説明

液晶表示装置、及び液晶装置の駆動方法

【課題】視野角特性を改善しつつ、表示品質を向上させることができる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】入力画像データに基づく画像を基に駆動電圧を生成し、この駆動電圧を液晶画素に印加することで画像を表示する液晶表示装置において、サブフレームを表示するためのサブフレームデータを生成するに際し、サブフレームデータ生成手段は、サブフレームデータ間の輝度値が異なるよう該サブフレームデータの階調を変化させて生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置の駆動に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置の駆動方法としては、ホールド型が広く知られている。ホールド型の駆動方式では、1フレーム周期に1回だけ電圧を印加し、その状態を次のフレームまで維持するものである。ホールド型の駆動方法を視野角の悪い例えばTN(Twisted Nematic)型の液晶と組み合わせた場合、その視野角特性の悪さが顕著となる。つまり、ホールド型の液晶表示装置では、1走査期間に渡って液晶の分子配列が保持されるため、この分子間を透過する光の光路が一定の角度で固定されてしまう。そのため、視認者側から見て、視認できる視野角が固定されてしまう。
【0003】
また、ホールド型の液晶表示装置では、各液晶画素に与えられる画像データに対する信号周波数の応答特性が、高域で低下する低域通過型の特性を有する。そのため、表示される画像の空間周波数特性が低下し、動画像のボケが生じる結果となる。
【0004】
温度変化に起因して液晶の色再現性が悪くなるのを防止するため、画像データを第一,第二のサブフレームにより構成し、第一のサブフレームの元となる第1パルス信号は、液晶を駆動させない電圧値を備える技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、液晶表示装置に適応できる技術ではないが、プラズマディスプレイ装置において、フレームを複数のサブフレームに分割して、階調表示を劣化させることなく表示する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
さらに、フレームをサブフレームに分割した際に発生する擬似輪郭を低減させる技術が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0007】
また、フレームをサブフレームに分割するとともに、いずれかのサブフレーム期間に単色(白又は黒)画像を表示させて、画質の向上を図る技術が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
【0008】
さらに、フレームをサブフレームに分割して、画面の乱れや偏向素子の安定動作を実現する技術が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。
【特許文献1】特開2004−69788号公報
【特許文献2】特開2001−75530号公報
【特許文献3】特開2006−292972号公報
【特許文献4】特開2006−243422号公報
【特許文献5】特開2005−156723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した特許文献1〜5の発明は、液晶表示装置における視野角特性を改善する旨の記載がなく、よって、視野角特性を改善させるものではない。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、視野角特性を改善しつつ、表示品質を向上させることができる液晶表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の一局面では、入力画像データに基づく画像を基に駆動電圧を生成し、この駆動電圧を液晶画素に印加することで画像を表示する液晶表示装置において、1つのフレームデータが表示される期間内に表示される複数のサブフレームデータを、前記フレームデータに基づいて生成するサブフレームデータ生成手段と、前記生成されたサブフレームデータをディジタル/アナログ変換して前記駆動電圧を生成する駆動電圧生成手段とを有し、前記サブフレームデータ生成手段は、前記サブフレームデータ間の輝度値が異なるよう該サブフレームデータの階調を変化させて生成する。
【0012】
