液晶装置用基板および液晶装置の製造方法、並びに液晶装置、電子機器
【課題】液晶の配向方向を精度良く位置合わせすることができる液晶装置用基板および液晶装置の製造方法、並びに液晶装置、電子機器を提供すること。
【解決手段】液晶装置は、互いに対向して配置された素子基板10および対向基板20と、素子基板10および対向基板20の間に挟持された液晶層40と、素子基板10および対向基板20のそれぞれの液晶層40に面する側に設けられた配向膜34と配向膜36と、を備えている。素子基板10にはワイヤーグリッド偏光子30が設けられており、対向基板20にはワイヤーグリッド偏光子32が設けられている。ワイヤーグリッド偏光子30とワイヤーグリッド偏光子32とは、互いに平面的に重なる領域と互いに平面的に重ならない領域とを有している。
【解決手段】液晶装置は、互いに対向して配置された素子基板10および対向基板20と、素子基板10および対向基板20の間に挟持された液晶層40と、素子基板10および対向基板20のそれぞれの液晶層40に面する側に設けられた配向膜34と配向膜36と、を備えている。素子基板10にはワイヤーグリッド偏光子30が設けられており、対向基板20にはワイヤーグリッド偏光子32が設けられている。ワイヤーグリッド偏光子30とワイヤーグリッド偏光子32とは、互いに平面的に重なる領域と互いに平面的に重ならない領域とを有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置用基板および液晶装置の製造方法、並びに液晶装置、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーン上に画像を投射するプロジェクター等の投射型表示装置には、光源からの光を変調する光変調素子として、液晶装置が用いられている。液晶装置は、通常、一対の基板の間に液晶が挟持された構成を有している。一対の基板の双方の表面には配向膜が設けられており、配向膜には液晶分子の配向を所定の方向に規制するためラビング等の配向処理が施されている。
【0003】
液晶装置では、駆動電圧に応じて液晶分子の配向方向を変化させることにより、透過する光の偏光状態を制御する。そのため、一対の基板で互いの配向膜の配向方向が光学設計に基づく所定の方向に精度良く位置合わせされていないと、液晶装置の光学特性(コントラスト等)が低下することとなる。このような位置合わせ精度を向上させる方法として、基板にアライメントマークを設ける方法が提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0004】
特許文献1に記載された方法では、双方の基板に設けられた偏光板貼り付け用アライメントマークを基準にして、配向膜にラビング処理を行っている。また、偏光板にもアライメントマークを設け、基板に設けられたアライメントマークとで、偏光板貼り付け時の位置合わせを行っている。
【0005】
特許文献2に記載された方法では、双方の基板に設けられた組み立て用アライメントマークを基準にして、配向膜にラビング処理を行うとともに、基板同士の貼り合わせを行っている。また、偏光板貼り付け時は、組み立て用アライメントマークを基準にして、偏光板の外形との位置合わせを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−125092号公報
【特許文献2】特開2000−221461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載された方法では、ラビング処理を行う際の具体的な位置合わせ方法については言及されておらず、基板を貼り合わせる際の基板同士の位置合わせ方法は記載されていない。そのため、配向方向を精度良く位置合わせすることができるか不明確であるという課題がある。上記特許文献2に記載された方法では、ラビング処理を行った後で、組み立て用アライメントマークとラビング処理時に形成されるラビングマークにより位置精度を検査する工程を有しており、工程が煩雑となるという課題がある。また、基板を貼り合わせる際にアライメントマークを目印として位置合わせを行うが、どこまで精度良く位置合わせできるかは定かでないという課題がある。さらに、双方の特許文献に記載された方法では、偏光板の外形あるいはアライメントマークと光学軸とのズレがある場合、基板に対して偏光板を精度良く位置合わせすることが困難であるいう課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1]本適用例に係る液晶装置用基板の製造方法は、基板に偏光分離機能を有する光学素子を形成する工程と、前記基板に配向膜を形成する工程と、前記基板の前記配向膜に配向処理を行う工程と、を含み、前記配向処理を行う工程では、前記光学素子の光学軸を基準にして前記配向処理を行うことを特徴とする。
【0010】
この方法によれば、配向膜における配向処理の方向が、基板に形成された光学素子の光学軸の方向を基準にして光学的に位置合わせされる。このため、液晶装置用基板の配向膜に、液晶装置の光学設計に基づく所定の方向に精度良く配向処理を行うことができる。また、これにより、配向処理の後に位置精度を検査する工程を不要にできる。
【0011】
[適用例2]上記適用例に係る液晶装置用基板の製造方法であって、前記配向処理を行う工程は、前記配向処理を行う方向と所定の位置関係にある光学軸を有する基準偏光子と、前記光学素子と、が平面的に重なるように前記基板を前記基準偏光子に対向配置して、対向する面内における前記基準偏光子と前記基板との相対的な位置関係を決定する工程を含み、前記位置関係を決定する工程では、前記基準偏光子の前記光学軸に対して前記光学素子の前記光学軸が所定の方向となるように、前記基準偏光子と前記基板との相対的な位置関係を調整してもよい。
【0012】
この方法によれば、基準偏光子の光学軸を基準にして基板に形成された光学素子の光学軸を所定の方向に合わせることで、基板に対して配向処理を行う方向を精度良く位置合わせすることができる。
【0013】
[適用例3]上記適用例に係る液晶装置用基板の製造方法であって、前記所定の方向は、前記基準偏光子の前記光学軸に対して前記光学素子の前記光学軸が平行または直交する方向であってもよい。
【0014】
この方法によれば、光学素子と基準偏光子とを透過する光の強度が最大または最小となる方向に合わせるので、基板に対して配向処理を行う方向をより精度良く容易に位置合わせすることができる。
【0015】
[適用例4]本適用例に係る液晶装置の製造方法は、互いに対向して配置された一対の基板と、前記一対の基板の間に挟持された液晶層と、を備えた液晶装置の製造方法であって、上記に記載の液晶装置用基板の製造方法を用いて製造された前記一対の基板を用意する工程と、前記一対の基板に形成された前記光学素子が互いに平面的に重なるように、前記一対の基板を対向させて配置する工程と、前記一対の基板同士の対向する面内における相対的な位置関係を決定する工程と、前記一対の基板同士を貼り合わせる工程と、を含み、前記位置関係を決定する工程では、一方の前記光学素子の光学軸に対して他方の前記光学素子の光学軸が所定の方向となるように、前記一対の基板同士の位置関係を調整することを特徴とする。
【0016】
この方法によれば、一対の基板のそれぞれの配向膜には、基板に形成された光学素子の光学軸を基準にして、液晶装置の光学設計に基づく所定の方向に配向処理が行われている。そして、一対の基板同士の位置関係を決定する工程では、互いの基板に設けられた光学素子の光学軸を基準にして基板同士が位置合わせされる。したがって、配向膜の配向処理と基板同士の位置合わせとが、同じ光学素子の光学軸を基準にして光学的に行われるので、液晶装置における液晶の配向方向を、液晶装置の光学設計に基づく所定の方向に精度良く合わせることができる。この結果、より優れた光学特性(コントラスト等)を有する液晶装置を製造できる。
【0017】
[適用例5]上記適用例に係る液晶装置の製造方法であって、前記所定の方向は、前記一方の光学素子の前記光学軸に対して前記他方の光学素子の前記光学軸が平行または直交する方向であってもよい。
【0018】
この方法によれば、一方の光学素子と他方の光学素子とを透過する光の強度が最大または最小となる方向に合わせるので、基板同士の位置合わせをより精度良く容易に行うことができる。
【0019】
[適用例6]上記適用例に係る液晶装置の製造方法であって、貼り合わせた前記一対の基板の少なくとも一方の外側に偏光板を配置する工程をさらに含み、前記偏光板を配置する工程では、前記光学素子の光学軸に対して前記偏光板の光学軸が所定の方向となるように、前記一対の前記基板と前記偏光板との対向する面内における相対的な位置関係を決定してもよい。
【0020】
この方法によれば、偏光板を配置する工程では、光学素子の光学軸を基準にして偏光板の光学軸が所定の方向となるように、基板と偏光板との位置関係を決定する。したがって、配向膜の配向処理と基板同士の位置合わせと偏光板の位置合わせとが、同じ光学素子の光学軸を基準にして光学的に行われるので、液晶装置における偏光板の光学軸を、液晶装置の光学設計に基づく所定の方向に精度良く合わせることができる。
【0021】
[適用例7]上記適用例に係る液晶装置の製造方法であって、前記所定の方向は、前記光学素子の前記光学軸に対して前記偏光板の前記光学軸が平行または直交する方向であってもよい。
【0022】
この方法によれば、光学素子と偏光板とを透過する光の強度が最大または最小となる方向に合わせるので、基板と偏光板との位置合わせをより精度良く容易に行うことができる。
【0023】
[適用例8]本適用例に係る液晶装置は、互いに対向して配置された一対の基板と、前記一対の基板の間に挟持された液晶層と、前記一対の基板のそれぞれの前記液晶層に面する側に設けられた配向膜と、を備え、前記一対の基板の少なくとも一方に、偏光分離機能を有する光学素子が設けられていることを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、少なくとも一方の基板において、基板に設けられた光学素子の光学軸を基準にして、配向膜に液晶装置の光学設計に基づく所定の方向に配向処理を行うことができる。そして、一対の基板同士の位置関係を決定する工程では、一方の基板に設けられた光学素子の光学軸を基準にして、基板同士を位置合わせすることができる。したがって、配向膜の配向処理と基板同士の位置合わせとを、同じ光学素子の光学軸の方向を基準にして光学的に行うことで、液晶装置における液晶の配向方向を、液晶装置の光学設計に基づく所定の方向に精度良く合わせることができる。この結果、優れた光学特性(コントラスト等)を有する液晶装置を提供できる。
【0025】
[適用例9]上記適用例に係る液晶装置であって、前記光学素子は、前記一対の基板のそれぞれに設けられていてもよい。
【0026】
この構成によれば、一対の基板のそれぞれについて、光学素子の光学軸を基準にして配向膜に精度良く配向処理を行うことができる。そして、一対の基板同士の位置関係を決定する工程では、互いの光学素子の光学軸を基準にして、基板同士の位置関係を光学的に位置合わせすることができる。これにより、液晶装置における液晶の配向方向を、より精度良く合わせることができる。
【0027】
[適用例10]上記適用例に係る液晶装置であって、前記一対の基板に設けられた前記光学素子は、互いに平面的に重なる領域を有していてもよい。
【0028】
この構成によれば、一対の基板に設けられた光学素子同士が平面的に重なる領域に光を照射して、透過する光の強度を測定することにより、基板同士を精度良く位置合わせすることができる。
【0029】
[適用例11]上記適用例に係る液晶装置であって、前記一対の基板に設けられた前記光学素子は、互いに平面的に重なる領域と互いに平面的に重ならない領域とを有していてもよい。
【0030】
この構成によれば、一対の基板同士で互いの光学素子の光学軸が直交するように位置合わせされた場合、光学素子が互いに平面的に重なる領域では光が透過しないが、光学素子が互いに平面的に重ならない領域では光が透過する。このため、一対の基板に対して他の構成部材を光学的に位置合わせする場合、光学素子が互いに平面的に重ならない領域において、一方の基板の光学素子の光学軸を基準にして、その構成部材の位置合わせを行うことができる。
【0031】
[適用例12]上記適用例に係る液晶装置であって、前記一対の基板の少なくとも一方の外側に配置された偏光板をさらに備えていてもよい。
【0032】
この構成によれば、偏光板を配置する際に、基板の光学素子の光学軸を基準にして、偏光板の光学軸を光学的に位置合わせすることができる。このため、偏光板の外形と光学軸との位置関係のずれによる位置合わせへの影響を排除できる。また、同じ光学素子の光学軸の方向を基準にして、配向膜の配向処理と基板同士の位置合わせと偏光板の位置合わせとを光学的に行うことができるので、液晶の配向方向に対する偏光板の光学軸の方向を液晶装置の光学設計に基づく所定の方向に精度良く合わせることができる。
【0033】
[適用例13]上記適用例に係る液晶装置であって、前記光学素子は、前記液晶層に平面的に重ならない領域に配置されていてもよい。
【0034】
この構成によれば、液晶層に平面的に重ならない領域に光学素子が配置されているので、一対の基板間に液晶を封入した後で基板の光学素子に光を照射しても、光学素子を透過する光の光路上に液晶は介在しない。このため、液晶を封入した後で光学素子の光学軸を基準にして偏光板等の他の構成部材を光学的に位置合わせする場合に、液晶による光学的影響を排除できる。
【0035】
[適用例14]本適用例に係る電子機器は、上記に記載の液晶装置を備えていることを特徴とする。
【0036】
この構成によれば、電子機器は、上記の液晶装置を備えているので、コントラスト等の表示品質の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】電子機器の一例としての投射型表示装置の概略構成を示す模式図。
【図2】第1の実施形態に係る液晶パネルの構成を示す概略構成図。
【図3】第1の実施形態に係る液晶パネルの電気的な構成を示す等価回路図。
【図4】第1の実施形態に係る液晶パネルが備える光学素子の構成を説明する図。
【図5】第1の実施形態に係る液晶ライトバルブの光学設計条件を説明する図。
【図6】第1の実施形態に係る液晶パネルの製造方法を示すフローチャート。
【図7】第1の実施形態に係る配向処理方法を説明する図。
【図8】第1の実施形態に係る基板同士の位置合わせ方法を説明する図。
【図9】第1の実施形態に係る基板同士の位置合わせ方法を説明する図。
【図10】第2の実施形態に係る液晶ライトバルブの光学設計条件を説明する図。
【図11】第2の実施形態に係る配向処理方法を説明する図。
【図12】第3の実施形態に係る液晶ディスプレイの構成を示す概略構成図。
【図13】第3の実施形態に係る液晶ディスプレイの製造方法を示すフローチャート。
【図14】第3の実施形態に係る偏光板の位置合わせ方法を説明する図。
【図15】第4の実施形態に係る液晶パネルが備える光学素子の構成を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に、本実施の形態について図面を参照して説明する。なお、参照する各図面において、構成をわかりやすく示すため、各構成要素の層厚や寸法の比率、角度等は適宜異ならせてある。
【0039】
<投射型表示装置>
まず、本実施の形態に係る液晶装置としての液晶ライトバルブを備えた電子機器の一例として、投射型表示装置(液晶プロジェクター)についてその概略構成を説明する。図1は、電子機器の一例としての投射型表示装置の概略構成を示す模式図である。
【0040】
図1に示すように、本実施の形態に係る投射型表示装置100は、光源110と、2つのダイクロイックミラー121,122と、3つの反射ミラー123,124,125と、光が入射する側のレンズ126と、リレーレンズ127と、光が射出される側のレンズ128と、液晶装置としての3つの液晶ライトバルブ1と、クロスダイクロイックプリズム130と、投射レンズ132と、を備えている。
【0041】
投射型表示装置100は、赤色(R)光、緑色(G)光、および青色(B)光の各色光に対応して、3つの液晶ライトバルブ1R,1G,1B(以下では、対応する色光について区別しない場合には単に液晶ライトバルブ1とも呼ぶ)を備えている。各液晶ライトバルブ1は、液晶パネル2と、液晶パネル2の光が入射する側に配置された偏光板45と、液晶パネル2の光が射出される側に配置された偏光板46と、を備えている。液晶ライトバルブ1は、画像情報に応じて光束を変調する光変調手段として機能する。
【0042】
なお、液晶パネル2と偏光板45,46とは、例えば、枠等で案内されて所定の位置関係に固定されている。偏光板45,46のうち少なくとも一方が、液晶パネル2に貼り付けられていてもよい。また、液晶パネル2と偏光板45,46との間に、位相差板や防塵ガラス等をさらに備えていてもよい。
【0043】
光源110は、ランプ111とリフレクター112とを備えている。ランプ111は、例えば、高圧水銀ランプ等からなる。リフレクター112は、ランプ111から放出された光を、ダイクロイックミラー121の方向に反射する。ダイクロイックミラー121は、光源110からの光束のうちの赤色(R)光を透過させるとともに、青色(B)光と緑色(G)光とを反射する。ダイクロイックミラー121を透過することによって分岐された赤色光は、反射ミラー125で反射されて、赤色光用の液晶ライトバルブ1Rに入射する。
【0044】
ダイクロイックミラー121で反射された光のうち緑色光は、ダイクロイックミラー122で反射されることによって分岐され、緑色光用の液晶ライトバルブ1Gに入射する。一方、ダイクロイックミラー121で反射された光のうち青色光は、ダイクロイックミラー122を透過することによって分岐され、導光手段120に入射する。
【0045】
導光手段120は、レンズ126、リレーレンズ127、レンズ128を含むリレーレンズ系からなる。導光手段120は、投射型表示装置100において青色光の光路の長さが他の色光の光路の長さよりも長いため、光の発散等による光の利用効率の低下を防止するために設けられている。ダイクロイックミラー122を透過した青色光は、導光手段120を介して、青色光用の液晶ライトバルブ1Bに入射する。
【0046】
各液晶ライトバルブ1により変調されたR、G、Bの3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム130に入射する。クロスダイクロイックプリズム130は、各液晶ライトバルブ1により変調された光学像を合成してカラー画像を形成する光学素子である。クロスダイクロイックプリズム130は4つの直角プリズムが貼り合わされた構成を有しており、直角プリズム同士が貼り合わされた略X字状の界面には誘電体多層膜が形成されている。略X字状の一方の界面に形成された誘電体多層膜は、赤色光を反射するものであり、他方の界面に形成された誘電体多層膜は、青色光を反射するものである。これらの誘電体多層膜によって赤色光および青色光は曲折され、緑色光の進行方向と揃えられることにより、3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が形成される。
【0047】
クロスダイクロイックプリズム130によって合成された光は、投射光学系である投射レンズ132によってスクリーン140上に拡大投射される。これにより、スクリーン140上に画像が拡大されて表示される。
【0048】
このような投射型表示装置100では、より明るいカラー画像をコントラスト良くスクリーン140に映し出すために、液晶ライトバルブ1がより優れた光学特性(コントラスト等)を有していることが望ましい。
【0049】
(第1の実施形態)
<液晶ライトバルブの構成>
次に、第1の実施形態に係る液晶ライトバルブの構成について図を参照して説明する。図2は、第1の実施形態に係る液晶パネルの構成を示す概略構成図である。詳しくは、図2(a)は平面図であり、図2(b)は図2(a)中のA−A’線に沿った断面図である。図3は、第1の実施形態に係る液晶パネルの電気的な構成を示す等価回路図である。図4は、第1の実施形態に係る液晶パネルが備える光学素子の構成を説明する図である。詳しくは、図4(a)は光学素子の概略構成を示す斜視図であり、図4(b)は図4(a)中のB−B’線に沿った断面図である。図5は、第1の実施形態に係る液晶ライトバルブの光学設計条件を説明する図である。
【0050】
図2(a)、(b)に示すように、第1の実施形態に係る液晶パネル2は、互いに対向して配置された一対の基板としての素子基板10および対向基板20と、素子基板10と対向基板20との間に挟持された液晶層40とを備えている。素子基板10および対向基板20は、例えば透光性を有する石英等の基板であり、シール材41によって互いに貼り合わされている。シール材41によって囲まれた領域内には、液晶パネル2において光変調を行う画素領域3が配置されている。液晶パネル2は、画素領域3にマトリクス状に配置された複数の画素4を有するアクティブマトリクス型である。
【0051】
図2(b)に示すように、素子基板10の液晶層40側には、各画素4を構成する画素電極16と、画素電極16を駆動制御するスイッチング素子としてのTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスター)19とが設けられている。画素電極16は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性を有する電極からなる。素子基板10の液晶層40に面する側には、これら画素電極16等を覆うように、配向膜34が設けられている。配向膜34は、例えばポリイミド樹脂等からなる。配向膜34の表面には、例えば、ラビング処理等により所定の方向に配向処理が施されている。
【0052】
対向基板20の液晶層40側には、遮光層22,24が設けられている。遮光層22は、各画素4の領域を格子状に区画している。遮光層24は、画素領域3の周辺部に配置されている。遮光層22,24は、例えば、遮光性を有するクロム(Cr)等の金属や金属酸化物等の無機化合物、あるいは遮光性を有する有機化合物等からなる。また、遮光層22,24を覆うとともに画素領域3に平面的に重なるように、共通電極18が設けられている。共通電極18は、例えば、ITO等の透光性を有する電極からなる。
【0053】
対向基板20の液晶層40に面する側には、共通電極18を覆うように、配向膜36が設けられている。配向膜36は、例えばポリイミド樹脂等からなるからなる。配向膜36の表面には、ラビング処理等により所定の方向に配向処理が施されている。なお、配向膜34および配向膜36は、シール材41によって囲まれた領域内に配置されている。
【0054】
図2(a)に示すように、素子基板10と対向基板20とを接合するシール材41は、画素領域3の周囲に額縁状に設けられている。シール材41は、例えば、熱硬化型または紫外線硬化型の接着剤からなる。図示を省略するが、シール材41は辺部の一部が欠落した注入口を有している。この注入口から、素子基板10と対向基板20とシール材41とによって囲まれた空間に液晶層40を構成する液晶が注入され、封止材で封止されている。
【0055】
素子基板10は対向基板20に比べて一回り大きく、対向基板20から突出した一辺部を有している。この一辺部には、データ線駆動回路13と、外部接続端子11とが設けられている。外部接続端子11は、外部と接続する複数の端子を有している。素子基板10のシール材41の内側には、画素領域3を挟んで一対の走査線駆動回路15と、この間を繋ぐ配線15aとが設けられている。対向基板20の遮光層24は、走査線駆動回路15に平面的に重なるように設けられている。
【0056】
素子基板10と対向基板20との間に位置するシール材41の4つのコーナー部には、上下導通部42が配設されている。図示を省略するが、各上下導通部42には、上下導通材と上下導通端子とが設けられている。この上下導通部42により、対向基板20側の共通電極18が素子基板10側に電気的に接続されるとともに、外部接続端子11のうちの指定された端子に電気的に接続されている。
【0057】
図2(a)および(b)に示すように、素子基板10の周縁部には、光学素子としてのワイヤーグリッド偏光子30が設けられている。ワイヤーグリッド偏光子30は、例えば、素子基板10の対向基板20に対向する側の面に配置されている。また、対向基板20の周縁部には、光学素子としてのワイヤーグリッド偏光子32が設けられている。ワイヤーグリッド偏光子32は、例えば、対向基板20の素子基板10に対向する側の面に配置されている。
【0058】
ワイヤーグリッド偏光子30,32は、シール材41の外側に配置されている。つまり、ワイヤーグリッド偏光子30,32は、液晶層40に平面的に重ならない領域に配置されている。また、ワイヤーグリッド偏光子30,32は、互いに平面的に重なる領域と、互いに平面的に重ならない領域とを有している。ワイヤーグリッド偏光子30,32は、偏光分離機能を有している。ワイヤーグリッド偏光子30,32の構成については後述する。
【0059】
図3に示すように、液晶パネル2の画素領域3には、走査線12とデータ線14とが互いに交差するように形成され、走査線12とデータ線14との交差に対応して画素4が設けられている。画素4のそれぞれには、画素電極16と、画素電極16を駆動制御するTFT19とが設けられている。
【0060】
TFT19のソース電極(図示しない)は、データ線駆動回路13から延在するデータ線14に電気的に接続されている。データ線14には、データ線駆動回路13からデータ信号S1、S2、…、Snが線順次で供給される。TFT19のゲート電極(図示しない)は、走査線駆動回路15から延在する走査線12の一部である。走査線12には、走査線駆動回路15から走査信号G1、G2、…、Gmが線順次で供給される。TFT19のドレイン電極(図示しない)は、画素電極16に電気的に接続されている。
【0061】
データ信号(画素信号)S1、S2、…、Snは、TFT19を一定期間だけオン状態とすることにより、データ線14を介して画素電極16に所定のタイミングで書き込まれる。このようにして画素電極16を介して液晶層40に書き込まれた所定レベルの画素信号は共通電極18(図2(b)参照)との間に形成される液晶容量で一定期間保持される。なお、保持された画素信号S1、S2、…、Snがリークするのを防止するため、走査線12に沿って形成された容量線17と画素電極16との間に蓄積容量17aが形成され、液晶容量と並列に配置されている。
【0062】
<ワイヤーグリッド偏光子の構成>
続いて、ワイヤーグリッド偏光子30,32の構成について説明する。図4(a)および(b)に示すように、ワイヤーグリッド偏光子30,32は、ストライプ状に配置された複数の金属反射膜31を備えている。金属反射膜31は、直線状の形状を有しており、ワイヤーグリッド偏光子30では素子基板10上に、ワイヤーグリッド偏光子32では対向基板20上に、互いに略平行に配置されている。金属反射膜31は、光反射性の高い金属からなり、例えばアルミニウムからなる。金属反射膜31の材料は、APC(銀−パラジウム−銅の合金)等であってもよい。
【0063】
金属反射膜31は所定のピッチで配置されている。金属反射膜31の配置ピッチは、入射する光の波長よりも小さく設定されており、例えば40nm〜140nm程度である。金属反射膜31の高さは、例えば100nm程度である。金属反射膜31の幅は、例えば100nm程度である。ワイヤーグリッド偏光子30,32は、半導体プロセスによりTFT19等を形成する工程の中で形成することができる。したがって、ワイヤーグリッド偏光子30,32は、TFT19等と同等の精度で形成される。
【0064】
ワイヤーグリッド偏光子30,32は、入射光を偏光状態の異なる反射光と透過光とに分離する機能を備えている。ワイヤーグリッド偏光子30,32は、入射光のうち、金属反射膜31の延在方向に平行な偏光成分を反射し、金属反射膜31の延在方向に対して直交する偏光成分を透過する。すなわち、ワイヤーグリッド偏光子30,32は、光学軸としての透過軸30a,32aおよび反射軸30b,32bを有している。図4(a)に示すように、透過軸30a,32aは金属反射膜31の延在方向と直交しており、反射軸30b,32bは金属反射膜31の延在方向に平行である。
【0065】
ワイヤーグリッド偏光子30,32は、配向膜34,36(図2(b)参照)にラビング処理等の配向処理を行う際、および素子基板10と対向基板20とを貼り合わせる際の位置合わせの基準として用いられる。すなわち、ワイヤーグリッド偏光子30,32の透過軸30a,32aを基準にして、配向膜34,36に配向処理を行う方向、および素子基板10と対向基板20との相対的な位置関係が決定される。
【0066】
なお、金属反射膜31は、素子基板10または対向基板20の直上に形成されていてもよいし、絶縁層上に形成されていてもよい。また、金属反射膜31は、酸化シリコン(SiO2)等からなる保護層に覆われていてもよい。
【0067】
<液晶ライトバルブの光学設計条件>
次に、第1の実施形態に係る液晶ライトバルブの光学設計条件を説明する。図5(a)に示すように、液晶ライトバルブ1は、液晶パネル2と偏光板45と偏光板46とを備えている。偏光板45は、液晶パネル2の対向基板20側に配置されている。偏光板46は、液晶パネル2の素子基板10側に配置されている。液晶ライトバルブ1に照射された光は、偏光板45の側から入射し、液晶パネル2を対向基板20側から素子基板10側に透過して、偏光板46の側から射出される。
【0068】
第1の実施形態に係る液晶パネル2は、TN(Twisted Nematic)方式の液晶パネルである。液晶層40は、正の誘電率異方性を有する液晶で構成される。対向基板20の配向膜36には、矢印で示す配向方向36aにラビング処理等の配向処理が施されている。素子基板10の配向膜34には、矢印で示す配向方向34aにラビング処理等の配向処理が施されている。図5(b)に示すように、液晶パネル2における素子基板10の配向方向34aと、対向基板20の配向方向36aとは互いに直交している。
【0069】
偏光板45は、光学軸としての透過軸45aを有している。透過軸45aは、例えば、対向基板20の配向方向36aに平行である。また、偏光板46は、光学軸としての透過軸46aを有している。透過軸46aは、例えば、素子基板10の配向方向34aに平行である。したがって、偏光板45の透過軸45aと偏光板46の透過軸46aとは互いに直交している。
【0070】
図5(a)に示すように、液晶パネル2に電圧が印加されない状態(非駆動状態)では、液晶層40において配向膜36との界面付近に存在する液晶分子40aは、長軸方向が配向方向36aに沿うように配向する。配向膜34との界面付近に存在する液晶分子40aは、長軸方向が配向方向34aに沿うように配向する。したがって、液晶層40においては、光が入射する側の配向膜36から光が射出される側の配向膜34に向かうに従って、液晶分子40aの長軸方向が90°ねじれた状態となるように配向が規制される。
【0071】
液晶ライトバルブ1に照射された光は、偏光板45により透過軸45a(配向方向36a)に平行な直線偏光に変換されて対向基板20側から液晶パネル2に入射する。液晶パネル2に入射した透過軸45aに平行な直線偏光は、非駆動状態において、液晶層40における液晶分子40aのねじれによって90°旋光し、配向方向34a(透過軸46a)に平行な直線偏光として液晶パネル2の素子基板10側からから射出される。
【0072】
この透過軸46aに平行な直線偏光は、そのまま偏光板46を透過して、液晶ライトバルブ1から射出される。このように、非駆動状態において光が透過する明表示状態となるような光学設計に基づく表示モードを、ノーマリーホワイトという。なお、表示モード(光学設計)は、これに限定されず、非駆動状態に光が透過しない暗表示状態となるノーマリーブラックであってもよい。
【0073】
一方、図示しないが、液晶パネル2に電圧が印加された状態(駆動状態)では、液晶分子40aの長軸方向が立ち上がるように配列し、液晶分子40aの長軸方向が入射光の光軸に対して平行になるように配向状態が変化する。したがって、液晶パネル2に入射した透過軸45aに平行な直線偏光は、そのまま液晶パネル2から射出されるが、偏光板46を透過しないので、暗表示状態となる。
【0074】
本実施形態では、配向膜34,36の光学設計に基づく所定の配向方向34a,36aを、ワイヤーグリッド偏光子30,32の透過軸30a,32aに平行または直交する方向とする。なお、液晶パネル2において、配向膜34,36の配向方向34a,36aや偏光板45,46の透過軸45a,46a等の光学設計条件は、上記の形態に限定されるものではない。
【0075】
<液晶パネルの製造方法>
次に、第1の実施形態に係る液晶パネルの製造方法について図を参照して説明する。図6は、第1の実施形態に係る液晶パネルの製造方法を示すフローチャートである。図7は、第1の実施形態に係る配向処理方法を説明する図である。詳しくは、図7(a)はラビング装置を示す斜視図であり、図7(b)は図7(a)中のC−C’線に沿った断面図である。図8および図9は、第1の実施形態に係る基板同士の位置合わせ方法を説明する図である。
【0076】
図6において、工程P11から工程P13および工程P21から工程P23は、液晶パネル2用基板、すなわち素子基板10および対向基板20を製造する工程である。工程P11から工程P13は素子基板10を製造する工程であり、工程P21から工程P23は対向基板20を製造する工程である。素子基板10を製造する工程と対向基板20を製造する工程とはそれぞれ独立に行われる。工程P31から工程P33は、素子基板10と対向基板20とを組み合わせて液晶パネル2を製造する工程である。なお、これらの工程のうち詳述しない工程においては、公知の技術を適用することができる。
【0077】
<液晶パネル用基板の製造工程>
まず、素子基板10を製造する工程を説明する。工程P11では、素子基板10上にTFT19、光学素子としてのワイヤーグリッド偏光子30、画素電極16等を形成する。ワイヤーグリッド偏光子30は、半導体プロセスによりTFT19等を形成する工程の中で形成される。
【0078】
より具体的には、素子基板10上にワイヤーグリッド偏光子30の形成材料からなる金属薄膜を形成し、例えばフォトリソグラフィ法を用いて、その金属薄膜をパターニングすることにより、ストライプ状に配置された複数の金属反射膜31を備えたワイヤーグリッド偏光子30が形成される。これにより、TFT19等と同等の精度で、かつ製造工程を煩雑にすることなく、ワイヤーグリッド偏光子30を形成することができる。なお、ワイヤーグリッド偏光子30を形成する方法として、レーザー光による二光束干渉露光法や電子線露光法等を用いてもよい。
【0079】
続いて、工程P12では、これらの素子、電極等が形成された素子基板10の表面に、例えば、ポリイミド樹脂をスピンコート法等により塗布して配向膜34を形成する。そして、工程P13では、配向膜34の表面に図5(b)に示す配向方向34aに配向処理を行う。本実施形態では、ラビング装置200を用いてラビング法により配向処理を行う。
【0080】
<ラビング装置>
まず、本実施形態に係る液晶パネル用基板の製造に用いるラビング装置200の構成を説明する。図7(a)および(b)に示すように、ラビング装置200は、ステージ210と、光源216と、受光部218と、ラビング処理部220と、を備えている。ステージ210の上面は、例えば長方形状である。ステージ210は、回転ステージ212と基準偏光子214とを備えている。
【0081】
回転ステージ212は、例えば円形状でステージ210よりも平面的に一回り小さい上面を有し、その厚さはステージ210の厚さよりも薄い。ステージ210には上面側に回転ステージ212に対応する凹部が設けられており、回転ステージ212はその凹部に配置されている。ステージ210の上面と回転ステージ212の上面とは、ほぼ段差のない平面となっている。
【0082】
回転ステージ212は、円形状の上面の中心に回転軸(図示しない)を有しており、その回転軸を中心にして図7(a)に回転矢印R1で示すように回転可能である。また、回転ステージ212のうち、少なくとも基準偏光子214に平面的に重なる領域周辺の部分は、透光性を有する材料からなる。図示しないが、回転ステージ212は吸引装置に接続された吸着孔や吸引路を有しており、回転ステージ212の上面には配向処理を行う素子基板10(または対向基板20)が配向膜34(図示しない)を上にして載置され吸着固定される。
【0083】
基準偏光子214は、ステージ210に設けられており、回転ステージ212に平面的に重なる位置に、回転ステージ212の上面に対して平行になるように配置されている。基準偏光子214は、例えば偏光板であり、光学軸としての透過軸(図示しない)を有している。基準偏光子214の透過軸は、後述するステージ210の移動方向D1に対して所定の位置関係、例えば、平行または直交する方向となっている。基準偏光子214は、ワイヤーグリッド偏光子等の偏光分離機能を有する光学素子であってもよい。
【0084】
回転ステージ212に載置される素子基板10(または対向基板20)は、ワイヤーグリッド偏光子30(またはワイヤーグリッド偏光子32)が基準偏光子214に平面的に重なるように配置される。なお、基準偏光子214は、ワイヤーグリッド偏光子30,32よりも十分大きな面積を有していることが望ましい。また、基準偏光子214は、ステージ210の回転ステージ212に平面的に重なる領域内の複数個所に設けられていてもよいし、回転ステージ212の全領域に平面的に重なるように回転ステージ212と略同一の大きさを有していてもよい。
【0085】
さらには、基準偏光子214がその基準となる透過軸の方向(ステージ210の移動方向D1に対して所定の位置関係)を維持したまま、回転ステージ212の回転と同期してその回転方向に移動する構成であってもよい。このような構成であれば、回転ステージ212によってワイヤーグリッド偏光子30(またはワイヤーグリッド偏光子32)が回転方向に大幅に移動した場合であっても、基準偏光子214に平面的に重なる配置とすることができる。
【0086】
光源216は、ステージ210の上面とは反対側に、基準偏光子214に平面的に重なるように配置されている。光源216は、基準偏光子214の方向に略平行光を照射する。光源216として、例えば可視光領域の波長を有する光を発するランプを用いてもよいし、発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード等を用いてもよい。光源216の基準偏光子214側にコリメーターレンズを配置してもよい。
【0087】
なお、ステージ210の基準偏光子214および光源216に平面的に重なる部分は、例えば貫通孔となっており、光源216から基準偏光子214に照射される光が遮られないようになっている。光源216が、ステージ210の貫通孔内に設けられていてもよい。また、ステージ210の基準偏光子214および光源216に平面的に重なる部分あるいは全体が、透光性を有する材料で構成されていてもよい。
【0088】
受光部218は、ステージ210の光源216とは反対側に配置されている。受光部218は、光源216から照射され基準偏光子214とワイヤーグリッド偏光子30(またはワイヤーグリッド偏光子32)とを透過する光L1の光路上に位置している。受光部218は、受光する光L1の強度を測定する機能を有している。受光部218として、例えばフォトマルチメーター等を用いて、光L1の強度を電気信号に変換して測定してもよい。あるいは、受光部218として輝度計等を用いて、光の輝度を測定してもよい。
【0089】
なお、光源216から射出される光が、基準偏光子214の法線、つまり回転ステージ212に載置された素子基板10(または対向基板20)の法線の方向から入射するように、ステージ210に対して光源216を相対的に配置することが望ましい。光源216と受光部218との位置関係は、図面上において上下逆であってもよい。また、光源216および受光部218が、回転ステージ212の回転と同期してその回転方向に移動する構成であってもよい。
【0090】
ラビング処理部220は、ローラー222とラビング布224とを備えている。ローラー222は円柱形状であり、その長さは、例えば、素子基板10(または対向基板20)の長辺の長さ以上である。ローラー222は、例えば、SUSやアルミ等の金属材料で形成されている。ローラー222は、モーター、変速機等を備えた回転駆動機構(図示しない)により、回転軸226を中心として、回転矢印R2で示す向きに回転する。ラビング布224は、ローラー222の周囲に巻き付けられている。ラビング布224は、例えば、基材にレーヨン等の短繊維が植毛されたものである。
【0091】
ラビング装置200は、ラビング処理部220に対して、ステージ210を所定の方向に移動させる移動機構(図示しない)を備えている。この移動機構は、例えば、ラック・アンド・ピニオン方式等の駆動装置を含んで構成される。ステージ210は、移動機構により、ステージ210の上面に平行な移動方向D1に沿って矢印の向きに、ラビング処理部220に向かって移動する。図7(a)のC−C’線の方向は、ステージ210の移動方向D1に沿った方向である。これにより、ラビング処理部220は、素子基板10に対して矢印と反対の向きに相対的に移動する。なお、ラビング装置200は、ラビング処理部220をステージ210に対して移動させる構成であってもよい。
【0092】
ローラー222の回転軸226の方向は、例えば、ステージ210の移動方向D1と直交する方向である。この場合、ラビング処理により配向膜34には、ステージ210の移動方向D1に沿って配向異方性が付与される。したがって、配向膜34の表面に付与される配向異方性の方向、すなわち配向方向34aは、移動方向D1に沿った方向となる。また、回転軸226の方向は、光学設計に基づく配向方向34aに応じて適宜調整することができる。
【0093】
ローラー222の回転軸226の方向と、ステージ210の移動方向D1と直交する方向とが異なる場合、ラビング処理により配向膜34に付与される配向方向34aは、ローラー222の回転軸226と直交する方向とステージ210の移動方向D1との合成ベクトルで与えられる。したがって、配向処理によって配向膜34に付与される配向方向34aは、基準偏光子214の透過軸と所定の位置関係となる。
【0094】
<ラビング方法>
次に、工程P13でラビング法により配向処理を行う方法(ラビング方法)について説明する。まず、図7(a)および(b)に示すように、回転ステージ212の上面に、配向膜34が形成された面を上にして素子基板10を載置し吸着固定する。このとき、素子基板10に設けられたワイヤーグリッド偏光子30が基準偏光子214に平面的に重なるように配置する。なお、ステージ210とラビング処理部220とは十分に離間されている。
【0095】
次に、素子基板10の配向膜34に光学設計に基づく配向方向34aに配向処理が行われるように、ステージ210に設けられた基準偏光子214と対向する面内における素子基板10の相対的な位置関係を決定する。ここでは、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aに対して基準偏光子214の透過軸が所定の方向、例えば平行または直交する方向となるように、基準偏光子214と素子基板10(ワイヤーグリッド偏光子30)との相対的な位置関係を調整する。
【0096】
より具体的には、光源216から光を照射し、基準偏光子214とワイヤーグリッド偏光子30,32とを透過する光L1の強度を受光部218で測定する。そして、回転ステージ212を回転させることにより、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aと基準偏光子214の透過軸との相対的な位置関係を変化させて、受光部218で受光する光L1の強度が最大または最小となるように調整する。
【0097】
このとき、受光部218で受光する光L1の強度が最大となるのは、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aと基準偏光子214の透過軸とが互いに平行になるときである。また、受光部218で受光する光L1の強度が最小となるのは、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aと基準偏光子214の透過軸とが互いに直交するときである。
【0098】
受光する光L1の強度が最大となる場合と最小となる場合とのどちらを選択するかは、光L1の強度を測定する機器の感度特性(光の強度が小さい側で感度が高い、または光の強度が大きい側で感度が高い)等に応じて決定することができる。なお、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aの方向および基準偏光子214の透過軸の方向は、液晶パネル2の光学設計に応じて任意に設定することができる。これにより、ステージ210と素子基板10との相対的な位置関係、すなわち、素子基板10に対して配向処理を行う方向が決定される。
【0099】
次に、素子基板10に対するラビング布224の押込み量が所望の値となるように調整し、ステージ210を移動方向D1に沿って矢印の向きに移動させる。ステージ210の移動により、ラビング処理部220は、素子基板10の配向膜34を擦りながら相対的に移動する。ラビング処理を一方向に行ったら、吸着固定を解除し素子基板10を取り外す。ラビング処理は、同一方向に複数回行ってもよい。
【0100】
以上で、工程P13が終了する。工程P13でラビング処理が行われた素子基板10においては、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aと配向膜34の配向方向34aとは所定の位置関係、例えば、互いに平行または直交する位置関係となる。このような方法によれば、配向膜34における配向方向34aを、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aを基準にして光学的に位置合わせすることができる。このため、素子基板10の外形やアライメントマーク等を基準にラビング処理を行う場合に比べて、素子基板10の配向膜34に、液晶パネル2の光学設計に基づく所定の方向に精度良く配向処理を行うことができる。また、これにより、配向処理の後に位置精度を検査する工程を不要にできる。
【0101】
次に、対向基板20を製造する工程のうち工程P21では、対向基板20上に遮光層22,24を形成するとともに、工程P11と同様にして、光学素子としてのワイヤーグリッド偏光子32、共通電極18等を形成する。そして、工程P22では、工程P12と同様にして、対向基板20の表面に配向膜36を形成する。そして、工程P23では、工程P13と同様にして、配向膜36の表面に図5(b)に示す配向方向36aに配向処理を行う。これにより、対向基板20の配向膜36に、液晶パネル2の光学設計に基づく所定の方向に精度良く配向処理を行うことができる。以上で、素子基板10および対向基板20の一対の基板が用意される。
【0102】
<液晶パネルの製造工程>
次に、工程P31では、素子基板10と対向基板20との位置合わせを行う。まず、図8に示すように、素子基板10に形成されたワイヤーグリッド偏光子30と、対向基板20に形成されたワイヤーグリッド偏光子32とが互いに平面的に重なるように、素子基板10と対向基板20とを対向させて配置する。なお、素子基板10または対向基板20には、予めシール材41を塗布しておく。
