説明

液体着色懸濁液

ポリカルボキシレート分散剤、顔料およびチキソトロープ添加剤を含む、セメント質組成物のための液体着色懸濁液を提供する。液体着色懸濁液は、セメント質組成物の色を向上させ、水分を減少させ、時間と共に一層粘性とならない点で、長期間の安定性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
顔料は、コンクリート、モルタルおよびセメントペーストにおけるこの使用に関連して、不溶性であり、コンクリート成分に不活性であり、製品に特定の色を付与する、微細な乾燥粉末、乾燥顆粒、水性懸濁液または粉末もしくは顆粒のスラリーとして定義される。顔料の色を、3種の特性:色調、明度および色度に関して記載することができ、これは、顔料の純度(酸化物含量)および明るさの指標となる。
【0002】
乾燥形態の顔料は、粒子の凝結体として存在する。凝結体が崩壊し、コンクリート、モルタルおよびセメントペースト中に分散する容易さは、粒子間の引力が減少する程度に依存する。顔料の着色作用は、混合物中のセメントおよび微細な凝結体上の汚れの程度に依存する。従って、セメントおよび微細な凝結体含量は、達成される着色の程度に顕著に影響する。
【0003】
顔料の用量により、典型的にスランプが低下し、水要求およびセメント質組成物の尚早な剛化が増大し、一瞬での硬化が生じ得る。しかし、スランプを増大させることにより、追加の水が加えられたセメント質混合物の粘度が減少するが、一般的に、混合物の水分が高くなるに従って、最終的な色は明るくなる。また、増大した水分により、得られたセメント質組成物の強度は低下する。
【0004】
従って、色を改善し、スランプに対する影響が増大したかまたは有せず、セメント質組成物の水要求に対する影響が低下したかまたは有しない分散剤および顔料を含む液体着色懸濁液を含む着色セメント質組成物を提供するのが望ましい。従って、水分を増大させるかまたはスランプを低下させずにセメント質組成物の色を改善する液体着色懸濁液が、工業において有利である。
【0005】
Willの米国特許第5,853,476号には、圧縮無機顆粒を用いてセメント質系を着色する方法であって、圧縮無機顆粒が無機顔料および非ポリカルボキシレート分散助剤を含む、前記方法が開示されている。
【0006】
Grailの米国特許第4,514,947号には、セメント、シリカ砂、酸化鉄顔料、アクリル系ポリマー樹脂、消泡剤および水を含む物体の組成物製の、ある形状に成形された屋根タイルが開示されている。
【0007】
De Witteの米国特許第4,714,781号には、水、酸化鉄顔料および非ポリカルボキシレート分散助剤、例えばクエン酸および酒石酸の水溶性塩製の、酸化鉄スラリーおよび懸濁液が開示されている。
【0008】
概要
水要求を増大せずに、セメント質組成物の色を改善する、液体着色懸濁液を提供する。この液体着色懸濁液は、ポリカルボキシレート分散剤、顔料およびチキソトロープ添加剤を含む。
【0009】
水硬性セメントおよび液体着色懸濁液を含む着色セメント質組成物を提供し、ここで、この液体着色組成物は、ポリカルボキシレート分散剤、顔料およびチキソトロープ添加剤を含む。
【0010】
着色セメント質組成物の製造方法であって、水、水硬性セメントおよび液体着色懸濁液の混合物を形成することを含む、前記方法を提供し、ここで、この液体着色懸濁液は、ポリカルボキシレート分散剤、顔料およびチキソトロープ添加剤の成分を含む。
【0011】
詳細な説明
長期間安定性を有し、セメント質組成物の水分および粘度を減少させ、混合物中にわたる顔料の分散を改善することにより色を向上させる液体着色懸濁液を、提供する。
【0012】
液体着色懸濁液を含むセメント質組成物および、このような着色セメント質組成物の新規な製造方法もまた、提供する。
【0013】
ポリカルボキシレート分散剤は、水硬性セメント質組成物においてセメントを分散させ、水分を減少させるにあたり、有効である。これらの分散剤は、セメント粒子に結合し、静電的および立体的反発力の両方を発生させることにより作用し、これにより粒子が離間して維持され、一層流動性の系が得られる。
【0014】
本明細書中を通して用いられるポリカルボキシレート分散剤の用語は、ペンダント側鎖を有する炭素主鎖を有するポリマーを意味し、ここで、側鎖の少なくとも一部は、主鎖に、カルボキシル基またはエーテル基により結合している。分散剤の用語はまた、また可塑剤、水減少剤、流動化剤、凝集防止(antiflocculating)剤またはセメント質組成物のための超可塑剤(superplasticizer)として機能する当該化学物質を含むことを意味する。ポリカルボキシレート分散剤の例は、
【表1】

中に見出すことができ、これをすべて、参照により本明細書中に導入する。
【0015】
1つの態様において、液体着色懸濁液組成物は、液体着色懸濁液の合計の乾燥重量を基準として、約1%〜約10%のポリカルボキシレート分散剤を含む。他の態様において、液体着色懸濁液組成物は、液体着色懸濁液の合計の乾燥重量を基準として、約1.5%〜約7.5%のポリカルボキシレート分散剤を含む。他の態様において、セメント質組成物は、セメント質バインダーの合計の乾燥重量の、約0.01%〜約0.2%のポリカルボキシレート分散剤を含む。さらなる態様において、セメント質組成物は、セメント質バインダーの合計の乾燥重量の、約0.02%〜約0.15%のポリカルボキシレート分散剤を含む。
【0016】
液体着色懸濁液において用いられる分散剤は、分散剤式a)〜j):
a)式(I):
【化1】

ここで、式(I)中、
Xは、水素、アルカリ土類金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオンまたはアミンの少なくとも1つであり;
Rは、C〜Cアルキル(エン)エーテルもしくはこれらの混合物またはC〜Cアルキル(エン)イミンもしくはこれらの混合物の少なくとも1つであり;
Qは、酸素、NHまたは硫黄の少なくとも1つであり;
【0017】
pは、直鎖状側鎖または分枝状側鎖の少なくとも1つを生じる1〜約300の数であり;
は、水素、C〜C20炭化水素あるいは−OH、−COOH、−COOHのエステルもしくはアミド誘導体、スルホン酸、スルホン酸のエステルもしくはアミド誘導体、アミンまたはエポキシの少なくとも1つを含む官能化された炭化水素の少なくとも1つであり;
Yは、脱泡剤として機能する水素、アルカリ土類金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、アミン、疎水性炭化水素またはポリアルキレンオキシド部分の少なくとも1つであり;
【0018】
m、m’、m”、n、n’およびn”は、各々独立して、0または1〜約20の整数であり;
Zは、i)少なくとも1つのアミンおよび1つの酸性基、ii)主鎖中に導入することができ、二酸無水物類、ジアルデヒド類および二酸塩化物類からなる群から選択された2つの官能基、またはiii)イミド残基の少なくとも1つを含む部分であり;かつ
ここで、a、b、cおよびdは、各々の単位のモル分率を反映し、ここで、a、b、cおよびdの合計は、1に等しく、ここで、a、b、cおよびdは、各々、0よりも大きいか、または0に等しく、1よりも小さい値であり、a、b、cおよびdの少なくとも2つは、0よりも大きい、
で表される分散剤;
【0019】
b)式(II):
【化2】

ここで、式(II)中:
Aは、COOMであるか、または、随意に、「y」構造において、酸無水物基(−CO−O−CO−)が、A基が結合する炭素原子の間でA基の代わりに形成して、酸無水物を形成し;
Bは、COOMであり、
【0020】
Mは、水素、遷移金属陽イオン、疎水性ポリアルキレングリコールもしくはポリシロキサンの残基、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、第一鉄イオン、アルミニウムイオン、(アルカノール)アンモニウムイオンまたは(アルキル)アンモニウムイオンであり;
Rは、C2〜6アルキレン基であり;
R1は、C1〜20アルキル、C6〜9シクロアルキルまたはフェニル基であり;
x、yおよびzは、0.01〜100の数であり;
mは、1〜100の数であり;
nは、10〜100の数である、
で表される分散剤;
【0021】
c)i)式RO(AO)Hで表され、式中Rは、C1〜20アルキル基であり、Aは、C2〜4アルキレン基であり、mは、2〜16の整数である化合物との無水マレイン酸半エステル;および
ii)式CH=CHCH−(OA)ORを有し、式中nは、1〜90の整数であり、Rは、C1〜20アルキル基であるモノマー
のコポリマーの形態を有する少なくとも1種のポリマーまたはこの塩を含む分散剤;
【0022】
d)5〜98重量%の以下の一般式(1):
【化3】