上記のように構成された発明では、1つのフレームデータが表示される期間内に表示される複数のサブフレームデータ生成し、生成されたサブフレームデータをディジタル/アナログ変換して液晶画素を駆動するための駆動電圧を生成する液晶表示装置に関するものである。この液晶表示装置では、サブフレームデータを生成するに際し、サブフレームデータ間の輝度値が異なるよう該サブフレームデータの階調を変化させて生成する。
そのため、1フレーム周期内に表示される各サブフレームの元となる駆動電圧の電圧値が変化することで、この駆動電圧を印加された液晶の分子配列が1フレーム期間内で変化し、液晶画素を透過する光の光路が所定角度内で変化する。そのため、視野角特性を向上させて表示品質を向上させることができる。
ここで、入力画像データとは、画像を表示するための元となる階調データのみならず、その画像を組み立てるための各種同期信号を含むものである。
【0013】
好ましくは、前記サブフレームデータ生成手段は、前記サブフレームデータ間の表示周期を異ならせて該サブフレームデータを生成する。
上記のように構成された発明では、サブフレームデータ間の表示周期を異ならせて生成するため、画素にサブピクセルを配置した場合と同等の効果を得ることができる。つまり、同じ階調レベルでのサブフレームデータの表示周期を増加させれば、1フレーム周期に表示される画像の階調を擬似的に増加させることができるため、少ない階調レベルでも所望とする階調を表現することが可能となる。その結果として、回路の構成を簡略化することが可能となり、コストを下げることができる。
ここで、階調レベルとは、階調値の数を意味する。また、少ない階調レベルとは、256階調以下の階調数を意味し、より具体的には、1〜4程度の階調数である。
【0014】
上記した、サブフレームデータにおける周期変化の具体的な一例として、好ましくは、前記サブフレームデータ生成手段は、前記サブフレームデータ間の表示周期の比が2の倍数で増加するよう、該サブフレームデータを生成する。
【0015】
好ましくは、前記サブフレームデータ生成手段は、前記液晶画素の応答時間が悪くならないよう前記サブフレームデータの表示周期と階調値とを組合せて該サブフレームデータを生成する。
上記のように構成された発明では、応答時間の悪い組合せを除くことができるため、液晶画素の応答時間を向上させることができる。
【0016】
好ましくは、前記サブフレームデータ生成手段は、前記駆動電圧が信号幅の狭いパルス状の波形となるよう、該サブフレームデータを生成する。
上記のように構成された発明では、パルス状の駆動電圧を液晶画素に印加して、液晶画素を駆動させるため、画像データのボケを防止することができる。
【0017】
また、本発明の他の局面として、液晶表示装置の駆動方法にも応用することができる。そのため、入力画像データに基づく画像を基に駆動電圧を生成し、この駆動電圧を各画素に印加することで画像を表示する液晶表示装置の駆動方法において、1つのフレームデータが表示される期間内に表示される複数のサブフレームデータを、前記フレームデータに基づいて生成するに際し、該サブフレームデータ間の輝度値が異なるよう階調を変化させて生成し、前記生成されたサブフレームデータをディジタル/アナログ変換して前記駆動電圧を生成する。
【0018】
本発明の他の局面として、前記サブフレームデータ生成手段は、前記サブフレームデータ間の表示周期をその表示周期の比が2の倍数で増加するよう異ならせ、前記駆動電圧が信号幅の狭いパルス状の波形となるよう、該サブフレームデータの階調を表す階調データを変更し、且つ、前記サブフレームデータの表示周期と階調値とを前記液晶画素の応答時間が悪くならないよう組合せて、該サブフレームデータを生成する構成としてある。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、視野角特性を向上させて表示品質を向上させることができる。
また請求項2,3にかかる発明によれば、少ない階調レベルでも所望とする階調を表現することが可能となる。その結果として、回路の構成を簡略化することが可能となり、コストを下げることができる。
そして請求項4にかかる発明によれば、応答時間の悪い組合せを除くことができるため、液晶画素の応答時間を向上させることができる。
さらに請求項5にかかる発明によれば、画像データのボケを防止することができる。
さらに請求項7のような、より具体的な構成において、上述した請求項1〜請求項5の各発明と同様の作用を奏することはいうまでもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。なお、図中、同等及び同じ部位には同符号を用い、その説明は繰返さない。
1.第1の実施形態:
1.1.液晶表示装置の構成:
1.2.液晶表示装置の駆動方法:
1.3.サブフレームにおける表示周期と電圧レベルとの対応関係:
【0021】
