説明

液体噴射装置

【課題】 液体タンクから液体噴射ヘッドまでの液体の供給経路内に混入した気体をポンプなどの駆動手段を追加することなく、簡単に排出する。
【解決手段】 プリンタ1は、インクジェットヘッド3とインクカートリッジ6とが第1流路64により接続され、その途中にサブタンク4が配置されている。サブタンク4とインクカートリッジ6は、気体連通路66を介して連通している。気体連通路66の途中には、インクカートリッジ6からサブタンク4への気体の流入を防止する一方向弁71が配置されている。第1流路64は、サブタンク4よりも上流側で分岐し、下流側で合流する第2流路65と連通している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を噴射する液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体タンクから供給された液体を液体噴射ヘッドから噴射する液体噴射装置が知られている。このような液体噴射装置の液体タンクから液体噴射ヘッドまでの液体流路には、さまざまな理由により外部から気体が混入することがある。
【0003】
例えば、記録媒体にインクを噴射して所望の文字や画像を記録するインクジェットヘッドを備えたインクジェットプリンタには、一般的に、インクを貯留したカートリッジが着脱自在に装着され、カートリッジから供給されたインクをインクジェットヘッドから噴射する。このようなインクジェットプリンタでは、カートリッジの交換などの要因によって、カートリッジとカートリッジを装着する装着部の連結部を介して外部から気体が混入することがある。また、インクに溶解している気体が温度や圧力の変化で気泡となることもある。この気体がインクとともにインクジェットヘッドへ流れていくと、例えば噴射不良や流路詰まりを生じてしまう。
【0004】
そこで、インクジェットヘッド内の気体を排出するためには、例えば、特許文献1に記載のプリンタのような構成を利用して、インクジェットヘッドとカートリッジを接続する流路の途中にポンプを設けて、ポンプによる吸引駆動によりインクジェットヘッド内のインクとともに気体を引き出し、その後、ポンプを吸引駆動時とは逆向きに駆動して、カートリッジからインクジェットヘッドへインクのみを押し出すことが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−199040号公報(図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のプリンタにおいては、インクジェットヘッド内のインクに混入した気体を排出するために専用の駆動手段であるポンプを必要としてしまう。
【0007】
本発明の目的は、液体タンクから液体噴射ヘッドまでの液体の供給経路内に混入した気体をポンプなどの駆動手段を追加することなく、簡単に排出することができる液体噴射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の液体噴射装置は、液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドに供給される液体を貯留する液体タンクと、前記液体噴射ヘッドと前記液体タンクとを接続する第1流路と、前記第1流路の途中に配置され、液体と気体とを分離させる気液分離部と、前記気液分離部と前記液体タンクとを接続し、前記気液分離部内の気体を前記液体タンクに移送するための気体連通路と、前記気体連通路の途中に配置され、前記液体タンクから前記気液分離部への気体の流入を防止する弁と、前記気液分離部の上流側と下流側とを前記気液分離部を経由せずに連通させる第2流路と、前記第1流路のみを通過させて前記液体タンク内の液体を前記液体噴射ヘッドに供給する第1通過経路と、前記第2流路を通過させて前記気液分離部を経由せずに前記液体タンク内の液体を前記液体噴射ヘッドに供給する第2通過経路とを選択的に切り替える切り替え手段と、を備えている。
【0009】
本発明の液体噴射装置によると、切り替え手段により第2通過経路を連通させて、液体噴射ヘッドから液体を消費すると、気液分離部を経由しない第2流路を介して液体タンク内の液体は消費され減少する。すると、液体タンク内は気液分離部内よりも低い圧力となり、圧力の高い気液分離部内から気体連通路を介して圧力の低い液体タンク内に気体が流入し、気液分離部内の気体を液体タンクに移送することができ、液体噴射ヘッドに気体が流れ込むのを防止することができる。このように、液体タンクから液体噴射ヘッドまでの液体の供給経路内に混入した気体をポンプなどの専用の駆動手段を追加することなく、簡単に排出することができる。また、噴射された液体が着弾する被噴射体に向けて液体噴射ヘッドから液体を噴射する通常噴射時や、液体噴射ヘッドから液体を吸引して排出するパージ時などの液体噴射ヘッドから液体を消費するときに、第2通過経路を連通させるだけで、合わせて気液分離部内の気体を液体タンクに移送することも可能である。なお、本発明においては、液体タンクから液体噴射ヘッドに液体が供給されることから、液体タンクを上流端とし、液体噴射ヘッドを下流端とする。
【0010】
また、前記第2流路は、前記第1流路における前記液体タンクと前記気液分離部との間に設けられた第1分岐点と、前記第1流路における前記気液分離部と前記液体噴射ヘッドとの間に設けられた第2分岐点と、を前記気液分離部を経由せずに連通させる流路であることが好ましい。これによると、第1流路において気液分離部だけをバイパスさせることができる。
