説明

液晶表示パネル、ガラス基板、および液晶表示パネルの製造方法

【課題】ガラス基板に対する研磨時間を短縮することができ、良好な表示品位を得られる液晶表示パネルを提供する。
【解決手段】液晶を挟持する第1のガラス基板10および第2のガラス基板20は、対向するように配置される。また、第1のガラス基板10および第2のガラス基板20は、それぞれ筋目を有する。筋目は、ガラス板の延伸方向に垂直な方向における板厚の変動およびうねりに起因して、ガラス板の延伸方向に生じる筋である。第1のガラス基板10は、短辺の向きに沿った筋目を有し、第2のガラス基板20は、長辺の向きに沿った筋目を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板間に液晶を挟持した液晶表示パネルと、液晶表示パネルに使用されるガラス基板と、液晶表示パネルの製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
TFT(Thin Film Transistor)液晶表示パネル等の各種液晶表示パネルは、2枚の基板間に液晶を挟持する。このような液晶表示パネルにおいて、基板間の間隔(ギャップ)は均一であることが好ましい。ギャップが均一でない場合には、表示にむらが生じ、表示品位が低下する。そのため、ギャップを均一にした液晶表示パネルが種々提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1には、第1の基板の機械的強度を、その第1の基板に対向する第2の基板よりも強くし、その第2の基板を第1の基板の反り方向に合わせて形成することで、2枚の基板の反り方向を揃えた表示装置が記載されている。特許文献1に記載された表示装置では、2枚の基板の反り方向を揃えることで、均一なギャップが形成される。
【0004】
また、特許文献2には、中間シートが設けられた下側基板と上側基板との間に液晶層を備えるプラズマアドレス液晶表示装置が記載されている。特許文献2に記載されたプラズマアドレス液晶表示装置において、下側基板として、所定の剛性を有するガラス基板が用いられる。一方、上側基板として、所定の柔軟性を有する高分子フィルムが用いられる。また、下側基板上の中間シートは、極薄のガラス板であり、所定の可撓性を有する。この構成により、特許文献2に記載されたプラズマアドレス液晶表示装置では、下側基板にうねりが生じていたとしても、中間シートおよび上側基板に同様な凹凸変形を生じさせるので、ギャップを均一に制御することができる。
【0005】
また、ガラス板の製造方法として種々の方法が知られている。例えば、特許文献3には、フロート法が記載されている。フロート法でガラス板を製造する一般的な板ガラス製造装置は、溶融金属(例えば、溶融スズ)で満たされた浴槽(以下、溶融スズ浴と記す。)と、その溶融スズと接する雰囲気を還元状態に保つ溶融スズ上部構造と、溶融スズ浴と溶融スズ上部構造の間に設置されるサイドシーリング壁とを備える。フロート法による板ガラスの製造では、このような板ガラス製造装置に溶融ガラスを連続的に流し入れ、サイドシーリング壁を取り外した部分から挿入したロール(アシストロールと呼ばれる。)によって延伸力を与えながら、所望の厚さや幅のリボン状のガラス板を形成する。フロート法では、リボン状のガラス板を板ガラス製造装置から横向きに延伸させて引き出す。また、フロート法以外の製造方法として、リボン状のガラス板を縦方向に延伸させて引き出す縦引き製法も知られている。以下、リボン状のガラス板を板ガラス製造装置から引き出す方向を延伸方向と記す。
【0006】
フロート法等で製造されたリボン状のガラス板は、ガラスリボンと呼ばれる。ガラスリボンからガラス板を切り出すことを採板という。また、ガラスリボンから切り出され、研磨等の加工がなされていないガラス板を素板と呼ぶ。素板に対して研磨等の加工を行い、その加工後のガラス板同士を対向させて、液晶表示パネル等の製品が形成される。なお、ガラス板同士を対向させるときに複数の製品を形成し、個々の製品を切り出すことを多面取りという。多面取りにより、液晶表示パネルを製造することが一般的である。
【0007】
図6は、ガラスリボンおよび素板の例を示す説明図である。図6(a)は、板ガラス製造装置から引き出されたガラスリボンを示す。図6(b)に示すように、ガラスリボン90から、種々の大きさの素板91〜93が採板される。この結果、図6(c)に示すように、素板91〜93が得られる。なお、ガラスリボンからの素板の採板態様は特に限定されない。例えば、図6(b),(c)に示す例では、3種類の大きさの素板を採板する場合を例示しているが、素板の大きさの種類は限定されない。採板する素板の大きさは、製造する液晶表示パネルの大きさや、素板から何個の液晶表示パネルを多面取りするか等に応じて定められる。
