説明

液体漏量測定装置

【課題】測点での流水量を多くの機器を用いずに簡易かつ正確に測定して業務の効率化を図ることができる液体漏量測定装置を提供する。
【解決手段】液体を流入する測定容器3と、測定容器3に流入した液体の重量を検出する重量検出部4と、測定結果を表示する表示部7と、液体を測定容器3に流入し始めてからの時間を計測する計時手段と、計時手段により計測された時間及び重量検出部4により検出された液体の重量に少なくとも基づき単位時間当たりの液体の流入量を算出する算出手段と、算出手段で算出された単位時間当たりの液体の流入量を表示部7に表示する表示手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダムなどの所定の測点における漏水量を測定する場合等に適した液体漏量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダムの所定の測点での漏水量の測定は、従来、大がかりな機械の搬送が困難であるため、測定に必要な各種機器、例えば、漏水を収集する測定容器、測定開始からの時間を計測するストップウォッチ、単位時間当たりの漏水量を計算するための電卓、暗所での作業が多くなることから手元や測定箇所を照らすための照明器具等を揃えて持ち運び、多くの測点を移動しながら測定を行うようにしている。このため、多くの機器を携帯する必要があるため、煩雑であり、また、漏水量を測定するために、測定容器を手で支えながら時間を測定したり、単位時間当たりの漏水量を計算する必要があるため、1人で作業しにくいものであった。
【0003】
このような不都合を改善するために、例えば、下記する特許文献1に示される技術を利用することも考えられる。これは、インスタント食品の調理時に調理時間を確認できるようにしたタイマ付き測定容器組立体に関するもので、測定容器の外周面に時間がチェックできるタイマを所定の結合手段により結合したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−26301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の構成においては、インスタント食品の調理時間を把握するためのものに過ぎず、タイマで所定時間が経過したことを確認したところで、測定容器にどの位の量が入っているのかを把握できず、単位時間あたりの漏水量を測定することはできない。また、タイマとして砂時計を用いるものであるため、測定時間が固定されており、収集する液体量を固定して、その液体量が得られるまでの時間を計測する場合には対応できないものであった。
したがって、上述のような測定容器を用いても漏水量を的確に測定できる構成にはなり得ないものであった。
【0006】
本発明は係る事情に鑑みてなされたものであり、測点での液体漏量を多くの機器を用いずに簡易かつ正確に測定して業務の効率化を図ることができる液体漏量測定装置を提供することを主たる課題としている。また、種々の計測パターンに対応でき、また、持ち運びに便利な液体漏量測定装置を提供することをも課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するために、本発明に係る液体漏量測定装置は、液体を流入する測定容器と、前記測定容器に流入した液体の重量を検出する重量検出部と、測定結果を表示する表示部と、前記液体を前記測定容器に流入し始めてからの時間を計測する計時手段と、前記計時手段により計測された時間及び前記重量検出部により検出された液体の重量に少なくとも基づき単位時間当たりの液体の流入量を算出する算出手段と、前記算出手段で算出された結果を前記表示部に表示する表示手段とを具備することを特徴としている。
【0008】
したがって、測点での漏水量を測定したい場合には、漏水を測定容器に流入させれば、計時手段により計測された時間及び重量検出部により検出された液体の重量に少なくとも基づき算出手段により単位時間当たりの液体の流入量が自動的に算出され、その結果が表示部に表示されるので、測定容器や、重量検出器、タイマ、計算機等を別々に揃えて持ち運ぶ必要がなくなり、また、これらの機器を作業者が別々に操作する必要もなくなる。
【0009】
