説明

液晶装置の製造装置

【課題】成膜時に成膜条件が変動することを防止して、良好な無機配向膜を成膜できるようにした液晶装置の製造装置を提供する。
【解決手段】成膜室2と、成膜室2内にて基板Wに配向膜材料をスパッタ法で成膜して無機配向膜を形成するスパッタ装置3と、基板Wを搬送する搬送トレイ6と、を備え、スパッタ装置3は、スパッタ粒子5pを放出する開口部3aを有し、搬送トレイ6は、基板Wの外周Woの外側へ延長された延在部6eを有し、延在部6eは、少なくとも基板Wの成膜開始時に開口部3aの全体を覆うように、基板Wの搬送方向Xの前方に設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液晶装置の製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶プロジェクタ等の投射型表示装置の光変調手段として用いられる液晶装置は、一対の基板間の周縁部にシール材が配設され、その中央部に液晶層が封止されて構成されている。その一対の基板の内面側には液晶層に電圧を印加する電極が形成され、これら電極の内面側には非選択電圧印加時において液晶分子の配向を制御する配向膜が形成されている。このような構成によって液晶装置は、非選択電圧印加時と選択電圧印加時との液晶分子の配向変化に基づいて光源光を変調し、表示画像を形成するようになっている。
【0003】
ところで、前述した配向膜としては、側鎖アルキル基を付加したポリイミド等からなる高分子膜の表面に、ラビング処理を施したものが一般に用いられている。しかし、このようなラビング法は簡便であるものの、物理的にポリイミド膜をこすることでポリイミド膜に対して配向特性を付与するために、種々の不都合が指摘されている。具体的には、(1)配向性の均一さを確保することが困難であること、(2)ラビング処理時の筋跡が残り易いこと、(3)配向方向の制御およびプレチルト角の選択的な制御が可能ではなく、また広視野角を得るために用いられるマルチドメインを使用した液晶パネルには適さないこと、(4)ガラス基板からの静電気による薄膜トランジスタ素子の破壊や、配向膜の破壊が生じ、歩留まりを低下させること、(5)ラビング布からのダスト発生による表示不良が発生しがちであること、などである。
【0004】
また、このような有機物からなる配向膜では、液晶プロジェクタのような高出力光源を備えた機器に用いた場合、光エネルギーにより有機物がダメージを受けて配向不良を生じてしまう。特に、プロジェクタの小型化および高輝度化を図った場合には、液晶パネルに入射する単位面積あたりのエネルギーが増加し、入射光の吸収によりポリイミドそのものが分解し、また、光を吸収したことによる発熱でさらにその分解が加速される。その結果、配向膜に多大なダメージが付加され、機器の表示特性が低下してしまう。
【0005】
そこで、このような不都合を解消するため、ターゲットから放出されるスパッタ粒子が1方向から斜めに基板に入射するようにスパッタリングを実施することにより、基板に対して斜め方向に結晶成長した複数の柱状構造を有する無機材料からなる配向膜を形成する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。このような方法によれば、得られる無機配向膜は高い信頼性を有するものと期待されている。
【特許文献1】特開2007−286401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のスパッタ装置では、基板をスパッタ装置に対して相対的に移動させながら成膜を行うため、成膜条件が変動するという課題がある。
例えば成膜時には、基板を搬送手段により水平方向に搬送して、スパッタ粒子を放出するスパッタ装置の開口部上に基板を通過させて成膜する。このとき、基板がスパッタ装置の開口部上に差し掛かると、開口部が基板によって徐々に覆われていく。これにより、スパッタ装置内部や基板の周囲の圧力やガス濃度が変化してしまう。このように、スパッタ装置内部や基板の周囲の圧力やガス濃度等の成膜条件が変動すると、基板に成膜された無機配向膜の膜質が不均一になる。
【0007】
そこで、この発明は、成膜時に成膜条件が変動することを防止して、良好な無機配向膜を成膜できるようにした液晶装置の製造装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の液晶装置の製造装置は、対向する一対の基板間に挟持された液晶層を備え、少なくとも一方の前記基板の内面側に無機配向膜を形成してなる液晶装置の製造装置であって、成膜室と、該成膜室内にて前記基板に配向膜材料をスパッタ法で成膜して無機配向膜を形成するスパッタ装置と、前記基板を搬送する搬送トレイと、を備え、前記スパッタ装置は、スパッタ粒子を放出する開口部を有し、前記搬送トレイは、前記基板の外周の外側へ延長された延在部を有し、前記延在部は、少なくとも前記基板の成膜開始時に前記開口部の全体を覆うように、前記基板の搬送方向の前方に設けられていることを特徴とする。
【0009】
