説明

液体滅菌剤を供給および計量するための方法および装置

【課題】 液体滅菌剤のような一定容量の液体をコンテナから気化装置内に計量供給するための装置および方法を提供する。
【解決手段】 上記の供給装置の動作方法は、付加的な液体滅菌剤の必要性を感知する工程と、当該液体滅菌剤が使用可能であるか否かを決定する工程と、当該液体滅菌剤をコンテナからアキュムレータ内に供給する工程とにより構成されている。さらに、気化装置内に液体滅菌剤を計量供給する方法は、当該気化装置に接続するチャンバー内を真空にする工程と、供給の流れを継続的に感知しながら液体滅菌剤を気化装置内に供給する工程とにより構成されている。この計量装置は緩やかで制御された流れを維持することにより、液体滅菌剤の気化効率を高め、ガス/液体境界面の正確な感知を実行可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の属する技術分野]
本発明は液体を供給および計量する装置および方法に関し、特に、コンテナから気化システムの中に液体滅菌剤を供給および計量する装置および方法に関する。この気化システムにより生成された蒸気またはガスは一般に滅菌処理および/または汚染除去用途に使用される。
【0002】
[従来の技術]
特定の装置または器具を滅菌処理するために、特に医療分野においては、この装置または器具が滅菌剤を蒸気化するチャンバーの中に入れられる。さらに、有効で効率的な滅菌処理を確実に行なうために、液体滅菌剤を正確に計量して、再現性良く計測した量を気化チャンバーの中に供給する必要がある。
【0003】
このような液体滅菌剤を気化チャンバーの中に計量して供給する従来法の一例として、密封セルから所定の使用量の液体滅菌剤を抽出する方法がある。すなわち、カセットが一群のこれらのセルを保持していて、各セルから一定の使用量を抽出するために、分配装置が各セルをそれぞれ穴あけして、空気圧により液体滅菌剤を穴あけしたセルから押し出す。
【0004】
しかしながら、このような方法には幾つかの不都合点がある。第1に、セルのカセットを使用することにより作業性の点で柔軟性に乏しくなる。その理由は、チャンバーの中に導入する液体滅菌剤の量が個々のセルの容積またはその倍数の量に制限されるためである。第2に、比較的多量の液体滅菌処理剤を必要とする多相または流動式の滅菌処理工程において、多数個のカセットが必要になり、この結果、この方法が作業性の点で柔軟でなくなるだけでなく、経済的および実用的な観点からも不都合である。さらに、液体滅菌剤(過酸化水素等)はガスや蒸気に変化しやすい。このような気化現象が起こると、各セルを排気しない限り、このガスや蒸気によりカセットセルが破裂するおそれがある。しかしながら、時間経過に伴って、この排気により滅菌剤の濃度が低下する。
【0005】
別の従来法においては、液体滅菌剤が液だめから気化チャンバーの中にポンプ供給される。この方法の重要な点は有効且つ効率的な滅菌処理を行なうために液体滅菌剤を適正に計量することである。このように液体滅菌剤の適正な量を計量する幾つかの制御機構が存在しており、例えば、ポンプ容積を直接制御すること、連続的な流れにおける1回の処理時間または分配時間を制御すること、出力ポンプを固定すること、および液体が液だめからポンプ供給されている時に液だめの減少量をモニターすること等が挙げられる。
【0006】
しかしながら、従来のカセット法の場合と同様に、この方法もまた液体滅菌剤の経時的な状態変化に伴う不都合点を有している。すなわち、既に述べたように、液体滅菌剤は経時的に状態変化してガスや蒸気を形成しやすい。そのため、ガス状に変化した滅菌剤により形成される気泡により上記の制御機構による効果、効率、および精度が損なわれる。例えば、気泡により、ストローク式ポンプは、一定の延長時間アイドリング状態に置かれた場合に、「蒸気ロック(vapor lock)」現象を生じる。さらに、一定の圧力または減圧条件において分配時間を制御することにより液体滅菌剤を計量する制御機構において、液体は気泡と共に不均一な状態で気化装置内に押し出される、または、吸引されるために、その処理効率および効果が著しく低下する。さらに別の例として、このようなガスや蒸気の形成により、液だめにおける減少量をモニターする制御機構の作用効果が低下する。すなわち、このような装置が一定の延長時間においてアイドリング状態に維持されると、その秤量器で計測した場合の液だめの減少量には、始動時に気化装置内に分配される分配管の中に形成されている気泡が算入されていない。