【0011】
さらに、前記切り替え手段を制御する制御手段をさらに備えており、前記制御手段は、前記切り替え手段により前記第2通過経路を連通させるとともに、前記液体噴射ヘッドから液体を消費することで、前記気液分離部内の気体を前記液体タンクに移送することが好ましい。
【0012】
加えて、前記気液分離部内の気体の量を検出する気体量検出手段をさらに備えており、前記制御手段は、前記気体量検出手段によって所定量以上の気体が検出されたときには、前記切り替え手段により前記第2通過経路を連通させることが好ましい。これによると、気液分離部内の気体が所定量以上のときには、気液分離部内の気体を液体タンクに確実に移送することができる。
【0013】
また、前記液体噴射ヘッド内の液体に噴射エネルギーを付与するエネルギー付与手段をさらに備えており、前記制御手段は、前記エネルギー付与手段をさらに制御しており、前記切り替え手段により前記第2通過経路を連通させ、前記エネルギー付与手段により前記液体噴射ヘッドから液体を噴射させることが好ましい。これによると、被噴射体に向けて液体噴射ヘッドから液体を噴射させる通常噴射を行いながら、気液分離部内の気体を液体タンクに移送することができる。したがって、気液分離部内の気体を液体タンクに移送するためだけに液体を消費することがなく、液体の消費量を削減することができる。
【0014】
さらに、前記液体噴射ヘッドは、液体を噴射するノズルを有しており、前記液体噴射ヘッド内の液体を前記ノズルから排出させるパージ手段をさらに備えており、前記制御手段は、前記パージ手段をさらに制御しており、前記切り替え手段により前記第2通過経路を連通させ、前記パージ手段により前記ノズルから液体を排出させることが好ましい。これによると、パージを行いながら、気液分離部内の気体を液体タンクに移送することができる。したがって、気液分離部内の気体を液体タンクに移送するためだけに液体を消費することがなく、液体の消費量を削減することができる。
【0015】
加えて、前記液体タンクは、大気と連通する大気連通孔と、前記制御手段により制御され、前記大気連通孔を開閉する開閉弁とを有しており、前記制御手段は、前記切り替え手段により前記第1通過経路を連通させ、前記開閉弁を開にすることが好ましい。これによると、気液分離部内の気体を液体タンクに移送するとき以外は、液体タンクの大気連通孔を開として大気と連通させているため、液体タンク内の液体を残さず、液体噴射ヘッドに供給することができる。
【0016】
また、前記液体タンクが着脱自在に装着される装着部をさらに備えていることが好ましい。空になった液体タンクを装着部から取り外して、満充填された液体タンクを装着部に装着する際に、装着部と液体タンクの連結部からは気体が混入しやすい。このような気体が混入しやすい液体噴射装置において、気液分離部内の気体を液体タンク内に移送することは効果的である。
【0017】
さらに、前記気液分離部は、前記液体タンクから前記液体噴射ヘッドへ供給される液体を一時貯留するサブタンクであることが好ましい。サブタンクは、例えば、第1流路内の液体に生じた動圧などの圧力変動を吸収するとともに、液体噴射ヘッドへの液体の供給不足を解消するバッファタンクとして機能している。このようなサブタンクを、液体噴射ヘッドに気体が移送されないように気体と液体を分離させる気液分離部と兼用することができ、装置を小型化することができる。
【発明の効果】
【0018】
切り替え手段により第2通過経路を連通させて、液体噴射ヘッドから液体を消費すると、圧力の高い気液分離部から気体連通路を介して圧力の低い液体タンク内に気体が流入し、気液分離部内の気体を液体タンクに移送することができ、液体噴射ヘッドに気体が流れ込むのを防止することができる。したがって、液体タンクから液体噴射ヘッドまでの液体の供給経路内に混入した気体をポンプなどの専用の駆動手段を追加することなく、簡単に排出することができる。また、被噴射体に向けて液体噴射ヘッドから液体を噴射する通常噴射時や、液体噴射ヘッドから液体を吸引して排出するパージ時などの液体噴射ヘッドから液体を消費するときに、第2通過経路を連通させるだけで、合わせて気液分離部内の気体を液体タンクに移送することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態に係るプリンタの平面図である。
【図2】プリンタの概略構成図である。
【図3】プリンタの電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【図4】記録動作時におけるプリンタの概略構成図である。
【図5】吸引パージ時におけるプリンタの概略構成図である。
【図6】変形例におけるプリンタの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態について説明する。本実施形態は、インクジェットヘッドから記録用紙に対してインクを噴射することにより、記録用紙に所望の文字や画像などを記録(印刷)するプリンタに、本発明を適用したものである。
【0021】
