説明

液体噴射装置

【課題】液体の着弾精度の低下を抑制することが可能な液体噴射装置を提供する。
【解決手段】ヘッドユニット17は、複数の記録ヘッド18を互いに間隔を空けた状態で並列させて固定するサブキャリッジ26を有し、サブキャリッジは、枠状に形成されたベース部26aにヘッド挿通開口28が設けられ、ヘッド挿通開口内に複数挿通された記録ヘッドを、ノズル形成面53側の一部がベース部の下面から突出した状態で固定し、ベース部における記録ヘッド同士の間には、ヘッド挿通開口を横切る状態で仕切板22を記録ヘッドと並べて設け、仕切板は、ベース部の底面から離れる方向に向かって突出させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルに連通する圧力室に圧力変動を与えて、圧力室内の液体をノズルから噴射させる液体噴射ヘッドを備えるインクジェット式プリンター等の液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射装置は、液体を噴射(吐出)可能な液体噴射ヘッドを備え、この液体噴射ヘッドから各種の液体を噴射する装置である。この液体噴射装置の代表的なものとして、例えば、液体噴射ヘッドとしてのインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドという)を備え、この記録ヘッドのノズルから液滴状のインクを記録紙等の記録媒体(噴射対象)に対して噴射・着弾させることで画像等の記録を行うインクジェット式プリンター(以下、単にプリンターという。)等の画像記録装置を挙げることができる。また、近年においては、この画像記録装置に限らず、各種の製造装置にも応用されている。例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、或いはFED(面発光ディスプレイ)等のディスプレイ製造装置においては、色材や電極等の液体状の各種材料を、画素形成領域や電極形成領域等に対して噴射するためのものとして、液体噴射装置が用いられている。
【0003】
このような記録ヘッドは、例えば、当該記録ヘッドに対し相対的に移動する記録媒体からノズル形成面側を保護する目的で、開口部からノズル形成面を露出させた枠状のカバーヘッドをヘッドケースに取り付けている(例えば、特許文献1参照)。また、ノズルを複数列設してなるノズル群を有する記録ヘッドをサブキャリッジなどのヘッド固定部材に複数並べて固定したものを1つのヘッドユニットとする構成を採用する所謂マルチヘッド型のプリンターが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−190513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、マルチヘッド型のプリンターでは、サブキャリッジに開口が設けられており、この開口内に記録ヘッドが複数挿通された状態で固定される。このため、サブキャリッジに固定される記録ヘッドの数が増える程、サブキャリッジにおける開口面積が広くなり、サブキャリッジの剛性は低下する。この結果、剛性が低下したサブキャリッジにアライメントされて取り付けられた記録ヘッドは、振動や記録媒体等の着弾対象との接触によってサブキャリッジに外力が作用して当該サブキャリッジが変形することで、所定の固定位置から位置ズレして、液体の着弾位置精度が低下してしまうことがあった。
【0006】
また、サブキャリッジには、搬送されてくる記録媒体などから記録ヘッドの側面やノズル形成面を保護する保護突起が取り付けられることがある。この保護突起は、サブキャリッジにおける記録ヘッドの並列方向の端部に取り付けられ、記録ヘッドの側面と平行に下方(記録動作時における記録媒体側)に向かって、記録ヘッドのノズル形成面の近傍まで突出させている。しかしながら、保護突起は、記録ヘッドの並列方向の外側に配置されるので、保護突起寄り(記録ヘッド列の端側)の記録ヘッドは保護突起によって保護される一方、保護部材から離れた(記録ヘッド列の中央側の)記録ヘッドは十分に保護されないことがあった。この結果、搬送されてきた記録媒体などが記録ヘッドに接触すると、その際の衝撃で記録ヘッドが位置ズレして、液体の着弾位置精度が低下する問題があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体の着弾位置精度を向上させることが可能な液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の液体噴射装置は、ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドを複数備えた液体噴射ヘッドユニットを有する液体噴射装置であって、
前記液体噴射ヘッドユニットは、複数の前記液体噴射ヘッドを互いに間隔を空けた状態で並列させて固定するヘッド固定部材を有し、
前記ヘッド固定部材は、枠状に形成されたフレーム部に開口が設けられ、当該開口内に複数挿通された前記液体噴射ヘッドを、ノズル形成面側の少なくとも一部が前記フレーム部の底面から突出した状態で固定し、
前記フレーム部における前記液体噴射ヘッド同士の間には、前記開口を横切る状態で仕切板を前記液体噴射ヘッドと並べて設け、
前記仕切板は、前記フレーム部の底面から離れる方向に向かって一部を突出させたことを特徴とする。
なお、フレーム部の底面とは、記録媒体等の着弾対象に対してノズルから液体を噴射させる場合に、着弾対象と対向する側の面を意味する。
【0009】
