説明

液体噴射装置

【課題】液体噴射装置の液体噴射面が、斜めあるいは垂直に配置されても、液体の吐出量
がより均一な液体噴射装置を提供すること。
【解決手段】鉛直方向の位置が互いに異なる複数のノズル11から液体を噴射する液体噴
射装置1において、複数のノズル11に液体を供給する第1のリザーバー5と、第1のリ
ザーバー5が液体を供給するノズル11よりも鉛直方向下側の複数のノズル11に上記液
体を供給する第2のリザーバー6と、第1のリザーバー5に液体を供給する第1の供給路
7と、第2のリザーバー6に液体を供給する第2の供給路8と、第1の供給路7と第2の
供給路8とに液体を供給する液体供給部4と、を備える液体噴射装置1としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
色材や電極材料などの様々な液体を噴射する液体噴射装置が、ディスプレイの製造や電
気配線の形成などに利用されている。そして液体噴射装置の一つとして従来、インクヘッ
ドに設けられたノズルからインクを噴出するインクジェット方式のプリンター装置が用い
られている。インクジェット方式のプリンター装置が有するインクヘッドは、インクカー
トリッジからインクの供給を受けて、リザーバーにて一定量のインクを蓄え、複数のノズ
ルにインクを分配する。分配されたインクは、インクヘッドに設けられたノズルから液滴
として噴出され、プリンター装置内を通過する印刷用紙にドットを形成することによって
印刷が行われる。
【0003】
また、インクジェット方式のプリンターによっては、インクヘッドのノズル面が、水平
ではなく、水平面に対して角度を為して配置される場合がある。(たとえば、特許文献1
参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−256246号公報(図5等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、本発明者の研究によると、特許文献1に記載のインクヘッドが大型化した場
合には、以下の問題が生じることが判明した。すなわち、鉛直方向で上端側のノズルから
吐出されるインクの量と、下端側のノズルから吐出されるインクの量とが異なるという問
題である。なぜなら、大型インクヘッドを斜めあるいは垂直に取り付けた場合、丈夫に配
置されるノズルから下方に配置されるノズルまでの距離が大きく異なるため、鉛直方向で
上端側のノズルの位置と、下端側のノズルの位置とでは、水頭圧値が異なるからである。
この結果、鉛直方向の上端側と下端側とでインクの供給量が不均一になり印刷品質の低下
を招くという問題が生ずる。これは、インクを噴射するインクジェット方式のプリンター
に限られない。色材や電極材料などを噴射するさまざまな液体噴射装置であっても同様に
、液体の供給量が不均一になるという問題が生ずる。
【0006】
そこで、本発明は、液体噴射装置の液体噴射面が、斜めあるいは垂直に配置されても、
液体の吐出量がより均一な液体噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の液体噴射装置の一側面は、鉛直方向の位置が互いに異なる複数のノズルから液
体を噴射する液体噴射装置において、1以上のノズルに液体を供給する第1のリザーバー
と、第1のリザーバーが液体を供給するノズルよりも鉛直方向下側に位置する1以上のノ
ズルに液体を供給する第2のリザーバーと、第1のリザーバーに液体を供給する第1の供
給路と、第2のリザーバーに液体を供給する第2の供給路と、第1の供給路と上記第2の
供給路とに液体を供給する液体供給部と、を備えるものとしている。なお、本明細書にお
いて、相対的に鉛直方向で上方側のノズルを「鉛直方向上側のノズル」という。同様に、
相対的に鉛直方向で下方側のノズルを「鉛直方向下側のノズル」という。
【0008】
また、第1の供給路の動水頭の総和を、第2の供給路の動水頭の総和に比べ大きいもの
が好ましい。
【0009】
また、第1の供給路の流路断面積を、第2の供給路の流路断面積に比べ大きくすると好
ましい場合もある。
【0010】
さらに、第1の供給路の本数は、第2の供給路の本数よりも多いのが好ましい場合もあ
る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、各実施の形態に係る液体噴射装置が有するヘッドと印刷媒体との位置関係を示す斜視図である。
【図2】図2は、第1の実施の形態に係る液体噴射装置の概略を示す断面図である。
【図3】図3は、第1の実施の形態に係る液体噴射装置が有するヘッドの内部構造を説明する断面図である。
【図4】図4は、従来の分割されていないリザーバーにおいて、供給路から各ノズルまでの距離を説明する断面図である。