式中、Rは、水素原子またはメチル基を意味し、ROは、1種の種または、混合物の2種もしくは3種以上の種を、ブロック形態もしくはランダム形態のいずれかで加えることができる場合には、2〜4個の炭素原子を有するオキシアルキレン基の2種もしくは3種以上の種の混合物を意味し、Rは、水素原子または1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、mは、1〜100の範囲内の整数である、オキシアルキレン基の平均の付加モル数を示す値である、
により表される(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a)、95〜2重量%の上記の一般式(2)、式中、RおよびRは、各々独立して、水素原子またはメチル基であり、Mは、水素原子、1価の金属イオン、2価の金属イオン、アンモニウム基または有機アミン基を意味する、により表される(メタ)アクリル酸モノマー(b)並びに0〜50重量%のこれらのモノマーと共重合可能な他のモノマー(c)を共重合させることにより得られ、ただし、(a)、(b)および(c)の合計量は、100重量%である分散剤;
【0023】
e)ポリカルボン酸またはこの塩であり、オリゴアルキレングリコール類、ポリアルコール類、ポリオキシアルキレンアミン類およびポリアルキレングリコール類からなる群から選択された少なくとも1種の種から誘導される側鎖を有するグラフトポリマー;
【0024】
f)式(III):
【化4】

ここで、式(III)中:
D=構造d1、構造d2からなる群から選択された成分およびこの混合物であり;
X=H、CH、C〜Cアルキル、フェニル、p−メチルフェニルまたはスルホン化フェニルであり;
Y=Hまたは−COOMであり;
R=HまたはCHであり;
Z=H、−SOM、−POM、−COOM、n=2〜6である−O(CHOR、−COORまたはn=0〜6である−(CHOR、−CONHR、−CONHC(CHCHSOM、n=2〜6である−COO(CHROHまたはn=2〜6である−O(CHORであり;
【0025】
、R、R、Rは、各々独立して、オキシエチレン単位およびオキシプロピレン単位の−(CHRCHO)ランダムコポリマーであり、ここで、m=10〜500であり、ここで、ランダムコポリマー中のオキシエチレンの量は、約60%〜100%であり、ランダムコポリマー中のオキシプロピレンの量は、0%〜約40%であり;
=H、メチル、C〜約Cアルキルまたは約C〜約C10アリールであり;
M=H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アミン、トリエタノールアミン、メチルまたはC〜約Cアルキルであり;
a=0〜約0.8であり;
b=約0.2〜約1.0であり;
c=0〜約0.5であり;
d=0〜約0.5であり;かつ
ここで、a、b、cおよびdが各々の単位のモル分率を表し、a、b、cおよびdの合計が、1.0である、
で表される分散剤;
【0026】
g)式(IV):
【化5】

ここで、式(IV)中:
「b」構造は、カルボン酸モノマー、エチレン系不飽和モノマーまたは、それぞれ基YおよびZが結合している炭素原子の間で基YおよびZの代わりに酸無水物基(−CO−O−CO−)が形成する無水マレイン酸の1つであり、「b」構造は、ペンダントエステル結合を有する少なくとも1つの部分およびペンダントアミド結合を有する少なくとも1つの部分を含まなければならず;
【0027】
X=H、CH、C〜Cアルキル、フェニル、p−メチルフェニル、p−エチルフェニル、カルボキシル化フェニルまたはスルホン化フェニルであり;
Y=H、−COOM、−COOHまたはWであり;
W=式RO−(CHCHO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)により表され、式中s、tおよびuは、0〜200の整数であり、ただし、t>(s+u)である疎水性脱泡剤であり、ここで、疎水性脱泡剤の合計量は、ポリカルボキシレート分散剤の約10重量%よりも小さい量で存在し;
Z=H、−COOM、n=2〜6である−O(CHOR、−COOR、n=0〜6である−(CHORまたは−CONHRであり;
【0028】
=HまたはCHであり;
、Rは、各々独立して、一般式−(CH(R)CHO)で表され、式中m=10〜500であるオキシエチレン単位およびオキシプロピレン単位のランダムコポリマーであり、ここで、ランダムコポリマー中のオキシエチレンの量は、約60%〜100%であり、ランダムコポリマー中のオキシプロピレンの量は、0%〜約40%であり;
=H、メチルまたはC〜Cアルキルであり;
=C〜C18アルキルまたはC〜C18アルキルアリールであり;
M=アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、アミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、イミダゾールであり;
a=0.01〜0.8であり;
b=0.2〜0.99であり;
c=0〜0.5であり;かつ
ここで、a、b、cは、各々の単位のモル分率を表し、a、bおよびcの合計は、1である、
で表される分散剤;
【0029】
【化6】

h)遊離酸または塩形態での、以下の式(V)に相当し、以下のモノマー単位およびモノマー単位の数:
式中、Aは、部分(i)または(ii)
【化7】

から選択されており、
式中、RおよびRは、置換ベンゼン、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキルカルボニル、C1〜8アルコキシ、カルボキシル、水素および環から選択され、RおよびRは、水素およびC1〜4アルキルからなる群から選択され、ここで、RおよびRは、Rおよび/またはRがC1〜4アルキルである際には、Rおよび/またはRと一緒に環を形成することができ;
【0030】
、R、RおよびR10は、個別に、水素、C1〜6アルキルおよびC2〜8炭化水素鎖からなる群から選択されており、ここで、RおよびRは、Rおよび/またはR、RおよびR10と一緒に、これらが結合している炭素原子を接合するC2〜8炭化水素鎖を形成し、炭化水素鎖は、随意に、少なくとも1つの陰イオン性基を有し、ここで、少なくとも1つの陰イオン性基は、随意にスルホン酸基であり;
Mは、水素および、疎水性ポリアルキレングリコールまたはポリシロキサンの残基からなる群から選択されており、ただし、Aが(ii)であり、Mが疎水性ポリアルキレングリコールの残基である際には、Mは、基−(RO)とは異なっていなければならず;
【0031】
は、C2〜8アルキレン基であり;
は、C1〜20アルキル、C6〜9シクロアルキルおよびフェニルからなる群から選択されており;
n、xおよびzは、1〜100の数であり;
yは、0〜100であり;
mは、2〜1000であり;
x対(y+z)の比率は、1:10〜10:1であり、y:zの比率は、5:1〜1:100である、
を有するランダムコポリマー;
【0032】
i)
【化8】

i)0〜90mol%の式3aまたは3b:
式中、Mは、水素原子、1価または2価の金属陽イオン、アンモニウムイオンまたは有機アミン残基であり、aは、1であり、またはMが2価の金属陽イオンである際には、aは1/2であり;
式中、Xは、−OM
が水素原子、1〜20個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基、5〜8個の炭素原子を含む脂環式炭化水素基または随意にヒドロキシル、カルボキシル、C1〜14アルキルまたは6〜14個の炭素原子を含むスルホン性置換アリール基であり、mが2〜4であり、nが0〜100である−O−(C2mO)−R
−NHR、−N(Rまたはこれらの混合物であり、ここで、R=Rまたは−CO−NHであり;
ここで、Yは、酸素原子または−NRである、
で表される少なくとも1種の成分;
【0033】
ii)1〜89mol%の一般式4:
【化9】

式中、Rは、水素原子または1〜5個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基であり、pは、0〜3であり、Rは、水素、1〜20個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基、5〜8個の炭素原子を含む脂環式炭化水素基または随意にヒドロキシル、カルボキシル、C1〜14アルキルまたは6〜14個の炭素原子を含むスルホン性置換アリール基であり、mは、2〜4であり、nは、0〜100である、
で表される成分、および
【0034】
iii)0.1〜10mol%の式5aまたは5b:
【化10】

式中、Sは、水素原子または−COOMもしくは−COORであり、Tは、−COOR、−W−R、−CO−[−NH−(CH2)3)−]−W−R、−CO−O−(CH−W−R、一般式:
で表される基もしくは−(CH−V−(CH−CH=CH−Rであるか、またはSが−COORもしくは−COOMである際には、Uは、−CO−NHM−、−O−または−CHOであり、Uは、−NH−CO−、−O−または−OCHであり、Vは、−O−CO−C−CO−O−または−W−であり、Wは、
【化11】

であり、R4は、水素原子またはメチル基であり、R5は、3〜20個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基、5〜8個の炭素原子を含む脂環式炭化水素基または6〜14個の炭素原子を含むアリール基であり、R=Rまたは
【化12】

であり、
【0035】
=Rまたは
【化13】

であり、
rは、2〜100であり、sは、1または2であり、xは、1〜150であり、yは、0〜15であり、zは、0〜4である、
で表される少なくとも1種の成分;
【0036】
iv)0〜90mol%の式6a、6bまたは6c:
【化14】

