説明

液体噴出器

【課題】エアゾール容器体Aに噴出具Bを装着したもので、必要噴出回数がロック機構により感触的に認知でき、また、必要回数の噴出後ロック機構が作動し、このロック機構を解除して新たに最初から必要回数の噴出が行える液体噴出器であって、常時安定した噴出量を現出できる液体噴出器を提案する。
【解決手段】ノズルB4の上部外周に装着した筒状の押釦B9の押し下げによりノズル周囲の回転部材B5を所定角度回転させる回転機構と、該回転機構と連繋し、所定回数の押釦の押し下げ時にステムの押し下げを防止するロック機構とを備え、回転部材の上方付勢が、回転部材と容器体上の取付部材B1との間に介在させた第1コイルスプリングB6により行われ、押釦の押し下げが、回転部材とノズルとの間に介在させた第2コイルスプリングB7を介してノズルに伝達される如く構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体噴出器に関し、詳しくは、噴出液の量を認知できる液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の噴出器として、例えば医薬品等の所定量の使用が義務付けられている収納液を、所定量の使用が判断できるようにしたものが知られている。(例えば特許文献1参照)
【0003】
上記噴出器は、上端開口が設けられた容器と、この容器から前記開口を経て投与流体を分配する手段と、この分配手段を容器の開口に締め付けるリングナットと、分配手段を作動させる移動可能な作動部材である鼻とを備え、また、リングナットに対する鼻の移動を回転素子の回転及び軸線方向往復運動に変換する弾性手段を備え、回転素子に連続する数字表示が設けられ、この数字表示が分配投与毎に予定の観察位置である窓に順次位置され得るように構成されている。
【0004】
また、前記弾性手段は円周方向に離間された一連の可撓性の小脚で構成され、これらの小脚が鼻の第1組の一方向の鋸状歯と反作用し得る上部と、リングナットの第2組の一方の鋸状歯と反作用し得る下部と、回転素子に取付られた中間部分とを有し、これにより第1組の鋸状歯が前記鼻の作用によって第2組の鋸状歯に近づく際に、前記小脚の上部が第1の鋸状歯の対応する歯から外れて直ぐ隣接する歯に歯合されて小脚の前記中間部分を回転及び軸線方向に前進運動させ、また、前記第1組の鋸状歯が前記第2組の鋸状歯の対応する歯から外れて直ぐ連設する歯に噛合し、これにより前記小脚の前記中間部分を回転及び軸線方向に後進運動させるように構成している。
【0005】
そして、上記した如く鼻を押し下げることにより窓に投与数の数値が現れ、また、予定の最大分量医薬投与数の終了後、回転素子から突出している半径方向ロケーターが鼻から突出している半径方向ロケーターに当たってストップする如く構成している。
【特許文献1】特許第3211894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記の如き噴出器は、前記した如く、最大分量医薬投与数が回転素子のストップにより判断できるものであるが、その時点で投与数に係る判断は終了する。確かに、前記噴出器ではストップ後に容器体内の医薬を完全に使用し尽くすために鼻を押し下げることができるものではあるが、あくまで残液処理のためであり、基本的に一回の必要投与数が終了すれは噴出器の使用が終了するという構成としている。
【0007】
本発明は必要噴出回数がロック機構により感触的に認知でき、その構造も従来のものと相違して、その作動操作に無理がなく耐久性に富んだ液体噴出器を提案するものである。また、必要回数の噴出後ロック機構が作動した後、このロック状態を解除して新たに最初から必要回数の噴出が行える液体噴出器を提案するものである。更に、ステムがコイルスプリングの影響を受けずに常時定量の噴出が可能である液体噴出器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の手段として、エアゾール容器体A上に固定したカバー筒B2と、エアゾール容器体A上端に上方付勢状態で押し込み可能に突設したステム4に嵌着するとともに、カバー筒B2の頂部より上端部を突設したノズルB4と、ノズルB4の上部外周部に回転可能且つノズルB4の押し下げを可能に装着した筒状の押釦B9と、ノズルB4の押し下げ回数を認知する認知システムとを備え、該認知システムは、ノズルB4周囲に回転可能且つ上方付勢状態