説明

液化ガスタンクの二次防壁の健全性評価方法

【課題】運用中の船舶の液化ガスタンクの二次防壁の健全性を評価できる、液化ガスタンクの二次防壁の健全性評価方法を提供する。
【解決手段】本発明の液化ガスタンクの二次防壁の健全性評価方法は、(A)統合自動化システムを観察するステップと、(B)前記ステップ(A)における観察により異常が観察された場合、第1の差圧試験を行うステップと、(C)前記ステップ(B)における前記第1の差圧試験の結果として、断熱空間の圧力と防壁間空間の圧力とが互いに等しくない場合、或いは前記両圧力が互いに等しくなった後に圧力逆転現象が発生した場合、第2の差圧試験を行うステップとを含む。前記評価方法は、(D)前記ステップ(C)における前記第2の差圧試験の結果として、前記断熱空間の圧力と前記防壁間空間の圧力とが互いに等しい場合、第3の差圧試験を行うステップを更に含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運用中の船舶の液化ガスタンクの二次防壁の健全性を評価できる、液化ガスタンクの二次防壁の健全性評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クリーンな燃料として注目を集めている天然ガスを生産地から消費地まで輸送する方法として、気体状態の天然ガスをパイプラインを用いて輸送する方法や液体状態の天然ガスを船舶で輸送する方法が知られている。
【0003】
天然ガスをパイプラインを用いて輸送する方法の場合、長距離輸送をするために高圧ガスを取り扱わなければならず、パイプラインの継続的なメンテナンスや補修が必要である。また、パイプラインの設置は地政学的な問題の影響を大きく受ける。
【0004】
近年、このような課題を克服するために、天然ガスを船舶を用いて輸送する方法が広く用いられている。特に、極低温物体の貯蔵技術や大型船舶の建造技術の発達により、液体状態の天然ガスを輸送可能な液化天然ガス輸送船の建造が容易になっている。従って、船舶を用いた天然ガスの輸送がますます増えている。
【0005】
液化天然ガス輸送船に使用されているタンクは、メンブレンタンク方式と独立タンク方式とに大きく分類される。メンブレンタンク方式と独立タンク方式のうち、近年はメンブレンタンク方式がより広く用いられている。
【0006】
メンブレンタンク方式、特に、MARK3方式の場合、タンクは厚さ1.2mmの波形ステンレス鋼で作られている。これにより、極低温の液化ガスを貯蔵する一次防壁が形成される。もし一次防壁に問題が生じた場合、液化天然ガスはタンクから漏出し、船体に損傷を与える。この損傷を防止するために、極低温の液化天然ガスを船体から所定の時間隔離する二次防壁が断熱空間に取り付けられる。
【0007】
船舶が建造中である場合、二次防壁に対する健全性の評価は、二次防壁気密試験法により行われている。前記気密試験法は、第一の断熱空間を大気圧状態で維持し、第2の断熱空間の圧力を−530mbarまで減圧させた後、前記減圧した圧力が大気圧に戻るまでの時間を計測するものである。前記気密試験法は、二次防壁の多孔性により圧力の交換が行われるという事実を用いている。
【0008】
しかしながら、前記方法は建造中の船舶に対してのみ適用することができるものであって、即ち、前記方法は運用中の船舶に対して適用することができない。従って、運用中の船舶の液化ガスタンクの二次防壁の健全性を評価できる方法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、運用中の船舶の液化ガスタンクの二次防壁の健全性を評価できる、液化ガスタンクの二次防壁の健全性評価方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、(A)統合自動化システムを観察するステップと、(B)前記ステップ(A)における観察により異常が観察された場合、第1の差圧試験を行うステップと、(C)前記ステップ(B)における前記第1の差圧試験の結果として、断熱空間の圧力と防壁間空間の圧力とが互いに等しくない場合、或いは前記両圧力が互いに等しくなった後に圧力逆転現象が発生した場合、第2の差圧試験を行うステップとを含む液化ガスタンクの二次防壁の健全性評価方法が提供される。
【0011】
好ましくは、前記評価方法は、(D)前記ステップ(C)における前記第2の差圧試験の結果として、前記断熱空間の圧力と前記防壁間空間の圧力とが互いに等しい場合、第3の差圧試験を行うステップを更に含む。
【0012】
