説明

液晶駆動装置、液晶表示装置、電子機器及び液晶駆動装置の制御方法

【課題】反転駆動方式を用いる液晶駆動装置の平均描画速度を向上させる。
【解決手段】所定の期間を規定する第1の信号が入力され、前記第1の信号により入力が開始される第1のデータを保持する第1のラッチと、前記第1のデータを基に生成された第2のデータを正極性で出力する第1の期間を規定する第1のレジスターと、を含み、前記第1の期間は前記所定の期間よりも長く、前記第1のラッチに保持された前記第1のデータを基に生成された第3のデータを負極性で出力する第2の期間は前記所定の期間よりも短いことを特徴とする液晶駆動装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば液晶表示装置に用いられる液晶駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶組成物を用いた液晶パネルを利用した液晶表示装置が様々なところで利用されている。液晶表示装置は、液晶駆動装置を用いて液晶パネルに所定の電圧を印加することで液晶組成物の状態を変化させ画像の表示を行う装置であるが、液晶組成物の特性上、印加する電圧の極性を固定とすると液晶パネルの劣化を早めてしまうことが知られている。このため、反転駆動方式と呼ばれる、所定の期間で印加する電圧の極性を反転させる駆動方法が取られている。反転駆動方式には、画素単位で反転させるドット反転駆動方式、ライン単位で反転させるライン反転駆動方式及びフレーム単位で反転させるフレーム反転方式などがある。
【0003】
特許文献1には、上記反転駆動方式に加えて、表示データをマルチプレクスして表示信号として液晶パネルに供給し、液晶パネル上に設けたデマルチプレクス回路によりマルチプレクスされた表示信号を分割して複数のソースラインに供給することで、液晶パネルにデータを供給するために用いる信号線の本数を少なくすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−323341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、液晶パネル上のデマルチプレクス回路におけるソースラインを駆動する素子及び画素電極に電位を与えるための素子として、十分に駆動力を確保する観点及び電力消費を少なくする観点からNチャネルトランジスターが用いられる場合が多い。一般的に、Nチャネルトランジスターは、ソース電位がゲートのオン電位に対して電位差が小さくなる方向に変化する正極性におけるドレイン電位が目標電位に達するまでの時間が、ソース電位が目標ゲートのオン電位に対して電位差が大きくなる方向に変化する負極性におけるドレイン電位が目標電位に達するまでの時間よりも長くなる傾向があるという特徴がある。このため、ソースラインを正極性で駆動する場合の階調電位の書き込み時間がソースラインを負極性で駆動する場合の階調電位の書き込み時間よりも長くなる。これにより液晶表示装置に1枚の画像を表示するために要する時間が、ソースラインを正極性で駆動するのに要する時間により規定される場合があり、このことが、たとえば単位時間あたりに表示できる画素数を制限してしまうことがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述した問題又は課題の少なくともひとつを解決するためになされたものであり、以下の適用例又は実施形態として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
本適用例にかかる液晶駆動装置は、所定の期間を規定する第1の信号が入力され、前記第1の信号により入力が開始される第1のデータを保持する第1のラッチと、前記第1のデータを基に生成された第2のデータを正極性で出力する第1の期間を規定する第1のレジスターと、を含み、前記第1の期間は前記所定の期間よりも長く、前記第1のラッチに保持された前記第1のデータを基に生成された第3のデータを負極性で出力する第2の期間は前記所定の期間よりも短いことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、第1のデータを基に生成された第2のデータを正極性で出力する第1の期間を、第1のラッチに保持された第1のデータを基に生成された第3のデータを負極性で出力する第2の期間よりも長くすることで、正極性で行う描画に十分な時間を確保しながら所定の数の画像データの描画に要する時間の合計を短くすることができる。所定の数とは、たとえば1フレームの画像データの数であり、また、たとえばフレームの中の1ラインの画像データの数である。所定の数の画像データの描画に要する時間を短くできることは、1フレーム分の画素数をより多くすることや1秒あたりに描画するフレーム数の増加につなげることができ、より高精細な画像の表示が可能となる。第1のデータは画像データであり、第2のデータ及び第3のデータは、たとえば液晶パネルのTFTに対して出力するソースデータである。第3のデータの基となる第1のデータは第1のラッチに保持されていることから、第3のデータの出力前に次の第2のデータの基となる第1のデータの受信が始まるが、第3のデータの基となる第1のデータを消失することはない。
【0009】
[適用例2]
上記適用例にかかる液晶駆動装置において、前記第1の期間の長さと前記第2の期間の長さとを加えた第3の期間の長さは、前記所定の期間の長さの2倍であることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、第1の期間の長さと第2の期間の長さとの合計である第3の期間の長さが所定の期間の長さの2倍と同じであることにより、第1の期間と第2の期間とを交互に繰り返す場合に第3の期間と所定の期間との同期をとることが容易となり、液晶駆動装置の設計を容易とすることができる。
【0011】
[適用例3]
上記適用例にかかる液晶駆動装置において、前記第1の信号は、水平同期信号であることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、水平同期信号のタイミングを基準にして第3の期間の開始を制御することができる。
【0013】
[適用例4]
