説明

液体定量吐出方法および装置

【課題】従来装置と比べより高精度に、液体材料の分配・分注ができる液体定量吐出方法および装置の提供。
【解決手段】圧縮気体源より供給される圧縮気体を減圧する減圧弁と、減圧弁で減圧された気体の通過量を制御する吐出弁と、吐出弁を経て供給される気体の押圧によってノズルから液体を吐出する液体貯留容器と、減圧弁と吐出弁との間に配置され、液体貯留容器の容積よりも大きい容積を有するバッファータンクとを備える装置を用いた液体定量吐出方法において、前記バッファータンクと前記貯留容器とを連通する流路の流動抵抗を、前記バッファータンクと前記減圧弁とを連通する流路の流動抵抗よりも大きくすることにより前記減圧弁の作動時に生ずる前記液体貯留容器に圧縮気体を供給する流路の圧力低下を軽減することを特徴とする液体定量吐出方法およびその装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮気体源より供給される圧縮気体を一定圧力に減圧して、液体材料を定量的に分配・分注する液体定量吐出方法および装置に関し、例えば、バッファータンクの減圧を最小限とすることで、液体材料を高精度に分配・分注することができる液体定量吐出方法および装置(精密ディスペンサー)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液体定量吐出装置は、圧縮気体源より供給される圧縮気体を一定圧力に減圧して液体材料を分配・分注するものである。しかしながら、この種の従来装置は、分配・分注量の正確さが不充分であり、半導体チップをリードフレームやプリント基板等に接着する場合には吐出量の不足によりチップの乖離等の問題が生じたり、吐出量の過剰の導電性接着剤により短絡が生じるなどの問題があった。
【0003】
そこで、出願人は、圧縮気体源より供給される圧縮気体を減圧する減圧弁と、前記減圧された気体の通過量を制御するタイマー付きの電磁弁と、前記電磁弁を経て供給される前記気体によってノズル内に収容した液体材料を定量的に分配・分注する分注ノズルとを備え、前記圧縮空気にて分注ノズル内に収容した液体材料の液面を直接加圧することによって、定量の該液体材料を吐出させるようにしたディスペンサーにおいて、前記減圧弁より電磁弁に至る管路の途中に、前記分注ノズルの内容積よりも大きい容積をもつ圧縮気体を貯留するバッファータンクを設けたことを特徴とするディスペンサーを提言した(特許文献1)。
【0004】
また、圧縮エア源に連通するレギュレータから所定の圧力の圧縮空気を吐出バルブの切替により所定の時間シリンジに供給することによりシリンジ内の塗布剤を吐出ノズルを介してプリント基板に塗布する塗布装置において、前記レギュレータに連通し出力された圧縮空気を貯溜して前記吐出バルブ側に供給する圧力タンクを設けたことを特徴とする塗布装置が提言されている(特許文献2)。
【0005】
上記装置は、いずれもバッファータンク(圧力タンク)を設けることにより、吐出開放直後のシリンジ内部に圧力を急峻に上昇させるものである。これらのタンクの作用によって、バッファータンクが無い構成の装置と比べ、短い吐出時間でも高圧力が得られることになり、したがって、所望とする吐出量を得るための圧力を短時間で得ることができ、高タクトでの吐出作業を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平2−15588号公報
【特許文献2】特開平9−66251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記装置のようにバッファータンクを設けることにより、電磁弁動作時の管路内の急激な減圧を一定程度防ぐことが可能となった。しかしながら、上記装置においても、バッファータンクに減圧が生じるという問題はある。すなわち、液体貯留容器に圧縮気体を供給する流路の圧力が一時的に低下するため、分配・分注の精度が損なわれるという問題は完全には解消されていなかった。
【0008】
また、必要とされるバッファータンクの容積は、液体貯留容器の容積の例えば10倍以上とする必要があり、これが装置小型化の阻害要因となっていた。
【0009】
