説明

液晶テレビジョンおよび液晶表示装置

【課題】外部機器を接続する外部入力端子側から映像信号が入力されない時にはバックライトでの無駄な電力消費を防止しつつ、映像信号が入力されたときにはスムーズにバックライトを通常の輝度に戻す。
【解決手段】バックライト26の冷陰極蛍光管に供給する管電流の電流値を決定する抵抗R5、R6,R7,R8を備えて冷陰極蛍光管に交流電圧を供給するインバータ回路28と、抵抗R6の両端にエミッタとコレクタを接続するトランジスタQ14と、抵抗R7の両端にエミッタとコレクタを接続するトランジスタQ13と、トランジスタQ13,Q14のベースに接続された制御端子を有するマイコン22とを備え、マイコン22は映像信号処理部12に入力される映像信号に同期信号を検出すると制御端子にローレベルの電圧を出力し、同期信号を検出しないと所定時間経過後に制御端子にハイレベルの電圧を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶テレビジョンおよび液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶テレビジョンを始めとする液晶表示装置は、比較的消費電力の多い放電灯からなるバックライトを備えている。このような液晶表示装置では、映像信号が入力されない状態で電源を切断せずにいると、液晶パネルのセル開口率は最小であるもののバックライト自体は点灯しており、バックライトで無駄な電力を消費してしまうことになる。
【0003】
このような問題を解決するために、従来は、視聴者がリモコン等を利用して外部入力端子側を選択した状態で、該外部入力端子側から一定時間連続して映像信号の入力がなければ、制御部が、バックライト駆動回路に制御信号を出力することにより、OSD処理部により表示された文字または図形に対向配置されているバックライト以外のバックライトを消灯していた(例えば特許文献1等)。
【0004】
また、直流バッテリからバックライトへの入力をトランジスタのエミッタ−コレクタを介して入力するように構成し、チューナからの入力が選択されないときは、所定時間経過するとトランジスタのベース電圧を下降させてバックライトへの入力電圧を低下させ、バックライトの管電流をそれまでの値よりも低下させる技術が知られている(例えば特許文献2等。)。さらに、同様の技術として、特許文献3にはバックライトへ供給する電力を低下させてバックライトの照度を低下させることについて記載されている。また、特許文献4にはバックライト制御回路によりバックライトを段階的に減灯することについて記載されている。
【特許文献1】特開2006−13942号公報
【特許文献2】実開平7−39174号公報
【特許文献3】特開平8−237579号公報
【特許文献4】特開2006−140647号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、ランプ自体を消しているため、映像信号が入力されたときの立ち上げに時間がかかっていた。また、立ち上げ後、再点灯しても点灯していたランプと、点灯していなかったランプとの間に輝度のバラツキが生じて、利用者が違和感を感じていた。
【0006】
また、上述した特許文献2記載の技術では、電源がトランジスタを介して供給されるため一定電圧以上の高電圧ラインには使用できず、高電圧で駆動されるバックライトには対応できなかった。具体的には、LEDの点灯に必要な電圧が2V程度であるのに対し、熱陰極管の点灯には70〜140V程度、冷陰極蛍光管の点灯には200〜1000V程度の高電圧が必要となるため、このような高電圧を供給するラインに特許文献2の技術を適用することはできなかった。また、特許文献3、4には具体的な回路構成の開示はされていない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、外部機器を接続する外部入力端子から映像信号が入力されない時にはバックライトでの無駄な電力消費を防止しつつ、映像信号が入力されたときにはスムーズにバックライトを通常の輝度に戻すことの可能な液晶テレビジョンおよび液晶表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の液晶表示装置では、放電灯を光源とするバックライトと、交互に動作して所定の交流電圧を生成する第一FETおよび第二FETと、該第一FETのゲートに印加する電圧を決定する第一管電流設定抵抗および該第二FETのゲートに印加する電圧を決定する第二管電流設定抵抗と、上記交流電圧を昇圧して上記放電灯に印加するトランスとを備えるインバータ回路とを備えて、上記バックライトが液晶パネルの背面から光を照射することにより、映像を画面に表示する液晶表示装置において、上記第一管電流設定抵抗は互いに直列に接続される第一抵抗と第二抵抗とから構成され、かつ上記第二管電流設定抵抗は互いに直列に接続される第三抵抗と第四抵抗とから構成され、上記第二抵抗の両端にエミッタとコレクタを接続しつつベースに電圧が印加されると上記第二抵抗をバイパスする第一トランジスタと、上記第三抵抗の両端にエミッタとコレクタを接続しつつベースに電圧が印加されると上記第三抵抗をバイパスする第二トランジスタと、上記第一トランジスタおよび上記第二トランジスタのベースにオン/オフ信号を入力する信号入力手段とを備える構成としてある。
この構成において、上記信号入力手段が上記第一トランジスタと上記第二トランジスタのベースにオン/オフ信号を入力して上記第一管電流設定抵抗と上記第二巻電流設定抵抗の抵抗値を変化させ、上記放電灯に供給される電流値を変化させる。つまり、上記液晶表示装置において消費される電力を使用状況に応じて変化させることが可能となり、使用状況に応じた電力消費を実現できる。また、上記インバータ回路は、上記第一抵抗のみを介して上記第一FETのゲートに電圧を印加するとともに上記第四抵抗のみを介して上記第二FETのゲートに電圧を印加しても、上記放電灯を点灯可能な交流電圧を生成し得る。無論、上記インバータ回路は、上記第一抵抗と上記第二抵抗を介して上記第一FETのゲートに電圧を印加するとともに上記第三抵抗と上記第四抵抗を介して上記第二FETのゲートに電圧を印加しても、上記放電灯を点灯可能な交流電圧を生成する。即ち、上記信号入力手段は、上記放電灯が点灯可能な範囲で抵抗値により管電流を変化させるため、消費電力を低減したいときは上記放電灯が点灯可能な範囲で管電流を低減することにより、管電流を低減した状態から管電流を上昇させたときに上記放電灯の輝度が安定するまでの時間を短縮できる。よって、高い輝度が不要なときは上記放電灯の消費電力を低減しつつ、高い輝度を要する場合に即座に輝度を上昇可能とする液晶表示装置を提供可能になる。
【0009】
また、本発明のさらに具体的な構成として、入力される映像信号中の同期信号を検出する同期信号検出手段を備え、上記信号入力手段は、上記同期信号検出手段が同期信号を検出すると上記トランジスタにオフ信号を入力し、上記同期信号検出手段が同期信号を検出しないと所定時間経過後に上記トランジスタにオン信号を出力する構成としてもよい。即ち、映像信号が入力されている場合は必ず同期信号が入力されており、この同期信号の有無で映像信号入力の有無を判定する。これにより映像信号が入力されているときは管電流を上昇させて画面の輝度を上昇させつつ、映像信号が入力されていないときは管電流を減少させて消費電力を抑えることが可能となる。同期信号とは、例えば水平同期信号、垂直同期信号、コンポジット同期信号等の復号同期信号等である。
【0010】
以上の構成を踏まえた上で、より具体的な構成として、放電灯を光源とするバックライトにより背面から光を照射される液晶パネルと、受信したテレビジョン放送信号から映像信号を抽出するチューナと、外部機器から映像信号が入力される外部入力端子と、上記チューナと上記外部入力端子との何れか一方から映像信号を入力されて、該映像信号に所定の映像信号処理を施して出力する映像信号処理部と、上記映像信号処理部から出力される映像信号に基づいて上記液晶パネルの表示セルを駆動するパネル駆動回路と、上記チューナと上記外部入力端子とのいずれか一方の映像信号を選択して上記映像信号処理部へ入力させ、かつ上記映像信号の同期信号の有無を検出するマイコンと、交互に動作して所定の交流電圧を生成する第一FETおよび第二FETと、該第一FETのゲートに印加する電圧を決定する第一管電流設定抵抗および該第二FETのゲートに印加する電圧を決定する第二管電流設定抵抗と、上記交流電圧を昇圧して上記放電灯に印加するトランスとを備えるインバータ回路と、を備える液晶テレビジョンにおいて、上記第一管電流設定抵抗は互いに直列に接続される第一抵抗と第二抵抗とから構成され、かつ上記第二管電流設定抵抗は互いに直列に接続される第三抵抗と第四抵抗とから構成され、上記第二抵抗の両端にエミッタとコレクタを接続しつつベースに電圧が印加されると上記第二抵抗をバイパスする第一トランジスタと、上記第三抵抗の両端にエミッタとコレクタを接続しつつベースに電圧が印加されると上記第三抵抗をバイパスする第二トランジスタとを備え、上記マイコンは、上記第一トランジスタと上記第二トランジスタのベースに接続する制御端子を有し、該制御端子から出力する電圧により上記第一トランジスタと上記第二トランジスタとをオン/オフ制御可能であり、上記チューナからの映像信号を上記映像信号処理部に入力時は、上記第一トランジスタと上記第二トランジスタをオフし、上記外部入力端子からの映像信号を上記映像信号処理部に入力時は、該映像信号に含まれる同期信号の有無を判断し、該同期信号が検出されるときは上記第一トランジスタと上記第二トランジスタをオフし、該同期信号が検出されないときは所定時間経過後に上記第一トランジスタおよび上記第二トランジスタをオフする構成としてある。