式中、Mは、水素原子、1価または2価の金属陽イオン、アンモニウムイオンまたは有機アミン残基であり、aは、1であり、またはMが2価の金属陽イオンである際には、aは1/2であり;
式中、Xは、−OM
が水素原子、1〜20個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基、5〜8個の炭素原子を含む脂環式炭化水素基または随意にヒドロキシル、カルボキシル、C1〜14アルキルまたは6〜14個の炭素原子を含むスルホン性置換アリール基であり、mが2〜4であり、nが0〜100である−O−(C2mO)−R
−NH−(C2mO)−R
−NHR、−N(Rまたはこれらの混合物であり、ここで、R=Rまたは−CO−NHであり;
ここで、Yは、酸素原子または−NRである、
で表される少なくとも1種の成分
を含むオキシアルキレングリコール−アルケニルエーテル類および不飽和ジカルボン酸類のコポリマー;
【0037】
j)i)1〜90mol%の式7aおよび式7b:
【化15】

式中、Mは、H、1価の金属陽イオン、2価の金属陽イオン、アンモニウムイオンまたは有機アミンであり;
aは、Mが2価の金属陽イオンである際には1/2であり、またはMが1価の金属陽イオンである際には1であり;
ここで、Rは、−OMまたは、
がH、C1〜20脂肪族炭化水素、C5〜8脂環式炭化水素または随意に[−COOM、−(SO)Mおよび−(PO)Ma2]からなる群から選択された少なくとも1種の要素で置換されているC6〜14アリールである−O−(C2mO)−Rであり;
mは、2〜4であり;
nは、1〜200である、
で表される構造単位からなる群から選択された少なくとも1種の要素;
【0038】
ii)0.5〜80mol%の式8:
【化16】

式中、Rは、HまたはC1〜5脂肪族炭化水素であり;
pは、0〜3であり;
は、H、C1〜20脂肪族炭化水素、C5〜8脂環式炭化水素または随意に[−COOM、−(SO)Mおよび−(PO)Ma2]からなる群から選択された少なくとも1種の要素で置換されているC6〜14アリールであり;
mは、2〜4であり;
nは、1〜200である、
で表される構造単位;
【0039】
iii)0.5〜80mol%の式9aおよび式9b:
【化17】

式中、Rは、H、随意に少なくとも1つの水酸基で置換されたC1〜20脂肪族炭化水素、−(C2mO)−R、−CO−NH−R、C5〜8脂環式炭化水素または随意に[−COOM、−(SO)Mおよび−(PO)Ma2]からなる群から選択された少なくとも1種の要素で置換されているC6〜14アリールであり;
【0040】
Mは、H、1価の金属陽イオン、2価の金属陽イオン、アンモニウムイオンまたは有機アミンであり;
aは、Mが2価の金属陽イオンである際には1/2であり、またはMが1価の金属陽イオンである際には1であり;
は、H、C1〜20脂肪族炭化水素、C5〜8脂環式炭化水素または随意に[−COOM、−(SO)Mおよび−(PO)Ma2]からなる群から選択された少なくとも1種の要素で置換されているC6〜14アリールであり;
mは、2〜4であり;
nは、1〜200である、
からなる群から選択された構造単位;
【0041】
iv)1〜90mol%の式10:
【化18】