上記適用例にかかる液晶駆動装置において、前記第1の期間は、前記所定の期間の長さと前記第2の期間の長さとの差である第1の時間の長さで規定され、前記第1のレジスターには前記第1の時間の長さを示す値が保持されることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、第1の期間を所定の期間の長さと第2の期間の長さとの差である第1の時間の長さで規定し、第1の時間を第1のレジスターに保持することで、第2の期間を開始するタイミングの制御に第1のレジスターの値を用いることができる。
【0015】
[適用例5]
上記適用例にかかる液晶駆動装置において、第1の時間の長さを前記所定の期間の長さと前記第2の期間の長さとの差としたときに、前記第1の期間は、前記所定の期間の長さと前記第1の時間の長さとの和である第2の時間の長さで規定され、前記第1のレジスターには前記第2の時間の長さを示す値が保持されることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、第1の時間の長さを所定の期間の長さと第2の期間の長さとの差としたときに、第1の期間を所定の期間の長さと第1の時間の長さの和である第2の時間の長さで規定し、第2の時間を第1のレジスターに保持することで、第2の期間を開始するタイミングの制御に第1のレジスターの値を用いることができる。
【0017】
[適用例6]
本適用例に係る液晶表示装置は、上記適用例に係る液晶駆動装置を有することが好ましい。
【0018】
この構成によれば、より高精細な画像の表示が可能となる液晶表示装置を構成することができる。
【0019】
[適用例7]
本適用例の係る電子機器は、上記適用例に係る液晶表示装置を有することが好ましい。
【0020】
この構成によれば、より高精細な画像の表示が可能となる電子機器を構成することができる。
【0021】
[適用例8]
本適用例にかかる液晶駆動装置の制御方法は、所定の期間を規定する第1の信号が入力され、前記第1の信号により入力が開始される第1のデータを保持する第1のラッチと、前記第1のデータを基に生成された第2のデータを正極性で出力する第1の期間を規定する第1のレジスターと、を用い、前記第1の期間は前記所定の期間よりも長くし、前記第1のラッチに保持された前記第1のデータを基に生成された第3のデータを負極性で出力する第2の期間は前記所定の期間よりも短くすることを特徴とする。
【0022】
この方法によれば、正極性で行う描画に十分な時間を確保しながら所定の数の画像データの描画に要する時間の合計を短くすることができる。所定の数とは、たとえば1フレームの画像データの数であり、また、たとえばフレームの中の1ラインの画像データの数である。所定の数の画像データの描画に要する時間を短くできることは、1フレーム分の画素数をより多くすることや1秒あたりに描画するフレーム数の増加につなげることができ、より高精細な画像の表示が可能となる。
【0023】
[適用例9]
上記適用例にかかる液晶駆動装置の制御方法において、前記第1の期間の長さと前記第2の期間の長さとを加えた第3の期間の長さは、前記所定の期間の長さの2倍であることが好ましい。
【0024】
この方法によれば、第1の期間の長さと第2の期間の長さとの合計である第3の期間の長さが所定の期間の長さの2倍と同じであることにより、第1の期間と第2の期間とを交互に繰り返す場合に第3の期間と所定の期間との同期をとることが容易となり、液晶駆動装置の設計を容易とすることができる。
【0025】
[適用例10]
上記適用例にかかる液晶駆動装置の制御方法において、前記第1の信号は、水平同期信号であることが好ましい。
【0026】
この方法によれば、水平同期信号のタイミングを基準にして第3の期間の開始を制御することができる。
【0027】
[適用例11]
上記適用例にかかる液晶駆動装置の制御方法において、前記第1の期間は、前記所定の期間の長さと前記第2の期間の長さとの差である第1の時間の長さで規定され、前記第1のレジスターには前記第1の時間の長さを示す値が保持されることが好ましい。
【0028】
この方法によれば、第1の期間を所定の期間の長さと第2の期間の長さとの差である第1の時間の長さで規定し、第1の時間を第1のレジスターに保持することで、第2の期間を開始するタイミングの制御に第1のレジスターの値を用いることができる。
【0029】
[適用例12]
上記適用例にかかる液晶駆動装置の制御方法において、第1の時間の長さを前記所定の期間の長さと前記第2の期間の長さとの差としたときに、前記第1の期間は、前記所定の期間の長さと前記第1の時間の長さとの和である第2の時間の長さで規定され、前記第1のレジスターには前記第2の時間の長さを示す値が保持されることが好ましい。
【0030】
この方法によれば、第1の時間の長さを所定の期間の長さと第2の期間の長さとの差としたときに、第1の期間を所定の期間の長さと第1の時間の長さの和である第2の時間の長さで規定し、第2の時間を第1のレジスターに保持することで、第2の期間を開始するタイミングの制御に第1のレジスターの値を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】第1実施形態における液晶駆動装置の概略ブロック図。
【図2】液晶モジュールの概略ブロック図。
【図3】水平同期信号及び極性指示信号のタイムチャート図。
【図4】Nチャネルトランジスターの特徴説明のための図。
【図5】第2実施形態における液晶駆動装置の概略ブロック図。
【図6】水平同期信号及び極性指示信号を含む信号のタイムチャート図。
【図7】液晶表示装置及び電子機器の例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を適用した液晶駆動装置の実施形態について図を用いて説明する。以降の実施形態において、液晶表示装置は液晶モジュールを有し、液晶モジュールは液晶パネルと液晶駆動装置とを含むこととする。
【0033】