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本発明によれば、高い輝度が不要なときは上記放電灯の消費電力を低減しつつ、高い輝度を要する場合に即座に輝度を上昇可能とする液晶表示装置を提供可能になる。
そして請求項3にかかる発明によれば、映像信号が入力されているときは管電流を上昇させて画面の輝度を上昇させつつ、映像信号が入力されていないときは管電流を減少させて消費電力を抑えることが可能となる。
さらに請求項1のような、より具体的な構成において、上述した請求項2、請求項3の各発明と同様の作用効果を奏することはいうまでもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
(1)液晶テレビジョンの概略構成:
(2)インバータ回路の構成:
(3)管電流を制御するマイコンの処理:
(4)まとめ:
【0013】
(1)液晶テレビジョンの概略構成:
以下、本発明を液晶テレビジョンに適用した例について図1〜図2を参照して具体的に説明する。図1は液晶テレビジョン100の斜視図、図2は液晶テレビジョン100の概略構成を示すブロック図である。なお、本実施形態では液晶テレビジョンを例にとって説明するが、この実施形態に限定されるものではなく、液晶パネルを背後から照射する放電灯を備えたバックライトを備える液晶表示装置であれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施の形態が可能である。
【0014】
液晶テレビジョン100は、概略、チューナ10と、映像信号処理部12と、音声信号処理部18と、マイコン22と、液晶パネル16と、スピーカ20と、OSD処理部14と、リモコン30からのリモコン信号を受信するリモコン受信部24と、液晶パネル16の背面から光を照射するバックライト26と、バックライト26に電圧を供給して駆動するインバータ回路28と、を含んで構成される。
【0015】
上記構成において、チューナ10は、マイコン22の制御により、アンテナ10aを介してテレビジョン放送信号を受信し、所定の信号増幅処理等を行いつつテレビジョン放送信号から中間周波信号としての映像信号を抽出し、映像信号処理部12へ出力する。
【0016】
映像信号処理部12は、入力された映像信号をその信号レベルに応じてデジタル信号化するとともに、映像信号から抽出した輝度信号と色差信号とに基づいてマトリクス変換処理を行ない、画像データとしてのRGB(レッド、グリーン、ブルー)信号を生成する。そして、このRGB信号に対して液晶パネル16の画素数(横縦比、m:n)に合わせたスケーリング処理を行い、液晶パネル16に表示する1画面分の画像データを生成する。このように生成された画像データを液晶パネル16に出力することにより、液晶パネル16に画像データに基づく画像表示をさせる。
【0017】
また映像信号処理部12には、外部入力端子12aが接続されており、マイコン22の制御に従ってチューナ10からの映像信号と外部入力端子12aからの入力とを切り換えて処理することができる。この切り換えはマイコン22の制御に従って行われる。マイコン22は、外部入力端子12aやチューナ10から映像信号が入力されている間は、映像信号処理部12からHSYNC(水平同期信号)やVSYNC(垂直同期信号)等の映像信号に必ず含まれる信号が供給されている。マイコン22はこの同期信号の有無を判断し、同期信号が入力されなくなるとカウントを開始し、このカウントが所定時間を超えると、インバータ回路28の管電流制御処理を行う。無論、この同期信号の検出と、同期信号が検出されなくなってからのカウントとを映像信号処理部12が行い、カウントが所定時間を超えたときにマイコン22にその旨示す信号を出力し、この信号を受け取ったマイコンがインバータ回路28の管電流制御処理を行う構成としても構わない。
【0018】