式中、Rは、メチルまたはメチレン基であり、ここで、Rは、Rと、1つまたは2つ以上の5〜8員環を形成し;
は、H、メチルまたはエチルであり;
【0042】
は、H、C1〜20脂肪族炭化水素、随意に[−COOM、−(SO)Mおよび−(PO)Ma2]からなる群から選択された少なくとも1種の要素で置換されているC6〜14アリール、C5〜8脂環式炭化水素、−OCOR、−ORまたは−COORであり、ここで、Rは、H、随意に少なくとも1つの−OH、−(C2mO)−R、−CO−NH−Rで置換されているC1〜20脂肪族炭化水素、C5〜8脂環式炭化水素または随意に[−COOM、−(SO)M、−(PO)Ma2]からなる群から選択された要素で置換されているC6〜14アリール残基である、
で表される構造単位
を含むジカルボン酸誘導体およびオキシアルキレングリコール−アルケニルエーテル類のコポリマー
の少なくとも1種であってもよい。
【0043】
式(e)において、単語「誘導される」は、一般的に誘導体を意味せず、むしろ、分散剤特性と適合性であり、グラフトポリマーを破壊しないオリゴアルキレングリコール類、ポリアルコール類およびポリアルキレングリコール類のすべてのポリカルボン酸/塩側鎖誘導体を意味する。
6〜14個の炭素原子を含む式(j)で表される随意に置換されているアリール基中の好ましい置換基は、ヒドロキシル、カルボキシル、C1〜14アルキルまたはスルホネート基である。
置換ベンゼンにおける好ましい置換基は、ヒドロキシル、カルボキシル、C1〜14アルキルまたはスルホネート基である。
【0044】
スラリーまたは分散体の形態の着色混合物は、3つの主要な理由により用いられる:(a)本質的に乏しい湿潤性を有する極めて微細な粒子を含む材料の湿潤および分散特性を向上させるため;(b)共通して用いられる設備を介しての分散が可能であるため;および(c)微細な粒子の取り扱いによりもたらされ得る健康的な危険を低減するため。これらの着色混合物は、通常、群青およびフタロシアニンなどの有機顔料、または金属酸化物および他のものを含むがこれらには限定されず、酸化鉄、酸化クロム、酸化アルミニウム、クロム酸鉛、酸化チタン、亜鉛華、酸化亜鉛、硫化亜鉛、鉛ホワイト、鉄マンガンブラック、コバルトグリーン、マンガンブルー、マンガンバイオレット、スルホセレン化カドミウム(cadmium sulifoselenide)、クロムオレンジ、ニッケルチタンイエロー、クロムチタンイエロー、硫化カドミウム、亜鉛黄およびコバルトブルーが含まれ得るが、これらには限定されない金属含有顔料などの無機顔料のいずれかである顔料から構成される。
【0045】
顔料の色を、3種の特性:色調、明度および色度に関して記載することができ、これは、顔料の純度(酸化物含量)および明るさの指標となる。色調は、赤を黄色、青などから区別する色の特性である。明度または明るさは、色の光反射品質または明るさを示す。色度または彩度は、色調または色の豊富度または深さであり、等しい明度の灰色または中間色からのこの逸脱の基準である。
【0046】
1つの態様において、液体着色懸濁液は、液体着色懸濁液の合計の乾燥重量を基準として、約52%〜約98%の顔料を含む。他の態様において、液体着色懸濁液は、液体着色懸濁液の合計の乾燥重量を基準として、約56%〜約96%の顔料を含む。他の態様において、セメント質組成物は、セメント質バインダーの合計の乾燥重量の約0.25%〜約8%の顔料を含む。他の態様において、セメント質組成物は、セメント質バインダーの合計の乾燥重量の約0.3%〜約5%の顔料を含む。
【0047】
従来技術の顔料分散体(液体着色懸濁液)は、特に液体着色懸濁液中の顔料の濃度が高い(55%の顔料固体よりも大きい混合物組成)際には、セメントおよびコンクリート混合物中で、顔料粒子を有効に分散させない。さらに、液体着色懸濁液中の顔料の濃度が増大するに従って、顔料粒子は、溶液からの分離および沈降を開始し、混合物に乏しい貯蔵寿命を付与する。従来技術には、50%の顔料固体よりも高い金属含有(酸化鉄)顔料分散体があるが、これらの分散体は、塗料またはプラスチックのために配合されており、セメントおよびコンクリートにおいて悪影響、例えば閉じ込められた空気の増大を有する。セメント質混合物において、増大した空気により、設計歩留まりおよび圧縮強さは低下し、他の有害な効果がもたらされる。
【0048】
ポリカルボキシレート分散剤を含む液体着色懸濁液は、従来技術における着色混合物と比較した際に、液体着色懸濁液およびセメント質組成物における顔料粒子の分散を改善する。液体着色懸濁液はまた、顔料粒子の濃度が高い(55%の顔料固体よりも大きい混合物組成)際にも、セメント質混合物中の顔料粒子を分散させる。顔料分散体をセメント質組成物に加えると、慣例的に粘度が上昇する。対照的に、本発明の液体着色懸濁液は、セメント質組成物の粘度を上昇させない。さらに、顔料分散体により、セメント質組成物の色が改善される。
【0049】
チキソトロープ添加剤により、セメントスラリーの凝離/ブリードが低下し、これらが迅速に増粘して硬質のゲル構造が形成する、即ちこの粘度が上昇する。硬質のゲル構造は、自立性であり、ゲル強度が上昇するに従って形成のための静水圧を低下させる。チキソトロープ添加剤は、有機および合成ポリマー、セルロースまたは分散体と配合されたセルロース、有機凝集剤、パラフィンの有機エマルジョン、コールタール、アスファルト、アクリル系誘導体、ベントナイトおよび熱分解法シリカ、天然ポゾラン、フライアッシュ、水和石灰およびオルガノクレー(organoclay)、例えばヘクトライト粘土またはスメクタイト粘土であってもよい。
【0050】
1つの態様において、液体着色懸濁液は、液体着色懸濁液の合計の乾燥重量を基準として、約0.08%〜約1%のチキソトロープ添加剤を含む。他の態様において、液体着色懸濁液は、液体着色懸濁液の合計の乾燥重量を基準として、約0.15%〜約0.70%のチキソトロープ添加剤を含む。他の態様において、セメント質組成物は、セメント質バインダーの合計の乾燥重量の約0.001%〜約0.05%のチキソトロープ添加剤を含む。他の態様において、セメント質組成物は、セメント質バインダーの合計の乾燥重量の約0.002%〜約0.04%のチキソトロープ添加剤を含む。
【0051】
理論に限定されないが、従来技術に基づいて、チキソトロープ添加剤により、ポリカルボキシレート分散剤および顔料のみを含む液体着色懸濁液と比較した際に、液体着色懸濁液の粘度が上昇することが予測されるため、ポリカルボキシレート分散剤のチキソトロープ添加剤との相互作用により生じた負の相乗効果があると考えられる。しかし、チキソトロープ添加剤を含む液体着色懸濁液は、ポリカルボキシレート分散剤および顔料のみを含む混合物の粘度よりも低い粘度およびこれと組み合わせて長期間安定性(低い粘度)を有するという、予期されない結果を有する。さらに、粘度が時間に伴って上昇し、ゲル化を生じる、従来技術の顔料分散体と比較して、液体着色懸濁液の粘度は低下し、次に長期間にわたり安定化する。
【0052】
セメント質組成物を含む水硬性セメントは、ポルトランドセメント、改変ポルトランドセメントまたはメーソンリーセメントおよびこれらの混合物からなる群から選択される。ポルトランドセメントにより、高い含量のケイ酸三カルシウムを有するすべてのセメント質組成物を意味し、ポルトランドセメントおよび、ポルトランドセメントと化学的に同様であるかまたはこれに類似するセメントが含まれ、これについての仕様は、ASTM仕様書C 150−00に述べられている。
【0053】
セメント質材料は、単独で水硬性接着特性を有し、水の存在下で硬化および固化する材料である。セメント質材料中に含まれるのは、粉砕顆粒化高炉スラグ、天然セメント、水硬性水和石灰、並びにこれらのおよび他の材料の組み合わせである。
【0054】
本明細書中に記載したセメント質組成物は、他の添加剤または成分を含むことができ、述べた配合物に限定されるべきではない。加えることができるセメント添加剤には:硬化促進剤、硬化遅延剤、空気同伴剤もしくは空気脱トレーニング(detraining)剤、水減少剤、腐食阻害剤、湿潤剤、水溶性ポリマー、強度増強剤、レオロジー改変剤、撥水剤、繊維、防湿混合物、ガス形成剤、透過性低減剤、ポンプ輸送助剤、防カビ剤混合物、殺菌剤混合物、殺虫剤混合物、微細鉱物混合物、アルカリ反応性低減剤、結合混合物、収縮低減混合物、凝結体、ポゾランおよび本発明の混合物の特性に悪影響を与えないすべての他の混合物および添加剤が含まれるが、これらには限定されない。
【0055】
本発明の液体着色懸濁液において用いることができる促進剤は、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアルミニウムの硝酸塩;アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアルミニウムの亜硝酸塩;アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアルミニウムのチオシアン酸塩;アルカノールアミン;アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアルミニウムのチオ硫酸塩;アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアルミニウムの水酸化物;アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアルミニウムのカルボン酸塩(好ましくはギ酸カルシウム);ポリヒドロキシルアルキルアミン;アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物塩(好ましくは臭化物)を含むことができるが、これらには限定されない。本発明において用いるのに特に適する促進剤の例には、共に商標の下でMaster Builders Inc. of Cleveland, Ohioにより販売されているポゾリス(POZZOLITH)(登録商標)NC534、非塩化物タイプ促進剤および/またはレオクリート(RHEOCRETE)(登録商標)CNI亜硝酸カルシウムに基づく腐食阻害剤が含まれるが、これらには限定されない。
【0056】
硝酸の塩は、一般式M(NOを有し、ここで、Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属またはアルミニウムであり、ここで、aは、アルカリ金属塩について1、アルカリ土類金属塩について2およびアルミニウム塩について3である。好ましいのは、Na、K、Mg、CaおよびAlの硝酸塩である。
亜硝酸塩は、一般式M(NOを有し、ここで、Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属またはアルミニウムであり、ここで、aは、アルカリ金属塩について1、アルカリ土類金属塩について2およびアルミニウム塩について3である。好ましいのは、Na、K、Mg、CaおよびAlの亜硝酸塩である。
【0057】
チオシアン酸の塩は、一般式M(SCN)を有し、ここで、Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属またはアルミニウムであり、ここで、bは、アルカリ金属塩について1、アルカリ土類金属塩について2およびアルミニウム塩について3である。これらの塩は、スルホシアン酸塩、スルホシアン化物、ロダン酸塩またはロダン化物塩として、種々に知られている。好ましいのは、Na、K、Mg、CaおよびAlのチオシアン酸塩である。
【0058】
アルカノールアミンは、3価の窒素がアルキルアルコールの炭素原子に直接結合している化合物の群についての一般的な用語である。代表的な式は、N[H][(CHCHOH]であり、ここで、cは、3−eであり、dは、1〜約5であり、eは、1〜約3である。例には、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンが含まれるが、これらには限定されない。
【0059】
チオ硫酸塩は、一般式M(Sを有し、ここで、Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属またはアルミニウムであり、M金属元素の原子価に依存して、fは、1または2であり、gは、1、2または3である。好ましいのは、Na、K、Mg、CaおよびAlのチオ硫酸塩である。
カルボン酸塩は、一般式RCOOMを有し、ここで、Rは、HまたはC〜約C10アルキルであり、Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属またはアルミニウムである。好ましいのは、Na、K、Mg、CaおよびAlのカルボン酸塩である。好ましいカルボン酸塩は、ギ酸カルシウムである。
【0060】
好ましいポリヒドロキシルアルキルアミンは、一般式
【化19】

