ用紙10を副走査方向に送る。この動作を繰り返すことにより、1画面分の画像を用紙10に記録する。
【0023】
ヘッド移動機構16の一端には、記録ヘッド12と用紙10とが対面しない領域(以下、ホームポジションと称す)が設けられている。コントローラ8は、電源OFF時や記録待機時などの非記録時に、キャリッジ13をホームポジションに保持する。
【0024】
キャリッジ13には、図示を省略したスロットが形成されている。スロットには、ブラックのインクを収納した第1インクカートリッジ20B、イエローのインクを収納した第2インクカートリッジ20Y、マゼンタのインクを収納した第3インクカートリッジ20M、シアンのインクを収納した第4インクカートリッジ20Cの4つのインクカートリッジ20B、20Y、20M、20Cが着脱自在に取り付けられる。
【0025】
第1インクカートリッジ20Bが収容するブラックのインクには、顔料インクが用いられる。一方、第2〜第4インクカートリッジ20Y、20M、20Cが収納するイエロー、マゼンタ、シアンのカラーインクには、染料インクが用いられる。
【0026】
スロットには、各インクカートリッジ20B、20Y、20M、20Cに応じた4つのインク供給針(図示は省略)が設けられている。各インク供給針は、注射針の如くパイプ状に形成されており、記録ヘッド12にインクを送り込む流路の一部を構成する。各インクカートリッジ20B、20Y、20M、20Cがスロットに挿し込まれると、インクカートリッジ20B、20Y、20M、20Cの底部に設けられたインク取出部21にインク供給針が突き刺さるようになっている。各インクカートリッジ20B、20Y、20M、20Cに収納されたインクは、インク取出部21とインク供給針とを介して記録ヘッド12に供給される。
【0027】
図2に示すように、キャリッジ13の底面13aには、記録ヘッド12の吐出面12aを露呈させるための開口13bが形成されている。記録ヘッド12は、キャリッジ13の底面13aと略面一に吐出面12aを露呈させる。記録ヘッド12は、各インクカートリッジ20B、20Y、20M、20Cから供給されたインクを吐出するための複数のノズル(図示は省略)を備えている。吐出面12aには、各ノズルの吐出口24が露呈している。
【0028】
各吐出口24は、副走査方向の下流側から見て左から順に、第1インクカートリッジ20Bから供給されるブラックのインクを吐出するブラック用吐出口群(顔料インク吐出部)26B、第2インクカートリッジ20Yから供給されるイエローのインクを吐出するイエロー用吐出口群(染料インク吐出部)26Y、第3インクカートリッジ20Mから供給されるマゼンタのインクを吐出するマゼンタ用吐出口群(染料インク吐出部)26M、第4インクカートリッジ20Cから供給されるシアンのインクを吐出するシアン用吐出口群(染料インク吐出部)26Cに分けられている。各吐出口群26B、26Y、26M、26Cは、主走査方向に沿って並べられている。
【0029】
記録ヘッド12には、ピエゾ素子によって駆動される振動板が各ノズルのそれぞれに対応して設けられている。記録ヘッド12は、振動板の振動による流路内の圧力変化によってインクを吸引し、吐出口24から噴射する。記録ヘッド12は、各吐出口群26B、26Y、26M、26Cのそれぞれの吐出口24から各色のインクを噴射することにより、用紙10にカラーの画像を記録する。
【0030】
図1に戻って、ヘッドクリーニング部6は、記録ヘッド12の吐出面12aに付着したインクや紙粉などの汚れをワイパブレード(第1拭取部材)36によって拭き取るワイパ部30と、ワイパブレード36に付着した汚れを拭き取ってワイパブレード36をクリーニングするブレードクリーニング部32と、記録ヘッド12に設けられた各ノズルの目詰まりを防止する吸引回復部34とで構成されている。ヘッドクリーニング部6の各部は、ホームポジションに配置されている。ヘッドクリーニング部6による吐出面12aのクリーニングは、例えば、画像記録の前後やユーザからヘッドクリーニングが指示された際などの所定のタイミングで実行される。
【0031】