で押し下げ可能に設けた回転部材B5を押釦B9の押し下げにより所定角度回転させる回転機構と、該回転機構と連繋させるとともに、所定回数の押釦B9の押し下げ時にステム4の押し下げを防止するロック機構とからなり、前記回転機構は、カバー筒B2内の周縁部に放射状に設け且つ下面にそれぞれ第1傾斜面s1を設けた複数の仕切板30と、一対の仕切板30間に先端部を位置させ且つ上面に第2傾斜面s2を設けた回動腕53を突設させた回転部材B5と、押釦B9と回動腕53との間に回転を防止して押し下げ可能に介在させるとともに、下面に第2傾斜面s2が摺動する複数の第3傾斜面s3を環状に連設したリング部材B8とからなり、押釦B9の押し下げ時に第2傾斜面s2が当接する第3傾斜面s3及び隣接する第1傾斜面s1上を摺動して回動腕53が隣接する仕切板30t を乗り越える如く構成し、前記ロック機構は、ノズルB4が挿通され、エアゾール容器体A上に装着される取付部材B1内所定位置に係止面aを設けるとともに、回転部材B5の所定位置に係止面aに当接する被係止面bを設けて回動腕の下降を防止する如く構成した液体噴出器に於いて、回転部材B5の上方付勢が、回転部材B5と取付部材B1との間に介在させた第1コイルスプリングB6により行われ、押釦B9の押し下げが、回転部材B5とノズルB4との間に介在させた第2コイルスプリングB7を介してノズルB4に伝達される如く構成した。
【0009】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、前記回転部材B5が最上昇位置にある状態で第2コイルスプリングB7が非圧縮状態にある如く構成した。
【0010】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、エアゾール容器体A上に固定したカバー筒B2と、エアゾール容器体A上端に上方付勢状態で押し込み可能に突設したステム4に嵌着するとともに、カバー筒B2の頂部より上端部を突設したノズルB4と、ノズルB4の上部外周部に回転可能且つノズルB4の押し下げを可能に装着した筒状の押釦B9と、ノズルB4の押し下げ回数を認知する認知システムとを備え、該認知システムは、ノズルB4周囲に回転可能且つ上方付勢状態で押し下げ可能に設けた回転部材B5を押釦B9の押し下げにより所定角度回転させる回転機構と、該回転機構と連繋させるとともに、所定回数の押釦B9の押し下げ時にステム4の押し下げを防止するロック機構とからなり、前記回転機構は、カバー筒B2内の周縁部に放射状に設け且つ下面にそれぞれ第1傾斜面s1を設けた複数の仕切板30と、一対の仕切板30間に先端部を位置させ且つ上面に第2傾斜面s2を設けた回動腕53を突設させた回転部材B5と、押釦B9と回動腕53との間に回転を防止して押し下げ可能に介在させるとともに、下面に第2傾斜面s2が摺動する複数の第3傾斜面s3を環状に連設したリング部材B8とからなり、押釦B9の押し下げ時に第2傾斜面s2が当接する第3傾斜面s3及び隣接する第1傾斜面s1上を摺動して回動腕53が隣接する仕切板30t を乗り越える如く構成し、前記ロック機構は、ノズルB4が挿通され、エアゾール容器体A上に装着される取付部材B1内所定位置に係止面aを設けるとともに、回転部材B5の所定位置に係止面aに当接する被係止面bを設けて回動腕の下降を防止する如く構成した液体噴出器に於いて、回転部材B5の上方付勢が、回転部材B5とノズルB4との間に介在させた第1コイルスプリングB6により行われ、押釦B9の押し下げが、第1コイルスプリングB6と、押釦B9の押し下げ時に上端が回転部材B5と当接する如く回転部材B5とノズルB4との間に介在させた第2コイルスプリングB7とを介してノズルB4に伝達される如く構成した。
【0011】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第3の手段に於いて、第1コイルスプリングB6の巻き方向と、第2コイルスプリングB7の巻き方向とをそれぞれ逆に構成した。
【0012】
第5の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第3の手段又は第4の手段のいずれかの手段に於いて、ノズルB4外周下端部より突設したフランジ40a の外周縁部に周壁部41を立設し、第1コイルスプリングB6及び第2コイルスプリングB7をフランジ40a 上の同心円位置に配置した。
【0013】