【図5】図5は、第1の実施の形態に係るリザーバーにおいて、供給路から各ノズルまでの距離を説明する断面図である。
【図6】図6は、第2の実施の形態に係る液体噴射装置の概略を示す断面図である。
【図7】図7は、第3の実施の形態に係る液体噴射装置の概略を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施の形態)
まず初めに、本発明の第1の実施の形態に係る液体噴射装置1について、図面を参照し
ながら説明する。なお、液体噴射装置1として、インクジェットプリンターを例に挙げて
説明する。
【0013】
(液体噴射装置の全体構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る液体噴射装置1が有するヘッド2と、印刷媒
体3との位置関係を示す斜視図である。また、図2は、液体噴射装置1の構成を説明する
ための概略図である。なお、図2は、図1のヘッド2を図1のA−A線で切断し、矢印方
向に見た場合の断面図として示している。
【0014】
液体噴射装置1のヘッド2は、印刷用紙等の印刷媒体3と対向して配置されている。ヘ
ッド2は、たとえば、11色に対応した11列のノズル列を有している。各ノズル列は、
図1に示す11の領域20〜30のそれぞれに対応して配置される。この実施の形態では
、たとえば、各領域20〜30に配置されたノズルは、各領域で別の色のインクを吐出す
る。
【0015】
また、液体噴射装置1の印刷媒体3と対向する面は、水平面に対して0度を超えた角度
θ(たとえば、60度)を為している。また、液体噴射装置1は、ヘッド2の他に、液体
貯蔵部としてのインクタンク4、第1の供給路5および第2の供給路6を有する。インク
タンク4も、ヘッド2と同様に11の領域に分かれており、上述した11色の顔料インク
が分かれて貯蔵されている。
【0016】
ヘッド2の各領域の内部は、上下方向に2つの区域に分けられている。すなわち、ヘッ
ド2の各領域の20〜30には、第1のリザーバー7および第2のリザーバー8が設けら
れている。図3は、ヘッド2の内部の構造を示す断面図である。第1のリザーバー7およ
び第2のリザーバー8には、それぞれ圧力室9,10が連通している。そして圧力室9ま
たは圧力室10とヘッド2の外部とを貫通する複数のノズル11とが、連通している。
【0017】
インクタンク4は、液体としてのインクを貯蔵する部分である。また、インクタンク4
には、加圧ポンプ等の加圧部(不図示)が、インクタンク4に圧力を加えられるように配
置されている。インクタンク4の中にある液体を、ヘッド2へ供給する際には、不図示の
加圧ポンプが、インクタンク4の内部に空気を圧送する。すると、インクタンク4からイ
ンクが押し出され、インクタンク4に連通する第1の供給路5および第2の供給路6から
、ヘッド2へインクが供給される。そして、ヘッド2へ供給されたインクは、第1の供給
路5から第1のリザーバー7に供給される。そして、第1のリザーバー7は、連通する複
数の圧力室9にインクを供給し、圧力室9に加わる圧力によって、圧力室9に連通するノ
ズル11からインクが噴射される。一方、ヘッド2へ供給されたインクは、第2の供給路
6から第2のリザーバー8に供給され、第2のリザーバー8に連通する複数の圧力室10
にインクを供給する。そして、圧力室10に加わる圧力によって、圧力室10に連通する
ノズル11からインクが噴射される。
【0018】
第1のリザーバー7および第2のリザーバー8は、インクタンク4から第1の供給路5
または第2の供給路6から供給されたインクを圧力室へ供給する部分である。本実施の形
態では、第1のリザーバー7と第2のリザーバー8は一方の壁を挟んで隣接している。ま
た、第2のリザーバー8は、第1のリザーバー7の鉛直方向の上方側に配置されている。
【0019】
ノズル11は、図2の点線の矢印で示すように、インクを液滴として印刷媒体3に向か
って噴射する部分であり、ヘッド2の印刷媒体3と対向する面に配置されている。また、
ヘッド2の印刷媒体3と対向する面には、ヘッド2の長手方向にノズル11が複数設けら
れ1つのノズル列を形成している。そして、ヘッド2の印刷媒体3と対向する面は水平面
に対して角度θを為しているために、ノズル11は鉛直方向に異なる位置に存在する。
【0020】
なお、図2等では、図を見やすくする目的で、ノズル11の図示を一部省略している。
ノズル11は、第1のリザーバー7または第2のリザーバー8と、ノズル11との間に設
けられる圧力室が、伸縮等によって変形することで、圧力室に充填されているインクがノ
ズル11から排出される。たとえば、圧力室9は、ピエゾ素子などの圧電振動子12が当