【0007】
液体滅菌剤が経時的にガスや蒸気に状態変化する場合に生じる不都合点に加えて、液体滅菌剤の計量を制御するために用いられていた従来の方法は、これらが高い注入速度および高圧処理に依存する場合に、さらに別の不都合を生じていた。すなわち、上記のような状態変化に伴う不都合点を回避するためには、従来の制御機構は高い注入速度および高圧を用いて液体滅菌剤をできるだけ迅速に分配する必要がある。しかしながら、このような高い注入速度および高圧は設備に過度の歪みを与えることになり、システム内の漏れを生じる場合がある。さらに、このような高圧に耐える特定種類の材料により設備を構成することによりシステム漏れを減少しようとすると、内部に含まれる物質により相容性の問題が生じる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、液だめから気化装置内に供給される液体滅菌剤を計量するシステム内に液体滅菌剤のコンテナを供給して計量する装置および方法が要望されている。この処理は高精度で再現性良く計量された量において行なわれる必要がある。さらに、システム漏れおよび材料相容性の問題を解消するために、比較的低い流速で一定の計量容積の液体滅菌剤を気化チャンバーの中に供給できる計量装置および方法が要望されている。従って、この目的を達成するために、上記の装置内に流量センサーを内蔵する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明により、コンテナから気化装置内に液体滅菌剤のような液体を供給および計量するための装置および方法が提供される。
【0010】
本発明の実施形態の一例において、上記の供給装置はコンテナから液体を受容するためのアキュムレータにより構成されている。さらに、この供給システムはアキュムレータ内の液体の量等のアキュムレータの所定の仕様条件を決定するためのセンサーを備えている。また、この供給システムはコンテナ内の液体が使用に適しているか否か等のコンテナについての所定の仕様条件を決定するための第2のセンサーを備えている。また、コンテナをキャリヤ内に装填するための供給機構が備えることができ、このキャリヤは放出機構により放出された後にオペレータにより開放される。さらに、アキュムレータ内にコンテナ内の液体を供給するための第2の供給機構を備えることができ、係止機構がアキュムレータ内への液体の供給時に第2の供給機構内においてコンテナを保持する。
【0011】
さらに、上記の供給装置の使用方法は、アキュムレータ内の液体が所定の仕様条件を満足するか否かを決定する工程と、その後に、コンテナをコンテナ供給装置内に装填する処理を促す信号を発生する工程とにより構成されている。その後、この供給装置はコンテナ内の液体が第2の仕様条件を満たすか否かを決定し、当該条件を満たす場合に、このコンテナ供給装置はコンテナを当該コンテナ供給装置内に装填することを容認する。コンテナがコンテナ供給装置内に装填されると、コンテナは係止されてコンテナ供給システム内に固定保持される。さらに、コンテナが係止されると、液体がコンテナからアキュムレータ内に供給される。
【0012】
上記計量装置の実施形態の一例において、本発明は一定計量容積の液体を気化装置に供給する計量チューブ内に液体を供給するためのアキュムレータにより構成されている。この計量装置は複数のバルブを使用しており、これらのバルブは装置内の流体の方向および流れを制御する。さらに、この計量装置は液体をアキュムレータから計量チューブに第1の流速で供給するための供給機構を備えている。さらに、第2の供給機構が液体を計量チューブから気化装置に第2の流速で供給し、この第2の流速は上記第1の流速よりも遅い。
【0013】
また、上記の計量装置の使用方法は、気化装置および計量チューブを排気する工程と、その後に、液体をアキュムレータから計量チューブに第1の流速で供給する工程とにより構成されている。その後、この計量装置は液体を計量チューブから気化装置に第2の流速で供給し、この第2の流速は上記第1の流速よりも遅い。これにより、この計量装置は緩やかで調整された流れを維持することができ、液体滅菌剤の高効率な気化、および空気/液体の境界領域の正確な感知を行なうことができる。
【0014】
[発明の実施の形態]
図面において、図1および図2はコンテナ供給装置を示している図であり、図3は図1および図2の装置内に装填可能なコンテナを示している図である。
【0015】