ワイパ部30は、ワイパブレード36と移動機構(吐出面清掃用移動手段)37とを有している。ワイパブレード36は、略長方形の薄板状に形成され、主走査方向と略平行かつ長手方向の一側端部(以下、上端部と称す)が吐出面12aに対して略垂直に接触するように配置されている。また、ワイパブレード36は、上端部の長さが吐出面12aの主走査方向の幅よりも僅かに長くなるように形成されている。このワイパブレード36には、ゴムなどの弾性材料が用いられる。
【0032】
移動機構37は、記録ヘッド12よりも副走査方向下流側に位置した初期位置と、記録ヘッド12よりも副走査方向上流側に位置した拭き取り終了位置との間で、ワイパブレード36を副走査方向に平行移動させる。移動機構37は、コントローラ8に接続されている。移動機構37は、通常、初期位置にワイパブレード36を保持し、コントローラ8からの指示に応じてワイパブレード36を拭き取り終了位置に移動させる。そして、拭き取り終了位置まで移動させた後、ワイパブレード36を初期位置に戻す。
【0033】
ワイパブレード36は、初期位置と拭き取り位置との間で移動する際に、その上端部が僅かに弾性変形するように吐出面12aに接触する。ワイパ部30は、このようにワイパブレード36を平行移動させ、吐出面12a上を摺動させることにより、吐出面12aに付着したインクや紙粉などの汚れを拭き取る。
【0034】
ブレードクリーニング部32は、ゴムなどの弾性材料によって略長方形の薄板状に形成されたブレードクリーナ(第2拭取部材)40と、このブレードクリーナ40を支持する支持機構(インク混合手段、インク回収用移動手段)41と、スポンジ又は多孔質体で構成される吸収体(回収手段)42とからなる。ブレードクリーナ40は、記録ヘッド12よりも副走査方向上流側かつワイパブレード36の拭き取り終了位置よりも副走査方向下流側で、ワイパブレード36と対面するように配置される。
【0035】
ブレードクリーナ40は、移動機構37の駆動によって拭き取り終了位置に移動するワイパブレード36と接触することにより、ワイパブレード36に付着したインクなどを拭き取ってワイパブレード36をクリーニングする。
【0036】
支持機構41は、ブレードクリーナ40を支持するとともに、主走査方向を回転軸としてブレードクリーナ40を回転させ、ブレードクリーナ40の拭き取り面40aをワイパブレード36に接触させるための第1位置(図中実線で示す位置)と、拭き取り面40aを吸収体42に接触させた第2位置(図中二点鎖線で示す位置)との間でブレードクリーナ40を移動させる。支持機構41は、ブレードクリーナ40がワイパブレード36のクリーニングを行った後、ブレードクリーナ40を第2位置に移動させる。これにより、ブレードクリーナ40に付着したインクなどの汚れが吸収体42に吸収され、ブレードクリーナ40がクリーニングされる。
【0037】
吸引回復部34は、キャップ45と、昇降機構46と、ポンプ47とで構成されている。キャップ45は、凹部45aを有する略直方体の開口箱状に形成されている。このキャップ45には、ゴムなどの弾性材料が用いられる。キャップ45は、ホームポジションに移動した記録ヘッド12の吐出面12aと対面するように配置されている。昇降機構46は、キャップ45を上下方向に移動させる。キャップ45は、昇降機構46の駆動により、吐出面12aに当接して吐出面12aを封止する位置と、吐出面12aから退避して記録ヘッド12の移動を許容する位置との間で移動する。吸引回復部34は、非記録時にキャップ45によって吐出面12aを封止することにより、ノズル内のインクが乾燥することを防止する。
【0038】
ポンプ47は、配管を介してキャップ45に接続されている。ポンプ47は、キャップ45が吐出面12aを封止した状態で凹部45a内の圧力を負圧にすることにより、記録ヘッド12に設けられた各ノズルから増粘状態のインクを吸引し、各ノズルの目詰まりを防止する。また、昇降機構46とポンプ47とは、コントローラ8に接続されている。吸引回復部34による各ノズルの目詰まり防止動作は、コントローラ8によって制御される。
【0039】
