説明

液体試料中の物質濃度測定用診断システム

血糖値測定の領域で特に、携帯型の診断システム(114)で液体試料中の物質濃度を測定できるものが要求されている。1つの診断システム(114)が提案されており、集積ランセットシステム(612)を有する診断モジュール(112)と、この診断システム(112)から分離したマガジンモジュール(110)でテストストリップを保管するものからなるものが示される。本診断システムにはさらに結合デバイス(122、130)があって、マガジンモジュール(110)を診断モジュール(112)と結合する。この結合デバイス(122、130)にはランセット(lancet)システム(612)に張力を掛けるデバイス(610)がそれ自身に付いているか、または同様の張力デバイス(610)と結合していて、マガジンモジュール(110)を診断モジュール(112)と結合するときにランセットシステム(612)に張力をかけるかいずれかとなる。これに換わってかまたは追加して、結合デバイス(122、130)は結合の際にテストストリップ(310)を取り出すことができるようになっている。さらにマガジンモジュール(110)と診断モジュール(112)の結合の際マガジンモジュール(110)内のテストストリップ(310)のチャージ情報はマガジンモジュール(110)と診断モジュール(112)のあいだで交換が起こる。当該の診断システム(114)は単純確実に動作できることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体試料中の物質濃度測定用診断システム、特に血糖値測定用のシステムに関する。さらに本発明は本発明による診断システムの操作法に関する。
【背景技術】
【0002】
血糖値の看視は、糖尿病患者にとっては重要なルーティンワークである。その際血糖値は迅速、簡単に何度も測定できて、医学的に相応の処置がとれるようにしなければならない。糖尿病患者の日常生活を制約しなくて済むようにするには、場所を取らずに簡単に手に持てる携帯用機器があって、たとえば血糖値測定が仕事場でできるとか、自由時間に可能であるようにする必要がある。
【0003】
現在、市場には各種の携帯型機器があり、種々の測定方法が機能している。種々の診断方法が用いられていて、光学的方法、電気化学的測定方法もある。しばしば利用される測定方法の例では、電気化学的な特別のテストストリップを利用している。このテストストリップは、既定の血量をキャピラリーシステムを通して電極システムに導入するようになっている。現在のテストストリップでは血量はほぼ1.5μl、ときには1μl以下でも充分である。電極システムとしては金製のものに層を付けて用いられる。この層は大抵各種の酵素といわゆる媒体を含み、試料の中に電極荷電担体(たとえばレドックス分子の形で)を形成するように作用する。この担体の濃度は、血液中のグルコースの濃度によって決まる。担体の濃度は金電極と、専門家に良く知られている適切な測定方法、例示のような比較的単純な電流電圧測定によって測定可能で、ここから血糖値が計算できる。
【0004】
この種の携帯型診断システムの重要要素は、相応するテストストリップないしこれを取り出すシステムを形成することにある。典型的な例では、糖尿病患者は1日当たりこの種のテストストリップを5〜7個要する。大事な点はその際テストストリップが清潔で乾燥していることで、汚れや湿度で血糖値測定が誤りにならないようにするためである。
【0005】
EP 1 321 769 A1特許がテストストリップの選択と取り出しの手段を持った試験システムを公開している。公開された方法は、基本的には、相応するテストストリップを湿度と空気を通さない装置の中に置いて引き出し状のもので取り出す。ここに記載のデバイスには血糖値などの診断手段は含まれていない。さらに、このデバイスには試料調製の手段も含まれていない。一方、ランセットシステムでは血液滴の取り方が出ている。したがって、EP 1 321 769 A1記載のデバイスは、相応するランセットシステムと診断システムとの組合せでのみテストストリップの評価に利用できる。
【0006】
さらにWO 02/055008 A2にはテストストリップの保存と取り出しのデバイスが公開されている。テストストリップのカセットがあってチューブ状のものに入れられている。これをさらに1つのケースの中に入れる。ケースにはつまみとテストストリップを小さいチューブから取り出す機構が付いている。ここでも、WO 02/05 5008には診断システムの記載は無く、テストストリップの取り出しユニットが出ているのみで、他のシステム、特にランセットシステムと診断ないし測定システムとの組合せでのみ役立つ。この結果血糖値のルーティン管理に必要なデバイスのための空間が増大する。
【0007】
WO 03/083469 A2では血液試料の電気化学的または光度的分析用の集積型試験装置が例として公開されている。集積型測定システムは、ランセットシステム、センサー、テストストリップのパトローネが1つのケース中に入っている。WO 03/083469 A2記載のシステムは日常的な使用では決定的な欠点を持っている。特に記載のシステムでは1つのケース中に全部の部材を入れ込む単一のシステムが問題である。このためこのシステムは空間が詰まっていて重い。さらにこのシステムは集積ランセットシステム用に別の張力を要する。なおかつWO 03/083469 A2のシステムは血糖値測定でしばしば問題となり、使用されるテストストリップの特性がテストストリップのチャージ間で変動する問題を解決できない。これにより血糖値測定での正確度がかなり低下してしまう。さらにWO 03/083469 A2記載のシステムは、テストストリップを後でロードするには追加のパトローネが必要で、これをシステムに組み込まねばならない欠点がある。この「二重ケース」によってこのシステムのための空間がさらに増大する。
【0008】
課題
本発明の課題はしたがって、技術状況で述べた欠点を緩和するシステムを用意することである。特に、手持ちし易く障害や動作ミスに強くかつ場所を取らないシステムを準備すべきである。
【0009】
解決法
これらの課題は個々の請求項の特徴ある発明によって解決される。本発明の好適な、さらなる態様は下位の請求項で明らかとなる。全体の請求項の文面は記載内容に関連して作成される。
【0010】
液体試料中の物質濃度の算出に用いる診断システム、特にヒトの血糖値測定についての診断システムを提案する。さらに、本発明の診断システムの操作方法に用いるマガジンシステムを提案する。ここに述べた発明による血糖値測定診断システムの他の診断システムが考えられ、特に特定の試料、たとえば食品試料の迅速簡単な測定システムがある。血糖値測定に代わって別のパラメータの測定がありうる。
【発明の開示】
【0011】
本診断システムは診断モジュールとこの診断モジュールに集積されたランセットシステムからなる。ランセットシステムの元には液体試料の準備用の任意のシステムがあると考えられ、特に試料中に針を刺すシステムである。通常は備えられたランセットシステムのランセットで血液滴を採取することが課題である。その際、ランセットを交換可能にするとか、何度でも使えるようにするとかである。このような各種のシステムが技術の状況から知られており、特にロータリーバルブのトランスミッションのセッティングシステムがある(例:US 6,419,661 B1)。このようなランセットシステムのセッティングは種々の方法で実現でき、たとえば直進運動および/または回転運動が起こる。さらに他のランセットシステムにも展開できる。たとえば、食品試料の除去用のランセットシステムまたは試料除去システムがある。
