説明

液化ガス供給システム

【課題】 ガス消費設備へのガス供給操作等において発生する危険性のある液化ガスの突沸を防止し、パージによって排気される供給用ガスの量を最小限にするとともに、簡易な構成によって迅速かつ安全な操作で保守管理を行うことができる液化ガス供給システムを提供すること。
【解決手段】 配管部を構成する開閉弁Vaの開閉操作をプロセス制御部6によって制御し、瞬時の開時間とその数倍の閉時間を組合せた開閉操作を繰返し可能なフラッシング操作機能を付加して、減圧状態にある配管Lbへの供給用ガスの給送開始時において、開閉弁Vaをフラッシング操作させて配管Lbに供給用ガスを供給することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化ガス供給システムに関するもので、例えば、高圧容器に充填された各種気体や液化ガスあるいは液体によって特定のガスを供給するガス供給装置等に用いる液化ガス供給システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体製造プロセスをはじめ各種製造プロセスにおいて、各種気体や液化ガスあるいは液体が充填された高圧容器が多く用いられ(容器内に液体あるいは気液混合体として充填され、気体として供給される場合を総称して、以下「液化ガス」という)、液化ガスの消費設備である半導体製造装置や各種のプロセス装置(以下「プロセス装置」という)では、これらの液化ガスを気体状態あるいは液体状態で受け入れて使用される。このとき、ガス供給流路の保守点検において、充填容器に接続する配管部の一部を開放状態とする場合がある。あるいは、液化ガスを充填した容器は、供給設備に収納され、供給配管を介してプロセス装置に送り出され、消費によって所定量以下の残量となったときに交換される。ここで、半導体製造装置などで使用される液化ガスは、毒性あるいは腐蝕性の強いガスであることが多く、稼動時の漏洩防止とともに、準備された充填容器に交換する場合において外部へのガスの放散を防止する必要がある。また、SiH等の特殊材料ガスについては、空気中の水分等と反応して変質し固化等をすることから、外気との接触を遮断する必要がある。さらに、腐蝕性や反応性の強いガスの場合にあっては、ガス供給停止状態を継続すると、供給用配管系の流路内部に腐食の発生あるいは反応生成物の生成が生じることがあり、ガス供給停止時には流路内部から当該ガスを排出する必要がある。従って、ガス供給停止あるいはシステム停止時に、配管部を構成する配管中の特殊材料ガスを例えば窒素でパージし、ガス供給開始時に、当該配管を容器からの特殊材料ガスにより再度パージする作業が必要である。特に長期間システムを停止する場合には、こうしたパージは不可欠な操作となっている。パージされた特殊材料ガスは、次工程の排ガス処理装置で無害化処理される。こうした放散を防止するために、充填容器からの配管系の残留ガスのパージ方法や供給システム全体の配管内の残留ガスのパージ方法について工夫されてきた。
【0003】
具体的には、図6に示すような、1次側配管内に残留するガスを高い効率でパージし、加圧放置パージ及び直前パージの際、1次側配管内を加圧中、真空発生器を停止させる方法が提案されている。ガス122を収容するシリンダ101は、シリンダ元バルブ123を備え、充填管102、1次側配管114、エアオペレートバルブ106、減圧弁107、2次側配管119及びエアオペレートバルブ110を介して供給側に接続する。不活性ガス115が、エアオペレートバルブ103を介して1次側配管114に流入する。1次側配管は、エアオペレートバルブ105と配管120を介して真空発生器111に接続する。1次側配管内に、2〜10分の不活性ガスによる加圧放置及び120秒の真空引きを繰り返す加圧放置パージを自動的に行うことにより、1次側配管内の残留ガスを排気ガス118としてパージする。ここで、104,108は圧力計、109,110,112はエアオペレートバルブ、113はマスフローメータ、116は供給側、117は窒素等不活性ガス、118は排気ガスを示す(例えば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−14193号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のような液化ガス供給装置では、以下の課題が生じることがあった。
(i)上記のような配管内の残留ガスのパージ方法では、ガスの供給開始時の真空状態の配管に充填容器内の液化ガスを供出する操作を行うことがある。このときに容器バルブあるいは開閉弁を一気に開けてしまうことによって瞬間的に断熱膨張が生じ、低蒸気圧液化ガスの場合には、液体状態の液化ガスを突沸させて配管系あるいはガス消費設備内に飛散させてしまう危険性があった。
(ii)また、液化ガスの突沸を防止するために、ガスの供給開始時に、配管系を真空状態とせずに不活性ガスを充当する方法を用いた場合には、液化ガスに不活性ガスが混入する可能性があり、高度な処理が要求される昨今のガス消費設備での操作や処理に悪影響が及ぶ危険性があった。
(iii)さらに、突沸は生じない条件であっても、ガスの供給開始時に開放される真空状態の配管系の容積が大きい場合には、充填容器内の液化ガスの気化速度が、ガスの供給速度に追随できず、ガスの供給開始後の所定時間、供給圧力が低下する危険性があった。特に低蒸気圧の液化ガスにおいては、こうした供給圧力低下を避けることができず、その影響をより小さくすることが大きな課題であった。
(iv)上記のように半導体製造プロセスに用いられる液化ガスは、毒性や腐食性あるいは反応性の高いガスが多く、排ガス処理が不可欠であり、特殊な排ガス処理を必要とする場合も多い。従って、次工程の排ガス処理装置負荷低減のため、パージされた特殊材料ガス量の一層の低減が求められていた。特に充填圧力の高い液化ガスにおいては、新しい充填容器が取り付けられた後の液化ガスによる当該配管パージ時には、充填容器の充填圧力によるパージを行うことから、パージに用いられ排気される液化ガスの量は無視できない。特に高価なガスの場合には、その排気される液化ガスの量の低減は重要な課題となっている。
(v)また、上記(i)〜(iv)の課題は、充填容器からのガスを分岐して複数のガス消費設備に液化ガスを供給する装置において、使用中のガス消費設備に接続する流路を未使用のガス消費設備に接続する流路に切換えるときも同様であり、特に、複数の流路を同時に使用する場合のガス供給開始時や流路の切換時においては、危険性が高かった。
【0006】
本発明の目的は、ガス消費設備へのガスの供給停止時や供給開始時、ガス消費設備への供給ガス流路の変更時、あるいは充填容器の交換を含む配管部の保守点検など(以下「ガス供給操作等」という)において、発生する危険性のある液化ガスの突沸を防止し、パージによって排気される供給用ガスの量を最小限にするとともに、簡易な構成によって迅速かつ安全な操作で保守管理を行うことができる液化ガス供給システムを提供することにある。特に、反応性や腐食性の強い液化ガスなどのように配管系のパージ処理を必要とする液化ガス供給システムについて、その要請が強い。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、以下に示す液化ガス供給システムによって上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0008】
本発明は、容器バルブが配設された供給用ガスの充填容器と、該充填容器が設置される設置部と、前記ガスを消費するガス消費設備と、前記充填容器とガス消費設備を接続する配管部と、該配管部に設けられた圧力調整部と、各部の動作を制御管理するプロセス制御部と、を有する液化ガス供給システムにおいて、
