説明

液晶化合物の製造方法

【課題】
簡便な操作で、目的とする液晶化合物を効率よく単離することができる液晶化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】
液晶化合物の中心部となり得る、フェノール性水酸基を有する中心部前駆体と、前記液晶化合物の側鎖部となり得る、カルボキシル基を有する側鎖部前駆体の混合酸無水物誘導体とを反応させることによりエステル化を行う工程(I)、及び、工程(I)で得られた反応液を分液操作することなく、反応液に所定量のアルコールを添加して、前記液晶化合物を結晶化させる工程(II)を含む液晶化合物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶化合物の中心部となり得る、フェノール性水酸基を有する中心部前駆体と、前記液晶化合物の側鎖部となり得る、カルボキシル基を有する側鎖部前駆体とのエステル化を行う液晶化合物の製造方法であって、エステル化反応後において水洗等の後処理を行うことなく、目的とする液晶化合物を効率よく単離することができる液晶化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気光学的液晶表示用ネマチック液晶材料として、フェノール性水酸基を有する中心前駆体と、カルボキシル基を有する側鎖部前駆体がエステル結合により連結された構造を有する液晶化合物が知られている(特許文献1、2)。
【0003】
従来、この液晶化合物を製造する方法としては、カルボキシル基を有する側鎖部前駆体の該カルボキシル基を酸クロライドに変換し、このものとフェノール性水酸基を有する中心前駆体の該フェノール性水酸基とを反応させてエステル結合を生成させる方法(以下、この方法を「酸クロライド法」ということがある。)が知られている(非特許文献1、2)。
【0004】
しかし、酸クロライド法を採用する場合、酸クロライド調製時において、カルボン酸と塩化チオニル等の塩素化剤との反応により酸が発生するため、この方法を、α,β−不飽和カルボニル基、アミド基、イミノ基等の、酸に対して不安定な官能基を有する化合物に適用することが困難な場合があった。
【0005】
また、アジン結合を有する液晶化合物を製造する場合においては、アジン結合は酸性条件下では非常に不均化反応を生じやすいため、アジン結合とフェノール性水酸基を有する中心前駆体と、カルボキシル基を有する側鎖部前駆体がエステル結合により連結された構造を有する液晶化合物を、酸クロライド法により収率よく得ることができない場合があった。
【0006】
更に、酸クロライド法により液晶化合物を製造する場合、反応終了後の後処理には、一般的に水洗、酸洗浄、有機溶剤抽出、分液操作等非常に煩雑な操作が必要であるが、有機溶剤抽出、分液操作において、乳化状態となって後処理ができない事態に陥ることも多く、分液操作が可能である場合においても、大量の水と有機溶剤を使用するために、高い生産効率を達成することが極めて困難であった。
また、この方法により得られる液晶化合物は、配向性等の特性が悪化する等、品質面においても問題があった。
【0007】
このような問題を解決すべく、特許文献3には、カルボン酸を混合酸無水物誘導体に誘導し、このものとフェノール性水酸基を反応させることによりエステル化を行う円盤状液晶化合物の製造方法が提案されている。
【0008】
しかし、この製造方法を棒状液晶化合物の製造に適用すると、反応後処理の酢酸エチル抽出工程において分液性が非常に悪くなり、抽出操作が困難を極め、工業的には適用することが困難であった。また、得られた液晶化合物は配向性が非常に悪く、品質面においても問題があった。
【0009】
この問題を改善する方法として、特許文献4には、反応液を吸着剤で処理する方法が提案されている。しかし、吸着剤を用いることは、吸着剤のコスト、工程数の増加、反応器占有時間の増加から、経済的に不利な方向となり、工業的な製造という観点からは決して好ましいことではない。
【0010】
一方、上述した方法以外のエステル化方法として、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミドに代表される縮合剤を用いる方法も知られている。この方法は、中性で比較的温和な条件でエステル化することが可能である。しかし、この方法には、用いる縮合剤が非常に高価であることや、副生成物である尿素類を除去することが困難であるという欠点があった。
【0011】
これらの欠点を改善するものとして、水溶性のカルボジイミド〔1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)〕も開発されている。しかしながら、このWSCを用いる方法は、前述したとおり、水洗等の後処理が必要となり、その工業的適用は困難を極めるだけでなく、低収率にとどまったり、配向性が非常に悪い液晶化合物しか得られない場合があったりする等の問題があり、実用的な製造方法としては問題があった。
【0012】
【特許文献1】特開平10−59919号公報
【特許文献2】特開平11−140446号公報
【特許文献3】特開平9−95467号公報
【特許文献4】特開2003−113141号公報
【非特許文献1】Mol.Cryst.Liq.,66巻,103頁(1981年)
【非特許文献2】Liquid Crystals,3巻,1087頁(1988年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上述した従来技術の実情に鑑みてなされたものであって、液晶化合物の中心部となり得る、フェノール性水酸基を有する中心部前駆体と、前記液晶化合物の側鎖部となり得る、カルボキシル基を有する側鎖部前駆体の混合酸無水物誘導体とのエステル化を行う液晶化合物の製造方法であって、反応終了後において、水洗等の後処理を行うことなく、目的とする液晶化合物を効率よく単離することができる液晶化合物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、カルボキシル基を有する側鎖部前駆体の混合酸無水物誘導体と、アジン結合及びフェノール性水酸基を有する中心前駆体とのエステル化を行う液晶化合物の製造方法について鋭意検討した。その結果、前記混合酸無水物誘導体とフェノール性水酸基を有する中心前駆体とを反応させて得られる反応液そのものにアルコールを添加すると、目的とする液晶化合物の結晶が優先して析出してくることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
かくして本発明によれば、下記(1)〜(9)の液晶化合物の製造方法が提供される。
(1)液晶化合物の中心部となり得る、フェノール性水酸基を有する中心部前駆体と、前記液晶化合物の側鎖部となり得る、カルボキシル基を有する側鎖部前駆体の混合酸無水物誘導体とを反応させることによりエステル化を行う工程(I)、及び、工程(I)で得られた反応液を分液操作することなく、反応液に所定量のアルコールを添加して、前記液晶化合物を結晶化させる工程(II)を含む液晶化合物の製造方法。
(2)前記中心部前駆体がアジン結合を含有する化合物である(1)に記載の液晶化合物の製造方法。
(3)前記中心部前駆体が、式(1)
【0016】
【化1】