好ましくは、前記第1の差圧試験は、(a-1)前記タンクが定常状態のとき、制御弁及び圧力トランスミッタを点検するステップと、(b-1)前記断熱空間用の安全弁の漏れが発生しているか否かを確認するステップと、(c-1)弁制御モードを自動モードから手動モードに切り換えるステップと、(d-1)前記断熱空間と前記防壁間空間との間に差圧を設定するステップと、(e-1)前記制御弁を閉鎖し、圧力の変化を観察し、工程変数を記録するステップと、(f-1)前記断熱空間の圧力と前記防壁間空間の圧力とが互いに等しいか否かを判断するステップと、(g-1)前記ステップ(f-1)において前記断熱空間の圧力と前記防壁間空間の圧力とが互いに等しいと判断された場合、前記両圧力が互いに等しくなった後に圧力逆転現象が発生するか否かを判断するステップとを含む。
【0013】
好ましくは、前記第1の差圧試験は更に、(h-1)前記ステップ(g-1)において前記圧力逆転現象が発生したと判断された場合、前記弁制御モードを前記手動モードから前記自動モードに切り換え、窒素加圧システムの漏れ部位を点検し、前記ステップ(c-1)に戻るステップを含む。
【0014】
好ましくは、前記第2の差圧試験は、(a-2)前記タンクが定常状態のとき、制御弁及び圧力トランスミッタを点検するステップと、(b-2)前記断熱空間用の安全弁の漏れが発生しているか否かを確認するステップと、(c-2)弁制御モードを自動モードから手動モードに切り換えるステップと、(d-2)前記断熱空間と前記防壁間空間との間に差圧を設定するステップと、(e-2)前記制御弁を閉鎖し、前記制御弁の前後に配置された手動弁を閉鎖し、圧力の変化を観察し、工程変数を記録するステップと、(f-2)前記断熱空間の圧力と前記防壁間空間の圧力とが互いに等しいか否かを判断するステップとを含む。
【0015】
好ましくは、前記第2の差圧試験は更に、(g-2)前記ステップ(f-2)において前記両圧力が互いに等しくないと判断された場合、前記第1の差圧試験の試験結果と前記第2の差圧試験の試験結果とを比較するステップと、(h-2)前記ステップ(g-2)において前記両試験結果が互いに同一ではないと判断された場合、前記弁制御モードを前記手動モードから前記自動モードに切り換え、窒素加圧システムの漏れ部位を点検し、前記ステップ(c-2)に戻るステップとを含む。
【0016】
好ましくは、前記第3の差圧試験は、(a-3)前記タンクが定常状態のとき、制御弁及び圧力トランスミッタを点検するステップと、(b-3)前記断熱空間用の安全弁の漏れが発生しているか否かを確認するステップと、(c-3)窒素加圧システムの一部にネームプレートを設置するステップと、(d-3)弁制御モードを自動モードから手動モードに切り換えるステップと、(e-3)前記断熱空間と前記防壁間空間との間に差圧を設定するステップと、(f-3)前記制御弁を閉鎖し、前記制御弁の前後に配置された手動弁を閉鎖し、圧力の変化を観察し、工程変数を記録するステップと、(g-3)前記断熱空間の圧力と前記防壁間空間の圧力とが互いに等しいか否かを判断するステップとを含む。
【0017】
好ましくは、前記第3の差圧試験は更に、(h-3)前記ステップ(g-3)において前記両圧力が互いに等しいと判断された場合、前記両圧力が互いに等しくなった後に圧力逆転現象が発生するか否かを判断するステップと、(i-3)前記ステップ(h-3)において前記圧力逆転現象が発生しないと判断された場合、前記断熱空間と前記防壁間空間とを等圧に設定するステップと、(j-3)前記制御弁を閉鎖し、前記制御弁の前後に配置された手動弁を閉鎖し、前記制御弁を開放して前記断熱空間から気体を排気し、圧力の変化を観察し、工程変数を記録するステップと、(k-3)前記断熱空間の圧力と前記防壁間空間の圧力とが互いに等しいか否かを判断するステップと、(l-3)前記ステップ(k−3)において前記両圧力が互いに等しいと判断された場合、前記弁制御モードを前記手動モードから前記自動モードに切り換えるステップと、(m-3)前記窒素加圧システムの漏れ部位を点検し、前記ステップ(d-3)に戻るステップとを含む。
【0018】
好ましくは、前記第3の差圧試験は更に、前記ステップ(h-3)において前記圧力逆転現象が発生したと判断された場合、前記ステップ(l-3)に進むステップを含む。
【0019】
好ましくは、前記第3の差圧試験は更に、前記ステップ(k-3)において前記断熱空間の圧力と前記防壁間空間の圧力とが互いに等しくないと判断された場合、二次防壁の気密試験を行うステップを含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、運用中の船舶の液化ガスタンクの二次防壁の健全性を評価できる、液化ガスタンクの二次防壁の健全性評価方法を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る二次防壁の健全性評価方法が適用された液化ガスタンクの概略ブロックダイヤグラムを示す図である。