式中、hは、1〜3であり、iは、1〜3であり、jは、1〜3であり、kは、0〜3である、
を有する。好ましいポリヒドロキシアルキルアミンは、テトラヒドロキシエチルエチレンジアミンである。
【0061】
硬化遅延またはまた遅延硬化もしくは水和制御として知られている混合物は、コンクリートの硬化の速度を遅延させ(retard)、遅くし(delay)、または減速させる(slow)ために用いられる。これらを、最初のバッチングの際に、または時々水和プロセスが開始した後に、コンクリート混合物に加えることができる。硬化遅延剤は、コンクリートの硬化の際の高温の気候の促進効果を弱めるか、あるいは、配置の困難な条件または現場への送達の問題が発生した際のコンクリートもしくはグラウトの初期硬化を遅延させるか、あるいは特別の仕上げプロセスのための時間を可能にするために、用いられる。ほとんどの硬化遅延剤はまた、低レベルの水減少剤として作用し、またいくらかの空気をコンクリート中に同伴するために用いることができる。リグノスルホネート、ヒドロキシル化カルボン酸、硼砂、グルコン酸、酒石酸および他の有機酸並びにこれらの対応する塩、リン酸塩、ある炭水化物類、例えば糖類および糖酸類並びにこれらの混合物を、遅延混合物として用いることができる。
【0062】
空気同伴剤の用語は、空気をセメント質組成物中に同伴するすべての化学物質を含む。空気同伴剤はまた、低濃度で、組成物の表面張力を減少させることができる。空気同伴混合物を用いて、微小な気泡をコンクリート中に、意図的に同伴する。空気同伴により、凍結および融解のサイクルの間に水分に曝露されるコンクリートの耐久性が、劇的に改善される。さらに、同伴された空気により、化学的氷結防止剤により生じた表面スケーリングに対するコンクリートの耐性が、大幅に改善される。また、空気同伴により、新鮮なコンクリートの作業性が向上し、一方凝離およびブリードが解消するかまたは低減される。これらの所望の効果を達成するために用いる材料を、木材樹脂、スルホン化リグニン、石油酸類、タンパク質材料、脂肪酸類、樹脂酸類、アルキルベンゼンスルホネート類、スルホン化炭化水素類、ビンゾール(vinsol)樹脂、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、天然ロジン、合成ロジン、無機空気同伴剤、合成洗浄剤およびこれらの対応する塩並びにこれらの混合物から選択することができる。
【0063】
空気同伴剤を、セメント質組成物中で所望のレベルの空気が得られる量で加える。一般的に、セメント質組成物中での空気同伴剤(約5%〜約15%の固形分)の量は、乾燥セメント1キログラムあたり約0.07mL〜約3.9mLの範囲内である。1つの態様において、用量は、乾燥セメント1キログラムあたり約0.33mL〜約0.98mLである。空気同伴剤中での主要な活性成分が、所望の効果、即ちセメント質組成物中での空気の同伴を提供する、空気同伴剤の主要な活性成分の重量百分率は;乾燥セメント質材料の重量を基準として約0.001%〜約0.05%である。しかし、これは、材料、混合比率、温度および混合操作の変化のために、広範囲に変化し得る。本発明の液体着色懸濁液で有用な空気同伴剤は、セメントのためのすべての既知の空気同伴剤であってもよく、これには、天然樹脂、合成樹脂およびこれらの混合物が含まれる。本発明において用いることができる空気同伴剤の例には、すべてMaster Builders Inc. of Cleveland, Ohioから入手可能なMB AE90、MB VRおよびミクロエア(MICRO AIR)(登録商標)が含まれるが、これらには限定されない。
【0064】
空気脱トレーニング剤を用いて、セメント質組成物中の空気含量を減少させる。本発明において用いることができる空気脱トレーニング剤の例には、リン酸トリブチル、フタル酸ジブチル、オクチルアルコール、カルボン酸およびホウ酸の水不溶性エステル類、アセチレンジオール類、エチレンオキシド−プロピレンオキシドブトックコポリマー類およびシリコーン類が含まれるが、これらには限定されない。
【0065】
コンクリート中の腐食阻害剤は、包埋された補強鋼鉄を腐食から保護する作用を奏する。コンクリートの高度なアルカリ性性質により、受動的な、および非腐食性の保護酸化物フィルムが、鋼鉄上に形成する。しかし、炭酸塩化または、氷結防止剤もしくは海水からの塩化物イオンが、酸素と共に存在することにより、フィルムが破壊または浸透され、腐食がもたらされ得る。腐食阻害混合物は、この腐食反応を化学的に減速させる。腐食を阻害するために最も一般的に用いられている材料は、亜硝酸カルシウム、亜硝酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、あるホスフェート類またはフルオロシリケート類、フルオロアルミネート類、アミン類、有機ベース撥水剤および関連する化学物質である。
【0066】
防湿混合物により、低いセメント含量、高い水−セメント比率または凝結部分における微粉の欠陥を有するコンクリートの浸透性が低下する。これらの混合物により、乾燥コンクリート中への水分の浸透が遅延され、これには、ある石鹸、ステアレート類および石油製品が含まれる。
【0067】
浸透減少剤を用いて、加圧下の水がコンクリートを通して透過する速度を低下させる。シリカフューム、フライアッシュ、粉砕スラグ、メタカオリン、天然ポゾラン、水減少剤およびラテックスを用いて、コンクリートの浸透性を低下させることができる。
【0068】
固化したコンクリート上での、またはこの中での細菌およびカビの成長を、防カビ剤、殺菌剤および殺虫剤混合物を用いることにより、部分的に制御することができる。これらの目的のために最も有効な材料は、ポリハロゲン化フェノール、ジアルドリン(dialdrin)エマルジョンおよび銅化合物である。
【0069】
微細な鉱物混合物は、混合プロセスの前または混合プロセス中にコンクリートに加えられて、ポルトランドセメントコンクリートの可塑性または固化特性のいくらかを改善するかまたは変化させる、粉末または粉砕形態の材料である。取引において用いられるポルトランドセメントは、クリンカーを粉砕することにより製造され、水硬性ケイ酸カルシウム、アルミン酸カルシウムおよびアミノ亜鉄酸カルシウムを含み、通常硫酸カルシウムの1種または2種以上の形態をインターグラウンド(interground)添加として含む水硬性セメントを意味する。ポルトランドセメントは、ASTM C 150において、タイプI、II、III、IVまたはVとして分類される。微細な鉱物混合物を、これらの化学的または物理的特性に従って:セメント質材料;ポゾラン;ポゾラン性およびセメント質材料;および名目上不活性な材料として分類することができる。
【0070】
ポゾランは、セメント性の有用性をほとんどまたは全く有しないが、水の存在下で、および微細形態で、ポルトランドセメントの水和の間に生成した水酸化カルシウムと化学的に反応して、セメント性特性を有する材料を形成する、シリカ性またはアルミノシリカ性材料である。珪藻土、乳白色チャート、粘土、頁岩、フライアッシュ、シリカフューム、火山性凝灰岩および軽石は、いくつかの知られているポゾランである。ある粉砕された顆粒化した高炉スラグおよび高カルシウムフライアッシュは、ポゾラン性およびセメント性特性を共に有する。天然ポゾランは、天然に存在するポゾラン、例えば火山性凝灰岩、軽石、トラス、珪藻土、乳白色チャートおよびある頁岩を定義するために用いられる技術用語である。名目上不活性な材料はまた、微細な原料石英、白雲石、石灰岩、大理石、花崗岩および他のものを含むことができる。フライアッシュは、ASTM C618において定義されている。
アルカリ反応性減少剤は、アルカリ凝結反応を低下させ、この反応が固化したコンクリート中に生じ得る破壊的な膨張力を制限することができる。ポゾラン(フライアッシュ、シリカフューム)、高炉スラグ、リチウムおよびバリウムの塩は、特に有効である。
【0071】
新鮮なコンクリートは、時々、欠陥のある混合物比率またはある凝結特性、例えば粒子形状および不適切な粒度のために、荒いことがある。これらの条件の下で、潤滑剤のように作用する同伴された空気を、作業性改善剤として用いることができる。他の作業性剤は、ある水減少混合物、ある粘度改変混合物およびある微細な混合物を含む。
【0072】
建設分野において、コンクリートを引張応力およびその後の亀裂から保護する多くの方法が、長年の間開発されている。1つの現代的な方法は、繊維を新鮮なコンクリート混合物中に分布させることを含む。固化の際に、このコンクリートは、繊維補強コンクリートと呼ばれる。繊維を、ジルコニウム材料、炭素、鋼鉄、ガラス繊維または合成材料、例えばポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン、ポリエステル、レーヨン、高強度アラミドまたはこれらの混合物製とすることができる。
【0073】
本発明において用いることができる収縮減少剤は、RO(AO)1〜10Hを含むことができるが、これらには限定されず、ここで、Rは、C1〜5アルキルまたはC5〜6シクロアルキル基であり、Aは、C2〜3アルキレン基、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ土類金属硫酸塩、アルカリ土類酸化物、好ましくは硫酸ナトリウムおよび酸化カルシウムである。テトラガード(TETRAGUARD)(登録商標)収縮減少剤が好ましく、これは、Master Builders Inc. of Cleveland, Ohioから入手できる。
【0074】
凝結体を、セメント質配合物中に含有させて、微細な凝結体を含むモルタルおよびまた粗い凝結体を含むコンクリートを提供することができる。微細な凝結体は、4番ふるい(ASTM C 125およびASTM C 33)をほぼ完全に通過する材料、例えばシリカ砂である。粗い凝結体は、大部分は4番ふるい(ASTM C 125およびASTM C 33)上に残留する材料、例えばシリカ、石英、粉砕円形大理石、ガラス小球、花崗岩、石灰岩、方解石、長石、沖積砂、砂またはすべての他の耐久性凝結体、並びにこれらの混合物である。
【0075】
本発明の組成物の例を、液体着色懸濁液の色および粘度に対するこれらの効果について試験した。
液体着色懸濁液を、種々の酸化鉄顔料を用いて試験して、時間と共に液体着色懸濁液の粘度に変化があるか否かを決定した。表1は、試験した液体着色懸濁液についての試料配合を示す。試験の結果を、図1に示す。図1におけるグラフは、液体着色懸濁液の粘度が、時間と共に増大せず、むしろ最初に減少し、次に時間と共に安定化することを示す。
【0076】
【表2】

