説明

液晶パネル及びその製造方法

【課題】表示品位が向上する液晶パネル及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明にかかる液晶パネル50は、CF基板20と、CF基板20と対向配置されたTFT基板10と、CF基板20に、それぞれの画素40を枠状に取り囲むように形成された遮光層22aと、CF基板20端まで延在した液晶注入口32を有し、CF基板20とTFT基板10とを貼り合わせるシール材31と、枠状の遮光層22aの一辺であって、液晶注入口32の延在方向と交差する一辺と対向する部分に、CF基板20とTFT基板10を所定の間隔に保持し、互いに離間して1画素40につき複数設けられた柱状スペーサ33とを有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルは、駆動回路が形成された基板と、カラーフィルタが形成された対向基板とを有する。両基板は、互いに向かい合わせて配置される。また、両基板は、間隔を一定に保つスペーサ、及び両基板を固着するシール材を介して貼り合わせられている。シール材は、液晶を注入するための注入口を有している。そして、この注入口を通して、液晶を注入後、封止材で注入口が封止される。液晶パネルは、一般的に上記の構成を有する。このような液晶パネルは、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
液晶パネルの対向基板は、数μm程度の非常に狭い間隔を保ちつつ、駆動回路が形成された基板に貼り合わせられる。このため、異物が基板間に存在すると、表示不良あるいはギャップ異常になることが多い。従って、製造過程においては、数種の異物除去工程が設定されている。この異物除去工程の代表例として水または薬液を使用した洗浄装置、あるいは気流による異物の吸引装置等が上げられる。
【特許文献1】特開2003−255368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、サイズの小さな異物は、異物除去工程での除去が比較的難しく、また、再付着しやすい。このため、貼り合わせ後の基板間にその間隔よりも小さな異物が存在すると、液晶注入時に異物が液晶の流れに沿って移動する。そして、液晶パネル内の一部に集まって輝点群となって表示品位が落ちるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記のような問題点に着目し、表示品位が向上する液晶パネル及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる液晶パネルは、第1基板と、前記第1基板と対向配置された第2基板と、前記第1基板に、それぞれの画素を枠状に取り囲むように形成された遮光層と、前記第1基板端まで延在した液晶注入口を有し、前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせるシール材と、枠状の前記遮光層の一辺であって、前記液晶注入口の延在方向と交差する一辺と対向する部分に、前記第1基板と前記第2基板を所定の間隔に保持し、互いに離間して1画素につき複数設けられた柱状スペーサとを有するものである。
【0007】
また、本発明にかかる液晶パネルの製造方法は、第1基板と第2基板とが対向配置される液晶パネルの製造方法であって、前記第1基板に、それぞれの画素を枠状に取り囲むように遮光層を形成する工程と、枠状の前記遮光層の一辺と対向する部分に、前記第1基板と前記第2基板を所定の間隔に保持する柱状スペーサを互いに離間して1画素につき複数設ける工程と、前記第1基板端まで延在した液晶注入口を有するように、前記第1基板と前記第2基板とをシール材によって貼り合わせる工程と、隣接する前記柱状スペーサの間を液晶が通過するように、前記液晶注入口から液晶を注入する工程とを有する方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、表示品位が向上する液晶パネル及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
まず、図1及び図2を用いて、液晶表示装置を説明する。図1は、液晶パネル50の構成を示す平面図である。なお、図1においては、液晶パネル50の要部を示すものであり、詳細な構成については図示を省略する。図2は、図1のII−II断面図である。ここでは、一例として、スイッチング素子として薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を用いたTFT方式の液晶表示装置について説明する。