この構成によれば、液体噴射ヘッドユニットは、複数の液体噴射ヘッドを互いに間隔を空けた状態で並列させて固定するヘッド固定部材を有し、ヘッド固定部材は、枠状に形成されたフレーム部に開口が設けられ、開口内に複数挿通された液体噴射ヘッドを、ノズル形成面側の少なくとも一部がフレーム部の底面から突出した状態で固定し、フレーム部における液体噴射ヘッド同士の間には、開口を横切る状態で仕切板を液体噴射ヘッドと並べて設け、仕切板は、フレーム部の底面から離れる方向に向かって一部を突出させたので、仕切板自体の剛性を確保しつつ、仕切板が梁として機能することによってフレーム部の剛性を高めることができる。つまり、開口の縁同士を仕切板によって連結することによって、フレーム部を補強することができる。これにより、振動や衝撃などの外力が作用してもヘッド固定部材が変形することが抑制される。このため、上記の外力がヘッド固定部材に作用した場合に各液体噴射ヘッドが位置ズレすることを抑制できる。即ち、ヘッド固定部材に対してアライメントされた状態で取り付けられた各液体噴射ヘッドの位置精度、ひいてはノズルの位置精度を高めることができる。その結果、着弾対象に対する液体の着弾位置精度を向上させることができる。また、液体噴射ヘッドの間の間隙が仕切板によって塞がれるので、ノズルから液体を噴射した際にノズル形成面側にミストが発生しても、発生したミストがヘッド固定部材におけるノズル形成面側とは反対側に回り難くすることができる。この結果、液体噴射ヘッドの信頼性を高めることができる。即ち、例えば、ノズル形成面側とは反対側に電装基板等の電子部品が配設されている場合に、当該電子部品にミスト等の液体が付着することが防止される。さらに、液体噴射ヘッドを開口内に挿通させる際に、仕切板を、液体噴射ヘッドを取り付け位置に案内するガイドとして機能させることができる。これにより、液体噴射ヘッドの組付け作業を容易に行うことができる。
【0010】
上記構成において、前記フレーム部は、前記並列方向に沿って延設された一対の第一枠材と、当該一対の第一枠材の端同士を連結する一対の第二枠材とによって、前記開口を包囲するように構成され、
前記仕切板は、前記第一枠材同士の間に架け渡され、
前記フレーム部において、前記液体噴射ヘッドの並列方向の端に位置する液体噴射ヘッドの同方向の外側には、前記第二枠材から前記液体噴射ヘッドの並列方向の側面に沿って突出した端部板が設けられることが望ましい。
【0011】
この構成によれば、フレーム部は、並列方向に沿って延設された一対の第一枠材と、一対の第一枠材の端同士を連結する一対の第二枠材とによって、開口を包囲するように構成され、仕切板は、第一枠材同士の間に架け渡され、フレーム部において、液体噴射ヘッドの並列方向の端に位置する液体噴射ヘッドの同方向の外側には、第二枠材から液体噴射ヘッドの並列方向の側面に沿って突出した端部板が設けられたので、仕切板と端部板とによってフレーム部を補強することができる。また、端部板によって、液体噴射ヘッドの並列方向の端に位置する液体噴射ヘッドの側面やノズル形成面を、記録媒体等の着弾対象に対してノズルから液体を噴射させる場合においてノズル形成面に対向する領域に搬送されてくる記録媒体等の着弾対象との接触から保護することができる。これにより、液体噴射ヘッドが位置ズレすることを抑制することができる。
【0012】
上記構成において、前記仕切板及び前記端部板の少なくとも何れか一方の先端が、前記液体噴射ヘッドのノズル形成面よりも前記フレーム部から離れる方向に向かって突出していることが望ましい。
【0013】
この構成によれば、仕切板及び端部板の少なくとも何れか一方の先端が、前記液体噴射ヘッドのノズル形成面よりも前記フレーム部から離れる方向に向かって突出しているので、ヘッド保持部材に固定した各液体噴射ヘッドの並列方向の両側面やノズル形成面を、搬送されてくる記録媒体などの着弾対象の接触から保護することができる。
【0014】
上記構成において、前記液体噴射ヘッドユニットは、前記液体噴射ヘッドに供給する液体の流路が内部に形成された流路部材を液体噴射ヘッド毎に個別に備え、
前記仕切板及び前記端部板の少なくとも何れか一方の、前記フレーム部を挟んで反対に位置する後端には、前記流路部材を個別に固定する固定部が設けられることが望ましい。
【0015】
この構成によれば、液体噴射ヘッドユニットは、液体噴射ヘッドに供給する液体の流路が内部に形成された流路部材を液体噴射ヘッド毎に個別に備え、仕切板及び前記端部板の少なくとも何れか一方の、前記フレーム部を挟んで反対側に位置する後端には、流路部材を個別に固定する固定部が設けられたので、別途に固定部を形成する部分を設けなくともヘッド固定部材に対して流路部材を容易に固定することができる。また、ヘッド固定部材に組付けた流路部材のうち交換が必要な流路部材のみを取り外すことができ、流路部材の個別交換を容易に行うことができる。
【0016】
上記構成において、前記ヘッド固定部材が金属製であって、当該ヘッド固定部材を加温するヒーターを設けることが望ましい。
【0017】
この構成によれば、ヘッド固定部材が金属製であって、ヘッド固定部材を加温するヒーターを設けたので、液体噴射ヘッド同士の間に配置されたヘッド固定部材をヒーターによって加温することで、液体噴射ヘッドの側面を効率良く加温することができる。これにより、従来用いられていた液体よりも粘度が高い液体であっても、容易に噴射させることができる。
【0018】
上記構成において、前記端部板が、前記ヘッド固定部材に対して一体に設けられていることが望ましい。
【0019】
この構成によれば、端部板が、ヘッド固定部材に対して一体に設けられているので、部品点数を減らすことができ、組付けの作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】プリンターの内部構成の一部を示す斜視図である。
【図2】プリンターの正面図である。
【図3】プリンターの平面図である。
【図4】プリンターの右側面図である。
【図5】キャリッジアセンブリーの右側面図である。