前記配管部の一部として前記容器バルブに近接する位置に開閉弁Vaが配設され、該開閉弁Vaの上流側に接続された配管Laおよび下流側に接続された配管Lbに対し、それぞれの内部を減圧状態にする減圧処理部および不活性ガスを充当する不活性ガス供給部が接続されるとともに、
前記開閉弁Vaの開閉操作を前記プロセス制御部によって制御し、瞬時の開時間とその数倍の閉時間を組合せた開閉操作を繰返し可能なフラッシング操作機能を付加し、
減圧状態にある前記配管Lbへの供給用ガスの給送開始時において、前記開閉弁Vaをフラッシング操作させて前記配管Lbに供給用ガスを供給することを特徴とする。
【0009】
既述のように、半導体製造プロセスなどでは、ガスの供給停止状態から供給を開始するときあるいは配管部のパージ処理において、充填容器に充填された液化ガスを減圧状態にある大きな容量の配管に急速に導入させることがあり、その操作に伴い発生する危険性のある液化ガスの突沸を防止し、その処理量を如何に少なくするかが課題となる。また、圧力調整部以降の配管部の施工条件については、多くの場合各製造プロセスにおいて設定され、パージ方法やガス充填容器に対する操作方法が制限されることがある。本発明は、こうした制限の多い条件においても、液化ガスの突沸を防止し、流路のパージに必要とされる供給用ガスの発生量を極力低減すべく創意されたものであり、充填容器に充填された液化ガスの供給を掌る開閉弁Vaの開閉機能にフラッシング操作機能を付加し、減圧状態にある開閉弁Vaの下流側の配管部への液化ガスの供給を、充填容器の充填圧力で一気に供給することなく、短時間の断続的供給を繰返し行うことによって、液化ガスの突沸を防止し、供給用ガスのパージ処理量を低減することできる。従って、ガス消費設備への液化ガスの供給開始時や保守点検時において発生する危険性のある液化ガスの突沸を防止し、パージによって排気される供給用ガスの量を最小限にするとともに、簡易な構成によって迅速かつ安全な操作で保守管理を行うことができる液化ガス供給システムを提供することが可能となった。
【0010】
ここでいう「フラッシング操作」とは、瞬時の作動操作とその数倍時間の停止操作との組合せを繰返し行うことをいい、開閉弁や切換弁のみならず、ポンプなど広く制御状態の切換機能を有する構成要素に対して行うこうした操作をいう。また、「液化ガス供給システム」は、容器バルブ以降の流路および付随する部品や操作部によって充填容器内の供給用ガスをガス消費設備に供給するシステムをいい、充填容器内において気体または液体あるいは混同体を形態とする物質を、気体状態でガス消費設備に供給するものが含まれる。「配管部」は、配管Lo,配管La〜Ldを含むガス消費設備までの配管およびこれらに配設される開閉弁や圧力計等を含む。また、「パージ操作」とは、保守点検時等における清浄化のために行う操作だけではなく、実際にガス消費設備にガスを供給することができる状態とするために、本液化ガス供給システムに対して行うあらゆる操作をいう。
【0011】
本発明は、上記液化ガス供給システムであって、前記ガス消費設備が、前記供給用ガスを消費する複数のガス消費設備から構成され、
前記設置部とガス消費設備の間に設けられ、前記充填容器からのガスを分岐し各ガス消費設備に供給する分岐部を有し、
前記配管部の一部として、前記分岐部と複数(n個)ガス消費設備とを接続する配管L1〜Lnに開閉弁V1〜Vnが配設され、前記配管La,Lbおよび配管L1〜Lnのいずれか1または複数に、それぞれの内部を減圧状態にする減圧処理部および不活性ガスを充当する不活性ガス供給部が接続されるとともに、
前記開閉弁V1〜Vnの開閉操作を前記プロセス制御部によって制御し、前記フラッシング操作機能を付加し、
減圧状態にある前記配管L1〜Lnのいずれか1または複数への供給用ガスの給送開始時において、該配管に接続する開閉弁をフラッシング操作させて、前記配管L1〜Lnのいずれか1または複数に供給用ガスを供給することを特徴とする。
【0012】
複数のガス消費設備に液化ガスを供給する装置においては、充填容器からの流路を分岐して各ガス消費設備に供給する複数の流路の切換を行う分岐部が設けられる。このとき、使用中の流路を未使用の流路に切換えるときも、上記同様、減圧状態の未使用の流路への供給ガスの供給に伴う液化ガスの突沸の危険性がある。本発明は、充填容器から分岐部までの流路に設けられた開閉弁Vaのフラッシング操作機能とともに、分岐部から複数(n個)のガス消費設備までの流路に設けられた開閉弁V1〜Vnにフラッシング操作機能を付加することを特徴とする。つまり、特定のガス消費設備へのガス供給時あるいは特定のガス消費設備から他のガス消費設備への切換時において、特定のガス消費設備に繋がる開閉弁あるいは前記他のガス消費設備に繋がる開閉弁のフラッシング操作によりガス供給を行うことによって、液化ガスの突沸を防止し、パージによって排気される液化ガスの処理量を最小限にするとともに、操作性がよくかつ簡易な構成によって液化ガスなどの充填容器を迅速かつ安全に保守管理を行うことができる液化ガス供給システムを提供することが可能となった。
【0013】
本発明は、上記液化ガス供給システムであって、前記ガス消費設備へのガスの供給操作として、少なくとも、
前記開閉弁Vaまたは開閉弁Vaと開閉弁V1〜Vnを閉とした状態で、前記減圧処理部を作動して前記配管La,Lbまたは配管La,Lbと配管L1〜Lnのいずれか1または複数の内部のガスを排出し減圧状態にする操作を行い、次に前記容器バルブを開とした後、前記開閉弁Vaまたは開閉弁Vaと開閉弁V1〜Vnのいずれか1または複数の開閉弁を順にフラッシング操作させながら供給用ガスで前記配管部を充当し、供給用ガスを充填容器から配管部を介して前記ガス消費設備に供給することを特徴とする。
【0014】
ガス消費設備へのガスの供給操作開始時においては、容器バルブからガス消費設備までの配管は、減圧状態あるいは供給ガスによって充当され、その内部圧力は充填容器の内部圧力よりも低く、その差が非常に大きい場合がある。かかる状態で容器バルブを開放し、いきなり圧力調整部に高い圧力が印加されるとその制御圧力に影響を与えることがある。本発明に係る液化ガス供給システムは、開閉弁Vaまたは開閉弁Vaと開閉弁V1〜Vnのいずれか1または複数を、フラッシング操作を行いながら供給用ガスで配管部を充当することによって、こうした高圧の印加を緩和することができる。これによって、圧力調整部の制御圧力を安定化するとともに、液化ガスの突沸を防止し、液化ガスを充填容器から迅速かつ安全にガス消費設備に供給することができる液化ガス供給システムを提供することが可能となった。
【0015】
本発明は、上記液化ガス供給システムであって、前記液化ガス供給システムの停止操作として、少なくとも、
前記減圧処理部を作動して前記配管La,Lbまたは配管La,Lbと配管L1〜Lnのいずれか1または複数の内部のガスを排出し減圧状態にする操作、および前記不活性ガス供給部を作動して前記配管La,Lbまたは配管La,Lbと配管L1〜Lnのいずれか1または複数の内部に不活性ガスを充当する操作を有し、これらの操作を予め設定された回数繰返し行うことを特徴とする。
【0016】
上記のように、容器バルブとガス消費設備の中間にフラッシング機能を有する開閉弁Vaを設け、減圧状態にある開閉弁Vaの下流側の配管部への液化ガスの供給を、充填容器の充填圧力で一気に供給することなく、短時間の断続的供給を繰返し行うことによって、液化ガスの突沸を防止し、供給用ガスのパージ処理量を低減することできる。さらに、本発明に係る液化ガス供給システムは、こうしたガス供給開始操作における創意に加え、液化ガス供給システムの停止操作における「減圧−不活性ガス」によるパージを繰返す操作を行うことによって、排気される供給用ガスの処理量をより低減するとともに、パージ操作を一層確実に行うことが可能となる。特に、反応性や腐食性の強い液化ガスなどのように配管系のパージ処理を必要とする液化ガス供給システムにおいて有用である。また、複数のガス消費設備に液化ガスを供給するシステムにおける複数の配管L1〜Lnに対するパージ操作についても同様に、排気される供給用ガスの処理量をより低減するとともに、パージ操作を一層確実に行うことが可能となる。
