説明

液剤含浸タイプの貼付剤

【課題】携帯可能な液剤含浸タイプの貼付剤を提供すること。
【解決手段】液剤が含浸されたシート部材を含有する、密閉されたフィルム包装袋を持つ貼付製剤を作製し、フィルム包装袋が、(A)支持体と包装袋部材が一体となって4方シールで袋状の空間を形成し、(B)包装袋部材が液体に不透過性であり、(C)包装袋を圧迫しても、シート部材から液体が漏出しないだけの空間を有し、(D)包装袋を構成する支持体は開口部を形成するための切断部を有し、(E)該切断部全体を被覆する粘着ラベルを有する、ように作製されている。これにより、携帯可能な液剤含浸タイプの貼付剤が提供することができるようになった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体が含浸させられたシート状部材がフィルム包装袋内に収容されており、この包装袋の側面を切除して開口部を設けて、その開口部を皮膚に密着させて、シート部材を皮膚に圧着させることを特徴とする、液剤含浸タイプの貼付製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な経皮投与用貼付剤が市販されており、水溶性高分子を基剤とするパップ剤や脂溶性高分子を基剤とするプラスター剤などがある。しかし、これらの剤形は製造過程において基剤に薬物を混和・溶解するため、薬効成分の種類によっては薬効成分と基剤成分とが反応し、変質や失活等をきたし、十分な安定性が得られないために製剤化が困難なものも数多く存在する。よってそのような薬効成分を変質・失活させることなく効率的に経皮的に投与する方法として、液剤など流動性を有する薬物の貼付剤が検討されている。
【0003】
特許文献1には、ブリスターとその下面をシールする薬物被覆膜によって形成される粘着シートと剥離シートからなり、薬物被覆膜の下側に薬剤透過層が設けられている製剤が開示されている。液状やゲル状の薬物はブリスター部に充填されており、皮膚適用時にはブリスター部に付された突起物を押圧することで薬物被覆膜が破壊されて薬物が薬剤透過層に移動し、剥離シートを剥がして皮膚に貼付するものである。
【0004】
また、特許文献2には裏面に防水シートをラミネートした不織布を粘着シートの表面に積層し、不織布の表面を不織布の周辺に延出する粘着シートの表面とともに防水性離形シートによって被覆することにより、薬剤の不織布に液状またはクリーム状の薬剤を含浸させて保持させ、患者の肌へ貼付可能であることが開示されている。
【0005】
さらに、特許文献3には支持体上に積層された粘着剤層と剥離紙との間に薬物移行阻止性材料の2種の保護台座およびカバーフィルムで取り囲まれた薬剤収納スペースに薬物を含浸させた基材を収納する製剤が開示されている。剥離紙とカバーフィルム・保護台座1種を剥がすだけで粘着剤層と薬物含浸基材が露出し、皮膚に貼付できるものである。
【0006】
しかしながら、これらの技術において、薬効成分は密閉状態におかれているものの、製剤の取扱方法や保管状態によっては薬剤の漏出や揮発がみられたり、更には薬剤の漏出により粘着層の皮膚への粘着力が低下するなどの問題が惹起されることになる。そこで、携帯が容易で、圧迫等に基づく、製剤形の変形にも充分に耐えて薬剤の漏出等が起こり難い製剤形態のものが求められていた。
【0007】
【特許文献1】特開平9−124468
【特許文献2】特開2004−8262
【特許文献3】特開平7−250864
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の主たる課題は、液剤が含浸されているシート部材がフィルム包装袋内に収容された製剤品であって、簡便な方法で経皮用に使用可能になる新たな形態の貼付用製剤品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意検討の結果、前記課題を解決するために、シート部材を包含するフィルム包装袋が、
(A)支持体と包装袋部材が一体となって4方シールで袋状の空間を形成し、
(B)包装袋部材が液体に不透過性であり、
(C)包装袋を圧迫しても、シート部材から液体が漏出しないだけの空間を有し、
(D)包装袋を構成する支持体に開口部を形成するための切断部を有し、
(E)該切断部全体を被覆する粘着ラベルを有する、
ものであれば、この包装袋を有する支持体と粘着剤を組み合わせることにより、所期の目的を達成できることを見出した。更に、開口部の大きさがシート部材の脱離を生じない程度の大きさに設定することによって、所望の液剤含浸タイプの貼付製剤に出来ることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
