液晶駆動方法、液晶駆動装置、液晶装置、及び電子機器
【課題】同時選択駆動法でnライン反転駆動により液晶パネルを駆動する場合に、バイアス電位のずれがあっても画質の劣化を抑えることができる液晶駆動方法等を提供する。
【解決手段】S(Sは2以上の自然数)ライン同時選択駆動法により液晶パネルを駆動する液晶駆動方法は、連続するm(mは2以上の自然数)フィールド期間の第1のmフィールド期間群を、n(nは自然数)ライン毎に極性反転させるnライン反転駆動を行う第1の駆動ステップと、前記第1のmフィールド期間群に続く連続するmフィールド期間の第2のmフィールド期間群を、直前のmフィールド期間とは反対の極性となるように前記nライン反転駆動を行う第2の駆動ステップと、前記第2のmフィールド期間群に続く連続するmフィールド期間の第3のmフィールド期間群を、前記第2のmフィールド期間群から継続して前記nライン反転駆動を行う第3の駆動ステップとを含む。
【解決手段】S(Sは2以上の自然数)ライン同時選択駆動法により液晶パネルを駆動する液晶駆動方法は、連続するm(mは2以上の自然数)フィールド期間の第1のmフィールド期間群を、n(nは自然数)ライン毎に極性反転させるnライン反転駆動を行う第1の駆動ステップと、前記第1のmフィールド期間群に続く連続するmフィールド期間の第2のmフィールド期間群を、直前のmフィールド期間とは反対の極性となるように前記nライン反転駆動を行う第2の駆動ステップと、前記第2のmフィールド期間群に続く連続するmフィールド期間の第3のmフィールド期間群を、前記第2のmフィールド期間群から継続して前記nライン反転駆動を行う第3の駆動ステップとを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶駆動方法、液晶駆動装置、液晶装置、及び電子機器等に関し、特に複数ラインを同時選択する同時選択駆動法により液晶パネルを駆動する液晶駆動方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の液晶パネルは、複数のコモン電極と、複数のコモン電極に交差するように設けられた複数のセグメント電極とを備えており、各コモン電極と各セグメント電極との交差位置に対応して画素が形成される。液晶パネルを駆動する液晶駆動装置は、液晶パネルの複数のコモン電極及び複数のセグメント電極を所定の液晶駆動方法に従って駆動することで、液晶パネルに画像を表示する。液晶パネルを駆動する場合、画素に同一極性の電圧を印加し続けると焼き付けが発生するため、一般的に、液晶駆動装置は、画素に印加される電圧の極性を周期的に反転して交流化する極性反転駆動を行う。
【0003】
この極性反転駆動として1フレーム毎に極性反転するフレーム反転駆動が知られている。ところが、液晶パネルのセグメント電極に応じて出力周波数が異なってクロストーク等の原因となることがあり、より短い時間間隔で極性反転することを目的として、nライン毎に極性反転を行うnライン反転駆動が行われる場合がある。
【0004】
このような極性反転駆動に関する技術については、例えば特許文献1に開示されている。この特許文献1には、4ライン同時選択駆動法において、240ラインを5水平走査期間毎に極性反転駆動する場合には、仮想ラインを加えて244ラインとすることで極性反転駆動の効果が得られることが開示されている(段落0062〜0064参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−160919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
いわゆる線順次駆動では、デューティーdtと極性反転するライン数との関係は、表示ライン数をL、デューティーdt=1/Lとすると、Lが奇数であり、Lとの公約数がないように極性反転ライン数は素数であることが望ましい。同時選択駆動法についても、例えば特許文献1に、サブグループ数が奇数であることが望ましいことが開示されている。
【0007】
しかしながら、4ライン同時選択駆動法では、1フレーム期間が4フィールド期間に分割され、フィールド期間毎に走査されるため、1フレーム期間で4回の走査が行われる。従って、特許文献1に開示されているように4ライン同時選択駆動法でnライン反転駆動を行う場合、1フレーム期間におけるサブグループ数が偶数になってしまう。そのため、バイアス電位のずれがあると実効電圧の差が生じ、濃淡の縞模様が見えてしまい、画質が劣化する場合があるという問題がある。
【0008】
本発明は、以上のような技術的課題に鑑みてなされたものである。本発明の幾つかの態様によれば、複数ラインを同時選択する同時選択駆動法でnライン反転駆動により液晶パネルを駆動する場合にバイアス電位のずれがあっても画質の劣化を抑える液晶駆動方法、液晶駆動装置、液晶装置、及び電子機器等を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の第1の態様は、S(Sは2以上の自然数)ライン同時選択駆動法により液晶パネルを駆動する液晶駆動方法が、連続するm(mは2以上の自然数)フィールド期間の第1のmフィールド期間群を、n(nは自然数)ライン毎に極性反転させるnライン反転駆動を行う第1の駆動ステップと、前記第1のmフィールド期間群に続く連続するmフィールド期間の第2のmフィールド期間群を、直前のmフィールド期間とは反対の極性となるように前記nライン反転駆動を行う第2の駆動ステップと、前記第2のmフィールド期間群に続く連続するmフィールド期間の第3のmフィールド期間群を、前記第2のmフィールド期間群から継続して前記nライン反転駆動を行う第3の駆動ステップとを含む。
【0010】
(2)本発明の第2の態様に係る液晶駆動方法は、第1の態様において、前記第3の駆動ステップの後、前記第3のmフィールド期間群を前記第1のmフィールド期間群として、前記第2の駆動ステップに戻る。
【0011】
上記のいずれかの態様によれば、同時選択駆動法でnライン反転駆動を行う場合に、極性反転周期の間で、液晶パネルのコモン電極に供給される選択パルスの種類や数を変更することができるようになる。これにより、バイアス電位にばらつきがあっても、コモン電極に応じて実効電圧の差が生じないようすることができるようになる。この結果、液晶パネルに濃淡の縞模様が見えることがなくなり、表示品質を向上させることができるようになる。
【0012】
(3)本発明の第3の態様に係る液晶駆動方法では、第1の態様又は第2の態様において、前記第1のmフィールド期間群、前記第2のmフィールド期間群、及び前記第3のmフィールド期間群の各々を構成するフィールド期間数であるmが可変である。
【0013】
本態様によれば、液晶パネルの表示ライン数等に起因する縞模様の発生条件に応じて、極性反転させるフィールド期間数を変更できるようにしたので、液晶パネルの表示ライン数等にかかわらず表示品質を向上させることができるようになる。特に、縞模様の変動によりちらつきとして認識される場合であっても、極性反転周期を短くすることで、ちらつきの認識を抑えることができるようになる。
【0014】
(4)本発明の第4の態様に係る液晶駆動方法では、第1の態様乃至第3の態様のいずれかにおいて、nライン反転駆動において極性反転させるライン数であるnが可変である。
【0015】
本態様によれば、液晶パネルの表示ライン数等に起因する縞模様の発生条件に応じて、極性反転させるライン数を変更できるようにしたので、液晶パネルの表示ライン数等にかかわらず表示品質を向上させることができるようになる。
【0016】
(5)本発明の第5の態様は、液晶パネルを駆動する液晶駆動装置が、S(Sは2以上の自然数)ライン同時選択駆動法により前記液晶パネルを駆動する駆動部と、前記駆動部により前記液晶パネルに供給される駆動信号の極性反転制御を行う極性反転制御部とを含み、前記駆動部は、連続するm(mは2以上の自然数)フィールド期間の第1のmフィールド期間群について、n(nは自然数)ライン毎に極性反転させるnライン反転駆動を行い、前記第1のmフィールド期間群に続く連続するmフィールド期間の第2のmフィールド期間群について、直前のmフィールド期間とは反対の極性となるように前記nライン反転駆動を行い、前記第2のmフィールド期間群に続く連続するmフィールド期間の第3のmフィールド期間群について、前記第2のmフィールド期間群から継続して前記nライン反転駆動を行う。
【0017】
本態様によれば、同時選択駆動法でnライン反転駆動を行う場合に、極性反転周期の間で、液晶パネルのコモン電極に供給される選択パルスの種類や数を変更することができるようになる。これにより、バイアス電位にばらつきがあっても、コモン電極に応じて実効電圧の差が生じないようすることができるようになる。この結果、液晶パネルに濃淡の縞模様が見えることがなくなり、表示品質を向上させる液晶駆動装置を提供することができるようになる。
【0018】
(6)本発明の第6の態様に係る液晶駆動装置では、第5の態様において、前記極性反転制御部は、極性反転させるフィールド期間数であるmに対応した設定情報が設定されるmフィールド反転数レジスターを含み、前記mフィールド反転数レジスターに設定された設定情報に基づいて、前記駆動信号の極性反転制御を行う。
【0019】
本態様によれば、液晶パネルの表示ライン数等に起因する縞模様の発生条件に応じて、極性反転させるフィールド期間数を変更できるようにしたので、液晶パネルの表示ライン数等にかかわらず表示品質を向上させることができるようになる。特に、縞模様の変動によりちらつきとして認識される場合であっても、極性反転周期を短くすることで、ちらつきの認識を抑えることができるようになる。
【0020】
(7)本発明の第7の態様に係る液晶駆動装置では、第5の態様又は第6の態様において、前記極性反転制御部は、極性反転させるライン数であるnに対応した設定情報が設定されるnライン反転数レジスターを含み、前記nライン反転数レジスターに設定された設定情報に基づいて、前記駆動信号の極性反転制御を行う。
【0021】
本態様によれば、液晶パネルの表示ライン数等に起因する縞模様の発生条件に応じて、極性反転させるライン数を変更できるようにしたので、液晶パネルの表示ライン数等にかかわらず表示品質を向上させることができるようになる。
【0022】
(8)本発明の第8の態様に係る液晶駆動装置では、第7の態様において、前記極性反転制御部は、nライン反転駆動により極性を反転させるライン数をカウントするnライン反転数カウンターと、直前のmフィールド期間群のnライン反転駆動を開始するときの極性をラッチする極性ラッチと、直前のmフィールド期間群のnライン反転駆動を開始するときの前記nライン反転数カウンターのカウント値をラッチするnライン反転数ラッチとを含み、前記駆動部は、前記極性ラッチにラッチされた極性及び前記nライン反転数ラッチにラッチされたカウント値に基づいて、後続のmフィールド期間群のnライン反転駆動を行う。
【0023】
本態様によれば、上記の効果を得る液晶駆動装置を簡素な構成で実現することができるようになる。
【0024】
(9)本発明の第9の態様は、液晶装置が、第5の態様乃至第8の態様のいずれか記載の液晶駆動装置と、前記液晶駆動装置によって駆動される液晶パネルとを含む。
【0025】
本態様によれば、複数ラインを同時選択する同時選択駆動法でnライン反転駆動により液晶パネルを駆動する場合にバイアス電位のずれがあっても画質の劣化を抑える液晶装置を提供することができるようになる。
【0026】
(10)本発明の第10の態様は、電子機器が、第5の態様乃至第8の態様のいずれか記載の液晶駆動装置を含む。
【0027】
本態様によれば、複数ラインを同時選択する同時選択駆動法でnライン反転駆動により液晶パネルを駆動する場合にバイアス電位のずれがあっても画質の劣化を抑える液晶駆動装置が適用された電子機器を提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態に係る液晶装置の構成例のブロック図。
【図2】図2(A)〜図2(D)はMLS駆動法の原理の説明図。
【図3】4ライン同時選択のMLS駆動法により液晶パネルを駆動する場合の7レベルの電圧の関係を示す図。
【図4】4ライン同時選択のMLS駆動法における液晶パネルのコモン電極の選択電圧の説明図。
【図5】nライン反転駆動がディセーブルに設定されたときの同時選択されるコモン電極COM0〜COM3の選択電圧を示す図。
【図6】nライン反転駆動がイネーブルに設定されたときの同時選択されるコモン電極COM0〜COM3の選択電圧を示す図。
【図7】本実施形態における液晶駆動装置による液晶駆動方法のフロー図。
【図8】本実施形態における液晶駆動方法の説明図。
【図9】本実施形態における液晶駆動方法の説明図。
【図10】本実施形態における液晶駆動方法の第1の説明図。
【図11】本実施形態における液晶駆動方法の第1の説明図。
【図12】本実施形態における液晶駆動方法の第2の説明図。
【図13】本実施形態における液晶駆動装置の構成例のブロック図。
【図14】本実施形態におけるコモンアドレス及びラインアドレスの説明図。
【図15】図13の極性反転制御回路の構成例のブロック図。
【図16】mフィールドカウンターの動作例のフロー図。
【図17】反転フィールドレジスターの動作例のフロー図。
【図18】反転フィールドシフトレジスターの動作例のフロー図。
【図19】nライン反転数カウンターの動作例のフロー図。
【図20】nライン反転数ラッチの動作例のフロー図。
【図21】極性レジスターの動作例のフロー図。
【図22】極性ラッチの動作例のフロー図。
【図23】極性反転制御回路の動作例のタイミング図。
【図24】本実施形態における液晶駆動装置の駆動タイミングの一例を示す図。
【図25】図25(A)、図25(B)は本実施形態が適用された電子機器の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成のすべてが本発明の課題を解決するために必須の構成要件であるとは限らない。
【0030】
〔液晶表示装置〕
図1に、本発明の一実施形態に係る液晶装置の構成例のブロック図を示す。図1は、液晶装置が液晶駆動装置を備える構成例を表すが、液晶駆動装置が液晶装置の外部に備えられていてもよい。
【0031】
電気光学装置としての液晶装置10は、液晶パネル(広義には、表示パネル、電気光学パネル)20と、ホストプロセッサー30と、電源回路40とを備えている。
【0032】
液晶パネル20は、パッシブ型の液晶表示パネルであり、一対の透明なガラス基板の間に、透明電極で形成され互いに交差するように配置された複数のコモン電極、複数のセグメント電極、配向膜及び液晶等を封入して形成される。液晶パネル20は、画素形成領域22を有し、画素形成領域22には、第1の方向に配設されたコモン電極と、第1の方向と交差する第2の方向に配設されたセグメント電極との交差位置に対応して画素が形成される。図1では、複数のコモン電極COM0〜COMQ(Qは自然数)のコモン電極COMj(0≦j≦Q、jは整数)と複数のセグメント電極SEG0〜SEGR(Rは自然数)のセグメント電極SEGk(0≦k≦R、kは整数)とを図示している。コモン電極COMj及びセグメント電極SEGkの交差位置に対応して画素Pjkが形成される。この液晶パネル20を構成するガラス基板には、液晶駆動装置100がCOG(Chip On Glass)実装される。
【0033】
液晶駆動装置100は、コモン電極に所与の選択電圧を供給するための複数のコモン電極出力端子と、セグメント電極に画像データに対応した液晶駆動電圧を供給するための複数のセグメント電極出力端子とを有する。複数のコモン電極出力端子の各々は、対応するコモン電極に電気的に接続され、複数のセグメント電極出力端子の各々は、対応するセグメント電極に電気的に接続される。液晶駆動装置100は、液晶パネル20の画素形成領域22に形成されたコモン電極COM0〜COMQ及びセグメント電極SEG0〜SEGRをMLS(Multi Line Selection)駆動法(同時選択駆動法)により駆動する。即ち、液晶駆動装置100は、複数のコモン電極を同時選択し、1画面を表示するのに必要な期間としての1フレーム期間を分割した複数のフィールド期間で、複数回に亘って駆動する。液晶駆動装置100は、フィールド期間毎に、同時選択した複数のコモン電極を選択パターン(走査パターン)に基づいて駆動すると共に、該選択パターン及び画像データに基づく所与のMLS演算結果に対応した駆動電圧を複数のセグメント電極に印加する。
【0034】
ホストプロセッサー30は、内蔵するメモリー又は図示しないメモリーに記憶されたプログラムを読み込んで、該プログラムに対応した処理を実行することで、液晶駆動装置100の駆動制御を行う。このため、ホストプロセッサー30は、液晶駆動装置100が内蔵する設定レジスターに設定値を設定することで、液晶駆動装置100の動作を制御することができる。また、ホストプロセッサー30は、液晶駆動装置100に、液晶パネル20に表示させる画像に対応した画像データを供給する。図1において、ホストプロセッサー30は、液晶パネル20を構成するガラス基板上に実装されていてもよい。
【0035】
電源回路40は、ホストプロセッサー30及び液晶駆動装置100の各々に、動作電源電圧及び液晶パネル20の駆動電源電圧、或いはこれらの電圧を生成するための基準電圧を供給する。図1において、電源回路40は、液晶パネル20を構成するガラス基板上に実装されていたり、液晶駆動装置100に内蔵されていたりしてもよい。
【0036】
〔MLS駆動法〕
液晶駆動装置100によるMLS駆動法は、単純な駆動法と比較して、コモン電極が選択される期間の間隔を狭めることができ、画素の透過率の低下を抑えると共に、平均の透過率を向上させることができる。また、複数のコモン電極を同時に選択することで、コモン電極に印加する駆動電圧(選択電圧)を低くすることができる。
【0037】
図2(A)〜図2(D)に、MLS駆動法の原理の説明図を示す。図2(A)〜図2(D)の各々は、コモン電極COM0、COM1とセグメント電極SEG0とが交差する位置の画素(ドット)についてオン又はオフする例を表す。なお、図2(A)〜図2(D)では2ラインのコモン電極COM0、COM1が同時選択され、2ライン同時選択のMLS駆動法の例を表す。
【0038】
図2(A)〜図2(D)において、オンとなる画素(オン画素)を「−1」、オフとなる画素(オフ画素)を「+1」と表し、このオン又はオフを示す画像データにより指定される。また、コモン電極COM0、COM1の各々を選択するための選択パターンを「+1」、「−1」の2値で表す。更にセグメント電極SEG0の駆動電圧は、「MV2」、「V2」、「V1」の3値である。
【0039】
MLS駆動法においては、セグメント電極SEG0の駆動電圧は、画像データと同時選択されるコモン電極COM0、COM1の選択パターンとにより決まる。ここで、画像データを画像データベクトルd、選択パターンを行列βとすると、セグメント電極SEG0の駆動電圧を「MV2」、「V2」、「V1」のいずれの電圧とするかは、画像データベクトルdと行列βとの積により決定される。画像データベクトルdは、セグメント電極SEG0が各コモン電極と交差する位置の画素のオン又はオフを示すデータをベクトルで表現したものである。図2(A)の場合にはd・β=−2となり、図2(B)の場合にはd・β=+2となり、図2(C)の場合にはd・β=+2となり、図2(D)の場合にはd・β=0となる。そして画像データベクトルdと行列βとの積が「−2」のときセグメント電極SEG0の駆動電圧として「MV2」が選択され、「+2」のときに「V2」が選択され、「0」のときに「V1」が選択される。