【図2】図1の液化ガスタンクの二次防壁の健全性評価方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に係る第1の差圧試験過程を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係る第1の差圧試験過程を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に係る第2の差圧試験過程を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係る第2の差圧試験過程を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係る第3の差圧試験過程を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に係る第3の差圧試験過程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付する図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明することで、本発明を詳細に説明する。各図面に示された同じ参照符号は同じ部材であることを意味する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る二次防壁の健全性評価方法が適用された液化ガスタンクの概略ブロックダイヤグラムを示す。
【0024】
図1を参照すると、液化ガスタンク10は、一次防壁100と二次防壁200とを有する。一次防壁100及び二次防壁200により、防壁間空間IBSと断熱空間ISが形成される。防壁間空間IBS及び断熱空間ISは、窒素供給制御弁110、210を介して、防壁間空間IBS及び断熱空間ISに窒素を供給する窒素加圧システムと連結される。また、防壁間空間IBS及び断熱空間ISは、窒素排気制御弁120、220と連結されており、防壁間空間IBS及び断熱空間IS内の気体は窒素排気制御弁120、220を介して大気に排気される。このような構成により、防壁間空間IBS及び断熱空間ISの内圧が維持される。手動弁111、112、121、122、211、212、221、222は、制御弁110、120、210、220の前後に配置される。防壁間空間IBS及び断熱空間ISの内部には、防壁間空間IBS及び断熱空間ISの内圧を測定するための圧力トランスミッタ(PT)130、230が提供される。また、断熱空間ISには、断熱空間ISのための安全弁240が提供される。
【0025】
図2は、図1の液化ガスタンクの二次防壁の健全性評価方法を示すフローチャートである。
【0026】
図2を参照すると、液化ガスタンク10の二次防壁200の健全性を評価するために、まず、統合自動化システムを観察する(S100)。前記観察を通じて異常が観察されたか否かを判断する(S110)。液化ガスタンク10が正常な状態にあると判断された場合、再びステップS100を行う。異常を観察したと判断された場合、第1の差圧試験を行う(S200)。第1の差圧試験では、断熱空間ISと防壁間空間IBSとの間に差圧を設定した後、圧力の変化を観察する。観察の結果、断熱空間ISの圧力と防壁間空間IBSの圧力とが互いに等しく、前記両圧力が互いに等しくなった後に圧力逆転現象が発生したと判断された場合、窒素加圧システムの漏れ部位を点検し、第1の差圧試験を繰り返し行う。観察の結果、断熱空間ISの圧力と防壁間空間IBSの圧力とが互いに等しくない、或いは前記両圧力が互いに等しくなった後に圧力逆転現象が発生しないと判断された場合、第2の差圧試験を行う(S400)。
【0027】
第2の差圧試験では、断熱空間ISと防壁間空間IBSとの間に差圧を設定した後、圧力の変化を観察する。観察の結果、断熱空間ISの圧力と防壁間空間IBSの圧力とが互いに等しくなく、第1の差圧試験の試験結果と第2の差圧試験の試験結果とが互いに同一であると判断された場合、二次防壁200の健全性を確認する。観察の結果、断熱空間ISの圧力と防壁間空間IBSの圧力とが互いに等しくなく、第1の差圧試験の試験結果と第2の差圧試験の試験結果とが互いに同一ではないと判断された場合、防壁内の窒素加圧システムの漏れ部位を点検し、第1の差圧試験を繰り返し行う。観察の結果、断熱空間ISの圧力と防壁間空間IBSの圧力とが互いに等しいと判断された場合、第3の差圧試験を行う(S600)。
【0028】