【0012】
さらに、この診断システムは、診断モジュールから分離しているマガジンモジュールをテストストリップの保存に利用することを示している。たとえば上述のテストストリップを液体試料の電気化学的または光度的分析に用いる。その際上述の種類のテストストリップはキャピラリーシステムと1個または複数個の電極で、付加的化学補助物質(酵素、媒体など)を扱うことができる。テストストリップでは他のテスト媒体もありえて、特に小さいテストチューブまたはテストストリップの連続ロールがある。
【0013】
診断システムにはさらに結合デバイスがあり、これによってマガジンモジュールが診断モジュールと結合できる。
【0014】
結合デバイスはランセットシステムに張力を付与するための張力デバイスを持っている。他の態様としては、結合デバイスを同様の張力デバイスでランセットシステムに張力を付与するものと結合することも可能で、マガジンモジュールを診断モジュールと結合する際に、ランセットシステムに張力が掛かるようになる。
【0015】
他の態様として追加的に、この結合デバイスはまたマガジンモジュール操作のための運転デバイスでもある。特に、少なくとも1個のテストストリップを取り出すのに同様の運転デバイスと接続している。このような発明の他の態様として、マガジンモジュールを診断モジュールと接続するときに少なくとも1個のテストストリップを取り出し、その際「取り出し」動作の元でたとえばテストストリップを測定点まで、特に液体試料(血液滴など)が取りうる測定点までフィードバックさせることが可能である。
【0016】
本発明の診断システムは従来型の、技術の現況から知られているデバイスに比して多数の利点を持っている。特にこの診断システムはその輸送に際して、直ぐに使用することが要求されない限り、診断モジュールをマガジンモジュールから分離しておける。両モジュールを分離して保管しておくとシステムは場所を取らずに包装できる。したがって、糖尿病患者は両モジュールを同時に1つのポケット、たとえばズボンのポケットに入れて運搬する必要が無く、別々に分けて包装しておける。
【0017】
さらにこのマガジンモジュールと診断モジュールの分離はたとえばWO 03/083469 A2との比較において、テストストリップの診断システムへの供給が常に任せきりで可能であることが判る。その際追加的に場所を取るテストストリップのドラムは不必要である。これは最初は診断システムに導入する必要があった。テストストリップの後での補填は単にマガジンモジュールを全部交換すればできる。全部揃ったマガジンモジュールは、たとえば相当する回収システムの枠組みの中で、取り扱われている。WO 03/083469 A2で見られるテストストリップの二重包装は不要である。
【0018】
さらなる利点は、マガジンモジュールと診断モジュールを組み合わせるとランセットシステムに直接張力が掛かる点である。さらにマガジンモジュールと診断モジュールを再度分離するとランセットシステムの張力が解けるデバイスも可能である。全システムを分解すれば張力無しで運搬が可能で、両モジュールを一体にすれば再びランセットシステムに自動的に張力が掛かる。したがってシステムを一体化すれば直ちに可動できる。
【0019】
更なる利点として、マガジンモジュールと診断モジュール間でのチャージ情報の交換に至るデータ交換デバイスまで考慮に入る。このチャージ情報は上述のように既定の標準からテストストリップがどれほど乖離しているかとか、テストストリップのチャージを通じて得られる測定情報から如何に血液中の糖濃度が計算できるかとかに関するものである。このチャージ情報では相応するマッチング関数のパラメータが関係する。
【0020】
特にデータ交換デバイスはマガジンモジュール搭載のトランスポンダーと診断モジュール搭載のトランスポンダー機器を持っている。マガジンモジュールが診断モジュールと接続されていると、マガジンモジュール搭載のトランスポンダーが診断モジュール搭載のトランスポンダー機器によって自動的に反応してテストストリップの相応するチャージ情報をトランスポンダー機器に伝達する。市場で入手可能のトランスポンダーとトランスポンダー機器が使える。このデータ交換は、マガジンモジュールを診断モジュールと接続したときに直ちに自動的に行われる。チャージ情報の自動交換は、チャージ情報の移動に際して故障が起こりうる確率を劇的に低下させるという利点がある。市販システムでは診断モジュール内のチャージ情報は大抵手動でインプットされなければならないか、または特殊の利用者によって作られた読み込みファイル経由でインプットされる。この手動インプットまたは利用者により取り込まれた読み込みファイルはミスを起こしやすく、チャージ情報の移動を完全に忘れてしまって何も起こらないとか、チャージ情報がミスを含んで取り込まれるとかが起こる。この欠陥は血糖値を間違って計算してしまってそれによりインシュリン投与量を間違えるなどの完全に間違った医学的対策をとってしまう等の致命的欠陥に至る。
【0021】
追加的に、データ交換デバイスはマガジンモジュールに搭載のデータ記録装置、特にEPROMを持つことができる。このEPROMはしばしば「ROM−キー」と称される。この拡張は特にデータ交換デバイスが少なくとも1つの電気的接続を有するような形態の拡大と共に有意義となる。この電気的接続はたとえば結合デバイスに組み込むことができる。このようにしてマガジンモジュールに搭載されたデータ記録は電気的接続を経由して外部から直接読み取ることが可能となる。このことは特に配線無しでのデータ伝送でたとえばトランスポンダー経由で行うのが望まれない場合に好適である。配線を用いないデータ伝送は多くの使用域で妨害が起こりうる。近傍の機器からの妨害信号が入ることがありうる。たとえば2人の糖尿病患者がすぐ近くに居て相応する機器を使用しているとすると、1つの機器からもう1つの機器へデータが望んでいないのに捉えられる。これは上述のように致命的な結果となる。このような拡大は、マガジンモジュールと診断モジュールを接続すると自動的に確実に妨害を受けずに相応するチャージ情報を伝送する方式とは相反する。これなしでは利用者がさらに手を加えねばならない。このような欠点にも拘わらずトランスポンダーを追加的に導入することができる。
【0022】
マガジンモジュールと診断モジュールを結合する結合デバイスには種々の方式がある。たとえばプラグイン型がありうる。その中でたとえば直線的にプラグインするものでは、利用者はマガジンモジュールと診断モジュールを合体するのに2つのモジュールを互いに直線的に通す。直線的な移動はランセットシステムに張力を掛けるのに利用できる。多くのランセットシステムが1つのまたは複数のスプリングシステムからなる場合はこれに限定される。スプリングシステムにはこの直線的な移動を通じて張力が掛かる(例:US 6,419,661 B1参照)。特にプラグイン結合がダブテール型の場合にこうなる。マガジンモジュールと診断モジュールのあいだのこのような結合は機械的に特に安定である。
【0023】
さらに診断システムは、張力デバイスがスプリングシステムと結合した足部キャリッジを持つように形作ることが可能である。足部キャリッジはたとえば診断モジュールに搭載できる。上述のように、結合デバイスがプラグイン結合デバイス、たとえばダブテール型を持つ場合、マガジンモジュールと診断モジュールのつなぎ合わせが診断モジュール搭載の足部キャリッジの直線運動で起こり、静止している診断モジュールに対して相対的に動くマガジンモジュールの移動と共に直線的に動いてスプリングシステムに張力がかかる。これに相応する固定用デバイス、たとえば単純なフックがスプリングシステムを張力の掛かる距離に保持する。これはランセットシステムが解放されフックが解放されスプリングシステムが自由になり1つのランセットシステムに作用するまで続く。このような解放デバイスは技術の現況から既知でありここではこれ以上詳述しない(例:US 6,419,661 B1参照)。