【0017】
本発明は、上記液化ガス供給システムであって、前記液化ガス供給システムの保守点検操作の前後に、少なくとも、
(a)前記減圧処理部を作動して、保守点検の対象となる前記配管La、配管Lbまたは配管部L1〜Lnのいずれか1または複数の内部のガスを排出し減圧状態にする操作、および前記不活性ガス供給部を作動して当該減圧状態となった配管内部に不活性ガスを充当する操作を有し、これらの操作を予め設定された回数繰返し行い、
(b)前記減圧処理部を作動して、前記配管La、配管Lbまたは配管部L1〜Lnのいずれか1または複数の内部のガスを排出し減圧状態にする操作、および前記開閉弁Vaまたは開閉弁V1〜Vnのいずれか1または複数の開閉弁をフラッシング操作させながら、供給用ガスを前記配管Lbまたは配管L1〜Lnのいずれか1または複数の内部に充当する操作を有し、これらの操作を予め設定された回数繰返し行う
ことを特徴とする。
【0018】
減圧状態にある配管部への液化ガスの供給は、ガス供給開始操作だけではなく、ガス供給システムの保守点検操作時においても必要とされる。具体的には、該操作開始時において、保守点検の対象となる配管部に対し(a)「減圧−不活性ガス」によるパージを繰返す1次操作と、これを行なった後の保守点検操作終了前における(b)「減圧−供給用ガス」によるパージを繰返す2次操作の組合せによるパージ操作が必要とされ、開放時の汚染を防止し、排気される供給用ガスの処理量をより低減するとともに、液化ガスの突沸を防止し、パージ操作を一層確実に行うことが可能となる。特に、反応性や腐食性の強い液化ガスなどのように配管系のパージ処理を必要とする液化ガス供給システムにおいて有用である。また、複数のガス消費設備に液化ガスを供給するシステムにおける配管L1〜Lnに対しても同様のパージ操作に行うことによって、排気される供給用ガスの処理量をより低減するとともに、パージ操作を一層確実に行うことが可能となる。なお、ここでいう「保守点検操作」とは、配管部を構成する配管、圧力調整部、開閉弁などの部品の清浄、修理や交換などの操作だけではなく、充填容器の交換など液化ガスの供給に関係する部材等の保守点検操作の全てをいう。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、フラッシング操作機能を付加した切換弁を充填容器からガス供給設備までの流路に配設し、ガス供給操作等を行う場合にその機能を利用することによって、液化ガスの突沸を防止し、パージによって排気される供給用ガスの量を最小限にするとともに、簡易な構成によって迅速かつ安全な操作で保守管理を行うことができる液化ガス供給システムを提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。ここでは、容器バルブが配設された供給用ガスの充填容器と、該充填容器が設置される設置部と、前記ガスを消費するガス消費設備と、前記充填容器とガス消費設備を接続する配管部と、該配管部に設けられた圧力調整部と、各部の動作を制御管理するプロセス制御部とを有し、
配管部の一部として、容器バルブに近接する位置に設けられた開閉弁Vaと、開閉弁Vaの上流側に接続された配管Laと、その下流側に接続された配管Lbと、それぞれ配管の内部を減圧状態にする減圧処理部および不活性ガスを充当する不活性ガス供給部を有する液化ガス供給システムを基本とする。
【0021】
<本発明に係る液化ガス供給システムの基本構成例>
図1は、本発明に係る液化ガス供給システム(以下「本システムA」という)を例示する概略図である。本システムAは、特定の液化ガス(供給用ガス)が充填された充填容器1が、設置部2によって保持された状態で設置され、ガス供給停止状態からガス供給開始状態に切換やシステムの保守点検操作などガス供給操作等にする場合を想定する。
【0022】
具体的には、充填容器1は、その上部に設けられた容器バルブ1aから内部の液化ガスを供出する。容器バルブ1aには配管Laが接続され、さらにこれと接続される配管Lbからなる配管部によって、プロセス装置4(「ガス消費設備」に相当)に繋がる。充填容器1から供出された供給用ガスは、配管Lbに設けられた減圧弁3(「圧力調整部」に相当)によって供給圧力が調整され、開閉弁Vpを介してプロセス装置4へ供給される。供給用ガスの圧力は、減圧弁3の下流側に設けられた圧力センサPTaおよび減圧弁3の上流側に設けられた圧力センサPTbによってモニタされ、ガスの供給のON/OFFは、容器バルブ1aおよび開閉弁Va,Vbによって制御される。本システムAにおけるパージ操作は、配管Lc,Ldおよび開閉弁Vc,Vdを介して配管La,Lbと繋がる減圧処理部5と、Le,Lfおよび開閉弁Ve,Vfを介して配管La,Lbと繋がる不活性ガス供給部によって作動される。こうしたガス供給機能およびパージ操作機能は、圧力センサPTa、PTbの出力を基にプロセス制御部6によって制御管理される。ここで、充填容器1、配管部およびプロセス制御部6を含め、ガス供給部10を形成する。また、プロセス装置4は、制御部4aによって制御管理され、これを含む本システムA全体は、システム制御部7によって制御管理される。
【0023】
ここで、本システムAの停止状態から供給用ガスの給送開始時において、開閉弁Vaをフラッシング操作させて配管Lbに供給用ガスを供給することが好ましい。供給される液化ガスが、希少性が高く高価な場合や、腐食性、毒性、危険性などを有するガスである場合も多く、供給用ガスの給送開始直前に配管部内部を減圧状態とし、清浄化された状態で供給用ガスが供給される。このとき、開閉弁Vaにフラッシング操作機能を付与し、減圧状態にある配管Lbへの液化ガスの供給を小容量で段階的に行うことによって、液化ガスの突沸を防止し、供給用ガスのパージ処理量を低減することできる。
【0024】
つまり、本システムAは、プロセス制御部6によって、開閉弁Vaの開閉を、瞬時の開時間とその数倍の閉時間を組合せた開閉操作を繰返し可能なフラッシング操作機能を有することを特徴とする。フラッシング操作とは、図2(A)に示すように、作動操作(ON時間To)と停止操作(OFF時間Ts)との組合せを繰返し行うことをいい、ON時間ToとOFF時間Tsと開閉操作回数Tnの3つのパラメータによって制御される。この3つのパラメータは、供給ガスの種類、配管部の内容積を考慮して設定する。例えば、充填容器1内の気相部に比べ大きな容積を有する減圧状態の配管内部に供給ガスを充填する場合には、ON時間Toを短くしてガス放出量を少なくし(例えば約0.5〜5sec)、OFF時間Tsを長くして充填容器1内気相を蒸気圧に戻し(例えば約2〜20sec)、開閉操作回数Tnを多く設定することで(例えば5〜50回)、突沸をさせず一次側を実ガス充填させることができる。また、フラッシング操作は、自動制御、特にプログラマブル制御に適していることから、こうしたパージ操作において従来低蒸気圧の液化ガスでは困難であったプロセス全体の制御を、全自動化することが可能になった。
【0025】