図3は、ワイパ部30とブレードクリーニング部32との構成を概略的に示す斜視図である。ワイパブレード36は、ベース部材50に取り付けられている。ベース部材50の一端には、接続部50aが形成されており、この接続部50aを介してラックギア52が取り付けられている。ラックギア52は、その長手方向が副走査方向と略平行となるようにベース部材50に取り付けられている。また、ラックギア52の副走査方向上流側の一端には、ギアが形成されていない平面部52aが設けられている。この平面部52aは、ワイパブレード36よりも副走査方向下流側まで形成されている。
【0040】
ブレードクリーナ40には、その長辺側の一端に四角柱状に形成された支持軸55が設けられている。支持軸55は、ブレードクリーナ40の短辺側の両端から突出するように形成されている。支持機構41は、支持軸55の両端と係合する一対のアーム60、61と、これらの各アーム60、61を支持する回転軸62とを有している。各アーム60、61には、支持軸55が挿通される略矩形の長穴60a、61aが形成されている。各アーム60、61は、ベアリングなどを介して回転軸62に回動自在に支持されている。回転軸62は、主走査方向と略平行に配置され、図示を省略した支持部材に固定されている。
【0041】
ブレードクリーナ40は、支持軸55と各長穴60a、61aとの係合により、各アーム60、61を介して回転軸62に回動自在に支持される。ブレードクリーナ40、及び各アーム60、61は、通常、図3に示すように鉛直方向に垂下した第1位置で保持される。ブレードクリーナ40は、第1位置にある状態で、ワイパブレード36と略平行になる。また、ブレードクリーナ40は、第1位置にある状態で、その下端部がワイパブレード36の上端部と接触するように、高さが決められている。
【0042】
支持軸55と回転軸62との間には、一対のコイルバネ(付勢手段)63、64が取り付けられている。コイルバネ63は、ブレードクリーナ40の短辺側の一方の端面とアーム60との間の中間付近に取り付けられている。同様に、コイルバネ64は、ブレードクリーナ40の短辺側の他方の端面とアーム61との間の中間付近に取り付けられている。各コイルバネ63、64は、ブレードクリーナ40を回転軸62に引き付けるように付勢する。これにより、ブレードクリーナ40は、各長穴60a、61aの各アーム60、61の後端側の面に支持軸55が当接した状態(図3に示す状態)で保持される。
【0043】
回転軸62には、略卵型に形成されたカム65と、ギア66とが設けられている。カム65は、長軸が副走査方向の下流側を向き、かつ鉛直方向に対して略45度の角度を成すように固定されている。また、カム65は、各アーム60、61の間で、かつアーム60側(副走査方向の下流側から見て左側)に寄せられて配置されている。
【0044】
カム65は、第1位置にあるブレードクリーナ40とは接触しないように、径が合わせられている。そして、カム65は、回転軸62を軸にブレードクリーナ40と各アーム60、61とが回転すると、ブレードクリーナ40の支持軸55と接触する。ブレードクリーナ40は、支持軸55とカム65とが接触すると、各長穴60a、61aに案内され、各コイルバネ63、64の付勢に抗して各アーム60、61の先端側に移動する。この際、アーム60側に寄せられてカム65が配置されているため、ブレードクリーナ40は、拭き取り面40aと略直交する方向を軸に回転し、アーム61側がアーム60側よりも高くなるように傾く(図11参照)。
【0045】
ギア66は、各アーム60、61の外側で、かつアーム60に近接して配置されている。ギア66は、ベアリングなどを介して回転軸62に回動自在に取り付けられている。ギア66には、アーム60と係合する係合部材67が設けられている。係合部材67は、略四角柱状に形成され、アーム60の副走査方向上流側の側面と係合する。これにより、矢線Aで示すように、アーム60側から見て時計方向にギア66が回転すると、係合部材67とアーム60との係合により、各アーム60、61、及びブレードクリーナ40が従動して時計方向に回転する。
【0046】