【0024】
特に利点が大きいのは診断モジュールがコンピュータシステムおよび/または表示画面を有する場合である。コンピュータシステムは種々の課題をやり遂げることができる。特に、コンピュータシステムは材料濃度の算出のために測定値を捉えて相応する測定値把握システムへ直接間接に送りこれに応じて評価する。このために種々の部分システムが備わっていて、たとえばデータメモリで揮発性、非揮発性のものがある。さらにコンピュータシステムには相応するハードウエアを持ってチャージ情報の把握と交換を行うことができる。たとえばトランスポンダー機器をコンピュータシステムに組み込むことができる。またマイクロコンピュータを扱うことができる。さらにコンピュータシステムはデータの取り出し用のデバイスも持てる。コンピュータシステムはさらに表示装置と結合できる。その視覚情報により診断システムの利用者は算出された血糖値についてなど、更なる情報が得られる。
【0025】
さらに好適な形態として本診断システムはマガジンモジュール操作用の動作デバイス、ランセットシステム解放用の解放デバイス、診断モジュール動作用の動作システムなどを持っている。これらの動作デバイス、解放デバイス、動作システムは分離した操作エレメントとして形成できるが全部を1つの操作エレメントとして集積することも可能である。動作デバイス、解放デバイス、動作システムはマガジンモジュールおよび/または診断モジュールに付けることも考慮できる。また診断モジュールとマガジンモジュールに分散させることも考えられる。たとえば1個または複数個の操作エレメントは診断モジュールに、1個または複数個の操作エレメントはマガジンモジュールとすることなどが考えられる。
【0026】
診断システムは、垂直方向のグリップエンド、すなわち基本的に水平方向の操作面を持つように構成することができる。操作面には少なくとも1つの操作エレメントを持つことができる。したがって、特にマガジンモジュールはグリップエンドとして形を作り、診断モジュールには水平の操作面を持つようにできる。たとえばマガジンモジュールと診断モジュールからなる診断システムは両方を合わせてT字形とかピストル形にすることができる。このようにすれば診断システムが手で持ちやすくなる。特に好適なのは、全診断システムを片手で動かす場合である。診断モジュールに結合したマガジンモジュールにある少なくとも3つの操作エレメントを一方の手の指で動作できる。マガジンモジュール操作用の動作デバイスをマガジンモジュールに置くことが考えられる。これをマガジンモジュールを握っている片方の手の人差し指や親指で動作できる。さらに、押しボタンの形をした解放デバイスを診断モジュールに置くことが考えられ、これをマガジンモジュールを握っている片方の手の親指で操作でき、ランセットシステムが解放される。また、マガジンモジュールの解放デバイスでたとえばマガジンモジュールを囲んでいる手の人差し指状の「排出手」で動作できる。他の態様として、解放デバイスでランセットシステム(たとえばスプリングの付いたランセットキャップ)をプレスしたときに自動的に解放されるものを作って追加的解放デバイスを不要にする。さらに1個または複数個の押しボタンを診断モジュールに置くことが考えられ、これが診断モジュールの操作システムとして働く。これをマガジンモジュールを囲んでいる手の親指で動作できるように配置する。操作システムはコンピュータシステムに戻ってイニシアライズしまたは測定過程をスタートさせることができる。
【0027】
上述のように本発明の診断システムは種々のテストストリップと専門家には良く知られたテスト過程を取り入れられる。たとえば電気化学的または光度的テスト過程がある。テストストリップを利用する場合、上述のようにキャピラリーシステムと多くの集積電極を備えることが好ましい。さらに上述のように、電極を酵素または媒介で覆い、血糖が存在すると遊離の負荷担体を発生させるようにすることができる。診断システムがマガジンモジュール中に少なくとも1個の測定電極を持ち、ここで診断モジュールと接続したマガジンモジュールで診断モジュールが少なくとも1個の測定電極上で少なくとも1個のテストストリップと結合できることが好ましい。この結合が可能なのはテストストリップの1つの位置で電極がテストストリップ中で少なくとも1個の測定電極と結合している状態と理解できる。
【0028】
マガジンシステムはテストストリップにとっての積層マガジンとして作られるのが好適である。他の形態も考えられロール状のマガジンまたは他のシステムも考えられる。マガジンシステムにはテストストリップを取り出す動作デバイスが付くのが好適である。この動作デバイスではたとえばレバーまたは押しボタンで排出手のような形をしたものが課題となる。このような動作デバイスは動作ボタン、ピストン連結棒、テストストリップのずらし用押し出し片を有するのが好適である。押し出し片には2つの押し出しエッジがあってこれでテストストリップを掴めるようにしてある。第一の押し出しエッジ(切断エッジ)と第二の押し出しエッジ(放出エッジ)がある。動作デバイスは動作ボタンの最初の動作で1つのテストストリップを第一の押し出しエッジ(切断エッジ)で掴み切断位置まで動かすように作られている。切断位置のテストストリップは上から既定の測定電極と接触される。こうしてこの位置で材料濃度、特に血糖濃度が測定される。次いで動作ボタンが二回目として動作して同じテストストリップを第二の押し出しエッジ(放出エッジ)で掴まえてマガジンモジュールから放出スリットを通して放出する。これでテストストリップは問題なく処理される。「エッジ」の代わりに他の設備で置き換えることも可能である。同様の作用を示すグリップ、留めピン、切りかき、または類似のものからなるもので置き換えられる。ここに記載のシステムは診断のどの時点でも利用者がテストストリップに手を触れなくてよいという利点がある。これによりテストストリップが手指の汗や手の面の汚れで汚染される危険が大幅に減る。
【0029】
さらに好適なのはマガジンモジュールが常時空気を通さない点で、不純物や空気中の湿度からマガジンモジュール中に置かれたテストストリップが何時も遠く離れている点である。マガジンモジュールには乾燥剤を入れてマガジンモジュール中の湿度を下げることも可能である。
【0030】
液体試料の準備の場所、特にランセット(たとえば診断システムのランセットキャップのランセット孔)で突き刺す場所と液体試料の受入場所、特にテストストリップ上で血液滴を提供する場所が測定点で密接している場合に手動動作の人間工学的特性上、好適であるのは、ランセットシステムで突き刺して血液滴が生じた後でこれをテストストリップで測定点に持って行くためには診断システムは水平方向に僅かしか動いてはならない点である。このためには診断システムはランセット孔とテストストリップの取り出しスリットを持ち両者は50mmよりも遠くは離れていない、さらに好ましくは40mmよりも遠くは離れていない、さらには8〜35mmのあいだしか離れていないことがより好ましい。
【0031】