【0040】
例えば、画像データベクトルdと行列βとの積の演算をハードウェアで行う場合には、画像データベクトルdの各要素データと行列βの各要素データとの不一致数を判定するようにすればよい。例えば不一致数が「2」の場合には、セグメント電極SEG0の駆動電圧として「MV2」を選択する。また不一致数が「0」の場合には、該駆動電圧として「V2」を選択する。また不一致数が「1」の場合には、該駆動電圧として「V1」を選択する。
【0041】
2ライン同時選択のMLS駆動法では、上述のようにしてセグメント電極SEG0の駆動電圧を決定し、1フレーム期間内で2回のフィールド期間を設けることによって、画素のオン又はオフを制御する。フィールド期間を複数回設けているため、非フィールド期間における透過率の低下が少なくなり、液晶パネル20における平均の透過率を向上させ、液晶パネルのコントラストを向上させることができる。
【0042】
なお、以下で説明する本実施形態では、4ラインのコモン電極を同時に選択するMLS駆動法を採用するものとする。この場合、1フレーム期間内に4回のフィールド期間を設けることができ、液晶パネル20のコントラストをより一層向上させることができる。この4ライン同時選択のMLS駆動法では、7レベルの電圧が用いられる。
【0043】
図3に、4ライン同時選択のMLS駆動法により液晶パネル20を駆動する場合の7レベルの電圧の関係を示す。
【0044】
電圧V3、MV3は、コモン電極の選択電圧である。電圧VCは、コモン電極の非選択電圧であり、セグメント電極の駆動電圧である。電圧V2、V1、MV1、MV2は、セグメント電極の駆動電圧である。そして、交差するコモン電極及びセグメント電極の電圧差に応じて、画素の透過率が変化する。
【0045】
ここで、電圧V3とセンター電圧VCとの電圧差をv3、電圧V2とセンター電圧VCとの電圧差をv2、電圧V1とセンター電圧VCとの電圧差をv1とする。このとき、センター電圧VCと電圧MV3との電圧差はv3、センター電圧VCと電圧MV2との電圧差はv2、センター電圧VCと電圧MV1との電圧差はv1である。ここで、電圧V2と電圧V1との電圧差(=電圧MV1と電圧MV2との電圧差)が、電圧V1とセンター電圧VCとの電圧差(=センター電圧VCと電圧MV1との電圧差)と等しい。
【0046】
このような7レベルの電圧のうち、電圧MV3の電位が最も低く、本実施形態では、電圧MV3として接地電圧VSSが採用される。
【0047】
液晶駆動装置100は、図3に示す電圧を用いて、MLS駆動法によりコモン電極及びセグメント電極を駆動する。このとき、液晶駆動装置100は、n(nは1以上の整数)本のコモン電極を走査する毎に極性を反転させるnライン極性反転制御を行うことで、液晶の劣化を防止し、画質の向上を図る。
【0048】
図4に、4ライン同時選択のMLS駆動法における液晶パネル20のコモン電極COMp(0≦p≦Q、pは整数)〜COMp+3の選択電圧の説明図を示す。図4は、液晶駆動装置100の内部信号である極性反転信号FRにより規定される極性及びフィールド期間に応じて、コモン電極COMp〜COMp+3に印加される選択電圧を表す。
【0049】
極性反転信号FRがLレベルのとき、液晶駆動装置100は、駆動対象の画素の印加電圧が正極性となるように、対応するコモン電極に選択電圧を供給し、且つ、対応するセグメント電極に駆動電圧を供給する。また、極性反転信号FRがHレベルのとき、液晶駆動装置100は、駆動対象の画素の印加電圧が負極性となるように、対応するコモン電極に選択電圧を供給し、且つ、対応するセグメント電極に駆動電圧を供給する。このとき、MLS駆動法では、同時選択されるコモン電極の各フィールド期間における走査パターンが決まる。そのため、4ライン同時選択のMLS駆動法では、コモン電極COMp〜COMp+3には、フィールド期間毎に、極性に応じて、図4に示すように選択電圧V3、MV3が印加される。
【0050】
以上のようなMLS駆動法においてnライン反転駆動を行う場合、次のような問題がある。以下では、説明の便宜上、主に76ライン又は132ラインの液晶パネル20を駆動する例について説明する。
【0051】
図5に、nライン反転駆動がディセーブルに設定されたときの同時選択されるコモン電極COM0〜COM3の選択電圧を示す。図5は、76ラインの液晶パネルを駆動する際に、1フレーム期間のフィールド期間毎に、極性に応じてコモン電極COM0〜COM3に供給される選択電圧を表す。図5では、コモン電極COM0〜COM3を図示するが、他の同時選択されるコモン電極も同様である。
【0052】
nライン反転駆動がディセーブルに設定されたとき、極性反転周期は2フレームとなる。各コモン電極には、この極性反転周期の間に電圧V3、MV3の選択パルスが供給される。ここで、選択パルスの種類に着目すると、コモン電極COM0〜COM3の各々について、電圧V3の選択パルス数が「4」、電圧MV3の選択パルス数が「4」である。
【0053】
図6に、nライン反転駆動がイネーブルに設定されたときの同時選択されるコモン電極COM0〜COM3の選択電圧を示す。図6は、76ラインの液晶パネルを駆動する際に、1フレーム期間のフィールド期間毎に、極性に応じてコモン電極COM0〜COM3に供給される選択電圧を表す。ここで、nが「5」であり、20(=5×4)ライン反転駆動を行うものとする。図6では、コモン電極COM0〜COM3を図示するが、他の同時選択されるコモン電極も同様である。
【0054】
従って、nライン反転駆動がイネーブルに設定されたとき、極性反転周期は5フレームとなる。ここで、選択パルスの種類に着目すると、コモン電極COM0、COM2の各々について、電圧V3の選択パルス数が「9」、電圧MV3の選択パルス数が「11」である。また、コモン電極COM2、COM3の各々について、電圧V3の選択パルス数が「11」、電圧MV3の選択パルス数が「9」である。即ち、nライン反転駆動がイネーブルに設定されると、コモン電極によって電圧V3の選択パルス数と電圧MV3の選択パルス数とが異なることになる。そのため、バイアス電位のずれがあると、コモン電極に応じて実効電圧の差が生じ、液晶パネル20に濃淡の縞模様が発生するという問題がある。
【0055】
〔液晶駆動装置〕
S(Sは2以上の自然数)ラインを同時選択するMLS駆動法でnライン反転駆動を行う場合、次の式(1)の条件を満たすと、極性反転周期の間に、正極性パルス数と負極正パルス数とが等しくなる。式(1)では、液晶パネルのデューティーをdt、自然数をdとする。即ち、式(1)の条件を満たさない場合、バイアス電位のずれがあると、コモン電極に応じて実効電圧の差が生じ、液晶パネルに濃淡の縞模様が発生する。
(1/dt×d)/(n/S)=奇数 ・・・(1)
【0056】
これに対して、本実施形態では、式(1)の条件を満たさない場合に、バイアス電位のずれがあっても液晶パネル20に濃淡の縞模様を発生させることなく、画質の劣化を抑える。具体的には、(液晶パネル20のデューティーdtの逆数×A)/(n/S)(Aは、式が割り切れるようになる最小の自然数)が偶数のとき、極性反転周期の間に液晶パネル20の各コモン電極に印加した正極性パルス数と負極正パルス数とを等しくする。
【0057】
即ち、本実施形態では、極性反転周期の間で、各コモン電極に供給される各選択パルス数を変更することで、バイアス電位のずれがあったとしても、液晶パネル20に濃淡の縞模様を発生させることなく、画質の劣化を抑える。具体的には、MLS駆動法でnライン反転駆動を行う場合に、設定可能なm(mは2以上の自然数)フィールド期間を走査後、次のmフィールド期間は直前のmフィールドの極性を反転して走査する。そして、続くmフィールド期間はそのままnライン反転駆動を継続し、次のmフィールドは直前のmフィールドの極性を反転して走査し、以降、同様に繰り返す。
【0058】
図7に、本実施形態における液晶駆動装置100による液晶駆動方法のフロー図を示す。
【0059】
まず、液晶駆動装置100には、ホストプロセッサー30により、nライン反転駆動で極性反転させるライン数であるnに対応した設定情報がnライン反転数レジスターに設定される(ステップST10、nライン反転数設定ステップ)。液晶駆動装置100は、このnライン反転数レジスターに設定された設定情報に対応したライン数n毎に、nライン反転駆動を行う。即ち、極性反転させるライン数であるnは可変に構成される。MLS駆動法の同時選択ライン数をS(Sは2以上の自然数)、自然数をdとすると、n=S×dである。
【0060】
次に、液晶駆動装置100には、ホストプロセッサー30により、フィールド反転周期であるmに対応した設定情報がmフィールド反転数レジスターに設定される(ステップST12、mフィールド期間反転数設定ステップ)。液晶駆動装置100は、このmフィールド反転数レジスターに設定された設定情報に対応したフィールド期間m毎に、上記の反転制御を行うことになる。即ち、フィールド反転周期(フィールド期間数)mは可変に構成される。なお、ステップST10、ステップST12の順序を入れ替えてもよい。mは、n、Sにかかわらず独立に設定可能な制御パラメーターである。
【0061】
その後、液晶駆動装置100は、連続するmフィールド期間の第1のmフィールド期間群を、第1の極性(例えば、正極性)から開始して順番にnライン毎に極性反転させるnライン反転駆動を行う(ステップST14)。nは、ステップST10において設定され、mはステップST12において設定される。
【0062】
そして、液晶駆動装置100は、第1のmフィールド期間群に続く連続するmフィールド期間の第2のmフィールド期間群を、第1のmフィールド期間群と反対の極性となるようにライン反転駆動を行う(ステップST16)。この第2のフィールド期間群では、直前のmフィールド期間でnライン反転駆動が開始されたときの第1の極性と反対の第2の極性からnライン反転駆動が開始される。
【0063】
ここで、液晶パネル20の駆動が終了のとき(ステップST18:Y)、液晶駆動装置100は、一連の処理を終了する(エンド)。駆動を継続するとき(ステップST18:N)、液晶駆動装置100は、第2のmフィールド期間群に続く連続するmフィールド期間の第3のmフィールド期間群を、第2のmフィールド期間群から継続してnライン反転駆動を行う(ステップST20)。ステップST14を第1の駆動ステップ、ステップST16を第2の駆動ステップとすると、ステップST20を第3の駆動ステップということができる。
【0064】
その後、液晶パネル20の駆動が終了のとき(ステップST22:Y)、液晶駆動装置100は、一連の処理を終了する(エンド)。駆動を継続するとき(ステップST22:N)、液晶駆動装置100は、ステップST16に戻る。即ち、液晶駆動装置100は、第3のmフィールド期間群を第1のmフィールド期間群とし、ステップST20を開始する極性を第1の極性としてステップST16に戻る。以降、液晶駆動装置100は、ステップST16〜ステップST22を繰り返す。
【0065】
図8、図9に、本実施形態における液晶駆動方法の説明図を示す。図8及び図9は、nが「20」、mが「4」に設定されたときの132ラインの液晶パネル20を駆動する際の各フィールド期間におけるコモン電極に対応した極性を表す。図8及び図9において、「L」、「H」は極性反転信号FRの論理レベルを表し、「L」は正極性、「H」は負極性を表す。また、図8は1フレーム〜6フレームまでの極性を表し、図9は図8に続く7フレームから12フレームまでを表す。なお、nが「20」、mが「4」に設定されたときの極性反転周期は20フレームとなるが、図8及び図9では、12フレームまでを図示している。
【0066】
1フレーム目の4フィールド期間(第1のmフィールド期間群)においては、フィールド期間「1」で正極性から開始して、20ライン(4ライン同時選択のMLS駆動法では5ブロックに相当)毎にnライン反転駆動が行われる。この4フィールド期間では、各々の直前のフィールド期間におけるnライン反転駆動が継続される。そのため、例えばコモン電極COM120〜131の12ライン(3ブロック)が正極性でフィールド期間「1」のnライン反転駆動が終了すると、フィールド期間「2」のコモン電極COM0〜COM7の8ライン(2ブロック)はそのまま正極性で駆動される。その後、フィールド期間「2」のコモン電極COM8〜COM11のブロックから、負極性に反転されて駆動されることになる。
【0067】
最初の4フィールド期間が終了すると、続く4フィールド期間(図8では、2フレーム目のフィールド期間「1」〜「4」)(第2のmフィールド期間群)では、最初の4フィールド期間の極性と反対の極性でnライン反転駆動が行われる。即ち、2フレーム目のフィールド期間「1」では、1フレーム目のフィールド期間「1」とは反対の負極性から順番にnライン反転駆動が行われる。この4フィールド期間においても、各々の直前のフィールド期間におけるnライン反転駆動が継続される。そのため、例えばコモン電極COM120〜131の12ライン(3ブロック)が負極性でフィールド期間「1」のnライン反転駆動が終了すると、フィールド期間「2」のコモン電極COM0〜COM7の8ライン(2ブロック)はそのまま負正極性で駆動される。その後、フィールド期間「2」のコモン電極COM8〜COM11のブロックから、正極性に反転されて駆動されることになる。
【0068】
続く4フィールド期間(図8では、3フレーム目のフィールド期間「1」〜「4」)(第3のmフィールド期間群)では、直前の2フレーム目のフィールド期間「4」のnライン反転駆動が継続される。そのため、コモン電極COM124〜131の8ライン(2ブロック)が負極性で2フレーム目のフィールド期間「4」のnライン反転駆動が終了すると、3フレーム目のフィールド期間「1」のコモン電極COM0〜COM11の12ライン(3ブロック)はそのまま負極性で駆動される。その後、フィールド期間「1」のコモン電極COM12〜COM15のブロックから、正極性に反転されて駆動されることになる。
【0069】
続く4フィールド期間(図8では、4フレーム目のフィールド期間「1」〜「4」)では、直前の4フィールド期間の極性と反対の極性でnライン反転駆動が行われる。即ち、4フレーム目のフィールド期間「1」では、3フレーム目のフィールド期間「1」とは反対の正極性でnライン反転駆動が行われる。そのため、3フレーム目のフィールド期間「1」でコモン電極COM0〜COM11が負極性のnライン反転駆動が行われたとすると、4フレーム目のフィールド期間「1」では、コモン電極COM0〜COM11は正極性でnライン反転駆動が行われる。その後、フィールド期間「1」のコモン電極COM12〜COM15のブロックから、負極性に反転されて駆動される。以降、同様に20フレームまで繰り返す。
【0070】
従って、図8及び図9では、2フレーム目、4フレーム目、6フレーム目、8フレーム目、10フレーム目、12フレーム目、・・・のそれぞれのフィールド期間「1」において、直前の4フィールド期間とは反対の極性でnライン反転駆動が行われる。
【0071】
図10、図11に、本実施形態における液晶駆動方法の第1の説明図を示す。図10及び図11は、nが「20」、mが「4」に設定されたときの76ラインの液晶パネルを駆動する際に、1フレーム期間のフィールド期間毎に、極性に応じてコモン電極COM0〜COM3に供給される選択電圧を表す。即ち、図8及び図9で説明した液晶駆動方法を、図5及び図6と同様のライン数の液晶パネルを例に表す。図10は、1フレーム目から11フレーム目までの選択電圧を表し、図11は、11フレームから20フレーム目までの選択電圧を表す。
【0072】
上述のように、極性反転周期は20フレームとなる。ここで、選択パルスの種類に着目すると、コモン電極COM0〜COM3の各々について、電圧V3の選択パルス数が「40」、電圧MV3の選択パルス数が「40」である。従って、本実施形態によれば、バイアス電位のずれがあったとしても、コモン電極に応じて実効電圧の差が生じることなく、液晶パネル20に濃淡の縞模様が発生しない。
【0073】
ここで、極性反転周期である20フレームの中で、前半の1フレーム目から10フレーム目と、後半の11フレーム目から20フレーム目とに分割する。このとき、コモン電極COM0〜COM3の各々について、電圧V3の選択パルス数が「20」、電圧MV3の選択パルス数が「20」である。
【0074】
ところが、分割ポイントをずらして、図10及び図11に示すように、20フレーム目及び1フレーム目から9フレーム目までの期間T1と、10フレーム目から19フレーム目までの期間T2とする。このとき、期間T1では、コモン電極COM0〜COM3のそれぞれについて、電圧V3の選択パルス数が「22」、電圧MV3の選択パルス数が「18」である。また、期間T2では、コモン電極COM0〜COM3の各々について、電圧V3の選択パルス数が「18」、電圧MV3の選択パルス数が「22」である。そのため、バイアス電位のずれがあると、極性反転周期である20フレームの中で実効電圧が変動することを意味し、液晶パネル20に濃淡の縞模様が変動して見える可能性がある。これは、極性反転周期が長くなると、ちらつきとして認識される可能性がある。
【0075】
そこで、本実施形態では、極性反転させるライン数nや、極性反転させるフィールド期間数mを設定可能とすることで、液晶パネルの表示ライン数等との関係で生じる可能性のあるちらつきを解消することができるようになっている。例えば、極性反転させるライン数nをそのままで、極性反転させるフィールド期間数mを「2」とすると、次のようになる。
【0076】
図12に、本実施形態における液晶駆動方法の第2の説明図を示す。図12は、nが「20」、mが「2」に設定されたときの76ラインの液晶パネルを駆動する際に、1フレーム期間のフィールド期間毎に、極性に応じてコモン電極COM0〜COM3に供給される選択電圧を表す。即ち、図12は、図10及び図11においてmを変更したときの選択電圧を表す。
【0077】
mを「2」に設定することで、極性反転周期は10フレームとなる。ここで、選択パルスの種類に着目すると、コモン電極COM0〜COM3の各々について、電圧V3の選択パルス数が「20」、電圧MV3の選択パルス数が「20」である。従って、本実施形態によれば、バイアス電位のずれがあったとしても、コモン電極に応じて実効電圧の差が生じることなく、液晶パネル20に濃淡の縞模様が発生しない。
【0078】
ここで、極性反転周期である10フレームの中で、前半の1フレーム目から5フレーム目と、後半の6フレーム目から10フレーム目とに分割する。このとき、前半は、コモン電極COM0、COM2の各々について、電圧V3の選択パルス数が「11」、電圧MV3の選択パルス数が「9」である。また、コモン電極COM1、COM3の各々について、電圧V3の選択パルス数が「9」、電圧MV3の選択パルス数が「11」である。これに対して、後半は、コモン電極COM0、COM2の各々について、電圧V3の選択パルス数が「9」、電圧MV3の選択パルス数が「11」である。また、コモン電極COM1、COM3の各々について、電圧V3の選択パルス数が「11」、電圧MV3の選択パルス数が「9」である。
【0079】