第6の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第3の手段乃至第5の手段のいずれかの手段に於いて、回転部材B5下面より、外周を取付部材B1の案内筒16内周に近接上下動可能に、且つ、内周をノズルB4の周壁部41外周に近接上下動可能に配置した下部筒壁部52a を垂設した。
【0014】
第7の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第6の手段のいずれかの手段に於いて、前記ロック機構によるロック状態を解除するロック解除機構を設けた。
【発明の効果】
【0015】
本発明の液体噴出器は、回転部材B5の上方付勢が、回転部材B5と取付部材B1との間に介在させた第1コイルスプリングB6により行われ、押釦B9の押し下げが、回転部材B5とノズルB4との間に介在させた第2コイルスプリングB7を介してノズルB4に伝達される如く構成したので、回転部材B5が上昇した状態で第2コイルスプリングB7によるノズルB4に対する影響を極力避けることができ、ステム4に対して常時押し下げ方向に力が掛かった状態を回避できて安定した液の噴出を行えるものである。また、第2コイルスプリングを介してステム4を押し下げるため、ゆっくりとしたステム4の押し下げが可能となり。更に、製品寸法のバラツキに対応し易く、多少のバラツキが生じても回転部材B5の所定角度の回動とステム4の押し下げが規則的に連繋し、回転部材B5が所定角度回動した際に生じる衝突音と液の噴出にズレが生じることがない。
【0016】
更に、押釦B9を押し込むという簡単な操作により所定の噴出液が噴出し、収納液の噴出が必要噴出回数に至った際にロック機構が作動し、ステム4の押下げを防止して液の噴出を防止し、噴出液が所定量に到達したことを感触的に認知できるものである。また、その認知システムを構成する回転機構も、押釦B9の押し下げ時に回転部材B5の第2傾斜面s2が当接するリング部材の第3傾斜面及び隣接する仕切板30t の第1傾斜面を摺動し、回動腕53が隣接する仕切板30t を乗り越えるため、無理のない作動で耐久性に冨み、その操作も極めて容易である。
【0017】
また、前記回転部材B5が最上昇位置にある状態で第2コイルスプリングB7が非圧縮状態にある如く構成した場合には、第2コイルスプリングB7のステム4に対する押圧が、ステム4の押し下げ時以外に確実に防止でき、上記効果をさらに確実に発揮できる。
【0018】
また、回転部材B5の上方付勢が、回転部材B5とノズルB4との間に介在させた第1コイルスプリングB6により行われ、押釦B9の押し下げが、第1コイルスプリングB6と、押釦B9の押し下げ時に上端が回転部材B5と当接する如く回転部材B5とノズルB4との間に介在させた第2コイルスプリングB7とを介してノズルB4に伝達される如く構成した場合にも、第1の手段の場合と同様に製品寸法のバラツキに対応し易く、また、押釦B9の押し下げ操作及びステム4の押し下げ操作が柔らかい感触で行えて使い心地の良いものとなる。
【0019】
また、第1コイルスプリングB6の巻き方向と、第2コイルスプリングB7の巻き方向とをそれぞれ逆に構成した場合には、両コイルスプリングを近接して設置しても両者が絡まる等の不都合を生じる虞がなく、コンパクトな設置が可能となる。
【0020】
ノズルB4外周下端部より突設したフランジ40a の外周縁部に周壁部41を立設し、第1コイルスプリングB6及び第2コイルスプリングB7をフランジ40a 上の同心円位置に配置した場合には、各コイルスプリングの設置が一箇所で行えるため組み付け操作が容易となる利点がある。また、万一各コイルスプリングの弾発力が衰えた場合でも周壁部41を押圧することで確実にノズルB4を押し下げることができる。
【0021】
回転部材B5下面より、外周を取付部材B1の案内筒16内周に近接上下動可能に、且つ、内周をノズルB4の周壁部41外周に近接上下動可能に配置した下部筒壁部52a を垂設した場合には、回転部材B5の横ブレを防止して円滑な回転が行われ、牽いては液体噴出器全体のより円滑な作動が行われる。
【0022】
また、前記ロック機構によるロック状態を解除するロック解除機構を設けた場合には、必要噴出回数を終了した後、再び最初から必要噴出回数の噴出が可能であり、エアゾール容器体Aの容量に従って何度でもこの操作を繰り返すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施例の形態を図面を参照して説明する。