上述のような、マガジンモジュールと診断モジュールを一体化した診断システムが示す「T字形」ないし「ピストル形」は本発明によればマガジンモジュールと診断モジュールの結合時にランセットシステムの記述されたような自動張力ないしテストストリップの自動取り出しができないで設定できる。その際上述のように、診断システムは基本的に垂直のグリップエンドと基本的に水平な操作面を持つことができる。特に操作面は診断モジュールの面とすることができる。操作エレメントの分布と診断システムの個々の部材の機能性は上述のように形成できる。この分解された「T字形」ないし「ピストル形」は技術の現状として既知のシステムとは反対に非常に大きく改善された人間工学的特性と取扱い性が改善され、その際同時に診断システムが「嵩張るT字形」を有していることは、分解可能であることにより、運搬特性が低下することはない。
【0032】
以下に本発明を実施例でさらに詳述する。本発明はしかしここに示す実施例だけに制限されるものではない。実施例は図によって模式的に表現される。個々の図中の同じ引用番号は同じまたは機能的に同じないしその機能に関して相互に相応する要素を示す。
【0033】
個々には下記の通りである:
図1はマガジンモジュール110と診断モジュール112を組み合わせて診断システム114とするものが斜視図により示されている。ここで診断システムは下から見たもの(右下図)と上から見たもの(合体した状態、右上図)とを示す。
【0034】
マガジンモジュール110は、望ましい実施態様においてこれをグリップエンドとして実現している。これを手で持てる例である。マガジンモジュール110は正面から見て、マガジンモジュールからテストストリップを取り出す動作デバイスの部分としての動作ボタン116を示す(例として図5下部の引用番号510参照)。この動作ボタン116はマガジンモジュール110の正面で外側への湾曲118の中に入っている。動作ボタン116と、それが構成要素をなす動作デバイス510の機能性については後で詳述する。動作ボタン116の面はこの実施例では波状になっている。動作ボタン116を握りやすくするためである。マガジンモジュール110を片方の手で握ると動作ボタン116はたとえばその手の親指で動作できる。さらにマガジンモジュール110は取り出しユニット120を持ち動作デバイス510特に動作ボタン116を動かすとマガジンモジュール110に内蔵されているテストストリップ310(たとえば図5下部参照)が取り出されてテスト位置へ移動できるようになる。
【0035】
マガジンモジュール110の上面にはダブテール型の切り欠き122がある。このダブテール型切り欠き122はマガジン側面のガイドレールとなる。ダブテール型切り欠き122にはマガジン側面の電気接点124、126の2つの群がある。その1つは測定電極との接点124の一群(この場合3個)はダブテール型切り欠き122の閉じた正面側末端にあり、もう1つはダブテール型切り欠き122の中央に位置してマガジン側面のROM−キー接点126の1群(この場合3個)である。接点124、126の機能は後で詳述する。
【0036】
さらに本実施例ではマガジンモジュール110はマガジン側面の駆動体の鼻128を持ちマガジンモジュール110の上面でダブテール型切り欠き122の傍に位置している。
【0037】
診断モジュール112はその下面に診断モジュール側面のダブテール型レール130を持ち、それがマガジン側のダブテール型切り欠き122内に殆ど遊びなしに挿入されることができる。マガジン側のダブテール型切り込みへの診断モジュール側のダブテール型レールの挿入によって、診断モジュール112とマガジンモジュール110間が強固に結合されることとなる。診断モジュール側のダブテール型レール130は診断モジュール112の下面にある組立プレート132の上に据え付けられる。組立プレート132には駆動体スリット134があり、そこではマガジンモジュール110に据え付けられた診断モジュール112の傍の駆動体の鼻128がマガジンモジュール110の上面に嵌り込むことができる。
【0038】
さらに、診断モジュール側のダブテール型レール130には2つの接点群136、138がある。その1つ;診断モジュール側の測定電極との接点群136(本実施例では3個)が診断モジュール側のダブテール型レール130の正面にあり、もう1つ:診断モジュール側のROM−キー接点群138(この場合3個)が診断モジュール側のダブテール型レール130の中央にある。診断モジュール側の測定電極接点136とROM−キー接点138は、診断モジュール側のダブテール型レール130をマガジンモジュール110のダブテール型切り込み122へ挿入する際、診断モジュール側の測定電極136がマガジン側の測定電極接点124の上に位置するよう、また診断モジュール側のROM−キー接点138がマガジン側のROM−キー接点126の上に位置するように配置され、マガジンモジュール110と診断モジュール112のあいだの相応する電気的接続ができ上がるように配置される。
【0039】
さらに、合体した診断システム114での診断モジュール112には基本的に水平な操作面140がある。操作面140には画面表示142、特に本実施例ではLCD表示が嵌め込まれる。表示142上で診断システムの利用者はたとえば血糖濃度の測定結果やその他の情報、たとえばバッテリーの状態などが伝達されることが可能である。表示142はまた別の例としてタッチスクリーンとして作ることが可能で、その際これの相当する面に接触すると診断システム114や診断モジュール112を作動させたり、診断モジュールに入力したりすることができる。
【0040】
さらに、操作面140には操作ボタン144があり、このボタンは操作面140と同一平面内に嵌め込まれ診断システム114の本来の機能を通じて操作される。たとえば操作ボタン144を通して診断モジュール112に入っているコンピュータシステム(図6、7の引用番号626など)をイニシアライズすることができる。または測定を開始できる。また、オンオフボタンとして操作ボタン144が使用できるが、これには診断システム114のオンオフまたは内蔵されているコンピュータシステム626のオンオフをマガジンモジュール110と診断モジュール112の合体により行うことができるなどがある。
【0041】
さらに、診断モジュール112は集積ランセットシステム(図6の引用番号612など)を持つ。ランセットシステム612は、図1では斜視図によって描かれていないが、ランセットキャップ146を自由に動かせる。ランセットキャップ146はそれに入っているランセット針(図6の引用番号628)を覆う。ランセットキャップ146はその前面にランセット孔630(図6)を持つ。これを通してランセット針628がランセットシステム612の動作の際短時間外部へ出ることができる。これにより皮膚層に孔を開けて血液滴を作る。血液滴は1μlよりも小さくいことが好ましい。ランセットキャップ146は同時に、回転しうる調節システムとして動く。ランセットキャップ146の回転を通じて、ランセット針628がランセットシステム612の動作でランセットキャップ146ないしランセット孔630からどの程度外へ出るかの調節が可能である。このようにして血液滴を得る際の針の深さを調節できる。これにより診断システム114は種々の皮膚厚に適合しうる、またはこれにより生成する血液滴の容積を設定できる。ランセットシステム612は、診断モジュール112の前面の反対側の正面に位置している解放ボタン148で解放できる。
【0042】
