液体噴射装置
【課題】流路形成部材の振動がキャリッジへ伝わることを低減することができる液体噴射装置を提供する。
【解決手段】プリンターは、ターゲットとしての記録用紙に対してインク(液体)を噴射する記録ヘッドと、記録ヘッドを搭載するとともに所定の直線方向である左右方向Xにおいて往復移動するキャリッジと、キャリッジ内に設けられて記録ヘッドに供給されるインクの流路を形成する流路形成部材8とを備える。そして、キャリッジには、流路形成部材8を覆うキャリッジカバー6が設けられ、流路形成部材8には、キャリッジカバー6に当接して振動を抑制する振動抑制部としての突起89が設けられている。
【解決手段】プリンターは、ターゲットとしての記録用紙に対してインク(液体)を噴射する記録ヘッドと、記録ヘッドを搭載するとともに所定の直線方向である左右方向Xにおいて往復移動するキャリッジと、キャリッジ内に設けられて記録ヘッドに供給されるインクの流路を形成する流路形成部材8とを備える。そして、キャリッジには、流路形成部材8を覆うキャリッジカバー6が設けられ、流路形成部材8には、キャリッジカバー6に当接して振動を抑制する振動抑制部としての突起89が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばインクジェット式プリンター等の液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体をターゲットに対して噴射する液体噴射装置として、インクジェット式のプリンターが広く知られている。プリンターは、往復移動するキャリッジに記録ヘッド(液体噴射ヘッド)を搭載し、インクタンクから供給されたインク(液体)を記録ヘッドに形成されたノズルから噴射することにより、ターゲットとしての記録媒体に印刷を施すようになっている。こうしたプリンターとしては、従来から、インクタンクをキャリッジ外の固定位置に装着するタイプ(いわゆるオフキャリッジタイプ)のプリンターが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一般に、インクタンクがオフキャリッジタイプのプリンターにおいては、可撓性のインク供給チューブ(液体供給部材)によりキャリッジ外に設けられたインクタンク(液体貯溜部)からキャリッジ内へインクが供給される。また、キャリッジ内にはインクの流路を形成する流路形成部材が設けられている。そして、インク供給チューブから供給されるインクは、流路形成部材を介して、キャリッジに搭載された記録ヘッドに供給される。
【0004】
特許文献1に記載されるプリンターにおいては、キャリッジ内に、記録ヘッドに供給されるインクの流路を形成する流路形成部材として、流路内の圧力変動を緩衝するための圧力ダンパーを設けることが開示されている。また、特許文献1には、圧力ダンパーの振動を抑制する構成として、圧力ダンパーをキャリッジへ取り付ける場合に、止着ねじが螺合し得るキャリッジの空部と、圧力ダンパーに設けられた止着部を貫通する止着用開口部とを位置合わせし、止着ねじの軸部を止着用開口部に挿入して止着ねじを締め込むことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−232808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載のプリンターにおいては、流路形成部材である圧力ダンパーの下端はキャリッジに対して固定されているものの、その上端は自由端となっている。このため、キャリッジの移動に起因して、圧力ダンパー及びこれに接続されたインク供給チューブに慣性力が作用して、圧力ダンパーが振動する場合があり、流路形成部材の振動が記録ヘッドを搭載するキャリッジに伝わるという問題がある。液体噴射ヘッドを搭載するキャリッジに振動が加わると、ターゲットの所望の位置に向けての液体の噴射精度が低下するおそれがあり、プリンターにおいては記録媒体への印刷品質が低下するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、流路形成部材の振動がキャリッジへ伝わることを低減することができる液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の液体噴射装置は、ターゲットに対して液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドを搭載するとともに所定の直線方向において往復移動するキャリッジと、前記キャリッジ内に設けられて前記液体噴射ヘッドに供給される液体の流路を形成する流路形成部材とを備える液体噴射装置であって、前記キャリッジには、前記流路形成部材を覆うキャリッジカバーが設けられ、前記流路形成部材には、前記キャリッジカバーに当接して振動を抑制する振動抑制部が設けられている。
【0009】
この発明によれば、流路形成部材には、この流路形成部材を覆うキャリッジカバーに当接して振動を抑制する振動抑制部が設けられているため、キャリッジの往復移動に起因して発生する流路形成部材の振動を抑制することができる。従って、流路形成部材の振動がキャリッジへ伝わることを低減することができる。
【0010】
本発明の液体噴射装置において、前記振動抑制部は弾性を有する突起である。
この発明によれば、キャリッジカバーに当接する振動抑制部が弾性を有する突起であるため、この突起がダンパーとして機能して、簡単な構成で流路形成部材の振動を抑制することができる。
【0011】
本発明の液体噴射装置において、前記突起は、前記流路形成部材に形成されるとともに上下方向及び前記キャリッジが往復移動する前記直線方向において弾性変形可能な弾性変形部と、この弾性変形部に接続されるとともに前記キャリッジカバーに当接するカバー当接部とを有する。
【0012】
この発明によれば、突起のカバー当接部がキャリッジカバーに当接することにより振動が抑制されるとともに、カバー当接部が接続された弾性変形部が弾性変形することにより、2方向(即ち、上下方向とキャリッジが往復移動する直線方向)における流路形成部材の振動を効果的に抑制することができる。
【0013】
本発明の液体噴射装置において、前記突起は、単一の材料により前記流路形成部材と一体的に形成されている。
この発明によれば、振動抑制部である突起は、単一の材料により流路形成部材と一体的に形成されているため、流路形成部材に設けられる振動抑制部である突起が、流路形成部材と別体の部材により構成される場合に比べて、部品点数の増加を抑制することができる。
【0014】
本発明の液体噴射装置において、前記キャリッジカバーには、前記流路形成部材に向けて突出する突出部が設けられるとともに、前記突出部は、前記突起に対して斜め上方から当接する傾斜当接面を有している。
【0015】
この発明によれば、キャリッジカバーに設けられた流路形成部材に向けて突出する突出部は、突起に対して斜め上方から当接する傾斜当接面を有している。このため、キャリッジカバーの突出部に、2方向(即ち、即ち、上下方向とキャリッジが往復移動する直線方向)から振動抑制部である突起が当接することにより、流路形成部材の振動をより効果的に抑制することができる。
【0016】
本発明の液体噴射装置において、前記キャリッジカバーに設けられた前記突出部は、前記傾斜当接面として、前記直線方向の一方から前記突起に当接する第1の傾斜当接面と、前記直線方向の他方から前記突起に当接する第2の傾斜当接面とを有している。
【0017】
この発明によれば、突出部は、傾斜当接面として、直線方向の一方から突起に当接する第1の傾斜当接面と、直線方向の他方から前記突起に当接する第2の傾斜当接面とを有している。このため、突出部が有する傾斜当接面が直線方向の一方のみから突起に当接する場合に比べて、キャリッジが往復移動する直線方向における流路形成部材の振動をより一層効果的に抑制することができる。
【0018】
本発明の液体噴射装置において、前記流路形成部材の上端には、前記突起として、前記直線方向の一方に向けて先端を突出させた第1の突起と、前記直線方向の他方に向けて先端を突出させた第2の突起とが設けられ、前記第1の突起の先端が前記第1の傾斜当接面に当接するとともに、前記第2の突起の先端が前記第2の傾斜当接面に当接する。
【0019】
この発明によれば、流路形成部材の上端に、第1及び第2の突起が設けられているため、流路形成部材の上部をキャリッジカバーで覆うことにより、突起を傾斜当接面に当接させることができる。また、第1の突起の先端が第1の傾斜当接面に当接するとともに、第2の突起の先端が第2の傾斜当接面に当接するため、1つの突起の先端が第1及び第2の双方の傾斜当接面に当接する場合に比べて、突起を弾性変形し易くすることができる。よって、流路形成部材の振動をさらにより一層効果的に抑制することができる。
【0020】
本発明の液体噴射装置において、前記キャリッジ内には、このキャリッジに対して位置調整可能なサブキャリッジが設けられ、前記キャリッジに対して固定される前記液体噴射ヘッド及び前記流路形成部材は、前記サブキャリッジに固定されている。
【0021】
この発明によれば、液体噴射ヘッドが固定されたサブキャリッジは、キャリッジに対して位置調整可能に設けられているため、サブキャリッジの位置を調整することにより、キャリッジ内における液体噴射ヘッドの位置を微調整することができる。また、サブキャリッジに固定された流路形成部材の振動抑制部は、上述のごとく弾性を有する突起であるため、サブキャリッジの位置が調整された場合であっても、キャリッジカバーに振動抑制部としての突起が当接し易く、流路形成部材の振動が抑制され易い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット式プリンターの概略構成を示す斜視図。
【図2】同実施形態に係るキャリッジからキャリッジカバーを外した状態を示す斜視図。
【図3】同実施形態に係るキャリッジからキャリッジカバーを外した状態を示す平面図。
【図4】同実施形態に係るキャリッジからキャリッジに設けられる所定の部品を取り外した状態を示す分解斜視図。
【図5】図3のA−A部分の断面を模式的に示した模式断面図。
【図6】図3のB−B部分の断面を模式的に示した模式断面図。
【図7】同実施形態に係る流路形成部材の下端が固定されている状態を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は側面図。
【図8】同実施形態に係るキャリッジ内に設けられる流路形成部材を示す図であって(a)は斜視図、(b)は平面図。
【図9】(a)は図8(b)のC−C部分の断面を示す断面図、(b)は図8(b)のD−D部分の断面を示す断面図。
【図10】同実施形態に係るキャリッジカバーの断面斜視図。
【図11】同実施形態に係るキャリッジカバーの平面図。
【図12】同実施形態に係るキャリッジカバーが流路形成部材を覆う状態において、図11のE−E部分のキャリッジカバー断面を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る液体噴射装置を、インクジェット式プリンターに具体化した実施形態を図1〜12に基づいて説明する。なお、図中の矢印Xは、所定の直線方向である左右方向Xを示している。また、図中の矢印Yは、左右方向Xに直交する方向である前後方向Yを示している。また、図中の矢印Zは、左右方向X及び前後方向Yの各々に直交する上下方向Zを示している。
【0024】
図1に示すように、液体噴射装置としてのプリンター1は、ターゲットである記録用紙P(記録媒体)に対してインク(液体)を噴射する液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド2と、記録ヘッド2を搭載するとともに左右方向Xにおいて往復移動するキャリッジ3とを備えている。即ち、記録ヘッド2は、プリンター1が有する固定部材としてのフレーム11に対してキャリッジ3とともに移動する。
【0025】
左右方向Xに延設されたフレーム11には、主ガイド軸12及び副ガイド軸13が架設されている。各ガイド軸12,13は、左右方向Xに延設された軸部材であって、キャリッジ3は、これらのガイド軸12,13を介してフレーム11に支持されている。
【0026】