まず、本発明の適用がない従来のライン反転駆動方式の液晶駆動装置における、水平同期信号と極性指示信号とのタイミングの関係について説明する。水平同期信号及び極性指示信号の簡単なタイミングチャートを図3−(b)に示す。水平同期信号は図中のHSYNCがローレベルになることにより示される。また、図中のPOLは極性指示信号のレベルを示し、POLがハイレベルのときは、液晶パネルに対しての表示データが正極性で駆動され、ローレベルのときは負極性で駆動される。POLのハイレベルからローレベルへの切り替え、及び、POLのローレベルからハイレベルへの切り替えは垂直同期信号に同期する形で制御され、表示データが正極性で駆動される期間の長さC’と表示データが負極性で駆動される期間の長さF’とは略同一の長さとなる。
【0034】
液晶パネルにおいてソースラインの駆動にはNチャネルトランジスターを用いる場合が多い。上述したが、一般的に、Nチャネルトランジスターは、ソース電位がゲートのオン電位に対して電位差が小さくなる方向に変化する正極性におけるドレイン電位が目標電位に達するまでの時間が、ソース電位が目標ゲートのオン電位に対して電位差が大きくなる方向に変化する負極性におけるドレイン電位が目標電位に達するまでの時間よりも長くなる傾向があるという特徴がある。Nチャネルトランジスターのゲートがオンとなったときのドレインの電位の変化の模式図を図4−(a)に示す。図4−(a)におけるGがゲート電位の変化である。図4−(a)には、バイアスをかけた中間電位からの変化を分かりやすくするために、正極性の場合の変化と負極性の場合の変化とを重ねて図示した。正極性の場合、ハイレベルの電位の変化がゲート電位と同じ方向に動くことからドレイン電位の上昇の早さが鈍り、目標電位の99%に達するまでの時間が負極性の場合と比較して長くなる。
【0035】
本発明の適用がない従来のライン反転駆動方式の液晶駆動装置における、表示データが正極性で駆動される場合、及び負極性で駆動される場合のゲート信号の電位に対する画像データの電位の変化の例を示した模式図を図4−(b)に示す。
【0036】
(第1実施形態)
本実施形態は、ライン反転駆動を行う液晶モジュールにおける液晶駆動装置としてのソースドライバーに本発明を適用したものである。ソースドライバーは、液晶パネル上のデマルチプレクサーに画像データから生成した表示データをドライブする回路である。
【0037】
まず、本発明を適用したソースドライバーにおける、水平同期信号と極性指示信号とのタイミングの関係について説明する。図3−(a)に水平同期信号及び極性指示信号のタイミングを示す。上述したように、表示データを負極性で駆動する場合は、正極性で駆動する場合に比較して短い時間で十分な描画を行うことができる。本発明を適用したソースドライバーは、表示データを負極性で駆動する場合は、水平同期信号のタイミングから時間の長さD遅らせて表示データの駆動を開始する。表示データを正極性で駆動する期間は、水平同期信号の時間間隔の長さCに時間の長さDを加えた時間の長さEとなる。時間の長さFは表示データを負極性で描画するのに十分な時間であり、水平同期信号の時間間隔の2倍が時間の長さEと時間の長さFとの和となる。
【0038】
図3−(a)と図3−(b)とを比較して分かるように、本発明を適用することで、表示データを正極性で駆動するのに十分な時間の長さEを確保しながら、水平同期信号の時間間隔を時間の長さEよりも短くすることが可能である。尚、図4−(c)に表示データが正極性で駆動される場合、及び負極性で駆動される場合のゲート信号の電位に対する表示データの電位の変化の例を示した模式図を示す。
【0039】
次に、本実施形態におけるソースドライバー100の概略ブロック図を図1に示す。ソースドライバー100は、ソースドライバー制御部110、表示データ生成部120、データ保持部130を含む。ソースドライバー100への入力信号としてHSYNC401及び画像データ信号402を、ソースドライバー100からの出力として表示データ信号121及び極性指示信号103を図1に示す。HSYNC401及び画像データ信号402は、液晶駆動装置内の表示制御部に接続され、HSYNC401からは水平同期信号が、画像データ信号402からは画像データが入力される。表示データ信号121は液晶パネルに対する表示データを駆動する信号である。また、極性指示信号103は、液晶駆動装置内の電源部に接続され、電源の極性の制御のために用いられる。尚、本実施形態及び以降の実施形態の説明において、説明を行う上で直接関係がない制御信号等の図示及び説明は省略する。
【0040】
ソースドライバー制御部110は、タイミング制御に必要な信号と画像データとが入力され、ソースドライバー100内部の制御を行う部分である。HSYNC401及び画像データ信号402はソースドライバー制御部110に接続される。また、ソースドライバー制御部110は、表示データ信号121を正極性で駆動するときの期間を指定する値を格納する第1のレジスター180を有する。ソースドライバー制御部110は、入力されるタイミング信号及び第1のレジスター180の値を基にしてソースドライバー100内部の他のブロックに対しての制御信号を生成する。図1において図示したのは、表示データ生成部120を制御する制御信号111、第2データラッチ部140を制御する制御信号112、第1データラッチ部150を制御する制御信号113及びデータレジスター部160を制御する制御信号115である。また、ソースドライバー制御部110は、極性指示信号(POL)を生成し、極性指示信号103を介して電源部に出力する。
【0041】
データ保持部130は、入力データラッチ部170、データレジスター部160、第1データラッチ部150及び第2データラッチ部140を有する。入力データラッチ部170は、ソースドライバー制御部110が画像データ信号402として受信した画像データをデータレジスター部160に格納するために、タイミング調整を目的として一時的に保持するラッチである。制御信号115によりタイミングの制御が行われ、入力データラッチ部170に保持された画像データが、データレジスター部160に順次格納される。データレジスター部160は1ライン分の画像データを格納することができる。
【0042】
データレジスター部160に格納された1ライン分の画像データは、表示データ生成部120における1ライン分の画像データの処理が終了するタイミングに合わせて、第1データラッチ部150に保持され、次に第2データラッチ部140に保持される。また、場合によっては第1データラッチ部150をスルーして第2データラッチ部140に保持される。データレジスター部160からの画像データの移動は、ソースドライバー制御部110から出力される制御信号111、112及び114により行われる。