図1に示した診断システム114は、マガジンモジュール110を掴んで好都合なグリップ位置を取れることを特徴とする。このグリップ位置で操作面140上に位置している表示142の観察者は容易に情報を読み取ることができると同時に、片手で診断システムを操作できる。このシステムの運搬にはマガジンモジュール110と診断モジュール112を簡単に分離させる。その際たとえば診断モジュール112は自動的にオフにできる。モジュール110と112の分離運搬は診断システム114の運搬に要するスペースを節約できるように分けると可能である。診断システム114の操作には最初に一度両手の使用が必要で、これにより診断モジュール112をその診断モジュール側のダブテール型レール130を用いてマガジン側のダブテール型切り欠き122へ挿入する。これによりたとえば診断システム114は自動的に始動する、即ち特に例示したように診断システム114内蔵のコンピュータシステム626がイニシアライズする。同時に、両モジュール110と112の合体により診断モジュール112内蔵のランセットシステム612にテンションが掛かる。さらに両モジュール110と112の合体により診断モジュール112とマガジンモジュール110間に電気的接続ができ上がりこれにより一方ではマガジンモジュール110内に配置された測定電極(図4の引用番号422など)が診断モジュール112により読み取れ、他方ではROM−キー接点126、138を通してチャージ情報がマガジンモジュール110内蔵のテストストリップ310を通して診断モジュール112へ転送される。利用者側がチャージ情報を間違って診断システムに出してしまったとしても、ミス源の配線無しでのチャージ情報の転送による障害はこの方式では緩和される(上述)。
【0043】
図2、3にはマガジンモジュール110が斜視図により種々の観点から示されている。図2は前面が描かれていて取り出しユニット120が詳細に表示されている。取り出しユニット120の本質的なエレメントは取り出しスリット210で、これは水平に配置されており、近似的にテストストリップ310と同じ巾と厚みを持っている。取り出しスリット210はこれに加えて厚いリップ状のもの(図4の引用番号526など)で、例示ではゴム製のもので、閉じることができる。これでテストストリップ310が取り出しスリット210から取り出せるようになるとともに、湿度や汚れがマガジンモジュール110内に入るのを抑止している。さらに取り出しユニット120には主リップ212が付いていてテストストリップ310をその測定位置(図3)で下支えしている。したがってこれは部分的にマガジンモジュール110に入っていてそこで測定電極と接触し、部分的にはマガジン110から外へ出てそこで血液滴を受け取る。
【0044】
図3ではマガジンモジュール110が測定位置にあって動作ボタン116を押した状態を表示している。動作ボタン116の動作方向は矢印312で模式的に示してある。この例では動作ボタン116は以下に詳しく説明するように、二重の役割を果たす。その1つは動作ボタン116を動作方向312に一度動作してテストストリップ310をマガジンモジュール110から取り出しスリット210を通して部分的に取り出し測定位置(上述)に移すことである。この位置でテストストリップ310の飛びだし先端で血液滴を受け取ることができる。この滴はマガジンモジュール110内にあるテストストリップ310の部分のキャピラリーシステムによって相応する電極システムに移動する。この電極システムは上述のたとえば酵素と媒体で覆われているがマガジンモジュール110の内部で測定電極(図4の引用番号422)と接続しておりこれがさらに測定電極リード線システム(図4の引用番号420)と診断モジュール112の測定電極接点124と136を通って読み取られる。動作方向312での動作ボタン116の新しい動作は、測定が既定の通り終了した後、使用済みのテストストリップ310をマガジンモジュール110から完全に取り出して廃棄できるようにすることである。
【0045】
図4、5にはマガジンモジュール110の断面図が描かれている。図4の断面図は図2の斜視図に相応しており、図5の断面図は図3の斜視図で動作方向312で押された動作ボタン116のあるものに相応している。マガジンモジュール110にはケース410があり、この中にテストストリップ310を嵌め込むための積層マガジン412がある。積層マガジン412内ではテストストリップ310は水平方向に互いに並んでおりスプリングシステム414によって上方に押し上げられている。積層マガジン412中ではテストストリップ310はさらに乾燥剤416、例示ではシリカゲルで囲まれており積層マガジン412内部の空気湿度を低下させる。
【0046】
さらに図4、5の図示ではダブテール型切り欠き122と駆動体の鼻128が再度現れる。またマガジン側の測定電極124とマガジン側のROM−キー接点126も表示されている。ROM−キー接点126はデータメモリ418(ROM−キー)と直結している。そのチャージ情報はテストストリップ310を介して保持される。このチャージ情報は診断モジュール112のROM−キー接点126を介して読み取られる。マガジン側の測定電極接点は電極移動システム420経由電極422と接続され、これが積層マガジン412の上半分に配置される。テストストリップ310が測定位置(図5上部のテストストリップ310)にあると、上述のように測定電極422はテストストリップ310上にある電極と接続され、テストストリップ310上のこの電極はマガジン側の測定電極124と診断モジュール側の電極接点136経由診断モジュール112によって読み取られそこでコンピュータシステム626にて評価される。
【0047】
さらに、マガジンモジュール110は動作デバイス510を持ち、その作用方法は図4、5との比較を元にして記述されるべきである。動作デバイス510は既に上述のように、動作ボタン116を持ち、それはたとえば片方の手の親指または母指球により動作方向312(図3)の方へ押される。さらに動作デバイス510はスプリング機構512を持ち、これが動作ボタン116に力を動作方向312(図3)とは反対の方向に与える。スプリング機構512はこの実施例では柔軟な材料たとえば合成物からできており、たとえばギリシャ文字のオメガの形をとっている。さらに動作デバイス510は軸514の周りを回れて動作ボタン116の上に置かれているピストン連結棒516を持ち、これが軸514の反対側にあるその末端に対して押し出し片518で結合している。ピストン連結棒516は積層マガジン412の中へ突出しており軸514は積層マガジンの外へ、押し出し片518は積層マガジン412の内側へ配置される。ピストン連結棒516が積層マガジン412に入ると第一の厚いリップ520により密閉され積層マガジン412に湿気が入るのを減少ないし緩和できる。
【0048】
押し出し片518は軸514の反対側にあるピストン連結棒516の末端に、ピストン連結棒516の周りを軽く回れるように配置されており、2つの押し出しエッジ522、524を持っている。第一の押し出しエッジ522は、測定エッジとも云われるが、軸514により近く配置されており、第二の押し出しエッジ524は、放出エッジとも云われるが、軸514からより離れて配置されている。この両押し出しエッジの機能は図4、5の比較から明らかとなる。動作ボタン116の最初の動作でスプリング機構512が押しつぶされ、ピストン連結棒516は第一の厚いリップ520を通してさらに積層マガジン412の中に入り、その際最上部のテストストリップ310を第一の押し出しエッジ522の軸514から遠い末端で掴み、第二の厚いリップ526でできている取り出しスリット210から部分的に外へ移す。動作ボタン116を一杯に押すと、図5に示したように、テストストリップ310は測定位置に入る。ここで前述のようにテストストリップ310の先端528に血液滴が受け取られる。これが次いでテストストリップ310内部のキャピラリーシステムを通して測定電極422の下に位置していて測定電極422を通して接続されている電極システムの、図5に示した測定位置に運ばれる(上述)。