上記課題を鑑み、本発明は、液体貯留容器に圧縮気体を供給する流路の減圧を最小限とすることで、従来装置と比べより高精度に、液体材料の分配・分注ができる液体定量吐出方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者は、鋭意検討の結果、バッファータンクと貯留容器とを連通する流路の流動抵抗を、バッファータンクと減圧弁とを連通する流路の流動抵抗よりも大きくすることにより、減圧弁の作動時に生ずる液体貯留容器に圧縮気体を供給する流路の圧力低下を軽減することが可能であることの知見を得て本発明の創作をなした。すなわち、本発明の液体定量吐出方法は、次の技術手段から構成される。
第1の発明は、圧縮気体源より供給される圧縮気体を減圧する減圧弁と、減圧弁で減圧された気体の通過量を制御する吐出弁と、吐出弁を経て供給される気体の押圧によってノズルから液体を吐出する液体貯留容器と、減圧弁と吐出弁との間に配置され、液体貯留容器の容積よりも大きい容積を有するバッファータンクとを備える装置を用いた液体定量吐出方法において、前記バッファータンクと前記貯留容器とを連通する流路の流動抵抗を、前記バッファータンクと前記減圧弁とを連通する流路の流動抵抗よりも大きくすることにより前記減圧弁の作動時に生ずる前記液体貯留容器に圧縮気体を供給する流路の圧力低下を軽減することを特徴とする液体定量吐出方法である。
第2の発明は、第1の発明において、前記バッファータンクと前記貯留容器と連通する流路の一部または全部を前記バッファータンクと前記減圧弁とを連通する流路の最小内径よりも小径とすることで、前記減圧弁の作動時に生ずる前記液体貯留容器に圧縮気体を供給する流路の圧力低下を軽減することを特徴とする。
第3の発明は、第1または2の発明において、前記吐出弁の内部流路に、前記バッファータンクと前記減圧弁とを連通する流路中の最小内径よりも小径の部分を設けることで、前記減圧弁の作動時に生ずる前記液体貯留容器に圧縮気体を供給する流路の圧力低下を軽減することを特徴とする。
第4の発明は、第1ないし3のいずれかの発明において、前記バッファータンクと前記減圧弁とを連通する流路長を、前記バッファータンクと前記液体貯留容器とを連通する流路長よりも短く構成することで、前記減圧弁の作動時に生ずる前記液体貯留容器に圧縮気体を供給する流路の圧力低下を軽減することを特徴とする。
第5の発明は、第1ないし4のいずれかの発明において、さらに、前記減圧弁と前記圧縮気体源との間に第2の減圧弁を設けることで、前記減圧弁の作動時に生ずる前記液体貯留容器に圧縮気体を供給する流路の圧力低下を軽減することを特徴とする。
第6の発明は、第5の発明において、さらに、前記減圧弁と前記第2の減圧弁との間に第2のバッファータンクを設けることで、前記減圧弁の作動時に生ずる前記液体貯留容器に圧縮気体を供給する流路の圧力低下を軽減することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の液体定量吐出装置は、次の技術手段から構成される。
第7の発明は、圧縮気体源より供給される圧縮気体を減圧する減圧弁と、減圧弁で減圧された気体の通過量を制御する吐出弁と、吐出弁を経て供給される気体の押圧によってノズルから液体を吐出する液体貯留容器と、減圧弁と吐出弁との間に配置され、液体貯留容器の容積よりも大きい容積を有するバッファータンクとを備える液体定量吐出装置であって、前記バッファータンクと前記貯留容器とを連通する流路の流動抵抗が、前記バッファータンクと前記減圧弁とを連通する流路の流動抵抗よりも大きくなるように構成されることを特徴とする液体定量吐出装置である。
第8の発明は、第7の発明において、前記バッファータンクと前記貯留容器と連通する流路の一部または全部を前記バッファータンクと前記減圧弁とを連通する流路の最小内径よりも小径とすることを特徴とする。
第9の発明は、第7または8の発明において、前記吐出弁の内部流路に、前記バッファータンクと前記減圧弁とを連通する流路中の最小内径よりも小径の部分を設けたことを特徴とする。
第10の発明は、第7ないし9のいずれかの発明において、前記バッファータンクと前記減圧弁とを連通する流路長を、前記バッファータンクと前記液体貯留容器とを連通する流路長よりも短く構成したことを特徴とする。
第11の発明は、第7ないし10のいずれかの発明において、さらに、前記減圧弁と前記圧縮気体源との間に第2の減圧弁を設けたことを特徴とする。
