説明

液化天然ガス(LNG)の気化及びその貯蔵方法、及びプラント

液化天然ガス(LNG)の気化方法及びプラントは、電力を得るためのエネルギー源による変換によって、熱交換によって気化操作中に電力を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化天然ガス(LNG)の気化及びその貯蔵方法、及びプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、LNGターミナルでは、メタンタンカーから降ろされた液体状態のガスは、気体状態に再転換される。LNGは、タンカーから陸上の貯蔵タンクに送られ、この貯蔵タンクは、通常は、同じタンク内のLNGに浸された低放出ヘッドを有する「一次ポンプ」を介して、再気化ユニットに連結され、次いで、液体を、ユーザによって要求される最終的な圧力に圧縮するための「二次ポンプ」が続く。先のメンテナンス操作は、特に複雑であり、高い信頼性のポンプを製造し、且つ効果的な制御システムを採用することによって、メンテナンス操作の発生率を最小にする多大な努力がなされている。システムのコストを減らすために、2つのステップの機能を組み合わせられる高容量ヘッドを有するポンプが近年開発された。
【0003】
ターミナルの核は、気化器によって構成され、実際には、これらは熱交換器であり、LNGが、熱交換器内で熱エネルギーを吸収して気体状態に変わる。これらは、環境(水若しくは空気)、電気エネルギー若しくは燃料のようなエネルギーベクトル、又は種々の種類の外部プラントからのプロセス流体であるエネルギー源に基づいて一般的に分類される。
【0004】
現在稼働しているターミナルで使用されている気化器は主に2種類、「海水」タイプ(又はオープンラックベーパライザ、ORV)と、「火炎浸漬」タイプ(SMV又はSCVと呼ばれる)があり、各々上述の3つのカテゴリーのうち第1カテゴリーと第2カテゴリーに分類される。
【0005】
安全及び経済的な状態下でプラントの機能に必要なサービスを提供する一連の補助システムがターミナルの中にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら現下の気化器は、以下に述べるような幾つかの欠点を有する。
【0007】
第一に、ガスパイプラインの輸入のボトルネック解消が急速でないのに対して、天然ガス消費の急増している国では、新しい液化ターミナルを作ることの必要性がある。
【0008】
第二に、今のシステムは、アングロ・サクソンの国ではLNG冷熱利用及びLNG冷熱利用発電システムとして知られている、液化天然ガスに含まれるエネルギーの活用と共に、エネルギー効率を追求させない。これに加えて、ラングタンク(lung-tank)での貯蔵は、非常に高い建設コスト、維持コスト、及び管理コストを意味する。
【0009】
その上、もう一つの事実は、現行の液化ターミナルは、過去に、新しい気化器の製造のために、安全の問題と一緒に主たる障害であった地域の側での環境の影響及び容認に関する多数の問題を有することである。
【0010】
本発明の目的は、公知技術の上記欠点を解消することにある。
【0011】
このかかわり合いの中で、本発明の重要な目的は、人が住んでいる中心部から遠くに位置する調達地方からくるLNGの気化及びその貯蔵、並びにプラントを提供することである。
【0012】
本発明の更なる目的は、上述のような気化で、高いQ値で電力を発生させる、液化天然ガス(LNG)の気化及びその貯蔵方法、並びにプラントを提供することである。
【0013】
その上、本発明の更なる目的は、再ガス化天然ガスを、空になった沖合の貯蔵器に注入するのを可能にするLNGの気化及びその貯蔵方法、並びにプラントに関する。
【0014】
本発明の追加の目的は、天然ガスを、既存のインフラストラクチャーによって供給システムに送ることによって、注入された天然ガスを使用させる液化天然ガスの気化及び貯蔵方法、並びにプラントを提供することである。
【0015】
これらの解決法は、種々の理由により、特に興味深いことが分かる。第一に、ガスパイプラインの輸入のボトルネック解消が急速でないのに対して、天然ガス消費量が急増している国において、気化ターミナルの研究の必要性が増加的に、より重大になってきている。
【0016】