1.第1の実施形態
1.1.液晶表示装置の構成
本発明に係る液晶表示装置は、入力画像データを取得して、この入力画像データに基づいて画面を構成する液晶画素を駆動するものである。このとき、液晶表示装置100は、入力画像データにおける1つのフレームデータから複数のサブフレームデータを生成する。このサブフレームデータにより生成されるサブフレームは、1フレーム周期に全てのサブフレームが表示され、結果として元となるフレームの階調に相等する擬似階調を表現する。また、生成される各サブフレームデータはサブフレームごとに輝度値が異なり、1フレーム周期における液晶の配列が変化することで画面における視野角特定を向上させる。
【0022】
図1は、一例としての液晶表示装置のブロック構成図である。液晶表示装置100は、駆動画像データ生成部10(サブフレームデータ生成手段)と、データ線ドライバー20と、走査線ドライバー30と、液晶パネル40とで構成されている。液晶表示装置100では、駆動画像データ生成部10が外部機器(図示しない)から入力された入力画像データを基にサブフレームデータからなる画像信号を生成し、データ線ドライバー20と走査線ドライバー30とに出力する。データ線ドライバー20と走査線ドライバー30とは、液晶パネル40の液晶画素を所定周期で水平走査して、液晶パネル40に画像を表示させる。
【0023】
駆動画像データ生成部10は、入力画像データにおける1フレーム周期に表示されるフレームの元となるフレームデータから、表示周期と、階調値(輝度値)とがそれぞれ異なる複数のサブフレームデータを生成する。そのため、駆動画像データ生成部10は、入力処理部11と、サブフレーム生成部12と、メモリ13と、フレームメモリ14と、階調変換部15と、駆動タイミング制御部16とで構成されている。
【0024】
入力処理部11は、外部機器(図示しない)から入力されたディジタルの入力画像データを取得して、サブフレーム生成部12に出力する。例えば、入力処理部11は、外部機器からディジタルの入力画像データを取得するインターフェースである。ここで、入力画像データとは、画像を表す階調データだけでなく、入力画像データを組み立てるための垂直同期信号Vsynや、水平同期信号Hsynをも含む。また、外部機器とは、録画再生装置や、PC等の個別の装置のみを意味するのではなく、本液晶表示装置100の駆動と直接関係を持たない部位をも含む。その一例としては、駆動画像データ生成部10の前段で、入力画像データに対して画像処理を実行する画像処理回路が挙げられる。
【0025】
サブフレーム生成部12は、入力処理部11を介して入力された入力画像データから、フレームデータをサンプリングし、このフレームデータから複数のサブフレームデータを生成する。また、サブフレーム生成部12は、生成したサブフレームデータをフレームメモリ14に記憶する。ここで、フレームデータとは、垂直同期期間で規定される、動画を構成する単位となる静止画のデータである。つまり、垂直同期信号Vsynが60Hzである場合は、1フレーム周期である60Hz(16.7ms)ごとに画面に表示される画像の元となるデータである。また、生成されるサブフレームの数は、任意で設定されるものであり、以後、フレームデータから3つのサブフレームデータを生成するものとして説明を行なう。
【0026】
メモリ13には、生成されたサブフレームデータの階調値(輝度値)及び表示周期を変換するための各種テーブルが記憶されている。メモリ13は、例えば、ROM(Read-only memory)等の半導体メモリにより構成されている。このメモリ13には、サブフレームデータの階調値及び表示周期とを変換するための各種テーブルが記憶されている。具体的には、メモリ13には、サブフレームデータの階調値を変換するための階調値変換テーブル200や、サブフレームデータの表示周期を変換するための駆動タイミング変換テーブル300が記憶されている。
【0027】
フレームメモリ14は、生成されたサブフレームデータを一次記憶する。フレームメモリ14は、例えば、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリにより構成されている。フレームメモリ14は、生成されたサブフレームを駆動画像データ生成部10内の各部で出し入れするためのバッファとしての効果を有する。
【0028】
