説明

液体洗浄剤組成物

【課題】塗布洗浄時の蛍光増白剤配合によるむら付きが無く、皮脂や蛋白に由来する頑固な衿や靴下等の汚れに対して高い洗浄効果を有する液体洗浄剤組成物、及びそれを用いた洗浄方法の提供。
【解決手段】(a)蛍光増白剤、(b)炭素数10〜20のアルキル基又はアルケニル基を1つ以上有するポリエーテル型非イオン界面活性剤25〜80質量%、(c)陰イオン界面活性剤0.1〜15質量%、(d)ホスホン酸基を有するキレート剤を含有し、(b)成分/(c)成分の重量比が2〜500である、液体洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗浄剤組成物、及びそれを用いた衣料の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衿や袖口に付着した皮脂や蛋白に由来する汚れ、黄ばみ汚れや、靴下汚れは、非常に頑固な汚れであり、通常の洗濯では満足できるレベルまで落とすことは難しく、もみ洗いや漬け置き洗いなどの手間がかかる方法が行われている。より簡便かつ高い洗浄効果を得る方法として、塗布用洗浄剤が提案されており、特許文献1、2には、その種の洗浄剤技術が開示されている。また、衣料をより白く洗い上げる目的で、液体洗浄剤に蛍光増白剤を使用することは知られている。しかしながら、蛍光増白剤を配合した液体洗浄剤を衣料に直接塗布し洗浄すると、蛍光増白剤のむら付きが起こるという問題がある。特許文献3〜5には、蛍光増白剤配合品のむら付きを抑制する技術が開示されている。
【0003】
特許文献1及び2に蛍光増白剤をそのまま配合しても、塗布洗浄時のムラ付きを改善することは出来なく、特許文献3〜5の技術を用いても、むら付き抑制効果は未だ満足できるレベルに達していない。
【0004】
また、特許文献6及び7にはキレート剤を含有し、食べこぼし汚れ、エリ・ソデ汚れ、シミ汚れに対する性能を改良した液体洗浄剤組成物が用いられているが、このような組成物に蛍光増白剤を添加しても蛍光増白剤のむら付きを抑制することは出来ない。
【特許文献1】特開平10−298599号公報
【特許文献2】特開平11−269500号公報
【特許文献3】特開2001−254100号公報
【特許文献4】特開平2−20600号公報
【特許文献5】特開平2−73900号公報
【特許文献6】特開2003−277790号公報
【特許文献7】特開2004−75796号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、塗布洗浄時の蛍光増白剤配合によるむら付きが無く、皮脂や蛋白に由来する頑固な衿や靴下等の汚れに対して高い洗浄効果を有する液体洗浄組成物を提供することにある。更に本発明の課題は、被洗浄物に対して希釈することなく直接接触させる洗浄方法において、蛍光増白剤配合によるむら付きが起こらなく、皮脂や蛋白に由来する頑固な衿や靴下等の汚れに対して高い洗浄効果を与える洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(a)蛍光増白剤、(b)炭素数10〜20のアルキル基又はアルケニル基を1つ以上有し、かつポリオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基を有するポリエーテル型非イオン界面活性剤25〜80質量%、(c)陰イオン界面活性剤0.1〜15質量%、及び(d)ホスホン酸基を有するキレート剤を含有し、(b)成分/(c)の重量比が2〜500である、液体洗浄剤組成物に関する。
【0007】
また、本発明は、上記本発明の液体洗浄剤組成物の原液を、衣料に付着した汚れに直接接触させる工程を包含する衣料の洗浄方法に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の液体洗浄剤組成物は、塗布洗浄時の蛍光増白剤配合によるむら付きが無く、皮脂や蛋白に由来する頑固な衿や靴下等の汚れに対して高い洗浄効果を有する。また、本発明により、被洗浄物に対して希釈することなく直接接触させても、蛍光増白剤配合によるむら付きが起こらなく、皮脂や蛋白に由来する頑固な衿や靴下等の汚れに対して高い洗浄効果を与える洗浄方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の液体洗浄剤組成物は、蛍光増白剤を特定濃度のポリエーテル型非イオン界面活性剤中に混合ミセルの状態で溶存させ、混合ミセル外に存在する蛍光染料の濃度を低下させることで、塗布洗浄時の蛍光増白剤によるむら付きを抑制する効果が確認され、更に、ホスホン酸系キレート剤を併用することでその効果は一層向上する。このホスホン酸系キレート剤の作用メカニズムは定かではないが、繊維や汚れ由来のカルシウムイオンがバインダーとなって促進される蛍光増白剤のむら付きが、ホスホン酸系キレート剤によって改善されているのではないかと推察している。
【0010】
さらに、ポリエーテル型非イオン界面活性剤と陰イオン界面活性剤を特定比率で含有させることにより、水道水による希釈後の洗濯機使用場面において、蛍光増白剤による十分な効果が得られることを見出した。
【0011】
[(a)成分]