ギア66は、ギア68と噛合している。ギア68は、ベアリングなどを介して回転軸69に回動自在に取り付けられている。回転軸69は、回転軸62と略平行に配置され、図示を省略した支持部材に固定されている。各ギア66、68は、ワイパブレード36が拭き取り終了位置に移動する際に、ギア68がラックギア52と噛合するように、それぞれ直径や主走査方向の位置が合わせられている。
【0047】
ギア68は、拭き取り終了位置に移動するラックギア52と噛合すると、矢線Bで示すように、アーム60側から見て反時計方向に回転する。ギア68が反時計方向に回転すると、これに噛合するギア66が、矢線Aで示すように、時計方向に回転する。ギア66が時計方向に回転すると、前述のように、係合部材67とアーム60との係合によって、各アーム60、61、及びブレードクリーナ40が時計方向に回転する。
【0048】
このように、支持機構41は、ラックギア52、各ギア66、68、及び係合部材67を介して移動機構37の駆動力をブレードクリーナ40に伝えることにより、ブレードクリーナ40を回転させ、第1位置と第2位置との間でブレードクリーナ40を移動させる。また、第2位置に移動したブレードクリーナ40は、ワイパブレード36が拭き取り終了位置から初期位置に移動することにより、上記と反対の手順で第1位置に戻る。
【0049】
また、支持機構41には、ストッパ70が設けられている。ストッパ70は、四角柱状に形成され、その一端が図示を省略した支持部材に固定されている。このストッパ70は、アーム61の副走査方向上流側の側面と係合することにより、アーム61の回転を規制する。これにより、ブレードクリーナ40、及び各アーム60、61は、拭き取り終了位置に移動するワイパブレード36とブレードクリーナ40との接触によって、矢線Bで示す半時計方向への回転力が加わった際に、第1位置よりも副走査方向上流側に回転することが防止される。
【0050】
次に、図4〜図8の作用図を用いて上記構成によるインクジェットプリンタ2の作用について説明する。なお、図4〜図8では、アーム61、各コイルバネ63、64、及びストッパ70の図示を便宜的に省略している。インクジェットプリンタ2が記録待機状態にある場合、図4に示すように、ワイパブレード36は、記録ヘッド12よりも副走査方向下流側の初期位置に保持され、ブレードクリーナ40は、第1位置に保持される。また、記録待機状態にある場合、記録ヘッド12は、吸引回復部34のキャップ45と対面する位置に配置され、キャップ45によって吐出面12aが封止された状態で保持される。
【0051】
コントローラ8は、記録待機状態にある際に、記録ヘッド12の吐出面12aのクリーニングが指示されると、先ず、ポンプ47を駆動し、記録ヘッド12に設けられた各ノズルから不要なインクを吸引する。コントローラ8は、不要なインクの吸引を行うと、昇降機構46を駆動してキャップ45を吐出面12aから退避させる。そして、モータ19を駆動し、ワイパブレード36と対面する位置に記録ヘッド12を移動させる。
【0052】
コントローラ8は、記録ヘッド12を移動させると、移動機構37を駆動し、初期位置にあるワイパブレード36の拭き取り終了位置への移動を開始させる。ワイパブレード36は、拭き取り終了位置への移動が開始されると、図5に示すように、その先端部を吐出面12aに接触させ、吐出面12aに付着した汚れを拭き取る。
【0053】
前述のように、記録ヘッド12の吐出面12aに形成された各吐出口群26B、26Y、26M、26Cは、主走査方向に沿って並べられている(図2、9参照)。従って、副走査方向に移動するワイパブレード36は、各吐出口群26B、26Y、26M、26Cの配列方向と略直交する方向に吐出面12aを拭き取る。これにより、図9に示すように、ワイパブレード36には、ブラックのインク80B、イエローのインク80Y、マゼンタのインク80M、シアンのインク80Cが、それぞれ個別に付着する。このように吐出面12aの拭き取りを行うことで、例えば、イエロー用吐出口群26Yの吐出口24内にブラックのインクが入り込んでしまうといったような、クリーニングによる不要な混色が防止される。
【0054】