階調変換部15は、サブフレームデータの1フレームにおける表示和がその元となるフレームデータの階調値と等しくなるよう、各サブフレームデータの階調値を変換する。ここで、表示和とは、1フレーム周期で各サブフレームを表示した際、視認される階調値又は輝度値の意味である。階調変換部15は、階調値変換テーブル200を参照して、フレームメモリ14に記憶された各サブフレームデータの階調を変換する。この階調値変換テーブル200で変換される階調値は、各サブフレームの表示和で元となるフレームの階調(輝度)が擬似的に表現されるものである。なお、複数のサブフレームにより擬似的に表現されるフレームの階調は、各サブフレームの階調値のみで決定されるものではなく、後述する各サブフレームデータの表示周期と関係性を伴うものである。
【0029】
図2は、一例としての階調値変換テーブルを説明するための図である。階調値変換テーブル200には、元となるフレームデータの階調値に対応させて、各サブフレームデータ(Sub1〜Sub3)の階調値が記憶されている。サブフレーム生成部12は、1つのフレームデータから同一の階調値を有する3つのサブフレームデータを生成するため、この段階では元となるフレームデータの階調値はサブフレームデータの階調値と同値である。そのため、階調変換部15は、サブフレームデータの階調値を検出し、この値に基づいて各サブフレームデータの階調値を変換するものでもよい。また、階調値変換テーブル200に記憶される各階調値は、サブフレームデータごとに輝度値が異なるよう記録されている。輝度値Yは、例えば、RGBの階調値から以下の式(1)により算出することができる。
Y=0・299R+0.114B+0.587G …(1)
そのため、サブフレームデータにおけるRGBの各階調値をその輝度値が異なるよう式(1)に照らし合わせて選定してもよい。
【0030】
階調変換部15は、この階調値変換テーブル200を参照して、サブフレームデータの階調値の変換を行なう。その一例として、サブフレーム電圧(後述)の電圧レベルの数が黒レベル又は白レベルの2パターンとなるようその階調値を変更する。ここで、電圧レベルの数とは、ディジタル/アナログ変換された電圧値の数を言い、本実施形態では、サブフレーム電圧の電圧値の数である。また、黒レベルとは、液晶画素の光の透過率が0%に近くなるときの印加電圧の値である。同様に、白レベルとは、液晶画素の光の透過率が100%に近くなるときの印加電圧の値である。なお、具体的な、フレームデータの階調値とサブフレームデータの階調地との関係は、1.3.サブフレームにおける表示周期と電圧レベルとの対応関係:にて後述する。
【0031】
駆動タイミング制御部16は、各サブフレームデータの表示周期を変換する。駆動タイミング制御部16は、駆動タイミング変換テーブル300を参照して、フレームメモリ14に記憶されたサブフレームデータの表示周期を変換する。具体的には、サブフレームデータにおける垂直同期信号Vsynと水平同期信号Hsynを、各サブフレームデータの同期信号を示すVsynsubとHsynsubとに変換するものである。なお、変換後の各サブフレームデータは、サブフレームデータ(Sub1〜Sub3)の順序で画面に表示されるため、変換後の各垂直同期信号と水平同期信号とは上記した表示順序を満たすものである。
【0032】
駆動タイミング制御部16が生成する、VsynsubとHsynsubの一例として、ラッチパルス(以後、LPと記載)と、データ線ドライバー用スタートパルス(以後DSPと記載)と、走査線ドライバー用スタート信号(以下、SSPと記載)と、走査線ドライバー用クロック信号(以下、SCKと記載)を挙げることができる。
【0033】
図3は、一例としての駆動タイミング変換テーブルを説明するための図である。駆動タイミング変換テーブル300には、元となるフレームデータの垂直同期信号Vsynと水平同期信号Hsynとに対応させて、各サブフレームデータの垂直同期信号Vsynsubと水平同期信号Hsynsubとが記憶されている。なお、その一例として、図には、上記したLPと、DSPと、SSPと、SCKとが記憶されている。また、変換前のサブフレームデータは、垂直同期信号Vsynの値と水平同期信号Hsynとの値とが元となるフレームデータと同値であり、駆動タイミング制御部16は、サブフレームデータの垂直同期信号Vsynsubと水平同期信号Hsynsubとを参照し、参照値により特定される駆動タイミング変換テーブル300の値に基づいて変換してもよい。なお、具体的な、フレームデータの階調値とサブフレームデータの階調地との関係は、1.3.サブフレームにおける表示周期と電圧レベルとの対応関係:にて後述する。
【0034】
