液晶表示装置
【課題】バックライトの点灯制御を高速化し、遅延の発生を防止することにより、バックライトの点灯制御と液晶パネルの駆動制御との間の同期をとるためのフレームメモリを不要とし、装置の簡略化および低コスト化を実現するとともに、映像の明るさを効果的に高める。
【解決手段】映像を表示する液晶表示装置に設けられたバックライト制御部24が、映像の各領域をそれぞれ照明するバックライトの各領域の第1の輝度を、映像の各領域の輝度の情報に基づいてバックライトの領域ごとに決定し、各領域の第1の輝度に、映像のジャンルに応じて設定された一定倍率を一律に乗算してバックライトの各領域の第2の輝度を設定し、各領域の第2の輝度を用いてバックライトの各領域の点灯を、バックライトの領域ごとに制御する。
【解決手段】映像を表示する液晶表示装置に設けられたバックライト制御部24が、映像の各領域をそれぞれ照明するバックライトの各領域の第1の輝度を、映像の各領域の輝度の情報に基づいてバックライトの領域ごとに決定し、各領域の第1の輝度に、映像のジャンルに応じて設定された一定倍率を一律に乗算してバックライトの各領域の第2の輝度を設定し、各領域の第2の輝度を用いてバックライトの各領域の点灯を、バックライトの領域ごとに制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像を表示する液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、映像の各領域の輝度に応じて、その映像の各領域に対応するバックライトの各領域の輝度を設定することにより、バックライトの電力を削減し、映像のコントラストを高めるローカルディミングと呼ばれる技術が用いられている(特許文献1を参照)。
【0003】
このローカルディミングでは、バックライトにおいて高輝度領域と低輝度領域との間の輝度の差が大きい場合、画面上に輝線が発生する可能性がある。そのため、低輝度領域の輝度を高くすることにより高輝度領域と低輝度領域との間の輝度の差を減らす技術がある(特許文献2を参照)。しかし、この技術では、輝線の発生を抑制することができるものの、映像のコントラストが低くなってしまう。
【0004】
そこで、コントラストの低下を抑制しつつ、領域単位でバックライトの輝度を高める高輝度ローカルディミングの技術が開発されている。図13は、この従来の高輝度ローカルディミングについて説明する図である。この高輝度ローカルディミングでは、まず、映像の各領域の輝度に応じて、その映像の各領域に対応するバックライトの各領域の輝度を設定する。図13(A)には、バックライトの8つの領域(領域1〜8)に対して設定された輝度が示されている。
【0005】
そして、バックライトの各領域の輝度は、それらの合計値が所定値以下となるという条件の下、より高い値に補正される。図13(A)に示す各領域の輝度は、それらの合計値が3600cd/m2(=450cd/m2×8)以下となるという条件の下で、図13(B)に示すように、それぞれ倍の値となるように補正される。ここで、各領域の輝度の合計値を所定値以下にすることは、各領域を点灯させるための電流値の合計を所定値以下にすることに対応する。これにより、バックライトの各領域の輝度を高める際に、電力消費量が非常に大きくなってしまうことを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−286627号公報
【特許文献2】特開2010−244013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した高輝度ローカルディミングでは、電流値の合計が所定の許容電流値を超えないという条件を満たすため、まず、すべての領域の電流値を仮決定し、仮決定した電流値の合計を算出する必要がある。そして、上記所定の許容電流値がその合計の何倍になるかを判定し、さらに、仮決定された各領域の電流値にその倍率を掛け合わせることにより、各領域に配分する電流値を算出する処理が実行される。
【0008】
このように、この高輝度ローカルディミングでは、各領域の電流値の合計を算出する処理がさらに加わるので、バックライトの点灯制御に少なくとも1フレーム分の遅延が生じ、バックライトの点灯制御と液晶パネルの駆動制御との間の同期をとるためにフレームメモリが必要となっていた。また、フレームメモリが必要となることにより、装置構成が複雑になり、装置の製造コストも高くなってしまうという問題もあった。
【0009】
特にユーザがゲームを行う場合には、バックライトの点灯制御の遅延は、ユーザの操作性を著しく低下させるため、遅延は極力無くす必要がある。そこで、映像のコントラストの低下を抑制しつつ、ゲームのリアルタイム性を確保する工夫が求められている。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑み、バックライトの点灯制御を高速化し、遅延の発生を防止することにより、バックライトの点灯制御と液晶パネルの駆動制御との間の同期をとるためのフレームメモリを不要とし、装置の簡略化および低コスト化を実現するとともに、映像の明るさを効果的に高めることができる液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する為に、本発明の第1の技術手段は、映像を表示する液晶表示装置であって、前記映像の各領域をそれぞれ照明するバックライトの各領域の第1の輝度を、前記映像の各領域の輝度の情報に基づいて前記バックライトの領域ごとに決定し、各領域の第1の輝度に、前記映像のジャンルに応じて設定された一定倍率を一律に乗算して前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定し、各領域の第2の輝度を用いて前記バックライトの各領域の点灯を、該バックライトの領域ごとに制御するバックライト制御部、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記バックライト制御部は、前記映像のジャンルがゲームである場合に、前記バックライトの各領域の点灯を、該バックライトの領域ごとに制御することを特徴とする。
【0013】
本発明の第3の技術手段は、第1または第2の技術手段において、前記バックライトの各領域を第1の輝度で点灯させた場合の該バックライトの駆動電流の合計値に対する所定の許容電流値の倍率よりも、前記一定倍率が小さいことを特徴とする。
【0014】
本発明の第4の技術手段は、第1〜第3のいずれか1つの技術手段において、前記バックライト制御部は、自装置周囲の明るさの情報に基づいて設定された一定倍率をさらに前記バックライトの各領域の第1の輝度に一律に乗算して、前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定することを特徴とする。
【0015】
本発明の第5の技術手段は、第1〜第4のいずれか1つの技術手段において、前記バックライト制御部は、入力装置を操作して入力された輝度の設定値の情報に基づいて設定された一定倍率をさらに前記バックライトの各領域の第1の輝度に一律に乗算して、前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定することを特徴とする。
【0016】
本発明の第6の技術手段は、第1〜第5のいずれか1つの技術手段において、前記映像のジャンルに対応付けて該映像のジャンルに対応するAPLの情報を記憶する記憶部をさらに備え、前記バックライト制御部は、前記映像のジャンルに対応するAPLの情報を検索し、検索の結果得られたAPLの情報に基づいて、前記一定倍率を設定することを特徴とする。
【0017】
本発明の第7の技術手段は、第6の技術手段において、前記バックライト制御部は、過去に表示した前記映像のAPLの情報に基づいて前記記憶部に記憶されたAPLの情報を更新することを特徴とする。
【0018】
本発明の第8の技術手段は、第1〜第7のいずれか1つの技術手段において、前記バックライト制御部は、前記映像が、ゲーム用入力端子に入力された映像である場合に、前記一定倍率を1にすることを特徴とする。
【0019】
本発明の第9の技術手段は、第1〜第7のいずれか1つの技術手段において、前記バックライト制御部は、前記映像が、パーソナルコンピュータ用入力端子に入力された映像である場合に、前記一定倍率を1にすることを特徴とする。
【0020】
本発明の第10の技術手段は、第1〜第9のいずれか1つの技術手段において、前記バックライト制御部は、あらかじめ前記映像の画質が設定された映像モードの情報に基づいて設定された一定倍率をさらに前記バックライトの各領域の第1の輝度に一律に乗算して、前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定することを特徴とする。
【0021】
本発明の第11の技術手段は、第10の技術手段において、前記バックライト制御部は、前記映像モードがゲームモードである場合に、前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定することを特徴とする。
【0022】
本発明の第12の技術手段は、第10の技術手段において、前記バックライト制御部は、前記映像モードがパーソナルコンピュータの出力画像表示用モードである場合に、前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定することを特徴とする。
【0023】
本発明の第13の技術手段は、第10の技術手段において、前記バックライト制御部は、前記バックライトの各領域の第2の輝度を前記バックライトの各領域の第1の輝度よりも増加させることを特徴とする。
【0024】
本発明の第14の技術手段は、映像を表示する液晶表示装置であって、前記映像の各領域をそれぞれ照明するバックライトの各領域の第1の輝度を、前記映像の各領域の輝度の情報に基づいて前記バックライトの領域ごとに決定し、各領域の第1の輝度に、自装置周囲の明るさに応じて設定された一定倍率を一律に乗算して前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定し、各領域の第2の輝度を用いて前記バックライトの各領域の点灯を、該バックライトの領域ごとに制御するバックライト制御部、を備えることを特徴とする。
【0025】
本発明の第15の技術手段は、映像を表示する液晶表示装置であって、前記映像の各領域をそれぞれ照明するバックライトの各領域の第1の輝度を、前記映像の各領域の輝度の情報に基づいて前記バックライトの領域ごとに決定し、各領域の第1の輝度に、入力装置を操作して入力された輝度の設定値の情報に応じて設定された一定倍率を一律に乗算して前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定し、各領域の第2の輝度を用いて前記バックライトの各領域の点灯を、該バックライトの領域ごとに制御するバックライト制御部、を備えることを特徴とする。
【0026】
本発明の第16の技術手段は、映像を表示する液晶表示装置であって、前記映像の各領域をそれぞれ照明するバックライトの各領域の第1の輝度を、前記映像の各領域の輝度の情報に基づいて前記バックライトの領域ごとに決定し、各領域の第1の輝度に、前記映像が入力された入力端子の種類に応じて設定された一定倍率を一律に乗算して前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定し、各領域の第2の輝度を用いて前記バックライトの各領域の点灯を、該バックライトの領域ごとに制御するバックライト制御部、を備えることを特徴とする。
【0027】
本発明の第17の技術手段は、映像を表示する液晶表示装置であって、前記映像の各領域をそれぞれ照明するバックライトの各領域の第1の輝度を、前記映像の各領域の輝度の情報に基づいて前記バックライトの領域ごとに決定し、各領域の第1の輝度に、あらかじめ前記映像の画質が設定された映像モードの情報に応じて設定された一定倍率を一律に乗算して前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定し、各領域の第2の輝度を用いて前記バックライトの各領域の点灯を、該バックライトの領域ごとに制御するバックライト制御部、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、上述した従来技術における電流値の合計の算出処理を行わず、映像の各領域をそれぞれ照明するバックライトの各領域の第1の輝度を、映像の各領域の輝度の情報に基づいてバックライトの領域ごとに決定し、各領域の第1の輝度に、映像のジャンルに応じて設定された一定倍率を一律に乗算してバックライトの各領域の第2の輝度を設定し、各領域の第2の輝度を用いてバックライトの各領域の点灯を、バックライトの領域ごとに制御するので、映像の明るさを効果的に高めることができるとともに、バックライトの点灯制御を少なくとも1フレーム分高速化できる。また、その電流値算出処理を行うために用いられていたフレームメモリが不要となり、装置の簡略化および低コスト化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る液晶表示装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】映像ジャンル・APL変換テーブルの一例を示す図である。
【図3】各映像ジャンルに対応するAPLの設定について説明する図である。
【図4】バックライトが発光し得る最大輝度とAPLとの間の関係を示す図である。
【図5】バックライトが最大輝度で発光する場合のバックライトに対する供給電力とAPLとの間の関係を示す図である。
【図6】映像モード・輝度変換テーブルの一例を示す図である。
【図7】明るさ・輝度変換テーブルの一例を示す図である。
【図8】調光値・輝度変換テーブルの一例を示す図である。
【図9】ローカルディミングによる輝度設定処理について説明する図である。
【図10】輝度の補正値の算出について説明する図である。
【図11】本発明に係るバックライト点灯処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】本発明に係るバックライト点灯処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図13】従来の高輝度ローカルディミングについて説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明に係る液晶表示装置10の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、この液晶表示装置10は、アンテナ11、チューナ12、ゲーム用入力端子13、パーソナルコンピュータ用入力端子14、デコーダ15、明るさセンサ16、リモコン受光部17、記憶部18、マイコン19、領域輝度設定部20、LED(Light Emitting Diode)制御部21、タイミングコントローラ22、液晶パネル23、LEDドライバ24、バックライト25を備える。ここで、マイコン19、領域輝度設定部20、LED制御部21は、バックライト25の点灯を制御するバックライト制御部26を構成する。