【0017】
〔式中、X〜Xはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−OR、−O−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−O−C(=O)−OR、−NR−C(=O)−R、−C(=O)−N(R)R、又は−O−C(=O)−N(R)Rを表す。ここで、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基を表す。
また、R及び/又はRがアルキル基である場合、当該アルキル基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−NR−、又は−C(=O)−が介在していてもよい(ただし、−O−及び−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。)。ここで、R、Rはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。〕で表されるアジン化合物である(1)に記載の液晶化合物の製造方法。
(4)前記式(1)において、X〜Xはそれぞれ独立して、水素原子、−OR、又は−C(=O)−ORを表し、Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基を表し、当該アルキル基は、−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、又は−C(=O)−が介在していてもよい(ただし、−O−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。)アジン化合物である(3)に記載の液晶化合物の製造方法。
(5)側鎖部前駆体が、式(2)
【0018】
【化2】

【0019】
〔式中、Aは炭素数1〜30の2価の有機基を表す。
、Yはそれぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−O−C(=O)−NR−、−NR−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−NR−、−O−NR−、又は−NR−O−を表す。
ここで、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の2価の脂肪族基を表す。該脂肪族基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−NR−、又は−C(=O)−が介在していてもよい(ただし、−O−及び−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。)。
ここで、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数2〜10のアルケニル基を表す。
aは、0又は1である。〕で表されるカルボン酸である(1)に記載の液晶化合物の製造方法。
【0020】
(6)前記式(2)におけるAが、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいビフェニレン基、又は置換基を有していてもよいナフチレン基の化合物の混合酸無水物誘導体である(5)に記載の液晶化合物の製造方法。
(7)前記式(2)におけるZが、CH=CH−、CH=C(CH)−、CH=C(Cl)−、CH=CH−CH−、CH=C(CH)−CH−、CH=C(CH)−CHCH−、(CHC=CH−CH−、CH−CH=CH−、又はCH−CH=CH−CH−の化合物の混合酸無水物誘導体である(5)に記載の液晶化合物の製造方法。
【0021】
(8)前記工程(I)を、分子内に、エーテル基、エステル基、カルボニル基及びアミド基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基を有する溶剤中で行う(1)に記載の液晶化合物の製造方法。
(9)前記工程(II)で添加するアルコールとして、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を有するアルコールを用いる(1)に記載の液晶化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明の製造方法によれば、エステル化反応終了後において、水洗等の後処理を行うことなく、ろ過のみで簡便に目的とする液晶化合物を単離することができる。
本発明の製造方法によれば、工程数が大幅に削減され、アジン結合の不均化反応が進行することを防止することができ、目的とする液晶化合物を高生産性かつ安価に工業的に製造することができる。
また、本発明の製造方法によれば、配向性が良好であって、特性面においても満足できる品質を有する液晶化合物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、液晶化合物の中心部となり得る、フェノール性水酸基を有する中心部前駆体と、側鎖部となり得る、カルボキシル基を有する側鎖部前駆体の混合酸無水物誘導体を反応させることによりエステル化を行う工程(I)、及び、工程(I)で得られた反応液を分液操作することなく、反応液に所定量のアルコールを添加して、前記液晶化合物を結晶化させる工程(II)を含む液晶化合物の製造方法である。
【0024】
(1)中心部前駆体
本発明の製造方法に用いるフェノール性水酸基を有する中心部前駆体としては、液晶化合物の中心部となり得るものであって、フェノール性水酸基を有するものであれば、特に制限されない。本発明においては、アジン結合を含有する化合物であることが好ましく、前記式(1)で表されるアジン化合物であることがより好ましい。
【0025】
式(1)中、X〜Xはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−OR、−O−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−O−C(=O)−OR、−NR−C(=O)−R、−C(=O)−N(R)R、又は−O−C(=O)−N(R)Rを表す。
ここで、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基を表し、Rとしては置換基を有しても良い炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。
は、水素原子;又はメチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;を表す。
【0026】
前記X〜Xのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
〜Xの、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基の炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
【0027】
〜Xの、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−へキシルオキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;等が挙げられる。
【0028】
及びRの置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基としては、前記X〜Xの置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基として例示したものと同様のものが挙げられる。
これらの中でも、R及びRとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
【0029】
また、R及び/又はRがアルキル基である場合、当該アルキル基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−NR−、又は−C(=O)−、好ましくは、−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、又は−C(=O)−が介在していてもよい。
【0030】
ただし、−O−及び−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合は除かれる。
は、水素原子;又はメチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;を表す。
【0031】
前記−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−NR−、又は−C(=O)−が介在するアルキル基の具体例としては、−CH−CH−O−CH−CH、−CH−CH−S−CH−CH、−CH−CH−O−C(=O)−CH、−CH−CH−C(=O)−O−CH、−CH−O−C(=O)−O−CH−CH、−CH−CH−NR−C(=O)−CH、−CH−CH−C(=O)−NR−CH、−CH−NR−CH−CH、−CH−CH−C(=O)−CH等が挙げられる。
【0032】
これらの中でも、X〜Xとしては、それぞれ独立して、水素原子、−OR、又は−C(=O)−ORであることがより好ましい。
【0033】
中心部前駆体の多くは公知物質であり、公知の方法により製造することができる。例えば、アジン結合とフェノール性水酸基を有する化合物は、下記に示す方法により製造することができる(特許文献1、2等参照)。
【0034】
【化3】