第12の発明は、第11の発明において、さらに、前記減圧弁と前記第2の減圧弁との間に第2のバッファータンクを設けたことを特徴とする。
第13の発明は、第7ないし12のいずれかの発明において、前記バッファータンクの内容積が、前記貯留容器の内容積の1.5倍以上〜10倍未満の大きさであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、液体貯留容器に圧縮気体を供給する流路の減圧を最小限とすることができるため、従来装置と比べより高精度に分配・分注を行うことができる。
また、バッファータンクを必要以上に大きくする必要がなくなるため、装置の小型化が可能となる。
さらに、減圧弁および/またはバッファータンクを複数設けた構成においては、減圧弁の機械的な調圧動作による圧力の揺らぎを直接的に貯留容器内の液材に与えること回避できるので、より安定した圧力を供給することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1の液体定量吐出装置の概要構成図である。
【図2】吐出弁とバッファータンクを結ぶ管路内の気体圧力の経時変化を示すグラフである。
【図3】バッファータンク内の気体圧力の経時変化を示すグラフである。
【図4】実施例2の液体定量吐出装置の概要構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の装置は、例えば図1に示すように、液体を吐出する吐出口と連通し液体を貯留する貯留容器8と、圧縮気体源1より供給される圧縮気体を減圧する減圧弁11と、貯留容器8の内容積よりも大きい容積を持つ圧縮気体を貯留するバッファータンク21と、バッファータンク21を介して減圧弁11と貯留容器8とを連通または遮断する吐出弁9と、吐出弁9を開閉して減圧された気体の通過量を制御するタイマー10と、を主要な構成要素とする。
【0015】
本発明の装置は、非作動状態においては、貯留容器8内に貯留されている液体20に圧力を加える空間24が大気に開放されているので液体20が吐出されない。他方、作動時(吐出時)においては、吐出弁9によりバッファータンク21と貯留容器8とを連通させると共に空間24を大気と遮断し、続いてバッファータンク21から貯留容器8内へエアを供給し、空間24の圧力を上昇させることにより液体20をノズル13より吐出する。この際、バッファータンク21から空間24へエアを供給すると、管路4内の圧力が一時的に低下し、これが脈動の原因となるという問題がある。この問題は、液体20の吐出が繰り返され、空間24の体積が大きくなるのに伴い顕著なものとなる。
【0016】
そこで、本発明の装置では、従来装置と同様に、貯留容器8と比べ相対的に体積の大きなバッファータンク21を設けるのみならず、バッファータンク21と貯留容器8を連通する流路の流動抵抗を高めることにより、バッファータンク21と貯留容器8を連通する流路(下流側流路)の圧力降下を防止している。すなわち、本発明の装置では、例えば、バッファータンク21の下流側流路の内径の一部が、バッファータンク21の上流側流路の最小内径と比べ細くなっており、より具体的には、バッファータンク21と液体貯留容器8との流路を構成する管路4、吐出弁9および管路7に絞り(細径部ないしはオリフィス)を設け、バッファータンク21と圧縮気体源1との流路を構成する管路3、減圧弁11および管路2の内径と比べて小径の部分を設ける構成とすることが開示される。ここで重要なことは、バッファータンク21の下流側流路の流動抵抗が上流側流路の流動抵抗と比べ充分に高いことであり、例えば、下流側流路の等価水力直径および/または内径の全部を上流側流路と比べ小径とすることによっても実現することが可能である。
【0017】
このような構成とすることにより、減圧弁11が作動して加圧気体が供給されるまでの間、バッファータンク21内の圧力降下を減少させることができ、ひいては空間24へ所望の圧力を安定して印加することが可能となる。すなわち、本発明の装置においては、バッファータンクの排出側の流動抵抗が充分に大きいため、バッファータンクからエアが排出される速度に比べエアが供給される速度が相対的に速くなるので、バッファータンクの下流側流路内における減圧を最小限とすることができるのである。