【0031】
アンテナ11は、テレビ放送や電子番組表(EPG、Electronic Program Guide)のデータ放送などを受信するアンテナである。チューナ12は、アンテナ11が受信する放送の選局を行うチューナである。ゲーム用入力端子13は、ゲーム機を接続し、ゲーム機からゲームの映像の入力を受け付ける端子である。パーソナルコンピュータ用入力端子14は、パーソナルコンピュータを接続し、パーソナルコンピュータから出力画像の入力を受け付ける端子である。
【0032】
デコーダ15は、チューナ12により選局されたテレビ放送の信号、ゲーム用入力端子13に入力された信号、パーソナルコンピュータ用入力端子14に入力された信号をデコードして、液晶パネル23により表示される映像の映像信号を取得するとともに、アンテナ11が受信した電子番組表(EPG、Electronic Program Guide)のデータ放送の信号をデコードし、その結果得られる情報に含まれる映像ジャンルの情報を取得するデコーダである。ここで、映像ジャンルとは、「ニュース/報道」、「映画」、「アニメ/特撮」、「サッカー」、「相撲・格闘技」、「ゲーム」など、映像の種類や内容を示すジャンルの情報である。
【0033】
明るさセンサ16は、液晶表示装置10が設置された部屋の明るさ(液晶表示装置10の周囲の明るさ)を検出し、検出した明るさを示す信号を出力するセンサである。リモコン受光部17は、ユーザがリモコン27を操作した場合に、ユーザの操作内容を示す赤外線信号をリモコン27から受信する処理部である。ここで、リモコン27は、ユーザの操作により種々の情報の入力を受け付ける入力装置である。
【0034】
記憶部18は、メモリなどの記憶デバイスである。この記憶部18は、輝度補正設定情報、後述する映像ジャンル・APL(Average Picture Level,平均画像レベル)変換テーブル30、映像モード・輝度変換テーブル31、明るさ・輝度補正値変換テーブル32、調光値・輝度補正値変換テーブル33などを記憶する。APLとは、1フレーム分の映像信号における各画素の輝度の平均値である。このAPLは、百分率で表され、映像全体が白である場合は100%に、映像全体が黒である場合は0%になる。
【0035】
輝度補正設定情報は、領域輝度設定部20により設定されるバックライト25の輝度(バックライト輝度)を補正するため、映像ジャンル、映像モード、部屋の明るさ、および、ユーザ調光値の情報を使用するか否かを示す情報である。この輝度補正設定情報は、ユーザがリモコン27を用いて予め設定した情報である。
【0036】
ここで、映像モードの情報とは、映像の画質が予め設定されたモードの情報である。映像モードとして、例えば、「ダイナミックモード」、「スタンダードモード」、「映画モード」、「ゲームモード」、「パーソナルコンピュータの出力画像表示用モード」などが設定される。ユーザは、リモコン27を操作して各映像モードを切り替えることができる。部屋の明るさの情報は、明るさセンサ16により検出された部屋の明るさの情報である。ユーザ調光値の情報とは、ユーザにより設定された画面の明るさの情報である。
【0037】
映像ジャンル・APL変換テーブル30は、映像ジャンルの情報に対応づけて、APLの情報を登録したデータである。図2は、映像ジャンル・APL変換テーブル30の一例を示す図である。各APLは、映像ジャンルに応じて、以下のようにして設定される。
【0038】
図3は、各映像ジャンルに対応するAPLの設定について説明する図である。APLを設定するためには、図3(A)〜図3(E)に示す各頻度分布において、まず、各APLの頻度の合計値が算出されるとともに、APLが大きい方から各APLの頻度が順に積算される。そして、その積算値が上記合計値の例えば3割を超えたときのAPLの値が各映像ジャンルに対応するAPLの値として設定され、映像ジャンル・APL変換テーブル30に登録される。
【0039】
例えば、映像ジャンルが「ニュース/報道」である場合(図3(A)の場合)、APLが55%のときに、上記積算値が合計値の3割を超えたため、APLが55%に設定される。同様に、図3(B)〜図3(E)に示す「映画」、「アニメ/特撮」、「サッカー」、「相撲・格闘技」の各映像ジャンルの例では、各映像ジャンルのAPLはそれぞれ、34%、50%、50%、38%に設定される。その他、図3には示していないが、「ゲーム」の映像ジャンルのAPLは、例えば、60%に設定される。このことは、APLが60%以下である可能性が7割であることを示し、APLは大半の場合は60%以下であると言える。
【0040】
なお、ここでは、合計値に対する積算値の割合を3割としたが、この割合は他の値であってもよい。また、単にAPLの平均値をその映像ジャンルのAPLの値として設定することとしてもよい。
【0041】
映像ジャンルに基づくバックライト輝度の補正は、例えば、以下の式1により行われる。
(補正後のバックライト輝度)=(補正前のバックライト輝度)
×100/(映像ジャンルに対応するAPLの値)・・・(式1)
ここで、「100/(映像ジャンルに対応するAPLの値)」は、映像ジャンルに基づく補正の補正倍率である。
【0042】
例えば、APLが55%である「ニュース/報道」の映像ジャンルの補正後のバックライト輝度は、
(補正後のバックライト輝度)=(補正前のバックライト輝度)×100/55
=(補正前のバックライト輝度)×1.82
により算出される。
【0043】
なお、補正倍率や補正後のバックライト輝度に上限値や下限値を設け、補正倍率や補正後のバックライト輝度がその上限値、あるいは、下限値を超えた場合は、補正倍率や補正後のバックライト輝度をその上限値、あるいは、下限値に設定することとしてもよい。
【0044】
ここで、「ニュース/報道」の映像ジャンルのAPLが55%であるということは、図3(A)に示した頻度分布において、APLの値の大部分(図3の例では7割)が55%以下の値であることを示している。そこで、映像の55%が白領域であり、45%が黒領域であると仮定する(APL=55%)。また、バックライト25に供給できる最大電力が設定されており、その最大電力をバックライト25に供給してバックライト25のすべての領域を白色で点灯させた場合のバックライト輝度が500cd/m2であると仮定する。
【0045】
図4は、バックライト25が発光し得る最大輝度とAPLとの間の関係を示す図である。また、図5は、バックライト25が最大輝度で発光する場合のバックライト25に対する供給電力とAPLとの間の関係を示す図である。ここで、上述した最大電力は、図5に示すように、165W程度である。APLが約30%以下の範囲で供給電力が低下しているのは、白領域の面積が小さい暗い画像に対して、バックライト25の発光を抑制するためである。
【0046】
映像の55%が白領域であり、45%が黒領域である場合、映像の45%を占める黒領域に対応するバックライト25の領域には電力を供給する必要がないので、映像の55%を占める白領域に対応するバックライト25の領域で上記最大電力を使用できることになる。
【0047】
ここで、APLが55%の場合の最大輝度は、図4に示されるように、850cd/m2となる。映像ジャンルが「ニュース/報道」である場合、上述したように、補正前のバックライト輝度に1.82(=100/55)を乗算して補正後のバックライト輝度を算出するが、補正後のバックライト輝度が850cd/m2を超えた場合には、補正後のバックライト輝度は850cd/m2に制限される。しかしこの場合でも、バックライト輝度が若干低くなるだけであり、大きな映像破綻にはならない。このように、APLの情報を用いることにより、映像の明るさを効果的に高めることができる。
【0048】
また、「ニュース/報道」の映像ジャンルにおいて、APLが55%以上である映像が出現する場合も低い可能性だがあり得る。 例えば、APLが70%である映像が出現したものとし、映像の70%が白領域であり、30%が黒領域であると仮定する。図4において、APLが70%の場合の最大輝度は、680cd/m2となる。APLが55%の場合と比べてAPLが70%の場合は、最大輝度が小さくなり、補正後のバックライト輝度はより小さな値である680cd/m2に制限されるが、白領域が大きく、十分明るいため大きな映像破綻にはならない。
【0049】
同様に、図2において、「ゲーム」の映像ジャンルのAPLが60%であるということは、図3に示したような頻度分布を生成した場合に、APLの大部分(図3の例では7割)が60%以下の値であることを示している。そこで、映像の60%が白領域であり、40%が黒領域であると仮定する(APL=60%)。また、バックライト25に供給できる最大電力が設定されており、その最大電力をバックライト25に供給してバックライト25のすべての領域を白色で点灯させた場合のバックライト輝度が500cd/m2であると仮定する。
【0050】
この場合、映像の黒領域に対応するバックライト25の領域には電力を供給する必要がないので、映像の60%を占める白領域に対応するバックライト25の領域で上記最大電力を使用できることになる。そして、APLが60%の場合のバックライト25が発光し得る最大輝度は、図4より、800cd/m2となる。
【0051】
そのため、映像ジャンルが「ゲーム」である場合、上述したように、補正前のバックライト輝度に1.67(=100/60)を乗算して補正後のバックライト輝度を算出するが、補正後のバックライト輝度が800cd/m2を超えた場合には、補正後のバックライト輝度は、800cd/m2に制限される。しかしこの場合でも、バックライト輝度が若干低くなるだけであり、大きな映像破綻にはならない。このように、APLの情報を用いることにより、映像の明るさを効果的に高めることができる。
【0052】
なお、「ゲーム」の映像ジャンルにおいて、 APLが60%以上である映像が出現する場合も低い可能性だがあり得る。例えば、APLが70%である映像が出現したものとし、映像の70%が白領域であり、30%が黒領域であると仮定する。図4において、APLが70%の場合の最大輝度は、680cd/m2となる。APLが55%の場合と比べて、APLが70%の場合は最大輝度が小さくなり、補正後のバックライト輝度はより小さな値である680cd/m2に制限されるが、白領域が大きく、十分明るいため大きな映像破綻にはならない。映像ジャンルが「映画」、「アニメ/特撮」、「サッカー」、「相撲・格闘技」の場合も同様のことがいえる。
【0053】
映像モード・輝度変換テーブル31は、映像モードの情報に対応づけて、バックライト輝度の情報を登録したデータである。図6は、映像モード・輝度変換テーブル31の一例を示す図である。映像モードには、例えば、「ダイナミックモード」、「スタンダードモード」、「映画モード」、「ゲームモード」、「パーソナルコンピュータの出力画像表示用モード」がある。そして、各映像モードに対して、バックライト輝度の設定値が予め登録されている。
【0054】
映像モードに基づくバックライト輝度の補正は、以下の式2により行われる。
(補正後のバックライト輝度)=(補正前のバックライト輝度)
×(ダイナミックモードのバックライト輝度の設定値)
/(ユーザにより設定された映像モードに対応するバックライト輝度の設定値)・・・(式2)
ここで、「(ダイナミックモードのバックライト輝度の設定値)/(ユーザにより設定された映像モードに対応するバックライト輝度の設定値)」は、映像モードに基づく補正の補正倍率である。
【0055】
例えば、図6に示す映像モード・輝度変換テーブル31において、「ダイナミックモード」のバックライト輝度は450(cd/m2)と登録されているので、映像モードが「スタンダードモード」である場合、補正後のバックライト輝度は、
(補正後のバックライト輝度)=(補正前のバックライト輝度)×450/240
=(補正前のバックライト輝度)×1.88
により算出され、映像モードが「映画モード」である場合、補正後のバックライト輝度は、
(補正後のバックライト輝度)=(補正前のバックライト輝度)
×450/200
=(補正前のバックライト輝度)×2.25
により算出される。
【0056】
また、映像モードが「ゲームモード」、あるいは、「パーソナルコンピュータの出力画像表示用モード」である場合、補正後のバックライト輝度は、
(補正後のバックライト輝度)=(補正前のバックライト輝度)
×450/270
=(補正前のバックライト輝度)×1.67
により算出される。
【0057】
なお、補正倍率や補正後のバックライト輝度に上限値や下限値を設け、補正倍率や補正後のバックライト輝度がその上限値、あるいは、下限値を超えた場合は、補正倍率や補正後のバックライト輝度をその上限値、あるいは、下限値に設定することとしてもよい。
【0058】
ここで、上記補正倍率の逆数は、各映像モードに対応するバックライト輝度の最大値に比べて、ユーザがバックライト輝度をどのくらい低く設定しているかを示す値である。例えば、ユーザが「スタンダードモード」を選択している場合、上記逆数の値は53.3%(=240/450×100)となる。逆数の値が53.3%であることは、図2の映像ジャンル・APL変換テーブル30にAPLの値として53.3%という値が登録されている場合に置き換えることができる。そのため、映像ジャンルに基づいてバックライト輝度を補正する場合と同様に、補正前のバックライト輝度が一律に1.88倍(=100/53.3)される。
【0059】
明るさ・輝度変換テーブル32は、部屋の明るさの情報に対応づけて、バックライト輝度補正値およびバックライト輝度補正係数の情報を登録したデータである。図7は、明るさ・輝度変換テーブル32の一例を示す図である。ここで、バックライト輝度補正値は、後に説明する基準バックライト輝度Bを算出するために用いられる値であり、バックライト輝度補正係数は、部屋の明るさに基づくバックライト輝度の調整に用いられる値である。
【0060】
図7に示すように、部屋の明るさは0〜255の256段階で明るさセンサ16により検出される。明るさ・輝度変換テーブル32に登録されていない明るさに対応するバックライト輝度補正係数は、明るさ・輝度変換テーブル32に登録されている明るさに対応するバックライト輝度補正係数を用いて補間処理を行うことにより算出される。
【0061】
部屋の明るさに基づく補正は、例えば、以下の式3により行われる。
(補正後のバックライト輝度)=(補正前のバックライト輝度)
×(検出された明るさに対応するバックライト輝度補正係数)・・・(式3)
ここで、「検出された明るさに対応するバックライト輝度補正係数」は、部屋の明るさに基づく補正の補正倍率である。
【0062】
例えば、図7において、部屋の明るさが56である場合、補正後のバックライト輝度は、
(補正後のバックライト輝度)=(補正前のバックライト輝度)×1.7
により算出される。この場合、補正前のバックライト輝度が200cd/m2であれば 、補正後のバックライト輝度は、補正前のバックライト輝度の1.7倍の340cd/m2となる。