【0010】
液晶表示装置は、液晶パネル50、バックライトユニット(不図示)等を備えるものである。図2に示されるように、液晶パネル50は、TFT基板10と、TFT基板10に対向して配置されるカラーフィルタ(CF)基板20とを有する。また、液晶パネル50は、両基板10、20の外周縁にて、シール材31を用いて貼り合わせられる。そして、液晶パネル50は、両基板10、20とシール材31との間に液晶層30を形成して封止される。バックライトユニットは、液晶パネル50の反視認側に配置され、液晶パネル50の背面側から光を照射する。
【0011】
TFT基板10は、絶縁性基板11上に複数の配線12が形成される。絶縁性基板11としては、例えば光透過性を有するガラス基板を用いることができる。配線12は、例えばゲート配線であり、複数設けられている。複数のゲート配線は平行に設けられている。また、絶縁膜(不図示)を介して、複数のゲート配線と交差するように、複数のソース配線(不図示)が設けられている。そして、ゲート配線を介してゲート信号(走査信号)がTFT(不図示)に供給される。これにより、TFTのONとOFFを制御している。そして、TFTがON状態のときに、ソース配線を介して表示信号(表示電圧)が後述する画素電極15に印加される。また、それぞれの配線12は、端部に端子電極13を有する。外部からの各種信号は、端子電極13を介して配線12に供給される。さらに、端子電極13から入力された信号を後述する共通電極23に伝達するためのトランスファ電極(不図示)が形成される。そして、TFTあるいは配線12を覆うように、絶縁膜14が形成される。
【0012】
絶縁膜14上には、画素40毎に画素電極15が形成される。具体的には、隣接する配線12間に画素電極15が形成される。また、TFTも画素電極15と同様、画素40毎に形成され、対応するTFTがON状態のとき、画素電極15に表示電圧が印加される。このように、TFTや画素電極15が列状、すなわちアレイ状に配列されることからアレイ基板とも呼ばれる。そして、これらの上に、配向膜16が形成される。配向膜16は、複数の画素40から構成される表示領域41の略全体に形成される。配向膜16は、液晶を所定の方向に配向させる。そして、このTFT基板10の下面には、偏光板17が貼付される。
【0013】
CF基板20は、絶縁性基板21の液晶層30側の面上に、カラーフィルタ層22、共通電極23、配向膜24が順次形成される。絶縁性基板21としては、例えば光透過性を有するガラス基板を用いることができる。カラーフィルタ層22は、ブラックマトリクス(BM)層等からなる遮光層22aと、赤(R)緑(G)青(B)の着色層22bとを有している。また、着色層22bと画素電極15とは対向配置される。そして、配線12と遮光層22aとは対向配置される。共通電極23は、TFT基板10とCF基板20間に形成されたトランスファ材(不図示)を介して、TFT基板10上に配置されたトランスファ電極(不図示)と電気的に接続されている。このトランスファ電極及びトランスファ材を介して端子電極13から入力された信号が共通電極23に伝達される。これにより、共通電極23に共通電位が供給される。そして、共通電極23と画素電極15との間で電界を生じ、液晶を駆動させる。また、このCF基板20の液晶層30とは反対側の面上には、偏光板25が貼付される。
【0014】
そして、TFT基板10とCF基板20とは、シール材31を介して貼り合わされている。図1に示されるように、シール材31は、表示領域41を囲むよう枠状に形成される。また、シール材31の一部は開口を有する。そして、この開口からTFT基板10及びCF基板20の端に向けて、シール材31が延在する。この開口からTFT基板10及びCF基板20の端まで延在した液晶注入口32となる。液晶注入口32は、後述する端子電極13とは反対側の基板端部に形成される。また、TFT基板10は、CF基板20より外形寸法が大きく形成される。ここでは、シール材31によって、CF基板20の一辺(一端)からTFT基板10が突出するように貼り合わせる。このTFT基板10がCF基板20から突出した領域には、外部から接続される端子電極13が形成される。
【0015】