【0103】
素子基板10と対向基板20とは、それぞれ吸着固定可能な保持部230,232により、互いに平行に保持される。また、対向基板20は、対向基板20(素子基板10)の表面の法線方向を回転軸として回転可能に保持される。保持部230,232は、例えば透光性を有する材料からなる。保持部230,232の材料が非透光性である場合は、ワイヤーグリッド偏光子30,32に平面的に重なる位置に、光を透過させる貫通孔等が設けられていてもよい。
【0104】
続いて、素子基板10の対向基板20とは反対側に光源234を配置する。また、対向基板20の素子基板10とは反対側に受光部236を配置する。そして、光源234からの光を、ワイヤーグリッド偏光子30とワイヤーグリッド偏光子32とに順次入射させる。このワイヤーグリッド偏光子30とワイヤーグリッド偏光子32とを透過した光L2を受光部236で受光し、光L2の強度を測定する。
【0105】
このとき、光源234から射出される光が、素子基板10(対向基板20)の法線の方向から入射するように、光源234を相対的に配置することが望ましい。光源234と受光部236との位置関係は、図面上において上下逆であってもよい。なお、光源234はラビング装置200における光源216と同様の構成を有し、受光部236はラビング装置200における受光部218と同様の構成を有している。
【0106】
次に、図9に示すように、素子基板10および対向基板20同士の対向する面内における相対的な位置関係を決定する。ここでは、素子基板10のワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aを基準にして、対向基板20のワイヤーグリッド偏光子32の透過軸32aが所定の方向となるように、素子基板10および対向基板20同士の位置関係を調整する。なお、図9では、図8における保持部230と保持部232との図示を省略している。
【0107】
より具体的には、素子基板10を固定した状態で、素子基板10および対向基板20同士が対向する面内で対向基板20を回転させて、受光部236で受光する光L2の強度が最大または最小となるように、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aとワイヤーグリッド偏光子32の透過軸32aとの位置関係を変化させる。
【0108】
ここで、受光部236で受光する光L2の強度が最大となるのは、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aとワイヤーグリッド偏光子32の透過軸32aとが互いに平行になるときである。また、受光部236で受光する光L2の強度が最小となるのは、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aとワイヤーグリッド偏光子32の透過軸32aとが互いに直交するときである。
【0109】
ところで、素子基板10の配向膜34には、工程P13におけるラビング処理により、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aを基準にして、液晶パネル2の光学設計に基づく所定の配向方向34aに配向処理が行われている。また、対向基板20の配向膜36には、工程P23におけるラビング処理により、ワイヤーグリッド偏光子32の透過軸32aを基準にして、液晶パネル2の光学設計に基づく所定の配向方向36aに配向処理が行われている。
【0110】
例えば、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aと配向膜34の配向方向34aとが互いに平行であり、ワイヤーグリッド偏光子32の透過軸32aと配向膜36の配向方向36aとが互いに平行であるとする。このとき、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aとワイヤーグリッド偏光子32の透過軸32aとが互いに直交するように調整すれば、素子基板10の配向方向34aと対向基板20の配向方向36aとは、液晶パネル2の光学設計に基づく互いに直交する位置関係となる(図5(b)参照)。
【0111】
これにより、素子基板10と対向基板20とを、それぞれの配向方向34aと配向方向36aとが液晶パネル2の光学設計に基づく所定の方向になるように、精度良く位置合わせすることができる。以上で、素子基板10と対向基板20との位置関係が決定される。なお、対向基板20を固定した状態で素子基板10を回転させて位置合わせを行ってもよいし、素子基板10と対向基板20との双方を回転させて位置合わせを行ってもよい。
【0112】
次に、工程P32では、素子基板10および対向基板20同士の貼り合わせを行う。貼り合わせは、工程P31で位置合わせされた位置関係を維持した状態で、対向する素子基板10と対向基板20とを予め塗布されているシール材41を介して接触させ、圧着して行われる。続いて、工程P33では、シール材41の開口部(注入口)から素子基板10と対向基板20との間に液晶を注入し、注入口を封止する。以上により、液晶パネル2が製造される。
【0113】
本実施形態に係る液晶パネルの製造方法によれば、素子基板10に設けられたワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30a、および対向基板20に設けられたワイヤーグリッド偏光子32の透過軸32aを基準にして、素子基板10と対向基板20とを光学的に位置合わせすることができる。したがって、配向膜34,36の配向処理と、素子基板10と対向基板20との位置合わせとが、ワイヤーグリッド偏光子30,32の透過軸30a,32aを基準にして光学的に行われるので、液晶パネル2における液晶層40の配向方向を、光学設計に基づく所定の方向に精度良く合わせることができる。この結果、より優れた光学特性(コントラスト等)を有する液晶パネル2を製造できる。
【0114】
なお、素子基板10を製造する工程(工程P11から工程P13)、および対向基板20を製造する工程(工程P21から工程P23)では、例えば、複数個分の素子基板10または対向基板20が面付けされたマザー基板の状態で製造を行ってもよい。また、液晶パネル2を製造する工程(工程P31から工程P33)では、例えば、素子基板10が面付けされたマザー基板に対して対向基板20を個々に貼り合わせ液晶を注入・封止してから、これを所定の位置で切断するようにしてもよい。
【0115】
ここでは説明を省略するが、液晶ライトバルブ1を備えた投射型表示装置100の製造工程では、液晶パネル2と偏光板45,46(図1参照)との位置合わせが行われる。この液晶パネル2と偏光板45,46との位置合わせの際、例えば、素子基板10に設けられたワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30a(または対向基板20に設けられたワイヤーグリッド偏光子32の透過軸32a)を基準にして、偏光板45の透過軸45aおよび偏光板46の透過軸46aの少なくとも一方を、光学的に位置合わせすることができる。
【0116】
このような方法によれば、液晶パネル2と偏光板45,46との位置合わせが、液晶パネル2における配向膜34,36の配向処理の方向と素子基板10および対向基板20同士の位置合わせで用いたワイヤーグリッド偏光子30の方向を基準にして光学的に行われる。このため、液晶ライトバルブ1における偏光板45,46の透過軸45a,46aを、液晶ライトバルブの光学設計に基づく所定の方向に精度良く合わせることができる(図5(a)および(b)参照)。
【0117】
なお、液晶パネル2において、ワイヤーグリッド偏光子30,32は、互いに平面的に重ならない領域を有している(図2(a)および(b)参照)。したがって、ワイヤーグリッド偏光子30,32のいずれか一方における他方と平面的に重ならない領域において、液晶パネル2と偏光板45,46との位置合わせを光学的に行うことができる。また、ワイヤーグリッド偏光子30,32は、液晶層40に平面的に重ならない領域に配置されている。したがって、液晶パネル2と偏光板45,46とを光学的に位置合わせする際、液晶層40による光学的影響を排除できる。
【0118】
(第2の実施形態)
<液晶ライトバルブの構成および光学設計条件>
次に、第2の実施形態に係る液晶ライトバルブの構成について図を参照して説明する。第2の実施形態に係る液晶ライトバルブは、第1の実施形態に係る液晶ライトバルブに対して、液晶パネルの配向方式と配向膜における配向処理とが異なっているが、その他の構成は同じである。図10は、第2の実施形態に係る液晶ライトバルブの光学設計条件を説明する図である。第1の実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0119】
図10(a)に示すように、第2の実施形態に係る液晶ライトバルブ5は、液晶パネル6と、液晶パネル6の光が入射する側に配置され透過軸55aを有する偏光板55と、液晶パネル6の光が射出される側に配置され透過軸56aを有する偏光板56と、を備えている。液晶パネル6は、素子基板10と対向基板20との間に挟持された液晶層50を備えている。第2の実施形態に係る液晶パネル6は、VA(Vertical Alignment)方式の液晶パネルである。液晶層50は、負の誘電率異方性を有する液晶で構成される。
【0120】
液晶パネル6において、素子基板10の液晶層50に面する側には配向膜52が設けられている。また、対向基板20の液晶層50に面する側には配向膜54が設けられている。配向膜52,54は、光配向材料からなる。配向膜52,54の材料としては、例えば、シンナモイル基、クマリン基、カルコン基等を官能基として含有する樹脂材料のように光二重化反応によって配向される光配向材料や、アゾ基を官能基として含有する樹脂材料のように光異性化反応によって配向される光配向材料等があげられる。
【0121】
液晶パネル6では、配向膜52,54に、光配向法により配向処理が施されている。配向膜52には、例えば、矢印で示す配向方向52aに配向処理が施されている。配向膜54には、例えば、矢印で示す配向方向54aに配向処理が施されている。図10(b)に示すように、液晶パネル6における素子基板10の配向方向52aと、対向基板20の配向方向54aとは互いに平行であるが、互いに相反する向きである。
【0122】
図10(b)に示すように、偏光板55の透過軸55aは、例えば、配向膜54の配向方向54aに対して反時計回りに45°ずれている。また、偏光板56の透過軸56aは、例えば、配向膜52の配向方向52aに対して時計回りに45°ずれている。したがって、透過軸55aと透過軸56aとは互いに直交している。
【0123】
液晶パネル6に電圧が印加されない状態(非駆動状態)では、液晶層50において、液晶分子50aは長軸方向が素子基板10および対向基板20の法線方向に沿うように立ち上がって配向する。したがって、液晶パネル6に入射した偏光板55の透過軸55aに平行な直線偏光は、そのままの状態で液晶層50を透過して液晶パネル6から射出されるが、偏光板56を透過しないので暗表示状態となる。つまり、液晶パネル6の表示モード(光学設計)は、非駆動状態において光が透過しないノーマリーブラックである。
【0124】
一方、図示しないが、液晶パネル6に電圧が印加された状態(駆動状態)では、液晶分子50aは長軸方向が倒れるように配列する。この駆動状態において液晶パネル6に入射する光には、液晶層50の複屈折性により90°の位相差が付与される。したがって、液晶パネル6に入射した偏光板55の透過軸55aに平行な直線偏光は、液晶層50の複屈折性により、振動方向が90°回転した直線偏光となり、液晶パネル6から射出される。この直線偏光は、偏光板56の透過軸56aに平行であり、偏光板56を透過するので、明表示状態となる。
【0125】
なお、液晶パネル6において、配向膜52,54の配向方向52a,54aや偏光板55,56の透過軸55a,56a等の光学設計条件は、上記の形態に限定されるものではない。
【0126】
ここで、液晶パネル6において、図10(c)に示すように、非駆動状態において液晶分子50aの長軸方向が素子基板10(対向基板20)の法線方向に対して角度αだけ傾いて立ち上がるように配向してもよい。この傾きをプレチルトと呼び、角度αをプレチルト角と呼ぶ。プレチルトは、駆動状態において、液晶分子50aが倒れる方向を制御するためのものである。液晶分子50aが倒れる方向は、液晶パネル6の視野角特性に関与する。例えば、液晶パネル6において、画素領域を複数の小領域に分割し、小領域によって液晶分子50aが倒れる方向を異ならせることにより、視野角特性をより広くすることができる。
【0127】
液晶パネル6では、配向膜52,54の配向方向52a,54aにより、プレチルトの方向とプレチルト角αとが制御される。液晶分子50aのプレチルトの方向は、配向方向52a,54aに平行な方向である。液晶分子50aは、配向膜52側が配向方向52aに沿った矢印の向きに、配向膜54側が配向方向54aに沿った矢印の向きに、それぞれ配向規制されてプレチルトした状態となる。
【0128】
なお、第2の実施形態に係る液晶パネル6においても、素子基板10および対向基板20に、ワイヤーグリッド偏光子30,32がそれぞれ設けられている。ワイヤーグリッド偏光子30,32は、配向膜52,54に配向処理を行う際、および素子基板10と対向基板20とを貼り合わせる際の位置合わせの基準として用いられる。
【0129】
<液晶パネルの製造方法>
次に、第2の実施形態に係る液晶パネルの製造方法について図を参照して説明する。第2の実施形態に係る液晶パネルの製造方法は、第1の実施形態に係る液晶パネルの製造方法と同様の工程を含んでいるが、光配向法により配向膜に配向処理を行う点が第1の実施形態に係る液晶パネルの製造方法と異なっている。第1の実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0130】
素子基板10を製造する工程における工程P12では、素子基板10の表面に、上述の光配向材料を、例えばスピンコート法等により塗布して配向膜52を形成する。続いて、工程P13では、配向膜52の表面に図10(b)に示す配向方向52aに、光配向法により配向処理を行う。また、対向基板20を製造する工程においても、工程P22で対向基板20の表面に光配向材料を塗布して配向膜54を形成し、工程P23で配向膜54の表面に図10(b)に示す配向方向54aに、光配向法により配向処理を行う。以下、第2の実施形態に係る配向処理方法を説明する。図11は、第2の実施形態に係る配向処理方法を説明する図である。
【0131】
<光配向装置>
まず、本実施形態に係る液晶パネルの配向処理に用いる光照射装置300の概略構成を、図11を参照して説明する。本実施形態に係る液晶パネルの配向処理に用いる光照射装置300は、光源310と、シャッター316と、偏光子318と、ステージ320と、受光部322と、を備えている。
【0132】
ステージ320上には、配向処理を行う素子基板10または対向基板20が載置される。ステージ320の素子基板10または対向基板20が載置される側の面を、載置面と呼ぶ。ステージ320は、例えば、透光性を有する材料で構成されている。ステージ320に不透光性材料を用い、素子基板10に設けられたワイヤーグリッド偏光子30または対向基板20に設けられたワイヤーグリッド偏光子32に平面的に重なる領域に、貫通孔や透光性を有する部材を配置する構成としてもよい。
【0133】
ステージ320は、ステージ320を載置面に平行な面内で回転させる回転機構(図示しない)を備えている。回転機構は、例えば、ステージ320のワイヤーグリッド偏光子30,32に平面的に重なる領域に載置面の法線方向に平行な回転軸を有し、その回転軸を回転中心としてステージ320を回転させる。
【0134】
光源310は、ステージ320の載置面に対向するように配置されている。光源310は、光配向処理を行なうための紫外線を含む光L3を放出する光源である。光源310は、ランプ312と集光鏡314とを備えている。ランプ312は、例えば、高圧水銀ランプ等で構成される。集光鏡314は、ランプ312のステージ320とは反対側の部分を覆うように配置されている。ランプ312から放出された光L3は、集光鏡314で反射されるとともに集光されて、例えば、ステージ320の載置面の法線方向に沿った平行光としてステージ320側に照射される。
【0135】
シャッター316は、光源310からステージ320側に照射される光L3の光路上に位置しており、ステージ320の載置面に平行に配置されている。シャッター316は、遮光性を有する材料からなる。シャッター316は、シャッター保持部(図示しない)によって、ステージ320の載置面に平行な面内で移動可能に保持されている。シャッター316をシャッター保持部により移動させることで、光源310からの光L3を、素子基板10の配向膜52,54に照射することや、配向膜52,54に照射されないように遮光することができる。
【0136】
ここで、配向膜52,54はシール材41に囲まれた領域内に配置されており、ワイヤーグリッド偏光子30,32はシール材41の外側に配置されている(図2(a)および(b)参照)。したがって、シャッター316が、配向膜52,54に平面的に重なるとともにワイヤーグリッド偏光子30,32に平面的に重ならない位置に配置すれば、光源310からの光L3を、ワイヤーグリッド偏光子30,32に照射するとともに配向膜52,54に照射しないようにすることができる。なお、シャッター316のワイヤーグリッド偏光子30,32に平面的に重なる領域に、貫通孔や切り欠き等が設けられていてもよい。
【0137】
偏光子318は、光源310からステージ320側に照射される光L3の光路上に位置している。偏光子318は、保持部(図示しない)によって保持され、ステージ320の載置面に平行に配置されている。偏光子318は、例えば、シャッター316とステージ320との間に配置されている。偏光子318は、光源310とシャッター316との間に配置されていてもよい。
【0138】
偏光子318は、ワイヤーグリッド等の偏光分離機能を有する光学素子または偏光板等からなり、所定の方向に透過軸を有している。光源310からの光L3は、偏光子318を透過することにより、偏光子318の透過軸に平行な直線偏光L3aとしてステージ320側に照射される。直線偏光L3aが素子基板10の配向膜52に照射されると、配向膜52には偏光子318の透過軸に平行な方向に配向処理が行われる。
【0139】
受光部322は、ステージ320の載置面とは反対側に、ワイヤーグリッド偏光子30,32に平面的に重なるように配置されている。つまり、受光部322は、偏光子318を透過した直線偏光L3aのうち、ワイヤーグリッド偏光子30,32を透過する光L4の光路上に位置している。受光部322は、第1の実施形態における受光部218や受光部236と同様に、受光する光L4の強度を測定する機能を有している。
【0140】
<光配向方法>
次に、工程P13および工程P23で光配向法により配向処理を行う方法(光配向方法)について説明する。なお、以下は工程P13について説明するが、工程P23についても工程P13と同様にして配向処理が行われる。
【0141】
まず、図11に示すように、ステージ320の載置面に、配向膜52が形成された面を上にして素子基板10を載置する。このとき、シャッター316は、光源310からの光L3が、ワイヤーグリッド偏光子30に照射されるとともに配向膜52に照射されない位置に配置されている。
【0142】
次に、ステージ320に載置された素子基板10と偏光子318との対向する面内における相対的な位置関係を決定する。ここでは、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aを基準にして、偏光子318の透過軸が所定の方向となるように、偏光子318と素子基板10(ワイヤーグリッド偏光子30)との相対的な位置関係を調整する。
【0143】
より具体的には、光源310からの光L3のうち偏光子318を透過した直線偏光L3aをワイヤーグリッド偏光子30に照射し、ワイヤーグリッド偏光子30を透過する光L4の強度を受光部322で測定する。そして、ステージ320を回転させて、受光部322で受光する光L4の強度が最大または最小となるように、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aと偏光子318の透過軸との相対的な位置関係を変化させる。
【0144】
ここで、受光部322で受光する光L4の強度が最大となるのは、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aと偏光子318の透過軸とが互いに平行になるときである。また、受光部322で受光する光L4の強度が最小となるのは、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aと偏光子318の透過軸とが互いに直交するときである。これにより、偏光子318に対する素子基板10の相対的な位置関係が決定される。つまり、配向膜52に照射する直線偏光L3aの偏光方向が、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aを基準にして、光学設計に基づく所定の方向に決定される。
【0145】
次に、シャッター保持部によりシャッター316を移動させて、偏光子318を透過した直線偏光L3aを配向膜52に照射する。これにより、配向膜52内の分子が所定の一方向に配列される。つまり、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aを基準にして、配向膜52に光学設計に基づく所定の配向方向52a(図10参照)に配向処理が行われる。素子基板10が直線偏光L3aの光束に対して大きい場合は、配向処理を行う際にステージ320を載置面に平行な面内で所定の方向に沿って移動させてもよい。
【0146】
なお、上記の方法では、素子基板10と偏光子318との位置関係を光学的に調整する際の光を照射する光源として、光照射装置300の光源310を用いているが、光源310とは別に第1の実施形態における光源234(図8参照)のような光源を用いてもよい。また、偏光子318に対してステージ320を回転させているが、ステージ320を固定し偏光子318を対向する面内で回転させるようにしてもよい。
【0147】
液晶パネル6におけるワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30a、および光照射装置300における偏光子318の透過軸は、液晶パネル6の光学設計に応じて任意に設定することができる。
【0148】
ところで、上述の工程P13では、光源310からの光L3がステージ320の載置面の法線方向に沿ってステージ320側に照射される構成であったが、光源310からの光L3を載置面の法線方向に対して所定の角度で傾けて照射するようにしてもよい。このようにすれば、載置面の法線方向に対する光L3の傾き角度に応じて、図10(c)に示す液晶分子50aのプレチルト角αを効果的に制御することができる。
【0149】
第2の実施形態に係る液晶パネルの製造方法によれば、第1の実施形態に係る液晶パネルの製造方法と同様の効果が得られる。また、素子基板10および対向基板20に位置合わせの基準となるワイヤーグリッド偏光子30,32が設けられているので、光照射装置300に位置合わせ用の基準偏光子を設けなくてもよい。
【0150】