【0063】
なお、図4に示したように、バックライト25が発光し得る最大輝度は、APLの値によって制限される。よって、上記式3により算出された補正後のバックライト輝度が、映像のAPLに対応する最大輝度を超えた場合には、補正後のバックライト輝度は、その最大輝度に制限される。
【0064】
ここで、上記補正倍率の逆数は、部屋の明るさによりどれだけの割合でバックライト輝度を低く(あるいは高く)設定しているかを示す値である。例えば、部屋の明るさが56で、バックライト輝度補正係数が1.7である場合、上記逆数の値は、58.8%(=1/1.7)となる。逆数の値が58.8%であることは、図2の映像ジャンル・APL変換テーブル30にAPLの値として58.8%という値が登録されている場合に置き換えることができる。そのため、補正前のバックライト輝度が一律に1.7倍(=100/58.8)される。
【0065】
調光値・輝度補正値変換テーブル33は、ユーザ調光値の情報に対応づけて、バックライト輝度補正値およびバックライト輝度補正係数の情報を登録したデータである。図8は、調光値・輝度変換テーブル33の一例を示す図である。ここで、バックライト輝度補正値は、後に説明する基準バックライト輝度Bを算出するために用いられる値であり、バックライト輝度補正係数は、ユーザ調光値に基づくバックライト輝度の調整に用いられる値である。
【0066】
図8に示すように、ユーザ調光値は−16〜16の33段階で設定される。そして、ユーザ調光値に基づくバックライト輝度の補正は、例えば、以下の式4により補正される。
(補正後のバックライト輝度)=(補正前のバックライト輝度)
×(ユーザ調光値に対応するバックライト輝度補正係数)・・・(式4)
ここで、「ユーザ調光値に対応するバックライト輝度補正係数」は、ユーザ調光値に基づく補正の補正倍率である。
【0067】
例えば、図8において、ユーザ調光値が−8である場合、補正後のバックライト輝度は、
(補正後のバックライト輝度)=(補正前のバックライト輝度)×1.5
により算出される。この場合、補正前のバックライト輝度が200cd/m2であれば、補正後のバックライト輝度は、補正前のバックライト輝度の1.5倍の300cd/m2となる。
【0068】
なお、図4に示したように、バックライト25が発光し得る最大輝度は、APLの値によって制限される。よって、上記式4により算出された補正後のバックライト輝度が、映像のAPLに対応する最大輝度を超えた場合には、補正後のバックライト輝度は、その最大輝度に制限される。
【0069】
ここで、上記補正倍率の逆数は、ユーザ調光値によりどれだけの割合でバックライト輝度を低く(あるいは高く)設定しているかを示す値である。例えば、ユーザ調光値が−8で、バックライト輝度補正係数が1.5である場合、上記逆数の値は、66.6%(=1/1.5)となる。逆数の値が66.6%であることは、図2の映像ジャンル・APL変換テーブル30にAPLの値として66.6%という値が登録されている場合に置き換えることができる。そのため、補正前のバックライト輝度が一律に1.5倍(=100/66.6)される。
【0070】
このように、ローカルディミングにより設定されたバックライト輝度を補正するため、映像ジャンルや映像モード、部屋の明るさ、ユーザ調光値の情報を用いることにより、映像の明るさを効果的に設定することができる。また、従来の高輝度ローカルディミングのように、バックライト25の各領域に配分される電流値の合計を算出しないので、バックライト25の点灯制御を少なくとも1フレーム分高速化できる。その結果、バックライト25の点灯制御と液晶パネル23の駆動制御との間の同期をとるためのフレームメモリが不要となり、装置の簡略化および低コスト化が実現される。
【0071】
図1の説明に戻ると、マイコン19は、ローカルディミングにより設定されたバックライト輝度を補正するための情報をデコーダ15や明るさセンサ16、リモコン受光部17から取得し、領域輝度設定部20やLED制御部21に出力するデバイスである。
【0072】
具体的には、マイコン19は、デコーダ15から映像ジャンルの情報を受信し、図2に示した映像ジャンル・APL変換テーブル30を参照して、映像ジャンルに対応するAPLの情報をLED制御部21に出力する。
【0073】
また、マイコン19は、ユーザがリモコン27を用いて設定した映像モードの情報をリモコン受光部17から受信し、図6に示した映像モード・輝度変換テーブル31を参照して、映像モードに対応するバックライト輝度の情報を領域輝度設定部20やLED制御部21に出力する。
【0074】
また、マイコン19は、部屋の明るさを示す信号を明るさセンサ16から受信し、図7に示した明るさ・輝度変換テーブル32を参照して、部屋の明るさに対応するバックライト輝度補正値の情報を領域輝度設定部20に出力し、バックライト輝度補正係数の情報をLED制御部21に出力する。
【0075】
さらに、マイコン19は、ユーザがリモコン27を用いて設定したユーザ調光値の情報をリモコン受光部17から受信し、図8に示した調光値・輝度変換テーブル33を参照して、ユーザ調光値に対応するバックライト輝度補正値の情報を領域輝度設定部20に出力し、バックライト輝度補正係数の情報をLED制御部21に出力する。
【0076】
領域輝度設定部20は、ローカルディミングにより、映像の各領域の輝度の情報に基づいて、バックライト25の各領域におけるバックライト輝度を設定する処理部である。図9は、ローカルディミングによる輝度設定処理について説明する図である。図9には、映像が8つの領域に分割された場合の例が示されている。
【0077】
まず、領域輝度設定部20は、領域1〜8のそれぞれについて、映像の1フレーム中の各領域における各画素の輝度の最大値Ymax1〜Ymax8を検出する。そして、領域輝度設定部20は、最大値Ymax1〜Ymax8のうち、最も大きな値を選択し、その値に対する各値の比率を算出する。例えば、Ymax8が選択されたとすると、上記比率は、Ymax1/Ymax8、Ymax2/Ymax8、・・・、Ymax7/Ymax8、1(=Ymax8/Ymax8)と算出される。
【0078】
そして、領域輝度設定部20は、領域1〜8のバックライト輝度を、それぞれ、A×Ymax1/Ymax8、A×Ymax2/Ymax8、・・・、A×Ymax7/Ymax8、A(cd/m2)に設定する。ここで、Aは所定の値である。
【0079】
なお、ユーザにより映像モードが設定された場合、明るさセンサ16が検出した部屋の明るさに応じてバックライト輝度を補正するようにユーザにより設定された場合、あるいは、ユーザによりユーザ調光値が設定されている場合、領域輝度設定部20は、映像モードに対応するバックライト輝度、部屋の明るさに対応するバックライト輝度補正値、あるいは、ユーザ調光値に対応するバックライト輝度補正値の情報をマイコン19から取得し、それらを加算することにより基準バックライト輝度Bを算出する。
【0080】
例えば、図6〜8において、映像モードが「スタンダードモード」であり、部屋の明るさが56であり、ユーザ調光値が8である場合、この基準バックライト輝度Bは、220(cd/m2)(=240−100+80)となる。
【0081】
そして、領域輝度設定部20は、領域1〜8の各バックライト輝度を、それぞれ、B×Ymax1/Ymax8、B×Ymax2/Ymax8、・・・、B×Ymax7/Ymax8、B(cd/m2)に設定する。図9には、基準バックライト輝度Bが220(cd/m2)の場合が示されている。
【0082】
図1の説明に戻ると、LED制御部21は、映像ジャンルに対応するAPLの情報、映像モードに対応するバックライト輝度の情報、部屋の明るさに対応するバックライト輝度補正係数の情報、あるいは、ユーザ調光値に対応するバックライト輝度補正係数の情報をマイコン19から受信し、受信した情報に基づいて、領域輝度設定部20が設定したバックライト25の各領域のバックライト輝度を補正する処理部である。
【0083】
LED制御部21は、補正したバックライト輝度の情報を用いてLEDドライバ24を制御するための制御信号を生成する。そして、LED制御部21は、生成した制御信号をLEDドライバ24に出力し、バックライト輝度が補正したバックライト輝度となるようにLEDドライバ24にバックライト25を駆動させて、バックライト25の点灯を領域ごとに制御する。
【0084】
このLED制御部21は、映像ジャンルの情報を用いてバックライト輝度の補正を行うようにユーザにより設定されている場合、映像ジャンルに対応するAPLの値をマイコン19から取得し、式1における「100/(映像ジャンルに対応するAPLの値)」を算出する。
【0085】
また、LED制御部21は、映像モードの情報を用いてバックライト輝度の補正を行うようにユーザにより設定されている場合、ダイナミックモードのバックライト輝度の設定値、および、ユーザにより設定された映像モードに対応するバックライト輝度の設定値をマイコン19から取得し、式2における「(ダイナミックモードのバックライト輝度の設定値)/(ユーザにより設定された映像モードに対応するバックライト輝度の設定値)」の値を算出する。
【0086】
また、LED制御部21は、部屋の明るさの情報を用いてバックライト輝度の補正を行うようにユーザにより設定されている場合、式3における「検出された明るさに対応するバックライト輝度補正係数」の値をマイコン19から取得する。また、LED制御部21は、ユーザ調光値の情報を用いてバックライト輝度の補正を行うようにユーザにより設定されている場合に、式4における「ユーザ調光値に対応するバックライト輝度補正値)/(補正前のバックライト輝度))」の値をマイコン19から取得する。
【0087】
そして、LED制御部21は、上述のようにして得た各値を掛け合わせて補正倍率を算出し、その補正倍率を領域輝度設定部20により設定された各領域のバックライト輝度に一律に掛け合わせることにより、バックライト輝度の補正値をバックライト25の領域ごとに算出する。その後、LED制御部21は、算出した補正値を用いて、バックライト25の各領域の点灯を制御するための制御信号を生成し、生成した制御信号をLEDドライバ24に出力する。
【0088】
図10は、バックライト輝度の補正値の算出について説明する図である。図10には、図9のように設定されたバックライト輝度に対して、上記補正倍率による補正を行った後の各領域のバックライト輝度が示されている。図10に示すように、各領域のバックライト輝度は、領域輝度設定部20により設定された各領域のバックライト輝度よりも高く設定され、より明るい映像表示が実現される。
【0089】
図1の説明に戻ると、タイミングコントローラ22は、デコーダ15により出力された映像信号を領域輝度設定部20を介して受信し、その映像信号に基づいて液晶パネル23のソースドライバ、および、ゲートドライバに映像の表示タイミングを制御するための制御信号を送信するデバイスである。液晶パネル23は、ソースドライバ、および、ゲートドライバにより駆動され、映像を表示する表示デバイスである。
【0090】
LEDドライバ24は、LED制御部21から制御信号を受信し、バックライト25が備える各LEDに電流を供給することにより、バックライト25の各領域の点灯を制御するドライバである。バックライト25は、LEDを多数並べた直下型LEDバックライトである。バックライト25に備わるLEDは、LEDドライバ24から電流の供給を受けて、領域ごとに電流値に応じたバックライト輝度で点灯する。
【0091】
つぎに、本発明に係るバックライト点灯処理の処理手順の一例について説明する。このバックライト点灯処理では、まず、映像信号に対してローカルディミング処理が実行され、バックライトの各領域の輝度が設定される。その後、設定された輝度が、映像ジャンルや映像モード、部屋の明るさ、ユーザ調光値などの情報に基づいて補正され、補正された輝度値に基づいてバックライト25の点灯が制御される。以下、このバックライト点灯処理についてさらに詳しく説明する。
【0092】
図11、図12は、本発明に係るバックライト点灯処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。図11に示すように、液晶表示装置10の領域輝度設定部20は、デコーダ15により出力された映像信号を取得し、取得した映像信号に対してローカルディミング処理を実行する(ステップS101)。具体的には、領域輝度設定部20は、映像信号により表示される映像の各領域の輝度の情報を用いて、映像の各領域に対応するバックライト25の各領域のバックライト輝度を設定する。
【0093】
そして、領域輝度設定部20は、図9を用いて説明したようにして、基準バックライト輝度によるバックライト輝度の補正を実行する(ステップS102)。その後、LED制御部21は、マイコン19を介して記憶部18から輝度補正設定情報を読み込む(ステップS103)。この輝度補正設定情報には、領域輝度設定部20により設定されたバックライト輝度を補正するために、映像のジャンル、映像モード、部屋の明るさ、および、ユーザ調光値の情報を使用するか否かの情報が予め登録されている。
【0094】
そして、LED制御部21は、輝度補正設定情報を参照し、バックライト輝度の補正に映像ジャンルの情報を使用するか否かを判定する(ステップS104)。映像ジャンルの情報を使用する場合(ステップS104においてYESの場合)、LED制御部21は、現在視聴している映像の映像ジャンルに対応するAPLの情報をマイコン19から取得する(ステップS105)。そして、LED制御部21は、映像ジャンルに基づく補正の補正倍率(式1における「100/(映像ジャンルに対応するAPLの値)」)を算出する(ステップS106)。
【0095】
ステップS106の処理の後、または、ステップS104において、映像ジャンルの情報を使用しない場合(ステップS104においてNOの場合)、LED制御部21は、輝度補正設定情報を参照し、バックライト輝度の補正に映像モードの情報を使用するか否かを判定する(ステップS107)。
【0096】
映像モードの情報を使用する場合(ステップS107においてYESの場合)、LED制御部21は、現在設定されている映像モードに対応するバックライト輝度の情報をマイコン19から取得する(ステップS108)。そして、LED制御部21は、映像モードに基づく補正の補正倍率(式2における「(ダイナミックモードのバックライト輝度の設定値)/(ユーザにより設定された映像モードに対応するバックライト輝度の設定値)」)を算出する(ステップS109)。
【0097】
ステップS109の処理の後、または、ステップS107において、映像モードの情報を使用しない場合(ステップS107においてNOの場合)、図12に示すように、LED制御部21は、輝度補正設定情報を参照し、バックライト輝度の補正に部屋の明るさの情報を使用するか否かを判定する(ステップS110)。
【0098】