OSD処理部14には、映像信号処理部12から入力される画像データにオンスクリーンディスプレイ信号(OSD信号)を重畳することにより、映像に所定の静止画像を重ねて表示したり、所定の静止画像を差し替えて表示する等の処理を行うことができる。より具体的には、OSD処理部20eに文字情報等のデ−タをマイコン22から入力されると、この文字情報等のデ−タに基づいて静止画像を生成して画像データに重畳して、OSD信号の重畳された画像データを液晶パネル16に出力する。無論、マイコン22から文字情報等のデ−タ入力が無いときは映像信号処理部12から入力された画像データをそのまま液晶パネル16に出力する。
【0019】
液晶パネル16は、各画素を駆動するパネル駆動回路を備えており、OSD処理部14から入力される画像データに従って液晶パネル16の各表示セルを駆動して、画面に映像を表示する。
【0020】
インバータ回路28は、図示しない電源回路から直流電圧を供給され、この電源回路から供給された直流電圧を高圧の交流電圧に変換し、駆動信号としての当該交流電圧をバックライト26に供給する。なお、電源回路は、外部の商用電源等から電源電圧(交流)の供給を受けて必要に応じて電圧を交流から直流へと変換し、この供給された電源電圧をマイコン22やインバータ回路28等の各回路へ供給する。
【0021】
バックライト26は、放電灯としての複数の蛍光管を有し、液晶パネル16を背面から照射する光源の役割を果たす。つまり、バックライト26は、インバータ回路28から供給される高電圧で点灯され、液晶パネル16の背後から光を照射する。本実施形態では、バックライトとして冷陰極蛍光管を用いてある。
【0022】
マイコン22は、液晶テレビジョン100を構成する各部と電気的に接続しており、マイコン22内部の構成部品としてのCPUが、同じくマイコン22内の構成部品であるROMやRAMなどに書き込まれた各プログラムに従って、液晶テレビジョン100全体を制御する。CPUやROMやRAMについては図示を省略している。
【0023】
具体的には、マイコン22は、CPUの制御により、リモコン受信部24から電圧信号を入力して対応するキー操作を検知するとリモコン30からの操作入力を受け付け、受け付けた操作入力に対応した制御を行う。無論、リモコン受信部24のみならず、CH設定スイッチや各種ファンクション設定スイッチ等を備えて、これらのスイッチ操作に基づく信号を受け付けて、制御を行っても良い。
【0024】
また、マイコン22は、映像信号処理部12に対しては映像信号処理を指示する制御信号を出力し、音声信号処理部18に対しては音声信号処理および音声信号出力レベルを指示する制御信号を出力し、OSD処理部14に対しては画像データに文字または図形を重畳して表示するOSD信号の生成と画像データへの重畳とを指示する制御信号を出力し、インバータ回路28に対してはバックライト26の点灯または消灯するための制御信号を出力している。
【0025】
また、マイコン22は、映像信号処理部12から外部入力端子12aより映像信号が一定時間連続して入力されていない旨の通知を受けたときに、インバータ回路28からバックライト26に供給されるインバータ電流の電流値を減少させるための制御信号を出力する。このインバータ電流の電流値を減少させる構成とマイコン22の処理とは後に詳述する。
【0026】
リモコン30は操作を受け付ける複数のキーと、リモコン信号をリモコン受信部24に向けて送信するリモコン信号送信回路とを有し、複数のキーの操作に応じたリモコン信号を所定のフォーマットで送出する。例えば、リモコン30を用いて所望のチャンネルを受信させるべく操作すると、リモコン信号送信部から対応するリモコン信号が送出される。そして、マイコン22がリモコン受信部24を介してリモコン信号を受信し、対応するチャンネルを受信させるように周波数データをチューナ10に送出する。
【0027】
(2)インバータ回路の構成:
次に、図3を参照して本実施形態にかかるインバータ回路28について説明する。なお、本発明の液晶表示装置および液晶テレビジョンに使用されるインバータ回路としては、この実施形態に限られるものではなく、プッシュプル電圧共振回路のように入力された直流電圧を増幅しつつ発振回路にて直流−交流変換して出力するものであればいかなるものであってもよい。
【0028】
インバータ回路28はいわゆる自励式発振回路であり、大きく分けてスイッチ部28aとメイン部28bとから構成される。スイッチ部28aにはコネクタCN1を通して12Vの直流電源が供給されるとともに、マイコン22からの制御信号(ON/OFF)が入力される。
【0029】