即ち、本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)液体を含浸させたシート状部材を内部に収容したフィルム包装袋が、貼付剤の支持体表面に形成された液剤含浸タイプの貼付製剤であって、前記フィルム包装袋が、
(A)支持体と包装袋部材が一体となって4方シールで袋状の空間を形成し、
(B)包装袋部材が液体に不透過性であり、
(C)包装袋を圧迫しても、シート部材から液体が漏出しないだけの空間を有し、
(D)包装袋を構成する支持体に開口部を形成するための切断部を有し、
(E)該切断部全体を被覆する粘着ラベルを有する、
ことを特徴とする貼付製剤。
(2)液体が有機イオン液体であることを特徴とする、上記(1)記載の貼付製剤。
(3)イオン液体が、脂肪酸と有機アミン化合物の塩であることを特徴とする、上記(1)又は(2)に記載の貼付製剤。
(4)脂肪酸がレブリン酸、デカン酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸であり、有機アミン化合物がジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンであることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の貼付製剤。
(5)前記切断部が包装袋の形状に沿ったミシン目を形成し、円形、楕円形、長方形のいずれかの形状を取ることを特徴とする、上記1〜4のいずれかに記載の貼付製剤。
(6)前記包装袋の内装がアルミ箔である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の貼付製剤。
(7)前記粘着ラベルの剥離によって形成される開口部が、シート部材が脱離しない程度の大きさであることを特徴とする、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の貼付剤。
(8)前記シート部材が、ガーゼ、不織布、特殊織布であることを特徴とする、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の貼付剤。
(9)前記粘着ラベルが、合成樹脂シートである上記(1)〜(8)のいずれかに記載の貼付製剤。
(10)薬効成分が、インドメタシン・リドカインのイオン液体である上記(1)〜(9)のいずれかに記載の貼付製剤。
(11)貼付剤の剥離紙と粘着ラベルが同一または接着されており、剥離紙をはがすと同時に粘着ラベルが剥離し開口できることを特徴とした、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の貼付製剤。
【発明の効果】
【0011】
本発明の包装袋は、ある程度の量の空気あるいは不活性気体を包含しているため、一定の空間形成ができている。このために、包装袋を圧迫しても、内部に存在するシート部材への影響が少なく、圧迫によるシート部材から液剤の漏出がほとんど無視できることになる。また、液剤を含浸させたシート部材は粘着ラベルが剥離されるまで包装袋に密封状態におかれるため、薬剤の安定性を維持することができる。本発明は、皮膚貼付時には剥離紙と粘着ラベルを剥がすのみで皮膚への粘着剤とシート部材が同時に露出するため、簡便な方法で皮膚に直接貼付できる経皮吸収性の良好な製剤形態として、汎用することが出来るようになる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
本発明は液剤含有の経皮用製剤の全般に適用することが可能であり、本形態例ではその1例を取り上げて詳述するが、それに限定されるものではない。
【0013】

は本発明に係る液剤含浸タイプの貼付製剤の断面図、図2は斜視図である。
図1に示されるように、本発明の液剤含浸タイプの貼付製剤は、液剤を含浸させたシート部材がフィルム包装袋内に包含されており、フィルム包装袋は支持体と一体となっている。即ち、フィルム包装袋部材が4方シールで支持体上に袋状の空間を形成している。粘着剤側には、粘着ラベルと剥離紙(ライナー)を有している。
【0014】
上記フィルム包装袋は、図1に示すように、(A)支持体と包装袋部材が一体となって4方シールで袋状の空間を形成し、(B)包装袋部材が液体に不透過性であり、(C)包装袋を圧迫しても、シート部材から液体が漏出しないだけの空間を有し、(D)包装袋を構成する支持体に開口部を形成するための切断部を有し、(E)該切断部全体を被覆する粘着ラベルを有している。粘着剤側には粘着ラベルがあり、剥離紙(liner)がその上を被覆している。