【0049】
次いで動作ボタン116に何の力も加えないと、動作ボタン116はスプリング機構512による力で動いて図4に示した出発点に戻る。その際ピストン連結棒516とこれに応ずる押し出し片518も図4に示した位置に動く。最上部のテストストリップ310は、図5に示した測定位置に止まる。測定電極422がスプリング機構414に対抗するものとして作用してテストストリップの下から上への更なる動きを阻止する。次いで動作ボタン116が新たに動作方向312へ動くと、ピストン連結棒516はこれに回転できるように置かれた押し出し片518と共に積層マガジン412の中へ新たに挿入される。押し出し片518はその時優先的にピストン連結棒516の周辺を回転できるように置かれ、第二の押し出しエッジ524の側面に軽い荷重が掛かるようにする。その結果、ピストン連結棒516の積層マガジン412への二回目の挿入で、最上部のテストストリップ310の軸514の近くに置かれた末端を掴まえることとなる。この第二の押し出しエッジ524は第一の押し出しエッジ522よりも軸514から遠く置かれていて押し出し片518の第二の挿入でテストストリップ310をさらに取り出しスリット210から外へ動かし、取り出しスリット210から最終的に完全に除去されるか、またはマガジンモジュール110から外へ主要重量が移ったのでその重力で完全に取り出しスリット210から外へ放出されるかとなる。他の態様として、押し出し片518はそれの積層マガジン412への挿入で測定電極422の上方向への移動が起こり押し出し片518は取り出しスリット210に近づくことなる。全体としてここに示した機構で1つのシステムができ上がり、即ち動作デバイス510の一回の動作で最初にテストストリップ310が測定位置へ移り次いで動作デバイス510の第二回目の動作でこのテストストリップ310が「消費」されて外へ放出される。
【0050】
図6、7には診断モジュール112の極く単純化した断面図が示されている。特に明瞭なのは、診断モジュール112に配置されている張力デバイス610がマガジンモジュール110と診断モジュール112の接続でランセットシステム612に如何にして張力を掛けるのかである。張力デバイス610にはスパイラルスプリング614が足部キャリッジ616と共にある。足部キャリッジ616は図8でもう一度斜視図として示されている。マガジンモジュール110が前記のマガジンモジュール110にあるダブテール型切り欠き122と診断モジュール側のダブテール型レール130を用いて挿入方向618で診断モジュール112と結合して挿入結合を作ると、駆動体の鼻128はマガジンモジュール110の面から駆動体スリット134を通して診断モジュール112の組立プレートの中へ突出し、そこで駆動体スリット134に突き出た足部の鼻620が足部キャリッジ616を掴む。足部キャリッジ616は挿入方向618へ移動する。足部キャリッジ616はスプリング架台622を越えてランセットシステム612のスパイラルスプリング614と結合する。足部キャリッジ616は挿入方向618へ動いてランセットシステム612のスパイラルスプリング614は挿入方向618へ同時に入り込む。これによりランセットシステム612には張力が掛かる(図7、張力が掛かっている位置)。完全に相互に結合したマガジンモジュール110と診断モジュール112では図7から判るようにマガジン側の測定電極接点124は診断モジュール側の電極接点136と接続し、マガジン側のROMキー−接点126は診断モジュール側のROMキー−接点138と接続することとなる。これにより接点124、136、126、138は測定リード線624を通じて診断モジュール112に配置されたコンピュータシステム626により読み取られる。このようにしてコンピュータシステム626にはテストストリップ310を通じて取り込まれたチャージ情報も測定電極から送られる本来の血糖濃度測定信号も存在する。
【0051】
ランセットシステム612は交換可能のランセット針628を自由に動かす。図7に示したようにランセットシステム612の張力の張った状態が(ここでは表示していないが)解放ボタン148(図1)を動かすとそれまでブロックされていたランセット針628が解放される(対応する制動フックを解放して)。そして張力の掛かったスパイラルスプリング614がランセット針628に作用してこれをランセットキャップ146にあるランセット孔630を通じて急激に突き出す。このようなランセット針628の突き刺し運動はストッパー632を通して続き、このストッパー632はランセット孔630周辺に出ていてランセット孔630からのランセット針628の最大の突出長を決める。ランセットキャップ146の位置を残りの診断モジュール112に対して相対的に変えることによって(回転運動やねじ山を使って、その上でランセットキャップ146が診断モジュール112の残りの部分と結合させる)ランセットシステム612の突き刺し深さを設定できる。
【0052】
図9A、9B、ならびに図10A、10Bには、図1から8で示した第一の実施態様に代わる本発明の2つの実施態様が診断システム114について斜視図として示されている。図9A、10Aでは後面から、図9B、10Bでは前面から見た表示で、ランセットシステム146を配置した側面からのものである。
【0053】
各エレメントの機能性は、特に動作ボタン116と解放ボタン148の操作エレメント144の機能性は、上記の第一の実施態様のそれと機能的に同じである。かつ診断モジュール112とマガジンモジュール110の構成も上記の構成と基本的に等しいか類似である。
【0054】
図9A、9B、10A、10Bの実施態様と、上述の第一の実施態様とのあいだの本質的な差異は、マガジンモジュール110と診断モジュール112の相互の相対的位置関係、ならびに完成した診断システム114への一体化の仕方にある。上記の第一の実施態様の望ましい形は「T字(ピストル形とも云われる)」形である一方、図9A、9Bに示した第二の実施態様は、診断システム114の一体型で「積層」型をとっており、その基本形は直方体で底面が約50mm×50mmの正方形、高さが約30mmのものに相当する。さらに詳しく横から見るとこの直方体の半分はマガジンモジュール110でできており(高さ約15mmの矩形)、後の半分は診断モジュール112でできている。図9A、9Bの積層型は診断システム114の一体型で特に場所をとらない。また、上記以外の寸法取りも可能で、マガジンモジュール110と診断モジュール112をそれぞれ別の寸法にすることも可能である。
【0055】
図10A、10Bに相応して第三の形態が示される。マガジンモジュール110と診断モジュール112は図9A、9Bと類似の直方体(稜の長さが50mm×50mm×15mm)である。両モジュール110と112がこの実施態様では前面から見て「直列型」を作り稜長がそれぞれ約100mm×50mm×15mmの直方体となっている。この形は特に掴みやすくしかも読み取り性も良好、場所もとらないのもそのままである。上記の寸法とは異なった寸法取りも可能でマガジンモジュール110と診断モジュール112をそれぞれ別の寸法とすることもできる。
【0056】
両モジュール110と112は図9A、9B、10A、10Bの実施態様で図1類似の結合でたとえばダブテール型切り欠き122とダブテール型レール130(切り欠き122とレール130は勿論交換可能)を通して互いに接続可能である。また、ランセットシステム612の張力とデータおよび信号の交換も図1の実施態様のそれと類似の方法でできる。