第3の差圧試験では、断熱空間ISと防壁間空間IBSとの間に差圧を設定した後、圧力の変化を観察する。観察の結果、断熱空間ISの圧力と防壁間空間IBSの圧力とが互いに等しくない場合、二次防壁200の健全性を確認する。観察の結果、断熱空間ISの圧力と防壁間空間IBSの圧力とが互いに等しく、前記両圧力が互いに等しくなった後に圧力逆転現象が発生したと判断された場合、窒素加圧システムの漏れ部位を点検し、差圧試験を繰り返し行う。観察の結果、前記両圧力が互いに等しくなった後に圧力逆転現象が発生しないと判断された場合、断熱空間ISと防壁間空間IBSとを等圧に設定した後、圧力の変化を観察する。等圧試験の結果、断熱空間ISの圧力と防壁間空間IBSの圧力とが互いに等しいと判断された場合、二次防壁の気密試験を行う。断熱空間ISの圧力と防壁間空間IBSの圧力とが互いに等しくないと判断された場合、窒素加圧システムの漏れ部位を点検し、差圧試験を繰り返し行う。
【0029】
図3及び図4は、本発明の一実施形態に係る第1の差圧試験過程を示すフローチャートである。
【0030】
図3及び図4を参照すると、第1の差圧試験では、まず、タンク10が定常状態であるか否かを判断する(S201)。タンク10が定常状態ではないと判断された場合、タンク10が定常状態に達するまで待機する(S202)。タンク10が定常状態であると判断された場合、制御弁110、120、210、220及び圧力トランスミッタ130、230を点検する(S203)。次に、断熱空間IS用の安全弁240の漏れを確認し(S204)、弁制御モードを自動モードから手動モードに切り換える(S205)。次に、断熱空間ISと防壁間空間IBSとの間に差圧を設定し(S206)、制御弁110、120、210、220を閉鎖する(S207)。次に、圧力の変化を観察し、工程変数を記録する(S208)。次に、断熱空間ISの圧力と防壁間空間IBSの圧力とが互いに等しいか否かを判断する(S209)。ステップS209において両空間IS及びIBSの圧力が互いに等しいと判断された場合、前記両圧力が互いに等しくなった後に圧力逆転現象が発生するか否かを判断する(S210)。圧力逆転現象が発生しない場合、第2の差圧試験を行う(S211)。一方、ステップS209において両空間IS及びIBSの圧力が互いに等しくない場合、第2の差圧試験を行う(S211)。
【0031】
ステップS210において圧力逆転現象が発生したと判断された場合、弁制御モードを手動モードから自動モードに切り換える(S212)。次に、窒素加圧システムの漏れ部位を点検する(S213)。その後、試験過程はステップS205に進む。
【0032】
図5及び図6は、本発明の一実施形態に係る第2の差圧試験過程を示すフローチャートである。
【0033】
図5及び図6を参照すると、第2の差圧試験では、まず、タンク10が定常状態であるか否かを判断する(S401)。タンク10が定常状態ではない場合、タンク10が定常状態に達するまで待機する(S402)。タンク10が定常状態である場合、制御弁110、120、210、220及び圧力トランスミッタ130、230を点検する(S403)。次に、断熱空間IS用の安全弁240の漏れを確認し(S404)、弁制御モードを自動モードから手動モードに切り換える(S405)。次に、断熱空間ISと防壁間空間IBSとの間に差圧を設定し(S406)、制御弁110、120、210、220を閉鎖する(S407)。次に、制御弁110、120、210、220の前後の手動弁111、112、121、122、211、212、221、222を閉鎖し(S408)、圧力の変化を観察し、工程変数を記録する(S409)。次に、断熱空間ISの圧力と防壁間空間IBSの圧力とが互いに等しいか否かを判断する(S410)。両空間IS及びIBSの圧力が互いに等しい場合、第3の差圧試験を行う(S411)。両空間IS及びIBSの圧力が互いに等しくない場合、第1の差圧試験の試験結果と第2の差圧試験の試験結果とが互いに同一であるか否かを判断する(S412)。第1及び第2の差圧試験の試験結果が互いに同一である場合、二次防壁200の健全性を確認する(S413)。そうでなければ、弁制御モードを手動モードから自動モードに切り換える(S414)。次に、窒素加圧システムの漏れ部位を点検する(S415)。その後、試験過程はステップS405に進む。
【0034】
図7及び図8は、本発明の一実施形態に係る第3の差圧試験過程を示すフローチャートである。
【0035】