【0024】
図1は本発明液体噴出器1の一例を示し、該噴出器1はエアゾール容器体Aと、噴出具Bとを備え、更に噴出具Bは、取付部材B1と、カバー筒B2と、仕切板部材B3と、ノズルB4と、回転部材B5と、第1コイルスプリングB6と、第2コイルスプリングB7と、リング部材B8と、押釦B9とを備えている。
【0025】
エアゾール容器体Aは、内部に定量バルブ2を内臓した筒状の胴部3上端より上方付勢状態で押し下げ可能にステム4を立設し、ステム4の押し下げにより定量の液がステム4より噴出する如く構成した公知機構のものである。
【0026】
取付部材B1はカバー筒B2をエアゾール容器体Aに嵌着固定するためのもので、エアゾール容器体Aの外周上端部に嵌着させた嵌合筒部10をドーナツ板状の台板部11の下面より垂設し、台板部11の内周縁部には環状の凹陥部12を設け、また、台板部11の外周縁にはカバー筒B2を嵌合させるための連結筒部13を垂設している。連結筒部13は下端部をフランジを介して大径に形成し、その上端部に位置併せ用の凹溝14を設けている。更に、取付部材B1の内周縁部上面所定位置には上面を係止面aとした棒状の突部15を立設している。
【0027】
カバー筒B2は、周壁20上端縁より延設した頂壁21の中央部に、ノズルB4,押釦B9等を突出するための窓孔22を設けており、取付部材B1の連結筒部13外周に周壁20の下部を、凹凸係合手段による抜け出し防止を図って嵌着し、両者を一体化させている。周壁20は上下方向中央に於いてフランジを介して縮径し、そのフランジ下方の周壁20内面より前記凹溝14に嵌合する嵌合突部23を突設して、両者を所定位置に嵌合できる如く構成している。また、周壁20の上部所定位置には表示用の窓孔24を穿設している。
【0028】
仕切板部材B3は、カバー筒B2内の周縁部に複数の仕切板30を放射状に設けるためのもので、環状の連結板31と、該連結板31下面に放射状に配置して垂設した複数の仕切板30とで構成しており、連結板31をカバー筒B2の頂壁21裏面位置に凹凸係合手段等を介して嵌着固定することにより、両者を一体化している。この様に各仕切板30をカバー筒B2と別体に形成することにより、比較的厚みを必要とする場合が多い仕切板30の形成がより容易に行えて、ヒケ等の発生を極力防止できるものであるが、カバー筒と仕切板を一体に形成することも当然可能である。
【0029】
各仕切板30は等間隔に設けられ、その下面はそれぞれ半径と直交する方向を向く第1傾斜面s1として構成している。但し、本例では後述するロック解除機構を形成するために、所定の一箇所に一枚の仕切板を除いた状態の幅広部32を設け、該幅広部32と対応させた所定位置に前記棒状の突部15(即ち係止面a)が位置する如く構成している。更に、この幅広部32から所定枚数位置の二枚の仕切板の中心側端面を外方へ凹ませて径方向の長さを短く構成した矮狭仕切板30a ,30a として構成している。
【0030】
ノズルB4はエアゾール容器体Aのステム4に嵌着するとともに、カバー筒B2の頂部より上方付勢状態で押し込み可能に上端部を突設している。図1の例では、ステム4の外周に下端部を液密に嵌着するとともに、下端縁より外方へフランジ40を延設している。従って、このノズルB4を押し下げすれば、ステム4が押し下げられてエアゾール容器体A内の公知の噴出機構により定量の液が噴出する如く構成している。
【0031】
回転部材B5は、ノズルB4の周囲に回転可能且つ上方付勢状態で押し下げ可能に設けたもので、一対の仕切板30間に先端部を位置させ且つ上面に第2傾斜面s2を設けた回動腕53を突設させている。図示例では、ノズルB4の上部外周に回動可能且つ上下動可能に嵌合させた上部筒壁部50下端よりフランジ部51を延設し、該フランジ部51の下面より大径に形成した下部筒壁部52を垂設している。また、フランジ部51の所定位置より外方へ回動腕53を突設してその先端部を一対の仕切板30間に位置させ、また、上面に第2傾斜面s2を設けている。この第2傾斜面は、半径方向と直交する方向に傾斜させており、各仕切板30の第1傾斜面s1と傾斜角度を略同じにして両者が当接した場合に摺動可能に構成している。更に、短い二本の補助回動腕53a ,53a を周方向間隔をあけて突設しており、各補助回動腕53a は所定の突出位置に形成しており、その上面にはそれぞれ同様の第2傾斜面s2を形成している。