また、本システムAの保守点検操作においては、パージ操作として、保守点検の対象となる配管部(配管La,Lbまたは両方)をパージすることが好ましい。液化ガスの気化による環境の汚染あるいは空気中の酸素や水分などとの反応や空気中の粉塵等による流路の汚染防止を図るためである。ここで、パージガスとして円滑なガス供給を開始するためには供給用ガスを用いることが好ましいが、当該供給用ガスが、上記のように高価な場合や腐食性等を有するガスである場合も多く、例えば部品あるいは充填容器1の取外し前に窒素や清浄空気など不活性ガスなどによって1次パージ処理をし、実際にガスを供給する直前に少量の供給用ガスによる2次パージ処理を行うことが好適である。こうした2次パージ処理において開閉弁Vaにフラッシング操作機能を付与し、減圧状態にある配管Lbへの供給用ガスの供給を小容量で段階的に行うことによって、液化ガスの突沸を防止し供給用ガスのパージ処理量を低減することができる。
【0026】
このように、本システムAにおいては、こうしたフラッシング操作を組み入れたパージ操作によって、小口径の空孔から大口径で減圧状態の配管内部への液化ガスの急激な導入に伴う瞬間的な断熱膨張によって生じる危険性、具体的には、液化ガスの突沸、供給ガスの圧力低下などを回避することができる。具体的に、以下のような検証結果を得ることができた。
【実施例】
【0027】
上記の検証結果について、実際にフッ化水素(HF、蒸気圧0.103MPa/20℃)が充填された容器を用いて、実装条件で評価した。
(i)実験装置
図1に示すようなシステムにおいて、HFが充填された容量47Lの充填容器1が収納され、配管部は、開閉弁Vaからプロセス装置4まで3/8″配管で、長さ50m(配管の内容積はtotalで約2L程度)であった。設置場所の環境温度は、25℃(空調で調節している。)、充填容器1は、恒温槽にて30℃に加温し、配管部には再液化しないように40℃程度のヒーティングをした。
(ii)評価方法
開閉弁Vaについて、フラッシング操作を行った場合と行わなかった場合の容器バルブ直後の圧力を、圧力センサPTaによってモニタリングした。ここで、フラッシング操作は、ON時間To=1sec、OFF時間Ts=5secを1単位として5回繰返した。また、充填容器内部の圧力の瞬間的な減圧度が大きいほど、突沸および配管内部への飛沫の飛散の可能性が高いことから、各実験時の配管La内部の圧力を同じく圧力センサPTaによってモニタし、突沸発生の有無を確認した。
(iii)実験結果
図2(B)は、一気に切換弁Vaを開とし、2回のパージ操作を行った場合の充填容器1内の圧力の変化を示す。当初の充填容器1内の圧力0.06MPaに対し、−0.03〜−0.06MPaとなり、0.09〜0.12MPaの低下があった。
図2(C)は、図2(A)に示す切換弁Vaのフラッシング操作を行い、2回のパージ操作を行った場合の充填容器1内の圧力の変化を示す。フラッシング操作を行うことによって、圧力低下の防止することができるという検証結果を得ることができた。
また、突沸の有無の確認は、フラッシング操作を行わなかった場合においても、減圧度が−0.06MPa程度であり、発生しなかったと推定することができる。
【0028】
本システムAの対象となる液化ガスとしては、上記のように充填容器1からプロセス装置4に供給するシステムが適用できるもので、充填容器1の内部において液体状態あるいは液体と気体が混合する状態を形成するガスを含む。具体的には、酸素や水素あるいはアルゴンなどの圧縮ガス、半導体製造プロセスで使用される特殊材料ガス(NH,BCL,CL,SiHCL,Si、HF、C、WF等に代表される蒸気圧の低い液化ガス)、二酸化炭素などの液化ガス、あるいは水添反応用の水や種々の冷媒などを挙げることができる。
【0029】
〔本システムAの構成要素〕
充填容器1は、常設であって外部から液化ガスを定期的に充填されるものや容器ごと搬送される圧力容器など特に制限はない。充填容器1の管理方法は、充填される液化ガスの性状や供給条件あるいはプロセス装置4の使用条件などによって選択されるが、本システムAにおいて、特に制限はない。例えば、供給圧力の監視、充填容器1を含む総重量の監視、供給流量の監視による消費量の把握などの方法が用いられ、液化ガスにおいては、充填容器1内に液面センサを設けて液量を管理する方法が用いられることがある。また、ガスの供給開始後においては、供給用ガスの安定した供給量を確保するために、供給圧力の監視だけではなく充填容器1内の液相温度を一定とすることが好ましく、液相温度を監視し、充填容器1を加温する方法が用いられる。
【0030】
配管部は、図1に例示するように、配管La,Lbからなるとともに、本システムAの構成・機能を形成するために必要な開閉弁や圧力計等を含む。具体的には、配管Laに、充填容器1内部の供給用ガス圧力を監視する圧力センサPTaが設けられるとともに、配管Laおよび配管Lbとの接続および流路の開閉機能を担い、フラッシング操作機能を有する開閉弁Vaが設けられる。これに繋がる配管Lbには、減圧弁3が接続され、その下流側には、プロセス装置4への供給用ガス圧力を監視する圧力センサPTbが設けられる。ここで、開閉弁Vaは、配管Laを小容積とするために容器バルブ1aに近接することが好ましい。また、一般に充填容器1とガス供給部10とは離隔された状態になり、保守点検等を必要とするのは充填容器1側であることが多いことから、ガス供給部10に開閉弁Vbを設けることが好ましい。また、実機においては、冬季などにおける流路の温度低下に伴う供給用ガスの凝縮を防止するために、配管温度や環境温度などを測定する温度センサや配管加熱用のヒータ、供給ガス流量を調整するための絞りや流量調整部などが設けられ(いずれも図示せず)、システム制御部7によって制御される。
【0031】
圧力センサPTa,PTbは、供給用ガスの圧力をモニタするとともに、これらの測定信号を変換しモニタ出力としてシステム制御部7に送信する機能を有する。本システムAにおいては、充填容器1内部の液化ガスの圧力およびプロセス装置4に供給される液化ガスの圧力を測定する機能、およびこれらの指標によって供給用ガスの状態を監視する機能を有する多機能の圧力センサPTa,PTbを構成している。タッチパネルや表示部を有することによって、配管部での液化ガスの圧力を現場で監視することができる。
【0032】
減圧処理部5は、本システムAのパージ操作に必要な配管部の減圧機能を担うもので、吸引ポンプ、真空ポンプあるいはガスエゼクタなどの減圧手段を有する。図1のシステムにおいては、減圧処理部5を作動させることによって、開閉弁Vc,Vdおよび配管Lc,Ldを介して、配管La,Lb内のガスを除去することができる。また、不活性ガスは、減圧処理部5の動作にリンクして、開閉弁Ve,Vfおよび配管Le,Lfを有する不活性ガス供給部から、各々配管La,Lbに供給される。また、不活性ガス供給部から供給する不活性ガスは、通常窒素を用いることが多い。反応性がほとんどなく入手が容易であるためである。また、パージ操作は、手動あるいはプロセス制御部6によって自動的に制御してもよい。
【0033】
プロセス制御部6は、本システムAにおいて、プロセス装置4の使用条件に適合した液化ガスが供給できるように種々の入出力を制御するCPUとメモリを内蔵した制御装置であって、プログラマブルコントローラ(PLC:Programmable Logic Controller)を用いることが好ましい。具体的には、上記圧力センサPTa,PTbの出力、環境温度や各部温度および充填容器1内の温度や残量(重量)などの情報を受けて、開閉弁Va等や減圧弁3あるいは加熱・冷却部の動作が制御される。
【0034】
システム制御部7は、プロセス制御部6からの各種情報に加え、プロセス装置4の制御部4aからの情報を受け、プロセス装置4の使用状態に対応するように、本システムA全体を制御する。具体的には、例えばパージ操作において、不活性ガスの配管部への導入方法を、(i)連続的に不活性ガスを導入・排気するモード(少量あるいは低濃度の液化ガスを使用した場合など)と、(ii)減圧状態から常圧状態まで充当するモード(多量あるいは高濃度の液化ガスを使用した場合)、を切替えることによって、短時間での効率のよいパージが可能となる。プロセス装置4に対しても、同様にシステム制御部7から制御することができる。本システムAにおいては、プロセス制御部6同様、プログラマブルコントローラ(PLC)を用いた場合を例示する。