なお、第1の実施形態に係る液晶パネル2の配向膜34,36を、第2の実施形態に係る液晶パネル6と同様に光配向材料で形成し、その配向膜34,36に第2の実施形態に係る液晶パネルの製造方法と同様に光配向処理を行う構成としてもよい。また、第2の実施形態に係る液晶パネル6の配向膜52,54を、第1の実施形態に係る液晶パネル2と同様にポリイミド樹脂等で形成し、その配向膜52,54に、第1の実施形態に係る液晶パネルの製造方法と同様にラビング処理を行う構成としてもよい。いずれの構成においても、それぞれと同様の効果が得られる。
【0151】
(第3の実施形態)
上記実施形態では、液晶装置として液晶ライトバルブについて説明したが、本発明は液晶ディスプレイにも適用することができる。次に、第3の実施形態に係る液晶装置としての液晶ディスプレイについて説明する。
【0152】
<液晶ディスプレイの構成>
図12は、第3の実施形態に係る液晶ディスプレイの構成を示す概略構成図である。詳しくは、図12(a)は平面図であり、図12(b)は図12(a)中のA−A’線に沿った断面図である。
【0153】
第3の実施形態に係る液晶ディスプレイは、第1の実施形態に係る液晶ライトバルブに対して、素子基板10および対向基板20に複数のワイヤーグリッド偏光子を備えている点、および偏光板45と偏光板46とが液晶パネル2に貼り付けられている点が異なっているが、その他の構成は同じである。第1の実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0154】
図12(a)、(b)に示すように、第3の実施形態に係る液晶ディスプレイ7は、液晶パネル8と偏光板45と偏光板46とを備えている。液晶パネル8は、素子基板10と対向基板20と液晶層40とを備えている。
【0155】
本実施形態では、素子基板10は、周縁部に光学素子としてのワイヤーグリッド偏光子37a,37bを備えている。また、対向基板20は、周縁部に光学素子としてのワイヤーグリッド偏光子38a,38bを備えている。ワイヤーグリッド偏光子37aとワイヤーグリッド偏光子38aとは、互いに平面的に重ならないように配置されている。ワイヤーグリッド偏光子37bとワイヤーグリッド偏光子38bとは、互いに平面的に重なる領域を有している。
【0156】
素子基板10において、ワイヤーグリッド偏光子37a,37bのそれぞれの透過軸(図示しない)は、互いに平行となっており、配向膜34に配向処理を行う際の位置合わせの基準として用いられる。同様に、対向基板20において、ワイヤーグリッド偏光子38a,38bのそれぞれの透過軸(図示しない)は、互いに平行となっており、配向膜36に配向処理を行う際の位置合わせの基準として用いられる。
【0157】
図12(b)に示すように、偏光板45は、対向基板20の外側、すなわち液晶層40とは反対側の面に貼り付けられている。偏光板46は、素子基板10の外側、すなわち液晶層40とは反対側の面に貼り付けられている。
【0158】
第3の実施形態に係る液晶ディスプレイ7は、図示しないが、電子機器としての携帯電話機に搭載して用いることができる。また、液晶ディスプレイ7を搭載する電子機器は、電子ブック、パーソナルコンピューター、デジタルスチルカメラ、ビューファインダー型あるいはモニター直視型のビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置の車載モニター等であってもよい。
【0159】
<液晶ディスプレイの製造方法>
次に、第3の実施形態に係る液晶ディスプレイの製造方法について図を参照して説明する。第3の実施形態に係る液晶ディスプレイの製造方法は、第1の実施形態に係る液晶パネルの製造方法に対して、偏光板貼付工程をさらに含む点が異なるが、その他の構成は同じである。図13は、第3の実施形態に係る液晶ディスプレイの製造方法を示すフローチャートである。図14は、第3の実施形態に係る偏光板の位置合わせ方法を説明する図である。第1の実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0160】
図13に示すように、第3の実施形態に係る液晶ディスプレイの製造方法は、液晶注入・封止工程P33の後に、偏光板貼付工程P34を有している。
【0161】
本実施形態では、素子基板10を製造する工程における工程P13では、ワイヤーグリッド偏光子37a,37bの少なくとも一方の透過軸を基準にして光学的に位置合わせし、第1の実施形態と同様にして、配向膜34に光学設計上の所定の方向に配向処理を行う。また、対向基板20を製造する工程における工程P23では、ワイヤーグリッド偏光子38a,38bの少なくとも一方の透過軸を基準にして光学的に位置合わせし、第1の実施形態と同様にして、配向膜36に光学設計上の所定の方向に配向処理を行う。
【0162】
工程P31では、素子基板10に形成されたワイヤーグリッド偏光子37bと、対向基板20に形成されたワイヤーグリッド偏光子38bとが互いに平面的に重なるように、素子基板10と対向基板20とを対向させて配置し、第1の実施形態と同様にして光学的に位置合わせを行う。
【0163】
次に、工程P34では、液晶パネル8の両外側に偏光板45と偏光板46とを位置合わせして貼り付ける。偏光板45または偏光板46のいずれか一方の貼り付けを先に行い、その後で他方の貼り付けを行う。ここでは、偏光板45の貼り付けを先に行うこととする。
【0164】
まず、図14に示すように、液晶パネル8の対向基板20の外側に偏光板45を配置する。液晶パネル8と偏光板45とは、それぞれ保持部(図示しない)により、互いに平行に保持される。また、偏光板45は、液晶パネル8の表面(対向基板20の表面)および偏光板45の表面の法線方向を回転軸として回転可能に保持される。
【0165】
続いて、液晶パネル8の素子基板10の外側に光源234を配置する。また、偏光板45の液晶パネル8とは反対側に受光部236を配置する。そして、光源234からの光を、ワイヤーグリッド偏光子37aと偏光板45とに順次入射させる。このワイヤーグリッド偏光子37aと偏光板45とを透過した光L5を受光部236で受光し、光L5の強度を測定する。
【0166】
このとき、光源234から射出される光が、素子基板10(対向基板20)の法線の方向から入射するように、光源234を相対的に配置することが望ましい。光源234と受光部236との位置関係は、図面上において上下逆であってもよい。
【0167】
次に、液晶パネル8および偏光板45同士の対向する面内における相対的な位置関係を決定する。ここでは、素子基板10のワイヤーグリッド偏光子37aの透過軸を基準にして、偏光板45の透過軸45aが所定の方向となるように、液晶パネル8および偏光板45同士の位置関係を調整する。
【0168】
より具体的には、液晶パネル8を固定した状態で、液晶パネル8および偏光板45同士が対向する面内で偏光板45を回転させて、受光部236で受光する光L5の強度が最大または最小となるように、ワイヤーグリッド偏光子37aの透過軸と偏光板45の透過軸45aとの相対的な位置関係を変化させる。このとき、偏光板45を固定した状態で液晶パネル8を回転させてもよいし、液晶パネル8と偏光板45との双方を回転させてもよい。
【0169】
受光部236で受光する光L5の強度が最大となるのは、ワイヤーグリッド偏光子37aの透過軸と偏光板45の透過軸45aとが互いに平行になるときである。また、受光部236で受光する光L5の強度が最小となるのは、ワイヤーグリッド偏光子37aの透過軸と偏光板45の透過軸45aとが互いに直交するときである。これにより、液晶パネル8と偏光板45との位置関係が決定される。
【0170】
なお、光源234からの光を、素子基板10のワイヤーグリッド偏光子37aではなく、対向基板20のワイヤーグリッド偏光子38aとに入射させるようにしてもよい。ワイヤーグリッド偏光子37aとワイヤーグリッド偏光子38aとは互いに平面的に重なっていないので、いずれか一方のワイヤーグリッド偏光子の透過軸を基準にして、液晶パネル8と偏光板45との位置合わせを行うことができる。また、ワイヤーグリッド偏光子37a,38aは液晶層40に平面的に重ならない領域に配置されているので、位置合わせの際に液晶層40による光学的影響を排除できる。
【0171】
続いて、上記で決定された液晶パネル8と偏光板45との位置関係を維持して、偏光板45を液晶パネル8の対向基板20に貼り付ける。これにより、ワイヤーグリッド偏光子37aの透過軸を基準にして、透過軸45aを光学設計上の所定の方向に光学的に位置合わせし、偏光板45を貼り付けることができる。
【0172】
次に、偏光板45が貼り付けられた液晶パネル8の素子基板10に偏光板46を貼り付ける。液晶パネル8には、先に偏光板45が光学設計上の所定の方向に光学的に位置合わせして貼り付けられているので、偏光板45の透過軸45aを基準にして、偏光板46の透過軸46aが光学設計上の所定の方向となるように光学的に位置合わせすることができる。
【0173】
図示を省略するが、液晶パネル8の素子基板10の外側に偏光板46を配置して、光源234からの光を、液晶パネル8(偏光板45)と偏光板46とに順次入射させる。このとき、ワイヤーグリッド偏光子37a,37bおよびワイヤーグリッド偏光子38a,38bが設けられていない領域に光源234からの光を入射させるようにしてもよい。そして、受光部236で受光する光L5の強度が最大または最小となるように液晶パネル8(偏光板45)と偏光板46との位置関係を決定し、偏光板46を液晶パネル8の素子基板10に貼り付ける。以上により、液晶ディスプレイ7が完成する。
【0174】
第3の実施形態に係る液晶ディスプレイの構成および製造方法によれば、第1の実施形態および第2の実施形態と同様に、液晶パネル8における配向膜34,36の配向処理の方向と、素子基板10および対向基板20同士の位置関係とを、液晶ディスプレイ7の光学設計に基づく所定の方向に精度良く合わせることができる。
【0175】
第3の実施形態に係る液晶ディスプレイ7の構成および製造方法によれば、液晶パネル8と偏光板45,46との位置合わせは、ワイヤーグリッド偏光子37a(または38a)の方向を基準にして光学的に行われる。このワイヤーグリッド偏光子37a(または38a)は、ワイヤーグリッド偏光子37b(または38b)とともに、液晶パネル8における配向膜34,36の配向処理の方向の基準となっており、かつ、素子基板10および対向基板20同士の位置合わせの基準となっている。このため、偏光板の外形あるいはアライメントマーク等を基準にして位置合わせを行う方法に比べて、液晶ディスプレイ7における偏光板45,46の透過軸45a,46aを、液晶ディスプレイ7の光学設計に基づく所定の方向により精度良く合わせることができる。
【0176】
なお、液晶ディスプレイ7におけるワイヤーグリッド偏光子の構成は、上記の形態に限定されない。素子基板10および対向基板20のそれぞれに3つ以上のワイヤーグリッド偏光子が設けられていてもよい。また、素子基板10および対向基板20のいずれか一方の基板に複数のワイヤーグリッド偏光子が設けられ、その複数のワイヤーグリッド偏光子のうちのいずれかに平面的に重なるように一つのワイヤーグリッド偏光子が他方の基板に設けられていてもよい。
【0177】
さらに、ワイヤーグリッド偏光子37a,37bのそれぞれの透過軸は、互いに直交していてもよい。また、ワイヤーグリッド偏光子38a,83bのそれぞれの透過軸は、互いに直交していてもよい。このような構成によれば、工程P13および工程P23の配向処理、工程P32の基板の貼り合わせ、および工程P34の偏光板貼り付けの各工程において、ワイヤーグリッド偏光子37a,37b(またはワイヤーグリッド偏光子38a,38b)を基準にして位置合わせする際に、対向する偏光子や偏光板の透過軸と平行する位置関係と直交する位置関係とを同時に構成することが可能となる。したがって、液晶ディスプレイ7の光学設計条件や測定機器の感度特性等に応じて、互いに対向する透過軸同士が平行する位置関係と直交する位置関係のいずれか一方、あるいは双方を選択して位置合わせを行うことができる。
【0178】
なお、本実施形態の液晶ディスプレイにおける素子基板と対向基板とのそれぞれが複数のワイヤーグリッド偏光子を有する構成、およびそれらのワイヤーグリッド偏光子を基準にして位置合わせを行う製造方法は、第2の実施形態に係る液晶パネル6に偏光板55と偏光板56とを貼り付けて液晶ディスプレイとする場合にも適用することができる。
【0179】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係る液晶装置について図を参照して説明する。第4の実施形態に係る液晶装置は、上記実施形態の液晶装置に対して、液晶パネルにワイヤーグリッド偏光子の代わりに誘電体干渉膜プリズムを光学素子として備えている点が異なっているが、その他の構成は同じである。
【0180】
図15は、第4の実施形態に係る液晶パネルが備える光学素子の構成を説明する図である。詳しくは、図15(a)は光学素子の斜視図であり、図15(b)は図15(a)中のD−D’線に沿った断面図である。上記実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0181】
第4の実施形態に係る液晶パネルは、図15(a)、(b)に示すように、光学素子として、プリズムアレイ71と、プリズムアレイ71上に形成された誘電体干渉膜74とを有する光学素子を備えている。ここでは、この光学素子を誘電体干渉膜プリズム70と称する。
【0182】
プリズムアレイ71は、素子基板10(または対向基板20)上に形成されており、2つの斜面を有する三角柱状(プリズム形状)の複数の凸条72を有している。換言すれば、凸条72が連続して周期的に形成されることにより、断面が三角波状のプリズムアレイ71が構成されている。プリズムアレイ71は、例えば、アクリル樹脂等の熱硬化性または光硬化性の透光性を有する樹脂からなる。プリズムアレイ71の凸条72の高さは、例えば0.5μm〜3μm程度であり、互いに隣接する凸条72間のピッチは、例えば1μm〜6μm程度である。
【0183】
誘電体干渉膜74は、プリズムアレイ71上に形成されることで、複数の凸条72による三角柱状(プリズム形状)の斜面が反映された表面を有している。誘電体干渉膜74は、屈折率の異なる2種類の材料からなる誘電体膜が交互に複数積層された、所謂3次元フォトニック結晶層である。誘電体干渉膜74は、例えば、酸化チタン(TiO2)膜と酸化シリコン(SiO2)膜とを交互に7層積層することで形成されている。誘電体膜の材料は、酸化タンタル(Ta2O5)やシリコン(Si)であってもよい。誘電体干渉膜74を構成する1層の誘電体膜の膜厚は、例えば10nm〜100nm程度であり、誘電体干渉膜74の総膜厚は、例えば300nm〜1μm程度である。
【0184】
誘電体干渉膜プリズム70は、入射光を偏光状態の異なる反射光と透過光とに分離する偏光分離機能を備えている。図15(a)に示すように、誘電体干渉膜プリズム70は、入射光のうち、凸条72の延在方向に平行な偏光成分を反射し、凸条72の延在方向に対して直交する偏光成分を透過する。すなわち、誘電体干渉膜プリズム70は、光学軸としての透過軸70aおよび反射軸70bを有している。透過軸70aは凸条72の延在方向と直交しており、反射軸70bは凸条72の延在方向に平行である。
【0185】
誘電体干渉膜74を構成する誘電体膜の積層ピッチおよび凸条72のピッチは、誘電体干渉膜プリズム70に要求される特性に応じて適宜調整される。誘電体干渉膜74では、誘電体干渉膜74を構成する誘電体膜の積層数によってその透過率(反射率)を制御することができる。すなわち、誘電体膜の積層数を減ずることで、反射軸70b(凸条72の延在方向)に平行な直線偏光の透過率を増大させ、反射率を低下させることができる。所定数以上の誘電体膜を積層した場合には、反射軸70bに平行な直線偏光のほとんどが反射される。
【0186】
本実施形態に係る誘電体干渉膜プリズム70では、誘電体干渉膜74の調整により、入射光のうち、例えば反射軸70bに平行な直線偏光の70%程度を反射し、残り30%程度を透過するように設定されている。なお、誘電体干渉膜74の表面は、樹脂層により覆われて平坦化されていてもよい。
【0187】
上記実施形態における液晶装置が、ワイヤーグリッド偏光子30,32,37a,37b,38a,38bの代わりに誘電体干渉膜プリズム70を光学素子として備える場合においても、上記実施形態の液晶装置の製造方法を適用することができるとともに、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0188】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。変形例としては、例えば以下のようなものが考えられる。
【0189】
(変形例1)
上記実施形態の液晶装置の製造方法では、ラビング法または光配向法により、配向膜の配向処理を行う構成であったが、この形態に限定されない。配向処理を行う方法として、例えば、配向膜にイオンビームを照射する方法や、斜方蒸着により配向膜を形成する方法等の他の方法を適用した構成であってもよい。
【0190】
イオンビームを照射する方法では、基板上に無機材料等で形成した配向膜に対して、アルゴンイオン等のイオンビームを所定の方向および所定の角度で照射することにより、配向処理を行う方法である。この方法では、イオンビームを照射する方向に沿って配向が規制されるとともに、イオンビームを照射する角度によってプレチルト角が付与される。
【0191】
斜方蒸着により配向膜を形成する方法では、基板に対して所定の方向および所定の角度に位置する蒸着源により無機材料等からなる配向膜を蒸着する方法である。この方法では、基板に対する蒸着源の方向に沿って配向が規制されるとともに、基板に対する蒸着源の角度によってプレチルト角が付与される。
【0192】
このようなイオンビームを照射する方法や斜方蒸着により配向膜を形成する方法においても、イオンビームを照射する方向や蒸着源の方向と基板との相対的な位置合わせを、上記実施形態のワイヤーグリッド偏光子の透過軸を基準にして行うことができる。したがって、このような方法で配向処理を行う場合でも、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0193】
(変形例2)
上記実施形態の液晶装置は、光学素子としてワイヤーグリッド偏光子または誘電体干渉膜プリズムを備えた構成であったが、この形態に限定されない。光学素子は、偏光分離機能を有するものであれば他の光学素子であってもよい。
【0194】
(変形例3)
上記の実施形態では、液晶装置がTN方式やVA方式の液晶パネルを備えていたが、この形態に限定されない。液晶装置は、基板に平行な方向の横電界により液晶分子の配向制御を行うFFS(Fringe-Field Switching)方式やIPS(In-Plane Switching)方式の液晶パネルを備えていてもよい。また、液晶装置は、素子基板と対向基板との間に生じる縦電界により液晶分子の配向制御を行うECB(Electrically Controlled Birefringence)方式等の液晶パネルを備えていてもよい。これらの液晶装置であっても、上記実施形態の液晶装置の構成および液晶装置の製造方法を適用することができる。
【符号の説明】
【0195】
1,5…液晶装置としての液晶ライトバルブ、7…液晶装置としての液晶ディスプレイ、10…一対の基板としての素子基板、20…一対の基板としての対向基板、30,32,37a,37b,38a,38b…光学素子としてのワイヤーグリッド偏光子、30a,32a…光学軸としての透過軸、34,36,52,54…配向膜、40…液晶層、45,46,55,56…偏光板、45a,46a,55a,56a…光学軸としての透過軸、70…光学素子としての誘電体干渉膜プリズム、70a…光学素子としての透過軸、100…電子機器の一例としての投射型表示装置、214…基準偏光子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置用基板および液晶装置の製造方法、並びに液晶装置、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーン上に画像を投射するプロジェクター等の投射型表示装置には、光源からの光を変調する光変調素子として、液晶装置が用いられている。液晶装置は、通常、一対の基板の間に液晶が挟持された構成を有している。一対の基板の双方の表面には配向膜が設けられており、配向膜には液晶分子の配向を所定の方向に規制するためラビング等の配向処理が施されている。
【0003】
液晶装置では、駆動電圧に応じて液晶分子の配向方向を変化させることにより、透過する光の偏光状態を制御する。そのため、一対の基板で互いの配向膜の配向方向が光学設計に基づく所定の方向に精度良く位置合わせされていないと、液晶装置の光学特性(コントラスト等)が低下することとなる。このような位置合わせ精度を向上させる方法として、基板にアライメントマークを設ける方法が提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0004】
特許文献1に記載された方法では、双方の基板に設けられた偏光板貼り付け用アライメントマークを基準にして、配向膜にラビング処理を行っている。また、偏光板にもアライメントマークを設け、基板に設けられたアライメントマークとで、偏光板貼り付け時の位置合わせを行っている。
【0005】
特許文献2に記載された方法では、双方の基板に設けられた組み立て用アライメントマークを基準にして、配向膜にラビング処理を行うとともに、基板同士の貼り合わせを行っている。また、偏光板貼り付け時は、組み立て用アライメントマークを基準にして、偏光板の外形との位置合わせを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−125092号公報
【特許文献2】特開2000−221461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載された方法では、ラビング処理を行う際の具体的な位置合わせ方法については言及されておらず、基板を貼り合わせる際の基板同士の位置合わせ方法は記載されていない。そのため、配向方向を精度良く位置合わせすることができるか不明確であるという課題がある。上記特許文献2に記載された方法では、ラビング処理を行った後で、組み立て用アライメントマークとラビング処理時に形成されるラビングマークにより位置精度を検査する工程を有しており、工程が煩雑となるという課題がある。また、基板を貼り合わせる際にアライメントマークを目印として位置合わせを行うが、どこまで精度良く位置合わせできるかは定かでないという課題がある。さらに、双方の特許文献に記載された方法では、偏光板の外形あるいはアライメントマークと光学軸とのズレがある場合、基板に対して偏光板を精度良く位置合わせすることが困難であるいう課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1]本適用例に係る液晶装置用基板の製造方法は、基板に偏光分離機能を有する光学素子を形成する工程と、前記基板に配向膜を形成する工程と、前記基板の前記配向膜に配向処理を行う工程と、を含み、前記配向処理を行う工程では、前記光学素子の光学軸を基準にして前記配向処理を行うことを特徴とする。
【0010】
この方法によれば、配向膜における配向処理の方向が、基板に形成された光学素子の光学軸の方向を基準にして光学的に位置合わせされる。このため、液晶装置用基板の配向膜に、液晶装置の光学設計に基づく所定の方向に精度良く配向処理を行うことができる。また、これにより、配向処理の後に位置精度を検査する工程を不要にできる。
【0011】
