説明

液体吐出装置

【課題】不吐出駆動が次の吐出駆動に与える影響を適切に抑制する。
【解決手段】吐出駆動するデータI1から次に吐出駆動するデータI2までの不吐出期間が所定の長さT以上となる場合、不吐出期間の後端部を不吐出駆動期間に設定する。不吐出駆動期間は、不吐出駆動を指示するデータFが連続して供給された後、吐出駆動も不吐出駆動もなされない空白期間を置いて、データI2に連なる期間である。空白期間は、温度や湿度などの環境条件に応じて長さが調整される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出口へと液体を供給する流路が形成された液体吐出ヘッドを有する液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクなどの液体を吐出する吐出口を有する液体吐出ヘッドにおいては、例えば、吐出口から液体が蒸発することにより、吐出口からの液体の吐出特性に変化が生じる場合がある。特許文献1は、吐出駆動信号を供給する前にあらかじめ微振動信号をヘッドに供給することにより、吐出口から液体が吐出されない程度でヘッドを駆動(不吐出駆動)する。これにより、インクの増粘による吐出特性の変化を抑制し、もって、記録開始直後の記録画像の劣化を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3319733号(図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において、不吐出駆動から次に吐出駆動信号を供給(吐出駆動)するまでの期間の長さが適切に調整されていないと、吐出駆動による記録動作に不吐出駆動が悪影響を与えるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、不吐出駆動が次の吐出駆動に与える影響が適切に抑制された液体吐出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の観点によると、液体を吐出する吐出口と、前記吐出口に液体を供給する供給流路と、前記供給流路内の液体にエネルギーを印加するアクチュエータとを有する液体吐出ヘッドと、前記吐出口から液体が吐出される程度に前記アクチュエータを駆動する吐出駆動信号と、前記吐出口から液体が吐出されない程度に前記アクチュエータを駆動する不吐出駆動信号とを選択的に前記アクチュエータへと供給する駆動手段と、画像データに基づいて、前記吐出駆動信号を前記駆動手段に前記アクチュエータへと供給させる印刷制御手段と、画像データに基づいて、前記吐出口から液体が吐出されてからその次に液体が吐出されるまでの不吐出期間が所定の長さ以上となる場合に、前記不吐出期間の後端部である不吐出駆動期間内に、1又は複数の前記不吐出駆動信号を前記駆動手段に前記アクチュエータへと供給させる不吐出駆動制御手段と、温度及び湿度の少なくともいずれかを測定する環境測定手段とを備えており、前記不吐出駆動制御手段が、前記不吐出駆動期間内で最後に前記不吐出駆動信号を供給してから前記不吐出期間の後端までの期間である空白期間の長さが、前記環境測定手段が測定した温度及び湿度の少なくともいずれかに応じて変化するように、前記駆動手段を制御する。
【発明の効果】
【0007】
空白期間は不吐出駆動が吐出駆動に与える影響を抑制するために設けられるが、必要となる空白期間の長さは温度や湿度といった環境条件に応じて変化する。本発明の液体吐出装置は、環境条件に応じて空白期間の長さを変更するので、不吐出駆動による吐出駆動への影響を環境条件に応じて抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタの概略平面図である。
【図2】図1に示すヘッド本体の平面図である。
【図3】図2に示す一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。
【図4】図3に示すIV−IV線に沿った部分断面図である。
【図5】図4に示す一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。
【図6】図5のアクチュエータに供給される電圧パルス信号の波形を示す図である。
【図7】図1に示す制御部の機能ブロック図である。
【図8】図7のフラッシング制御部が実行する処理を示すフロー図である。
【図9】フラッシング制御部によって変更される前の画像データと変更後の駆動データとを示す概念図である。
【図10】本実施形態に係る実施例で用いたテストパターン(図10(a))と実施結果(図10(b)〜(d))を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0010】
インクジェットプリンタ101は、図1に示すように、4つのインクジェットヘッド1、搬送ユニット20及び制御部150を有している。また、プリンタ101は、画像形成用の用紙Pを給紙する給紙部、画像形成後の用紙Pを収容する排紙部、及び給紙部から搬送ユニット20を経て排紙部までの用紙搬送経路に沿った搬送部を有している。搬送ユニット20は、ヘッド1の下方で用紙Pを搬送し、ヘッド1は画像データに基づいて用紙Pにインクを吐出する。これにより、画像が形成された用紙Pは、排紙部へと排出される。制御部150は、この印刷動作を含め、プリンタ101各部の動作を制御して、プリンタ101全体の動作を司る。プリンタ101内には、温度センサ31及び湿度センサ33が設けられており、制御部150は、各センサ出力により制御条件を変更する。