まず、プリンタ1の概略構成について、図1を参照して説明する。図1に示すように、プリンタ1(液体噴射装置)は、一方向に沿って往復移動可能に構成されたキャリッジ2と、このキャリッジ2に搭載されたインクジェットヘッド3(液体噴射ヘッド)、及び、サブタンク4(気液分離部)と、インクを貯留するインクカートリッジ6(液体タンク)と、インクカートリッジ6が着脱自在に装着されるホルダ10と、インク増粘やインクジェットヘッド3内への気体混入などによってインクジェットヘッド3の液体噴射性能が低下したときに、その性能を回復させるメンテナンス機構7と、プリンタ1の各部をそれぞれ制御する制御装置8(図3参照)などを備えている。
【0022】
プリンタ1には、水平な一方向(図1の左右方向:走査方向)に平行に延びるとともに、走査方向と直交する紙送り方向に間隔を空けて配置された2本のガイドフレーム17a、17bが設けられており、これら2本のガイドフレーム17a、17bにキャリッジ2が取り付けられている。そして、キャリッジ2は、2本のガイドフレーム17a、17bによって案内されつつ、キャリッジ駆動機構12によって走査方向に往復駆動される。キャリッジ駆動機構12は、キャリッジ2に連結された無端ベルト18と、無端ベルト18を走行させるキャリッジ駆動モータ19を含んでいる。そして、キャリッジ駆動モータ19によって無端ベルト18が走行駆動されたときに、キャリッジ2が、無端ベルト18の走行に伴って走査方向に往復移動するようになっている。
【0023】
キャリッジ2には、インクジェットヘッド3と4つのサブタンク4が搭載されている。4つのサブタンク4は走査方向に沿って並べて配置され、これら4つのサブタンク4の下方にインクジェットヘッド3が設けられている。サブタンク4は、インクカートリッジ6から供給されたインクとともに流れてきた気体を分離させて、インクジェットヘッド3に気体が流れ込まないようにインクのみを供給しているとともに、インクカートリッジ6から供給されたインクを一時貯留している。また、サブタンク4は、インクジェットヘッド3へのインクの供給不足を解消するバッファタンクとしても機能している。
【0024】
また、サブタンク4の一方端部にはチューブジョイント21が一体的に設けられており、サブタンク4は、チューブジョイント21に連結された可撓性のチューブ11を介して、ホルダ10のカートリッジ装着部5に装着されたインクカートリッジ6に接続されている。一方、サブタンク4の他方端部は、インクジェットヘッド3の上面に設けられたインク供給口(図示省略)に接続されている。これにより、インクカートリッジ6からチューブ11を介して供給されたインクが、サブタンク4で一時貯留され、さらに、サブタンク4内のインクはインクジェットヘッド3へ供給される。
【0025】
キャリッジ2が走査方向に沿って往復移動すると、その移動の際の加速度の影響を受け手チューブ11内のインクに動圧が生じる。この動圧がインクジェットヘッド3内のインクに伝わると、噴射速度が変わるなど噴射特性が不安定となってしまう。そこで、サブタンク4は、インクジェットヘッド3とともに往復移動しており、チューブ11内の容積に比べて比較的大きな容積となっているため、内部の気体によりその動圧を吸収して、動圧がインクジェットヘッド3内のインクに伝わらないようにしている。
【0026】
インクジェットヘッド3は、その下面に、多数のノズル3bが開口した液体噴射面3aを有している。インクジェットヘッド3は、キャリッジ2とともに走査方向に往復移動しつつ、給紙モータ27や排紙モータ28を含む搬送機構9(図3参照)により紙送り方向(図1の下方)に搬送される記録用紙Pに向けて、サブタンク4から供給されたインクを複数のノズル3bからそれぞれ噴射する。これにより、記録用紙Pに所望の文字や画像などが記録される。
【0027】
ホルダ10は、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの4色のインクをそれぞれ貯留する4つのインクカートリッジ6が着脱自在に装着される4つのカートリッジ装着部5を有している。4つのインクカートリッジ6に貯留された4色のインクは、ホルダ10に接続されたチューブ11を介してサブタンク4に供給される。
【0028】
メンテナンス機構7は、走査方向に関するキャリッジ2の移動範囲のうち、記録用紙Pと対向する印刷領域よりも外側(図1における右側)の領域(メンテナンス位置)に配置されている。このメンテナンス機構7は、インクジェットヘッド3の液体噴射面3aにノズル3bを囲んで密着可能なキャップ部材13と、このキャップ部材13に接続された吸引ポンプ14と、インクジェットヘッド3の液体噴射面3aに付着したインクを拭き取るワイパー16などを有している。
【0029】
インクジェットヘッド3の液体噴射性能を回復させるために、メンテナンス位置にキャリッジ2が移動してきたときに、キャップ部材13は、インクジェットヘッド3の液体噴射面3aと対向する。さらに、キャップ部材13は、キャップ駆動装置25(図3参照)によって上方(図1の紙面手前側)に駆動されて、インクジェットヘッド3の液体噴射面3aに密着することで、複数のノズル3bを一度に覆うように構成されている。
【0030】