ここで、計時手段は、液体を測定容器に流入し始める際にスタートボタンを押下することで計時を開始するものであっても、流体が測定容器に流入して重量検出部が反応し始めた時点から計時を開始するものであってもよい。
【0010】
また、前記重量検出部は、前記測定容器の下端部に設けられて前記測定容器に流入した液体を上部に載置させることにより前記液体の重量を検出するものであっても、前記測定容器の上部に設けられてこの測定容器を吊り下げることにより重量を検出するものであってもよい。
【0011】
上述した液体漏量測定装置は、計測時間を含む所定の測定モードを設定する操作部を備え、前記計時手段は、前記操作部により設定された計測時間になるまで計時するものであってもよい。
【0012】
このような構成によれば、所定の時間に収集された液体の重量が重量検出部で検出され、算出手段により単位時間当たりの液体の流入量が算出されるので、作業時間が測点によってばらつくことがなくなり、多くの測点で漏水量を測定する場合に適している。
【0013】
また、上述した液体漏量測定装置は、前記測定容器に収集される液体量を含む所定の測定モードを設定する操作部を設け、前記計時手段は、前記操作部により設定された液体量となる重量が前記重量検出部で検出されるまで計時するものであってもよい。
【0014】
このような構成によれば、漏水量が少ない箇所では、測定容器に収集される液体量を少なく設定しておき、漏水量が多い箇所では、測定容器に収集される液体量を多く設定しておくことで、測点毎の漏水量に見合った測定が可能となり、測定時間と測定精度をバランスさせることが可能となる。
【0015】
また、前記操作部に、液体の比重を設定する比重設定手段をさらに設け、前記算出手段において、前記比重設定手段により設定された液体の比重をさらに加味して単位時間当たりの液体の流入量を算出するようにしてもよい。
【0016】
被測定対象となる液体の成分が同じか大きくばらつくものでなければ、予め決まった比重で単位時間当たりの液体の流入量を算出すればよいが、油分が多い場合などでは、液体の比重を調整しないと正確な単位時間当たりの流入量が得られなくなるため、比重設定手段で設定された液体の比重を加味して単位時間当たりの液体の流入量を算出することが好ましい。
【0017】
尚、前記測定容器と他の部分とを着脱可能とし、前記測定容器を伸縮自在とすることで、測定装置の運搬を容易にすることが可能となる。また、暗所での作業や傾斜面や凹凸面での作業を想定し、発光器や水準器を一体に設けるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
以上述べたように、本発明に係る液体漏量測定装置は、測定容器に流入した液体の重量を検出する重量検出部と、液体を測定容器に流入し始めてからの時間を計測する計時手段と、計時手段により計測された時間及び重量検出部により検出された液体の重量に少なくとも基づき単位時間当たりの液体の流入量を算出する算出手段を設け、算出手段で算出された算出結果を表示部に表示するようにしたので、計測に必要な機器の機能を集約させることができ、従来のように計測に必要な各種機器を揃えて持ち運ぶ必要がなくなり、機器を揃えて携帯する煩わしさがなくなる。また、測定に必要な機能が集約されているので、1人の作業者によっても、容易に液体漏量を測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明に係る液体漏量測定装置の構成例を示す図であり、(a)はその側面図、(b)は取っ手側から見た正面図、(c)は取っ手上部を示す拡大図である。
【図2】図2は、本発明に係る液体漏量測定装置の操作部の各種ボタンを示す図である。
【図3】図3は、本発明に係る液体漏量測定装置の表示部の表示例を示す図である。
【図4】図4は、本発明に係る液体漏量測定装置の概要を示す機能ブロック図である。
【図5】図5は、本発明に係る液体漏量測定装置を用いて計測時間を設定した場合の計測(タイマ計測)の流れを示すフローチャートである。
【図6】図6は、本発明に係る液体漏量測定装置を用いて測定容器に収集される液体量を設定した場合の計測(定量計測)の流れを示すフローチャートである。
【図7】図7は、本発明に係る液体漏量測定装置の他の構成例を示す図であり、(a)はその側面図、(b)は平面図である。