このように構成することで、基板への成膜が開始される前に搬送トレイの延在部によって開口部の全体を覆うことができる。すなわち、基板に無機配向膜を成膜する際には、基板を搬送トレイによって搬送方向の後方の初期位置から、搬送方向の前方の成膜開始位置まで搬送する。このとき、基板の外周が開口部に対向する成膜開始位置に到達する前に、開口部が基板の搬送方向の前方に設けられた延在部によって徐々に覆われていく。そして、基板の外周が成膜開始位置に到達したときには、開口部が延在部によってその全体が覆われた状態となる。
スパッタ装置内部や基板の周囲の圧力やガス濃度は、開口部が完全に覆われるまでの間は大きく変動するが、開口部が延在部によって完全に覆われた後は安定する。開口部は、基板への成膜が開始され、基板が搬送方向前方に搬送されながら成膜される間、搬送トレイ延在部及び基板によって完全に覆われた状態となる。そのため、基板への成膜開始後にスパッタ装置内部や基板の周囲の圧力やガス濃度が変動することが防止され、成膜条件を安定させることができる。
したがって、本発明の液晶装置の製造装置によれば、成膜時に成膜条件が変動することを防止して、良好な無機配向膜を成膜することができる。
【0010】
また、本発明の液晶装置の製造装置は、前記延在部は、少なくとも前記基板の成膜終了時に前記開口部の全体を覆うように、前記基板の搬送方向の後方に設けられていることを特徴とする。
【0011】
このように構成することで、基板への成膜が完全に終了するまでの間、搬送トレイの延在部によって開口部の全体を覆っておくことができる。すなわち、搬送トレイにより初期位置から成膜開始位置まで搬送された基板は、搬送方向前方の外周から成膜が開始され、成膜されながら搬送トレイにより搬送方向に搬送される。そして、基板の搬送方向後方の外周が成膜開始位置を通過すると、開口部の基板によって覆われた領域が徐々に減少する。
しかし、基板の搬送方向後方の外周が成膜開始位置を通過した後も、基板と、基板の搬送方向の後方に設けられた延在部とによって、開口部の全体が覆われた状態が維持される。そして、基板の搬送方向後方の外周が成膜終了位置に到達するまでの間、開口部は延在部によって全体が覆われた状態となる。これにより、開口部は、基板への成膜開始時から成膜が完全に終了する成膜終了時までの間、基板及び搬送トレイの延在部の少なくとも一方によって完全に覆われた状態となる。
したがって、本発明の液晶装置の製造装置によれば、基板への成膜開始時から成膜終了時までの間、スパッタ装置内部や基板の周囲の圧力やガス濃度を安定させ、より良好な無機配向膜を成膜することができる。
【0012】
また、本発明の液晶装置の製造装置は、前記延在部の前記開口部に対向する面と、前記基板の前記開口部に対向する面とが面一に形成されていることを特徴とする。
【0013】
このように構成することで、基板を搬送トレイにより搬送方向前方に搬送して成膜する際に、基板の搬送方向前方の外周が成膜開始位置を通過する前と通過した後のスパッタ装置内部や基板の周囲の圧力やガス濃度の変動をより効果的に防止することができる。
また、搬送トレイの搬送方向の後方に延在部が設けられている場合には、基板の搬送方向後方の外周が成膜開始位置を通過する前と通過した後のスパッタ装置内部や基板の周囲の圧力やガス濃度の変動をより効果的に防止することができる。
したがって、本発明の液晶装置の製造装置によれば、成膜時の成膜条件をより安定させ、より良好な無機配向膜を形成することができる。
【0014】
また、本発明の液晶装置の製造装置は、前記延在部の前記搬送方向の長さが、前記開口部の前記搬送方向の長さよりも長いことを特徴とする。
【0015】
このように構成することで、基板を搬送トレイにより搬送方向前方に搬送して搬送方向前方の外周が成膜開始位置に到達するまでの間に、延在部によって開口部の全体を覆う時間を長くすることができる。これにより、スパッタ装置内部や基板の周囲の圧力やガス濃度をより安定させ、成膜時の成膜条件をより安定させることができる。
また、搬送トレイの搬送方向の後方に延在部が設けられている場合には、基板を搬送トレイにより搬送方向前方に搬送して搬送方向後方の外周が成膜終了位置を通過した後も、延在部によって開口部の全体を覆っておくことができる。これにより、スパッタ装置内部や基板の周囲の圧力やガス濃度をより安定させ、成膜時の成膜条件をより安定させることができる。
【0016】
また、本発明の液晶装置の製造装置は、前記延在部の前記搬送方向に直交する方向の幅が、前記開口部の前記搬送方向に直交する方向の幅よりも大きいことを特徴とする。
【0017】
このように構成することで、少なくとも基板への成膜開始時から成膜終了時までの間、開口部の幅方向の全体を覆うことができる。これにより、成膜時の成膜条件をより安定させることができる。
【0018】
また、本発明の液晶装置の製造装置は、前記延在部の前記長さが、前記開口部の前記長さの1.5倍以上であることを特徴とする。
【0019】
このように構成することで、基板を搬送トレイにより搬送方向前方に搬送して搬送方向前方の外周が成膜開始位置に到達するまでの間に、スパッタ装置内部や基板の周囲の圧力やガス濃度を十分に安定させておくことができる。これにより、成膜時の成膜条件をより安定させることができる。