【0035】
(式中、X〜Xはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−OR、−O−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−O−C(=O)−OR、−NR−C(=O)−R、−C(=O)−N(R)R、又は−O−C(=O)−N(R)Rを表す。
ここで、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基を表し、Dは、水素原子;又はt−ブチルジメチルシリル基、ベンジル基、アセチル基等のフェノール性水酸基の保護基(D’);を表す。)
【0036】
すなわち、ヒドラジン(一水和物)に、アルデヒド化合物(10a)及びアルデヒド化合物(10b)を順次反応させて化合物(11)を得る。化合物(11)において、Dが水素原子である場合には、このものが目的とする中心部前駆体となる。また、化合物(11)において、DがD’である場合には、化合物(11)のフェノール性水酸基の保護基D’を公知の方法により脱保護して、目的とする中心部前駆体(1)を得ることができる。
【0037】
(2)側鎖部前駆体の混合酸無水物誘導体
本発明に用いる側鎖部前駆体の混合酸無水物誘導体は、カルボキシル基を有する側鎖部前駆体に、塩基の存在下、酸ハライドを反応させて得られるものである。
【0038】
用いる側鎖部前駆体のカルボン酸としては、液晶化合物の側鎖部となりうるものであって、カルボキシル基を有するものであれば、特に制限されないが、下記式(2)で表されるカルボン酸であることが好ましい。
【0039】
【化4】

【0040】
前記式(2)中、Aは炭素数1〜30の2価の有機基、好ましくは炭素数6〜20の2価の有機基を表す。Aの有機基としては、特に制限されないが、芳香族環を有するものが好ましい。また、前記Aの有機基は置換基を有していてもよい。また、前記Aの有機基は、任意の位置に同一又は相異なる複数の置換基を有していてもよい。
【0041】
かかる置換基の具体例としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ヒドロキシル基;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;−C(C=O)−OR;等が挙げられる。ここでRは、メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;フェニル基、4−メチルフェニル基等の置換基を有していてもよいフェニル基;を表す。
【0042】
これらの中でも、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましく、フッ素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。
の具体例としては、下記のものが挙げられる。
【0043】
【化5】

【0044】
【化6】

【0045】
上記Aの具体例として挙げた有機基は、任意の位置に置換基を有していてもよい。当該置換基の具体例は、前述したとおりである。
【0046】
これらの中でも、Aとしては、本発明の所望の効果をより良好に発現させる観点から、置換基を有していてもよい、下記式(A11)、(A21)及び(A31)で表される基が好ましく、置換基を有していてもよい式(A11)で表される基がより好ましい。
【0047】
【化7】