【図6】キャリッジアセンブリーの平面図である。
【図7】ヘッドユニットの分解斜視図である。
【図8】ヘッドユニットの分解正面図である。
【図9】ヘッドユニットの斜視図である。
【図10】ヘッドユニットの平面図である。
【図11】ヘッドユニットの正面図である。
【図12】ヘッドユニットの底面図である。
【図13】ヘッドユニットの正面図である。
【図14】サブキャリッジの斜視図である。
【図15】サブキャリッジの平面図である。
【図16】サブキャリッジの正面図である。
【図17】サブキャリッジの下面図である。
【図18】サブキャリッジの右側図である。
【図19】ヘッドユニットの構成をより簡略化して示した断面図である。
【図20】記録ヘッドの構成を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明の液体噴射装置として、インクジェット式記録装置(以下、プリンターと略記する)に適用した場合を例示する。
【0022】
図1はプリンター1の内部構成の一部を示す斜視図、図2はプリンター1の正面図、図3はプリンター1の平面図、図4はプリンター1の右側面図である。例示したプリンター1は、記録用紙、布、フィルム(何れも図示せず)等の記録媒体(着弾対象)に向けて、液体の一種であるインクを噴射する。このプリンター1は、フレーム2の内部にキャリッジアセンブリー3を、記録媒体の送り方向に交差する方向である主走査方向(図1中に符号Xで示す)に往復移動可能に搭載している。プリンター1の背面側のフレーム2の内壁には、当該フレーム2の長手方向に沿って長尺な上下一対のガイドロッド4a,4bが互いに間隔を空けて平行に取り付けられている。キャリッジアセンブリー3は、その背面側に設けられた軸受け部7(図5参照。)等にガイドロッド4a,4bが嵌合することで、これらのガイドロッド4a,4bに対して摺動可能に支持されている。
【0023】
フレーム2の背面側であって主走査方向Xの一端側(図3における右端部)には、キャリッジアセンブリー3を移動させるための駆動源としてのキャリッジモーター8が配設されている。このキャリッジモーター8の駆動軸は、フレーム2の背面側から内面側に突出しており、その先端部分には、駆動プーリー(図示せず)が接続されている。この駆動プーリーは、キャリッジモーター8の駆動により回転される。また、この駆動プーリーに対して主走査方向Xにおける反対側(図3における左端部)の位置には、遊転プーリー(図示せず)が設けられている。これらのプーリーには、タイミングベルト9が架け渡されている。このタイミングベルト9には、キャリッジアセンブリー3が接続されている。そして、キャリッジモーター8が駆動されると、駆動プーリーの回転に伴ってタイミングベルト9が回動し、キャリッジアセンブリー3がガイドロッド4a,4bに沿って主走査方向Xに移動する。
【0024】
フレーム2の背面の内壁には、リニアスケール10(エンコーダーフィルム)が、主走査方向Xに沿ってガイドロッド4a,4bと平行に張設されている。リニアスケール10は、透明な樹脂製フィルムによって作製された帯状(バンド状)部材であり、例えば、透明なベースフィルムの表面に帯幅方向を横断する不透明なストライプが複数印刷されたものである。各ストライプは、同じ幅とされ、帯長手方向に一定ピッチで形成されている。また、キャリッジアセンブリー3の背面側には、このリニアスケール10のストライプを光学的に読み取るためのリニアエンコーダーが設けられている(図示せず。)。リニアエンコーダーは、例えば、互いに対向配置された一対の発光素子と受光素子とによって構成され、リニアスケール10の透明部分での受光状態とストライプ部分での受光状態の差異に応じてエンコーダーパルスを出力するようになっている。即ち、リニアエンコーダーは位置情報出力手段の一種であり、キャリッジアセンブリー3の走査位置に応じたエンコーダーパルスを、主走査方向Xにおける位置情報として出力する。これにより、プリンター1の制御部(図示せず)は、このリニアエンコーダーからのエンコーダーパルスに基づいてキャリッジアセンブリー3の走査位置を認識しながら、ヘッドユニット17による記録媒体に対する記録動作を制御することができる。そして、プリンター1は、主走査方向Xの一端側のホームポジションから反対側の端部(フルポジション)へ向けてキャリッジアセンブリー3が移動する往動時と、フルポジションからホームポジション側にキャリッジアセンブリー3が戻る復動時との双方向で記録紙上に文字や画像等を記録する所謂双方向記録処理が可能に構成されている。
【0025】
図3に示すように、キャリッジアセンブリー3には、ヘッドユニット17の各記録ヘッド18に各色のインクを供給するためのインク供給チューブ14と、駆動信号等の信号を供給するための信号ケーブル15が接続されている。その他、プリンター1には、図示しないが、インクを貯留したインクカートリッジ(液体供給源)が着脱可能に取り付けられるカートリッジ装着部、記録紙を搬送する搬送部、待機状態の記録ヘッド18のノズル形成面53(図7(b)等参照)をキャッピングするキャッピング部等が設けられている。
【0026】
図5はキャリッジアセンブリー3の右側面図、図6はキャリッジアセンブリー3の平面(上面)図である。なお、図6は、キャリッジカバー13が外された状態を図示している。キャリッジアセンブリー3は、後述するヘッドユニット17(本発明における液体噴射ヘッドユニットの一種。)を内部に搭載するキャリッジ本体12と、このキャリッジ本体12の上部開口を塞ぐキャリッジカバー13とから成り上下に分割可能な中空箱体状の部材である。キャリッジ本体12は、略矩形状の底板部12aと、当該底板部12aの四方の外周縁からそれぞれ上方に起立した側壁部12bとから成り、これらの底板部12a及び側壁部12bに囲まれた空間内にヘッドユニット17を収容する。底板部12aには、収容されたヘッドユニット17の各記録ヘッド18のノズル形成面53を露出させるための底部開口(図示せず)が開設されている。そして、ヘッドユニット17をキャリッジ本体12内に収容した状態では、底板部12aの底部開口から各記録ヘッド18のノズル形成面53が、キャリッジ本体12の底部よりも下方(記録動作時における記録媒体側)に突出する。