部屋の明るさの情報を使用する場合(ステップS110においてYESの場合)、LED制御部21は、明るさセンサ16により検出された部屋の明るさに対応するバックライト輝度補正係数の情報をマイコン19から取得する(ステップS111)。そして、LED制御部21は、取得した情報を部屋の明るさに基づく補正の補正倍率(式3における「検出された明るさに対応するバックライト輝度補正係数」)として設定する(ステップS112)。
【0099】
ステップS112の処理の後、または、ステップS110において、部屋の明るさの情報を使用しない場合(ステップS110においてNOの場合)、LED制御部21は、輝度補正設定情報を参照し、バックライト輝度の補正にユーザ調光値の情報を使用するか否かを判定する(ステップS113)。
【0100】
ユーザ調光値の情報を使用する場合(ステップS113においてYESの場合)、LED制御部21は、ユーザにより設定されたユーザ調光値に対応するバックライト輝度補正係数の情報をマイコン19から取得する(ステップS114)。そして、LED制御部21は、取得した情報をユーザ調光値に基づく補正の補正倍率(式4における「ユーザ調光値に対応するバックライト輝度補正係数」)として設定する(ステップS115)。
【0101】
ステップS115の処理の後、または、ステップS113において、ユーザ調光の情報を使用しない場合(ステップS113においてNOの場合)、LED制御部21は、算出または設定した各補正倍率の積を算出する(ステップS116)。ここで、各補正倍率の積の値に上限値や下限値を予め設定しておき、その積が上限値、あるいは、下限値を超えた場合は、LED制御部21は、その積を上限値、あるいは、下限値に設定することとしてもよい。その後、LED制御部21は、算出した積を領域輝度設定部20により設定された各領域のバックライト輝度に掛け合わせることにより、各領域のバックライト輝度を補正する(ステップS117)。
【0102】
続いて、LED制御部21は、各領域の補正されたバックライト輝度の情報に基づいて、バックライト25の点灯を制御する(ステップS118)。具体的には、LED制御部21は、LEDドライバ24を制御する制御信号を生成し、その制御信号をLEDドライバ24に出力する。そして、LED制御部21は、各領域のバックライト輝度が補正したバックライト輝度となるようにバックライト25の各領域を点灯させる。その後、このバックライト点灯処理は終了する。
【0103】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の変形、修正が可能である。例えば、上記実施形態では、バックライト25の点灯制御と液晶パネル23の駆動制御との間の同期をとるためのフレームメモリを不要とし、装置の簡略化および低コスト化を実現するため、従来の高輝度ローカルディミングを行わないこととしたが、液晶表示装置10は、従来の高輝度ローカルディミングによるバックライト点灯処理と、上記実施形態において説明したバックライト点灯処理とを切り替えて実行することとしてもよい。この場合、LED制御部21は、ユーザがリモコン27を操作して行った処理の切り替え要求を受け付け、ユーザにより指定された方のバックライト点灯処理を実行すればよい。
【0104】
また、上記実施形態では、各映像ジャンルに対応するAPLの値を、予め図2に示した映像ジャンル・APL変換テーブル30に登録しておき、そのAPLの値を用いてバックライト25の各領域の点灯を制御することとしたが、過去に表示した映像のAPLの情報に基づいて、各映像ジャンルに対応するAPLの情報を更新し、更新されたAPLの情報に基づいて、バックライト25の各領域の点灯を領域ごとに制御することとしてもよい。
【0105】
具体的には、マイコン19は、デコーダ15から映像ジャンルの情報と映像信号とを受信し、映像のAPLの情報を映像ジャンルごとに記憶部18に蓄積する。そして、マイコン19は、図3に示すような頻度分布から、図3を用いて説明したような方法で、各映像ジャンルに対応するAPLの値を決定し、そのAPLの値を用いて映像ジャンル・APL変換テーブル30に登録されているAPLの値を更新する。そして、LED制御部21は、更新されたAPLの値を用いてバックライト25の各領域の点灯を制御する。これにより、各映像ジャンルの特徴がより正確にAPLに反映されるようになるので、映像の明るさをより効果的に高めることができる。
【0106】
また、上記実施形態では、領域輝度設定部20は、ローカルディミングにより、バックライト25の各領域におけるバックライト輝度を設定し、LED制御部21は、領域輝度設定部20が設定したバックライト25の各領域のバックライト輝度を補正することとしたが、LED制御部21は、映像がゲーム用入力端子13に入力された場合に、ローカルディミングのみを行い、バックライト輝度の補正は行わないこととしてもよい。例えば、この場合、LED制御部21は、領域輝度設定部20が設定したバックライト輝度に掛け合わせる補正倍率を1に設定することにより、バックライト輝度の補正を行わないようにすることができる。
【0107】
これにより、ゲーム機が液晶表示装置10に接続され、液晶表示装置10がゲーム機のモニタとして使用される場合に、ゲームの映像の表示に適合するようバックライト輝度を適切に調整することができる。
【0108】
同様に、LED制御部21は、映像がパーソナルコンピュータ用入力端子14に入力された場合に、ローカルディミングのみを行い、バックライト輝度の補正は行わないこととしてもよい。この場合も、LED制御部21は、領域輝度設定部20が設定したバックライト輝度に掛け合わせる補正倍率を1に設定することにより、バックライト輝度の補正を行わないようにすることができる。
【0109】
これにより、パーソナルコンピュータが液晶表示装置10に接続され、液晶表示装置10がパーソナルコンピュータのモニタとして使用される場合に、パーソナルコンピュータの映像の表示に適合するようバックライト輝度を適切に調整することができる。特に、パーソナルコンピュータ用のゲームをユーザが行うため、液晶表示装置10がパーソナルコンピュータのモニタとして使用される場合に、上記調整は有益である。
【0110】
さらに、上記実施形態では、映像のジャンルが「ゲーム」である場合に、バックライトの輝度を増加させることとしたが、輝度を増加させることが不要な領域の輝度を低下させることとしてもよい。
【0111】
具体的には、領域輝度設定部20、および、LED制御部21は、映像のジャンルが「ゲーム」であると検出した場合に、その検出がなされた後のバックライトの所定の領域の輝度を、その検出がなされる前のバックライトの所定の領域の輝度よりも小さくすることとしてもよい。ここで、所定の領域とは、映像信号の諧調が所定の値よりも小さい領域である。
【0112】
例えば、領域輝度設定部20、および、LED制御部21は、映像信号の諧調が所定の値以上である領域のバックライトの輝度を1.5倍に増加させる場合、映像信号の諧調が所定の値よりも小さい領域のバックライトの輝度を1/1.5倍にすることとしてもよい。
【0113】
暗いシーンなどにおける低諧調領域のバックライト輝度が大きくなると、人に違和感を感じさせたり、ノイズが目立ったりしてしまうが、上述のように映像信号の諧調が所定の値よりも小さい領域の輝度を低下させることにより、このような欠点を解消することができる。
【0114】
また、領域輝度設定部20は、ローカルディミングにより、バックライト25の各領域におけるバックライト輝度を設定し、LED制御部21は、そのバックライト輝度に補正倍率を掛け合わせてバックライト輝度を補正することとしたが、LED制御部21は、バックライト25の駆動電流の合計値Sに対する所定の電流許容値Aの倍率A/Sよりも、小さな補正倍率をバックライト輝度に掛け合わせてバックライト輝度を補正することとしてもよい。
【0115】
これにより、映像の表示に適合するようバックライト輝度を調整する際、バックライト25の駆動電流が所定の電流許容値以内となることを保証することが可能となる。
【符号の説明】
【0116】
10…液晶表示装置、11…アンテナ、12…チューナ、15…デコーダ、16…明るさセンサ、17…リモコン受光部、18…記憶部、19…マイコン、20…領域輝度設定部、21…LED制御部、22…タイミングコントローラ、23…液晶パネル、24…LEDドライバ、25…バックライト、26…バックライト制御部、27…リモコン、30…映像ジャンル・APL変換テーブル、31…映像モード・輝度変換テーブル、32…明るさ・輝度補正値変換テーブル、33…調光値・輝度補正値変換テーブル。
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像を表示する液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、映像の各領域の輝度に応じて、その映像の各領域に対応するバックライトの各領域の輝度を設定することにより、バックライトの電力を削減し、映像のコントラストを高めるローカルディミングと呼ばれる技術が用いられている(特許文献1を参照)。
【0003】
このローカルディミングでは、バックライトにおいて高輝度領域と低輝度領域との間の輝度の差が大きい場合、画面上に輝線が発生する可能性がある。そのため、低輝度領域の輝度を高くすることにより高輝度領域と低輝度領域との間の輝度の差を減らす技術がある(特許文献2を参照)。しかし、この技術では、輝線の発生を抑制することができるものの、映像のコントラストが低くなってしまう。
【0004】
そこで、コントラストの低下を抑制しつつ、領域単位でバックライトの輝度を高める高輝度ローカルディミングの技術が開発されている。図13は、この従来の高輝度ローカルディミングについて説明する図である。この高輝度ローカルディミングでは、まず、映像の各領域の輝度に応じて、その映像の各領域に対応するバックライトの各領域の輝度を設定する。図13(A)には、バックライトの8つの領域(領域1〜8)に対して設定された輝度が示されている。
【0005】
そして、バックライトの各領域の輝度は、それらの合計値が所定値以下となるという条件の下、より高い値に補正される。図13(A)に示す各領域の輝度は、それらの合計値が3600cd/m2(=450cd/m2×8)以下となるという条件の下で、図13(B)に示すように、それぞれ倍の値となるように補正される。ここで、各領域の輝度の合計値を所定値以下にすることは、各領域を点灯させるための電流値の合計を所定値以下にすることに対応する。これにより、バックライトの各領域の輝度を高める際に、電力消費量が非常に大きくなってしまうことを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−286627号公報
【特許文献2】特開2010−244013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した高輝度ローカルディミングでは、電流値の合計が所定の許容電流値を超えないという条件を満たすため、まず、すべての領域の電流値を仮決定し、仮決定した電流値の合計を算出する必要がある。そして、上記所定の許容電流値がその合計の何倍になるかを判定し、さらに、仮決定された各領域の電流値にその倍率を掛け合わせることにより、各領域に配分する電流値を算出する処理が実行される。
【0008】
このように、この高輝度ローカルディミングでは、各領域の電流値の合計を算出する処理がさらに加わるので、バックライトの点灯制御に少なくとも1フレーム分の遅延が生じ、バックライトの点灯制御と液晶パネルの駆動制御との間の同期をとるためにフレームメモリが必要となっていた。また、フレームメモリが必要となることにより、装置構成が複雑になり、装置の製造コストも高くなってしまうという問題もあった。
【0009】
特にユーザがゲームを行う場合には、バックライトの点灯制御の遅延は、ユーザの操作性を著しく低下させるため、遅延は極力無くす必要がある。そこで、映像のコントラストの低下を抑制しつつ、ゲームのリアルタイム性を確保する工夫が求められている。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑み、バックライトの点灯制御を高速化し、遅延の発生を防止することにより、バックライトの点灯制御と液晶パネルの駆動制御との間の同期をとるためのフレームメモリを不要とし、装置の簡略化および低コスト化を実現するとともに、映像の明るさを効果的に高めることができる液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する為に、本発明の第1の技術手段は、映像を表示する液晶表示装置であって、前記映像の各領域をそれぞれ照明するバックライトの各領域の第1の輝度を、前記映像の各領域の輝度の情報に基づいて前記バックライトの領域ごとに決定し、各領域の第1の輝度に、前記映像のジャンルに応じて設定された一定倍率を一律に乗算して前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定し、各領域の第2の輝度を用いて前記バックライトの各領域の点灯を、該バックライトの領域ごとに制御するバックライト制御部、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記バックライト制御部は、前記映像のジャンルがゲームである場合に、前記バックライトの各領域の点灯を、該バックライトの領域ごとに制御することを特徴とする。
【0013】
本発明の第3の技術手段は、第1または第2の技術手段において、前記バックライトの各領域を第1の輝度で点灯させた場合の該バックライトの駆動電流の合計値に対する所定の許容電流値の倍率よりも、前記一定倍率が小さいことを特徴とする。
【0014】
本発明の第4の技術手段は、第1〜第3のいずれか1つの技術手段において、前記バックライト制御部は、自装置周囲の明るさの情報に基づいて設定された一定倍率をさらに前記バックライトの各領域の第1の輝度に一律に乗算して、前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定することを特徴とする。
【0015】
本発明の第5の技術手段は、第1〜第4のいずれか1つの技術手段において、前記バックライト制御部は、入力装置を操作して入力された輝度の設定値の情報に基づいて設定された一定倍率をさらに前記バックライトの各領域の第1の輝度に一律に乗算して、前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定することを特徴とする。
【0016】
本発明の第6の技術手段は、第1〜第5のいずれか1つの技術手段において、前記映像のジャンルに対応付けて該映像のジャンルに対応するAPLの情報を記憶する記憶部をさらに備え、前記バックライト制御部は、前記映像のジャンルに対応するAPLの情報を検索し、検索の結果得られたAPLの情報に基づいて、前記一定倍率を設定することを特徴とする。
【0017】
本発明の第7の技術手段は、第6の技術手段において、前記バックライト制御部は、過去に表示した前記映像のAPLの情報に基づいて前記記憶部に記憶されたAPLの情報を更新することを特徴とする。