また、分割ポイントを例えば2フィールド期間分ずらす。このとき、図12に示すように、10フレーム目のフィールド期間「3」から5フレーム目のフィールド期間「2」までの期間T3と、5フレーム目のフィールド期間「3」から10フレーム目のフィールド期間「2」までの期間T4となる。期間T3では、コモン電極COM0〜COM3の各々について、電圧V3の選択パルス数が「11」、「11」、「13」、「9」であり、電圧MV3の選択パルス数が「9」、「9」、「7」、「11」である。これに対して、期間T4では、コモン電極COM0〜COM3の各々について、電圧V3の選択パルス数が「9」、「9」、「7」、「11」であり、電圧MV3の選択パルス数が「11」、「11」、「13」、「9」である。そのため、バイアス電位のずれがあると、極性反転周期である10フレームの中で実効電圧が変動することを意味し、液晶パネル20に濃淡の縞模様が変動して見える可能性がある。ところが、mが「4」の場合と比較して極性反転周期が短くなるので、ちらつきとして認識されないようにすることができる。また、これは、より応答速度の速い液晶パネルに対応させることができることも意味する。
【0080】
更に、mを変更できるようにすることで、電圧V3の選択パルスと電圧MV3の選択パルスの粗密の分布が変更されるため、液晶パネル20の表示品質を向上させることができるようになる。
【0081】
以上のような液晶駆動方法を実現する液晶駆動装置100は、次のような構成を有することができる。
【0082】
図13に、本実施形態における液晶駆動装置100の構成例のブロック図を示す。図13では、画素形成領域22をあわせて図示している。
図14に、本実施形態におけるコモンアドレス及びラインアドレスの説明図を示す。
【0083】
液晶駆動装置100は、ホストプロセッサー用インターフェイス110と、発振回路112と、制御回路114と、コモンアドレスデコーダー116と、コモン出力演算回路118と、コモンドライバー120と、ページアドレス制御回路122とを備えている。また、液晶駆動装置100は、カラムアドレス制御回路124と、ラインアドレス制御回路126と、画像データRAM128と、画像データラッチ回路130と、MLSデコーダー132と、セグメントドライバー134とを備えている。画像データRAM128は、フレームメモリー(画像データメモリー)として機能する。制御回路114は、極性反転制御回路(極性反転制御部)200を有する。本実施形態における駆動部は、コモンドライバー120及びセグメントドライバー134を含んで構成され、コモンアドレスデコーダー116、コモン出力演算回路118、及びMLSデコーダー132の少なくとも1つを更に含んでもよい。
【0084】
ホストプロセッサー用インターフェイス110は、液晶駆動装置100が有する入力端子又は入出力端子を介してホストプロセッサー30から入力される入力信号の入力インターフェイス処理を行う。またホストプロセッサー用インターフェイス110は、液晶駆動装置100が有する出力端子又は入出力端子を介してホストプロセッサー30に出力する出力信号の出力インターフェイス処理を行う。
【0085】
発振回路112は、液晶駆動装置100が生成する表示タイミング信号の基準となる発振クロックOSCを発振動作により生成する。例えば、制御回路114は、発振クロックOSCに基づいて、複数種類の表示タイミング信号を生成する。この制御回路114は、コモンアドレスデコーダー116等の液晶駆動装置100の各部を制御する制御信号を生成する。極性反転制御回路200は、コモンドライバー120及びセグメントドライバー134等が液晶パネル20(具体的には画素形成領域22)に供給する駆動信号の極性反転制御を行う。駆動信号としては、コモンドライバー120がコモン電極に出力する選択パルス、セグメントドライバー134がセグメント電極に出力する液晶駆動電圧がある。
【0086】
コモンアドレスデコーダー116は、制御回路114において生成されMLS駆動において同時選択される複数のコモン電極に対応したコモンアドレスをデコードする。このデコード結果はコモンドライバー120に出力される。コモンアドレスは、同時選択される複数のコモン電極毎に割り当てられ、MLS駆動を行う際にコモンアドレスを指定することで、対応するコモン電極が選択される。
【0087】
コモン出力演算回路118は、制御回路114において生成される極性反転信号FR、MLS駆動パターンを識別するフィールド識別信号F1、F2に基づいて、コモン出力の出力レベルを制御する。
【0088】
コモンドライバー120は、コモンアドレスデコーダー116のデコード結果に基づいて、コモン出力の選択/非選択を制御し、選択されたコモン出力として、コモン出力演算回路118で生成された出力レベルを出力する。
【0089】
ページアドレス制御回路122は、ホストプロセッサー用インターフェイス110を介してホストプロセッサー30から入力される画像データを画像データRAM128にアクセスするためのページアドレスを制御する。ページアドレスは、ホストプロセッサー30から入力される画像データのバス幅をアクセス単位として定義される。
【0090】
カラムアドレス制御回路124は、ホストプロセッサー用インターフェイス110を介してホストプロセッサー30から入力される画像データを画像データRAM128にアクセスするためのカラムアドレスを制御する。カラムアドレスは、画素形成領域22のセグメント電極に対応して定義される。
【0091】
ラインアドレス制御回路126は、画像データRAM128に保存された画像データのうち読み出しラインを特定するラインアドレスを制御する。ラインアドレスは、画素形成領域22のコモン電極に対応して定義される。本実施形態におけるコモンアドレス及びラインアドレスは、図14に示すように定義される。例えば、制御回路114がコモンアドレス「0」を出力したとき、コモン電極COM0〜COM3が同時選択される。このとき、画像データRAM128に記憶される画像データのうち、ラインアドレス0〜3に対応する画像データが読み出される。同様に、制御回路114がコモンアドレス「1」を出力したとき、コモン電極COM4〜COM7が同時選択される。このとき、画像データRAM128に記憶される画像データのうち、ラインアドレス4〜7に対応する画像データが読み出される。このように、コモンアドレスにより、同時選択される4ラインのコモン電極を1ブロックとするブロック単位で指定でき、ラインアドレスも一意に決まる。
【0092】
図13において、画像データRAM128は、画素形成領域22の画素の並びに対応して、各画素の画像データが記憶される記憶領域を有する。各記憶領域は、ページアドレス及びカラムアドレスにより特定される。これにより、画像データRAM128には、ページアドレス及びカラムアドレスにより特定される領域に画像データが書き込まれる。一方、画像データRAM128からは1ライン単位で画像データが読み出される。
【0093】
画像データラッチ回路130は、画像データRAM128から1ラインずつ読み出された画像データを4ライン分ラッチする。
【0094】
MLSデコーダー132は、画像データと、制御回路114において生成されMLS駆動を行うための表示タイミング信号とをデコードする。より具体的には、MLSデコーダー132は、画像データラッチ回路130によってラッチされた画像データと、制御回路114によって生成される極性反転信号FR、フィールド識別信号F1、F2とに基づいて、セグメント出力の出力レベルを制御する。このMLSデコーダー132のデコード結果は、セグメントドライバー134に出力される。
【0095】
セグメントドライバー134は、MLSデコーダー132のデコード結果に基づいて、セグメント電極に、MLSデコーダー132でデコードされた出力レベルを出力する。なお、セグメントドライバー134には、制御回路114において生成された表示オフ信号XDOFにより、MLSデコーダー132のデコード結果にかかわらずセグメント電極に所与の出力レベルを出力して表示をオフにする制御を行うことができる。本実施形態では、表示オフ信号XDOFにより、コモン電極と同電位となるような出力レベルをセグメント電極に出力することで、表示をオフする。
【0096】
MLS駆動法において1フレーム期間内に設けられる各フィールド期間は、液晶駆動装置100においてフィールド識別信号F1、F2により特定される。液晶駆動装置100は、2ビットのフィールド識別信号F1、F2で表される4状態に対応したフィールド期間毎に、各コモン電極に電圧V3又は電圧MV3を出力する。各フィールド期間における各コモン電極への出力パターンは、選択パターンとして直交関数系により定義される。液晶駆動装置100は、予め決められた直交関数系により定義される選択パターンに従って、3種類の駆動電圧V3、VC、MV3のいずれかを適宜選択し、同時選択されるコモン電極にそれぞれ印加するようになっている。
【0097】
各フィールド期間は、同時選択される複数のコモン電極毎に割り当てられる複数のサブ選択期間に分割される。フィールド期間「1」を分割した複数のサブ選択期間のうち、同時選択されるコモン電極COM0〜COM3が選択されるサブ選択期間では、次のような動作が行われる。液晶駆動装置100は、電圧(V2、V1、VC、MV1、MV2)のいずれかを選択し、セグメント電極SEG0に選択した電圧を印加する。このとき、液晶駆動装置100は、セグメント電極SEG0と同時選択されるコモン電極COM0〜COM3の各々との交差位置に対応した各ドットの表示パターンと選択パターンとの極性の不一致数に応じて電圧を選択する。同様に、他のセグメント電極に対して、選択した電圧を印加する。
【0098】
次に、フィールド期間「1」を分割した複数のサブ選択期間のうち、次に同時選択されるコモン電極が選択されるサブ選択期間において、各セグメント電極の列の不一致数を決定し、得られた電圧のデータを印加する。こうしてすべてのコモン電極について、以上の手順を繰り返すと、フィールド期間「1」における動作が終了する。同様にフィールド期間「2」以降についても、すべてのコモン電極について上記の手順を繰り返すと1つのフレーム期間が終わり、これにより1つの画面の表示が行われる。
【0099】
このような構成の液晶駆動装置100では、コモンドライバー120は、同時選択される複数のコモン電極を1ブロックとするブロック単位に複数フィールドに亘って各フィールドに対応した選択パターンでコモン電極を走査する。また、セグメントドライバー134は、同時選択される複数のコモン電極に対応した画像データ及び上記の選択パターンに対応した駆動電圧でセグメント電極を駆動する。この駆動電圧は、画像データ及び表示タイミング信号に基づいてデコードされた結果により得られる。
【0100】
図15に、図13の極性反転制御回路200の構成例のブロック図を示す。
【0101】
極性反転制御回路200は、mフィールド反転数レジスター210と、mフィールドカウンター220と、反転フィールドレジスター230と、反転フィールドシフトレジスター240と、nライン反転数レジスター250とを備えている。また、極性反転制御回路200は、nライン反転数カウンター260と、極性レジスター270と、nライン反転数ラッチ280と、極性ラッチ290とを備えている。
【0102】
mフィールド反転数レジスター210には、ホストプロセッサー30により、極性反転させるフィールド期間数mに対応した設定情報が設定される。mフィールドカウンター220は、フィールド期間の先頭タイミングを示すフィールド信号FIELDに基づいてフィールド期間数をカウントする。反転フィールドレジスター230では、フィールド期間が切り替わるときに極性を反転させるか、そのままnライン反転駆動を継続するかを示すレジスター値が更新される。反転フィールドシフトレジスター240は、反転フィールドレジスター230のレジスター値を1水平走査期間だけ遅延させて、後述のnライン反転数ラッチ280及び極性ラッチ290のラッチタイミングを生成する。
【0103】
nライン反転数レジスター250には、ホストプロセッサー30により、極性反転させるライン数nに対応した設定情報が設定される。nライン反転数カウンター260は、nライン反転駆動により極性を反転させるライン数をカウントする。極性レジスター270は、極性反転制御回路200を構成する各部により生成される極性反転信号FRを保持する。nライン反転数ラッチ280は、直前のmフィールド期間群のnライン反転駆動を開始するときのnライン反転数カウンター260のカウント値をラッチする。極性ラッチ290は、直前のmフィールド期間群のnライン反転駆動を開始するときの極性に対応した極性反転信号FRをラッチする。
【0104】
以下、極性反転制御回路200を構成する各部の動作例について説明する。
【0105】
図16に、mフィールドカウンター220の動作例のフロー図を示す。
mフィールドカウンター220には、フィールド信号FIELDと、mフィールド反転数レジスター210のレジスター値とが入力される。フィールド期間の開始タイミングで、フィールド信号FIELDが「1」に設定される。図16では、mフィールドカウンター220のカウント値をmフィールドカウント値と記載し、mフィールド反転数レジスター210のレジスター値をmフィールド反転数レジスター値と記載している。
【0106】
フィールド信号FIELDが「1」のとき(ステップST30:Y)、mフィールドカウンター220は、mフィールドカウンター220のカウント値がmフィールド反転数レジスター210のレジスター値と一致するか否かを判定する(ステップST32)。
【0107】
mフィールドカウンター220のカウント値がmフィールド反転数レジスター210のレジスター値と一致すると判定されたとき(ステップST32:Y)、mフィールドカウンター220は、カウント値を「0」に初期化し(ステップST34)、ステップST30に戻る(リターン)。ステップST32において、mフィールドカウンター220のカウント値がmフィールド反転数レジスター210のレジスター値と一致しないと判定されたとき(ステップST32:N)、mフィールドカウンター220は、カウント値をインクリメントし(ステップST36)、ステップST30に戻る(リターン)。
【0108】
ステップST30において、フィールド信号FIELDが「1」ではないとき(ステップST30:N)、mフィールドカウンター220は、カウント値を更新することなく(ステップST38)、ステップST30に戻る(リターン)。
【0109】
以上のように、mフィールドカウンター220は、フィールド信号FIELDに同期して、mフィールド反転数レジスター210に設定されたレジスター値に対応したフィールド期間数をカウントすることができる。
【0110】
図17に、反転フィールドレジスター230の動作例のフロー図を示す。
反転フィールドレジスター230には、フィールド信号FIELD、mフィールドカウンター220のカウント値、mフィールド反転数レジスター210のレジスター値が入力される。図17では、mフィールドカウンター220のカウント値をmフィールドカウント値、mフィールド反転数レジスター210のレジスター値をmフィールド反転数レジスター値、反転フィールドレジスター230のレジスター値を反転フィールドレジスター値と記載している。
【0111】
フィールド信号FIELDが「1」のとき、反転フィールドレジスター230は、mフィールドカウンター220のカウント値がmフィールド反転数レジスター210のレジスター値と一致するか否かを判定する(ステップST42)。mフィールドカウンター220のカウント値がmフィールド反転数レジスター210のレジスター値と一致すると判定されたとき(ステップST42:Y)、反転フィールドレジスター230は、レジスター値を反転させて該反転フィールドレジスター230にセットし(ステップST44)、ステップST40に戻る(リターン)。
【0112】
フィールド信号FIELDが「1」ではないとき(ステップST40:N)、又はmフィールドカウンター220のカウント値がmフィールド反転数レジスター210のレジスター値と一致しないと判定されたとき(ステップST42:N)、反転フィールドレジスター230は、レジスター値を更新することなく(ステップST46)、ステップST40に戻る(リターン)。
【0113】
以上のように、反転フィールドレジスター230は、フィールド信号FIELDに同期して、レジスター値を更新することができる。レジスター値は、mフィールドカウンター220のカウント値がmフィールド反転数レジスター210のレジスター値と一致したときに反転して再セットされる。
【0114】
図18に、反転フィールドシフトレジスター240の動作例のフロー図を示す。
反転フィールドシフトレジスター240には、1水平走査期間の先頭タイミングでパルスを有する水平同期信号HSYNC、反転フィールドレジスター230のレジスター値が入力される。図18では、反転フィールドレジスター230のレジスター値を反転フィールドレジスター値、反転フィールドシフトレジスター240のレジスター値を反転フィールドシフトレジスター値と記載している。
【0115】
水平同期信号HSYNCが「1」のとき(ステップST50:Y)、反転フィールドシフトレジスター240は、反転フィールドレジスター230のレジスター値を格納し(ステップST52)、ステップST50に戻る(リターン)。水平同期信号HSYNCが「0」のとき(ステップST50:N)、反転フィールドシフトレジスター240は、レジスター値を更新することなく(ステップST54)、ステップST50に戻る(リターン)。
【0116】
以上のように、反転フィールドシフトレジスター240は、水平同期信号HSYNCにより規定される1水平走査期間だけ、反転フィールドレジスター230のレジスター値を遅延させる。
【0117】
図19に、nライン反転数カウンター260の動作例のフロー図を示す。
nライン反転数カウンター260には、フィールド信号FIELD、水平同期信号HSYNC、反転フィールドレジスター230のレジスター値、mフィールドカウンター220のカウント値が入力される。更にnライン反転数カウンター260には、mフィールド反転数レジスター210のレジスター値、nライン反転数レジスター250のレジスター値、nライン反転数ラッチ280にラッチされたカウント値が入力される。図19では、nライン反転数カウンター260のカウント値をnライン反転数カウント値と記載している。
【0118】
水平同期信号HSYNCが「1」のとき(ステップST60:Y)、nライン反転数カウンター260は、nライン反転駆動に、本実施形態におけるmフィールド期間毎の反転駆動をオーバーラップするか否かを判定する(ステップST62)。ステップST62では、所与のオーバーラップ条件を満たすか否かが判定される。このオーバーラップ条件は、フィールド信号FIELDが「1」で、mフィールドカウンター220のカウント値がmフィールド反転数レジスター210のレジスター値と一致し、且つ反転フィールドレジスター230のレジスター値が「0」である。このオーバーラップ条件を満たすと判定されたとき(ステップST62:Y)、nライン反転数カウンター260は、カウント値をnライン反転数ラッチ280にラッチされたカウント値に設定し(ステップST64)、ステップST60に戻る(リターン)。
【0119】
上述のオーバーラップ条件を満たさないと判定されたとき(ステップST62:N)、nライン反転数カウンター260は、カウント値が(極性反転ライン数/4−1)であるか否かを判定する(ステップST66)。ステップST66における極性反転ライン数は、nライン反転数レジスター250のレジスター値により設定される。カウント値が(極性反転ライン数/4−1)であると判定されたとき(ステップST66:Y)、nライン反転数カウンター260は、カウント値を「0」に初期化し(ステップST68)、ステップST60に戻る(リターン)。カウント値が(極性反転ライン数/4−1)ではないと判定されたとき(ステップST66:N)、nライン反転数カウンター260は、カウント値をインクリメントし(ステップST70)、ステップST60に戻る(リターン)。