【0048】
前記式(2)中、Y、Yはそれぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−O−C(=O)−NR−、−NR−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−NR−、−O−NR−、又は−NR−O−を表す。
これらの中でも、−O−、−O−C(=O)−及び−C(=O)−O−が好ましい。
【0049】
は、水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基を表す。なかでも、Rとしては、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
【0050】
前記式(2)中、Gは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の2価の脂肪族基、好ましくは炭素数1〜12の2価の脂肪族基を表す。
の炭素数1〜20の2価の脂肪族基としては、鎖状の脂肪族基、脂環式構造を有する脂肪族基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数2〜20のアルケニレン基等の鎖状の脂肪族基が好ましく、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基等の、炭素数1〜12のアルキレン基がより好ましく、テトラメチレン基〔−(CH−〕、及びヘキサメチレン基〔−(CH−〕が特に好ましい。
【0051】
の脂肪族基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−へキシルオキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;等が挙げられる。これらの中でも、フッ素原子、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
【0052】
また、前記Gの脂肪族基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−NR−、又は−C(=O)−が介在していてもよい。ただし、−O−及び−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。これらの中でも、−O−、−O−C(=O)−、及び−C(=O)−O−が好ましい。
ここで、Rは、前記Rと同様の、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。Rとしては、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
【0053】
これらの基が介在する脂肪族基の具体例としては、−CH−CH−O−CH−CH−、−CH−CH−S−CH−CH−、−CH−CH−O−C(=O)−CH−CH−、−CH−CH−C(=O)−O−CH−、−CH−O−C(=O)−O−CH−CH−、−CH−CH−NR−C(=O)−CH−CH−、−CH−CH−C(=O)−NR−CH−、−CH−NR−CH−CH−、−CH−C(=O)−CH−等が挙げられる。
【0054】
は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数2〜10のアルケニル基を表す。
の炭素数2〜10のアルケニル基としては、炭素数2〜6のアルケニル基が好ましい。また、置換基のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、塩素原子が好ましい。
【0055】
のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数2〜10のアルケニル基の具体例としては、CH=CH−、CH=C(CH)−、CH=CH−CH−、CH−CH=CH−、CH=CH−CH−CH−、CH=C(CH)−CH−CH−、(CHC=CH−CH−、(CHC=CH−CH−CH−、CH=C(Cl)−、CH=C(CH)−CH−、CH−CH=CH−CH−等が挙げられる。
【0056】
これらの中でも、本発明の所望の効果をより良好に発現させる観点から、CH=CH−、CH=C(CH)−、CH=C(Cl)−、CH=CH−CH−、CH=C(CH)−CH−、CH=C(CH)−CH−CH−、CH=C(CH)−CH−、(CHC=CH−CH−、CH−CH=CH−、又はCH−CH=CH−CH−であることが好ましく、CH=CH−、CH=C(CH)−、CH=C(Cl)−、CH=CH−CH−、CH=C(CH)−CH−、CH=C(CH)−CH−CH−がより好ましく、CH=CH−、CH=C(CH)−、CH=C(Cl)−が更に好ましく、CH=CH−又はCH=C(CH)−が特に好ましく、CH=CH−が最も好ましい。
【0057】
側鎖部前駆体の多くは公知物質であり、公知の方法により製造することができる。
例えば、−O−、−S−、−NH−C(=O)−、−C(=O)NH−、−NHC(=O)NH−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−等の種々の化学結合を形成する公知の方法(例えば、サンドラー・カロ官能基別有機化合物合成法[I]、[II] 廣川書店、1976年発行参照)を組み合わせて製造することができる。
【0058】
典型的には、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、アミド結合(−C(=O)NH−)、及び酸クロライド(−COCl)の形成反応を任意に組み合わせて、所望の構造を有する複数の公知化合物を適宜結合・修飾することにより製造することができる。
【0059】
エーテル結合の形成は、例えば、以下のようにして行うことができる。
(i)式:Q1−X(Xはハロゲン原子を表す。)で表される化合物と、式:Q2−OM(M:アルカリ金属(主にナトリウム))で表される化合物とを混合して縮合させる。なお、式中、Q1及びQ2は任意の有機基Bを表す(以下、同様である。)。この反応は一般的にウイリアムソン合成と呼ばれる。
(ii)式:Q1−X(Xはハロゲン原子を表す。)で表される化合物と、式:Q2−OHで表される化合物とを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基存在下、混合して縮合させる。
(iii)式:Q1−E(Eはエポキシ基を表す。)で表される化合物と、式:Q2−OHで表される化合物とを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基存在下、混合して縮合させる。
(iv)式:Q1−OFN(OFNは不飽和結合を有する基を表す。)で表される化合物と、式:Q2−OM(M:アルカリ金属(主にナトリウム))を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基存在下、混合して付加反応させる。
(v)式:Q1−X(Xはハロゲン原子を表す。)で表される化合物と、式:Q2−OM(M:アルカリ金属(主にナトリウム))で表される化合物とを銅あるいは塩化第一銅存在下、混合して縮合させる。この反応は一般的にウルマン縮合と呼ばれる。
【0060】
エステル結合及びアミド結合の形成は、例えば、以下のようにして行うことができる。
(i)式:Q1−COOHで表される化合物と、式:Q2−OH又はQ2−NHで表される化合物とを、脱水縮合剤(N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド等)の存在下に脱水縮合させる。
(ii)式:Q1−COOHで表される化合物にハロゲン化剤を作用させることにより、式:Q1−COX(Xはハロゲン原子を表す。)を得、このものと式:Q2−OH又はQ2−NHで表される化合物とを、塩基の存在下に反応させる。
(iii)式:Q1−COOHで表される化合物に酸無水物を作用させることにより、混合酸無水物を得た後、このものに、式:Q2−OH又はQ2−NHで表される化合物を反応させる。
(iv)式:Q1−COOHで表される化合物と、式:Q2−OH又はQ2−NHで表される化合物とを、酸触媒あるいは塩基触媒の存在下に脱水縮合させる。
【0061】
酸クロライドの形成は、例えば、以下のようにして行うことができる。
(i)式:Q1-COOHで表される化合物に三塩化リンあるいは五塩化リンを作用させる。
(ii)式:Q1-COOHで表される化合物に塩化チオニルを作用させる。
(iii)式:Q1-COOHで表される化合物に塩化オキサリルを作用させる。
(iv)式:Q1-COOAg(Ag:銀元素)で表される化合物に塩素又は臭素を作用させる。
(v)式:Q1-COOHで表される化合物に赤色酸化第二水銀の四塩化炭素溶液を作用させる。
これらの方法は、保護基の構造、種類に応じて適宜選択採用することができる。
【0062】
側鎖部前駆体の混合酸無水物誘導体は、カルボキシル基を有する側鎖部前駆体に、塩基の存在下、酸ハライドを反応させることにより得ることができる。
【0063】
混合酸無水物誘導体の調製に用いるカルボキシル基を有する側鎖部前駆体と対をなす酸としては、炭酸モノエチルエステル等の炭酸エステル;ピバリン酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸;メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等のスルホン酸;リン酸等の無機酸;等が挙げられる。これらの中でも、スルホン酸が好ましく、メタンスルホン酸が特に好ましい。
【0064】
また、これらの酸は、酸クロライド等の酸ハライドの形でカルボキシル基を有する側鎖部前駆体と反応させる。用いられる酸ハライドの使用量は、側鎖部前駆体に対して0.9〜1.05当量、好ましくは1.0当量である。