スイッチ部28aにマイコン22からオン信号が入力されると、トランジスタQ1、のベースーエミッタ間に電流が流れることにより、エミッターコレクタ間にも電流が流れる。すると、トランジスタQ9のベースーエミッタ間にも電流が流れて、エミッターコレクタ間にも電流が流れ始め、メイン部28bへの直流電源の供給が開始される。また、信号がオフになると直流電圧の供給が停止される。そして、この供給される直流電圧を、平滑回路としての電解コンデンサC1が平滑して、メイン部28bへ直流電圧が供給される。
【0030】
インバータ回路28のメイン部28bはいわゆる自励式発振回路であり、電界効果トランジスタ(FET)Q3(第一FET)およびFETQ4(第二FET)、そしてトランスT1を備えて自励発振し、バックライト26の備える冷陰極蛍光管の点灯用交流電流を生成する。具体的には、スイッチ部28aにオン信号が入力されると、電源回路から供給されてダイオードD2を介して入力されるバイアス電源(直流電圧)は、FETQ3のゲート電極には、互いに直列に接続された抵抗R5(第一抵抗),R6(第二抵抗)を介して印加され、FETQ4のゲート電極には、互いに直列に接続された抵抗R7(第三抵抗),R8(第四抵抗)を介して印加される。即ち、抵抗R5とR6が第一管電流設定抵抗を構成し、抵抗R7とR8が第二管電流設定抵抗を構成する。
このようにFETQ3とFETQ4が、コントロール巻線Tcからの帰還により交互にオン・オフ動作を繰り返すことで、トランスT1の1次側には所定周波数の交流電圧が発生する。このFETQ3とFETQ4の各ゲート電極に印加する電圧を決定する抵抗R5,R6と抵抗R7,R8とが、トランスT1の1次側に発生する電圧を決定しており、ひいてはトランスT1の2次側に発生する電流(管電流)を決定している。以下、この抵抗R5,R6と抵抗R7,R8を管電流設定抵抗と称する。
【0031】
この抵抗R5とR6、抵抗R7とR8、のそれぞれの抵抗値は、例えば以下のように決定される。即ち、抵抗R6と抵抗R7がトランジスタQ13(第二トランジスタ),Q14(第一トランジスタ)によりバイバスされるとバックライト26に流れる管電流が6mAとなり、抵抗R6と抵抗R7がトランジスタQ13,Q14によりバイバスされないとバックライト26に流れる管電流が7mAとなるように決定する、などである。
【0032】
トランスT1の1次側は、FETQ3のドレイン電極と一端において接続する第1の巻線Taと、FETQ4のドレイン電極と一端において接続する第2の巻線Tbと、コントロール巻線Tcとから構成される。また、トランスT1の2次側は、第3の巻線Tdから構成される。さらに、第1の巻線Taの他端および第2の巻線Tbの他端の夫々には、コイルL1を介して約12Vの正電源が供給されている。コントロール巻線Tcは、増幅された出力の一部をFETQ3とFETQ4の入力側に帰還し、所定の周期でFETQ3とFETQ4を交互にオンさせ、これにより第1の巻線Taと第2の巻線Tbに発生する電圧の正負を所定の周期で反転させている。かかる構成によって、トランスT1は、1次側に入力された交流電圧を昇圧して2次側から出力し、当該昇圧後の交流電圧をバックライト26に印加することによりバックライト26を点灯させる。
【0033】
ところで、管電流設定抵抗のうち抵抗R6、抵抗R7の両端には、それぞれバイパス用のトランジスタQ14,トランジスタQ13のエミッタとコレクタとが接続されている。そしてトランジスタQ14とトランジスタQ13のベースは、マイコン22の制御端子が接続されており、この制御端子からハイレベルの電圧信号が出力されるとトランジスタQ13,Q14がオンし、ローレベルの電圧信号が出力されるとトランジスタQ13,Q14がオフするようになっている。トランジスタQ14,13は、このトランジスタQ12,13にて抵抗R6,R7をそれぞれバイパスしたとき、コレクタからエミッタに向けて電流が流れるように接続される。
【0034】
つまり、マイコン22からハイレベルの電圧信号が出力されると、FETQ3にはダイオードD2とトランジスタQ14と抵抗R5を介して電圧が印加され、FETQ4にはダイオードD2からトランジスタQ13と抵抗R8を介して電圧が印加される。即ち管電流抵抗は、FETQ3に対してR5で構成され、FETQ4に対してR8で構成される。一方マイコン22からローレベルの電圧信号が出力されると、FETQ3にはダイオードD2と抵抗R6と抵抗R5を介して電圧が印加され、FETQ4にはダイオードD2から抵抗R7と抵抗R8を介して電圧が印加される。即ち管電流抵抗は、FETQ3に対してR5とR6で構成され、FETQ4に対してR7とR8で構成される。