本発明の液体洗浄剤組成物は、(a)成分として蛍光増白剤を含有する。本発明の液体洗浄剤組成物は、好ましくは、スルホン酸基又はその塩を有する蛍光増白剤を用い、より好ましくは、ビフェニル型蛍光増白剤及び/又はスチルベン型蛍光増白剤を用いる。ビフェニル型蛍光増白剤としては4、4’−ビス(2−スルホスチリル)ビフェニルジアルカリ金属塩(好ましくはナトリウム)や4、4’−ビス(2−スルホー4クロロスチリル)ビフェニルジアルカリ金属塩(好ましくはナトリウム)を挙げられる。特に4、4’−ビス(2−スルホスチリル)ビフェニルジナトリウムが、液体洗浄剤中での溶解性に優れ、かつ増白効果の点で好ましい。スチルベンゼン型蛍光増白剤としては一般式(1)の化合物(Mはナトリウム)が特に好ましい。
【0012】
【化1】

【0013】
本発明の液体洗浄剤組成物は、良好な増白効果を得るために、(a)成分の好ましい含有量は組成物中に0.01〜1質量%、特には、0.05〜0.8質量%である。
【0014】
[(b)成分]
本発明の液体洗浄剤組成物は、(b)成分として、特定の非イオン界面活性剤を含有する。(b)成分は、洗浄効果と、蛍光染料のむら付きを抑制する効果の点から、炭素数10〜20のアルキル基又はアルケニル基を1つ以上有し、かつオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基を有するポリエーテル型非イオン界面活性剤を含有する。(b)成分としては、下記一般式(2)の非イオン界面活性剤が好適である。
【0015】
4−T−〔(R5O)p−H〕q (2)
〔式中、R4は、炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基であり、R5は炭素数2又は3のアルキレン基であり、好ましくはエチレン基である。また、pは平均付加モル数であり、2〜100、好ましくは2〜40、特に好ましくは2〜20の数を示す。更にTは−O−、−N−又は−CON−であり、Tが−O−の場合はqは1であり、Tが−N−又は−CON−の場合はqは2である。〕
【0016】
一般式(2)の化合物の具体例としては、以下の化合物(3)又は(4)が挙げられる。
6−O−(C24O)r−H (3)
〔式中、R6は、炭素数10〜16のアルキル基であり、rは平均付加モル数であり、5〜20、好ましくは5〜15の数である。〕
7−O−(C24O)s(C36O)t−H (4)
〔式中、R7は、炭素数10〜16のアルキル基であり、s及びtは平均付加モル数であり、それぞれ独立に2〜20、好ましくは2〜10の数であり、エチレンオキシド(以下、EOと表記する)とプロピレンオキシド(以下、POと表記する)はランダムあるいはブロック付加体であっても良い。〕
【0017】
また、一般式(5)又は(6)の脂肪族アルカノールアミド等の非イオン界面活性剤を用いることも出来る。
【0018】
【化2】

【0019】
〔式中、R4は、前記と同じ意味であり、u及びvの合計は5〜100、好ましくは5〜80の数である。〕
【0020】
本発明の液体洗浄剤組成物は、皮脂や蛋白に由来する頑固な衿や靴下汚れに対して高い洗浄効果を有し、かつ蛍光増白剤によるむら付きを抑制する点から、(b)成分の含有量は、25〜80質量%、好ましくは25〜60質量%、特に30〜45質量%が好適である。
【0021】
[(c)成分]
本発明の液体洗浄剤組成物は、(c)成分として、陰イオン界面活性剤を含有する。陰イオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸またはその塩、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、脂肪酸又はその塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸又はその塩、α−スルホ脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル類を使用することが出来、特に炭素数が10〜20、好ましくは10〜15のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、ポリオキシエチレンアルキル又はアルケニル(炭素数炭素数が10〜20、好ましくは10〜15)エーテル硫酸塩、アルキル又はアルケニル(炭素数炭素数が10〜20、好ましくは10〜15)硫酸塩、飽和脂肪酸又はその塩が好ましい。ポリオキシエチレンアルキル又はアルケニル硫酸塩を使用する場合は、エチレンオキシド平均付加モル数は1〜6、特に1.5〜4が好ましい。
【0022】
本発明の液体洗浄剤組成物では、泥汚れに対する洗浄力向上の目的で、(c)成分を0.1〜20質量%、より好ましくは0.3〜15質量%、特に1〜10質量%含有することが好適である。
【0023】
また、(b)成分/(c)成分(重量比)は、2〜500、より好ましくは3〜100、特には5〜50が好適である。このような特定比率で含有することで、皮脂や蛋白に由来する頑固な衿や靴下汚れに対して極めて高い洗浄効果を有し、かつ蛍光増白剤による塗布使用時のむら付きの抑制効果が十分に発揮され得る。
【0024】
更に、(b)成分と(c)成分との合計含有量は、洗浄力向上の観点から組成物中20〜80%、好ましくは25〜70質量%、より好ましくは30〜55質量%である。
【0025】