【0008】
素板は、研磨等が実施されていない状態であり、また、通常は最終製品となる液晶表示パネルよりも大きい。素板に研磨等の加工を施して、液晶表示パネル用のガラス基板とし、2枚のガラス基板にTFT、電極、カラーフィルタ等を配置して、複数の液晶表示パネルを形成する。そして、多面取りの工程で、個々の液晶表示パネルを切り出す。図7は、2枚のガラス基板から製造された複数の液晶表示パネルを個々の液晶表示パネルに分割する多面取りの工程を模式的に示す説明図である。図7(a)は、素板を加工したガラス基板間に液晶等を配置することによって生成された液晶表示パネルの集合体100を示す。この集合体100から、各液晶表示パネル101を切り出すことによって、図7(b)に示すように、個々の液晶表示パネル101が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−83885号公報(段落0010、図1)
【特許文献2】特開平7−43693号公報(段落0007,0011、図1)
【特許文献3】特許第4132198号公報(段落0002,0003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
フロート法等によって製造されたガラスリボンには、ガラスリボンの延伸方向に沿った筋目が生じている。筋目とは、ガラス板(ガラスリボン)の延伸方向に垂直な方向における板厚の変動およびうねりに起因して、ガラス板の延伸方向に生じる筋である。この筋目が伸びる方向を筋目方向と呼ぶ。筋目方向は、ガラスリボンの延伸方向と同じ方向である。図8は、ガラスリボンの延伸方向に垂直な方向における板厚の変動やうねりを示す模式図である。また、図9は、ガラスリボン表面の筋目を示す模式図である。
【0011】
図8に示すように、ガラスリボン90の延伸方向に関しては、板厚の変動やガラスリボンのうねりは小さく、ガラスリボン90の延伸方向に垂直な方向に関しては、板厚の変動やガラスリボン90のうねりは相対的に大きい。その結果、ガラスリボン90の表面における山や谷となる部分が筋103として伸びる。この筋103が筋目であり、筋目103の伸びる方向は、ガラスリボン90の延伸方向と同じである。この結果、図9に示すように、ガラスリボン90の表面には延伸方向に沿った筋目103が生じる。なお、図8では、理解を容易にするために、ガラスリボン90の表面の起伏を誇張して図示している。
【0012】
特許文献1に記載された表示装置は、2枚の基板のうちの一方の機械的強度を他方よりも強くし、2枚の基板の反りの方向を合わせることでギャップを均一化している。しかし、図8に例示する筋目103のピッチ(間隔)は基板の反りに比べて小さく、また、ガラスリボン90の表面の起伏もランダムである。そのため、筋目に関しては、2枚の基板間で合わせることは困難であり、ガラス基板に筋目が生じている場合には、特許文献1に記載された技術でセルギャップを均一化することは困難である。
【0013】
また、特許文献2に記載されたプラズマアドレス液晶表示装置では、所定の剛性を有するガラス基板を下側基板とし、下側基板上に、可撓性を有する極薄のガラス板を中間層として配置し、所定の柔軟性を有する高分子フィルムを上側基板とする構成により、中間層および上側基板を下側基板のうねりと同様に変形させている。そして、この変形により、ギャップを均一に制御している。しかし、上述のように、筋目103(図8参照)のピッチは小さいため、下側基板に筋目が生じている場合には、その筋目と同様に上側基板を変形させることは困難であり、特許文献2に記載された技術でセルギャップを均一化することは困難である。
【0014】
筋目103が生じたガラスリボン90(図8、図9参照)から採板した素板を使用して液晶表示パネルを作成する場合には、素板に対して、筋目103がなくなる程度に研磨処理を施し、筋目がなくなったガラス板を用いることにより、均一なギャップの液晶表示パネルを作成することができる。しかし、この場合、研磨処理のための時間を要してしまう。
【0015】