【図8】図8は、測定容器とそれ以外の部分を離脱させた状態を示す図である。
【図9】図9は、測定容器とそれ以外の部分の着脱機構を示す図であり、(a)はその側面図、(b)はその平面図である。
【図10】図10は、図7に示す液体漏量測定装置において、伸縮可能な測定容器を縮小させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。本実施形態においては、ダム等の所定の測点における漏水量を測定する場合について説明する。
【0021】
図1において、液体漏量測定装置1は、測点から漏水した水を上端に開口した採取口2から流入して収集するプラスチック等の透明素材で構成された有底の測定容器3を有し、この測定容器3の下端部に、この測定容器3に流入した漏水の重量を検出する重量検出部4が設けられている。また、測定容器3の側面には、この測定容器3の丈に合わせて下端近傍から上端近傍にかけて付設され、取っ手5が一体に取り付けられた制御盤6が固設されている。
【0022】
この制御盤6は、その全体が半透明のプラスチック素材で構成され、内部に図示しないLEDが配設されて、このLEDを発光させることにより拡散光を測定容器内および測定容器3の上方に照射できるようにしている。また、制御盤6の取っ手5よりも上方の部分には、バックライト付きの液晶パネルで構成された表示部7が設けられ、制御盤6の取っ手5よりも下方の部分には前記LEDや、制御盤に内蔵された後述する制御ユニットに電力を供給するための電池を収容する電源部8が設けられている。さらに、取っ手5の上端面には水準器9や操作部10を構成する操作ボタンが設けられている。
尚、11は、USB端子、12は、メモリカードを挿着するカードスロット、13は、測定容器3の側面に付された確認用の目盛である。
【0023】
前記水準器9は、それ自体周知のもので、図1(c)に示されるように、エーテル等の液体を満たしたプラスチックやガラス製の透明測定容器9aの中に気泡9bを一つ入れ、この気泡9bを中央に表示された円9cの内側に位置させることで測定容器3を水平し、また重量検出部4を水平にすることができるようになっている。
【0024】
また、操作部10の操作ボタンは、図2に示されるように、測定開始の指示や測定終了後の表示をリセットするためのスタート・リセットボタン10aと、押下する毎にモードを「測定モード」⇒「時間モード」⇒「水量モード」⇒「比重モード」⇒「各種設定」に遷移させるモード切替ボタン10bと、各モードにおける選択カーソルを移動させるために左右に傾動させる左右方向キー10C、任意設定時の数値を入力するために上下に傾動させる上下方向キー10C、及び、選択した内容や入力した内容を決定するために押下する中央部分に配された決定キー10Cを一体化させた条件設定ボタン10cとから構成されている。
【0025】
表示部7は、図3に示されるように、現在の日時、計測時間、単位時間(1分)当たりの漏水量、測定モード、時間モード、水量モード、比重モードが表示されると共に、各種設定を選択するための設定項目が表示される。ここに表示される測定モード、時間モード、水量モード、比重モード、各種設定の選択は、前記モード切替スイッチ10bを操作して表示部7に表示されるカーソルを移動させることにより行われ、また、各モードでの設定内容や各種設定での設定事項は、条件設定ボタン10cの左右方向キー10Cや上下方向キー10Cを操作して選択または入力し、決定キー10Cを押下することで決定される。
【0026】
ここで、測定モードは、水量測定時に使用するモードであり、水量測定を行う場合に設定する。
【0027】
また、時間モードは、測定時間を設定するモードであり、このモードでは、条件設定ボタン10cを操作することにより、所定の定量になるまでの時間を測定する定量設定とするか、測定時間を5分、10分、20分、30分、60分のいずれかに選択できるようにしている。
【0028】
水量モードは、前記「時間モード」で「定量」が選択された場合に測定容量を設定するモードであり、このモードでは、条件設定ボタン10cを操作することにより、設定容量を既定量(例えば、1リットル)、0.5リットル、0.1リットルのいずれかに選択するか、任意の量を設定できるようにしている。