【0120】
ステップST60において、水平同期信号HSYNCが「1」ではないとき(ステップST60:N)、nライン反転数カウンター260は、カウント値を更新することなく(ステップST72)、ステップST60に戻る(リターン)。
【0121】
以上のように、nライン反転数カウンター260は、オーバーラップ条件を満たしたときにnライン反転数ラッチ280にラッチされたカウント値が設定され、nライン反転駆動のためのライン数をカウントすることができる。
【0122】
図20に、nライン反転数ラッチ280の動作例のフロー図を示す。
nライン反転数ラッチ280には、水平同期信号HSYNC、nライン反転数カウンター260のカウント値、反転フィールドシフトレジスター240のレジスター値、反転フィールドレジスター230のレジスター値が入力される。図20では、反転フィールドレジスター230のレジスター値を反転フィールドレジスター値、反転フィールドシフトレジスター240のレジスター値を反転フィールドシフトレジスター値、nライン反転数ラッチ280のラッチ値をnライン反転数ラッチ値、nライン反転数カウンター260のカウント値をnライン反転数カウント値と記載している。
【0123】
水平同期信号HSYNCが「1」のとき(ステップST80:Y)、nライン反転数ラッチ280は、反転フィールドレジスター230のレジスター値が「0」で、且つ、反転フィールドシフトレジスター240のレジスター値が「1」であるか否かを判定する(ステップST82)。即ち、反転フィールドレジスター230のレジスター値の変化タイミングが検出される。
【0124】
反転フィールドレジスター230のレジスター値が「0」で、且つ、反転フィールドシフトレジスター240のレジスター値が「1」であると判定されたとき(ステップST82:Y)、nライン反転数ラッチ280は、nライン反転数カウンター260のカウント値をラッチし(ステップST84)、ステップST80に戻る(リターン)。
【0125】
水平同期信号HSYNCが「0」のとき(ステップST80:N)、又は反転フィールドレジスター230のレジスター値が「0」で、且つ、反転フィールドシフトレジスター240のレジスター値が「1」であると判定されないとき(ステップST82:N)、nライン反転数ラッチ280は、ラッチ値を更新することなく(ステップST86)、ステップST80に戻る(リターン)。
【0126】
以上のように、nライン反転数ラッチ280は、反転フィールドレジスター230のレジスター値の変化タイミングで、nライン反転数カウンター260のカウント値をラッチすることができる。即ち、nライン反転数ラッチ280は、直前のmフィールド期間のnライン反転駆動を開始するときのnライン反転数カウンター260のカウント値をラッチすることができる。
【0127】
図21に、極性レジスター270の動作例のフロー図を示す。
極性レジスター270には、水平同期信号HSYNC、nライン反転数カウンター260のカウント値、反転フィールドシフトレジスター240のレジスター値、反転フィールドレジスター230のレジスター値が入力される。更に、極性レジスター270には、mフィールドカウンター220のカウント値、nライン反転数レジスター250のレジスター値、極性ラッチ290のラッチ値が入力される。図21では、極性ラッチ290のラッチ値を極性ラッチ値、極性レジスター270のレジスター値を極性レジスター値、nライン反転数カウンター260のカウント値をnライン反転数カウント値と記載している。
【0128】
水平同期信号HSYNCが「1」のとき(ステップST90:Y)、極性レジスター270は、nライン反転駆動に、本実施形態におけるmフィールド期間毎の反転駆動をオーバーラップするか否かを判定する(ステップST92)。ステップST92では、図19のステップST62と同様のオーバーラップ条件を満たすか否かが判定される。
【0129】
ステップST92において、上述のオーバーラップ条件を満たすと判定されたとき(ステップST92:Y)、極性レジスター270は、極性ラッチ290のラッチ値を反転させた論理レベルの極性反転信号FRを出力し(ステップST94)、ステップST90に戻る(リターン)。
【0130】
上述のオーバーラップ条件を満たさないと判定されたとき(ステップST92:N)、極性レジスター270は、nライン反転数カウンター260のカウント値が(極性反転ライン数/4−1)であるか否かを判定する(ステップST96)。このカウント値が(極性反転ライン数/4−1)であると判定されたとき(ステップST96:Y)、極性レジスター270は、極性レジスター270のレジスター値を反転させて再設定し、この反転後の論理レベルの極性反転信号FRを出力し(ステップST98)、ステップST90に戻る(リターン)。
【0131】
カウント値が(極性反転ライン数/4−1)ではないと判定されたとき(ステップST96:N)、又はステップST90において水平同期信号HSYNCが「1」ではないとき(ステップST90:N)、極性レジスター270は、極性レジスター270のレジスター値に対応した論理レベルの極性反転信号FRを出力し(ステップST100)、ステップST90に戻る(リターン)。
【0132】
以上のように、極性レジスター270は、極性反転させるライン数n及びフィールド期間mに応じて、極性反転信号FRを出力することができる。
【0133】
図22に、極性ラッチ290の動作例のフロー図を示す。
極性ラッチ290には、水平同期信号HSYNC、反転フィールドシフトレジスター240のレジスター値、反転フィールドレジスター230のレジスター値、極性レジスター270のレジスター値が入力される。図22では、反転フィールドレジスター230のレジスター値を反転フィールドレジスター値、反転フィールドシフトレジスター240のレジスター値を反転フィールドシフトレジスター値、極性ラッチ290のラッチ値を極性ラッチ値、極性レジスター270のレジスター値を極性レジスター値と記載している。
【0134】
水平同期信号HSYNCが「1」のとき(ステップST110:Y)、極性ラッチ290は、反転フィールドレジスター230のレジスター値が「0」で、且つ、反転フィールドシフトレジスター240のレジスター値が「1」であるか否かを判定する(ステップST112)。即ち、反転フィールドレジスター230のレジスター値の変化タイミングが検出される。
【0135】
反転フィールドレジスター230のレジスター値が「0」で、且つ、反転フィールドシフトレジスター240のレジスター値が「1」であると判定されたとき(ステップST112:Y)、極性ラッチ290は、極性レジスター270のレジスター値をラッチし(ステップST114)、ステップST110に戻る(リターン)。
【0136】
水平同期信号HSYNCが「0」のとき(ステップST110:N)、又は反転フィールドレジスター230のレジスター値が「0」で、且つ、反転フィールドシフトレジスター240のレジスター値が「1」であると判定されないとき(ステップST112:N)、極性ラッチ290は、ラッチ値を更新することなく(ステップST116)、ステップST110に戻る(リターン)。
【0137】
以上のように、極性ラッチ290は、反転フィールドレジスター230のレジスター値の変化タイミングで、極性レジスター270のレジスター値をラッチすることができる。即ち、極性ラッチ290は、直前のmフィールド期間のnライン反転駆動を開始するときの極性をラッチすることができる。
【0138】
図23に、極性反転制御回路200の動作例のタイミング図を示す。図23では、表示ライン数が「20」、nが「12」(=3ブロック)、mが「2」のときのタイミング例を表す。
【0139】
垂直同期信号VSYNCが「1」になると、1垂直走査期間を分割した各フィールド期間が開始される。各フィールド期間では、水平同期信号HSYNCが「1」となるたびに1水平走査期間が開始される。4ライン同時選択のMLS駆動法における通常のnライン反転駆動のみの場合、極性反転信号FRは、3ブロック(=12ライン)毎に反転する。
【0140】
これに対して、フィールド期間「1」からフィールド期間「2」においてnライン反転駆動が行われると、フィールド期間「3」ではフィールド期間「1」とは反対の極性でnライン反転駆動が行われる。そのため、フィールド期間「3」の開始時のnライン反転数カウンター260は、「0」からカウントが開始される(図23のG1)。
【0141】
これは、nライン反転数ラッチ280には、反転フィールドレジスター230のレジスター値の立ち下がりに同期して、nライン反転数カウンター260のカウント値がラッチされたものである。
【0142】
次のフィールド期間「1」では、直前のフィールド期間「4」から継続してnライン反転駆動が行われる(図23のG2)。このときのnライン反転数カウンター260のカウント値は「1」である。そして、次のフィールド期間「3」では、このフィールド期間「1」とは反対の極性でnライン反転駆動が行われる。そのため、フィールド期間「3」の開始時のnライン反転数カウンター260は、「1」からカウントが開始される(図23のG3)。
【0143】
以上のように、極性反転制御回路200は、フィールド期間mやライン数nに応じて論理レベルの反転が繰り返される極性反転信号FRを出力する。これにより、極性反転制御回路200は、コモン電極及びセグメント電極の間の電圧の極性を反転させる制御を行うことができる。
【0144】
図24に、本実施形態における液晶駆動装置100の駆動タイミングの一例を示す。図24では、図23と同様の条件におけるコモン電極の波形及びセグメント電極の波形を表す。セグメント電極の波形は、全点灯オン時の波形である。
【0145】
図24に示すように、4ラインのコモン電極が同時選択され、選択パターンに応じた選択電圧が供給される。1フレーム目のフィールド期間「3」ではフィールド期間「1」とは反対の極性でnライン反転駆動が行われるため、図23に示すようにnライン反転数カウンター260のカウント値が「0」に再設定される。これ以降、通常のnライン反転駆動と異なり、nライン反転数カウンター260のカウント値がずれていく。そのため、図24では、通常のnライン反転駆動とは反対の極性でコモン電極COM8〜COM11が駆動される(図24の波線部分)。その後は、通常のnライン反転駆動と異なる極性反転駆動が行われることになる。
【0146】
以上説明したように、本実施形態においては、nライン反転数ラッチ280及び極性ラッチ290を設けたので、極性反転させるライン数n及びフィールド期間数mに応じて、極性反転制御を行うことができるようになる。そのため、バイアス電位にずれがあったとしても、コモン電極に応じて実効電圧の差が生じることなく、液晶パネル20において濃淡の縞模様の発生を抑えることができるようになる。また、極性反転周期によって濃淡の縞模様の変動がちらつきとして認識される場合であっても、フィールド期間数mを変更することができるので、ちらつきとして認識されないようにすることもできるようになる。
【0147】
〔電子機器〕
上記の実施形態における液晶駆動装置又は該液晶駆動装置が適用された液晶パネル20や液晶装置10は、次のような電子機器に適用できる。
【0148】
図25(A)、図25(B)に、本実施形態が適用された電子機器の構成の斜視図を示す。図25(A)は、モバイル型のパーソナルコンピューターの構成の斜視図を表す。図25(B)は、携帯電話機の構成の斜視図を表す。
【0149】
図25(A)に示すパーソナルコンピューター800は、本体部810と、表示部820とを含む。表示部820として、上記の実施形態における液晶パネル20又は液晶装置10が適用される。本体部810は、ホストプロセッサーを含み、この本体部810にはキーボード830が設けられる。即ち、パーソナルコンピューター800は、少なくとも上記の実施形態における液晶駆動装置100を含んで構成される。キーボード830を介した操作情報がホストプロセッサーによって解析され、その操作情報に応じて表示部820に画像が表示される。
【0150】
図25(B)に示す携帯電話機900は、本体部910と、表示部920とを含む。表示部920として、上記の実施形態における液晶パネル20又は液晶装置10が適用される。本体部910は、ホストプロセッサーを含み、この本体部910にはキーボード930が設けられる。即ち、携帯電話機900は、上記の実施形態における液晶駆動装置100を含んで構成される。キーボード930を介した操作情報がホストプロセッサーによって解析され、その操作情報に応じて表示部920に画像が表示される。
【0151】
なお、上記の実施形態又が適用された電子機器として、図25(A)、図25(B)に示すものに限定されるものではない。例えば、情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS(Point of sale system)端末、プリンター、スキャナー、複写機、ビデオプレーヤー、タッチパネルを備えた機器等が挙げられる。
【0152】
以上、本発明に係る液晶駆動方法、液晶駆動装置、液晶装置、及び電子機器等を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、次のような変形も可能である。
【0153】
(1)上記の実施形態では、液晶駆動装置がMLS駆動法により駆動する例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0154】
(2)上記の実施形態では、4ラインを同時選択するMLS駆動法を例に説明したが、同時選択ライン数に本発明が限定されるものではない。また、上記の実施形態において説明した液晶パネルの表示ライン数、nライン反転駆動において極性反転させるライン数n、極性反転されるフィールド期間数mに、本発明は限定されるものではない。更に、上記の実施形態において説明したコモン電極の選択パターンに、本発明が限定されるものではない。
【0155】
(3)上記の実施形態において、液晶駆動方法、液晶駆動装置、液晶装置、及び電子機器等として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば本発明に係る液晶駆動方法により実現される液晶パネルの画像表示方法等であってもよい。
【符号の説明】
【0156】
10…液晶装置、 20…液晶パネル、 22…画素形成領域、
30…ホストプロセッサー、 40…電源回路、 100…液晶駆動装置、
110…ホストプロセッサー用インターフェイス、 112…発振回路、
114…制御回路、 116…コモンアドレスデコーダー、
118…コモン出力演算回路、 120…コモンドライバー、
122…ページアドレス制御回路、 124…カラムアドレス制御回路、
126…ラインアドレス制御回路、 128…画像データRAM、
130…画像データラッチ回路、 132…MLSデコーダー、
134…セグメントドライバー、 200…極性反転制御回路、
210…mフィールド反転数レジスター、 220…mフィールドカウンター、
230…反転フィールドレジスター、 240…反転フィールドシフトレジスター、
250…nライン反転数レジスター、 260…nライン反転数カウンター、
270…極性レジスター、 280…nライン反転数ラッチ、 290…極性ラッチ、
COM0〜COMQ…コモン電極、 FIELD…フィールド信号、
FR…極性反転信号、 HSYNC…水平同期信号、
SEG0〜SEGR…セグメント電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶駆動方法、液晶駆動装置、液晶装置、及び電子機器等に関し、特に複数ラインを同時選択する同時選択駆動法により液晶パネルを駆動する液晶駆動方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の液晶パネルは、複数のコモン電極と、複数のコモン電極に交差するように設けられた複数のセグメント電極とを備えており、各コモン電極と各セグメント電極との交差位置に対応して画素が形成される。液晶パネルを駆動する液晶駆動装置は、液晶パネルの複数のコモン電極及び複数のセグメント電極を所定の液晶駆動方法に従って駆動することで、液晶パネルに画像を表示する。液晶パネルを駆動する場合、画素に同一極性の電圧を印加し続けると焼き付けが発生するため、一般的に、液晶駆動装置は、画素に印加される電圧の極性を周期的に反転して交流化する極性反転駆動を行う。
【0003】
この極性反転駆動として1フレーム毎に極性反転するフレーム反転駆動が知られている。ところが、液晶パネルのセグメント電極に応じて出力周波数が異なってクロストーク等の原因となることがあり、より短い時間間隔で極性反転することを目的として、nライン毎に極性反転を行うnライン反転駆動が行われる場合がある。
【0004】
このような極性反転駆動に関する技術については、例えば特許文献1に開示されている。この特許文献1には、4ライン同時選択駆動法において、240ラインを5水平走査期間毎に極性反転駆動する場合には、仮想ラインを加えて244ラインとすることで極性反転駆動の効果が得られることが開示されている(段落0062〜0064参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−160919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
いわゆる線順次駆動では、デューティーdtと極性反転するライン数との関係は、表示ライン数をL、デューティーdt=1/Lとすると、Lが奇数であり、Lとの公約数がないように極性反転ライン数は素数であることが望ましい。同時選択駆動法についても、例えば特許文献1に、サブグループ数が奇数であることが望ましいことが開示されている。
【0007】
しかしながら、4ライン同時選択駆動法では、1フレーム期間が4フィールド期間に分割され、フィールド期間毎に走査されるため、1フレーム期間で4回の走査が行われる。従って、特許文献1に開示されているように4ライン同時選択駆動法でnライン反転駆動を行う場合、1フレーム期間におけるサブグループ数が偶数になってしまう。そのため、バイアス電位のずれがあると実効電圧の差が生じ、濃淡の縞模様が見えてしまい、画質が劣化する場合があるという問題がある。
【0008】
本発明は、以上のような技術的課題に鑑みてなされたものである。本発明の幾つかの態様によれば、複数ラインを同時選択する同時選択駆動法でnライン反転駆動により液晶パネルを駆動する場合にバイアス電位のずれがあっても画質の劣化を抑える液晶駆動方法、液晶駆動装置、液晶装置、及び電子機器等を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の第1の態様は、S(Sは2以上の自然数)ライン同時選択駆動法により液晶パネルを駆動する液晶駆動方法が、連続するm(mは2以上の自然数)フィールド期間の第1のmフィールド期間群を、n(nは自然数)ライン毎に極性反転させるnライン反転駆動を行う第1の駆動ステップと、前記第1のmフィールド期間群に続く連続するmフィールド期間の第2のmフィールド期間群を、直前のmフィールド期間とは反対の極性となるように前記nライン反転駆動を行う第2の駆動ステップと、前記第2のmフィールド期間群に続く連続するmフィールド期間の第3のmフィールド期間群を、前記第2のmフィールド期間群から継続して前記nライン反転駆動を行う第3の駆動ステップとを含む。