そこで、本発明は、ガラス基板に対する研磨時間を短縮することができ、良好な表示品位を得られる液晶表示パネル、液晶表示パネルの製造方法と、その液晶表示パネルに適用されるガラス基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明による液晶表示パネルは、対向する2枚のガラス基板の間に液晶を挟持する液晶表示パネルであって、2枚のガラス基板のうち一方のガラス基板は、そのガラス基板の短辺の向きに沿った筋目を有し、他方のガラス基板は、そのガラス基板の長辺の向きに沿った筋目を有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明によるガラス基板は、上記の液晶表示パネルで用いられることを特徴とする。
【0018】
また、本発明による液晶表示パネルの製造方法は、2枚のガラス基板間に液晶を挟持する液晶表示パネルの製造方法であって、2枚のガラス基板を対向させる際に、短辺の向きに沿った筋目を有するガラス基板と、長辺の向きに沿った筋目を有するガラス基板とを対向させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ガラス基板に対する研磨時間を短縮することができ、良好な表示品位を得られる
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の液晶表示パネルにおいて対になるガラス基板を示す説明図。
【図2】本発明の液晶表示パネルの構成例を示す模式図。
【図3】本発明の液晶表示パネルの製造方法の例を示すフローチャート。
【図4】長辺筋目および短辺筋目を示す説明図。
【図5】ガラスリボンから長辺筋目の素板および短辺筋目の素板を採板する例を示す説明図。
【図6】ガラスリボンおよび素板の例を示す説明図。
【図7】多面取りの工程を模式的に示す説明図。
【図8】ガラスリボンの延伸方向に垂直な方向における板厚の変動やうねりを示す模式図。
【図9】ガラスリボン表面の筋目を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
以下の説明では、液晶表示パネルがカラー表示を行うTFT液晶表示パネルである場合を例にして説明するが、本発明は、TFT液晶表示パネル以外の液晶表示パネルにも適用可能である。また、モノクロ(monochrome)表示を行う液晶表示パネルにも適用可能である。
【0022】
図1は、本発明の液晶表示パネルにおいて対になるガラス基板を示す。第1のガラス基板10には、TFT、表示電極、ソース配線、ゲート配線等(図示略)が配置される。また、第2のガラス基板20には、カラーフィルタとなる色材膜やコモン電極等(図示略)が配置される。第1のガラス基板10および第2のガラス基板20が、液晶(図示略)を挟持して対向することにより、液晶表示パネルが形成される。
【0023】
ただし、第1のガラス基板10と第2のガラス基板20とは、互いの筋目方向が直交するように対向する。すなわち、第1のガラス基板10の筋目方向と、第2のガラス基板20の筋目方向とが直交するように対向する。
【0024】
換言すれば、対向する2枚のガラス基板の一方は、短辺の向きに沿った筋目を有し、もう一方は、長辺の向きに沿った筋目を有しているということができる。
【0025】
互いの筋目方向が直交するように第1のガラス基板10および第2のガラス基板20が対向することにより、ガラス基板10,20間のギャップのばらつきのランダム性が高まる。その結果、ギャップのばらつきが目立たなくなり、良好な表示品位が得られる。すなわち、筋目の存在によりギャップの大きな領域とギャップの小さな領域とが存在することになるが、筋目方向が直交しているので、それらの各領域は、それぞれ面積が非常に小さな領域として分散して存在することになる。ギャップの大きな領域およびギャップの小さな領域がそれぞれある程度の面積を有していれば、表示むらが目立つことになるが、ギャップの大きな領域およびギャップの小さな領域がそれぞれ面積が非常に小さな領域として分散して存在していることにより、ギャップが均一でなくても、表示むらの目立たない良好な表示品位が得られる。
【0026】
図2は、本発明の液晶表示パネルの構成例を示す模式図である。本発明の液晶表示パネルは、上記のように、互いの筋目方向が直交するように対向する第1のガラス基板10と第2のガラス基板20とを備える。
【0027】
第1のガラス基板10上には、TFT12と、表示電極11とが設けられ、表示電極11上には配向膜13が形成される。従って、第1のガラス基板10は、TFT用ガラス基板ということができる。TFT12と表示電極11とは一対一に対応し、各表示電極11の存在位置が液晶表示パネルにおける画素となる。また、各TFT12には、ソース配線およびゲート配線(図示略)が接続される。表示電極11は、ソース配線およびゲート配線によってTFT11に供給される電圧に応じて、電圧を制御される。