【0043】
表示データ生成部120は、マルチプレクサー部及びD/Aコンバーター部などを含み、画像データを表示データ信号121に変換する部分である。液晶パネルに対しての信号線の本数を少なくするために、所定の数の画像データが時分割でひとつの信号線を用いて液晶パネルに駆動される。マルチプレクサー部は、第2データラッチ部140の出力から所定の数の画像データを時分割で順次選択する回路であり、選択された画像データがひとつの信号線を用いて液晶パネルに駆動されることになる。マルチプレクサー部で選択された画像データは表示データ生成部内部の後段の処理部に送られる。該後段の処理部にはD/Aコンバーター部が含まれる。送られた画像データはD/Aコンバーター部でアナログデータに変換され、表示データ信号121を介してソースドライバー100外部に出力される(液晶パネルに駆動される)。尚、表示データ生成部120は、マルチプレクサー部及びD/Aコンバーター部以外の処理部が存在するが、本実施形態における論理的な動作説明とは直接関係ないことから図示及び説明を省略した。また、第2データラッチ部140に保持された1ライン分の画像データの処理に必要な時間の長さは、水平同期信号の時間間隔の長さと略同一である。
【0044】
次に、図2に上述したソースドライバー100を用いた液晶モジュール1の概略ブロック図を示す。液晶モジュール1は、液晶パネル部1600、表示制御部1400、電源部1500、ゲートドライバー部1300及びソースドライバー部1100を含む。ソースドライバー部1100が上述したソースドライバー100に相当する。
【0045】
液晶パネル部1600は、TFT1190がマトリクス状に配置されたアクティブマトリクス型の液晶パネルである。ソースドライバー部1100が駆動する表示データ信号1121は、液晶パネル部1600内のデマルチプレクサー1180により8つのソースデータ1181に分割される。従って、液晶モジュール1においてソースドライバー部1100の表示データ生成部120におけるマルチプレクサー部によってひとつの表示データ信号1121となるべく選択される画像データの数は8である。表示データ信号1121の本数は、1ラインの画素数の1/8となる。デマルチプレクサー1180により分割されたソースデータ1181は、ゲートドライバー部1300から出力するゲート信号1131により制御されるTFT1190を介して画素電極1191に書き込まれる。図2中、容量1601は画素電極1191及び共通電極1141に挟まれた液晶組成物をモデル化して記載したものである。尚、以降の説明において液晶パネル部1600における複数のTFTの各々を、TFT1190として記載する。
【0046】
表示制御部1400は、液晶モジュール1に入力される信号1701に含まれる画像データを表示するために液晶モジュール1内部の制御を行う部分である。HSYNC1401、画像データ信号1402、ゲートドライバー制御信号1404及び電源制御信号1403が表示制御部1400から出力される。
【0047】
電源部1500は、液晶モジュール1内の電源制御を行う部分であり、表示制御部1400及びソースドライバー部1100により制御される。表示制御部1400からは電源制御信号1403により表示パネルへの電源供給のオン、オフなどの制御がなされる。また、ソースドライバー部1100からは極性指示信号1103により液晶パネルを駆動するための電源極性の制御が行われる。電源部1500は、表示制御部1400及びソースドライバー部1100による制御に従い、ソースドライバー部1100の電源1501、共通電極1141の電源1502などの制御を行う。
【0048】
以降、ソースドライバー部1100の内部の説明に図1で示したブロック図を用いる。尚、図2におけるHSYNC1401は図1におけるHSYNC401に対応し、図2における画像データ信号1402は図1における画像データ信号402に対応し、図2における極性指示信号1103は図1における極性指示信号103に対応する。
【実施例1】
【0049】
本実施例は、第1のレジスター180の値が図3の時間間隔Dの長さを示す値である場合である。時間間隔Dの長さを示す値に基づいて表示データ信号1121を正極性で駆動する時間間隔Eの長さが規定される。従って、時間間隔Dの長さを示す値に基づいて、表示データ生成部120内のマルチプレクサーの動作タイミング、表示データ信号1121の駆動タイミング、ゲートドライバー部1300のゲート信号1131を駆動するタイミング及び液晶パネル部1600内のデマルチプレクサー1180の動作タイミングなどが規定される。
【0050】
1フレームの画像データは複数のラインの画像データから構成されるが、液晶モジュール1における一連の動作について、連続する3つのラインの画像データにおける処理により説明を行う。連続する3つのラインは、表示制御部1400に入力される順番に従い1番目のライン、2番目のライン及び3番目のラインと呼ぶこととし、1番目のライン及び3番目のラインの画像データから生成される表示データが正極性で駆動され、2番目のラインの画像データから生成される表示データが負極性で駆動されるものとする。また、説明に図3−(a)に示したタイムチャートを流用する。尚、n番目のラインの画像データから生成される表示データを、n番目のラインの表示データと呼ぶことにする。
【0051】
1番目のラインの画像データのデータレジスター部160への格納が終了した時点から説明を始める。2番目のラインの画像データに対する水平同期信号が、図3−(a)の(1)である。データレジスター部160に格納された1番目のラインの画像データは、図3−(a)の(1)のタイミングで第1データラッチ部150をスルーし、第2データラッチ部140に保持される。第2データラッチ部140に保持された画像データは、表示データ生成部120により1番目のラインの表示データに変換され、表示データ信号121(図2の表示データ信号1121)を介して液晶パネル部1600に対し駆動される。図3−(a)の時間間隔Eが1番目のラインの表示データが正極性で駆動される期間を示す。
【0052】