【0027】
キャリッジ本体12とヘッドユニット17との間には、当該キャリッジ本体12に収容されたヘッドユニット17の姿勢を調整するための偏心カム(図示せず)が複数設けられている。そして、キャリッジ本体12には、これらの偏心カムを回転させるための調整レバー20が複数設けられている。これらの調整レバー20の操作により、偏心カムが回転してその回転中心から外周面までのカム径が増減し、このカム径の増減によって、キャリッジ本体12に収容されたヘッドユニット17のキャリッジ本体12に対する位置や傾きなどの姿勢を調整することができるように構成されている。
【0028】
図7はヘッドユニット17の分解斜視図であり、(a)は上面側、(b)は下面側をそれぞれ示している。図8はヘッドユニット17の分解正面図である。また、図9はヘッドユニット17の斜視図であり、(a)は上面側、(b)は下面側をそれぞれ示している。図10はヘッドユニット17の平面図(上面)、図11はヘッドユニット17の正面図、図12はヘッドユニット17の下面図、図13はヘッドユニット17の右側面図である。
また、図14はサブキャリッジ26の斜視図であり、(a)は上面側、(b)は下面側をそれぞれ示している。図15はサブキャリッジ26の平面図(上面図)、図16はサブキャリッジ26の正面図、図17はサブキャリッジ26の下面図、図18はサブキャリッジ26の右側面図である。そして、図19は、説明を容易にするためヘッドユニット17の構成をより簡略化して示した断面図であり、流路部材を固定する固定ネジ穴33の図示を省略している。
【0029】
ヘッドユニット17は、図7〜13に示すように、複数の記録ヘッド18等をユニット化したものであり、これらの記録ヘッド18が取り付けられるサブキャリッジ26(本発明におけるヘッド固定部材の一種)と、流路部材(図示せず)と、を備えている。
サブキャリッジ26は、図14〜19に示すように、記録ヘッド18が固定される板状のベース部26a(本発明におけるフレーム部に相当)と、このベース部26aの四方の外周縁からそれぞれ上方に起立した起立壁部26bと、から上面が開口した中空箱体状に形成されている。これらのベース部26aと四方の起立壁部26bとから囲まれた空間が、記録ヘッド18の少なくとも一部(主にサブタンク37)を収容する収容部35(図19(a)参照)として機能する。本実施形態のサブキャリッジ26は、金属、例えばアルミニウムにより作製されており、剛性が高められている。ベース部26aの略中央部分には、複数の記録ヘッド18を挿通可能な(即ち、各記録ヘッド18に共通な1つの)ヘッド挿通開口28(本発明における開口に相当)が開設されている。即ち、ベース部26aは、平行に配置された一対の横枠材26ax(本発明における第一枠材に相当)と、当該一対の横枠材の端同士を連結する平行な縦枠材26ay(本発明における第二枠材に相当)とによってヘッド挿通開口28が包囲されるように構成されている。このためベース部26aは、額縁状の枠体となっている。このベース部26aの下面(記録時の記録媒体に対向する側の面。本発明における底面に相当)に、各記録ヘッド18の取り付け位置に対応して、止着穴29(雌ネジ部。図17等参照。)が開設されている。本実施形態において、止着穴29は、1つの記録ヘッド18の取り付け位置に対し、ヘッド挿通開口28を間に挟んで、ノズル列方向に対応する方向の両側に、スペーサー32の取付穴(図示せず)に対応して2つずつ、合計4箇所設けられている。
【0030】
本実施形態において、各記録ヘッド18は、図9(b)や図11等に示すスペーサー32を介在させてサブキャリッジ26に取り付けられるように構成されている。スペーサー32は、例えば合成樹脂から成る部材であり、1つの記録ヘッド18に対して両側のフランジ部52a(図20(a)参照)の上面(サブタンク37側の面)にそれぞれ1つずつ、合計2つ取り付けられる。このスペーサー32の幅方向(記録ヘッド18に取り付けられた状態におけるノズル列に直交する方向)の中央部分には、記録ヘッド18のスペーサー取付穴54に対応してヘッド用挿通穴(図示せず)が開設されている。また、スペーサー32の幅方向の両端部には、サブキャリッジ26に設けられた止着穴29に対応して、取付穴(図示せず)がそれぞれ開設されている。即ち、スペーサー32には、1つのヘッド用挿通穴と2つの取付穴が各々設けられている。このスペーサー32は、記録ヘッド18がサブキャリッジ26に取り付けられる前の段階で、それぞれの記録ヘッド18の両側のフランジ部52aに、スペーサー固定ネジ27によってそれぞれ締結される。
【0031】
本実施形態におけるプリンター1は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ライトブルー(Lb)、ブラック(K)の合計5種類のインクを吐出可能に構成されており、各インクを噴射する合計5つの記録ヘッド18(18a〜18e)を有している。これらの各記録ヘッド18は、後述するサブタンク37をヘッド挿通開口28の下方から挿通させて収容部35内に収容し、且つ、ベース部26aとの間にそれぞれスペーサー32(図7参照)を介在させた状態で、図19(b)に示すように互いに間隔を空けてノズル列に直交する方向(主走査方向Xと同方向であって、本発明における並列方向に相当。以下、符号Xで示す)に横並びで、ベース部26aにそれぞれ固定される。このように、ヘッド挿通開口28に挿通して固定された記録ヘッド18は、ノズル形成面53及びヘッドケース52のノズル形成面53側がベース部26aの下面から突出する。