また、搬送トレイの搬送方向の後方に延在部が設けられている場合には、基板を搬送トレイにより搬送方向前方に搬送して搬送方向後方の外周が成膜終了位置を通過した後も、スパッタ装置内部や基板の周囲の圧力やガス濃度の変動が成膜に完全に影響を及ぼさなくなるまで、延在部によって開口部の全体を覆っておくことができる。これにより、成膜時の成膜条件をより安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明するが、本発明の技術範囲は以下の実施形態に限定されるものではない。また、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。また、以下では、基板の搬送方向をX方向、基板の成膜面に平行でX方向に直交する方向をY方向、基板の厚さ方向をZ方向とする直交座標系を用いて説明する。また、スパッタ粒子の放出方向をZa方向、スパッタ装置のターゲットに垂直な方向をXa方向としている。
【0021】
(液晶装置の製造装置)
図1(a)は本発明の実施の形態に係る液晶装置の製造装置の一実施の形態を示す概略構成図である。図1(b)は、スパッタ装置3をXa方向に観察した側面構成図である。
図1(a)に示すように、製造装置1は、液晶装置の構成部材となる基板W上にスパッタ法により無機配向膜を成膜する装置である。製造装置1は、基板Wを収容する真空チャンバーである成膜室2と、基板Wの表面に無機材料からなる配向膜をスパッタ法により形成するスパッタ装置3とを備えている。
【0022】
スパッタ装置3は、そのプラズマ生成領域に放電用のアルゴンガスを流通させる第1のガス供給手段21を備えている。
成膜室2は、内部に収容された基板W上に飛来する配向膜材料と反応して無機配向膜を形成する反応ガスとしての酸素ガスを供給する第2のガス供給手段22を備えている。
成膜室2には、その内部圧力を制御し、所望の真空度を得るための排気制御装置20が配管20aを介して接続されている。また、成膜室2の図示下側の壁面から外側に突出するようにして、スパッタ装置3の接続部を成す装置接続部25が形成されている。
【0023】
装置接続部25は、成膜室2内部に収容される基板Wの成膜面法線方向(図示Z軸方向)と所定の角度(θ1)を成して斜め方向に延びて形成されている。また、装置接続部25は、その先端部に接続されるスパッタ装置3を基板Wに対して所定の角度で斜めに向けて配置することができるようになっている。
【0024】
第2のガス供給手段22は、装置接続部25に関して排気制御装置20と反対側に接続されており、第2のガス供給手段22から供給される酸素ガスは、矢印22fで示すように、成膜室2の+X側から基板W上を経由して排気制御装置20側へ図示−X方向に流通するようになっている。
【0025】
また実際の製造装置では、成膜室2の真空度を保持した状態での基板Wの搬入/搬出を可能とするロードロックチャンバーが、成膜室2のX軸方向外側に備えられている。ロードロックチャンバーにも、これを独立して真空雰囲気に調整する排気制御装置が接続されている。ロードロックチャンバーと成膜室2とは、チャンバー間を気密に閉塞するゲートバルブを介して接続されている。かかる構成により、成膜室2を大気に解放することなく基板Wの出し入れを行えるようになっている。
【0026】
スパッタ装置3は、2枚のターゲット5a、5bを対向配置してなる対向ターゲット型のスパッタ装置である。
第1のターゲット5aは略平板状の第1電極9aに装着され、第2のターゲット5bは略平板状の第2電極9bに装着されている。電極9a、9bに支持されたターゲット5a、5bは、基板W上に形成する無機配向膜の構成物質を含む材料、例えばシリコンからなるものとされる。またターゲット5a、5bは図示Y方向に延びる細長い板状のものが用いられており(図2参照)、互いの対向面がほぼ平行になるように設置されている。
【0027】
第1電極9aには直流電源又は高周波電源からなる電源4aが接続され、第2電極9bには直流電源又は高周波電源からなる電源4bが接続されている。そして、各電源4a、4bから供給される電力によりターゲット5a、5bが対向する空間(プラズマ生成領域)にプラズマPzを発生させるようになっている。
【0028】
第1電極9aのターゲット5aと反対側にはターゲット5aを冷却するための第1の冷却手段8aが設けられている。第1の冷却手段8aには、第1の冷媒循環手段18aが配管等を介して接続されている。
また第2電極9bのターゲット5bと反対側には、ターゲット5bを冷却するための第2の冷却手段8bが設けられている。第2の冷却手段8bには、配管等を介して第2の冷媒循環手段18bが接続されている。
【0029】
第1の冷却手段8aは、図1(b)に示すようにターゲット5aとほぼ同一の平面寸法に形成されている。また、第1の冷却手段8aは、図1(a)に示す第1電極9aを介してターゲット5aと平面視で重なる位置に配設されている。また特に図示はしないが、第2の冷却手段8bについても同様にターゲット5bと平面視で重なる位置に配設されている。冷却手段8a、8bは内部に冷媒を流通させる冷媒流路を備えており、かかる冷媒流路に対して冷媒循環手段18a、18bから供給される冷媒を循環させることでターゲット5a、5bの冷却を行うようになっている。