図3−(a)の(1)の水平同期信号に同期して2番目のラインの画像データの入力が開始され、データレジスター部160に順次格納される。図3−(a)の(1)のタイミングから時間Cが経過するまでに2番目のラインの画像データはすべてデータレジスター部160に格納され、図3−(a)の(2)のタイミングでデータレジスター部160に格納された2番目のラインの画像データは第1データラッチ部150に保持される。図3−(a)の(2)は3番目のラインの画像データの水平同期信号である。以降、3番目のラインの画像データがデータレジスター部160に順次格納される。図3−(a)の(2)の水平同期信号で規定されるタイミングから第1のレジスター180の値で規定される時間Dが経過するまでは、表示データ生成部120において1番目のラインの画像データに対しての処理が行われており、第2データラッチ部140には1番目のラインの画像データが保持され、第1データラッチ部150には2番目のラインの画像データが保持される。
【0053】
1番目のラインの画像データによる表示データ信号121の駆動は、図3−(a)の(2)の水平同期信号から時間Dが経過すると終了する。時間Dが経過すると極性指示信号103(図2における1103)が負極性駆動を指示するローレベルに変化し、電源部1500は負極性駆動に適した電位の制御を電源1501及び電源1502に対して行う。また、極性指示信号103がローレベルに変化するのに同期して第1データラッチ部150に保持されていた2番目のラインの画像データが第2データラッチ部140に保持され、表示データ生成部120において2番目のラインの画像データが2番目のラインの表示データに変換され、表示データ信号121を介して液晶パネル部1600に対し負極性で駆動される。
【0054】
図3−(a)の(3)の水平同期信号で規定されるタイミングまでに3番目のラインの画像データはすべてデータレジスター部160に格納される。また、2番目のラインの表示データの液晶パネル部1600に対しての駆動は終了する。データレジスター部160に格納された3番目のラインの画像データは図3−(a)の(3)の水平同期信号で規定されるタイミングで第1データラッチ部150をスルーし、第2データラッチ部140に保持される。また、ソースドライバー制御部110により極性指示信号103がハイレベルに制御される。これに応じて、電源部1500は正極性駆動に適した電位の制御を電源1501及び電源1502に対して行う。表示データ生成部120により3番目のラインの画像データは3番目のラインの表示データに変換され、表示データ信号121を介して液晶パネル部1600に対して正極性で駆動される。
【0055】
以降、上述した1番目のラインの画像データ、2番目のラインの画像データ及び3番目のラインの画像データに対しての処理に相当する処理が繰り返され、液晶パネル部1600は本発明を適用した液晶駆動装置によりライン反転駆動方式の駆動がなされる。
【実施例2】
【0056】
本実施例は、第1のレジスター180の値が図3−(a)の時間間隔Eの長さを示す値である場合である。第1のレジスター180の値に基づいて、表示データ信号1121を正極性で駆動する時間間隔の長さが規定される。また、第1のレジスター180の値に基づいて、表示データ生成部120内のマルチプレクサーの動作タイミング、表示データ信号1121の駆動タイミング、ゲートドライバー部1300のゲート信号1131を駆動するタイミング及び液晶パネル部1600内のデマルチプレクサー1180の動作タイミングなどが規定される。本実施例の説明においても、実施例1と同様に、連続する3つのラインの画像データにおける処理を用いることとする。また、タイムチャートは図3−(a)に示したものを流用する。また、本実施例の説明も実施例1と同様に、1番目のラインの画像データが第2データラッチ部140に格納されたところから説明を開始する。
【0057】
第2データラッチ部140に格納された1番目のラインの画像データは表示データ生成部120において表示データに変換され、表示データ信号121を介して液晶パネル部1600に正極性で駆動されている。2番目のラインの画像データは入力データラッチ部170に一時保持された後、データレジスター部160に順次格納されている。
【0058】
図3−(a)の(1)のタイミングから時間Cが経過するまでに2番目のラインの画像データはすべてデータレジスター部160に格納され、図3−(a)の(2)のタイミングでデータレジスター部160に格納された2番目のラインの画像データは第1データラッチ部150に保持される。図3−(a)の(2)は3番目のラインの画像データの水平同期信号である。以降、3番目のラインの画像データがデータレジスター部160に順次格納される。
【0059】
ソースドライバー制御部110は、1番目のラインの表示データの駆動を開始してから第1のレジスター180の値で示される時間Eが終了すると極性指示信号103をハイレベルからローレベルに切り替えるとともに、第1データラッチ部150に保持していた2番目のラインの画像データを第2データラッチ部140に保持する。2番目のラインの画像データが表示データに変換され、表示データ信号121を介して液晶パネル部1600に対して負極性で駆動される。また、3番目のラインの画像データはデータレジスター部160に順次格納される。
【0060】
図3−(a)の(3)の水平同期信号で規定されるタイミングまでに3番目のラインの画像データはすべてデータレジスター部160に格納される。また、2番目のラインの表示データの液晶パネル部1600に対しての駆動は終了する。データレジスター部160に格納された3番目のラインの画像データは図3−(a)の(3)の水平同期信号で規定されるタイミングで第1データラッチ部150をスルーし、第2データラッチ部140に保持される。また、ソースドライバー制御部110により極性指示信号103がハイレベルに制御される。これに応じて、電源部1500は正極性駆動に適した電位の制御を電源1501及び電源1502に対して行う。表示データ生成部120により3番目のラインの画像データは3番目のラインの表示データに変換され、表示データ信号121を介して液晶パネル部1600に対して正極性で駆動される。
【0061】