接されていて、その圧電振動子12が伸縮等することで、圧力室9が変形して圧力室9の
内部のインクに圧力が加わる。なお、ノズル11のうち鉛直方向の上端のノズル11uと
鉛直方向の下端のノズル11dにおいて、ノズル列方向に2インチ離れ、角度θが60度
であれば、鉛直方向に約40mm程度の静水頭差が生じる。
【0021】
第1の供給路6は、一端側がインクタンク4と連通し、他方側が第1のリザーバー7に
連通している。一方、第2の供給路7は、一端側がインクタンク4と連通し、他方側が第
2のリザーバー8に連通している。すなわち、供給経路6,7は、インクタンク4からリ
ザーバー7,8へインクを供給する供給路である。また、第1の供給路6は、第2の供給
路7と、流路の断面積(すなわち管の内径)が異なる。第1のリザーバー7の鉛直方向で
上方側に配置されている第2のリザーバー8には、第1の供給路5よりも内径の大きい第
2の供給路6が接続されている。
【0022】
したがって、第2の供給路6は、第1の供給路5よりも小さい流体抵抗でインクを供給
するものとなる。そのため、第1のリザーバー7と第2のリザーバーとの静水頭差による
圧力差を緩和することができる。なぜなら、第1の供給路5および第2の供給路内の流れ
やすさの違いから生ずる動水頭差が、高低差から生ずる静水頭差による圧力差を緩和でき
るからである。したがって、鉛直方向の下端側のノズル11dから噴射されるインクの重
量と、鉛直方向の上端側のノズル11uから噴射されるインクの重量との差を小さくする
ことができる。
【0023】
(液体噴射装置の動作)
以上のような構成を有する液体噴射装置1において、液体を噴射する際の動作を以下に
説明する。
【0024】
まず、インクタンク4へ、加圧ポンプ(不図示)が高い圧力の空気を送り込む。すると
、インクタンク4に充填しきれなくなったインクの一部が、第1の供給路5および第2の
供給路6へ押し出される。すなわち、第1の供給路5を介して第1のリザーバー7へイン
クが供給されると共に、第2の供給路6を介して第2のリザーバー8へインクが供給され
る。
【0025】
第1のリザーバー7および第2のリザーバー8に供給されたインクは、適宜、第1のリ
ザーバー7または第2のリザーバー8に連通する圧力室9,10にそれぞれ供給される。
圧力室9,10に当接する圧電振動子12が、制御部(不図示)からの電気信号等により
振動すると、その振動により圧力室9,10が変形する。圧力室9,10の変形に伴い、
圧力室9,10に充填されたインクがノズル11から押し出されて、液滴としてヘッド2
から噴射される。
【0026】
上述のような、液体噴射装置1とすることにより、第1のリザーバー7と第2のリザー
バーとの静水頭差による圧力差を緩和することができる。なぜなら、第1の供給路5の内
径は、第2の供給路6の内径よりも小さいことにより生じる動水頭差が、前述の静水頭差
による圧力差を緩和できるからである。したがって、鉛直方向の下端側のノズル11dか
ら噴射されるインクの吐出量と、鉛直方向の上端側のノズル11uから噴射されるインク
の吐出量との差を小さくすることができる。すなわち、鉛直方向に上端側のノズル11u
からも、下端側のノズル11dからも同程度の圧力でインクを噴射できるものとなる。
【0027】
また、第1のリザーバー7および第2のリザーバー8に分割されていない場合(図4参
照)と比較して、第1のリザーバー7および第2のリザーバー8に分割されている場合(
図5参照)には、第1のインク供給路6あるいは第2のインク供給路7から各ノズル11
までの距離の差が小さくなる。具体的には、図4に示すように、第1のリザーバー7およ
び第2のリザーバー8に分割されていない場合には、供給路から最も近いノズル11まで
の距離Xは、上端側ノズル11uあるいは下端側ノズル11dまでの距離Xよりも小
さいものとなる。一方、図5に示すように、第1のリザーバー7および第2のリザーバー
8に分割されている場合には、供給路から最も近いノズル11までの距離Xと、上端側
ノズル11uあるいは下端側ノズル11dまでの距離Xとの差は、XとXとの差よ
りも小さい。したがって、第1のインク供給路6あるいは第2のインク供給路7から各ノ
ズル11までの各流体抵抗が近い値となる。そのため、インクの供給路6,7から各ノズ
ル11までの流体抵抗の違いを考慮して、各ノズル11の長さや形状等を変化させる等の
補正を必要しないものとなる。
【0028】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態に係る液体噴射装置1Aについて、図6を参照しながら説明す
る。なお、第2の実施の形態に係る液体噴射装置1Aと、第1の実施の形態に係る液体噴