【0011】
以下、プリンタ101の各部について、搬送ユニット20及びヘッド1の順に説明した後、制御部150の構成及び各部の制御方法について説明する。
【0012】
搬送ユニット20は、図1に示すように、2つのベルトローラ6、7と、両ローラ6、7間に架け渡されたエンドレスの搬送ベルト8とを有している。ベルトローラ7は、駆動ローラであって、図示しない搬送モータからの駆動力で回転する。ベルトローラ7が回転すると、搬送ベルト8が走行する。ベルトローラ6は、従動ローラであって、搬送ベルト8の走行に伴って回転する。搬送ベルト8の表面8aに載置された用紙Pは、図1中上方から下方へと搬送される。搬送ユニット20には、用紙センサ32が設けられている。用紙センサ32は、搬送方向に関してヘッド1より上流に配置されており、用紙Pの通過を検出する。検出結果は、用紙先端信号として制御部150に送られる。なお、本実施形態において、副走査方向とは搬送ユニット20による用紙Pの搬送方向と平行な方向であり、主走査方向とは副走査方向と直交する方向であって、水平面に沿った方向である。
【0013】
各ヘッド1は、主走査方向を長手方向とするライン式のヘッドであり、用紙Pにブラック、マゼンタ、シアン、イエローのインク滴をそれぞれ吐出する。各ヘッド1は、ヘッド本体1aを有している(図2参照)。ヘッド本体1aの下面は、複数の吐出口108が開口する吐出面1sである(図4参照)。また、これらヘッド1は、互いに平行且つ副走査方向に隣接配置されている。
【0014】
次に、図2〜図5を参照しつつヘッド本体1aについて詳細に説明する。図3では説明の都合上、アクチュエータユニット21の下方にあって破線で描くべき圧力室110、アパーチャ112及び吐出口108を実線で描いている。
【0015】
ヘッド本体1aは、図2に示すように、流路ユニット9の上面に4つのアクチュエータユニット21が固定された積層体である。アクチュエータユニット21は、各圧力室110に対応した複数のユニモルフ型のアクチュエータを含んでおり、圧力室110内のインクに選択的に吐出エネルギーを付与する。なお、図示はしないが、ヘッド1は、流路ユニット9に供給されるインクを貯留するリザーバユニット、アクチュエータユニット21に駆動信号を供給するフレキシブルプリント配線基板(Flexible Printed Circuit:FPC)、FPCに実装されたドライバIC40を制御する制御基板等を含んでいる。
【0016】
流路ユニット9は、図4に示すように、ステンレス製の9枚の金属プレート122〜130を積層した積層体である。流路ユニット9の上面には、図2に示すように、リザーバユニットに連通する計10個のインク供給口105bが開口している。流路ユニット9の内部には、図2〜図4に示すように、インク供給口105bを一端とするマニホールド流路105、及び、マニホールド流路105から分岐した複数の副マニホールド流路105aが形成されている。さらに、流路ユニット9の内部には、各副マニホールド流路105aの出口から圧力室110を経て吐出口108に至る複数の個別インク流路132が形成されている。吐出面1sに形成された多数の吐出口108は、マトリクス状に配置されており、主走査方向に関して主走査方向解像度である600dpiの間隔で配列されている。
【0017】
流路ユニット9におけるインクの流れについて説明する。図2〜図4に示すように、リザーバユニットからインク供給口105bに供給されたインクは、マニホールド流路105(副マニホールド流路105a)に流入する。副マニホールド流路105a内のインクは、各個別インク流路132に分配され、アパーチャ112及び圧力室110を経て吐出口108に至る。
【0018】
次に、アクチュエータユニット21について説明する。図2に示すように、4つのアクチュエータユニット21は、それぞれ台形の平面形状を有しており、インク供給口105bを避けつつ主走査方向に千鳥状に配置されている。さらに、各アクチュエータユニット21の平行対向辺は主走査方向に沿っており、隣接するアクチュエータユニット21の斜辺同士は流路ユニット9の副走査方向に関して互いにオーバーラップしている。アクチュエータユニット21には、後述のとおり、制御部150の制御により、ドライバIC40から駆動信号が供給される。
【0019】
図5に示すように、アクチュエータユニット21は、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系セラミックス製の3枚の圧電層141〜143から構成されたピエゾ式アクチュエータである。最上層の圧電層141は、その厚み方向に分極されている。また、圧電層141の上面には、複数の個別電極135が形成されている。個別電極135は、先端に個別ランド136が設けられ、圧力室110と対向している。圧電層141とその下側の圧電層142との間には、シート全面に形成された共通電極134が介在している。共通電極134には、グランド電位が付与されている。一方、個別電極135には、個別ランド136を介して駆動信号が選択的に供給される。