粘着剤側から見た斜視図が図2である。剥離紙を取ると、図2のように下面に包装袋が形成された支持体と、その上の粘着ラベルが現れる。この粘着ラベルを剥離すると、それに伴って包装袋を構成する支持体が切断部にて切断され、包装袋に開口部が形成される。これらの経緯を斜視図で示したものが図2である。
粘着ラベルを剥離して除去し、包装袋に開口部を設ける。開口部から覗いているシート部材が皮膚に密着するように、開口部周囲の粘着剤部分でシート部材を皮膚に貼り付け、保持する。これにより、シート部材に含浸された液剤が直接皮膚に接触して、液剤中の薬効成分が経皮吸収される。
【0015】
本発明で言う「液体」としては、薬効成分を溶解した水溶液あるいは有機溶媒を挙げることができる。有機溶媒としては経皮吸収用貼付剤に使用可能なものであれば、特に限定されるものではない。また、溶解力の強い溶媒である有機イオン液体もこの中に含まれる。更には、これらの混合物も含まれる。有機溶媒としては、例えばパルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、乳酸セチル、セバシン酸ジエチル、ラウリン酸ヘキシル、イソオクタン酸セチル、乳酸ラウリル、オレイン酸エチル等の脂肪酸エステル、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等のグリコール類、例えばエタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類等を挙げることができる。
有機イオン液体としては、脂肪酸と有機アミン化合物とで形成される常温液体のブレンステッド型の塩を挙げることができる。脂肪酸や有機アミン化合物としては、貼付剤として使用可能なものであれば、特に限定されるものではない。例えば、レブリン酸、オクタン酸、デカン酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸が挙げられ、例えばジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の低級アルキルアミンを挙げることができる。
また、上記液体の中には、経皮吸収促進剤が添加されていてもよい。例えば、セタノール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコール類やメントールやリモネンを挙げることができる。
【0016】
本発明で言う「薬効成分」とは、経皮吸収剤と使用可能な薬効成分であれば特に限定されるものではないが、例えばインドメタシン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、ジクロフェナク等の非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAID)、例えばリドカイン、ジブカイン等の局所麻酔剤、トラマドール、エペリゾン等を挙げることができる。更にはこれらの薬効成分の組合せを使用することができる。
また、薬効成分が、酸と塩基の組合せによりイオン液体化しているものも使用することができる。例えば好ましいものとして、酸として上記のNSAIDと、塩基として局所麻酔剤の組合せを挙げることができる。
【0017】
本発明で言う「フィルム包装袋」とは、含浸させる液体の内容に応じて、液体の不透過性を担保するために適宜適切なものを使用することができる。液体が水溶液である場合には、ウェットテッシュで使用されている材質のものが使用可能である。貼付剤用の有機溶媒や、溶解力の強い有機イオン液体を使用する場合には、例えば、包装袋内面がアルミ箔コートされたフィルムや耐油性の強い材質のフィルムを使用することができる。
本発明で言う「支持体と包装袋部材が一体となって」とは、支持体の部材と包装袋の部材が図1に示されるように、袋の上部、下部に該当して、これらを合わせて溶着させることにより4方シールを完成させることである。更には、別途形成された包装袋自体を支持体上に設置し、4方シールで包装袋を支持体に溶着固定することを言う。
本発明で言う「4方シールで袋状の空間を形成」するとは、支持体上に袋状の空間を4方シールで構築することを言う。支持体は皮膚に密着する部分であるため、図1に示されるように、粘着剤と共になるべく凹凸が少なくなるようにする。そのため、袋が形成される場合には、もう一方の包装袋部材が湾曲して空間形成が容易になるように行われる。更に、空間形成を容易にするために、上記包装部材は、最初から凹部の形状が付けられていてもよい。
本発明で言う「シート部材から液体が漏出しないだけの空間」とは、フィルム包装袋内の一定の空間のことであり、包装袋が一定の容積を持つことを言う。即ち、ある一定の容積の空気又は不活性気体を持った包装袋のことであり、それなりの容積があるが故に、圧迫等の外部圧力が掛かっても、内部のシート部材には加圧変形の影響が少なく、シート部材から液体の漏出が抑えられている。