図7及び図8を参照すると、第3の差圧試験では、まず、タンク10が定常状態であるか否かを判断する(S601)。タンク10が定常状態ではない場合、タンク10が定常状態に達するまで待機する(S602)。タンク10が定常状態である場合、制御弁110、120、210、220及び圧力トランスミッタ130、230を点検する(S603)。次に、断熱空間IS用の安全弁240の漏れを確認し(S604)、窒素加圧システムの一部にネームプレートを設置する(S605)。次に、弁制御モードを自動モードから手動モードに切り換え(S606)、断熱空間ISと防壁間空間IBSとの間に差圧を設定する(S607)。次に、制御弁110、120、210、220を閉鎖し(S608)、制御弁110、120、210、220の前後の手動弁111、112、121、122、211、212、221、222を閉鎖する(S609)。次に、圧力の変化を観察し、工程変数を記録する(S610)。次に、断熱空間ISの圧力と防壁間空間IBSの圧力とが互いに等しいか否かを判断する(S611)。両空間IS及びIBSの圧力が互いに等しくない場合、二次防壁200の健全性を確認する(S612)。両空間IS及びIBSの圧力が互いに等しい場合、圧力逆転現象が発生するか否かを判断する(S613)。圧力逆転現象が発生しない場合、断熱空間ISと防壁間空間IBSとを等圧に設定する(S614)。次に、制御弁110、120、210、220を閉鎖し(S615)、制御弁110、120、210、220の前後の手動弁111、112、121、122、211、212、221、222を閉鎖する(S616)。次に、断熱空間IS用の排気制御弁220のみ開放し(S617)、圧力の変化を観察し、工程変数を記録する(S618)。次に、断熱空間ISの圧力と防壁間空間IBSの圧力とが互いに等しいか否かを判断する(S619)。両空間IS及びIBSの圧力が互いに等しくない場合、二次防壁200の気密試験を行う(S620)。両空間IS及びIBSの圧力が互いに等しい場合、弁制御モードを手動モードから自動モードに切り換える(S621)。
【0036】
一方、ステップS613において圧力逆転現象が発生したと判断された場合、試験過程はステップS621に進み、弁制御モードを手動モードから自動モードに切り換える。ステップS621の後、窒素加圧システムの漏れ部位を点検する(S622)。
【0037】
本発明に係る液化ガスタンク10の二次防壁200の健全性評価方法では、当業者の要求次第で、1つのステップ(例えば、窒素加圧システムの漏れ部位を点検するステップなど)又は全ステップを繰り返し行えることはいうまでもない。
【0038】
本発明は図面に示された一実施形態を参照して説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に定義される本発明の範囲を逸脱することなく多様な変形及び変更が可能であることが理解できるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガスタンクの二次防壁の健全性評価方法であって、
(A)統合自動化システムを観察するステップと、
(B)前記ステップ(A)における観察により異常が観察された場合、第1の差圧試験を行うステップと、
(C)前記ステップ(B)における前記第1の差圧試験の結果として、断熱空間の圧力と防壁間空間の圧力とが互いに等しくない場合、或いは前記両圧力が互いに等しくなった後に圧力逆転現象が発生した場合、第2の差圧試験を行うステップとを含むことを特徴とする評価方法。
【請求項2】
(D)前記ステップ(C)における前記第2の差圧試験の結果として、前記断熱空間の圧力と前記防壁間空間の圧力とが互いに等しい場合、第3の差圧試験を行うステップを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の評価方法。
【請求項3】
前記第1の差圧試験は、
(a-1)前記タンクが定常状態のとき、制御弁及び圧力トランスミッタを点検するステップと、
(b-1)前記断熱空間用の安全弁の漏れが発生しているか否かを確認するステップと、
(c-1)弁制御モードを自動モードから手動モードに切り換えるステップと、
(d-1)前記断熱空間と前記防壁間空間との間に差圧を設定するステップと、
(e-1)前記制御弁を閉鎖し、圧力の変化を観察し、工程変数を記録するステップと、
(f-1)前記断熱空間の圧力と前記防壁間空間の圧力とが互いに等しいか否かを判断するステップと、
(g-1)前記ステップ(f-1)において前記断熱空間の圧力と前記防壁間空間の圧力とが互いに等しいと判断された場合、前記両圧力が互いに等しくなった後に圧力逆転現象が発生するか否かを判断するステップとを含むことを特徴とする請求項1に記載の評価方法。
【請求項4】
前記第1の差圧試験は、
(h-1)前記ステップ(g-1)において前記圧力逆転現象が発生したと判断された場合、前記弁制御モードを前記手動モードから前記自動モードに切り換え、窒素加圧システムの漏れ部位を点検し、前記ステップ(c-1)に戻るステップを更に含むことを特徴とする請求項3に記載の評価方法。
【請求項5】
前記第2の差圧試験は、
(a-2)前記タンクが定常状態のとき、制御弁及び圧力トランスミッタを点検するステップと、