ワイパブレード36は、吐出面12aの汚れを拭き取った後、図6に示すように、その先端部をブレードクリーナ40の下端部に接触させる。この状態では、ギア68は、ラックギア52の平面部52aと対面しており、移動機構37の駆動力は、ブレードクリーナ40に伝わっていない。また、ブレードクリーナ40は、アーム61とストッパ70との係合によって、第1位置よりも副走査方向上流側に回転することが防止される。これにより、第1位置で保持されたブレードクリーナ40によって、ワイパブレード36に付着した汚れが拭き取られる。
【0055】
汚れを拭き取ったブレードクリーナ40の拭き取り面40aには、図10に示すように、各色のインク80B、80Y、80M、80Cが付着する。各色のインク80B、80Y、80M、80Cは、各吐出口群26B、26Y、26M、26Cと同じ順番に並んでおり、副走査方向下流側から見て左端に顔料インクであるブラックのインク80Bが付着している。
【0056】
ワイパブレード36がブレードクリーナ40を通過すると、ラックギア52とギア68とが噛合する。ギア68は、ラックギア52との噛合によって、反時計方向に回転する。ギア68が反時計方向に回転すると、これに噛合するギア66が、時計方向に回転する。ギア66が時計方向に回転すると、係合部材67とアーム60との係合によって、図7に示すように、各アーム60、61、及びブレードクリーナ40が時計方向に回転する。
【0057】
ブレードクリーナ40が時計方向に回転すると、支持軸55とカム65とが接触し、図11に示すように、アーム61側がアーム60側よりも高くなるようにブレードクリーナ40が傾く。これにより、ブレードクリーナ40に付着した各色のインク80B、80Y、80M、80Cは、ブラックのインク80Bの位置よりもカラーの各インク80Y、80M、80Cの位置の方が高くなる。
【0058】
このようにブレードクリーナ40を傾けると、拭き取り面40aを伝ってカラーの各インク80Y、80M、80Cがブラックのインク80Bに向かって移動し、各色のインク80B、80Y、80M、80Cが拭き取り面40a上で混ざり合う。
【0059】
ワイパブレード36が拭き取り終了位置まで移動すると、図8に示すように、ブレードクリーナ40が第1位置から略90度回転して第2位置に移動し、ブレードクリーナ40の拭き取り面40aが吸収体42に接触する。この際、カム65は、鉛直方向に対して略45度の角度を成すように固定されているので、ブレードクリーナ40が第2位置まで移動すると、支持軸55とカム65との接触が解除され、傾きが直った状態で拭き取り面40aと吸収体42とが接触する。吸収体42は、拭き取り面40a上で混ざり合った混合インク82を内部に吸収し、ブレードクリーナ40をクリーニングする。このように、吐出面12aから拭き取られた汚れは、最終的に吸収体42に回収される。
【0060】
以上により、吐出面12aのクリーニングが終了する。コントローラ8は、吐出面12aのクリーニングが終了すると、拭き取り終了位置に移動したワイパブレード36を初期位置に戻すとともに、記録ヘッド12をキャップ45と対面する位置に移動させ、吐出面12aをキャップ45で封止する。
【0061】
一般に、増粘したり固化したりするまでの時間は、染料インクよりも顔料インクの方が短い。このため、図10に示すように、各色のインク80B、80Y、80M、80Cが個別に付着した状態でブレードクリーナ40の拭き取り面40aを吸収体42に接触させると、顔料インクであるブラックのインク80Bが吸収体42に正常に吸収されず、残ったインク80Bが拭き取り面40a上で固化してしまうことが懸念される。インクが拭き取り面40a上に固化すると、ブレードクリーナ40のクリーニング性能の低下、及びこれにともなうワイパブレード36のクリーニング性能の低下を招き、結果として吐出面12aを正常にクリーニングすることができなくなってしまう。
【0062】
これに対し、本実施形態では、拭き取り面40a上で各色のインク80B、80Y、80M、80Cを混ぜ合わせるようにした。各色のインク80B、80Y、80M、80Cを混ぜ合わせると、染料インクであるカラーの各インク80Y、80M、80Cによって顔料インクであるブラックのインク80Bが溶解するので、吸収体42に吸収されやすくなる。これにより、ブラックのインク80Bが拭き取り面40a上に固化してしまうことが防止されるので、ブレードクリーナ40やワイパブレード36のクリーニング性能の低下を抑えることができる。また、本実施形態では、ブレードクリーナ40が第1位置から第2位置に移動する間に各インクを混ぜ合わせるようにしたので、クリーニングの長時間化を招くことなくもない。