【0032】
上記回動腕53は少なくとも一本存在すれば用は足りるが、より安定したガタツキの少ない回転部材B5の回転を図る場合には、回動腕の他に上記した如く補助回動腕を突設すると良い。補助回動腕は回動腕と同じ長さのものを採用する場合と短いものを採用する場合とがあり、規定噴出量等により適宜選択することができる。回動腕と同じ長さの補助回動腕を採用する場合には、少なくとも回動腕が360 °回動するうちに複数ターンの既定量噴出が行われる場合である。また、補助回動腕53a の数は特に限定されないが、2〜3本程度が適当であると思われる。また、その突出幅は前記矮狭仕切板30a に接触せずに他の仕切板と当接する突出幅とする。
【0033】
回動腕53の外周先端部はカバー筒周壁20の表示用の窓孔24に臨むレベルに位置させ、先端面には、文字,記号,模様,ベタ塗り等で表現した終了を表す表示54を、印刷,シール材の貼着等の適宜方法により設けている。更に、フランジ部51の上面所定位置には、ロック解除機構を構成する突部56を立設している。そして、フランジ部51の周縁部下面と取付部材B1の凹陥部12底部上面との間に介在させた第1コイルスプリングB6により常時上方へ付勢させている。第1コイルスプリングB6はフランジ部51下面に垂設した筒部55により所定位置に上端を嵌合できるように構成している。また、回転部材B5とノズルB4との間に、押釦B9の押し下げを伝達するための第2コイルスプリングB7を介在させている。第2コイルスプリングB7は、回転部材B5のフランジ部51下面とノズルB4のフランジ40上面との間に介在させており、第1コイルスプリングB6の作用で回転部材B5が最上昇位置にある場合には非圧縮状態にある如く構成している。
【0034】
リング部材B8は、押釦B9と回動腕53との間に回転を防止して押し下げ可能に介在させたもので、リング板状の基部80下面に第2傾斜面s2が摺動する第3傾斜面s3を環状に連設し、基部80外面より回動防止板81を周方向複数突設し、各回動防止板81を仕切板30間に嵌合させて回動の防止を図っている。第3傾斜面s3は第2傾斜面s2と傾斜角度を略同じにして両者が当接した場合に容易に摺動する如く構成している。
【0035】
押釦B9は、ノズルB4の上部外周部に回転可能且つノズルB4の押し下げを可能に装着した筒状をなしており、ノズルB4の上部外周部に回転部材B5の上部筒壁部50を介在させて嵌合させ、その下面をリング部材B8の基部80上面に、半球状突部90を介して当接載置し、更に、外周下端部に突設した環状突部91をカバー筒B2の窓孔22を形成する筒部下面に当接して上方への抜け出しを防止する如く構成している。また、内周部下面よりロック解除機構を構成する突部92を垂設している。そして、リング部材B8、回転部材B5及び第2コイルスプリングB7を介してノズルB4の押し込みを可能に構成している。
【0036】
本発明ではノズルB4の押し下げ回数を認知し、牽いては噴出液の噴出回数即ち噴出量を認知する認知システムを備えており、該認知システムは回転部材B5を押釦B9の押し下げにより所定角度回動させる回転機構と、該回転機構と連繋させるとともに、所定回数の押釦B9の押し下げ時にステム4の押し下げを防止するロック機構とから構成している。
【0037】
回転機構は、前記仕切板30と、前記回転部材と、前記リング部材B8とを備え、前記押釦の押し下げ時に第2傾斜面s2が当接する第3傾斜面s3及び隣接する第1傾斜面s1上を摺動して回動腕53が隣接する仕切板30t を乗り越える如く構成している。図4を用いて説明すれば、図4(a) は回動腕53が幅広部32の隣の仕切板間に位置した状態であり、この状態から、押釦B9を押し下げることによりリング部材B8及び回転部材B5を第1コイルスプリングB6,第2コイルスプリングB7及びステム4の上方付勢力に抗して押し下げると、第2コイルスプリングB7がフランジ40を押し下げることによりノズルB4を押し下げ、所定量の液を噴出する。また、回動腕53は当初隣接する仕切板30t に案内されて下降し、図4(b) の位置に達すると仕切板30から回動腕53が外れるため上方付勢力により第2傾斜面s2が残りの第3傾斜面s3を摺動して図4(c) の位置まで回動腕が回動し、次いで押釦B9の押圧を解除すると第2傾斜面s2は第1傾斜面s1上を摺動し(図4(d))、回動腕53は当該仕切板30を乗り越えて次の第3傾斜面s3上に回動する。この際被係止面bが係止面a上方に位置している(図4(e))。