【0010】
(2)本発明の第2の態様に係る液晶駆動方法は、第1の態様において、前記第3の駆動ステップの後、前記第3のmフィールド期間群を前記第1のmフィールド期間群として、前記第2の駆動ステップに戻る。
【0011】
上記のいずれかの態様によれば、同時選択駆動法でnライン反転駆動を行う場合に、極性反転周期の間で、液晶パネルのコモン電極に供給される選択パルスの種類や数を変更することができるようになる。これにより、バイアス電位にばらつきがあっても、コモン電極に応じて実効電圧の差が生じないようすることができるようになる。この結果、液晶パネルに濃淡の縞模様が見えることがなくなり、表示品質を向上させることができるようになる。
【0012】
(3)本発明の第3の態様に係る液晶駆動方法では、第1の態様又は第2の態様において、前記第1のmフィールド期間群、前記第2のmフィールド期間群、及び前記第3のmフィールド期間群の各々を構成するフィールド期間数であるmが可変である。
【0013】
本態様によれば、液晶パネルの表示ライン数等に起因する縞模様の発生条件に応じて、極性反転させるフィールド期間数を変更できるようにしたので、液晶パネルの表示ライン数等にかかわらず表示品質を向上させることができるようになる。特に、縞模様の変動によりちらつきとして認識される場合であっても、極性反転周期を短くすることで、ちらつきの認識を抑えることができるようになる。
【0014】
(4)本発明の第4の態様に係る液晶駆動方法では、第1の態様乃至第3の態様のいずれかにおいて、nライン反転駆動において極性反転させるライン数であるnが可変である。
【0015】
本態様によれば、液晶パネルの表示ライン数等に起因する縞模様の発生条件に応じて、極性反転させるライン数を変更できるようにしたので、液晶パネルの表示ライン数等にかかわらず表示品質を向上させることができるようになる。
【0016】
(5)本発明の第5の態様は、液晶パネルを駆動する液晶駆動装置が、S(Sは2以上の自然数)ライン同時選択駆動法により前記液晶パネルを駆動する駆動部と、前記駆動部により前記液晶パネルに供給される駆動信号の極性反転制御を行う極性反転制御部とを含み、前記駆動部は、連続するm(mは2以上の自然数)フィールド期間の第1のmフィールド期間群について、n(nは自然数)ライン毎に極性反転させるnライン反転駆動を行い、前記第1のmフィールド期間群に続く連続するmフィールド期間の第2のmフィールド期間群について、直前のmフィールド期間とは反対の極性となるように前記nライン反転駆動を行い、前記第2のmフィールド期間群に続く連続するmフィールド期間の第3のmフィールド期間群について、前記第2のmフィールド期間群から継続して前記nライン反転駆動を行う。
【0017】
本態様によれば、同時選択駆動法でnライン反転駆動を行う場合に、極性反転周期の間で、液晶パネルのコモン電極に供給される選択パルスの種類や数を変更することができるようになる。これにより、バイアス電位にばらつきがあっても、コモン電極に応じて実効電圧の差が生じないようすることができるようになる。この結果、液晶パネルに濃淡の縞模様が見えることがなくなり、表示品質を向上させる液晶駆動装置を提供することができるようになる。
【0018】
(6)本発明の第6の態様に係る液晶駆動装置では、第5の態様において、前記極性反転制御部は、極性反転させるフィールド期間数であるmに対応した設定情報が設定されるmフィールド反転数レジスターを含み、前記mフィールド反転数レジスターに設定された設定情報に基づいて、前記駆動信号の極性反転制御を行う。
【0019】
本態様によれば、液晶パネルの表示ライン数等に起因する縞模様の発生条件に応じて、極性反転させるフィールド期間数を変更できるようにしたので、液晶パネルの表示ライン数等にかかわらず表示品質を向上させることができるようになる。特に、縞模様の変動によりちらつきとして認識される場合であっても、極性反転周期を短くすることで、ちらつきの認識を抑えることができるようになる。
【0020】
(7)本発明の第7の態様に係る液晶駆動装置では、第5の態様又は第6の態様において、前記極性反転制御部は、極性反転させるライン数であるnに対応した設定情報が設定されるnライン反転数レジスターを含み、前記nライン反転数レジスターに設定された設定情報に基づいて、前記駆動信号の極性反転制御を行う。
【0021】
本態様によれば、液晶パネルの表示ライン数等に起因する縞模様の発生条件に応じて、極性反転させるライン数を変更できるようにしたので、液晶パネルの表示ライン数等にかかわらず表示品質を向上させることができるようになる。
【0022】
(8)本発明の第8の態様に係る液晶駆動装置では、第7の態様において、前記極性反転制御部は、nライン反転駆動により極性を反転させるライン数をカウントするnライン反転数カウンターと、直前のmフィールド期間群のnライン反転駆動を開始するときの極性をラッチする極性ラッチと、直前のmフィールド期間群のnライン反転駆動を開始するときの前記nライン反転数カウンターのカウント値をラッチするnライン反転数ラッチとを含み、前記駆動部は、前記極性ラッチにラッチされた極性及び前記nライン反転数ラッチにラッチされたカウント値に基づいて、後続のmフィールド期間群のnライン反転駆動を行う。
【0023】
本態様によれば、上記の効果を得る液晶駆動装置を簡素な構成で実現することができるようになる。
【0024】
(9)本発明の第9の態様は、液晶装置が、第5の態様乃至第8の態様のいずれか記載の液晶駆動装置と、前記液晶駆動装置によって駆動される液晶パネルとを含む。
【0025】
本態様によれば、複数ラインを同時選択する同時選択駆動法でnライン反転駆動により液晶パネルを駆動する場合にバイアス電位のずれがあっても画質の劣化を抑える液晶装置を提供することができるようになる。
【0026】
(10)本発明の第10の態様は、電子機器が、第5の態様乃至第8の態様のいずれか記載の液晶駆動装置を含む。
【0027】
本態様によれば、複数ラインを同時選択する同時選択駆動法でnライン反転駆動により液晶パネルを駆動する場合にバイアス電位のずれがあっても画質の劣化を抑える液晶駆動装置が適用された電子機器を提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態に係る液晶装置の構成例のブロック図。
【図2】図2(A)〜図2(D)はMLS駆動法の原理の説明図。
【図3】4ライン同時選択のMLS駆動法により液晶パネルを駆動する場合の7レベルの電圧の関係を示す図。
【図4】4ライン同時選択のMLS駆動法における液晶パネルのコモン電極の選択電圧の説明図。
【図5】nライン反転駆動がディセーブルに設定されたときの同時選択されるコモン電極COM0〜COM3の選択電圧を示す図。
【図6】nライン反転駆動がイネーブルに設定されたときの同時選択されるコモン電極COM0〜COM3の選択電圧を示す図。
【図7】本実施形態における液晶駆動装置による液晶駆動方法のフロー図。
【図8】本実施形態における液晶駆動方法の説明図。
【図9】本実施形態における液晶駆動方法の説明図。
【図10】本実施形態における液晶駆動方法の第1の説明図。
【図11】本実施形態における液晶駆動方法の第1の説明図。
【図12】本実施形態における液晶駆動方法の第2の説明図。
【図13】本実施形態における液晶駆動装置の構成例のブロック図。
【図14】本実施形態におけるコモンアドレス及びラインアドレスの説明図。
【図15】図13の極性反転制御回路の構成例のブロック図。
【図16】mフィールドカウンターの動作例のフロー図。
【図17】反転フィールドレジスターの動作例のフロー図。
【図18】反転フィールドシフトレジスターの動作例のフロー図。
【図19】nライン反転数カウンターの動作例のフロー図。
【図20】nライン反転数ラッチの動作例のフロー図。
【図21】極性レジスターの動作例のフロー図。
【図22】極性ラッチの動作例のフロー図。
【図23】極性反転制御回路の動作例のタイミング図。
【図24】本実施形態における液晶駆動装置の駆動タイミングの一例を示す図。
【図25】図25(A)、図25(B)は本実施形態が適用された電子機器の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成のすべてが本発明の課題を解決するために必須の構成要件であるとは限らない。
【0030】
〔液晶表示装置〕
図1に、本発明の一実施形態に係る液晶装置の構成例のブロック図を示す。図1は、液晶装置が液晶駆動装置を備える構成例を表すが、液晶駆動装置が液晶装置の外部に備えられていてもよい。
【0031】
電気光学装置としての液晶装置10は、液晶パネル(広義には、表示パネル、電気光学パネル)20と、ホストプロセッサー30と、電源回路40とを備えている。
【0032】
液晶パネル20は、パッシブ型の液晶表示パネルであり、一対の透明なガラス基板の間に、透明電極で形成され互いに交差するように配置された複数のコモン電極、複数のセグメント電極、配向膜及び液晶等を封入して形成される。液晶パネル20は、画素形成領域22を有し、画素形成領域22には、第1の方向に配設されたコモン電極と、第1の方向と交差する第2の方向に配設されたセグメント電極との交差位置に対応して画素が形成される。図1では、複数のコモン電極COM0〜COMQ(Qは自然数)のコモン電極COMj(0≦j≦Q、jは整数)と複数のセグメント電極SEG0〜SEGR(Rは自然数)のセグメント電極SEGk(0≦k≦R、kは整数)とを図示している。コモン電極COMj及びセグメント電極SEGkの交差位置に対応して画素Pjkが形成される。この液晶パネル20を構成するガラス基板には、液晶駆動装置100がCOG(Chip On Glass)実装される。
【0033】
液晶駆動装置100は、コモン電極に所与の選択電圧を供給するための複数のコモン電極出力端子と、セグメント電極に画像データに対応した液晶駆動電圧を供給するための複数のセグメント電極出力端子とを有する。複数のコモン電極出力端子の各々は、対応するコモン電極に電気的に接続され、複数のセグメント電極出力端子の各々は、対応するセグメント電極に電気的に接続される。液晶駆動装置100は、液晶パネル20の画素形成領域22に形成されたコモン電極COM0〜COMQ及びセグメント電極SEG0〜SEGRをMLS(Multi Line Selection)駆動法(同時選択駆動法)により駆動する。即ち、液晶駆動装置100は、複数のコモン電極を同時選択し、1画面を表示するのに必要な期間としての1フレーム期間を分割した複数のフィールド期間で、複数回に亘って駆動する。液晶駆動装置100は、フィールド期間毎に、同時選択した複数のコモン電極を選択パターン(走査パターン)に基づいて駆動すると共に、該選択パターン及び画像データに基づく所与のMLS演算結果に対応した駆動電圧を複数のセグメント電極に印加する。
【0034】
ホストプロセッサー30は、内蔵するメモリー又は図示しないメモリーに記憶されたプログラムを読み込んで、該プログラムに対応した処理を実行することで、液晶駆動装置100の駆動制御を行う。このため、ホストプロセッサー30は、液晶駆動装置100が内蔵する設定レジスターに設定値を設定することで、液晶駆動装置100の動作を制御することができる。また、ホストプロセッサー30は、液晶駆動装置100に、液晶パネル20に表示させる画像に対応した画像データを供給する。図1において、ホストプロセッサー30は、液晶パネル20を構成するガラス基板上に実装されていてもよい。
【0035】
電源回路40は、ホストプロセッサー30及び液晶駆動装置100の各々に、動作電源電圧及び液晶パネル20の駆動電源電圧、或いはこれらの電圧を生成するための基準電圧を供給する。図1において、電源回路40は、液晶パネル20を構成するガラス基板上に実装されていたり、液晶駆動装置100に内蔵されていたりしてもよい。
【0036】
〔MLS駆動法〕
液晶駆動装置100によるMLS駆動法は、単純な駆動法と比較して、コモン電極が選択される期間の間隔を狭めることができ、画素の透過率の低下を抑えると共に、平均の透過率を向上させることができる。また、複数のコモン電極を同時に選択することで、コモン電極に印加する駆動電圧(選択電圧)を低くすることができる。
【0037】
図2(A)〜図2(D)に、MLS駆動法の原理の説明図を示す。図2(A)〜図2(D)の各々は、コモン電極COM0、COM1とセグメント電極SEG0とが交差する位置の画素(ドット)についてオン又はオフする例を表す。なお、図2(A)〜図2(D)では2ラインのコモン電極COM0、COM1が同時選択され、2ライン同時選択のMLS駆動法の例を表す。
【0038】
図2(A)〜図2(D)において、オンとなる画素(オン画素)を「−1」、オフとなる画素(オフ画素)を「+1」と表し、このオン又はオフを示す画像データにより指定される。また、コモン電極COM0、COM1の各々を選択するための選択パターンを「+1」、「−1」の2値で表す。更にセグメント電極SEG0の駆動電圧は、「MV2」、「V2」、「V1」の3値である。
【0039】
MLS駆動法においては、セグメント電極SEG0の駆動電圧は、画像データと同時選択されるコモン電極COM0、COM1の選択パターンとにより決まる。ここで、画像データを画像データベクトルd、選択パターンを行列βとすると、セグメント電極SEG0の駆動電圧を「MV2」、「V2」、「V1」のいずれの電圧とするかは、画像データベクトルdと行列βとの積により決定される。画像データベクトルdは、セグメント電極SEG0が各コモン電極と交差する位置の画素のオン又はオフを示すデータをベクトルで表現したものである。図2(A)の場合にはd・β=−2となり、図2(B)の場合にはd・β=+2となり、図2(C)の場合にはd・β=+2となり、図2(D)の場合にはd・β=0となる。そして画像データベクトルdと行列βとの積が「−2」のときセグメント電極SEG0の駆動電圧として「MV2」が選択され、「+2」のときに「V2」が選択され、「0」のときに「V1」が選択される。
【0040】
例えば、画像データベクトルdと行列βとの積の演算をハードウェアで行う場合には、画像データベクトルdの各要素データと行列βの各要素データとの不一致数を判定するようにすればよい。例えば不一致数が「2」の場合には、セグメント電極SEG0の駆動電圧として「MV2」を選択する。また不一致数が「0」の場合には、該駆動電圧として「V2」を選択する。また不一致数が「1」の場合には、該駆動電圧として「V1」を選択する。
【0041】
2ライン同時選択のMLS駆動法では、上述のようにしてセグメント電極SEG0の駆動電圧を決定し、1フレーム期間内で2回のフィールド期間を設けることによって、画素のオン又はオフを制御する。フィールド期間を複数回設けているため、非フィールド期間における透過率の低下が少なくなり、液晶パネル20における平均の透過率を向上させ、液晶パネルのコントラストを向上させることができる。
【0042】
なお、以下で説明する本実施形態では、4ラインのコモン電極を同時に選択するMLS駆動法を採用するものとする。この場合、1フレーム期間内に4回のフィールド期間を設けることができ、液晶パネル20のコントラストをより一層向上させることができる。この4ライン同時選択のMLS駆動法では、7レベルの電圧が用いられる。
【0043】
図3に、4ライン同時選択のMLS駆動法により液晶パネル20を駆動する場合の7レベルの電圧の関係を示す。
【0044】
電圧V3、MV3は、コモン電極の選択電圧である。電圧VCは、コモン電極の非選択電圧であり、セグメント電極の駆動電圧である。電圧V2、V1、MV1、MV2は、セグメント電極の駆動電圧である。そして、交差するコモン電極及びセグメント電極の電圧差に応じて、画素の透過率が変化する。
【0045】
ここで、電圧V3とセンター電圧VCとの電圧差をv3、電圧V2とセンター電圧VCとの電圧差をv2、電圧V1とセンター電圧VCとの電圧差をv1とする。このとき、センター電圧VCと電圧MV3との電圧差はv3、センター電圧VCと電圧MV2との電圧差はv2、センター電圧VCと電圧MV1との電圧差はv1である。ここで、電圧V2と電圧V1との電圧差(=電圧MV1と電圧MV2との電圧差)が、電圧V1とセンター電圧VCとの電圧差(=センター電圧VCと電圧MV1との電圧差)と等しい。
【0046】
このような7レベルの電圧のうち、電圧MV3の電位が最も低く、本実施形態では、電圧MV3として接地電圧VSSが採用される。
【0047】
液晶駆動装置100は、図3に示す電圧を用いて、MLS駆動法によりコモン電極及びセグメント電極を駆動する。このとき、液晶駆動装置100は、n(nは1以上の整数)本のコモン電極を走査する毎に極性を反転させるnライン極性反転制御を行うことで、液晶の劣化を防止し、画質の向上を図る。
【0048】
図4に、4ライン同時選択のMLS駆動法における液晶パネル20のコモン電極COMp(0≦p≦Q、pは整数)〜COMp+3の選択電圧の説明図を示す。図4は、液晶駆動装置100の内部信号である極性反転信号FRにより規定される極性及びフィールド期間に応じて、コモン電極COMp〜COMp+3に印加される選択電圧を表す。
【0049】
極性反転信号FRがLレベルのとき、液晶駆動装置100は、駆動対象の画素の印加電圧が正極性となるように、対応するコモン電極に選択電圧を供給し、且つ、対応するセグメント電極に駆動電圧を供給する。また、極性反転信号FRがHレベルのとき、液晶駆動装置100は、駆動対象の画素の印加電圧が負極性となるように、対応するコモン電極に選択電圧を供給し、且つ、対応するセグメント電極に駆動電圧を供給する。このとき、MLS駆動法では、同時選択されるコモン電極の各フィールド期間における走査パターンが決まる。そのため、4ライン同時選択のMLS駆動法では、コモン電極COMp〜COMp+3には、フィールド期間毎に、極性に応じて、図4に示すように選択電圧V3、MV3が印加される。
【0050】
以上のようなMLS駆動法においてnライン反転駆動を行う場合、次のような問題がある。以下では、説明の便宜上、主に76ライン又は132ラインの液晶パネル20を駆動する例について説明する。
【0051】
図5に、nライン反転駆動がディセーブルに設定されたときの同時選択されるコモン電極COM0〜COM3の選択電圧を示す。図5は、76ラインの液晶パネルを駆動する際に、1フレーム期間のフィールド期間毎に、極性に応じてコモン電極COM0〜COM3に供給される選択電圧を表す。図5では、コモン電極COM0〜COM3を図示するが、他の同時選択されるコモン電極も同様である。
【0052】
nライン反転駆動がディセーブルに設定されたとき、極性反転周期は2フレームとなる。各コモン電極には、この極性反転周期の間に電圧V3、MV3の選択パルスが供給される。ここで、選択パルスの種類に着目すると、コモン電極COM0〜COM3の各々について、電圧V3の選択パルス数が「4」、電圧MV3の選択パルス数が「4」である。
【0053】
図6に、nライン反転駆動がイネーブルに設定されたときの同時選択されるコモン電極COM0〜COM3の選択電圧を示す。図6は、76ラインの液晶パネルを駆動する際に、1フレーム期間のフィールド期間毎に、極性に応じてコモン電極COM0〜COM3に供給される選択電圧を表す。ここで、nが「5」であり、20(=5×4)ライン反転駆動を行うものとする。図6では、コモン電極COM0〜COM3を図示するが、他の同時選択されるコモン電極も同様である。