【0063】
なお、上記実施形態では、移動機構37の駆動力をブレードクリーナ40に伝えることにより、ブレードクリーナ40を第1位置と第2位置との間で移動させるようにしたが、これに限ることなく、モータやアクチュエータなどの駆動手段を別途設け、駆動手段の駆動力によってブレードクリーナ40を移動させるようにしてもよい。また、駆動手段を用いてブレードクリーナ40を移動させる際には、ブレードクリーナ40を傾けた状態で所定時間停止した後、第2位置に移動するようにしてもよい。こうすれば、顔料インクをより確実に溶解させることができる。さらに、上記実施形態では、ブレードクリーナ40を第1位置と第2位置との間で回転移動させるようにしたが、これに限ることなく、各位置の間で直線的に移動させてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、回収手段として吸収体42を示したが、回収手段は、これに限ることなく、例えば、ポンプなどによって各インク80B、80Y、80M、80Cを吸引するものでもよい。また、上記実施形態では、ブラックのインク80Bを顔料インクとし、カラーの各インク80Y、80M、80Cを染料インクとしたが、顔料インク及び染料インクの色は、これに限ることなく、任意の色でよい。
【0065】
さらに、上記実施形態では、各インクカートリッジ20B、20Y、20M、20Cを1つの記録ヘッド12に取り付け、1つの記録ヘッド12で各色の吐出を行うようにしたが、これに限ることなく、それぞれの色毎に記録ヘッドを設けてもよい。但し、複数の記録ヘッドを用いる場合には、各記録ヘッドの吐出面を略面一にする必要がある。
【0066】
なお、上記実施形態の構成では、ブレードクリーナ40が第2位置から第1位置に戻る際にも、ワイパブレード36とブレードクリーナ40とが接触する。この接触によってワイパブレード36やブレードクリーナ40の耐久性に影響が出る場合には、例えば、ワイパブレード36とブレードクリーナ40との一方に昇降機構などを設け、第1位置に戻る際に接触しないように、その一方を退避させるようにしてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、第1位置から第2位置に移動する間にブレードクリーナ40を傾かせるようにしたが、これに限ることなく、図12に示すブレードクリーニング部100のブレードクリーナ102のように構成してもよい。ブレードクリーナ102は、副走査方向下流側から見て左側の側辺が右側の側辺よりも長い台形状に形成され、右上がりに傾いた下端部102aを有している。
【0068】
ブレードクリーナ102の拭き取り面102bには、上記実施形態のブレードクリーナ40と同様に、副走査方向下流側から見て左側からブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの順に、各色のインク80B、80Y、80M、80Cが付着する。この際、各色のインク80B、80Y、80M、80Cは、右上がりに傾いた下端部102aにより、ブラックのインク80Bの位置よりもカラーの各インク80Y、80M、80Cの位置の方が高くなる。これにより、下端部102aを伝ってカラーの各インク80Y、80M、80Cがブラックのインク80Bに向かって移動し、各色のインク80B、80Y、80M、80Cが拭き取り面102b上で混ざり合うので、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0069】