【0018】
本発明の第8の技術手段は、第1〜第7のいずれか1つの技術手段において、前記バックライト制御部は、前記映像が、ゲーム用入力端子に入力された映像である場合に、前記一定倍率を1にすることを特徴とする。
【0019】
本発明の第9の技術手段は、第1〜第7のいずれか1つの技術手段において、前記バックライト制御部は、前記映像が、パーソナルコンピュータ用入力端子に入力された映像である場合に、前記一定倍率を1にすることを特徴とする。
【0020】
本発明の第10の技術手段は、第1〜第9のいずれか1つの技術手段において、前記バックライト制御部は、あらかじめ前記映像の画質が設定された映像モードの情報に基づいて設定された一定倍率をさらに前記バックライトの各領域の第1の輝度に一律に乗算して、前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定することを特徴とする。
【0021】
本発明の第11の技術手段は、第10の技術手段において、前記バックライト制御部は、前記映像モードがゲームモードである場合に、前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定することを特徴とする。
【0022】
本発明の第12の技術手段は、第10の技術手段において、前記バックライト制御部は、前記映像モードがパーソナルコンピュータの出力画像表示用モードである場合に、前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定することを特徴とする。
【0023】
本発明の第13の技術手段は、第10の技術手段において、前記バックライト制御部は、前記バックライトの各領域の第2の輝度を前記バックライトの各領域の第1の輝度よりも増加させることを特徴とする。
【0024】
本発明の第14の技術手段は、映像を表示する液晶表示装置であって、前記映像の各領域をそれぞれ照明するバックライトの各領域の第1の輝度を、前記映像の各領域の輝度の情報に基づいて前記バックライトの領域ごとに決定し、各領域の第1の輝度に、自装置周囲の明るさに応じて設定された一定倍率を一律に乗算して前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定し、各領域の第2の輝度を用いて前記バックライトの各領域の点灯を、該バックライトの領域ごとに制御するバックライト制御部、を備えることを特徴とする。
【0025】
本発明の第15の技術手段は、映像を表示する液晶表示装置であって、前記映像の各領域をそれぞれ照明するバックライトの各領域の第1の輝度を、前記映像の各領域の輝度の情報に基づいて前記バックライトの領域ごとに決定し、各領域の第1の輝度に、入力装置を操作して入力された輝度の設定値の情報に応じて設定された一定倍率を一律に乗算して前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定し、各領域の第2の輝度を用いて前記バックライトの各領域の点灯を、該バックライトの領域ごとに制御するバックライト制御部、を備えることを特徴とする。
【0026】
本発明の第16の技術手段は、映像を表示する液晶表示装置であって、前記映像の各領域をそれぞれ照明するバックライトの各領域の第1の輝度を、前記映像の各領域の輝度の情報に基づいて前記バックライトの領域ごとに決定し、各領域の第1の輝度に、前記映像が入力された入力端子の種類に応じて設定された一定倍率を一律に乗算して前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定し、各領域の第2の輝度を用いて前記バックライトの各領域の点灯を、該バックライトの領域ごとに制御するバックライト制御部、を備えることを特徴とする。
【0027】
本発明の第17の技術手段は、映像を表示する液晶表示装置であって、前記映像の各領域をそれぞれ照明するバックライトの各領域の第1の輝度を、前記映像の各領域の輝度の情報に基づいて前記バックライトの領域ごとに決定し、各領域の第1の輝度に、あらかじめ前記映像の画質が設定された映像モードの情報に応じて設定された一定倍率を一律に乗算して前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定し、各領域の第2の輝度を用いて前記バックライトの各領域の点灯を、該バックライトの領域ごとに制御するバックライト制御部、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、上述した従来技術における電流値の合計の算出処理を行わず、映像の各領域をそれぞれ照明するバックライトの各領域の第1の輝度を、映像の各領域の輝度の情報に基づいてバックライトの領域ごとに決定し、各領域の第1の輝度に、映像のジャンルに応じて設定された一定倍率を一律に乗算してバックライトの各領域の第2の輝度を設定し、各領域の第2の輝度を用いてバックライトの各領域の点灯を、バックライトの領域ごとに制御するので、映像の明るさを効果的に高めることができるとともに、バックライトの点灯制御を少なくとも1フレーム分高速化できる。また、その電流値算出処理を行うために用いられていたフレームメモリが不要となり、装置の簡略化および低コスト化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る液晶表示装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】映像ジャンル・APL変換テーブルの一例を示す図である。
【図3】各映像ジャンルに対応するAPLの設定について説明する図である。
【図4】バックライトが発光し得る最大輝度とAPLとの間の関係を示す図である。
【図5】バックライトが最大輝度で発光する場合のバックライトに対する供給電力とAPLとの間の関係を示す図である。
【図6】映像モード・輝度変換テーブルの一例を示す図である。
【図7】明るさ・輝度変換テーブルの一例を示す図である。
【図8】調光値・輝度変換テーブルの一例を示す図である。
【図9】ローカルディミングによる輝度設定処理について説明する図である。
【図10】輝度の補正値の算出について説明する図である。
【図11】本発明に係るバックライト点灯処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】本発明に係るバックライト点灯処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図13】従来の高輝度ローカルディミングについて説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明に係る液晶表示装置10の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、この液晶表示装置10は、アンテナ11、チューナ12、ゲーム用入力端子13、パーソナルコンピュータ用入力端子14、デコーダ15、明るさセンサ16、リモコン受光部17、記憶部18、マイコン19、領域輝度設定部20、LED(Light Emitting Diode)制御部21、タイミングコントローラ22、液晶パネル23、LEDドライバ24、バックライト25を備える。ここで、マイコン19、領域輝度設定部20、LED制御部21は、バックライト25の点灯を制御するバックライト制御部26を構成する。
【0031】
アンテナ11は、テレビ放送や電子番組表(EPG、Electronic Program Guide)のデータ放送などを受信するアンテナである。チューナ12は、アンテナ11が受信する放送の選局を行うチューナである。ゲーム用入力端子13は、ゲーム機を接続し、ゲーム機からゲームの映像の入力を受け付ける端子である。パーソナルコンピュータ用入力端子14は、パーソナルコンピュータを接続し、パーソナルコンピュータから出力画像の入力を受け付ける端子である。
【0032】
デコーダ15は、チューナ12により選局されたテレビ放送の信号、ゲーム用入力端子13に入力された信号、パーソナルコンピュータ用入力端子14に入力された信号をデコードして、液晶パネル23により表示される映像の映像信号を取得するとともに、アンテナ11が受信した電子番組表(EPG、Electronic Program Guide)のデータ放送の信号をデコードし、その結果得られる情報に含まれる映像ジャンルの情報を取得するデコーダである。ここで、映像ジャンルとは、「ニュース/報道」、「映画」、「アニメ/特撮」、「サッカー」、「相撲・格闘技」、「ゲーム」など、映像の種類や内容を示すジャンルの情報である。
【0033】
明るさセンサ16は、液晶表示装置10が設置された部屋の明るさ(液晶表示装置10の周囲の明るさ)を検出し、検出した明るさを示す信号を出力するセンサである。リモコン受光部17は、ユーザがリモコン27を操作した場合に、ユーザの操作内容を示す赤外線信号をリモコン27から受信する処理部である。ここで、リモコン27は、ユーザの操作により種々の情報の入力を受け付ける入力装置である。
【0034】
記憶部18は、メモリなどの記憶デバイスである。この記憶部18は、輝度補正設定情報、後述する映像ジャンル・APL(Average Picture Level,平均画像レベル)変換テーブル30、映像モード・輝度変換テーブル31、明るさ・輝度補正値変換テーブル32、調光値・輝度補正値変換テーブル33などを記憶する。APLとは、1フレーム分の映像信号における各画素の輝度の平均値である。このAPLは、百分率で表され、映像全体が白である場合は100%に、映像全体が黒である場合は0%になる。
【0035】
輝度補正設定情報は、領域輝度設定部20により設定されるバックライト25の輝度(バックライト輝度)を補正するため、映像ジャンル、映像モード、部屋の明るさ、および、ユーザ調光値の情報を使用するか否かを示す情報である。この輝度補正設定情報は、ユーザがリモコン27を用いて予め設定した情報である。
【0036】
ここで、映像モードの情報とは、映像の画質が予め設定されたモードの情報である。映像モードとして、例えば、「ダイナミックモード」、「スタンダードモード」、「映画モード」、「ゲームモード」、「パーソナルコンピュータの出力画像表示用モード」などが設定される。ユーザは、リモコン27を操作して各映像モードを切り替えることができる。部屋の明るさの情報は、明るさセンサ16により検出された部屋の明るさの情報である。ユーザ調光値の情報とは、ユーザにより設定された画面の明るさの情報である。
【0037】
映像ジャンル・APL変換テーブル30は、映像ジャンルの情報に対応づけて、APLの情報を登録したデータである。図2は、映像ジャンル・APL変換テーブル30の一例を示す図である。各APLは、映像ジャンルに応じて、以下のようにして設定される。
【0038】
図3は、各映像ジャンルに対応するAPLの設定について説明する図である。APLを設定するためには、図3(A)〜図3(E)に示す各頻度分布において、まず、各APLの頻度の合計値が算出されるとともに、APLが大きい方から各APLの頻度が順に積算される。そして、その積算値が上記合計値の例えば3割を超えたときのAPLの値が各映像ジャンルに対応するAPLの値として設定され、映像ジャンル・APL変換テーブル30に登録される。
【0039】
例えば、映像ジャンルが「ニュース/報道」である場合(図3(A)の場合)、APLが55%のときに、上記積算値が合計値の3割を超えたため、APLが55%に設定される。同様に、図3(B)〜図3(E)に示す「映画」、「アニメ/特撮」、「サッカー」、「相撲・格闘技」の各映像ジャンルの例では、各映像ジャンルのAPLはそれぞれ、34%、50%、50%、38%に設定される。その他、図3には示していないが、「ゲーム」の映像ジャンルのAPLは、例えば、60%に設定される。このことは、APLが60%以下である可能性が7割であることを示し、APLは大半の場合は60%以下であると言える。
【0040】
なお、ここでは、合計値に対する積算値の割合を3割としたが、この割合は他の値であってもよい。また、単にAPLの平均値をその映像ジャンルのAPLの値として設定することとしてもよい。
【0041】
映像ジャンルに基づくバックライト輝度の補正は、例えば、以下の式1により行われる。
(補正後のバックライト輝度)=(補正前のバックライト輝度)
×100/(映像ジャンルに対応するAPLの値)・・・(式1)
ここで、「100/(映像ジャンルに対応するAPLの値)」は、映像ジャンルに基づく補正の補正倍率である。
【0042】
例えば、APLが55%である「ニュース/報道」の映像ジャンルの補正後のバックライト輝度は、
(補正後のバックライト輝度)=(補正前のバックライト輝度)×100/55
=(補正前のバックライト輝度)×1.82
により算出される。
【0043】
なお、補正倍率や補正後のバックライト輝度に上限値や下限値を設け、補正倍率や補正後のバックライト輝度がその上限値、あるいは、下限値を超えた場合は、補正倍率や補正後のバックライト輝度をその上限値、あるいは、下限値に設定することとしてもよい。
【0044】
ここで、「ニュース/報道」の映像ジャンルのAPLが55%であるということは、図3(A)に示した頻度分布において、APLの値の大部分(図3の例では7割)が55%以下の値であることを示している。そこで、映像の55%が白領域であり、45%が黒領域であると仮定する(APL=55%)。また、バックライト25に供給できる最大電力が設定されており、その最大電力をバックライト25に供給してバックライト25のすべての領域を白色で点灯させた場合のバックライト輝度が500cd/m2であると仮定する。
【0045】
図4は、バックライト25が発光し得る最大輝度とAPLとの間の関係を示す図である。また、図5は、バックライト25が最大輝度で発光する場合のバックライト25に対する供給電力とAPLとの間の関係を示す図である。ここで、上述した最大電力は、図5に示すように、165W程度である。APLが約30%以下の範囲で供給電力が低下しているのは、白領域の面積が小さい暗い画像に対して、バックライト25の発光を抑制するためである。
【0046】
映像の55%が白領域であり、45%が黒領域である場合、映像の45%を占める黒領域に対応するバックライト25の領域には電力を供給する必要がないので、映像の55%を占める白領域に対応するバックライト25の領域で上記最大電力を使用できることになる。
【0047】
ここで、APLが55%の場合の最大輝度は、図4に示されるように、850cd/m2となる。映像ジャンルが「ニュース/報道」である場合、上述したように、補正前のバックライト輝度に1.82(=100/55)を乗算して補正後のバックライト輝度を算出するが、補正後のバックライト輝度が850cd/m2を超えた場合には、補正後のバックライト輝度は850cd/m2に制限される。しかしこの場合でも、バックライト輝度が若干低くなるだけであり、大きな映像破綻にはならない。このように、APLの情報を用いることにより、映像の明るさを効果的に高めることができる。