【0032】
そして、本実施形態のベース部26aの下面において、サブキャリッジ26に取り付けられた状態の各記録ヘッド18同士の間に、ヘッド挿通開口28を横切る状態で仕切板22が設けられていることに特徴を有する。即ち、この仕切板22は、隣り合うヘッド取り付け位置の間に設けられており、これらの取り付け位置同士を仕切っている。仕切板22は、並列方向Xに沿って延設された一対の横枠材26ax同士の間にヘッド挿通開口28を跨いで架け渡された状態に固定(形成)されており、記録ヘッド18の並列方向Xの側面(ノズル列に直交する方向の側面)に沿って延在し、その一部が、ベース部26aの底面(記録時における記録媒体に対向する下面)から離れる方向に向かって突出する一方、ベース部26aの上面側の後端22bが当該上面から離れる方向(記録媒体に対する記録時における記録媒体とは反対側)に向かって突出している。即ち、ベース部26aのヘッド取付位置に記録ヘッド18が取り付けられると、仕切板22の面が、記録ヘッド18の並列方向Xの側面に対向する。図19(b)に示すように、この仕切板22の平面視におけるノズル列方向の奥行きの寸法は、記録ヘッド18のノズル列方向の奥行きの寸法と同程度に揃えられている。また、仕切板22のベース部26aの下面(底面)側の先端22a(ベース部26aからの距離を符号h1で示す)は、記録ヘッド18のノズル形成面53(ベース部26aからの距離を符号h2で示す)よりも突出し、先端22aとは反対側の後端22b(ベース部26aからの距離を符号h3で示す)は、記録ヘッド18のノズル形成面53とは反対側の後端面(ベース部26aからの距離を符号h4で示す)よりも突出している。即ち、仕切板22の高さ方向(記録ヘッド18のノズル形成面53に対して垂直となる方向)の全長が、記録ヘッド18のノズル形成面53から後端面までの高さ方向の全長よりも長くなるように形成されている。なお、仕切板22は、サブキャリッジ26に対するアルミダイキャストによる一体成型でも良いし、別途サブキャリッジ26に取り付けても良い。
【0033】
また、各仕切板22同士の間隔(図19(b)中に符号Dxで示す)は、互いに等しく揃えられている。なお、仕切板22と、当該仕切板22に隣接する記録ヘッド18との間には、間隙(図19(b)中に符号dで示す)が設けられている。この間隙dは、この間隙内への記録紙(例えば、0.3mm)等の記録媒体の侵入を抑制可能な範囲内(例えば、約0.2mm以下)の大きさに設定されている。これにより、サブキャリッジ26の並列方向Xの長さが大型化することを抑制しつつ、記録媒体等からの衝撃から隣接する記録ヘッド18を保護している。
【0034】
また、本実施形態において、フレーム部26aにおける記録ヘッド18の並列方向Xの端に位置する記録ヘッド18a(図19において右端側)及び記録ヘッド18e(図19において左端側)それぞれの外側には、これらの記録ヘッド18にそれぞれ隣接させた状態で、端部板23がベース部26aと一体に設けられている。図19(b)に示すように、この端部板23の平面視におけるノズル列方向の奥行きの寸法は、記録ヘッド18の対応するノズル列方向の奥行きの寸法と同程度に揃えられている。また、端部板23は、一対の縦枠材26ayそれぞれから記録ヘッド18a及び記録ヘッド18eそれぞれの並列方向Xの側面に沿って、ベース部26aの下面側の先端23aが当該下面から離れる方向に向かって突出する一方、ベース部26aの上面側の後端23bが当該上面から離れる方向に向かって突出している。より詳しくは、図19(a)に示すように、端部板23のベース部26aの下面側の先端23a(ベース部26aから距離を符号h1で示す)は、仕切板22の先端22aに揃えられており、記録ヘッド18のノズル形成面53(ベース部26aから距離を符号h2で示す)よりも突出している。また、先端23aとは反対側の後端23b(ベース部26aから距離を符号h3で示す)は、仕切板22の後端22bに揃えられ、記録ヘッド18のノズル形成面53とは反対側の後端面(ベース部26aから距離を符号h4で示す)よりも突出している。即ち、端部板23の高さ方向の全長が、記録ヘッド18のノズル形成面53から後端面までの高さ方向の全長よりも長くなるように形成されている。さらに、端部壁23の並列方向Xの厚みに関し、ベース部26aの上面側では仕切板22と略同じ厚みに形成されている一方、ベース部26aの下面側では、仕切板22よりも厚く形成されている。さらに、ベース26aの並列方向Xの両端に設けられた端部壁23のうち、一方(図16等の右端に位置する)の端部壁23の並列方向Xの厚みが、他方(図16等の左端に位置する)の端部壁23の並列方向Xの厚みよりも厚く形成されている。これらの端部板23は、記録動作時における記録紙等から記録ヘッド18(特に、並列方向Xの端に位置する記録ヘッド18の側面)を保護する部材である。
【0035】
また、端部板23と隣り合う仕切板22との間隔Dxは、各仕切板22同士の間隔Dxと等しく揃えられている。なお、端部板23と、当該端部板23に隣接する記録ヘッド18(ここでは、並列方向の端に位置する記録ヘッド18a及び記録ヘッド18e)との間には、各仕切板22同士の間隔と同様に、記録紙(例えば、0.3mm)等の記録媒体の侵入を抑制可能な範囲内(例えば、約0.2mm以下)の大きさに設定された間隙d(仕切板22と記録ヘッド18との間隙dと同じ間隔)が設けられている。これにより、記録媒体等からの衝撃から隣接する記録ヘッド18を保護し、位置決め(アライメント)した記録ヘッド18が位置ズレすることを抑制することができる。
【0036】