このように構成すれば、ブレードクリーナ102を傾かせる機構が不要になるので、ブレードクリーニング部100のコストを抑えることができる。反面、傾いた下端部102aが形成されたブレードクリーナ102では、長く突出した側の一端が、いわゆる片減りを起こしてしまうことが懸念される。従って、図3に示すブレードクリーニング部32のように構成するか、図12に示すブレードクリーニング部100のように構成するかは、インクジェットプリンタ2のコストや要求される性能などに応じて適宜決定すればよい。
【0070】
さらに、上記各実施形態では、ブレードクリーナを傾かせるか、あるいは最初から傾いた下端部を形成することによって顔料インクと染料インクとを混ぜ合わせるようにしたが、これに限ることなく、例えば、ブレードクリーナに風を吹き付け、風によって染料インクを移動させることにより、顔料インクと染料インクとを混ぜ合わせてもよい。さらには、ブレードクリーナを振動させ、振動によって染料インクを移動させることにより、顔料インクと染料インクとを混ぜ合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】インクジェットプリンタの構成を概略的に示す説明図である。
【図2】記録ヘッドの吐出面の構成を概略的に示す斜視図である。
【図3】ワイパ部とブレードクリーニング部の構成を概略的に示す斜視図である。
【図4】記録待機状態にある際の各部の状態を示す説明図である。
【図5】ワイパブレードが拭き取り面を拭き取る状態を示す説明図である。
【図6】ワイパブレードとブレードクリーナとが接触した状態を示す説明図である。
【図7】ブレードクリーナが略45度回転した状態を示す説明図である。
【図8】ワイパブレードが拭き取り終了位置に移動し、かつブレードクリーナが第2位置に移動した状態を示す説明図である。
【図9】吐出面を拭き取ったワイパブレードにインクが付着した状態を示す説明図である。
【図10】ブレードクリーナにインクが付着した状態を示す説明図である。
【図11】ブレードクリーナを傾けて各インクが混ざり合った状態を示す説明図である。
【図12】下端部が傾いて形成されたブレードクリーナの例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0072】
2 インクジェットプリンタ(液体吐出装置)
12 記録ヘッド(液体吐出手段)
12a 吐出面
26B ブラック用吐出口群(顔料インク吐出部)
26Y イエロー用吐出口群(染料インク吐出部)
26M マゼンタ用吐出口群(染料インク吐出部)
26C シアン用吐出口群(染料インク吐出部)
36 ワイパブレード(第1拭取部材)
37 移動機構(吐出面清掃用移動手段)
40、102 ブレードクリーナ(第2拭取部材)
41 支持機構(インク混合手段、インク回収用移動手段)
42 吸収体(回収手段)
55 支持軸
60、61 アーム
60a、61a 長穴
62 回転軸
63、64 コイルバネ(付勢手段)
65 カム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料インクを吐出する顔料インク吐出部と染料インクを吐出する染料インク吐出部とが設けられた吐出面を有する液体吐出手段と、前記吐出面に付着した前記各インクを拭き取る第1拭取部材とを備えた液体吐出装置において、
前記第1拭取部材と接触することによって前記第1拭取部材に付着した前記各インクを拭き取る拭き取り面を有する第2拭取部材と、
前記拭き取り面に付着した前記染料インクを前記拭き取り面上を伝わせて前記顔料インク側に移動させることにより、前記拭き取り面上で前記各インクを混ぜ合わせるインク混合手段とを設けたことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記インク混合手段は、前記顔料インクの位置よりも前記染料インクの位置の方が高くなるように前記第2拭取部材を傾けることによって前記染料インクを前記顔料インク側に移動させることを特徴とする請求項1記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記拭き取り面に接触することによって前記拭き取り面に付着した前記各インクを回収する回収手段と、
前記第1拭取部材に前記拭き取り面を接触させるための第1位置と、前記回収手段に前記拭き取り面を接触させるための第2位置との間で前記第2拭取部材を移動させるインク回収用移動手段とを設け、