図1は閉鎖状態のコンテナ供給装置を概略的に示している図である。図示の実施形態において、この装置はコンテナ供給装置およびその一構造部分内に収容された計量装置を備えている。後に詳述する計量装置は供給パネル1の後方に収容されている。また、気化チャンバーはコンテナ供給装置の上方に配置されている前方パネル2の中に収容されている。維持管理、修復等の処理がサービス・パネル3または側面パネル4を介する接近により行なうことができる。コンテナ供給装置の外部構成部品として、蓋5、ラッチ6、ポケット・ハンドル7、および紐8が含まれる。
【0016】
図2は開口状態の同一の実施形態を示している図である。オペレータがポケット・ハンドル7を引っ張って紐8を装置の構造部分から引き離すことにより、滅菌剤、感染防止剤、または液体殺菌剤のような液体を入れたコンテナ9(図3に示すようなもの)を開口したキャリヤ10の中に装填できる。蓋5、コンテナ10、保護部分12、ラッチ6、ポケット・ハンドル7、および紐8から成るコンテナ・キャリヤ組立体11は装置を開口状態にした時に一定角度だけ回動して、蓋5が開いて、コンテナ9を供給用に中に入れることができるようになる。
【0017】
しかしながら、この好ましい実施形態においては、装置内に装填されるコンテナ9の中の液体が容認不可と判断された場合に、オペレータは供給装置を開口することができない。このようなコンテナ9内の液体の使用が容認可能であるか否かの決定は、例えば、コンテナ9に付着したバー・コード13を走査処理することにより行なえる。図3に示すように、バー・コード13は特定のコンテナ内に貯蔵される液体滅菌剤の関連データを示すデジタル化情報を含んでいる。すなわち、各コンテナ9にはコンテナの誤使用を防ぐために特定のバー・コード13が備え付けられている。その一例として、オペレータはコンテナ供給装置に、または当該装置の近くに取り付けた移動可能なバー・コード読取装置を使用して装填するコンテナ9のバー・コード13を走査できる。
【0018】
次に、図4において、ソレノイド15により制御されるラチェット14から成るインターロック機構が、コンテナ9内の液体が容認不可と決定された場合に、供給装置の開口を阻止する。一方、コンテナおよびその中の液体が容認可能であると決定された場合は、ソレノイド15が作動してラチェット14の係合が解除される。
【0019】
このインターロック機構の側面図を図2および図5に示す。保護部材12およびコンテナ・キャリヤ10に接続固定した軸受け16が水平トラック17の中に配置されている。図6に示すように、ラチェット14には、軸受け16およびコンテナ・キャリヤ10の横方向の移動を阻止するための形状を有する先端部18が設けられている。それゆえ、ラチェット14がソレノイド15により係合解除されて移動可能になっても、軸受け16の移動がラチェット14の先端部18により阻止された状態で維持される。このことを解消するために、オペレータはポケット・ハンドル7によりコンテナ・キャリヤ10を構造部分側に押す必要がある。このオペレータによるコンテナ・キャリヤ10の移動により、ラチェット14の先端部18が軸受け16を越えることを可能にする空隙部19が形成される。この空隙部19がオペレータによる軸受け16の移動により形成されると、ラチェット14は上方に回動して軸受け16を放出することにより、軸受け16がトラック17の中を横方向に移動する。
【0020】
図4および図5において、トラック17の中で自由に可能な状態の移動できる状態の軸受け16と共に、コンテナ・キャリヤ10から成るコンテナ・キャリヤ組立体11、紐8、アキュムレータ20、ブレード21およびスパイク組立体22、ポケット・ハンドル7、蓋5、およびラッチ6が回動軸23の周りを回動する。これと同時に、コンテナ・キャリヤ組立体11の全体がトラック17内の軸受け16の水平移動により案内されて横方向に移動する。さらに、トラック17の端部において軸受け16の横方向の移動が阻止されるために、コンテナ・キャリヤ組立体11のその後の横方向の移動および回動移動が阻止される。図7に示すように、軸受け16がトラック17の端部に到達すると、連結部材25上のピン24が位置40の周りに回動して棚部26上に支持されることにより、コンテナ・キャリヤ組立体11が係止される。好ましくは、コンテナ9の供給または非供給時または蓋5の上昇時中に、連結部材25はコンテナ・キャリヤ10を開口状態に維持する。また、別の実施形態においては、コンテナ・キャリヤ10は連結部材25により開口状態に係止されることなく動作できる。