また、図15等に示すように、仕切板22の後端22b及び端部板23の後端23bには、インクの色(記録ヘッド18)毎に流路部材を個別に固定する固定ネジ穴33(本発明における固定部に相当)が設けられている。固定ネジ穴33は、仕切板22において他の部分よりも並列方向Xの厚みが厚く形成された肉厚部に設けられており、平面視において、該仕切板22における一対の横枠材26axと交差する部分の両根元に、当該仕切板22を挟んで対称となるように各面1つずつ合計2つ配されている。また、端部板23のうち一方の端部板23(図16等の右端に位置する)に設けられた固定ネジ穴33は、平面視において、該端部板23における一方(図15における上側)の横枠材26axと交差する部分の根元に1つ設けられる。また、他方の端部板23(図16等の左端に位置する)に設けられた固定ネジ穴33は、平面視において、該端部板23におけるヘッド挿通開口28側の面であって、他方(図15における下側)の横枠材26axと交差する根元から一方の横枠材26ax寄りに少し離れた位置に1つ設けられている。各流路部材がサブキャリッジ26に固定される際に、仕切板22の後端22b側及び端部板23の後端23b側(ベース部26aよりも上面側)が、流路部材を取り付け位置に案内するガイドとして機能し、取り付け位置に案内された流路部材の固定ネジ穴33に固定ネジ(図示せず)が止着(螺合)されることで、各流路部材が記録ヘッド18毎に個別に固定される。
【0037】
図9等に示すように、サブキャリッジ26の四方の起立壁部26bのうちの3つには、側方に向けてフランジ部30が突設されている。フランジ部30には、キャリッジ本体12の底板部12aのヘッドユニット17の取り付け位置に開設された図示しない3箇所の取り付けネジ穴に対応して、挿通穴31がそれぞれ開設されている。そして、キャリッジ本体12の底板部12aの各取り付けネジ穴に、それぞれ対応する挿通穴31の位置を合わせた状態で、ヘッドユニット固定ネジ(図示せず)を、挿通穴31を通じて取り付けネジ穴に止着する(螺着する)ことで、キャリッジ本体12内部にヘッドユニット17が収容・固定される。なお、上述したように、ヘッドユニット17をキャリッジ本体12に対して本固定する前の段階で、上記の調整レバー20の操作により、キャリッジ本体12に対するヘッドユニット17の位置や傾きなどの姿勢が調整される。
【0038】
インク色毎に個別に設けられた流路部材は、上下方向が薄い箱体状の部材であり、例えば、合成樹脂により作製される。この流路部材の内部には、各記録ヘッド18のサブタンク37(後述)の流路接続部38にそれぞれ対応した各色のインク供給流路(図示せず)が形成されている。この流路部材の上面(サブキャリッジ26に取り付けられる面とは反対側の面)には、チューブ接続部(図示せず)が設けられている。そして、各チューブ接続部に上記のインク供給チューブ14が接続されると、インク供給チューブ14内の各色のインク供給路と、インク接続部のインク導入口とが液密状態で連通する。これにより、インクカートリッジ側からインク供給チューブ14を通じて送られてきたインクが、インク導入口を通じて流路部材内のインク流路に導入される。なお、流路部材に関し、本実施形態においては、インクの色毎(記録ヘッド18毎)に個別に設けられる構成を例示したが、これには限られない。
【0039】
各流路部材の下面において、各記録ヘッド18のサブタンク37の流路接続部38に対応する位置には、下方に向けて延出した接続流路(図示せず)が設けられている。この接続流路は、それぞれ対応する色のインク供給流路に連通する導出路(図示せず)が内部に形成された中空筒状の部材である。この接続流路は、各記録ヘッド18のサブタンク37の流路接続部38にそれぞれ挿入されて液密状態で連結されるように構成されている。そして、流路部材内部のインク供給流路を通ったインクは、接続流路と流路接続部を介して各記録ヘッド18のサブタンク37に供給される。つまり、インク供給チューブ14とサブタンク37とは、流路部材を介在させて相互に接続されている。
【0040】
図20は、記録ヘッド18(液体噴射ヘッドの一種)の構成を説明する斜視図であり、(a)は上面側、(b)は下面側である。なお、基本的な構造等は各記録ヘッド18で共通であるため、サブキャリッジ26に取り付けられる5つの記録ヘッド18のうちの1つを代表として示している。
記録ヘッド18は、ノズル51に連通する圧力室を含むインク流路を形成する流路ユニットや、圧力室内のインクに圧力変動を生じさせる圧電振動子或いは発熱素子などの圧力発生手段(何れも図示せず)をヘッドケース52に備えている。この記録ヘッド18は、プリンター1の制御部側からの駆動信号を圧力発生手段に印加して圧力発生手段を駆動することにより、ノズル51からインクを噴射して記録紙等の記録媒体に着弾させる記録動作を行うように構成されている。各記録ヘッド18のノズル形成面53には、インクを噴射するノズル51が複数列設されてノズル列56(ノズル群の一種)が構成され、このノズル列56がノズル列に直交する方向に2列並べて形成されている。1つのノズル列56は、例えば360dpiのピッチで開設された360個のノズル開口から成る。
【0041】
ヘッドケース52は、中空箱体状部材であり、その先端側には、ノズル形成面53を露出させた状態で流路ユニットを固定している。また、ヘッドケース52の内部に形成された収容空部内には圧力発生手段などを収容し、先端面とは反対側の基端面側(上面側)には、流路ユニット側にインクを供給するためのサブタンク37が装着されている。また、ヘッドケース52の上面側におけるノズル列方向の両側には、側方に向けて突出したフランジ部52aがそれぞれ形成されている。このフランジ部52aには、上記したスペーサー32のヘッド用挿通穴に対応して、スペーサー取付穴54がそれぞれ開設されている。フランジ部52aにスペーサー32を取り付ける際に、このスペーサー取付穴54にスペーサー固定ネジが挿通される。