また、両基板10、20の間は、面内スペーサである柱状スペーサ33によって、所定の間隔となるように保持されている。具体的には、柱状スペーサ33は、表示領域41内において、画素電極15間に形成され、シール材31より内側の基板間距離を保持する。このように、TFT基板10とCF基板20との基板間距離は、柱状スペーサ33により決定される。具体的には、柱状スペーサ33は、遮光層22aと対向する部分に設けられる。すなわち、柱状スペーサ33は、遮光層22aと配線12との間に設けられる。なお、柱状スペーサ33の詳細については後述する。
【0016】
また、液晶パネル50には液晶を駆動させるための各種信号を発生する制御基板34、制御基板34を端子電極13に電気的に接続するFFC(Flexible Flat Cable)35を備える。これにより、FFC35を介して、制御基板34からの各種信号が端子電極13に供給される。液晶表示装置は、以上のように構成される。
【0017】
次に、液晶表示装置の動作について説明する。例えば、制御基板34から電気信号が入力されると、FFC35を介して、各種信号が端子電極13に供給される。そして、端子電極13に接続された配線12に、走査信号や表示信号が供給される。これにより、配線12に電気的に接続された画素電極15に表示電圧が印加される。また、トランスファ電極及びトランスファ材を介して端子電極13から入力された信号が共通電極23に伝達し、共通電極23に共通電位が供給される。これにより、画素電極15及び共通電極23間に電界が発生する。
【0018】
画素電極15と共通電極23との間の電界によって、液晶が駆動され、液晶の分子の方向が変わる。すなわち、基板間の液晶の配向方向が変化する。これにより、液晶層30を通過する光の偏光状態が変化する。すなわち、偏光板17を通過して直線偏光となった光は液晶層30によって、偏光状態が変化する。具体的には、光源であるバックライトユニットからの光及び外部から入射した外光は、偏光板17によって直線偏光になる。そして、この直線偏光が液晶層30を通過することによって、偏光状態が変化する。
【0019】
従って、偏光状態によって、CF基板20側の偏光板25を通過する光量が変化する。すなわち、バックライトユニットから液晶パネル50を透過する透過光のうち、視認側の偏光板25を通過する光の光量が変化する。液晶の配向方向は、印加される表示電圧によって変化する。従って、表示電圧を制御することによって、視認側の偏光板25を通過する光量を変化させることができる。すなわち、画素40毎に表示電圧を変えることによって、所望の画像を表示することができる。つまり、バックライトユニットの発する光等がTFT基板10、CF基板20、液晶層30を介して外部へ透過あるいは遮断されることにより、液晶パネル50に映像等が表示される。
【0020】
なお、上記の液晶パネル50の構成は、一例であり、他の構成であってもよい。また、液晶パネル50の動作モードは、TN(Twisted Nematic)モードや、STN(Super Twisted Nematic)モード、強誘電性液晶モード等でもよい。なお、例えばIPS(In−Plane Swithing)モードの場合、図2においてCF基板20に設けた共通電極23は、TFT基板10側に設けられる。これにより、画素電極15と共通電極23との間で液晶に対して横方向に電界が生じる。このように、横電界方式を用いた液晶パネル50でもよい。さらに、駆動方法は、単純マトリクスやアクティブマトリクス等でもよい。このように、様々な液晶パネル50に対して本発明が適用可能である。
【0021】
次に、図3を用いて、柱状スペーサ33の詳細について説明する。図3は、1画素40における柱状スペーサ33の位置を示す平面図である。なお、ここでは、図3においては要部のみを示し、その他の構成要素は図示を省略する。
【0022】
遮光層22aは、画素40を枠状に取り囲むように形成される。換言すると、遮光層22aは、画素電極15を枠状に取り囲むように形成される。画素40や画素電極15は、矩形状に形成されるため、遮光層22aも矩形の枠状に形成される。また、図1に示されるように、表示領域41には、複数の画素40がマトリクス状に配置される。このため、表示領域41において、遮光層22aは、それぞれの画素40を枠状に取り囲むように形成される。すなわち、表示領域41において、遮光層22aは、格子状に形成される。柱状スペーサ33は、遮光層22a上に、1画素40につき複数個形成される。柱状スペーサ33は、円形の上面形状を有する。すなわち、柱状スペーサ33は、円柱状に形成される。