また、フレーム11には、主ガイド軸12の左右方向Xにおける両端部と対応する位置に駆動プーリー14及び従動プーリー15が回転自在に設けられている。駆動プーリー14には電動モーター16が接続されるとともに、プーリー14,15間には、キャリッジ3に固定されたタイミングベルト17が掛けられている。このような構成により、キャリッジ3は、各ガイド軸12,13にガイドされながら電動モーター16の駆動により左右方向Xに往復移動する。
【0027】
また、主ガイド軸12の下方には、記録用紙Pを支持する支持体であるプラテン18が架設されている。記録用紙Pは、プリンター1が備える紙送り機構(図示略)により前方に向けて搬送されて、図1に示すようにプラテン18上に記録用紙Pが給送される。
【0028】
また、オフキャリッジタイプのプリンター1は、キャリッジ3外の固定位置に設けられた液体貯溜部としてのインクタンク4と、インクタンク4からキャリッジ3内へインクを供給する可撓性の液体供給部材としてのインク供給チューブ5とを備えている。インクタンク4は、メンテナンス容易性の観点から交換可能なインクカートリッジにより構成されていることが好ましい。
【0029】
インクタンク4は、複数色のインクを貯蔵するための複数のインク貯蔵空間を有している。また、インク供給チューブ5には、インクタンク4からキャリッジ3内に供給される複数色のインクに応じて、各色のインクを供給するための複数のインク供給路が設けられている。
【0030】
記録用紙Pに印刷を施す場合には、インクタンク4からインク供給チューブ5を介してキャリッジ3内へインクが供給される。そして、記録ヘッド2が、キャリッジ3内へ供給されたインクを記録用紙Pに対して噴射する。このときに、キャリッジ3が主走査方向である左右方向Xに移動するとともに、記録用紙Pが副走査方向である前後方向Yに逐次搬送されることにより、記録ヘッド2は記録用紙P上に二次元の画像を記録する。
【0031】
次に、キャリッジ3及びこのキャリッジ3に設けられる部材について詳しく説明する。
図1に示すように、キャリッジ3の上部には、キャリッジ3の内部を覆うようにキャリッジカバー6が設けられている。キャリッジカバー6には、インク供給チューブ5が挿入されるチューブ挿入部6aが設けられている。チューブ挿入部6aは、キャリッジカバー6により覆われているキャリッジ3内にインク供給チューブ5を導くための開口である。
【0032】
図2は、図1に示すキャリッジ3からキャリッジカバー6を取り外した状態の斜視図であって、図3は、同状態の平面図である。また、図4は、キャリッジ3からキャリッジ3に対して固定されている所定の部材が取り外された状態を示す分解斜視図である。
【0033】
図2及び図3に示すように、本実施形態に係るキャリッジ3には、サブキャリッジ7が設けられている。そして、このサブキャリッジ7に、キャリッジ3に対して固定される複数の記録ヘッド2(図4参照)と流路形成部材8,21とが固定されて設けられている。
【0034】
図4に示すように、キャリッジ3は、キャリッジ3に開口が設けられるように枠状に形成された本体部31と、主ガイド軸12が取り付けられる軸取付部32と、タイミングベルト17が取り付けられるベルト取付部33とを有している。
【0035】
キャリッジ3の本体部31は、左右方向Xに延設された前側壁部34と、前側壁部34の右端に接続されるとともに前側壁部34から後方に向けて延設された右側壁部35と、前側壁部34の左端に接続されるとともに前側壁部34から後方に向けて延設された左側壁部36とにより構成されている。
【0036】
本体部31の後端には軸取付部32が設けられている。具体的には、図3に示すように、右側壁部35及び左側壁部36の各々の後端に軸取付部32が設けられている。各軸取付部32には、主ガイド軸12が挿通されるとともに後方に開口する挿通開口32a(図2参照)が形成されている。
【0037】
また、本体部31の後端には左右方向Xに延設されたベルト取付部33が設けられている。具体的には、本体部31の後端には、右側壁部35と左側壁部36とを接続するようにベルト取付部33が設けられている。このベルト取付部33は、キャリッジ3の後側壁部を構成している。なお、ベルト取付部33は前方から副ガイド軸13(図1参照)により支持される。
【0038】
図4に示すように、各壁部34,35,36及びベルト取付部33によって、キャリッジ3の本体部31に設けられた開口が構成されている。この開口は、キャリッジ3を上下方向Zに貫通する開口であって、上方から見て略四角形状に形成されている。この本体部31に設けられた開口に、キャリッジ3に対して位置調整可能なサブキャリッジ7が設けられる。即ち、図2及び図3に示すように、キャリッジ3内にサブキャリッジ7が設けられている。なお、サブキャリッジ7は、キャリッジ3内において位置調整がなされた後にキャリッジ3に対して固定される。
【0039】
また、図5及び図6に示すように、キャリッジ3は、サブキャリッジ7が位置調整可能に設けられるための構成として、おねじ91,92が螺合されるめねじ部37,38と、コイルばね93が取り付けられるばね取付部39とを有している。図5は、図3の一点鎖線Aで示す部分の断面を模式的に示した模式断面図であって、図6は、図3の一点鎖線Bで示す部分の断面を模式的に示した模式断面図である。
【0040】
図4及び図5に示すように、おねじ91が螺合されるめねじ部37は、本体部31の開口における後側において、キャリッジ3の右側壁部35及び左側壁部36の各々に設けられている。各めねじ部37は上方へ突出して設けられ、めねじ部37の各々にはカム94が設けられている。具体的には、各カム94には上下方向Zにおいて貫通する貫通孔94aが形成され、この貫通孔94a内にめねじ部37を挿通させてカム94がキャリッジ3上に設けられている。
【0041】
また、図6に示すように、おねじ92が螺合されるめねじ部38は、本体部31の開口において、キャリッジ3の前側壁部34に設けられている。めねじ部38は、めねじ部37と同様に、上方へ突出して設けられ、めねじ部38にはカム95が設けられている。具体的には、カム95には上下方向Zにおいて貫通する貫通孔95aが形成され、この貫通孔95a内にめねじ部38を挿通させてカム95がキャリッジ3上に設けられている。
【0042】
また、図4及び図5に示すように、ばね取付部39は、キャリッジ3の右側壁部35及び左側壁部36の各々に設けられている。ばね取付部39には、サブキャリッジ7とキャリッジ3とを接続するコイルばね93が取り付けられる。本実施形態においては、コイルばね93は、前後方向Yに対して斜めに設けられるため、コイルばね93の引張り張力によってサブキャリッジ7はキャリッジ3に対して後方かつ下方に付勢される。
【0043】
サブキャリッジ7には、キャリッジ3に対してサブキャリッジ7が設けられるための構成として、おねじ91,92が挿通されるねじ挿通孔71,72と、コイルばね93が取り付けられるばね取付部73とが形成されている。
【0044】
具体的には、図5に示すように、サブキャリッジ7の右側端部及び左側端部の各々には、各めねじ部37の上方において、おねじ91が挿通可能なねじ挿通孔71が形成されている。なお、サブキャリッジ7の左側端部に形成されたねじ挿通孔の図示は省略されているが、右側端部に形成されたねじ挿通孔71と同様に構成されている。
【0045】
また、図6に示すように、サブキャリッジ7の前側端部には、めねじ部38の上方において、おねじ92が挿通可能なねじ挿通孔72が形成されている。さらに、図3及び図5に示すように、サブキャリッジ7の右側端部及び左側端部には、ばね取付部39の前方かつ上方において円柱状のばね取付部73が設けられている。
【0046】
キャリッジ3に対してのサブキャリッジ7の位置調整は、おねじ91,92でサブキャリッジ7をカム94,95に締め付けない状態において、カム94,95に設けられたレバー94b,95bを操作することによって行われる。なお、図5及び図6は、サブキャリッジ7の位置調整を完了した後に、キャリッジ3に対してサブキャリッジ7が固定された状態を示している。
【0047】
具体的には、おねじ91によりサブキャリッジ7の上方への移動が規制されていない状態において、レバー94bが回動することにより、カム94上に設けられたサブキャリッジ7の後側端部が、コイルばね93の付勢力に抗して上方に持ち上げられる。本実施形態においては、サブキャリッジ7を持ち上げるカム94は、キャリッジ3の左右に設けられているため、サブキャリッジ7の右側及び左側の上下方向Zにおける位置を独立して調整することができる。
【0048】
また、おねじ92によりサブキャリッジ7の上方への移動が規制されていない状態において、レバー95bが回動することにより、カム95上に設けられたサブキャリッジ7の前側端部が、コイルばね93の付勢力に抗して上方に持ち上げられる。従って、本実施形態においては、サブキャリッジ7を持ち上げるカム94,95は、キャリッジ3の前後に設けられているため、サブキャリッジ7の前側及び後側の上下方向Zにおける位置を独立して調整することができる。
【0049】
以上のように、レバー94b,95bを操作することによって、キャリッジ3に対してサブキャリッジ7の上下方向Zにおける位置を調整することができ、記録用紙Pと記録ヘッド2の間隔の微調整及び記録ヘッド2がインクを噴射する角度の微調整を行うことができる。そして、サブキャリッジ7の位置調整を完了した後に、図5及び図6に示すように、おねじ91,92の各々をめねじ部37,38に螺合させて、各おねじ91,92が有するねじ頭91a,92aにより、サブキャリッジ7をカム94,95上に固定して、キャリッジ3に対してサブキャリッジ7を固定する。
【0050】
そして、四角枠状に形成されているサブキャリッジ7は、キャリッジ3と同様に、上下方向Zに貫通する開口が設けられている。このサブキャリッジ7の開口には、下方に向けてインクを噴射する記録ヘッド2(図4参照)が設けられ、サブキャリッジ7と記録ヘッド2によりヘッドモジュールが構成されている。記録ヘッド2は、インク供給チューブ5から供給される各色のインクに応じて複数設けられている。記録ヘッド2はねじ止めによりサブキャリッジ7に固定され、サブキャリッジ7を介して記録ヘッド2がキャリッジ3に固定される構成となっている。
【0051】
サブキャリッジ7に設けられた各記録ヘッド2は、圧電素子(図示略)を備え、この圧電素子が駆動することにより、記録ヘッド2からインクが液滴として噴射される。なお、圧電素子を駆動するための電力は、インク供給チューブ5に沿って設けられたフレキシブルフラットケーブル(不図示)によりキャリッジ3外から供給される。
【0052】
プリンター1は、インク供給チューブ5から供給されるインクの流路を形成する構成として、キャリッジ3内に設けられる流路形成部材8,21(図2等参照)を備えている。これらの流路形成部材8,21により、キャリッジ3内において記録ヘッド2に供給されるインクの流路が形成され、キャリッジ3内に設けられた流路形成部材8,21は、キャリッジ3に設けられたキャリッジカバー6により覆われる。
【0053】
平板状の流路形成部材21は、記録ヘッド2上に設けられ、インク供給チューブ5から供給されるインクを各記録ヘッド2へ分配する。従って、流路形成部材21には、インク供給チューブ5から流路形成部材8を介して供給されたインクを各記録ヘッド2に導く流路22が形成されている。
【0054】
各記録ヘッド2にはインク流入口(不図示)が設けられるとともに、流路形成部材21には、各記録ヘッド2に設けられたインク流入口に差し込まれる差込部(不図示)が設けられている。この差込部から記録ヘッド2にインクが供給される。各記録ヘッド2のインク流入口に流路形成部材21の差込部が容易に差し込めるように、流路形成部材21は、記録ヘッド2に対する流路形成部材21の位置ずれ(位置誤差)を許容するように形成されている。
【0055】
なお、本実施形態においては、サブキャリッジ7上に設けられた流路形成部材21の移動は、サブキャリッジ7の右側端部及び左側端部に形成された突出部74(図4等参照)により規制される構成となっている。具体的には、サブキャリッジ7は、上方へ向けて突出した円柱状の小さな突出部74が形成されている。そして、この突出部74を流路形成部材21に挿通させることにより、上下方向Zに直行する方向(即ち、左右方向X及び前後方向Y)における流路形成部材21の移動が規制される構成となっている。なお、流路形成部材21がねじ止めによりサブキャリッジ7に固定されていてもよい。
【0056】