【0065】
混合酸無水物誘導体の調製に用いる塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン等の三級アミン;ピリジン、ピコリン、ルチジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン等のピリジン類;等が挙げられる。これらの中でも、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンが好ましい。
【0066】
塩基の使用量は、側鎖部前駆体に対して好ましくは1.0〜2.0当量、より好ましくは1.0〜1.1当量である。
【0067】
混合酸無水物誘導体の調製時に用いられる溶媒としては、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等の分子内にエーテル基を有する溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等の分子内にエステル基を有する溶媒;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等の分子内にカルボニル基を有する溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N−メチルピロリドン等の分子内にアミド基を有する溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の分子内に芳香環を有する溶媒;:及び、これらの溶媒の二種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。
【0068】
混合酸無水物誘導体の調製法としては、例えば、(側鎖部前駆体+塩基+溶媒)の系に酸ハライドを滴下する方法、(側鎖部前駆体+酸ハライド+溶媒)の系に塩基を滴下する方法、(酸ハライド+溶媒)の系に、(側鎖部前駆体+塩基+溶媒)を滴下する方法が挙げられる。なかでも、(酸ハライド+溶媒)の系に、(側鎖部前駆体+塩基+溶媒)を滴下する方法が好ましい。
【0069】
混合酸無水物誘導体を調製するときの反応温度は、好ましくは−30℃〜15℃、より好ましくは−20℃〜5℃である。
反応時間は、通常数分〜数時間である。
【0070】
反応終了後においては、有機合成化学における通常の後処理操作を行うことにより、目的とする混合酸無水物誘導体を得ることができる。
【0071】
(3)工程(I)
次いで、このようにして得られた混合酸無水物誘導体と、フェノール性水酸基を有する中心部前駆体とを、所望により塩基の存在下に反応させる(エステル化反応)。
【0072】
この反応に用いる塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン等の三級アミン類;ピリジン、ピコリン、ルチジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン等のピリジン類;等が挙げられるが、好ましくはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンである。
【0073】
エステル化反応の方法としては、例えば、(中心部前駆体+塩基+溶媒)の系に混合
酸無水物誘導体を滴下する方法、(中心部前駆体+混合酸無水物誘導体+溶媒)の系に塩基を滴下する方法、(混合酸無水物誘導体+溶媒)の系に、(中心部前駆体+塩基+溶媒)を滴下する方法が挙げられる。中心部前駆体及び/又は混合酸無水物誘導体は、粉体、懸濁液、溶液のいずれの状態で添加してもよい。
【0074】
エステル化反応は、適当な溶媒中で行うことができる。
用いる溶媒としては、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等の分子内にエーテル基を有する溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等の分子内にエステル基を有する溶媒;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等の分子内にカルボニル基を有する溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N−メチルピロリドン等の分子内にアミド基を有する溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の分子内に芳香環を有する溶媒;及び、これらの溶媒の二種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。これらの中でも、分子内に、エーテル基、エステル基、カルボニル基及びアミド基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基を有する溶剤の使用が好ましい。また、本発明においては、混合酸無水物誘導体の調製時の反応液をそのまま使用することもできる。
【0075】
エステル化反応の反応温度は、好ましくは−30℃〜15℃、より好ましくは−20℃〜5℃である。
反応時間は、通常数分〜数時間である。
【0076】
いずれの反応においても、反応終了後は、有機合成化学における通常の後処理操作を行い、所望により、カラムクロマトグラフィー、再結晶法、蒸留法等の公知の分離・精製手段を施すことにより、目的物を単離することができる。
【0077】
(4)工程(II)
次いで、工程(I)で得られた反応液を分液操作することなく、反応液に所定量のアルコールを添加して、前記液晶化合物を結晶化させる。
【0078】
用いるアルコールとしては、特に限定されないが、目的物の結晶を収率よく得る観点から、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を有するアルコールの使用が好ましい。
【0079】
置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を有するアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、n−ヘキシルアルコール等の置換基を有さない炭素数1〜6のアルキル基を有するアルコール;メトキシメチルアルコール、エトキシメチルアルコール、2−メトキシエチルアルコール、1−メトキシエチルアルコール、ベンジルアルコール等の置換基を有する炭素数1〜6のアルコール;等が挙げられる。
【0080】
これらの中でも、本発明においては、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルコールが好ましく、置換基を有さない炭素数1〜4のアルコールがより好ましく、メタノール又はエタノールがさらに好ましく、メタノールが特に好ましい。
【0081】
アルコールの添加量は、工程(I)で用いた中心部前駆体1gに対し、通常1〜1000g、好ましくは10〜100gである。
アルコールを添加するときの温度は、通常0〜50℃、好ましくは0〜30℃である。
【0082】
アルコールを添加する方法としては、反応液を攪拌しながら、アルコールを少量ずつ連続的に添加する方法;反応液を攪拌しながら、アルコールを一定量ずつ分割して添加する方法;等が挙げられる。
【0083】
工程(I)で得られた反応液に所定量のアルコールを添加していくと、副生成物である塩類が一旦完全に溶解して均一となり、引き続きさらにアルコールを徐々に加えていくと、目的とする液晶化合物の結晶が優先的に析出するので、ろ過という簡便な操作のみで目的とする液晶化合物を収率よく単離することができる。
【0084】
また、得られた結晶を酢酸エチル等の有機溶媒に溶解し、所望によりアジンの不均化反応を抑制する目的でトリエチルアミン等の有機塩基を少量添加した後、不純物を濾過し、得られた溶液にアルコールを添加することにより液晶化合物の結晶を析出させる操作を繰り返すことにより、高純度の目的物を得ることができる。
不純物を濾過するときには、セライト、珪藻土及びパーライトなどの濾過助剤を用いても良い。
【0085】
目的物である液晶化合物の構造は、NMRスペクトル、IRスペクトル、マススペクトル等の測定、元素分析等により、同定することができる。
【0086】
本発明の製造方法によれば、工程数が大幅に削減され、アジン結合の不均化反応が進行することを防止することができ、目的とする液晶化合物を高生産性かつ安価に工業的に製造することができる。
【0087】
(5)液晶化合物
本発明の製造方法により得られる液晶化合物(以下、「本発明の液晶化合物」ということがある。)は、フェノール性水酸基を有する中心部前駆体とカルボキシル基を有する側鎖部前駆体とが、前記フェノール性水酸基とカルボキシル基とから形成されたエステル結合(−O−C(=O)−)により連結された構造を有する、棒状構造の液晶化合物である。本発明の液晶化合物としては、分子末端に重合性基を有する重合性液晶化合物であることが好ましい。
【0088】
重合性基としては、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数2〜10のアルケニル基等が挙げられる。ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数2〜10のアルケニル基の具体例としては、前記Zの、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数2〜10のアルケニル基の具体例として列記したものと同様のものが挙げられる。
【0089】
本発明の液晶化合物の具体例を以下に示す。但し、本発明の液晶化合物は以下の例に限定されるものではない。
【0090】
【化8】