【0020】
個別電極135を共通電極134と異なる電位にすると、個別電極135と圧力室110とで挟まれた部分が、圧力室110に対して変形する。このように個別電極135に対応した部分が、個別のアクチュエータ50(図5参照)として働く。つまり、アクチュエータユニット21には、圧力室110の数に対応した複数のアクチュエータ50が作り込まれている。
【0021】
ここで、アクチュエータユニット21の駆動方法について述べる。アクチュエータユニット21は、圧力室110から離れた上側1枚の圧電層141を駆動活性部が含まれる層とし、且つ圧力室110に近い下側2枚の圧電層142、143を非活性層とした、いわゆるユニモルフタイプのアクチュエータである。駆動活性部は、共通電極134と個別電極135とに挟まれた部分である。例えば、分極方向と電界の印加方向とが同じであれば、駆動活性部は、分極方向に直交する平面方向に縮む。このとき、駆動活性部と下方の圧電層142、143との間では、平面方向への歪みに差が生じるので、圧電層141〜143全体が圧力室110側へ凸に変形(ユニモルフ変形)する。これにより圧力室110内のインクに圧力(吐出エネルギー)が付与され、吐出口108からインク滴が吐出される。
【0022】
各アクチュエータ50は、個別電極135に駆動信号が供給されることにより駆動される。駆動信号には「吐出駆動信号」と「不吐出駆動信号」との2種類がある。吐出駆動信号が供給されると、アクチュエータ50は、圧力室110の容積を変更して、吐出口108からインク滴と吐出させる。不吐出駆動信号が供給されると、アクチュエータ50は、圧力室110の容積を変更するが、吐出口108からインク滴は吐出されない。その代わり、吐出口108において、メニスカスの振動が誘起される。以下、前者による駆動を「吐出駆動」、後者による駆動を「不吐出駆動」と称する。
【0023】
図6に示す信号S1及びS2は、吐出駆動信号の一例であり、信号S3は、不吐出駆動信号の一例である。信号S1〜S3はそれぞれ、1印字周期に相当する時間的長さを有している。1印字周期とは、搬送ユニット20が副走査方向に関して用紙Pを記録解像度に対応する単位距離だけ搬送するのに要する時間である。この単位距離とは、具体的には、画像を構成するドット同士の最小間隔であって、用紙P上における副走査方向の最小配置ピッチである。
【0024】
信号S1は、2つの連続したパルスP1と、さらにこれに連続した1つのパルスP2とを有している。パルスP1及びP2は、いずれも、図6に示すように、個別電極135の電位をE(>0)(Hi)とグランド電位(Lo)との間で変化させる方形パルスである。各パルスP1の電圧と幅は、アクチュエータ50を駆動してインク滴を吐出可能に調整してある。例えば、パルス幅は、個別インク流路132のインクの固有振動周期のほぼ1/2である。このとき、各パルスP1の幅は、互いに同じである必要はない。パルスP2は、幅と先のパルスP1からの間隔とが、パルスP1により誘起された残留振動を打ち消すように調整されている。信号S2は、1つのパルスP1とこれに連続した1つのパルスP2とを有している。信号S3は、所定の等間隔で連続した5つのパルスP3を有している。パルスP3は、個別電極135の電位をEとグランド電位との間で変化させる方形パルスであり、パルスP2よりもさらにパルス幅が小さく、インクが吐出されない幅に調整されている。
【0025】
信号S1及びS2が個別電極135に供給されると、以下のように吐出口108からインクが吐出される。1つのパルスP1につき、1回の吐出が行われる。本実施形態では、あらかじめ各個別電極135が、電位E(>0)の状態に維持されている。したがって、圧電層141〜143は、ユニモルフ変形した状態で待機している。このときの圧力室110の容積をV1とする。信号S1又はS2が個別電極135に供給されると、パルスP1の先端において、個別電極135の電位がEからグランド電位へと低下し始める。個別電極135がグランド電位になると、圧電層141〜143が変形前の状態に戻るため、圧力室110の容積がV1からV2(>V1)へと増大する。この容積増大動作により、圧力室110内のインクに負圧が印加され、副マニホールド流路105aから個別インク流路132へとインクが吸い込まれる。
【0026】
そして、パルスP1の後端において、個別電極135の電位がEに戻り始める。個別電極35の電位がEに戻ると、圧電層141〜143が再びユニモルフ変形した状態になり、圧力室110の容積もV1に戻る。この容積縮小動作により、圧力室110内のインクに正圧が印加され、吐出口108からインクが吐出される。信号S1によると、このような吐出動作が2回実施され、インクは2回吐出される。信号S2によると、吐出動作が1回実施され、インクは1回吐出される。その後、所定の間隔を置いて、パルスP2により、インク中の残留振動が打ち消される。これにより、先の印字周期で吐出動作が実施されても、その後の駆動に影響が及びにくい。
【0027】
信号S1は、信号S2より吐出回数が多いため、吐出口108の吐出特性が同じである条件下では、信号S2より多くのインクを吐出させることができる。用紙P上に形成されるドットのサイズは、信号S1の方が信号S2より大きい。以下、前者のドットを大ドット、後者のドットを小ドットと称する。