【0023】
それぞれの柱状スペーサ33は、矩形状の画素電極15の一辺に沿って形成される。すなわち、それぞれの柱状スペーサ33は、遮光層22aの一辺と対向する部分に形成される。従って、図3に示されるように、柱状スペーサ33は、遮光層22bと重複している。当該一辺とは、液晶注入口32の延在方向と交差する一辺のことである。換言すると、液晶を注入する際に液晶注入口32内において液晶の移動方向と交差する一辺のことである。すなわち、当該一辺は、液晶注入口32内における液晶の移動方向と平行ではない。この液晶の移動方向は、例えば基板11、21の液晶注入口32近傍の一辺とは垂直方向となっている。本実施の形態では、遮光層22aの当該一辺は、図1において、基板11、21の注入口近傍の一辺と平行となっている。すなわち、図3において、当該一辺は、遮光層22aの上辺や下辺のことである。また、複数の柱状スペーサ33は、それぞれ離間して形成される。例えば、複数の柱状スペーサ33は、一定の間隔を隔てて形成される。ここで、隣接する柱状スペーサ33の間隔は、2〜5μm程度、柱状スペーサ33の個数は1箇所につき2〜4個が望ましいが、特に限定されるものではない。
【0024】
このように、複数の柱状スペーサ33を離間して形成することにより、表示領域41に存在する異物を捕捉することができる。すなわち、柱状スペーサ33が形成された部分が、表示領域41に存在する異物を捕捉する役割を果たす。これにより、表示品位が良好な液晶表示装置を得ることができる。
【0025】
また、この様な異物を捕捉するための柱状スペーサ33は、全ての画素40に設けてもよいし、例えば数画素40に1画素40の割合で間引いて設けてもよい。いずれの場合でも、所望の異物捕捉効果が得られる。また、間引いた場合、液晶注入時の引き込みの妨げにならず、気泡などの発生が起こり難い点から好ましい。なお、上記のように、柱状スペーサ33は、基板間距離を液晶パネル50内で一定にする役割を持つ。ここで、例えば数画素40に1画素40の割合で間引いた場合でも、十分に基板間距離を一定にする役割を担うことができる。
【0026】
具体的には、RGBの画素40のうち、Gの画素40のみ、柱状スペーサ33を設けない。すなわち、3画素に1画素の割合で、柱状スペーサ33を設けない。この場合であっても、十分に、異物を捕捉する役割、及び基板間距離を一定にする役割を担うことができる。もちろん、色ごとの繰り返しに配置することに囚われず、4画素40に1画素40の割合で間引いてもよいし、同色の行方向において間引いた配置とするなど、種々の変形が可能なことは言うまでもない。また、間引いた場合であっても、その間引かれた画素40には、基板間距離を一定にするために、柱状スペーサ33を形成してもよい。例えば、間引かれた画素40には、複数の柱状スペーサ33を離間して形成せず、1つの柱状スペーサ33を形成してもよい。
【0027】
また、本実施の形態では、遮光層22aの形状を矩形の枠状としたがこれに限らない。例えば、画素電極15の形状をV字型とし、遮光層22aの形状をV字型を取り囲むような形状としてもよい。すなわち、図3における遮光層22aの上辺及び下辺がV字型となっていてもよい。また、この場合、複数の柱状スペーサ33をこのV字型に沿って設けてもよい。すなわち、柱状スペーサ33を遮光層22aの2辺に対向する部分に設けてもよい。このように、画素電極15の形状は、矩形に限らず、その他の多角形や、一部に曲線を有する多角形としてもよい。もちろん、それに応じて遮光層22aの形状も種々の形状とすることができる。また、柱状スペーサ33は、遮光層22aの一辺に対向する部分のみでなく、複数の辺に対向する部分に設けてもよい。
【0028】
次に、液晶パネル50の製造方法について図4を用いて説明する。図4は、液晶パネル50の製造方法を示すフローチャート図である。
【0029】
まず、複数のTFT基板部を有する第1マザー基板、及び複数のCF基板部を有する第2マザー基板を形成する(ステップS1)。なお、第1マザー基板及び第2マザー基板とは、図2に示す絶縁性基板11、21に相当する。また、TFT基板部、CF基板部は、後の工程でTFT基板10、CF基板20となる。この工程では、一般的な方法を用いることができるため、簡単に説明する。
【0030】