図4に示すように、流路形成部材21の左側端部には、上方へ突出して形成されたインク流入部23が設けられている。インク流入部23には、上方へ向けて開口したインク流入口23aが形成されている。インク流入口23aは、インク供給チューブ5から供給される各色のインクに応じて複数形成され、複数のインク流入口23aは前後方向Yに沿って一列に設けられている。
【0057】
そして、図7(a)及び(b)に示すように、流路形成部材21のインク流入部23には、流路形成部材8が接続されて設けられている。図7(a)は、図3において流路形成部材8の近傍を拡大した斜視図である。なお、図7(a)においてはインク供給チューブ5及びキャリッジ3の図示は省略されている。また、図7(b)は、図7(a)に示す状態を左方から見たときの側面図であって、流路形成部材8の下端が固定されている状態を示す図である。
【0058】
インク流入部23と流路形成部材8との接続部分には、この接続部分からインクが漏れ出さないようにするためのシール部材81b(図7(b)参照)が設けられている。インク供給チューブ5から供給されるインクは、流路形成部材8を介して流路形成部材21のインク流入口23aに流入する。そして、インク流入口23aから流路形成部材21に流入したインクは、流路22を通して各記録ヘッド2に供給される。
【0059】
図8に示すように、流路形成部材21のインク流入部23に接続される流路形成部材8は、上下方向Zに延びた形状を有するとともに、流路形成部材21のインク流入部23(図7参照)に取り付けられるインク流出部81と、インク供給チューブ5が取り付けられるインク流入部82とを有している。図8は、流路形成部材8のみを図示した図である。
【0060】
インク流出部81には、下方に向けて開口するインク流出口81aが形成されている。インク流出口81aは、インク供給チューブ5から供給される各色のインクに応じて複数形成され、複数のインク流出口81aは前後方向Yに沿って一列に設けられている。このインク流出部81よりも後方にインク流入部82が設けられている。インク流入部82において流路形成部材8に流入したインクは、インク流出部81におけるインク流出口81aから流出することにより、流路形成部材21のインク流入口23aに流入する。
【0061】
インク流入部82には、右方(側方)に向けて開口するインク流入口82aが形成されている。インク流入口82aは、インク供給チューブ5から供給される各色のインクに応じて複数形成され、複数のインク流入口82aは上下方向Zに沿って一列に設けられている。インク供給チューブ5から供給されたインクは、インク流入部82においてインク流入口82aに流入することにより流路形成部材8に流入する。
【0062】
そして、流路形成部材8には、流路形成部材8の後端及び右端を構成するインク流入部82から流路形成部材8の下端を構成するインク流出部81にインクを導くための流路83a(図7(b)参照)が形成されている。
【0063】
具体的には、図7(b)に示すように、インク供給チューブ5から記録ヘッド2に供給されるインクの流路を形成する流路形成部材8は、インク流入口82aとインク流出口81aとを接続する流路83aが形成された流路部83を有している。流路部83は、インク流出部81の左端から上方に向けて延設され、前後方向Y及び上下方向Zに延びた板状の壁体により構成されている。そして、その壁体を右方に向けて窪ませることにより形成された左方(側方)に向けて開口した溝が流路83aとして構成されている。
【0064】
流路部83の左端には、溝により形成された流路83aを覆う弾性シート96が設けられている。流路83aを覆うように弾性シート96が設けられた流路形成部材8は、インク供給チューブ5から供給されるインクに起因する流路83a内の圧力変動を緩衝する圧力ダンパーとして機能する。
【0065】
また、図8に示すように、流路形成部材8は、インク流出部81の前方及び後方に設けられたねじ挿通部84と、インク流入部82の上方及び下方に設けられたねじ挿通部85とを有している。
【0066】
ねじ挿通部84には上方からおねじ97(図7参照)が挿通されるねじ挿通孔84aが形成されている。おねじ97は、ねじ挿通孔84aと、流路形成部材21に設けられたねじ挿通孔24(図4参照)とに挿通され、流路形成部材21の下方においてナット97b(図7(b)参照)に螺合されている。このようにして流路形成部材8,21がおねじ97及びナット97bにより締結されて、流路形成部材8の下端が、流路形成部材21及びサブキャリッジ7を介してキャリッジ3に固定される。
【0067】
なお、本実施形態においては、流路形成部材21のインク流入部23の近傍に、上方に向けて突出した円柱状の小さな突出部25(図4参照)が形成されるとともに、流路形成部材8には、この突出部25を挿通させる挿通孔87(図8(b)参照)が形成されている。そして、流路形成部材21の突出部25を流路形成部材8の挿通孔87に挿通させることにより、ねじ挿通孔84aとねじ挿通孔24とが上下方向Zにおいて重なるように構成されている。即ち、おねじ97をナット97bに螺合させていない状態において、流路形成部材21に対して流路形成部材8が位置決めされる構成となっている。
【0068】
また、図8(a)に示すように、ねじ挿通部85には右方からおねじ98(図7(a)参照)が挿通されるねじ挿通孔85aが形成されている。図7に示すように、おねじ98は、ねじ挿通孔85aとチューブ固定部材88とに挿通され、流路形成部材8の左方においてナット98bに螺合されている。このようにして流路形成部材8及びチューブ固定部材88がおねじ98及びナット98bにより締結されて、インク供給チューブ5がインク流入部82に接続されている。なお、チューブ固定部材88とインク流入部82との接続部分には、この接続部分からインクが漏れ出さないようにするためのシール部材88a(図7(a)参照)が設けられている。
【0069】
インク流出部81、インク流入部82、及び流路部83等を備える流路形成部材8は、例えば合成樹脂を用いて、単一の材料により一体的に形成されている。また、流路形成部材8には、剛性を向上させるリブ86a,86b,86c,86d,86eが設けられている。
【0070】
リブ86a,86bは、流路部83から左方に突出するとともに上下方向Zに延設されている。リブ86aは、インク流出部81の前側においてインク流出部81とねじ挿通部84との間に設けられるとともに、リブ86aは、インク流出部81の後側においてインク流出部81とねじ挿通部84との間に設けられている。
【0071】
また、リブ86cは、流路部83の上端から左方に突出するとともにリブ86a,86bの上端を接続して設けられている。リブ86bの上端はリブ86aの上端に比べて上方に位置するため、リブ86cは、前側から後側に向かうにつれて上方に延びるように設けられている。
【0072】
また、リブ86dは、流路部83の後側端部から左方に突出するとともに上下方向Zに延設されている。より具体的には、リブ86dは、ねじ挿通部84とインク流入部82との間に設けられ、流路形成部材8の下端から、インク流出部81及びねじ挿通部85よりも上方に延びている。
【0073】
また、リブ86eは、リブ86dの上端から後方に向けて延設されている。リブ86eも、他のリブ86a, 86b,86c,86dと同様に、流路部83を構成する壁体から左方に突出させて設けられている。
【0074】
以上のように、プリンター1は、記録用紙Pに対してインクを噴射する記録ヘッド2と、記録ヘッド2を搭載するとともに左右方向X(直線方向)において往復移動するキャリッジ3と、キャリッジ3内に設けられて記録ヘッド2に供給されるインクの流路を形成する流路形成部材8とを備えている。
【0075】
ここで、本実施形態においては、キャリッジ3に流路形成部材8を覆うキャリッジカバー6が設けられ、流路形成部材8に、キャリッジカバー6に当接する振動抑制部としての突起89が設けられている。
【0076】
突起89は、流路形成部材8の上端に設けられている。具体的には、突起89は、流路形成部材8の後側端部に設けられたリブ86eの上端に設けられている。突起89は、弾性(ばね性)を有するように形成され、キャリッジカバー6に当接して流路形成部材8の振動を抑制する振動抑制部を構成している。
【0077】
図9に示すように、突起89は、流路形成部材8に形成されるとともに上下方向Z及びキャリッジ3が往復移動する左右方向Xにおいて弾性変形可能な弾性変形部89aと、弾性変形部89aに接続されるとともにキャリッジカバー6に当接するカバー当接部89bとを有している。弾性変形部89aとカバー当接部89bからなる突起89は、単一の材料により流路形成部材8と一体的に形成されている。
【0078】
弾性変形部89aは、リブ86eの上面から上方に向けて直線状に延びる直線部89cと、直線部89cの上端から湾曲して設けられた湾曲部89dとを有している。そして、この湾曲部89dの上部からカバー当接部89bが左右方向Xにおいて直線状に延びている。従って、弾性変形部89aにより流路形成部材8のリブ86aと突起89のカバー当接部89bが接続されている。弾性変形部89aを介して流路形成部材8に接続されたカバー当接部89bは、突起89の上端及び先端を構成するとともに、突起89の先端が直線部89cよりも側方へ突出するように左右方向Xにおいて延設されている。
【0079】
本実施形態においては、突起89として、左右方向Xの一方である右方に向けて先端を突出させた第1の突起89Aと、左右方向Xの他方である左方に向けて先端を突出させた第2の突起89Bとが、流路形成部材8の上端に設けられている。
【0080】
図9(a)は、図8(b)の一点鎖線Cで示す部分の断面図であって、突起89Aの断面を示す図である。また、図9(b)は、図8(b)の一点鎖線Dで示す部分の断面図であって、突起89Bの断面を示す図である。
【0081】
図9(a)に示すように、第1の突起89Aにおいては、突起89Aの湾曲部89dが、左右方向Xにおいて直線部89cよりも左方へ突出するとともに、突起89Aのカバー当接部89bが、左右方向Xにおいて直線部89cよりも右方へ突出している。このようにして第1の突起89Aにおいては、カバー当接部89bにより構成される突起89Aの先端が右方に向けて設けられている。
【0082】
また、図9(b)に示すように、第2の突起89Bにおいては、突起89Bの湾曲部89dが、左右方向Xにおいて直線部89cよりも右方へ突出するとともに、突起89Bのカバー当接部89bが、左右方向Xにおいて直線部89cよりも左方へ突出している。このようにして第2の突起89Bにおいては、カバー当接部89bにより構成される突起89Bの先端が左方へ向けて設けられている。
【0083】
本実施形態においては、突起89の先端の向く方向が交互に異なるように、リブ86eには3つの突起89が設けられている。具体的には、前側から後側へ、第1の突起89A、第2の突起89B、第1の突起89Aの順で突起89がリブ86eに設けられている。第1の突起89Aの先端(即ち、右端)は、左右方向Xにおいて第2の突起89Bの右端よりも右方に突出するとともに、第2の突起89Bの先端(即ち、左端)は、左右方向Xにおいて第1の突起89Aの左端よりも左方に突出している。
【0084】
また、図10に示すように、本実施形態においては、流路形成部材8を覆うキャリッジカバー6には、突起89を支持する構成として、流路形成部材8に向けて突出する突出部62が設けられている。
【0085】
具体的には、キャリッジカバー6は、キャリッジ3の上方を覆う上側壁部61を有している。そして、流路形成部材8の上方において、この上側壁部61によって構成される下面61aに、下方に向けて突出する突出部62が形成されている。
【0086】
突出部62は、突起89に対して斜め上方から当接する傾斜当接面63を有している。本実施形態においては、突出部62は、傾斜当接面63として、左右方向Xの一方である右方から突起89に当接する第1の傾斜当接面63Aと、左右方向Xの他方である左方から突起89に当接する第2の傾斜当接面63Bとを有している。
【0087】
傾斜当接面63Aと傾斜当接面63Bは左右方向Xにおいて互いに向かい合うように設けられ、傾斜当接面63Aと傾斜当接面63Bとの間隔が上方に向かうにつれて小さくなるように形成されている。即ち、突出部62は、傾斜当接面63Aと傾斜当接面63BとによりV字形状の溝を形成している。
【0088】