【0028】
信号S3(パルスP3)が個別電極135に供給された場合、パルスP1の場合と同様に、アクチュエータ50が変形して圧力室110の容積変化を起こす。ここで、パルスの先端時点と後端時点において、駆動活性部は電極間で電荷の充電及び放電が生じる。この過渡現象は、それぞれ完了するのに所定の時間を要する。パルスS3の幅は、所定時間同士の和よりも小さい。そのため、アクチュエータ50は、変形しきる前に再び元の状態に戻ることになる。圧力室110の容積の変化量は、パルスS1による場合に比べて小さく、吐出口108からのインク吐出はない。つまり、信号S3が供給されると、パルスP3により、圧力室110の容積がV1からV2’(V2’<V2)に変化し、その後V1に戻る。1印字周期で、このようなパルスP3が5つ連続して供給される。吐出口108付近では、インクが微小に振動し、インクの増粘が抑制されることになる。
【0029】
以下、制御部150の構成及び各部の制御方法について説明する。制御部150は、画像データ記憶部151、搬送制御部152、フラッシング制御部160、及び、ヘッド制御部170を有している。画像データ記憶部151は、画像形成の対象となる画像データを記憶する。この画像データは、外部装置からケーブル等を介して受信されたり、各種の記録媒体から読み出されたりした後、画像データ記憶部151に格納される。搬送制御部152は、所定の速さで用紙Pを搬送するよう、搬送ユニット20を制御する。
【0030】
ヘッド制御部170は、駆動データ記憶部171及び波形記憶部172を有している。駆動データ記憶部171は、アクチュエータ50に供給する駆動信号とその供給タイミングを示す駆動データを記憶する。波形記憶部172は、図6に示す信号S1〜S3の波形に対応する波形信号を記憶している。ヘッド制御部170は、画像データ記憶部151から送信された画像データに基づき、画像データに応じた駆動データを生成して駆動データ記憶部171に格納する。ヘッド制御部170が単独で生成する駆動データは、吐出駆動信号、つまり、本実施形態では信号S1又はS2の供給を指示するデータ(以下、吐出駆動データと称する)のみを含んでいる。一方、後述のとおり、フラッシング制御部160が生成するフラッシングデータが書き込まれることにより、駆動データは、不吐出駆動信号である信号S3の供給を指示するデータ(以下、不吐出駆動データと称する)を含むものとなる。
【0031】
ヘッド制御部170は、駆動データ記憶部171に格納された駆動データと波形記憶部172に格納された波形信号とを順次ドライバIC40へと出力する。このように、ヘッド制御部170は、本発明の印刷制御手段を構成し、ドライバIC40(駆動手段)にアクチュエータ50へと信号S1及びS2(吐出駆動信号)を供給させる。ヘッド制御部170による駆動データ及び波形信号の出力と、搬送制御部152による用紙Pの搬送とは、用紙センサ32からの検出信号に基づいて同期が取られる。
【0032】
ドライバIC40は、ヘッド制御部170からの駆動データ及び波形信号に基づき、1印字周期ごとに信号S1〜S3のいずれかをヘッド1の各アクチュエータ50へと供給する。これにより、各吐出面1sからインクが吐出され、用紙P上にカラー画像が形成される。また、吐出口108付近のインクが微小に振動して増粘が解消される。
【0033】
フラッシング制御部160は、不吐出判定部161、空白期間決定部162、フラッシングデータ書込部163、フラッシングデータ記憶部164及び吐出量変更部165を有している。不吐出判定部161は、画像データに基づいて、インクを吐出しない印字周期を抽出し、その連続回数(不吐出期間)を計数する。さらに、不吐出判定部161は、不吐出期間が所定の長さT以上か否かを判定する。不吐出期間の抽出と閾値Tとの比較は、各吐出口108について行われる。このように、不吐出期間は、一度吐出駆動を実行してから、次に吐出駆動を実行するまでの期間である。本実施形態では、Tは固定値である。不吐出期間中は、吐出口108付近のインクから水分が蒸発し、インクの増粘が進む。これに対して、吐出駆動直前のメニスカス振動は、吐出駆動時の安定吐出に有効である。このため、フラッシング制御部160は、次に吐出駆動する直前の期間(不吐出期間の後端部)を、不吐出駆動期間に設定する(図9参照)。この期間内に不吐出駆動を実行することにより、吐出駆動の直前にあらかじめインクの増粘を解消する。
【0034】
ところが、不吐出駆動は、インク中に残留振動を伴い、次に吐出駆動を実行する際、インクの吐出特性に影響を与えるおそれがある。したがって、フラッシング制御部160は、吐出駆動直前に空白期間を設定する。空白期間では、いずれの駆動もなされない。このように、不吐出駆動期間は、不吐出駆動が実施される前部と空白期間(後部)とで構成される。これにより振動が減衰するための時間を確保して、不吐出駆動が吐出駆動に与える影響を抑制する。ところで、振動の影響を十分に抑制するのに要する時間は、温度や湿度などの環境条件に依存する。環境条件が異なるとインクの特性が変化し、増粘速度が変化する。
【0035】