【0042】
上記サブタンク37は、流路部材からのインクを記録ヘッド18の圧力室側に導入する部材である。サブタンク37は、内部の圧力変動に応じてバルブを開閉し、圧力室側へのインクの導入を制御する自己封止機能を有している。サブタンク37のノズル列56の列設方向と交差する左右両面には、可撓性を有する薄手のフィルム57がそれぞれ貼付されており、その内部流路の圧力を吸収するダンパー機能を有している。このサブタンク37の後端面(上面)におけるノズル列方向の両端部に、上記流路部材の接続流路が接続される流路接続部38が設けられている。この流路接続部38には図示しないリング状のパッキンが嵌め込まれており、このパッキンにより接続流路との液密性が確保される。また、サブタンク37の内部には、圧力発生手段に駆動信号を供給するための駆動基板が2枚設けられており(図示せず)、各駆動基板に電気的に接続された2枚のフレキシブルケーブル(配線部材。図示せず)がサブタンク37の後端面側にそれぞれ引き出されている。このフレキシブルケーブル55は、上記の信号ケーブル15と接続されて、当該信号ケーブル15を通じてプリンター1の制御部から送られてくる駆動信号等を、駆動基板を介して圧力発生手段側に供給する。
【0043】
このように、本実施形態のプリンター1のヘッドユニット17は、複数の記録ヘッド18を互いに間隔を空けた状態で並列させて固定するサブキャリッジ26を有し、サブキャリッジ26は、枠状に形成されたベース部26aにヘッド挿通開口28が設けられ、ヘッド挿通開口28内に複数挿通された記録ヘッド18を、ノズル形成面53及びノズル形成面53側の一部がベース部26aの下面から突出した状態で固定し、ベース部26aにおける記録ヘッド18同士の間には、ヘッド挿通開口28を横切る状態で仕切板22を記録ヘッド18と並べて設け、仕切板22は、ベース部26aの底面から離れる方向に向かって一部を突出させたので、仕切板22自体の剛性を確保しつつ、仕切板22が梁として機能することによってベース部26aの補強効果を向上させて剛性を高めることができ、ベース部26aの高強度が期待できる。つまり、ヘッド挿通開口28を挟んで対向する横枠材26ax(ヘッド挿通開口28の縁)同士を仕切板22によって連結することによって、ベース部26aを補強することができる。これにより、振動や衝撃などの外力が作用した場合にサブキャリッジ26が変形することが抑制される。このため、上記の外力がサブキャリッジ26に作用した場合に各記録ヘッド18が位置ズレすることを抑制できる。即ち、サブキャリッジ26に対してアライメントされた状態で取り付けられた各記録ヘッド18の位置精度ひいてはノズル51の位置精度を高めることができる。その結果、インクの着弾位置精度を向上させることができる。
【0044】
また、記録ヘッド18の間の間隙が仕切板22によって塞がれるので、ノズル51からインクを噴射した際にノズル形成面53側にミストが発生しても、発生したミストがサブキャリッジ26におけるノズル形成面53側とは反対側に回り難くすることができる。この結果、記録ヘッド18の信頼性を高めることができる。即ち、例えば、ノズル形成面53とは反対側に電装基板等の電子部品が配設されている場合に、当該電子部品にミスト等のインクが付着することが防止される。さらに、記録ヘッド18をヘッド挿通開口28内に挿通させる際に、仕切板22を、記録ヘッド18を取り付け位置に案内するガイドとして機能させることができる。これにより、記録ヘッド18の組付け作業を容易に行うことができる。また、記録ヘッド18間を補強柱で補強する場合に比べて、ヘッドユニット17の並列方向Xの長さが小さくて済むため、ヘッドユニット17の小型(コンパクト)化に寄与することができる。
【0045】
また、ベース部26aは、並列方向Xに沿って延設された一対の横枠材26axと、一対の横枠材26axの端同士を連結する一対の縦枠材26ayとによって、ヘッド挿通開口28を包囲するように構成され、仕切板22は、横枠材26ax同士の間に架け渡され、ベース部26aにおいて、記録ヘッド18の並列方向Xの端に位置する記録ヘッド18a及び記録ヘッド18eの同方向の外側には、縦枠材26ayから突出した端部板23が設けられたので、仕切板22と端部板23とがサブキャリッジ26における梁として機能することによってベース部26aを補強することができる。また、端部板23によって、記録ヘッド18の並列方向Xの端に位置する記録ヘッド18の側面やノズル形成面53を、記録時に当該ノズル形成面53に対向する領域(プラテン上)に搬送されてくる記録媒体等との接触から保護することができる。これにより、記録ヘッド18が位置ズレすることを抑制することができる。
【0046】
また、仕切板22の先端22a及び端部板23の先端23aが、記録ヘッド18のノズル形成面53よりもベース部26aから離れる方向に向かって突出しているので、サブキャリッジ26に固定した各記録ヘッド18の並列方向Xの両側面やノズル形成面53を、記録時に当該ノズル形成面53に対向する領域に搬送されてくる記録媒体などの接触から保護することができる。
【0047】
また、液体噴射ヘッドユニットは、記録ヘッド18に供給するインクの流路が内部に形成された流路部材を記録ヘッド18毎に備え、仕切板22及び端部板23の少なくとも何れか一方の、先端に対してベース部26aを挟んで反対側に位置する後端には、各流路部材を個別に固定する位置決め部が設けられたので、別途に固定部を形成する部分を設けなくともサブキャリッジ26に対して流路部材を容易に位置決めして固定することができる。この結果、サブキャリッジ26に組付けた流路部材のみを取り外すことができ、流路部材の個別交換を容易に行うことができる。
【0048】