【0091】
【化9】

【0092】
【化10】

【0093】
【化11】

【0094】
本発明の液晶化合物は、配向性が非常に良好であって、特性面でも満足できる品質を有する。
【実施例】
【0095】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってその範囲を限定されるものではない。
【0096】
(製造例1)中心部前駆体1aの合成
【0097】
ステップ1:下記式(3a)で表される中間体3aの合成
【0098】
【化12】

【0099】
冷却器、温度計及び滴下漏斗を備えた4つ口反応器に、窒素気流中で、5−ホルミルサリチル酸15g(0.09mol)、メタノール14.5g(0.45mol)、4−(メチルアミノ)リジン2.2g(0.018mol)、テトラヒドロフラン(THF)200mlを入れ、均一な溶液とした。そこへ、室温下、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド37.3g(0.18mol)をTHF100mlに溶解した溶液をゆっくりと添加し、添加終了後、全容を室温にて6時間撹拌した。
【0100】
反応終了後、反応混合物から不溶物をろ別後、ろ液から溶媒を減圧下に留去し、黄色オイルを得た。この黄色オイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:THF=9:1(体積比))により精製して、中間体3aの白色固体を13.4g得た(収率:82.4%)。中間体3aの構造は、H−NMRで同定した。
【0101】
H−NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):11.36(s,1H)、9.88(s,1H)、8.39(s,1H)、8.00(d,1H,J=9.0Hz)、7.11(d,1H,J=9.0Hz)、4.01(s,3H)
【0102】
ステップ2:下記式(3b)で表される中間体3bの合成
【0103】
【化13】

【0104】
冷却器、温度計及び滴下漏斗を備えた4つ口反応器に、窒素気流中で、4−ヒドロキシベンズアルデヒド30g(0.25mol)、t−ブチルジメチルシリルクロライド44.4g(0.29mol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)400mlを入れ、均一な溶液とした。そこへ、水浴下にて、イミダゾール41.8g(0.61mol)をDMF200mlに溶解した溶液をゆっくりと添加し、添加終了後、全容を室温にて4時間撹拌した。
【0105】
反応終了後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液6リットル中に投入し、n−ヘキサン500mlで3回抽出した。n−ヘキサン層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、硫酸マグネシウムをろ別し、ろ液からn−へキサンを減圧下に留去して、淡黄色オイルを得た。この淡黄色オイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=9:1(体積比))により精製して、中間体3bの無色オイルを30g得た(収率:50.8%)。中間体3bの構造は、H−NMRで同定した。
【0106】
H−NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):9.87(s,1H)、7.78(d,2H,J=7.8Hz)、6.93(d,2H,J=7.8Hz)、0.98(s,9H)、0.23(s,6H)
【0107】
ステップ3:下記式(3c)で表される中間体3cの合成
【0108】
【化14】

【0109】
冷却器、温度計及び滴下漏斗を備えた4つ口反応器に、窒素気流中で、ヒドラジン1水和物10.6g(0.21mol)及びTHF50mlを入れ、均一な溶液とした。そこへ、室温下、中間体3b 10.0g(0.042mol)をTHF50mlに溶解した溶液をゆっくりと添加し、添加終了後、全容を室温にて3時間撹拌した。
【0110】
反応終了後、減圧下で溶媒を留去し、黄色オイルを得た。この黄色オイルをクロロホルム200mlに溶解させ、飽和炭酸水素ナトリウム水500mlで2回洗浄した。クロロホルム層にトリエチルアミン6mlを加え、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、硫酸マグネシウムをろ別し、ろ液からクロロホルムを減圧下に留去して、淡黄色オイルを得た。
【0111】
得られた淡黄色オイルをTHF50mlに溶解させ、トリエチルアミン6mlを加えた。そこへ、室温にて、中間体3a 7.2g(0.04mol)をTHF50mlに溶解した溶液をゆっくりと添加し、添加終了後、全容を室温にて12時間撹拌した。
【0112】
反応終了後、減圧下で溶媒を留去し、黄色オイルを得た。この黄色オイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:THF=2:1(体積比))により精製して、中間体3cの黄色固体10.76gを得た(収率:65.2%)。中間体3cの構造は、H−NMRで同定した。
【0113】
H−NMR(400MHz,CDCl,TMS,δppm):11.08(s,1H)、8.61(s,1H)、8.58(s,1H)、8.26(d,1H,J=2.0)、8.01(dd,1H,J=2.0Hz,J=8.8Hz)、7.73(d,1H,J=8.8Hz)、7.06(d,1H,J=8.4Hz)、6.90(d,3H,J=8.4Hz)、4.00(s,3H)、0.98(s,9H)、0.24(s,6H)
【0114】
ステップ4:下記式(4a)で表される中心部前駆体4aの合成
【0115】
【化15】

【0116】
冷却器、温度計及び滴下漏斗を備えた4つ口反応器に、窒素気流下で、濃度1mol/Lのテトラブチルアンモニウムフルオライドのテトラヒロドフラン溶液を124ml入れた。そこへ、室温にて、中間体3c 10.0g(0.024mol)をTHF50mlに溶解した溶液をゆっくりと添加し、添加終了後、全容を室温にて3時間撹拌した。
【0117】
反応終了後、反応混合物を水に投入し、5%のクエン酸水溶液250mlを加えて酸性にし、クロロホルム300mlで2回抽出を行った。クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、硫酸ナトリウムをろ別し、ろ液からクロロホルムを減圧下に留去し、黄色オイルを得た。この黄色オイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:THF=2:1(体積比))により精製し、中心部前駆体4aの黄色固体6.3gを得た(収率:88.1%)。中心部前駆体4aの構造は、H−NMRで同定した。
【0118】
H−NMR(400MHz,CDCl,TMS,δppm):11.10(s,1H)、8.61(s,1H)、8.58(s,1H)、8.27(d,1H,J=2.2Hz)、8.01(dd,1H,J=2.0Hz,J=8.6Hz)、7.75(d,2H,J=8.6Hz)、7.06(d,1H,J=8.4Hz)、6.90(d,2H,J=8.4Hz)、5.21(s,1H)、4.00(s,3H)
【0119】
(製造例2)中心部前駆体4bの合成
ステップ1:下記式(3d)で表される中間体3dの合成
【0120】
【化16】

中心部前駆体4a合成のステップ3の中間体3cの合成において、中間体3cをエチルバニリン(3−エトキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド)に変えた以外は、同様の方法で中間体3dを合成した(収率:60.3%)。中間体3dの構造は、H−NMRで同定した。
【0121】
H−NMR(400MHz,CDCl,TMS,δppm):8.59(s,1H)、8.56(s,1H)、7.73(s,1H)、7.71(s,1H)、7.50(s,1H)、7.21(d,1H,J=8.0Hz)、7.00−6.89(m,3H)、4.23(t,2H,J=6.8Hz)、1.49(t,3H,J=6.8Hz)、1.00(s,9H)、0.23(s,6H)
【0122】
ステップ2:下記式(4b)で表される中心部前駆体4bの合成
【0123】
【化17】