【0021】
図4に戻って、コンテナ・キャリヤ10が完全に開口している時に、オペレータは一方の手でラッチ6を解除して蓋5を上昇し、キャップ27を付けたコンテナ9をコンテナ・キャリヤ10の中に入れて、蓋5をラッチ6により閉じる。この構成を図7に示しており、当該構成において、コンテナ9はコンテナ・キャリヤ10の中に挿入されている。この時点で、コンテナ9に穴は形成されておらず、キャップ27上のシール28が穴あけの待機状態になっている。このシール28に穴をあけるために、オペレータは連結部材25を押し下げてコンテナ・キャリヤ10の係止を解除することによりコンテナ・キャリヤ10を閉じてから、コンテナ・キャリヤ組立体11を内側に押し込む必要がある。この係止移動により、コンテナ9はスパイク組立体22の上に垂直下方に押し下げられる。これにより、スパイク組立体22のブレード21がコンテナ9のシール部28に穴あけする。コンテナ9のシール部28はラチェット14が軸受け16上に係止した後にのみ穴あけできる。さらに、コンテナ・キャリヤ組立体11が閉鎖状態で係止されているので、シール部28がスパイク組立体22により穴あけされた後にコンテナ9は後退することができない。
【0022】
シール部28がブレード21により穴あけされる時に、コンテナ9の内容物が重力に従ってアキュムレータ20の中に流れ込む。好ましい実施形態において、アキュムレータ20の容積はコンテナ9の容積よりも大きい。このシステムの重要な利点は装置がコンテナを手動装填するために重力に依存していることである。さらに、この装置はドアの閉鎖機構を利用してコンテナのシール部を穴あけしている。これらの2種類の特徴により、空気圧やソレノイドを用いてコンテナを上下動することによりシールを開口する構成よりもはるかに信頼性の高い構成を得ることができる。
【0023】
コンテナ・キャリヤ10が閉鎖状態になると、2個のセンサーがコンテナ9およびコンテナ9の中の液体を検出する。図4に示すコンテナ・センサー29はコンテナ9から流出する液体を検出してブレード21がシール28に穴あけしたことを確認する。さらに、容量センサー30がアキュムレータ20に流れ込む液体を検出し、比較的少ない容量の時点で液体を検出する。すなわち、アキュムレータ20が比較的少ない容量の段階である場合に、容量センサー30はオペレータにディスプレイを介して装置が新しいコンテナの装填を必要としていることを指示する。
【0024】
好ましい実施形態において、スパイク組立体22は図8に示すような開口機構を備えている。この開口機構31はスパイク組立体22の上部に固定されている。開口機構31は垂直に配置された2個の部材およびこれら2個の部材の間に備えられている分離部材32を備えている。一方の部材はブレード21であり、第1の穴あけ装置として作用して、スパイク組立体の垂直軸に対して一定の角度で配置できる。第2の部材はこの開口機構31における第2の穴あけ装置33である。従って、コンテナ・キャリヤ組立体11が閉鎖状態の時にコンテナがスパイク組立体上に下降すると、コンテナ9のシール部28がこのスパイク組立体22におけるブレード21および第2の穴あけ装置33により穴あけされる。この結果、ブレード21はシール部28に第1の開口部を形成し、第2の穴あけ装置33は第2の開口部を形成する。さらに、コンテナ9が下降すると、分離機構32がシール部28における第1の開口部と第2の開口部の間に割れ目を形成する。その後、コンテナ9がさらに押されて下降すると、分離機構32はその割れ目を拡大する。この処理により、スパイク組立体22における開口機構がコンテナ9のシール部28に十分な開口部を形成して、その中に収容されているあらゆる液体がさらに容易にアキュムレータ20の中に流れ込むことができるようになる。
【0025】
このコンテナ供給装置はコンテナ9およびアキュムレータ20の中の液体滅菌剤が使用可能であるか否かを信頼性良く決定して、その決定を使用者に通知するように構成されている。この場合に、アキュムレータ20の中の液体滅菌剤が容認不可であると決定されると、使用者は図9に示す後述のドレイン・コンテナ36にその液体滅菌剤を排出する。
【0026】
コンテナ9をコンテナ供給装置の中に装填して、液体滅菌剤をアキュムレータ20の中に移し終えると、計量装置が必要に応じて気化装置に液体滅菌剤を分配する。図9は計量装置の概略図であり、図10は計量装置の側面図である。この計量装置は過酸化水素のような液体滅菌剤の所定量を医療装置および器具の滅菌処理用の気化装置に信頼性良く移すことができるように構成されている。