【0029】
比重モードは、測定対象となる液体の種別毎に比重を設定するモードであり、このモードでは、条件設定ボタン10cを操作することにより、既定の比重(被測定対象が水である場合を想定して、1としている)にするか、任意の比重に設定できるようにしている。
【0030】
各種設定は、本測定装置の各種設定を行うモードであり、条件設定ボタン10cを操作することにより、本体カレンダーの年月日時刻を設定する「時刻」、重量検出部の0点を設定する「0点調整」、制御盤6に内蔵された内蔵メモリーに記録したデータの部分削除,全削除のほか,外部出力(USB,外部メディア)を操作する「メモリー操作」のいずれかを選択できるようにしている。
【0031】
尚、前述した重量検出部4、制御盤6に内蔵されたLED15、表示部7、操作部10、内部メモリ16は、図4に示されるように、制御盤6に内蔵された制御ユニット17に接続されている。この制御ユニット17は、CPU、ROM、RAM等のハードウェアと所定のプログラムソフトとの協働により、測定に必要な各種情報処理や測定装置各部の制御等を行うもので、前記電源部8からの電力の供給を受けて動作し、LED15を図示しないスイッチの投入により発光させたり、操作部10による操作ボタンの操作に基づき、測定条件を設定してその内容を表示部7に表示させたり、重量検出部4により検出された測定容器内の漏水の重量から単位時間当たりの漏水量を算出し、その結果を表示部7に表示させたり、測定結果を逐次内部メモリ16へ記録したり、操作部10の操作により記録された測定結果を削除したりする等の処理を行うようになっている。
【0032】
以上の構成において、次に予め測定時間を設定して単位時間当たりの漏水量を測定するタイマ計測の場合の動作例を、図5に示すフローチャートに基づき説明する。
この例では、予め測定時間を設定して、その時間内に測定容器3内に貯められた漏水の重量から漏水の比重を考慮して単位時間当たりの流入量(漏水量)を算出するもので、先ず、モード切替ボタン10bを押下して「時間モード」を選択し、条件設定ボタン10cの左右方向キー10Cを操作して、測定したいプリセット値の秒数を、その秒数の位置にカーソルを合わせ、しかる後に中央の決定キー10Cを押下して選択する(S01)。
【0033】
次に、モード切替ボタン10bを押下して「比重モード」を選択し、条件設定ボタン10cの左右方向キー10Cを操作して水の場合は「既定」,その他の液体の場合は「任意」の位置にカーソルを合わせ中央の決定キー10Cを押す。なお,「任意」を選択した場合は,引続き上下方向キー10Cを操作して測定対象の液体の比重を入力する(S02)。
【0034】
その後、モード切替ボタン10bを押下して「測定モード」を選択し、測定ができる状態とし、「スタート・リセット」ボタンを押下して漏水を測定容器3内に入れて測定を開始する(S03)。
すると、重量検出部4が重量を感知すると同時に計測がスタートし,設定された計測時間が経過するまで計測を継続し、計測時間が経過した時点で測定が完了する(S04)。計測がスタートした際と測定が完了した際にはビーブ音を発生させるようにしてもよい。
【0035】
そして、重量検出部4で得られた漏水の重量から設定した比重を基に漏水量を算出し、これを測定時間で割ることで、単位時間あたり(1分あたり)の漏水量が自動計算され、その結果が表示部7に表示される(S05)。
【0036】
また、上述の構成を用いて予め測定容器3で収集する漏水量を設定して、単位時間当たりの漏水量を測定する定量計測の場合の動作例を、図6に示すフローチャートに基づき説明する。
この例では、予め測定容器3で収集する漏水量を設定しておき、その漏水量に至るまでの時間から漏水の比重を考慮して単位時間当たりの流入量(漏水量)を算出するもので、先ず、モード切替ボタン10bを押下して「時間モード」を選択し、条件設定ボタン10cの左右方向キー10Cを操作して、「定量」の位置にカーソルを合わせ、しかる後に中央の決定キー10Cを押下する(S11)。
【0037】
次に、モード切替ボタン10bを押下して「水量モード」を選択し、「既定」の水量か、測定箇所の漏水量に見合うプリセット値の水量を設定する(S12)。尚、水量を任意設定する場合には、「任意」の位置にカーソルを合わせ中央の決定キー10Cを押し、その後、引続き上下方向キー10Cを操作して測定容量を入力する。