図11に示すように、V字形状の溝を形成する突出部62は、前後方向Yにおいて延設されている。そして、図12に示すように、傾斜当接面63Aと傾斜当接面63Bとに挟まれるように突起89A,89Bが設けられる。図12は、キャリッジカバー6により流路形成部材8の上部を覆った状態を示す模式図であって、図11の一点鎖線Eで示す部分の断面を示した図である。
【0089】
図12の模式図に示すように、キャリッジカバー6がキャリッジ3に取り付けられて、キャリッジカバー6により流路形成部材8が覆われると、第1の突起89Aの先端が第1の傾斜当接面63Aに当接するとともに、第2の突起89Bの先端が第2の傾斜当接面63Bに当接する。
【0090】
具体的には、キャリッジカバー6がキャリッジ3に取り付けられた状態においては、突起89Aの弾性変形部89aが変形された状態で、突起89Aのカバー当接部89bが傾斜当接面63Aに当接する。同様に、キャリッジカバー6がキャリッジ3に取り付けられた状態においては、突起89Bの弾性変形部89aが変形された状態で、突起89Bのカバー当接部89bが傾斜当接面63Bに当接する。以上のように、キャリッジカバー6がキャリッジ3に取り付けられた状態において、各突起89A,89Bの先端は傾斜当接面63A,63Bに同時に当接して、弾性を有する突起89はキャリッジカバー6に弾性的に当接する。即ち、サブキャリッジ7の位置調整が行われても、突起89A,89Bがキャリッジカバー6の傾斜当接面63A,63Bに当接する状態が維持されるように構成されている。
【0091】
また、傾斜当接面63は、その傾斜角度を維持したまま前後方向Yにおいて延びているため、サブキャリッジ7が前後方向Yに移動させるように位置調整が行われる場合であっても、突起89A,89Bが傾斜当接面63A,63B上を摺動するため、突起89A,89Bが傾斜当接面63A,63Bに当接する状態は維持される。
【0092】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)キャリッジ3には、流路形成部材8を覆うキャリッジカバー6が設けられ、流路形成部材8には、キャリッジカバー6に当接して振動を抑制する振動抑制部としての突起89が設けられている。このため、キャリッジ3の移動に起因して発生する流路形成部材8の振動を抑制することができる。従って、流路形成部材8の振動がキャリッジ3へ伝わることを低減することができる。その結果、記録用紙Pの所望の位置に向けてのインクの噴射精度を向上させることができ、記録用紙Pへの印刷品質(画質)を向上させることができる。また、流路形成部材8の振動が抑制されることにより、流路形成部材8に設けられるシール部材81b,88aの劣化を抑制することができる。
【0093】
(2)キャリッジカバー6に当接して振動を抑制する振動抑制部は、弾性を有する突起89であるため、突起89がダンパーとして機能して、簡単な構成で流路形成部材8の振動を抑制することができる。
【0094】
(3)突起89は、流路形成部材8に形成されるとともに上下方向Z及びキャリッジ3が往復移動する左右方向Xにおいて弾性変形可能な弾性変形部89aと、この弾性変形部89aに接続されるとともにキャリッジカバー6に当接するカバー当接部89bとを有する。従って、突起89のカバー当接部89bがキャリッジカバー6に当接することにより振動が抑制されるとともに、カバー当接部89bが接続された弾性変形部89aが弾性変形することにより、2方向(上下方向Zと左右方向X)における流路形成部材8の振動を効果的に抑制することができる。
【0095】
(4)突起89は、単一の材料により流路形成部材8と一体的に形成されているため、流路形成部材8に設けられる振動抑制部である突起89が、流路形成部材8と別体の部材により構成される場合に比べて、部品点数の増加を抑制することができる。
【0096】
(5)キャリッジカバー6には、流路形成部材8に向けて突出する突出部62が設けられるとともに、突出部62は、突起89に対して斜め上方から当接する傾斜当接面63を有している。このため、キャリッジカバー6の突出部62に、2方向(上下方向Zと左右方向X)から突起89が当接することにより、流路形成部材8の振動をより効果的に抑制することができる。
【0097】
(6)キャリッジカバー6に設けられた突出部62は、傾斜当接面63として、右方から突起89に当接する第1の傾斜当接面63Aと、左方から突起89に当接する第2の傾斜当接面63Bとを有している。このため、傾斜当接面が左右方向Xの一方のみ(即ち、右方または左方)から突起89に当接する場合に比べて、キャリッジ3が往復移動する左右方向Xにおける流路形成部材8の振動をより一層効果的に抑制することができる。
【0098】
(7)流路形成部材8の上端には、突起89として、右方に向けて先端を突出させた第1の突起89Aと、左方に向けて先端を突出させた第2の突起89Bとが設けられている。よって、流路形成部材8の上部をキャリッジカバー6で覆うことにより、突起89A,89Bを傾斜当接面63に当接させることができる。そして、第1の突起89Aの先端が第1の傾斜当接面63Aに当接するとともに、第2の突起89Bの先端が第2の傾斜当接面63Bに当接する。このため、第1及び第2の双方の傾斜当接面63A,63Bに先端が当接する1つの突起(不図示)に比べて、突起89を弾性変形し易くすることができる。よって、流路形成部材8の振動をさらにより一層効果的に抑制することができる。
【0099】
(8)キャリッジ3内には、このキャリッジ3に対して位置調整可能なサブキャリッジ7が設けられ、キャリッジ3に対して固定される記録ヘッド2及び流路形成部材8は、サブキャリッジ7に固定されている。即ち、記録ヘッド2が固定されたサブキャリッジ7は、キャリッジ3に対して位置調整可能に設けられているため、サブキャリッジ7の位置を調整することにより、キャリッジ3内における記録ヘッド2の位置を微調整することができる。また、サブキャリッジ7に固定された流路形成部材8の振動抑制部は、上述のごとく弾性を有する突起89であるため、サブキャリッジ7の位置が調整された場合であっても、キャリッジカバー6に突起89が当接し易く、流路形成部材8の振動が抑制され易い。
【0100】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、サブキャリッジ7に対して流路形成部材8の下端が直接固定されていてもよい。即ち、キャリッジ3に対して位置調整可能なサブキャリッジ7に流路形成部材8が設けられていなくてもよく、また、プリンター1がサブキャリッジ7を備えない構成であってもよい。
【0101】
・上記実施形態において、流路形成部材8の上端に設けられる突起89を、第1の突起89Aのみ、または第2の突起89Bのみにより構成してもよい。また、突起89を変形してもよく、1つの突起89が右方及び左方の各方向に向けて突出させた別個の先端(不図示)を有していてもよい。
【0102】
・上記実施形態において、キャリッジカバー6に設けられる突出部62を、第1の傾斜当接面63Aのみ、または第2の傾斜当接面63Bのみにより構成してもよい。また、突出部62を変形してもよく、突出部62が、突起89に対して上方、または側方(即ち、左方または右方)から当接する当接面(不図示)を有していてもよい。
【0103】
・上記実施形態において、キャリッジカバー6に当接して振動を抑制する振動抑制部を、突起以外により構成してもよい。例えば、キャリッジカバー6に流路形成部材8に向けて突出するとともに弾性を有する突起(不図示)が形成され、流路形成部材8にキャリッジカバー6の突起に当接して振動を抑制する溝(不図示)が形成されていてもよい。即ち、流路形成部材8の振動を抑制することができるのであれば、振動抑制部の形状は適宜変更してもよい。
【0104】
・圧力ダンパーとして機能しない流路形成部材に振動抑制部が設けられていても良い。即ち、上記実施形態においては、圧力ダンパーとして機能する流路形成部材8に振動抑制部が設けられていたが、キャリッジカバーに当接するように振動抑制部を設けることができるのであれば、流路形成部材8以外の流路形成部材に振動抑制部が設けられていても良い。
【0105】
・上記実施形態では、液体噴射装置をインクジェット式のプリンター1に具体化したが、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置を採用してもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0106】
1…プリンター(液体噴射装置)、2…記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、3…キャリッジ、4…インクタンク、5…インク供給チューブ(可撓性の液体供給部材)、6…キャリッジカバー、6a…チューブ挿入部、7…サブキャリッジ、8…流路形成部材、11…フレーム、12,13…ガイド軸、14,15…プーリー、16…電動モーター、17…タイミングベルト、18…プラテン、21…流路形成部材、22…流路、23…インク流入部、23a…インク流入口、24…ねじ挿通孔、25…突出部、31…本体部、32…軸取付部、32a…挿通開口、33…ベルト取付部、34…前側壁部、35…右側壁部、36…左側壁部、37,38…めねじ部、39…ばね取付部、61…上側壁部、61a…下面、62…突出部、63,63A,63B…傾斜当接面、71,72…ねじ挿通孔、73…ばね取付部、74…突出部、81…インク流出部、81a…インク流出口、81b…シール部材、82…インク流入部、82a…インク流入口、83…流路部、83a…流路、84,85…ねじ挿通部、84a,85b…ねじ挿通孔、86a、86b,86c,86d,86e…リブ、87…挿通孔、88…チューブ固定部材、88a…シール部材、89,89A,89B…突起、89a…弾性変形部、89b…カバー当接部、89c…直線部、89d…湾曲部、91,92…おねじ、91a,92a…ねじ頭、93…コイルばね、94,95…カム、94a,95a…貫通孔、94b,95b…レバー、96…弾性シート、97,98…おねじ、97b,98b…ナット、P…記録用紙(ターゲット)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばインクジェット式プリンター等の液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体をターゲットに対して噴射する液体噴射装置として、インクジェット式のプリンターが広く知られている。プリンターは、往復移動するキャリッジに記録ヘッド(液体噴射ヘッド)を搭載し、インクタンクから供給されたインク(液体)を記録ヘッドに形成されたノズルから噴射することにより、ターゲットとしての記録媒体に印刷を施すようになっている。こうしたプリンターとしては、従来から、インクタンクをキャリッジ外の固定位置に装着するタイプ(いわゆるオフキャリッジタイプ)のプリンターが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一般に、インクタンクがオフキャリッジタイプのプリンターにおいては、可撓性のインク供給チューブ(液体供給部材)によりキャリッジ外に設けられたインクタンク(液体貯溜部)からキャリッジ内へインクが供給される。また、キャリッジ内にはインクの流路を形成する流路形成部材が設けられている。そして、インク供給チューブから供給されるインクは、流路形成部材を介して、キャリッジに搭載された記録ヘッドに供給される。
【0004】