[(d)成分]
本発明の液体洗浄剤組成物は、ホスホン酸基を有するキレート剤を含有する。このようなキレート剤としては、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン1−1,1−ジホスホン酸、4−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシブタン−1,1−ジホスホン酸、ピロリドン−5,5−ジホスホン酸、1−アミノエタン−1,1−ジホスホン酸、ジメチルアミノメタンジホスホン酸、N−カルボキシメチルアミノ−アルカンジホスンホン酸、その他環状の部分を持つアザシクロアルカン−2,2−ジホスホン酸、環状アミノホスホン酸等のホスホン酸が挙げられる。これらの中でも、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、4−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシブタン−1,1−ジホスホン酸、アザシクロアルカン−2,2−ジホスホン酸が好ましい。
【0026】
また、分子中のホスホン酸基が1つであるオルトリン酸、これが重縮合して1分子単位当りに2つ以上のホスホン酸基を持つ形のメタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸、ヘキサメタリン酸、ポリリン酸等を使用することもできる。
【0027】
本発明の液体洗浄剤組成物では、蛍光増白剤のむら付き性の抑制、並びに頑固な汚れに対する洗浄力向上の目的で、(d)成分の含有量は0.01〜5質量%、より好ましくは0.05〜3質量%、特に0.1〜1質量%が好適である。蛍光増白剤のむら付き抑制効果のメカニズムは定かではないが、原液を汚れに塗布する際に、繊維又は繊維表面の汚れ中の硬度成分を(d)成分が捕捉することにより、蛍光増白剤の高密度での染着が抑制できたのではないかと考えている。一般に、キレート剤を配合することは、液体洗浄剤組成物の洗浄力の向上には望ましいものであるが、本発明の(d)成分を用いることにより、(b)成分と(c)成分を特定条件で併用した界面活性剤系において、単に洗浄力が向上するのみでなく、蛍光増白剤のむら付も併せて抑制されることは意外な効果である。後述の比較品として示したように、他のキレート剤では、本発明の(d)成分のような洗浄力の向上と蛍光増白剤のむら付きの抑制は達成されない。
【0028】
更に、(a)成分/(d)成分の質量比は、蛍光増白剤のむら付きを防止するという観点から、好ましくは0.01〜100であり、より好ましくは0.03〜50、更に好ましくは0.03〜50、より更に好ましくは、0.05〜3、特に好ましくは、0.1〜1である。
【0029】
[(e)成分]
本発明の液体洗浄剤組成物は、(e)成分として、無機アルカリ剤を含有し得る。無機アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、ホウ砂、ケイ酸ナトリウム(SiO2/Na2O=1/1〜4/1、好ましくは2/1〜2.5/1)等を挙げることができる。これらの中でも、洗浄効果の点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。本発明の液体洗浄剤組成物は、エタノールアミン等の有機アルカリ剤も含有し得るが、蛍光増白剤との併用により、長期保存後に黄褐色に変色し易いという問題があるため、含有しないほうが好ましい。
【0030】
本発明の液体洗浄剤組成物では、後述のpHに調整する観点から、(e)成分を0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%、特に0.2〜2質量%含有することが好適である。
【0031】
[(f)成分]
本発明の液体洗浄剤組成物は、有機溶剤を含有し得る。有機溶剤としては、一般式(7)で表される有機溶剤、エステル系有機溶剤(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル等)、ケトン系有機溶剤(例えば、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン等)、エーテル系有機溶剤(ジオキサン、テトラヒドロフラン、トリエチレングリコールジメチルエーテル等)が挙げられる。
【0032】
1−O−(AO)n−H (7)
(式中、R1は水素原子、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基又はベンジル基を示し、Aは直鎖又は分岐の炭素数2〜4のアルキレン基を示し、n個のAは同一でも異なっていてもよい。nはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示す0〜10の数である。)
【0033】
一般式(7)で表される有機溶剤の具体例としては、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ブチルジグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール類、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリエチレングリコールフェニルエーテル等のポリアルキレングリコールモノアルキル又はアリールエーテル類が挙げられる。