【0035】
(3)管電流を制御するマイコンの処理:
次に、図4を参照して管電流設定抵抗を制御して管電流を制御するマイコンの処理を説明する。図4には、管電流を制御するマイコンの処理をフローチャートで示してある。この処理は、液晶テレビジョン100の電源がオンされると、繰り返し実行される。
【0036】
ステップS10では、モード切替操作がなされたか否かを判断する。即ち、ユーザがリモコン30を操作して、映像信号処理部12で処理対象となる映像信号を、チューナ10から入力されるテレビジョン放送信号とするか、外部入力端子12aから入力される映像信号とするか、を切り換える操作入力を行ったか否かを判断する。より具体的には、リモコン受信部24から入力切換に対応する電圧信号が入力されたか否かを判断する。
【0037】
この入力切換に対応する電圧信号が入力されると、例えば、現在の液晶テレビジョン100のモードがチューナ10から入力されるテレビジョン放送信号に対応する映像を画面に表示するモード(TVモード)であれば、外部入力端子12aから入力される映像信号に対応する映像を画面に表示するモード(ビデオモード)に切り換える制御信号を映像信号処理部12に出力し、ビデオモードであればTVモードに切り換える制御信号を映像信号処理部12に出力する。
【0038】
入力切換に対応する電圧信号が入力されたと判断すると条件成立としてステップS12に進み、入力切換に対応する電圧信号が入力されていないと判断すると条件不成立としてステップS10を繰り返す。
【0039】
ステップS12では、現在のモードがビデオモードであるか否かを判断する。具体的には、液晶パネル16の画面に「ビデオ1」等のOSDを行っているか否かで判断することが考えられる。即ち、マイコン22はビデオモードになると「ビデオ1」のOSD表示を行わせる制御信号をOSD処理部14に出力するため、マイコン22内でこのOSD表示の制御信号出力処理の有無でビデオモードとTVモードとを判別することが可能となる。無論、マイコン22が、予めモード切替操作の都度、現在のモードを示す情報を不揮発性メモリのレジスタ値などとして保持しておき、このレジスタ値によって現在のモードを判断する構成としても無論構わない。
【0040】
現在のモードがビデオモードであると判断すると条件成立としてステップS14に進んで「ビデオ1」のOSD表示をOSD処理部14に行わせてステップS16に進む。一方、現在のモードがTVモードであると判断すると条件不成立として管電流を標準に戻して本処理を終了する。即ち、現在のモードがTVモードであると判断するとステップS13に進み、トランジスタQ13,Q14のベースに接続された制御端子から出力する電圧信号をローレベルとする。するとトランジスタQ13,Q14はオフして、管電流制限抵抗が各FETQ3,Q4に対して抵抗R5,R6、抵抗R7,R8となり、管電流設定抵抗の抵抗値が上昇する(もしくは変化しない)ためバックライト26に供給される電圧が標準状態に戻る(もしくは標準状態のまま変わらない)。
【0041】
ステップS16では、水平同期信号(HSYNC)を検出したか否かを判断する。水平同期信号を含む同期信号は、チューナ10や映像信号処理部によりテレビジョン放送信号や映像信号から抽出されてマイコン22にも供給されており、何らかの映像信号が入力されているならばマイコン22はこのHSYNCを検出することが可能である。HSYNCを検出すると条件成立としてステップS22に進み、HSYNCを検出しないときは条件不成立としてステップS18に進む。なお、HSYNCが検出されないときは、HSYNCを連続して検出しない時間のカウントを開始、もしくは本ステップ実行以前からHSYNCを検出していなかった場合はカウントを継続する。
【0042】
ステップS18では、HSYNCを連続して検出していない時間が10分を超えたか否かを判断する。10分を超えていると判断するとステップS20に進み、10分を超えていないと判断するとステップS22に進む。
【0043】
ステップS22に進むと、ステップS10〜ステップS18実行中にリモコン30からの操作入力を受け付けたか否かを判断する。リモコン30からの操作入力に対応する電圧信号をリモコン受信部24から受け付けたと判断すると、ステップS10に戻りステップS10からの処理を繰り返す。このとき、ステップS10では、ステップS22で受け付けた操作入力も含めてモード切替の操作入力であったか否かを判断する。一方、リモコン30からの操作入力に対応する電圧信号をリモコン受信部24から受け付けていないと判断すると、ステップS16からの処理を繰り返す。