【0027】
実施形態の一例において、上記の計量装置はソフトウエアにより制御されて、注入の必要な時に、一定量の液体過酸化水素のような液体滅菌剤を供給できる。すなわち、このソフトウエアにより、4個のバルブがチャンバー内で使用可能な真空状態と共にオン・オフ動作して、所定量の液体過酸化水素が計量チューブから気化装置に移動する。これらのバルブは図9においてバルブ1号71、バルブ2号72、バルブ3号73、およびバルブ4号74として示されている。
【0028】
図9および図10において、計量装置の一実施形態は計量チューブ90を備えており、このチューブ90の中に液体滅菌剤がアキュムレータ20から分配される。既に説明したように、アキュムレータ20の容量センサー30はアキュムレータ20内の液体滅菌剤の容量を指示することができる。比較的小径(例えば、1/4インチ)の分配チューブ85がアキュムレータ20の底部からバルブ1号71まで延在している。好ましい実施形態において、スクリーン87がアキュムレータ20と分配チューブ85との間(またはアキュムレータ20の中)に配置されていて、固形粒子の計量チューブ90中の通過を阻止する。バルブ1号71は計量チューブ90に接続している。第2のバルブであるバルブ3号73は空気供給源に接続していて、このバルブもまた計量チューブ90に接続している。この計量チューブ90の容積は一定である。さらに、この計量チューブ90は2個のバルブ、すなわち、バルブ2号72およびバルブ4号74に接続している。排出チューブ100はバルブ4号74から延出して容認不可の液体滅菌剤を排出可能にしている。また、注入チューブ105がバルブ2号72から気化装置110まで延在していて、この気化装置110内への液体滅菌剤の注入を可能にしている。さらに、気化装置110は減圧下に置かれる滅菌処理チャンバー115に接続している。
【0029】
図9に示すように、コンテナ供給装置はコンテナ9、アキュムレータ20、および計量装置を収容する第2のコンテナ34を備えている。これにより、コンテナ供給装置が漏れや溢れを生じた場合に、この第2のコンテナ34がこぼれた液体を閉鎖した装置内に保持する。
【0030】
図11は上記の計量装置の一実施形態により使用される計量方法の種々の状態を示す表である。状態1において、装置はアイドリング状態であり、4個のバルブ(すなわち、バルブ1号71、バルブ2号72、バルブ3号73、およびバルブ4号74)の全てが閉じている。状態2においては、バルブ2号72が開口して計量チューブ90が排気される。その後、状態3においてバルブ2号72を閉鎖してバルブ1号71を開口することによりアキュムレータ20からの液体滅菌剤により計量チューブ90が満たされる。次に、状態4において、先ずバルブ1号71を閉じてバルブ2号72を開口した後に、短い遅延時間を挟んで、バルブ3号73を開口することにより、液体滅菌剤が気化装置110の中に注入される。このように計量した液体滅菌剤を気化装置110の中に注入した後に、状態5において、流量センサー120がバルブ2号72を介して注入チューブ105内に入った空気を感知してバルブ3号73の閉鎖を促す。この時点で、計量処理が完了する。その後、バルブ2号72を閉鎖して、次の注入処理に備える。さらに、状態6は、アキュムレータ20の中の液体滅菌剤が使用不可であると決定された場合に、この滅菌剤をバルブ1号71およびバルブ4号74を開口することにより装置から排出する状態を示している。この使用不可の液体滅菌剤は重力によりアキュムレータ20から排出チューブ100を介してドレイン・コンテナ36の中に流れ込む。
【0031】
上記の実施形態において、注入チューブ105の寸法および直径はバルブ1号71および分配チューブ85の寸法および直径よりも小さい。例えば、バルブ1号71および分配チューブ85は1/4インチの直径を有していて、液体滅菌剤により計量チューブ90を比較的迅速に満たすことができる。同一の実施例において、バルブ2号72および注入チューブ105は1/16インチの直径を有している。このように比較的小さい直径にすることにより、流速を比較的小さくすることが可能になる。すなわち、気化装置内への流速が遅いほど、気化状態中に気化装置が加熱状態で維持可能になり、気化効率を最大に高めることができる。また、流速を遅くするほど、注入チューブ105の中の空気/液体の境界面を正確に感知できる。
【0032】