【0028】
第2のガラス基板20上には、カラーフィルタとなる色材膜21R,21G,21Bと、ブラックマトリクス22とが設けられる。従って、第2のガラス基板20は、カラーフィルタ用ガラス基板ということができる。また、色材膜21R,21G,21Bおよびブラックマトリクス22を覆うように保護膜23が形成され、保護膜23上にコモン電極24および配向膜25が形成される。
【0029】
色材膜21R,21G,21Bは、それぞれ所定の色の光のみを通過させるカラーフィルタである。色材膜21Rは、赤色光のみを通過させ、色材膜21Gは、緑色の光のみを通過させ、色材膜21Bは、青色の光のみを通過させる。色材膜21R,21G,21Bは、それぞれ表示電極11と重なるように配置される。この結果、赤色の画素、緑色の画素および青色の画素の組み合わせができ、この画素の組み合わせにより、多様な色の表示が実現され、画像のカラー表示が可能となる。
【0030】
色材膜21R,21G,21B、および表示電極11の配置をより詳しく説明する。表示電極11を第1の基板10に配置し、色材膜21R,21G,21Bを第2の基板20に配置するときには、第1の基板10の筋目方向と第2の基板20の筋目方向とが直交するように第1の基板10および第2の基板20を対向させたときに、色材膜21R,21G,21Bの配置位置と、各表示電極11の配置位置とが重なるように、色材膜21R,21G,21B、および表示電極11を配置する。
【0031】
ブラックマトリクス22は、画素間の光漏れを防止する。保護膜23は、色材膜21R,21G,21Bおよびブラックマトリクス22を保護する。
【0032】
コモン電極23は、各表示電極11と対向する電極である。コモン電極23は、液晶表示パネルに接続されるコモン電極ドライバ(図示せず)によって一定の電圧に維持される。
【0033】
また、液晶表示パネルは、基板10,20間に液晶31を挟持し、液晶31を封止するシール材30を備える。
【0034】
各配向膜13および配向膜25はラビング処理され、ラビングされた方向に液晶の方向を揃える。各配向膜13および配向膜25によって液晶の方向が定められた状態から、表示電極11の電圧が制御されることにより、表示電極11とコモン電極24との間の液晶に電圧が印加され、液晶の状態が変化する。画像データに応じて、各画素における液晶状態を変化させることで、画像(図2に示す例ではカラー画像)が表示される。
【0035】
図2に例示する液晶表示パネルにおいて、第1の基板10の筋目方向と、第2の基板20の筋目方向とが直交するように、第1の基板10および第2の基板20が配置される。このような構成により、既に説明したように、ギャップの大きな領域およびギャップの小さな領域がそれぞれ面積の非常に小さな領域として分散して存在することになるので、表示むらの目立たない良好な表示品位が得られる。
【0036】
また、第1の基板10および第2の基板20に筋目が存在していても、良好な表示品位が得られるので、ガラスリボンから採板した素板に対する研磨量は少なくて済む。従って、素板加工時における研磨処理の時間を短くすることができる。
【0037】
次に、本発明の液晶表示パネルの製造方法について説明する。図3は、本発明の液晶表示パネルの製造方法の例を示すフローチャートである。最初に、ガラスリボンから、同じ大きさの長辺筋目の素板と、短辺筋目の素板とを採板する(ステップS1)。図4は、長辺筋目および短辺筋目を示す説明図である。長辺筋目とは、図4(a)に示すように、ガラス板の長手方向(すなわち、長辺の向き)に沿った筋目である。また、短辺筋目とは、図4(b)に示すように、ガラス板の短辺の向きに沿った筋目である。
【0038】
図5は、ステップS1において、ガラスリボンから長辺筋目の素板および短辺筋目の素板を採板する例を示す説明図である。図5に示すように、長辺の向きがガラスリボン40の延伸方向と同じになる矩形の素板41を、長辺筋目の素板として採板し、短辺の向きがガラスリボン40の延伸方向と同じになる矩形の素板42を、短辺筋目の素板として採板してもよい。ただし、図5は、ステップS1における採板方法の例示であり、他の方法で採板をおこなってもよい。例えば、ガラスリボン40から長辺筋目の素板を採板し、その素板を長辺に垂直に分割すると、短辺筋目の素板が得られる場合がある。このように、採板した素板を分割して、所望の筋目の素板を切り出してもよい。
【0039】
また、ステップS1で用いるガラスリボンは、例えば、フロート法により生成したガラスリボンを用いればよいが、フロート法以外の方法(例えば縦引き製法等)で生成したガラスリボンを用いてもよい。