特許文献1に記載されるプリンターにおいては、キャリッジ内に、記録ヘッドに供給されるインクの流路を形成する流路形成部材として、流路内の圧力変動を緩衝するための圧力ダンパーを設けることが開示されている。また、特許文献1には、圧力ダンパーの振動を抑制する構成として、圧力ダンパーをキャリッジへ取り付ける場合に、止着ねじが螺合し得るキャリッジの空部と、圧力ダンパーに設けられた止着部を貫通する止着用開口部とを位置合わせし、止着ねじの軸部を止着用開口部に挿入して止着ねじを締め込むことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−232808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載のプリンターにおいては、流路形成部材である圧力ダンパーの下端はキャリッジに対して固定されているものの、その上端は自由端となっている。このため、キャリッジの移動に起因して、圧力ダンパー及びこれに接続されたインク供給チューブに慣性力が作用して、圧力ダンパーが振動する場合があり、流路形成部材の振動が記録ヘッドを搭載するキャリッジに伝わるという問題がある。液体噴射ヘッドを搭載するキャリッジに振動が加わると、ターゲットの所望の位置に向けての液体の噴射精度が低下するおそれがあり、プリンターにおいては記録媒体への印刷品質が低下するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、流路形成部材の振動がキャリッジへ伝わることを低減することができる液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の液体噴射装置は、ターゲットに対して液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドを搭載するとともに所定の直線方向において往復移動するキャリッジと、前記キャリッジ内に設けられて前記液体噴射ヘッドに供給される液体の流路を形成する流路形成部材とを備える液体噴射装置であって、前記キャリッジには、前記流路形成部材を覆うキャリッジカバーが設けられ、前記流路形成部材には、前記キャリッジカバーに当接して振動を抑制する振動抑制部が設けられている。
【0009】
この発明によれば、流路形成部材には、この流路形成部材を覆うキャリッジカバーに当接して振動を抑制する振動抑制部が設けられているため、キャリッジの往復移動に起因して発生する流路形成部材の振動を抑制することができる。従って、流路形成部材の振動がキャリッジへ伝わることを低減することができる。
【0010】
本発明の液体噴射装置において、前記振動抑制部は弾性を有する突起である。
この発明によれば、キャリッジカバーに当接する振動抑制部が弾性を有する突起であるため、この突起がダンパーとして機能して、簡単な構成で流路形成部材の振動を抑制することができる。
【0011】
本発明の液体噴射装置において、前記突起は、前記流路形成部材に形成されるとともに上下方向及び前記キャリッジが往復移動する前記直線方向において弾性変形可能な弾性変形部と、この弾性変形部に接続されるとともに前記キャリッジカバーに当接するカバー当接部とを有する。
【0012】
この発明によれば、突起のカバー当接部がキャリッジカバーに当接することにより振動が抑制されるとともに、カバー当接部が接続された弾性変形部が弾性変形することにより、2方向(即ち、上下方向とキャリッジが往復移動する直線方向)における流路形成部材の振動を効果的に抑制することができる。
【0013】
本発明の液体噴射装置において、前記突起は、単一の材料により前記流路形成部材と一体的に形成されている。
この発明によれば、振動抑制部である突起は、単一の材料により流路形成部材と一体的に形成されているため、流路形成部材に設けられる振動抑制部である突起が、流路形成部材と別体の部材により構成される場合に比べて、部品点数の増加を抑制することができる。
【0014】
本発明の液体噴射装置において、前記キャリッジカバーには、前記流路形成部材に向けて突出する突出部が設けられるとともに、前記突出部は、前記突起に対して斜め上方から当接する傾斜当接面を有している。
【0015】
この発明によれば、キャリッジカバーに設けられた流路形成部材に向けて突出する突出部は、突起に対して斜め上方から当接する傾斜当接面を有している。このため、キャリッジカバーの突出部に、2方向(即ち、即ち、上下方向とキャリッジが往復移動する直線方向)から振動抑制部である突起が当接することにより、流路形成部材の振動をより効果的に抑制することができる。
【0016】
本発明の液体噴射装置において、前記キャリッジカバーに設けられた前記突出部は、前記傾斜当接面として、前記直線方向の一方から前記突起に当接する第1の傾斜当接面と、前記直線方向の他方から前記突起に当接する第2の傾斜当接面とを有している。
【0017】
この発明によれば、突出部は、傾斜当接面として、直線方向の一方から突起に当接する第1の傾斜当接面と、直線方向の他方から前記突起に当接する第2の傾斜当接面とを有している。このため、突出部が有する傾斜当接面が直線方向の一方のみから突起に当接する場合に比べて、キャリッジが往復移動する直線方向における流路形成部材の振動をより一層効果的に抑制することができる。
【0018】
本発明の液体噴射装置において、前記流路形成部材の上端には、前記突起として、前記直線方向の一方に向けて先端を突出させた第1の突起と、前記直線方向の他方に向けて先端を突出させた第2の突起とが設けられ、前記第1の突起の先端が前記第1の傾斜当接面に当接するとともに、前記第2の突起の先端が前記第2の傾斜当接面に当接する。
【0019】
この発明によれば、流路形成部材の上端に、第1及び第2の突起が設けられているため、流路形成部材の上部をキャリッジカバーで覆うことにより、突起を傾斜当接面に当接させることができる。また、第1の突起の先端が第1の傾斜当接面に当接するとともに、第2の突起の先端が第2の傾斜当接面に当接するため、1つの突起の先端が第1及び第2の双方の傾斜当接面に当接する場合に比べて、突起を弾性変形し易くすることができる。よって、流路形成部材の振動をさらにより一層効果的に抑制することができる。
【0020】
本発明の液体噴射装置において、前記キャリッジ内には、このキャリッジに対して位置調整可能なサブキャリッジが設けられ、前記キャリッジに対して固定される前記液体噴射ヘッド及び前記流路形成部材は、前記サブキャリッジに固定されている。
【0021】
この発明によれば、液体噴射ヘッドが固定されたサブキャリッジは、キャリッジに対して位置調整可能に設けられているため、サブキャリッジの位置を調整することにより、キャリッジ内における液体噴射ヘッドの位置を微調整することができる。また、サブキャリッジに固定された流路形成部材の振動抑制部は、上述のごとく弾性を有する突起であるため、サブキャリッジの位置が調整された場合であっても、キャリッジカバーに振動抑制部としての突起が当接し易く、流路形成部材の振動が抑制され易い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット式プリンターの概略構成を示す斜視図。
【図2】同実施形態に係るキャリッジからキャリッジカバーを外した状態を示す斜視図。
【図3】同実施形態に係るキャリッジからキャリッジカバーを外した状態を示す平面図。
【図4】同実施形態に係るキャリッジからキャリッジに設けられる所定の部品を取り外した状態を示す分解斜視図。
【図5】図3のA−A部分の断面を模式的に示した模式断面図。
【図6】図3のB−B部分の断面を模式的に示した模式断面図。
【図7】同実施形態に係る流路形成部材の下端が固定されている状態を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は側面図。
【図8】同実施形態に係るキャリッジ内に設けられる流路形成部材を示す図であって(a)は斜視図、(b)は平面図。
【図9】(a)は図8(b)のC−C部分の断面を示す断面図、(b)は図8(b)のD−D部分の断面を示す断面図。
【図10】同実施形態に係るキャリッジカバーの断面斜視図。
【図11】同実施形態に係るキャリッジカバーの平面図。
【図12】同実施形態に係るキャリッジカバーが流路形成部材を覆う状態において、図11のE−E部分のキャリッジカバー断面を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る液体噴射装置を、インクジェット式プリンターに具体化した実施形態を図1〜12に基づいて説明する。なお、図中の矢印Xは、所定の直線方向である左右方向Xを示している。また、図中の矢印Yは、左右方向Xに直交する方向である前後方向Yを示している。また、図中の矢印Zは、左右方向X及び前後方向Yの各々に直交する上下方向Zを示している。
【0024】
図1に示すように、液体噴射装置としてのプリンター1は、ターゲットである記録用紙P(記録媒体)に対してインク(液体)を噴射する液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド2と、記録ヘッド2を搭載するとともに左右方向Xにおいて往復移動するキャリッジ3とを備えている。即ち、記録ヘッド2は、プリンター1が有する固定部材としてのフレーム11に対してキャリッジ3とともに移動する。
【0025】
左右方向Xに延設されたフレーム11には、主ガイド軸12及び副ガイド軸13が架設されている。各ガイド軸12,13は、左右方向Xに延設された軸部材であって、キャリッジ3は、これらのガイド軸12,13を介してフレーム11に支持されている。
【0026】
また、フレーム11には、主ガイド軸12の左右方向Xにおける両端部と対応する位置に駆動プーリー14及び従動プーリー15が回転自在に設けられている。駆動プーリー14には電動モーター16が接続されるとともに、プーリー14,15間には、キャリッジ3に固定されたタイミングベルト17が掛けられている。このような構成により、キャリッジ3は、各ガイド軸12,13にガイドされながら電動モーター16の駆動により左右方向Xに往復移動する。
【0027】
また、主ガイド軸12の下方には、記録用紙Pを支持する支持体であるプラテン18が架設されている。記録用紙Pは、プリンター1が備える紙送り機構(図示略)により前方に向けて搬送されて、図1に示すようにプラテン18上に記録用紙Pが給送される。
【0028】
また、オフキャリッジタイプのプリンター1は、キャリッジ3外の固定位置に設けられた液体貯溜部としてのインクタンク4と、インクタンク4からキャリッジ3内へインクを供給する可撓性の液体供給部材としてのインク供給チューブ5とを備えている。インクタンク4は、メンテナンス容易性の観点から交換可能なインクカートリッジにより構成されていることが好ましい。
【0029】
インクタンク4は、複数色のインクを貯蔵するための複数のインク貯蔵空間を有している。また、インク供給チューブ5には、インクタンク4からキャリッジ3内に供給される複数色のインクに応じて、各色のインクを供給するための複数のインク供給路が設けられている。
【0030】
記録用紙Pに印刷を施す場合には、インクタンク4からインク供給チューブ5を介してキャリッジ3内へインクが供給される。そして、記録ヘッド2が、キャリッジ3内へ供給されたインクを記録用紙Pに対して噴射する。このときに、キャリッジ3が主走査方向である左右方向Xに移動するとともに、記録用紙Pが副走査方向である前後方向Yに逐次搬送されることにより、記録ヘッド2は記録用紙P上に二次元の画像を記録する。
【0031】
次に、キャリッジ3及びこのキャリッジ3に設けられる部材について詳しく説明する。
図1に示すように、キャリッジ3の上部には、キャリッジ3の内部を覆うようにキャリッジカバー6が設けられている。キャリッジカバー6には、インク供給チューブ5が挿入されるチューブ挿入部6aが設けられている。チューブ挿入部6aは、キャリッジカバー6により覆われているキャリッジ3内にインク供給チューブ5を導くための開口である。
【0032】
図2は、図1に示すキャリッジ3からキャリッジカバー6を取り外した状態の斜視図であって、図3は、同状態の平面図である。また、図4は、キャリッジ3からキャリッジ3に対して固定されている所定の部材が取り外された状態を示す分解斜視図である。
【0033】
図2及び図3に示すように、本実施形態に係るキャリッジ3には、サブキャリッジ7が設けられている。そして、このサブキャリッジ7に、キャリッジ3に対して固定される複数の記録ヘッド2(図4参照)と流路形成部材8,21とが固定されて設けられている。
【0034】
図4に示すように、キャリッジ3は、キャリッジ3に開口が設けられるように枠状に形成された本体部31と、主ガイド軸12が取り付けられる軸取付部32と、タイミングベルト17が取り付けられるベルト取付部33とを有している。
【0035】
キャリッジ3の本体部31は、左右方向Xに延設された前側壁部34と、前側壁部34の右端に接続されるとともに前側壁部34から後方に向けて延設された右側壁部35と、前側壁部34の左端に接続されるとともに前側壁部34から後方に向けて延設された左側壁部36とにより構成されている。
【0036】
本体部31の後端には軸取付部32が設けられている。具体的には、図3に示すように、右側壁部35及び左側壁部36の各々の後端に軸取付部32が設けられている。各軸取付部32には、主ガイド軸12が挿通されるとともに後方に開口する挿通開口32a(図2参照)が形成されている。