(b-2)前記断熱空間用の安全弁の漏れが発生しているか否かを確認するステップと、
(c-2)弁制御モードを自動モードから手動モードに切り換えるステップと、
(d-2)前記断熱空間と前記防壁間空間との間に差圧を設定するステップと、
(e-2)前記制御弁を閉鎖し、前記制御弁の前後に配置された手動弁を閉鎖し、圧力の変化を観察し、工程変数を記録するステップと、
(f-2)前記断熱空間の圧力と前記防壁間空間の圧力とが互いに等しいか否かを判断するステップとを含むことを特徴とする請求項1に記載の評価方法。
【請求項6】
前記第2の差圧試験は、
(g-2)前記ステップ(f-2)において前記両圧力が互いに等しくないと判断された場合、前記第1の差圧試験の試験結果と前記第2の差圧試験の試験結果とを比較するステップと、
(h-2)前記ステップ(g-2)において前記両試験結果が互いに同一ではないと判断された場合、前記弁制御モードを前記手動モードから前記自動モードに切り換え、窒素加圧システムの漏れ部位を点検し、前記ステップ(c-2)に戻るステップとを更に含むことを特徴とする請求項5に記載の評価方法。
【請求項7】
前記第3の差圧試験は、
(a-3)前記タンクが定常状態のとき、制御弁及び圧力トランスミッタを点検するステップと、
(b-3)前記断熱空間用の安全弁の漏れが発生しているか否かを確認するステップと、
(c-3)窒素加圧システムの一部にネームプレートを設置するステップと、
(d-3)弁制御モードを自動モードから手動モードに切り換えるステップと、
(e-3)前記断熱空間と前記防壁間空間との間に差圧を設定するステップと、
(f-3)前記制御弁を閉鎖し、前記制御弁の前後に配置された手動弁を閉鎖し、圧力の変化を観察し、工程変数を記録するステップと、
(g-3)前記断熱空間の圧力と前記防壁間空間の圧力とが互いに等しいか否かを判断するステップとを含むことを特徴とする請求項2に記載の評価方法。
【請求項8】
前記第3の差圧試験は、
(h-3)前記ステップ(g-3)において前記両圧力が互いに等しいと判断された場合、前記両圧力が互いに等しくなった後に圧力逆転現象が発生するか否かを判断するステップと、
(i-3)前記ステップ(h-3)において前記圧力逆転現象が発生しないと判断された場合、前記断熱空間と前記防壁間空間とを等圧に設定するステップと、
(j-3)前記制御弁を閉鎖し、前記制御弁の前後に配置された手動弁を閉鎖し、前記制御弁を開放して前記断熱空間から気体を排気し、圧力の変化を観察し、工程変数を記録するステップと、
(k-3)前記断熱空間の圧力と前記防壁間空間の圧力とが互いに等しいか否かを判断するステップと、
(l-3)前記ステップ(k−3)において両圧力が互いに等しいと判断された場合、前記弁制御モードを前記手動モードから前記自動モードに切り換えるステップと、
(m-3)前記窒素加圧システムの漏れ部位を点検し、前記ステップ(d-3)に戻るステップとを更に含むことを特徴とする請求項7に記載の評価方法。
【請求項9】
前記第3の差圧試験は、
前記ステップ(h-3)において前記圧力逆転現象が発生したと判断された場合、前記ステップ(l-3)に進むステップを更に含むことを特徴とする請求項8に記載の評価方法。
【請求項10】
前記第3の差圧試験は、
前記ステップ(k-3)において前記断熱空間の圧力と前記防壁間空間の圧力とが互いに等しくないと判断された場合、二次防壁の気密試験を行うステップを更に含むことを特徴とする請求項8に記載の評価方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2010−514622(P2010−514622A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543957(P2009−543957)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【国際出願番号】PCT/KR2007/006963
【国際公開番号】WO2008/082199
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(508192407)三星重工業株式会社 (21)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG HEAVY IND.CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】530,Jangpyeong−ri,Shinhyeon−eup,Geoje−si,Gyeongsangnam−do, Republic of Korea
【Fターム(参考)】