ガラス基板等の第1マザー基板の一方の面に、成膜、フォトリソグラフィー法によるパターニング、エッチング等のパターン形成工程を繰り返し行う。これにより、TFT等のスイッチング素子、配線12、端子電極13、絶縁膜14、画素電極15をパターン形成する。そして、第1マザー基板上に複数のTFT基板部が形成される。また、第1マザー基板と同様、ガラス基板等の第2マザー基板の一方の面に、遮光層22a、着色層22b、及び共通電極23をパターン形成する。
【0031】
また、本実施の形態では、それぞれのCF基板部に、柱状スペーサ33が形成される。柱状スペーサ33は、通常の基板間距離を制御する柱状スペーサと同様、フォトリソグラフィー法によってパターン形成される。具体的には、スペーサ材料となる光硬化型樹脂等を塗布する。次に、フォトマスク上から光硬化型樹脂を露光し感光させる。そして、光硬化型樹脂を現像させることにより、柱状スペーサ33がパターン形成される。具体的には、画素40毎に、複数の柱状スペーサ33が一定の間隔を隔てて形成される。複数の柱状スペーサ33は、例えば、後述する工程で形成される液晶注入口32近傍の基板の一辺に平行に配列される。さらに、複数の柱状スペーサ33は、遮光層22aの一辺に対向する部分に形成される。また、本実施の形態では、CF基板部に柱状スペーサ33を形成したが、TFT基板部側に形成してもよい。
【0032】
ここでは、RGBの画素40がそれぞれ列状に配置される。すなわち、ストライプ状にRGBの画素40が配置される。そして、Gの画素40のみに柱状スペーサ33を形成する。また、一列に並ぶ全てのGの画素40に柱状スペーサ33を設けるのではなく、1画素40おきに柱状スペーサ33を設ける。すなわち、複数のGの画素40において、2画素40に1画素40の割合で間引いて柱状スペーサ33を設ける。また、隣接するGの画素40の列では、互い違いになるように間引く。例えば、1列目のGの画素40は、奇数番目の画素40のみに柱状スペーサ33を設ける。そして、2列目のGの画素40は、偶数番目の画素40のみに柱状スペーサ33を設ける。これにより、第2マザー基板に複数のCF基板部が製造される。
【0033】
また、矩形状のTFT基板部、CF基板部は、それぞれの長辺及び短辺が、矩形状の第1マザー基板、第2マザー基板の長辺又は短辺と平行になるように配置される。そして、TFT基板部及びCF基板部は、規則正しく配置される。これにより、1対のマザー基板に多数のセルを効率よく面付けすることができる。
【0034】
次に、基板洗浄工程において、第1マザー基板を洗浄する(ステップS2)。そして、配向膜形成工程において、第1マザー基板の画素電極15が形成された面に、配向膜16を形成する(ステップS3)。この工程では、例えば印刷法により有機膜からなる配向膜16を塗布する。そして、ホットプレートなどにより、焼成処理して乾燥させる。その後、ラビング工程において、配向膜16の表面を布により一定方向に擦り、配向膜16を配向させる(ステップS4)。
【0035】
また、ステップS2からステップS4と同様に、第2マザー基板についても基板洗浄、配向膜形成、及びラビングを行う。なお、第2マザー基板の場合、共通電極23が形成された面に、配向膜24が形成される。
【0036】
続いて、シール材塗布工程において、スクリーン印刷装置により、第1マザー基板あるいは第2マザー基板の電極が形成された面に、シール材31の塗布処理を行う(ステップS5)。シール材31には、例えばエポキシ系接着材等の熱硬化型樹脂や紫外線硬化型樹脂を用いることができる。次に、トランスファ材塗布工程において、第1マザー基板あるいは第2マザー基板の電極が形成された面に、トランスファ材の塗布処理を行う(ステップS6)。その後、貼り合わせ工程において、第1マザー基板と第2マザー基板とを貼り合わせる(ステップS7)。これにより、それぞれのTFT基板部及びCF基板部が貼りあわせられ、複数のセルがアレイ状に形成される。そして、シール硬化工程において、第1マザー基板と第2マザー基板とを貼り合わせた状態で、シール材31を完全に硬化させる(ステップS8)。この工程は、例えばシール材31の材質に合わせて熱を加えることや、紫外線を照射することにより行われる。
【0037】