【0038】
ロック機構は、取付部材B1内所定位置に係止面aを設けるとともに、回転部材B5の所定位置に係止面aに当接する被係止面bを設けて回動腕53の下降を防止する。図示例では、取付部材B1内所定位置に突設した棒状の突部15の上面を係止面aとし、回転部材B5の下部筒壁部52外面で且つフランジ部51下面の所定位置に設けた凸部57下面を被係止面bとしている。そして、回動腕53が回動して所定位置まで回動移動した際には押釦B9を押し込んでも被係止面bが係止面aに当接して下がらず、その結果、ステム4の下降を防止して液の噴出がなく、所定噴出量の液を噴出したことを触覚的に認知できる。尚、係止面aと被係止面bとの間には、図示例の如く、液の噴出が生じない程度にステムの僅かな押し下げが生じる如く、若干の隙間を設けても良い。隙間により作動がより円滑となる。
【0039】
また、本例ではロック機構によるロック状態を解除するロック解除機構を設けている。このロック解除機構は、ロック機構により一旦所定の噴出量の噴出が終了した後、新たに始めから所定噴出量の噴出が行える如く構成したもので、前記回動腕53が幅広部32位置に回動した際に係止面a上方に被係止面bが位置し、また、押釦B9を回転部材B5に対して回転させた際に、押釦B9が所定回転位置で回転部材B5と係合する如く構成し、押釦B9を回転させることにより回転部材B5を回転させ、係止面a上方の被係止面bを移動させる如く構成している。
【0040】
上記の如く構成した液体噴出器1を、収納液が頭皮用薬剤とした場合を例にとって説明する。例えば押釦B9を頭皮等に圧接して押し込み、ノズルB4を押し込んで収納液を噴出する。同様の押釦B9の押し込みを場所をかえて適宜行えば、回転部材B5はその都度所定回転角度回動して所定の回数に到達するとその回動腕53が係止面a上方に位置しそれ以上の押し下げを行えなくなる。この際、表示用の窓孔24からは、終了の文字等の表示54が見えて、視覚的にも同様に終了を認知することができる。また、次回使用する場合には、押釦B9を回動させてその突部92を回転部材B5の突部56と係合させた後更に回動させることにより、係止面a上の回動腕53がズレて、液の噴出が可能となり、再び所定量の液の噴出が行える。
【0041】
図5乃至図7は本発明の他の例を示すもので、液体噴出器1は同様にエアゾール容器体Aと、噴出具Bとを備え、更に噴出具Bは、同様に取付部材B1と、カバー筒B2と、仕切板部材B3と、ノズルB4と、回転部材B5と、第1コイルスプリングB6と、第2コイルスプリングB7と、リング部材B8と、押釦B9とを備えている。本例の液体噴出器は図1の例と同じ構成の部分が多々あり、従って、相違する部分の構成のみを説明し、同様部分の構成は同符号付して説明を省略する。
【0042】
取付部材B1はエアゾール容器体Aの外周上端部に嵌着させた嵌合筒部10をドーナツ板状の台板部11の下面より垂設し、台板部11の内周縁より下方へ案内筒16を垂設しており、案内筒16の下部は上向き段部17を介して小径化している。上向き段部17の上面所定位置には、上面を係止面aとした棒状の突部15を立設している。台板部11の裏面内周縁部には、周方向複数のリブ18を垂設し、その下面を容器体A上面に当接係止させている。また、台板部11の外周縁には図1の例と同様の連結筒部13を垂設している。
【0043】
カバー筒B2及び仕切板部材B3は、図1の例と同様である。
【0044】
ノズルB4はエアゾール容器体Aのステム4に嵌着するとともに、カバー筒B2の頂部より上方付勢状態で押し込み可能に上端部を突設している。図5の例では、ステム4の外周に大径の下端部を液密に嵌着するとともに、下端縁より外方へ図1の場合より幅広のフランジ40a を延設し、フランジ40a の外周縁より上方へ大径の下端部と同レベルの短い周壁部41を立設している。
【0045】
また、回転部材B5は、図1の例の回転部材B5に於いて、下部筒壁部52より大径な下部筒壁部52a を垂設している。下部筒壁部52a の外周所定位置に凸部57を突設し、その下面を被係止面bとして構成している。下部筒壁部52a は、外周を取付部材B1の案内筒16内周に近接上下動可能に、且つ、内周をノズルB4の周壁部41外周に近接上下動可能に垂設している。
【0046】