そこで、空白期間決定部162は、温度センサ31及び湿度センサ33からの測定結果に基づき、空白期間の長さを設定する(図9参照)。空白期間の長さは、温度及び湿度の少なくともいずれかに応じて調整される。例えば、温度が低く湿度が高いほど、インクの増粘速度は低くなり、不吐出駆動による増粘解消動作は短くて済む。不吐出駆動期間が一定であれば、空白期間は長くて良く、空白期間決定部162は、空白期間を長くする。逆に、温度が高く湿度が低いほど、インクの増粘速度は高くなり、長い増粘解消動作が必要になる。従って、空白期間決定部162は、空白期間を短くする。さらに、閾値を超して温度が高く湿度が低くなると、さらに長い増粘解消動作が必要になり、空白期間決定部162は、空白期間を省く。
【0036】
フラッシング制御部160は、空白期間決定部162が決定した空白期間の長さを反映して、フラッシングデータを生成する。フラッシングデータは、不吐出駆動期間内の動作を指示するデータである。具体的には、フラッシングデータは、空白期間に対応する空白データ及びそれ以外の不吐出駆動データから構成される。空白データは、不吐出駆動期間において、空白期間に吐出駆動信号及び不吐出駆動信号を供給しないことを指示する。不吐出駆動データは、空白期間を除く期間において、不吐出駆動信号の供給を指示する。生成されたフラッシングデータは、フラッシングデータ記憶部164に格納される。フラッシングデータ記憶部164は、フラッシングデータを各吐出口108に関して格納する。
【0037】
フラッシングデータ書込部163は、フラッシングデータ記憶部164に格納されたフラッシングデータを、ヘッド制御部170の駆動データ記憶部171へと書き込む。画像データに基づく駆動データにおいて、不吐出期間に対応する範囲のデータは、例えば図9に示すように、空白データである。フラッシングデータ書込部163は、このうちの不吐出駆動期間に対応する空白データを、フラッシングデータに書き換える。この書き換え後の駆動データは、ヘッド制御部170によりドライバIC40へと出力される。ドライバIC40は、各アクチュエータ50へとフラッシングデータに対応するタイミングで不吐出駆動信号を供給する。このように、フラッシングデータ書込部163は、本発明のデータ変更手段に対応する。
【0038】
吐出量変更部165は、環境条件が所定の場合に、不吐出駆動期間の直後に吐出されるインクの吐出量を更新する。例えば、ひどく高温低湿の場合は、インクの増粘が進みやすく、不吐出駆動期間全体で不吐出駆動がなされても、インクの増粘が十分に解消されないおそれがある。したがって、不吐出駆動期間直後に吐出駆動する際、所望のインク吐出量が確保できない。そこで、フラッシング制御部160は、この吐出駆動データを、元のデータよりインクの吐出量が大きいものがあれば、それに変更する。
【0039】
具体的には、吐出量変更部165は、温度が所定の上限値以上であったり湿度が所定の下限値以下であったりする場合に、画像データ記憶部151における不吐出駆動期間直後の画像データを照会する。そして、それが小ドットを形成するデータであれば、駆動データ記憶部171の対応する吐出駆動データを、大ドットの形成を指示するデータに変更する。これにより、駆動データに基づいてドライバIC40が供給する信号が、信号S2から信号S1に変更される。一方、元のデータが大ドットを形成するデータである場合は、吐出駆動データは変更されない。
【0040】
さらに環境条件が増粘を助長する場合、吐出量変更部165は、不吐出駆動期間における最後のデータもドットの形成を指示するデータに変更すると良い。この場合、変更後のデータは、小ドットの形成を指示するデータであることが好適である。不吐出駆動期間直後の吐出動作で、確実なインク吐出が期待できる。吐出量変更部165は、本発明の信号変更手段に対応する。
【0041】
以下、フラッシング制御部160が実行する処理のより具体的な流れについて、図8を参照しつつ説明する。以下の処理は、1つの吐出口108に係わる処理であって、最終的には全ての吐出口108について行われる。1つの処理対象となるデータは、当該吐出口108に関して、副走査方向に並ぶ全ての画素に対応する画像データである。
【0042】
まず、不吐出判定部161は、判定のためのカウント及び不吐出駆動フラグをリセットする(S1)。次に、不吐出判定部161は、これから形成するべき画像に対応する画像データが画像データ記憶部151にまだ残っているか否かを判定する(S2)。残っていないと判定した場合(S2、No)には、一連の処理が終了する。
【0043】
画像データがまだあると不吐出判定部161が判定した場合(S2、Yes)には、不吐出判定部161は、画像データ記憶部151に格納された画像データをドット単位、つまり、印字周期単位で順に照会し、そのデータがインクを吐出してドットを形成する印字周期(以下、ドット形成周期と称する)に対応するか否かを判定する(S3)。ドットを形成する印字周期に対応しない場合、つまり、インクを吐出せず空白とする印字周期(以下、空白周期と称する)に対応する場合(S3、No)には、不吐出判定部161は、画像データを順に照会しながら空白周期がいくつ連続するかをカウントする(S4)。そして、不吐出判定部161は、カウント数がk(k:2以上の自然数)に達したか否かを判定する(S5;図9参照)。カウント数kは、所定の長さTに対応する数に設定されている。カウント数がkに達していないと判定した場合(S5、No)、S2に戻る。カウント数がkに到達したと不吐出判定部161が判定した場合(S5、Yes)、不吐出判定部161は、不吐出駆動を実行するべきであることを示す不吐出駆動フラグを立て(S6)、S2に戻る。