【0030】
また、図1(b)に示すように、平面視矩形状の第1の冷却手段8aを取り囲むようにして矩形枠状の永久磁石、電磁石、これらを組み合わせた磁石等からなる第1の磁界発生手段16aが配設されている。図1(a)に示す第2の冷却手段8bを取り囲む第2の磁界発生手段16bも同様の形状である。
なお、冷却手段8a、8bは、導電部材により作製してそれぞれ第1電極9a、9bと電気的に接続してもよく、この場合には冷却手段8a、8bに対しそれぞれ電源4a、4bを電気的に接続することができる。また、第1電極9a、9bの内部に冷媒流路を形成することで第1電極9a、9bが冷却手段を兼ねる構成としてもよい。
【0031】
図2は、図1(a)に示すスパッタ装置3の構成を示す図である。図2(a)はスパッタ装置3を成膜室2側から見た平面図である。図2(b)は図2(a)におけるG−G’線に沿う矢視断面図である。
図1及び図2に示すように、第1電極9a及び第2電極9bは、それらの一端部(−Za側端部)に接続された側壁部材19と、第1電極9a及び第2電極9bのY軸方向両端部にそれぞれ接続された側壁部材9c、9dとともにスパッタ装置3の真空チャンバーとなる箱形筐体を構成している。ただし、箱形筐体を構成する第1電極9a、第2電極9b、及び側壁部材9c、9d、19は互いに絶縁された構造である。箱形筐体は、装置接続部25を介して成膜室2に接続されている。
装置接続部25は、成膜室2側の端部にスパッタ粒子5pが排出される開口部3aを有している。本実施形態では、この開口部3aがスパッタ装置3の開口部3aとなっている。かかる接続構造により箱形筐体の内部は成膜室2の内部と連通している。
【0032】
図1に示すように、ターゲット5a、5bに挟まれるプラズマ生成領域に対して成膜室2と反対側に配置された側壁部材19には、第1のガス供給手段21が接続されている。第1のガス供給手段21から供給されるアルゴンガスは、側壁部材19側からプラズマ生成領域(ターゲット対向領域)に流入し、装置接続部25を介して成膜室2内に流入するようになっている。
そして、成膜室2に流入したアルゴンガスは、矢印21fで示すように、第2のガス供給手段22から供給されて矢印22fに沿って流通する酸素ガスと合流して排気制御装置20側へ流れるようになっている。
【0033】
本実施形態の製造装置1では、第1のスパッタガスであるアルゴンガスを図示Za方向に沿って成膜室2側へ流通させ、成膜室2内を−X方向に流通する酸素ガスと合流させ、その後−X方向に流通させるようになっている。また、第2のスパッタガスである酸素ガスの流通方向と前記アルゴンガスの流通方向との成す角度が鋭角になるようにしてスパッタガスを円滑に流通させるようになっている。
これにより、酸素ガスとアルゴンガスとの合流地点においてガス流が乱れるのを防止することができ、基板Wに対するスパッタ粒子5pの入射角度がばらつくのを防止することができる。
【0034】
図1(a)に示すように、第1電極9aのターゲット5aと反対側に第1の磁界発生手段16aが配置され、第2電極9bのターゲット5bと反対側には第2の磁界発生手段16bが配置されている。また、図2(b)に示すように、第2の磁界発生手段16bは、矩形状のターゲット5bの外周端に沿って配置された矩形枠状であり、第1の磁界発生手段16aも同様である。
【0035】
したがって、第1の磁界発生手段16aと第2の磁界発生手段16bとは、対向配置されたターゲット5a、5bの外周部で互いに対向して配置されている。そして、これらの磁界発生手段16a、16bがターゲット5a、5bを取り囲むXa方向の磁界をスパッタ装置3内に発生させ、かかる磁界によってプラズマPzに含まれる電子をプラズマ生成領域内に拘束する電子拘束手段を構成している。
【0036】
図1(a)に示すように、成膜室2内には、基板Wをその被処理面(成膜面)が水平(XY面に平行)になるようにして保持する搬送トレイ6が設けられている。
搬送トレイ6には、基板Wの外周の外側方向へ延長された延在部6eが設けられている。搬送トレイ6は、延在部6eのスパッタ装置3の開口部3aに対向する面6sと、基板Wの開口部3aに対向する面Wsとが、段差なく略面一になるように形成されている。
【0037】
また、搬送トレイ6には、搬送トレイ6を図示略のロードロックチャンバー側からその反対側へ水平に搬送する移動手段6aが接続されている。移動手段6a及び搬送トレイ6による基板Wの搬送方向は、図1においてX軸方向に平行であり、ターゲット5a、5bの長さ方向(Y軸方向)と直交する方向となっている。
また、搬送トレイ6には、保持した基板Wを加熱するためのヒータ(加熱手段)7が設けられている。さらに、搬送トレイ6には、保持した基板Wを冷却するための第3の冷却手段8cが設けられている。
【0038】
ヒータ7は、電源等を具備した制御部7aに接続されている。そして、ヒータ7は、制御部7aを介した昇温動作により所望の温度に搬送トレイ6を加熱し、これによって基板Wを所望の温度に加熱できるように構成されている。