【0124】
中心部前駆体4aの合成において、中間体3cを中間体3dに変えた以外は、同様の方法で中心部前駆体4bを合成した(収率:88.1%)。中心部前駆体4bの構造は、H−NMRで同定した。
【0125】
H−NMR(400MHz,CDCl−CDOD,TMS,δppm):8.58(s,1H)、8.54(s,1H)、7.70(d,2H,J=8.6Hz)、7.49(s,1H)、7.21(d,1H,J=8.6Hz)、6.98−6.88(m,3H)、4.24−4.19(m,2H)、1.49(t,3H,J=7.0Hz)
【0126】
(実施例1)式(5a)で表される液晶化合物5aの合成
【0127】
【化18】

【0128】
窒素気流下、式(6a)
【0129】
【化19】

【0130】
で表される側鎖部前駆体6a(日本シイベルへグナー社製)196.0gをTHF800.0gに溶解させ、メタンスルホニルクロライド76.8gを添加して混合酸無水物誘導体を調製した後、0℃に冷却し、この溶液にトリエチルアミン75.9gを滴下した。0℃で1時間撹拌して後、4−(ジメチルアミノ)ピリジン8.2g、中心部前駆体4a 80.0gを添加し、次いでトリエチルアミン54.2gを滴下した。全容を20℃で2時間撹拌後、反応液にメタノールを2000.0g加え結晶化を行い、液晶化合物5aの粗結晶204.4gを得た。
【0131】
得られた粗結晶にトリエチルアミン1.0g、酢酸エチル1000.0g、炭酸水素ナトリウム10.0gを添加し、45℃で1時間撹拌後、30℃に冷却し、重曹をろ過により除去した。次いで、得られたろ液にメタノール1800.0gを加え結晶化を行い、粗結晶186.3gを得た。
更に、得られた粗結晶にトリエチルアミン0.9g、酢酸エチル900.0g、ろ過助剤9.0gを添加し、40℃で1時間撹拌後、30℃に冷却し、ろ過助剤及び不溶分をろ過により除去した。次いで、得られたろ液にメタノール1620.0gを加え結晶化を行い、液晶化合物5aを168.1g(収率74.0%)を得た。
【0132】
(実施例2)式(5b)で表される液晶化合物5bの合成
【0133】
【化20】

【0134】
側鎖部前駆体(6a)(日本シイベルへグナー社製)を、式(6b)
【0135】
【化21】

【0136】
で表される側鎖部前駆体6b(日本シイベルへグナー社製)に変えた以外は、実施例1と同様の方法で液晶化合物5bを合成した(収率:75.2%)。
【0137】
(実施例3)式(5c)で表される液晶化合物5cの合成
【0138】
【化22】

【0139】
中心部前駆体4aを中心部前駆体4bに変えた以外は、実施例1と同様の方法で液晶化合物5cを合成した(収率:72.8%)。
【0140】
(比較例1)
窒素気流下、側鎖部前駆体6a 19.8gをDMF81.0gに溶解させ、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)13.0g、4−(ジメチルアミノ)ピリジン0.83g、及びトリエチルアミン0.03gを添加し、30℃で1時間撹拌後、中心部前駆体4a 8.1gを添加した。30℃で2時間撹拌後、反応液にメタノールを810.0g加え結晶化を行ったところ、結晶が全く析出せず、液晶化合物5aを得ることができなかった。
【0141】
(比較例2)
窒素気流下、側鎖部前駆体6a 19.8gをDMF81.0gに溶解させ、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)13.0g、4−(ジメチルアミノ)ピリジン0.83g、及びトリエチルアミン0.03gを添加し、30℃で1時間撹拌後、中心部前駆体4a 8.1gを添加した。30℃で2時間撹拌後、反応液に酢酸エチル81.0g、10%食塩水40.5gを加え分液操作を行った。分液により得られた有機層にTHF40.5g、水81.0gを加え再度分液操作を行った。更に、有機層にTHF20.3g、酢酸エチル20.3g、水81.0gを加え分液操作を行った。次いで、得られた有機層にメタノール121.5gを加え結晶化を行い、粗結晶13.1gを得た。更に、得られた粗結晶にトリエチルアミン0.3g、酢酸エチル283.5gを加え、45℃で溶解させたのち、30℃に冷却し、不溶分をろ過により除去した。次いで、得られたろ液を減圧下濃縮し、その濃縮液にメタノール170.1gを加え結晶化を行い、液晶化合物5aを10.9g(収率47.0%)を得た。
【0142】
(比較例3)
窒素気流下、側鎖部前駆体6a 24.5gをTHF100.0gに溶解させ、メタンスルホニルクロライド9.6gを添加して混合酸無水物誘導体を調製した後、0℃に冷却した。この溶液にトリエチルアミン9.3gを滴下し、0℃で1時間撹拌後、4−(ジメチルアミノ)ピリジン1.0g、中心部前駆体4a 10.0gを添加し、次いでトリエチルアミン7.6gを滴下した。20℃で2時間撹拌後、反応液に酢酸エチル125.0g、10%食塩水62.5gを加え分液操作を行った。分液により得られた有機層に10%食塩水200.0gを加え再度分液操作を行った。この際、2回の分液操作とも非常に分液性が悪く、乳化傾向になったが、可能な限り分液するまで待って分液した。次いで、得られた有機層にメタノール380.0gを加え結晶化を行い、液晶化合物5aを19.8g(収率70.0%)を得た。
【0143】
(比較例4)
窒素気流下、側鎖部前駆体6a 29.2g、塩化チオニル35.7g、DMF0.2g、トルエン8.8gを加え、40℃で2時間撹拌した。反応終了後、過剰の塩化チオニルとトルエンを減圧下留去した。これに、ピリジン100.0gと中心部前駆体4a 11.4gを添加し、20℃で12時間撹拌後、反応液に酢酸エチル342.0g、10%食塩水171.0gを加え分液操作を行った。分液により得られた有機層に10%食塩水171.0gを加え再度分液操作を行った。次いで、得られた有機層にメタノール1026.0gを加え結晶化を行い、液晶化合物5aを20.0g(収率61.8%)を得た。
【0144】
(配向性の評価)
液晶化合物をそれぞれ100重量部に対し、シクロペンタノン153重量部に溶解して溶液とした。これに、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製:イルガキュア1919)を3.3重量部、キラル剤6.0重量部、界面活性剤(1重量%のシクロペンタノン溶液として使用)11.6重量部を添加して溶解した溶液を試料とした。キラル剤としてLC756(BASF社製)を、界面活性剤としてセイミケミカル(株)製KH−40を、それぞれ使用した。調製した溶液を、ラビング処理を施したポリイミド配向膜付きのガラス基板にバーコーター(テスター産業製:SA−203 バーコーター Rod NO.8 シャフト径 12.7mm)を用いて塗布した後、ホットプレート上にて100℃で3分間乾燥させた。得られた皮膜に水銀ランプで1000mJ/cmに相当する紫外線を照射して厚さ4μmの硬化膜を得た。この硬化膜を偏光顕微鏡で観察し、オイリーストリークと呼ばれる配向欠陥の量を目視で確認して判定した。評価は5段階で判定し、配向欠陥が全く見られない場合を5と判定し、全面に渡って配向欠陥が存在する場合を1と判定した。よって、値が大きいほど良い結果であることを示している。
【0145】
実施例1〜3及び比較例1〜4の、反応方法、反応液を分液する操作(分液操作)の有無、分液操作の回数、液晶化合物の単離収率(%)、配向性評価を下記表1にまとめた。なお、反応方法の欄において、「混合酸無水物法」は、中心部前駆体と側鎖部前駆体の混合酸無水物誘導体とのエステル化反応を行う方法、「縮合剤(WSC)」は、縮合剤(WSC)を使用して、中心部前駆体と側鎖部前駆体の混合酸無水物誘導体とのエステル化反応を行う方法、「酸クロライド法」は、中心部前駆体と側鎖部前駆体の酸クロライド誘導体とのエステル化反応を行う方法をそれぞれ意味する。
【0146】
【表1】