【0044】
S3において、ドット形成周期に対応すると判定した場合(S3、Yes)には、フラッシング制御部160は、不吐出駆動フラグが立っているか否かを判定する(S7)。不吐出駆動フラグが立っていない(S7,False)と判定した場合は、フラッシング制御部160は、S1に戻る。不吐出駆動フラグが立っている(S7,True)と判定した場合は、フラッシング制御部160が不吐出駆動期間を設定するとともに、空白期間決定部162が空白期間を設定する(S8)。不吐出駆動期間の長さは、n印字周期(n:n≦kを満たす2以上の自然数)に固定されている。空白期間の長さは、ゼロ〜m印字周期(m:m<nを満たす負でない整数)のいずれかに設定される。空白期間は、環境条件に応じて1印字周期ずつ増減される。次に、フラッシング制御部160はフラッシングデータを生成し(S9)、フラッシングデータ書込部163が駆動データ記憶部171にフラッシングデータを書き込む(S10)。次に、吐出量変更部165は、環境条件が所定の範囲であるか否かを判定する(S11)。所定の範囲でないと判定した場合(S11、No)、S1に戻る。所定の範囲であると判定した場合(S11、Yes)、吐出量変更部165は、不吐出駆動期間の直後の駆動データを更新する(S12)。この場合、フラッシング制御部160は、S8において、空白期間をゼロに設定している。また、吐出量変更部165は、さらに増粘が進む環境条件に相当する別の所定の範囲と判定した場合には、不吐出駆動期間直後の駆動データの変更に加え、不吐出駆動期間最後のフラッシングデータを駆動データに変更しても良い。この駆動データは、小ドットの形成を指示するデータでよい。そして、S1に戻る。
【0045】
以上の処理の流れを、図9の画像データに関して適用した場合について説明する。図9の画像データによると、吐出駆動データI1から吐出駆動データI2までの期間が、空白データCが連続した不吐出期間に対応する。本例では、吐出駆動データI1及びI2は、いずれも小ドット(信号S2によるドット)に対応するものとする。不吐出判定部161は、吐出駆動データI1の次の空白データC1からカウントを開始し(S4)、カウント数がkに達する空白データC2において不吐出駆動フラグを立てる(S5、Yes→S6)。そして、不吐出判定部161による照会が吐出駆動データI2に到達すると(S3、Yes)、空白データC1から空白データC4までの期間として不吐出期間が確定する。
【0046】
フラッシング制御部160は、不吐出駆動フラグが立っていることに基づき、不吐出期間の後端部に不吐出駆動期間を設定する(S7、True→S8)。次に、空白期間決定部162が、温度及び湿度の測定結果に基づき、空白期間を設定する(S8)。そして、フラッシング制御部160は、不吐出駆動期間において空白期間を除いた期間に不吐出駆動データFを含むフラッシングデータを生成し(S9)、これをフラッシングデータ書込部164が駆動データ記憶部171へと転送する(S10)。
【0047】
本実施形態では、図9に示すように、不吐出駆動期間の長さが6ドット、つまり6印字周期の長さに固定されている。したがって、空白期間の長さは0ドット〜6ドットの範囲で1ドットずつ、つまり1印字周期ずつ調整される。図9では、空白期間の長さが1ドットに設定された場合が示されている。また、フラッシングデータは、不吐出駆動期間において空白期間を除いた期間におけるすべての印字周期に不吐出駆動データFを含む。
【0048】
さらに、吐出量変更部165は、環境条件が所定の範囲である場合、不吐出駆動期間の直後の駆動データを、吐出駆動データI2に対応するデータから吐出駆動データI2’に対応するデータに変更する。吐出駆動データI2’は、大ドット(信号S1によるドット)に相当する。また、上述のように、吐出駆動データI2の駆動データI2’への変更は、空白期間の省略を伴う。さらに環境条件が増粘を助長する場合であれば、吐出駆動データI2の変更に加えて、不吐出駆動期間最後の印字周期に吐出駆動データI1を割り当てても良い。
【0049】
以下、本実施形態に係る実施例について図10を参照しつつ説明する。本実施例では、図10(a)に示すテストパターンTP1及びTP2に従って用紙P上に画像を形成した。図10(b)〜図10(d)はその結果であり、温度及び湿度共に同じ条件下でテストパターンを形成した。
【0050】
テストパターンTP1は、副走査方向に関する幅がa1となる主走査方向に延びた矩形のベタ画像と、主走査方向に関する領域b1において、副走査方向と反対方向に突出した矩形のベタ画像とから構成されている。テストパターンTP2は、TP1から所定の距離だけ搬送方向の下流に配置された、主走査方向に平行な直線からなる。また、副走査方向に関するTP1及びTP2間の距離a2は、不吐出駆動フラグを立てるための条件である所定の長さTに対応する距離以上であり、領域b1における距離a3は所定の長さTに対応する距離未満である。したがって、上述の実施形態を適用した場合、領域b1においてはTP2を形成する直前に不吐出駆動期間が設定されないが、領域b1以外の領域では、TP2の直前に不吐出駆動期間が設定され、不吐出駆動がなされることになる。