【0034】
(f)成分としては、一般式(7)で表される有機溶剤が好ましく、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ブチレングリコールなどのヒドロキシ基を有する部位を2つ含有する有機溶剤がより好ましく、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールが更に好ましい。
【0035】
本発明の液体洗浄剤組成物では、頑固な汚れに対する塗布洗浄力向上の目的で、(f)成分を0.1〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%、特に2〜10質量%含有することが好適である。
【0036】
[(g)成分]
本発明の液体洗浄剤組成物は、(g)成分として過酸化水素を含有し得る。本発明の液体洗浄剤組成物中の(g)成分の含有量は、好ましくは0.1〜6質量%、より好ましくは0.5〜5質量%、更に好ましくは1〜4.5質量%、特に好ましくは1〜3質量%である。このような範囲において、衿や袖口に付着した皮脂に由来する頑固な汚れに対して、より一層の洗浄効果を得ることができる。
【0037】
[その他の成分]
本発明の液体洗浄剤組成物は、(b)成分の非イオン界面活性剤及び(c)成分の陰イオン界面活性剤以外に、特許庁公報「周知・慣用技術集(衣料用粉末洗剤)」日本国特許庁、平成10年3月26日、P4〜22に記載されている、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤を含有し得る。
【0038】
本発明の液体洗浄剤組成物は、水希釈後の洗浄効果を向上させるために、特開2006−143907号に記載されるようなpHジャンプ基剤を含有し得る。
【0039】
本発明の液体洗浄剤組成物は、過酸化水素及び漂白活性化剤の安定性向上の観点から、ラジカルトラップ剤を含有し得る。ラジカルトラップ剤としては、フェノール系、すなわちフェノール性OH基を有する化合物、そのエステル誘導体やエーテル誘導体等の誘導体が好ましい。好適な例としては、ジメトキシフェノール、カテコール、ハイドロキノン、メトキシフェノール、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)等が挙げられる。
【0040】
その他に本発明の液体洗浄剤組成物は、ハイドロトロープ剤、シリコーン類、殺菌剤、酵素、香料等の任意成分を配合し得る。香料としては、例えば、特許公開2003−213295号段落0007〜0022に記載の香料を使用することができる。
【0041】
本発明の液体洗浄剤組成物は、20℃におけるpHが2〜9、好ましくは3〜8、更に好ましくは4〜7の領域において、優れた洗浄性能を発現する。特に、被洗浄物に対して希釈することなく直接接触させる洗浄方法において、上記の限られたpHに調整することによって、上皮脂や蛋白に由来する頑固な衿や靴下汚れに対して高い洗浄効果を与えることが出来る。
【0042】
[衣料の洗浄方法]
本発明の液体洗浄剤組成物は、洗濯槽に直接投入しても良いが、衣料に付着した汚れ(特に、衿や袖口に付着した皮脂や蛋白に由来する汚れ、黄ばみ汚れや、靴下汚れ)に対して直接接触させる、塗布用の液体洗浄剤組成物としても使用することができる。
【0043】
従って、本発明の衣料の洗浄方法は、液体洗浄剤組成物の原液を、衣料に付着した汚れに直接接触させる工程を包含する方法である。
【0044】
本発明の液体洗浄剤組成物の原液を、衣料に付着した汚れに、塗布等により直接接触させることにより非常に高い洗浄効果が得られる。
【実施例】
【0045】
実施例1〜7、比較例1〜4
下記配合成分を用い、表1に示す組成の液体洗浄剤組成物を調製した。得られた液体洗浄剤組成物について、下記方法で洗浄性能を評価した。結果を表1に示す。
【0046】
<配合成分>
(a)成分
・a−1;チノパールCBS−X(FWA−8、チバスペシャルティケミカルズ社製)
・a−2;チノパールTAS(FWA−102、チバスペシャルティケミカルズ社製)
(b)成分
・b−1;ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO平均付加モル数=11)
・b−2;炭素数10〜14の直鎖1級アルコールに対し、EOを平均6モル付加した後、POを平均2モル付加し、次いでEOを平均3モル付加させた、非イオン界面活性剤
・b−3;炭素数10〜14の直鎖2級アルコールに対し、EOを平均7モル付加させた、非イオン界面活性剤
(c)成分
・c−1;直鎖アルキル(炭素数12〜14)ベンゼンスルホン酸ナトリウム
・c−2;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(花王(株)製エマール20C)
(d)成分
・d−1;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(デイクエスト2010、ソルーシア社製)
・d−2;オルトリン酸
・d’−1;メチルグリシン二酢酸三ナトリウム(トリロンMリキッド、BASFジャパン社製)