【0048】
また、「ニュース/報道」の映像ジャンルにおいて、APLが55%以上である映像が出現する場合も低い可能性だがあり得る。 例えば、APLが70%である映像が出現したものとし、映像の70%が白領域であり、30%が黒領域であると仮定する。図4において、APLが70%の場合の最大輝度は、680cd/m2となる。APLが55%の場合と比べてAPLが70%の場合は、最大輝度が小さくなり、補正後のバックライト輝度はより小さな値である680cd/m2に制限されるが、白領域が大きく、十分明るいため大きな映像破綻にはならない。
【0049】
同様に、図2において、「ゲーム」の映像ジャンルのAPLが60%であるということは、図3に示したような頻度分布を生成した場合に、APLの大部分(図3の例では7割)が60%以下の値であることを示している。そこで、映像の60%が白領域であり、40%が黒領域であると仮定する(APL=60%)。また、バックライト25に供給できる最大電力が設定されており、その最大電力をバックライト25に供給してバックライト25のすべての領域を白色で点灯させた場合のバックライト輝度が500cd/m2であると仮定する。
【0050】
この場合、映像の黒領域に対応するバックライト25の領域には電力を供給する必要がないので、映像の60%を占める白領域に対応するバックライト25の領域で上記最大電力を使用できることになる。そして、APLが60%の場合のバックライト25が発光し得る最大輝度は、図4より、800cd/m2となる。
【0051】
そのため、映像ジャンルが「ゲーム」である場合、上述したように、補正前のバックライト輝度に1.67(=100/60)を乗算して補正後のバックライト輝度を算出するが、補正後のバックライト輝度が800cd/m2を超えた場合には、補正後のバックライト輝度は、800cd/m2に制限される。しかしこの場合でも、バックライト輝度が若干低くなるだけであり、大きな映像破綻にはならない。このように、APLの情報を用いることにより、映像の明るさを効果的に高めることができる。
【0052】
なお、「ゲーム」の映像ジャンルにおいて、 APLが60%以上である映像が出現する場合も低い可能性だがあり得る。例えば、APLが70%である映像が出現したものとし、映像の70%が白領域であり、30%が黒領域であると仮定する。図4において、APLが70%の場合の最大輝度は、680cd/m2となる。APLが55%の場合と比べて、APLが70%の場合は最大輝度が小さくなり、補正後のバックライト輝度はより小さな値である680cd/m2に制限されるが、白領域が大きく、十分明るいため大きな映像破綻にはならない。映像ジャンルが「映画」、「アニメ/特撮」、「サッカー」、「相撲・格闘技」の場合も同様のことがいえる。
【0053】
映像モード・輝度変換テーブル31は、映像モードの情報に対応づけて、バックライト輝度の情報を登録したデータである。図6は、映像モード・輝度変換テーブル31の一例を示す図である。映像モードには、例えば、「ダイナミックモード」、「スタンダードモード」、「映画モード」、「ゲームモード」、「パーソナルコンピュータの出力画像表示用モード」がある。そして、各映像モードに対して、バックライト輝度の設定値が予め登録されている。
【0054】
映像モードに基づくバックライト輝度の補正は、以下の式2により行われる。
(補正後のバックライト輝度)=(補正前のバックライト輝度)
×(ダイナミックモードのバックライト輝度の設定値)
/(ユーザにより設定された映像モードに対応するバックライト輝度の設定値)・・・(式2)
ここで、「(ダイナミックモードのバックライト輝度の設定値)/(ユーザにより設定された映像モードに対応するバックライト輝度の設定値)」は、映像モードに基づく補正の補正倍率である。
【0055】
例えば、図6に示す映像モード・輝度変換テーブル31において、「ダイナミックモード」のバックライト輝度は450(cd/m2)と登録されているので、映像モードが「スタンダードモード」である場合、補正後のバックライト輝度は、
(補正後のバックライト輝度)=(補正前のバックライト輝度)×450/240
=(補正前のバックライト輝度)×1.88
により算出され、映像モードが「映画モード」である場合、補正後のバックライト輝度は、
(補正後のバックライト輝度)=(補正前のバックライト輝度)
×450/200
=(補正前のバックライト輝度)×2.25
により算出される。
【0056】
また、映像モードが「ゲームモード」、あるいは、「パーソナルコンピュータの出力画像表示用モード」である場合、補正後のバックライト輝度は、
(補正後のバックライト輝度)=(補正前のバックライト輝度)
×450/270
=(補正前のバックライト輝度)×1.67
により算出される。
【0057】
なお、補正倍率や補正後のバックライト輝度に上限値や下限値を設け、補正倍率や補正後のバックライト輝度がその上限値、あるいは、下限値を超えた場合は、補正倍率や補正後のバックライト輝度をその上限値、あるいは、下限値に設定することとしてもよい。
【0058】
ここで、上記補正倍率の逆数は、各映像モードに対応するバックライト輝度の最大値に比べて、ユーザがバックライト輝度をどのくらい低く設定しているかを示す値である。例えば、ユーザが「スタンダードモード」を選択している場合、上記逆数の値は53.3%(=240/450×100)となる。逆数の値が53.3%であることは、図2の映像ジャンル・APL変換テーブル30にAPLの値として53.3%という値が登録されている場合に置き換えることができる。そのため、映像ジャンルに基づいてバックライト輝度を補正する場合と同様に、補正前のバックライト輝度が一律に1.88倍(=100/53.3)される。
【0059】
明るさ・輝度変換テーブル32は、部屋の明るさの情報に対応づけて、バックライト輝度補正値およびバックライト輝度補正係数の情報を登録したデータである。図7は、明るさ・輝度変換テーブル32の一例を示す図である。ここで、バックライト輝度補正値は、後に説明する基準バックライト輝度Bを算出するために用いられる値であり、バックライト輝度補正係数は、部屋の明るさに基づくバックライト輝度の調整に用いられる値である。
【0060】
図7に示すように、部屋の明るさは0〜255の256段階で明るさセンサ16により検出される。明るさ・輝度変換テーブル32に登録されていない明るさに対応するバックライト輝度補正係数は、明るさ・輝度変換テーブル32に登録されている明るさに対応するバックライト輝度補正係数を用いて補間処理を行うことにより算出される。
【0061】
部屋の明るさに基づく補正は、例えば、以下の式3により行われる。
(補正後のバックライト輝度)=(補正前のバックライト輝度)
×(検出された明るさに対応するバックライト輝度補正係数)・・・(式3)
ここで、「検出された明るさに対応するバックライト輝度補正係数」は、部屋の明るさに基づく補正の補正倍率である。
【0062】
例えば、図7において、部屋の明るさが56である場合、補正後のバックライト輝度は、
(補正後のバックライト輝度)=(補正前のバックライト輝度)×1.7
により算出される。この場合、補正前のバックライト輝度が200cd/m2であれば 、補正後のバックライト輝度は、補正前のバックライト輝度の1.7倍の340cd/m2となる。
【0063】
なお、図4に示したように、バックライト25が発光し得る最大輝度は、APLの値によって制限される。よって、上記式3により算出された補正後のバックライト輝度が、映像のAPLに対応する最大輝度を超えた場合には、補正後のバックライト輝度は、その最大輝度に制限される。
【0064】
ここで、上記補正倍率の逆数は、部屋の明るさによりどれだけの割合でバックライト輝度を低く(あるいは高く)設定しているかを示す値である。例えば、部屋の明るさが56で、バックライト輝度補正係数が1.7である場合、上記逆数の値は、58.8%(=1/1.7)となる。逆数の値が58.8%であることは、図2の映像ジャンル・APL変換テーブル30にAPLの値として58.8%という値が登録されている場合に置き換えることができる。そのため、補正前のバックライト輝度が一律に1.7倍(=100/58.8)される。
【0065】
調光値・輝度補正値変換テーブル33は、ユーザ調光値の情報に対応づけて、バックライト輝度補正値およびバックライト輝度補正係数の情報を登録したデータである。図8は、調光値・輝度変換テーブル33の一例を示す図である。ここで、バックライト輝度補正値は、後に説明する基準バックライト輝度Bを算出するために用いられる値であり、バックライト輝度補正係数は、ユーザ調光値に基づくバックライト輝度の調整に用いられる値である。
【0066】
図8に示すように、ユーザ調光値は−16〜16の33段階で設定される。そして、ユーザ調光値に基づくバックライト輝度の補正は、例えば、以下の式4により補正される。
(補正後のバックライト輝度)=(補正前のバックライト輝度)
×(ユーザ調光値に対応するバックライト輝度補正係数)・・・(式4)
ここで、「ユーザ調光値に対応するバックライト輝度補正係数」は、ユーザ調光値に基づく補正の補正倍率である。
【0067】
例えば、図8において、ユーザ調光値が−8である場合、補正後のバックライト輝度は、
(補正後のバックライト輝度)=(補正前のバックライト輝度)×1.5
により算出される。この場合、補正前のバックライト輝度が200cd/m2であれば、補正後のバックライト輝度は、補正前のバックライト輝度の1.5倍の300cd/m2となる。
【0068】
なお、図4に示したように、バックライト25が発光し得る最大輝度は、APLの値によって制限される。よって、上記式4により算出された補正後のバックライト輝度が、映像のAPLに対応する最大輝度を超えた場合には、補正後のバックライト輝度は、その最大輝度に制限される。
【0069】
ここで、上記補正倍率の逆数は、ユーザ調光値によりどれだけの割合でバックライト輝度を低く(あるいは高く)設定しているかを示す値である。例えば、ユーザ調光値が−8で、バックライト輝度補正係数が1.5である場合、上記逆数の値は、66.6%(=1/1.5)となる。逆数の値が66.6%であることは、図2の映像ジャンル・APL変換テーブル30にAPLの値として66.6%という値が登録されている場合に置き換えることができる。そのため、補正前のバックライト輝度が一律に1.5倍(=100/66.6)される。
【0070】
このように、ローカルディミングにより設定されたバックライト輝度を補正するため、映像ジャンルや映像モード、部屋の明るさ、ユーザ調光値の情報を用いることにより、映像の明るさを効果的に設定することができる。また、従来の高輝度ローカルディミングのように、バックライト25の各領域に配分される電流値の合計を算出しないので、バックライト25の点灯制御を少なくとも1フレーム分高速化できる。その結果、バックライト25の点灯制御と液晶パネル23の駆動制御との間の同期をとるためのフレームメモリが不要となり、装置の簡略化および低コスト化が実現される。
【0071】
図1の説明に戻ると、マイコン19は、ローカルディミングにより設定されたバックライト輝度を補正するための情報をデコーダ15や明るさセンサ16、リモコン受光部17から取得し、領域輝度設定部20やLED制御部21に出力するデバイスである。
【0072】
具体的には、マイコン19は、デコーダ15から映像ジャンルの情報を受信し、図2に示した映像ジャンル・APL変換テーブル30を参照して、映像ジャンルに対応するAPLの情報をLED制御部21に出力する。
【0073】
また、マイコン19は、ユーザがリモコン27を用いて設定した映像モードの情報をリモコン受光部17から受信し、図6に示した映像モード・輝度変換テーブル31を参照して、映像モードに対応するバックライト輝度の情報を領域輝度設定部20やLED制御部21に出力する。
【0074】
また、マイコン19は、部屋の明るさを示す信号を明るさセンサ16から受信し、図7に示した明るさ・輝度変換テーブル32を参照して、部屋の明るさに対応するバックライト輝度補正値の情報を領域輝度設定部20に出力し、バックライト輝度補正係数の情報をLED制御部21に出力する。
【0075】
さらに、マイコン19は、ユーザがリモコン27を用いて設定したユーザ調光値の情報をリモコン受光部17から受信し、図8に示した調光値・輝度変換テーブル33を参照して、ユーザ調光値に対応するバックライト輝度補正値の情報を領域輝度設定部20に出力し、バックライト輝度補正係数の情報をLED制御部21に出力する。
【0076】
領域輝度設定部20は、ローカルディミングにより、映像の各領域の輝度の情報に基づいて、バックライト25の各領域におけるバックライト輝度を設定する処理部である。図9は、ローカルディミングによる輝度設定処理について説明する図である。図9には、映像が8つの領域に分割された場合の例が示されている。
【0077】
まず、領域輝度設定部20は、領域1〜8のそれぞれについて、映像の1フレーム中の各領域における各画素の輝度の最大値Ymax1〜Ymax8を検出する。そして、領域輝度設定部20は、最大値Ymax1〜Ymax8のうち、最も大きな値を選択し、その値に対する各値の比率を算出する。例えば、Ymax8が選択されたとすると、上記比率は、Ymax1/Ymax8、Ymax2/Ymax8、・・・、Ymax7/Ymax8、1(=Ymax8/Ymax8)と算出される。
【0078】
そして、領域輝度設定部20は、領域1〜8のバックライト輝度を、それぞれ、A×Ymax1/Ymax8、A×Ymax2/Ymax8、・・・、A×Ymax7/Ymax8、A(cd/m2)に設定する。ここで、Aは所定の値である。
【0079】
なお、ユーザにより映像モードが設定された場合、明るさセンサ16が検出した部屋の明るさに応じてバックライト輝度を補正するようにユーザにより設定された場合、あるいは、ユーザによりユーザ調光値が設定されている場合、領域輝度設定部20は、映像モードに対応するバックライト輝度、部屋の明るさに対応するバックライト輝度補正値、あるいは、ユーザ調光値に対応するバックライト輝度補正値の情報をマイコン19から取得し、それらを加算することにより基準バックライト輝度Bを算出する。
【0080】
例えば、図6〜8において、映像モードが「スタンダードモード」であり、部屋の明るさが56であり、ユーザ調光値が8である場合、この基準バックライト輝度Bは、220(cd/m2)(=240−100+80)となる。
【0081】
そして、領域輝度設定部20は、領域1〜8の各バックライト輝度を、それぞれ、B×Ymax1/Ymax8、B×Ymax2/Ymax8、・・・、B×Ymax7/Ymax8、B(cd/m2)に設定する。図9には、基準バックライト輝度Bが220(cd/m2)の場合が示されている。
【0082】
図1の説明に戻ると、LED制御部21は、映像ジャンルに対応するAPLの情報、映像モードに対応するバックライト輝度の情報、部屋の明るさに対応するバックライト輝度補正係数の情報、あるいは、ユーザ調光値に対応するバックライト輝度補正係数の情報をマイコン19から受信し、受信した情報に基づいて、領域輝度設定部20が設定したバックライト25の各領域のバックライト輝度を補正する処理部である。