【0051】
図10(b)〜図10(d)では、環境条件にかかわらず、それぞれ空白期間を変えつつ画像を形成した。まず、図10(b)では、空白期間を3印字周期と長めに設定した。これにより、TP2において領域b1以外の領域(二点鎖線で囲まれた領域)にドットの乱れが生じた。これは、領域b1以外では、不吐出駆動不足が生じており、十分に増粘が解消されていない。そのため、不吐出駆動期間直後の吐出駆動(TP2の形成)において、不安定なインク吐出となっている。一方、領域b1にはあまり乱れが生じていないのは、TP1からTP2までの距離が短く、TP1の形成からの経過時間が所定の長さT未満であるため、インクの増粘があまり進まなかったためである。図10(c)では、空白期間を省いた。これにより、TP2のb1以外の領域(二点鎖線で囲まれた領域)では、図10(b)に比べてドットの乱れが小さくなった。この小さな乱れは、不吐出駆動による残留振動がTP2の形成に影響し、吐出特性にばらつきが生じたためである。さらに、図10(d)では、空白期間を1印字周期とした。これにより、TP2のb1以外の領域(二点鎖線で囲まれた領域)では、図10(c)よりさらにドットの乱れが小さくなった。不吐出駆動による影響は、ほとんどない。
【0052】
以上の実施例により、(1)吐出駆動から一定の時間が経過してから再び吐出駆動する場合には、あらかじめ不吐出駆動することが有効であること、(2)不吐出駆動による吐出駆動への影響を抑制するためには、不吐出駆動と吐出駆動の間に空白期間を置くことが有効であること、(3)十分な効果を得るためには、空白期間を環境条件に適合した長さとする必要があることが分かる。
【0053】
以上説明した本実施形態によると、図9に示すように、不吐出駆動期間の後端部に空白期間が設けられると共に、空白期間の長さが環境条件に応じて調整される。このため、不吐出駆動データFに基づく不吐出駆動が、吐出駆動データI2に基づく吐出駆動に与える影響を、環境条件に応じて適切に抑制することができる。また、本実施形態では、不吐出駆動期間が固定であるため、環境条件に応じて空白期間が長くなるほど不吐出駆動データFも少なくなる。したがって、不吐出駆動が吐出駆動に与える影響を環境条件に応じて適切に抑制しつつ、不吐出駆動データFを供給するのに要する消費電力も抑制できる。
【0054】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。以下、本実施形態の変形例について説明する。
【0055】
第1の変形例は、不吐出駆動期間の長さが固定ではなく、不吐出期間の長さに応じて可変のものである。本変形例では、フラッシング制御部160が、所定の長さTに対する不吐出期間の長さの割合が大きいほど、不吐出駆動期間の長さを大きく設定する。例えば、不吐出期間の長さが2Tであるときの不吐出駆動期間は、不吐出期間の長さがTであるときの2倍の長さに設定される。あるいは、Tに対する不吐出期間の長さの割合が増加するのに応じて所定の比率で増加する数の印字周期が、不吐出駆動期間に追加されてもよい。不吐出期間が長くなるほどインクの増粘が進んでいると予測されるため、これに応じて不吐出駆動期間を長くすることにより、不吐出駆動を長く実行し、適切に吐出特性を回復することができる。本変形例の場合、フラッシング制御部160は、本発明の不吐出駆動期間設定手段に対応する。
【0056】
第2の変形例は、所定の長さTが可変のものである。本変形例では、フラッシング制御部160が、環境条件に応じてTを変更する。例えば、湿度が低いほどTを小さくする。これにより、不吐出駆動フラグを立てる機会が増加し、不吐出駆動の頻度が上がる。湿度が低いほどインクが増粘しやすくなるため、不吐出駆動の頻度を上げることにより、インクの吐出特性が回復しやすくなる。このように、本変形例によると、環境条件に応じて適切に不吐出駆動の回数を確保することができる。
【0057】
その他の変形例としては、以下のとおりである。上述の実施形態では、温度及び湿度の少なくともいずれかに基づいて、空白期間の長さやインクの吐出量を調整している。しかし、温度及び湿度の両方に基づいて空白期間の長さ等を調整してもよい。また、増粘のほとんど進まない環境条件(例えば、湿度が低く温度が十分に高いという条件)の場合には、空白期間決定部162が、空白期間の長さを不吐出駆動期間の長さと等しいものに設定してもよい。つまり、環境条件がある条件を満たす場合は不吐出駆動を実行しない構成であってもよい。
【0058】
また、本発明は、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機等の各種液体吐出装置に適用可能である。インクジェットヘッドは、ライン式に限定されず、シリアル式でもよい。さらに、インク以外の液体を吐出するものでもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 インクジェットヘッド(ヘッド)
9 流路ユニット
21 アクチュエータユニット
31 温度センサ
32 用紙センサ
33 湿度センサ
40 ドライバIC