一方、第3の冷却手段8cは、第3の冷媒循環手段18cと配管等を介して接続されている。そして、第3の冷却手段8cは、第3の冷媒循環手段18cから供給される冷媒を循環させることにより所望の温度に搬送トレイ6を冷却し、これによって基板Wを所望の温度に冷却するように構成されている。
【0039】
製造装置1により液晶装置の構成部材である基板W上に無機配向膜を形成するには、第1のガス供給手段21からアルゴンガスを導入しつつ、第1電極9a及び第2電極9bにDC電力(RF電力)を供給する。これにより、ターゲット5a、5bに挟まれる空間にプラズマPzを発生させ、プラズマ雰囲気中のアルゴンイオン等をターゲット5a、5bに衝突させる。そして、ターゲット5a、5bから配向膜材料(シリコン)をスパッタ粒子5pとしてたたき出す。さらにプラズマPzに含まれるスパッタ粒子5pのうち、プラズマPzから開口部3a側へ飛行するスパッタ粒子5pのみを選択的に成膜室2側へ放出する。そして、基板Wの面上に斜め方向から飛来したスパッタ粒子5pと、成膜室2を流通する酸素ガスとを基板W上で反応させることで、シリコン酸化物からなる配向膜を基板W上に形成するようになっている。
【0040】
なお、本実施形態では、スパッタ粒子5pとしてのシリコンを、第2のスパッタガスである酸素ガスと反応させることでシリコン酸化物を基板W上に成膜する場合について説明しているが、ターゲット5a、5bとして例えばシリコン酸化物(SiOx)やアルミニウム酸化物(AlOy等)などを用い、ターゲット5a、5bに対してRF電力を入力してスパッタ動作を行うことで、これらシリコン酸化物やアルミニウム酸化物からなる無機配向膜を基板W上に形成することができる。またこの場合において、第2のスパッタガス(酸素ガス)を成膜室2内に流通させておくことで、形成される無機配向膜の酸化物組成からのずれを防止することができ、無機配向膜の絶縁性を高めることができる。
【0041】
図3(a)は、基板Wへの成膜開始時におけるスパッタ装置3の開口部3a近傍の拡大断面図である。図3(b)は、図3(a)のA−A’線に沿う矢視図であり、基板Wへの成膜開始時における基板Wとスパッタ装置3の開口部3aとの位置関係を示す平面図である。
基板W上に無機配向膜を形成するには、図1(a)に示すように、移動手段6aにより搬送トレイ6を図示略のロードロックチャンバーからその反対側へ水平に移動させ、図3(a)及び図3(b)に示すように、基板Wを成膜開始位置SPまで移動させる。ここで、成膜開始位置SPは、開口部3aから放出されたスパッタ粒子5pと酸素ガスとが反応して基板Wに無機配向膜が成膜され始める位置である。
【0042】
図3(a)及び図3(b)に示すように、搬送トレイ6の延在部6eは、基板Wの搬送方向前方の外周Woが成膜開始位置SPに到達するまでの間に、スパッタ装置3の開口部3aの全体を覆うように、基板Wの搬送方向の前方に設けられている。すなわち、成膜開始時において、基板Wの搬送方向の延在部6eの長さ6eLが、基板Wの搬送方向の開口部3aの長さ3aLよりも長くなっている。ここで、延在部6eの長さ6eLは、開口部3aの−X側の縁から+X方向への長さである。本実施形態では、延在部6eの長さ6eLが、例えば開口部3aの長さ3aLの約1.5倍以上となっている。
なお、図3(a)に示すように、スパッタ装置3の開口部3aの近傍に、防着カバー11やスリット(不図示)が設けられている場合には、これらの開口部がスパッタ装置3の開口部3aとなる。
【0043】
また、図3(b)に示すように、基板Wの搬送方向に直交する方向(Y方向)の延在部6eの幅6eWは、基板Wの搬送方向に直交する方向の開口部3aの幅3aWよりも大きく形成されている。
なお、本実施形態では、基板Wの大きさは、例えば約300mm×300mm程度であり、開口部3aの長さ3aLは、例えば約100mm程度であり、基板Wの面Ws及び延在部6eの面6sと開口部3a(防着カバー11)との距離D(図3(a)参照)は、例えば約30mm程度である。
【0044】
図4(a)は、基板Wへの成膜途中のスパッタ装置3の開口部3a近傍の拡大断面図である。図4(b)は、図4(a)のA−A’線に沿う矢視図であり、成膜途中の基板Wとスパッタ装置3の開口部3aとの位置関係を示す平面図である。
基板W上に無機配向膜を形成するには、図3(a)及び図3(b)に示す成膜開始位置SPから移動手段6a及び搬送トレイ6により基板Wを搬送方向前方に搬送する。そして、図4(a)及び図4(b)に示すように、基板Wを移動手段6a及び搬送トレイ6により搬送方向前方に移動させながら成膜する。このとき、スパッタ装置3の開口部3aは、Y方向に延長された搬送トレイ6の延在部6eと、基板Wとによって全体が覆われた状態となる。
【0045】
図5(a)は、基板Wへの成膜終了時におけるスパッタ装置3の開口部3a近傍の拡大断面図である。図5(b)は、図5(a)のA−A’線に沿う矢視図であり、基板Wへの成膜終了時における基板Wとスパッタ装置3の開口部3aとの位置関係を示す平面図である。