バッファータンク21の下流側流路の流動抵抗は、貯留容器8に圧縮気体を供給可能な速度と液体貯留容器に圧縮気体を供給する流路の圧力降下の関係を考慮し、最適となるよう調整する。
【0018】
また、管路3の長さは、管路4および7の合計長さよりも短くする(例えば2/3ないし1/2以下とする)ことが好ましい。このような構成とすることにより、吐出弁9の開放時に調圧された気体がよりスムーズに供給されるようになるからである。
【0019】
図2は、吐出弁9とバッファータンク21を結ぶ管路4内の気体圧力の経時変化を示すグラフである。曲線cは従来装置における気体圧力の変化を示しており、吐出弁9の作動により管路4内の気体圧力が当初の状態に戻るまではTc時間かかることとなる。曲線bはバッファータンクを設けた装置における気体圧力の変化であるが、当該装置においては改善は見られるものの、管路4内の気体圧力が当初の状態に戻るまでの圧力変化が比較的急なカーブにより描かれている。曲線aは、本発明の装置における管路4内の気体圧力の変化であるが、管路4内での減圧が最小限であることが確認できる。
【0020】
図3は、バッファータンク21内の気体圧力の経時変化を示すグラフである。同図中、曲線(c)は従来装置における気体圧力の変化を示し、曲線(b)はバッファータンクを設けた装置における気体圧力の変化を示し、曲線(a)は本発明の装置における気体圧力の変化を示している。このように、バッファータンク21内の気体圧力の変化と管路4内の気体圧力の変化には一定の相関関係が認められる。
【0021】
図2および3に示すように、本発明の装置では貯留容器8に圧縮気体を供給する流路の圧力降下を最小限にすることができるので、従来の装置と比べより高精度に液体材料の分配・分注を制御することが可能である。
【0022】
以上の構成を有する本発明の装置によれば、バッファータンクの容量を貯留容器の内容積の1.5倍以上〜10倍未満の範囲に設定することができる。なお、装置の大きさが問題とならない場合には、バッファータンクと貯留容器の体積比を10〜100倍の範囲に設定してもよい。また、バッファータンクおよび/または減圧弁を複数設ける構成としてもよい。
【0023】
本発明の詳細を実施例によって説明するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0024】
本実施例の吐出装置は、図1に示す構成であり、液体を吐出する吐出口と連通し液体を貯留する貯留容器(シリンジ)8と、圧縮気体源1より供給される圧縮気体を減圧する減圧弁(レギュレータ)11と、貯留容器8の内容積よりも大きい容積を持つ圧縮気体を貯留するバッファータンク21と、バッファータンク21を介して減圧弁11と貯留容器8とを連通または遮断する吐出弁9と、吐出弁9を開閉して減圧された気体の通過量を制御するタイマー10と、を主要な構成要素とする。これらの各構成要素をつなぐ管路2〜4,7は、いずれもφ1〜10mmの範囲で選択された同一管径のものである。管路3の長さは、管路4と7の合計長と比べ短くする。実際には配管引き回し態様等により異なるものの、例えば、管路3の長さを数十センチとし、管路4と7の合計長を1m以上とすることが開示される。
【0025】
本実施例の貯留容器8の容量は1〜500ccであり、バッファータンク21の容量は、貯留容器8の1.5倍以上〜10倍未満の範囲である。貯留容器8およびノズル13を有する分注ノズルは、例えばXYZロボットに搭載される。
本実施例の装置では、例えば、圧縮気体源1から3kg/cmの圧力の気体を供給し、減圧弁11により0.3〜1.0kg/cm範囲内の選択された一定圧力に減圧するように調整している。
【0026】
本実施例の装置では、バッファータンク21に対する供給側管径と比べ、排出側管径が細径に構成されている。より具体的には、バッファータンク21の排出側にある吐出弁9内に管径1μm〜5mmの縮部を設ける構成とした。
【0027】
以上の構成を備える本実施例の装置においては、吐出弁9と減圧弁11を連動して作動させる工程を実行することにより液体材料が吐出される。例えば、次の工程が実施されることにより液体材料の分配・分注が吐出される。