以上の各状態を通して、滅菌処理チャンバー115の内部が真空状態に維持される。例えば、状態2および状態3において、滅菌処理チャンバー内を真空状態にすると共に、計量チューブおよび注入チューブが排気されて、計量チューブが液体で満たされる。一方、状態4および状態5における液体滅菌剤の注入中においては、滅菌処理チャンバー115内の真空減圧処理がオフになる。また、状態6における排出処理中は、滅菌処理チャンバー115の真空状態はオンでもオフでもよい。なお、状態1において計量装置がアイドリング状態である時は、真空処理を常にオフにできる。このような滅菌処理チャンバー内で使用可能な真空状態を利用して液体滅菌剤を気化装置内に移動することにより、液体を気化装置に供給するためのポンプの使用が全く必要なくなる。
【0033】
以上、種々の実施形態に適用した場合の本発明の基本的な新規な特徴の図示、説明、および指摘を詳細に行なったが、例示の装置の形態および詳細部における種々の省略および置換および変更が当該技術分野の熟練者により本発明の趣旨および範囲に逸脱することなく行なうことが可能である。例えば、本発明を滅菌処理装置における使用について説明したが、もちろん、本発明による供給および計量のための装置および方法が所定量の液体をコンテナの中に分配する際の効率および効果を改善することが望まれる別の装置にも適用可能であることが当然に理解されると考える。
【0034】
本発明の実施態様は以下の通りである。
(A)コンテナ供給装置を介して液体をコンテナからアキュムレータ内に供給する方法において、
アキュムレータ内の液体が第1の所定の仕様条件を満足するか否かを決定する工程と、
コンテナをコンテナ供給装置内に装填することを促す信号を発生する工程と、
コンテナ供給装置を開放してコンテナを当該コンテナ供給装置内に装填可能な状態にする工程と、
コンテナをコンテナ供給装置内に装填する工程と、
コンテナ供給装置を閉鎖する工程と、
コンテナ供給装置を係止してコンテナを当該コンテナ供給装置内に固定する工程と、
液体をコンテナからアキュムレータ内に供給する工程とから成る方法。
(1)前記液体が殺菌剤である実施態様(A)に記載の方法。
(2)さらに、前記コンテナからアキュムレータへの液体の流速を感知する工程から成る実施態様(A)に記載の方法。
(3)前記液体をコンテナからアキュムレータ内に供給する工程が当該コンテナのシール部を穴あけする工程により構成されている実施態様(A)に記載の方法。
(4)前記コンテナのシールを穴あけする工程が前記コンテナ供給装置を閉鎖する工程と同時に行なわれる実施態様(3)に記載の方法。
(5)前記コンテナ供給システムが係止機構を備えているコンテナ・キャリヤ組立体により構成されている実施態様(A)に記載の方法。
【0035】
(6)前記コンテナ供給装置を開放して当該コンテナ供給装置の中にコンテナを受容する工程が、前記コンテナ・キャリヤ組立体をコンテナ供給装置に向けて押すことにより前記係止機構を解除する工程と、前記係止機構を解除した後に、コンテナ・キャリヤ組立体をコンテナ供給装置から引き出す工程とにより構成されている実施態様(A)に記載の方法。
(7)前記液体が第1の所定の仕様条件を満たしているか否かを決定する工程がアキュムレータ内の液体の容量を感知する工程により構成されている実施態様(A)に記載の方法。
(8)さらに、前記コンテナ内の液体が第2の所定の仕様条件を満たしているか否かを決定する工程から成る実施態様(A)に記載の方法。
(9)前記コンテナ内の液体が第2の所定の仕様条件を満たしているか否かを決定する工程が当該コンテナに対して特異的な認識手段を感知する工程により構成されている実施態様(8)に記載の方法。
(10)前記コンテナに対して特異的な認識手段がバー・コードである実施態様(8)に記載の方法。
【0036】
(11)前記第2の所定の仕様条件がロット・コード情報である実施態様(8)に記載の方法。
(B)液体をコンテナからアキュムレータ内に供給する供給装置において、
液体をアキュムレータ内に供給するためのコンテナと、
コンテナから液体を受容するためのアキュムレータと、
アキュムレータの第1の所定の仕様条件を決定する第1のセンサーと、
コンテナをコンテナ・キャリヤの中に装填するための第1の供給機構と、
コンテナの中の液体をアキュムレータの中に供給するための第2の供給機構と、
コンテナ・キャリヤを放出するための放出機構と、
供給装置内にコンテナを固定するための係止機構とから成る供給装置。
(12)前記液体が殺菌剤である実施態様(B)に記載の供給装置。
(13)前記コンテナが一定容量の液体を収容している実施態様(B)に記載の供給装置。