以降、上述した1番目のラインの画像データ、2番目のラインの画像データ及び3番目のラインの画像データに対しての処理に相当する処理が繰り返され、液晶パネル部1600は本発明を適用した液晶駆動装置によりライン反転駆動方式の駆動がなされる。
【0062】
(第2実施形態)
本実施形態は、ライン反転駆動を行う液晶駆動装置におけるソースドライバーに本発明を適用したものである。本実施形態のソースドライバー200の概略ブロック図を図5に示す。ソースドライバー200は、ソースドライバー制御部210、表示データ生成部220、データ保持部230を含む。また、ソースドライバー200外部からの入力信号としてHSYNC201及び画像データ信号202を、ソースドライバー200からの出力として表示データ信号221及び極性指示信号203を図5に示す。HSYNC201及び画像データ信号202は、液晶駆動装置内の表示制御部に接続され、HSYNC201からは水平同期信号が、画像データ信号202からは画像データが入力される。
【0063】
データ保持部230は、入力データラッチ部270、第1データレジスター部250、第2データレジスター部260及びデータラッチ部240を含む。入力データラッチ部270に一時保持された画像データは、第1データレジスター部250又は第2データレジスター部260のいずれか一方に格納され、その後いずれか一方に格納された画像データがデータラッチ部240に保持される。
【0064】
ソースドライバー200のソースドライバー制御部210、第1のレジスター280、表示データ生成部220、入力データラッチ部270及びデータラッチ部240は、それぞれ第1実施形態におけるソースドライバー100のソースドライバー制御部110、第1のレジスター180、表示データ生成部120、入力データラッチ部170及び第2データラッチ部140に対応する。また、図5に示したHSYNC201、画像データ信号202、極性指示信号203、表示データ信号221、制御信号211及び制御信号212は、図1に示したHSYNC401、画像データ信号402、極性指示信号(POL)103、表示データ信号121、制御信号111及び制御信号212にそれぞれ対応する。これらの機能ブロックは果たす機能もほぼ同等であることから、本実施形態の説明は第1実施形態と異なる部分について行うこととする。
【0065】
ソースドライバー200において、データラッチ部240の入力となるのは第1データレジスター部250及び第2データレジスター部260である。制御信号216により第1データレジスター部250又は第2データレジスター部260のいずれかが選択される。また、制御信号215は第1データレジスター部250に対して入力データラッチ部270に一時保持した画像データの書き込みを制御する信号であり、制御信号217は第2データレジスター部260に対して入力データラッチ部270に一時保持した画像データの書き込みを制御する信号である。入力データラッチ部270に一時保持された画像データは制御信号215及び制御信号217により制御され、第1データレジスター部250又は第2データレジスター部260のいずれか一方に順次格納される。
【0066】
また、ソースドライバー200を用いた液晶モジュールとして、図2に示した液晶モジュール1を流用して説明を行う。図2中、ソースドライバー部1100がソースドライバー200に相当する。
【実施例3】
【0067】
本実施例は、第1のレジスター280の値が図3の時間間隔Dの長さを示す値とする場合である。時間間隔Dの長さを示す値に基づいて表示データ信号1121を正極性で駆動する時間間隔Eの長さが規定される。従って、時間間隔Dの長さを示す値に基づいて、表示データ生成部220内のマルチプレクサーの動作タイミング、表示データ信号1121の駆動タイミング、ゲートドライバー部1300のゲート信号1131を駆動するタイミング及び液晶パネル部1600内のデマルチプレクサー1180の動作タイミングなどが規定される。
【0068】
本実施例においても、説明に連続する3つのラインの画像データにおける処理を用いることとする。また、説明において図3−(a)に示したタイムチャートを使用する。また、本実施例の説明も、上述した実施例と同様に、1番目のラインの画像データがデータラッチ部240に格納されたところから説明を開始する。
【0069】
データラッチ部240に格納された1番目のラインの画像データは表示データ生成部220において表示データに変換され、表示データ信号221を介して液晶パネル部1600に正極性で駆動されている。2番目のラインの画像データは入力データラッチ部270に一時保持された後、第1データレジスター部250に順次格納されている。第1データレジスター部250への画像データの書き込みはソースドライバー制御部210から出力される制御信号215により制御される。
【0070】
図3−(a)の(1)のタイミングから時間Cが経過するまでに2番目のラインの画像データはすべて第1データレジスター部250に格納される。図3−(a)の(2)のタイミングで3番目のラインの画像データの入力が始まり、3番目のラインの画像データは入力データラッチ部270に一時保持された後、第2データレジスター部260に順次格納される。第2データレジスター部260への画像データの書き込みはソースドライバー制御部210から出力される制御信号217により制御される。第1データレジスター部250には2番目のラインの画像データが格納されたままである。
【0071】
1番目のラインの画像データによる表示データ信号221の駆動は、図3−(a)の(2)の水平同期信号から時間Dが経過すると終了する。時間Dが経過すると極性指示信号203(図2における極性指示信号1103)が負極性駆動を指示するローレベルに変化し、電源部1500は負極性駆動に適した電位の制御を電源1501及び電源1502に対して行う。また、制御信号216によりデータラッチ部240の入力として第1データレジスター部250が選択され、極性指示信号203がローレベルに変化するのに同期して、第1データレジスター部250に格納されている2番目のラインの画像データがデータラッチ部240に保持される。データラッチ部240に保持された2番目のラインの画像データは、表示データ生成部220において処理が行われ、2番目のラインの表示データに変換された後表示データ信号221を介して液晶パネル部1600に負極性で駆動される。2番目のラインの表示データの駆動は、駆動を開始してから時間Fで終了する。