【0037】
また、本体部31の後端には左右方向Xに延設されたベルト取付部33が設けられている。具体的には、本体部31の後端には、右側壁部35と左側壁部36とを接続するようにベルト取付部33が設けられている。このベルト取付部33は、キャリッジ3の後側壁部を構成している。なお、ベルト取付部33は前方から副ガイド軸13(図1参照)により支持される。
【0038】
図4に示すように、各壁部34,35,36及びベルト取付部33によって、キャリッジ3の本体部31に設けられた開口が構成されている。この開口は、キャリッジ3を上下方向Zに貫通する開口であって、上方から見て略四角形状に形成されている。この本体部31に設けられた開口に、キャリッジ3に対して位置調整可能なサブキャリッジ7が設けられる。即ち、図2及び図3に示すように、キャリッジ3内にサブキャリッジ7が設けられている。なお、サブキャリッジ7は、キャリッジ3内において位置調整がなされた後にキャリッジ3に対して固定される。
【0039】
また、図5及び図6に示すように、キャリッジ3は、サブキャリッジ7が位置調整可能に設けられるための構成として、おねじ91,92が螺合されるめねじ部37,38と、コイルばね93が取り付けられるばね取付部39とを有している。図5は、図3の一点鎖線Aで示す部分の断面を模式的に示した模式断面図であって、図6は、図3の一点鎖線Bで示す部分の断面を模式的に示した模式断面図である。
【0040】
図4及び図5に示すように、おねじ91が螺合されるめねじ部37は、本体部31の開口における後側において、キャリッジ3の右側壁部35及び左側壁部36の各々に設けられている。各めねじ部37は上方へ突出して設けられ、めねじ部37の各々にはカム94が設けられている。具体的には、各カム94には上下方向Zにおいて貫通する貫通孔94aが形成され、この貫通孔94a内にめねじ部37を挿通させてカム94がキャリッジ3上に設けられている。
【0041】
また、図6に示すように、おねじ92が螺合されるめねじ部38は、本体部31の開口において、キャリッジ3の前側壁部34に設けられている。めねじ部38は、めねじ部37と同様に、上方へ突出して設けられ、めねじ部38にはカム95が設けられている。具体的には、カム95には上下方向Zにおいて貫通する貫通孔95aが形成され、この貫通孔95a内にめねじ部38を挿通させてカム95がキャリッジ3上に設けられている。
【0042】
また、図4及び図5に示すように、ばね取付部39は、キャリッジ3の右側壁部35及び左側壁部36の各々に設けられている。ばね取付部39には、サブキャリッジ7とキャリッジ3とを接続するコイルばね93が取り付けられる。本実施形態においては、コイルばね93は、前後方向Yに対して斜めに設けられるため、コイルばね93の引張り張力によってサブキャリッジ7はキャリッジ3に対して後方かつ下方に付勢される。
【0043】
サブキャリッジ7には、キャリッジ3に対してサブキャリッジ7が設けられるための構成として、おねじ91,92が挿通されるねじ挿通孔71,72と、コイルばね93が取り付けられるばね取付部73とが形成されている。
【0044】
具体的には、図5に示すように、サブキャリッジ7の右側端部及び左側端部の各々には、各めねじ部37の上方において、おねじ91が挿通可能なねじ挿通孔71が形成されている。なお、サブキャリッジ7の左側端部に形成されたねじ挿通孔の図示は省略されているが、右側端部に形成されたねじ挿通孔71と同様に構成されている。
【0045】
また、図6に示すように、サブキャリッジ7の前側端部には、めねじ部38の上方において、おねじ92が挿通可能なねじ挿通孔72が形成されている。さらに、図3及び図5に示すように、サブキャリッジ7の右側端部及び左側端部には、ばね取付部39の前方かつ上方において円柱状のばね取付部73が設けられている。
【0046】
キャリッジ3に対してのサブキャリッジ7の位置調整は、おねじ91,92でサブキャリッジ7をカム94,95に締め付けない状態において、カム94,95に設けられたレバー94b,95bを操作することによって行われる。なお、図5及び図6は、サブキャリッジ7の位置調整を完了した後に、キャリッジ3に対してサブキャリッジ7が固定された状態を示している。
【0047】
具体的には、おねじ91によりサブキャリッジ7の上方への移動が規制されていない状態において、レバー94bが回動することにより、カム94上に設けられたサブキャリッジ7の後側端部が、コイルばね93の付勢力に抗して上方に持ち上げられる。本実施形態においては、サブキャリッジ7を持ち上げるカム94は、キャリッジ3の左右に設けられているため、サブキャリッジ7の右側及び左側の上下方向Zにおける位置を独立して調整することができる。
【0048】
また、おねじ92によりサブキャリッジ7の上方への移動が規制されていない状態において、レバー95bが回動することにより、カム95上に設けられたサブキャリッジ7の前側端部が、コイルばね93の付勢力に抗して上方に持ち上げられる。従って、本実施形態においては、サブキャリッジ7を持ち上げるカム94,95は、キャリッジ3の前後に設けられているため、サブキャリッジ7の前側及び後側の上下方向Zにおける位置を独立して調整することができる。
【0049】
以上のように、レバー94b,95bを操作することによって、キャリッジ3に対してサブキャリッジ7の上下方向Zにおける位置を調整することができ、記録用紙Pと記録ヘッド2の間隔の微調整及び記録ヘッド2がインクを噴射する角度の微調整を行うことができる。そして、サブキャリッジ7の位置調整を完了した後に、図5及び図6に示すように、おねじ91,92の各々をめねじ部37,38に螺合させて、各おねじ91,92が有するねじ頭91a,92aにより、サブキャリッジ7をカム94,95上に固定して、キャリッジ3に対してサブキャリッジ7を固定する。
【0050】
そして、四角枠状に形成されているサブキャリッジ7は、キャリッジ3と同様に、上下方向Zに貫通する開口が設けられている。このサブキャリッジ7の開口には、下方に向けてインクを噴射する記録ヘッド2(図4参照)が設けられ、サブキャリッジ7と記録ヘッド2によりヘッドモジュールが構成されている。記録ヘッド2は、インク供給チューブ5から供給される各色のインクに応じて複数設けられている。記録ヘッド2はねじ止めによりサブキャリッジ7に固定され、サブキャリッジ7を介して記録ヘッド2がキャリッジ3に固定される構成となっている。
【0051】
サブキャリッジ7に設けられた各記録ヘッド2は、圧電素子(図示略)を備え、この圧電素子が駆動することにより、記録ヘッド2からインクが液滴として噴射される。なお、圧電素子を駆動するための電力は、インク供給チューブ5に沿って設けられたフレキシブルフラットケーブル(不図示)によりキャリッジ3外から供給される。
【0052】
プリンター1は、インク供給チューブ5から供給されるインクの流路を形成する構成として、キャリッジ3内に設けられる流路形成部材8,21(図2等参照)を備えている。これらの流路形成部材8,21により、キャリッジ3内において記録ヘッド2に供給されるインクの流路が形成され、キャリッジ3内に設けられた流路形成部材8,21は、キャリッジ3に設けられたキャリッジカバー6により覆われる。
【0053】
平板状の流路形成部材21は、記録ヘッド2上に設けられ、インク供給チューブ5から供給されるインクを各記録ヘッド2へ分配する。従って、流路形成部材21には、インク供給チューブ5から流路形成部材8を介して供給されたインクを各記録ヘッド2に導く流路22が形成されている。
【0054】
各記録ヘッド2にはインク流入口(不図示)が設けられるとともに、流路形成部材21には、各記録ヘッド2に設けられたインク流入口に差し込まれる差込部(不図示)が設けられている。この差込部から記録ヘッド2にインクが供給される。各記録ヘッド2のインク流入口に流路形成部材21の差込部が容易に差し込めるように、流路形成部材21は、記録ヘッド2に対する流路形成部材21の位置ずれ(位置誤差)を許容するように形成されている。
【0055】
なお、本実施形態においては、サブキャリッジ7上に設けられた流路形成部材21の移動は、サブキャリッジ7の右側端部及び左側端部に形成された突出部74(図4等参照)により規制される構成となっている。具体的には、サブキャリッジ7は、上方へ向けて突出した円柱状の小さな突出部74が形成されている。そして、この突出部74を流路形成部材21に挿通させることにより、上下方向Zに直行する方向(即ち、左右方向X及び前後方向Y)における流路形成部材21の移動が規制される構成となっている。なお、流路形成部材21がねじ止めによりサブキャリッジ7に固定されていてもよい。
【0056】
図4に示すように、流路形成部材21の左側端部には、上方へ突出して形成されたインク流入部23が設けられている。インク流入部23には、上方へ向けて開口したインク流入口23aが形成されている。インク流入口23aは、インク供給チューブ5から供給される各色のインクに応じて複数形成され、複数のインク流入口23aは前後方向Yに沿って一列に設けられている。
【0057】
そして、図7(a)及び(b)に示すように、流路形成部材21のインク流入部23には、流路形成部材8が接続されて設けられている。図7(a)は、図3において流路形成部材8の近傍を拡大した斜視図である。なお、図7(a)においてはインク供給チューブ5及びキャリッジ3の図示は省略されている。また、図7(b)は、図7(a)に示す状態を左方から見たときの側面図であって、流路形成部材8の下端が固定されている状態を示す図である。
【0058】
インク流入部23と流路形成部材8との接続部分には、この接続部分からインクが漏れ出さないようにするためのシール部材81b(図7(b)参照)が設けられている。インク供給チューブ5から供給されるインクは、流路形成部材8を介して流路形成部材21のインク流入口23aに流入する。そして、インク流入口23aから流路形成部材21に流入したインクは、流路22を通して各記録ヘッド2に供給される。
【0059】
図8に示すように、流路形成部材21のインク流入部23に接続される流路形成部材8は、上下方向Zに延びた形状を有するとともに、流路形成部材21のインク流入部23(図7参照)に取り付けられるインク流出部81と、インク供給チューブ5が取り付けられるインク流入部82とを有している。図8は、流路形成部材8のみを図示した図である。
【0060】
インク流出部81には、下方に向けて開口するインク流出口81aが形成されている。インク流出口81aは、インク供給チューブ5から供給される各色のインクに応じて複数形成され、複数のインク流出口81aは前後方向Yに沿って一列に設けられている。このインク流出部81よりも後方にインク流入部82が設けられている。インク流入部82において流路形成部材8に流入したインクは、インク流出部81におけるインク流出口81aから流出することにより、流路形成部材21のインク流入口23aに流入する。
【0061】
インク流入部82には、右方(側方)に向けて開口するインク流入口82aが形成されている。インク流入口82aは、インク供給チューブ5から供給される各色のインクに応じて複数形成され、複数のインク流入口82aは上下方向Zに沿って一列に設けられている。インク供給チューブ5から供給されたインクは、インク流入部82においてインク流入口82aに流入することにより流路形成部材8に流入する。
【0062】
そして、流路形成部材8には、流路形成部材8の後端及び右端を構成するインク流入部82から流路形成部材8の下端を構成するインク流出部81にインクを導くための流路83a(図7(b)参照)が形成されている。
【0063】
具体的には、図7(b)に示すように、インク供給チューブ5から記録ヘッド2に供給されるインクの流路を形成する流路形成部材8は、インク流入口82aとインク流出口81aとを接続する流路83aが形成された流路部83を有している。流路部83は、インク流出部81の左端から上方に向けて延設され、前後方向Y及び上下方向Zに延びた板状の壁体により構成されている。そして、その壁体を右方に向けて窪ませることにより形成された左方(側方)に向けて開口した溝が流路83aとして構成されている。
【0064】
流路部83の左端には、溝により形成された流路83aを覆う弾性シート96が設けられている。流路83aを覆うように弾性シート96が設けられた流路形成部材8は、インク供給チューブ5から供給されるインクに起因する流路83a内の圧力変動を緩衝する圧力ダンパーとして機能する。