(14)前記アキュムレータの容量がコンテナの容量よりも大きい実施態様(B)に記載の供給装置。
(15)前記コンテナが液体をコンテナ内に保持するためのシール機構を備えている実施態様(B)に記載の供給装置。
【0037】
(16)さらに、前記コンテナのシール機構を開口するための開口機構を備えている実施態様(15)に記載の供給装置。
(17)前記第1のセンサーがアキュムレータ内の液体の容量を検出する実施態様(B)に記載の供給装置。
(18)さらに、前記コンテナの第2の所定の使用条件を決定するための第2のセンサーから成る実施態様(B)に記載の供給装置。
(19)前記第2のセンサーがバー・コード・スキャナである実施態様(18)に記載の供給装置。
(20)前記第2の所定の使用条件がロット・コード情報である実施態様(18)に記載の供給装置。
【0038】
(21)さらに、前記コンテナからアキュムレータ内に供給される液体の流速を検出するための第3のセンサーにより構成されている実施態様(18)に記載の供給装置。
(C)液体を収容するシール状態のコンテナおよび当該コンテナから液体を受容するためのアキュムレータにより構成されている液体供給装置における開口機構において、
コンテナを液体供給装置の中に装填する際に、コンテナのシール部を穴あけして第1の開口部を形成するように配置された第1の穴あけ装置と、
コンテナを液体供給装置の中に装填する際に、コンテナのシール部を穴あけして第2の開口部を形成するように、第1の穴開け装置に近接して配置された第2の穴あけ装置と、
第1の穴あけ装置および第2の穴あけ装置の間を接続する状態で配置されて、コンテナを液体供給装置の中に装填する際に、第1の開口部および第2の開口部の間に割れ目を形成してこの割れ目を拡大するための分離機構とから成る開口機構。
(D)液体を収容するコンテナのシール部を開口して、当該液体をアキュムレータの中に供給するための方法において、
コンテナをコンテナ供給装置の中に装填する工程と、
コンテナ供給装置を閉鎖する工程と、
コンテナ供給装置を閉鎖する時に、コンテナのシール部を穴あけすることにより当該シール部に第1の開口部を形成する工程と、
コンテナ供給装置を閉鎖する時に、コンテナのシール部を穴あけすることにより当該シール部に第2の開口部を形成する工程と、
コンテナ供給装置を閉鎖する時に、第1の開口部および第2の開口部の間に割れ目を形成する工程と、
コンテナ供給装置を閉鎖する時に、割れ目を拡大する工程とから成る方法。
(22)前記コンテナ供給装置の閉鎖時に、第1の穴あけ装置が前記シール部を穴あけして第1の開口部を形成する実施態様(D)に記載の方法。
(23)前記コンテナ供給装置の閉鎖時に、第2の穴あけ装置が前記シール部を穴あけして第2の開口部を形成する実施態様(D)に記載の方法。
(24)第1の穴あけ装置および第2の穴あけ装置が分離機構を介して接続している実施態様(D)に記載の方法。
(25)前記分離機構がコンテナ供給装置の閉鎖時に前記第1の開口部および第2の開口部の間に割れ目を形成し、さらに、コンテナ供給装置の閉鎖時に当該割れ目を拡大する実施態様(24)に記載の方法。
【0039】
(E)計量チューブを介してアキュムレータから気化装置内に液体を供給する方法において、
気化装置を排気する工程と、
計量チューブを排気する工程と、
液体をアキュムレータから計量チューブの中に第1の流速で供給する工程と、
液体を計量チューブから気化装置の中に第2の流速で供給する工程とから成り、当該第2の流速が第1の流速よりも遅い方法。
(26)前記液体が殺菌剤である実施態様(E)に記載の方法。
(27)さらに、前記計量チューブをアキュムレータから分離する工程から成る実施態様(E)に記載の方法。
(28)さらに、前記気化装置を計量チューブから分離する工程から成る実施態様(E)に記載の方法。
(29)さらに、前記計量チューブの内部をガスにより排出する工程から成る実施態様(E)に記載の方法。
(30)さらに、前記計量チューブおよび気化装置の間のガス/液体境界面を感知する工程から成る実施態様(E)に記載の方法。
【0040】
(F)計量チューブを介してアキュムレータから気化装置内に液体を供給する装置において、
液体を計量チューブに供給するためのアキュムレータと、
液体をアキュムレータから受容して、当該液体を気化装置に供給するための計量チューブと、
計量された容積の液体を計量チューブから受容するための気化装置と、
装置内の流体の方向および流速を制御する複数のバルブと、