【0035】
〔本システムAを用いたガス供給操作方法〕
本システムAを用いたプロセス装置へのガスの供給操作は、図3(A)〜(C)に示すような操作手順によって、3つの操作方法を実行することができる。ここでは、システムオペレータによるシステム制御部7からの指令によって操作される場合を挙げる。なお、制御部4a,プロセス制御部6による制御操作によって行うことも可能である。
【0036】
(1)プロセス装置4へのガスの供給操作
プロセス装置4へのガスの供給開始操作手順を、図3(A)に示す。開閉弁Vaを閉とした状態で、減圧処理部5を作動して配管La,Lbの内部のガスを排出し減圧状態にする操作を行い、次に容器バルブ1aを開とした後、開閉弁Vaをフラッシング操作させながら供給用ガスで前記配管部を充当し、供給用ガスを充填容器1から配管部を介してプロセス装置4に供給することを特徴とする。
【0037】
(1−1)オペレータはプロセス装置4へのガス供給開始にあたり、システム制御部7の供給開始スイッチを押す。供給開始の指令信号は、ガス供給部10に配設されているプロセス制御部6に送信される。
(1−2)この指令信号を受けガス供給部10は、ガス供給操作のために、予めプログラムされている動作を実行する。この動作は、以下に示す減圧処理工程、フラッシング操作工程、供給操作工程の3つから成る。
【0038】
(1−3)開閉弁Va〜Vf,Vpを閉とする。
(1−4)開閉弁Vcを開として減圧処理部5を作動し、配管Laの内部のガスを排出し減圧状態にする。このとき、圧力センサPTaの出力によるリークチェックを行うことができる。このリークチェック機能によって、供給用ガスを充填する直前に、継手の緩み等配管部の準備ができているかをチェックすることができる。供給操作前に毎回確認することができ、腐食性ガス等のリークのないことを確認することができる。リークチェックは、任意の真空到達圧力、真空監視時間により合否を判定し、合格した場合は次の工程に進むことができる。
(1−5)開閉弁Vcを閉として容器バルブ1aを開とし、配管Laの内部に充填容器1内部の供給用ガスを充当する。このとき、配管Laの内容積が小さい場合には突沸等の発生はないが、ガス供給部10の設置条件によって配管Laの内容積が大きくなる場合には容器バルブ1aの開操作をフラッシング操作に模して行うことが好ましい。安定状態になったことは、圧力センサPTaによって確認することができる。
(1−6)開閉弁Vbを開とし、開閉弁Vaのフラッシング操作によって配管Lbに供給用ガスを供給する。その動作は、圧力センサPTbの出力が、予め設定した圧力値に到達するまで行い、設定圧力まで充填されると開閉弁Vaは完全に開状態とする。このフラッシング操作によって、様々なガス種や様々な配管内容積を有するガス供給システムに対しても、最適に所望の設定圧力にすることができる。この動作が終了すると、プロセス制御部6を介してシステム制御部7へガス供給準備完了信号を送る。
(1−7)さらに、プロセス装置4の開閉弁Vpを開として、供給用ガスを充填容器1から配管部を介してプロセス装置4に供給する。これによってプロセス装置4は、供給用ガスを使用することができる。
【0039】
(2)本システムAの停止操作
本システムAの停止操作は、図3(B)に示すように、下記の操作手順によって行うことができる。減圧処理部5を作動して配管La,Lbの内部のガスを排出し減圧状態にする操作、および不活性ガス供給部を作動して配管La,Lbの内部に不活性ガスを充当する操作を有し、これらの操作を予め設定された回数繰返し行うことを特徴とする。
【0040】
(2−1)オペレータは、本システムAの停止操作つまりガスの供給停止操作において、システム制御部7の供給停止スイッチを押す。供給停止の指令信号は、ガス供給部10に配設されているプロセス制御部6に送信される。
(2−2)この指令信号を受けガス供給部10は、ガス供給停止操作のためにあらかじめプログラムされている動作を実行する。この動作は、以下に示す減圧処理工程、パージ操作工程、不活性ガス封入工程の3つから成る。
【0041】
(2−3)開閉弁Va〜Vf,Vpを閉とする。
(2−4)開閉弁Vc,Vdを開として減圧処理部5を作動し、配管La,Lbの内部のガスを排出し減圧状態にする。具体的には、減圧処理部5に内蔵された減圧手段を機能させることによって、配管Lc,Ldを介して配管La,Lbを減圧状態にさせ、内部の供給用ガスを含むガスを排出することができる。安定状態になったことは、圧力センサPTa,PTbによって確認することができる。このとき、開閉弁Vaを開とし、配管LaとLbを連通した状態で減圧状態にすることも可能である。
(2−5)開閉弁Vc,Vdを閉、開閉弁Ve,Vfを開とし、減圧処理部5に代えて不活性ガス供給部を作動し、配管La,Lbの内部に不活性ガスを充当する。具体的には、開閉弁Ve,Vfおよび配管Le,Lfを介して減圧状態にあった配管La,Lbの内部に不活性ガスを充当することができる。安定状態になったことは、圧力センサPTa,PTbによって確認することができる。(2−4)において開閉弁Vaを開とした場合には、配管LaとLbを連通した状態で不活性ガスを充当することも可能である。
このとき、(i)配管Le,Lfのいずれかを排気流路として使用し、連続的に不活性ガスを導入・排気するモードと、(ii)配管Le,Lfから不活性ガスを導入し減圧状態から常圧状態まで充当するモードを選択することも可能である。また、プロセス装置4に対しても、内部にバイパスを有する場合には、開閉弁Vpを開として不活性ガスを上記のモード切替によって最適なパージ操作を行うことが可能である。
(2−6)前記操作(2−4),(2−5)を、予め設定した繰返し回数行い、配管La,Lb内の供給用ガスを排出する。つまり、水素などの吸着性の小さな分子であれば1回の「減圧−不活性ガス」処理において十分なパージができるが、NHやSiHなどの吸着性の大きな分子であれば数回の「減圧−不活性ガス」処理を必要とする。
(2−7)配管La,Lbの内部に不活性ガスを充当した状態で、開閉弁Va,Vc〜Vf,Vpを閉とする。配管部が不活性ガスで封入された状態で保持され、配管内の腐食や外気の混入を防止することができる。
【0042】
(3)本システムAの保守点検操作
充填容器交換を含む本システムAの保守点検操作は、図3(C)に示すように、
(3a)保守点検の対象となる配管部の「減圧−不活性ガス」によるパージを繰返す1次操作(以下「1次パージ操作」という)
(3b)保守点検の対象となる部品または充填容器1の取外し操作、および新しい部品または充填容器1の取付け操作
(3c)保守点検の対象となった部品または配管部の「減圧−供給用ガス」によるパージを繰返す2次操作(以下「2次パージ操作」という)
から形成される。つまり、
(3a)減圧処理部を作動して配管Laまたは/およびLbの内部のガスを排出し減圧状態にする操作および不活性ガス供給部を作動して減圧状態となった配管内部に不活性ガスを充当する操作を有するとともに、これらの操作を予め設定された回数繰返し行い、
(3c)減圧処理部を作動して配管Laまたは/およびLbの内部のガスを排出し減圧状態にする操作および開閉弁Vaをフラッシング操作させながら、供給用ガスを配管Lbの内部に充当する操作を有し、これらの操作を予め設定された回数繰返し行う
ことを特徴とする。以下、実稼動状態で充填容器1内の供給用ガスの減少によって充填容器1の交換が必要となった場合をスタートとして説明する。
【0043】
(3a)1次パージ操作