搬送トレイ6の延在部6eは、基板Wの搬送方向後方の外周Woが成膜終了位置EPに到達するまでの間、スパッタ装置3の開口部3aの全体を覆っておくように、基板Wの搬送方向の後方に設けられている。すなわち、成膜終了時において、延在部6eのX方向の長さ6elが、開口部3aの長さ3aLよりも長くなっている。ここで、延在部6eの長さ6elは、開口部3aの+X側の縁から−X方向への長さである。本実施形態では、延在部6eの長さ6elが、例えば開口部3aの長さ3aLの約1.5倍以上となっている。
【0046】
上記構成を備えた製造装置1によれば、上述のように搬送トレイ6の延在部6eが基板Wの搬送方向前方(+X側)に設けられているので、基板Wへの成膜が開始される前に搬送トレイ6の延在部6eによって開口部3aの全体を予め覆っておくことができる。
すなわち、基板Wに無機配向膜を成膜する際には、基板Wを搬送トレイ6によって搬送方向後方(−X側)の初期位置から、図3(a)及び図3(b)に示すように、搬送方向前方の成膜開始位置SPまで搬送する。このとき、基板Wの外周Woが成膜開始位置SPに到達する前に、開口部3aが基板Wの搬送方向前方に設けられた延在部6eによって徐々に覆われていく。そして、基板Wの外周Woが成膜開始位置SPに到達したときには、開口部3aの全体が延在部6eによって覆われた状態となる。
【0047】
スパッタ装置3の内部や基板Wの周囲の圧力やガス濃度は、開口部3aが完全に覆われるまでの間は大きく変動するが、開口部3aが延在部6eによって完全に覆われた後は安定する。開口部3aは、基板Wへの成膜開始後、図4(a)及び図4(b)に示すように基板Wが搬送方向前方に搬送されて、図5(a)及び図5(b)に示すように成膜が終了するまでの間、搬送トレイ6の延在部6e及び基板Wによって完全に覆われた状態となる。そのため、基板Wへの成膜開始後にスパッタ装置3の内部や基板Wの周囲の圧力やガス濃度が変動することが防止され、成膜条件を安定させることができる。
【0048】
また、搬送トレイ6の延在部6eは、上述のように基板Wの搬送方向後方に設けられているので、基板Wへの成膜が完全に終了するまでの間、延在部6eによって開口部3aの全体を覆っておくことができる。
すなわち、図5(a)及び図5(b)に示すように、基板Wの搬送方向後方(−X側)の外周Woが成膜開始位置SPを通過すると、開口部3aの基板Wによって覆われた領域が徐々に減少する。しかし、基板Wの搬送方向後方の外周Woが成膜開始位置SPを通過した後も、基板Wの搬送方向後方に設けられた延在部6eによって、開口部3aの全体が覆われた状態が維持される。
【0049】
そして、基板Wの搬送方向後方の外周Woが成膜終了位置EPに到達するまでの間、開口部3aは延在部6e及び基板Wの少なくとも一方によって全体が覆われた状態となる。これにより、開口部3aは、基板Wへの成膜開始時から成膜が完全に終了する成膜終了時までの間、基板W及び搬送トレイ6の延在部6eの少なくとも一方によって完全に覆われた状態となる。
したがって、本実施形態の製造装置1によれば、基板Wへの成膜開始時から成膜終了時までの間、スパッタ装置3の内部や基板Wの周囲の圧力やガス濃度を安定させ、より良好な無機配向膜を成膜することができる。
【0050】
また、本実施形態では、スパッタ装置3の開口部3aに対向する延在部6eの面6sと、基板Wの面Wsとが段差なく略面一に形成されている。そのため、図3に示すように、基板Wの+X側の外周Woが成膜開始位置SPを通過する前と通過した後とで、延在部6eの面6sと開口部3aとの間の距離Dと、基板Wの面Wsと開口部3aとの距離Dとが、略等しくなる。
これにより、基板Wの+X側の外周Woが成膜開始位置SPを通過する前と後におけるスパッタ装置3の内部や基板Wの周囲の圧力やガス濃度の変動をより効果的に防止することができる。同様に、図5に示すように基板Wの−X側の外周Woが成膜開始位置SPを通過する前と後のスパッタ装置3の内部や基板Wの周囲の圧力やガス濃度の変動も、より効果的に防止することができる。
【0051】
また、図3に示すように、延在部6eの搬送方向の長さ6eLが、開口部3aの搬送方向の長さ3aLよりも長いので、基板Wを搬送トレイ6により搬送方向前方に搬送して搬送方向前方の外周Woが成膜開始位置SPに到達するまでの間に、延在部6eによって開口部3aの全体を覆う時間を長くすることができる。これにより、成膜時の成膜条件をより安定させることができる。
また、延在部6eの長さ6eLは、開口部3aの長さ3aLの1.5倍以上であるので、基板Wの搬送方向前方の外周Woが成膜開始位置SPに到達するまでの間に、スパッタ装置3の内部や基板Wの周囲の圧力やガス濃度を、より確実に安定させておくことができる。
【0052】
また、図5に示すように、搬送トレイ6の−X側の延在部6eは、基板Wを搬送トレイ6により+X方向に搬送して基板Wの−X側の外周Woが成膜終了位置EPを通過した後も、開口部3aの全体を覆うことができる。これにより、成膜時の成膜条件をより安定させることができる。
また、延在部6eの長さ6elは、開口部3aの長さ3aLの1.5倍以上であるので、基板Wの−X側の外周Woが成膜終了位置EPを通過した後も、スパッタ装置3の内部や基板Wの周囲の圧力やガス濃度の変動が成膜に影響を及ぼさなくなるまで、延在部6eによって開口部3aの全体を覆っておくことができる。