データ線ドライバー20は、駆動画像データ生成部10が生成した、サブフレームデータをディジタル/アナログ変換してサブフレーム電圧Vsubを生成する。データ線ドライバー20は、標本化メモリと、保持メモリと、出力回路部とで構成されている。駆動タイミング制御部16から出力された各サブフレームデータは、ラッチパルスLPの入力タイミングに同期して、標本化メモリに記憶されていく。標本化メモリに全てのサブフレームデータが記憶された後、DSPが出力されると、標本化メモリに記憶されたサブフレームデータは一斉に保持メモリに記憶される。その後、サブフレームデータは出力回路部に送信されて、階調電圧を基に、サブフレーム電圧Vsubとしてディジタル/アナログ変換される。なお、このサブフレーム電圧Vsubは、サブフレーム信号の階調値に対応させて生成された電圧を備えており、輝度値が異なるサブフレームを表示するものである。また、出力回路部は、データ線ドライバー20の各出力端子D(i)からデータ線DL(i)を介してサブフレーム電圧Vsubを薄膜トランジスタQ(後述)のソース電極に供給する。
【0035】
走査線ドライバー30は、駆動画像データ生成部10が生成した同期信号に基づいて、アナログ画像データを印加する画素列を選択するためのゲート信号を生成する。このゲート信号は、液晶パネル40を、各サブフレームにおける水平同期信号Hsynsubに同期させて水平走査させるためのものである。そのため、サブフレームの表示周期は、このゲート信号をサブフレームデータの走査線数で乗した値である。
【0036】
走査線ドライバー30は、n段のシフトレジスタと、ゲート信号を出力するレベル変換機とで構成されている。駆動タイミング制御部16から供給されたSSPと、SCKとがシフトレジスタに入力されると、シフトレジスタは、SCKの立ち上がりでSSPを取り込み、SCKの立下りで先頭ビットをシフトさせていく。シフトレジスタの各ビットは、レベル変換器を介してゲート信号を走査線SL(j)に順次出力する。そのため、データ線ドライバ20と、走査線ドライバ30とで駆動データ生成手段を実現する。
【0037】
液晶パネル40は、アナログ画像データが各画素に印加されることで、画像を表示する。液晶パネル40は、2枚のガラス基板(上面ガラス基板、下面ガラス基板)と、このガラス基板に挟まれる液晶層と、光を偏光する偏光板とで構成されている。上面ガラス基板には、透過した光を、R(レッド),G(グリーン),B(ブルー)の各色に分離するカラーフィルターと、駆動電圧の基準となるコモン電圧Vcomが印加される対向電極とが固着されている。また、下面ガラス基板には、スイッチ素子としての薄膜トランジスタ(TFT:Tin Film Transistor)Qと、薄膜トランジスタQのドレイン電極と接続して、サブフレーム電圧Vsubを印加する表示電極E(i,j)と、データ線ドライバー20の各出力端子S(i)と薄膜トランジスタQのソース電極とを繋ぐデータ線DL(i)と、走査線ドライバー30の各出力端子S(j)と薄膜トランジスタQのゲート電極とを繋ぐ走査線SL(j)とが固着している。
【0038】
1.2.液晶表示装置の駆動方法:
以下に上記構成の液晶表示装置の駆動を説明する。
外部機器から入力画像データが入力されると、駆動画像データ生成部10は、サブフレーム信号と、各サブフレーム信号に対応した同期信号であるLPと、DSPと、SSPと、SCKとを生成する。また、走査線ドライバー30は、SSPと、SCKに基づいて、Hsynsbuに同期したゲート信号を生成する。そして、データ線ドライバー20は、サブフレーム信号と、LPと、DSPとを用いてサブフレーム電圧Vsubを生成し、ゲート信号の出力に同期させて、特定の画素列にサブフレーム電圧Vsubを印加していく。そのため、液晶パネル40には、Vsynsubに同期してサブフレームが表示されていく。
【0039】
図4は、液晶パネルにおける各サブフレームの表示周期を説明する図である。図4に示すように、本実施形態では、1フレーム周期を3つのサブフレーム周期(Fsub1,Fsubu2,Fsub3)に分割するとともに、各サブフレーム周期に、表示周期と輝度値とが異なるサブフレームを表示する。このとき、各サブフレームにおける表示周期は、サブフレーム1からサブフレーム3に移行するに従い増加していく。その一例として、各サブフレーム(Sub1〜Sub3)の表示周期の比が2の倍数となるよう増加していく。また、各サブフレームの輝度は、その1フレーム周期における表示和が元となるフレームの輝度と等しくなるよう前記したテーブルに記憶された値から規定される。
【0040】
上記した説明から、各サブフレームにより表現される階調値(輝度値)が異なるため、1フレーム期間において、液晶の分子配列が変化する。そのため、バックライト等から照射される光の光路が所定角度範囲で変化し、視認される光が透過する角度が変化する。そのため、液晶パネル40における視野角特定を改善することができる。なお、液晶パネル40を視野角特性の悪いTN(Twisted Nematic)型やVA(Vertically Aligned)モードで構成した場合は、視野角特性の改善はより顕著となる。
【0041】