・d’−2;エデト酸四ナトリウム(KK−07、中部キレスト社製)
その他成分
(e)成分
・e−1;水酸化ナトリウム
(f)成分
・f−1;エタノール
・f−2;プロピレングリコール
(g)成分
・g−1;過酸化水素
(h)成分
・h−1;香料
(i)成分
・i−1;イオン交換水
【0047】
<洗浄性能評価方法>
(1)衿汚れに対する洗浄性能
夏場3日間着用した綿/ポリエステル混紡ワイシャツの衿部分を裁断し、汚れの程度で衿片を3つのグループに分け、最も汚れた衿片を用い、洗浄評価に供した。30cm×30cmの綿布に洗浄評価用衿片を5枚縫付けたものを1枚用意し、洗濯機(ナショナル製洗濯機NA−F60E)の中で、洗浄剤組成物を衿片1枚に対し4ml塗布する(計20ml)。その後、洗濯機標準コースにて20℃、5°DH硬水の条件にて、洗剤は追加せずに洗浄を行った。自然乾燥後、定常作業にて訓練されたパネラー10人(30歳代の男性5人、女性5人)により、下記の基準で評価を行った。
1:満足できるレベルまで汚れが落ちている
2:汚れが残っているが、気にならない程度である
3:気になる程度に汚れが残っている
4:汚れがかなり残っている。
【0048】
(2)靴下汚れに対する洗浄性能
小学生低学年の男子10人に1日着用させ酷く汚れた靴下(グンゼ社製、サポート&クリーン、綿・アクリル・ポリエステル・ポリウレタン)2足を洗濯機(ナショナル製洗濯機NA−F60E)の中に入れ、洗浄剤組成物を靴下の汚れた部分に直接5ml/枚(計20ml)塗布した。その後、洗濯機標準コースにて20℃、5°DH硬水の条件にて、洗剤は追加せずに洗浄を行った。自然乾燥後、定常作業にて訓練されたパネラー10人(30歳代の男性5人、女性5人)により、下記の基準で評価を行った。
1:満足できるレベルまで汚れが落ちている
2:汚れが残っているが、気にならない程度である
3:気になる程度に汚れが残っている
4:汚れがかなり残っている
【0049】
<塗布洗浄後の蛍光増白剤のむら付き評価方法>
8cm×8cmに裁断した蛍光増白剤未染着木綿布(金巾#2023)を5枚用意し、それぞれの布に表1の洗浄剤組成物を0.4mlずつ塗布し、5分放置後、ターゴトメータにて洗剤は追加せずに洗浄を行った(水1L、硬度5°DH、水温20℃、80rpm、10分)。その後水道水で5分間流水すすぎを行い、脱水後室内で自然乾燥させた。
【0050】
上記衣料について、暗室のブラックライト下(東芝社製、FL20S−BLB)でむら付きの評価を下記の基準で10人のパネラー(30歳代男性5人、女性5人)により行った。それらの平均点を取り、平均点が3点以上4点以下を◎、2点以上3点未満を○、1.5以上2点未満を△、1.5未満を×として判定し、表1に示した。「1点」は屋内の蛍光灯下でも容易に分かるレベルである。
(むら付き判定基準)
むら付きが分からない 4点
むら付きがかすかに見える 3点
むら付きがやや見られる 2点
むら付きがよく分かる 1点
【0051】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)蛍光増白剤、(b)炭素数10〜20のアルキル基又はアルケニル基を1つ以上有し、かつポリオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基を有するポリエーテル型非イオン界面活性剤25〜80質量%、(c)陰イオン界面活性剤0.1〜15質量%、及び(d)ホスホン酸基を有するキレート剤を含有し、(b)成分/(c)の重量比が2〜500である、液体洗浄剤組成物。
【請求項2】
(a)成分/(d)成分の質量比が0.01〜100である、請求項1に記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
(a)成分/(b)成分の質量比が1/10000〜5/100である、請求項1又は2記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
(a)成分がスルホン酸基又はその塩を有する蛍光増白剤である、請求項1〜3いずれか記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
更に、(e)成分として無機アルカリ剤を含有する、請求項1〜4いずれか記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項6】
更に、(f)成分として有機溶剤を含有する、請求項1〜5いずれか記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項7】
更に、(g)成分として過酸化水素を含有する、請求項1〜6いずれか記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の液体洗浄剤組成物の原液を、衣料に付着した汚れに直接接触させる工程を包含する衣料の洗浄方法。

【公開番号】特開2008−189754(P2008−189754A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−24220(P2007−24220)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】