そして、キャップ部材13がインクジェットヘッド3の液体噴射面3aに配置されたノズル3bを覆っている状態で、吸引ポンプ14を作動させることにより、ノズル3bからインクを吸引して排出する。これにより、水分が蒸発して粘度が高くなった(増粘した)ノズル3b内のインクを、ノズル3bから排出したり、インクカートリッジ6を交換した際に、インクカートリッジ6内のインクをサブタンク4及びインクジェットヘッド3に導入したりする、いわゆる吸引パージが可能となっている。吸引パージは、プリンタ1の電源投入時や所定時間おき、あるいはインクカートリッジ6の交換時に行われる。また、ノズル3bからインクが吸引排出された後に、キャップ部材13が下降してインクジェットヘッド3の液体噴射面3aから離れた状態で、キャリッジ2とともにワイパー16に対して走査方向に移動することで、インクジェットヘッド3の液体噴射面3aに付着したインクが、ワイパー16によって拭き取られる。
【0031】
次に、インクカートリッジ6からインクジェットヘッド3までのインク供給系について、図2を参照して説明する。なお、本実施形態においては、インクカートリッジ6からインクジェットヘッド3にインクが供給されることから、インクカートリッジ6を上流端とし、インクジェットヘッド3を下流端とする。
【0032】
図2に示すように、インクカートリッジ6は、貯留されているインクの液面の高さが、インクジェットヘッド3の液体噴射面3aよりも低い位置に保持されており、チューブ11に形成された流路を含む第1流路64を介してインクジェットヘッド3と接続されている。第1流路64の途中には、サブタンク4が配置されている。第1流路64のサブタンク4よりも上流側と下流側は、第2流路65により接続されている。サブタンク4は、気体連通路66を介してインクカートリッジ6と接続されている。なお、チューブ11に形成された流路を除く第1流路64及び第2流路65、および気体連通路66は、図示しない流路部材及びチューブによって形成されており、その一部はキャリッジ2に固定されている。
【0033】
インクカートリッジ6には、大気と連通する大気連通孔6aが形成されている。大気連通孔6aは、インクカートリッジ6がカートリッジ装着部5に装着されることで、大気に連通する大気連通管61と連通する。大気連通管61の途中には、シリンダ62により駆動される開閉弁63が配置されている。シリンダ62及び開閉弁63は、カートリッジ装着部5に固定されている。カートリッジ装着部5に装着されたインクカートリッジ6は、開閉弁63が開となっているときに、大気連通孔6aを介して大気と連通し、開閉弁63が閉となっているときに、大気との連通が遮断される。なお、大気連通孔6aは、大気連通管61が開閉弁63によって開閉されることで、間接的に開閉されてもよいし、大気連通孔6aが開閉弁により直接開閉されてもよい。
【0034】
第1流路64におけるインクカートリッジ6とサブタンク4の間であって、第2流路65に分岐する分岐点(第1分岐点)には、シリンダ67により駆動される三方弁68が配置されている。また、第1流路64におけるサブタンク4とインクジェットヘッド3の間であって、第2流路65と合流する分岐点(第2分岐点)には、シリンダ69により駆動される三方弁70が配置されている。シリンダ67、69及び三方弁68、70は、キャリッジ2に固定されている。
【0035】
三方弁68は、シリンダ67の駆動により、インクカートリッジ6とサブタンク4との間の第1流路64を連通させて、矢印A方向にインク供給可能にするか、または、第1流路64から第2流路65へ分岐する流路を連通させて、矢印B方向にインク供給可能にする。
【0036】
三方弁70は、シリンダ69の駆動により、サブタンク4とインクジェットヘッド3との間の第1流路64を連通させて、矢印C方向にインク供給可能にするか、または、第2流路65から第1流路64へ合流する流路を連通させて、矢印D方向にインク供給可能にする。
【0037】
気体連通路66の途中には、サブタンク4からインクカートリッジ6への気体の流出のみを許容し、インクカートリッジ6からサブタンク4への気体の流入を防止する一方向弁71が配置されている。
【0038】
なお、本実施形態においては、第1流路64のみを通過させて、サブタンク4を経由してインクカートリッジ6内のインクをインクジェットヘッド3に供給する経路を第1通過経路とし、第1流路64から分岐して第2流路65を通過させて再度第1流路64に合流して、サブタンク4を経由せずにインクカートリッジ6内のインクをインクジェットヘッド3に供給する経路を第2通過経路とする。
【0039】
サブタンク4の側壁には、それぞれ異なる高さの位置に2つの電極41a、41bが配置されている。電極41aは、サブタンク4の、サブタンク4からインクジェットヘッド3にインクを供給する供給孔よりも高い位置に配置されており、電極41bは、電極41aよりも低い位置に配置されている。
【0040】
サブタンク4に設けられた2つの電極41a、41b間に電圧を印加すると、2つの電極41a、41bのうち、高い位置にある電極41aよりも高い位置までインクが貯留されている場合には、2つの電極41a、41bはインクを介して導通し、2つの電極41a、41b間の抵抗値は低い値となる。また、電極41aよりも低い位置までしかインクが貯留されていない場合には、2つの電極41a、41bは、絶縁状態となり、2つの電極41a、41b間の抵抗値は非常に高い値となる。
【0041】
したがって、電極41aが配置されている高さまでサブタンク4にインクが貯留されている場合におけるサブタンク4内の気体量を所定量とすると、2つの電極41a、41b間の抵抗値を検出することで、サブタンク4内の気体が、所定量か否かを検出することができる。