前記インク混合手段は、前記インク回収用移動手段が前記第1位置から前記第2位置に前記第2拭取部材を移動させる間に、前記第2拭取部材を傾けることを特徴とする請求項2記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記第2拭取部材は、略長方形の薄板状に形成されるとともに、短辺側の両端面から突出するように形成された支持軸を有し、
前記インク混合手段は、前記支持軸と略平行な回転軸と、前記回転軸に回動自在に取り付けられるとともに、前記支持軸と係合する長穴を有し、この長穴と前記支持軸との係合によって前記第2拭取部材を前記回転軸に取り付ける一対のアームと、前記第2拭取部材を前記回転軸側に引き付けるように付勢する付勢手段と、前記回転軸に取り付けられ、前記回転軸を軸に回転して前記第2拭取部材が前記第1位置から前記第2位置に移動する際に前記第2拭取部材と接触し、前記付勢手段の付勢に抗して前記長穴に沿うように移動させることで前記第2拭取部材を傾けるカムとからなることを特徴とする請求項3記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記第1拭取部材を平行移動させることによって前記吐出面の拭き取りを前記第1拭取部材に行わせる吐出面清掃用移動手段を有し、
前記インク回収用移動手段は、前記吐出面清掃用移動手段の駆動力を前記第2拭取部材に伝えることによって、前記第1位置と前記第2位置との間で前記第2拭取部材を移動させることを特徴とする請求項3又は4記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記各吐出部の配列方向と前記第1拭取部材の拭き取り方向とが略直交していることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
顔料インクを吐出する顔料インク吐出部と染料インクを吐出する染料インク吐出部とが設けられた吐出面を有する液体吐出手段と、前記吐出面に付着した前記各インクを拭き取る第1拭取部材とを備えた液体吐出装置において、
前記第1拭取部材と接触することによって前記第1拭取部材に付着した前記各インクを拭き取る拭き取り面を有し、拭き取った前記顔料インクの位置よりも拭き取った前記染料インクの位置の方が高くなるように傾いて前記拭き取り面の下端部が形成され、前記下端部を伝わせて前記染料インクを前記顔料インク側に移動させることにより、前記拭き取り面上で前記各インクを混ぜ合わせる第2拭取部材を設けたことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項8】
顔料インクを吐出する顔料インク吐出部と染料インクを吐出する染料インク吐出部とが設けられた吐出面を有する液体吐出手段と、前記吐出面に付着した前記各インクを拭き取る第1拭取部材と、前記第1拭取部材と接触することによって前記第1拭取部材に付着した前記各インクを拭き取る拭き取り面を有する第2拭取部材と、前記拭き取り面に接触することによって前記拭き取り面に付着した前記各インクを回収する回収手段とを備えた液体吐出装置のクリーニング方法において、
前記吐出面に付着した前記各インクを前記第1拭取部材で拭き取るステップと、
前記第1拭取部材に付着した前記各インクを前記第2拭取部材で拭き取るステップと、
前記拭き取り面に付着した前記染料インクを前記拭き取り面上を伝わせて前記顔料インク側に移動させることにより、前記拭き取り面上で前記各インクを混ぜ合わせるステップと、
混ざり合った前記各インクを前記回収手段で回収するステップとを有することを特徴とするクリーニング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−241366(P2009−241366A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−89675(P2008−89675)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】