【0057】
最後に図11には本発明の診断システム114の操作に至る本発明の過程を実施する1つの可能な手順プランを示す。ここに示した工程は必ずしもその順番通りに実施する必要はない。ここに示さなかった工程も可能である。
【0058】
まず工程1110ではテストストリップ310を持ったマガジンモジュール110を、図1の実施態様に例示したように診断モジュール112と結合する。これでランセットシステムに張力が掛かる。次いで工程1112ではランセットシステム612が、たとえば放出ボタン148を動作させて、放出される。これにより液体状のある量の試料が、特に血液滴であるが、準備される。
【0059】
工程1114では動作デバイス510をたとえば動作させることにより図4と5の通りマガジンモジュール110からテストストリップ310を測定位置に移動させる。次いで工程1116では、ある量の試料をテストストリップ310と結合させる。次いで工程1118では、たとえば前記の電流−電圧−測定法を用いて、材料濃度、少なくとも1つの既定の材料、例示では試料中のグルゴースの濃度を計算する。次いでオプションとしての工程1120では利用したばかりのテストストリップ310を、例示では上述のように動作デバイス510を新たに動かして廃棄する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】マガジンモジュールと診断モジュールを合体して本発明による診断システムとする図である。
【図2】マガジンモジュールの斜視図である。
【図3】図2によるマガジンモジュールの斜視図において動作ボタンを押している状態を示す図である。
【図4】図2によるマガジンモジュールの断面図である。
【図5】図4によるマガジンモジュールの断面図において動作ボタンを押している状態を示す図である。
【図6】診断モジュールの斜視図においてマガジンモジュールの固定前のものを示す図である。
【図7】図6の配置の斜視図においてマガジンモジュールの固定後のものを示す図である。
【図8】ランセットシステムについての足部キャリッジの斜視図である。
【図9A】図1の斜視図において他の態様の積層診断システムの背面図である。
【図9B】図9Aの診断システム斜視図における正面図である。
【図10A】図1、9A、9Bに対する他の態様の直列型診断システムの斜視図および背面図である。
【図10B】図10Aによる診断システムの正面からみた斜視図である。
【図11】本発明による診断システムの操作に至る本発明による手順の過程を示す説明図である。
【符号の説明】
【0061】
110 マガジンモジュール
112 診断モジュール
114 診断システム
116 動作ボタン
118 マガジンモジュール110前面の湾曲
120 取り出しユニット
122 ダブテール型切り欠き
124 マガジン側の測定電極接点
126 マガジン側のROM−キー−接点
128 駆動体の鼻
130 診断モジュール側のダブテール型レール
132 組立プレート
134 駆動体スリット
136 診断モジュール側の測定電極接点
138 診断システム側のROM−キー−接点
140 操作面
142 表示
144 操作ボタン
146 ランセットキャップ
148 解放ボタン
210 取り出しスリット
212 保持リップ
310 テストストリップ
312 動作ボタン116の動作方向
410 ケース
412 積層マガジン
414 スプリングシステム
416 乾燥剤
418 データメモリ
420 測定電極リード線システム
422 測定電極
510 動作デバイス
512 スプリング機構
514 軸
516 ピストン連結棒
518 押し出し片
520 第一の厚リップ
522 第一の押し出しエッジ、測定エッジ
524 第二の押し出しエッジ、放出エッジ
526 第二の厚リップ
528 測定位置のテストストリップ310の先端
610 張力デバイス
612 ランセットシステム
614 スパイラルスプリング
616 足部キャリッジ
618 挿入方向
620 足部の鼻
622 スプリング架台
624 測定リード線
626 コンピュータシステム
628 ランセット針
630 ランセット孔
632 ストッパー
1110 マガジンモジュール110と診断モジュール112の結合
1112 ランセットシステムの解放
1114 テストストリップ310お測定位置への移動
1116 試料をテストストリップ310と結合させる
1118 材料濃度の算出
1120 テストストリップ310の廃棄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)診断モジュール(112)中に集積したランセットシステム(612)を有する診断モジュール(112)と、
b)テストストリップ(310)を保存するために診断モジュール(112)から分離したマガジンモジュール(110)と
からなり、
マガジンモジュール(110)と診断モジュール(112)の結合のための結合デバイス(122、130)を有し、
前記結合デバイス(122、130)がランセットシステム(612)に張力を掛けるための張力デバイス(610)を備え、および/または、ランセットシステム(612)に張力を掛けるための張力デバイス(610)が、マガジンモジュール(110)と診断モジュール(112)の接続でランセットシステムに張力を掛け、および/または、
結合デバイス(122、130)がマガジンモジュール(110)の操作のために、特に、少なくとも1つのテストストリップ(310)の取り出しのための動作デバイス(510)を有し、および/または、マガジンモジュール(110)の操作、特に少なくとも1つのテストストリップ(310)の取り出しのための動作デバイス(510)と接続しており、マガジンモジュール(110)と診断モジュール(112)の結合で少なくとも1つのテストストリップ(310)を取り出せることを特徴とする液体状の試料中の物質濃度算出、特にヒト血液中の血糖値測定に用いる診断システム(114)。
【請求項2】
テストストリップ(310)のチャージ情報をマガジンモジュール(110)と診断モジュール(112)とのあいだで交換するためのデータ交換デバイス(126、138、418)を有することを特徴とする請求項1記載の診断システム(114)。
【請求項3】
データ交換デバイス(126、138、418)はマガジンモジュール(110)に配置したトランスポンダーと診断モジュール(112)に配置したトランスポンダー機器(626)を有することを特徴とする請求項1または2記載の診断システム(114)。
【請求項4】
データ交換デバイス(126、138、418)は、マガジンモジュール(110)に配置したデータメモリ(418)、特にEPROMを有することを特徴とする請求項2または3記載の診断システム(114)。
【請求項5】
データ交換デバイス(126、138、418)は、少なくとも1つの結合デバイス(122、130)に配置した電気接点(126、138)を有することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の診断システム(114)。
【請求項6】
結合デバイス(122、130)が、挿入結合(122、130)をすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の診断システム(114)。
【請求項7】
挿入結合(122、130)が、ダブテール型動作(122、130)をすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の診断システム(114)。