【0042】
次に、プリンタ1の制御系について、図3のブロック図を参照して説明する。図3に示されるプリンタ1の制御装置8は、例えば、中央処理装置であるCPU(Central Processing Unit)と、プリンタ1の全体動作を制御するための各種プログラムやデータなどが格納されたROM(Read Only Memory)と、CPUで処理されるデータなどを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)などを備え、ROMに格納されたプログラムがCPUで実行されることにより、以下に説明するような種々の制御を行う。あるいは、演算回路を含む各種回路が組み合わされたハードウェア的なものであってもよい。
【0043】
また、制御装置8は、記録制御部91、メンテナンス制御部92、気体量検出部93、流路切り替え制御部94、及び、大気連通制御部95を備えている。なお、記録制御部91、メンテナンス制御部92、気体量検出部93、流路切り替え制御部94、及び、大気連通制御部95の機能は、上述したCPU、RAM、ROMなどによって実現することができる。
【0044】
記録制御部91は、PC60から入力された記録画像などに関するデータに基づいて、インクジェットヘッド3内のインクに噴射エネルギーを付与するヘッド駆動回路90(エネルギー付与手段)、キャリッジ2を駆動するキャリッジ駆動モータ19、搬送機構9の給紙モータ27及び排紙モータ28などを制御して、記録用紙Pへの所望の画像などの記録を行わせる。メンテナンス制御部92は、メンテナンス機構7のキャップ駆動装置25や吸引ポンプ14を制御して、インクジェットヘッド3の吸引パージを実行させる。
【0045】
気体量検出部93は、サブタンク4に設けられた2つの電極41a、41b間の抵抗値に基づいて、サブタンク4内の気体が所定量以上であるか否かの判定を行う。流路切り替え制御部94は、シリンダ67、69を制御して、三方弁68、70を矢印A、C方向にインク供給可能にして、インクカートリッジ6からサブタンク4を経由してインクジェットヘッド3にインクを供給する第1通過経路と、三方弁68、70を矢印B、D方向にインク供給可能にして、インクカートリッジ6からサブタンク4を経由せずにインクジェットヘッド3にインクを供給する第2通過経路とを選択的に切り替える。大気連通制御部95は、シリンダ62を制御して、開閉弁63を開に切り替えることで、カートリッジ装着部5に装着されたインクカートリッジ6内を大気と連通させる。
【0046】
プリンタ1は、気体量検出部93によってサブタンク4内に所定量未満の気体しか貯留されていない、すなわち十分にインクが貯留されていると検出された場合には、図4に示すように、流路切り替え制御部94によって三方弁68、70を制御して、インクカートリッジ6からインクジェットヘッド3までのインクの流れる経路において、サブタンク4を経由する第1通過経路を連通させる。また、大気連通制御部95によって開閉弁63を開とし、インクカートリッジ6内を大気と連通させた状態にする。その上で、記録制御部91によって記録動作を行ったり、メンテナンス制御部92によって吸引パージを行ったりして、インクジェットヘッド3からインクを消費する。
【0047】
このとき、サブタンク4とインクカートリッジ6を連通させる気体連通路66には、一方向弁71が設けられているため、インクカートリッジ6からサブタンク4への気体の流入は防止され、インクカートリッジ6から第1流路64を介してサブタンク4に確実にインクが導出される。
【0048】
詳しくは後述するが、サブタンク4内の気体をインクカートリッジ6に移送するとき以外は、開閉弁63を開とし、インクカートリッジ6内を大気と連通させて、インクジェットヘッド3からインクを消費することで、インクカートリッジ6内のインクを残さず、インクジェットヘッド3に供給することができる。
【0049】
ここで、インクカートリッジ6からインクジェットヘッド3までの流路には、さまざまな要因により外部から気体が混入することがある。例えば、空になったインクカートリッジ6をカートリッジ装着部5から取り外して、新しいインクカートリッジ6を取り付けるカートリッジの交換の際には、カートリッジ装着部5のインクカートリッジ6との連結部から気体が混入しやすい。また、インクに溶解している気体が温度や圧力の変化で気泡となることもある。この気体がインクジェットヘッド3からインクを消費することでインクジェットヘッド3に流れていくと、インクジェットヘッド3内の流路は、一般に、インクカートリッジ6からインクジェットヘッド3までの流路に比べて、複雑で一度混入した気泡が移動しにくい構成であるため、記録動作程度の噴射圧力では気体を排出することができずに、例えば噴射不良や流路詰まりを生じてしまう。
【0050】
そこで、本実施形態においては、このように混入した気体をサブタンク4でトラップして、インクジェットヘッド3に流れないようにしている。そして、サブタンク4内の気体量を2つの電極41a、41b間の抵抗値を検出することで検出し、所定量以上の気体がサブタンク4内に溜まっている場合には、サブタンク4内の気体をインクカートリッジ6内に移送する。
【0051】