そして、回転部材B5のフランジ部51下面とノズルB4のフランジ40a 上面との間に介在させた第1コイルスプリングB6により回転部材B5を常時上方へ付勢させている。また、フランジ40a 上面の第1コイルスプリングB6内側に第2コイルスプリングB7を設置している。第2コイルスプリングB7は第1コイルスプリングB6より短く形成されており、押釦B9の押し下げ当初は上端が回転部材B5と接触せずにフランジ40a 上に載置させており、押釦B9の押し下げ当初は押釦B9の押し下げ力がノズルB4に伝達せず、回転部材B5が第1コイルスプリングB6を圧縮しつつ下降して第2コイルスプリングB7上端に到達した後に、第1コイルスプリングB6及び第2コイルスプリングB7両者の弾発力がステム4の上方付勢力に勝ってステム4を押し下げる如く構成している。従って、第1コイルスプリングB6の弾発力はステム4を上方へ付勢する力より充分小さいものを採用する。また、第1コイルスプリングB6と第2コイルスプリングB7は、図7に示す如く、それそれその巻き方向を逆に構成している。
【0047】
また、リング部材B8及び押釦B9も図1の例と同様であり、回転機構とロック機構からなる認知システムも図1の例と同様であり、更に、ロック解除機構も図1の例と同様である。
【0048】
図5の例の場合の作用も第1コイルスプリングB6及び第2コイルスプリングB7の作用以外は実質的に図1の例と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明液体噴出器の分解斜視図である。(実施例1)
【図2】本発明液体噴出器の縦断面図である。(実施例1)
【図3】本発明液体噴出器の仕切板を説明する説明図である。(実施例1)
【図4】本発明液体噴出器の作用を説明する説明図である。(実施例1)
【図5】本発明液体噴出器の縦断面図である。(実施例2)
【図6】本発明液体噴出器の押釦押し下げ状態の縦断面図である。(実施例2)
【図7】本発明に於ける第1,第2コイルスプリングの側面図である。(実施例2)
【符号の説明】
【0050】
1…液体噴出器
A…エアゾール容器体
2…定量バルブ,3…胴部,4…ステム
B…噴出具
B1…取付部材
10…嵌合筒部,11…台板部,12…凹陥部,13…連結筒部,
14…位置併せ用の凹溝,15…棒状の突部,a…係止面,16…案内筒,
17…上向き段部,18…リブ
B2…カバー筒
20…周壁,21…頂壁,22…窓孔,23…嵌合突部,24…表示用の窓孔
B3…仕切板部材
30…仕切板,s1…第1傾斜面,30a …矮狭仕切板,30t …隣接する仕切板,
31…連結板,32…幅広部
B4…ノズル
40,40a …フランジ
B5…回転部材
50…上部筒壁部,51…フランジ部,52,52a …下部筒壁部,53…回動腕,
s2…第2傾斜面,b…被係止面,53a …補助回動腕,54…表示,55…筒部,
56…突部,57…凸部
B6…第1コイルスプリング
B7…第2コイルスプリング
B8…リング部材
80…基部,s3…第3傾斜面,81…回動防止板
B9…押釦
90…半球状突部,91…環状突部,92…突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール容器体A上に固定したカバー筒B2と、エアゾール容器体A上端に上方付勢状態で押し込み可能に突設したステム4に嵌着するとともに、カバー筒B2の頂部より上端部を突設したノズルB4と、ノズルB4の上部外周部に回転可能且つノズルB4の押し下げを可能に装着した筒状の押釦B9と、ノズルB4の押し下げ回数を認知する認知システムとを備え、該認知システムは、ノズルB4周囲に回転可能且つ上方付勢状態で押し下げ可能に設けた回転部材B5を押釦B9の押し下げにより所定角度回転させる回転機構と、該回転機構と連繋させるとともに、所定回数の押釦B9の押し下げ時にステム4の押し下げを防止するロック機構とからなり、前記回転機構は、カバー筒B2内の周縁部に放射状に設け且つ下面にそれぞれ第1傾斜面s1を設けた複数の仕切板30と、一対の仕切板30間に先端部を位置させ且つ上面に第2傾斜面s2を設けた回動腕53を突設させた回転部材B5と、押釦B9と回動腕53との間に回転を防止して押し下げ可能に介在させるとともに、下面に第2傾斜面s2が摺動する複数の第3傾斜面s3を環状に連設したリング部材B8とからなり、押釦B9の押し下げ時に第2傾斜面s2が当接する第3傾斜面s3及び隣接する第1傾斜面s1上を摺動して回動腕53が隣接する仕切板30t を乗り越える如く構成し、前記ロック機構は、ノズルB4が挿通され、エアゾール容器体A上に装着される取付部材B1内所定位置に係止面aを設けるとともに、回転部材B5の所定位置に係止面aに当接する被係止面bを設けて回動腕の下降を防止する如く構成した液体噴出器に於いて、回転部材B5の上方付勢が、回転部材B5と取付部材B1との間に介在させた第1コイルスプリングB6により行われ、押釦B9の押し下げが、回転部材B5とノズルB4との間に介在させた第2コイルスプリングB7を介してノズルB4に伝達される如く構成したことを特徴とする液体噴出器。