【0065】
また、図8に示すように、流路形成部材8は、インク流出部81の前方及び後方に設けられたねじ挿通部84と、インク流入部82の上方及び下方に設けられたねじ挿通部85とを有している。
【0066】
ねじ挿通部84には上方からおねじ97(図7参照)が挿通されるねじ挿通孔84aが形成されている。おねじ97は、ねじ挿通孔84aと、流路形成部材21に設けられたねじ挿通孔24(図4参照)とに挿通され、流路形成部材21の下方においてナット97b(図7(b)参照)に螺合されている。このようにして流路形成部材8,21がおねじ97及びナット97bにより締結されて、流路形成部材8の下端が、流路形成部材21及びサブキャリッジ7を介してキャリッジ3に固定される。
【0067】
なお、本実施形態においては、流路形成部材21のインク流入部23の近傍に、上方に向けて突出した円柱状の小さな突出部25(図4参照)が形成されるとともに、流路形成部材8には、この突出部25を挿通させる挿通孔87(図8(b)参照)が形成されている。そして、流路形成部材21の突出部25を流路形成部材8の挿通孔87に挿通させることにより、ねじ挿通孔84aとねじ挿通孔24とが上下方向Zにおいて重なるように構成されている。即ち、おねじ97をナット97bに螺合させていない状態において、流路形成部材21に対して流路形成部材8が位置決めされる構成となっている。
【0068】
また、図8(a)に示すように、ねじ挿通部85には右方からおねじ98(図7(a)参照)が挿通されるねじ挿通孔85aが形成されている。図7に示すように、おねじ98は、ねじ挿通孔85aとチューブ固定部材88とに挿通され、流路形成部材8の左方においてナット98bに螺合されている。このようにして流路形成部材8及びチューブ固定部材88がおねじ98及びナット98bにより締結されて、インク供給チューブ5がインク流入部82に接続されている。なお、チューブ固定部材88とインク流入部82との接続部分には、この接続部分からインクが漏れ出さないようにするためのシール部材88a(図7(a)参照)が設けられている。
【0069】
インク流出部81、インク流入部82、及び流路部83等を備える流路形成部材8は、例えば合成樹脂を用いて、単一の材料により一体的に形成されている。また、流路形成部材8には、剛性を向上させるリブ86a,86b,86c,86d,86eが設けられている。
【0070】
リブ86a,86bは、流路部83から左方に突出するとともに上下方向Zに延設されている。リブ86aは、インク流出部81の前側においてインク流出部81とねじ挿通部84との間に設けられるとともに、リブ86aは、インク流出部81の後側においてインク流出部81とねじ挿通部84との間に設けられている。
【0071】
また、リブ86cは、流路部83の上端から左方に突出するとともにリブ86a,86bの上端を接続して設けられている。リブ86bの上端はリブ86aの上端に比べて上方に位置するため、リブ86cは、前側から後側に向かうにつれて上方に延びるように設けられている。
【0072】
また、リブ86dは、流路部83の後側端部から左方に突出するとともに上下方向Zに延設されている。より具体的には、リブ86dは、ねじ挿通部84とインク流入部82との間に設けられ、流路形成部材8の下端から、インク流出部81及びねじ挿通部85よりも上方に延びている。
【0073】
また、リブ86eは、リブ86dの上端から後方に向けて延設されている。リブ86eも、他のリブ86a, 86b,86c,86dと同様に、流路部83を構成する壁体から左方に突出させて設けられている。
【0074】
以上のように、プリンター1は、記録用紙Pに対してインクを噴射する記録ヘッド2と、記録ヘッド2を搭載するとともに左右方向X(直線方向)において往復移動するキャリッジ3と、キャリッジ3内に設けられて記録ヘッド2に供給されるインクの流路を形成する流路形成部材8とを備えている。
【0075】
ここで、本実施形態においては、キャリッジ3に流路形成部材8を覆うキャリッジカバー6が設けられ、流路形成部材8に、キャリッジカバー6に当接する振動抑制部としての突起89が設けられている。
【0076】
突起89は、流路形成部材8の上端に設けられている。具体的には、突起89は、流路形成部材8の後側端部に設けられたリブ86eの上端に設けられている。突起89は、弾性(ばね性)を有するように形成され、キャリッジカバー6に当接して流路形成部材8の振動を抑制する振動抑制部を構成している。
【0077】
図9に示すように、突起89は、流路形成部材8に形成されるとともに上下方向Z及びキャリッジ3が往復移動する左右方向Xにおいて弾性変形可能な弾性変形部89aと、弾性変形部89aに接続されるとともにキャリッジカバー6に当接するカバー当接部89bとを有している。弾性変形部89aとカバー当接部89bからなる突起89は、単一の材料により流路形成部材8と一体的に形成されている。
【0078】
弾性変形部89aは、リブ86eの上面から上方に向けて直線状に延びる直線部89cと、直線部89cの上端から湾曲して設けられた湾曲部89dとを有している。そして、この湾曲部89dの上部からカバー当接部89bが左右方向Xにおいて直線状に延びている。従って、弾性変形部89aにより流路形成部材8のリブ86aと突起89のカバー当接部89bが接続されている。弾性変形部89aを介して流路形成部材8に接続されたカバー当接部89bは、突起89の上端及び先端を構成するとともに、突起89の先端が直線部89cよりも側方へ突出するように左右方向Xにおいて延設されている。
【0079】
本実施形態においては、突起89として、左右方向Xの一方である右方に向けて先端を突出させた第1の突起89Aと、左右方向Xの他方である左方に向けて先端を突出させた第2の突起89Bとが、流路形成部材8の上端に設けられている。
【0080】
図9(a)は、図8(b)の一点鎖線Cで示す部分の断面図であって、突起89Aの断面を示す図である。また、図9(b)は、図8(b)の一点鎖線Dで示す部分の断面図であって、突起89Bの断面を示す図である。
【0081】
図9(a)に示すように、第1の突起89Aにおいては、突起89Aの湾曲部89dが、左右方向Xにおいて直線部89cよりも左方へ突出するとともに、突起89Aのカバー当接部89bが、左右方向Xにおいて直線部89cよりも右方へ突出している。このようにして第1の突起89Aにおいては、カバー当接部89bにより構成される突起89Aの先端が右方に向けて設けられている。
【0082】
また、図9(b)に示すように、第2の突起89Bにおいては、突起89Bの湾曲部89dが、左右方向Xにおいて直線部89cよりも右方へ突出するとともに、突起89Bのカバー当接部89bが、左右方向Xにおいて直線部89cよりも左方へ突出している。このようにして第2の突起89Bにおいては、カバー当接部89bにより構成される突起89Bの先端が左方へ向けて設けられている。
【0083】
本実施形態においては、突起89の先端の向く方向が交互に異なるように、リブ86eには3つの突起89が設けられている。具体的には、前側から後側へ、第1の突起89A、第2の突起89B、第1の突起89Aの順で突起89がリブ86eに設けられている。第1の突起89Aの先端(即ち、右端)は、左右方向Xにおいて第2の突起89Bの右端よりも右方に突出するとともに、第2の突起89Bの先端(即ち、左端)は、左右方向Xにおいて第1の突起89Aの左端よりも左方に突出している。
【0084】
また、図10に示すように、本実施形態においては、流路形成部材8を覆うキャリッジカバー6には、突起89を支持する構成として、流路形成部材8に向けて突出する突出部62が設けられている。
【0085】
具体的には、キャリッジカバー6は、キャリッジ3の上方を覆う上側壁部61を有している。そして、流路形成部材8の上方において、この上側壁部61によって構成される下面61aに、下方に向けて突出する突出部62が形成されている。
【0086】
突出部62は、突起89に対して斜め上方から当接する傾斜当接面63を有している。本実施形態においては、突出部62は、傾斜当接面63として、左右方向Xの一方である右方から突起89に当接する第1の傾斜当接面63Aと、左右方向Xの他方である左方から突起89に当接する第2の傾斜当接面63Bとを有している。
【0087】
傾斜当接面63Aと傾斜当接面63Bは左右方向Xにおいて互いに向かい合うように設けられ、傾斜当接面63Aと傾斜当接面63Bとの間隔が上方に向かうにつれて小さくなるように形成されている。即ち、突出部62は、傾斜当接面63Aと傾斜当接面63BとによりV字形状の溝を形成している。
【0088】
図11に示すように、V字形状の溝を形成する突出部62は、前後方向Yにおいて延設されている。そして、図12に示すように、傾斜当接面63Aと傾斜当接面63Bとに挟まれるように突起89A,89Bが設けられる。図12は、キャリッジカバー6により流路形成部材8の上部を覆った状態を示す模式図であって、図11の一点鎖線Eで示す部分の断面を示した図である。
【0089】
図12の模式図に示すように、キャリッジカバー6がキャリッジ3に取り付けられて、キャリッジカバー6により流路形成部材8が覆われると、第1の突起89Aの先端が第1の傾斜当接面63Aに当接するとともに、第2の突起89Bの先端が第2の傾斜当接面63Bに当接する。
【0090】
具体的には、キャリッジカバー6がキャリッジ3に取り付けられた状態においては、突起89Aの弾性変形部89aが変形された状態で、突起89Aのカバー当接部89bが傾斜当接面63Aに当接する。同様に、キャリッジカバー6がキャリッジ3に取り付けられた状態においては、突起89Bの弾性変形部89aが変形された状態で、突起89Bのカバー当接部89bが傾斜当接面63Bに当接する。以上のように、キャリッジカバー6がキャリッジ3に取り付けられた状態において、各突起89A,89Bの先端は傾斜当接面63A,63Bに同時に当接して、弾性を有する突起89はキャリッジカバー6に弾性的に当接する。即ち、サブキャリッジ7の位置調整が行われても、突起89A,89Bがキャリッジカバー6の傾斜当接面63A,63Bに当接する状態が維持されるように構成されている。
【0091】
また、傾斜当接面63は、その傾斜角度を維持したまま前後方向Yにおいて延びているため、サブキャリッジ7が前後方向Yに移動させるように位置調整が行われる場合であっても、突起89A,89Bが傾斜当接面63A,63B上を摺動するため、突起89A,89Bが傾斜当接面63A,63Bに当接する状態は維持される。
【0092】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)キャリッジ3には、流路形成部材8を覆うキャリッジカバー6が設けられ、流路形成部材8には、キャリッジカバー6に当接して振動を抑制する振動抑制部としての突起89が設けられている。このため、キャリッジ3の移動に起因して発生する流路形成部材8の振動を抑制することができる。従って、流路形成部材8の振動がキャリッジ3へ伝わることを低減することができる。その結果、記録用紙Pの所望の位置に向けてのインクの噴射精度を向上させることができ、記録用紙Pへの印刷品質(画質)を向上させることができる。また、流路形成部材8の振動が抑制されることにより、流路形成部材8に設けられるシール部材81b,88aの劣化を抑制することができる。
【0093】
(2)キャリッジカバー6に当接して振動を抑制する振動抑制部は、弾性を有する突起89であるため、突起89がダンパーとして機能して、簡単な構成で流路形成部材8の振動を抑制することができる。
【0094】
(3)突起89は、流路形成部材8に形成されるとともに上下方向Z及びキャリッジ3が往復移動する左右方向Xにおいて弾性変形可能な弾性変形部89aと、この弾性変形部89aに接続されるとともにキャリッジカバー6に当接するカバー当接部89bとを有する。従って、突起89のカバー当接部89bがキャリッジカバー6に当接することにより振動が抑制されるとともに、カバー当接部89bが接続された弾性変形部89aが弾性変形することにより、2方向(上下方向Zと左右方向X)における流路形成部材8の振動を効果的に抑制することができる。
【0095】
(4)突起89は、単一の材料により流路形成部材8と一体的に形成されているため、流路形成部材8に設けられる振動抑制部である突起89が、流路形成部材8と別体の部材により構成される場合に比べて、部品点数の増加を抑制することができる。