第二に、エネルギー効率の追求は、アングロ・サクソンの国ではLNG冷熱利用及びLNG冷熱利用発電システムとして知られている液化天然ガスに含まれるエネルギーの活用と調和する。これにより、ラングタンクでの貯蔵を、天然ガスの形態で、多くの既に空になった貯蔵器又は殆ど空になった貯蔵器の中で実行することができる追加の事実がある。最後に、決定的であると分かる最後の利点は、沖合での再注入の実施は、過去には気化器の製造における主たる障害であった地域の側の環境影響評価、及び容認に関する多数の問題を回避するという事実にある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この研究課題は、これら及び他の目的とともに、熱交換による、前記気化操作中に、電力が得られることを特徴とする、液化天然ガス(LNG)の気化及び貯蔵方法、並びにプラントで達成される。
【0018】
本特許発明の目的は、液化天然ガス(LNG)気化プラントにおいて、熱交換による気化操作中に、電力を得るためのエネルギー源の変換手段を含むことを特徴とする液化天然ガス気化プラントに関する。
【0019】
方法は、好ましくは次のステップを含む:
ほぼ一定の温度でLNGを圧送し、
圧送されたLNGを、ほぼ一定の圧力で閉サイクル内の熱放出永久気体との熱交換で、ほぼ一定の圧力で気化させ、
貯蔵器での貯蔵のために、再気化されたLNGの殆どを送り、
貯蔵のために送られてない気化したLNGの残りをタービンで燃焼させ、かつ膨張させて排出ガスを得て、
加圧永久気体が圧縮熱放出の後、閉サイクルの中で熱放出排出ガスとの引き続く熱交換を受け、最後にタービンで膨張を受け、貯蔵のために送られないLNGの残りの再気化部分を燃焼させ、且つ膨張させるタービンと、加熱された圧縮永久気体を膨張させるタービンの両方によって、電力を発生させる。
【0020】
再気化したLNGの殆どが注入される貯蔵器は、空、又は少なくとも部分的に空でなければならない。
【0021】
LNGの圧送は、好ましくは−155乃至−165℃、より好ましくは−160乃至163℃の範囲のほぼ一定の温度で実行され、LNGの圧力を約0.1MPa(1bar)から、好ましくは12乃至18MPa(120から180bar)、より好ましくは12乃至15MPa(120から150bar)にする。
【0022】
圧送されたLNGの気化は、好ましくは12から18MPa(120から180bar)、より好ましくは12から15MPa(120から150bar)の範囲で行われ、温度を、好ましくは10から25℃の範囲にする。
【0023】
貯蔵器貯蔵のために圧送されていない気化したLNGの残りの部分は、気化したLNGの全体の流れの好ましくは3乃至8%の範囲である。
【0024】
貯蔵されない気化したLNGの前記残りの部分を、タービンで燃焼させ、好ましくは0.1MPa(1bar)の圧力まで膨張させる。永久気体は、好ましくはヘリウム及び窒素から選択される。
【0025】
選択された永久気体が窒素である場合、加圧されたLNGとの熱交換は、好ましくは0.2乃至0.5MPa(2乃至5bar)の範囲のほぼ一定の圧力で起こり、温度を好ましくは75乃至100℃の範囲の値から、−150乃至−130℃の範囲の値にし、排出ガスとの熱交換は、好ましくは5乃至6MPa(50乃至60bar)の範囲のほぼ一定の圧力で起こり、温度を好ましくは20乃至40℃の範囲の値から、400乃至450℃の範囲の値にする。
【0026】
熱交換を去る排出ガスに含まれるCO2は、選択的に隔離され、一つの可能な方法は、CO2を貯蔵器に、あるいは異なるレベルで同じ貯蔵器に注入することにある。
【0027】
メタンタンカーから直接取り出されるLNGの気化の変形は、メタンタンカーターミナルの中での滞留時間を減らすために、適当なタンクでの一時的な貯蔵である。
【0028】
LNGを冷やすのに役立つタービンに連結された電流発生器は、超伝導体技術で造ることができ、従って小さい重量で大容量を発生させることができる。
【0029】
気化したガスの再導入手段として使用されるタービンは、捕足的な海洋プラットフォームによって有利に管理され、且つ支持することができる。
【0030】
本発明による方法は、蒸気サイクルなしに、ガスタービン又はガス膨張サイクルを使用するので、相当な融通性を可能にし、蒸気サイクルは反対に、融通が利かない。
【0031】
方法は、実際には供給されたエネルギー、又は永久気体の閉サイクルを異なる流量で実施することができるので、0乃至100%の範囲の気化したLNGの流量で機能することができる。
【0032】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付図面に例示の非限定的な目的で示される、本発明による好ましいが非限定的な、液化天然ガスの気化及びその貯蔵方法、並びにプラントの説明からもっと明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】ガス化プラントのフローチャートを示す。