【0044】
ステップS20では、管電流を省電力としてステップS10からの処理を繰り返す。即ち、トランジスタQ13,Q14のベースに接続された制御端子から出力する電圧信号をハイレベルとする。するとトランジスタQ13,Q14はオンして、管電流制限抵抗が各FETQ3,Q4に対して抵抗R5、抵抗R8となり、管電流設定抵抗の抵抗値が下降するためバックライト26に供給される電圧が省電力状態になる(もしくは省電力状態のまま変わらない)。よって、バックライト26で消費される電力が減少して省電力が実現される。また、この省電力状態でも冷陰極蛍光管には管電流が流れているため、標準状態に移行したときに輝度の上昇が即座に実現される。また、複数の冷陰極蛍光管を使用していても、全ての冷陰極蛍光管に対して同じ管電流で点灯させているため、この省電力状態においても、標準状態に戻ったときにも輝度ムラが発生することはない。
【0045】
即ち、ユーザがリモコン30を操作して、ビデオモード(外部入力端子12aから映像信号を画面に表示するモード)に切り換えると、外部入力端子12aから入力される映像信号が映像信号処理部12に入力される。このビデオモードでは、外部入力端子12aからの映像信号の有無に関わらず、液晶パネル16に出力される画像データにはOSD処理部14によって画像データの右上隅に「ビデオ1」の文字等の外部入力が選択されている旨示す表示がなされる。つまり、液晶パネル16の画面右上隅には「ビデオ1」の表示がなされる。
【0046】
このように「ビデオ1」が画面に表示された状態で、10分が経過すると、マイコン22がトランジスタQ13,Q14をオンさせて抵抗R6とR7をバイパスさせることにより管電流抵抗を減少させ、バックライトの輝度と消費電力とを減少させる。
【0047】
そして、この状態において、ユーザがリモコン30を操作して、TVモードに切り換えると、チューナ10からのテレビジョン放送信号が入力され、HSYNCがマイコン22に供給されるようになるため、マイコン22はトランジスタQ13,Q14をオフさせて管電流抵抗を上昇させ、バックライトの輝度と消費電力を通常に戻す。このとき、バックライトは完全にオフされていたわけではないので、輝度の上昇は即座になされ、ユーザが違和感を感じることが無い。
【0048】
以上より、ステップS16の処理を実行して、映像信号処理部12に入力される映像信号の同期信号の有無を判断するマイコン22が同期信号検出手段を構成する。また、ステップS13、S20の処理を実行するマイコン22が信号入力手段を構成する。
【0049】
(4)まとめ:
つまり、バックライト26の冷陰極蛍光管に供給する管電流の電流値を決定する抵抗R5、R6,R7,R8を備えて冷陰極蛍光管に交流電圧を供給するインバータ回路28と、抵抗R6の両端にエミッタとコレクタを接続するトランジスタQ14と、抵抗R7の両端にエミッタとコレクタを接続するトランジスタQ13と、トランジスタQ13,Q14のベースに接続された制御端子を有するマイコン22とを備え、マイコン22は映像信号処理部12に入力される映像信号に同期信号を検出すると制御端子にローレベルの電圧を出力し、同期信号を検出しないと所定時間経過後に制御端子にハイレベルの電圧を出力する。これにより、外部機器を接続する外部入力端子から映像信号が入力されない時にはバックライトでの無駄な電力消費を防止しつつ、映像信号が入力されたときにはスムーズにバックライトを通常の輝度に戻すことが可能となる。
【0050】
なお、本発明は上記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。当業者であれば言うまでもないことであるが、
・上記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって上記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が上記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】液晶テレビジョンの外観を示す斜視図である。
【図2】液晶テレビジョンの概略構成ブロック図である。
【図3】インバータ回路の一例を示す回路図である。
【図4】管電流制御を行うマイコンの処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
100…液晶テレビジョン
10…チューナ
10a…アンテナ
12…映像信号処理部
12a…外部入力端子
14…OSD処理部
16…液晶パネル