【0038】
また、モード切替ボタン10bを押下して「比重モード」を選択し、条件設定ボタン10cの左右方向キー10Cを操作して水の場合は「既定」,その他の液体の場合は「任意」の位置にカーソルを合わせ中央の決定キー10Cを押す。なお,「任意」を選択した場合は,引続き上下方向キー10Cを操作して測定対象の液体の比重を入力する(S13)。
【0039】
その後、モード切替ボタン10bを押下して「測定モード」を選択し、測定ができる状態とし、「スタート・リセット」ボタンを押下して漏水を測定容器3内に入れて測定を開始する(S14)。
すると、重量検出部4が重量を感知すると同時に計測がスタートし,設定された漏水量となるまで計測を継続し、設定された漏水量が流入された時点で測定が完了する(重量検出部4で得られた漏水の重量と設定した比重とから算出された漏水量が設定した容量と一致した場合に測定が完了する)(S15)。計測がスタートした際と測定が完了した際にはビーブ音を発生させるようにしてもよい。
【0040】
そして、設定した漏水量を測定時間で割ることで、単位時間あたり(1分あたり)の漏水量が自動計算され、その結果が表示部7に表示される(S16)。
【0041】
したがって、上述の構成によれば、液体漏量測定装置1に重量検知機能、計時機能、単位時間当たりの漏水量演算機能等を持たせて、測点での漏水量を測定する場合には、漏水を測定容器3に流入させるだけで、単位時間当たりの液体の流入量が自動的に算出され、その結果が表示部7に表示されるので、測定容器や、重量検出器、タイマ、計算機等を別々に揃えて持ち運ぶ必要がなくなり、また、これらの機器を作業者が個別に手で持って操作する必要もなくなるため、1人でも容易に作業を行うことが可能となる。
【0042】
また、上述の構成においては、時間を設定して測定するタイマ計測と、測定容器3で収集する液体量を設定して測定する定量計測とを選択することができるので、タイマ計測を利用することで、作業時間が測点によってばらつくことがなくなり、多くの測点で漏水量を測定する場合に有効である。
【0043】
また、定量計測を利用することで、漏水量が少ない箇所では、測定容器3に収集される液体量を少なく設定し、また、漏水量が多い箇所では、測定容器3に収集される液体量を多く設定することができ、測点毎の漏水量に見合った測定条件を設定して測定時間と測定精度とをバランスさせることができる。たとえば、漏水量が少ない場合には、測定容器3に収集される液体量を多く設定しておくと、測定精度は良くなるが、測定が完了するまでの時間が長くかかり、また、漏水量が多い場合には、測定容器3に収集される液体量を少なく設定しておくと、測定が完了するまでの時間は短くなるが、測定精度が悪くなる不都合があるので、測点の漏水量に応じて測定容器3に収集する液体量を適宜調整することで測定時間の短縮と良好な測定精度とを両立させることが可能となる。
【0044】
また、上述の構成においては、液体の比重を設定し、これに基づき単位時間当たりの漏水量を算出するようにしているので、漏水の成分に応じた漏水の比重を設定することで、より正確に単位時間当たりの漏水量(単位時間当たりの測定容器3への流入量)を算出することが可能となる。
【0045】
さらに、上述の構成においては、LEDにより測定容器内および測定容器の上方が照らされ、また、表示部7がバックライトで照らされるので、暗所での作業にも対応でき、また、水準器9を備えているので、傾斜面や凹凸面での作業においても測定容器3(重量検出部4)を水平状態に保持して、正確な測定を確保することが可能となる。
【0046】
以上の構成においては、重量検出部4を測定容器3の下端部に配設し、測定容器3に収集した漏水を重量検出部4の上部に載置させることで漏水の重量を測定するものであったが、図7,8に示されるように、取っ手5が一体に設けられた制御盤6を測定容器3の上端に設け、また、この制御盤6に重量検出部4を設け、この重量検出部4に測定容器3を吊り下げることで重量を検出するようにしてもよい。
【0047】