【図2】本発明による方法の種々の段階のブロックスキームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
液化天然ガス(1)が、先ず、メタンタンカー(M)(T=−162℃;P=0.1MPa(1bar))から、温度をほぼ一定に保って13MPa(130bar)の圧力でポンプユニット(P)によって圧送され、次いで圧送された液化天然ガス(2)を、15℃まで熱し、且つ圧力降下を除いて圧力をほぼ一定に保って、閉サイクル内の永久気体との熱交換によって交換器(S)内で気化させる。
【0035】
気化した液化天然ガス(3)の大部分(4)(95容積%)が、貯蔵器(G)の中に貯蔵するために送られ、残りの部分(5)(5%)は、ガスタービン(T1)の中で燃焼され、且つ膨張させられる。
【0036】
0.1Mpa(1bar)の圧力、且つ464℃の温度でタービン(T1)を離れる放出ガス(6)は、交換器(S2)の中で、熱を伝達する、閉サイクルにある永久気体との間で熱交換を受ける。
【0037】
交換器(S2)を去る放出ガス(7)に含まれるCO2を、選択的に隔離させることができる。永久気体の閉サイクルは、ガス(10)と、交換器(S1)圧縮されたLNGとの熱交換、圧縮機(C)による、交換器(S1)を去る冷却されたガス(11)の温度増加を伴う圧縮、ほぼ一定の圧力で交換器(S2)による排出ガスとの熱交換、そして最後に、交換器(S2)を去る熱ガス(13)の温度の減少を伴う、タービン(T2)による膨張を含む。
【0038】
LNGは、船の吐出ポイントから、気化プラットフォームへ流れ、ここでLNGは、次のポイント2で説明される処理を受ける。130barの圧力の気化製品は、貯蔵器に再注入される。分配ネットワークによって要求されるならば、気化製品が生産され、海底パイプラインによって陸上の処理プラントに送られる。要求が気化製品の全部を消化するならば、ガスは、陸上プラントでの脱水を飛ばして、分配ネットワークに直接送られる。
【0039】
かくして思いつく液化天然ガス(LNG)の気化及びその貯蔵方法、並びにプラントは、全て発明の趣旨の範囲内に含まれる多数の修正及び変更を受けることができ、更には、全ての細部を、技術的に均等な要素と置き換えることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化天然ガス(LNG)の気化、及びその貯蔵方法において、
熱交換によって、前記気化操作中、電力を発生させることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記LNGの少なくとも第1の部分を、貯蔵のために予め存在する天然ガス貯蔵器に注入することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記予め存在する天然ガス貯蔵器は、少なくとも部分的に空にされなければならないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記気化操作中に行われる前記熱交換は、閉サイクルの熱放出永久気体によって行われることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記永久気体は、貯蔵のために送られない気化したLNGの第2部分を燃焼させる、少なくとも第1ガスタービンの排出ガスから熱を奪うことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
LNGは、ほぼ一定の圧力で気化され、且つ閉サイクルの前記熱放出永久気体との熱交換によって圧送されることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記閉サイクルでは、前記永久気体は、熱の放出後、前記タービンの前記熱放出排出ガスとの引き続く熱交換を受け、最後に、少なくとも第2のタービンで膨張を受けることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記電力を、貯蔵のために送られないLNGの残りの気化した部分を燃焼させ、且つ膨張させる前記第1のタービンと、前記加熱され圧縮された永久気体を膨張させる前記第2のタービンとの両方によって生じさせることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