18…音声信号処理部
20…スピーカ
22…マイコン
24…リモコン受信部
30…リモコン
R5〜R8、R49,R48…抵抗
D2…ダイオード
Q3、Q4…電界効果トランジスタ(FET)
Q13,Q14…トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電灯を光源とするバックライトにより背面から光を照射される液晶パネルと、
受信したテレビジョン放送信号から映像信号を抽出するチューナと、
外部機器から映像信号が入力される外部入力端子と、
上記チューナと上記外部入力端子との何れか一方から映像信号を入力されて、該映像信号に所定の映像信号処理を施して出力する映像信号処理部と、
上記映像信号処理部から出力される映像信号に基づいて上記液晶パネルの表示セルを駆動するパネル駆動回路と、
上記チューナと上記外部入力端子とのいずれか一方の映像信号を選択して上記映像信号処理部へ入力させ、かつ上記映像信号の同期信号の有無を検出するマイコンと、
交互に動作して所定の交流電圧を生成する第一FETおよび第二FETと、該第一FETのゲートに印加する電圧を決定する第一管電流設定抵抗および該第二FETのゲートに印加する電圧を決定する第二管電流設定抵抗と、上記交流電圧を昇圧して上記放電灯に印加するトランスとを備えるインバータ回路と、
を備える液晶テレビジョンにおいて、
上記第一管電流設定抵抗は互いに直列に接続される第一抵抗と第二抵抗とから構成され、かつ上記第二管電流設定抵抗は互いに直列に接続される第三抵抗と第四抵抗とから構成され、
上記第二抵抗の両端にエミッタとコレクタを接続しつつベースに電圧が印加されると上記第二抵抗をバイパスする第一トランジスタと、上記第三抵抗の両端にエミッタとコレクタを接続しつつベースに電圧が印加されると上記第三抵抗をバイパスする第二トランジスタとを備え、
上記マイコンは、
上記第一トランジスタと上記第二トランジスタのベースに接続する制御端子を有し、該制御端子から出力する電圧により上記第一トランジスタと上記第二トランジスタとをオン/オフ制御可能であり、
上記チューナからの映像信号を上記映像信号処理部に入力時は、上記第一トランジスタと上記第二トランジスタをオフし、
上記外部入力端子からの映像信号を上記映像信号処理部に入力時は、該映像信号に含まれる同期信号の有無を判断し、該同期信号が検出されるときは上記第一トランジスタと上記第二トランジスタをオフし、該同期信号が検出されないときは所定時間経過後に上記第一トランジスタおよび上記第二トランジスタをオフする
ことを特徴とする液晶テレビジョン。
【請求項2】
放電灯を光源とするバックライトと、
交互に動作して所定の交流電圧を生成する第一FETおよび第二FETと、該第一FETのゲートに印加する電圧を決定する第一管電流設定抵抗および該第二FETのゲートに印加する電圧を決定する第二管電流設定抵抗と、上記交流電圧を昇圧して上記放電灯に印加するトランスとを備えるインバータ回路とを備えて、
上記バックライトが液晶パネルの背面から光を照射することにより、映像を画面に表示する液晶表示装置において、
上記第一管電流設定抵抗は互いに直列に接続される第一抵抗と第二抵抗とから構成され、かつ上記第二管電流設定抵抗は互いに直列に接続される第三抵抗と第四抵抗とから構成され、
上記第二抵抗の両端にエミッタとコレクタを接続しつつベースに電圧が印加されると上記第二抵抗をバイパスする第一トランジスタと、
上記第三抵抗の両端にエミッタとコレクタを接続しつつベースに電圧が印加されると上記第三抵抗をバイパスする第二トランジスタと、
上記第一トランジスタおよび上記第二トランジスタのベースにオン/オフ信号を入力する信号入力手段とを備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
入力される映像信号中の同期信号を検出する同期信号検出手段を備え、
上記信号入力手段は、上記同期信号検出手段が同期信号を検出すると上記トランジスタにオフ信号を入力し、上記同期信号検出手段が同期信号を検出しないと所定時間経過後に上記トランジスタにオン信号を出力することを特徴とする上記請求項2に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−109446(P2008−109446A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−291063(P2006−291063)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】