[適用例2]上記適用例に係る液晶装置用基板の製造方法であって、前記配向処理を行う工程は、前記配向処理を行う方向と所定の位置関係にある光学軸を有する基準偏光子と、前記光学素子と、が平面的に重なるように前記基板を前記基準偏光子に対向配置して、対向する面内における前記基準偏光子と前記基板との相対的な位置関係を決定する工程を含み、前記位置関係を決定する工程では、前記基準偏光子の前記光学軸に対して前記光学素子の前記光学軸が所定の方向となるように、前記基準偏光子と前記基板との相対的な位置関係を調整してもよい。
【0012】
この方法によれば、基準偏光子の光学軸を基準にして基板に形成された光学素子の光学軸を所定の方向に合わせることで、基板に対して配向処理を行う方向を精度良く位置合わせすることができる。
【0013】
[適用例3]上記適用例に係る液晶装置用基板の製造方法であって、前記所定の方向は、前記基準偏光子の前記光学軸に対して前記光学素子の前記光学軸が平行または直交する方向であってもよい。
【0014】
この方法によれば、光学素子と基準偏光子とを透過する光の強度が最大または最小となる方向に合わせるので、基板に対して配向処理を行う方向をより精度良く容易に位置合わせすることができる。
【0015】
[適用例4]本適用例に係る液晶装置の製造方法は、互いに対向して配置された一対の基板と、前記一対の基板の間に挟持された液晶層と、を備えた液晶装置の製造方法であって、上記に記載の液晶装置用基板の製造方法を用いて製造された前記一対の基板を用意する工程と、前記一対の基板に形成された前記光学素子が互いに平面的に重なるように、前記一対の基板を対向させて配置する工程と、前記一対の基板同士の対向する面内における相対的な位置関係を決定する工程と、前記一対の基板同士を貼り合わせる工程と、を含み、前記位置関係を決定する工程では、一方の前記光学素子の光学軸に対して他方の前記光学素子の光学軸が所定の方向となるように、前記一対の基板同士の位置関係を調整することを特徴とする。
【0016】
この方法によれば、一対の基板のそれぞれの配向膜には、基板に形成された光学素子の光学軸を基準にして、液晶装置の光学設計に基づく所定の方向に配向処理が行われている。そして、一対の基板同士の位置関係を決定する工程では、互いの基板に設けられた光学素子の光学軸を基準にして基板同士が位置合わせされる。したがって、配向膜の配向処理と基板同士の位置合わせとが、同じ光学素子の光学軸を基準にして光学的に行われるので、液晶装置における液晶の配向方向を、液晶装置の光学設計に基づく所定の方向に精度良く合わせることができる。この結果、より優れた光学特性(コントラスト等)を有する液晶装置を製造できる。
【0017】
[適用例5]上記適用例に係る液晶装置の製造方法であって、前記所定の方向は、前記一方の光学素子の前記光学軸に対して前記他方の光学素子の前記光学軸が平行または直交する方向であってもよい。
【0018】
この方法によれば、一方の光学素子と他方の光学素子とを透過する光の強度が最大または最小となる方向に合わせるので、基板同士の位置合わせをより精度良く容易に行うことができる。
【0019】
[適用例6]上記適用例に係る液晶装置の製造方法であって、貼り合わせた前記一対の基板の少なくとも一方の外側に偏光板を配置する工程をさらに含み、前記偏光板を配置する工程では、前記光学素子の光学軸に対して前記偏光板の光学軸が所定の方向となるように、前記一対の前記基板と前記偏光板との対向する面内における相対的な位置関係を決定してもよい。
【0020】
この方法によれば、偏光板を配置する工程では、光学素子の光学軸を基準にして偏光板の光学軸が所定の方向となるように、基板と偏光板との位置関係を決定する。したがって、配向膜の配向処理と基板同士の位置合わせと偏光板の位置合わせとが、同じ光学素子の光学軸を基準にして光学的に行われるので、液晶装置における偏光板の光学軸を、液晶装置の光学設計に基づく所定の方向に精度良く合わせることができる。
【0021】
[適用例7]上記適用例に係る液晶装置の製造方法であって、前記所定の方向は、前記光学素子の前記光学軸に対して前記偏光板の前記光学軸が平行または直交する方向であってもよい。
【0022】
この方法によれば、光学素子と偏光板とを透過する光の強度が最大または最小となる方向に合わせるので、基板と偏光板との位置合わせをより精度良く容易に行うことができる。
【0023】
[適用例8]本適用例に係る液晶装置は、互いに対向して配置された一対の基板と、前記一対の基板の間に挟持された液晶層と、前記一対の基板のそれぞれの前記液晶層に面する側に設けられた配向膜と、を備え、前記一対の基板の少なくとも一方に、偏光分離機能を有する光学素子が設けられていることを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、少なくとも一方の基板において、基板に設けられた光学素子の光学軸を基準にして、配向膜に液晶装置の光学設計に基づく所定の方向に配向処理を行うことができる。そして、一対の基板同士の位置関係を決定する工程では、一方の基板に設けられた光学素子の光学軸を基準にして、基板同士を位置合わせすることができる。したがって、配向膜の配向処理と基板同士の位置合わせとを、同じ光学素子の光学軸の方向を基準にして光学的に行うことで、液晶装置における液晶の配向方向を、液晶装置の光学設計に基づく所定の方向に精度良く合わせることができる。この結果、優れた光学特性(コントラスト等)を有する液晶装置を提供できる。
【0025】
[適用例9]上記適用例に係る液晶装置であって、前記光学素子は、前記一対の基板のそれぞれに設けられていてもよい。
【0026】
この構成によれば、一対の基板のそれぞれについて、光学素子の光学軸を基準にして配向膜に精度良く配向処理を行うことができる。そして、一対の基板同士の位置関係を決定する工程では、互いの光学素子の光学軸を基準にして、基板同士の位置関係を光学的に位置合わせすることができる。これにより、液晶装置における液晶の配向方向を、より精度良く合わせることができる。
【0027】
[適用例10]上記適用例に係る液晶装置であって、前記一対の基板に設けられた前記光学素子は、互いに平面的に重なる領域を有していてもよい。
【0028】
この構成によれば、一対の基板に設けられた光学素子同士が平面的に重なる領域に光を照射して、透過する光の強度を測定することにより、基板同士を精度良く位置合わせすることができる。
【0029】
[適用例11]上記適用例に係る液晶装置であって、前記一対の基板に設けられた前記光学素子は、互いに平面的に重なる領域と互いに平面的に重ならない領域とを有していてもよい。
【0030】
この構成によれば、一対の基板同士で互いの光学素子の光学軸が直交するように位置合わせされた場合、光学素子が互いに平面的に重なる領域では光が透過しないが、光学素子が互いに平面的に重ならない領域では光が透過する。このため、一対の基板に対して他の構成部材を光学的に位置合わせする場合、光学素子が互いに平面的に重ならない領域において、一方の基板の光学素子の光学軸を基準にして、その構成部材の位置合わせを行うことができる。
【0031】
[適用例12]上記適用例に係る液晶装置であって、前記一対の基板の少なくとも一方の外側に配置された偏光板をさらに備えていてもよい。
【0032】
この構成によれば、偏光板を配置する際に、基板の光学素子の光学軸を基準にして、偏光板の光学軸を光学的に位置合わせすることができる。このため、偏光板の外形と光学軸との位置関係のずれによる位置合わせへの影響を排除できる。また、同じ光学素子の光学軸の方向を基準にして、配向膜の配向処理と基板同士の位置合わせと偏光板の位置合わせとを光学的に行うことができるので、液晶の配向方向に対する偏光板の光学軸の方向を液晶装置の光学設計に基づく所定の方向に精度良く合わせることができる。
【0033】
[適用例13]上記適用例に係る液晶装置であって、前記光学素子は、前記液晶層に平面的に重ならない領域に配置されていてもよい。
【0034】
この構成によれば、液晶層に平面的に重ならない領域に光学素子が配置されているので、一対の基板間に液晶を封入した後で基板の光学素子に光を照射しても、光学素子を透過する光の光路上に液晶は介在しない。このため、液晶を封入した後で光学素子の光学軸を基準にして偏光板等の他の構成部材を光学的に位置合わせする場合に、液晶による光学的影響を排除できる。
【0035】
[適用例14]本適用例に係る電子機器は、上記に記載の液晶装置を備えていることを特徴とする。
【0036】
この構成によれば、電子機器は、上記の液晶装置を備えているので、コントラスト等の表示品質の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】電子機器の一例としての投射型表示装置の概略構成を示す模式図。
【図2】第1の実施形態に係る液晶パネルの構成を示す概略構成図。
【図3】第1の実施形態に係る液晶パネルの電気的な構成を示す等価回路図。
【図4】第1の実施形態に係る液晶パネルが備える光学素子の構成を説明する図。
【図5】第1の実施形態に係る液晶ライトバルブの光学設計条件を説明する図。
【図6】第1の実施形態に係る液晶パネルの製造方法を示すフローチャート。
【図7】第1の実施形態に係る配向処理方法を説明する図。
【図8】第1の実施形態に係る基板同士の位置合わせ方法を説明する図。
【図9】第1の実施形態に係る基板同士の位置合わせ方法を説明する図。
【図10】第2の実施形態に係る液晶ライトバルブの光学設計条件を説明する図。
【図11】第2の実施形態に係る配向処理方法を説明する図。
【図12】第3の実施形態に係る液晶ディスプレイの構成を示す概略構成図。
【図13】第3の実施形態に係る液晶ディスプレイの製造方法を示すフローチャート。
【図14】第3の実施形態に係る偏光板の位置合わせ方法を説明する図。
【図15】第4の実施形態に係る液晶パネルが備える光学素子の構成を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に、本実施の形態について図面を参照して説明する。なお、参照する各図面において、構成をわかりやすく示すため、各構成要素の層厚や寸法の比率、角度等は適宜異ならせてある。
【0039】
<投射型表示装置>
まず、本実施の形態に係る液晶装置としての液晶ライトバルブを備えた電子機器の一例として、投射型表示装置(液晶プロジェクター)についてその概略構成を説明する。図1は、電子機器の一例としての投射型表示装置の概略構成を示す模式図である。
【0040】
図1に示すように、本実施の形態に係る投射型表示装置100は、光源110と、2つのダイクロイックミラー121,122と、3つの反射ミラー123,124,125と、光が入射する側のレンズ126と、リレーレンズ127と、光が射出される側のレンズ128と、液晶装置としての3つの液晶ライトバルブ1と、クロスダイクロイックプリズム130と、投射レンズ132と、を備えている。
【0041】
投射型表示装置100は、赤色(R)光、緑色(G)光、および青色(B)光の各色光に対応して、3つの液晶ライトバルブ1R,1G,1B(以下では、対応する色光について区別しない場合には単に液晶ライトバルブ1とも呼ぶ)を備えている。各液晶ライトバルブ1は、液晶パネル2と、液晶パネル2の光が入射する側に配置された偏光板45と、液晶パネル2の光が射出される側に配置された偏光板46と、を備えている。液晶ライトバルブ1は、画像情報に応じて光束を変調する光変調手段として機能する。
【0042】
なお、液晶パネル2と偏光板45,46とは、例えば、枠等で案内されて所定の位置関係に固定されている。偏光板45,46のうち少なくとも一方が、液晶パネル2に貼り付けられていてもよい。また、液晶パネル2と偏光板45,46との間に、位相差板や防塵ガラス等をさらに備えていてもよい。
【0043】
光源110は、ランプ111とリフレクター112とを備えている。ランプ111は、例えば、高圧水銀ランプ等からなる。リフレクター112は、ランプ111から放出された光を、ダイクロイックミラー121の方向に反射する。ダイクロイックミラー121は、光源110からの光束のうちの赤色(R)光を透過させるとともに、青色(B)光と緑色(G)光とを反射する。ダイクロイックミラー121を透過することによって分岐された赤色光は、反射ミラー125で反射されて、赤色光用の液晶ライトバルブ1Rに入射する。
【0044】
ダイクロイックミラー121で反射された光のうち緑色光は、ダイクロイックミラー122で反射されることによって分岐され、緑色光用の液晶ライトバルブ1Gに入射する。一方、ダイクロイックミラー121で反射された光のうち青色光は、ダイクロイックミラー122を透過することによって分岐され、導光手段120に入射する。
【0045】
導光手段120は、レンズ126、リレーレンズ127、レンズ128を含むリレーレンズ系からなる。導光手段120は、投射型表示装置100において青色光の光路の長さが他の色光の光路の長さよりも長いため、光の発散等による光の利用効率の低下を防止するために設けられている。ダイクロイックミラー122を透過した青色光は、導光手段120を介して、青色光用の液晶ライトバルブ1Bに入射する。
【0046】
各液晶ライトバルブ1により変調されたR、G、Bの3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム130に入射する。クロスダイクロイックプリズム130は、各液晶ライトバルブ1により変調された光学像を合成してカラー画像を形成する光学素子である。クロスダイクロイックプリズム130は4つの直角プリズムが貼り合わされた構成を有しており、直角プリズム同士が貼り合わされた略X字状の界面には誘電体多層膜が形成されている。略X字状の一方の界面に形成された誘電体多層膜は、赤色光を反射するものであり、他方の界面に形成された誘電体多層膜は、青色光を反射するものである。これらの誘電体多層膜によって赤色光および青色光は曲折され、緑色光の進行方向と揃えられることにより、3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が形成される。
【0047】
クロスダイクロイックプリズム130によって合成された光は、投射光学系である投射レンズ132によってスクリーン140上に拡大投射される。これにより、スクリーン140上に画像が拡大されて表示される。
【0048】
このような投射型表示装置100では、より明るいカラー画像をコントラスト良くスクリーン140に映し出すために、液晶ライトバルブ1がより優れた光学特性(コントラスト等)を有していることが望ましい。
【0049】
(第1の実施形態)
<液晶ライトバルブの構成>
次に、第1の実施形態に係る液晶ライトバルブの構成について図を参照して説明する。図2は、第1の実施形態に係る液晶パネルの構成を示す概略構成図である。詳しくは、図2(a)は平面図であり、図2(b)は図2(a)中のA−A’線に沿った断面図である。図3は、第1の実施形態に係る液晶パネルの電気的な構成を示す等価回路図である。図4は、第1の実施形態に係る液晶パネルが備える光学素子の構成を説明する図である。詳しくは、図4(a)は光学素子の概略構成を示す斜視図であり、図4(b)は図4(a)中のB−B’線に沿った断面図である。図5は、第1の実施形態に係る液晶ライトバルブの光学設計条件を説明する図である。
【0050】
図2(a)、(b)に示すように、第1の実施形態に係る液晶パネル2は、互いに対向して配置された一対の基板としての素子基板10および対向基板20と、素子基板10と対向基板20との間に挟持された液晶層40とを備えている。素子基板10および対向基板20は、例えば透光性を有する石英等の基板であり、シール材41によって互いに貼り合わされている。シール材41によって囲まれた領域内には、液晶パネル2において光変調を行う画素領域3が配置されている。液晶パネル2は、画素領域3にマトリクス状に配置された複数の画素4を有するアクティブマトリクス型である。
【0051】
図2(b)に示すように、素子基板10の液晶層40側には、各画素4を構成する画素電極16と、画素電極16を駆動制御するスイッチング素子としてのTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスター)19とが設けられている。画素電極16は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性を有する電極からなる。素子基板10の液晶層40に面する側には、これら画素電極16等を覆うように、配向膜34が設けられている。配向膜34は、例えばポリイミド樹脂等からなる。配向膜34の表面には、例えば、ラビング処理等により所定の方向に配向処理が施されている。
【0052】
対向基板20の液晶層40側には、遮光層22,24が設けられている。遮光層22は、各画素4の領域を格子状に区画している。遮光層24は、画素領域3の周辺部に配置されている。遮光層22,24は、例えば、遮光性を有するクロム(Cr)等の金属や金属酸化物等の無機化合物、あるいは遮光性を有する有機化合物等からなる。また、遮光層22,24を覆うとともに画素領域3に平面的に重なるように、共通電極18が設けられている。共通電極18は、例えば、ITO等の透光性を有する電極からなる。
【0053】
対向基板20の液晶層40に面する側には、共通電極18を覆うように、配向膜36が設けられている。配向膜36は、例えばポリイミド樹脂等からなるからなる。配向膜36の表面には、ラビング処理等により所定の方向に配向処理が施されている。なお、配向膜34および配向膜36は、シール材41によって囲まれた領域内に配置されている。
【0054】
図2(a)に示すように、素子基板10と対向基板20とを接合するシール材41は、画素領域3の周囲に額縁状に設けられている。シール材41は、例えば、熱硬化型または紫外線硬化型の接着剤からなる。図示を省略するが、シール材41は辺部の一部が欠落した注入口を有している。この注入口から、素子基板10と対向基板20とシール材41とによって囲まれた空間に液晶層40を構成する液晶が注入され、封止材で封止されている。
【0055】
素子基板10は対向基板20に比べて一回り大きく、対向基板20から突出した一辺部を有している。この一辺部には、データ線駆動回路13と、外部接続端子11とが設けられている。外部接続端子11は、外部と接続する複数の端子を有している。素子基板10のシール材41の内側には、画素領域3を挟んで一対の走査線駆動回路15と、この間を繋ぐ配線15aとが設けられている。対向基板20の遮光層24は、走査線駆動回路15に平面的に重なるように設けられている。
【0056】
素子基板10と対向基板20との間に位置するシール材41の4つのコーナー部には、上下導通部42が配設されている。図示を省略するが、各上下導通部42には、上下導通材と上下導通端子とが設けられている。この上下導通部42により、対向基板20側の共通電極18が素子基板10側に電気的に接続されるとともに、外部接続端子11のうちの指定された端子に電気的に接続されている。
【0057】
図2(a)および(b)に示すように、素子基板10の周縁部には、光学素子としてのワイヤーグリッド偏光子30が設けられている。ワイヤーグリッド偏光子30は、例えば、素子基板10の対向基板20に対向する側の面に配置されている。また、対向基板20の周縁部には、光学素子としてのワイヤーグリッド偏光子32が設けられている。ワイヤーグリッド偏光子32は、例えば、対向基板20の素子基板10に対向する側の面に配置されている。
【0058】
ワイヤーグリッド偏光子30,32は、シール材41の外側に配置されている。つまり、ワイヤーグリッド偏光子30,32は、液晶層40に平面的に重ならない領域に配置されている。また、ワイヤーグリッド偏光子30,32は、互いに平面的に重なる領域と、互いに平面的に重ならない領域とを有している。ワイヤーグリッド偏光子30,32は、偏光分離機能を有している。ワイヤーグリッド偏光子30,32の構成については後述する。
【0059】
図3に示すように、液晶パネル2の画素領域3には、走査線12とデータ線14とが互いに交差するように形成され、走査線12とデータ線14との交差に対応して画素4が設けられている。画素4のそれぞれには、画素電極16と、画素電極16を駆動制御するTFT19とが設けられている。
【0060】
TFT19のソース電極(図示しない)は、データ線駆動回路13から延在するデータ線14に電気的に接続されている。データ線14には、データ線駆動回路13からデータ信号S1、S2、…、Snが線順次で供給される。TFT19のゲート電極(図示しない)は、走査線駆動回路15から延在する走査線12の一部である。走査線12には、走査線駆動回路15から走査信号G1、G2、…、Gmが線順次で供給される。TFT19のドレイン電極(図示しない)は、画素電極16に電気的に接続されている。
【0061】
データ信号(画素信号)S1、S2、…、Snは、TFT19を一定期間だけオン状態とすることにより、データ線14を介して画素電極16に所定のタイミングで書き込まれる。このようにして画素電極16を介して液晶層40に書き込まれた所定レベルの画素信号は共通電極18(図2(b)参照)との間に形成される液晶容量で一定期間保持される。なお、保持された画素信号S1、S2、…、Snがリークするのを防止するため、走査線12に沿って形成された容量線17と画素電極16との間に蓄積容量17aが形成され、液晶容量と並列に配置されている。
【0062】
<ワイヤーグリッド偏光子の構成>
続いて、ワイヤーグリッド偏光子30,32の構成について説明する。図4(a)および(b)に示すように、ワイヤーグリッド偏光子30,32は、ストライプ状に配置された複数の金属反射膜31を備えている。金属反射膜31は、直線状の形状を有しており、ワイヤーグリッド偏光子30では素子基板10上に、ワイヤーグリッド偏光子32では対向基板20上に、互いに略平行に配置されている。金属反射膜31は、光反射性の高い金属からなり、例えばアルミニウムからなる。金属反射膜31の材料は、APC(銀−パラジウム−銅の合金)等であってもよい。
【0063】
金属反射膜31は所定のピッチで配置されている。金属反射膜31の配置ピッチは、入射する光の波長よりも小さく設定されており、例えば40nm〜140nm程度である。金属反射膜31の高さは、例えば100nm程度である。金属反射膜31の幅は、例えば100nm程度である。ワイヤーグリッド偏光子30,32は、半導体プロセスによりTFT19等を形成する工程の中で形成することができる。したがって、ワイヤーグリッド偏光子30,32は、TFT19等と同等の精度で形成される。
【0064】
ワイヤーグリッド偏光子30,32は、入射光を偏光状態の異なる反射光と透過光とに分離する機能を備えている。ワイヤーグリッド偏光子30,32は、入射光のうち、金属反射膜31の延在方向に平行な偏光成分を反射し、金属反射膜31の延在方向に対して直交する偏光成分を透過する。すなわち、ワイヤーグリッド偏光子30,32は、光学軸としての透過軸30a,32aおよび反射軸30b,32bを有している。図4(a)に示すように、透過軸30a,32aは金属反射膜31の延在方向と直交しており、反射軸30b,32bは金属反射膜31の延在方向に平行である。
【0065】
ワイヤーグリッド偏光子30,32は、配向膜34,36(図2(b)参照)にラビング処理等の配向処理を行う際、および素子基板10と対向基板20とを貼り合わせる際の位置合わせの基準として用いられる。すなわち、ワイヤーグリッド偏光子30,32の透過軸30a,32aを基準にして、配向膜34,36に配向処理を行う方向、および素子基板10と対向基板20との相対的な位置関係が決定される。
【0066】
なお、金属反射膜31は、素子基板10または対向基板20の直上に形成されていてもよいし、絶縁層上に形成されていてもよい。また、金属反射膜31は、酸化シリコン(SiO2)等からなる保護層に覆われていてもよい。
【0067】
<液晶ライトバルブの光学設計条件>