LNGの前記圧送は、−155乃至165℃の範囲のほぼ一定の温度で行われ、前記LNGの圧力を約0.1MPa(1bar)から12乃至18Mpa(120bar乃至180bar)の範囲にする請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記ほぼ一定温度は、−160乃至−163℃であり、圧力は、12乃至15Mpa(120乃至150bar)の範囲にされる請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
LNGの前記気化は、12乃至18Mpa(120乃至180bar)の範囲のほぼ一定の圧力で行われ、温度を10乃至25℃にする請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
貯蔵器での貯蔵のために送られない気化LNGの前記第1の部分は、気化LNG流の全体の3乃至8%の範囲である請求項1乃至請求項11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
貯蔵されない気化LNGの前記第2の部分は、タービンで燃焼され、且つ0.1Mpa(1bar)の圧力まで膨張させられる請求項1乃至請求項12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記永久気体は、好ましくはヘリウム及び窒素から選択される請求項1乃至請求項13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記永久気体が窒素である場合、圧縮LNGとの熱交換は、0.2乃至0.5Mpa(2から5bar)の範囲のほぼ一定の圧力で行われて、温度を75乃至100℃の範囲から−150乃至−130℃の範囲にし、放出ガスとの熱交換は、5乃至6Mpa(50乃至60bar)のほぼ一定の圧力で行われて温度を20乃至40℃の範囲から400乃至450℃の範囲にする請求項1乃至請求項14の何れか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1タービン及び第2タービンから得られる前記電力を、タービン自身に連結された、超伝導体技術で実施される電流発生器で生じさせる請求項1乃至請求項15の何れか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記LNGは、メタンタンカーによって輸送され、前記圧送及びその後の気化を受ける前に、適当なタンクでの一時的な貯蔵を受ける請求項1乃至請求項16の何れか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記排出ガスに含まれるCO2は、隔離される請求項1乃至請求項17の何れか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記隔離されたCO2は、前記貯蔵器に注入される請求項1乃至請求項18の何れか1項に記載の方法。
【請求項20】
液化天然ガス(LNG)の気化用プラントにおいて、
熱交換によって前記気化操作中に電力を得るためのエネルギー源の変換手段を含むことを特徴とするプラント。
【請求項21】
電力を得るためのエネルギー源の前記変換手段は、少なくとも、貯蔵のために圧送されないLNGの残りの気化部分を燃焼させ、且つ膨張させる第1のタービンと、少なくとも、加熱圧縮された永久気体を膨張させる第2のタービンとを含む請求項20に記載のプラント。
【請求項22】
前記第1タービン及び第2タービンから得られた前記電力を、タービン自身に連結された、超伝導体技術で行われる電流発生器で生じさせる請求項20又は請求項21に記載のプラント。
【請求項23】
少なくとも前記タービンを支持するための捕捉的な海洋プラットフォームと、前記気化ガスを、少なくとも一部が空にされた天然貯蔵器に再導入する手段を含む請求項20乃至請求項22の何れか1項に記載のプラント。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2009−540238(P2009−540238A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514679(P2009−514679)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【国際出願番号】PCT/EP2007/005032
【国際公開番号】WO2007/144103
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(599068430)エニ、ソシエタ、ペル、アチオニ (16)
【氏名又は名称原語表記】ENI S.P.A.
【Fターム(参考)】