【0072】
図3−(a)の(3)の水平同期信号で規定されるタイミングまでに3番目のラインの画像データはすべて第2データレジスター部260に格納される。制御信号216によりデータラッチ部240の入力として第2データレジスター部260が選択され、第2データレジスター部260に格納された3番目のラインの画像データは図3−(a)の(3)の水平同期信号で規定されるタイミングでデータラッチ部240に保持される。また、ソースドライバー制御部210により極性指示信号203がハイレベルに制御される。これに応じて、電源部1500は正極性駆動に適した電位の制御を電源1501及び電源1502に対して行う。表示データ生成部220により3番目のラインの画像データは3番目のラインの表示データに変換され、表示データ信号221を介して液晶パネル部1600に対し正極性で駆動される。
【0073】
以降、上述した1番目のラインの画像データ、2番目のラインの画像データ及び3番目のラインの画像データに対しての処理に相当する処理が繰り返され、液晶パネル部1600は本発明を適用した液晶駆動装置によりライン反転駆動方式の駆動がなされる。
【実施例4】
【0074】
本実施例は、第1のレジスター280の値が図3−(a)の時間間隔Eの長さを示す値である場合である。第1のレジスター280の値に基づいて、表示データ信号1121を正極性で駆動する時間間隔の長さが規定される。また、第1のレジスター280の値に基づいて、表示データ生成部220内のマルチプレクサーの動作タイミング、表示データ信号1121の駆動タイミング、ゲートドライバー部1300のゲート信号1131を駆動するタイミング及び液晶パネル部1600内のデマルチプレクサー1180の動作タイミングなどが規定される。本実施例の説明においても、上述した実施例と同様に、連続する3つのラインの画像データにおける処理を用いることとする。また、タイムチャートは図3−(a)に示したものを流用する。また、本実施例の説明も、上述した実施例と同様に、1番目のラインの画像データがデータラッチ部240に格納されたところから説明を開始する。
【0075】
データラッチ部240に格納された1番目のラインの画像データは表示データ生成部220において表示データに変換され、表示データ信号221を介して液晶パネル部1600に正極性で駆動されている。2番目のラインの画像データは入力データラッチ部270に一時保持された後、第1データレジスター部250に順次格納されている。第1データレジスター部250への画像データの書き込みはソースドライバー制御部210から出力される制御信号215により制御される。
【0076】
ソースドライバー制御部210は、1番目のラインの表示データの駆動を開始してから第1のレジスター280の値で示される時間Eが経過すると極性指示信号203(図2における1103)が負極性駆動を指示するローレベルに変化し、電源部1500は負極性駆動に適した電位の制御を電源1501及び電源1502に対して行う。また、制御信号216によりデータラッチ部240の入力として第1データレジスター部250が選択され、極性指示信号203がローレベルに変化するのに同期して、第1データレジスター部250に格納されている2番目のラインの画像データがデータラッチ部240に保持される。データラッチ部240に保持された2番目のラインの画像データは、表示データ生成部220において処理が行われ、2番目のラインの表示データに変換された後表示データ信号221を介して液晶パネル部1600に負極性で駆動される。2番目のラインの表示データの駆動は、駆動を開始してから時間Fで終了する。
【0077】
図3−(a)の(3)の水平同期信号で規定されるタイミングまでに3番目のラインの画像データはすべて第2データレジスター部260に格納される。制御信号216によりデータラッチ部240の入力として第2データレジスター部260が選択され、第2データレジスター部260に格納された3番目のラインの画像データは図3−(a)の(3)の水平同期信号で規定されるタイミングでデータラッチ部240に保持される。また、ソースドライバー制御部210により極性指示信号203がハイレベルに制御される。これに応じて、電源部1500は正極性駆動に適した電位の制御を電源1501及び電源1502に対して行う。表示データ生成部220により3番目のラインの画像データは3番目のラインの表示データに変換され、表示データ信号221を介して液晶パネル部1600に正極性で駆動される。
【0078】
以降、上述した1番目のラインの画像データ、2番目のラインの画像データ及び3番目のラインの画像データに対しての処理に相当する処理が繰り返され、液晶パネル部1600は本発明を適用した液晶駆動装置によりライン反転駆動方式の駆動がなされる。
【0079】
ライン反転駆動方式の場合の説明を上述したが、同様の考え方をフレーム反転駆動方式及びドット反転駆動方式に適用することができる。図6−(a)に、フレーム反転駆動方式における垂直同期信号、水平同期信号及び極性指示信号の概略タイミングチャートを示す。垂直同期信号はVSYNC、水平同期信号はHSYNC及び極性指示信号はPOLとして示した。図で示した期間Hが垂直同期信号の間隔であり、期間Kが表示データを正極性で駆動する期間となる。表示データを負極性で駆動開始するタイミングは、期間J又は期間Kで規定することができる。また、図6−(b)に、ドット反転駆動方式における水平同期信号、ドットクロック及び極性指示信号の概略タイミングチャートを示す。水平同期信号はHSYNC、ドットクロックはDCLK及び極性指示信号はPOLで示した。ドットクロックは1画素あたりの描画時間を規定するクロックである。図示したように、表示データを正極性で駆動する時間を負極性で駆動する時間よりも長くすることで、単位画素あたりの描画時間を少なくすることができる。
【0080】
尚、上述の説明において、たとえば「水平同期信号で規定されるタイミング」というような記載を行っているが、この記載の場合、水平同期信号そのもののタイミングだけでなく、水平同期信号が基点となって生成される制御信号によるタイミングも含むものとする。たとえば、水平同期信号を内部で遅延させた信号や、内部同期用のクロックでサンプリングした信号によるタイミングが含まれる。