なお、包装袋のシール部分とは、例えば円筒形の部材を包装袋に使用する場合には、その両端を溶融接着する等のことを行い、シールされた部分のことを言う。シールの方法には汎用手段を使用することができ、4方シールを採用し、支持体上にシート部材を収容する空間を構築する。
前記フィルム包装袋の材質は、内部に一定の空間、気体を保持できるように、多少の加圧下でも、裂けたり、破けたりすることのない厚みと強度を必要とする。これの厚みと強度は、使用する素材の材質に拠るが、例えば通常には厚みとして20〜200μmが好ましい。厚みが20μmよりも薄くなると、内部空間を保持する強度が不十分となったり、また熱融着する場合に融着のシール部分が裂けたり、強度が弱くなり適当でない。200μmよりも厚くなると、皮膚に接触させたときの感触が良くなく、また、熱融着などの加工適性が悪くなり、生産性が大幅に低下するようになる。包装袋の素材としては、包材として一般に使用されているプラスチックフィルムまたはシートを使用することが出来る。例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどポリオレフィン類、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、例えばナイロン−6、ナイロン−66等のポリアミド、ポリイミド、エチレンビニルアルコールなどの他、これらの高分子の共重合体を使用することができる。更にはこれらの素材に、アルミニウムなどをラミネート加工し、多層体にしたものなどを好適に使用することができる。好ましいものとしては、シート部材の含浸させた液剤の乾燥を防ぐために、アルミシートを蒸着させたフィルムを使用することが挙げられる。
【0018】
本発明で言う「開口部」とは、シール部材が脱落しない程度の大きさの開口部のことを意味し、包装袋の形状に応じてシート部材の露出面積が最大になるよう、円形、楕円形、長方形のいずれかの形状を取ることを言う。
本発明で言う「切断部」とは、包装袋に開口部を設けるために、包装袋に付けられたミシン目、あるいは切り込み線、切断線を言う。ウェットテッシュで汎用される開口部の開設方法が同様に使用できる。
なお、包装袋中の気体が切断部から漏れ、包装袋内の空間が減少して、シート部材に対する外部からの影響が出ないように、切断部が粘着ラベルの粘着剤で被覆される。そのため、包装袋に多少の圧力を掛けても、包装袋内の気体が切断部から流出しないようになっている。
「粘着ラベル」と「ラベルの粘着剤」に関しては、例えばウェットティッシュの開口部に用いられるものが使用可能であり、「粘着ラベル」としては、包装袋に用いられた材質のものを使用することができる。例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエステル類、ポリアミド、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂シートの複合体を挙げることができる。また、「ラベルの粘着剤」としては、粘着ラベルと共に包装袋の開口部を覆う部材を除去できる接着力のあるものが望ましく、更には切断部からの気体の漏れや、液剤の漏れを抑止できるものが用いられる。このような「ラベルの粘着剤」としては、アクリル系、合成ゴム系、天然ゴム系等の粘着剤を適宜選択して使用することができるが、好ましいものとして、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、エチルアクリレート、メタクリル酸メチルなどのアクリル系モノマーの共重合体を主成分とするアクリル系粘着剤を挙げることができる。更に、耐液体性を向上させるために、可塑剤としてトリメリット酸エステル系可塑剤あるいはポリエステル系可塑剤を併用することができる。
【0019】
本発明で言う「シート部材」とは、液剤を安定に含浸させて保持できる部材であれば特に限定されるものではない。例えば、脱脂綿、ガーゼ等のコットン織物部材、ポリエステル、ポリエチレン、ポリビニル等の合成繊維織物部材、パルプ等を用いることができ、これらを組み合わせて、不織布、特殊織布等に加工して使用することができる。
好ましいものとしては、合成繊維織物部材による特殊織布を挙げることができる。
本発明で言う「粘着剤」とは、貼付剤等で汎用されるものであれば特に限定されるものではない。例えばポリイソプレン、ポリイソプレン・ブタジエン、ポリイソブチレン、シリコンゴム、スチレン・イソプレンブロック共重合体等の合成ゴム、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル等のアクリル系樹脂に、粘着付与剤と軟化剤を適宜添加したものを言う。