気体量検出部93によってサブタンク4内の気体が所定量以上である、つまり、2つの電極41a、41bの間の抵抗値が非常に大きい値であると検出されると、次の吸引パージの直前に以下の制御を行う。まず、図5に示すように、流路切り替え制御部94によってシリンダ67、69を制御して、三方弁68、70を切り替え、インクカートリッジ6からインクジェットヘッド3までのインクの流れる経路において、サブタンク4を経由しない第2通過経路を連通させて、大気連通制御部95により、開閉弁63を閉とする。そして、メンテナンス制御部92によって吸引パージを行う。
【0052】
すると、吸引パージによってインクジェットヘッド3からインクが排出される。すると、サブタンク4を経由せずに第2通過経路を介してインクカートリッジ6内のインクがインクジェットヘッド3に供給される。インクカートリッジ6内は、開閉弁63が閉となり、大気との連通が遮断されているため、インクがインクジェットヘッド3に供給されて減少することで大気圧よりも低い圧力である、いわゆる負圧となる。そうすると、インクカートリッジ6とインクカートリッジ6に連通するサブタンク4との間で圧力差が生じる。このとき、サブタンク4内の圧力に比べてインクカートリッジ6内の圧力が低いため、この圧力差がなくなるまで、圧力の高いサブタンク4内の気体が気体連通路66を介して圧力の低いインクカートリッジ6内に移送される。
【0053】
これにより、サブタンク4内の気体をインクカートリッジ6内に移送することができ、サブタンク4内の気体は減少するため、サブタンク4からインクジェットヘッド3に気体が流れ込むのを防止することができる。このとき、吸引パージを行いながら、合わせてサブタンク4内の気体をインクカートリッジ6内に移送することができ、サブタンク4内の気体をサブタンク4の外に排出するためだけにインクを排出させることがなく、インクの消費量を削減することができる。また、サブタンク4内の気体が所定量以上のときには、サブタンク4内の気体をインクカートリッジ6に確実に移送することができる。
【0054】
そして、吸引パージでは相当量のインクをインクジェットヘッド3から排出させるため、サブタンク4内の気体は、インクカートリッジ6内に大部分が移送される。そのため、吸引パージが終わると、再度、流路切り替え制御部94によってシリンダ67、69を制御して、三方弁68、70を切り替え、インクカートリッジ6からインクジェットヘッド3までのインクの流れる経路において、サブタンク4を経由する第1通過経路を連通させる。また、大気連通制御部95によって開閉弁63を開とし、インクカートリッジ6内を大気と連通させた状態にする。そして、記録制御部91によって記録動作を行ったり、メンテナンス制御部92によって吸引パージを行ったりして、インクジェットヘッド3からインクを消費する。
【0055】
なお、吸引パージと同時にサブタンク4内の気体をインクカートリッジ6に移送するだけでなく、サブタンク4内の気体が所定量以上であると検出された直後に、第1通過経路から第2通過経路に切り替えて、開閉弁63を閉にして、記録動作時においてサブタンク4内の気体をインクカートリッジ6に移送してもよい。これによると、記録動作を行いながら、合わせてサブタンク4内の気体をインクカートリッジ6に移送することができ、サブタンク4内の気体をインクカートリッジ6に移送するためだけにインクジェットヘッド6からインクを噴射させることがなく、インクの消費量を削減することができる。
【0056】
このように、吸引パージに限らず、記録動作などのインクジェットヘッド3からインクを消費する動作を行う際に、開閉弁63を閉にして、第1通過経路から第2通過経路に切り替えるだけで、これらの動作に合わせて、サブタンク4内の気体をインクカートリッジ6に移送することができる。これにより、他のインクジェットヘッド3からインクを消費する動作と合わせて、気体を移送する動作を行っているため、無駄にインクを消費することがない。なお、インクジェットヘッド3からインクを消費する動作としては、吸引パージや記録動作の他に、インクジェットヘッド3の噴射性能を回復させるためにヘッド駆動回路90を制御してインクジェットヘッド3からインクを吐出させるフラッシングなども挙げられる。これらによると、サブタンク4内の気体をインクカートリッジ6に移送するために専用のポンプ等の駆動手段を追加する必要がなく、プリンタ1を小型化することができるとともに、消費電力を削減することもできる。
【0057】
また、チューブ11内のインクに生じる動圧吸収したり、バッファタンクとして機能するサブタンク4を、インクジェットヘッド3に気体が移送されないように気体と液体を分離させる気液分離部と兼用することができ、プリンタ1を小型化することができる。
【0058】
また、サブタンク4内の気体をインクカートリッジ6に移送する動作を止める切り替えタイミングとしては、サブタンク4内の電極41aよりも高い位置にさらに電極を設けて、電極41aと電極41aよりも高い位置に設けられた電極との間の抵抗値を測定し、抵抗値が低くなったら、この最も高い位置の電極より高い位置まで気体が減少しているとして、切り替えてもよい。また、気体を移送する動作を行っている間の、インクジェットヘッド3からのインクの消費量が、所定量以上になれば、十分サブタンク4内の気体は移送されたと判断して切り替えてもよい。また、タイマを設け、所定時間経過したときに、切り替えてもよい。
【0059】