液体をアキュムレータから計量チューブに第1の流速で供給するための第1の供給機構と、
液体を計量チューブから気化装置に第2の流速で供給するための第2の供給機構とから成り、当該第2の流速が第1の流速よりも遅い装置。
(31)前記液体が殺菌剤である実施態様(F)に記載の装置。
(32)さらに、ガスの供給源から成る実施態様(F)に記載の装置。
(33)さらに、前記ガス供給源から計量チューブにガスを供給するための第3の供給機構から成る実施態様(F)に記載の装置。
(34)さらに、前記計量チューブおよび気化装置の間のガス/液体境界面を検出するためのセンサーから成る実施態様(F)に記載の装置。
(35)さらに、前記アキュムレータから計量チューブ内に供給される液体の流れをフィルター処理するためのアキュムレータ内に備えられたスクリーンから成る実施態様(F)に記載の装置。
【発明の効果】
【0041】
従って、本発明によれば、液体滅菌剤を高精度で再現性良く計量供給することができ、従来におけるシステム漏れおよび材料相容性の問題を解消することのできる計量装置および方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】閉鎖状態のコンテナ供給装置の斜視図である。
【図2】開口状態のコンテナ供給装置の斜視図である。
【図3】液体滅菌剤を収容しているコンテナの斜視図である。
【図4】コンテナ供給の準備が整った開口状態のコンテナ供給装置の詳細な側面図である。
【図5】コンテナ供給装置に対応する放出機構の外部側面図である。
【図6】動作時における放出機構の詳細な側面図である。
【図7】コンテナを装填した開口状態のコンテナ供給装置の詳細な側面図である。
【図8】スパイク組立体の詳細な斜視図である。
【図9】計量装置の概略図である。
【図10】計量装置の詳細な側面図である。
【図11】計量装置の使用方法の一実施形態を説明するための表である。
【符号の説明】
【0043】
9 コンテナ
11 コンテナ・キャリヤ組立体
20 アキュムレータ
30 容量センサー
85 分配チューブ
90 計量チューブ
110 気化装置
115 滅菌処理チャンバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容するシール状態のコンテナおよび当該コンテナから液体を受容するためのアキュムレータにより構成されている液体供給装置における開口機構において、
コンテナを液体供給装置の中に装填する際に、コンテナのシール部を穴あけして第1の開口部を形成するように配置された第1の穴あけ装置と、
コンテナを液体供給装置の中に装填する際に、コンテナのシール部を穴あけして第2の開口部を形成するように、第1の穴開け装置に近接して配置された第2の穴あけ装置と、
第1の穴あけ装置および第2の穴あけ装置の間を接続する状態で配置されて、コンテナを液体供給装置の中に装填する際に、第1の開口部および第2の開口部の間に割れ目を形成してこの割れ目を拡大するための分離機構とから成る開口機構。
【請求項2】
液体を収容するコンテナのシール部を開口して、当該液体をアキュムレータの中に供給するための方法において、
コンテナをコンテナ供給装置の中に装填する工程と、
コンテナ供給装置を閉鎖する工程と、
コンテナ供給装置を閉鎖する時に、コンテナのシール部を穴あけすることにより当該シール部に第1の開口部を形成する工程と、
コンテナ供給装置を閉鎖する時に、コンテナのシール部を穴あけすることにより当該シール部に第2の開口部を形成する工程と、
コンテナ供給装置を閉鎖する時に、第1の開口部および第2の開口部の間に割れ目を形成する工程と、
コンテナ供給装置を閉鎖する時に、割れ目を拡大する工程とから成る方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−16812(P2012−16812A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140297(P2011−140297)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【分割の表示】特願2001−31461(P2001−31461)の分割
【原出願日】平成13年2月7日(2001.2.7)
【出願人】(591286579)エシコン・インコーポレイテッド (170)
【氏名又は名称原語表記】ETHICON, INCORPORATED
【Fターム(参考)】