1.3.サブフレームにおける表示周期と電圧レベルとの対応関係:
本発明では、階調値変換テーブル200と、及び駆動タイミング変換テーブル300とに、各サブフレームにおける階調値と、駆動タイミングを示す垂直同期信号Vsynsbuと水平同期信号Hsynsubとを記憶し、各テーブルに記憶された値を組み合わせることで、実行階調レベル(輝度レベル)の数を、少ない電圧レベルの数で表現することができる。ここで、階調レベルの数とは、各サブフレームの表示和における階調(輝度)の数を意味する。例えば、電圧レベルの数を黒レベル又は白レベルの2つのパターンで表現することもでき、この場合、サブフレーム電圧Vsubの波形は幅の狭いパルス状(いわゆるインパルス波形)となり、画像のボケを改善することができる。
【0042】
具体的には、サブフレームの表示周期を増加させることは、画素におけるサブ画素の開口率を増加させるのと同じ効果がある。そのため、階調値変換テーブル200に記憶された階調値によって規定されるサブフレーム電圧Vsubを、少ない電圧レベルの組合せとした場合でも、駆動タイミング変換テーブル300に記憶された各サブフレームの表示周期を増加させることで、同じ実行輝度を表現することができる。そのため、階調レベルの数を少なくすることが可能となり、回路構成を簡素化することができる。例えば、階調レベルをパラレルの伝送路を用いて伝送する場合は、伝送配線数を少なくすることが可能となり、結果としてコストダウンに繋がる。
【0043】
図5〜7は、各サブフレームにおける、各階調レベルを表示するための電圧レベルと表示周期との関係を説明する図である。なお、前記したように、サブフレームの数を3つとし、各サブフレーム周期は順を追って増加するものとする。同図より、各サブフレームの表示周期の比を2倍ずつ増加させて表示する場合、各サブフレームにおける電圧レベルと階調レベルとの関係は、図5のようになる。この図における、関係を簡略的な式で規定するならば、階調レベルの数Graは、サブフレームの数:n、電圧レベルの数:mとした場合、
Gra=1+Σ2^(iー1)×(m−1) (i=1〜n)…(2)
で表すことができる。今、サブフレームの数:n=3,電圧レベルの数:m=2であるため、式(2)より、
Gra=1+(2^0+2^1+2^2)×(2−1)=8
となる。つまり、3つのサブフレームの表示周期を変化させることで、2パターンの電圧レベルを用いても、8パターンの階調レベルを表現することが可能となる。
【0044】
同様に、図6(a)に示すように、サブフレームの数:n=2とし、電圧レベルの数:m=2とした場合、式(2)より、
Gra=1+(2^0+2^1)×(2−1)=4
となり、2パターンの電圧レベルを用いても、4パターンの階調レベルを表現することが可能となる。このとき、図6(b)に示すように、電圧レベルの数:m=3とすれば、式(2)より、
Gra=1+(2^0+2^1)×(3−1)=7
となり、3パターンの電圧レベルを用いて、7パターンの階調レベルを表現することが可能となる。
【0045】
さらに、図7に示すように、サブフレームの表示周期の比を2倍ずつ増加させない場合である場合、階調レベルの数Graは、下記の式(3)を用いて近似的に表現することができる。
Gra=(n+1)×(m+1) …(3)
そのため、サブフレーム数n:2、電圧レベルの数:m=3とした場合、
Gra=(2+1)×3=9
つまり、3パターンの電圧レベルを用いて、9パターンの階調レベルを表現することが可能となる。
【0046】
さらに、各サブフレームは、所定階調を表示周期と少ない電圧レベル(階調レベル)の階調値との組合せにより表示することができるため、液晶の応答特性が悪い階調変化を応答特性が良い階調変化で置き換えることができ、液晶の応答特性を改善することができる。図8は、液晶画素の応答特性を示すレスポンステーブルである。同図より、テーブルにおける実践で囲んだ領域は、応答特性の悪い領域である。図8に示す、応答特性の悪い階調変化を、サブフレームの表示周期と階調値との組合せにより、応答特性の良い階調変化に置き換えれば、液晶の応答特性を向上させることが可能となる。
【0047】
以上説明したように、サブフレームデータを生成するに際し、サブフレームデータ間の輝度値が異なるよう該サブフレームデータの階調を変化させて生成するため、視野角特性を向上させて表示品質を向上させることができる。
【0048】
なお、本発明は上記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。当業者であれば言うまでもないことであるが、