【0083】
LED制御部21は、補正したバックライト輝度の情報を用いてLEDドライバ24を制御するための制御信号を生成する。そして、LED制御部21は、生成した制御信号をLEDドライバ24に出力し、バックライト輝度が補正したバックライト輝度となるようにLEDドライバ24にバックライト25を駆動させて、バックライト25の点灯を領域ごとに制御する。
【0084】
このLED制御部21は、映像ジャンルの情報を用いてバックライト輝度の補正を行うようにユーザにより設定されている場合、映像ジャンルに対応するAPLの値をマイコン19から取得し、式1における「100/(映像ジャンルに対応するAPLの値)」を算出する。
【0085】
また、LED制御部21は、映像モードの情報を用いてバックライト輝度の補正を行うようにユーザにより設定されている場合、ダイナミックモードのバックライト輝度の設定値、および、ユーザにより設定された映像モードに対応するバックライト輝度の設定値をマイコン19から取得し、式2における「(ダイナミックモードのバックライト輝度の設定値)/(ユーザにより設定された映像モードに対応するバックライト輝度の設定値)」の値を算出する。
【0086】
また、LED制御部21は、部屋の明るさの情報を用いてバックライト輝度の補正を行うようにユーザにより設定されている場合、式3における「検出された明るさに対応するバックライト輝度補正係数」の値をマイコン19から取得する。また、LED制御部21は、ユーザ調光値の情報を用いてバックライト輝度の補正を行うようにユーザにより設定されている場合に、式4における「ユーザ調光値に対応するバックライト輝度補正値)/(補正前のバックライト輝度))」の値をマイコン19から取得する。
【0087】
そして、LED制御部21は、上述のようにして得た各値を掛け合わせて補正倍率を算出し、その補正倍率を領域輝度設定部20により設定された各領域のバックライト輝度に一律に掛け合わせることにより、バックライト輝度の補正値をバックライト25の領域ごとに算出する。その後、LED制御部21は、算出した補正値を用いて、バックライト25の各領域の点灯を制御するための制御信号を生成し、生成した制御信号をLEDドライバ24に出力する。
【0088】
図10は、バックライト輝度の補正値の算出について説明する図である。図10には、図9のように設定されたバックライト輝度に対して、上記補正倍率による補正を行った後の各領域のバックライト輝度が示されている。図10に示すように、各領域のバックライト輝度は、領域輝度設定部20により設定された各領域のバックライト輝度よりも高く設定され、より明るい映像表示が実現される。
【0089】
図1の説明に戻ると、タイミングコントローラ22は、デコーダ15により出力された映像信号を領域輝度設定部20を介して受信し、その映像信号に基づいて液晶パネル23のソースドライバ、および、ゲートドライバに映像の表示タイミングを制御するための制御信号を送信するデバイスである。液晶パネル23は、ソースドライバ、および、ゲートドライバにより駆動され、映像を表示する表示デバイスである。
【0090】
LEDドライバ24は、LED制御部21から制御信号を受信し、バックライト25が備える各LEDに電流を供給することにより、バックライト25の各領域の点灯を制御するドライバである。バックライト25は、LEDを多数並べた直下型LEDバックライトである。バックライト25に備わるLEDは、LEDドライバ24から電流の供給を受けて、領域ごとに電流値に応じたバックライト輝度で点灯する。
【0091】
つぎに、本発明に係るバックライト点灯処理の処理手順の一例について説明する。このバックライト点灯処理では、まず、映像信号に対してローカルディミング処理が実行され、バックライトの各領域の輝度が設定される。その後、設定された輝度が、映像ジャンルや映像モード、部屋の明るさ、ユーザ調光値などの情報に基づいて補正され、補正された輝度値に基づいてバックライト25の点灯が制御される。以下、このバックライト点灯処理についてさらに詳しく説明する。
【0092】
図11、図12は、本発明に係るバックライト点灯処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。図11に示すように、液晶表示装置10の領域輝度設定部20は、デコーダ15により出力された映像信号を取得し、取得した映像信号に対してローカルディミング処理を実行する(ステップS101)。具体的には、領域輝度設定部20は、映像信号により表示される映像の各領域の輝度の情報を用いて、映像の各領域に対応するバックライト25の各領域のバックライト輝度を設定する。
【0093】
そして、領域輝度設定部20は、図9を用いて説明したようにして、基準バックライト輝度によるバックライト輝度の補正を実行する(ステップS102)。その後、LED制御部21は、マイコン19を介して記憶部18から輝度補正設定情報を読み込む(ステップS103)。この輝度補正設定情報には、領域輝度設定部20により設定されたバックライト輝度を補正するために、映像のジャンル、映像モード、部屋の明るさ、および、ユーザ調光値の情報を使用するか否かの情報が予め登録されている。
【0094】
そして、LED制御部21は、輝度補正設定情報を参照し、バックライト輝度の補正に映像ジャンルの情報を使用するか否かを判定する(ステップS104)。映像ジャンルの情報を使用する場合(ステップS104においてYESの場合)、LED制御部21は、現在視聴している映像の映像ジャンルに対応するAPLの情報をマイコン19から取得する(ステップS105)。そして、LED制御部21は、映像ジャンルに基づく補正の補正倍率(式1における「100/(映像ジャンルに対応するAPLの値)」)を算出する(ステップS106)。
【0095】
ステップS106の処理の後、または、ステップS104において、映像ジャンルの情報を使用しない場合(ステップS104においてNOの場合)、LED制御部21は、輝度補正設定情報を参照し、バックライト輝度の補正に映像モードの情報を使用するか否かを判定する(ステップS107)。
【0096】
映像モードの情報を使用する場合(ステップS107においてYESの場合)、LED制御部21は、現在設定されている映像モードに対応するバックライト輝度の情報をマイコン19から取得する(ステップS108)。そして、LED制御部21は、映像モードに基づく補正の補正倍率(式2における「(ダイナミックモードのバックライト輝度の設定値)/(ユーザにより設定された映像モードに対応するバックライト輝度の設定値)」)を算出する(ステップS109)。
【0097】
ステップS109の処理の後、または、ステップS107において、映像モードの情報を使用しない場合(ステップS107においてNOの場合)、図12に示すように、LED制御部21は、輝度補正設定情報を参照し、バックライト輝度の補正に部屋の明るさの情報を使用するか否かを判定する(ステップS110)。
【0098】
部屋の明るさの情報を使用する場合(ステップS110においてYESの場合)、LED制御部21は、明るさセンサ16により検出された部屋の明るさに対応するバックライト輝度補正係数の情報をマイコン19から取得する(ステップS111)。そして、LED制御部21は、取得した情報を部屋の明るさに基づく補正の補正倍率(式3における「検出された明るさに対応するバックライト輝度補正係数」)として設定する(ステップS112)。
【0099】
ステップS112の処理の後、または、ステップS110において、部屋の明るさの情報を使用しない場合(ステップS110においてNOの場合)、LED制御部21は、輝度補正設定情報を参照し、バックライト輝度の補正にユーザ調光値の情報を使用するか否かを判定する(ステップS113)。
【0100】
ユーザ調光値の情報を使用する場合(ステップS113においてYESの場合)、LED制御部21は、ユーザにより設定されたユーザ調光値に対応するバックライト輝度補正係数の情報をマイコン19から取得する(ステップS114)。そして、LED制御部21は、取得した情報をユーザ調光値に基づく補正の補正倍率(式4における「ユーザ調光値に対応するバックライト輝度補正係数」)として設定する(ステップS115)。
【0101】
ステップS115の処理の後、または、ステップS113において、ユーザ調光の情報を使用しない場合(ステップS113においてNOの場合)、LED制御部21は、算出または設定した各補正倍率の積を算出する(ステップS116)。ここで、各補正倍率の積の値に上限値や下限値を予め設定しておき、その積が上限値、あるいは、下限値を超えた場合は、LED制御部21は、その積を上限値、あるいは、下限値に設定することとしてもよい。その後、LED制御部21は、算出した積を領域輝度設定部20により設定された各領域のバックライト輝度に掛け合わせることにより、各領域のバックライト輝度を補正する(ステップS117)。
【0102】
続いて、LED制御部21は、各領域の補正されたバックライト輝度の情報に基づいて、バックライト25の点灯を制御する(ステップS118)。具体的には、LED制御部21は、LEDドライバ24を制御する制御信号を生成し、その制御信号をLEDドライバ24に出力する。そして、LED制御部21は、各領域のバックライト輝度が補正したバックライト輝度となるようにバックライト25の各領域を点灯させる。その後、このバックライト点灯処理は終了する。
【0103】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の変形、修正が可能である。例えば、上記実施形態では、バックライト25の点灯制御と液晶パネル23の駆動制御との間の同期をとるためのフレームメモリを不要とし、装置の簡略化および低コスト化を実現するため、従来の高輝度ローカルディミングを行わないこととしたが、液晶表示装置10は、従来の高輝度ローカルディミングによるバックライト点灯処理と、上記実施形態において説明したバックライト点灯処理とを切り替えて実行することとしてもよい。この場合、LED制御部21は、ユーザがリモコン27を操作して行った処理の切り替え要求を受け付け、ユーザにより指定された方のバックライト点灯処理を実行すればよい。
【0104】
また、上記実施形態では、各映像ジャンルに対応するAPLの値を、予め図2に示した映像ジャンル・APL変換テーブル30に登録しておき、そのAPLの値を用いてバックライト25の各領域の点灯を制御することとしたが、過去に表示した映像のAPLの情報に基づいて、各映像ジャンルに対応するAPLの情報を更新し、更新されたAPLの情報に基づいて、バックライト25の各領域の点灯を領域ごとに制御することとしてもよい。
【0105】
具体的には、マイコン19は、デコーダ15から映像ジャンルの情報と映像信号とを受信し、映像のAPLの情報を映像ジャンルごとに記憶部18に蓄積する。そして、マイコン19は、図3に示すような頻度分布から、図3を用いて説明したような方法で、各映像ジャンルに対応するAPLの値を決定し、そのAPLの値を用いて映像ジャンル・APL変換テーブル30に登録されているAPLの値を更新する。そして、LED制御部21は、更新されたAPLの値を用いてバックライト25の各領域の点灯を制御する。これにより、各映像ジャンルの特徴がより正確にAPLに反映されるようになるので、映像の明るさをより効果的に高めることができる。
【0106】
また、上記実施形態では、領域輝度設定部20は、ローカルディミングにより、バックライト25の各領域におけるバックライト輝度を設定し、LED制御部21は、領域輝度設定部20が設定したバックライト25の各領域のバックライト輝度を補正することとしたが、LED制御部21は、映像がゲーム用入力端子13に入力された場合に、ローカルディミングのみを行い、バックライト輝度の補正は行わないこととしてもよい。例えば、この場合、LED制御部21は、領域輝度設定部20が設定したバックライト輝度に掛け合わせる補正倍率を1に設定することにより、バックライト輝度の補正を行わないようにすることができる。
【0107】
これにより、ゲーム機が液晶表示装置10に接続され、液晶表示装置10がゲーム機のモニタとして使用される場合に、ゲームの映像の表示に適合するようバックライト輝度を適切に調整することができる。
【0108】
同様に、LED制御部21は、映像がパーソナルコンピュータ用入力端子14に入力された場合に、ローカルディミングのみを行い、バックライト輝度の補正は行わないこととしてもよい。この場合も、LED制御部21は、領域輝度設定部20が設定したバックライト輝度に掛け合わせる補正倍率を1に設定することにより、バックライト輝度の補正を行わないようにすることができる。
【0109】
これにより、パーソナルコンピュータが液晶表示装置10に接続され、液晶表示装置10がパーソナルコンピュータのモニタとして使用される場合に、パーソナルコンピュータの映像の表示に適合するようバックライト輝度を適切に調整することができる。特に、パーソナルコンピュータ用のゲームをユーザが行うため、液晶表示装置10がパーソナルコンピュータのモニタとして使用される場合に、上記調整は有益である。
【0110】
さらに、上記実施形態では、映像のジャンルが「ゲーム」である場合に、バックライトの輝度を増加させることとしたが、輝度を増加させることが不要な領域の輝度を低下させることとしてもよい。
【0111】
具体的には、領域輝度設定部20、および、LED制御部21は、映像のジャンルが「ゲーム」であると検出した場合に、その検出がなされた後のバックライトの所定の領域の輝度を、その検出がなされる前のバックライトの所定の領域の輝度よりも小さくすることとしてもよい。ここで、所定の領域とは、映像信号の諧調が所定の値よりも小さい領域である。
【0112】
例えば、領域輝度設定部20、および、LED制御部21は、映像信号の諧調が所定の値以上である領域のバックライトの輝度を1.5倍に増加させる場合、映像信号の諧調が所定の値よりも小さい領域のバックライトの輝度を1/1.5倍にすることとしてもよい。
【0113】
暗いシーンなどにおける低諧調領域のバックライト輝度が大きくなると、人に違和感を感じさせたり、ノイズが目立ったりしてしまうが、上述のように映像信号の諧調が所定の値よりも小さい領域の輝度を低下させることにより、このような欠点を解消することができる。
【0114】
また、領域輝度設定部20は、ローカルディミングにより、バックライト25の各領域におけるバックライト輝度を設定し、LED制御部21は、そのバックライト輝度に補正倍率を掛け合わせてバックライト輝度を補正することとしたが、LED制御部21は、バックライト25の駆動電流の合計値Sに対する所定の電流許容値Aの倍率A/Sよりも、小さな補正倍率をバックライト輝度に掛け合わせてバックライト輝度を補正することとしてもよい。
【0115】
これにより、映像の表示に適合するようバックライト輝度を調整する際、バックライト25の駆動電流が所定の電流許容値以内となることを保証することが可能となる。