次に、セル分断工程において、貼り合わされたマザー基板をセルごとに分断する(ステップS9)。その後、絶縁性基板21等の一部を除去して、端子電極13を露出させる。これにより、外部から接続することができる。そして、液晶注入工程において、個々のセルに対して液晶注入口32から液晶を注入する(ステップS10)。この工程は、液晶を液晶注入口32から真空注入により充填することにより行われる。真空注入法では、例えば、真空チャンバ内に液晶を貯留した液晶ボートとセルとを配置する。そして、真空チャンバ内を真空排気して減圧し、セルの間隙内及び液晶を脱気する。その後、セルの下端の液晶注入口を液晶ボート内の液晶に接触させる。そして、真空チャンバ内を大気圧に戻すと、毛細管現象とセル内外の圧力差により、液晶ボート内の液晶がセル内に吸い上げられる。
【0038】
すなわち、この液晶注入工程において、図5に示されるように、液晶60がセル61内を移動いていく。すなわち、液晶注入口32では、図5の矢印方向に液晶60が移動する。そして、シール材31内に液晶が充填される。図5は、液晶注入工程におけるセル61の構成を示す平面図である。このように、液晶60がセル61内を移動することにより、表示領域41に存在する異物62も移動する。すなわち、液晶60に流されて、異物62がセル61内を移動する。換言すると、液晶注入口32から注入された液晶60は、表示領域41に存在する異物62を巻き込みながら、次第に液晶注入口32から遠ざかりシール材31内を満たす。このとき、表示領域41に配置された柱状スペーサ33の間を通過することにより、柱状スペーサ33の隙間に異物62が捕捉され、液晶60のみが通過する。そして、異物62は、柱状スペーサ33が設けられた部分に固定される。すなわち、異物62は、遮光層22aに対向する部分に固定される。
【0039】
次に、封止工程において、液晶注入口32を封止材によって封止する(ステップS11)。この工程では、液晶注入口32に光硬化型樹脂を充填させる。そして、光硬化型樹脂に光を照射することにより、封止材が形成される。最後に、偏光板貼付工程において、液晶セルに偏光板17、25を貼り付け(ステップS12)、制御基板実装工程において、制御基板34を実装する(ステップS13)。これにより、液晶パネル50が完成する。
【0040】
このように、上記の構成の柱状スペーサ33を形成した上で、液晶60を注入する。これにより、表示領域41に存在する異物62が柱状スペーサ33によって捕捉される。また、柱状スペーサ33を遮光層22aに対向する部分に形成したことにより、異物62も遮光層22aに対向する部分に固定される。すなわち、液晶パネル50を表示する際、異物62は、遮光層22aの下に隠れる。そして、光を透過し、表示に関与する着色層22bに対向する部分には異物62がほとんど存在しない。これにより、表示品位が向上した液晶パネル50を製造することができる。
【0041】
実施の形態2.
本実施の形態は、実施の形態1と柱状スペーサ33の形状が異なる。なお、それ以外の構成や製造方法は、実施の形態1と同様なので説明を省略する。ここで、図6を用いて、本実施の形態の柱状スペーサ33を説明する。図6は、1画素40における柱状スペーサ33の位置を示す平面図である。
【0042】
柱状スペーサ33は、矩形の上面形状を有する。すなわち、柱状スペーサ33は、直方体状に形成される。また、隣接する柱状スペーサ33は、V字型(ハの字型)に配置される。具体的には、隣接する柱状スペーサ33は、液晶注入口32とは反対側に突出したV字型に配置される。すなわち、隣接する柱状スペーサ33の間隔は、液晶注入口32側の端部から液晶注入口32とは反対側の端部に向けて狭くなる。液晶注入口32から遠ざかるにつれて、隣接する柱状スペーサ33間の距離が狭くなるように配置される。換言すると、柱状スペーサ33単体の配置角度は一端を液晶注入口32側に一定の角度で向いている。すなわち、矩形の柱状スペーサ33の長辺が、液晶注入口32近傍の基板10、20の一辺に対して傾斜している。本実施の形態では、4つの柱状スペーサ33を有する。隣接する2つの柱状スペーサ33がV字型に配置され、V字型に配置された柱状スペーサ33が隣接して配置される。すなわち、W字型に柱状スペーサ33が配置される。
【0043】
本実施の形態によっても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。なお、実施の形態1と同様、隣接する柱状スペーサ33の間隔は、2〜5μm程度、柱状スペーサ33の個数は1箇所につき2〜4個が望ましい。また、上記のように、上面形状が矩形の柱状スペーサ33をV字型に配置することがより望ましいが、特に限定されるものではない。
【0044】
実施の形態3.