【0081】
また、本発明の適用は必ずしも上記実施形態に限られるものではない。たとえば表示データ生成部が参照するデータラッチ部を複数設け、1ライン毎に巡回参照するようにしてもかまわない。
【0082】
図7−(a)に上述した液晶モジュール1を有する液晶表示装置2を、図7−(b)に電子機器3を示す。尚、上述した液晶モジュール1を有する液晶表示装置及び電子機器は図7に示したものに限らない。
【符号の説明】
【0083】
1…液晶モジュール、2…液晶表示装置、3…電子機器、100…ソースドライバー、103…極性指示信号、110…ソースドライバー制御部、111…制御信号、112…制御信号、113…制御信号、115…制御信号、120…表示データ生成部、121…表示データ信号、130…データ保持部、140…第2データラッチ部、150…第1データラッチ部、160…データレジスター部、170…入力データラッチ部、180…第1のレジスター、200…ソースドライバー、201…HSYNC、202…画像データ信号、203…極性指示信号、210…ソースドライバー制御部、211…制御信号、212…制御信号、215…制御信号、216…制御信号、217…制御信号、220…表示データ生成部、221…表示データ信号、230…データ保持部、240…データラッチ部、250…第1データレジスター部、260…第2データレジスター部、270…入力データラッチ部、280…第1のレジスター、401…HSYNC、402…画像データ信号、1100…ソースドライバー部、1103…極性指示信号、1121…表示データ信号、1131…ゲート信号、1141…共通電極、1180…デマルチプレクサー、1181…ソースデータ、1190…TFT、1191…画素電極、1300…ゲートドライバー部、1400…表示制御部、1401…HSYNC、1402…画像データ信号、1403…電源制御信号、1404…ゲートドライバー制御信号、1500…電源部、1501…電源、1502…電源、1600…液晶パネル部、1601…容量、1701…信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の期間を規定する第1の信号が入力され、
前記第1の信号により入力が開始される第1のデータを保持する第1のラッチと、
前記第1のデータを基に生成された第2のデータを正極性で出力する第1の期間を規定する第1のレジスターと、を含み、
前記第1の期間は前記所定の期間よりも長く、
前記第1のラッチに保持された前記第1のデータを基に生成された第3のデータを負極性で出力する第2の期間は前記所定の期間よりも短いことを特徴とする液晶駆動装置。
【請求項2】
前記第1の期間の長さと前記第2の期間の長さとを加えた第3の期間の長さは、前記所定の期間の長さの2倍であることを特徴とする請求項1に記載の液晶駆動装置。
【請求項3】
前記第1の信号は、水平同期信号であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶駆動装置。
【請求項4】
前記第1の期間は、前記所定の期間の長さと前記第2の期間の長さとの差である第1の時間の長さで規定され、
前記第1のレジスターには前記第1の時間の長さを示す値が保持されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液晶駆動装置。
【請求項5】
第1の時間の長さを前記所定の期間の長さと前記第2の期間の長さとの差としたときに、
前記第1の期間は、前記所定の期間の長さと前記第1の時間の長さとの和である第2の時間の長さで規定され、
前記第1のレジスターには前記第2の時間の長さを示す値が保持されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液晶駆動装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の液晶駆動装置を有する液晶表示装置。
【請求項7】
請求項6に記載の液晶表示装置を有する電子機器。
【請求項8】
所定の期間を規定する第1の信号が入力され、
前記第1の信号により入力が開始される第1のデータを保持する第1のラッチと、
前記第1のデータを基に生成された第2のデータを正極性で出力する第1の期間を規定する第1のレジスターと、を用い、
前記第1の期間は前記所定の期間よりも長くし、
前記第1のラッチに保持された前記第1のデータを基に生成された第3のデータを負極性で出力する第2の期間は前記所定の期間よりも短くすることを特徴とする液晶駆動装置の制御方法。
【請求項9】
前記第1の期間の長さと前記第2の期間の長さとを加えた第3の期間の長さは、前記所定の期間の長さの2倍であることを特徴とする請求項8に記載の液晶駆動装置の制御方法。
【請求項10】
前記第1の信号は、水平同期信号であることを特徴とする請求項8又は9に記載の液晶駆動装置の制御方法。
【請求項11】
前記第1の期間は、前記所定の期間の長さと前記第2の期間の長さとの差である第1の時間の長さで規定され、
前記第1のレジスターには前記第1の時間の長さを示す値が保持されることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか一項に記載の液晶駆動装置の制御方法。
【請求項12】
第1の時間の長さを前記所定の期間の長さと前記第2の期間の長さとの差としたときに、
前記第1の期間は、前記所定の期間の長さと前記第1の時間の長さとの和である第2の時間の長さで規定され、
前記第1のレジスターには前記第2の時間の長さを示す値が保持されることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか一項に記載の液晶駆動装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−186282(P2011−186282A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52819(P2010−52819)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】