射装置1とは、主に、第1の実施の形態における第2の供給路6について異なる。以下の
説明においては、その異なる部分を中心に説明すると共に、第1の実施の形態と同一また
は、同種の部材については、同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
【0029】
図7は、第2の実施の形態に係る液体噴射装置1Aの構成を説明するための概略図であ
る。なお、図7は、図2と同様に、図1のA−A線で切断し、矢印方向に見た場合の断面
図として示している。
【0030】
本実施の形態において、第1の供給路5と、第2の供給路6a,6bは、それぞれ同程
度の内径を有するものである。しかし、第1のリザーバー7には、1本の第1の供給路5
が連通しているが、一方、第2のリザーバー8には、2本の第2の供給路6a,6bが連
通している。
【0031】
上述のような、液体噴射装置1Aとすることにより、鉛直方向上方側のノズル11uと
下方側のノズル11dとの静水頭差を緩和できる。なぜなら、第2のリザーバー8に連通
する第2の供給路6a,6bの流路の断面積の合計は、第1のリザーバー7に連通する第
1の供給路5の流路の断面積よりも大きいため、第2の供給路6a,6bは、第1の供給
路5よりも大きい流量でインクをリザーバー7に供給するからである。すなわち、上述の
ような、液体噴射装置1Aであっても、第1のリザーバー7と第2のリザーバー8の静水
頭差により生じる圧力差を、動水頭差にて緩和できる。
【0032】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態に係る液体噴射装置1Bについて、図7を参照しながら説明す
る。なお、第3の実施の形態に係る液体噴射装置1Bと、第1の実施の形態に係る液体噴
射装置1とは、主に、第1の供給路5aについて異なる。
【0033】
図7は、液体噴射装置1の構成を説明するための概略図である。なお、図7は、図2と
同様に、図1のA−A線で切断し、矢印方向に見た場合の断面図として示している。
【0034】
本実施の形態において、第1の供給路5aと、第2の供給路6dとは同程度の内径を有
している。また、第1のリザーバー7および第2のリザーバー8には、それぞれ第1の供
給路5aおよび第2の供給路6dが、1本ずつ連通している。しかし、第2の供給路6d
は、直線的であるのに対して、第1の供給路5aは、直線的な形状ではなく湾曲部を有し
ている。
【0035】
上述のような、液体噴射装置1Bとすることにより、第1の供給路5aの湾曲部におけ
る流体抵抗が他の部分と比較して大きいため、第1の供給路5aでは、圧力損失が大きく
なり、損失水頭が大きくなる。したがって、第2の供給路6の動水頭よりも第1の供給路
5aの動水頭が小さいものとなる。すなわち、鉛直方向上方側のノズル11と下方側のノ
ズル11との静水頭圧差を、第1の供給路5aと第2の供給路6aの動水頭の差で緩和で
きる。
【0036】
(本発明の変形例)
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明は、上述の各形態に限定され
ることなく、種々変形した形態にて実施可能である。
【0037】
たとえば、上述の各実施の形態において、第1のリザーバー7と第2のリザーバー8の
2つが一方の壁を挟んで隣接するものとしているが、このような形態に限らない。たとえ
ば、2以上のリザーバーが配置されていてもよいし、必ずしも隣接して配置されていなく
てもよい。また、1のリザーバーが分割されて2以上のリザーバーが構成されるようにし
てもよいし、あるいは、別個のリザーバーが複数配置されるような形態としてもよい。
【0038】
また、上述の各実施の形態において、供給路5の動水頭と供給路6の動水頭とは、異な
るものとしているが、同じヘッド内に複数のリザーバーを設けるだけでも、第1のインク
供給路6あるいは第2のインク供給路7から各ノズル11までの距離の差が小さくなると
いう効果を有する。
【0039】
また、第1の実施の形態では、第1の供給路5と第2の供給路6の流路の断面積を異な
らせた形態とした。第2の実施の形態では、第1のリザーバー7には、第1の供給路5の
みが連通し、第2のリザーバー8には、第2の供給路6a,6bの2本が連通する形態と
した。さらに、第3の実施の形態では、第1の供給路5aは、第2の供給路6dよりも流
体抵抗が大きくなるような形状とすることで動水頭差を生じさせるものとしている。しか
しこのような形態に限らない。たとえば、上述の各形態を組み合せてもよい。
【0040】
また、第2の実施の形態において、第1のリザーバー7には、第1の供給路5のみが連
通し、第2のリザーバー8には、第2の供給路6a,6bの2本が連通する形態としたが