・上記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって上記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が上記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】一例としての液晶表示装置のブロック構成図である。
【図2】一例としての階調値変換テーブルを説明するための図である。
【図3】一例としての駆動タイミング変換テーブルを説明するための図である。
【図4】液晶パネルにおける各サブフレームの表示周期を説明する図である。
【図5】各サブフレームにおける、特定の各階調レベルを表示するための電圧レベルと表示周期との関係を説明する図である。
【図6】各サブフレームにおける、特定の各階調レベルを表示するための電圧レベルと表示周期との関係を説明する図である。
【図7】各サブフレームにおける、特定の各階調レベルを表示するための電圧レベルと表示周期との関係を説明する図である。
【図8】液晶画素の応答特性を示すレスポンステーブルである。
【符号の説明】
【0050】
10…駆動画像データ生成部、11…入力処理部、12…サブフレーム生成部、13…メモリ、14…フレームメモリ、15…階調変換部、16…駆動タイミング制御部、20…データ線ドライバー、30…走査線ドライバー、40…液晶パネル、100…液晶表示装置、200…階調値変換テーブル、300…駆動タイミング変換テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像データに基づく画像を基に駆動電圧を生成し、この駆動電圧を液晶画素に印加することで画像を表示する液晶表示装置において、
1つのフレームデータが表示される期間内に表示される複数のサブフレームデータを、前記フレームデータに基づいて生成するサブフレームデータ生成手段と、
前記生成されたサブフレームデータをディジタル/アナログ変換して前記駆動電圧を生成する駆動電圧生成手段とを有し、
前記サブフレームデータ生成手段は、前記サブフレームデータ間の輝度値が異なるよう該サブフレームデータの階調を変化させて生成することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記サブフレームデータ生成手段は、前記サブフレームデータ間の表示周期を異ならせて該サブフレームデータを生成することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記サブフレームデータ生成手段は、前記サブフレームデータ間の表示周期の比が2の倍数で増加するよう、該サブフレームデータを生成することを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記サブフレームデータ生成手段は、前記サブフレームデータの表示周期と階調値とを前記液晶画素の応答時間が悪くならないよう組合せて、該サブフレームデータを生成することを特徴とする請求項2又は3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記サブフレームデータ生成手段は、前記駆動電圧が信号幅の狭いパルス状の波形となるよう、該サブフレームデータを生成することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
入力画像データに基づく画像を基に駆動電圧を生成し、この駆動電圧を各液晶画素に印加することで画像を表示する液晶表示装置の駆動方法において、
1つのフレームデータが表示される期間内に表示される複数のサブフレームデータを、前記フレームデータに基づいて生成するに際し、該サブフレームデータ間の輝度値が異なるよう階調を変化させて生成し、
前記生成されたサブフレームデータをディジタル/アナログ変換して前記駆動電圧を生成することを特徴とする液晶表示装置の駆動方法。
【請求項7】
前記サブフレームデータ生成手段は、
前記サブフレームデータ間の表示周期をその表示周期の比が2の倍数で増加するよう異ならせ、
前記駆動電圧が信号幅の狭いパルス状の波形となるよう、該サブフレームデータの階調を表す階調データを変更し、且つ、
前記サブフレームデータの表示周期と階調値とを前記液晶画素の応答時間が悪くならないよう組合せて、該サブフレームデータを生成することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−128826(P2009−128826A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306474(P2007−306474)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】