50 アクチュエータ
101 インクジェットプリンタ(プリンタ)
108 吐出口
150 制御部
151 画像データ記憶部
152 搬送制御部
160 フラッシング制御部
161 不吐出判定部
162 空白期間決定部
163 フラッシングデータ書込部
164 フラッシングデータ記憶部
164 フラッシングデータ書込部
165 吐出量変更部
170 ヘッド制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する吐出口と、前記吐出口に液体を供給する供給流路と、前記供給流路内の液体にエネルギーを印加するアクチュエータとを有する液体吐出ヘッドと、
前記吐出口から液体が吐出される程度に前記アクチュエータを駆動する吐出駆動信号と、前記吐出口から液体が吐出されない程度に前記アクチュエータを駆動する不吐出駆動信号とを選択的に前記アクチュエータへと供給する駆動手段と、
画像データに基づいて、前記吐出駆動信号を前記駆動手段に前記アクチュエータへと供給させる印刷制御手段と、
画像データに基づいて、前記吐出口から液体が吐出されてからその次に液体が吐出されるまでの不吐出期間が所定の長さ以上となる場合に、前記不吐出期間の後端部である不吐出駆動期間内に、1又は複数の前記不吐出駆動信号を前記駆動手段に前記アクチュエータへと供給させる不吐出駆動制御手段と、
温度及び湿度の少なくともいずれかを測定する環境測定手段とを備えており、
前記不吐出駆動制御手段が、
前記不吐出駆動期間内で最後に前記不吐出駆動信号を供給してから前記不吐出期間の後端までの期間である空白期間の長さが、前記環境測定手段が測定した温度及び湿度の少なくともいずれかに応じて変化するように、前記駆動手段を制御することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記吐出口に対向して記録媒体を搬送する搬送手段をさらに備えており、
前記不吐出駆動制御手段が、
前記搬送手段によって記録媒体が搬送方向の記録解像度に対応する単位距離を搬送されるのに要する時間を1印字周期とするとき、前記不吐出駆動期間の長さがn印字周期(n:2以上の自然数)となり、前記空白期間の長さがm印字周期(m:m<nを満たす負でない整数)となり、且つ、前記不吐出駆動期間において先端から(n−m)印字周期の期間に1印字周期ごとに1つの前記不吐出駆動信号を連続して前記アクチュエータへと供給するように、前記駆動手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記不吐出駆動期間の長さが固定されていることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記不吐出駆動制御手段は、
前記不吐出駆動期間の長さを、前記所定の長さに対する前記不吐出期間の長さの割合が大きくなるほど大きくなるように設定する不吐出駆動期間設定手段を有していることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記不吐出駆動制御手段が、
前記環境測定手段が測定した温度及び湿度の少なくともいずれかに応じて前記空白期間の長さが1印字周期ずつ変化するように、前記駆動手段を制御することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記不吐出駆動制御手段が、
前記環境測定手段が測定した温度及び湿度の少なくともいずれかが所定の条件を満たす場合に、前記空白期間の長さがゼロ印字周期となるように前記駆動手段を制御することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記吐出駆動信号には、吐出特性が等しい条件で前記吐出口から吐出される液体の量が異なるように設定された複数種類の信号が含まれ、
前記印刷制御手段は、前記環境測定手段が測定した温度及び湿度の少なくともいずれかに応じて、前記不吐出期間の直後に前記駆動手段によって前記アクチュエータに供給される前記吐出駆動信号を、液体の設定量がより大きい信号に変更する信号変更手段を有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記所定の長さが、前記環境測定手段が測定した温度及び湿度の少なくともいずれかに応じて変化することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記不吐出駆動制御手段が、
画像データにおいて前記吐出駆動信号及び不吐出駆動信号がいずれも供給されないことを示すデータを、前記不吐出駆動信号が供給されることを示すデータに変更するデータ変更手段を有していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の液体吐出装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−6365(P2013−6365A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141017(P2011−141017)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】