また、端部板23が、サブキャリッジ26に対して一体に設けられているので、サブキャリッジ26に対して端部板23が別体として取り付けられる場合に比べて、部品点数を減らすことができ、組付けの作業性が向上する。
【0049】
ところで、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
【0050】
上記した実施形態と同様に、サブキャリッジ26を金属製とし、このサブキャリッジ26に当該サブキャリッジ26を加温するヒーター(図示せず)を設けても良い。これにより、記録ヘッド18同士の間に配置された仕切板22を含むサブキャリッジ26をヒーターによって加温することで、サブキャリッジ26に伝導する熱によって仕切板22の温度が上昇し、これにより仕切板22から放射される熱(放射熱)によって記録ヘッド18の側面を効率良く加温することができる。これにより、従来用いられていたインクよりも粘度が高い液体であっても、容易に噴射させることができる。
【0051】
さらに、上記各実施形態では、仕切板22を各記録ヘッド18同士の間隔に設ける構成を例示したが、これには限られない。例えば、各記録ヘッド18同士の間隔のうち少なくとも何れかの間隔に仕切板22を設ける構成を採用することもできる。この場合には、仕切板22を設けられていない記録ヘッド18同士の間隔は、記録媒体の侵入を抑制可能な範囲内の大きさに設定されることが望ましい。
【0052】
さらに、上記各実施形態では、記録紙に対して記録ヘッド18を往復移動させながらインクの噴射を行う構成を例示したが、これには限られない。例えば、記録ヘッド18の位置を固定した状態で、当該記録ヘッド18に対して記録紙を移動させながらインクの噴射を行う構成を採用することもできる。
【0053】
以上は、液体噴射装置の一種であるプリンター1を例に挙げて説明したが、本発明は他の液体噴射装置にも適用することができる。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターを製造するディスプレイ製造装置、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイやFED(面発光ディスプレイ)等の電極を形成する電極製造装置、バイオチップ(生物化学素子)を製造するチップ製造装置等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1…プリンター、17…ヘッドユニット、18…記録ヘッド、22…仕切板、23a…先端、23…端部板、23a…先端、26…サブキャリッジ、26a…ベース部、26ax…横枠材、26ay…縦枠材、28…ヘッド挿通開口、33…固定ネジ穴、51…ノズル、53…ノズル形成面、X…並列方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドを複数備えた液体噴射ヘッドユニットを有する液体噴射装置であって、
前記液体噴射ヘッドユニットは、複数の前記液体噴射ヘッドを互いに間隔を空けた状態で並列させて固定するヘッド固定部材を有し、
前記ヘッド固定部材は、枠状に形成されたフレーム部に開口が設けられ、当該開口内に複数挿通された前記液体噴射ヘッドを、ノズル形成面側の少なくとも一部が前記フレーム部の底面から突出した状態で固定し、
前記フレーム部における前記液体噴射ヘッド同士の間には、前記開口を横切る状態で仕切板を前記液体噴射ヘッドと並べて設け、
前記仕切板は、前記フレーム部の底面から離れる方向に向かって一部を突出させたことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記フレーム部は、前記並列方向に沿って延設された一対の第一枠材と、当該一対の第一枠材の端同士を連結する一対の第二枠材とによって前記開口が包囲されるように構成され、
前記仕切板は、前記第一枠材同士の間に架け渡され、
前記フレーム部において、前記液体噴射ヘッドの並列方向の端に位置する液体噴射ヘッドの同方向の外側には、前記第二枠材から前記液体噴射ヘッドの並列方向の側面に沿って突出した端部板が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
前記仕切板及び前記端部板の少なくとも何れか一方の先端が、前記液体噴射ヘッドのノズル形成面よりも前記フレーム部から離れる方向に向かって突出していることを特徴とする請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
前記液体噴射ヘッドユニットは、前記液体噴射ヘッドに供給する液体の流路が内部に形成された流路部材を液体噴射ヘッド毎に個別に備え、
前記仕切板及び前記端部板の少なくとも何れか一方の、前記フレーム部を挟んで反対側に位置する後端には、前記流路部材を個別に固定する固定部が設けられたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記ヘッド固定部材が金属製であって、当該ヘッド固定部材を加温するヒーターを設けたことを特徴とする請求項2乃至請求項4の何れか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項6】
前記端部板が、前記ヘッド固定部材に対して一体に設けられていることを特徴とする請求項2乃至請求項5の何れか一項に記載の液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−40695(P2012−40695A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181087(P2010−181087)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】