本システムAを用いた保守点検等の対象となる配管部の「減圧−不活性ガス」によるパージを繰返す1次操作は、下記の操作手順によって行うことができる。以下は、「充填容器」が指定された場合に該当する。
(3a−1)オペレータは、本システムAの保守点検操作において、システム制御部7の保守点検1次操作スイッチを押すとともに、保守点検の対象を指定する(以下は、「充填容器」が指定された場合に該当する)。保守点検の指令信号は、ガス供給部10に配設されているプロセス制御部6に送信される。
(3a−2)この指令信号を受けガス供給部10は、ガス供給停止操作のために、予めプログラムされている動作を実行する。この動作は、以下に示す減圧処理工程、パージ操作工程、不活性ガス封入工程の3つから成る。
【0044】
(3a−3)容器バルブ1aおよび開閉弁Va〜Vf,Vpを閉とする。
(3a−4)開閉弁Vcを開として減圧処理部5を作動し、配管Laの内部のガスを排出する。具体的には、減圧処理部5に内蔵された減圧手段を機能させることによって、配管Lcを介して配管Laを減圧状態にさせ、内部の供給用ガスを含むガスを排出することができる。安定状態になったことは、圧力センサPTaの出力によって確認することができる。
(3a−5)減圧処理部5に代えて不活性ガス供給部を作動し、配管Laの内部に、不活性ガスを充当する。具体的には、開閉弁Vcを閉とし、開閉弁Veを開とすることによって、配管Leを介して減圧状態にあった配管Laの内部に不活性ガスを充当することができる。安定状態になったことは、圧力センサPTaによって確認することができる。このとき、上記(2−5)同様、不活性ガスの供給モードを選択することが可能である。
(3a−6)前記操作(3a−4),(3a−5)を、予め設定した繰返し回数行い、配管LaあるいはLb内部の供給用ガスを排出する。繰返し回数は上記(2−6)と同様、供給用ガスの性状によって予め設定することが好ましい。
(3a−7)配管Laの内部に不活性ガスを充当した状態で、開閉弁Vcを閉とする。これによって、配管Laのパージを行うことができる。
【0045】
(3b)保守点検の対象の取外し・取付け操作
指定された保守点検の対象の取外し・取付け操作を行う。以下は、「充填容器」が指定された場合に該当する。
(3b−1)容器バルブ1aと配管Laの該一端部を取外す。これによって、充填容器1の搬出が可能となる。
(3b−2)充填容器1を設置部2から取外す。このとき、不活性ガスの供給を継続することによって、外気の混入を防止することができる。
(3b−3)新しい充填容器1を設置部に設置する。
(3b−4)容器バルブ1aに配管Laの一端部を接続する。
(3b−5)容器バルブ1aおよび開閉弁Va〜Vf,Vpを閉とする。
(3b−6)このとき、必要に応じて取付けの気密を確認することが好ましい。具体的には、充填容器1を交換した場合には、配管Laの内部に不活性ガスを加圧条件で充当した状態で、所定時間(例えば24時間)放置し、その圧力低下のないことを確認した上で、次の操作に移行する。
【0046】
(3c)2次パージ操作
本システムAを用いた保守点検等の対象となる配管部の「減圧−供給用ガス」によるパージを繰返す2次操作は、下記の操作手順によって行うことができる。
(3c−1)オペレータは、本システムAの保守点検操作において、システム制御部7の保守点検2次操作スイッチを押すとともに、保守点検の対象を指定する(以下は、「充填容器」が指定された場合に該当する)。保守点検の指令信号は、ガス供給部10に配設されているプロセス制御部6に送信される。
(3c−2)この指令信号を受けガス供給部10は、ガス供給操作のために、予めプログラムされている動作を実行する。この動作は、以下に示す減圧処理工程、パージ操作工程、供給用ガス封入工程の3つから成る。
【0047】
(3c−3)開閉弁Vcを開として減圧処理部5を作動し、配管Laの内部のガスを排出し減圧状態にする。安定状態になったことは、圧力センサPTaによって確認することができる。
(3c−4)開閉弁Vcを閉として容器バルブ1aを開とし、配管Laの内部に充填容器1内部の供給用ガスを充当する。上記(1−5)同様、配管Laの内容積が大きくなる場合には容器バルブ1aの開操作をフラッシング操作に模して行うことが好ましい。安定状態になったことは、圧力センサPTaによって確認することができる。
(3c−5)前記操作(3c−3),(3c−4)を、予め設定した繰返し回数行った後、配管Laの内部に供給用ガスを充当する。
【0048】
(3c−6)次に、開閉弁Vaのフラッシング操作によって配管Lbに供給用ガスを供給する。その動作は、圧力センサPTbの出力が、予め設定した圧力値に到達するまで行い、設定圧力まで充填されると開閉弁Vaは完全に開状態とする。なお、減圧弁3の設定圧力が低くかつ開閉弁Vaから減圧弁3までの配管内容積が小さい場合や、供給用ガスが低蒸気圧の液化ガスであって、充填容器1交換直後の配管Lbの圧力と新しい充填容器1の内部圧力との差異が小さい場合などには、開閉弁Vaのフラッシング操作を省略することが可能な場合がある。安定状態になったことは、圧力センサPTbによって確認することができる。このフラッシング操作によって、様々なガス種や様々な配管内容積を有するガス供給システムに対しても、最適に所望の設定圧力にすることができる。この動作が終了すると、プロセス制御部6を介してシステム制御部7へガス供給準備完了信号を送る。
(3c−7)さらに、開閉弁Vbおよびプロセス装置4の開閉弁Vpを開として、供給用ガスを充填容器1から配管部を介してプロセス装置4に供給する。これによってプロセス装置4は、供給用ガスを使用することができる。
【0049】
<本発明に係る液化ガス供給システムの他の構成例>
図4は、本発明に係る液化ガス供給システムの他の構成例(本システムB)を示す概略図である。本システムBは、本システムAの構成を基本とし、プロセス装置が供給用ガスを消費する複数のプロセス装置41,42,43・・4n(以下「プロセス装置4n」ということがある)から構成され、ガス供給部10とプロセス装置4nの間に分岐部8が配設され、充填容器1からの供給用ガスを分岐して各プロセス装置4nに供給できる構成となっている。また、プロセス装置4nは、各制御部4anを介してシステム制御部7によって制御される。以下、本システムAの同構成については、説明を省略する。
【0050】
具体的には、配管部の一部として、開閉弁Vbを介して配管Lbと分岐部8とが接続され、分岐部8とn個のプロセス装置4nとを接続する配管L1〜Ln(以下「配管Ln」ということがある)に開閉弁V1〜Vn(以下「開閉弁Vn」ということがある)が配設されている。開閉弁Vnは、配管あるいは接続ブロックLo(以下「配管Lo」ということがあるが、後述する操作においては配管Lbの一部として取扱う)によって繋がっている。配管L1〜Lnには、その内部を減圧状態にする減圧処理部5が各々開閉弁Vg1〜Vgn(以下「開閉弁Vgn」ということがある)および配管Lg1〜Lgn(以下「配管Lgn」ということがある)を介して接続されとともに、不活性ガスを充当する不活性ガス供給部が各々開閉弁Vh1〜Vhn(以下「開閉弁Vhn」ということがある)および配管Lh1〜Lhn(以下「配管Lhn」ということがある)を介して接続され、減圧操作と不活性ガス供給を担っている。各配管L1〜Lnには、圧力センサPT1〜PTn(以下「圧力センサPTn」ということがある)が配設され、ガス供給機能およびパージ操作機能は、圧力センサPTnの出力を基に、ガス供給部10に配設されているプロセス制御部6aおよび分岐部8に配設されているプロセス制御部6bによって制御管理される。
【0051】