【0077】
本発明は、上記した特定の態様に限定されず、特許請求の範囲により定義した変更、修正および等価な態様を含むことを理解するべきである。さらに、開示したすべての態様は、本発明の種々の態様を組み合わせて、所望の特徴を提供することができるため、必ずしも選択的であるわけではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体および:
a.ポリカルボキシレート分散剤;
b.顔料;および
c.チキソトロープ添加剤
を含む、液体着色懸濁液。
【請求項2】
ポリカルボキシレート分散剤の量が、液体着色懸濁液の合計の乾燥重量を基準として、約1%〜約10%であり、顔料が、約52%〜約98%であり、チキソトロープ添加剤が、約0.08%〜約1%である、請求項1に記載の液体着色懸濁液。
【請求項3】
ポリカルボキシレート分散剤の量が、液体着色懸濁液の合計の乾燥重量を基準として、約1.5%〜約7.5%であり、顔料が、約56%〜約96%であり、チキソトロープ添加剤が、約0.15%〜約0.7%である、請求項1に記載の液体着色懸濁液。
【請求項4】
液体が水である、請求項1に記載の液体着色懸濁液。
【請求項5】
顔料が無機顔料である、請求項1に記載の液体着色懸濁液。
【請求項6】
無機顔料が、酸化鉄、酸化クロム、酸化アルミニウム、クロム酸鉛、酸化チタン、亜鉛華、酸化亜鉛、硫化亜鉛、鉛ホワイト、鉄マンガンブラック、コバルトグリーン、マンガンブルー、マンガンバイオレット、スルホセレン化カドミウム、クロムオレンジ、ニッケルチタンイエロー、クロムチタンイエロー、硫化カドミウム、亜鉛黄、コバルトブルーまたはこれらの混合物の少なくとも1種である顔料を含む金属である、請求項5に記載の液体着色懸濁液。
【請求項7】
顔料が有機顔料である、請求項1に記載の液体着色懸濁液。
【請求項8】
有機顔料が、群青、フタロシアニンまたはこれらの混合物の少なくとも1種である、請求項7に記載の液体着色懸濁液。
【請求項9】
チキソトロープ添加剤が、有機凝集剤、パラフィンの有機エマルジョン、コールタール、アスファルト、アクリル系誘導体、ベントナイト、熱分解法シリカ、天然ポゾラン、フライアッシュ、水和石灰、オルガノクレー、セルロースまたはこれらの混合物の少なくとも1種である、請求項1に記載の液体着色懸濁液。
【請求項10】
オルガノクレーが、ヘクトライト粘土またはスメクタイト粘土の少なくとも1種である、請求項9に記載の液体着色懸濁液。
【請求項11】
さらに、硬化促進剤、硬化遅延剤、空気脱トレーニング剤、空気同伴剤、収縮低減混合物、水減少剤、発泡剤、防湿混合物、ポンプ輸送助剤、防カビ剤混合物、殺虫剤混合物、殺菌剤混合物、アルカリ反応性低減剤、結合混合物および腐食阻害剤の少なくとも1種を含む、請求項1に記載の液体着色懸濁液。
【請求項12】
水硬性セメントおよび液体着色懸濁液を含む着色セメント質組成物であって、前記液体着色懸濁液が、液体および:
a.ポリカルボキシレート分散剤;
b.顔料;および
c.チキソトロープ添加剤
を含む、着色セメント質組成物。
【請求項13】
液体が水である、請求項12に記載の着色セメント質組成物。
【請求項14】
顔料が無機顔料である、請求項12に記載の着色セメント質組成物。
【請求項15】
無機顔料が、酸化鉄、酸化クロム、酸化アルミニウム、クロム酸鉛、酸化チタン、亜鉛華、酸化亜鉛、硫化亜鉛、鉛ホワイト、鉄マンガンブラック、コバルトグリーン、マンガンブルー、マンガンバイオレット、スルホセレン化カドミウム、クロムオレンジ、ニッケルチタンイエロー、クロムチタンイエロー、硫化カドミウム、亜鉛黄、コバルトブルーまたはこれらの混合物の少なくとも1種である顔料を含む金属である、請求項14に記載の着色セメント質組成物。
【請求項16】
顔料が有機顔料である、請求項12に記載の着色セメント質組成物。
【請求項17】
有機顔料が、群青、フタロシアニンまたはこれらの混合物の少なくとも1種である、請求項16に記載の着色セメント質組成物。
【請求項18】
チキソトロープ添加剤が、有機凝集剤、パラフィンの有機エマルジョン、コールタール、アスファルト、アクリル系誘導体、ベントナイト、熱分解法シリカ、天然ポゾラン、フライアッシュ、水和石灰、オルガノクレー、セルロースまたはこれらの混合物の少なくとも1種である、請求項12に記載の着色セメント質組成物。
【請求項19】
オルガノクレーが、ヘクトライト粘土またはスメクタイト粘土の少なくとも1種である、請求項18に記載の着色セメント質組成物。
【請求項20】
ポリカルボキシレート分散剤の量が、セメント質結合剤の合計の乾燥重量の、約0.01%〜約0.2%であり、顔料が、約0.25%〜約8%であり、チキソトロープ添加剤が、約0.001%〜約0.05%である、請求項12に記載の着色セメント質組成物。
【請求項21】
ポリカルボキシレート分散剤の量が、セメント質結合剤の合計の乾燥重量の、約0.02%〜約0.15%であり、顔料が、約0.3%〜約5%であり、チキソトロープ添加剤が、約0.002%〜約0.04%である、請求項12に記載の着色セメント質組成物。
【請求項22】
セメントが、ポルトランドセメント、改変ポルトランドセメントまたはメーソンリーセメントおよびこれらの混合物からなる群から選択されている、請求項12に記載の着色セメント質組成物。
【請求項23】
さらに、硬化促進剤、硬化遅延剤、空気脱トレーニング剤、空気同伴剤、発泡剤、腐食阻害剤、収縮低減混合物、水減少剤、繊維、ポゾラン、強度増強剤、レオロジー改変剤、撥水剤、湿潤剤、水溶性ポリマー、防湿混合物、ガス形成剤、透過性低減剤、ポンプ輸送助剤、防カビ剤混合物、殺菌剤混合物、殺虫剤混合物、凝結体、アルカリ反応低減剤、結合混合物、およびこれらの混合物からなる群から選択されたセメント混合物または添加剤を含む、請求項12に記載の着色セメント質組成物。
【請求項24】
凝結体が、シリカ、石英、粉砕円形大理石、ガラス小球、花崗岩、石灰岩、方解石、長石、沖積砂および砂の少なくとも1種である、請求項23に記載の着色セメント質組成物。
【請求項25】
ポゾランが、天然ポゾラン、メタカオリン、フライアッシュ、シリカフューム、焼成粘土および高炉スラグの少なくとも1種である、請求項23に記載の着色セメント質組成物。
【請求項26】
液体着色懸濁液のポリカルボキシレート分散剤が:
a)式(I):
【化1】

ここで、式(I)中、
Xは、水素、アルカリ土類金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオンまたはアミンの少なくとも1つであり;
Rは、C〜Cアルキル(エン)エーテルもしくはこれらの混合物またはC〜Cアルキル(エン)イミンもしくはこれらの混合物の少なくとも1つであり;
Qは、酸素、NHまたは硫黄の少なくとも1つであり;
pは、直鎖状側鎖または分枝状側鎖の少なくとも1つを生じる1〜約300の数であり;
は、水素、C〜C20炭化水素あるいは−OH、−COOH、−COOHのエステルもしくはアミド誘導体、スルホン酸、スルホン酸のエステルもしくはアミド誘導体、アミンまたはエポキシの少なくとも1つを含む官能化された炭化水素の少なくとも1つであり;
Yは、脱泡剤として機能する水素、アルカリ土類金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、アミン、疎水性炭化水素またはポリアルキレンオキシド部分の少なくとも1つであり;
m、m’、m”、n、n’およびn”は、各々独立して、0または1〜約20の整数であり;
Zは、i)少なくとも1つのアミンおよび1つの酸性基、ii)主鎖中に導入することができ、二酸無水物類、ジアルデヒド類および二酸塩化物類からなる群から選択された2つの官能基、またはiii)イミド残基の少なくとも1つを含む部分であり;かつ
ここで、a、b、cおよびdは、各々の単位のモル分率を反映し、ここで、a、b、cおよびdの合計は、1に等しく、ここで、a、b、cおよびdは、各々、0よりも大きいか、または0に等しく、1よりも小さい値であり、a、b、cおよびdの少なくとも2つは、0よりも大きい、
で表される分散剤;
b)式(II):
【化2】