粘着付与剤としては、例えばポリテルペン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、芳香族石油系樹脂、ロジン、水添ロジン等を挙げることができる。
軟化剤としては、例えばプロセスオイル等の石油系軟化剤、低分子ポリブテン、例えばやし油、ひまし油等の脂肪油系軟化剤、精製ラノリン等を挙げることができる。
【0020】
本発明で言う「剥離紙」とは、貼付剤等で汎用されるものであれば特に限定されるものではない。例えばポリエチレン、ポリプリピレン、ポリエステル類等のシートを使用することができる。なお、粘着剤として、ゴム系の粘着剤を使用する場合には、離形剤として、剥離紙の表面をシリコン処理を行ったり、エンボス、クレープ処理して、剥離しやすくする。
本発明で言う「支持体」とは、貼付剤等で汎用されるプラスチックフィルムであれば特に限定されるものではない。例えばポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、エチレンビニルアセテート、グラフト化エチレンビニルアセテート、ポリブタジエン等を挙げることができる。
【0021】
〔その他の形態例〕
上記形態例では図1、2により本発明を説明したが、包装袋内部に含有される液剤の内容に応じて、包装材素材や取出口位置及び構造を本形態例で示した以外のものとすることも当然に可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】液剤含浸タイプの貼付製剤の断面図である。
【図2】剥離紙と粘着ラベルをはがす途中の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を含浸させたシート状部材を内部に収容したフィルム包装袋が、貼付剤の支持体表面に形成された液剤含浸タイプの貼付製剤であって、
前記フィルム包装袋が、
(A)支持体と包装袋部材が一体となって4方シールで袋状の空間を形成し、
(B)包装袋部材が液体に不透過性であり、
(C)包装袋を圧迫しても、シート部材から液体が漏出しないだけの空間を有し、
(D)包装袋を構成する支持体に開口部を形成するための切断部を有し、
(E)該切断部全体を被覆する粘着ラベルを有する、
ことを特徴とする貼付製剤。
【請求項2】
液体が有機イオン液体であることを特徴とする、請求項1記載の貼付製剤。
【請求項3】
イオン液体が、脂肪酸と有機アミン化合物の塩であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の貼付製剤。
【請求項4】
脂肪酸がレブリン酸、デカン酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸であり、有機アミン化合物がジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の貼付製剤。
【請求項5】
前記切断部が包装袋の形状に沿ったミシン目を形成し、円形、楕円形、長方形のいずれかの形状を取ることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の貼付製剤。
【請求項6】
前記包装袋の内装がアルミ箔である、請求項1〜5のいずれかに記載の貼付製剤。
【請求項7】
前記粘着ラベルの剥離によって形成される開口部が、シート部材が脱離しない程度の大きさであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の貼付剤。
【請求項8】
前記シート部材が、ガーゼ、不織布、特殊織布であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の貼付剤。
【請求項9】
前記粘着ラベルが、合成樹脂シートである請求項1〜8のいずれかに記載の貼付製剤。
【請求項10】
薬効成分が、インドメタシン・リドカインのイオン液体である請求項1〜9のいずれかに記載の貼付製剤。
【請求項11】
貼付剤の剥離紙と粘着ラベルが同一または接着されており、剥離紙をはがすと同時に粘着ラベルが剥離し開口できることを特徴とした、請求項1〜10のいずれかに記載の貼付製剤。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−46422(P2009−46422A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−213686(P2007−213686)
【出願日】平成19年8月20日(2007.8.20)
【出願人】(302005628)株式会社 メドレックス (35)
【Fターム(参考)】