次に、第1の実施形態に係る液晶ライトバルブの光学設計条件を説明する。図5(a)に示すように、液晶ライトバルブ1は、液晶パネル2と偏光板45と偏光板46とを備えている。偏光板45は、液晶パネル2の対向基板20側に配置されている。偏光板46は、液晶パネル2の素子基板10側に配置されている。液晶ライトバルブ1に照射された光は、偏光板45の側から入射し、液晶パネル2を対向基板20側から素子基板10側に透過して、偏光板46の側から射出される。
【0068】
第1の実施形態に係る液晶パネル2は、TN(Twisted Nematic)方式の液晶パネルである。液晶層40は、正の誘電率異方性を有する液晶で構成される。対向基板20の配向膜36には、矢印で示す配向方向36aにラビング処理等の配向処理が施されている。素子基板10の配向膜34には、矢印で示す配向方向34aにラビング処理等の配向処理が施されている。図5(b)に示すように、液晶パネル2における素子基板10の配向方向34aと、対向基板20の配向方向36aとは互いに直交している。
【0069】
偏光板45は、光学軸としての透過軸45aを有している。透過軸45aは、例えば、対向基板20の配向方向36aに平行である。また、偏光板46は、光学軸としての透過軸46aを有している。透過軸46aは、例えば、素子基板10の配向方向34aに平行である。したがって、偏光板45の透過軸45aと偏光板46の透過軸46aとは互いに直交している。
【0070】
図5(a)に示すように、液晶パネル2に電圧が印加されない状態(非駆動状態)では、液晶層40において配向膜36との界面付近に存在する液晶分子40aは、長軸方向が配向方向36aに沿うように配向する。配向膜34との界面付近に存在する液晶分子40aは、長軸方向が配向方向34aに沿うように配向する。したがって、液晶層40においては、光が入射する側の配向膜36から光が射出される側の配向膜34に向かうに従って、液晶分子40aの長軸方向が90°ねじれた状態となるように配向が規制される。
【0071】
液晶ライトバルブ1に照射された光は、偏光板45により透過軸45a(配向方向36a)に平行な直線偏光に変換されて対向基板20側から液晶パネル2に入射する。液晶パネル2に入射した透過軸45aに平行な直線偏光は、非駆動状態において、液晶層40における液晶分子40aのねじれによって90°旋光し、配向方向34a(透過軸46a)に平行な直線偏光として液晶パネル2の素子基板10側からから射出される。
【0072】
この透過軸46aに平行な直線偏光は、そのまま偏光板46を透過して、液晶ライトバルブ1から射出される。このように、非駆動状態において光が透過する明表示状態となるような光学設計に基づく表示モードを、ノーマリーホワイトという。なお、表示モード(光学設計)は、これに限定されず、非駆動状態に光が透過しない暗表示状態となるノーマリーブラックであってもよい。
【0073】
一方、図示しないが、液晶パネル2に電圧が印加された状態(駆動状態)では、液晶分子40aの長軸方向が立ち上がるように配列し、液晶分子40aの長軸方向が入射光の光軸に対して平行になるように配向状態が変化する。したがって、液晶パネル2に入射した透過軸45aに平行な直線偏光は、そのまま液晶パネル2から射出されるが、偏光板46を透過しないので、暗表示状態となる。
【0074】
本実施形態では、配向膜34,36の光学設計に基づく所定の配向方向34a,36aを、ワイヤーグリッド偏光子30,32の透過軸30a,32aに平行または直交する方向とする。なお、液晶パネル2において、配向膜34,36の配向方向34a,36aや偏光板45,46の透過軸45a,46a等の光学設計条件は、上記の形態に限定されるものではない。
【0075】
<液晶パネルの製造方法>
次に、第1の実施形態に係る液晶パネルの製造方法について図を参照して説明する。図6は、第1の実施形態に係る液晶パネルの製造方法を示すフローチャートである。図7は、第1の実施形態に係る配向処理方法を説明する図である。詳しくは、図7(a)はラビング装置を示す斜視図であり、図7(b)は図7(a)中のC−C’線に沿った断面図である。図8および図9は、第1の実施形態に係る基板同士の位置合わせ方法を説明する図である。
【0076】
図6において、工程P11から工程P13および工程P21から工程P23は、液晶パネル2用基板、すなわち素子基板10および対向基板20を製造する工程である。工程P11から工程P13は素子基板10を製造する工程であり、工程P21から工程P23は対向基板20を製造する工程である。素子基板10を製造する工程と対向基板20を製造する工程とはそれぞれ独立に行われる。工程P31から工程P33は、素子基板10と対向基板20とを組み合わせて液晶パネル2を製造する工程である。なお、これらの工程のうち詳述しない工程においては、公知の技術を適用することができる。
【0077】
<液晶パネル用基板の製造工程>
まず、素子基板10を製造する工程を説明する。工程P11では、素子基板10上にTFT19、光学素子としてのワイヤーグリッド偏光子30、画素電極16等を形成する。ワイヤーグリッド偏光子30は、半導体プロセスによりTFT19等を形成する工程の中で形成される。
【0078】
より具体的には、素子基板10上にワイヤーグリッド偏光子30の形成材料からなる金属薄膜を形成し、例えばフォトリソグラフィ法を用いて、その金属薄膜をパターニングすることにより、ストライプ状に配置された複数の金属反射膜31を備えたワイヤーグリッド偏光子30が形成される。これにより、TFT19等と同等の精度で、かつ製造工程を煩雑にすることなく、ワイヤーグリッド偏光子30を形成することができる。なお、ワイヤーグリッド偏光子30を形成する方法として、レーザー光による二光束干渉露光法や電子線露光法等を用いてもよい。
【0079】
続いて、工程P12では、これらの素子、電極等が形成された素子基板10の表面に、例えば、ポリイミド樹脂をスピンコート法等により塗布して配向膜34を形成する。そして、工程P13では、配向膜34の表面に図5(b)に示す配向方向34aに配向処理を行う。本実施形態では、ラビング装置200を用いてラビング法により配向処理を行う。
【0080】
<ラビング装置>
まず、本実施形態に係る液晶パネル用基板の製造に用いるラビング装置200の構成を説明する。図7(a)および(b)に示すように、ラビング装置200は、ステージ210と、光源216と、受光部218と、ラビング処理部220と、を備えている。ステージ210の上面は、例えば長方形状である。ステージ210は、回転ステージ212と基準偏光子214とを備えている。
【0081】
回転ステージ212は、例えば円形状でステージ210よりも平面的に一回り小さい上面を有し、その厚さはステージ210の厚さよりも薄い。ステージ210には上面側に回転ステージ212に対応する凹部が設けられており、回転ステージ212はその凹部に配置されている。ステージ210の上面と回転ステージ212の上面とは、ほぼ段差のない平面となっている。
【0082】
回転ステージ212は、円形状の上面の中心に回転軸(図示しない)を有しており、その回転軸を中心にして図7(a)に回転矢印R1で示すように回転可能である。また、回転ステージ212のうち、少なくとも基準偏光子214に平面的に重なる領域周辺の部分は、透光性を有する材料からなる。図示しないが、回転ステージ212は吸引装置に接続された吸着孔や吸引路を有しており、回転ステージ212の上面には配向処理を行う素子基板10(または対向基板20)が配向膜34(図示しない)を上にして載置され吸着固定される。
【0083】
基準偏光子214は、ステージ210に設けられており、回転ステージ212に平面的に重なる位置に、回転ステージ212の上面に対して平行になるように配置されている。基準偏光子214は、例えば偏光板であり、光学軸としての透過軸(図示しない)を有している。基準偏光子214の透過軸は、後述するステージ210の移動方向D1に対して所定の位置関係、例えば、平行または直交する方向となっている。基準偏光子214は、ワイヤーグリッド偏光子等の偏光分離機能を有する光学素子であってもよい。
【0084】
回転ステージ212に載置される素子基板10(または対向基板20)は、ワイヤーグリッド偏光子30(またはワイヤーグリッド偏光子32)が基準偏光子214に平面的に重なるように配置される。なお、基準偏光子214は、ワイヤーグリッド偏光子30,32よりも十分大きな面積を有していることが望ましい。また、基準偏光子214は、ステージ210の回転ステージ212に平面的に重なる領域内の複数個所に設けられていてもよいし、回転ステージ212の全領域に平面的に重なるように回転ステージ212と略同一の大きさを有していてもよい。
【0085】
さらには、基準偏光子214がその基準となる透過軸の方向(ステージ210の移動方向D1に対して所定の位置関係)を維持したまま、回転ステージ212の回転と同期してその回転方向に移動する構成であってもよい。このような構成であれば、回転ステージ212によってワイヤーグリッド偏光子30(またはワイヤーグリッド偏光子32)が回転方向に大幅に移動した場合であっても、基準偏光子214に平面的に重なる配置とすることができる。
【0086】
光源216は、ステージ210の上面とは反対側に、基準偏光子214に平面的に重なるように配置されている。光源216は、基準偏光子214の方向に略平行光を照射する。光源216として、例えば可視光領域の波長を有する光を発するランプを用いてもよいし、発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード等を用いてもよい。光源216の基準偏光子214側にコリメーターレンズを配置してもよい。
【0087】
なお、ステージ210の基準偏光子214および光源216に平面的に重なる部分は、例えば貫通孔となっており、光源216から基準偏光子214に照射される光が遮られないようになっている。光源216が、ステージ210の貫通孔内に設けられていてもよい。また、ステージ210の基準偏光子214および光源216に平面的に重なる部分あるいは全体が、透光性を有する材料で構成されていてもよい。
【0088】
受光部218は、ステージ210の光源216とは反対側に配置されている。受光部218は、光源216から照射され基準偏光子214とワイヤーグリッド偏光子30(またはワイヤーグリッド偏光子32)とを透過する光L1の光路上に位置している。受光部218は、受光する光L1の強度を測定する機能を有している。受光部218として、例えばフォトマルチメーター等を用いて、光L1の強度を電気信号に変換して測定してもよい。あるいは、受光部218として輝度計等を用いて、光の輝度を測定してもよい。
【0089】
なお、光源216から射出される光が、基準偏光子214の法線、つまり回転ステージ212に載置された素子基板10(または対向基板20)の法線の方向から入射するように、ステージ210に対して光源216を相対的に配置することが望ましい。光源216と受光部218との位置関係は、図面上において上下逆であってもよい。また、光源216および受光部218が、回転ステージ212の回転と同期してその回転方向に移動する構成であってもよい。
【0090】
ラビング処理部220は、ローラー222とラビング布224とを備えている。ローラー222は円柱形状であり、その長さは、例えば、素子基板10(または対向基板20)の長辺の長さ以上である。ローラー222は、例えば、SUSやアルミ等の金属材料で形成されている。ローラー222は、モーター、変速機等を備えた回転駆動機構(図示しない)により、回転軸226を中心として、回転矢印R2で示す向きに回転する。ラビング布224は、ローラー222の周囲に巻き付けられている。ラビング布224は、例えば、基材にレーヨン等の短繊維が植毛されたものである。
【0091】
ラビング装置200は、ラビング処理部220に対して、ステージ210を所定の方向に移動させる移動機構(図示しない)を備えている。この移動機構は、例えば、ラック・アンド・ピニオン方式等の駆動装置を含んで構成される。ステージ210は、移動機構により、ステージ210の上面に平行な移動方向D1に沿って矢印の向きに、ラビング処理部220に向かって移動する。図7(a)のC−C’線の方向は、ステージ210の移動方向D1に沿った方向である。これにより、ラビング処理部220は、素子基板10に対して矢印と反対の向きに相対的に移動する。なお、ラビング装置200は、ラビング処理部220をステージ210に対して移動させる構成であってもよい。
【0092】
ローラー222の回転軸226の方向は、例えば、ステージ210の移動方向D1と直交する方向である。この場合、ラビング処理により配向膜34には、ステージ210の移動方向D1に沿って配向異方性が付与される。したがって、配向膜34の表面に付与される配向異方性の方向、すなわち配向方向34aは、移動方向D1に沿った方向となる。また、回転軸226の方向は、光学設計に基づく配向方向34aに応じて適宜調整することができる。
【0093】
ローラー222の回転軸226の方向と、ステージ210の移動方向D1と直交する方向とが異なる場合、ラビング処理により配向膜34に付与される配向方向34aは、ローラー222の回転軸226と直交する方向とステージ210の移動方向D1との合成ベクトルで与えられる。したがって、配向処理によって配向膜34に付与される配向方向34aは、基準偏光子214の透過軸と所定の位置関係となる。
【0094】
<ラビング方法>
次に、工程P13でラビング法により配向処理を行う方法(ラビング方法)について説明する。まず、図7(a)および(b)に示すように、回転ステージ212の上面に、配向膜34が形成された面を上にして素子基板10を載置し吸着固定する。このとき、素子基板10に設けられたワイヤーグリッド偏光子30が基準偏光子214に平面的に重なるように配置する。なお、ステージ210とラビング処理部220とは十分に離間されている。
【0095】
次に、素子基板10の配向膜34に光学設計に基づく配向方向34aに配向処理が行われるように、ステージ210に設けられた基準偏光子214と対向する面内における素子基板10の相対的な位置関係を決定する。ここでは、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aに対して基準偏光子214の透過軸が所定の方向、例えば平行または直交する方向となるように、基準偏光子214と素子基板10(ワイヤーグリッド偏光子30)との相対的な位置関係を調整する。
【0096】
より具体的には、光源216から光を照射し、基準偏光子214とワイヤーグリッド偏光子30,32とを透過する光L1の強度を受光部218で測定する。そして、回転ステージ212を回転させることにより、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aと基準偏光子214の透過軸との相対的な位置関係を変化させて、受光部218で受光する光L1の強度が最大または最小となるように調整する。
【0097】
このとき、受光部218で受光する光L1の強度が最大となるのは、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aと基準偏光子214の透過軸とが互いに平行になるときである。また、受光部218で受光する光L1の強度が最小となるのは、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aと基準偏光子214の透過軸とが互いに直交するときである。
【0098】
受光する光L1の強度が最大となる場合と最小となる場合とのどちらを選択するかは、光L1の強度を測定する機器の感度特性(光の強度が小さい側で感度が高い、または光の強度が大きい側で感度が高い)等に応じて決定することができる。なお、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aの方向および基準偏光子214の透過軸の方向は、液晶パネル2の光学設計に応じて任意に設定することができる。これにより、ステージ210と素子基板10との相対的な位置関係、すなわち、素子基板10に対して配向処理を行う方向が決定される。
【0099】
次に、素子基板10に対するラビング布224の押込み量が所望の値となるように調整し、ステージ210を移動方向D1に沿って矢印の向きに移動させる。ステージ210の移動により、ラビング処理部220は、素子基板10の配向膜34を擦りながら相対的に移動する。ラビング処理を一方向に行ったら、吸着固定を解除し素子基板10を取り外す。ラビング処理は、同一方向に複数回行ってもよい。
【0100】
以上で、工程P13が終了する。工程P13でラビング処理が行われた素子基板10においては、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aと配向膜34の配向方向34aとは所定の位置関係、例えば、互いに平行または直交する位置関係となる。このような方法によれば、配向膜34における配向方向34aを、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aを基準にして光学的に位置合わせすることができる。このため、素子基板10の外形やアライメントマーク等を基準にラビング処理を行う場合に比べて、素子基板10の配向膜34に、液晶パネル2の光学設計に基づく所定の方向に精度良く配向処理を行うことができる。また、これにより、配向処理の後に位置精度を検査する工程を不要にできる。
【0101】
次に、対向基板20を製造する工程のうち工程P21では、対向基板20上に遮光層22,24を形成するとともに、工程P11と同様にして、光学素子としてのワイヤーグリッド偏光子32、共通電極18等を形成する。そして、工程P22では、工程P12と同様にして、対向基板20の表面に配向膜36を形成する。そして、工程P23では、工程P13と同様にして、配向膜36の表面に図5(b)に示す配向方向36aに配向処理を行う。これにより、対向基板20の配向膜36に、液晶パネル2の光学設計に基づく所定の方向に精度良く配向処理を行うことができる。以上で、素子基板10および対向基板20の一対の基板が用意される。
【0102】
<液晶パネルの製造工程>
次に、工程P31では、素子基板10と対向基板20との位置合わせを行う。まず、図8に示すように、素子基板10に形成されたワイヤーグリッド偏光子30と、対向基板20に形成されたワイヤーグリッド偏光子32とが互いに平面的に重なるように、素子基板10と対向基板20とを対向させて配置する。なお、素子基板10または対向基板20には、予めシール材41を塗布しておく。
【0103】
素子基板10と対向基板20とは、それぞれ吸着固定可能な保持部230,232により、互いに平行に保持される。また、対向基板20は、対向基板20(素子基板10)の表面の法線方向を回転軸として回転可能に保持される。保持部230,232は、例えば透光性を有する材料からなる。保持部230,232の材料が非透光性である場合は、ワイヤーグリッド偏光子30,32に平面的に重なる位置に、光を透過させる貫通孔等が設けられていてもよい。
【0104】
続いて、素子基板10の対向基板20とは反対側に光源234を配置する。また、対向基板20の素子基板10とは反対側に受光部236を配置する。そして、光源234からの光を、ワイヤーグリッド偏光子30とワイヤーグリッド偏光子32とに順次入射させる。このワイヤーグリッド偏光子30とワイヤーグリッド偏光子32とを透過した光L2を受光部236で受光し、光L2の強度を測定する。
【0105】
このとき、光源234から射出される光が、素子基板10(対向基板20)の法線の方向から入射するように、光源234を相対的に配置することが望ましい。光源234と受光部236との位置関係は、図面上において上下逆であってもよい。なお、光源234はラビング装置200における光源216と同様の構成を有し、受光部236はラビング装置200における受光部218と同様の構成を有している。
【0106】
次に、図9に示すように、素子基板10および対向基板20同士の対向する面内における相対的な位置関係を決定する。ここでは、素子基板10のワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aを基準にして、対向基板20のワイヤーグリッド偏光子32の透過軸32aが所定の方向となるように、素子基板10および対向基板20同士の位置関係を調整する。なお、図9では、図8における保持部230と保持部232との図示を省略している。
【0107】
より具体的には、素子基板10を固定した状態で、素子基板10および対向基板20同士が対向する面内で対向基板20を回転させて、受光部236で受光する光L2の強度が最大または最小となるように、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aとワイヤーグリッド偏光子32の透過軸32aとの位置関係を変化させる。
【0108】
ここで、受光部236で受光する光L2の強度が最大となるのは、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aとワイヤーグリッド偏光子32の透過軸32aとが互いに平行になるときである。また、受光部236で受光する光L2の強度が最小となるのは、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aとワイヤーグリッド偏光子32の透過軸32aとが互いに直交するときである。
【0109】
ところで、素子基板10の配向膜34には、工程P13におけるラビング処理により、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aを基準にして、液晶パネル2の光学設計に基づく所定の配向方向34aに配向処理が行われている。また、対向基板20の配向膜36には、工程P23におけるラビング処理により、ワイヤーグリッド偏光子32の透過軸32aを基準にして、液晶パネル2の光学設計に基づく所定の配向方向36aに配向処理が行われている。
【0110】
例えば、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aと配向膜34の配向方向34aとが互いに平行であり、ワイヤーグリッド偏光子32の透過軸32aと配向膜36の配向方向36aとが互いに平行であるとする。このとき、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aとワイヤーグリッド偏光子32の透過軸32aとが互いに直交するように調整すれば、素子基板10の配向方向34aと対向基板20の配向方向36aとは、液晶パネル2の光学設計に基づく互いに直交する位置関係となる(図5(b)参照)。
【0111】
これにより、素子基板10と対向基板20とを、それぞれの配向方向34aと配向方向36aとが液晶パネル2の光学設計に基づく所定の方向になるように、精度良く位置合わせすることができる。以上で、素子基板10と対向基板20との位置関係が決定される。なお、対向基板20を固定した状態で素子基板10を回転させて位置合わせを行ってもよいし、素子基板10と対向基板20との双方を回転させて位置合わせを行ってもよい。
【0112】
次に、工程P32では、素子基板10および対向基板20同士の貼り合わせを行う。貼り合わせは、工程P31で位置合わせされた位置関係を維持した状態で、対向する素子基板10と対向基板20とを予め塗布されているシール材41を介して接触させ、圧着して行われる。続いて、工程P33では、シール材41の開口部(注入口)から素子基板10と対向基板20との間に液晶を注入し、注入口を封止する。以上により、液晶パネル2が製造される。
【0113】