本実施の形態は、実施の形態1と柱状スペーサ33の形状が異なる。なお、それ以外の構成や製造方法は、実施の形態1と同様なので説明を省略する。ここで、図7を用いて、本実施の形態の柱状スペーサ33を説明する。図7は、1画素40における柱状スペーサ33の位置を示す平面図である。
【0045】
柱状スペーサ33は、湾曲した棒状である。柱状スペーサ33は、湾曲した上面形状、例えば4分の1円弧の上面形状を有する。隣接する柱状スペーサ33は、U字型に配置される。具体的には、隣接する柱状スペーサ33は、液晶注入口32とは反対側に突出したU字型に配置される。すなわち、隣接する柱状スペーサ33の間隔は、液晶注入口32側の端部から液晶注入口32とは反対側の端部に向けて狭くなる。液晶注入口32から遠ざかるにつれて、隣接する柱状スペーサ33間の距離が狭くなるように配置される。換言すると、柱状スペーサ33単体の配置角度は一端を液晶注入口32側に一定の角度で向いている。本実施の形態では、4つの柱状スペーサ33を有する。隣接する2つの柱状スペーサ33がU字型に配置され、U字型に配置された柱状スペーサ33が隣接して配置される。
【0046】
本実施の形態によっても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。なお、実施の形態1と同様、隣接する柱状スペーサ33の間隔は、2〜5μm程度、柱状スペーサ33の個数は1箇所につき2〜4個が望ましい。上記のように、柱状スペーサ33をU字型に配置することがより望ましいが、特に限定されるものではない。
【0047】
実施の形態4.
本実施の形態は、ガイド63を有する点で実施の形態1と異なる。なお、それ以外の構成や製造方法は、実施の形態1と同様なので説明を省略する。ここで、図8を用いて、本実施の形態のガイド63を説明する。図8は、1画素40におけるガイド63の位置を示す平面図である。
【0048】
ガイド63は、遮光層22aと対向する部分であって、柱状スペーサ33近傍に設けられる。具体的には、ガイド63は、1画素40内の複数の柱状スペーサ33の両端に設けられる。柱状スペーサ33は、実施の形態1と同様、遮光層22aの一辺と対向する部分に複数設けられる。このため、ガイド63は、遮光層22aの一辺両端部にそれぞれ設けられる。すなわち、ガイド63は、遮光層22aの2つの角部に設けられる。図8においては、4つの柱状スペーサ33の右側及び左側に計2個のガイド63が設けられる。また、ガイド63は、角部から他の一辺に向けて延在する。ここで、他の一辺とは、柱状スペーサ33が設けられていない遮光層22aの一辺のことである。また、ガイド63は、当該他の一辺に沿って直線状に延在する。すなわち、当該他の一辺では、ガイド63は、矩形状である。また、角部では、ガイド63は、角に沿って湾曲している。ガイド63は、例えば柱状スペーサ33と同一材料、同一工程で形成される。もちろんこれに限らず、柱状スペーサ33と異なる材料、異なる工程でガイド63を形成してもよい。この場合、カラーフィルタ層22や共通電極23形成した後、シール材31によってTFT基板10とCF基板20とを貼り合わせる前に、ガイド63を形成する。
【0049】
このように、ガイド63を設けることにより、液晶の流れを制御することができる。これにより、液晶が柱状スペーサ33に設けたギャップ間を通過する際に、異物の捕捉される確率がより高くなる。これにより、表示品位が向上した液晶パネル50を製造することができる。
【0050】
なお、本実施の形態で設けるガイド63の形状は、矩形又は湾曲棒状が望ましいが、特に限定されるものではない。また、柱状スペーサ33の形状との組み合わせは限定されるものではない。例えば、実施の形態2、3の柱状スペーサ33にガイド63を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施の形態1にかかる液晶パネルの構成を示す平面図である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3】実施の形態1にかかる1画素における柱状スペーサの位置を示す平面図である。
【図4】実施の形態1にかかる液晶パネルの製造方法を示すフローチャート図である。
【図5】実施の形態1にかかる液晶注入工程におけるセルの構成を示す平面図である。
【図6】実施の形態2にかかる1画素における柱状スペーサの位置を示す平面図である。
【図7】実施の形態3にかかる1画素における柱状スペーサの位置を示す平面図である。
【図8】実施の形態4にかかる1画素におけるガイドの位置を示す平面図である。