開閉弁V1〜Vnの開閉操作をプロセス制御部6bによって制御し、V1〜Vnの開閉操作に対してもフラッシング操作機能を付加し、減圧状態にある配管L1〜Lnのいずれか1または複数への供給用ガスの給送開始時において、給送開始する配管に接続する開閉弁をフラッシング操作させて、供給用ガスを供給することを特徴とする。
【0052】
本システムBにおいては、ガス供給操作、システム停止操作および保守点検操作時には本システムAと同様の操作において対応できるが、使用中の流路を未使用の流路に切換えるときも、上記同様、減圧状態の未使用の流路への供給ガスの供給に伴う液化ガスの突沸の危険性がある。また、システム停止状態からガス供給開始においても、配管Lbのみならず、配管Lnに供給用ガスを供給するときに、配管Lnを減圧状態にしてから供給用ガスを供給することが好ましく、同様の危険性を有している。従って、これらの流路を制御する開閉弁VaおよびVnにフラッシング操作機能を付加することによって、こうした危険性を回避することができる。
【0053】
〔本システムBを用いたガス供給方法〕
本システムBを用いたプロセス装置へのガスの供給操作は、図5(A),(B)に示すような操作手順によって実行することができる。なお、保守点検操作時の配管部のパージ操作は、本システムAと同様であり、ここでは、省略する。
【0054】
(1a)プロセス装置41〜4nへのガスの供給操作
プロセス装置4nへのガスの供給操作手順を、図5(A)に示す。開閉弁Va,Vbと開閉弁Vnを閉とした状態で、減圧処理部5を作動して配管La,Lbと配管L1〜Lnのいずれか1または複数の内部のガスを排出し減圧状態にする操作を行い、次に容器バルブ1aを開とした後、開閉弁Vaと開閉弁V1〜Vnのいずれか1または複数の開閉弁を順にフラッシング操作させながら供給用ガスで配管部を充当し、供給用ガスを充填容器1から配管部、分岐部8を介してプロセス装置4に供給することを特徴とする。
【0055】
(1a−1)オペレータはプロセス装置4へのガス供給開始にあたり、システム制御部7の供給開始スイッチを押す。供給開始の指令信号は、制御部6a,6bに送信される。
(1a−2)この指令信号を受けガス供給部10および分岐部8は、ガス供給操作のために、予めプログラムされている動作を実行する。この動作は、ガス供給部10および分岐部8における、以下に示す減圧処理工程、フラッシング操作工程、供給操作工程の3つから成る。
(1a−3)ガス供給部10についての減圧処理工程、フラッシング操作工程、供給操作工程は、記述の本システムAにおける操作(1−3)〜(1−6)と同様の操作を行う。このとき、配管Lbには供給用ガスが充当され、充填容器1からのガスの供給が可能な状態となっている。
【0056】
(1a−4)次に、分岐部8における減圧処理工程、フラッシング操作工程、供給操作工程について説明する。開閉弁Vn、開閉弁Vgnおよび開閉弁Vhnは閉とする。
(1a−5)ガス供給を開始するプロセス装置Tnに繋がる配管Lnに接続する開閉弁Vgnを開として減圧処理部5を作動し、配管Lnの内部のガスを排出し減圧状態にする。このとき、圧力センサPTnの出力によるリークチェックを行うことができる。このリークチェック機能によって、供給用ガスを充填する直前に、継手の緩み等配管部の準備ができているかをチェックすることができる。供給操作前に毎回確認することができ、腐食性ガス等のリークのないことを確認することができる。リークチェックは、任意の真空到達圧力、真空監視時間により合否を判定し、合格した場合は次の工程に進むことができる。なお、ガス供給部10についての減圧処理工程と同時に減圧処理を行い、工程の時間短縮を図ることも可能である。
(1a−6)開閉弁Vgnを閉とし、開閉弁Vnのフラッシング操作によって配管Lnに供給用ガスを供給する。その動作は、圧力センサPTnの出力が、予め設定した圧力値に到達するまで行い、設定圧力まで充填されると開閉弁Vnは完全に開状態とする。このフラッシング操作によって、様々なガス種や様々な配管内容積を有するガス供給システムに対しても、最適に所望の設定圧力にすることができる。この動作が終了すると、プロセス制御部6bを介してシステム制御部7へガス供給準備完了信号を送る。
(1a−7)さらに、プロセス装置4nの開閉弁Vpnを開として、供給用ガスを充填容器から配管部を介してプロセス装置4nに供給する。これによってプロセス装置4nは、供給用ガスを使用することができる。
【0057】
(2a)本システムBの停止操作
本システムBの停止操作は、図5(B)に示すように、下記の操作手順によって行うことができる。減圧処理部5を作動して配管La,Lbと配管L1〜Lnのいずれか1または複数の内部のガスを排出し減圧状態にする操作、および不活性ガス供給部を作動して配管La,Lbと配管L1〜Lnのいずれか1または複数の内部に不活性ガスを充当する操作を有し、これらの操作を予め設定された回数繰返し行うことを特徴とする。
【0058】
(2a−1)オペレータは、本システムAの停止操作つまりガスの供給停止操作において、供給停止スイッチを押す。供給停止の指令信号は、プロセス制御部6a,6bに送信される。
(2a−2)この指令信号を受けガス供給部10および分岐部8は、ガス供給停止操作のためにあらかじめプログラムされている動作を実行する。この動作は、以下に示す減圧処理工程、パージ操作工程、不活性ガス封入工程の3つから成る。
(2a−3)ガス供給部10についての減圧処理工程、パージ操作工程、供給操作工程は、記述の本システムAにおける操作(2−3)〜(2−6)と同様の操作を行う。このとき、配管La,Lbには不活性ガスが充当されている。
【0059】
(2a−4)次に、分岐部8についての減圧処理工程、パージ操作工程、供給操作工程を説明する。開閉弁Vn、開閉弁Vgnおよび開閉弁Vhnは閉とする。
(2a−5)ガス供給を行っていたプロセス装置Tnに繋がる配管Lnに接続する開閉弁Vgnを開として減圧処理部5を作動し、配管Lnの内部のガスを排出し減圧状態にする。
(2a−6)開閉弁Vgnを閉、開閉弁Vhnを開とし、減圧処理部5に代えて不活性ガス供給部を作動し、配管Lnの内部に不活性ガスを充当する。具体的には、開閉弁Vhnおよび配管Lhnを介して減圧状態にあった配管Lnの内部に不活性ガスを充当することができる。安定状態になったことは、圧力センサPTnによって確認することができる。
(2a−7)前記操作(2a−5),(2a−6)を、予め設定した繰返し回数行い、配管Ln内の供給用ガスを排出する。つまり、水素などの吸着性の小さな分子であれば1回の「減圧−不活性ガス」処理において十分なパージができるが、NHやSiHなどの吸着性の大きな分子であれば数回の「減圧−不活性ガス」処理を必要とする。
(2a−8)配管La,LbおよびLnの内部に不活性ガスを充当した状態で、開閉弁Va〜Vf,Vgn,VhnおよびVpを閉とする。配管部が不活性ガスで封入された状態で保持され、配管内の腐食や外気の混入を防止することができる。なお、上記は、最初にガス供給部10の停止操作を行った後に分岐部8の停止操作を行う手順について述べたが、最初に分岐部8の停止操作を行った後にガス供給部10の停止操作を行うことも可能である。
【0060】
(4)プロセス装置4nへのガスの供給切替え操作
プロセス装置4nへのガスの供給において、使用中の流路を切換えるときも、減圧状態の未使用の流路への供給ガスの供給に伴う液化ガスの突沸の危険性がある。従って、本システムBが有する機能を利用した固有の操作を行う。
【0061】
(4−1)新たなプロセス装置4nへのガス供給を追加する場合
上記「(1a)プロセス装置41〜4nへのガスの供給操作」における(1a−4)〜(1a−6)と同様の操作工程によって、新たなプロセス装置4nへのガス供給操作を行うことができる。フラッシング操作を含むことによって、使用中の他のプロセス装置への影響を与えずに、新たなプロセス装置4nへのガス供給の追加を行うことができる。
【0062】