【請求項2】
前記回転部材B5が最上昇位置にある状態で第2コイルスプリングB7が非圧縮状態にある如く構成してなる請求項1記載の液体噴出器。
【請求項3】
エアゾール容器体A上に固定したカバー筒B2と、エアゾール容器体A上端に上方付勢状態で押し込み可能に突設したステム4に嵌着するとともに、カバー筒B2の頂部より上端部を突設したノズルB4と、ノズルB4の上部外周部に回転可能且つノズルB4の押し下げを可能に装着した筒状の押釦B9と、ノズルB4の押し下げ回数を認知する認知システムとを備え、該認知システムは、ノズルB4周囲に回転可能且つ上方付勢状態で押し下げ可能に設けた回転部材B5を押釦B9の押し下げにより所定角度回転させる回転機構と、該回転機構と連繋させるとともに、所定回数の押釦B9の押し下げ時にステム4の押し下げを防止するロック機構とからなり、前記回転機構は、カバー筒B2内の周縁部に放射状に設け且つ下面にそれぞれ第1傾斜面s1を設けた複数の仕切板30と、一対の仕切板30間に先端部を位置させ且つ上面に第2傾斜面s2を設けた回動腕53を突設させた回転部材B5と、押釦B9と回動腕53との間に回転を防止して押し下げ可能に介在させるとともに、下面に第2傾斜面s2が摺動する複数の第3傾斜面s3を環状に連設したリング部材B8とからなり、押釦B9の押し下げ時に第2傾斜面s2が当接する第3傾斜面s3及び隣接する第1傾斜面s1上を摺動して回動腕53が隣接する仕切板30t を乗り越える如く構成し、前記ロック機構は、ノズルB4が挿通され、エアゾール容器体A上に装着される取付部材B1内所定位置に係止面aを設けるとともに、回転部材B5の所定位置に係止面aに当接する被係止面bを設けて回動腕の下降を防止する如く構成した液体噴出器に於いて、回転部材B5の上方付勢が、回転部材B5とノズルB4との間に介在させた第1コイルスプリングB6により行われ、押釦B9の押し下げが、第1コイルスプリングB6と、押釦B9の押し下げ時に上端が回転部材B5と当接する如く回転部材B5とノズルB4との間に介在させた第2コイルスプリングB7とを介してノズルB4に伝達される如く構成したことを特徴とする液体噴出器。
【請求項4】
第1コイルスプリングB6の巻き方向と、第2コイルスプリングB7の巻き方向とをそれぞれ逆に構成してなる請求項3記載の液体噴出器。
【請求項5】
ノズルB4外周下端部より突設したフランジ40a の外周縁部に周壁部41を立設し、第1コイルスプリングB6及び第2コイルスプリングB7をフランジ40a 上の同心円位置に配置してなる請求項3又は請求項4のいずれかに記載の液体噴出器。
【請求項6】
回転部材B5下面より、外周を取付部材B1の案内筒16内周に近接上下動可能に、且つ、内周をノズルB4の周壁部41外周に近接上下動可能に配置した下部筒壁部52a を垂設してなる請求項3乃至請求項5のいずれかに記載の液体噴出器。
【請求項7】
前記ロック機構によるロック状態を解除するロック解除機構を設けてなる請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の液体噴出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−275879(P2007−275879A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−67140(P2007−67140)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(000002819)大正製薬株式会社 (437)
【出願人】(000222129)東洋エアゾール工業株式会社 (77)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】