ここで、式(II)中:
Aは、COOMであるか、または、随意に、「y」構造において、酸無水物基(−CO−O−CO−)が、A基が結合する炭素原子の間でA基の代わりに形成して、酸無水物を形成し;
Bは、COOMであり、
Mは、水素、遷移金属陽イオン、疎水性ポリアルキレングリコールもしくはポリシロキサンの残基、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、第一鉄イオン、アルミニウムイオン、(アルカノール)アンモニウムイオンまたは(アルキル)アンモニウムイオンであり;
Rは、C2〜6アルキレン基であり;
R1は、C1〜20アルキル、C6〜9シクロアルキルまたはフェニル基であり;
x、yおよびzは、0.01〜100の数であり;
mは、1〜100の数であり;
nは、10〜100の数である、
で表される分散剤;
c)i)式RO(AO)Hで表され、式中Rは、C1〜20アルキル基であり、Aは、C2〜4アルキレン基であり、mは、2〜16の整数である化合物との無水マレイン酸半エステル;および
ii)式CH=CHCH−(OA)ORを有し、式中nは、1〜90の整数であり、Rは、C1〜20アルキル基であるモノマー
のコポリマーの形態を有する少なくとも1種のポリマーまたはこの塩を含む分散剤;
d)5〜98重量%の以下の一般式(1):
【化3】

式中、Rは、水素原子またはメチル基を意味し、ROは、1種の種または、混合物の2種もしくは3種以上の種を、ブロック形態もしくはランダム形態のいずれかで加えることができる場合には、2〜4個の炭素原子を有するオキシアルキレン基の2種もしくは3種以上の種の混合物を意味し、Rは、水素原子または1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、mは、1〜100の範囲内の整数である、オキシアルキレン基の平均の付加モル数を示す値である、
により表される(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a)、95〜2重量%の上記の一般式(2)、式中、RおよびRは、各々独立して、水素原子またはメチル基であり、Mは、水素原子、1価の金属イオン、2価の金属イオン、アンモニウム基または有機アミン基を意味する、により表される(メタ)アクリル酸モノマー(b)並びに0〜50重量%のこれらのモノマーと共重合可能な他のモノマー(c)を共重合させることにより得られ、ただし、(a)、(b)および(c)の合計量は、100重量%である分散剤;
e)ポリカルボン酸またはこの塩であり、オリゴアルキレングリコール類、ポリアルコール類、ポリオキシアルキレンアミン類およびポリアルキレングリコール類からなる群から選択された少なくとも1種の種から誘導される側鎖を有するグラフトポリマー;
f)式(III):
【化4】

ここで、式(III)中:
D=構造d1、構造d2からなる群から選択された成分およびこの混合物であり;
X=H、CH、C〜Cアルキル、フェニル、p−メチルフェニルまたはスルホン化フェニルであり;
Y=Hまたは−COOMであり;
R=HまたはCHであり;
Z=H、−SOM、−POM、−COOM、n=2〜6である−O(CHOR、−COORまたはn=0〜6である−(CHOR、−CONHR、−CONHC(CHCHSOM、n=2〜6である−COO(CHROHまたはn=2〜6である−O(CHORであり;
、R、R、Rは、各々独立して、オキシエチレン単位およびオキシプロピレン単位の−(CHRCHO)ランダムコポリマーであり、ここで、m=10〜500であり、ここで、ランダムコポリマー中のオキシエチレンの量は、約60%〜100%であり、ランダムコポリマー中のオキシプロピレンの量は、0%〜約40%であり;
=H、メチル、C〜約Cアルキルまたは約C〜約C10アリールであり;
M=H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アミン、トリエタノールアミン、メチルまたはC〜約Cアルキルであり;
a=0〜約0.8であり;
b=約0.2〜約1.0であり;
c=0〜約0.5であり;
d=0〜約0.5であり;かつ
ここで、a、b、cおよびdが各々の単位のモル分率を表し、a、b、cおよびdの合計が、1.0である、
で表される分散剤;
g)式(IV):
【化5】

ここで、式(IV)中:
「b」構造は、カルボン酸モノマー、エチレン系不飽和モノマーまたは、それぞれ基YおよびZが結合している炭素原子の間で基YおよびZの代わりに酸無水物基(−CO−O−CO−)が形成する無水マレイン酸の1つであり、「b」構造は、ペンダントエステル結合を有する少なくとも1つの部分およびペンダントアミド結合を有する少なくとも1つの部分を含まなければならず;
X=H、CH、C〜Cアルキル、フェニル、p−メチルフェニル、p−エチルフェニル、カルボキシル化フェニルまたはスルホン化フェニルであり;
Y=H、−COOM、−COOHまたはWであり;
W=式RO−(CHCHO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)により表され、式中s、tおよびuは、0〜200の整数であり、ただし、t>(s+u)である疎水性脱泡剤であり、ここで、疎水性脱泡剤の合計量は、ポリカルボキシレート分散剤の約10重量%よりも小さい量で存在し;
Z=H、−COOM、n=2〜6である−O(CHOR、−COOR、n=0〜6である−(CHORまたは−CONHRであり;
=HまたはCHであり;
、Rは、各々独立して、一般式−(CH(R)CHO)で表され、式中m=10〜500であるオキシエチレン単位およびオキシプロピレン単位のランダムコポリマーであり、ここで、ランダムコポリマー中のオキシエチレンの量は、約60%〜100%であり、ランダムコポリマー中のオキシプロピレンの量は、0%〜約40%であり;
=H、メチルまたはC〜Cアルキルであり;
=C〜C18アルキルまたはC〜C18アルキルアリールであり;
M=アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、アミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、イミダゾールであり;
a=0.01〜0.8であり;
b=0.2〜0.99であり;
c=0〜0.5であり;かつ
ここで、a、b、cは、各々の単位のモル分率を表し、a、bおよびcの合計は、1である、
で表される分散剤;
【化6】

h)遊離酸または塩形態での、以下の式(V)に相当し、以下のモノマー単位およびモノマー単位の数:
式中、Aは、部分(i)または(ii)
【化7】

から選択されており、
式中、RおよびRは、置換ベンゼン、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキルカルボニル、C1〜8アルコキシ、カルボキシル、水素および環から選択され、RおよびRは、水素およびC1〜4アルキルからなる群から選択され、ここで、RおよびRは、Rおよび/またはRがC1〜4アルキルである際には、Rおよび/またはRと一緒に環を形成することができ;
、R、RおよびR10は、個別に、水素、C1〜6アルキルおよびC2〜8炭化水素鎖からなる群から選択されており、ここで、RおよびRは、Rおよび/またはR、RおよびR10と一緒に、これらが結合している炭素原子を接合するC2〜8炭化水素鎖を形成し、炭化水素鎖は、随意に、少なくとも1つの陰イオン性基を有し、ここで、少なくとも1つの陰イオン性基は、随意にスルホン酸基であり;
Mは、水素および、疎水性ポリアルキレングリコールまたはポリシロキサンの残基からなる群から選択されており、ただし、Aが(ii)であり、Mが疎水性ポリアルキレングリコールの残基である際には、Mは、基−(RO)とは異なっていなければならず;
は、C2〜8アルキレン基であり;
は、C1〜20アルキル、C6〜9シクロアルキルおよびフェニルからなる群から選択されており;
n、xおよびzは、1〜100の数であり;
yは、0〜100であり;
mは、2〜1000であり;
x対(y+z)の比率は、1:10〜10:1であり、y:zの比率は、5:1〜1:100である、
を有するランダムコポリマー;
i)i)0〜90mol%の式3aまたは3b:
【化8】

式中、Mは、水素原子、1価または2価の金属陽イオン、アンモニウムイオンまたは有機アミン残基であり、aは、1であり、またはMが2価の金属陽イオンである際には、aは1/2であり;
式中、Xは、−OM
が水素原子、1〜20個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基、5〜8個の炭素原子を含む脂環式炭化水素基または随意にヒドロキシル、カルボキシル、C1〜14アルキルまたは6〜14個の炭素原子を含むスルホン性置換アリール基であり、mが2〜4であり、nが0〜100である−O−(C2mO)−R
−NHR、−N(Rまたはこれらの混合物であり、ここで、R=Rまたは−CO−NHであり;
ここで、Yは、酸素原子または−NRである、
で表される少なくとも1種の成分;
ii)1〜89mol%の一般式4:
【化9】

式中、Rは、水素原子または1〜5個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基であり、pは、0〜3であり、Rは、水素、1〜20個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基、5〜8個の炭素原子を含む脂環式炭化水素基または随意にヒドロキシル、カルボキシル、C1〜14アルキルまたは6〜14個の炭素原子を含むスルホン性置換アリール基であり、mは、2〜4であり、nは、0〜100である、
で表される成分、および
iii)0.1〜10mol%の式5aまたは5b:
【化10】

式中、Sは、水素原子または−COOMもしくは−COORであり、Tは、−COOR、−W−R、−CO−[−NH−(CH2)3)−]−W−R、−CO−O−(CH−W−R、一般式:
で表される基もしくは−(CH−V−(CH−CH=CH−Rであるか、またはSが−COORもしくは−COOMである際には、Uは、−CO−NHM−、−O−または−CHOであり、Uは、−NH−CO−、−O−または−OCHであり、Vは、−O−CO−C−CO−O−または−W−であり、Wは、
【化11】