、動水頭差によって静水頭差を抑制できれば、本数は何本であってもよい。
【0041】
また、第3の実施の形態において、第1の供給路5aが湾曲部を有し、2の供給路6d
は、直線的であるような形態でなくてもよい。第1の供給路5aの流体抵抗が、第2の供
給路6dの流体抵抗よりも大きくなるような形状であればどのような形状であってもよい
。たとえば、供給路の一部が途中で細くなるような形状としてもよい。また、形状により
流体抵抗を変化させるのではなく、第1の供給路5aの材質と、第2の供給路6dの材質
とを変化させることで、流体抵抗を変化させるような形態であってもよい。また、第1の
供給路5aおよび第2の供給路6dの内面についてのみ、材質や形状を変えることで、流
体抵抗が異なるようにしてもよい。
【0042】
また、上述の各実施の形態においては、インクジェット式プリンターを例に説明したが
、これに限らず、インク以外の他の流体を噴射する任意の流体噴射装置に適用することが
できる。たとえば、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ等の製造に用いられる、液体を
噴射する装置等であってもよい。この場合、液体は、インク以外の液体であっても良く、
たとえば液晶ディスプレイ、EL(Electro Luminescence)ディス
プレイに用いられる液体を噴射する装置においては、色材、電極材が液体となる。
【0043】
また、上述の各実施の形態では、ヘッド2は、シリアル方式のヘッドとしているが、そ
の他の方式のヘッドとしてもよい。たとえば、ヘッド2をラインヘッド方式のヘッドとす
ることができる。ラインヘッド方式では、印刷媒体3の用紙幅方向の長さにわたり、イン
クを吐出するノズル11が所定のピッチで複数列配置されている。そのため、印刷媒体3
の幅方向にヘッド2を移動させるためのキャリッジを必要としない。そして、印画の際は
、印刷媒体3が搬送手段によって停止することなく定速で移動し、それに同調してインク
がヘッドから連続的に吐出されるため、印画時間の短縮を図ることが可能である。
【0044】
また、上述の各実施の形態では、インクタンク4、第1の供給路5,5a第2の供給路
6,6a,6b等は、ヘッド2と別体としたが、このような形態に限らない。ヘッド2が
、インクタンク4、第1の供給路5,5aおよび第2の供給路6,6a,6bを、ヘッド
2の一部として、有していても良い。
【0045】
また、上述の各実施の形態では、ノズル11は、鉛直方向に異なる位置で複数設けられ
ているものとしているが、最低2つのノズル11が鉛直方向に異なる位置で設けられてい
ればよい。
【符号の説明】
【0046】
1…液体噴射装置,5…第1のリザーバー(リザーバー),6…第2のリザーバー(リザ
ーバー),7…第1の供給路(供給路),8…第2の供給路(供給路),11…ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向の位置が互いに異なる複数のノズルから液体を噴射する液体噴射装置において

1以上のノズルに上記液体を供給する第1のリザーバーと、
上記第1のリザーバーが液体を供給するノズルよりも鉛直方向下側に位置する1以上の
ノズルに上記液体を供給する第2のリザーバーと、
上記第1のリザーバーに液体を供給する第1の供給路と、
上記第2のリザーバーに液体を供給する第2の供給路と、
上記第1の供給路と上記第2の供給路とに液体を供給する液体供給部と、
を備えることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体噴射装置において、
前記第1の供給路の動水頭の総和は、
前記第2の供給路の動水頭の総和に比べて大きいことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液体噴射装置であって、
前記第1の供給路の流路断面積を、
前記第2の供給路の流路断面積に比べ大きくしたことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3項に記載の液体噴射装置であって、
前記第1の供給路の本数は、第2の供給路の本数よりも多いことを特徴とする液体噴射
装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−221458(P2010−221458A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69606(P2009−69606)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】