i)吐出弁9を開くことによりバッファータンク21内のエアが流出し、バッファータンク21内の圧力が低下する工程、
ii)バッファータンク21内の圧力が減少したことを減圧弁11が検知してバッファータンク21内への圧力供給を開始する工程、
iii)減圧したバッファータンク内の圧力が減圧弁の作用により上昇する工程、
【0028】
ここで、上記の工程においては、減圧弁11が作動するまでに時間差があること、すなわちi)とii)の工程でタイムラグが生じることがある。このタイムラグを最小限とするためには、バッファータンク21の下流側の流動抵抗を大きくすることが効果的であるが、さらにバッファータンク21と減圧弁11を連通する流路長をできるだけ短くすることが好ましい。
【実施例2】
【0029】
本実施例の吐出装置は、図4に示す構成であり、実施例1の吐出装置にさらに第2のバッファータンク22および第2の減圧弁12、並びに、管路5および6を付加した構成である。
実施例2のようにバッファータンクを複数設けた構成においては、減圧弁11,12の機械的な調圧動作による圧力の揺らぎを直接的に貯留容器8内の液材に与えることを回避できるので、より安定した圧力を供給することが可能である。この点について以下に補足の説明を行う。
【0030】
一般に減圧弁は、減圧弁に導入される一次圧を減圧弁内部で調圧して所望する二次圧に変換するように作用するが、精度の良い安定した二次圧を発生させるためには、減圧弁に安定した一次圧が導入されることが好ましい。減圧弁に導入される一次圧が変化すると、発生する二次圧もばらつき、これにより貯留容器内の液体に印加する圧力もばらつくことになるからである。このように、一次圧を安定させることは、貯留容器内の液体に作用させる圧力を安定させるためには重要な要素である。この点、減圧弁を連設することにより一次圧を安定させることが可能である。
【0031】
減圧弁を連設した構成においては、上流からばらつきのある圧力が供給されると、まず上流側減圧弁の一次側から気体(エア)が供給され、減圧された圧力が上流側減圧弁の二次側から出力される。このとき、上流側減圧弁の二次側から出力された圧力は、一次側に供給された圧力のばらつきよりも小さい範囲のばらつきに整圧される。この減圧かつ整圧された圧力が下流側減圧弁の一次側に供給されることとなる。そして、下流側減圧弁の一次側に供給されたエアは、下流側減圧弁でさらに減圧されて二次側から出力される。このとき、下流側減圧弁の二次側から出力される圧力のばらつきは、上流側減圧弁における圧力のばらつきよりもさらに小さい範囲に整圧される。このように、減圧弁を単独で用いたときと比べ、減圧弁を連設する構成では、より安定した圧力を供給することが可能となる。
したがって、第2のバッファータンクを設けず、第2の減圧弁のみを増設する構成でも一定の整圧効果を得ることは可能である。しかし、第2の減圧弁で整圧されたエアを第2のバッファータンク22に供給することにより、バッファータンク22の下流側流路の圧力をさらに安定させることが可能となる。
【0032】
以上の構成を備える本実施例の装置においては、実施例1の装置比べると装置の大きさは大きくなるものの、より高精度に液体材料の分配・分注が行うことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、導電性接着剤等の液体材料の吐出・塗布に限らず、液送を目的とするもの全般に応用可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 圧縮気体源
2〜7 管路
8 貯留容器
9 吐出弁(電磁弁)
10 タイマー
11 減圧弁(第1の減圧弁)
12 第2の減圧弁
13 ノズル
20 液体
21 バッファータンク(第1のバッファータンク)
22 第2のバッファータンク
24 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮気体源より供給される圧縮気体を減圧する減圧弁と、減圧弁で減圧された気体の通過量を制御する吐出弁と、吐出弁を経て供給される気体の押圧によってノズルから液体を吐出する液体貯留容器と、減圧弁と吐出弁との間に配置され、液体貯留容器の容積よりも大きい容積を有するバッファータンクとを備える装置を用いた液体定量吐出方法において、