したがって、成膜時の成膜条件をより安定させ、より良好な無機配向膜を形成することができる。
【0053】
また、前記延在部の前記搬送方向に直交する方向の幅が、前記開口部の前記搬送方向に直交する方向の幅よりも大きいので、基板への成膜開始時から成膜終了時までの間、開口部の幅方向の全体を覆うことができる。これにより、成膜時の成膜条件をより安定させることができる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態の液晶装置の製造装置1によれば、成膜時に成膜条件が変動することを防止して、成膜時の成膜条件をより安定させることができる。したがって、より良好な無機配向膜を形成することができる。
【0055】
また、対向ターゲット型のスパッタ装置3を基板Wに対して所定角度(θ1)傾けて配置しているので、スパッタ装置3の開口部3aから放出されるスパッタ粒子5pを所定角度で斜め方向から基板Wの成膜面に入射させることができる。そして、このようにして斜め方向から入射させたスパッタ粒子5pの堆積により、一方向に配向した柱状構造を具備した無機配向膜を基板W上に形成することができるようになっている。また、対向ターゲット型のスパッタ装置3では、開口部3aから放出されないスパッタ粒子は、主にターゲット5a、5bに入射して再利用されるため、極めて高いターゲット利用効率を得られるようになっている。さらにスパッタ装置3においては、ターゲット間隔を狭めることで開口部3aから放出されるスパッタ粒子5pの指向性を高めることができるので、基板Wに到達するスパッタ粒子5pの入射角は高度に制御されたものとなり、形成される無機配向膜における柱状構造の配向性も良好なものとなる。
【0056】
[液晶装置の製造方法]
次に、上記製造装置1を用いた液晶装置の製造方法(基板W上に無機配向膜を形成する工程)について説明する。
まず、基板Wとして、液晶装置用基板としてスイッチング素子や電極等、所定の構成部材が形成された基板を用意する。次いで、基板Wを成膜室2に併設されたロードロックチャンバー内に収容し、ロードロックチャンバー内を減圧して真空状態とする。また、これとは別に、排気制御装置を作動させて成膜室2内を所望の真空度に調整しておく。
【0057】
続いて、基板Wを成膜室2内に搬送し、搬送トレイ6にセットする。そして、配向膜形成の前処理として、搬送トレイ6のヒータ7によって基板Wを例えば250℃〜300℃程度で加熱し、基板Wの表面に付着した吸着水やガスなどの脱水・脱ガス処理を行う。次いで、ヒータ7による加熱を停止した後、スパッタリングによる基板温度の上昇を抑制するため、冷媒循環手段18cを作動させて冷却手段8cに冷媒を循環させることで基板Wを所定温度、例えば室温に保持する。
【0058】
次に、アルゴンガスを第1のガス供給手段21からスパッタ装置3内に所定流量で導入し、酸素ガスを第2のガス供給手段22から所定流量で成膜室2内に導入するとともに、排気制御装置20を作動させ、所定の操作圧力、例えば10−1Pa程度に調整する。酸素ガスプラズマでは酸素ラジカル、酸素の負イオンが発生するため、本実施形態の製造装置1では、プラズマ生成領域であるターゲット5a、5bの前面にはアルゴンガスのみを導入し、酸素ガスは別系統のガス供給路から基板W上へ流入させている。また、成膜中にも必要に応じてヒータ7、冷却手段8cを作動させることにより、基板Wを室温に保持することが好ましい。
【0059】
その後、このような成膜条件のもとで、移動手段6aにより基板Wを図1中のX方向に所定の速度で移動させる。基板Wの搬送方向前方の外周Woが成膜開始位置SPに達したら、スパッタ装置3によるスパッタリングを行う。すると、ターゲット5a、5bからは、配向膜材料となるスパッタ粒子(シリコン)が放出されるが、対向ターゲット型のスパッタ装置3では、ターゲット対向方向に進行するスパッタ粒子はプラズマPz内に閉じ込められ、ターゲット面方向の開口部3aに向かって進行するスパッタ粒子5pのみが開口部3aから成膜室2内に放出され、進行方向を規制されたスパッタ粒子5pのみが基板W上に入射するようになる。
【0060】
スパッタ粒子5pは、装置接続部25に臨む基板Wの成膜面に対してのみ選択的に入射、基板W上で酸素ガスと反応してシリコン酸化物の被膜を形成する。このように基板Wに対して斜めに傾けて配置されたスパッタ装置3から放出され、さらに基板Wに対してスパッタ装置3と同様に斜めに傾けて配置された装置接続部25を通過したスパッタ粒子5pは、基板Wの成膜面に対して所定の角度、すなわち前記θ1で入射するようになる。その結果、基板W上で酸素ガスとスパッタ粒子5pとの反応を伴って堆積した無機配向膜は、前記の入射角θ1に対応した角度で傾斜する柱状構造を有した無機配向膜となる。
【0061】
このように、製造装置1により基板W状に形成される無機配向膜は所望の角度で傾斜した柱状構造を有する無機配向膜であり、この配向膜を備えてなる液晶装置は、かかる無機配向膜によって液晶のプレチルト角を良好に制御することがでるものとなる。
【0062】