【符号の説明】
【0052】
10 TFT基板、11 絶縁性基板、12 配線、13 端子電極、14 絶縁膜、
15 画素電極、16 配向膜、17 偏光板、
20 CF基板、21 絶縁性基板、22 カラーフィルタ層、22a 遮光層、
22b 着色層、23 共通電極、24 配向膜、25 偏光板、
30 液晶層、31 シール材、32 液晶注入口、33 柱状スペーサ、
34 制御基板、35 FFC、
40 画素、41 表示領域、50 液晶パネル、
60 液晶、61 セル、62 異物、63 ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板と対向配置された第2基板と、
前記第1基板に、それぞれの画素を枠状に取り囲むように形成された遮光層と、
前記第1基板端まで延在した液晶注入口を有し、前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせるシール材と、
枠状の前記遮光層の一辺であって、前記液晶注入口の延在方向と交差する一辺と対向する部分に、前記第1基板と前記第2基板を所定の間隔に保持し、互いに離間して1画素につき複数設けられた柱状スペーサとを有する液晶パネル。
【請求項2】
前記複数の柱状スペーサは、2〜5μmの間隔を隔てて設けられる請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項3】
隣接する前記柱状スペーサの間隔は、前記液晶注入口側の端部から前記液晶注入口とは反対側の端部に向けて狭くなる請求項1又は2に記載の液晶パネル。
【請求項4】
前記柱状スペーサは、矩形の上面形状を有し、
隣接する前記柱状スペーサは、前記液晶注入口とは反対側に突出したV字型に配置される請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液晶パネル。
【請求項5】
前記柱状スペーサは、湾曲した上面形状を有し、
隣接する前記柱状スペーサは、前記液晶注入口とは反対側に突出したU字型に配置される請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液晶パネル。
【請求項6】
前記遮光層と対向する部分において、1画素に形成された複数の前記柱状スペーサの両端に形成されたガイドをさらに有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液晶パネル。
【請求項7】
第1基板と第2基板とが対向配置される液晶パネルの製造方法であって、
前記第1基板に、それぞれの画素を枠状に取り囲むように遮光層を形成する工程と、
枠状の前記遮光層の一辺と対向する部分に、前記第1基板と前記第2基板を所定の間隔に保持する柱状スペーサを互いに離間して1画素につき複数設ける工程と、
前記第1基板端まで延在した液晶注入口を有するように、前記第1基板と前記第2基板とをシール材によって貼り合わせる工程と、
隣接する前記柱状スペーサの間を液晶が通過するように、前記液晶注入口から液晶を注入する工程とを有する液晶パネルの製造方法。
【請求項8】
前記複数の柱状スペーサは、2〜5μmの間隔を隔てて設けられる請求項7に記載の液晶パネルの製造方法。
【請求項9】
隣接する前記柱状スペーサの間隔は、前記液晶注入口側の端部から前記液晶注入口とは反対側の端部に向けて狭くなる請求項7又は8に記載の液晶パネルの製造方法。
【請求項10】
前記柱状スペーサは、矩形の上面形状を有し、
隣接する前記柱状スペーサは、前記液晶注入口とは反対側に突出したV字型に配置される請求項7乃至9のいずれか1項に記載の液晶パネルの製造方法。
【請求項11】
前記柱状スペーサは、湾曲した上面形状を有し、
隣接する前記柱状スペーサは、前記液晶注入口とは反対側に突出したU字型に配置される請求項7乃至9のいずれか1項に記載の液晶パネルの製造方法。
【請求項12】
前記遮光層を形成する工程後、前記シール材によって貼り合わせる工程前に、前記遮光層と対向する部分において、1画素に形成された複数の前記柱状スペーサの両端に、ガイドを形成する請求項7乃至11のいずれか1項に記載の液晶パネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−175477(P2009−175477A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−14453(P2008−14453)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】