【符号の説明】
【0116】
10…液晶表示装置、11…アンテナ、12…チューナ、15…デコーダ、16…明るさセンサ、17…リモコン受光部、18…記憶部、19…マイコン、20…領域輝度設定部、21…LED制御部、22…タイミングコントローラ、23…液晶パネル、24…LEDドライバ、25…バックライト、26…バックライト制御部、27…リモコン、30…映像ジャンル・APL変換テーブル、31…映像モード・輝度変換テーブル、32…明るさ・輝度補正値変換テーブル、33…調光値・輝度補正値変換テーブル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を表示する液晶表示装置であって、
前記映像の各領域をそれぞれ照明するバックライトの各領域の第1の輝度を、前記映像の各領域の輝度の情報に基づいて前記バックライトの領域ごとに決定し、各領域の第1の輝度に、前記映像のジャンルに応じて設定された一定倍率を一律に乗算して前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定し、各領域の第2の輝度を用いて前記バックライトの各領域の点灯を、該バックライトの領域ごとに制御するバックライト制御部、
を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記バックライト制御部は、前記映像のジャンルがゲームである場合に、前記バックライトの各領域の点灯を、該バックライトの領域ごとに制御することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記バックライトの各領域を第1の輝度で点灯させた場合の該バックライトの駆動電流の合計値に対する所定の許容電流値の倍率よりも、前記一定倍率が小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記バックライト制御部は、自装置周囲の明るさの情報に基づいて設定された一定倍率をさらに前記バックライトの各領域の第1の輝度に一律に乗算して、前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記バックライト制御部は、入力装置を操作して入力された輝度の設定値の情報に基づいて設定された一定倍率をさらに前記バックライトの各領域の第1の輝度に一律に乗算して、前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記映像のジャンルに対応付けて該映像のジャンルに対応するAPLの情報を記憶する記憶部をさらに備え、前記バックライト制御部は、前記映像のジャンルに対応するAPLの情報を検索し、検索の結果得られたAPLの情報に基づいて、前記一定倍率を設定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記バックライト制御部は、過去に表示した前記映像のAPLの情報に基づいて前記記憶部に記憶されたAPLの情報を更新することを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記バックライト制御部は、前記映像が、ゲーム用入力端子に入力された映像である場合に、前記一定倍率を1にすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記バックライト制御部は、前記映像が、パーソナルコンピュータ用入力端子に入力された映像である場合に、前記一定倍率を1にすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記バックライト制御部は、あらかじめ前記映像の画質が設定された映像モードの情報に基づいて設定された一定倍率をさらに前記バックライトの各領域の第1の輝度に一律に乗算して、前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記バックライト制御部は、前記映像モードがゲームモードである場合に、前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定することを特徴とする請求項10に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
前記バックライト制御部は、前記映像モードがパーソナルコンピュータの出力画像表示用モードである場合に、前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定することを特徴とする請求項10に記載の液晶表示装置。
【請求項13】
前記バックライト制御部は、前記バックライトの各領域の第2の輝度を前記バックライトの各領域の第1の輝度よりも増加させることを特徴とする請求項10に記載の液晶表示装置。
【請求項14】
映像を表示する液晶表示装置であって、
前記映像の各領域をそれぞれ照明するバックライトの各領域の第1の輝度を、前記映像の各領域の輝度の情報に基づいて前記バックライトの領域ごとに決定し、各領域の第1の輝度に、自装置周囲の明るさに応じて設定された一定倍率を一律に乗算して前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定し、各領域の第2の輝度を用いて前記バックライトの各領域の点灯を、該バックライトの領域ごとに制御するバックライト制御部、
を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項15】
映像を表示する液晶表示装置であって、
前記映像の各領域をそれぞれ照明するバックライトの各領域の第1の輝度を、前記映像の各領域の輝度の情報に基づいて前記バックライトの領域ごとに決定し、各領域の第1の輝度に、入力装置を操作して入力された輝度の設定値の情報に応じて設定された一定倍率を一律に乗算して前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定し、各領域の第2の輝度を用いて前記バックライトの各領域の点灯を、該バックライトの領域ごとに制御するバックライト制御部、
を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項16】
映像を表示する液晶表示装置であって、
前記映像の各領域をそれぞれ照明するバックライトの各領域の第1の輝度を、前記映像の各領域の輝度の情報に基づいて前記バックライトの領域ごとに決定し、各領域の第1の輝度に、前記映像が入力された入力端子の種類に応じて設定された一定倍率を一律に乗算して前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定し、各領域の第2の輝度を用いて前記バックライトの各領域の点灯を、該バックライトの領域ごとに制御するバックライト制御部、
を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項17】
映像を表示する液晶表示装置であって、
前記映像の各領域をそれぞれ照明するバックライトの各領域の第1の輝度を、前記映像の各領域の輝度の情報に基づいて前記バックライトの領域ごとに決定し、各領域の第1の輝度に、あらかじめ前記映像の画質が設定された映像モードの情報に応じて設定された一定倍率を一律に乗算して前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定し、各領域の第2の輝度を用いて前記バックライトの各領域の点灯を、該バックライトの領域ごとに制御するバックライト制御部、
を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項1】
映像を表示する液晶表示装置であって、
前記映像の各領域をそれぞれ照明するバックライトの各領域の第1の輝度を、前記映像の各領域の輝度の情報に基づいて前記バックライトの領域ごとに決定し、各領域の第1の輝度に、前記映像のジャンルに応じて設定された一定倍率を一律に乗算して前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定し、各領域の第2の輝度を用いて前記バックライトの各領域の点灯を、該バックライトの領域ごとに制御するバックライト制御部、
を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記バックライト制御部は、前記映像のジャンルがゲームである場合に、前記バックライトの各領域の点灯を、該バックライトの領域ごとに制御することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記バックライトの各領域を第1の輝度で点灯させた場合の該バックライトの駆動電流の合計値に対する所定の許容電流値の倍率よりも、前記一定倍率が小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記バックライト制御部は、自装置周囲の明るさの情報に基づいて設定された一定倍率をさらに前記バックライトの各領域の第1の輝度に一律に乗算して、前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記バックライト制御部は、入力装置を操作して入力された輝度の設定値の情報に基づいて設定された一定倍率をさらに前記バックライトの各領域の第1の輝度に一律に乗算して、前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記映像のジャンルに対応付けて該映像のジャンルに対応するAPLの情報を記憶する記憶部をさらに備え、前記バックライト制御部は、前記映像のジャンルに対応するAPLの情報を検索し、検索の結果得られたAPLの情報に基づいて、前記一定倍率を設定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記バックライト制御部は、過去に表示した前記映像のAPLの情報に基づいて前記記憶部に記憶されたAPLの情報を更新することを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記バックライト制御部は、前記映像が、ゲーム用入力端子に入力された映像である場合に、前記一定倍率を1にすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記バックライト制御部は、前記映像が、パーソナルコンピュータ用入力端子に入力された映像である場合に、前記一定倍率を1にすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記バックライト制御部は、あらかじめ前記映像の画質が設定された映像モードの情報に基づいて設定された一定倍率をさらに前記バックライトの各領域の第1の輝度に一律に乗算して、前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記バックライト制御部は、前記映像モードがゲームモードである場合に、前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定することを特徴とする請求項10に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
前記バックライト制御部は、前記映像モードがパーソナルコンピュータの出力画像表示用モードである場合に、前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定することを特徴とする請求項10に記載の液晶表示装置。
【請求項13】
前記バックライト制御部は、前記バックライトの各領域の第2の輝度を前記バックライトの各領域の第1の輝度よりも増加させることを特徴とする請求項10に記載の液晶表示装置。
【請求項14】
映像を表示する液晶表示装置であって、
前記映像の各領域をそれぞれ照明するバックライトの各領域の第1の輝度を、前記映像の各領域の輝度の情報に基づいて前記バックライトの領域ごとに決定し、各領域の第1の輝度に、自装置周囲の明るさに応じて設定された一定倍率を一律に乗算して前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定し、各領域の第2の輝度を用いて前記バックライトの各領域の点灯を、該バックライトの領域ごとに制御するバックライト制御部、
を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項15】
映像を表示する液晶表示装置であって、
前記映像の各領域をそれぞれ照明するバックライトの各領域の第1の輝度を、前記映像の各領域の輝度の情報に基づいて前記バックライトの領域ごとに決定し、各領域の第1の輝度に、入力装置を操作して入力された輝度の設定値の情報に応じて設定された一定倍率を一律に乗算して前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定し、各領域の第2の輝度を用いて前記バックライトの各領域の点灯を、該バックライトの領域ごとに制御するバックライト制御部、
を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項16】
映像を表示する液晶表示装置であって、
前記映像の各領域をそれぞれ照明するバックライトの各領域の第1の輝度を、前記映像の各領域の輝度の情報に基づいて前記バックライトの領域ごとに決定し、各領域の第1の輝度に、前記映像が入力された入力端子の種類に応じて設定された一定倍率を一律に乗算して前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定し、各領域の第2の輝度を用いて前記バックライトの各領域の点灯を、該バックライトの領域ごとに制御するバックライト制御部、
を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項17】
映像を表示する液晶表示装置であって、
前記映像の各領域をそれぞれ照明するバックライトの各領域の第1の輝度を、前記映像の各領域の輝度の情報に基づいて前記バックライトの領域ごとに決定し、各領域の第1の輝度に、あらかじめ前記映像の画質が設定された映像モードの情報に応じて設定された一定倍率を一律に乗算して前記バックライトの各領域の第2の輝度を設定し、各領域の第2の輝度を用いて前記バックライトの各領域の点灯を、該バックライトの領域ごとに制御するバックライト制御部、
を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−92700(P2013−92700A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235535(P2011−235535)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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