ただし、サブタンク4内の気体をインクカートリッジ6に移送する動作を記録動作とともに行うと、第2通過経路を介してインクジェットヘッド3からインクを噴射させたときと、第1通過経路を介してインクジェットヘッド3からインクを噴射させたときとでは、インクカートリッジ6からインクジェットヘッド3までのインクの流れる流路やインクカートリッジ6内の圧力が異なるため、ノズル3bからのインクの噴射速度が変わるなど噴射特性が不安定となってしまうおそれがある。そこで、記録動作時ではなく吸引パージ時においてサブタンク4内の気体をインクカートリッジ6内に移送することで、記録動作時には、上述したような問題が生じず、噴射特性を安定させることができる。
【0060】
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0061】
本実施形態においては、第2流路65は、第1流路64のサブタンク4よりも上流側から分岐して、第1流路64のサブタンク4よりも下流側に合流していたが、第1流路64から分岐せずに、第1流路64とは異なる流路として、サブタンク4を経由せずにインクカートリッジ6とインクジェットヘッド3を直接接続していればよい。また、第2流路65は、インクカートリッジ6と第2分岐点を接続させてもよく、あるいは、第1分岐点とインクジェットヘッド3を接続させてもよい。
【0062】
また、本実施形態においては、気体量検出部93によってサブタンク4内の気体が所定量以上であると検出された場合に、サブタンク4内の気体をインクカートリッジ6に移送していたが、カートリッジの交換時が、流路に気体が混入しやすく、サブタンク4内に気体が溜まりやすい。そこで、気体量検出部93を設けずに、カートリッジ交換後に、毎回、第1通過経路から第2通過経路に切り替えて、インクジェットヘッド3からインクを消費することで、サブタンク4内の気体をインクカートリッジ6に移送してもよい。カートリッジが交換されたか否かの判断は、カートリッジ装着部5側とインクカートリッジ6側にそれぞれ電気接点が設けられ、インクカートリッジ6がカートリッジ装着部5に装着されたときに両者の接点が導通した状態を検出することにより、インクカートリッジ6の装着を検出するように構成されてもよい。あるいは、近接センサ、光センサや接触型のセンサなどを使用することもできる。これによると、気体量検出部93及び2つの電極41a、41bを設ける必要がなく低コストとなる。
【0063】
また、本実施形態においては、気体量検出部93によってサブタンク4内の気体が所定量以上であると検出された場合に、サブタンク4内の気体をインクカートリッジ6に移送していたが、ユーザの判断により、任意のタイミングで気体の移送を行ってもよい。この場合、流路の切り替えタイミングやインクカートリッジ6内の大気連通タイミングを制御装置8により制御する必要がなくなる。
【0064】
さらに、本実施形態においては、インクカートリッジ6とサブタンク4を連通させる気体連通路66の途中に一方向弁71が設けられていたが、一方向弁ではなく、開閉弁であってもよい。このとき、開閉弁は、サブタンク4内の気体をインクカートリッジ6に移送させるときにだけ開として、それ以外の記録動作や吸引パージなどのインクジェットヘッド3からインクを消費する動作のときには、閉としているのが好ましい。これにより、インクカートリッジからサブタンク4へ確実にインクを導出することができる。
【0065】
加えて、本実施形態においては、第1通過経路と第2通過経路を切り替えるために、三方弁68、70を設けていたが、図6に示すように、3つの開閉弁101、102、103を設けてもよい。第1通過経路を連通させる場合には、開閉弁101、102を開とし、開閉弁103を閉とし、第2通過経路を連通させる場合には、開閉弁101、102を閉とし、開閉弁103を開とすればよい。
【0066】
また、本実施形態においては、サブタンク4内に2つの電極41a、41bを設けて、サブタンク4内の気体が所定量以上か否かを判断していたが、インク液面を検出する公知のセンサを適宜使用して、サブタンク4内の気体が所定量以上か否かを判断することができる。
【0067】
さらに、本実施形態においては、サブタンク4をインクと気体を分離させる気液分離部として兼用したが、サブタンク4とは別にインクカートリッジ6とインクジェットヘッド3とを連通させる流路の途中に気液分離部を設けてもよい。
【0068】
さらに、本実施形態においては、吸引ポンプ14によりインクジェットヘッド3の吸引パージを実行していたが、これに限られず、チューブ11を押しつぶしてチューブ11内のインクの圧力を高めることで、インクジェットヘッド3からインクを排出させる、いわゆる押しパージをすることも可能である。
【0069】
さらに、本実施形態においては、インクカートリッジ6には、大気と連通する大気連通孔6aが形成されていたが、これに限られず、インクカートリッジ6に大気連通孔6aが形成されていなくてもよい。この場合には、サブタンク4内の気体をインクカートリッジ6に移送させて、インクカートリッジ6を交換することで、サブタンク4から移送された気体をプリンタ1の外部に排出することができる。また、当該インクカートリッジ6は、インクジェットヘッド3からインクが消費されてインク残量が減少すると、インクカートリッジ6内の圧力が下がる。そのため、インクに溶解している気体をインクの外部に排出させることができる。これにより、インクジェットヘッド3にインクが混入することをさらに抑制することができる。
【0070】