(4−2)使用中のプロセス装置4mのガス供給を停止する場合
上記(2a−4)〜(2a−7)と同様の操作工程によって、使用中のプロセス装置4mのガス供給の停止操作を行うことができる。ただし、このとき、開閉弁V1〜Vnに対して共通に接続している配管Loは、減圧処理およびパージ操作を行わず、停止するプロセス装置4mに繋がる配管Lmに接続する開閉弁Vmを閉とすることによって、使用中の他のプロセス装置への影響を与えずに、プロセス装置4mへのガス供給の停止を行うことができる。
【0063】
(4−3)使用中のプロセス装置4nから未使用のプロセス装置4mへのガス供給を切替える場合
ガス供給を行うプロセス装置の切替えは、上記(4−1)と(4−2)の操作を組合せることによって、使用中の他のプロセス装置への影響を与えずに行うことができる。つまり使用中のプロセス装置4nについては、開閉弁Vnを閉として配管Loとの接続を遮断した状態でガスの供給を停止する操作を行い、未使用のプロセス装置4mについては、開閉弁Vmを閉として配管Loとの接続を遮断した状態で減圧処理を行い、ガスの供給時に開閉弁Vmをフラッシング操作して配管Lmにガスを供給する操作を行うことによって、使用中の他のプロセス装置への影響を与えずにガス供給の切替えを行うことができる。このとき、最初に未使用のプロセス装置4mへのガス供給を開始し、その後使用中のプロセス装置4nを停止することによって、ガス供給部10から連続的に安定した条件でガスを供給することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
上記においては、主として半導体あるいは各種製造プロセスに用いる高圧ガスや液化ガスなどの供給システムについて述べたが、本発明は、こうした産業用のみならず病院のガス供給設備などの民生用の液化ガス供給システムにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係る液化ガス供給システムの基本構成例を示す概略図
【図2】本発明に係るフラッシング操作機能および充填容器内の圧力の変化を示す説明図
【図3】本発明に係る液化ガス供給システムの操作手順を示す概略図
【図4】本発明に係る液化ガス供給システムの他の構成例を示す概略図
【図5】本発明に係る他の液化ガス供給システムの操作手順を示す概略図
【図6】装置の配管内に残留するガスをパージする従来の装置及び方法を例示する概略図
【符号の説明】
【0066】
1 充填容器
1a 容器バルブ
2 設置部
3 減圧弁(圧力調整部)
4,41〜4n プロセス装置(ガス消費設備)
4a,4a1〜4an 制御部
5 減圧処理部
6,6a,6b プロセス制御部
7 システム制御部
8 分岐部
10 ガス供給部
Lo,La〜Lf,Lg1〜Lgn,Lh1〜Lhn,Lp,L1〜Ln 配管
PTa,PTb,PT1〜PTn 圧力センサ
Va〜Vf,Vg1〜Vgn,Vh1〜Vhn,V1〜Vn,Vp,Vp1〜Vpn 開閉弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器バルブが配設された供給用ガスの充填容器と、該充填容器が設置される設置部と、前記ガスを消費するガス消費設備と、前記充填容器とガス消費設備を接続する配管部と、該配管部に設けられた圧力調整部と、各部の動作を制御管理するプロセス制御部と、を有する液化ガス供給システムにおいて、
前記配管部の一部として前記容器バルブに近接する位置に開閉弁Vaが配設され、該開閉弁Vaの上流側に接続された配管Laおよび下流側に接続された配管Lbに対し、それぞれの内部を減圧状態にする減圧処理部および不活性ガスを充当する不活性ガス供給部が接続されるとともに、
前記開閉弁Vaの開閉操作を前記プロセス制御部によって制御し、瞬時の開時間とその数倍の閉時間を組合せた開閉操作を繰返し可能なフラッシング操作機能を付加し、
減圧状態にある前記配管Lbへの供給用ガスの給送開始時において、前記開閉弁Vaをフラッシング操作させて前記配管Lbに供給用ガスを供給することを特徴とする液化ガス供給システム。
【請求項2】
前記ガス消費設備が、前記供給用ガスを消費する複数のガス消費設備から構成され、
前記設置部とガス消費設備の間に設けられ、前記充填容器からのガスを分岐し各ガス消費設備に供給する分岐部を有し、
前記配管部の一部として、前記分岐部と複数(n個)のガス消費設備とを接続する配管L1〜Lnに開閉弁V1〜Vnが配設され、前記配管La,Lbおよび配管L1〜Lnのいずれか1または複数に、それぞれの内部を減圧状態にする減圧処理部および不活性ガスを充当する不活性ガス供給部が接続されるとともに、
前記開閉弁V1〜Vnの開閉操作を前記プロセス制御部によって制御し、前記フラッシング操作機能を付加し、
減圧状態にある前記配管L1〜Lnのいずれか1または複数への供給用ガスの給送開始時において、該配管に接続する開閉弁をフラッシング操作させて、前記配管L1〜Lnのいずれか1または複数に供給用ガスを供給することを特徴とする請求項1記載の液化ガス供給システム。
【請求項3】
前記ガス消費設備へのガスの供給操作として、少なくとも、
前記開閉弁Vaまたは開閉弁Vaと開閉弁V1〜Vnを閉とした状態で、前記減圧処理部を作動して前記配管La,Lbまたは配管La,Lbと配管L1〜Lnのいずれか1または複数の内部のガスを排出し減圧状態にする操作を行い、次に前記容器バルブを開とした後、前記開閉弁Vaまたは開閉弁Vaと開閉弁V1〜Vnのいずれか1または複数の開閉弁を順にフラッシング操作させながら供給用ガスで前記配管部を充当し、供給用ガスを充填容器から配管部を介して前記ガス消費設備に供給することを特徴とする請求項1または2記載の液化ガス供給システム。
【請求項4】
前記液化ガス供給システムの停止操作として、少なくとも、
前記減圧処理部を作動して前記配管La,Lbまたは配管La,Lbと配管L1〜Lnのいずれか1または複数の内部のガスを排出し減圧状態にする操作、および前記不活性ガス供給部を作動して前記配管La,Lbまたは配管La,Lbと配管L1〜Lnのいずれか1または複数の内部に不活性ガスを充当する操作を有し、これらの操作を予め設定された回数繰返し行うことを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の液化ガス供給システム。
【請求項5】
前記液化ガス供給システムの保守点検操作の前後に、少なくとも、
(a)前記減圧処理部を作動して、保守点検の対象となる前記配管La、配管Lbまたは配管部L1〜Lnのいずれか1または複数の内部のガスを排出し減圧状態にする操作、および前記不活性ガス供給部を作動して当該減圧状態となった配管内部に不活性ガスを充当する操作を有し、これらの操作を予め設定された回数繰返し行い、
(b)前記減圧処理部を作動して、前記配管La、配管Lbまたは配管部L1〜Lnのいずれか1または複数の内部のガスを排出し減圧状態にする操作、および前記開閉弁Vaまたは開閉弁V1〜Vnのいずれか1または複数の開閉弁をフラッシング操作させながら、供給用ガスを前記配管Lbまたは配管L1〜Lnのいずれか1または複数の内部に充当する操作を有し、これらの操作を予め設定された回数繰返し行う
ことを特徴とする請求項3記載の液化ガス供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−108925(P2009−108925A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−281900(P2007−281900)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(000109428)日本エア・リキード株式会社 (53)
【Fターム(参考)】