【0040】
ステップS1の後、切り出した長辺筋目の素板41および短辺筋目の素板42に対して、面取りや研磨等の加工を施す(ステップS2)。ただし、研磨処理では、筋目がなくなる程度まで研磨しなくてもよく、ステップS2の加工後のガラス板に、長辺筋目や短辺筋目が残っていてもよい。
【0041】
続いて、ステップS2によって得られた長辺筋目のガラス板および短辺筋目のガラス板に、各種部材を形成する(ステップS3)。すなわち、長辺筋目のガラス板および短辺筋目のガラス板のいずれか一方を、第1のガラス基板10(図2参照)とし、他方を第2のガラス基板20(図2参照)とする。長辺筋目のガラス板および短辺筋目のガラス板のどちらを、第1のガラス基板10としてもよい。そして、第1のガラス基板10には、TFT12および表示電極11との組み合わせを、例えば、マトリクス状に複数配置して表示電極11上に配向膜13を形成する。また、第2のガラス基板20には、色材膜21R,21G,21Bおよびブラックマトリクス22を形成し、その上層に保護膜23を形成する。このとき、第1の基板10の筋目方向と第2の基板20の筋目方向とが直交するように第1の基板10および第2の基板20を対向させたときに、色材膜21R,21G,21Bの配置位置と、各表示電極11の配置位置とが重なるように、色材膜21R,21G,21B、および表示電極11を配置する。また、第2の基板20に形成した保護膜23上には、コモン電極24を形成し、さらにその上層に配向膜25を形成する。各配向膜13および配向膜25にはラビング処理を行う。
【0042】
また、ステップS3では、液晶表示パネルの多面取りができるように、第1のガラス基板10および第2のガラス基板20に対して、複数個の液晶表示パネル分だけ、部材を配置する。
【0043】
ステップS3の後、第1の基板10および第2の基板20のいずれか一方または両方に、シール材30(図2参照)を形成し、第1の基板10の筋目と、第2の基板20の筋目とが直交するように、第1の基板10および第2の基板20を対向させる(ステップS4)。この結果、複数の空セルがガラス基板10,20で連結した状態の空セルの集合体が得られる。ステップS4に続いて、個々の液晶表示パネル(この時点では空セル)を切り出す(ステップS5)。すなわち、空セルの多面取りを行う。続いて、個々の空セルに対して液晶を注入する(ステップS6)。
【0044】
以上の処理により、第1の基板10の筋目方向と第2の基板20の筋目方向とが直交する液晶表示パネルが複数個得られる。上記のように、この液晶表示パネルでは、良好な表示品位を実現することができる。また、ステップS2における研磨処理の時間は短くて済む。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、ガラス基板間に液晶を挟持する液晶表示パネルに好適に適用可能である。
【符号の説明】
【0046】
10 第1のガラス基板
11 表示電極
12 TFT
13,25 配向膜
20 第2のガラス基板
21R,21G,21B 色材膜(カラーフィルタ)
22 ブラックマトリクス
23 保護膜
24 コモン電極
30 シール材
31 液晶
40 ガラスリボン
41 長辺筋目の素板
42 短辺筋目の素板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する2枚のガラス基板の間に液晶を挟持する液晶表示パネルであって、
前記2枚のガラス基板のうち一方のガラス基板は、当該ガラス基板の短辺の向きに沿った筋目を有し、
他方のガラス基板は、当該ガラス基板の長辺の向きに沿った筋目を有する
ことを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶表示パネルで用いられることを特徴とするガラス基板。
【請求項3】
2枚のガラス基板間に液晶を挟持する液晶表示パネルの製造方法であって、
2枚のガラス基板を対向させる際に、短辺の向きに沿った筋目を有するガラス基板と、長辺の向きに沿った筋目を有するガラス基板とを対向させる
ことを特徴とする液晶表示パネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−197402(P2011−197402A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64110(P2010−64110)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】