また、基板Wの搬送方向前方の外周Woが成膜開始位置SPに達するまでの間に、スパッタ装置の開口部3aが延在部6eによって覆われた状態となり、スパッタ装置3の内部及び基板Wの周囲の圧力及びガス濃度等の成膜条件が安定する。これにより、良好な膜質の無機配向膜を成膜することができる。
【0063】
以上の工程により基板W上に無機配向膜を形成したならば、別途製造した他の基板とシール材を介して貼り合わせ、基板間に液晶を封入することで液晶装置を製造することができる。なお、本発明に係る液晶装置の製造方法において、無機配向膜の形成工程以外の製造工程については公知の製造方法を適用することができる。
【0064】
尚、この発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、上述の実施の形態では、延在部が基板の搬送方向の前方及び後方に設けられている場合について説明したが、延在部は基板の搬送方向の前方のみに設けられていてもよい。
また、基板の搬送方向の延在部の長さは、成膜開始時にスパッタ装置の開口部の全体を覆うものであれば、基板の搬送方向の開口部の長さよりも長くなくてもよく、例えばそれと等しい長さであってもよい。また、開口部の長さの1.5倍以下であってもよい。
また。基板の搬送方向に直交する方向の延在部の幅は、基板の搬送方向に直交する方向のスパッタ装置の開口部の幅よりも大きくなくてもよく、例えばそれと等しい幅であってもよい。
また、延在部によってスパッタ装置の開口部の全体を覆うことができれば、スパッタ装置の開口部に対向する延在部の面と基板の面とは面一に形成されていなくてもよい。例えば、成膜条件をより安定させるために、延在部に傾斜等を設けてもよい。
また、基板やスパッタ装置の開口部の大きさ、基板及び延在部とスパッタ装置の開口部の大きさ等は、上述の実施の形態に例示した大きさに限定されない。
また、スパッタ装置には、防着カバーやスリットが形成されていなくてもよい。この場合には、装置接続部の成膜室側の開口部がスパッタ装置の開口部となる。
また、スパッタ装置は基板の搬送方向に対して垂直に配置されたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】実施形態に係る液晶装置の製造装置の概略構成図。
【図2】図1に示すスパッタ装置の詳細構成を示す図。
【図3】図1に示す液晶装置の製造装置のスパッタ装置の開口部近傍の概略構成図。
【図4】図1に示す液晶装置の製造装置のスパッタ装置の開口部近傍の概略構成図。
【図5】図1に示す液晶装置の製造装置のスパッタ装置の開口部近傍の概略構成図。
【符号の説明】
【0066】
1 製造装置、2 成膜室、3 スパッタ装置、3a 開口部、3aL 長さ、3aW 幅、5p スパッタ粒子、6 搬送トレイ、6e 延在部、6eL 長さ、6eW 幅、6el 長さ、6s 面、W 基板、Wo 外周、Ws 面、X 搬送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対の基板間に挟持された液晶層を備え、少なくとも一方の前記基板の内面側に無機配向膜を形成してなる液晶装置の製造装置であって、
成膜室と、該成膜室内にて前記基板に配向膜材料をスパッタ法で成膜して無機配向膜を形成するスパッタ装置と、前記基板を搬送する搬送トレイと、を備え、
前記スパッタ装置は、スパッタ粒子を放出する開口部を有し、
前記搬送トレイは、前記基板の外周の外側へ延長された延在部を有し、
前記延在部は、少なくとも前記基板の成膜開始時に前記開口部の全体を覆うように、前記基板の搬送方向の前方に設けられていることを特徴とする液晶装置の製造装置。
【請求項2】
前記延在部は、少なくとも前記基板の成膜終了時に前記開口部の全体を覆うように、前記基板の搬送方向の後方に設けられていることを特徴とする請求項1記載の液晶装置の製造装置。
【請求項3】
前記延在部の前記開口部に対向する面と、前記基板の前記開口部に対向する面とが面一に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の液晶装置の製造装置。
【請求項4】
前記延在部の前記搬送方向の長さが、前記開口部の前記搬送方向の長さよりも長いことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の液晶装置の製造装置。
【請求項5】
前記延在部の前記搬送方向に直交する方向の幅が、前記開口部の前記搬送方向に直交する方向の幅よりも大きいことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の液晶装置の製造装置。
【請求項6】
前記延在部の前記長さが、前記開口部の前記長さの1.5倍以上であることを特徴とする請求項4記載の液晶装置の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−8460(P2010−8460A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−164195(P2008−164195)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】