【0054】
従って、nライン反転駆動がイネーブルに設定されたとき、極性反転周期は5フレームとなる。ここで、選択パルスの種類に着目すると、コモン電極COM0、COM2の各々について、電圧V3の選択パルス数が「9」、電圧MV3の選択パルス数が「11」である。また、コモン電極COM2、COM3の各々について、電圧V3の選択パルス数が「11」、電圧MV3の選択パルス数が「9」である。即ち、nライン反転駆動がイネーブルに設定されると、コモン電極によって電圧V3の選択パルス数と電圧MV3の選択パルス数とが異なることになる。そのため、バイアス電位のずれがあると、コモン電極に応じて実効電圧の差が生じ、液晶パネル20に濃淡の縞模様が発生するという問題がある。
【0055】
〔液晶駆動装置〕
S(Sは2以上の自然数)ラインを同時選択するMLS駆動法でnライン反転駆動を行う場合、次の式(1)の条件を満たすと、極性反転周期の間に、正極性パルス数と負極正パルス数とが等しくなる。式(1)では、液晶パネルのデューティーをdt、自然数をdとする。即ち、式(1)の条件を満たさない場合、バイアス電位のずれがあると、コモン電極に応じて実効電圧の差が生じ、液晶パネルに濃淡の縞模様が発生する。
(1/dt×d)/(n/S)=奇数 ・・・(1)
【0056】
これに対して、本実施形態では、式(1)の条件を満たさない場合に、バイアス電位のずれがあっても液晶パネル20に濃淡の縞模様を発生させることなく、画質の劣化を抑える。具体的には、(液晶パネル20のデューティーdtの逆数×A)/(n/S)(Aは、式が割り切れるようになる最小の自然数)が偶数のとき、極性反転周期の間に液晶パネル20の各コモン電極に印加した正極性パルス数と負極正パルス数とを等しくする。
【0057】
即ち、本実施形態では、極性反転周期の間で、各コモン電極に供給される各選択パルス数を変更することで、バイアス電位のずれがあったとしても、液晶パネル20に濃淡の縞模様を発生させることなく、画質の劣化を抑える。具体的には、MLS駆動法でnライン反転駆動を行う場合に、設定可能なm(mは2以上の自然数)フィールド期間を走査後、次のmフィールド期間は直前のmフィールドの極性を反転して走査する。そして、続くmフィールド期間はそのままnライン反転駆動を継続し、次のmフィールドは直前のmフィールドの極性を反転して走査し、以降、同様に繰り返す。
【0058】
図7に、本実施形態における液晶駆動装置100による液晶駆動方法のフロー図を示す。
【0059】
まず、液晶駆動装置100には、ホストプロセッサー30により、nライン反転駆動で極性反転させるライン数であるnに対応した設定情報がnライン反転数レジスターに設定される(ステップST10、nライン反転数設定ステップ)。液晶駆動装置100は、このnライン反転数レジスターに設定された設定情報に対応したライン数n毎に、nライン反転駆動を行う。即ち、極性反転させるライン数であるnは可変に構成される。MLS駆動法の同時選択ライン数をS(Sは2以上の自然数)、自然数をdとすると、n=S×dである。
【0060】
次に、液晶駆動装置100には、ホストプロセッサー30により、フィールド反転周期であるmに対応した設定情報がmフィールド反転数レジスターに設定される(ステップST12、mフィールド期間反転数設定ステップ)。液晶駆動装置100は、このmフィールド反転数レジスターに設定された設定情報に対応したフィールド期間m毎に、上記の反転制御を行うことになる。即ち、フィールド反転周期(フィールド期間数)mは可変に構成される。なお、ステップST10、ステップST12の順序を入れ替えてもよい。mは、n、Sにかかわらず独立に設定可能な制御パラメーターである。
【0061】
その後、液晶駆動装置100は、連続するmフィールド期間の第1のmフィールド期間群を、第1の極性(例えば、正極性)から開始して順番にnライン毎に極性反転させるnライン反転駆動を行う(ステップST14)。nは、ステップST10において設定され、mはステップST12において設定される。
【0062】
そして、液晶駆動装置100は、第1のmフィールド期間群に続く連続するmフィールド期間の第2のmフィールド期間群を、第1のmフィールド期間群と反対の極性となるようにライン反転駆動を行う(ステップST16)。この第2のフィールド期間群では、直前のmフィールド期間でnライン反転駆動が開始されたときの第1の極性と反対の第2の極性からnライン反転駆動が開始される。
【0063】
ここで、液晶パネル20の駆動が終了のとき(ステップST18:Y)、液晶駆動装置100は、一連の処理を終了する(エンド)。駆動を継続するとき(ステップST18:N)、液晶駆動装置100は、第2のmフィールド期間群に続く連続するmフィールド期間の第3のmフィールド期間群を、第2のmフィールド期間群から継続してnライン反転駆動を行う(ステップST20)。ステップST14を第1の駆動ステップ、ステップST16を第2の駆動ステップとすると、ステップST20を第3の駆動ステップということができる。
【0064】
その後、液晶パネル20の駆動が終了のとき(ステップST22:Y)、液晶駆動装置100は、一連の処理を終了する(エンド)。駆動を継続するとき(ステップST22:N)、液晶駆動装置100は、ステップST16に戻る。即ち、液晶駆動装置100は、第3のmフィールド期間群を第1のmフィールド期間群とし、ステップST20を開始する極性を第1の極性としてステップST16に戻る。以降、液晶駆動装置100は、ステップST16〜ステップST22を繰り返す。
【0065】
図8、図9に、本実施形態における液晶駆動方法の説明図を示す。図8及び図9は、nが「20」、mが「4」に設定されたときの132ラインの液晶パネル20を駆動する際の各フィールド期間におけるコモン電極に対応した極性を表す。図8及び図9において、「L」、「H」は極性反転信号FRの論理レベルを表し、「L」は正極性、「H」は負極性を表す。また、図8は1フレーム〜6フレームまでの極性を表し、図9は図8に続く7フレームから12フレームまでを表す。なお、nが「20」、mが「4」に設定されたときの極性反転周期は20フレームとなるが、図8及び図9では、12フレームまでを図示している。
【0066】
1フレーム目の4フィールド期間(第1のmフィールド期間群)においては、フィールド期間「1」で正極性から開始して、20ライン(4ライン同時選択のMLS駆動法では5ブロックに相当)毎にnライン反転駆動が行われる。この4フィールド期間では、各々の直前のフィールド期間におけるnライン反転駆動が継続される。そのため、例えばコモン電極COM120〜131の12ライン(3ブロック)が正極性でフィールド期間「1」のnライン反転駆動が終了すると、フィールド期間「2」のコモン電極COM0〜COM7の8ライン(2ブロック)はそのまま正極性で駆動される。その後、フィールド期間「2」のコモン電極COM8〜COM11のブロックから、負極性に反転されて駆動されることになる。
【0067】
最初の4フィールド期間が終了すると、続く4フィールド期間(図8では、2フレーム目のフィールド期間「1」〜「4」)(第2のmフィールド期間群)では、最初の4フィールド期間の極性と反対の極性でnライン反転駆動が行われる。即ち、2フレーム目のフィールド期間「1」では、1フレーム目のフィールド期間「1」とは反対の負極性から順番にnライン反転駆動が行われる。この4フィールド期間においても、各々の直前のフィールド期間におけるnライン反転駆動が継続される。そのため、例えばコモン電極COM120〜131の12ライン(3ブロック)が負極性でフィールド期間「1」のnライン反転駆動が終了すると、フィールド期間「2」のコモン電極COM0〜COM7の8ライン(2ブロック)はそのまま負正極性で駆動される。その後、フィールド期間「2」のコモン電極COM8〜COM11のブロックから、正極性に反転されて駆動されることになる。
【0068】
続く4フィールド期間(図8では、3フレーム目のフィールド期間「1」〜「4」)(第3のmフィールド期間群)では、直前の2フレーム目のフィールド期間「4」のnライン反転駆動が継続される。そのため、コモン電極COM124〜131の8ライン(2ブロック)が負極性で2フレーム目のフィールド期間「4」のnライン反転駆動が終了すると、3フレーム目のフィールド期間「1」のコモン電極COM0〜COM11の12ライン(3ブロック)はそのまま負極性で駆動される。その後、フィールド期間「1」のコモン電極COM12〜COM15のブロックから、正極性に反転されて駆動されることになる。
【0069】
続く4フィールド期間(図8では、4フレーム目のフィールド期間「1」〜「4」)では、直前の4フィールド期間の極性と反対の極性でnライン反転駆動が行われる。即ち、4フレーム目のフィールド期間「1」では、3フレーム目のフィールド期間「1」とは反対の正極性でnライン反転駆動が行われる。そのため、3フレーム目のフィールド期間「1」でコモン電極COM0〜COM11が負極性のnライン反転駆動が行われたとすると、4フレーム目のフィールド期間「1」では、コモン電極COM0〜COM11は正極性でnライン反転駆動が行われる。その後、フィールド期間「1」のコモン電極COM12〜COM15のブロックから、負極性に反転されて駆動される。以降、同様に20フレームまで繰り返す。
【0070】
従って、図8及び図9では、2フレーム目、4フレーム目、6フレーム目、8フレーム目、10フレーム目、12フレーム目、・・・のそれぞれのフィールド期間「1」において、直前の4フィールド期間とは反対の極性でnライン反転駆動が行われる。
【0071】
図10、図11に、本実施形態における液晶駆動方法の第1の説明図を示す。図10及び図11は、nが「20」、mが「4」に設定されたときの76ラインの液晶パネルを駆動する際に、1フレーム期間のフィールド期間毎に、極性に応じてコモン電極COM0〜COM3に供給される選択電圧を表す。即ち、図8及び図9で説明した液晶駆動方法を、図5及び図6と同様のライン数の液晶パネルを例に表す。図10は、1フレーム目から11フレーム目までの選択電圧を表し、図11は、11フレームから20フレーム目までの選択電圧を表す。
【0072】
上述のように、極性反転周期は20フレームとなる。ここで、選択パルスの種類に着目すると、コモン電極COM0〜COM3の各々について、電圧V3の選択パルス数が「40」、電圧MV3の選択パルス数が「40」である。従って、本実施形態によれば、バイアス電位のずれがあったとしても、コモン電極に応じて実効電圧の差が生じることなく、液晶パネル20に濃淡の縞模様が発生しない。
【0073】
ここで、極性反転周期である20フレームの中で、前半の1フレーム目から10フレーム目と、後半の11フレーム目から20フレーム目とに分割する。このとき、コモン電極COM0〜COM3の各々について、電圧V3の選択パルス数が「20」、電圧MV3の選択パルス数が「20」である。
【0074】
ところが、分割ポイントをずらして、図10及び図11に示すように、20フレーム目及び1フレーム目から9フレーム目までの期間T1と、10フレーム目から19フレーム目までの期間T2とする。このとき、期間T1では、コモン電極COM0〜COM3のそれぞれについて、電圧V3の選択パルス数が「22」、電圧MV3の選択パルス数が「18」である。また、期間T2では、コモン電極COM0〜COM3の各々について、電圧V3の選択パルス数が「18」、電圧MV3の選択パルス数が「22」である。そのため、バイアス電位のずれがあると、極性反転周期である20フレームの中で実効電圧が変動することを意味し、液晶パネル20に濃淡の縞模様が変動して見える可能性がある。これは、極性反転周期が長くなると、ちらつきとして認識される可能性がある。
【0075】
そこで、本実施形態では、極性反転させるライン数nや、極性反転させるフィールド期間数mを設定可能とすることで、液晶パネルの表示ライン数等との関係で生じる可能性のあるちらつきを解消することができるようになっている。例えば、極性反転させるライン数nをそのままで、極性反転させるフィールド期間数mを「2」とすると、次のようになる。
【0076】
図12に、本実施形態における液晶駆動方法の第2の説明図を示す。図12は、nが「20」、mが「2」に設定されたときの76ラインの液晶パネルを駆動する際に、1フレーム期間のフィールド期間毎に、極性に応じてコモン電極COM0〜COM3に供給される選択電圧を表す。即ち、図12は、図10及び図11においてmを変更したときの選択電圧を表す。
【0077】
mを「2」に設定することで、極性反転周期は10フレームとなる。ここで、選択パルスの種類に着目すると、コモン電極COM0〜COM3の各々について、電圧V3の選択パルス数が「20」、電圧MV3の選択パルス数が「20」である。従って、本実施形態によれば、バイアス電位のずれがあったとしても、コモン電極に応じて実効電圧の差が生じることなく、液晶パネル20に濃淡の縞模様が発生しない。
【0078】
ここで、極性反転周期である10フレームの中で、前半の1フレーム目から5フレーム目と、後半の6フレーム目から10フレーム目とに分割する。このとき、前半は、コモン電極COM0、COM2の各々について、電圧V3の選択パルス数が「11」、電圧MV3の選択パルス数が「9」である。また、コモン電極COM1、COM3の各々について、電圧V3の選択パルス数が「9」、電圧MV3の選択パルス数が「11」である。これに対して、後半は、コモン電極COM0、COM2の各々について、電圧V3の選択パルス数が「9」、電圧MV3の選択パルス数が「11」である。また、コモン電極COM1、COM3の各々について、電圧V3の選択パルス数が「11」、電圧MV3の選択パルス数が「9」である。
【0079】
また、分割ポイントを例えば2フィールド期間分ずらす。このとき、図12に示すように、10フレーム目のフィールド期間「3」から5フレーム目のフィールド期間「2」までの期間T3と、5フレーム目のフィールド期間「3」から10フレーム目のフィールド期間「2」までの期間T4となる。期間T3では、コモン電極COM0〜COM3の各々について、電圧V3の選択パルス数が「11」、「11」、「13」、「9」であり、電圧MV3の選択パルス数が「9」、「9」、「7」、「11」である。これに対して、期間T4では、コモン電極COM0〜COM3の各々について、電圧V3の選択パルス数が「9」、「9」、「7」、「11」であり、電圧MV3の選択パルス数が「11」、「11」、「13」、「9」である。そのため、バイアス電位のずれがあると、極性反転周期である10フレームの中で実効電圧が変動することを意味し、液晶パネル20に濃淡の縞模様が変動して見える可能性がある。ところが、mが「4」の場合と比較して極性反転周期が短くなるので、ちらつきとして認識されないようにすることができる。また、これは、より応答速度の速い液晶パネルに対応させることができることも意味する。
【0080】
更に、mを変更できるようにすることで、電圧V3の選択パルスと電圧MV3の選択パルスの粗密の分布が変更されるため、液晶パネル20の表示品質を向上させることができるようになる。
【0081】
以上のような液晶駆動方法を実現する液晶駆動装置100は、次のような構成を有することができる。
【0082】
図13に、本実施形態における液晶駆動装置100の構成例のブロック図を示す。図13では、画素形成領域22をあわせて図示している。
図14に、本実施形態におけるコモンアドレス及びラインアドレスの説明図を示す。
【0083】
液晶駆動装置100は、ホストプロセッサー用インターフェイス110と、発振回路112と、制御回路114と、コモンアドレスデコーダー116と、コモン出力演算回路118と、コモンドライバー120と、ページアドレス制御回路122とを備えている。また、液晶駆動装置100は、カラムアドレス制御回路124と、ラインアドレス制御回路126と、画像データRAM128と、画像データラッチ回路130と、MLSデコーダー132と、セグメントドライバー134とを備えている。画像データRAM128は、フレームメモリー(画像データメモリー)として機能する。制御回路114は、極性反転制御回路(極性反転制御部)200を有する。本実施形態における駆動部は、コモンドライバー120及びセグメントドライバー134を含んで構成され、コモンアドレスデコーダー116、コモン出力演算回路118、及びMLSデコーダー132の少なくとも1つを更に含んでもよい。
【0084】
ホストプロセッサー用インターフェイス110は、液晶駆動装置100が有する入力端子又は入出力端子を介してホストプロセッサー30から入力される入力信号の入力インターフェイス処理を行う。またホストプロセッサー用インターフェイス110は、液晶駆動装置100が有する出力端子又は入出力端子を介してホストプロセッサー30に出力する出力信号の出力インターフェイス処理を行う。
【0085】
発振回路112は、液晶駆動装置100が生成する表示タイミング信号の基準となる発振クロックOSCを発振動作により生成する。例えば、制御回路114は、発振クロックOSCに基づいて、複数種類の表示タイミング信号を生成する。この制御回路114は、コモンアドレスデコーダー116等の液晶駆動装置100の各部を制御する制御信号を生成する。極性反転制御回路200は、コモンドライバー120及びセグメントドライバー134等が液晶パネル20(具体的には画素形成領域22)に供給する駆動信号の極性反転制御を行う。駆動信号としては、コモンドライバー120がコモン電極に出力する選択パルス、セグメントドライバー134がセグメント電極に出力する液晶駆動電圧がある。
【0086】
コモンアドレスデコーダー116は、制御回路114において生成されMLS駆動において同時選択される複数のコモン電極に対応したコモンアドレスをデコードする。このデコード結果はコモンドライバー120に出力される。コモンアドレスは、同時選択される複数のコモン電極毎に割り当てられ、MLS駆動を行う際にコモンアドレスを指定することで、対応するコモン電極が選択される。
【0087】
コモン出力演算回路118は、制御回路114において生成される極性反転信号FR、MLS駆動パターンを識別するフィールド識別信号F1、F2に基づいて、コモン出力の出力レベルを制御する。
【0088】
コモンドライバー120は、コモンアドレスデコーダー116のデコード結果に基づいて、コモン出力の選択/非選択を制御し、選択されたコモン出力として、コモン出力演算回路118で生成された出力レベルを出力する。
【0089】
ページアドレス制御回路122は、ホストプロセッサー用インターフェイス110を介してホストプロセッサー30から入力される画像データを画像データRAM128にアクセスするためのページアドレスを制御する。ページアドレスは、ホストプロセッサー30から入力される画像データのバス幅をアクセス単位として定義される。
【0090】
カラムアドレス制御回路124は、ホストプロセッサー用インターフェイス110を介してホストプロセッサー30から入力される画像データを画像データRAM128にアクセスするためのカラムアドレスを制御する。カラムアドレスは、画素形成領域22のセグメント電極に対応して定義される。
【0091】