本実施形態に係る液晶パネルの製造方法によれば、素子基板10に設けられたワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30a、および対向基板20に設けられたワイヤーグリッド偏光子32の透過軸32aを基準にして、素子基板10と対向基板20とを光学的に位置合わせすることができる。したがって、配向膜34,36の配向処理と、素子基板10と対向基板20との位置合わせとが、ワイヤーグリッド偏光子30,32の透過軸30a,32aを基準にして光学的に行われるので、液晶パネル2における液晶層40の配向方向を、光学設計に基づく所定の方向に精度良く合わせることができる。この結果、より優れた光学特性(コントラスト等)を有する液晶パネル2を製造できる。
【0114】
なお、素子基板10を製造する工程(工程P11から工程P13)、および対向基板20を製造する工程(工程P21から工程P23)では、例えば、複数個分の素子基板10または対向基板20が面付けされたマザー基板の状態で製造を行ってもよい。また、液晶パネル2を製造する工程(工程P31から工程P33)では、例えば、素子基板10が面付けされたマザー基板に対して対向基板20を個々に貼り合わせ液晶を注入・封止してから、これを所定の位置で切断するようにしてもよい。
【0115】
ここでは説明を省略するが、液晶ライトバルブ1を備えた投射型表示装置100の製造工程では、液晶パネル2と偏光板45,46(図1参照)との位置合わせが行われる。この液晶パネル2と偏光板45,46との位置合わせの際、例えば、素子基板10に設けられたワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30a(または対向基板20に設けられたワイヤーグリッド偏光子32の透過軸32a)を基準にして、偏光板45の透過軸45aおよび偏光板46の透過軸46aの少なくとも一方を、光学的に位置合わせすることができる。
【0116】
このような方法によれば、液晶パネル2と偏光板45,46との位置合わせが、液晶パネル2における配向膜34,36の配向処理の方向と素子基板10および対向基板20同士の位置合わせで用いたワイヤーグリッド偏光子30の方向を基準にして光学的に行われる。このため、液晶ライトバルブ1における偏光板45,46の透過軸45a,46aを、液晶ライトバルブの光学設計に基づく所定の方向に精度良く合わせることができる(図5(a)および(b)参照)。
【0117】
なお、液晶パネル2において、ワイヤーグリッド偏光子30,32は、互いに平面的に重ならない領域を有している(図2(a)および(b)参照)。したがって、ワイヤーグリッド偏光子30,32のいずれか一方における他方と平面的に重ならない領域において、液晶パネル2と偏光板45,46との位置合わせを光学的に行うことができる。また、ワイヤーグリッド偏光子30,32は、液晶層40に平面的に重ならない領域に配置されている。したがって、液晶パネル2と偏光板45,46とを光学的に位置合わせする際、液晶層40による光学的影響を排除できる。
【0118】
(第2の実施形態)
<液晶ライトバルブの構成および光学設計条件>
次に、第2の実施形態に係る液晶ライトバルブの構成について図を参照して説明する。第2の実施形態に係る液晶ライトバルブは、第1の実施形態に係る液晶ライトバルブに対して、液晶パネルの配向方式と配向膜における配向処理とが異なっているが、その他の構成は同じである。図10は、第2の実施形態に係る液晶ライトバルブの光学設計条件を説明する図である。第1の実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0119】
図10(a)に示すように、第2の実施形態に係る液晶ライトバルブ5は、液晶パネル6と、液晶パネル6の光が入射する側に配置され透過軸55aを有する偏光板55と、液晶パネル6の光が射出される側に配置され透過軸56aを有する偏光板56と、を備えている。液晶パネル6は、素子基板10と対向基板20との間に挟持された液晶層50を備えている。第2の実施形態に係る液晶パネル6は、VA(Vertical Alignment)方式の液晶パネルである。液晶層50は、負の誘電率異方性を有する液晶で構成される。
【0120】
液晶パネル6において、素子基板10の液晶層50に面する側には配向膜52が設けられている。また、対向基板20の液晶層50に面する側には配向膜54が設けられている。配向膜52,54は、光配向材料からなる。配向膜52,54の材料としては、例えば、シンナモイル基、クマリン基、カルコン基等を官能基として含有する樹脂材料のように光二重化反応によって配向される光配向材料や、アゾ基を官能基として含有する樹脂材料のように光異性化反応によって配向される光配向材料等があげられる。
【0121】
液晶パネル6では、配向膜52,54に、光配向法により配向処理が施されている。配向膜52には、例えば、矢印で示す配向方向52aに配向処理が施されている。配向膜54には、例えば、矢印で示す配向方向54aに配向処理が施されている。図10(b)に示すように、液晶パネル6における素子基板10の配向方向52aと、対向基板20の配向方向54aとは互いに平行であるが、互いに相反する向きである。
【0122】
図10(b)に示すように、偏光板55の透過軸55aは、例えば、配向膜54の配向方向54aに対して反時計回りに45°ずれている。また、偏光板56の透過軸56aは、例えば、配向膜52の配向方向52aに対して時計回りに45°ずれている。したがって、透過軸55aと透過軸56aとは互いに直交している。
【0123】
液晶パネル6に電圧が印加されない状態(非駆動状態)では、液晶層50において、液晶分子50aは長軸方向が素子基板10および対向基板20の法線方向に沿うように立ち上がって配向する。したがって、液晶パネル6に入射した偏光板55の透過軸55aに平行な直線偏光は、そのままの状態で液晶層50を透過して液晶パネル6から射出されるが、偏光板56を透過しないので暗表示状態となる。つまり、液晶パネル6の表示モード(光学設計)は、非駆動状態において光が透過しないノーマリーブラックである。
【0124】
一方、図示しないが、液晶パネル6に電圧が印加された状態(駆動状態)では、液晶分子50aは長軸方向が倒れるように配列する。この駆動状態において液晶パネル6に入射する光には、液晶層50の複屈折性により90°の位相差が付与される。したがって、液晶パネル6に入射した偏光板55の透過軸55aに平行な直線偏光は、液晶層50の複屈折性により、振動方向が90°回転した直線偏光となり、液晶パネル6から射出される。この直線偏光は、偏光板56の透過軸56aに平行であり、偏光板56を透過するので、明表示状態となる。
【0125】
なお、液晶パネル6において、配向膜52,54の配向方向52a,54aや偏光板55,56の透過軸55a,56a等の光学設計条件は、上記の形態に限定されるものではない。
【0126】
ここで、液晶パネル6において、図10(c)に示すように、非駆動状態において液晶分子50aの長軸方向が素子基板10(対向基板20)の法線方向に対して角度αだけ傾いて立ち上がるように配向してもよい。この傾きをプレチルトと呼び、角度αをプレチルト角と呼ぶ。プレチルトは、駆動状態において、液晶分子50aが倒れる方向を制御するためのものである。液晶分子50aが倒れる方向は、液晶パネル6の視野角特性に関与する。例えば、液晶パネル6において、画素領域を複数の小領域に分割し、小領域によって液晶分子50aが倒れる方向を異ならせることにより、視野角特性をより広くすることができる。
【0127】
液晶パネル6では、配向膜52,54の配向方向52a,54aにより、プレチルトの方向とプレチルト角αとが制御される。液晶分子50aのプレチルトの方向は、配向方向52a,54aに平行な方向である。液晶分子50aは、配向膜52側が配向方向52aに沿った矢印の向きに、配向膜54側が配向方向54aに沿った矢印の向きに、それぞれ配向規制されてプレチルトした状態となる。
【0128】
なお、第2の実施形態に係る液晶パネル6においても、素子基板10および対向基板20に、ワイヤーグリッド偏光子30,32がそれぞれ設けられている。ワイヤーグリッド偏光子30,32は、配向膜52,54に配向処理を行う際、および素子基板10と対向基板20とを貼り合わせる際の位置合わせの基準として用いられる。
【0129】
<液晶パネルの製造方法>
次に、第2の実施形態に係る液晶パネルの製造方法について図を参照して説明する。第2の実施形態に係る液晶パネルの製造方法は、第1の実施形態に係る液晶パネルの製造方法と同様の工程を含んでいるが、光配向法により配向膜に配向処理を行う点が第1の実施形態に係る液晶パネルの製造方法と異なっている。第1の実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0130】
素子基板10を製造する工程における工程P12では、素子基板10の表面に、上述の光配向材料を、例えばスピンコート法等により塗布して配向膜52を形成する。続いて、工程P13では、配向膜52の表面に図10(b)に示す配向方向52aに、光配向法により配向処理を行う。また、対向基板20を製造する工程においても、工程P22で対向基板20の表面に光配向材料を塗布して配向膜54を形成し、工程P23で配向膜54の表面に図10(b)に示す配向方向54aに、光配向法により配向処理を行う。以下、第2の実施形態に係る配向処理方法を説明する。図11は、第2の実施形態に係る配向処理方法を説明する図である。
【0131】
<光配向装置>
まず、本実施形態に係る液晶パネルの配向処理に用いる光照射装置300の概略構成を、図11を参照して説明する。本実施形態に係る液晶パネルの配向処理に用いる光照射装置300は、光源310と、シャッター316と、偏光子318と、ステージ320と、受光部322と、を備えている。
【0132】
ステージ320上には、配向処理を行う素子基板10または対向基板20が載置される。ステージ320の素子基板10または対向基板20が載置される側の面を、載置面と呼ぶ。ステージ320は、例えば、透光性を有する材料で構成されている。ステージ320に不透光性材料を用い、素子基板10に設けられたワイヤーグリッド偏光子30または対向基板20に設けられたワイヤーグリッド偏光子32に平面的に重なる領域に、貫通孔や透光性を有する部材を配置する構成としてもよい。
【0133】
ステージ320は、ステージ320を載置面に平行な面内で回転させる回転機構(図示しない)を備えている。回転機構は、例えば、ステージ320のワイヤーグリッド偏光子30,32に平面的に重なる領域に載置面の法線方向に平行な回転軸を有し、その回転軸を回転中心としてステージ320を回転させる。
【0134】
光源310は、ステージ320の載置面に対向するように配置されている。光源310は、光配向処理を行なうための紫外線を含む光L3を放出する光源である。光源310は、ランプ312と集光鏡314とを備えている。ランプ312は、例えば、高圧水銀ランプ等で構成される。集光鏡314は、ランプ312のステージ320とは反対側の部分を覆うように配置されている。ランプ312から放出された光L3は、集光鏡314で反射されるとともに集光されて、例えば、ステージ320の載置面の法線方向に沿った平行光としてステージ320側に照射される。
【0135】
シャッター316は、光源310からステージ320側に照射される光L3の光路上に位置しており、ステージ320の載置面に平行に配置されている。シャッター316は、遮光性を有する材料からなる。シャッター316は、シャッター保持部(図示しない)によって、ステージ320の載置面に平行な面内で移動可能に保持されている。シャッター316をシャッター保持部により移動させることで、光源310からの光L3を、素子基板10の配向膜52,54に照射することや、配向膜52,54に照射されないように遮光することができる。
【0136】
ここで、配向膜52,54はシール材41に囲まれた領域内に配置されており、ワイヤーグリッド偏光子30,32はシール材41の外側に配置されている(図2(a)および(b)参照)。したがって、シャッター316が、配向膜52,54に平面的に重なるとともにワイヤーグリッド偏光子30,32に平面的に重ならない位置に配置すれば、光源310からの光L3を、ワイヤーグリッド偏光子30,32に照射するとともに配向膜52,54に照射しないようにすることができる。なお、シャッター316のワイヤーグリッド偏光子30,32に平面的に重なる領域に、貫通孔や切り欠き等が設けられていてもよい。
【0137】
偏光子318は、光源310からステージ320側に照射される光L3の光路上に位置している。偏光子318は、保持部(図示しない)によって保持され、ステージ320の載置面に平行に配置されている。偏光子318は、例えば、シャッター316とステージ320との間に配置されている。偏光子318は、光源310とシャッター316との間に配置されていてもよい。
【0138】
偏光子318は、ワイヤーグリッド等の偏光分離機能を有する光学素子または偏光板等からなり、所定の方向に透過軸を有している。光源310からの光L3は、偏光子318を透過することにより、偏光子318の透過軸に平行な直線偏光L3aとしてステージ320側に照射される。直線偏光L3aが素子基板10の配向膜52に照射されると、配向膜52には偏光子318の透過軸に平行な方向に配向処理が行われる。
【0139】
受光部322は、ステージ320の載置面とは反対側に、ワイヤーグリッド偏光子30,32に平面的に重なるように配置されている。つまり、受光部322は、偏光子318を透過した直線偏光L3aのうち、ワイヤーグリッド偏光子30,32を透過する光L4の光路上に位置している。受光部322は、第1の実施形態における受光部218や受光部236と同様に、受光する光L4の強度を測定する機能を有している。
【0140】
<光配向方法>
次に、工程P13および工程P23で光配向法により配向処理を行う方法(光配向方法)について説明する。なお、以下は工程P13について説明するが、工程P23についても工程P13と同様にして配向処理が行われる。
【0141】
まず、図11に示すように、ステージ320の載置面に、配向膜52が形成された面を上にして素子基板10を載置する。このとき、シャッター316は、光源310からの光L3が、ワイヤーグリッド偏光子30に照射されるとともに配向膜52に照射されない位置に配置されている。
【0142】
次に、ステージ320に載置された素子基板10と偏光子318との対向する面内における相対的な位置関係を決定する。ここでは、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aを基準にして、偏光子318の透過軸が所定の方向となるように、偏光子318と素子基板10(ワイヤーグリッド偏光子30)との相対的な位置関係を調整する。
【0143】
より具体的には、光源310からの光L3のうち偏光子318を透過した直線偏光L3aをワイヤーグリッド偏光子30に照射し、ワイヤーグリッド偏光子30を透過する光L4の強度を受光部322で測定する。そして、ステージ320を回転させて、受光部322で受光する光L4の強度が最大または最小となるように、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aと偏光子318の透過軸との相対的な位置関係を変化させる。
【0144】
ここで、受光部322で受光する光L4の強度が最大となるのは、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aと偏光子318の透過軸とが互いに平行になるときである。また、受光部322で受光する光L4の強度が最小となるのは、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aと偏光子318の透過軸とが互いに直交するときである。これにより、偏光子318に対する素子基板10の相対的な位置関係が決定される。つまり、配向膜52に照射する直線偏光L3aの偏光方向が、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aを基準にして、光学設計に基づく所定の方向に決定される。
【0145】
次に、シャッター保持部によりシャッター316を移動させて、偏光子318を透過した直線偏光L3aを配向膜52に照射する。これにより、配向膜52内の分子が所定の一方向に配列される。つまり、ワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30aを基準にして、配向膜52に光学設計に基づく所定の配向方向52a(図10参照)に配向処理が行われる。素子基板10が直線偏光L3aの光束に対して大きい場合は、配向処理を行う際にステージ320を載置面に平行な面内で所定の方向に沿って移動させてもよい。
【0146】
なお、上記の方法では、素子基板10と偏光子318との位置関係を光学的に調整する際の光を照射する光源として、光照射装置300の光源310を用いているが、光源310とは別に第1の実施形態における光源234(図8参照)のような光源を用いてもよい。また、偏光子318に対してステージ320を回転させているが、ステージ320を固定し偏光子318を対向する面内で回転させるようにしてもよい。
【0147】
液晶パネル6におけるワイヤーグリッド偏光子30の透過軸30a、および光照射装置300における偏光子318の透過軸は、液晶パネル6の光学設計に応じて任意に設定することができる。
【0148】
ところで、上述の工程P13では、光源310からの光L3がステージ320の載置面の法線方向に沿ってステージ320側に照射される構成であったが、光源310からの光L3を載置面の法線方向に対して所定の角度で傾けて照射するようにしてもよい。このようにすれば、載置面の法線方向に対する光L3の傾き角度に応じて、図10(c)に示す液晶分子50aのプレチルト角αを効果的に制御することができる。
【0149】
第2の実施形態に係る液晶パネルの製造方法によれば、第1の実施形態に係る液晶パネルの製造方法と同様の効果が得られる。また、素子基板10および対向基板20に位置合わせの基準となるワイヤーグリッド偏光子30,32が設けられているので、光照射装置300に位置合わせ用の基準偏光子を設けなくてもよい。
【0150】
なお、第1の実施形態に係る液晶パネル2の配向膜34,36を、第2の実施形態に係る液晶パネル6と同様に光配向材料で形成し、その配向膜34,36に第2の実施形態に係る液晶パネルの製造方法と同様に光配向処理を行う構成としてもよい。また、第2の実施形態に係る液晶パネル6の配向膜52,54を、第1の実施形態に係る液晶パネル2と同様にポリイミド樹脂等で形成し、その配向膜52,54に、第1の実施形態に係る液晶パネルの製造方法と同様にラビング処理を行う構成としてもよい。いずれの構成においても、それぞれと同様の効果が得られる。
【0151】
(第3の実施形態)
上記実施形態では、液晶装置として液晶ライトバルブについて説明したが、本発明は液晶ディスプレイにも適用することができる。次に、第3の実施形態に係る液晶装置としての液晶ディスプレイについて説明する。
【0152】
<液晶ディスプレイの構成>
図12は、第3の実施形態に係る液晶ディスプレイの構成を示す概略構成図である。詳しくは、図12(a)は平面図であり、図12(b)は図12(a)中のA−A’線に沿った断面図である。
【0153】
第3の実施形態に係る液晶ディスプレイは、第1の実施形態に係る液晶ライトバルブに対して、素子基板10および対向基板20に複数のワイヤーグリッド偏光子を備えている点、および偏光板45と偏光板46とが液晶パネル2に貼り付けられている点が異なっているが、その他の構成は同じである。第1の実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0154】
図12(a)、(b)に示すように、第3の実施形態に係る液晶ディスプレイ7は、液晶パネル8と偏光板45と偏光板46とを備えている。液晶パネル8は、素子基板10と対向基板20と液晶層40とを備えている。
【0155】
本実施形態では、素子基板10は、周縁部に光学素子としてのワイヤーグリッド偏光子37a,37bを備えている。また、対向基板20は、周縁部に光学素子としてのワイヤーグリッド偏光子38a,38bを備えている。ワイヤーグリッド偏光子37aとワイヤーグリッド偏光子38aとは、互いに平面的に重ならないように配置されている。ワイヤーグリッド偏光子37bとワイヤーグリッド偏光子38bとは、互いに平面的に重なる領域を有している。
【0156】
素子基板10において、ワイヤーグリッド偏光子37a,37bのそれぞれの透過軸(図示しない)は、互いに平行となっており、配向膜34に配向処理を行う際の位置合わせの基準として用いられる。同様に、対向基板20において、ワイヤーグリッド偏光子38a,38bのそれぞれの透過軸(図示しない)は、互いに平行となっており、配向膜36に配向処理を行う際の位置合わせの基準として用いられる。
【0157】
図12(b)に示すように、偏光板45は、対向基板20の外側、すなわち液晶層40とは反対側の面に貼り付けられている。偏光板46は、素子基板10の外側、すなわち液晶層40とは反対側の面に貼り付けられている。
【0158】
第3の実施形態に係る液晶ディスプレイ7は、図示しないが、電子機器としての携帯電話機に搭載して用いることができる。また、液晶ディスプレイ7を搭載する電子機器は、電子ブック、パーソナルコンピューター、デジタルスチルカメラ、ビューファインダー型あるいはモニター直視型のビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置の車載モニター等であってもよい。
【0159】
<液晶ディスプレイの製造方法>
次に、第3の実施形態に係る液晶ディスプレイの製造方法について図を参照して説明する。第3の実施形態に係る液晶ディスプレイの製造方法は、第1の実施形態に係る液晶パネルの製造方法に対して、偏光板貼付工程をさらに含む点が異なるが、その他の構成は同じである。図13は、第3の実施形態に係る液晶ディスプレイの製造方法を示すフローチャートである。図14は、第3の実施形態に係る偏光板の位置合わせ方法を説明する図である。第1の実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0160】
図13に示すように、第3の実施形態に係る液晶ディスプレイの製造方法は、液晶注入・封止工程P33の後に、偏光板貼付工程P34を有している。
【0161】
本実施形態では、素子基板10を製造する工程における工程P13では、ワイヤーグリッド偏光子37a,37bの少なくとも一方の透過軸を基準にして光学的に位置合わせし、第1の実施形態と同様にして、配向膜34に光学設計上の所定の方向に配向処理を行う。また、対向基板20を製造する工程における工程P23では、ワイヤーグリッド偏光子38a,38bの少なくとも一方の透過軸を基準にして光学的に位置合わせし、第1の実施形態と同様にして、配向膜36に光学設計上の所定の方向に配向処理を行う。
【0162】
工程P31では、素子基板10に形成されたワイヤーグリッド偏光子37bと、対向基板20に形成されたワイヤーグリッド偏光子38bとが互いに平面的に重なるように、素子基板10と対向基板20とを対向させて配置し、第1の実施形態と同様にして光学的に位置合わせを行う。
【0163】
次に、工程P34では、液晶パネル8の両外側に偏光板45と偏光板46とを位置合わせして貼り付ける。偏光板45または偏光板46のいずれか一方の貼り付けを先に行い、その後で他方の貼り付けを行う。ここでは、偏光板45の貼り付けを先に行うこととする。
【0164】
まず、図14に示すように、液晶パネル8の対向基板20の外側に偏光板45を配置する。液晶パネル8と偏光板45とは、それぞれ保持部(図示しない)により、互いに平行に保持される。また、偏光板45は、液晶パネル8の表面(対向基板20の表面)および偏光板45の表面の法線方向を回転軸として回転可能に保持される。
【0165】