【請求項8】
張力デバイス(610)がスプリングシステム(614)と結合している足部キャリッジ(616)を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の診断システム(114)。
【請求項9】
診断モジュール(112)が表示(142)および/または、コンピュータシステム(626)を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の診断システム(114)。
【請求項10】
診断システム(114)が下記の操作エレメント(510、148、144):マガジンモジュール(110)を操作するための動作デバイス(510)、ランセットシステム(612)を解放するための解放デバイス(148)、診断モジュール(112)を操作するための操作システム(144)を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の診断システム(114)。
【請求項11】
1つの基本的に垂直なグリップエンド(110)と1つの基本的に水平な操作面(140)を特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の診断システム(114)。
【請求項12】
操作面(140)が少なくとも1つの操作エレメント(144)を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の診断システム(114)。
【請求項13】
少なくとも3つの操作エレメント(510、148、144)があって、診断モジュール(112)と結合しているマガジンモジュール(110)を片手で操作可能とすることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の診断システム(114)。
【請求項14】
マガジンモジュール(110)が少なくとも1つの測定電極(422)を有し、診断モジュール(112)と結合しているマガジンモジュール(110)によって診断モジュール(112)が少なくとも1つの測定電極(422)を通して少なくとも1つのテストストリップ(310)と結合できることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の診断システム(114)。
【請求項15】
マガジンモジュール(110)がテストストリップ(310)用の1つの積層マガジン(412)を有することを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の診断システム(114)。
【請求項16】
マガジンモジュール(110)がテストストリップ(310)の取り出し用の動作デバイス(510)を有することを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の診断システム(114)。
【請求項17】
動作デバイス(510)がそれぞれ1つの、動作ボタン(116)、ピストン連結棒(516)、1つのテストストリップ(310)をずらすための押し出し片(518)を有し、押し出し片(518)は少なくとも1つの第一押し出しエッジ(522)と第二の押し出しエッジ(524)を有してテストストリップ(310)を掴むことができることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の診断システム(114)。
【請求項18】
マガジンモジュール(110)に導入された乾燥剤(416)が空気中の湿度を低下させることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の診断システム(114)。
【請求項19】
c)診断モジュール(112)中に集積されたランセットシステム(612)を持った診断モジュール(112)と、
d)テストストリップ(310)を保存するために診断モジュール(112)から分離したマガジンモジュール(110)と
を有し、診断システムがマガジンモジュール(110)の診断モジュール(112)との結合のための結合デバイス(122、130)を有し、
診断システムが基本的に垂直なグリップエンド(110)と基本的に水平な操作面とを有することを特徴とする液体試料中の材料濃度、特にヒト血液中の血糖値算出用の診断システム(114)。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の診断システム(114)で使用されるマガジンモジュール(110)。
【請求項21】
a)テストストリップ(310)を持つマガジンモジュール(110)を診断モジュール(112)と結合しその際ランセットシステム(612)に張力を掛ける、および/または、テストストリップ(310)を取り出す、
ランセットシステム(612)を解放しこれにより液体状の試料、特に血液滴を準備する、
b)マガジンモジュール(110)からのテストストリップ(310)を測定点に輸送する、
c)試料をテストストリップ(310)と結合させる、および
d)試料中の少なくとも1つの既定の材料の濃度を算出する工程を有することを特徴とする請求項1〜20のいずれか1項に記載の診断システム(114)の操作方法。
【請求項22】
手順工程a)においてコンピュータシステム(626)がスタートすることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項23】
手順工程a)においてマガジンモジュール(110)と診断モジュール(112)間でテストストリップ(310)のチャージ情報が交換されることを特徴とする請求項21または22記載の方法。
【請求項24】
手順工程e)の実行においてテストストリップ(310)のチャージ情報が考慮されることを特徴とする請求項21〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
下記の手順工程:f)テストストリップ(310)を廃棄することを追加することを特徴とする請求項21〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
手順工程c)とd)において同じ動作デバイス(510)を動作させることを特徴とする請求項21〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
手順工程e)において少なくとも2つの、テストストリップ(310)に結合している電極間の電圧の関数として電流を測定することを特徴とする請求項21〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
ランセットシステム(612)解放の前の手順工程b)において望ましい量の液体試料を診断システム(114)にセットすることを特徴とする請求項21〜27のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【公表番号】特表2008−521459(P2008−521459A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541842(P2007−541842)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【国際出願番号】PCT/EP2005/012568
【国際公開番号】WO2006/058653
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】