ラインアドレス制御回路126は、画像データRAM128に保存された画像データのうち読み出しラインを特定するラインアドレスを制御する。ラインアドレスは、画素形成領域22のコモン電極に対応して定義される。本実施形態におけるコモンアドレス及びラインアドレスは、図14に示すように定義される。例えば、制御回路114がコモンアドレス「0」を出力したとき、コモン電極COM0〜COM3が同時選択される。このとき、画像データRAM128に記憶される画像データのうち、ラインアドレス0〜3に対応する画像データが読み出される。同様に、制御回路114がコモンアドレス「1」を出力したとき、コモン電極COM4〜COM7が同時選択される。このとき、画像データRAM128に記憶される画像データのうち、ラインアドレス4〜7に対応する画像データが読み出される。このように、コモンアドレスにより、同時選択される4ラインのコモン電極を1ブロックとするブロック単位で指定でき、ラインアドレスも一意に決まる。
【0092】
図13において、画像データRAM128は、画素形成領域22の画素の並びに対応して、各画素の画像データが記憶される記憶領域を有する。各記憶領域は、ページアドレス及びカラムアドレスにより特定される。これにより、画像データRAM128には、ページアドレス及びカラムアドレスにより特定される領域に画像データが書き込まれる。一方、画像データRAM128からは1ライン単位で画像データが読み出される。
【0093】
画像データラッチ回路130は、画像データRAM128から1ラインずつ読み出された画像データを4ライン分ラッチする。
【0094】
MLSデコーダー132は、画像データと、制御回路114において生成されMLS駆動を行うための表示タイミング信号とをデコードする。より具体的には、MLSデコーダー132は、画像データラッチ回路130によってラッチされた画像データと、制御回路114によって生成される極性反転信号FR、フィールド識別信号F1、F2とに基づいて、セグメント出力の出力レベルを制御する。このMLSデコーダー132のデコード結果は、セグメントドライバー134に出力される。
【0095】
セグメントドライバー134は、MLSデコーダー132のデコード結果に基づいて、セグメント電極に、MLSデコーダー132でデコードされた出力レベルを出力する。なお、セグメントドライバー134には、制御回路114において生成された表示オフ信号XDOFにより、MLSデコーダー132のデコード結果にかかわらずセグメント電極に所与の出力レベルを出力して表示をオフにする制御を行うことができる。本実施形態では、表示オフ信号XDOFにより、コモン電極と同電位となるような出力レベルをセグメント電極に出力することで、表示をオフする。
【0096】
MLS駆動法において1フレーム期間内に設けられる各フィールド期間は、液晶駆動装置100においてフィールド識別信号F1、F2により特定される。液晶駆動装置100は、2ビットのフィールド識別信号F1、F2で表される4状態に対応したフィールド期間毎に、各コモン電極に電圧V3又は電圧MV3を出力する。各フィールド期間における各コモン電極への出力パターンは、選択パターンとして直交関数系により定義される。液晶駆動装置100は、予め決められた直交関数系により定義される選択パターンに従って、3種類の駆動電圧V3、VC、MV3のいずれかを適宜選択し、同時選択されるコモン電極にそれぞれ印加するようになっている。
【0097】
各フィールド期間は、同時選択される複数のコモン電極毎に割り当てられる複数のサブ選択期間に分割される。フィールド期間「1」を分割した複数のサブ選択期間のうち、同時選択されるコモン電極COM0〜COM3が選択されるサブ選択期間では、次のような動作が行われる。液晶駆動装置100は、電圧(V2、V1、VC、MV1、MV2)のいずれかを選択し、セグメント電極SEG0に選択した電圧を印加する。このとき、液晶駆動装置100は、セグメント電極SEG0と同時選択されるコモン電極COM0〜COM3の各々との交差位置に対応した各ドットの表示パターンと選択パターンとの極性の不一致数に応じて電圧を選択する。同様に、他のセグメント電極に対して、選択した電圧を印加する。
【0098】
次に、フィールド期間「1」を分割した複数のサブ選択期間のうち、次に同時選択されるコモン電極が選択されるサブ選択期間において、各セグメント電極の列の不一致数を決定し、得られた電圧のデータを印加する。こうしてすべてのコモン電極について、以上の手順を繰り返すと、フィールド期間「1」における動作が終了する。同様にフィールド期間「2」以降についても、すべてのコモン電極について上記の手順を繰り返すと1つのフレーム期間が終わり、これにより1つの画面の表示が行われる。
【0099】
このような構成の液晶駆動装置100では、コモンドライバー120は、同時選択される複数のコモン電極を1ブロックとするブロック単位に複数フィールドに亘って各フィールドに対応した選択パターンでコモン電極を走査する。また、セグメントドライバー134は、同時選択される複数のコモン電極に対応した画像データ及び上記の選択パターンに対応した駆動電圧でセグメント電極を駆動する。この駆動電圧は、画像データ及び表示タイミング信号に基づいてデコードされた結果により得られる。
【0100】
図15に、図13の極性反転制御回路200の構成例のブロック図を示す。
【0101】
極性反転制御回路200は、mフィールド反転数レジスター210と、mフィールドカウンター220と、反転フィールドレジスター230と、反転フィールドシフトレジスター240と、nライン反転数レジスター250とを備えている。また、極性反転制御回路200は、nライン反転数カウンター260と、極性レジスター270と、nライン反転数ラッチ280と、極性ラッチ290とを備えている。
【0102】
mフィールド反転数レジスター210には、ホストプロセッサー30により、極性反転させるフィールド期間数mに対応した設定情報が設定される。mフィールドカウンター220は、フィールド期間の先頭タイミングを示すフィールド信号FIELDに基づいてフィールド期間数をカウントする。反転フィールドレジスター230では、フィールド期間が切り替わるときに極性を反転させるか、そのままnライン反転駆動を継続するかを示すレジスター値が更新される。反転フィールドシフトレジスター240は、反転フィールドレジスター230のレジスター値を1水平走査期間だけ遅延させて、後述のnライン反転数ラッチ280及び極性ラッチ290のラッチタイミングを生成する。
【0103】
nライン反転数レジスター250には、ホストプロセッサー30により、極性反転させるライン数nに対応した設定情報が設定される。nライン反転数カウンター260は、nライン反転駆動により極性を反転させるライン数をカウントする。極性レジスター270は、極性反転制御回路200を構成する各部により生成される極性反転信号FRを保持する。nライン反転数ラッチ280は、直前のmフィールド期間群のnライン反転駆動を開始するときのnライン反転数カウンター260のカウント値をラッチする。極性ラッチ290は、直前のmフィールド期間群のnライン反転駆動を開始するときの極性に対応した極性反転信号FRをラッチする。
【0104】
以下、極性反転制御回路200を構成する各部の動作例について説明する。
【0105】
図16に、mフィールドカウンター220の動作例のフロー図を示す。
mフィールドカウンター220には、フィールド信号FIELDと、mフィールド反転数レジスター210のレジスター値とが入力される。フィールド期間の開始タイミングで、フィールド信号FIELDが「1」に設定される。図16では、mフィールドカウンター220のカウント値をmフィールドカウント値と記載し、mフィールド反転数レジスター210のレジスター値をmフィールド反転数レジスター値と記載している。
【0106】
フィールド信号FIELDが「1」のとき(ステップST30:Y)、mフィールドカウンター220は、mフィールドカウンター220のカウント値がmフィールド反転数レジスター210のレジスター値と一致するか否かを判定する(ステップST32)。
【0107】
mフィールドカウンター220のカウント値がmフィールド反転数レジスター210のレジスター値と一致すると判定されたとき(ステップST32:Y)、mフィールドカウンター220は、カウント値を「0」に初期化し(ステップST34)、ステップST30に戻る(リターン)。ステップST32において、mフィールドカウンター220のカウント値がmフィールド反転数レジスター210のレジスター値と一致しないと判定されたとき(ステップST32:N)、mフィールドカウンター220は、カウント値をインクリメントし(ステップST36)、ステップST30に戻る(リターン)。
【0108】
ステップST30において、フィールド信号FIELDが「1」ではないとき(ステップST30:N)、mフィールドカウンター220は、カウント値を更新することなく(ステップST38)、ステップST30に戻る(リターン)。
【0109】
以上のように、mフィールドカウンター220は、フィールド信号FIELDに同期して、mフィールド反転数レジスター210に設定されたレジスター値に対応したフィールド期間数をカウントすることができる。
【0110】
図17に、反転フィールドレジスター230の動作例のフロー図を示す。
反転フィールドレジスター230には、フィールド信号FIELD、mフィールドカウンター220のカウント値、mフィールド反転数レジスター210のレジスター値が入力される。図17では、mフィールドカウンター220のカウント値をmフィールドカウント値、mフィールド反転数レジスター210のレジスター値をmフィールド反転数レジスター値、反転フィールドレジスター230のレジスター値を反転フィールドレジスター値と記載している。
【0111】
フィールド信号FIELDが「1」のとき、反転フィールドレジスター230は、mフィールドカウンター220のカウント値がmフィールド反転数レジスター210のレジスター値と一致するか否かを判定する(ステップST42)。mフィールドカウンター220のカウント値がmフィールド反転数レジスター210のレジスター値と一致すると判定されたとき(ステップST42:Y)、反転フィールドレジスター230は、レジスター値を反転させて該反転フィールドレジスター230にセットし(ステップST44)、ステップST40に戻る(リターン)。
【0112】
フィールド信号FIELDが「1」ではないとき(ステップST40:N)、又はmフィールドカウンター220のカウント値がmフィールド反転数レジスター210のレジスター値と一致しないと判定されたとき(ステップST42:N)、反転フィールドレジスター230は、レジスター値を更新することなく(ステップST46)、ステップST40に戻る(リターン)。
【0113】
以上のように、反転フィールドレジスター230は、フィールド信号FIELDに同期して、レジスター値を更新することができる。レジスター値は、mフィールドカウンター220のカウント値がmフィールド反転数レジスター210のレジスター値と一致したときに反転して再セットされる。
【0114】
図18に、反転フィールドシフトレジスター240の動作例のフロー図を示す。
反転フィールドシフトレジスター240には、1水平走査期間の先頭タイミングでパルスを有する水平同期信号HSYNC、反転フィールドレジスター230のレジスター値が入力される。図18では、反転フィールドレジスター230のレジスター値を反転フィールドレジスター値、反転フィールドシフトレジスター240のレジスター値を反転フィールドシフトレジスター値と記載している。
【0115】
水平同期信号HSYNCが「1」のとき(ステップST50:Y)、反転フィールドシフトレジスター240は、反転フィールドレジスター230のレジスター値を格納し(ステップST52)、ステップST50に戻る(リターン)。水平同期信号HSYNCが「0」のとき(ステップST50:N)、反転フィールドシフトレジスター240は、レジスター値を更新することなく(ステップST54)、ステップST50に戻る(リターン)。
【0116】
以上のように、反転フィールドシフトレジスター240は、水平同期信号HSYNCにより規定される1水平走査期間だけ、反転フィールドレジスター230のレジスター値を遅延させる。
【0117】
図19に、nライン反転数カウンター260の動作例のフロー図を示す。
nライン反転数カウンター260には、フィールド信号FIELD、水平同期信号HSYNC、反転フィールドレジスター230のレジスター値、mフィールドカウンター220のカウント値が入力される。更にnライン反転数カウンター260には、mフィールド反転数レジスター210のレジスター値、nライン反転数レジスター250のレジスター値、nライン反転数ラッチ280にラッチされたカウント値が入力される。図19では、nライン反転数カウンター260のカウント値をnライン反転数カウント値と記載している。
【0118】
水平同期信号HSYNCが「1」のとき(ステップST60:Y)、nライン反転数カウンター260は、nライン反転駆動に、本実施形態におけるmフィールド期間毎の反転駆動をオーバーラップするか否かを判定する(ステップST62)。ステップST62では、所与のオーバーラップ条件を満たすか否かが判定される。このオーバーラップ条件は、フィールド信号FIELDが「1」で、mフィールドカウンター220のカウント値がmフィールド反転数レジスター210のレジスター値と一致し、且つ反転フィールドレジスター230のレジスター値が「0」である。このオーバーラップ条件を満たすと判定されたとき(ステップST62:Y)、nライン反転数カウンター260は、カウント値をnライン反転数ラッチ280にラッチされたカウント値に設定し(ステップST64)、ステップST60に戻る(リターン)。
【0119】
上述のオーバーラップ条件を満たさないと判定されたとき(ステップST62:N)、nライン反転数カウンター260は、カウント値が(極性反転ライン数/4−1)であるか否かを判定する(ステップST66)。ステップST66における極性反転ライン数は、nライン反転数レジスター250のレジスター値により設定される。カウント値が(極性反転ライン数/4−1)であると判定されたとき(ステップST66:Y)、nライン反転数カウンター260は、カウント値を「0」に初期化し(ステップST68)、ステップST60に戻る(リターン)。カウント値が(極性反転ライン数/4−1)ではないと判定されたとき(ステップST66:N)、nライン反転数カウンター260は、カウント値をインクリメントし(ステップST70)、ステップST60に戻る(リターン)。
【0120】
ステップST60において、水平同期信号HSYNCが「1」ではないとき(ステップST60:N)、nライン反転数カウンター260は、カウント値を更新することなく(ステップST72)、ステップST60に戻る(リターン)。
【0121】
以上のように、nライン反転数カウンター260は、オーバーラップ条件を満たしたときにnライン反転数ラッチ280にラッチされたカウント値が設定され、nライン反転駆動のためのライン数をカウントすることができる。
【0122】
図20に、nライン反転数ラッチ280の動作例のフロー図を示す。
nライン反転数ラッチ280には、水平同期信号HSYNC、nライン反転数カウンター260のカウント値、反転フィールドシフトレジスター240のレジスター値、反転フィールドレジスター230のレジスター値が入力される。図20では、反転フィールドレジスター230のレジスター値を反転フィールドレジスター値、反転フィールドシフトレジスター240のレジスター値を反転フィールドシフトレジスター値、nライン反転数ラッチ280のラッチ値をnライン反転数ラッチ値、nライン反転数カウンター260のカウント値をnライン反転数カウント値と記載している。
【0123】
水平同期信号HSYNCが「1」のとき(ステップST80:Y)、nライン反転数ラッチ280は、反転フィールドレジスター230のレジスター値が「0」で、且つ、反転フィールドシフトレジスター240のレジスター値が「1」であるか否かを判定する(ステップST82)。即ち、反転フィールドレジスター230のレジスター値の変化タイミングが検出される。
【0124】
反転フィールドレジスター230のレジスター値が「0」で、且つ、反転フィールドシフトレジスター240のレジスター値が「1」であると判定されたとき(ステップST82:Y)、nライン反転数ラッチ280は、nライン反転数カウンター260のカウント値をラッチし(ステップST84)、ステップST80に戻る(リターン)。
【0125】
水平同期信号HSYNCが「0」のとき(ステップST80:N)、又は反転フィールドレジスター230のレジスター値が「0」で、且つ、反転フィールドシフトレジスター240のレジスター値が「1」であると判定されないとき(ステップST82:N)、nライン反転数ラッチ280は、ラッチ値を更新することなく(ステップST86)、ステップST80に戻る(リターン)。
【0126】
以上のように、nライン反転数ラッチ280は、反転フィールドレジスター230のレジスター値の変化タイミングで、nライン反転数カウンター260のカウント値をラッチすることができる。即ち、nライン反転数ラッチ280は、直前のmフィールド期間のnライン反転駆動を開始するときのnライン反転数カウンター260のカウント値をラッチすることができる。
【0127】
図21に、極性レジスター270の動作例のフロー図を示す。
極性レジスター270には、水平同期信号HSYNC、nライン反転数カウンター260のカウント値、反転フィールドシフトレジスター240のレジスター値、反転フィールドレジスター230のレジスター値が入力される。更に、極性レジスター270には、mフィールドカウンター220のカウント値、nライン反転数レジスター250のレジスター値、極性ラッチ290のラッチ値が入力される。図21では、極性ラッチ290のラッチ値を極性ラッチ値、極性レジスター270のレジスター値を極性レジスター値、nライン反転数カウンター260のカウント値をnライン反転数カウント値と記載している。
【0128】
水平同期信号HSYNCが「1」のとき(ステップST90:Y)、極性レジスター270は、nライン反転駆動に、本実施形態におけるmフィールド期間毎の反転駆動をオーバーラップするか否かを判定する(ステップST92)。ステップST92では、図19のステップST62と同様のオーバーラップ条件を満たすか否かが判定される。
【0129】
ステップST92において、上述のオーバーラップ条件を満たすと判定されたとき(ステップST92:Y)、極性レジスター270は、極性ラッチ290のラッチ値を反転させた論理レベルの極性反転信号FRを出力し(ステップST94)、ステップST90に戻る(リターン)。
【0130】
上述のオーバーラップ条件を満たさないと判定されたとき(ステップST92:N)、極性レジスター270は、nライン反転数カウンター260のカウント値が(極性反転ライン数/4−1)であるか否かを判定する(ステップST96)。このカウント値が(極性反転ライン数/4−1)であると判定されたとき(ステップST96:Y)、極性レジスター270は、極性レジスター270のレジスター値を反転させて再設定し、この反転後の論理レベルの極性反転信号FRを出力し(ステップST98)、ステップST90に戻る(リターン)。
【0131】
カウント値が(極性反転ライン数/4−1)ではないと判定されたとき(ステップST96:N)、又はステップST90において水平同期信号HSYNCが「1」ではないとき(ステップST90:N)、極性レジスター270は、極性レジスター270のレジスター値に対応した論理レベルの極性反転信号FRを出力し(ステップST100)、ステップST90に戻る(リターン)。