さらに、本実施形態においては、インクカートリッジ6は、カートリッジ装着部5に着脱可能に構成されていたが、これに限られず、インクカートリッジ6がプリンタ1に固定されているものであってもよい。この場合であっても、大気連通孔6aに連通する大気連通管61の開閉弁63を開にすることで、サブタンク4内からインクカートリッジ6に移送された気体をプリンタ1の外部に排出することができる。
【0071】
以上説明した実施形態及びその変更形態は、記録用紙Pにインクを噴射して画像などを記録するインクジェットプリンタに本発明を適用した一例であるが、本発明の適用対象はこのようなインクジェットプリンタには限られず、様々な技術分野で用いられる液体噴射装置に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 プリンタ
3 インクジェットヘッド
4 サブタンク
6 インクカートリッジ
64 第1流路
65 第2流路
66 気体連通路
68、70 三方弁
71 一方向弁


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドに供給される液体を貯留する液体タンクと、
前記液体噴射ヘッドと前記液体タンクとを接続する第1流路と、
前記第1流路の途中に配置され、液体と気体とを分離させる気液分離部と、
前記気液分離部と前記液体タンクとを接続し、前記気液分離部内の気体を前記液体タンクに移送するための気体連通路と、
前記気体連通路の途中に配置され、前記液体タンクから前記気液分離部への気体の流入を防止する弁と、
前記気液分離部の上流側と下流側とを前記気液分離部を経由せずに連通させる第2流路と、
前記第1流路のみを通過させて前記液体タンク内の液体を前記液体噴射ヘッドに供給する第1通過経路と、前記第2流路を通過させて前記気液分離部を経由せずに前記液体タンク内の液体を前記液体噴射ヘッドに供給する第2通過経路とを選択的に切り替える切り替え手段と、を備えていることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記第2流路は、前記第1流路における前記液体タンクと前記気液分離部との間に設けられた第1分岐点と、前記第1流路における前記気液分離部と前記液体噴射ヘッドとの間に設けられた第2分岐点と、を前記気液分離部を経由せずに連通させる流路であることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
前記切り替え手段を制御する制御手段をさらに備えており、
前記制御手段は、前記切り替え手段により前記第2通過経路を連通させるとともに、前記液体噴射ヘッドから液体を消費することで、前記気液分離部内の気体を前記液体タンクに移送することを特徴とする請求項1または2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
前記気液分離部内の気体の量を検出する気体量検出手段をさらに備えており、
前記制御手段は、
前記気体量検出手段によって所定量以上の気体が検出されたときには、前記切り替え手段により前記第2通過経路を連通させることを特徴とする請求項3に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記液体噴射ヘッド内の液体に噴射エネルギーを付与するエネルギー付与手段をさらに備えており、
前記制御手段は、
前記エネルギー付与手段をさらに制御しており、
前記切り替え手段により前記第2通過経路を連通させ、前記エネルギー付与手段により前記液体噴射ヘッドから液体を噴射させることを特徴とする請求項3または4に記載の液体噴射装置。
【請求項6】
前記液体噴射ヘッドは、液体を噴射するノズルを有しており、
前記液体噴射ヘッド内の液体を前記ノズルから排出させるパージ手段をさらに備えており、
前記制御手段は、
前記パージ手段をさらに制御しており、
前記切り替え手段により前記第2通過経路を連通させ、前記パージ手段により前記ノズルから液体を排出させることを特徴とする請求項3または4に記載の液体噴射装置。
【請求項7】
前記液体タンクは、大気と連通する大気連通孔と、前記制御手段により制御され、前記大気連通孔を開閉する開閉弁とを有しており、
前記制御手段は、前記切り替え手段により前記第1通過経路を連通させ、前記開閉弁を開にすることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の液体噴射装置。
【請求項8】
前記液体タンクが着脱自在に装着される装着部をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の液体噴射装置。
【請求項9】
前記気液分離部は、前記液体タンクから前記液体噴射ヘッドへ供給される液体を一時貯留するサブタンクであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の液体噴射装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−51108(P2011−51108A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199395(P2009−199395)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】