【0147】
表1から、以下のことが分かる。比較例1は反応生成物が均一になり分離することができず、比較例2〜4は分液操作が行ったため生産性が低下し、更に収率も低く、配向性も悪くなった。これに対して、実施例1〜3は、反応終了後において、何らの分液操作を行うことなく、ろ過操作のみで、目的とする液晶化合物を収率よく(74.0〜75.2%)単離することができた。また、得られた液晶化合物は、配向性が非常に良好であって、特性面でも満足できる品質を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶化合物の中心部となり得る、フェノール性水酸基を有する中心部前駆体と、前記液晶化合物の側鎖部となり得る、カルボキシル基を有する側鎖部前駆体の混合酸無水物誘導体とを反応させることによりエステル化を行う工程(I)、及び工程(I)で得られた反応液を分液操作することなく、反応液に所定量のアルコールを添加して、前記液晶化合物を結晶化させる工程(II)を含む液晶化合物の製造方法。
【請求項2】
前記中心部前駆体がアジン結合を有する化合物である請求項1に記載の液晶化合物の製造方法。
【請求項3】
前記中心部前駆体が、式(1)
【化1】

〔式中、X〜Xはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−OR、−O−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−O−C(=O)−OR、−NR−C(=O)−R、−C(=O)−N(R)R、又は−O−C(=O)−N(R)Rを表す。
ここで、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子または置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基を表す。
及び/又はRがアルキル基である場合、当該アルキル基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−NR−、又は−C(=O)−が介在していてもよい(ただし、−O−及び−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。)。
ここで、R、Rはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。〕
で表されるアジン化合物である請求項1に記載の液晶化合物の製造方法。
【請求項4】
前記式(1)において、X〜Xはそれぞれ独立して、水素原子、−OR、又は−C(=O)−ORを表し、Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基を表し、当該アルキル基は、−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、又は−C(=O)−が介在していてもよい(ただし、−O−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。)アジン化合物である請求項3に記載の液晶化合物の製造方法。
【請求項5】
側鎖部前駆体が、式(2)
【化2】

〔式中、Aは炭素数1〜30の2価の有機基を表す。
、Yはそれぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−O−C(=O)−NR−、−NR−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−NR−、−O−NR−、又は−NR−O−を表す。ここで、Rは、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
は、置換基を有していてもよい、炭素数1〜20の2価の脂肪族基を表す。該脂肪族基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−NR−、又は−C(=O)−が介在していてもよい(ただし、−O−及び−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。)。ここで、Rは、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数2〜10のアルケニル基を表す。
aは、0又は1である。〕
で表されるカルボン酸である請求項1に記載の液晶化合物の製造方法。
【請求項6】
前記式(2)におけるAが、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいビフェニレン基、又は置換基を有していてもよいナフチレン基である請求項5に記載の液晶化合物の製造方法。
【請求項7】
前記式(2)におけるZが、CH=CH−、CH=C(CH)−、CH=C(Cl)−、CH=CH−CH−、CH=C(CH)−CH−、CH=C(CH)−CHCH−、(CHC=CH−CH−、CH−CH=CH−、又はCH−CH=CH−CH−である請求項5に記載の液晶化合物の製造方法。
【請求項8】
前記工程(I)を、分子内に、エーテル基、エステル基、カルボニル基及びアミド基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基を有する溶剤中で行う請求項1に記載の液晶化合物の製造方法。
【請求項9】
前記工程(II)で添加するアルコールとして、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を有するアルコールを用いる請求項1に記載の液晶化合物の製造方法。

【公開番号】特開2010−30974(P2010−30974A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197756(P2008−197756)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【Fターム(参考)】