より具体的には、重量検出部4の下端に、図9にも示されるように、フランジ部4aを設け、測定容器3の上端に前記フランジ部4aを係止する固定用鍵爪3aを設け、この固定用鍵爪3aにフランジ部4aをスライドさせて係止させることで測定容器3を重量検出部4に吊り下げるようにしている。また、この例では、測定容器3の上端を覆うように制御盤6が取り付けられるので、漏水を測定容器内に流入させるための採取口2が、上端前方に設けられている。
【0048】
さらに、この例においては、制御盤6が測定容器3の上端に着脱可能となっており、また、測定容器3は、それ自体が伸縮できるように周壁が蛇腹状に形成されている。尚、他の構成は前記構成例と同様であるので、同一箇所に同一符号を付して説明を省略する。
【0049】
このような構成においては、前述した構成例と同様の作用効果を有すると共に、測定容器3が制御盤6に対して吊下げ式となっているので、測定箇所の条件に合わせて、測定容器3のみを取り換えて測定容器3の大きさや採取口2の大きさを変更することが可能となる。また、測定容器3は伸縮可能であるため、運搬時に折り畳んで持ち運ぶことが可能となり、運搬も容易となる。
【0050】
尚、上述の構成においては、ダムでの漏水量を測定する場合の例を示したが、このような用途に限るものではなく、液体の漏量を測定する他の箇所においても同様に適用可能である。
また、上述の測定装置において、測定結果を内部メモリ16に逐次保存しておき、保存した過去の測定結果を操作部10の操作で表示部7に閲覧可能に表示させることで、測定記録野帳の携行を不要にしたり、データ容量がメモリ容量を超えた場合に、古いデータから順次削除して新規データを追加記録させることで、古いデータの削除操作を不要にする機能を付加するようにしてもよい。さらに、外部の端末装置にUSB端子11を介して接続し、内部メモリのデータを出力可能にしても、カードスロット12に挿着される外部メディアにデータを記録させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 液体漏量測定装置
3 測定容器
4 重量検出部
6 制御盤
7 表示部
10 操作部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を流入する測定容器と、前記測定容器に流入した液体の重量を検出する重量検出部と、測定結果を表示する表示部と、前記液体を前記測定容器に流入し始めてからの時間を計測する計時手段と、前記計時手段により計測された時間及び前記重量検出部により検出された液体の重量に少なくとも基づき単位時間当たりの液体の流入量を算出する算出手段と、前記算出手段で算出された結果を前記表示部に表示する表示手段とを具備することを特徴とする液体漏量測定装置。
【請求項2】
計測時間を含む所定の測定モードを設定する操作部を備え、前記計時手段は、前記操作部により設定された計測時間になるまで計時するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の液体漏量測定装置。
【請求項3】
前記測定容器に収集される液体量を含む所定の測定モードを設定する操作部を設け、前記計時手段は、前記操作部により設定された液体量となる重量が前記重量検出部で検出されるまで計時するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の液体漏量測定装置。
【請求項4】
前記操作部には、前記液体の比重を設定する比重設定手段をさらに備え、前記算出手段は、前記比重設定手段により設定された液体の比重をさらに加味して単位時間当たりの液体の流入量を算出するものであることを特徴とする請求項3又は4記載の液体漏量測定装置。
【請求項5】
前記測定容器と他の部分とは着脱可能であり、前記測定容器は伸縮自在であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の液体漏量測定装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−271092(P2010−271092A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121514(P2009−121514)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】