続いて、液晶パネル8の素子基板10の外側に光源234を配置する。また、偏光板45の液晶パネル8とは反対側に受光部236を配置する。そして、光源234からの光を、ワイヤーグリッド偏光子37aと偏光板45とに順次入射させる。このワイヤーグリッド偏光子37aと偏光板45とを透過した光L5を受光部236で受光し、光L5の強度を測定する。
【0166】
このとき、光源234から射出される光が、素子基板10(対向基板20)の法線の方向から入射するように、光源234を相対的に配置することが望ましい。光源234と受光部236との位置関係は、図面上において上下逆であってもよい。
【0167】
次に、液晶パネル8および偏光板45同士の対向する面内における相対的な位置関係を決定する。ここでは、素子基板10のワイヤーグリッド偏光子37aの透過軸を基準にして、偏光板45の透過軸45aが所定の方向となるように、液晶パネル8および偏光板45同士の位置関係を調整する。
【0168】
より具体的には、液晶パネル8を固定した状態で、液晶パネル8および偏光板45同士が対向する面内で偏光板45を回転させて、受光部236で受光する光L5の強度が最大または最小となるように、ワイヤーグリッド偏光子37aの透過軸と偏光板45の透過軸45aとの相対的な位置関係を変化させる。このとき、偏光板45を固定した状態で液晶パネル8を回転させてもよいし、液晶パネル8と偏光板45との双方を回転させてもよい。
【0169】
受光部236で受光する光L5の強度が最大となるのは、ワイヤーグリッド偏光子37aの透過軸と偏光板45の透過軸45aとが互いに平行になるときである。また、受光部236で受光する光L5の強度が最小となるのは、ワイヤーグリッド偏光子37aの透過軸と偏光板45の透過軸45aとが互いに直交するときである。これにより、液晶パネル8と偏光板45との位置関係が決定される。
【0170】
なお、光源234からの光を、素子基板10のワイヤーグリッド偏光子37aではなく、対向基板20のワイヤーグリッド偏光子38aとに入射させるようにしてもよい。ワイヤーグリッド偏光子37aとワイヤーグリッド偏光子38aとは互いに平面的に重なっていないので、いずれか一方のワイヤーグリッド偏光子の透過軸を基準にして、液晶パネル8と偏光板45との位置合わせを行うことができる。また、ワイヤーグリッド偏光子37a,38aは液晶層40に平面的に重ならない領域に配置されているので、位置合わせの際に液晶層40による光学的影響を排除できる。
【0171】
続いて、上記で決定された液晶パネル8と偏光板45との位置関係を維持して、偏光板45を液晶パネル8の対向基板20に貼り付ける。これにより、ワイヤーグリッド偏光子37aの透過軸を基準にして、透過軸45aを光学設計上の所定の方向に光学的に位置合わせし、偏光板45を貼り付けることができる。
【0172】
次に、偏光板45が貼り付けられた液晶パネル8の素子基板10に偏光板46を貼り付ける。液晶パネル8には、先に偏光板45が光学設計上の所定の方向に光学的に位置合わせして貼り付けられているので、偏光板45の透過軸45aを基準にして、偏光板46の透過軸46aが光学設計上の所定の方向となるように光学的に位置合わせすることができる。
【0173】
図示を省略するが、液晶パネル8の素子基板10の外側に偏光板46を配置して、光源234からの光を、液晶パネル8(偏光板45)と偏光板46とに順次入射させる。このとき、ワイヤーグリッド偏光子37a,37bおよびワイヤーグリッド偏光子38a,38bが設けられていない領域に光源234からの光を入射させるようにしてもよい。そして、受光部236で受光する光L5の強度が最大または最小となるように液晶パネル8(偏光板45)と偏光板46との位置関係を決定し、偏光板46を液晶パネル8の素子基板10に貼り付ける。以上により、液晶ディスプレイ7が完成する。
【0174】
第3の実施形態に係る液晶ディスプレイの構成および製造方法によれば、第1の実施形態および第2の実施形態と同様に、液晶パネル8における配向膜34,36の配向処理の方向と、素子基板10および対向基板20同士の位置関係とを、液晶ディスプレイ7の光学設計に基づく所定の方向に精度良く合わせることができる。
【0175】
第3の実施形態に係る液晶ディスプレイ7の構成および製造方法によれば、液晶パネル8と偏光板45,46との位置合わせは、ワイヤーグリッド偏光子37a(または38a)の方向を基準にして光学的に行われる。このワイヤーグリッド偏光子37a(または38a)は、ワイヤーグリッド偏光子37b(または38b)とともに、液晶パネル8における配向膜34,36の配向処理の方向の基準となっており、かつ、素子基板10および対向基板20同士の位置合わせの基準となっている。このため、偏光板の外形あるいはアライメントマーク等を基準にして位置合わせを行う方法に比べて、液晶ディスプレイ7における偏光板45,46の透過軸45a,46aを、液晶ディスプレイ7の光学設計に基づく所定の方向により精度良く合わせることができる。
【0176】
なお、液晶ディスプレイ7におけるワイヤーグリッド偏光子の構成は、上記の形態に限定されない。素子基板10および対向基板20のそれぞれに3つ以上のワイヤーグリッド偏光子が設けられていてもよい。また、素子基板10および対向基板20のいずれか一方の基板に複数のワイヤーグリッド偏光子が設けられ、その複数のワイヤーグリッド偏光子のうちのいずれかに平面的に重なるように一つのワイヤーグリッド偏光子が他方の基板に設けられていてもよい。
【0177】
さらに、ワイヤーグリッド偏光子37a,37bのそれぞれの透過軸は、互いに直交していてもよい。また、ワイヤーグリッド偏光子38a,83bのそれぞれの透過軸は、互いに直交していてもよい。このような構成によれば、工程P13および工程P23の配向処理、工程P32の基板の貼り合わせ、および工程P34の偏光板貼り付けの各工程において、ワイヤーグリッド偏光子37a,37b(またはワイヤーグリッド偏光子38a,38b)を基準にして位置合わせする際に、対向する偏光子や偏光板の透過軸と平行する位置関係と直交する位置関係とを同時に構成することが可能となる。したがって、液晶ディスプレイ7の光学設計条件や測定機器の感度特性等に応じて、互いに対向する透過軸同士が平行する位置関係と直交する位置関係のいずれか一方、あるいは双方を選択して位置合わせを行うことができる。
【0178】
なお、本実施形態の液晶ディスプレイにおける素子基板と対向基板とのそれぞれが複数のワイヤーグリッド偏光子を有する構成、およびそれらのワイヤーグリッド偏光子を基準にして位置合わせを行う製造方法は、第2の実施形態に係る液晶パネル6に偏光板55と偏光板56とを貼り付けて液晶ディスプレイとする場合にも適用することができる。
【0179】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係る液晶装置について図を参照して説明する。第4の実施形態に係る液晶装置は、上記実施形態の液晶装置に対して、液晶パネルにワイヤーグリッド偏光子の代わりに誘電体干渉膜プリズムを光学素子として備えている点が異なっているが、その他の構成は同じである。
【0180】
図15は、第4の実施形態に係る液晶パネルが備える光学素子の構成を説明する図である。詳しくは、図15(a)は光学素子の斜視図であり、図15(b)は図15(a)中のD−D’線に沿った断面図である。上記実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0181】
第4の実施形態に係る液晶パネルは、図15(a)、(b)に示すように、光学素子として、プリズムアレイ71と、プリズムアレイ71上に形成された誘電体干渉膜74とを有する光学素子を備えている。ここでは、この光学素子を誘電体干渉膜プリズム70と称する。
【0182】
プリズムアレイ71は、素子基板10(または対向基板20)上に形成されており、2つの斜面を有する三角柱状(プリズム形状)の複数の凸条72を有している。換言すれば、凸条72が連続して周期的に形成されることにより、断面が三角波状のプリズムアレイ71が構成されている。プリズムアレイ71は、例えば、アクリル樹脂等の熱硬化性または光硬化性の透光性を有する樹脂からなる。プリズムアレイ71の凸条72の高さは、例えば0.5μm〜3μm程度であり、互いに隣接する凸条72間のピッチは、例えば1μm〜6μm程度である。
【0183】
誘電体干渉膜74は、プリズムアレイ71上に形成されることで、複数の凸条72による三角柱状(プリズム形状)の斜面が反映された表面を有している。誘電体干渉膜74は、屈折率の異なる2種類の材料からなる誘電体膜が交互に複数積層された、所謂3次元フォトニック結晶層である。誘電体干渉膜74は、例えば、酸化チタン(TiO2)膜と酸化シリコン(SiO2)膜とを交互に7層積層することで形成されている。誘電体膜の材料は、酸化タンタル(Ta2O5)やシリコン(Si)であってもよい。誘電体干渉膜74を構成する1層の誘電体膜の膜厚は、例えば10nm〜100nm程度であり、誘電体干渉膜74の総膜厚は、例えば300nm〜1μm程度である。
【0184】
誘電体干渉膜プリズム70は、入射光を偏光状態の異なる反射光と透過光とに分離する偏光分離機能を備えている。図15(a)に示すように、誘電体干渉膜プリズム70は、入射光のうち、凸条72の延在方向に平行な偏光成分を反射し、凸条72の延在方向に対して直交する偏光成分を透過する。すなわち、誘電体干渉膜プリズム70は、光学軸としての透過軸70aおよび反射軸70bを有している。透過軸70aは凸条72の延在方向と直交しており、反射軸70bは凸条72の延在方向に平行である。
【0185】
誘電体干渉膜74を構成する誘電体膜の積層ピッチおよび凸条72のピッチは、誘電体干渉膜プリズム70に要求される特性に応じて適宜調整される。誘電体干渉膜74では、誘電体干渉膜74を構成する誘電体膜の積層数によってその透過率(反射率)を制御することができる。すなわち、誘電体膜の積層数を減ずることで、反射軸70b(凸条72の延在方向)に平行な直線偏光の透過率を増大させ、反射率を低下させることができる。所定数以上の誘電体膜を積層した場合には、反射軸70bに平行な直線偏光のほとんどが反射される。
【0186】
本実施形態に係る誘電体干渉膜プリズム70では、誘電体干渉膜74の調整により、入射光のうち、例えば反射軸70bに平行な直線偏光の70%程度を反射し、残り30%程度を透過するように設定されている。なお、誘電体干渉膜74の表面は、樹脂層により覆われて平坦化されていてもよい。
【0187】
上記実施形態における液晶装置が、ワイヤーグリッド偏光子30,32,37a,37b,38a,38bの代わりに誘電体干渉膜プリズム70を光学素子として備える場合においても、上記実施形態の液晶装置の製造方法を適用することができるとともに、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0188】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。変形例としては、例えば以下のようなものが考えられる。
【0189】
(変形例1)
上記実施形態の液晶装置の製造方法では、ラビング法または光配向法により、配向膜の配向処理を行う構成であったが、この形態に限定されない。配向処理を行う方法として、例えば、配向膜にイオンビームを照射する方法や、斜方蒸着により配向膜を形成する方法等の他の方法を適用した構成であってもよい。
【0190】
イオンビームを照射する方法では、基板上に無機材料等で形成した配向膜に対して、アルゴンイオン等のイオンビームを所定の方向および所定の角度で照射することにより、配向処理を行う方法である。この方法では、イオンビームを照射する方向に沿って配向が規制されるとともに、イオンビームを照射する角度によってプレチルト角が付与される。
【0191】
斜方蒸着により配向膜を形成する方法では、基板に対して所定の方向および所定の角度に位置する蒸着源により無機材料等からなる配向膜を蒸着する方法である。この方法では、基板に対する蒸着源の方向に沿って配向が規制されるとともに、基板に対する蒸着源の角度によってプレチルト角が付与される。
【0192】
このようなイオンビームを照射する方法や斜方蒸着により配向膜を形成する方法においても、イオンビームを照射する方向や蒸着源の方向と基板との相対的な位置合わせを、上記実施形態のワイヤーグリッド偏光子の透過軸を基準にして行うことができる。したがって、このような方法で配向処理を行う場合でも、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0193】
(変形例2)
上記実施形態の液晶装置は、光学素子としてワイヤーグリッド偏光子または誘電体干渉膜プリズムを備えた構成であったが、この形態に限定されない。光学素子は、偏光分離機能を有するものであれば他の光学素子であってもよい。
【0194】
(変形例3)
上記の実施形態では、液晶装置がTN方式やVA方式の液晶パネルを備えていたが、この形態に限定されない。液晶装置は、基板に平行な方向の横電界により液晶分子の配向制御を行うFFS(Fringe-Field Switching)方式やIPS(In-Plane Switching)方式の液晶パネルを備えていてもよい。また、液晶装置は、素子基板と対向基板との間に生じる縦電界により液晶分子の配向制御を行うECB(Electrically Controlled Birefringence)方式等の液晶パネルを備えていてもよい。これらの液晶装置であっても、上記実施形態の液晶装置の構成および液晶装置の製造方法を適用することができる。
【符号の説明】
【0195】
1,5…液晶装置としての液晶ライトバルブ、7…液晶装置としての液晶ディスプレイ、10…一対の基板としての素子基板、20…一対の基板としての対向基板、30,32,37a,37b,38a,38b…光学素子としてのワイヤーグリッド偏光子、30a,32a…光学軸としての透過軸、34,36,52,54…配向膜、40…液晶層、45,46,55,56…偏光板、45a,46a,55a,56a…光学軸としての透過軸、70…光学素子としての誘電体干渉膜プリズム、70a…光学素子としての透過軸、100…電子機器の一例としての投射型表示装置、214…基準偏光子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に偏光分離機能を有する光学素子を形成する工程と、
前記基板に配向膜を形成する工程と、
前記基板の前記配向膜に配向処理を行う工程と、を含み、
前記配向処理を行う工程では、前記光学素子の光学軸を基準にして前記配向処理を行うことを特徴とする液晶装置用基板の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶装置用基板の製造方法であって、
前記配向処理を行う工程は、前記配向処理を行う方向と所定の位置関係にある光学軸を有する基準偏光子と、前記光学素子と、が平面的に重なるように前記基板を前記基準偏光子に対向配置して、対向する面内における前記基準偏光子と前記基板との相対的な位置関係を決定する工程を含み、
前記位置関係を決定する工程では、前記基準偏光子の前記光学軸に対して前記光学素子の前記光学軸が所定の方向となるように、前記基準偏光子と前記基板との相対的な位置関係を調整することを特徴とする液晶装置用基板の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の液晶装置用基板の製造方法であって、
前記所定の方向は、前記基準偏光子の前記光学軸に対して前記光学素子の前記光学軸が平行または直交する方向であることを特徴とする液晶装置用基板の製造方法。
【請求項4】
互いに対向して配置された一対の基板と、前記一対の基板の間に挟持された液晶層と、を備えた液晶装置の製造方法であって、
請求項1から3のいずれか一項に記載の液晶装置用基板の製造方法を用いて製造された前記一対の基板を用意する工程と、
前記一対の基板に形成された前記光学素子が互いに平面的に重なるように、前記一対の基板を対向させて配置する工程と、
前記一対の基板同士の対向する面内における相対的な位置関係を決定する工程と、
前記一対の基板同士を貼り合わせる工程と、を含み、
前記位置関係を決定する工程では、一方の前記光学素子の光学軸に対して他方の前記光学素子の光学軸が所定の方向となるように、前記一対の基板同士の位置関係を調整することを特徴とする液晶装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の液晶装置の製造方法であって、
前記所定の方向は、前記一方の光学素子の前記光学軸に対して前記他方の光学素子の前記光学軸が平行または直交する方向であることを特徴とする液晶装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の液晶装置の製造方法であって、
貼り合わせた前記一対の基板の少なくとも一方の外側に偏光板を配置する工程をさらに含み、
前記偏光板を配置する工程では、前記光学素子の光学軸に対して前記偏光板の光学軸が所定の方向となるように、前記一対の前記基板と前記偏光板との対向する面内における相対的な位置関係を決定することを特徴とする液晶装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の液晶装置の製造方法であって、
前記所定の方向は、前記光学素子の前記光学軸に対して前記偏光板の前記光学軸が平行または直交する方向であることを特徴とする液晶装置の製造方法。
【請求項8】
互いに対向して配置された一対の基板と、
前記一対の基板の間に挟持された液晶層と、
前記一対の基板のそれぞれの前記液晶層に面する側に設けられた配向膜と、を備え、
前記一対の基板の少なくとも一方に、偏光分離機能を有する光学素子が設けられていることを特徴とする液晶装置。
【請求項9】
請求項8に記載の液晶装置であって、
前記光学素子は、前記一対の基板のそれぞれに設けられていることを特徴とする液晶装置。
【請求項10】
請求項9に記載の液晶装置であって、
前記一対の基板に設けられた前記光学素子は、互いに平面的に重なる領域を有していることを特徴とする液晶装置。
【請求項11】
請求項10に記載の液晶装置であって、
前記一対の基板に設けられた前記光学素子は、互いに平面的に重なる領域と互いに平面的に重ならない領域とを有していることを特徴とする液晶装置。
【請求項12】
請求項8から11のいずれか一項に記載の液晶装置であって、
前記一対の基板の少なくとも一方の外側に配置された偏光板をさらに備えたことを特徴とする液晶装置。
【請求項13】
請求項8から12のいずれか一項に記載の液晶装置であって、
前記光学素子は、前記液晶層に平面的に重ならない領域に配置されていることを特徴とする液晶装置。
【請求項14】
請求項8から13のいずれか一項に記載の液晶装置を備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
基板に偏光分離機能を有する光学素子を形成する工程と、
前記基板に配向膜を形成する工程と、
前記基板の前記配向膜に配向処理を行う工程と、を含み、
前記配向処理を行う工程では、前記光学素子の光学軸を基準にして前記配向処理を行うことを特徴とする液晶装置用基板の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶装置用基板の製造方法であって、
前記配向処理を行う工程は、前記配向処理を行う方向と所定の位置関係にある光学軸を有する基準偏光子と、前記光学素子と、が平面的に重なるように前記基板を前記基準偏光子に対向配置して、対向する面内における前記基準偏光子と前記基板との相対的な位置関係を決定する工程を含み、
前記位置関係を決定する工程では、前記基準偏光子の前記光学軸に対して前記光学素子の前記光学軸が所定の方向となるように、前記基準偏光子と前記基板との相対的な位置関係を調整することを特徴とする液晶装置用基板の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の液晶装置用基板の製造方法であって、
前記所定の方向は、前記基準偏光子の前記光学軸に対して前記光学素子の前記光学軸が平行または直交する方向であることを特徴とする液晶装置用基板の製造方法。
【請求項4】
互いに対向して配置された一対の基板と、前記一対の基板の間に挟持された液晶層と、を備えた液晶装置の製造方法であって、
請求項1から3のいずれか一項に記載の液晶装置用基板の製造方法を用いて製造された前記一対の基板を用意する工程と、
前記一対の基板に形成された前記光学素子が互いに平面的に重なるように、前記一対の基板を対向させて配置する工程と、
前記一対の基板同士の対向する面内における相対的な位置関係を決定する工程と、
前記一対の基板同士を貼り合わせる工程と、を含み、
前記位置関係を決定する工程では、一方の前記光学素子の光学軸に対して他方の前記光学素子の光学軸が所定の方向となるように、前記一対の基板同士の位置関係を調整することを特徴とする液晶装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の液晶装置の製造方法であって、
前記所定の方向は、前記一方の光学素子の前記光学軸に対して前記他方の光学素子の前記光学軸が平行または直交する方向であることを特徴とする液晶装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の液晶装置の製造方法であって、
貼り合わせた前記一対の基板の少なくとも一方の外側に偏光板を配置する工程をさらに含み、
前記偏光板を配置する工程では、前記光学素子の光学軸に対して前記偏光板の光学軸が所定の方向となるように、前記一対の前記基板と前記偏光板との対向する面内における相対的な位置関係を決定することを特徴とする液晶装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の液晶装置の製造方法であって、
前記所定の方向は、前記光学素子の前記光学軸に対して前記偏光板の前記光学軸が平行または直交する方向であることを特徴とする液晶装置の製造方法。
【請求項8】
互いに対向して配置された一対の基板と、
前記一対の基板の間に挟持された液晶層と、
前記一対の基板のそれぞれの前記液晶層に面する側に設けられた配向膜と、を備え、
前記一対の基板の少なくとも一方に、偏光分離機能を有する光学素子が設けられていることを特徴とする液晶装置。
【請求項9】
請求項8に記載の液晶装置であって、
前記光学素子は、前記一対の基板のそれぞれに設けられていることを特徴とする液晶装置。
【請求項10】
請求項9に記載の液晶装置であって、
前記一対の基板に設けられた前記光学素子は、互いに平面的に重なる領域を有していることを特徴とする液晶装置。
【請求項11】
請求項10に記載の液晶装置であって、
前記一対の基板に設けられた前記光学素子は、互いに平面的に重なる領域と互いに平面的に重ならない領域とを有していることを特徴とする液晶装置。
【請求項12】
請求項8から11のいずれか一項に記載の液晶装置であって、
前記一対の基板の少なくとも一方の外側に配置された偏光板をさらに備えたことを特徴とする液晶装置。
【請求項13】
請求項8から12のいずれか一項に記載の液晶装置であって、
前記光学素子は、前記液晶層に平面的に重ならない領域に配置されていることを特徴とする液晶装置。
【請求項14】
請求項8から13のいずれか一項に記載の液晶装置を備えていることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−81231(P2011−81231A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234082(P2009−234082)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]