前記バッファータンクと前記貯留容器とを連通する流路の流動抵抗を、前記バッファータンクと前記減圧弁とを連通する流路の流動抵抗よりも大きくすることにより前記減圧弁の作動時に生ずる前記液体貯留容器に圧縮気体を供給する流路の圧力低下を軽減することを特徴とする液体定量吐出方法。
【請求項2】
前記バッファータンクと前記貯留容器と連通する流路の一部または全部を前記バッファータンクと前記減圧弁とを連通する流路の最小内径よりも小径とすることで、前記減圧弁の作動時に生ずる前記液体貯留容器に圧縮気体を供給する流路の圧力低下を軽減することを特徴とする請求項1の液体定量吐出方法。
【請求項3】
前記吐出弁の内部流路に、前記バッファータンクと前記減圧弁とを連通する流路中の最小内径よりも小径の部分を設けることで、前記減圧弁の作動時に生ずる前記液体貯留容器に圧縮気体を供給する流路の圧力低下を軽減することを特徴とする請求項1または2の液体定量吐出方法。
【請求項4】
前記バッファータンクと前記減圧弁とを連通する流路長を、前記バッファータンクと前記液体貯留容器とを連通する流路長よりも短く構成することで、前記減圧弁の作動時に生ずる前記液体貯留容器に圧縮気体を供給する流路の圧力低下を軽減することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかの液体定量吐出方法。
【請求項5】
さらに、前記減圧弁と前記圧縮気体源との間に第2の減圧弁を設けることで、前記減圧弁の作動時に生ずる前記液体貯留容器に圧縮気体を供給する流路の圧力低下を軽減することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかの液体定量吐出方法。
【請求項6】
さらに、前記減圧弁と前記第2の減圧弁との間に第2のバッファータンクを設けることで、前記減圧弁の作動時に生ずる前記液体貯留容器に圧縮気体を供給する流路の圧力低下を軽減することを特徴とする請求項5の液体定量吐出方法。
【請求項7】
圧縮気体源より供給される圧縮気体を減圧する減圧弁と、減圧弁で減圧された気体の通過量を制御する吐出弁と、吐出弁を経て供給される気体の押圧によってノズルから液体を吐出する液体貯留容器と、減圧弁と吐出弁との間に配置され、液体貯留容器の容積よりも大きい容積を有するバッファータンクとを備える液体定量吐出装置であって、
前記バッファータンクと前記貯留容器とを連通する流路の流動抵抗が、前記バッファータンクと前記減圧弁とを連通する流路の流動抵抗よりも大きくなるように構成されることを特徴とする液体定量吐出装置。
【請求項8】
前記バッファータンクと前記貯留容器と連通する流路の一部または全部を前記バッファータンクと前記減圧弁とを連通する流路の最小内径よりも小径とすることを特徴とする請求項7の液体定量吐出装置。
【請求項9】
前記吐出弁の内部流路に、前記バッファータンクと前記減圧弁とを連通する流路中の最小内径よりも小径の部分を設けたことを特徴とする請求項7または8の液体定量吐出装置。
【請求項10】
前記バッファータンクと前記減圧弁とを連通する流路長を、前記バッファータンクと前記液体貯留容器とを連通する流路長よりも短く構成したことを特徴とする請求項7ないし9のいずれかの液体定量吐出装置。
【請求項11】
さらに、前記減圧弁と前記圧縮気体源との間に第2の減圧弁を設けたことを特徴とする請求項7ないし10のいずれかの液体定量吐出装置。
【請求項12】
さらに、前記減圧弁と前記第2の減圧弁との間に第2のバッファータンクを設けたことを特徴とする請求項11の液体定量吐出装置。
【請求項13】
前記バッファータンクの内容積が、前記貯留容器の内容積の1.5倍以上〜10倍未満の大きさであることを特徴とする請求項7ないし12のいずれかの液体定量吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−279867(P2010−279867A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133587(P2009−133587)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(390026387)武蔵エンジニアリング株式会社 (56)
【Fターム(参考)】