【0132】
以上のように、極性レジスター270は、極性反転させるライン数n及びフィールド期間mに応じて、極性反転信号FRを出力することができる。
【0133】
図22に、極性ラッチ290の動作例のフロー図を示す。
極性ラッチ290には、水平同期信号HSYNC、反転フィールドシフトレジスター240のレジスター値、反転フィールドレジスター230のレジスター値、極性レジスター270のレジスター値が入力される。図22では、反転フィールドレジスター230のレジスター値を反転フィールドレジスター値、反転フィールドシフトレジスター240のレジスター値を反転フィールドシフトレジスター値、極性ラッチ290のラッチ値を極性ラッチ値、極性レジスター270のレジスター値を極性レジスター値と記載している。
【0134】
水平同期信号HSYNCが「1」のとき(ステップST110:Y)、極性ラッチ290は、反転フィールドレジスター230のレジスター値が「0」で、且つ、反転フィールドシフトレジスター240のレジスター値が「1」であるか否かを判定する(ステップST112)。即ち、反転フィールドレジスター230のレジスター値の変化タイミングが検出される。
【0135】
反転フィールドレジスター230のレジスター値が「0」で、且つ、反転フィールドシフトレジスター240のレジスター値が「1」であると判定されたとき(ステップST112:Y)、極性ラッチ290は、極性レジスター270のレジスター値をラッチし(ステップST114)、ステップST110に戻る(リターン)。
【0136】
水平同期信号HSYNCが「0」のとき(ステップST110:N)、又は反転フィールドレジスター230のレジスター値が「0」で、且つ、反転フィールドシフトレジスター240のレジスター値が「1」であると判定されないとき(ステップST112:N)、極性ラッチ290は、ラッチ値を更新することなく(ステップST116)、ステップST110に戻る(リターン)。
【0137】
以上のように、極性ラッチ290は、反転フィールドレジスター230のレジスター値の変化タイミングで、極性レジスター270のレジスター値をラッチすることができる。即ち、極性ラッチ290は、直前のmフィールド期間のnライン反転駆動を開始するときの極性をラッチすることができる。
【0138】
図23に、極性反転制御回路200の動作例のタイミング図を示す。図23では、表示ライン数が「20」、nが「12」(=3ブロック)、mが「2」のときのタイミング例を表す。
【0139】
垂直同期信号VSYNCが「1」になると、1垂直走査期間を分割した各フィールド期間が開始される。各フィールド期間では、水平同期信号HSYNCが「1」となるたびに1水平走査期間が開始される。4ライン同時選択のMLS駆動法における通常のnライン反転駆動のみの場合、極性反転信号FRは、3ブロック(=12ライン)毎に反転する。
【0140】
これに対して、フィールド期間「1」からフィールド期間「2」においてnライン反転駆動が行われると、フィールド期間「3」ではフィールド期間「1」とは反対の極性でnライン反転駆動が行われる。そのため、フィールド期間「3」の開始時のnライン反転数カウンター260は、「0」からカウントが開始される(図23のG1)。
【0141】
これは、nライン反転数ラッチ280には、反転フィールドレジスター230のレジスター値の立ち下がりに同期して、nライン反転数カウンター260のカウント値がラッチされたものである。
【0142】
次のフィールド期間「1」では、直前のフィールド期間「4」から継続してnライン反転駆動が行われる(図23のG2)。このときのnライン反転数カウンター260のカウント値は「1」である。そして、次のフィールド期間「3」では、このフィールド期間「1」とは反対の極性でnライン反転駆動が行われる。そのため、フィールド期間「3」の開始時のnライン反転数カウンター260は、「1」からカウントが開始される(図23のG3)。
【0143】
以上のように、極性反転制御回路200は、フィールド期間mやライン数nに応じて論理レベルの反転が繰り返される極性反転信号FRを出力する。これにより、極性反転制御回路200は、コモン電極及びセグメント電極の間の電圧の極性を反転させる制御を行うことができる。
【0144】
図24に、本実施形態における液晶駆動装置100の駆動タイミングの一例を示す。図24では、図23と同様の条件におけるコモン電極の波形及びセグメント電極の波形を表す。セグメント電極の波形は、全点灯オン時の波形である。
【0145】
図24に示すように、4ラインのコモン電極が同時選択され、選択パターンに応じた選択電圧が供給される。1フレーム目のフィールド期間「3」ではフィールド期間「1」とは反対の極性でnライン反転駆動が行われるため、図23に示すようにnライン反転数カウンター260のカウント値が「0」に再設定される。これ以降、通常のnライン反転駆動と異なり、nライン反転数カウンター260のカウント値がずれていく。そのため、図24では、通常のnライン反転駆動とは反対の極性でコモン電極COM8〜COM11が駆動される(図24の波線部分)。その後は、通常のnライン反転駆動と異なる極性反転駆動が行われることになる。
【0146】
以上説明したように、本実施形態においては、nライン反転数ラッチ280及び極性ラッチ290を設けたので、極性反転させるライン数n及びフィールド期間数mに応じて、極性反転制御を行うことができるようになる。そのため、バイアス電位にずれがあったとしても、コモン電極に応じて実効電圧の差が生じることなく、液晶パネル20において濃淡の縞模様の発生を抑えることができるようになる。また、極性反転周期によって濃淡の縞模様の変動がちらつきとして認識される場合であっても、フィールド期間数mを変更することができるので、ちらつきとして認識されないようにすることもできるようになる。
【0147】
〔電子機器〕
上記の実施形態における液晶駆動装置又は該液晶駆動装置が適用された液晶パネル20や液晶装置10は、次のような電子機器に適用できる。
【0148】
図25(A)、図25(B)に、本実施形態が適用された電子機器の構成の斜視図を示す。図25(A)は、モバイル型のパーソナルコンピューターの構成の斜視図を表す。図25(B)は、携帯電話機の構成の斜視図を表す。
【0149】
図25(A)に示すパーソナルコンピューター800は、本体部810と、表示部820とを含む。表示部820として、上記の実施形態における液晶パネル20又は液晶装置10が適用される。本体部810は、ホストプロセッサーを含み、この本体部810にはキーボード830が設けられる。即ち、パーソナルコンピューター800は、少なくとも上記の実施形態における液晶駆動装置100を含んで構成される。キーボード830を介した操作情報がホストプロセッサーによって解析され、その操作情報に応じて表示部820に画像が表示される。
【0150】
図25(B)に示す携帯電話機900は、本体部910と、表示部920とを含む。表示部920として、上記の実施形態における液晶パネル20又は液晶装置10が適用される。本体部910は、ホストプロセッサーを含み、この本体部910にはキーボード930が設けられる。即ち、携帯電話機900は、上記の実施形態における液晶駆動装置100を含んで構成される。キーボード930を介した操作情報がホストプロセッサーによって解析され、その操作情報に応じて表示部920に画像が表示される。
【0151】
なお、上記の実施形態又が適用された電子機器として、図25(A)、図25(B)に示すものに限定されるものではない。例えば、情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS(Point of sale system)端末、プリンター、スキャナー、複写機、ビデオプレーヤー、タッチパネルを備えた機器等が挙げられる。
【0152】
以上、本発明に係る液晶駆動方法、液晶駆動装置、液晶装置、及び電子機器等を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、次のような変形も可能である。
【0153】
(1)上記の実施形態では、液晶駆動装置がMLS駆動法により駆動する例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0154】
(2)上記の実施形態では、4ラインを同時選択するMLS駆動法を例に説明したが、同時選択ライン数に本発明が限定されるものではない。また、上記の実施形態において説明した液晶パネルの表示ライン数、nライン反転駆動において極性反転させるライン数n、極性反転されるフィールド期間数mに、本発明は限定されるものではない。更に、上記の実施形態において説明したコモン電極の選択パターンに、本発明が限定されるものではない。
【0155】
(3)上記の実施形態において、液晶駆動方法、液晶駆動装置、液晶装置、及び電子機器等として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば本発明に係る液晶駆動方法により実現される液晶パネルの画像表示方法等であってもよい。
【符号の説明】
【0156】
10…液晶装置、 20…液晶パネル、 22…画素形成領域、
30…ホストプロセッサー、 40…電源回路、 100…液晶駆動装置、
110…ホストプロセッサー用インターフェイス、 112…発振回路、
114…制御回路、 116…コモンアドレスデコーダー、
118…コモン出力演算回路、 120…コモンドライバー、
122…ページアドレス制御回路、 124…カラムアドレス制御回路、
126…ラインアドレス制御回路、 128…画像データRAM、
130…画像データラッチ回路、 132…MLSデコーダー、
134…セグメントドライバー、 200…極性反転制御回路、
210…mフィールド反転数レジスター、 220…mフィールドカウンター、
230…反転フィールドレジスター、 240…反転フィールドシフトレジスター、
250…nライン反転数レジスター、 260…nライン反転数カウンター、
270…極性レジスター、 280…nライン反転数ラッチ、 290…極性ラッチ、
COM0〜COMQ…コモン電極、 FIELD…フィールド信号、
FR…極性反転信号、 HSYNC…水平同期信号、
SEG0〜SEGR…セグメント電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
S(Sは2以上の自然数)ライン同時選択駆動法により液晶パネルを駆動する液晶駆動方法であって、
連続するm(mは2以上の自然数)フィールド期間の第1のmフィールド期間群を、n(nは自然数)ライン毎に極性反転させるnライン反転駆動を行う第1の駆動ステップと、
前記第1のmフィールド期間群に続く連続するmフィールド期間の第2のmフィールド期間群を、直前のmフィールド期間とは反対の極性となるように前記nライン反転駆動を行う第2の駆動ステップと、
前記第2のmフィールド期間群に続く連続するmフィールド期間の第3のmフィールド期間群を、前記第2のmフィールド期間群から継続して前記nライン反転駆動を行う第3の駆動ステップとを含むことを特徴とする液晶駆動方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記第3の駆動ステップの後、前記第3のmフィールド期間群を前記第1のmフィールド期間群として、前記第2の駆動ステップに戻ることを特徴とする液晶駆動方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記第1のmフィールド期間群、前記第2のmフィールド期間群、及び前記第3のmフィールド期間群の各々を構成するフィールド期間数であるmが可変であることを特徴とする液晶駆動方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
nライン反転駆動において極性反転させるライン数であるnが可変であることを特徴とする液晶駆動方法。
【請求項5】
液晶パネルを駆動する液晶駆動装置であって、
S(Sは2以上の自然数)ライン同時選択駆動法により前記液晶パネルを駆動する駆動部と、
前記駆動部により前記液晶パネルに供給される駆動信号の極性反転制御を行う極性反転制御部とを含み、
前記駆動部は、
連続するm(mは2以上の自然数)フィールド期間の第1のmフィールド期間群について、n(nは自然数)ライン毎に極性反転させるnライン反転駆動を行い、前記第1のmフィールド期間群に続く連続するmフィールド期間の第2のmフィールド期間群について、直前のmフィールド期間とは反対の極性となるように前記nライン反転駆動を行い、前記第2のmフィールド期間群に続く連続するmフィールド期間の第3のmフィールド期間群について、前記第2のmフィールド期間群から継続して前記nライン反転駆動を行うことを特徴とする液晶駆動装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記極性反転制御部は、
極性反転させるフィールド期間数であるmに対応した設定情報が設定されるmフィールド反転数レジスターを含み、
前記mフィールド反転数レジスターに設定された設定情報に基づいて、前記駆動信号の極性反転制御を行うことを特徴とする液晶駆動装置。
【請求項7】
請求項5又は6において、
前記極性反転制御部は、
極性反転させるライン数であるnに対応した設定情報が設定されるnライン反転数レジスターを含み、
前記nライン反転数レジスターに設定された設定情報に基づいて、前記駆動信号の極性反転制御を行うことを特徴とする液晶駆動装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記極性反転制御部は、
nライン反転駆動により極性を反転させるライン数をカウントするnライン反転数カウンターと、
直前のmフィールド期間群のnライン反転駆動を開始するときの極性をラッチする極性ラッチと、
直前のmフィールド期間群のnライン反転駆動を開始するときの前記nライン反転数カウンターのカウント値をラッチするnライン反転数ラッチとを含み、
前記駆動部は、
前記極性ラッチにラッチされた極性及び前記nライン反転数ラッチにラッチされたカウント値に基づいて、後続のmフィールド期間群のnライン反転駆動を行うことを特徴とする液晶駆動装置。
【請求項9】
請求項5乃至8のいずれか記載の液晶駆動装置と、
前記液晶駆動装置によって駆動される液晶パネルとを含むことを特徴とする液晶装置。
【請求項10】
請求項5乃至8のいずれか記載の液晶駆動装置を含むことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
S(Sは2以上の自然数)ライン同時選択駆動法により液晶パネルを駆動する液晶駆動方法であって、
連続するm(mは2以上の自然数)フィールド期間の第1のmフィールド期間群を、n(nは自然数)ライン毎に極性反転させるnライン反転駆動を行う第1の駆動ステップと、
前記第1のmフィールド期間群に続く連続するmフィールド期間の第2のmフィールド期間群を、直前のmフィールド期間とは反対の極性となるように前記nライン反転駆動を行う第2の駆動ステップと、
前記第2のmフィールド期間群に続く連続するmフィールド期間の第3のmフィールド期間群を、前記第2のmフィールド期間群から継続して前記nライン反転駆動を行う第3の駆動ステップとを含むことを特徴とする液晶駆動方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記第3の駆動ステップの後、前記第3のmフィールド期間群を前記第1のmフィールド期間群として、前記第2の駆動ステップに戻ることを特徴とする液晶駆動方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記第1のmフィールド期間群、前記第2のmフィールド期間群、及び前記第3のmフィールド期間群の各々を構成するフィールド期間数であるmが可変であることを特徴とする液晶駆動方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
nライン反転駆動において極性反転させるライン数であるnが可変であることを特徴とする液晶駆動方法。
【請求項5】
液晶パネルを駆動する液晶駆動装置であって、
S(Sは2以上の自然数)ライン同時選択駆動法により前記液晶パネルを駆動する駆動部と、
前記駆動部により前記液晶パネルに供給される駆動信号の極性反転制御を行う極性反転制御部とを含み、
前記駆動部は、
連続するm(mは2以上の自然数)フィールド期間の第1のmフィールド期間群について、n(nは自然数)ライン毎に極性反転させるnライン反転駆動を行い、前記第1のmフィールド期間群に続く連続するmフィールド期間の第2のmフィールド期間群について、直前のmフィールド期間とは反対の極性となるように前記nライン反転駆動を行い、前記第2のmフィールド期間群に続く連続するmフィールド期間の第3のmフィールド期間群について、前記第2のmフィールド期間群から継続して前記nライン反転駆動を行うことを特徴とする液晶駆動装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記極性反転制御部は、
極性反転させるフィールド期間数であるmに対応した設定情報が設定されるmフィールド反転数レジスターを含み、
前記mフィールド反転数レジスターに設定された設定情報に基づいて、前記駆動信号の極性反転制御を行うことを特徴とする液晶駆動装置。
【請求項7】
請求項5又は6において、
前記極性反転制御部は、
極性反転させるライン数であるnに対応した設定情報が設定されるnライン反転数レジスターを含み、
前記nライン反転数レジスターに設定された設定情報に基づいて、前記駆動信号の極性反転制御を行うことを特徴とする液晶駆動装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記極性反転制御部は、
nライン反転駆動により極性を反転させるライン数をカウントするnライン反転数カウンターと、
直前のmフィールド期間群のnライン反転駆動を開始するときの極性をラッチする極性ラッチと、
直前のmフィールド期間群のnライン反転駆動を開始するときの前記nライン反転数カウンターのカウント値をラッチするnライン反転数ラッチとを含み、
前記駆動部は、
前記極性ラッチにラッチされた極性及び前記nライン反転数ラッチにラッチされたカウント値に基づいて、後続のmフィールド期間群のnライン反転駆動を行うことを特徴とする液晶駆動装置。
【請求項9】
請求項5乃至8のいずれか記載の液晶駆動装置と、
前記液晶駆動装置によって駆動される液晶パネルとを含むことを特徴とする液晶装置。
【請求項10】
請求項5乃至8のいずれか記載の液晶駆動装置を含むことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2012−163897(P2012−163897A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25938(P2011−25938)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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