であり、R4は、水素原子またはメチル基であり、R5は、3〜20個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基、5〜8個の炭素原子を含む脂環式炭化水素基または6〜14個の炭素原子を含むアリール基であり、R=Rまたは
【化12】

であり、
=Rまたは
【化13】

であり、
rは、2〜100であり、sは、1または2であり、xは、1〜150であり、yは、0〜15であり、zは、0〜4である、
で表される少なくとも1種の成分;
iv)0〜90mol%の式6a、6bまたは6c:
【化14】

式中、Mは、水素原子、1価または2価の金属陽イオン、アンモニウムイオンまたは有機アミン残基であり、aは、1であり、またはMが2価の金属陽イオンである際には、aは1/2であり;
式中、Xは、−OM
が水素原子、1〜20個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基、5〜8個の炭素原子を含む脂環式炭化水素基または随意にヒドロキシル、カルボキシル、C1〜14アルキルまたは6〜14個の炭素原子を含むスルホン性置換アリール基であり、mが2〜4であり、nが0〜100である−O−(C2mO)−R
−NH−(C2mO)−R
−NHR、−N(Rまたはこれらの混合物であり、ここで、R=Rまたは−CO−NHであり;
ここで、Yは、酸素原子または−NRである、
で表される少なくとも1種の成分
を含むオキシアルキレングリコール−アルケニルエーテル類および不飽和ジカルボン酸類のコポリマー;
j)i)1〜90mol%の式7aおよび式7b:
【化15】

式中、Mは、H、1価の金属陽イオン、2価の金属陽イオン、アンモニウムイオンまたは有機アミンであり;
aは、Mが2価の金属陽イオンである際には1/2であり、またはMが1価の金属陽イオンである際には1であり;
ここで、Rは、−OMまたは、
がH、C1〜20脂肪族炭化水素、C5〜8脂環式炭化水素または随意に[−COOM、−(SO)Mおよび−(PO)Ma2]からなる群から選択された少なくとも1種の要素で置換されているC6〜14アリールである−O−(C2mO)−Rであり;
mは、2〜4であり;
nは、1〜200である、
で表される構造単位からなる群から選択された少なくとも1種の要素;
ii)0.5〜80mol%の式8:
【化16】

式中、Rは、HまたはC1〜5脂肪族炭化水素であり;
pは、0〜3であり;
は、H、C1〜20脂肪族炭化水素、C5〜8脂環式炭化水素または随意に[−COOM、−(SO)Mおよび−(PO)Ma2]からなる群から選択された少なくとも1種の要素で置換されているC6〜14アリールであり;
mは、2〜4であり;
nは、1〜200である、
で表される構造単位;
iii)0.5〜80mol%の式9aおよび式9b:
【化17】

式中、Rは、H、随意に少なくとも1つの水酸基で置換されたC1〜20脂肪族炭化水素、−(C2mO)−R、−CO−NH−R、C5〜8脂環式炭化水素または随意に[−COOM、−(SO)Mおよび−(PO)Ma2]からなる群から選択された少なくとも1種の要素で置換されているC6〜14アリールであり;
Mは、H、1価の金属陽イオン、2価の金属陽イオン、アンモニウムイオンまたは有機アミンであり;
aは、Mが2価の金属陽イオンである際には1/2であり、またはMが1価の金属陽イオンである際には1であり;
は、H、C1〜20脂肪族炭化水素、C5〜8脂環式炭化水素または随意に[−COOM、−(SO)Mおよび−(PO)Ma2]からなる群から選択された少なくとも1種の要素で置換されているC6〜14アリールであり;
mは、2〜4であり;
nは、1〜200である、
からなる群から選択された構造単位;
iv)1〜90mol%の式10:
【化18】

式中、Rは、メチルまたはメチレン基であり、ここで、Rは、Rと、1つまたは2つ以上の5〜8員環を形成し;
は、H、メチルまたはエチルであり;
は、H、C1〜20脂肪族炭化水素、随意に[−COOM、−(SO)Mおよび−(PO)Ma2]からなる群から選択された少なくとも1種の要素で置換されているC6〜14アリール、C5〜8脂環式炭化水素、−OCOR、−ORまたは−COORであり、ここで、Rは、H、随意に少なくとも1つの−OH、−(C2mO)−R、−CO−NH−Rで置換されているC1〜20脂肪族炭化水素、C5〜8脂環式炭化水素または随意に[−COOM、−(SO)M、−(PO)Ma2]からなる群から選択された要素で置換されているC6〜14アリール残基である、
で表される構造単位
を含むジカルボン酸誘導体およびオキシアルキレングリコール−アルケニルエーテル類のコポリマー
の少なくとも1種である、請求項1または12に記載の組成物。
【請求項27】
着色セメント質組成物の製造方法であって、請求項26に記載の水、水硬性セメントおよび液体着色懸濁液の混合物を形成することを含む、前記方法。
【請求項28】
着色セメント質組成物の製造方法であって、水、水硬性セメントおよび液体着色懸濁液の混合物を形成することを含み、前記液体着色懸濁液が、液体および:
a.ポリカルボキシレート分散剤;
b.顔料;および
c.チキソトロープ添加剤
の成分を含む、前記方法。
【請求項29】
液体が水である、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
顔料が無機顔料である、請求項27または28に記載の方法。
【請求項31】
無機顔料が、酸化鉄、酸化クロム、酸化アルミニウム、クロム酸鉛、酸化チタン、亜鉛華、酸化亜鉛、硫化亜鉛、鉛ホワイト、鉄マンガンブラック、コバルトグリーン、マンガンブルー、マンガンバイオレット、スルホセレン化カドミウム、クロムオレンジ、ニッケルチタンイエロー、クロムチタンイエロー、硫化カドミウム、亜鉛黄、コバルトブルーまたはこれらの混合物の少なくとも1種である顔料を含む金属である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
顔料が有機顔料である、請求項27または28に記載の方法。
【請求項33】
有機顔料が、群青、フタロシアニンまたはこれらの混合物の少なくとも1種である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
チキソトロープ添加剤が、有機凝集剤、パラフィンの有機エマルジョン、コールタール、アスファルト、アクリル系誘導体、ベントナイト、熱分解法シリカ、天然ポゾラン、フライアッシュ、水和石灰、オルガノクレー、セルロースまたはこれらの混合物の少なくとも1種である、請求項27または28に記載の方法。
【請求項35】
オルガノクレーが、ヘクトライト粘土またはスメクタイト粘土の少なくとも1種である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
ポリカルボキシレート分散剤の量が、セメント質結合剤の合計の乾燥重量の、約0.01%〜約0.2%であり、顔料が、約0.25%〜約8%であり、チキソトロープ添加剤が、約0.001%〜約0.05%である、請求項27または28に記載の方法。
【請求項37】
ポリカルボキシレート分散剤の量が、セメント質結合剤の合計の乾燥重量の、約0.02%〜約0.15%であり、顔料が、約0.3%〜約5%であり、チキソトロープ添加剤が、約0.002%〜約0.04%である、請求項27または28に記載の方法。
【請求項38】
セメントが、ポルトランドセメント、改変ポルトランドセメントまたはメーソンリーセメントおよびこれらの混合物からなる群から選択されている、請求項27または28に記載の方法。
【請求項39】
さらに、硬化促進剤、硬化遅延剤、空気脱トレーニング剤、空気同伴剤、発泡剤、腐食阻害剤、収縮低減混合物、水減少剤、繊維、ポゾラン、粘土、強度増強剤、レオロジー改変剤、撥水剤、湿潤剤、水溶性ポリマー、防湿混合物、ガス形成剤、透過性低減剤、ポンプ輸送助剤、防カビ剤混合物、殺菌剤混合物、殺虫剤混合物、凝結体、アルカリ反応低減剤、結合混合物、およびこれらの混合物からなる群から選択されたセメント混合物または添加剤を含む、請求項27または28に記載の方法。
【請求項40】
凝結体が、シリカ、石英、粉砕円形大理石、ガラス小球、花崗岩、石灰岩、方解石、長石、沖積砂および砂の少なくとも1種である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
ポゾランが、天然ポゾラン、メタカオリン、フライアッシュ、シリカフューム、焼成粘土および高炉スラグの少なくとも1種である、請求項39に記載の方法。

【公表番号】特表2006−521267(P2006−521267A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504436(P2006−504436)
【出願日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【国際出願番号】PCT/EP2004/001646
【国際公開番号】WO2004/085548
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(503343336)コンストラクション リサーチ アンド テクノロジー ゲーエムベーハー (139)
【Fターム(参考)】