【0096】
(5)キャリッジカバー6には、流路形成部材8に向けて突出する突出部62が設けられるとともに、突出部62は、突起89に対して斜め上方から当接する傾斜当接面63を有している。このため、キャリッジカバー6の突出部62に、2方向(上下方向Zと左右方向X)から突起89が当接することにより、流路形成部材8の振動をより効果的に抑制することができる。
【0097】
(6)キャリッジカバー6に設けられた突出部62は、傾斜当接面63として、右方から突起89に当接する第1の傾斜当接面63Aと、左方から突起89に当接する第2の傾斜当接面63Bとを有している。このため、傾斜当接面が左右方向Xの一方のみ(即ち、右方または左方)から突起89に当接する場合に比べて、キャリッジ3が往復移動する左右方向Xにおける流路形成部材8の振動をより一層効果的に抑制することができる。
【0098】
(7)流路形成部材8の上端には、突起89として、右方に向けて先端を突出させた第1の突起89Aと、左方に向けて先端を突出させた第2の突起89Bとが設けられている。よって、流路形成部材8の上部をキャリッジカバー6で覆うことにより、突起89A,89Bを傾斜当接面63に当接させることができる。そして、第1の突起89Aの先端が第1の傾斜当接面63Aに当接するとともに、第2の突起89Bの先端が第2の傾斜当接面63Bに当接する。このため、第1及び第2の双方の傾斜当接面63A,63Bに先端が当接する1つの突起(不図示)に比べて、突起89を弾性変形し易くすることができる。よって、流路形成部材8の振動をさらにより一層効果的に抑制することができる。
【0099】
(8)キャリッジ3内には、このキャリッジ3に対して位置調整可能なサブキャリッジ7が設けられ、キャリッジ3に対して固定される記録ヘッド2及び流路形成部材8は、サブキャリッジ7に固定されている。即ち、記録ヘッド2が固定されたサブキャリッジ7は、キャリッジ3に対して位置調整可能に設けられているため、サブキャリッジ7の位置を調整することにより、キャリッジ3内における記録ヘッド2の位置を微調整することができる。また、サブキャリッジ7に固定された流路形成部材8の振動抑制部は、上述のごとく弾性を有する突起89であるため、サブキャリッジ7の位置が調整された場合であっても、キャリッジカバー6に突起89が当接し易く、流路形成部材8の振動が抑制され易い。
【0100】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、サブキャリッジ7に対して流路形成部材8の下端が直接固定されていてもよい。即ち、キャリッジ3に対して位置調整可能なサブキャリッジ7に流路形成部材8が設けられていなくてもよく、また、プリンター1がサブキャリッジ7を備えない構成であってもよい。
【0101】
・上記実施形態において、流路形成部材8の上端に設けられる突起89を、第1の突起89Aのみ、または第2の突起89Bのみにより構成してもよい。また、突起89を変形してもよく、1つの突起89が右方及び左方の各方向に向けて突出させた別個の先端(不図示)を有していてもよい。
【0102】
・上記実施形態において、キャリッジカバー6に設けられる突出部62を、第1の傾斜当接面63Aのみ、または第2の傾斜当接面63Bのみにより構成してもよい。また、突出部62を変形してもよく、突出部62が、突起89に対して上方、または側方(即ち、左方または右方)から当接する当接面(不図示)を有していてもよい。
【0103】
・上記実施形態において、キャリッジカバー6に当接して振動を抑制する振動抑制部を、突起以外により構成してもよい。例えば、キャリッジカバー6に流路形成部材8に向けて突出するとともに弾性を有する突起(不図示)が形成され、流路形成部材8にキャリッジカバー6の突起に当接して振動を抑制する溝(不図示)が形成されていてもよい。即ち、流路形成部材8の振動を抑制することができるのであれば、振動抑制部の形状は適宜変更してもよい。
【0104】
・圧力ダンパーとして機能しない流路形成部材に振動抑制部が設けられていても良い。即ち、上記実施形態においては、圧力ダンパーとして機能する流路形成部材8に振動抑制部が設けられていたが、キャリッジカバーに当接するように振動抑制部を設けることができるのであれば、流路形成部材8以外の流路形成部材に振動抑制部が設けられていても良い。
【0105】
・上記実施形態では、液体噴射装置をインクジェット式のプリンター1に具体化したが、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置を採用してもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0106】
1…プリンター(液体噴射装置)、2…記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、3…キャリッジ、4…インクタンク、5…インク供給チューブ(可撓性の液体供給部材)、6…キャリッジカバー、6a…チューブ挿入部、7…サブキャリッジ、8…流路形成部材、11…フレーム、12,13…ガイド軸、14,15…プーリー、16…電動モーター、17…タイミングベルト、18…プラテン、21…流路形成部材、22…流路、23…インク流入部、23a…インク流入口、24…ねじ挿通孔、25…突出部、31…本体部、32…軸取付部、32a…挿通開口、33…ベルト取付部、34…前側壁部、35…右側壁部、36…左側壁部、37,38…めねじ部、39…ばね取付部、61…上側壁部、61a…下面、62…突出部、63,63A,63B…傾斜当接面、71,72…ねじ挿通孔、73…ばね取付部、74…突出部、81…インク流出部、81a…インク流出口、81b…シール部材、82…インク流入部、82a…インク流入口、83…流路部、83a…流路、84,85…ねじ挿通部、84a,85b…ねじ挿通孔、86a、86b,86c,86d,86e…リブ、87…挿通孔、88…チューブ固定部材、88a…シール部材、89,89A,89B…突起、89a…弾性変形部、89b…カバー当接部、89c…直線部、89d…湾曲部、91,92…おねじ、91a,92a…ねじ頭、93…コイルばね、94,95…カム、94a,95a…貫通孔、94b,95b…レバー、96…弾性シート、97,98…おねじ、97b,98b…ナット、P…記録用紙(ターゲット)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットに対して液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドを搭載するとともに所定の直線方向において往復移動するキャリッジと、前記キャリッジ内に設けられて前記液体噴射ヘッドに供給される液体の流路を形成する流路形成部材とを備える液体噴射装置であって、
前記キャリッジには、前記流路形成部材を覆うキャリッジカバーが設けられ、
前記流路形成部材には、前記キャリッジカバーに当接して振動を抑制する振動抑制部が設けられている
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記振動抑制部は弾性を有する突起であることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
前記突起は、前記流路形成部材に形成されるとともに上下方向及び前記キャリッジが往復移動する前記直線方向において弾性変形可能な弾性変形部と、この弾性変形部に接続されるとともに前記キャリッジカバーに当接するカバー当接部とを有することを特徴とする請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
前記突起は、単一の材料により前記流路形成部材と一体的に形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記キャリッジカバーには、前記流路形成部材に向けて突出する突出部が設けられるとともに、前記突出部は、前記突起に対して斜め上方から当接する傾斜当接面を有していることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項6】
前記キャリッジカバーに設けられた前記突出部は、前記傾斜当接面として、前記直線方向の一方から前記突起に当接する第1の傾斜当接面と、前記直線方向の他方から前記突起に当接する第2の傾斜当接面とを有していることを特徴とする請求項5に記載の液体噴射装置。
【請求項7】
前記流路形成部材の上端には、前記突起として、前記直線方向の一方に向けて先端を突出させた第1の突起と、前記直線方向の他方に向けて先端を突出させた第2の突起とが設けられ、
前記第1の突起の先端が前記第1の傾斜当接面に当接するとともに、前記第2の突起の先端が前記第2の傾斜当接面に当接する
ことを特徴とする請求項6に記載の液体噴射装置。
【請求項8】
前記キャリッジ内には、このキャリッジに対して位置調整可能なサブキャリッジが設けられ、
前記キャリッジに対して固定される前記液体噴射ヘッド及び前記流路形成部材は、前記サブキャリッジに固定されている
ことを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項1】
ターゲットに対して液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドを搭載するとともに所定の直線方向において往復移動するキャリッジと、前記キャリッジ内に設けられて前記液体噴射ヘッドに供給される液体の流路を形成する流路形成部材とを備える液体噴射装置であって、
前記キャリッジには、前記流路形成部材を覆うキャリッジカバーが設けられ、
前記流路形成部材には、前記キャリッジカバーに当接して振動を抑制する振動抑制部が設けられている
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記振動抑制部は弾性を有する突起であることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
前記突起は、前記流路形成部材に形成されるとともに上下方向及び前記キャリッジが往復移動する前記直線方向において弾性変形可能な弾性変形部と、この弾性変形部に接続されるとともに前記キャリッジカバーに当接するカバー当接部とを有することを特徴とする請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
前記突起は、単一の材料により前記流路形成部材と一体的に形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記キャリッジカバーには、前記流路形成部材に向けて突出する突出部が設けられるとともに、前記突出部は、前記突起に対して斜め上方から当接する傾斜当接面を有していることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項6】
前記キャリッジカバーに設けられた前記突出部は、前記傾斜当接面として、前記直線方向の一方から前記突起に当接する第1の傾斜当接面と、前記直線方向の他方から前記突起に当接する第2の傾斜当接面とを有していることを特徴とする請求項5に記載の液体噴射装置。
【請求項7】
前記流路形成部材の上端には、前記突起として、前記直線方向の一方に向けて先端を突出させた第1の突起と、前記直線方向の他方に向けて先端を突出させた第2の突起とが設けられ、
前記第1の突起の先端が前記第1の傾斜当接面に当接するとともに、前記第2の突起の先端が前記第2の傾斜当接面に当接する
ことを特徴とする請求項6に記載の液体噴射装置。
【請求項8】
前記キャリッジ内には、このキャリッジに対して位置調整可能なサブキャリッジが設けられ、
前記キャリッジに対して固定される前記液体噴射ヘッド及び前記流路形成部材は、前記サブキャリッジに固定されている
ことを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−189593(P2011−189593A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57129(P2010−57129)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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